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JP5625765B2 - 太陽電池基板用クロム含有フェライト系鋼板 - Google Patents

太陽電池基板用クロム含有フェライト系鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池基板に用いるクロム含有フェライト系鋼板に関するものである。
太陽電池は現在、シリコンを用いたものが主流であり、結晶シリコンを用いたものを中心に広く普及してきている。
太陽電池の普及が進むにつれ、太陽電池自体を様々な形状に対応できるようにすることで、太陽電池が設置される景観を損ねないようにできることも太陽電池としての重要な要素となりつつある。
この点、結晶シリコンを用いた太陽電池である結晶シリコン型電池の短所の1つに、フレキシビリティが無く、太陽電池自体を様々な形状に対応させることができないことが挙げられる。
シリコン系の太陽電池においても、いわゆる薄膜系シリコン電池では、樹脂上に薄膜を形成させることなどにより、フレキシビリティを持たせたものもある。しかしながら、薄膜系シリコン電池は、発電効率が結晶シリコン型に比べて劣るという問題がある。
これに対し、CIS系やCIGS系(以下CIGS系と略す)と呼ばれる、いわゆる化合物系太陽電池は、製法上、大面積化やフレキシブル化が容易であり、コスト面でも有利であることから注目を集めてきている。
CIGS系太陽電池の基板材料としては、ソーダライムガラスやステンレス鋼が用いられてきたが、大量生産に向く、ロール・トゥ・ロールの製造方法を適用する場合にはフレキシビリティを持つステンレス鋼が有利である。
CIGS系太陽電池の基板材料に用いられるステンレス鋼としては、これまでフェライト系ステンレス鋼が多く用いられてきた。
この理由は、フェライト系ステンレス鋼の熱膨張率がCIGS化合物の熱膨張率であるおよそ10×10-6K-1に近い熱膨張を有するからである。CIGS系太陽電池は、CIGS化合物の発電効率を上げるための熱処理を行うが、基板材料となるステンレス鋼とCIGS化合物の熱膨張率の差が大きいと、前記熱処理において、熱膨張率差が原因となる剥離を生じる可能性がある。このため、熱膨張率がおよそ18×10-6K-1と大きい、オーステナイト系ステンレス鋼(たとえば、SUS304(18%Cr-8%Ni)(日本工業規格、JIS G 4305))は使用することができず、CIGS系太陽電池基板としては、フェライト系ステンレス鋼の代表である、SUS430(16%Cr)(JIS G 4305)が用いられる。
太陽電池用基板として、ステンレス鋼を用いる場合、これまでは表面に絶縁層を形成することに研究の主眼が置かれてきた。例えば、特許文献1には、ステンレス箔の上に絶縁性に優れた膜を形成させたステンレス箔が開示されている。これらの技術は、ガラス基板の代替としてステンレス箔を用いることを目的としており、ガラスと同様の高い絶縁性を持たせることで絶縁膜上での回路の形成を可能にしようとするものである。
これに対し、CIGS系太陽電池では、非特許文献1に示されているように、ステンレス基板上の絶縁膜の有無によらず、同様の高い発電効率を達成することが可能である。このため、ステンレス基板上に絶縁膜を形成することなく、電極および電池を積層させていく方法が可能である。
