本発明の樹脂組成物は、(a)アルカリ可溶性ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドイミド、それらいずれかの前駆体またはそれらの共重合体、(b)一般式(1)で表される構造単位を主成分とするフェノール樹脂、および(c)感光剤を必須成分とする。
レジスト用途に用いられるノボラックを代表とするフェノール樹脂は、感度の向上効果に優れているが、架橋成分を持たないため、膜特性において劣っている。また、レゾール樹脂はメチロール部を含有するため架橋性に優れ、低温での硬化後においても機械特性や耐薬品性に優れた膜が得られる。しかし、レゾール樹脂のメチロール部は、その反応性の高さから、室温状態での安定性が悪く、実質使用は難しい。本発明に用いられる一般式(1)で表される構造単位を主成分とするフェノール樹脂は、レゾール樹脂のメチロール部をアルコキシ化することで、高い保存安定性を達成できる。
本発明に用いられる(a)成分は、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリアミドイミド、それらいずれかの前駆体またはそれらの共重合体であり、(a)成分を2種以上含有してもよい。
本発明に好ましく用いられるポリイミド前駆体としては、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸アミド、ポリイソイミドなどを挙げることができる。例えば、ポリアミド酸は、テトラカルボン酸、対応するテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドなどとジアミン、対応するジイソシアネート化合物、トリメチルシリル化ジアミンを反応させて得ることができる。ポリイミドは、例えば、上記の方法で得たポリアミド酸を、加熱あるいは酸や塩基などの化学処理で脱水閉環することで得ることができる。
本発明に好ましく用いられるポリベンゾオキサゾール前駆体としては、ポリヒドロキシアミドを挙げることができる。例えば、ポリヒドロキシアミドは、ビスアミノフェノールとジカルボン酸、対応するジカルボン酸クロリド、ジカルボン酸活性エステルなどを反応させて得ることができる。ポリベンゾオキサゾールは、例えば、上記の方法で得たポリヒドロキシアミドを、加熱あるいは無水リン酸、塩基、カルボジイミド化合物などの化学処理で脱水閉環することで得ることができる。
本発明に好ましく用いられるポリアミドイミド前駆体は、例えば、トリカルボン酸、対応するトリカルボン酸無水物、トリカルボン酸無水物ハライドなどとジアミンやジイソシアネートを反応させて得ることができる。ポリアミドイミドは、例えば、上記の方法で得た前駆体を、加熱あるいは酸や塩基などの化学処理で脱水閉環することにより得ることができる。
本発明に用いられる(a)成分は、一般式(2)〜(5)のいずれかで表される構造単位を有することが好ましく、(2)または(3)で表される構造単位を有することがより好ましい。これらの構造単位を有する2種以上の樹脂を含有してもよいし、2種以上の構造単位を共重合してもよい。本発明における(a)成分の樹脂は、一般式(2)〜(5)で表される構造単位を分子中に3〜1000含むものが好ましく、20〜200含むものがより好ましい。
一般式(2)〜(5)中、R4およびR7は4価の有機基、R5、R6およびR9は2価の有機基、R8は3価の有機基、R10は2〜4価の有機基、R11は2〜12価の有機基を表す。R4〜R11はいずれも芳香族環および/または脂肪族環を有するものが好ましい。R12は水素原子または炭素数1〜20の1価の炭化水素基を表す。rは0〜2の整数、sは0〜10の整数を表す。
一般式(2)〜(5)中、R4はテトラカルボン酸誘導体残基、R6はジカルボン酸誘導体残基、R8はトリカルボン酸誘導体残基、R10はジ−、トリ−またはテトラ−カルボン酸誘導体残基を表す。R4、R6、R8、R10を構成する酸成分としては、ジカルボン酸の例として、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビフェニルジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、トリフェニルジカルボン酸など、トリカルボン酸の例として、トリメリット酸、トリメシン酸、ジフェニルエーテルトリカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、テトラカルボン酸の例として、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸や、ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族テトラカルボン酸などを挙げることができる。これらのうち、一般式(5)においては、rが1または2の場合、トリカルボン酸、テトラカルボン酸のそれぞれ1つまたは2つのカルボキシル基がCOOR12基に相当する。これらの酸成分は、そのまま、あるいは酸無水物、活性エステルなどとして使用できる。また、これら2種以上の酸成分を組み合わせて用いてもよい。
一般式(2)〜(5)中、R5、R7、R9およびR11はジアミン誘導体残基を表す。R5、R7、R9、R11を構成するジアミン成分の例としては、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メチレン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ)ビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどのヒドロキシル基含有ジアミン、3−スルホン酸−4,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどのスルホン酸含有ジアミン、ジメルカプトフェニレンジアミンなどのチオール基含有ジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’,4,4’−テトラメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルなどの芳香族ジアミンや、これらの芳香族環の水素原子の一部を、炭素数1〜10のアルキル基やフルオロアルキル基、ハロゲン原子などで置換した化合物、シクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミンなどの脂環式ジアミンなどを挙げることができる。これらのジアミンは、そのまま、あるいは対応するジイソシアネート化合物、トリメチルシリル化ジアミンとして使用できる。また、これら2種以上のジアミン成分を組み合わせて用いてもよい。耐熱性が要求される用途では、芳香族ジアミンをジアミン全体の50モル%以上使用することが好ましい。
一般式(2)〜(5)中のR4〜R11は、その骨格中にフェノール性水酸基、スルホン酸基、チオール基などを含むことができる。フェノール性水酸基、スルホン酸基またはチオール基を適度に有する樹脂を用いることで、適度なアルカリ可溶性を有するポジ型感光性樹脂組成物となる。
また、(a)成分の構造単位中にフッ素原子を有することが好ましい。フッ素原子により、アルカリ現像の際に膜の表面に撥水性が付与され、表面からのしみこみなどを抑えることができる。(a)成分中のフッ素原子含有量は、界面のしみこみ防止効果を充分得るために10重量%以上が好ましく、また、アルカリ水溶液に対する溶解性の点から20重量%以下が好ましい。
また、耐熱性を低下させない範囲で、R5、R7、R9、R11にシロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよく、基板との接着性を向上させることができる。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノフェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどを1〜10モル%共重合したものなどが挙げられる。
