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JP5641260B2 - 熱防御複合材の製造方法および熱防御複合材 - Google Patents

熱防御複合材の製造方法および熱防御複合材 Download PDF

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Description

本発明は、アブレータ型の熱防御複合材の製造方法およびこの製造方法により得られる熱防御複合材に関し、特に、大型の熱防御複合材を容易に製造することが可能な製造方法と、この製造方法により得られる熱防御複合材に関する。
宇宙開発における特に重要な技術の一つに、宇宙から地球等の惑星の大気圏に回収カプセルまたは宇宙機を突入させて地上に到達させる回収システムが挙げられる。この回収システムに用いられる回収カプセルまたは惑星突入機等の宇宙機には、大気圏への突入時における空力加熱環境に耐え得ることが求められる。そのため、これらの外表面は熱防御材で覆われている。
代表的な熱防御材の一つとしてはアブレータが知られている。アブレータは、繊維強化樹脂製であって、回収カプセルの熱防御材として採用されることが多い。
回収カプセルが大気圏に突入すると、空力加熱によりアブレータの表面側から熱を吸収しながら熱分解が生じる。この熱分解が表面から内側に徐々に進行すると、最表面は完全に熱分解して炭化するが、内側の熱分解部分で分解ガスが発生する。この分解ガスは内側からアブレータ自身から熱を奪いつつ表面に向かって噴出し、アブレータと高温の空気との間に位置して熱を遮るように機能する。しかもアブレータそのものの熱伝導率も低いため、分解ガスだけでなくアブレータ自身によっても断熱効果が得られる。
このようなアブレータ型の熱防御複合材に関しては、従来からさまざまな技術が提案されている。例えば、特許文献1に開示される熱防御複合材の製造方法では、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させてなる複合材料シートを複数枚積層して積層体を形成し、この積層体をホットプレスまたは電気炉により加熱および加圧しながら一体成形することで、熱防御複合材としての積層型アブレータを得ている。
特開2010−23240号公報
特許文献1に開示される製造方法によれば、応力破断の問題が発生しにくく、かつ超軽量であって、優れた耐熱性能を達成することができる積層型アブレータを簡便な手法で製造することができ、特に、比較的小さな面積の積層型アブレータの製造に適したものとなっている。しかしながら、特許文献1に開示される製造方法は、一体成形にホットプレスまたは電気炉を用いているため、比較的大きな面積の積層型アブレータを製造することには十分対応できていない。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、従来よりも大きい面積の積層型アブレータを、優れた軽量性および耐熱性を損なうことなく容易に製造することを目的とする。
本発明に係る熱防御複合材の製造方法は、前記の課題を解決するために、密度が1.0g/cm 3 以下である熱防御複合材の製造方法であって、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させてなる複合材料シートを複数枚積層して積層体を形成し、前記積層体に板状の成形用治具を重ねて取り付けてから、前記積層体の厚さを調整し、厚さ調整の後、前記積層体をオートクレーブにより加熱および加圧することにより、複数枚の前記複合材料シートを一体成形して熱防御複合材を得る構成である。
前記構成によれば、板状の成形用治具を積層体に重ねて厚さを調整してからオートクレーブで一体成形を行うので、好適な厚さの積層体を成形用治具で均一に加圧しながら加熱することになる。その結果、積層体の各層間が十分結合され、軽量で優れた耐熱性を有する大型の熱防御複合材を製造することができる。
前記構成の熱防御複合材の製造方法においては、前記熱防御複合材は、大気圏突入時に空力加熱による熱分解するものであればよい。また、前記成形用治具は、オートクレーブ中の加圧力により可逆的に変形可能な柔軟性を有し、前記積層体の上面に載置される載置側治具本体と、前記積層体を支持する底側治具本体と、から構成される一対の板状の治具本体と、これら治具本体を固定するとともに間隔を調整可能とする治具固定部材と、を備え、前記積層体の厚さの調整は、前記載置側治具本体を前記積層体の上面に載置するとともに、前記積層体の下面に前記底側治具本体を配置して取り付けた後、これら治具本体の間隔を前記治具固定部材で調整して固定することによって行われ、複数枚の前記複合材料シートの一体成形は、厚さ調整の後、前記積層体をオートクレーブにより加熱および加圧することにより、オートクレーブの加圧力を前記載置側治具本体から前記積層体に加えることによって行われる構成であってもよい。
