(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる運転支援装置を具体化した第1の実施形態について、図に従って説明する。図1は、運転支援装置の構成をブロックにより示した図である。
図1に示すように、車両10には、当該車両10を運転するドライバ(運転手)に対してその運転操作を支援するための各種制御等を行う運転支援コントロールコンピュータ(運転支援ECU)11が設けられている。運転支援ECU11は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、入出力インターフェース、メモリ等を備えたマイクロコンピュータを中心に構成されている。本実施形態では、運転支援ECU11は、運転支援にかかる各種制御を実行するとともに、運転支援を行うべき状況(支援環境)を時間や位置にて規定したり、運転支援の支援態様を調整するための支援レベルを決定する。そのため、運転支援ECU11には、運転支援を実行するための各種プログラムや、支援環境の規定や支援レベルの決定などに用いられる各種パラメータなどが予め記憶されている。各種パラメータには、運転支援の演算に用いられる車両10の特性や性能を示す値などが含まれる。
運転支援ECU11には、車両10のブレーキの制御等を行うブレーキコントロールコンピュータ(ブレーキECU)12と、車両10のエンジンの制御等を行うエンジンコン
トロールコンピュータ(エンジンECU)13とが、CAN(Control Area
Network)などの車載ネットワークを介してそれぞれ通信可能に接続されている。また、車両10のステアリングの制御等を行う操舵コントロールコンピュータ(操舵ECU)14もCANなどの車載ネットワークを介して通信可能に接続されている。なお上記各ECU12〜14は、上記運転支援ECU11と同様に、それぞれ各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAM、入出力インターフェース、メモリ等を備えたマイクロコンピュータを中心に構成されている。
ブレーキECU12は、車両10のブレーキ装置の制御を行うECUであって、車速センサ40やブレーキセンサ43等の各種センサが接続されているとともに、各種センサからの信号に基づいて車両10のブレーキ装置の制御を通じて当該車両10に制動力を発生させる。具体的には、車速センサ40からの信号に基づいて把握される車両10の速度、ブレーキセンサ43のブレーキ踏込量の信号等に基づいて要求される制動力を算出してブレーキ装置を制御する。なお本実施形態では、ブレーキECU12では、運転支援ECU11から伝達される運転支援のための減速支援信号に基づいて、車両10の減速や停止を支援するための制御、例えば予備制動やアシストブレーキを行う制御などが行なわれるようにもなっている。
エンジンECU13は、車両10のエンジンの運転制御を行うECUであって、アクセル踏込量を検出するアクセルセンサ44や吸入空気量を検出するセンサ等が接続されるとともに、スロットルバルブの駆動回路、燃料噴射弁の駆動回路等の各種機器の駆動回路が接続されている。そして、エンジンECU13は、上記各センサから入力した検出信号に基づいて把握されるエンジンの運転状態等を検知するとともに、上記各種機器の駆動回路の指令信号を出力する。こうしてエンジンの運転制御がエンジンECU13を通じて実施される。なお本実施形態では、エンジンECU13では、運転支援ECU11から伝達される運転支援のための減速支援信号に基づいて、車両10の減速や停止を支援するための制御、例えばエンジンの回転数を抑制したり、エンジンへの燃料供給を停止したり(フューエルカット)する制御などが行なわれるようにもなっている。
操舵ECU14は、車両10のステアリングの制御を行うECUであって、ジャイロセンサ42、操舵角センサ45等の各種センサに接続されるとともに、各種センサからの信号に基づいて、電動アシスト制御などによるステアリングの制御を行う。
また、運転支援ECU11には、カーナビケーション20と、各種情報を読み書き可能に保持するデータベース21とがCANなどの車載ネットワークを介してそれぞれ通信可能に接続される。
カーナビケーション20は、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)等を利用して車両の現在位置を検出するとともに、予め記憶された道路地図情報を参照して、ドライバに走行目的地までの車両10の走行経路等の案内を行なう。カーナビケーション20には、図示しない表示装置、入力装置、及び音声装置が設けられている。
表示装置は、例えば、液晶ディスプレイによって構成され、車室内のセンターコンソール付近に設置される。この表示装置には、カーナビケーション20から入力される画像データ等に対応した画像が表示される。これにより例えば、カーナビケーション20は、車両10の現在位置とその周辺の地図とを組み合わせた画像データを出力して、車両10の位置とその周辺の地図とが組み合わされた画像を表示装置に表示させる。なお表示装置には、カーナビケーション20から、地図表示の画像データや、ドライバに対して注意を喚
起するために運転支援ECU11から入力された運転支援情報に応じた警告表示等の画像データも入力される。
