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JP5645065B2 - δ−バレロラクトンの製造方法 - Google Patents

δ−バレロラクトンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、気相法により1,5−ペンタンジオール(以下、PDLと称することもある)を環化脱水素反応させて、δ−バレロラクトン(以下、DVLと称することもある)を製造する方法に関する。
δ−バレロラクトンは様々な化学製品の原料として有用である。固体触媒を用いた気相法による1,5−ペンタンジオールの環化脱水素反応は、工業的に好ましいδ−バレロラクトンの合成方法として知られている。一般に、得られたδ−バレロラクトンを含有する反応液は蒸留回収工程などに供され、δ−バレロラクトンが製品として単離される。しかしながら、この蒸留操作において、前記反応液を缶液として加熱すると、缶液においてδ−バレロラクトンの開環重合反応が進行してしまうという問題があった。これは、缶液の粘度上昇による操作性の悪化や、δ−バレロラクトンの蒸留収率(蒸留時におけるδ−バレロラクトンの回収率)の低下につながり、工業的な不利益をもたらしてしまう。
このような問題を解決するため、例えば特開2004−331626号公報(特許文献1)には、180〜400℃の缶液温度で蒸留を行い、δ−バレロラクトンを回収する方法が開示され、缶液温度を前記範囲に制御することにより、δ−バレロラクトンの開環重合生成物を解重合させながら蒸留を行うことができ、δ−バレロラクトンを効率的かつ安定的に回収できるとされている。
しかしながら、この方法では、解重合を促進させるために、操作圧力におけるδ−バレロラクトンの沸点を大きく超える缶液温度で蒸留操作を行う必要があり、エネルギーを多量に消費してしまうという問題がある。また、開環重合生成物を解重合させながら蒸留を行うことから、δ−バレロラクトンの回収速度が缶液部での解重合反応速度によって制限されることも問題である。
一方、1,5−ペンタンジオールの環化脱水素反応によるδ−バレロラクトンの合成において、重要な役目を担うのが触媒であり、その研究も進められている。
例えば、特開平04−261167号公報(特許文献2)には、銅、第4周期遷移金属元素及び第8属白金族元素からなる触媒の存在下、脱水素及び環化させることを特徴とするラクトンの製造法が開示されている。具体的に開示されているδ−バレロラクトンの合成は、銅、亜鉛、ルテニウムをゼオライトに担持した触媒を使用して行われている。しかしながら、この方法は、液相反応によって行われるため、反応後に、ろ過などの操作による触媒の分離が必要であり、また、触媒に高価な貴金属が必要なことも問題として挙げることができる。
一方、特開2002−371075号公報(特許文献3)には、銅と酸化ジルコニウムを必須成分として含み、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素からなる群から選ばれた少なくとも1種の金属酸化物を含有し、特定の方法で調製された触媒による、ジオールからのラクトンの製造方法が開示されている。しかしながら、具体的には、1,4−ブタンジオールからのγ−ブチロラクトンの合成、1,6−ヘキサンジオールからのε−カプロラクトンの合成が記載されているのみであり、1,5−ペンタンジオールからのδ−バレロラクトンの合成に関する具体例はない。
さらに、特開2001−219067号公報(特許文献4)には、担体に銅化合物、亜鉛化合物及び少なくとも1種のアルカリ土類金属化合物を担持したラクトン類の製造触媒が開示されている。しかしながら、具体的には、1,4−ブタンジオールからのγ−ブチロラクトンの合成が記載されているのみであり、1,5−ペンタンジオールからのδ−バレロラクトンの合成に関する具体例はない。