特許第3882008号公報
T. Satoh et al.: Solar Energy Materials& Solar Cells,vol.75(2003),p65-71.
CIGS系太陽電池においては、発電効率を向上させるため一般に500℃以上、好ましくは600℃以上でのアニールが必要であるとされている。
したがって、CIGS系太陽電池用基板としての材料に望まれる特性としては、先に述べた熱膨張率の他に、熱処理時に異常酸化等が生じないための耐熱性が要求される。
また、太陽電池は長期間使用されることから、十分な耐食性が必要であると考えられ、フェライト系ステンレス鋼であって広い分野での使用実績があるSUS430が用いられているのが現状である。
上記のように、CIGS系太陽電池用基板としてのステンレス鋼に要求される特性として、現在までに知られているのは、上記のような熱膨張率、耐熱性、耐食性である。
しかしながら、実際には、CIGS系太陽電池用基板として必要な諸特性が明らかになっていないため、上記のような特性が必要であるのか、あるいは十分であるのかは不明であり、過度に高価なステンレス鋼を基板として用いてきた可能性がある一方、特性として不十分である可能性もある。
そこで、本発明においては、CIGS系太陽電池用基板としてのステンレス鋼に要求される特性を見出し、必要かつ十分な特性を有する太陽電池基板用クロム含有フェライト系鋼板を得ることを目的としている。
発明者は、CIGS系太陽電池用基板として必要な諸特性について検討した。
<耐食性・耐熱性>
太陽電池は長期に亘って使用されるため、十分な耐食性が必要であると考えられ、前述したように、SUS430が用いられてきた。
しかしながら、太陽電池セルとして組み上げられた後は、基板はEVAなどの封止剤によって包埋されているため、SUS430よりも低い耐食性でも十分である可能性が高い。そこで、必要な耐食性について検討したところ、ステンレス鋼の下限とされる11%Cr鋼でも十分であり、製造段階のアニール処理により異常酸化が生じない範囲であればさらに低Cr化が可能であることが明らかになった。
さらに検討をした結果、Cr量を低く抑えても、C、Nを低く抑え、さらにTi、Siを適当量含有させることによって、太陽電池用基板として十分な耐食性・耐熱性をもつ、安価な太陽電池基板用クロム含有フェライト系鋼板を提供可能であることが明らかになった。
<表面粗度>
絶縁層無しで高い発電効率を達成するのに必要な条件を検討したところ、鋼板の表面粗度を小さくすることが必要であるとの知見を得、さらにその程度について検討したところ、0.03μm以下であることが必要であると判明した。
本発明は以上の知見を基になされたものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
(1)本発明に係る太陽電池基板用クロム含有フェライト系鋼板は、C:0.03mass%以下、N:0.03mass%以下、C+N:0.05mass%以下、Si:0.2mass%以上3.0mass%以下、Mn:0.8mass%以下、P:0.04mass%以下、S:0.02mass%以下、Cr:8.40mass%以上10.5mass%未満、Ni:1.0mass%以下、Al:0.01mass%以上0.05mass%以下、Ti:4×(C+N)mass%以上0.40mass%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ表面の平均粗さRaが0.03μm以下であることを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、Cu及び/又はMoを含有し、Cu:0.3mass%以上1.0mass%以下、Mo:1.0mass%以下(範囲下限値の零を含まず)であることを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、V及び/又はNbを含有し、V:0.5mass%以下(範囲下限値の零を含まず)、Nb:0.5mass%以下であることを特徴とするものである。
本発明によれば、Crをはじめとする高価な合金含有量を低く抑えたままで、太陽電池用基板に必要な優れた耐食性を持つ太陽電池用Cr含有鋼を得ることができる。