入力装置は、例えば、表示装置と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、各種の入力操作に使用される。
音声装置は、音や音声を発生する装置であり、カーナビケーション20から入力された音・音声データ等に対応した音や音声が出力される。音声装置には、音・音声データとして、カーナビケーション20から、経路案内や交通情報などの音声情報や、運転支援ECU11からの指示に対応した運転者への注意を喚起するための音声情報などが入力される。
本実施形態のカーナビケーション20は、データベース21に予め記憶された道路地図情報を取得して利用する。また、カーナビケーション20は、車両10の位置に関する位置情報や、現在位置周辺の情報として抽出した道路地図情報などを運転支援ECU11に送信する。
データベース21は、ナビゲーション処理に使用する道路地図情報(地図データベース)やPOI情報(Point of Interest、観光地や各種施設の情報)など各種情報を格納する装置であり、格納装置として不揮発性の記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)が用いられる。
道路地図情報は、地図に関する情報であり、地図表示用データ、経路探索用データ、誘導データ(交差点名称・道路名称・方面名称・方向ガイド施設情報など)などから構成される。地図表示用データは、道路や道路地図の背景を表示するためのデータである。経路探索用データは、道路形状とは直接関係しない分岐情報などから成るデータであり、主に推奨経路を演算(経路探索)する際に用いられる。誘導データは、交差点の名称などから成るデータであり、演算された推奨経路に基づき運転者などに推奨経路を誘導する際に用いられる。また、道路地図情報には、道路の形状、道路における交差点や横断歩道の情報などの道路付属情報が含まれている。具体的には、道路付属情報として、信号機が設けられた対象交差点の位置、道路の道路形状、トンネル、横断歩道、事故多発地点、路面状態などの情報が含まれる。
このことから、カーナビケーション20から運転支援ECU11に送信される道路地図情報にも上述の道路付属情報等が含まれる。
さらに、運転支援ECU11には、運転支援にかかる警報などの各種情報を出力するための出力装置(マンマシンインターフェイス)、例えばスピーカー25が電気的に接続されていている。この出力装置は、運転支援にかかる警報に基づいて、ドライバへの注意を喚起するための警報音を発生する装置であり、運転支援ECU11からの信号に応じた警報音などが出力される。なお、出力装置は、上述のスピーカーに限られるものではない。
また、運転支援ECU11には、車車間通信装置30、インフラ通信装置31、全地球測位システム(GPS)32、車載カメラ33、及び車載レーダ34などの各種情報取得装置がそれぞれ電気的に接続されている。
車車間通信装置30は、車両の位置情報や走行情報などの各種情報を車両10の周辺に位置する他車両との間で無線通信により相互に伝達する、いわゆる車車間通信を行う通信装置である。この車車間通信では、通信可能エリア内の複数の車両のそれぞれとの間で定期的に車両情報を授受する。車両情報には、車両毎に一意に付与された車両ID、車両のGPSにより検出された車両の絶対位置、車両の速度、車両の進行方向、及び車両の車種・車高の情報等が含まれている。そして、車車間通信装置30は、車車間通信にて受信さ
れた他車両に車両情報を運転支援ECU11に送信する。これにより、運転支援ECU11には他車両の車両情報が入力されるとともに、運転支援ECU11がその車両10の周辺に位置する他車両の走行状態を把握することができるようになっている。
インフラ通信装置31は、赤外線信号などの光信号により道路に設けられる光ビーコン装置B1(図2参照)と通信を行う通信装置である。そして、インフラ通信装置31は、光ビーコン装置B1から送信されるインフラ情報信号を受信するとともに、当該受信したインフラ情報信号を運転支援ECU11に送信する。これにより、運転支援ECU11がインフラ情報を把握することができるようになっている。例えば、インフラ通信装置31は、光ビーコン装置B1を介して、インフラ情報として、VICS(Vehicle Information and Communication System:登録商標)センタから配信される道路交通情報を受信する。この道路交通情報には、例えば、渋滞区間、渋滞度等の渋滞情報、通行止め等の通行規制情報等が含まれる。また、インフラ情報には、光ビーコン装置B1が設けられている周囲の道路の道路状況(交差点形状、曲率、勾配、車線数を含む)などこの道路に付随した付随情報や、地上設備等により検出された周辺の他車両の移動体情報なども含まれる。さらに、インフラ情報には、情報を外部に通知することのできる信号機や信号機の管制装置などから通知された信号状態(表示中の色)及び信号サイクルを含む信号状態が、各信号機の別に含まれる。
GPS32は、車両10の絶対位置を検出するためにGPS衛星信号を受信するとともに、受信されたGPS衛星信号に基づき車両10の位置を検出する。また、GPS32は検出された車両10の位置情報を運転支援ECU11に送信する。これにより、運転支援ECU11は、車両10の位置を把握することができる。