特開2004−331626号公報 特開平04−261167号公報 特開2002−371075号公報 特開2001−219067号公報
上述のとおり、気相での1,5−ペンタンジオールからの環化脱水素反応により得られるδ−バレロラクトンを含む反応液から、効率的かつ安定的にδ−バレロラクトンを回収するには、蒸留回収工程におけるδ−バレロラクトンの開環重合を抑制することが重要である。しかしながら、開環重合を抑制するための方法は確立されておらず、特許文献1のように、エネルギー消費の大きい解重合操作を経由した回収方法が知られているに過ぎない状況である。
このような状況に鑑み、本発明者らが、気相での1,5−ペンタンジオールの環化脱水素反応を利用したδ−バレロラクトンの製造方法について鋭意検討したところ、反応液に含まれる特定の微量副生物が、主生成物であるδ−バレロラクトンの開環重合のトリガーとなっていることを見出した。本発明は、この知見に基くものであり、効率的かつ容易なδ−バレロラクトンの製造方法を提供するものである。
本発明は、
(a)気相法により1,5−ペンタンジオールを環化脱水素反応させて、δ−バレロラクトンを含有する反応液を得る工程;及び
(b)得られた反応液を蒸留して、δ−バレロラクトンを回収する工程
を含む、δ−バレロラクトンの製造方法であって、
工程(b)で蒸留に付す反応液に含まれるδ−バレロラクトンのモル数に対する、反応液に含まれる遊離のカルボキシル基及び水酸基の合計のモル数の比が、0.05以下であることを特徴とする、
δ−バレロラクトンの製造方法に関する。
また、本発明は、
(a)気相法により1,5−ペンタンジオールを環化脱水素反応させて、δ−バレロラクトンを含有する反応液を得る工程;及び
(b)得られた反応液を蒸留して、δ−バレロラクトンを回収する工程
を含む、δ−バレロラクトンの製造方法であって、
工程(a)の環化脱水素反応を、CuOの担持量が35〜65質量%であり、かつ昇温脱離分析によって測定されるNH吸着量の合計が150〜250μmol/gである固体触媒を用いて、180〜280℃の温度で行うことを特徴とする、
δ−バレロラクトンの製造方法に関する。
本発明によれば、気相での1,5−ペンタンジオールの環化脱水素反応を利用したδ−バレロラクトン製造において、δ−バレロラクトンの蒸留回収工程における缶液での開環重合を抑制できる。この結果、缶液を高温で処理することによる解重合操作が不要となるため、蒸留分離を比較的低温で実施することができ、δ−バレロラクトンを効率的かつ容易に製造することが可能となる。本発明によれば、反応工程だけでなく、製品の分離まで含めた製造プロセスにおいて、δ−バレロラクトンを良い収率で得ることができ、有用性が高い。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、(a)気相法により1,5−ペンタンジオールを環化脱水素反応させて、δ−バレロラクトンを含有する反応液を得る工程;及び
(b)得られた反応液を蒸留して、δ−バレロラクトンを回収する工程
を含む、δ−バレロラクトンの製造方法に関し、第一の態様では、工程(b)で蒸留に付す反応液に含まれるδ−バレロラクトンのモル数に対する、反応液に含まれる遊離のカルボキシル基及び水酸基の合計のモル数の比(r)が、0.05以下であることが特徴である。これは、工程(b)において、δ−バレロラクトンの開環重合のトリガーとなり得る副生物が、官能基として、カルボキシル基(−COOH)又は水酸基(−OH)の少なくとも一方を有するものであるとの知見に基く。副生物としては、具体的には、吉草酸(以下、PAと称することもある)、水、未反応の1,5−ペンタンジオールが挙げられる。1,5−ペンタンジオールの環化脱水素反応では、ジヒドロピラン(以下、DHPと称することもある)、テトラヒドロピラン(以下、THPと称することもある)も副生しうるが、これらは、カルボキシル基及び水酸基を有しておらず、開環重合に与える直接的な影響は低いと解される。
