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JP5636857B2 - 生体組織接着用柔軟性金属箔テープ及びその接着方法 - Google Patents

生体組織接着用柔軟性金属箔テープ及びその接着方法 Download PDF

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Description

本発明は、生体組織の疾患部又は損傷部を治療するために使用され、生体組織と接着可能で、且つ、生体組織との接着性を従来の医療冶具(ステント、ステントグラフト等)よりも大幅に向上させた生体組織接着用柔軟性金属箔テープ及びその接着方法に関する。
狭窄は欠陥の一部が収縮する疾患であり、狭窄の治療にはステントによる血管拡張術が用いられる。また、大動脈瘤は血管の一部が拡大する疾患であり、大動脈瘤の治療にはステンドグラント内挿術が用いられる。ステント及びステントグラントを用いた治療法は、人工血管置換術のように開胸する必要がないため非常に低侵襲である。
このようなステント又はステントグラントは、形状や成形加工法を最適化したものだけではなく、金属製ステントの表面に治療用薬剤を保持したポリマーで被覆されたもの、又は生体適合性、特に抗血栓性に優れる皮膜を基材表面に形成したものが知られている。特許文献1〜2には、金属製ステントの表面に治療用薬剤を保持したポリマーで被覆されたステントが開示されており、前記の特許文献2にはステント基材である金属とポリマー被覆材との接着性を向上させる方法が記載されている。また、特許文献3〜7には、抗血栓性を優れるステントとして、四フッ化エチレン等のポリマーで被覆されたものやダイヤモンドライクカーボンで表面処理されたものが開示されている。さらに、前記の特許文献5〜7には、ダイヤモンドライクカーボンがステント基材から剥離するのを防止するための様々な表面処理技術が提案されている。
しかしながら、従来のステント又はステントグラントは、生体組織(例えば血管等)に存在する疾患部又は損傷部を治療する際に縫合や貼り合わせ等を行ったりするためのものではなく、生体組織への接着性は考慮されておらず、十分な接着性を有するものではない。そのため、従来のステント又はステントグラントを縫合等に使用した場合には、動脈との不完全な接着から生じる動脈瘤内への血液の漏れ(エンドリーク)、血流による設置場所からの逸脱等が生じるという問題がある。前記の特許文献5〜7に開示されている技術は、ステント基材からのダイヤモンドライクカーボンの剥離を抑制するためのものであって、生体組織との接着性については記載や示唆や何等されておらず、その効果は全く不明である。
そのため、医療機器の分野において生体組織に強固に接着可能なステントが強く求められている。特許文献8には、金属基材上に生体組織と接着できる有機材料(例えば湿潤コラーゲン、ポリウレタン、ビニロン、ゼラチン又はこれらの複合材料)をコーティングしたステントが開示されている。また、生体適合性のある物質を表面に有する基材として、特許文献9及び10に示されるように、基材上に酸化チタンを表面コーティングした細胞接着性基材及びリン酸カルシウム又は酸化チタンと基材とが化学結合してなる複合体の少なくとも一部が、さらに、軟組織に対して親和性を有する軟組織親和性向上物質で被覆されたハイブリッド複合体がそれぞれ知られている。
特開2005−65981号公報 特開2007−236399号公報 特開平7−24072号公報 特開2005−40219号公報 特開2006−521号公報 特開平11−313884号公報 特開2001−29447号公報 特開2007―229271号公報 特開2002−253204号公報 特開2006−130007号公報
しかしながら、特許文献8に記載のステントは生体組織との接着性を容易に高めることができるものの、基材表面に有機物がコーティングされているため、高温、超音波振動又は高圧での接着時に、前記の有機物の溶融や流動及び厚さの変動によってステントが生体組織に対してずれ易いという問題が残されていた。また、生体組織とステント基材との間に前記の有機物が介在するため、熱伝導、振動の伝達性又は加圧性の点で、接着装置の細かな調整や条件設定が必要となるため、接着作業に熟練を要する場合があった。特許文献10に開示されているハイブリッド複合体にも、軟組織親和性向上物質の存在のために、同じ問題が発生する。
また、特許文献9に記載の基材上に酸化チタンを表面コーティングした細胞接着性基材は、コート膜が基材であるガラス表面から容易に剥離する問題を解決するための技術であり、生体組織との接着性については記載や示唆が何等されておらず、生体組織の縫合や貼り合わせに使用するステント材として適用できるものなのか否かが全く不明である。
一方、表面にコーティング膜を有しない金属基材からなるステント材、又は特許文献5〜7に記載のダイヤモンドライクカーボンが被覆されたステント材を用いて、特許文献8に記載されている接着方法に従って、生体組織との接着を行うことが考えられるが、従来から生体組織に対する接着性に対する影響は全く検討されていなかった。そのため、そのような方法による生体組織接着用ステントはほとんど知られていなし、実際の適用もなされていなかった。
本発明は、係る問題を解決するためになされたものであり、生体組織の疾患部又は損傷部を治療するために、熱、振動及び圧力の少なくとも一つを付与して接着を行う際に使用する接着用基材として、生体組織に対してずれることがなく、短時間で効率的な接着を行うことができ、且つ、生体組織に対して従来よりも優れた接着性を有する生体組織接着用柔軟性金属箔テープ及びその接着方法を提供することを目的とする。
本発明者は、生体組織用の接着用基材について、熱、振動及び圧力の少なくとも一つを付与して効率的な接着を行うことができる材質とその性状を鋭意検討した結果、所定の範囲の厚さと表面粗さを有する金属箔を用いることによって上記の課題を解決できることを見出して本発明に到った。
すなわち、本発明の構成は以下の通りである。
(1)本発明は、熱、振動、及び圧力の少なくとも一つを付与することによって生体組織と接着させるために用いられるものであって、厚さが5〜300μmで、前記生体組織との接着面の表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で0.05〜5.0μmである金属箔からなる柔軟性金属箔テープであって、該柔軟性金属箔テープには、複数の空孔が前記生体組織の疾患部又は損傷部と直接接触する部分を避けて設けられており、且つ、前記複数の空孔の全てが前記柔軟性金属箔テープに対して占める面積比は50%以下であることを特徴とする生体組織接着用柔軟性金属箔テープを提供する。
(2)本発明は、前記(1)に記載の生体組織接着用柔軟性金属箔テープにおいて、厚さが10〜100μmで、前記生体組織との接着面の表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で0.07μm以上2.0μm未満である金属箔からなることを特徴とする生体組織接着用柔軟性金属箔テープを提供する。
(3)本発明は、前記(1)又は(2)に記載の生体組織接着用柔軟性金属箔テープにおいて、前記金属箔がステンレス鋼箔又はNiTi合金箔であることを特徴とする生体組織接着用柔軟性金属箔テープを提供する。
(4)本発明は、前記(1)〜(3)の何れかに記載の生体組織接着用柔軟性金属箔テープにおいて、前記生体組織との金属箔の接着表面には、抗血栓性及び/又は高接着性の被膜が表面処理によって形成されていることを特徴とする生体組織接着用柔軟性金属箔テープを提供する。