また、前記構成の熱防御複合材の製造方法においては、前記強化繊維はフェルト状であってもよい。
また、本発明に係る熱防御複合材は、前記構成の製造方法により製造されるものであればよい。

本発明では、以上の構成により、従来よりも大きい面積の積層型アブレータを、優れた軽量性および耐熱性を損なうことなく容易に製造することができる、という効果を奏する。
本発明の実施の形態に係る熱防御複合材の製造方法の一例を示す概略工程図である。 (a)は、図1に示す熱防御複合材の製造方法において、積層体に成形用治具を取り付けた状態の一例を示す模式的側面図であり、(b)は、(a)に示す、成形用治具が取り付けられた積層体をオートクレーブで成形している状態を示す模式図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
図1に示すように、本実施の形態に係る熱防御複合材の製造方法は、基本的に5工程で構成されている。なお、図1に示す製造方法は、飽くまで概略的なものであって、これら以外の公知の工程を含んでよいことはいうまでもなく、また、5工程のうち一部の工程が実質的に同時に行われて1工程となっていてもよい。
また、本実施の形態で得られる熱防御複合材は積層型アブレータ10であるが、図1においては、得られる積層型アブレータ10、あるいは積層型アブレータ10となる前の中間体である積層体20あるいは複合材料シート30、材料である熱硬化性樹脂31およびフェルト状強化繊維32については、各工程と区別するために楕円で模式的に示している。
[複合材料シートの形成]
本実施の形態に係る製造方法では、まず、強化繊維としてフェルト状強化繊維32を用い、これに熱硬化性樹脂31を含浸させて複合材料シート30を形成する(工程P01)。
熱硬化性樹脂31としては、具体的には、例えば、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、等が挙げられる。これら具体的な樹脂は単独で用いられてもよいし、複数種類が適宜組み合わせられて用いられてもよい。
また、前記の具体的な樹脂の化学構造も特に限定されず、公知の種々のモノマーが重合されたポリマーであってもよいし、複数のモノマーが重合されたコポリマーであってもよい。また、平均分子量、主鎖および側鎖の構造等についても特に限定されない。さらに、熱硬化性樹脂31には、硬化剤、硬化促進剤、強化繊維以外の補強材、充填材、含浸効率を向上させるための希釈剤、その他公知の添加剤、あるいは熱硬化性樹脂31以外の熱可塑性樹脂等を含んでいる樹脂組成物であってもよい。
本実施の形態では、強化繊維としてフェルト(不織布)を用いているが、強化繊維の具体的な種類はフェルトにのみ限定されず、織物、編物、組物等の布状体として構成されてもよいし、これら布状体ではなく、長繊維または短繊維のままで用いられてもよい。また、強化繊維が布状体であるとき、その厚さについても特に限定されず、複合材料シート30の厚さと後述する積層体20の厚さの調整を考慮して適宜好ましい厚さに設定すればよい。
強化繊維に用いられる繊維材料としては特に限定されず、アブレータとして使用可能な繊維であればよい。具体的には、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、シリカ繊維(石英繊維)、炭化ケイ素(SiC)繊維、ボロン繊維等の無機系繊維材料、あるいは、アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維等の有機系繊維材料が挙げられる。これら繊維材料は、単一種類のみが用いられてもよいし、無機系および有機系に関わらず2種類以上が適宜組み合わせられ用いられてもよい。
フェルト状強化繊維32(あるいは他の構成の強化繊維)に熱硬化性樹脂31を含浸させる方法は特に限定されず、溶液含浸法、加圧含浸法、真空含浸法等の公知の方法を好適に用いることができる。また、含浸時の種々の条件も特に限定されず、複合材料シート30の大きさ、フェルト状強化繊維32の厚み、熱硬化性樹脂31の流動性、含浸効率等を考慮して様々な条件に設定することができる。また、強化繊維に対する熱硬化性樹脂31の含浸量も特に限定されず、例えば積層型アブレータ10の密度等を考慮して好適な量に適宜設定すればよい。
なお、得られた複合材料シート30は、そのまま用いることもできるが、ハンドリング性を向上させる観点から、熱硬化性樹脂31の種類に応じて公知の方法で半硬化状態(Bステージ化)したプリプレグとして用いることもできる。