反応液に含まれるδ−バレロラクトンのモル数に対する、反応液に含まれる遊離のカルボキシル基及び水酸基の合計のモル数の比(r)は、
Figure 0005645065
で表される。rが0.05より大きくなるとδ−バレロラクトンの開環重合が進行しやすくなってしまう。rは、好ましくは0.03以下である。
反応液中のδ−バレロラクトンのモル数、カルボキシル基及び水酸基のモル数は、ガスクロマトグラフィー及びカールフィッシャー水分計で測定することができる。
工程(b)で蒸留に付される反応液は、工程(a)で得られる反応液そのままであってもよい。
<工程a>
工程(a)は、気相法により1,5−ペンタンジオールを環化脱水素反応させて、反応液を得る工程である。
1,5−ペンタンジオールの環化脱水素反応には、固体触媒を用いることができ、銅を含む固体触媒が好ましい。銅成分の形態としての銅化合物の種類は、特に制限されず、酸化銅(CuO)、塩化銅(CuCl)、臭化銅(CuBr)、酢酸銅(Cu(OAc))、アセチルアセトン銅(Cu(C)などを挙げることができる。好ましくは酸化銅(CuO)である。特に、酸化銅(CuO)は、固体触媒中、35〜65質量%であることが好ましく、より好ましくは、40〜60質量%である。酸化銅(CuO)以外の銅化合物を用いる場合には、前記の酸化銅(CuO)の濃度範囲を銅としての濃度範囲に換算し、これを満足するように銅化合物を含有すればよい。
固体触媒における銅化合物以外の成分としては、例えば、シリカ、アルミナ、クロミア、酸化亜鉛などを挙げることができるが、中でもアルミナ、クロミアが好ましい。
固体触媒は、水素ガスなどによって還元してから使用することができる。還元操作は、反応系外で別途実施してもよいし、反応系内で実施してもよい。
固体触媒は、触媒1g当りのNH吸着量が、150〜250μmol/gであるものが好ましい。NH吸着量が250μmol/gを超えると、吉草酸や水などの副生物が増加してしまう傾向にあり、一方、150μmol/gより少ないと充分な活性が得られず、未反応の1,5−ペンタンジオールが増加してしまう傾向にあり、反応液に含まれるδ−バレロラクトンのモル数に対する、反応液に含まれる遊離のカルボキシル基及び水酸基の合計のモル数の比(r)を0.05以下にするのが困難になってしまう。特に、酸化銅(CuO)を35〜65質量%、好ましくは40〜60質量%で担持し、触媒1g当りのNH吸着量が、150〜250μmol/gであるものが好ましい。固体触媒のNH吸着量は、より好ましくは、160〜240μmol/gである。NHの吸着量が高すぎる場合には、NaOHのようなアルカリを含む水溶液に触媒を浸漬させ触媒中の酸性部位を中和することによってこれを調整することができる。
NH吸着量は、昇温脱離分析によって測定することができる。具体的には、下記の操作により測定する。
触媒を化学吸着量測定用セルに入れ、He流通中、240℃にて乾燥処理した後、さらに、流通ガスをHに切り替え、1時間処理する。次に、He流通下で100℃まで降温した後、5%のNHを含有したHeを流通させ、NHを吸着させる。その後、100℃のままで水蒸気を導入し水素結合で吸着されたNHを取り除く。さらにHe流通条件で1時間以上保持し、セルを通過して出てくるガスの質量分析計による観察状況(m/z=16に着目)が安定した後、同じくHe流通条件にて、100℃から700℃(5℃/分)まで昇温したときに出てくるNHガスを、質量分析計を用いて測定する。
工程(a)において、気相で1,5−ペンタンジオールを環化脱水素反応させ、冷却捕集して反応液を得ることができる。環化脱水素反応の実施において、反応装置への1,5−ペンタンジオールの供給には、キャリアーガスを使用してもよい。キャリアーガスの種類は、特に制限されず、反応に悪影響を与えないガスであれば使用可能である。水素、窒素を好適に用いることができる。