車載カメラ33は、ルームミラーの裏側に設置された光学式のCCDカメラなどにより車両10前方の所定範囲を撮像するとともに、撮像された撮像画像に基づく画像信号を運転支援ECU11に送信する。運転支援ECU11は、この車載カメラ33により撮像された画像信号に基づいて、前方の信号の状態(信号の色等)や前方の他車両の状態(車両のテールランプの点灯等)を抽出する。そして抽出された前方の信号状態や前方の他車両状態に基づいて車両10が減速や停止をすべき状況であるか否かを判定して、減速や停止をすべき状況であると判定された場合、車両10を減速や停止させる運転支援を行うことができる。
車載レーダ34は、レーザ光を車両前方の所定範囲に照射することにより、そのレーザ光を反射する前方車両等の反射物体との距離、相対速度、方位等を検出する。これらの検出結果は、各反射物体毎に、運転支援ECU11に送信される。これにより、運転支援ECU11は、車両10前方にある他車両などの移動体や障害物などの有無や種類を判別したり、離間距離を把握したりすることができる。
さらに、運転支援ECU11には、車速センサ40、加速度センサ41、ジャイロセンサ42、ブレーキセンサ43、アクセルセンサ44、及び操舵角センサ45などの各種センサがそれぞれ電気的に接続されている。
車速センサ40は、車輪の回転速度を検出するとともに、当該検出された回転速度に応じた信号を運転支援ECU11に送信する。
加速度センサ41は、車両の加速度を検出するとともに、当該検出された加速度に応じた信号を運転支援ECU11に送信する。
ジャイロセンサ42は、車両進行方向を検出するとともに、当該検出された進行方向に応じた信号を運転支援ECU11に送信する。
ブレーキセンサ43は、ドライバによるブレーキペダルの操作の有無やペダルの踏込量を検出するとともに、当該検出された操作の有無や踏込量に応じた信号を運転支援ECU11に送信する。
アクセルセンサ44は、ドライバによるアクセルペダルの操作の有無やペダルの踏込量を検出するとともに、当該検出された操作の有無やペダルの踏込量に応じた信号を運転支援ECU11に送信する。
操舵角センサ45は、検出されたステアリングの操舵角の変化量に基づいて操舵角を算出するとともに、当該算出された操舵角に応じた信号を運転支援ECU11に送信する。
上記各センサからの各種信号は、それぞれ所定の周期で運転支援ECU11に送信されることから、運転支援ECU11は、上記伝達される各種信号に基づいて、車両10の位置、速度、方向等の車両状況を逐次把握することができるようになっている。
また、運転支援ECU11には、車速/車間制御(ACC:Adaptive Cruise Control)スイッチや、衝突回避緩和制御(PCS:Pre−Crash
Safety)スイッチなどの各種操作スイッチ46が電気的に接続されている。
例えば、車速/車間制御スイッチは、オンとされることにより車速/車間制御開始信号が運転支援ECU11に送信される。そして運転支援ECU11では、車載カメラ33や車載レーダ34などから得られる先行車両の情報に基づいて、走行している先行車両に対して一定の距離または一定の速度関係を維持するようにしながら先行車両に追従する追従制御が行われる。
また例えば、衝突回避緩和制御スイッチは、オンとされることにより、衝突回避緩和制御開始信号が運転支援ECU11に送信される。そして運転支援ECU11では、車載カメラ33や車載レーダ34などから得られる先行車両の情報に基づいて、先行車両に衝突する可能性が高い状況(プリクラッシュ)下において、ドライバにその旨を知らせて衝突の回避を支援すると共に、万が一に衝突した際の被害を軽減する衝突回避緩和制御が行われる。
次に、本実施形態の運転支援装置により行われる運転支援の態様について、図に従って説明する。図2は、運転支援が行なわれる走行環境の平面構造についてそれを模式的に示す図である。
図2に示すように、走行環境は、光ビーコン装置B1と、信号機SBを有する交差点CBと、対象信号機SAを有する対象交差点CAとが連続して並んでいる道路から構成されている。そして、この走行環境を車両10が光ビーコン装置B1の近傍の位置P1から交差点CB(位置P2)とその先の対象交差点CA(位置P3)の方向(図2において上方)に進行するものとする。
対象信号機SAは、それが設置されている対象交差点CAの位置情報や、対象信号機SAの信号情報を地上のインフラ装置(図示略)などを介して光ビーコン装置B1に通知する機能を有している。
光ビーコン装置B1は、対象信号機SAが設けられた対象交差点CAの手前数百メートルの位置に設置されている。光ビーコン装置B1には、対象交差点CAの位置情報や対象信号機SAの信号情報などのインフラ情報が地上のインフラ装置などを介して伝達される。そして光ビーコン装置B1は、伝達されたインフラ情報を光信号からなるインフラ情報信号に変換して路上に送信する。これにより、運転支援ECU11は、車両10が光ビー
コン装置B1の通信範囲内となる路上の位置P1を走行する際、インフラ通信装置31を介してインフラ情報を受信することによって、対象交差点CAの位置情報や対象信号機SAの信号情報を、対象交差点CAに到達するよりも前に、把握することができる。なお、光ビーコン装置B1の設置されている位置は、車両10がその位置から対象信号機SAはもとより、対象信号機SAよりも手前の信号機SBを車載カメラ33などのセンサを用いても正確に認識することが難しい位置である。