また、本発明の太陽電池用Cr含有鋼は、不純物元素を低減し、鋼中のCやNを固定する安定化元素であるTiを添加しているため、溶接性、溶接部加工性、溶接部耐食性にも優れる。
本発明の効果の一つを示す実験結果の写真である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明に係る太陽電池基板用クロム含有フェライト系鋼板は、C:0.03mass%以下、N:0.03mass%以下、C+N:0.05mass%以下、Si:0.2mass%以上3.0mass%以下、Mn:0.8mass%以下、P:0.04mass%以下、S:0.02mass%以下、Cr:5mass%以上10.5mass%未満、Ni:1.0mass%以下、Al:0.01mass%以上0.05mass%以下、Ti:4×(C+N)mass%以上0.40mass%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ表面の平均粗さRaが0.03μm以下であることを特徴とするものである。
以下においては、太陽電池基板用クロム含有フェライト系鋼板の含有する各成分を上記の範囲に限定した理由、及び表面の平均粗さRaを0.03μm以下にする理由を説明する。
<C:0.03mass%以下、N:0.03mass%以下、C+N:0.05mass%以下>
CおよびNは、熱延板の靭性を低下させるので少ない方が望ましく、それぞれ0.03mass%以下、合計(C+N)でも0.05mass%以下に限定する。
また、好ましくは、C:0.015mass%以下、N:0.015mass%以下、C+N:0.03mass%以下である。
なお、C、N量が多くなると太陽電池基板に用いた際の耐食性にも悪影響を及ぼすため、特に高い耐食性が要求される場合には、C:0.010mass%以下、N:0.010mass%以下、C+N:0.015mass%以下とすることがさらに好ましい。
<Si:0.2mass%以上3.0mass%以下>
Siは、脱酸剤として必要な元素である。また、本発明のようにCr量が10.5mass%以下の低Cr鋼の耐食性・耐熱性を向上させるのに重要な元素である。これらの効果を得るためには、0.2mass%以上の含有量が必要である。しかし、多量に含有させると熱延板の靭性を低下させる。よって、Siは3.0mass%以下とする。好ましくは、0.3mass%以上、2.0mass%以下である。
<Mn:0.8mass%以下>
Mnは、脱酸作用がある。しかし、鋼中で硫化物を形成すると著しく耐食性を低下させるため含有量は低いほうが望ましく、製造時の経済性を考慮して、Mnは0.8mass%以下とする。好ましくは0.5mass%以下である。
<P:0.04mass%以下>
Pは、熱間加工性に悪影響を与えることから少ない方が好ましい。許容される上限は0.04mass%である。
<S:0.02mass%以下>
Sは、熱間加工性および耐食性に悪影響を与えることから少ない方が好ましい。許容される上限は0.02mass%である。好ましくは0.005mass%以下である。
<Cr:5mass%以上10.5mass%未満>
Crは、耐食性を左右する重要な元素であるが、経済的な面からは低いことが望ましい。太陽電池基板として必要な耐食性・耐酸化性を得るためには5mass%以上の含有量が必要である。一方、ステンレス鋼の下限として定義される10.5mass%を上限とする。本発明では、上述のように耐食性を向上させるためC、N量を減らしていることにより、Cr量を低減することを実現している。これによって、経済的な利益を得ることができている。
<Ni:1.0mass%以下>
Niは、Cu含有による熱間加工性低下を防ぐ効果があるため、Cuを含む場合には含有させることが好ましい。また、隙間腐食を低減させる効果も有する。しかし、高価な元素であることに加え、1.0mass%を超えて含有させてもその効果は飽和し、過剰な含有はかえって熱間加工性を低下させる。このため、Niは1.0mass%以下とする。好ましい範囲は、0.1〜0.4mass%である。
<Al:0.01mass%以上0.05mass%以下>
Alは、通常は脱酸の効果を持つが、過度に含有すると、介在物の量が増加し表面性状が低下する。このため、Alの含有量を0.01mass%以上、0.05mass%以下の範囲とする。