(5)本発明は、前記(4)に記載の生体組織接着用柔軟性金属箔テープにおいて、前記の被膜がダイヤモンドライクカーボン膜又は酸化チタン膜であることを特徴とする生体組織接着用柔軟性金属箔テープを提供する。
(6)本発明は、前記(5)に記載の生体組織接着用柔軟性金属箔テープにおいて、前記ダイヤモンドライクカーボン膜は、CF4の組成比率を70%以上としたCH4とCF4の混合ガスを用いた高周波プラズマCVD法によって形成されたフッ素含有ダイヤモンドライクカーボン(F−DLC)であることを特徴とする生体組織接着用柔軟性金属箔テープを提供する。
(7)本発明は、前記(4)〜(6)の何れかに記載の生体組織接着用柔軟性金属箔テープにおいて前記金属箔と前記被膜との間には、Si、W、Ti、Cr及びそれらの炭化化合物の何れか一つからなる中間層が形成されたことを特徴とする生体組織接着用柔軟性金属箔テープを提供する。
(8)本発明は、前記(1)〜(7)の何れかに記載の生体組織接着用柔軟性金属箔テープにおいて、該柔軟性金属箔テープは、生体組織を包合できるように、円筒状又は少なくとも一つの開口部を有する袋状に加工されていることを特徴とする生体組織接着用柔軟性金属箔テープを提供する。
本発明によれば、生体組織接着用ステントの材質と構成を、特定の厚さと表面粗さを有する金属箔、特にステンレス鋼箔又はNiTi合金箔の接着テープとすることによって、高い柔軟性を有し生体組織の形状に応じて変形や折り曲げが自由にできると共に、熱、振動及び圧力の少なくとも一つを付与して効率的な接着を行う際に、高い接着力を得ることができる。
また、本発明によれば、金属箔の表面に、抗血栓性及び/又は高接着性の皮膜、特にダイヤモンドライクカーボン又は酸化チタン膜が表面処理によって形成されているために、生体組織への悪影響を抑制できると同時に、接着力を向上することができる。
本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープは、生体組織との積層又は接触を容易にでき、且つ両者の固定を強固にできるような形状に加工されているために、接着時の取り扱い性が容易になると共に、生体組織に対する大幅な接着性の向上を図ることができる。
本発明の実施の形態で使用される生体組織接着用柔軟性金属箔テープと生体組織の接着装置の構成図である。 本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープと人体組織との接着を行う接着装置において、特に接着される試料周辺の構成を示す断面図である。図2の(a)は表面コーティング膜が形成されていない本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープを、図2の(b)は表面コーティング膜が施されて、表面が改質された本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープをそれぞれ示す。 本発明の実施の形態となる生体組織接着用柔軟性金属箔テープと生体組織とをかん子を用いて接着する際の構成を示す断面図である。図3の(a)は表面コーティング膜が形成されていない本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープを、図3の(b)は表面コーティング膜が施されて、表面が改質された本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープをそれぞれ示す。 本発明の別の実施形態である複数の空孔を設けた生体組織接着用金属箔テープの形状を示す図である。 本発明の別の実施形態である各種形状を有する生体組織接着用柔軟性金属箔テープを示す図である。図5の(a)は円筒状のものを、図5の(b)は一つの開口部を有する袋状のものをそれぞれ示す。 CFの割合を変化させて基板にダイヤモンド状炭素(DLC)のコーティングを行ったときのラマンスペクトルである。 CFの割合を変化させたときのC1sのC−C結合ピークを示すX線光電子分光結果である。 CFの割合を変化させたときのF1sのC−F結合ピークを示すX線光電子分光結果である。 フッ素(F)を添加したDLC(F−DLC)及び二酸化チタンで表面コーティングした本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープと血管の接着強度を示す図である。 剥離試験後において、コーティング膜を形成したステンレス鋼箔テープ上に残った血管組織を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果の画像写真である。
本発明は、生体組織接着用柔軟性テープの基材として金属箔を使用する。接着作業は熱、振動及び圧力の少なくとも一つを付与することによって行うために、プラスチック等の有機物からなる基材は、接着作業時に有機物の変形、軟化又は溶融等が起こり、生体組織の縫合箇所からずれ易いという問題が発生する。また、接着基材の厚さも変動しやすいために、接着強度を高めることができるだけの接着厚さを確保できないという問題もある。これは、接着用として一般的に使用される有機物は、ガラス転移温度、融点又は軟化点が150℃以下であるため、加熱によって変形しやすいという性質を有するためである。加えて、弾性率等で定義される硬さ(又は固さ)が金属やセラミック等の無機物と比べて劣るため、超音波等の振動や圧力を付与しても、付与したエネルギーが散失して十分な接着強度を得られない。特に、熱と振動(又は圧力)を同時に付与して接着作業を行う場合には、この影響が顕著になる。一方、セラミックやガラス等の無機物からなる基材は、耐熱性があるだけではなく、振動や圧力の付与時のエネルギー伝達を十分に確保できるために、接着強度を向上させることができる。しかし、これらの無機物は非常に固くて脆いため、厚さを薄くしても柔らかい生体組織に対して形状の追従性が十分に得られず、且つ取扱性にも問題があり、生体組織接着用基材として適用することは難しい。
本発明の生体組織接着用柔軟性テープの基材として使用する金属箔は、箔の形状が得られるものであれば金属の種類は問われない。例えば、鋼、ステンレス鋼、銅、ニッケル、チタニウム、アルミニウム、コバルト、亜鉛、ニッケルチタン合金(NiTi合金)等が挙げられるが、生体組織へ悪影響を与える可能性が少ない金属としては、鋼、ステンレス鋼、ニッケル、チタニウム、アルミニウム又はNiTi合金を使用することができる。それらの中で、加工性に優れ、低コストで、且つ耐腐食性に優れ、生体組織に対する安全性の高いステンレス鋼又はNiTi合金が最も好ましい。
本発明では、生体組織接着用柔軟性テープの基材として使用する金属箔、より好ましいステンレス鋼又はNiTi合金は、その表面に有機物又はセラミックやガラス等の無機物がコーティングされていないものである。表面に有機物をコーティングした金属箔は、熱、振動及び圧力の少なくとも一つを付与して行う接着作業時に、有機物による悪影響を完全に取り除くことができないため、上記で述べたように接着作業が困難となる。また、表面にセラミックやガラス等の無機物をコーティングした金属箔は、柔軟性が劣るだけでなく、接着作業時に金属箔から表面コーティングしたセラミックが剥離しやすく、取扱性に問題がある。しかしながら、後で詳述するように、表面処理によって表面改質を行った金属箔は、接着性や抗血栓性を向上できる場合があり、生体組織接着用柔軟性テープの基材として本発明の効果を奏する上で有効な構成である。