ところで、車両10と対象交差点CAとの間には交差点CBがあるとともに、交差点CBにも信号機SBが設置されている。また交差点CBの位置は、対象交差点CAに近い位置であって、例えば通常走行しているとき対象交差点CAに対する運転支援が可能である支援環境の範囲内に含まれる位置となっている。しかしながら、交差点CBの信号機SBは地上のインフラ装置に接続されていないなど、その信号情報を車両10に伝達させる機能を有していない。このため車両10としても、信号機SBの信号情報を地上のインフラ装置等を介して取得することができない。このことから、この走行環境にあっては、車両10は、位置P1において、対象交差点CAに設置されている対象信号機SAの信号状態を予め把握することができる一方、対象交差点CAよりも手前の交差点CBに設置されている信号機SBの信号状態を把握することができない。なお、車両10にて信号機SBの信号状態を把握することが可能となるとすればそれは、車載カメラ33などにより信号機SBの信号灯そのものを認識可能な位置まで車両10が移動したときなどになる。
このような場合、信号機SBの手前の位置、例えば位置P1で、運転支援ECU11が先の対象信号機SAの信号情報に基づいて該対象信号機SAを対象とした運転支援を行うと、当該運転支援を手前の信号機SBに対して行われたものであるとドライバに認識(誤解)させるおそれもある。具体的には、運転支援ECU11が、対象信号機SAの信号情報に基づいて、車両10が対象交差点CAに到達したとき対象信号機SAが赤信号(停止信号)Rを示すと判断して減速支援を開始する場合、その減速支援が信号機SBよりも手前で開始されると、信号機SBが赤信号Rになるとドライバが認識(誤解)するおそれがある。これにより、信号機SBが青信号(進行許可信号)Bを示し続ける場合、青信号Bを示す信号機SBに対して減速支援が行われていると認識(誤解)しているドライバは、減速支援に違和感を覚えたり、戸惑いを感じたりするおそれがある。一方、信号機SBが赤信号Rや黄信号Yを示している場合であれば、結果として不都合は生じない。
ところで本実施形態では、車両10(運転支援ECU11)は、カーナビケーション20などを通じて当該車両10の走行環境を把握することができる。すなわち、車両10の運転支援ECU11は、当該車両10と対象交差点CAとの間に信号機SBを有する交差点CBがあることを、カーナビケーション20により抽出された車両10近傍の道路地図情報に基づいて把握することができる。そこで、運転支援ECU11は、運転支援の対象となる対象信号機SAより手前に、信号情報を予め取得できない信号機SBがあることを認識した場合には、当該信号機SBの存在を考慮して対象信号機SAに対する運転支援の支援態様(支援開始位置・時間や支援量)を調整するようにしている。
次に、運転支援(減速支援)の支援態様(支援開始位置、支援開始時間もしくは支援量)が調整される態様の概略を図に従って説明する。図3は、運転支援態様の一例を示すタイミングチャートである。
図3に示すように、運転支援ECU11は、車両10の走行している位置P1にて対象信号機SAの信号情報を取得するとともに、同位置P1(時間t1)において対象信号機SAに対する運転支援が可能とされる範囲である支援環境に入るものとする(図3において支援環境「内」)。このとき対象信号機SAが赤信号Rであれば通常、車両10が支援環境内(位置P1から位置P3の間)にある間、通常の支援レベルL1(図3において支
援レベル「通常」)の支援態様で運転支援、具体的には減速支援が行われる。しかし、本実施形態では、対象信号機SAの手前に信号機SBがあることが把握されているので、車両10が信号機SBを通過する位置P2までの間(位置P1から位置P2の間)、通常の支援レベルL1の支援態様による減速支援を行わないようにしている。
そして、運転支援ECU11は、減速支援を信号機SBに対する減速支援であるとドライバに認識(誤解)させない位置としての交差点CBの位置P2まで車両10が進行してから(時間t2、位置P2)、通常の支援レベルL1の支援態様による減速支援を行なうようにする。これにより、通常の支援レベルL1の開始時期(タイミング)が時間t1から時間t2に遅延するように調整される。換言すると、通常の支援レベルL1の開始位置が位置P1から位置P2に先延ばしされるように変更される。その結果、対象信号機SAに対する減速支援が信号機SBに対して行われているものであるとドライバに認識(誤解)させるおそれが低減される。
その後、減速支援は、車両10が、例えば対象交差点CAの位置P3(時間t3)に到達することで、減速支援を必要としない位置まで進行したと判断されるとともに、支援可能である支援環境から出たと判断されて終了される。ちなみに、車両10が支援環境に入っている(図3において支援環境「内」)のか、支援環境から出ている(図3において支援環境「外」)であるのかは、対象交差点CAまでの残り距離や、対象交差点CAまでの所要時間や、ブレーキが操作されているか否かや、アクセルが操作されているか否かなどに基づいて運転支援ECU11により判断される。