[積層体の形成]
次に、本実施の形態に係る製造方法では、得られた複合材料シート30を複数枚積層して積層体20を形成する(工程P02)。
複合材料シート30の積層枚数は特に限定されず、積層型アブレータ10の所望の厚さに合わせて適宜決定することができる。一般的には、2〜数十枚の範囲内であればよい。なお、複合材料シート30の積層枚数が少なすぎると、熱硬化性樹脂31の含浸量、積層体20の厚さ(すなわち積層型アブレータ10の厚さ)、積層型アブレータ10の密度等の条件を調整しにくくなる場合があり、また、積層枚数が多すぎても製造工程が煩雑化するおそれがある。そこで、一般的には、3〜20枚程度の範囲内とすることが好ましい。
ここで、積層体20は、全て同一の複合材料シート30を積層して形成されてもよいが、積層型アブレータ10の形状等に応じて、異なる種類のものを積層することで形成されてもよい。すなわち、積層体20を構成する複数の複合材料シート30は、全て同一種類であってもよいし、異なる厚さ、異なる面積、異なる形状、あるいは異なる含浸量を有する複数種類の組合せであってもよい。
[成形用治具の取り付けと厚さ調整]
次に、本実施の形態に係る製造方法では、形成された積層体20に板状の成形用治具を重ねて取り付けてから、その厚さを調整する(工程P03)。
本実施の形態に用いられる成形用治具の具体的な構成は特に限定されないが、図2(a)に示すように、一対の板状の治具本体41,42と、これらを固定する複数の治具固定部材43と、から構成され、治具本体41,42の間に積層体20を挟んで支持するオートクレーブ用治具セット40を挙げることができる。なお、図2(a)では、積層体20が複数の複合材料シート30で構成されていることを示すために、一枚の複合材料シート30を破線で囲んで示している。この点は図2(b)も同様である。
板状の治具本体41,42のうちの一方は、積層体20の上面に載置される載置側治具本体41であり、他方は、自身の表面に積層体20を載置する底側治具本体42である。これら治具本体41,42の具体的な構成は特に限定されず、オートクレーブに耐久性を有する各種金属材料からなり、積層体20よりも大きな面積となっていればよい。
ここで、載置側治具本体41は、オートクレーブ中の加圧力により可逆的に変形可能な柔軟性を有していることが好ましく、底側治具本体42は、表面に積層体20を載置した状態で当該積層体20を安定して保持できる程度の剛性を有していることが好ましい。載置側治具本体41が柔軟性を有することで、積層体20全体に良好に加圧力を伝達することができ、底側治具本体42が剛性を有していることで、オートクレーブ中に上面から加圧される積層体20を良好に支持することができる。なお、具体的な柔軟性または剛性の条件については特に限定されず、オートクレーブの条件、積層体20の重量等の諸条件に応じて適宜設定することができる。
治具固定部材43は、載置側治具本体41と底側治具本体42との間に積層体20を挟んだ状態で、これら治具本体41,42を固定するとともに、積層体20の厚さTを調整できるように治具本体41,42の間隔を狭めたり広げたりできるものであればよい。本実施の形態では、ボルト−ナットにより構成されているが、クランプ等の公知の他の構成であってもよい。
積層体20の成形用治具(オートクレーブ用治具セット40)の取り付けは、底側治具本体42の表面(上面)で複合材料シート30を積層して積層体20を形成し、その上に載置側治具本体41を載置することで、治具本体41,42の間に積層体20を挟み込み、周囲を複数の治具固定部材43で固定することで行われる。また、オートクレーブ用治具セット40による積層体20の厚さTの調整は、複数の治具固定部材43による締め付け(載置側治具本体41による積層体20の押さえつけ)の程度を適宜調整することにより、行われる。
なお、積層体20の厚さTの調整の程度は特に限定されず、積層型アブレータ10の所望の厚さ、オートクレーブによる加熱または加圧条件等に応じて、適宜積層体20の厚さTの調整度合いを設定することができる。
また、本実施の形態で用いられる成形用治具の具体的な構成は、オートクレーブ用治具セット40に限定されず、積層体20を安定して支持可能であり、かつ、積層体20の厚さ調整が可能である板状のものを含んでいれば、公知の種々の構成を採用することができる。
[オートクレーブによる成形]
次に、本実施の形態に係る製造方法では、厚さ調整の後、積層体20をオートクレーブ用治具セット40(成形用治具)とともにオートクレーブにより加熱および加圧する(工程P04)。