本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープは、生体組織の様々な形状に合わせた後、熱、振動及び圧力の少なくとも一つを付与することによって前記の生体組織を接着させる。そのため、生体組織の形状に合わせることができる程度の柔軟性を有するだけではなく、取扱性に優れるものでなければならない。生体組織接着用柔軟性金属テープが厚くなると、柔軟性が失われ、貼り付けた後の金属箔テープと生体組織の間に空隙が生じやすくなる。前記の空隙が存在すると、熱、振動および圧力の少なくとも一つを付与する時に熱伝導性又は振動伝達性が悪くなったり、均一な加圧が困難となるため、接着作業が難しくなる。また、十分な接着性を得るために、熱、振動又は圧力のエネルギーを必要以上に付加すると、生体組織に大きなダメージを与える場合がある。そのため、本発明の生体組織接着用柔軟性金属テープの厚さは所定の値よりも薄くする必要があるが、逆に、薄すぎると金属箔に折れ/又はしわが入りやすくなり取扱い性が困難となり、最悪の場合は接着作業時に金属箔テープの破損が発生する。また、接着後に生体組織を動かした時に、金属箔テープは強度が無く破損や切断が起きやすくなるため、縫合箇所に悪影響を与える場合がある。したがって、本願発明の生体組織接着用柔軟性金属テープは、厚さを5〜300μm、好ましくは10〜100μmにする必要がある。
本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープは、その表面粗さが生体組織との接着性を高めるために不可欠な因子である。すなわち、該金属箔の表面が鏡面のような平滑である場合は、生体組織との接着に対してアンカー効果が無いために、十分な接着力を得ることができない。また、基材表面が平滑すぎると、接着作業中に生体組織との位置合わせ箇所からずれ易くなるため、基材への仮固定等の処理が必須の工程となり、接着作業が煩雑となる。逆に、表面粗さが大きすぎると、熱、振動及び圧力の少なくとも一つを付与した時に、熱伝導性、振動伝達性又は圧力の均一な加圧性が劣るようになるため、接着力が低下する。加えて、接着作業時の条件設定が非常に難しくなって、効率的な接着ができなくなるという問題がある。
基材の表面粗さを規定する物理量としては、一般的にJIS−B−0601に記載された方法に準拠して測定される算術粗さ(Ra)、最大粗さ(Ry)又は十点平均粗さ(Rz)があるが、本発明では接着性との強い関連性を得ることができる算術粗さ(Ra)を用いて、生体組織接着用柔軟性金属箔テープの表面粗さを規定する。本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープは、表面粗さが算術粗さ(Ra)で0.05〜5.0μmで、より好ましくは0.07μm以上2.0μm未満の範囲である。表面粗さRaが0.05μm未満では、金属箔表面上でのアンカー効果が無いために、生体組織との接着力が十分に得られない。また、表面粗さRaが5.0μmを超えると、熱、振動及び圧力の少なくとも一つによる付与が期待した通りにはできず、接着性の向上を図ることができない。また、熱、振動及び圧力の少なくとも一つによる付与条件を細かく調整しても、これらのエネルギーの付与を接着全面で均一にすることが難しく、生体組織との接着力にバラツキが生じる。
本発明において、生体組織接着用柔軟性金属箔テープの厚さ及び表面粗さRaを、より好ましい範囲である10〜100μm及び0.07μm以上2.0μm未満に設定することによって、必要とされる生体組織の接着用途に対して確実な接着を行うことができるだけではなく、様々な形態を有する生体組織にその用途を広げることができる。
本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープは、表面に生体組織との接着性向上及び/又は抗血栓性付与の機能を有する皮膜を表面処理によって形成することができる。具体的には、ダイヤモンドライクカーボン(Diamond−Like Carbon:DLC)のコーティング膜、又は酸化チタン(TiOx)のコーティング膜である。これらのコーティング膜を有する生体組織接着用柔軟性金属箔テープにおいても、接着性を維持するために、表面粗さ(Ra)は0.05〜5.0μmで、より好ましくは0.07μm以上2.0μm未満の範囲にする必要がある。
ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜は非晶質炭素に含まれるものであり、高硬度、高耐摩耗性、低摩擦係数、絶縁性、高化学安定性、高腐食性、高ガスバリア性、高熱伝導率、高生体親和性、高赤外透過性等の特徴を有している。DLC膜は、電気・電子機器や切削工具、金型、自動車部品、光学部品、医療用基材(人工骨、眼内レンズ等)、ポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルの酸素バリヤ膜等に幅広く利用されており、生体組織に対して抗血栓性付与の機能を有することも知られている。
この非晶質炭素は、添加する(ドープする)元素を含むものと含まないものとがあり、本発明は両者を含む。非晶質炭素に添加する(ドープする)元素としてはSi、Ti、Cr、Al、Fe、Ni、Cu、Ag、Mo、W、F、H、N等がある。
DLCの成膜法としては、アークイオンプレーテイング法やスパッタリング法の物理蒸着法(PVD法)、高周波プラズマCVD法又はイオン化蒸着法等がある。これらの成膜法によって、DLC膜の特性は異なる。本発明では、抗血栓性を高めて生体組織への悪影響を防止するために、より緻密な膜を形成できる方法である高周波プラズマCVD法を使用する。しかし、本発明は高周波プラズマCVD法には限定されず、成膜の各種条件(炭素水素系ガスの流量、圧力、電力等)を最適化することによって、上記で述べた他の成膜法を採用しても良い。
本発明では、接着作業時及び生体組織へ接着後の使用中に、生体組織接着用柔軟性金属箔テープ表面にコーティングされたDLC膜が前記金属箔テープから剥離するのを防止又は抑制する必要がある。剥離の原因はDLC膜が有する内部応力によるためであり、DLC膜の応力制御と低減のための方法としては、生体組織接着用柔軟性金属箔テープの金属箔基材と表面コーティングされたDLC膜との境界に中間層を形成しても良い。この中間層によってDLC膜を形成する時に発生しやすい高い内部応力を緩和させることができるため、基材とDLC膜との間の密着力が向上する。この中間層の材料には、Si、W、Ti、C及びその炭化化合物が用いられる。
DLC膜の内部応力を意図的に緩和する別の方法としては、DLC膜への他の元素の添加が有効である。本発明では、DLC膜への内部応力を減少させてDLC膜の剥離を抑制するために、上記で述べた添加する(ドープする)元素の中で、フッ素(F)を添加したDLC膜(F−DLC)を用いる。フッ素(F)を添加したDLC膜(F−DLC)は、従来のDLCよりも膜の応力が下がるだけではなく軟性化するため、金属箔テープの金属箔基材への密着性と追従性が向上する。
このF−DLC膜は、DLC膜の剥離を防止できるだけではなく、フッ素元素の添加量を調整することによって生体組織との接着性を高めることができる。F−DLC膜は、フッ素含有量の上昇に伴い、表面濡れ性における接触角が上昇し、表面エネルギーは減少する。一般的に考えれば、フッ素含有量が増えれば表面エネルギーは減少し、基材との接触角が減少し、接着力は低下する傾向になる。しかし、本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープは、表面にF−DLC膜を形成することによって、生体組織との接着性を向上できるという新たな知見に基づいてなされたものである。具体的には、CFの組成比率を70%以上としたCHとCFの混合ガスを用いた高周波プラズマCVD法によって形成されたフッ素ドープダイヤモンドライクカーボン(F−DLC)が、ドープされていないダイヤモンドライクカーボン(DLC)よりも生体組織に対して高い接着力を有する。このようにして作製されるF−DLC膜は、膜中のF/Cの比率が30%以上に相当する。