なお、減速支援が抑制される位置P1から位置P2まで(時間t1から時間t2まで)の間、減速支援を中断して一切の支援を行わないようにもできる(図3において支援レベル「無」)。しかし本実施形態では、減速支援が抑制される間、減速支援が信号機SBに対するものであるとドライバに認識(誤解)されない抑制された支援レベルL2(図3において支援レベル「小」)の支援態様による減速支援を行なうことで、ドライバに多少の情報を提供するようにしている。なお、支援レベルL2は、通常の支援レベルL1よりも抑制された減速支援であって、例えば、音声であれば、印象を弱めるために、音量を小さくしたり、回数を少なくしたり、音程を低くしたりしたものである。また例えば、画像であれば、印象を弱くするために、大きさを小さくしたり、色調を弱めたりして、ドライバへの印象が弱められた支援である。これにより、減速支援が抑制される間、支援態様が通常の支援レベルL1と相違することとなるので、対象信号機SAに対する減速支援を、手前の信号機SBに対する減速支援であるとドライバに認識(誤解)させるおそれが低減され、ひいては、減速支援(運転支援)にドライバが違和感を覚えたり、戸惑ったりするおそれも低減されるようになる。
次に、本実施形態の運転支援装置により行われる運転支援の手順について、図に従って説明する。図4は、本実施形態にて行なわれる運転支援の処理手順を示すフローチャートである。なお、この運転支援は、運転支援ECU11がインフラ情報信号を受信することなどに基づいて適時実行されるようになっている。
図4に示すように、運転支援(減速支援)が開始されると、運転支援ECU11は、対象交差点CAへ車両10が到着する時、対象信号機SAが赤信号Rを示すかどうかを判断する(図4のステップS10)。対象交差点CAへの到着時に対象信号機SAが赤信号Rであるか否かは、インフラ情報信号から取得される対象交差点CAの設置位置、対象信号機SAの信号状態及び信号サイクル、及び、車両10の現在位置や速度などに基づく演算結果から予測される。
対象交差点CAへの到着時に対象信号機SAが赤信号Rではないと判断された場合(図
4のステップS10でNO)、運転支援ECU11は、運転支援にかかる支援サービスを行うことの可否を判断する(図4のステップS11)。支援サービスを行うことの可否は、運転支援を行なうために必要な前提条件が揃っているか否かにより判断される。前提条件としては、例えば、車両10の現在位置や速度が取得可能か否か、インフラ情報信号から信号情報などが正しく取得できるか否か、ドライバが運転支援を必要としているか否かなどの条件がある。このことから、上述した前提条件の全てが揃うような場合、支援サービスを行うことが可能と判断される。その一方、上述した前提条件のいずれから成立しない場合、支援サービスを行うことが不可と判断される。条件が成立しない場合としては、車両10の現在位置が対象交差点CAを過ぎた位置であったり、インフラ情報から信号情報が正しく取得できなかったり、ドライバが運転支援をキャンセルしたり、車両10の位置や速度が正確に取得されない場合などである。支援サービスを行うことが不可能と判断された場合(図4のステップS11でNO)、対象信号機SAに対する運転支援が終了される。
一方、支援サービスを行うことが可能であると判断された場合(図4のステップS11でYES)、ステップS10に戻り、再度、対象交差点CAへの到着時に対象信号機SAが赤信号Rであるかどうかの判断を繰り返す。
そして、対象交差点CAへの到着時に対象信号機SAが赤信号Rであると判断された場合(図4のステップS10でYES)、運転支援ECU11は、対象交差点CAの手前に信号機のある交差点があるか否かを判断する(図4のステップS12)。対象交差点CAの手前に信号機のある交差点があるか否かは、カーナビケーション20により抽出された道路地図情報に含まれる道路付属情報などに基づいて判断される。例えば、対象交差点CAの手前に信号機SBのある交差点CBがあると判断された場合(図4のステップS12でYES)、運転支援ECU11は、交差点CBの信号機SBの信号状態が把握可能であるか否かを判断する(図4のステップS13)。交差点CBの信号機SBの信号状態が把握可能であるか否かは、インフラ通信装置31より取得されるインフラ情報に交差点CBの信号機SBの信号情報が含まれているか否かや、車載カメラ33により信号機SBが認識されたか否かなどに基づいて判断される。
交差点CBの信号機SBの信号状態が把握可能であると判断された場合(図4のステップS13でNO)、運転支援ECU11は、交差点CBの信号機SBが青信号Bであるか否かを判断する(図4のステップS14)。交差点CBの信号機SBが青信号Bであるか否かは、車載カメラ33による認識や、車載レーダ34により検出される先行車両の挙動や、車両10の速度などに基づいて判断される。なお、車両10の速度による判断であれば、速度が高い場合、信号状態が青信号Bと判断し、速度が低い場合、信号状態が赤信号Rと判断することもできる。交差点CBの信号機SBが青信号Bであると判断された場合(図4のステップS14でYES)、運転支援ECU11は、運転支援にかかる支援レベルを調整する(図4のステップS15)。例えば、運転支援ECU11は、運転支援を中断したり、抑制された支援レベルL2にしたりする。これにより、対象信号機SAに対する運転支援を信号機SBに対する支援であるとドライバに認識(誤解)させるおそれが低減される。なおこのとき、支援態様を抑制する範囲が、位置的には位置P1からP2の間として、又は、時間的には時間t1からt2の間として設定される。