また、樹脂組成物の保存安定性を向上させるため、(a)成分の樹脂は主鎖末端をモノアミン、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物などの末端封止剤で封止することが好ましい。末端封止剤として用いられるモノアミンの導入割合は、全アミン成分に対して、好ましくは0.1モル%以上、特に好ましくは5モル%以上であり、好ましくは60モル%以下、特に好ましくは50モル%以下である。末端封止剤として用いられる酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物またはモノ活性エステル化合物の導入割合は、ジアミン成分に対して、好ましくは0.1モル%以上、特に好ましくは5モル%以上であり、好ましくは100モル%以下、特に好ましくは90モル%以下である。複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入してもよい。
モノアミンとしては、アニリン、2−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、4−エチニルアニリン、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノールなどが好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸無水物、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物などの酸無水物、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸などのモノカルボン酸類およびこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレンなどのジカルボン酸類の一方のカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物などが好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
また、(a)成分の樹脂に導入された末端封止剤は、以下の方法で容易に検出できる。例えば、末端封止剤が導入された樹脂を、酸性溶液に溶解し、構成単位であるアミン成分と酸無水物成分に分解し、これをガスクロマトグラフィー(GC)や、NMR測定することにより、本発明に使用の末端封止剤を容易に検出できる。これとは別に、末端封止剤が導入された樹脂成分を直接、熱分解ガスクロクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトルおよび13C−NMRスペクトルで測定することによっても、容易に検出可能である。
一般式(2)〜(4)のいずれかで表される構造単位を有する樹脂において、構造単位の繰り返し数は3〜1000であることが好ましく、3〜200であることがより好ましい。また、一般式(5)で表される構造単位を有する樹脂において、構造単位の繰り返し数は10以上1000以下が好ましい。この範囲であれば、厚膜を容易に形成することができる。
本発明に用いられる(a)成分は、一般式(2)〜(5)のいずれかで表される構造単位のみからなるものであってもよいし、他の構造単位との共重合体あるいは混合体であってもよい。その際、一般式(2)〜(5)のいずれかで表される構造単位を樹脂全体の10重量%以上含有することが好ましく、30重量%以上がより好ましい。これらの中でも低温焼成時の耐熱性や保存安定性の点から、一般式(2)の構造単位を分子中に20〜200含むことが好ましく、30〜150含むことがより好ましい。共重合あるいは混合に用いられる構造単位の種類および量は、最終加熱処理によって得られる薄膜の機械特性を損なわない範囲で選択することが好ましい。このような主鎖骨格としては例えば、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、(b)一般式(1)で表される構造単位を主成分とするフェノール樹脂を含有する。一般式(1)で表される構造単位は、フェノール樹脂の構造単位総数の70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。この範囲にすることで、適度なアルカリ可溶性を有することができるため高感度化が可能になる。フェノール樹脂の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算で1000〜50000、好ましくは1500〜40000である。この範囲にすることで、アルカリ可溶性への適度な溶解速度を持ちながら、機械特性や耐薬品性などの膜特性に優れた樹脂組成物となる。また、一般式(1)で表される構造単位を主成分とするフェノール樹脂において、一般式(1)で表される構造単位中のR3の50%以上がアルキル基であり、70%以上がアルキル基であることが好ましく、90%以上がアルキル基であることがより好ましい。この範囲にすることで、優れた膜特性を有しながら、十分な保存安定性を有する樹脂組成物となる。メチロールのアルコキシ化率は、H-NMRで見積もることができる。また、メチロール基が完全にアルコキシ化されていた場合、赤外線吸収分析メチロールにおいて、メチロール基に起因する1025cm-1のピークが見られなくなる。
(b)一般式(1)で表される構造単位を主成分とするフェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ性触媒の存在下で反応させた後、更に、酸性下にて常法でメチロール基のアルコキシ化を行うことにより得ることができる。また、水洗を繰り返すことで、(b)一般式(1)で表される構造単位を主成分とするフェノール樹脂において、金属含有量を1ppm以下とすることが好ましい。金属含有量を1ppm以下にすることで、半導体に必要な絶縁性を得ることが可能となる。
フェノール類としては、例えば、フェノール、p−クレゾール、m−クレゾール、o−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール、メチレンビスフェノール、メチレンビス(p−クレゾール)、レゾルシン、カテコール、2−メチルレゾルシン、4−メチルレゾルシン、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、2,3−ジクロロフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、p−ブトキシフェノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−ジエチルフェノール、2,5−ジエチルフェノール、p−イソプロピルフェノール、α−ナフトール、β−ナフトールなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
一般式(1)で表される構造単位を導入するため、上記のフェノール類の中でも、フェノール、p−クレゾール、m−クレゾール、o−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノールを用いることが好ましい。
また、アルデヒド類としては、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロロアセトアルデヒドなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
また、アルカリ性触媒としては、アルカリ金属の水酸化物やアルカリ土類金属の水酸化物を用いることが出来る。金属が感光性樹脂組成物に混入するとバッファーコート膜の絶縁性を損なうことになり好ましくないが、合成したフェノール樹脂の溶液から水等の溶媒を用いて金属を抽出することで、金属塩触媒は除去できる。
アルコキシ化に使用するアルコ−ルとしては、炭素数1〜4の1価のアルコ−ル、例えばメタノ−ル、エタノ−ル、n−プロパノ−ル、n−ブタノール、イソブタノールが適当である。
(b)フェノール樹脂の含有量は、(a)成分の樹脂100重量部に対して、1〜1000重量部が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、(c)感光剤を含有する。(c)感光剤を含有することにより、紫外線露光部に酸が発生し、露光部のアルカリ水溶液に対する溶解性が増大するため、ポジ型感光性樹脂組成物として用いることができる。