特許文献1に開示される製造方法が完成した時点では、当該特許文献1に記載しているように、オートクレーブ内での加熱による一体成形では、得られる熱防御複合材(積層型アブレータ)の各層間の結合力が十分ではなく、熱防御複合材(積層型アブレータ)としての強度が十分なレベルに達しないことが明らかとなっていた。
しかしながら、本願発明者らによってさらなる鋭意検討が行われた結果、オートクレーブによる一体成形であっても、前述したオートクレーブ用治具セット40のような板状の成形用治具を用いることで、積層体20の良好な一体成形が可能となり、さらにはホットプレス等を用いる製造方法と比較してより一層大きな面積の積層型アブレータを製造可能であることが明らかになった。
具体的には、図2(a),(b)に示すように、積層体20は、治具本体41,42の間に挟み込んで支持されているが、図2(b)に示すように、積層体20およびオートクレーブ用治具セット40を、加圧バッグ・フィルム44内に入れることで覆った上で、オートクレーブ装置50内に収容してオートクレーブを行う。オートクレーブ50には、加圧ライン51および排気ライン52が設けられており、ブロック矢印Linで示すように加圧ライン51により内部が加圧され、ブロック矢印Lout で示すように排気ライン52から外部へ排気される。これにより、ブロック矢印Pで示すように、載置側治具本体41に対して全体的に均一に圧力が加えられる。
載置側治具本体41と底側治具本体42とは治具固定部材43によって固定されているので、治具本体41,42の間隔は広がることはできないが狭めることは可能となっている。そして、治具本体41,42の間に支持される積層体20は、治具固定部材43によって予め厚さが調整されている。それゆえ、オートクレーブ中には、好適な厚さに調整された積層体20の上面に対して、載置側治具本体41を介して加圧力が概略均一に加えられることになり、その結果、各層間が十分結合するように積層体20が一体成形されることになる。
さらに、本実施の形態では、前述したように載置側治具本体41が良好な柔軟性を有し、底側治具本体42が良好な剛性を有しているので、積層体20は、その下面側が底側治具本体42により良好に支持された上で、その上面側が載置側治具本体41により均一に押圧されることになる。その結果、各層が十分に結合されるだけでなく、全体的に均一に加圧および加熱がなされることになるので、得られる積層型アブレータ10が大面積のものであっても、熱防御複合材として良好な品質が全体的に実現されることになる。
なお、オートクレーブを行う際の条件は特に限定されない。代表的な条件である圧力および温度は経時的に変化するが、圧力の経時的変化は積層型アブレータ10の所望の密度に合わせて調整すればよく、温度の経時的変化は、使用する熱硬化性樹脂31の性質を考慮して調整すればよい。また、これら以外の条件(例えばオートクレーブ時間等)も種々の条件に応じて適宜設定または調整すればよく、オートクレーブ装置50としても公知のものを好適に用いることができる。
[得られる熱防御複合材]
次に、本実施の形態に係る製造方法では、オートクレーブが終了した後、一体成形された積層体20からオートクレーブ用治具セット40(成形用治具)を取り外す(工程P05)。これにより加熱硬化した積層体20、すなわち熱防御複合材として積層型アブレータ10が製造される。
得られる積層型アブレータ10は、その密度が1.0g/cm3 以下とすることができるとともに、密度のばらつきも大幅に低減することができる。したがって、得られる積層型アブレータ10は、従来の超軽量アブレータの代表例であるPICA(Phenolic Impregnated Carbon Ablator)と同程度の密度および熱伝導率を実現できるとともに、耐表面損耗性能においてはPICAよりも優れたものとすることができる。また、得られる積層型アブレータ10は、積層型の熱防御複合材でありながら、オートクレーブにより各層が十分に結合しているため、層間剥離が発生することなく良好な強度を実現することができる。
さらに、オートクレーブ装置50に収容可能な寸法の積層型アブレータ10を製造することができるので、特許文献1に開示される製造方法と比較しても大面積の熱防御複合材を製造することができる。それゆえ、比較的面積の小さい積層型アブレータは特許文献1に開示の製造方法で製造し、比較的面積の大きい積層型アブレータは本実施の形態に係る製造方法で製造するという棲み分けも可能となる。
本実施の形態に係る積層型アブレータ10は、大気圏突入を伴う宇宙開発の分野に広く好適に用いることができる。代表的には、惑星突入機等の宇宙機あるいは回収カプセルの外面の熱防御材、ロケット等のフェアリング材あるいは推進系ノズル等の被覆材等として用いることができる。