ところで、交差点CBの信号機SBの信号状態が把握できないと判断された場合(図4のステップS13でNO)にも、運転支援ECU11は、支援態様を抑制された支援レベルL2にする(図4のステップS15)。これによっても、信号機SBが青信号Bである場合であれ、対象信号機SAに対する運転支援を信号機SBに対する支援であるとドライバに認識(誤解)させるおそれが低減される。
一方、対象交差点CAの手前に信号機SBのある交差点CBがないと判断された場合(図4のステップS12でNO)、及び、交差点CBの信号機SBが青信号Bではないと判断された場合(図4のステップS14でNO)、運転支援ECU11は、支援開始条件が成立したか否かを判断する(図4のステップS16)。また、抑制された運転支援を提供する(図4のステップS15)範囲を時間や車両10の位置が過ぎた後も、運転支援ECU11は、支援開始条件が成立したか否かを判断する(図4のステップS16)。このとき、支援開始条件が成立したか否かは、運転支援が可能である範囲(図3に示す支援環境「内」)であるか否かに基づいて判断される。
なお、支援開始条件が成立しない場合(図4のステップS16でNO)、運転支援ECU11は、支援サービスが可能か否かを判断する(図4のステップS17)。支援サービスが可能か否かの判断は、先のステップS11と同様の条件により判断され、支援サービスを行うことが不可能であると判断された場合(図4のステップS17でNO)、対象信号機SAに対する運転支援が終了される。その一方、支援サービスを行うことが可能であると判断された場合(図4のステップS17でYES)、運転支援ECU11は、処理手順をステップS16に戻し、再度、支援開始条件が成立したか否かの判断を繰り返す。
そして、支援開始条件が成立した場合(図4のステップS16でYES)、運転支援ECU11は、所定の支援態様にて運転支援を、例えばカーナビケーション20やスピーカー25を通じて行う(図4のステップS18)。すなわち、運転支援を抑制する範囲(例えば時間t1から時間t2の間、又は位置P1から位置P2の間)に時間や車両10の位置がある場合、運転支援ECU11は、抑制された支援レベルL2の支援態様による運転支援を提供する。一方、運転支援を抑制する範囲ではない(例えば時間t2以降または位置P2以降)に時間や車両10の位置がある場合、運転支援ECU11は、通常の支援レベルL1の支援態様にて運転支援を行う。
通常の支援レベルL1の運転支援が行われると、運転支援ECU11は、支援終了条件が成立したか否かを判断する(図4のステップS19)。支援終了条件は、対象信号機SAに対する支援が不要となる位置P3に車両10が進行したか否かや、時間が支援可能な範囲を経過した時間t3になったか否かなどにより判断される。
支援終了条件が成立しない場合(図4のステップS19でNO)、運転支援ECU11は、支援サービスが可能か否かを判断する(図4のステップS20)。この支援サービスが可能か否かの判断は、先のステップS11と同様の条件により判断され、支援サービスを行うことが不可能であると判断された場合(図4のステップS20でNO)、対象信号機SAに対する運転支援が終了される。その一方、支援サービスを行うことが可能であると判断された場合(図4のステップS20でYES)、ステップS18に戻り、引き続き通常の支援レベルL1にて運転支援を行う。
そして、支援終了条件が成立した場合(図4のステップS19でYES)、運転支援ECU11は、対象信号機SAに対する運転支援を終了する。
このことから本実施形態の運転支援装置によれば、対象信号機SAに対する運転支援を他の信号機に対する運転支援であるとドライバに認識(誤解)されるおそれが低減されるようになる。
以上説明したように、本実施形態の運転支援装置によれば、以下に列記するような効果が得られるようになる。
(1)手前の信号機SBの有無を含めての該手前の信号機SBの信号状態(赤信号Rか否か)に応じて、支援の対象とする対象信号機SAに対する運転支援の支援態様を可変するようにした。これにより、対象信号機SAと手前の信号機SBとの関係、例えば位置関
係などに基づいて調整された支援態様としての抑制された支援レベルL2による運転支援がドライバに提供されるようになる。例えば、支援の対象となる対象信号機SAよりも手前に信号機SBがある場合、対象信号機SAに対する運転支援の支援態様を、例えば支援量が少なくなるように調整された支援レベルL2とすることにより当該運転支援が手前の信号機SBへの運転支援であるとドライバに感じさせないようにしたりする。これにより、走行環境に運転支援の対象となりうる信号機が複数存在する場合であっても、ドライバに違和感を覚えさせない運転支援を提供できるようになる。