本発明の生体組織接着用金属箔テープにおいて、表面コーティング材料の他の例として挙げられる酸化チタン(TiOx)は、二酸化チタン(TiO)が代表的なものである。二酸化チタンは生体組織への親和性に優れるということは知られている。また、細胞に対して接着性を有するものであることは、前記の特許文献9に開示されている。しかし、生体組織の縫合を行うことができる程度までに高接着性を付与できるコーティング膜であることはほとんど知られておらず、本発明はこの新たな知見に基づいてなされたものである。
本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープを用いて、生体組織との接着を行う際に使用する接着装置について説明する。図1は、本発明の接着方法において使用する接着装置の例である。図1において、接着装置1は、L字状の断面で下部に突出台1aを有する載置体1bを有する。この装置体1bの突出台1aの上部にロードセル2(荷重変換器)が載置され、このロードセル2の上部に振動子(ピエゾアクチュエータ)3が配置されている。この振動子3の上方に、セラミックヒータ4が配置されている。
振動子3とセラミックヒータ4の間には、試料接触部5を介して、生体組織(例えば血管)6及び本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープ7の積層構造とされた試料S1が載置される。図2は、この状況を拡大した構成の断面図である。図2に示す試料S1において、(a)は表面コーティング膜が形成されていない本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープを、また(b)は表面コーティング膜7aが施されて、表面が改質された本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープを、それぞれ示している。
図2に示すように、生体組織6及び生体組織接着用柔軟性金属箔テープ7は、重ね合わせられ接触させられた状態で試料接触部5の上部に配置され、生体組織6及び生体組織接着用柔軟性金属箔テープ7は重ね合わせられ接触させられた状態で、振動子3とセラミックヒータ4の間に配置され挟持されている。すなわち、振動子4とセラミックヒータ4は、これらの間において生体組織6と生体組織接着用柔軟性金属箔テープ7とを積層して支持する支持手段となる。
セラミックヒータ4の先端は、本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープ7の上部に接触している。生体組織接着用柔軟性金属箔テープ7と生体組織6は、セラミックヒータ4からの熱及び/又は圧力を受ける。振動子3は、試料接触部5、生体組織6及び生体組織接着用柔軟性金属箔テープ7に所定の振動を与える。生体組織接着用柔軟性金属箔テープ7、生体組織6、試料接触部5は、振動子3とセラミックヒータ4で挟まれており、この場合は低エネルギーの振動、熱及び圧力が同時に加えられている。すなわち、振動子3(あるいは試料接触部5)とセラミックヒータ4は、生体組織6と生体組織接着用柔軟性金属箔テープ7の積層構造に圧力を印加する付与手段となり、セラミックヒータ4は、この積層構造に熱を与える付与手段となる。
このように、上記の接着装置1は、熱、振動及び圧力の少なくとも一つを付与できる構造と機構を有しており、必要に応じてそれらの付与手段を組み合わせて用いることができる。特に、熱、振動及び圧力の何れか一つを単独で用いる場合では生体組織のたんぱく質変性を生じさせることができない低エネルギーを使用しても、振動と熱及び圧力を合わせて複合エネルギーにすることによって、たんぱく質の変性を生じさせ、生体組織6と生体組織接着用柔軟性金属箔テープ7とを接着させることができるようになる。
図1に示すように、セラミックヒータ4は、セラミックヒータ4の温度を制御するセラミックヒータコントローラ8に接続されている。セラミックヒータコントローラ8は、セラミックヒータ4を設定温度に保つ。また、振動子3は、振動子3の振動を制御するピエゾアクチュエータドライバ9に接続されている。ピエゾアクチュエータドライバ9は、振動子3の振動周波数と振動振幅の大きさを決定する。
また、セラミックヒータ4の側面には、静電容量型変位計(静電容量型ギャップ検出器)10が配置されている。この静電容量型変位計10は、振動子3とセラミックヒータ4環のギャップを検出する。
さらに、上記の接着装置1は、オシロスコープ11を備え、このオシロスコープ11は、セラミックヒータ4の電圧等を測定する。また、上記接着装置Aは、サーモグラフィ12を有し、このサーモグラフィ12は、生体組織接着用柔軟性金属箔テープ7、生体組織6の表面の温度を測定、画像化し、それによって、操作者は、生体組織接着用柔軟性金属箔テープ7、生体組織6の表面の温度状態を診断することができる。このようにして、振動振幅・温度・圧力は、オシロスコープ11、サーモグラフィ12及びロードセル2を用いて計測される。
上記した接着装置1は、AD変換装置13を備え、このAD変換装置13は、ロードセル2のデータを電圧等のデータに変換する。サーモグラフィ12とAD変換装置13は、パーソナルコンピュータ14に接続されている。
図2の構成においては、接着後における生体組織6と生体組織接着用柔軟性金属箔テープ7(図2の(b)ではコーティング膜7a)との間の接着強度が高いことが要求される。この接着強度は、本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープ7を用いることによって、向上させることができる。
一方で、熱、振動及び圧力の少なくとも一つは、生体組織6と生体組織接着用柔軟性金属箔テープ7との間の界面に付与されるだけではなく、接着装置1の一部、例えば図2に示すセラミックヒータ4と生体組織接着用金属箔テープ7との界面、あるいは生体組織6と試料接触部5との界面にも付与される。特に、生体組織6と試料接触部5との界面が接着されて接着強度が高くなった場合には、生体組織6と生体組織接着用柔軟性金属箔テープ7とが接着された構造を、この接着装置1から分離することが困難になる。最悪の場合には、生体組織6が破損に到ることがある。従って、生体組織6と試料接触部5との界面における接着強度を極力小さくして、接着させないようにすることが必要である。そのため、試料接触部5には、生体組織6との密着性の低いフッ素樹脂加工板(例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)板)又はフッ素樹脂やフッ素系シランカップリング剤で表面処理された有機又は無機からなる板等を使用することができる。本発明では、試料接触部5として使用できるものは前記のフッ素樹脂加工板等に限られず、生体組織6との接着強度が生体組織接着用柔軟性金属箔テープ7よりも小さくなるような板やシートを使用しても良いが、両者の接着強度の差が極力大きくなるようなものを選択することが好ましい。