1,5−ペンタンジオールの供給量は、触媒充填層の容積当りの液体1,5−ペンタンジオールの供給量LHSV(h−1)として、0.1〜5.0とすることができ、0.4〜4.0が好ましい。
1,5−ペンタンジオールの環化脱水素反応を実施する温度は、180〜280℃とすることができる。温度がこの範囲よりも高いと、副生物が増加してしまう傾向にあり、一方、温度がこの範囲よりも低いと、反応速度の低下により未反応の1,5−ペンタンジオールが増加してしまう傾向にあり、反応液に含まれるδ−バレロラクトンのモル数に対する、反応液に含まれる遊離のカルボキシル基及び水酸基の合計のモル数の比(r)を0.05以下にするのが困難になってしまう。反応を実施する温度は、好ましくは190〜270℃である。
1,5−ペンタンジオールの環化脱水素反応を実施する圧力は、特に制限されず、気相反応を実施できる限りにおいて様々な圧力で操作することができる。通常は、常圧で実施される。
工程(a)で、反応液に含まれるδ−バレロラクトンのモル数に対する、反応液に含まれる遊離のカルボキシル基及び水酸基の合計のモル数の比(r)が0.05以下の反応液を得て、これをそのまま、工程(b)に供することができる。
<工程b>
工程(b)は、反応液からδ−バレロラクトンを蒸留回収する工程である。蒸留に付される反応液は、反応液に含まれるδ−バレロラクトンのモル数に対する、反応液に含まれる遊離のカルボキシル基及び水酸基の合計のモル数の比(r)が0.05以下である。このような反応液は、開環重合を促進する副生物の濃度が低く、通常の蒸留回収工程で問題となるδ−バレロラクトンの開環重合が抑制されるため、缶液を高温(例えば、180〜400℃)に保持する解重合操作を行わなくても、効率的かつ容易にδ−バレロラクトンを回収することができる。
工程(b)の蒸留回収における、缶液温度は、100〜170℃とすることができる。缶液温度がこの範囲よりも高いと、δ−バレロラクトンの開環重合が進行しやすくなり、一方、缶液温度がこの範囲よりも低いと、過度の減圧を必要とし、設備負荷が大きくなってしまう。缶液温度は、好ましくは、110〜160℃である。
工程(b)における、圧力は、前記の缶液温度にて蒸留回収を実施できる範囲であれば、任意に設定することができる。
さらに、本発明は、(a)気相法により1,5−ペンタンジオールを環化脱水素反応させて、δ−バレロラクトンを含有する反応液を得る工程;及び
(b)得られた反応液を蒸留して、δ−バレロラクトンを回収する工程
を含む、δ−バレロラクトンの製造方法に関し、第二の態様では、工程(a)の環化脱水素反応を、CuOの担持量が35〜65質量%であり、かつ昇温脱離分析によって測定されるNH吸着量の合計が150〜250μmol/gである固体触媒を用いて、180〜280℃の温度で行うことが特徴である。これは、工程(a)において、上記の固体触媒及び反応温度を採用すると、工程(b)において、δ−バレロラクトンの開環重合のトリガーとなり得る副生物の生成が抑制されるとの知見に基く。副生物としては、官能基として、カルボキシル基(−COOH)又は水酸基(−OH)の少なくとも一方を有するものが挙げられ、具体的には、吉草酸、水、未反応の1,5−ペンタンジオールが挙げられる。
また、上記の固体触媒及び反応温度を採用することにより、工程(a)で得られる反応液に含まれるδ−バレロラクトンのモル数に対する、反応液に含まれる遊離のカルボキシル基及び水酸基の合計のモル数の比(r)を、容易に0.05以下にすることができる。
第二の態様において、工程(a)の環化脱水素反応で使用される固体触媒は、CuOの担持量が35〜65質量%、好ましくは40〜60質量%であり、かつNH吸着量が150〜250μmol/gであり、好ましくは、160〜240μmol/gである。