本発明に用いられる(c)感光剤としては、キノンジアジド化合物、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩などが挙げられる。中でも優れた溶解抑止効果を発現し、高感度かつ低膜減りの感光性樹脂組成物を得られるという点から、キノンジアジド化合物が好ましく用いられる。また、感光剤を2種以上含有してもよい。これにより、露光部と未露光部の溶解速度の比をより大きくすることができ、高感度な感光性樹脂組成物を得ることができる。
キノンジアジド化合物としては、ポリヒドロキシ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合したもの、ポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がスルホンアミド結合したもの、ポリヒドロキシポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合および/またはスルホンアミド結合したものなどが挙げられる。これらポリヒドロキシ化合物やポリアミノ化合物の全ての官能基がキノンジアジドで置換されていなくても良いが、官能基全体の50モル%以上がキノンジアジドで置換されていることが好ましい。このようなキノンジアジド化合物を用いることで、一般的な紫外線である水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)、g線(波長436nm)により反応するポジ型の感光性樹脂組成物を得ることができる。
本発明において、キノンジアジド化合物は5−ナフトキノンジアジドスルホニル基、4−ナフトキノンジアジドスルホニル基のいずれも好ましく用いられる。同一分子中にこれらの基を両方有する化合物を用いてもよいし、異なる基を用いた化合物を併用してもよい。
本発明に用いられるキノンジアジド化合物は、特定のフェノール化合物から、次の方法により合成される。例えば5−ナフトキノンジアジドスルホニルクロライドとフェノール化合物をトリエチルアミン存在下で反応させる方法が挙げられる。フェノール化合物の合成方法は、酸触媒下で、α−(ヒドロキシフェニル)スチレン誘導体を多価フェノール化合物と反応させる方法などが挙げられる。
(c)感光剤の含有量は、(a)成分の樹脂100重量部に対して、好ましくは3〜40重量部である。感光剤の含有量をこの範囲とすることにより、より高感度化を図ることができる。さらに増感剤などを必要に応じて含有してもよい。
本発明の樹脂組成物は、さらに(d)熱酸発生剤を含有してもよい。(d)熱酸発生剤は、加熱により酸を発生し、(b)成分のメチロール基、アルコキシメチル基の架橋反応を促進する他、未閉環のイミド環、オキサゾール環の環化を促進し、硬化膜の機械特性をより向上させることができる。
本発明の樹脂組成物は、(b)成分とは別に、アルコキシメチル基またはメチロール基を少なくとも2つ有する化合物を含有してもよい。これらの基を少なくとも2つ有することで、樹脂および同種分子と縮合反応して架橋構造体とすることができる。(b)成分と併用することで、感度や硬化膜の機械特性の向上のためにより幅広い設計が可能になる。
このような化合物の好ましい例としては、例えば、DML−PC、DML−PEP、DML−OC、DML−OEP、DML−34X、DML−PTBP、DML−PCHP、DML−OCHP、DML−PFP、DML−PSBP、DML−POP、DML−MBOC、DML−MBPC、DML−MTrisPC、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−BPC、DML−BisOC−P、DMOM−PC、DMOM−PTBP、DMOM−MBPC、TriML−P、TriML−35XL、TML−HQ、TML−BP、TML−pp−BPF、TML−BPE、TML−BPA、TML−BPAF、TML−BPAP、TMOM−BP、TMOM−BPE、TMOM−BPA、TMOM−BPAF、TMOM−BPAP、HML−TPPHBA、HML−TPHAP、HMOM−TPPHBA、HMOM−TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、NIKALAC(登録商標) MX−290、NIKALAC MX−280、NIKALAC MX−270、NIKALAC MX−279、NIKALAC MW−100LM、NIKALAC MX−750LM(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
アルコキシメチル基またはメチロール基を少なくとも2つ有する化合物の含有量は、(a)成分の樹脂100重量部に対して、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上、より好ましくは10重量部以上であり、好ましくは300重量部以下、より好ましくは200重量部以下である。
また、必要に応じて、キュア後の収縮残膜率を小さくしない範囲でフェノール性水酸基を有する低分子化合物を含有してもよい。これにより、現像時間を短縮することができる。
これらの化合物としては、例えば、Bis−Z、BisP−EZ、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、BisOCHP−Z、BisP−MZ、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisOCP−IPZ、BisP−CP、BisRS−2P、BisRS−3P、BisP−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−BIPC−F(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
フェノール性水酸基を有する低分子化合物の含有量は、(a)成分の樹脂100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部である。
本発明の樹脂組成物は、溶剤を含有することが好ましい。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの極性の非プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートなどのエステル類、乳酸エチル、乳酸メチル、ジアセトンアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。溶媒の含有量は、(a)成分の樹脂100重量部に対して、100〜1500重量部が好ましい。
本発明の樹脂組成物の粘度は、2〜5000mPa・sが好ましい。粘度が2mPa・s以上となるように固形分濃度を調整することにより、所望の膜厚を得ることが容易になる。一方粘度が5000mPa・s以下であれば、均一性の高い塗布膜を得ることが容易になる。このような粘度を有する樹脂組成物は、例えば固形分濃度を5〜60重量%にすることで容易に得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて基板との濡れ性を向上させる目的で界面活性剤、乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、エタノールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエ−テル類を含有してもよい。
また、本発明の樹脂組成物は無機粒子を含んでもよい。好ましい具体例としては酸化珪素、酸化チタン、チタン酸バリウム、アルミナ、タルクなどが挙げられるがこれらに限定されない。これら無機粒子の一次粒子径は100nm以下、より好ましくは60nm以下が好ましい。
また、基板との接着性を高めるために、保存安定性を損なわない範囲で本発明の樹脂組成物にシリコン成分として、トリメトキシアミノプロピルシラン、トリメトキシエポキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリメトキシチオールプロピルシランなどのシランカップリング剤を含有してもよい。好ましい含有量は、(a)成分の樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部である。