本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープを用いて生体組織との接着を行う接着方法において、図1に示す接着装置によって付与される熱、振動及び圧力の各条件は、それぞれ温度50〜250℃、振動周波数1〜60kHz及び圧力1〜150Mpaの範囲である。また、振動付与時の振動全振幅の条件は、1〜300μmの範囲である。加熱時の温度が50℃未満で、振動が1kHz未満で、圧力が1MPa未満であると、単独付与の場合はもちろんのこと、振動と熱及び圧力を合わせて複合エネルギーにして付与した場合でも、生体組織との接着強度を十分に高めることができない。仮に、接着作業後に両者が接着しているように見えても、使用中に生体組織接着用柔軟性金属箔テープが生体組織から簡単に剥離してしまうため、振動と熱及び圧力の条件は上記に示す下限値以上でなければならない。また、加熱時の温度が250℃、振動が60kHz、又は圧力が150MPaをそれぞれ超えると、生体組織へのダメージが大きくなる。それ以外にも、生体組織の接着部分において応力発生や発熱によって局所的な剥離が起きやすくなり、生体組織に対する接着強度が全体的に低下すると共に、耐久信頼性の点でも問題がある。そのため、振動と熱及び圧力の条件は上記に示す上限値以下にする必要がある。
また、本発明は、短時間で接着作業時間ができるという特徴と有している。上記の接着条件に応じて接着時間は変わるものの、本発明の接着方法において接着時間は2〜60secの範囲であり、好ましくは10〜300secの範囲である。
本発明は、図1〜2に示す接着装置1を用いないでも、図3に示すように、かん子23を用いて生体組織21と生体組織接着用柔軟性金属箔テープ22を接着することができる。図3の(a)は表面コーティング膜が形成されていない本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープ22を、また(b)は表面コーティング膜22aが施されて、表面が改質された本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープ22を、それぞれ示している。熱、振動及び圧力の少なくとも一つは、かん子23を通して付与される。図3において、生体組織21と直接触れるように下部に配置されたかん子23の表面は、生体組織21と接着しないように、フッ素樹脂やフッ素系カップリング剤等によって表面処理したものを使用するのが良い。また、生体組織接着用柔軟性金属箔テープ22と直接触れるように上段に配置されたかん子23についても、両者の接着が起きないように、上段のかん子23又は該かん子23に触れる生体組織接着用柔軟性金属箔テープ22の表面に接着性を低下させるようなコーティング膜を形成することができる。
本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープは、生体組織との接着強度を更に高めるために、該柔軟性金属箔テープに複数の空孔を設けることができる。図4に、複数の空孔を設けた本発明の生体組織接着用金属箔テープの例を示す。図4に示す生体組織接着用金属箔テープ25には、複数の空孔26が生体組織の疾患部又は損傷部24と直接接着する部分を避けて形成されている。複数の空孔26は生体組織接着用金属箔テープ25にアンカー効果を付与するためのものであり、接着時に熱、振動及び/又は圧力の付与によって変性又は変形した生体組織が複数の空孔26に侵入することによって接触面積が増えて、接着強度を高める効果を生む。しかし、この複数の空孔26を生体組織の疾患部又は損傷部24と直接接触する部分に形成した場合は、熱、振動及び/又は圧力を付与しても、それらのエネルギーが複数の空孔から逃げやすくなるため、接着性向上に対する効果が小さくなる。
図4に示す複数の空孔26は、球状、楕円状、又は長方形、正方形若しくは多角形等の角状の何れの形状でも形成することが可能であり、プレスによるパンチング加工法やエッチング法等によって所定の形状に容易に加工することができる。本発明においては、複数の空孔の全てが生体組織接着用柔軟性金属箔テープに対して占める面積比は50%以下であることが必要である。この面積比が50%を超えると、接着作業時に熱、振動又は圧力のエネルギーが逃げやすくなり、生体組織に対して接着強度を高めることができない。加えて、接着強度のバラツキが大きくなり、生体組織接着用柔軟性金属箔テープの剥離や脱離の原因ともなる。本発明では、複数の空孔の全てが生体組織接着用柔軟性金属箔テープに対して占める面積比は50%以下であると同時に、空孔の面積はどれも1cm以下であることが必要である。空孔の面積が1cmを超えると、接着作業時に熱、振動又は圧力のエネルギーが逃げやすくなる。
本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープは、図2に示す平面形状だけではなく、生体組織を包合できるように、円筒状又は少なくとも一つの開口部を有する袋状に加工することができる。図5には、そのように加工された生体組織接着用柔軟性金属箔テープを示す。図5の(a)は円筒状のものであり、図5の(b)は、一つの開口部を有する袋状のものである。
血管等の生体組織の縫合を行う場合は、図5の(a)に示すように、円筒状の生体組織接着用柔軟性金属箔テープ28によって2つの血管29を包合した後、円筒状の接着冶具を用いて一度に2つの血管を接着して縫合することができる。その場合、血管の組織同志の融着を防止するために、血管と接着しづらい材料で作製される細径の棒を挿入して、図2に示す方法で接着を行った後に挿入した棒を抜き取る方法を採用しても良い。また、円筒状の生体組織接着用柔軟性金属箔テープは、疾患部又は損傷部を有する一つの血管を縫合する場合でも使用することができる。この方法では、血管の両側が接着されるため、疾患部又は損傷部でない部分とも接着が同時に行われるが、本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープは厚さが薄いため、疾患部又は損傷部でない部分に柔軟性金属箔テープが残っても、実用面で大きな障害にならないと考えられる。
さらに、血管の端部だけを塞ぎたい時には、図5の(b)に示すように、一つの開口部を有する袋状の生体組織接着用柔軟性金属箔テープ31を使用すれば、確実な縫合ができる。本発明では、開口部は一つに限定されるものではなく、生体組織の形状に応じて、二つ又はそれ以上の開口部を有する袋状の生体組織接着用柔軟性金属箔テープを用いても良い。例えば、二つの開口部を有する袋状の生体組織接着用柔軟性金属箔テープは、図5の(a)と同じ様な用途に使用することができる。
次に実施例により本発明を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜5、比較例1]
図1に示す接着装置を用いて、ステンレス鋼箔又はNiTi合金箔による生体組織の接着を行った。図2の振動子3の上にフッ素樹脂加工板(PTFE板)5を敷き、その上にステンレス鋼箔(SUS)又はNiTi合金箔7、生体組織である血管6の順番で載せた。ステンレス鋼箔(SUS)又はNiTi合金箔7は、厚み30μm、表面粗さ(Ra)0.07μmとし、8mm×20mmの短冊型とした。このステンレス鋼箔又はNiTi合金は、表面コーティングされていないものである。血管6は、8mm×20mmの短冊型とし、前記のステンレス鋼箔7と血管6を5mm重ねて接触させて接着した。セラミックヒータ4の押付面の大きさは、4mm×1mmとした。上記で述べたように、PTFE板5と血管6との接着は生じていなかった。また、比較例1として、ステンレス鋼箔(SUS)又はNiTi合金箔に代えて、厚さ30μmの湿潤コラーゲン(高研製タイプ1コラーゲンをグルタルアルデヒドで架橋したもの)を用いて血管との接着を行った。