固体触媒におけるCuO以外の成分としては、塩化銅(CuCl)、臭化銅(CuBr)、酢酸銅(Cu(OAc))、アセチルアセトン銅(Cu(C)などのCuO以外の銅化合物、シリカ、アルミナ、クロミア、酸化亜鉛などを挙げることができる。中でもアルミナ、クロミアが好ましい。
固体触媒は、水素ガスなどによって還元してから使用することができる。還元操作は、反応系外で別途実施してもよいし、反応系内で実施してもよい。
第二の態様において、工程(a)の環化脱水素反応は、180〜280℃の温度で行われ、好ましくは200〜260℃である。
工程(a)における、その他の条件(反応装置への1,5−ペンタンジオールの供給の仕方、供給量、1,5−ペンタンジオールの環化脱水素反応を実施する圧力など)は、第一の態様の記載が適用される。
工程(b)は、反応液からδ−バレロラクトンを蒸留回収する工程であり、蒸留回収の条件(缶液温度、圧力など)に関しては、第一の態様の記載が適用される。
以下に本発明を実施例によって説明する。ただし、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
昇温脱離分析:測定にはQUANTACHROME製のオートソーブ-1-C/VP/TCD/MSを使用した。脱離してくるNHは質量分析計(プリズマ QMS200F2型)によって検出した。具体的な操作は、以下のとおりである。
触媒を化学吸着量測定用セルに入れ、He流通中、240℃にて乾燥処理した後、さらに、流通ガスをHに切り替え、1時間処理した。次に、He流通下で100℃まで降温した後、5%のNHを含有したHeを流通させ、NHを吸着させた。その後、100℃のままで水蒸気を導入し水素結合で吸着されたNHを取り除いた。さらにHe流通条件で1時間以上保持し、セルを通過して出てくるガスの質量分析計による観察状況(m/z=16に着目)が安定した後、同じくHe流通条件にて、100℃から700℃(5℃/分)まで昇温したときに出てくるNHガスを、質量分析計を用いて測定した。
反応液中のδ−バレロラクトン等の量の測定:反応液中の生成物や未反応原料の分析は島津製作所製GC−8A(FID検出器)を用いて行った。使用したカラムはInertcapWAX(0.53mm×60m)である。
<実施例1>
[δ−バレロラクトン合成]
目皿付きの石英製反応管に、CuO/Al触媒(CuO濃度:55.1質量%)を充填した。昇温脱離分析によって測定される本触媒の重量当りのNH吸着量は232μmol/gであった。熱電対保護管を触媒に接触するように挿入した後、反応管に電気炉を取り付けた。キャリアガスとして水素をGHSV4.4×10−1の条件で反応管内に流通させ、0.5時間保持して反応管内の雰囲気を置換した。次に、水素を流通させたまま、前記の熱電対保護管に熱電対を挿入し、この熱電対による制御温度を260℃に設定して反応系を加熱した。260℃にて1時間保持し触媒の前処理を行った後、この温度のままで1,5−ペンタンジオール(以下、PDL)をLHSV3.9h−1の条件で反応管に供給し、気化及びキャリアガスと混合した後触媒と接触させ反応を実施した。触媒層を通過した混合ガスは氷冷トラップにより回収した。このトラップを1時間毎に交換して回収液のGC分析を行った。反応を開始してから5時間目の回収液を分析したところ、PDL転化率99.3%、δ−バレロラクトン(以下、DVL)選択率98.4%であった。また、副生物として、ジヒドロピラン(以下、DHP)、テトラヒドロピラン(以下、THP)、吉草酸(以下、PA)がそれぞれ選択率0.2、0.2、0.5%で検出された。反応液中の水分は0.10質量%であり、反応液に含有されるDVLのモル量に対するカルボキシル基及び水酸基のモル量の合計値の比率rは0.03であった。
[DVL蒸留回収]