<Ti:4×(C+N)mass%以上0.40mass%以下>
Tiは、加工性や耐食性に有害なCやNをTiCやTiNとして無害化して耐食性を向上させる。この効果は特に溶接部で顕著である。また、連続焼鈍による鋭敏化を防止するためにもTiの添加が必要である。これらの効果を得るためには、4×(C+N)mass%以上の含有量が必要である。一方、0.40mass%を超えて過剰に含有させると熱延板の靭性を低下させる。よって、Tiは4×(C+N)mass%以上0.40mass%以下とする。また、好ましくは、8×(C+N)mass%以上、0.35mass%以下の範囲であり、表面性状の面からさらに好ましい上限は0.30mass%以下である。
<表面の平均粗さRa:0.03μm以下>
表面の平均粗さをRaで0.03μm以下にするのは、絶縁層を形成することなく直接鋼板上に電極や化合物層を形成させても良好な発電効率を得ることができるようにするためである。
化合物系太陽電池においては、表面粗さが発電効率に影響することを知見しており、これについて検討したところ、表面の平均粗さRaを0.03μm以下にする必要があることを知見した。
表面平均粗さRaが0.03μmを超えると太陽電池としての発電効率が低下し、その結果として歩留まりが大きく低下するからである。
なお、表面平均粗さRaは、より好ましくは、0.02μm以下である。
以上、本発明の太陽電池基板用クロム含有フェライト系鋼板の各成分の量的限定理由等について述べたが、本発明の合金設計の骨子は、C、Nの低減に加え、TiおよびSiを適量含有させることにある。
図1は、本発明の効果の一つを示す実験結果を示す写真であり、図1(a)がSUS409L 11Cr-0.3Ti、図1(b)が9.4Cr-0.1Si-Ti無添加、図1(c)が9.6Cr-1.5Si-0.2Ti(本発明例)である。実験は、各試験片の表面を600番のエメリー紙にて研磨した後、塩水噴霧試験にて耐食性を評価した。試験条件は、5%NaCl、35℃、24時間噴霧とした。
図1(a)に示されるように、10.5mass%以上のCrを含むことで定義されるステンレス鋼は、表面に安定的な不動態皮膜が形成されるため優れた耐食性を示している。これに対し、図1(b)に示すように、10.5mass%未満のCrしか含有しない鋼の耐食性は明らかに低下している。他方、図1(c)に示すように、C、Nの低減に加え、Ti、Siを含有させた本発明の成分鋼では、耐食性が図1(b)の場合よりも明らかに改善しており、SUS409L鋼に匹敵する耐食性を具備させることも可能であり、Crのような高価な合金含有量を低く抑えたままで、太陽電池用基板に必要な優れた耐食性を持つ太陽電池用Cr含有鋼を実現している。
なお、必要に応じて、以下の元素を含むことができる。
<Cu:0.3mass%以上1.0mass%以下>
Cuは、耐食性を向上させる重要な元素であり、特に隙間腐食を低減させるために必要な元素である。この効果を得るには0.3mass%以上の含有量が有効である。一方、1.0mass%を超えて含有させると、熱間加工性が劣化する。よって、Cuは1.0mass%以下とする。好ましい範囲は、0.3mass%以上、0.8mass%未満である。
<Mo:1.0mass%以下>
Moは、耐食性を向上させる元素であるが、高価な元素であることに加えて、熱延板の靭性を低下させて製造性を低下させる懸念がある。さらに、冷延焼鈍板を硬くして加工性を低下させるので、1.0mass%以下とする。
CuやMoは高価であるため、必要に応じて含有させればよく、逆に言えばCuやMoを積極的に添加しない場合には本発明の太陽電池基板用クロム含有フェライト系鋼板を安価に製造することができる。
<V:0.5mass%以下>
Vは、C、Nを無害化する働きを持つが、過度に含むと加工性が低下するため、含有させる場合の上限は0.5mass%とする。
<Nb:0.5mass%以下>
Nbは、熱延板の結晶粒を微細化させることにより、熱延板の靭性を向上させる効果をもつ。しかし、0.5mass%を超えて含有させると硬化が著しくなるため、含有量を0.5mass%以下に限定する。なお、Nbは、再結晶温度を上昇させるため、過剰に含有させると高速冷延板焼鈍ラインでは焼鈍が不十分となり、焼鈍後の加工性が不十分となる。このため、生産性を重視する際には、上限を0.01mass%以下とする必要があり、好ましくは、0.005mass%以下とする。