次に、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いて耐熱性樹脂パターンを形成する方法について説明する。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を基板に塗布する。基板としてはシリコンウェハー、セラミックス類、ガリウムヒ素などが用いられるが、これらに限定されない。塗布方法としてはスピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティングなどの方法がある。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が0.1〜150μmになるように塗布される。
シリコンウェハーなどの基板とポジ型感光性樹脂組成物との接着性を高めるために、基板を前述のシランカップリング剤で前処理することもできる。例えば、シランカップリング剤をイソプロパノール、エタノール、メタノール、水、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、アジピン酸ジエチルなどの溶媒に0.5〜20重量%溶解させた溶液を、スピンコート、浸漬、スプレー塗布、蒸気処理などにより表面処理をする。場合によっては、その後50℃〜300℃までの熱処理を行い、基板とシランカップリング剤との反応を進行させる。
次にポジ型感光性樹脂組成物を塗布した基板を乾燥して、ポジ型感光性樹脂組成物被膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用し、50℃〜150℃の範囲で1分間〜数時間行うことが好ましい。
次に、このポジ型感光性樹脂組成物被膜上に所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)、g線(波長436nm)を用いることが好ましい。
耐熱性樹脂のパターンを形成するには、露光後、現像液を用いて露光部を除去する。現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。また場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを添加してもよい。現像後は水にてリンス処理をすることが好ましい。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしてもよい。
現像後、150℃〜500℃の温度を加えて熱架橋反応を進行させ、耐熱性および耐薬品性を向上させる。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分間〜5時間実施する。一例としては、130℃、200℃で各30分ずつ熱処理する。あるいは室温より400℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。本発明においてのキュア条件としては150℃以上350℃以下が好ましいが、本発明は特に低温硬化性において優れた硬化膜を提供するものであるため、180℃以上280℃以下がより好ましい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物により形成した耐熱性樹脂被膜は、半導体のパッシベーション膜、半導体素子の保護膜、高密度実装用多層配線の層間絶縁膜などの用途に好適に用いられる。本発明のポジ型感光性樹脂組成物を使用して得られる表面保護膜や層間絶縁膜等を有する電子デバイスとしては、例えば、耐熱性の低いMRAMが好ましい。すなわち、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、MRAMの表面保護膜用として好適である。また、MRAM以外にも次世代メモリとして有望なポリマーメモリ(PolymerFerroelectric RAM:PFRAM)や相変化メモリ(Phase Change RAM:PCRAM、あるいはOvonics Unified Memory:OUM)も、従来のメモリに比べて耐熱性の低い新材料を用いる可能性が高い。したがって、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、これらの表面保護膜用としても好適である。また、基板上に形成された第一電極と、前記第一電極に対向して設けられた第二電極とを含む表示装置、具体的には例えば、LCD、ECD、ELD、有機電界発光素子を用いた表示装置(有機電界発光装置)などの絶縁層に用いることができる。特に、近年の半導体素子の電極や多層配線、回路基板の配線は、構造のさらなる微細化に伴い、銅電極、銅配線が主流となっており、本発明の感光性樹脂組成物により形成した耐熱性樹脂被膜をそのような電極、配線の保護膜として用いると、下地の銅電極や銅配線を腐食することなく高感度でパターン形成できるため、特に好ましく用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。まず、各実施例および比較例における評価方法について説明する。評価には、あらかじめ1μmのポリテトラフルオロエチレン製のフィルター(住友電気工業(株)製)で濾過したポジ型感光性樹脂組成物(以下ワニスと呼ぶ)を用いた。
(1)重量平均分子量測定
(a)成分の樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)装置Waters2690−996(日本ウォーターズ(株)製)を用い、展開溶媒をN−メチル−2−ピロリドン(以降NMPと呼ぶ)として測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量(Mw)を計算した。
(2)金属含有量の測定
(b)成分のフェノール樹脂における金属含有率は、次の方法で測定した。樹脂を白金るつぼに精秤し、バーナで炭化した後、電気炉(550℃)で灰化し、希硫酸に溶解し試料溶液とした。得られた溶液をICP発光分析装置(ICP−OES:エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 SPS3100)を用い、ナトリウム、カリウム、鉄、銅、クロムの量を測定した。
(3)アルコキシ化率の測定
(b)成分のフェノール樹脂におけるメチロール基のアルコキシ化率は、次の方法で測定した。400MHz 1H−NMR(核磁気共鳴)装置(日本電子株式会社製 AL−400)を用い、フェノール樹脂を重水素化クロロホルム溶液中、積算回数16回で測定した。メチロール基−CH2OHにおける−CH2−のプロトン(化学シフト=4.53ppm)の積分値とアルコキシ化されたアルコキシメチル−CH2ORにおける−CH2−のプロトン(化学シフト=4.80ppm)の積分値を測定し、次式により、フェノール樹脂におけるアルコキシ化率を算出した。
(アルコキシ化率)=(アルコキシメチルの積分値)/((アルコキシメチル積分値)+(メチロールの−CH2-の積分値))*100%
(4)感度の評価
ワニスを、6インチのシリコンウェハー上に120℃で3分間のベーク後の膜厚が5μmになるように、塗布現像装置Mark−7(東京エレクトロン(株)製)を用いてスピンコート法で塗布およびプリベークを行なった。露光機i線ステッパーDSW−8000(GCA社製)にパターンの切られたレチクルをセットし、50〜1000mJ/cm2の露光量で50mJ/cm2ステップで露光した。露光後、Mark−7の現像装置を用いて、2.38重量%のテトラメチルアンモニウム水溶液(以下TMAH、多摩化学工業(株)製)を用いてパドル法で現像液の吐出時間10秒、パドル時間40秒の現像を2回繰り返し、その後純水でリンス後、振り切り乾燥し、ポジ型のパターンを得た。パターンをFDP顕微鏡MX61(オリンパス(株)製)の倍率20倍で観察し、5μmのパターンが解像している最低露光量(以後Ethとする)を求め、これを感度とした。Ethが300(mJ/cm2)以下であるものを良好とした。
(5)膜厚測定
膜厚は光干渉式膜厚測定装置ラムダエースSTM−602(大日本スクリーン製造(株)製)を使用して、屈折率1.629で測定した。
(6)保存安定性の評価