次に、前記の気相合成で得られた反応液200.4gを、規則充填物(スルーザーパッキンEX)5個を詰めた蒸留塔を用い、圧力16−18mmHgにて減圧蒸留を行った。蒸留初期に1時間全還流を行った後、還流比3でDVLを留出させた。全還流及び留出操作中の缶液温度は112−117℃、塔頂温度は102−113℃の範囲であった。本蒸留操作によって得られたDVLのGC分析による純度は99.5%、仕込んだ反応液の重量を基準とする回収率は86%であった。蒸留後に缶液部に残留した液は褐色に着色していたが、その85.6%がDVLであった。
<実施例2>
[DVL合成]
実施例1と同じ触媒を用い、触媒の前処理温度及び反応温度をいずれも200℃としたこと、反応の際のキャリアガスを窒素としGHSV2.2×10−1の条件で流通させたこと、PDLを反応管に供給する際のLHSVを0.5h−1としたことのほかは、実施例1と同様の操作によって、気相法によるPDLからのDVL合成を実施した。反応を開始してから5時間目の回収液をGC分析したところ、PDL転化率100%、DVL選択率98.7%であった。また、副生物として、DHP及びTHPがそれぞれ選択率0.2及び0.3%で検出された。一方、PAは検出されなかった。反応液中の水分は0.11質量%であり、反応液に含有されるDVLのモル量に対するカルボキシル基及び水酸基のモル量の合計値の比率rは0.01であった。
[DVL蒸留回収]
次に、前記の気相合成で得られた反応液199.5gを、規則充填物(スルーザーパッキンEX)5個を詰めた蒸留塔を用い、圧力16−18mmHgにて減圧蒸留を行った。蒸留初期に1時間全還流を行った後、還流比3でDVLを留出させた。全還流及び留出操作中の缶液温度は112−117℃、塔頂温度は102−113℃の範囲であった。本蒸留操作によって得られたDVLのGC分析による純度は99.6%、仕込んだ反応液の重量を基準とする回収率は88%であった。蒸留後に缶液部に残留した液は褐色に着色していたが、その90.6%がDVLであった。
<比較例1>
[DVL合成]
実施例1と同じ触媒を用い、触媒の前処理温度及び反応温度をいずれも300℃に変更したほかは、実施例と同様の操作によって、気相法によるPDLからのDVL合成を実施した。反応を開始してから5時間目の回収液をGC分析したところ、PDL転化率98.5%、DVL選択率95.3%であった。また、副生物として、DHP及びTHPがいずれも選択率0.6%で検出された。PAの選択率は2.0%であった。反応液中の水分は0.27質量%であり、反応液に含有されるDVLのモル量に対するカルボキシル基及び水酸基のモル量の合計値の比率rは0.07であった。
[DVL蒸留回収]
次に、前記の気相合成で得られた反応液193.0gを収集し、規則充填物(スルーザーパッキンEX)5個を詰めた蒸留塔を用い、圧力16−17mmHgにて減圧蒸留を行った。蒸留初期に1時間全還流を行った後、還流比3でDVLを留出させた。全還流及び留出操作中の缶液温度は109−114℃、塔頂温度は104−111℃の範囲であった。留出したDVLの純度は98.7%であったが、蒸留操作の途中で缶液部に試料が充分残存しているにもかかわらずDVLが留出しなくなってしまい、仕込んだ反応液の重量を基準とする回収率は46%と低いものであった。蒸留後に缶液部に残留した液は褐色に着色しており、粘度が高く流動性の低い状態であった。
<実施例3>
[DVL合成]
触媒をCuO/Cr触媒(CuO濃度:44.9質量%)に変更したほかは、実施例1と同様の操作によって気相法によるPDLからのDVL合成を実施した。昇温脱離分析によって測定される本触媒の重量当りのNH吸着量は161μmol/gであった。反応を開始してから5時間目の回収液をGC分析したところ、PDL転化率99.0%、DVL選択率97.6%であった。また、副生物として、DHP及びTHPがそれぞれ選択率0.1及び0.9%で検出された。PAの選択率は0.4%であった。反応液中の水分は0.20質量%であり、反応液に含有されるDVLのモル量に対するカルボキシル基及び水酸基のモル量の合計値の比率rは0.04であった。