本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者は本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更、修正、および改変を行うことができる。
(実施例)
厚さ5mmの炭素繊維フェルトを縦500mm横500mmの寸法で切り出した。切り出したフェルト状の炭素繊維を、フェノール樹脂に含浸した。これにより複合材料シート30を得た。
得られた複合材料シート30を底側治具本体42上で積層して積層体20を形成し、さらにその上に載置側治具本体41を載置して、治具固定部材43により治具本体41,42を固定するとともに積層体20の厚さTを調整した。
その後、オートクレーブにより積層体20を加熱および加圧することにより、積層体20を一体成形した。このときの加熱条件は、温度を90〜180℃の範囲で段階的に昇温するとともに、加熱継続時間を約4時間とし、また、このときの加圧条件は、1.38気圧とした。これにより、500mm×500mm×50mmの寸法の積層型アブレータ10を得た。
(比較例)
ホットプレスによる加熱および加圧を採用し、ホットプレス装置に合わせた寸法の炭素繊維フェルト状を用いた以外は、前記実施例と同様にして、160mm×160mm×40mmの寸法の比較アブレータを得た。
実施例の積層型アブレータ10は、比較例の比較アブレータと比べてより大面積で厚さも大きくなっているが、その密度はいずれも約0.3g/cm3 程度であり、耐熱性、熱特性および強度特性等もそれぞれ同等であった。また、比較アブレータの面内方向の密度ばらつきが7%程度であったのに対して、実施例の積層型アブレータ10の密度ばらつきは3%程度となり、大面積であるにも関わらず密度の均一性が高いことも明らかとなった。
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明によれば、軽量で良好な耐熱特性を有する熱防御複合材を得ることができ、しかも、大面積の熱防御複合材も容易に製造することができるため、大気圏突入を伴う宇宙開発の分野に広く好適に用いることができる。
10 積層型アブレータ(熱防御複合材)
20 積層体
30 複合材料シート
31 熱硬化性樹脂
32 フェルト状強化繊維(強化繊維)
40 オートクレーブ用治具セット
41 載置側治具本体(成形用治具)
42 底側治具本体(成形用治具)
43 治具固定部材
44 加圧バッグ・フィルム
50 オートクレーブ装置
51 加圧ライン
52 排気ライン

Claims (5)

  1. 密度が1.0g/cm 3 以下である熱防御複合材の製造方法であって、
    強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させてなる複合材料シートを複数枚積層して積層体を形成し、
    前記積層体に板状の成形用治具を重ねて取り付けてから、前記積層体の厚さを調整し、
    厚さ調整の後、前記積層体をオートクレーブにより加熱および加圧することにより、
    複数枚の前記複合材料シートを一体成形して熱防御複合材を得ることを特徴とする、
    熱防御複合材の製造方法。
  2. 前記熱防御複合材は、大気圏突入時に空力加熱による熱分解するものであることを特徴とする、
    請求項1に記載の熱防御複合材の製造方法。
  3. 前記成形用治具は、オートクレーブ中の加圧力により可逆的に変形可能な柔軟性を有し、前記積層体の上面に載置される載置側治具本体と、前記積層体を支持する底側治具本体と、から構成される一対の板状の治具本体と、これら治具本体を固定するとともに間隔を調整可能とする治具固定部材と、を備え、
    前記積層体の厚さの調整は、前記載置側治具本体を前記積層体の上面に載置するとともに、前記積層体の下面に前記底側治具本体を配置して取り付けた後、これら治具本体の間隔を前記治具固定部材で調整して固定することによって行われ、
    複数枚の前記複合材料シートの一体成形は、厚さ調整の後、前記積層体をオートクレーブにより加熱および加圧することにより、オートクレーブの加圧力を前記載置側治具本体から前記積層体に加えることによって行われることを特徴とする、
    請求項1または2に記載の熱防御複合材の製造方法。
  4. 前記強化繊維はフェルト状であることを特徴とする、
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載の熱防御複合材の製造方法。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の製造方法により製造されることを特徴とする、熱防御複合材。
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