E型回転粘度計(東機産業(株)製)を用いて25℃におけるワニスの粘度を測定した(試験前粘度)。さらに40℃でワニスを1週間、2週間放置した後、再び25℃で粘度測定を行ない(試験後粘度)、粘度の保存安定性を評価した。2週間後の粘度の変化率の全体値が15%を超えるものを不安定(×)、10%を超え15%以内であるものを安定(○)、10%以内であるものをより安定(◎)と評価した。
(7)硬化膜の耐薬品性の評価
ワニスを6インチのシリコンウェハー上に、120℃で3分間のプリベーク後の膜厚が11μmとなるように塗布現像装置Mark−7を用いてスピンコート法で塗布およびプリベークした後、イナートオーブンCLH−21CD−S(光洋サーモシステム(株)製)を用いて、酸素濃度20ppm以下で3.5℃/分で200℃まで昇温し、200℃で1時間加熱処理を行なった。温度が50℃以下になったところでウェハーを取り出し、膜厚を測定後、ウェハーを3等分し、アセトン、NMP、2.38重量%TMAHの溶剤にウエハを15分浸漬した。溶剤から取り出したウェハを純水で洗浄した後、再度膜厚を測定し、その変化率の絶対値が2%を超えるものを不十分(×)、2%以内であって1%を超えるものを良好(○)、1%以内であるものをより良好(◎)とした。
(8)体積抵抗の評価
ワニスを6インチのシリコンウェハー上に、120℃で3分間のプリベーク後の膜厚が11μmとなるように塗布現像装置Mark−7を用いてスピンコート法で塗布およびプリベークした後、イナートオーブンCLH−21CD−S(光洋サーモシステム(株)製)を用いて、酸素濃度20ppm以下で3.5℃/分で200℃まで昇温し、200℃で1時間加熱処理を行なった。温度が50℃以下になったところでウェハーを取り出し、45重量%のフッ化水素酸に5分間浸漬することで、ウェハーより樹脂組成物の膜を剥がした。
室温環境下にて、該環境下にてアドバンテスト(株)製絶縁抵抗計TR-8601 HIGH MEGOHM METER とアドバンテスト(株)ULTRA HIGH MEGOHM METERを用い1 0 0 V における体積抵抗率を測定した。体積抵抗率が1×1014 Ω・cm未満であるものを不十分(×)、1×1014 Ω・cm以上1×1016 Ω・cm未満であるものを良好(○)、1×1016 Ω・cm以上であるものをより良好(◎)とした。
合成例1 ヒドロキシル基含有ジアミン化合物の合成
2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(以降BAHFと呼ぶ)18.3g(0.05モル)をアセトン100mL、プロピレンオキシド17.4g(0.3モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに4−ニトロベンゾイルクロリド20.4g(0.11モル)をアセトン100mLに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間反応させ、その後室温に戻した。析出した白色固体をろ別し、50℃で真空乾燥した。
固体30gを300mLのステンレスオートクレーブに入れ、メチルセロソルブ250mLに分散させ、5%パラジウム−炭素を2g加えた。ここに水素を風船で導入して、還元反応を室温で行なった。約2時間後、風船がこれ以上しぼまないことを確認して反応を終了させた。反応終了後、濾過して触媒であるパラジウム化合物を除き、ロータリーエバポレーターで濃縮し、下記式で表されるヒドロキシル基含有ジアミン化合物を得た。
合成例2 キノンジアジド化合物の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−PA(商品名、本州化学工業(株)製)21.22g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド26.86g(0.10モル)、4−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド13.43g(0.05モル)を1,4−ジオキサン50gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合したトリエチルアミン15.18gを、系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、ろ液を水に投入した。その後、析出した沈殿をろ過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記式で表されるキノンジアジド化合物を得た。
合成例3 フェノール樹脂の合成
フェノール94g(1モル)、37%ホルムアルデヒド水溶液243.3g(3モル)及び10%水酸化ナトリウム水溶液80g(0.2モル)をフラスコに仕込み、40℃で8時間反応させた。次に80℃に昇温し、80℃でさらに10時間反応させ、反応終了後、冷却し15%硫酸水溶液をゆっくりと添加し、pHを3.0に調整した。
ここで、この反応物は、下層のレゾール型フェノール樹脂中間体と上層の中和塩およびフェノールモノマー、メチロール化フェノール1核体を含む水層部とに分離した。この上層液を除去し、下層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、上層液を
除去した。系内の脱水処理を行った後の内容液に、1−ブタノールを296g(4モル)、75%燐酸を13g(0.2モル)入れ、常圧で環流が開始されまで内温を上げて行き、115〜123℃でアルコキシ化反応を10時間行った。この間、本反応を完結させるため、反応中に生成する水をたえず除去しながら反応を継続させた。10時間の反応終了後、トルエン552g(6モル)を加え、イオン交換水300gを添加し、混合・静置した。
この反応物は、末端のメチロール基がブチルエーテル化されたレゾール型フェノール樹脂を含む上層樹脂液と、アルコキシ化反応時に触媒として用いた燐酸を含む下層水溶液とに分離した。この下層液を除去し、上層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、前述と同じ下層液を除去した。この操作を、系内の金属分が1 ppm以下になるまで繰り返しあと、減圧下で溶剤を取り除き、γ−ブチロラクトン(以降GBLと呼ぶ)を加え、不揮発分を50%に調整した溶液をフェノール樹脂(B−1)とした。フェノール樹脂(B−1)は、重量平均分子量は6000であり、アルコキシ化率は100%であった。
合成例4 フェノール樹脂の合成
フェノール94g(1モル)、37%ホルムアルデヒド水溶液243.3g(3モル)及び10%水酸化ナトリウム水溶液80g(0.2モル)をフラスコに仕込み、40℃で8時間反応させた。次に80℃に昇温し、80℃でさらに10時間反応させ、反応終了後、冷却し15%硫酸水溶液をゆっくりと添加し、pHを3.0に調整した。
ここで、この反応物は、下層のレゾール型フェノール樹脂中間体と上層の中和塩およびフェノールモノマー、メチロール化フェノール1核体を含む水層部とに分離した。この上層液を除去し、下層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、上層液を除去した。系内の脱水処理を行った後の内容液に、1−ブタノールを296g(4モル)、75%燐酸を13g(0.2モル)入れ、常圧で環流が開始されまで内温を上げて行き、115〜123℃でアルコキシ化反応を3時間行った。この間、本反応を完結させるため、反応中に生成する水をたえず除去しながら反応を継続させた。3時間の反応終了後、トルエン552g(6モル)を加え、イオン交換水300gを添加し、混合・静置した。
この反応物は、末端のメチロール基がブチルエーテル化されたレゾール型フェノール樹脂を含む上層樹脂液と、アルコキシ化反応時に触媒として用いた燐酸を含む下層水溶液とに分離した。この下層液を除去し、上層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、前述と同じ下層液を除去した。この操作を、系内の金属分が1ppm以下になるまで繰り返しあと、減圧下で溶剤を取り除き、GBLを加え、不揮発分を50%に調整した溶液をフェノール樹脂(B−2)とした。フェノール樹脂(B−2)は、重量平均分子量は5800であり、アルコキシ化率は80%であった。