接着条件は、振動無付加の場合には、接着温度130℃又は200℃、接着圧力15MPa又は10MPa、接着時間120secとし、振動付加の場合には、接着温度230℃、接着圧力2.5MPa、接着時間120sec。振動周波数12kHz、振動振幅2μmとした。
ステンレス鋼箔(無コーティング)の接着実験結果を表1に示す。接着力の評価は、ステンレス鋼箔、NiTi合金箔又はコラーゲン箔と血管を接着した試験片を荷重変換器に固定したチェックで把持した後、せん断引張速度4mm/minでせん断引張荷重を負荷して、室温における最大引張荷重を測定して行った。接着領域は1mm×4mmなので、接着強度は室温の最大引張荷重を4mmで除算して求めた。
Figure 0005636857
表1に示すように、実施例1〜5は、どれも血管に対して十分な接着力を有している。金属箔としてのSUS及びNiTi合金の違いは、接着強度の差として顕著に表れてこないで、両者とも高い接着強度を示した(実施例2と実施例4との対比)。実施例3は、熱、圧力及び振動の3つを合わせた複合エネルギーにすることによって、血管との接着性をさらに向上できることを示している。また、試験片の順番を入れ替え、ステンレス鋼箔(SUS)の上に血管を載せた場合も接着しており(実施例5)、血管の上にステンレス鋼(SUS)を載せた場合(実施例2)よりも高い接着強度を有する。一方、血管との接着を有機物による箔で行った比較例1は、接着強度が実施例2よりも低くなった。さらに、比較例1は、重ね合わせた接着距離5mmからのずれが1.5mmも観測されたため、採用した接着条件では微細な箇所を接着することが困難であることが分かった。それに対して、実施例1〜5は、接着箇所のずれが0.2mm以内であり、ずれ抑制に対して大幅な改善効果が見られる。
[実施例6〜13、比較例2〜7]
厚さ及び表面粗さ(Ra)の異なるステンレス鋼箔(SUS)を用いて、実施例2と同じ方法で血管との接着を行い、接着強度によって接着性を評価した。表面粗さRaの異なるステンレス鋼箔は、加工時の鍛造ロールの表面粗さを変えたり、加工後に新たにショットブラストやエッチング処理等による粗化処理を行って得た。その評価結果を表2に示す。表2には、実際に接着作業を行った時の接着条件を合わせて示した。
Figure 0005636857
ステンレス鋼箔の表面粗さRaが0.05〜5.0μmの範囲であれば、血管との接着強度が高くなって接着性を維持でき、接着後の1か月の使用中でも前記ステンレス鋼箔の剥離は発生しなかった(実施例6〜13)。特に、表面粗さRaが0.07μm以上2.0μm未満である実施例7〜11は接着強度が0.28MPa以上を示しており、優れた接着性を有する。それに対して、表面粗さRaが0.03μmである比較例2は、接着強度が0.02MPa未満と大幅に低下して剥離が発生した。接着条件を変えても、比較例3に示すように、十分な接着強度が得られなかった。また、比較例4〜5に示すように、表面粗さRaが5.3μmの場合も、接着力の向上は見られなかった。ステンレス鋼箔の表面が粗くなりすぎて、接着力を高めるための十分なアンカー効果が得られず、加えて、熱、及び圧力及び/又は振動のエネルギーがステンレス鋼箔と血管の界面に効率良く伝達しなかったためと考えられる。さらに、比較例4〜5よりも熱及び圧力及び/又は振動の付与エネルギーを高くした接着条件によって接着性の向上を検討したが、付与エネルギーを高くすると接着面の局所的な微小部分に茶色の斑点が観測されるようになり接着性の向上を行うことができなかった。その微小部分には剥離が発生しているため、接着条件を変えても接着強度の向上はわずかしか図ることができなかった。この原因は、熱、圧力及び振動のエネルギーが局所的に集中したためと考えられるが、詳細は不明である。
表2に示す比較例6は、ステンレス鋼箔の厚さが3μmであるため、柔軟性が高く、接着強度も高くなる。しかし、接着作業中に、折れやしわが発生するため取扱い性が極端に悪かった。そのため、比較例6のステンレス鋼箔は、複雑な形状の生体組織への縫合には適さない。また、比較例7のステンレス鋼箔は、厚さが400μmと非常に厚いため柔軟性が十分でない。加えて、ステンレス鋼箔と血管の界面に熱と圧力が十分に伝わらないために、接着強度が低かった。比較例7のステンレス鋼箔は、平坦な生体組織の接着には使用できるかもしれないが、曲面や複雑な形状を有する生体組織への接着用金属箔テープとしては不向きである。また、比較例7のステンレス鋼箔を用いて十分な接着強度を得るためには、熱、圧力及び/又は振動の付与エネルギーを高くしたり、接着時間を長くする必要があり、効率的な接着を行うことができない。
[実施例14]
表面コーティングしたステンレス鋼箔(SUS)を用いて、実施例1〜5と同じ方法で血管との接着を行い、接着強度によって接着性を評価した。コーティング材料として、(1)DLC(フッ素(F)ドープなし)、(2)CF20%(CH80%)の原料ガスを用いたF−DLC、(3)CF40%(CH60%)の原料ガスを用いたF−DLC、(4)CF60%(CH40%)の原料ガスを用いたF−DLC、(5)CF70%(CH30%)の原料ガスを用いたF−DLC、(6)CF80%(CH20%)の原料ガスを用いたF−DLC、(7)二酸化チタン(TiO)の5種類を用いた。DLC膜、F−DLC膜及びTiO膜を有するステンレス箔テープは、次のようにして試料を作製した。
DLC膜は、大きさ20mm×8mm、厚さ30μmで、表面粗さ(Ra)が0.07μmのステンレス鋼(SUS316)箔の表面に、高周波プラズマCVD装置を使用して、CFの割合を全流量(CH+CF)に対して0%、20%、40%、60%、70%、80%に調整してコーティングを行い、膜厚0.2μmで形成した。また、DLC膜の付着強度を向上させるため、DLC膜を形成する前に、ステンレス鋼箔の表面に中間層としてシリコン(Si)をスパッタリングによってコーティングした。DLC膜の分析はX線光電子分光分析(Xray Photoelectron Spectroscopy:XPS)測定を行った。また、別途、DLC膜の成膜状態を把握するために、シリコン(Si)基板にDLCの薄膜を堆積させてレーザーラマン分光光度計による測定を行った。Si基板は、あらかじめアセトンに浸し10分間の超音波洗浄を行い、ステンレス鋼箔の場合と同じ条件でDLCの成膜を行った。DLC膜のコーティング条件を表3に示す。
Figure 0005636857
ラマンスペクトルのCF流量依存性を図6に示す。図6により、1350cm−1付近のDバンドと、1550cm−1付近のGバンドがCF60%(CH40%)までは確認でき、DLCが成膜されていることが分かった。しかし、CF80%(CH20%)ではピークが確認できなかったため、DLC膜となっていないことが分かった。
C1sのC−C結合ピークのXPS結果を図7に、F1sのC−F結合ピークのXPS分析結果を図8に示す。図7により、CFの割合を増やしていくと、C−C結合が減少していることが分かった。また、図8により、CFの割合を増やしていくとC−F結合が増加していることが分かった。
図6に示すラマン分光分析結果から、CF60%(CH40%)までの試料がDLCであると確認されたが、CF80%(CH20%)ではDLCのピークが確認されなかった。
ここで、XPSのC1sピークの結果を見ると、CFの割合を増やすとC−C結合が減少している。F1sピークを見ると、CFの割合増加によってC−F結合の増加が確認された。C―F結合は、CFやCFが主体となっていると考えられ、これらの結合が多く存在すると、DLC膜の表面の疎水性が高くなる。