このようにNbは再結晶の温度を上昇させ軟質化を困難にするという性質を有することから、逆にNbを積極的には添加しないようにすることで、熱延板の連続焼鈍ラインでの焼鈍、および冷延板の高速連続焼鈍ラインでの焼鈍を容易に行うことができ、高効率な製造が可能となる。
次に、本発明の太陽電池基板用クロム含有フェライト系鋼板の製造方法について説明する。
本発明鋼の高効率な製造方法としては、スラブに連続鋳造し、1000〜1200℃に加熱して熱間圧延を行い熱延コイルとして、これを熱延板の連続焼鈍・酸洗ラインで800〜1000℃の温度で焼鈍・酸洗を行い、次に普通銅と兼用の高速タンデム圧延機あるいはステンレス専用の多段ロール圧延機を用いて冷間圧延を施し冷延板として、普通鋼と兼用の冷延板の高速連続焼鈍ラインで効率的な冷延板の焼鈍と酸洗を行う方法が推奨される。
詳細には以下の通りである。
まず、本発明の成分組成に調整した溶鋼を、転炉または電気炉等の公知の溶製炉にて溶製したのち、真空脱ガス(RH法)、VOD(Vacuum Oxygen Decarburization)法、AOD(Argon Oxygen Decarburization)法等の公知の精錬方法で精練し、次いで、連続鋳造法あるいは造塊−分塊法で鋼スラブ(鋼素材)とする。鋳造法は、生産性、品質の観点から連続鋳造が好ましい。また、スラブ厚は、後述する熱間粗圧延での圧下率を確保するためには、100mm以上とするのが好ましい。
次いで、鋼スラブを1000〜1200℃の温度に加熱した後、熱間圧延して熱延鋼板とする。スラブ加熱温度は、リジング・ローピング特性を改善するためには高い方が望ましいが、1200℃を超えると、スラブ垂れが著しくなり、また結晶粒が粗大化して熱延板の靭性が低下する。一方、1000℃未満の加熱温度では、熱間圧延での負荷が高くなるうえ、熱延中の再結晶が不十分となり、リジング・ローピング特性が低下し、鋼板の表面性状が低下する。
熱間粗圧延の工程は、本発明においては、950℃超の温度域で、圧下率が30%以上である圧延を少なくとも1パス以上行うことが好ましい。この強圧下圧延により、鋼板の結晶組織が微細化され、リジング特性が向上する。また、熱間圧延後の焼鈍を省略する場合には、巻取り温度を、700℃以上とし、巻取り後の自己焼鈍を促進させることが好ましい。
熱間圧延により板厚を2.0〜6.0mmとした後、800〜1000℃の温度で熱延板を連続焼鈍してから酸洗を施す。熱延板の焼鈍温度は、800℃未満では圧延による歪みが残留して硬くなるため十分な加工性が得られない。一方、1000℃を越えると結晶粒の粗大化が著しくなり靭性が低下する。このため熱延板の連続焼鈍の温度範囲は800〜1000℃とするのが好ましい。
なお、Nbの含有量を0.1mass%以上とした場合の好ましい焼鈍温度範囲は、900〜1100℃である。
酸洗後の熱延板を、冷間圧延、仕上げ焼鈍、酸洗の各工程を順次経て、板厚0.02〜1.5mmの冷延焼鈍板とする。冷間圧延時の圧下率は特に限定されないが、靭性などの機械的特性の面からは、25%以上が好ましい。より好ましくは50%以上である。
冷延まま、あるいは冷延焼鈍後に、鋼板の表面粗さをRaで0.03μm以下とすることにより、絶縁層を形成させることなく直接鋼板上に電極や化合物層を形成させても良好な発電効率を得ることが可能となる。
Raを0.03μm以下とするためには、各種製造工程でのロールの粗度管理が重要である。通常のロール研磨工程に加えて、ラッピング研磨等を施したり、セラミックス製のロールを用いたりするなど、工程上の工夫が必要である。
本発明の鋼は、冷間圧延のままで基板用材料として用いることができる。また、冷間圧延は1回または中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延としても良い。冷間圧延、仕上げ焼鈍、酸洗の各工程は繰り返し行っても良い。冷延板の焼鈍温度は、十分な再結晶と適正な結晶粒径を得るために、800〜1000℃とするのが好ましい。