合成例5 フェノール樹脂の合成
フェノール94g(1モル)、37%ホルムアルデヒド水溶液243.3g(3モル)及び10%水酸化ナトリウム水溶液80g(0.2モル)をフラスコに仕込み、40℃で8時間反応させた。次に80℃に昇温し、80℃でさらに10時間反応させ、反応終了後、冷却し15%硫酸水溶液をゆっくりと添加し、pHを3.0に調整した。
ここで、この反応物は、下層のレゾール型フェノール樹脂中間体と上層の中和塩およびフェノールモノマー、メチロール化フェノール1核体を含む水層部とに分離した。この上層液を除去し、下層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、上層液を除去した。系内の脱水処理を行った後の内容液に、1−ブタノールを296g(4モル)、75%燐酸を13g(0.2モル)入れ、常圧で環流が開始されまで内温を上げて行き、115〜123℃でアルコキシ化反応を1時間行った。この間、本反応を完結させるため、反応中に生成する水をたえず除去しながら反応を継続させた。1時間の反応終了後、トルエン552g(6モル)を加え、イオン交換水300gを添加し、混合・静置した。
この反応物は、末端のメチロール基がブチルエーテル化されたレゾール型フェノール樹脂を含む上層樹脂液と、アルコキシ化反応時に触媒として用いた燐酸を含む下層水溶液とに分離した。この下層液を除去し、上層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、前述と同じ下層液を除去した。この操作を、系内の金属分が1 ppm以下になるまで繰り返しあと、減圧下で溶剤を取り除き、GBLを加え、不揮発分を50%に調整した溶液をフェノール樹脂(B−3)とした。フェノール樹脂(B−3)は、重量平均分子量は5800であり、アルコキシ化率を50%であった。
合成例6 フェノール樹脂の合成
乾燥窒素気流下、m−クレゾール70.2g(0.65モル)、p−クレゾール37.8g(0.35モル)、37%ホルムアルデヒド水溶液243.3g(3モル)及び10%水酸化ナトリウム水溶液80g(0.2モル)をフラスコに仕込み、40℃で8時間反応させた。次に80℃に昇温し、80℃でさらに10時間反応させ、反応終了後、冷却し15%硫酸水溶液をゆっくりと添加し、pHを3.0に調整した。
ここで、この反応物は、下層のレゾール型フェノール樹脂中間体と上層の中和塩およびフェノールモノマー、メチロール化フェノール1核体を含む水層部とに分離した。この上層液を除去し、下層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、上層液を除去した。系内の脱水処理を行った後の内容液に、1−ブタノールを296g(4モル)、75%燐酸を13g(0.2モル)入れ、常圧で環流が開始されまで内温を上げて行き、115〜123℃でアルコキシ化反応を10時間行った。この間、本反応を完結させるため、反応中に生成する水をたえず除去しながら反応を継続させた。10時間の反応終了後、トルエン552g(6モル)を加え、イオン交換水300gを添加し、混合・静置した。
この反応物は、末端のメチロール基がブチルエーテル化されたレゾール型フェノール樹脂を含む上層樹脂液と、アルコキシ化反応時に触媒として用いた燐酸を含む下層水溶液とに分離した。この下層液を除去し、上層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、前述と同じ下層液を除去した。この操作を、系内の金属分が1 ppm以下になるまで繰り返しあと、減圧下で溶剤を取り除き、GBLを加え、不揮発分を50%に調整した溶液をフェノール樹脂(B−4)とした。フェノール樹脂(B−4)は、重量平均分子量は5800であり、アルコキシ化率は100%であった。
合成例7 フェノール樹脂の合成
乾燥窒素気流下、m−クレゾール108g(1.0モル)、37%ホルムアルデヒド水溶液243.3g(3モル)及び10%水酸化ナトリウム水溶液80g(0.2モル)をフラスコに仕込み、40℃で8時間反応させた。次に80℃に昇温し、80℃でさらに10時間反応させ、反応終了後、冷却し15%硫酸水溶液をゆっくりと添加し、pHを3.0に調整した。
ここで、この反応物は、下層のレゾール型フェノール樹脂中間体と上層の中和塩およびフェノールモノマー、メチロール化フェノール1核体を含む水層部とに分離した。この上層液を除去し、下層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、上層液を
除去した。系内の脱水処理を行った後の内容液に、1−ブタノールを296g(4モル)、75%燐酸を13g(0.2モル)入れ、常圧で環流が開始されまで内温を上げて行き、115〜123℃でアルコキシ化反応を10時間行った。この間、本反応を完結させるため、反応中に生成する水をたえず除去しながら反応を継続させた。10時間の反応終了後、トルエン552g(6モル)を加え、イオン交換水300gを添加し、混合・静置した。
この反応物は、末端のメチロール基がブチルエーテル化されたレゾール型フェノール樹脂を含む上層樹脂液と、アルコキシ化反応時に触媒として用いた燐酸を含む下層水溶液とに分離した。この下層液を除去し、上層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、前述と同じ下層液を除去した。この操作を、系内の金属分が1ppm以下になるまで繰り返しあと、減圧下で溶剤を取り除き、GBLを加え、不揮発分を50%に調整した溶液をフェノール樹脂(B−5)とした。フェノール樹脂(B−5)は、重量平均分子量は5800であり、アルコキシ化率は100%であった。
合成例8 フェノール樹脂の合成
乾燥窒素気流下、m−クレゾール108g(1.0モル)、37%ホルムアルデヒド水溶液243.3g(3モル)及び10%水酸化ナトリウム水溶液80g(0.2モル)をフラスコに仕込み、40℃で8時間反応させた。次に80℃に昇温し、80℃でさらに10時間反応させ、反応終了後、冷却し15%硫酸水溶液をゆっくりと添加し、pHを3.0に調整した。
ここで、この反応物は、下層のレゾール型フェノール樹脂中間体と上層の中和塩およびフェノールモノマー、メチロール化フェノール1核体を含む水層部とに分離した。この上層液を除去し、下層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、上層液を除去した。系内の脱水処理を行った後の内容液に、メタノールを160g(5モル)、75%燐酸を13g(0.2モル)入れ、常圧で環流が開始されまで内温を上げて行き、アルコキシ化反応を18時間行った。この間、本反応を完結させるため、反応中に生成する水をたえず除去しながら反応を継続させた。18時間の反応終了後、トルエン552g(6モル)を加え、イオン交換水300gを添加し、混合・静置した。
この反応物は、末端のメチロール基がメチルエーテル化されたレゾール型フェノール樹脂を含む上層樹脂液と、アルコキシ化反応時に触媒として用いた燐酸を含む下層水溶液とに分離した。この下層液を除去し、上層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、前述と同じ下層液を除去した。この操作を、系内の金属分が1ppm以下になるまで繰り返しあと、減圧下で溶剤を取り除き、GBLを加え、不揮発分を50%に調整した溶液をフェノール樹脂(B−6)とした。フェノール樹脂(B−6)は、重量平均分子量は5800であり、アルコキシ化率は100%であった。
合成例9 フェノール樹脂の合成
乾燥窒素気流下、m−クレゾール108g(1.0モル)、37%ホルムアルデヒド水溶液243.3g(3モル)及び10%水酸化ナトリウム水溶液80g(0.2モル)をフラスコに仕込み、40℃で8時間反応させた。次に80℃に昇温し、80℃でさらに10時間反応させ、反応終了後、冷却し15%硫酸水溶液をゆっくりと添加し、pHを3.0に調整した。