なお、上記の通り、CFが60%以下の場合にはダイヤモンド状炭素であることが確認され、CFが80%以上である場合にはもはや厳密にはダイヤモンド状炭素とはなっていないことが確認された。しかしながら、以下では、便宜上、CFが0%の場合に得られた材料をDLC、CFが含まれる場合(CFが80%以上の場合も含む)に得られた材料をF−DLCと呼称する。
以上のようにして作製されたDLC膜及びF−DLC膜を有するステンレス鋼箔テープは、表面粗さ(Ra)が0.05〜0.09μmの範囲にあった。コーティング膜は膜厚が非常に薄いため、形成する前のステンレス鋼箔テープの表面粗さ(Ra)とほとんど差異なく成膜できる。
次に、二酸化チタン(TiO)を用いたコーティング膜の作製方法を述べる。上記と同じ大きさ(20mm×8mm)、厚さ(30μm)及び表面粗さ(Ra)0.07μを有するステンレス鋼(SUS316)基板をアセトンにて10分間の超音波洗浄を行い、TiOのコーティングを施すための成膜を行った。成膜には高周波マグネトロンスパッタ装置を使用し、スパッタリングガスはアルゴン(Ar)とした。条件を表4に示す。
Figure 0005636857
表4に示す条件でTiOのコーティング膜が成膜されたステンレス鋼箔テープは、表面粗さ(Ra)が0.08μmであった。
以上のようにして得られたDLC膜、F−DLC膜及びTiO膜を有するステンレス箔テープは、実施例1〜5と同じ方法で、血管との接着を行った。血管との接着は、ヒーター予熱温度125℃、振動予熱温度50℃とし、接着温度120℃、圧力125MPa、振動周波数11.84kHz、振動振幅5μm、接着時間120secで行った。これらのコーティング膜を有するステンレス箔テープと血管との接着強度を、実施例1〜4と同じ方法で測定した。サンプル数は、各条件で5回以上とした。接着強度の測定結果を図9に示す。図9には、コーティング膜が形成されていないステンレス鋼箔テープを用いて、同じ接着条件で血管との接着を行った試料の接着強度を合わせて示している。
図9に示すように、CFが60%においてコーティング無しのステンレス鋼箔テープとほぼ同じ接着強度を有し、CFが70%以上になると接着強度が向上した。さらに、TiO膜を有するステンレス箔テープは、F−DLC膜よりも高い接着強度を有することが分かった。
本実施例では、コーティング膜を形成したステンレス鋼箔テープと血管とを接着し、剥がした後、コーティングを施したステンレス鋼上に残った血管を走査型電子写真顕微鏡(SEM)によって観察した。測定条件は、倍率1000倍で、加速電圧は1kVでる。図10に、CF80%(CH20%)以上の原料ガスを用いてF−DLC膜が形成されたステンレス鋼箔テープについて観察したSEM画像写真を示す。図10に示すSEM画像写真において、F−DLCコーティング膜を形成したステンレス鋼箔テープの表面には血管とみられる組織が残っており、組織が残っていない面と残っている面の組織の境界の表面が観察されている。
図10には血管組織15とステンレス鋼箔テープ16が観測されており、血管組織15が網目条となっている様子を示し、約1μmの太さの繊維であることが分かる。また、ステンレス鋼箔テープと血管との接着面を強制的に剥離した面は凝集破壊であり、CF80%(CH20%)以上の原料ガスを用いてF−DLC膜が形成されたステンレス鋼箔テープは高い接着性を有することが確認された。
この結果より、特にこのコーティングを形成した金属箔テープと血管との接着が可能であり、かつ血管同士の接着強度よりも強固であることから、例えば、金属箔テープを血管に接着し、金属箔テープのずれを防ぐことが可能である。
図10の結果より、CFが70%以上(CH30%以下)の原料ガスを用いたF−DLC又はTiOを、図2の(b)に示す第1のコーティング膜7aの材料として用いることで、非常に強固な接着を実現できることが明らかである。また、これらのコーティング膜は、抗血栓性の特徴を有し、生体組織への悪影響がないため、生体組織接着用柔軟性テープとして有用性が非常に高い。
一方、図9に示すDLC膜及びCFが60%以下(CH40%以上)の原料ガスを用いたF−DLC膜は、コーティング無しのステンレス鋼箔テープよりも接着強度が同等かやや劣る傾向にある。しかし、これらのコーティング膜を有する金属箔テープも抗血栓性という特徴と有するため、生体組織接着用柔軟性テープとして使用することが可能である。これらのコーティング膜を有する金属箔テープは、例えば、接着した後、所定の期間使用した後に剥離を容易にするための目的に使う仮止めの接着用テープとして適用しても良い。
[実施例15]
生存中の豚の大動脈に一部切り込みを入れ、CF80%(CH20%)以上の原料ガスを用いてフッ素(F)を含有するF−DLC膜を表面に形成したステンレス鋼箔テープを前記豚の血管内に接着した。このステンレス鋼箔テープは、厚さが30μmで、表面粗さ(Ra)が0.4μmであり、8mm×20mmmの短冊型にカットしてものである。接着条件は、温度120℃、圧力125MPa、振動周波数12kHz、振動振幅5μ、接着時間50secとした。接着は、(1)豚の大動脈の血管を半分に切断冷却する工程、(2)血管内にF−DLC膜を有するステンレス鋼箔テープを挿入して血管の形状に合わせる工程、(3)血管とF−DLC膜を有するステンレス鋼箔テープを図1〜2に示す接着装置Aを用いて接着する工程、及び(4)接着した血管とF−DLC膜を有するステンレス鋼箔テープを冷却して組織損傷を抑える工程、の手順で行った。その結果、図1〜2に示す接着装置1を用いて、血管に損傷を与えずに、F−DLC膜を有するステンレス鋼箔テープを血管に装着することができた。また、約1時間の拍動下において接着したF−DLC膜を有するステンレス鋼箔テープと血管が剥がれないことを確認した。
実施例14〜15では、接着装置1に装着されていない他の装置(手段)で前もって第1のコーティング膜7aを有する金属箔テープ7上に形成する。このコーティング済みの金属箔テープ7を接着装置1における支持手段に装着している。しかしながら、これらのコーティング膜を形成するコーティング手段を接着装置内に設けることもできる。その場合は、図1〜2に示す振動子3やセラミックヒータ4等と離れた箇所において高周波プラズマCVD装置等(DLC,F−DLCの場合)あるいは高周波マグネトロンスパッタ装置等(TiOの場合)と同様の機構を設ける。これにより、金属箔テープ7の表面に第1のコーティング膜7aを形成した後に、図2の(b)の構成で生体組織5とこのコーティング済みの金属箔テープ7とを接着すれば良い。
また、圧力を加える付与手段、振動を与える付与手段、熱を与える付与手段としては、上記の構成以外にも各種の構成のものが適用できる。それによっても同様の効果を奏することは明らかである。その際、少なくとも熱、振動、圧力の何れかが加えられることによって金属箔テープ7と生体組織(例えば、血管等)6とを接着することができる。