(2)支援の対象とする対象信号機SAと、支援の対象ではない手前の信号機SBとがいずれも対象物としては同一種類となる信号機であるために、運転支援の対象とされている信号機がどれなのかドライバがとりわけ迷いやすい。このような場合であれ、支援態様を変化させることにより支援の対象とされている信号機をドライバが誤認するおそれが軽減される。
(3)手前の信号機SBの状態に応じて赤信号Rを示した対象信号機SAに対する支援態様を可変させるようにした。これにより、対象信号機SAと手前の信号機SBとの前後位置関係に応じた適切な支援態様からなる運転支援をドライバに提供されるようになる。すなわち、停止信号を示した対象信号機SAに対する支援態様を弱めるように調整して当該運転支援が手前の信号機SBへの運転支援であるとドライバに感じさせたり、どちらの信号機に対する支援であるのか迷わせたりするおそれを減少させることができるようになる。例えば、手前の信号機SBが青信号Bである場合、手前の交差点CBを過ぎるまでは抑制した支援レベルL2による減速支援をする(支援をしない)ように支援態様を調整して、当該支援が手前の信号機SBに対するものであると感じられないようにさせる。なお、手前の信号機SBが赤信号Rである場合、同じく赤信号Rを示した対象信号機SAへの運転支援が手前の信号機SBへの運転支援と感じられても結果的には不都合は生じないことから、このような場合、減速支援を抑制しないように調整してもよい。
(4)対象信号機SAよりも信号機SBが手前にあるときには、対象信号機SAへの運転支援を手前の信号機SBへの運転支援であるとドライバが認識(誤解)したり、どちらの信号機に対する支援であるのか迷うおそれが高い。しかしながらこの場合にあっても、支援態様を、普通の支援レベルL1とは異なる抑制された支援レベルL2や、支援しないように調整することにより支援の対象となる信号機をドライバが誤解したり迷ったりするおそれを低減させることができるようになる。
(5)運転支援の支援態様である通常の支援レベルL1の減速支援開始タイミングを、手前の信号機SBが存在しないときのタイミング(時間t1)よりも遅らせたタイミング(時間t2)にした。これにより、対象信号機SAへの運転支援を手前の信号機SBへの運転支援であるとドライバに感じさせるおそれの高い期間(時間t1から時間t2の間)における運転支援が抑制されて、運転支援の対象とされている信号機をドライバに誤解させたり、迷わせたりするおそれが低減されるようになる。
(6)運転支援の支援態様である通常の支援レベルL1の減速支援量を、手前の信号機SBが存在しないときよりも弱める(抑制された支援レベルL2になる)ようにした。これにより、対象信号機SAへの運転支援を手前の信号機SBへの運転支援であるとドライバに感じさせるおそれの高い期間(時間t1から時間t2の間)における運転支援が抑制されて、運転支援の対象とされている信号機をドライバに誤解させたり、迷わせたりするおそれが低減されるようになる。
(第2の実施形態)
本発明にかかる運転支援装置を具体化した第2の実施形態について、図に従って説明す
る。図5は、本実施形態の運転支援装置が実行する運転支援の処理手順を示すフローチャートである。なお、本実施形態の運転支援装置は、先の第1の実施形態に対して運転支援の手順の一部が相違するものの、装置の構成などは同様であることから、ここでは主に相違点について説明することとし、説明の便宜上、同様の構成などには同様の符号を付しその説明を割愛する。
本実施形態の運転支援は、運転支援ECU11がインフラ情報信号を受信することなどに基づいて適時実行される。
運転支援が開始されると、図5に示すように、運転支援ECU11は、対象交差点CAへ車両10が到着する時、対象信号機SAが赤信号Rを示すかどうかを判断する(図5のステップS10)。対象交差点CAへの到着時に対象信号機SAが赤信号Rではないと判断された場合(図5のステップS10でNO)、運転支援ECU11は、運転支援にかかる支援サービスを行うことの可否を判断する(図5のステップS11)。そして支援サービスを行うことが不可能と判断された場合(図5のステップS11でNO)、対象信号機SAに対する運転支援が終了される。
一方、支援サービスを行うことが可能であると判断された場合(図5のステップS11でYES)、ステップS10に戻り、再度、対象交差点CAへの到着時に対象信号機SAが赤信号Rであるかどうかの判断を繰り返す。
そして、対象交差点CAへの到着時に対象信号機SAが赤信号Rであると判断された場合(図5のステップS10でYES)、運転支援ECU11は、対象交差点CAの手前に別の交差点があるか否かを判断する(図5のステップS30)。対象交差点CAの手前に別の交差点があると判断された場合(図5のステップS30でYES)、運転支援ECU11は、別の交差点が信号機を有する交差点であるか否かを判断する(図5のステップS31)。別の交差点が信号機を有するか否かは、車両10周辺の道路地図情報、車載カメラ33の認識結果、インフラ情報等から判断される。
別の交差点が信号機を有する交差点であと判断された場合(図5のステップS31でYES)、運転支援ECU11は、別の交差点の信号機の信号状態が信号情報などから把握可能であるか否かを判断する(図5のステップS32)。別の交差点の信号機の信号状態が信号情報などから把握可能であるか否かは、車載カメラ33の認識結果、インフラ情報等から判断される。そして、別の交差点の信号機の信号状態が把握可能であると判断された場合(図5のステップS32でYES)、運転支援ECU11は、別の交差点の信号機が赤信号Rであるか否かを判断する(図5のステップS33)。別の交差点の信号機が赤信号Rであると判断された場合(図5のステップS33でYES)、運転支援ECU11は、支援開始条件が成立したか否かを判断する(図5のステップS16)。