さらに、普通鋼と兼用の冷延板の高速連続焼鈍ラインで効率的な冷延焼鈍と酸洗を行う方法が推奨される。もっとも、生産性は低下するものの、一般的なステンレス鋼の冷延板焼鈍・酸洗ラインで冷延板焼鈍・酸洗を行っても良い。また、必要に応じて、光輝焼鈍ラインで光輝焼鈍を行っても良い。
以上説明した鋼板を溶接する場合には、TIG、MIGをはじめとするアーク溶接、シーム溶接、スポット溶接等の抵抗溶接、レーザー溶接など、通常の溶接方法はすべて適用可能である。
表1に示す組成を有するCr含有鋼を転炉−VOD−連続鋳造法により製造し、200mm厚のスラブとした。スラブの表面を専用のグラインダーにて削ってから、1100℃の温度に加熱した後、熱間圧延により板厚2.5mmの熱延板とした。
なお、表1においては請求の範囲に記載した成分範囲を併せて示すと共に、成分範囲が本発明範囲から外れているものには下線を付している。また、表1の欄において「-」を付したものは、当該成分が含まれていない又は検出限界以下であることを示している。
次いで、到達温度が900℃となる連続焼鈍ラインで焼鈍した後、酸洗を行ったものについて、表面の検査を行い肌荒れの有無を判定した。肌荒れが無く表面が良好であったものについてはそのまま、肌荒れの著しかったものについては、再酸洗あるいはグラインダー研削を行った後に、冷間圧延および中間焼鈍を行い、板厚0.05mmの冷延板とした。
次いで、到達温度が900℃となる仕上焼鈍を行ってから酸洗、スキンパス圧延を行い、冷延焼鈍板を作製した。一部のものについては、冷間圧延ままの状態で試験に供した。
得られた冷延焼鈍板について、耐食性を評価した。具体的には、冷延焼鈍板から幅70mm×長さ150mmの矩形サンプルを切り出し、その表面を600番のエメリー紙にて研磨した後、塩水噴霧試験にて耐食性を評価した。試験条件は、5%NaCl、35℃、24時間噴霧とし、試験後の錆び面積率で評価した。評価の指標として、A:10%未満、B:10〜50%未満、C:50%以上として評価した。また、表面粗さRaは、JIS B 0601の規定に準拠し、触針式表面粗さ計を用いて、冷延焼鈍版の圧延方向に垂直な方向にそって測定し、算術平均粗さRaにて示した。表1に結果を併せて示す。
成分範囲が本発明範囲であるNo.1〜6に示す鋼では冷延まま、あるいは冷延焼鈍板の状態で優れた耐食性を示した。ただし、表面粗さが本発明の範囲から外れるNo.3に示す鋼では耐食性が劣った。
一方、成分範囲が本発明の範囲から外れる、No.7および8に示す鋼では、表面粗さが本発明の範囲内であっても耐食性が劣る結果となった。
以上の結果から、成分範囲を本発明範囲内にすることで、冷延まま、あるいは冷延焼鈍板の状態で優れた耐食性を示し、太陽電池用基板として要求される耐食性を満たすことが実証された。また、表面粗さについても耐食性に影響することが判明し、この意味で、本発明では表面粗さRaを0.03μm以下にしていることから、これによる耐食性の向上の効果も得られている。

Claims (3)

  1. C:0.03mass%以下、N:0.03mass%以下、C+N:0.05mass%以下、Si:0.2mass%以上3.0mass%以下、Mn:0.8mass%以下、P:0.04mass%以下、S:0.02mass%以下、Cr:8.40mass%以上10.5mass%未満、Ni:1.0mass%以下、Al:0.01mass%以上0.05mass%以下、Ti:4×(C+N)mass%以上0.40mass%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ表面の平均粗さRaが0.03μm以下であることを特徴とする太陽電池基板用クロム含有フェライト系鋼板。
  2. Cu及び/又はMoを含有し、Cu:0.3mass%以上1.0mass%以下、Mo:1.0mass%以下(範囲下限値の零を含まず)であることを特徴とする請求項1記載の太陽電池基板用クロム含有フェライト系鋼板。
  3. V及び/又はNbを含有し、V:0.5mass%以下(範囲下限値の零を含まず)、Nb:0.5mass%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池基板用クロム含有フェライト系鋼板。
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