実施例14〜15では、生体組織用接着用柔軟性金属箔テープの1面において1種類の材料からなるコーティングを形成していた。本発明では、これを2種類以上とすることも可能である。例えば、生体組織の疾患部や損傷部を含む限られた領域にF濃度の高いF−DLC(CFが70%以上のF−DLC)からなる第1コーティング膜を形成し、その周辺領域にはF濃度の低いF−DLCあるいはDLC(CFが40%以下のF−DLC又はDLC)からなる第2のコーティング膜を形成した金属箔テープである。そのような構成の金属箔テープを用いることによって、生体組織の疾患部や損傷部を含む限られた領域だけは強固に接着できるのに対して、その部分以外の周辺はその接着部分を補強するだけの接着力があれば良く、接着による生体組織の余分な変形や悪影響を抑制できる効果を有する。そのような金属箔テープは、DLCあるいはF−DLCをこれらのコーティング材料として用いることにより、原料ガスの成分(CF/CH)の調整を行うだけで、同一のコーティング装置を用いて、これらのコーティング膜の形成を行うため、容易に作製することができる。
[実施例16]
図4に示すように、複数の空孔26を設けた生体組織接着用金属箔テープ25を、実施例13と同じ方法と接着条件を用いて生存中の豚の大動脈の血管内に接着した。この金属箔テープは、コーティング無しのステンレス鋼から構成されており、厚さが30μm、表面粗さ(Ra)が0.4μmであり、8mm×20mmmの短冊型にカットしたものである。複数の空孔は、血管の生体組織の疾患部又は損傷部と直接接着する部分(図4の斜線で示した部分)を除いて、その両脇に直径0.1mmの径の空孔を、マスクを通してエッチング法によって複数個形成したものである。本実施例では、複数の空孔の全てがコーティング無しのステンレス鋼箔テープに対して占める割合が約25%であった。
接着作業後の試料は、血管に損傷を与えずに、複数の空孔を設けたコーティング無しのステンレス鋼箔テープを血管に装着することができた。初期の接着強度は、実施例13で得られたものより約10%高くなった、これは、接着時に変形した血管組織の一部が複数の空孔に侵入しており、結果的に接着強度を高める効果があったためと考えられる。また、約1時間の拍動下において接着したコーティング無しのステンレス鋼箔テープは血管から剥がれないことを確認した。
[実施例17]
図5の(a)に示すように、円筒条の生体組織接着用柔軟性金属箔テープ28を用いて、血管29の2本をこの金属箔テープの両端からそれぞれ挿入して突き合わせた後、2本の血管の縫合を行った。本実施例で用いた円筒条の生体組織接着用柔軟性金属箔テープは、コーティング無しのステンレス鋼箔で構成されており、厚さが30μmで、外径が0.2mmで、長さが4mmであった。このステンレス鋼箔の円筒状テープは、円筒条の押出し管を、しごき等の方法によって外径を0.2mmに成形して得たものである。血管との接着面に該当する内面の表面粗さ(Ra)が1.0μmとなるように調整して成形した。図5の(a)に示すように、接着冶具30としては円筒条の金属箔テープの形状に合わせて半円形に加工したかん子を用いた。接着条件は、温度200℃、圧力10MPa、接着時間200secとして、超音波振動による付与は併用しなかった。
接着作業後、室温まで冷却した2本の血管は強固に接着して縫合していた。さらに、縫合後の2本の血管の両端をそれぞれつかんで逆方法に引っ張っても、2本の血管の接着及び縫合部分から分離することがなく、別の個所で切断して分離した。このように、発明による円筒条の生体組織接着用柔軟性金属箔テープは、血管の接着と縫合に対して有効な接着基材であることが確認された。
以上のように、本発明の生体組織接着用柔軟性金属箔テープは、人体組織として具体的に血管と強固な接着を行うことができる。本発明は、血管だけではなく、他の人体組織に対しても、接着装置及び接着条件を最適化することによって適用することができるため、その適用範囲は広い。また、本発明は、人体組織の形状に、自由かつ容易に合わせることができるような高い柔軟性を有し、さらに円筒条や袋条の自由な形状にも加工することができるため、取扱い性が飛躍的に向上しており、様々な用途に適用できる点で有用性が極めて高い。
1・・・生体組織と生体組織接着用柔軟性金属箔テープの接着装置、1a・・・載置体、1b・・・載置体、2・・・ロードセル(荷重変換器)、3・・・振動子(ピエゾアクチュエータ)、4・・・セラミックヒータ、5・・・試料接触部、6、21、27、29・・・生体組織(血管)、7、22、25・・・生体組織接着用柔軟性金属箔テープ、7a、22a・・・コーティング膜、8・・・セラミックヒータコントローラ、9・・・ピエゾアクチュエータ(振動子)ドライバ、10・・・静電容量型変位計(静電容量型ギャップ検出器)、11・・・オシロスコープ、12・・・サーモグラフィ、13・・・AD変換器、14・・・パーソナルコンピュータ、15・・・血管組織、16・・・ステンレス鋼箔、23・・・かん子、24・・・生体組織の疾患部又は損傷部、26・・・空孔、28・・・円筒状の生体組織接着用柔軟性金属箔テープ、30・・・接着冶具、31・・・袋状の生体組織接着用柔軟性金属箔テープ。

Claims (8)

  1. 熱、振動、及び圧力の少なくとも一つを付与することによって生体組織と接着させるために用いられるものであって、厚さが5〜300μmで、前記生体組織との接着面の表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で0.05〜5.0μmである金属箔からなる柔軟性金属箔テープであって、
    該柔軟性金属箔テープには、複数の空孔が前記生体組織の疾患部又は損傷部と直接接触する部分を避けて設けられており、且つ、前記複数の空孔の全てが前記柔軟性金属箔テープに対して占める面積比は50%以下である、
    ことを特徴とする生体組織接着用柔軟性金属箔テープ。
  2. 請求項1に記載の生体組織接着用柔軟性金属箔テープにおいて、厚さが10〜100μで、前記生体組織との接着面の表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で0.07μm以上2.0μm未満である金属箔からなることを特徴とする生体組織接着用柔軟性金属箔テープ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の生体組織接着用柔軟性金属箔テープにおいて、前記金属箔がステンレス鋼箔又はNiTi合金箔であることを特徴とする生体組織接着用柔軟性金属箔テープ。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の生体組織接着用柔軟性金属箔テープにおいて、前記生体組織との金属箔の接着表面には、抗血栓性及び/又は高接着性の被膜が表面処理によって形成されていることを特徴とする生体組織接着用柔軟性金属箔テープ。
  5. 請求項4に記載の生体組織接着用柔軟性金属箔テープにおいて、前記の被膜がダイヤモンドライクカーボン膜又は酸化チタン膜であることを特徴とする生体組織接着用柔軟性金属箔テープ。
  6. 請求項5に記載の生体組織接着用柔軟性金属箔テープにおいて、前記ダイヤモンドライクカーボン膜は、CF4の組成比率を70%以上としたCH4とCF4の混合ガスを用いた高周波プラズマCVD法によって形成されたフッ素含有ダイヤモンドライクカーボン(F−DLC)であることを特徴とする生体組織接着用柔軟性金属箔テープ。
  7. 請求項4〜6の何れかに記載の生体組織接着用柔軟性金属箔テープにおいて前記金属箔と前記被膜との間には、Si、W、Ti、Cr及びそれらの炭化化合物の何れか一つからなる中間層が形成されたことを特徴とする生体組織接着用柔軟性金属箔テープ。
  8. 請求項1〜7の何れかに記載の生体組織接着用柔軟性金属箔テープにおいて、該柔軟性金属箔テープは、生体組織を包合できるように、円筒状又は少なくとも一つの開口部を有する袋状に加工されていることを特徴とする生体組織接着用柔軟性金属箔テープ。
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