[DVL蒸留回収]
次に、前記の気相合成で得られた反応液201.1gを、規則充填物(スルーザーパッキンEX)5個を詰めた蒸留塔を用い、圧力15−18mmHgにて減圧蒸留を行った。蒸留初期に1時間全還流を行った後、還流比3でDVLを留出させた。全還流及び留出操作中の缶液温度は110−118℃、塔頂温度は105−108℃の範囲であった。本蒸留操作によって得られたDVLのGC分析による純度は99.2%、仕込んだ反応液の重量を基準とする回収率は86%であった。蒸留後に缶液部に残留した液は褐色に着色していたが、その83.5%がDVLであった。
<比較例2>
[DVL合成]
触媒をCuO/ZnO触媒(CuO濃度:48.7質量%)に変更したほかは、実施例1と同様の操作によって気相法によるPDLからのDVL合成を実施した。昇温脱離分析によって測定される本触媒の重量当りのNH吸着量は28μmol/gであった。反応を開始してから5時間目の回収液をGC分析したところ、PDL転化率82.3%、DVL選択率93.1%であった。また、副生物として、DHPが選択率0.4%で検出された。反応液中の水分は0.09質量%であり、反応液に含有されるDVLのモル量に対するカルボキシル基及び水酸基のモル量の合計値の比率rは0.47であった。
[DVL蒸留回収]
次に、前記の気相合成で得られた反応液170.8gを収集し、規則充填物(スルーザーパッキンEX)5個を詰めた蒸留塔を用い、圧力15−16mmHgにて減圧蒸留を行った。蒸留初期に1時間全還流を行った後、還流比3でDVLを留出させた。全還流及び留出操作中の缶液温度は110−113℃、塔頂温度は104−111℃の範囲であった。留出したDVLの純度は98.9%であったが、蒸留操作の途中で缶液部に試料が充分残存しているにもかかわらずDVLが留出しなくなってしまい、仕込んだ反応液の重量を基準とする回収率は34%と低いものであった。蒸留後に缶液部に残留した液は褐色に着色しており、粘度が高く流動性の低い状態であった。
<比較例3>
[DVL合成]
触媒をCuO/SiO触媒(CuO濃度:33.5質量%)に変更したこと、及び触媒の前処理温度及び反応温度をいずれも240℃としたことのほかは、実施例1と同様の操作によって気相法によるPDLからのDVL合成を実施した。昇温脱離分析によって測定される本触媒の重量当りのNH吸着量は215μmol/gであった。反応を開始してから5時間目の回収液をGC分析したところ、PDL転化率79.9%でありDVL選択率は31.0%と低かった。副生物として、DHP及びTHPがそれぞれ選択率63.2及び0.8%で検出された。DHPやTHPなどの副生に伴い大量の水が生成しており反応液は二相に分離した。
δ−バレロラクトンは様々な化学製品の原料として有用であり、その効率的かつ容易な製造方法に関する本発明は、産業上の有用性が高い。

Claims (2)

  1. (a)気相法により1,5−ペンタンジオールを環化脱水素反応させて、δ−バレロラクトンを含有する反応液を得る工程;及び
    (b)得られた反応液を蒸留して、δ−バレロラクトンを回収する工程
    を含む、δ−バレロラクトンの製造方法であって、
    工程(a)の環化脱水素反応を、CuOの担持量が35〜65質量%であり、かつ
    昇温脱離分析によって測定されるNH吸着量が150〜250μmol/gである固体触媒を用いて、180〜280℃の温度で行うことを特徴とする、
    δ−バレロラクトンの製造方法。
  2. 工程(b)を、缶液温度100〜170℃で行う、請求項に記載のδ−バレロラクトンの製造方法。
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