ここで、この反応物は、下層のレゾール型フェノール樹脂中間体と上層の中和塩およびフェノールモノマー、メチロール化フェノール1核体を含む水層部とに分離した。この上層液を除去し、下層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、上層液を除去した。系内の脱水処理を行った後の内容液に、エタノールを230g(5モル)、75%燐酸を13g(0.2モル)入れ、常圧で環流が開始されまで内温を上げて行き、アルコキシ化反応を15時間行った。この間、本反応を完結させるため、反応中に生成する水をたえず除去しながら反応を継続させた。15時間の反応終了後、トルエン552g(6モル)を加え、イオン交換水300gを添加し、混合・静置した。
この反応物は、末端のメチロール基がエチルエーテル化されたレゾール型フェノール樹脂を含む上層樹脂液と、アルコキシ化反応時に触媒として用いた燐酸を含む下層水溶液とに分離した。この下層液を除去し、上層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、前述と同じ下層液を除去した。この操作を、系内の金属分が1ppm以下になるまで繰り返しあと、減圧下で溶剤を取り除き、GBLを加え、不揮発分を50%に調整した溶液をフェノール樹脂(B−7)とした。フェノール樹脂(B−7)は、重量平均分子量は5800であり、アルコキシ化率は100%であった。
合成例10 フェノール樹脂の合成
乾燥窒素気流下、m−クレゾール70.2g(0.65モル)、p−クレゾール37.8g(0.35モル)、37重量%ホルムアルデヒド水溶液75.5g(ホルムアルデヒド0.93モル)、シュウ酸二水和物0.63g(0.005モル)、メチルイソブチルケトン264gを仕込んだ後、油浴中に浸し、反応液を還流させながら、7時間重縮合反応を行った。その後、油浴の温度を3時間かけて昇温し、その後に、フラスコ内の圧力を40〜67hPaまで減圧し、揮発分を除去し、溶解している樹脂を室温まで冷却して、GBLを加え、不揮発分を50%に調整した溶液をノボラック樹脂のフェノール樹脂(B’-1)とした。重量平均分子量は7000であった。
合成例11 フェノール樹脂の合成
乾燥窒素気流下、m−クレゾール108g(1.0モル)、37%ホルムアルデヒド水溶液243.3g(3モル)及び10%水酸化ナトリウム水溶液80g(0.2モル)をフラスコに仕込み、40℃で8時間反応させた。次に80℃に昇温し、80℃でさらに10時間反応させ、反応終了後、冷却し15%硫酸水溶液をゆっくりと添加し、pHを3.0に調整した。
ここで、この反応物は、下層のレゾール型フェノール樹脂中間体と上層の中和塩およびフェノールモノマー、メチロール化フェノール1核体を含む水層部とに分離した。この上層液を除去し、下層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、上層液を除去した。この下層液を除去し、上層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、前述と同じ下層液を除去した。この操作を、系内の金属分が1ppm以下になるまで繰り返しあと、減圧下で溶剤を取り除いた。GBLを加え、不揮発分を50%に調整した溶液をフェノール樹脂(B’-2)とした。フェノール樹脂は、重量平均分子量は5300であり、アルコキシ化は行っていない。
合成例12 フェノール樹脂の合成
乾燥窒素気流下、フェノール94g(1モル)g(1.0モル)、37%ホルムアルデヒド水溶液243.3g(3モル)及び10%水酸化ナトリウム水溶液80g(0.2モル)をフラスコに仕込み、40℃で8時間反応させた。次に80℃に昇温し、80℃でさらに10時間反応させ、反応終了後、冷却し15%硫酸水溶液をゆっくりと添加し、pHを3.0に調整した。
ここで、この反応物は、下層のレゾール型フェノール樹脂中間体と上層の中和塩およびフェノールモノマー、メチロール化フェノール1核体を含む水層部とに分離した。この上層液を除去し、下層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、上層液を除去した。この下層液を除去し、上層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、前述と同じ下層液を除去した。この操作を、系内の金属分が1ppm以下になるまで繰り返しあと、減圧下で溶剤を取り除いた。GBLを加え、不揮発分を50%に調整した溶液をフェノール樹脂(B’-3)とした。フェノール樹脂(B’-3)は、重量平均分子量は5800であり、アルコキシ化は行っていない。
合成例13 フェノール樹脂の合成
フェノール94g(1モル)、37%ホルムアルデヒド水溶液243.3g(3モル)及び10%水酸化ナトリウム水溶液80g(0.2モル)をフラスコに仕込み、40℃で8時間反応させた。次に80℃に昇温し、80℃でさらに10時間反応させ、反応終了後、冷却し15%硫酸水溶液をゆっくりと添加し、pHを3.0に調整した。
ここで、この反応物は、下層のレゾール型フェノール樹脂中間体と上層の中和塩およびフェノールモノマー、メチロール化フェノール1核体を含む水層部とに分離した。この上層液を除去し、下層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、上層液を除去した。系内の脱水処理を行った後の内容液に、1−ブタノールを296g(4モル)、75%燐酸を13g(0.2モル)入れ、常圧で環流が開始されまで内温を上げて行き、115〜123℃でアルコキシ化反応を10時間行った。この間、本反応を完結させるため、反応中に生成する水をたえず除去しながら反応を継続させた。10時間の反応終了後、トルエン552g(6モル)を加え、イオン交換水300gを添加し、混合・静置した。
この反応物は、末端のメチロール基がブチルエーテル化されたレゾール型フェノール樹脂を含む上層樹脂液と、アルコキシ化反応時に触媒として用いた燐酸を含む下層水溶液とに分離した。この下層液を除去し、上層液に300gの水を添加・混合、再度、静置・分離させ、前述と同じ下層液を除去した。金属分の洗浄を行わず、減圧下で溶剤を取り除き、GBLを加え、不揮発分を50%に調整した溶液をフェノール樹脂(B’-4)とした。フェノール樹脂(B’−4)は、重量平均分子量は6000であり、アルコキシ化率は100%であった。
合成例14 フェノール樹脂の合成
乾燥窒素気流下、m−クレゾール108g(1.0モル)、37%ホルムアルデヒド水溶液243.3g(3モル)及び10%水酸化ナトリウム水溶液80g(0.2モル)をフラスコに仕込み、40℃で2時間反応させた。次に80℃に昇温し、80℃でさらに0.5時間反応させ、反応終了後、冷却し15%硫酸水溶液をゆっくりと添加し、pHを3.0に調整した。
ここで、この反応物は、下層のレゾール型フェノール樹脂中間体と上層の中和塩およびフェノールモノマー、メチロール化フェノール1核体を含む水層部とに分離した。この上層液を除去し、下層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、上層液を除去した。系内の脱水処理を行った後の内容液に、メタノールを160g(5モル)、75%燐酸を13g(0.2モル)入れ、常圧で環流が開始されまで内温を上げて行き、アルコキシ化反応を10時間行った。この間、本反応を完結させるため、反応中に生成する水をたえず除去しながら反応を継続させた。10時間の反応終了後、トルエン552g(6モル)を加え、イオン交換水300gを添加し、混合・静置した。
この反応物は、末端のメチロール基がメチルエーテル化されたレゾール型フェノール樹脂を含む上層樹脂液と、アルコキシ化反応時に触媒として用いた燐酸を含む下層水溶液とに分離した。この下層液を除去し、上層液に300gの水を添加・混合し、再度、静置・分離させ、前述と同じ下層液を除去した。この操作を、系内の金属分が1ppm以下になるまで繰り返しあと、減圧下で溶剤を取り除き、GBLを加え、不揮発分を50%に調整した溶液をフェノール樹脂(B’-5)とした。フェノール樹脂(B’-5)は、重量平均分子量は750であり、アルコキシ化率は100%であった。
実施例1
乾燥窒素気流下、BAHF29.30g(0.08モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)、末端封止剤として、4−アミノフェノール(東京化成工業(株)製)3.27g(0.03モル)をNMP80gに溶解させた。ここにビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(以降ODPAと呼ぶ、マナック(株)製)31.2g(0.1モル)をNMP20gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間反応させた。その後、キシレンを15g添加し、水をキシレンとともに共沸しながら、150℃で5時間撹拌した。撹拌終了後、溶液を水3Lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿を濾過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で20時間乾燥しアルカリ可溶性ポリイミド樹脂(A−1)の粉末を得た。上記の方法で評価した結果、樹脂(A−1)の重量平均分子量は32600、イミド化率は100%と見積もられた。
得られた樹脂(A−1)5gに(b)成分として(B−1)を10.0g、(c)成分として合成例2で得られたキノンジアジド化合物0.6g、溶剤としてGBLを10g加えてワニスを作製し、上記の方法で評価を行なった。
実施例2
乾燥窒素気流下、ODPA6.20g(0.02モル)をNMP100gに溶解させた。ここに合成例1で得られたヒドロキシル基含有ジアミン化合物9.07g(0.015モル)と1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.25g(0.001モル)をNMP25gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で2時間反応させた。次に末端封止剤として4−アミノフェノール0.87g(0.008モル)をNMP5gとともに加え、50℃で2時間反応させた。その後、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール7.15g(0.06モル)をNMP10gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、50℃で3時間撹拌した。撹拌終了後、溶液を室温まで冷却した後、溶液を水1Lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿を濾過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で20時間乾燥し、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体構造を含むアルカリ可溶性樹脂(A−2)の粉末を得た。上記の方法で評価した結果、樹脂(A−2)の重量平均分子量は34000、イミド化率は19%と見積もられた。
得られた樹脂(A−2)5gに(b)成分として(B−1)を10.0g、(c)成分として合成例2で得られたキノンジアジド化合物0.6g、溶剤としてGBLを10g加えてワニスを作製し、上記の方法で評価を行なった。
実施例3
18.3g(0.05モル)のBAHFをエタノール(ナカライテスク(株)製)150mL中に溶解させ、5℃に冷却した。ここに、カリウム−t−ブトキシド11.2g(0.1モル、東京化成(株)製)を徐々に加えた。さらに、二炭酸−t−ブチル21.8g(0.1モル、東京化成(株)製)を徐々に加えて2時間撹拌を続け、BAHFの水酸基がt−ブトキシカルボニル基で保護されたジアミン化合物を得た。この溶液を水に投入して、沈殿を得た。この沈殿をろ過で集め、30℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。乾燥窒素気流下、27.5g(0.075モル)のBAHFと上記で合成したBAHFの水酸基をt−ブトキシカルボニル基で保護したジアミン13.4g(0.025モル)をN,N−ジメチルアセトアミド150mL中に溶解させ、−5℃に冷却した。ここに、グリシジルメチルエーテル52.8g(0.6モル)を加えて、イソフタル酸ジクロリド20.3g(0.1モル、東京化成(株)製)をアセトン100gに溶解させた溶液を反応溶液の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、10℃にまで溶液の温度を上げて1時間撹拌を続け、その後、20℃で6時間撹拌させた。撹拌終了後、溶液を10Lの水に投入してポリヒドロキシアミドの沈殿を得た。この沈殿をろ過で集め、その後60℃の真空乾燥機で20時間乾燥させた。このようにして、ベンゾオキサゾール前駆体構造を含むアルカリ可溶性樹脂(A−3)を得た。上記の方法で評価した結果、樹脂(A−3)の重量平均分子量は28000と見積もられた。
得られた樹脂(A−3)5gに(b)成分として(B−1)を10.0g、(c)成分として合成例2で得られたキノンジアジド化合物0.6g、溶剤としてGBLを10g加えてワニスを作製し、上記の方法で評価を行なった。
実施例4
実施例1で得られた樹脂(A−1)5gに(b)成分として(B−2)を10.0g、(c)成分として合成例2で得られたキノンジアジド化合物0.6g、溶剤としてGBLを10g加えてワニスを作製し、上記の方法で評価を行なった。
実施例5
実施例1で得られた樹脂(A−1)5gに(b)成分として(B−3)を10.0g、(c)成分として合成例2で得られたキノンジアジド化合物0.6g、溶剤としてGBLを10g加えてワニスを作製し、上記の方法で評価を行なった。
実施例6
実施例1で得られた樹脂(A−1)5gに(b)成分として(B−4)を10.0g、(c)成分として合成例2で得られたキノンジアジド化合物0.6g、溶剤としてGBLを10g加えてワニスを作製し、上記の方法で評価を行なった。
実施例7
実施例1で得られた樹脂(A−1)5gに(b)成分として(B−5)を10.0g、(c)成分として合成例2で得られたキノンジアジド化合物0.6g、溶剤としてGBLを10g加えてワニスを作製し、上記の方法で評価を行なった。
実施例8
実施例1で得られた樹脂(A−1)5gに(b)成分として(B−6)を10.0g、(c)成分として合成例2で得られたキノンジアジド化合物0.6g、溶剤としてGBLを10g加えてワニスを作製し、上記の方法で評価を行なった。
実施例9
実施例1で得られた樹脂(A−1)5gに(b)成分として(B−7)を10.0g、(c)成分として合成例2で得られたキノンジアジド化合物0.6g、溶剤としてGBLを10g加えてワニスを作製し、上記の方法で評価を行なった。
実施例10
実施例1で得られた樹脂(A−1)5gに(b)成分として(B’−4)を10.0g、(c)成分として合成例2で得られたキノンジアジド化合物0.6g、溶剤としてGBLを10g加えてワニスを作製し、上記の方法で評価を行なった。
比較例1
実施例1で得られた樹脂(A−1)5gに(c)成分として合成例2で得られたキノンジアジド化合物0.6g、溶剤としてGBLを10g加えてワニスを作製し、上記の方法で評価を行なった。
比較例2
(b)成分として(B−1)を10.0g、(c)成分として合成例2で得られたキノンジアジド化合物0.6g、溶剤としてGBLを10g加えてワニスを作製し、上記の方法で評価を行なった。
比較例3
実施例1で得られた樹脂(A−1)5gに(b)成分として(B’−1)を10.0g、(c)成分として合成例2で得られたキノンジアジド化合物0.6g、溶剤としてGBLを10g加えてワニスを作製し、上記の方法で評価を行なった。
比較例4
実施例1で得られた樹脂(A−1)5gに(b)成分として(B’−2)を10.0g、(c)成分として合成例2で得られたキノンジアジド化合物0.6g、溶剤としてGBLを10g加えてワニスを作製し、上記の方法で評価を行なった。
比較例5
実施例1で得られた樹脂(A−1)5gに(b)成分として(B’−3)を10.0g、(c)成分として合成例2で得られたキノンジアジド化合物0.6g、溶剤としてGBLを10g加えてワニスを作製し、上記の方法で評価を行なった。
比較例6
実施例1で得られた樹脂(A−1)5gに(b)成分として(B’−5)を10.0g、(c)成分として合成例2で得られたキノンジアジド化合物0.6g、溶剤としてGBLを10g加えてワニスを作製し、上記の方法で評価を行なった。比較例(6)においては、現像時に膜が全て溶出したため、感度評価が不可能であった。
上記の評価ワニスの組成を表1に示す。
上記の評価結果を表2に示す。