一方、別の交差点が信号機のない交差点であると判断された場合(図5のステップS31でNO)、運転支援ECU11は、別の交差点が一時停止交差点か否かを判断する(図5のステップS34)。別の交差点が一時停止交差点か否かは、車両10の速度、車両10周辺の道路地図情報、車載カメラ33の認識結果、インフラ情報、過去の走行挙動(毎回停止もしくは減速しているなど)等から判断される。車両10の速度による判断であれば、速度が高い場合、規制無し交差点と判断し、速度が低い場合、一時停止交差点と判断することもできる。別の交差点が一時停止交差点であると判断された場合(図5のステップS34でYES)、運転支援ECU11は、支援開始条件が成立したか否かを判断する(図5のステップS16)。
他方、別の交差点が一時停止交差点ではないと判断された場合(図5のステップS34でNO)、運転支援ECU11は、別の交差点を通過したか否かを判断する(図5のステ
ップS35)。また、別の交差点の信号機の信号状態が把握できないと判断された場合(図5のステップS32でNO)や、別の交差点の信号機が赤信号Rでないと判断された場合(図5のステップS33でYES)にも、運転支援ECU11は、別の交差点を通過したか否かを判断する(図5のステップS35)。別の交差点を通過したか否かは、車両10の現在位置や、車両10周辺の道路地図情報等から判断される。
別の交差点を通過していない判断された場合(図5のステップS35でNO)、運転支援ECU11は、所定の時間経過後に、再度、別の交差点を通過したか否かを判断すること(図5のステップS35)を繰り返す。これにより、別の交差点の手前で対象交差点CAに対する運転支援が行なわれないようになるので、対象交差点CAに対する運転支援を別の交差点に対する運転支援であるとドライバに認識(誤解)されるおそれが低減される。
そして、別の交差点を通過したと判断された場合(図5のステップS35でYES)、運転支援ECU11は、運転支援ECU11は、支援開始条件が成立したか否かを判断する(図5のステップS16)。なお、これ以降の処理手順は、先の第1の実施形態のステップS16からステップS20まで処理手順と同様なので、その説明を割愛する。
このことから本実施形態の運転支援装置によれば、対象信号機SAに対する運転支援を別の信号機に対する運転支援であるとドライバに認識(誤解)されるおそれが低減されるようになる。
以上説明したように、本実施形態の運転支援装置によっても先の第1の実施形態の前記(1)〜(5)の効果と同等もしくはそれに準じた効果が得られるとともに、次のような効果が得られるようになる。
(7)支援の対象とする対象交差点CAと、支援の対象ではない手前の交差点CBとがいずれも対象物としては同一種類となる交差点であるために、運転支援の対象とされている交差点がどれなのかドライバがとりわけ迷いやすい。また、交差点は、信号機の有無、一時停止の有無などその態様も様々である。このような場合であれ、手前の交差点の態様に応じて、対象交差点CAへの支援態様を変化させることにより支援の対象とされている交差点をドライバが誤認するおそれが軽減される。
なお、上記各実施形態は、例えば以下のような態様にて実施することもできる。
・上記各実施形態では、ナビゲーション処理に用いられる道路地図情報などがHDDに格納されている場合について例示した。しかしこれに限らず、道路地図情報などは、HDDに代え、もしくは、HDDとともに、CD−ROM(Compact Disk ROM)やDVD(Digital Versatile Disk)などの記憶媒体に記憶されていてもよい。これらの記憶媒体に格納された道路地図情報などは、ドライブ装置(非図示)を介して読み取ることができるので、記録媒体をドライブ装置にセットすることで、必要に応じた道路地図情報が得られるようにもなる。
・上記各実施形態では、カーナビケーション20はデータベース21との間で地図情報等の授受を行う場合について例示した。しかしこれに限らず、カーナビゲーションシステムは、地図情報等を格納するデータベースを有していてもよい。またカーナビケーション20とデータベース21とが直接通信してもよい。
・上記各実施形態では、インフラ通信装置31は、光ビーコン装置B1と光通信を行う場合について例示した。しかしこれに限らず、インフラ通信装置は、ビーコン装置やVICSセンタなどと無線通信してもよい。また、インフラ通信装置は、ビーコン装置用と、
VICSセンタ用とがそれぞれ各別に設けられてもよいし、必要な情報が取得されるのであれば、ビーコン装置用と、VICSセンタ用とのいずれか一方のみが設けられてもよい。
・上記各実施形態では、車載レーダ34は、レーザ光を用いて物体を検出する場合について例示したが、これに限らず、車載レーダは、ミリ波やマイクロ波等の電波や超音波等を用いて物体を検出するものであってもよい。
・上記第1の実施形態では、支援を抑制する範囲では、支援レベルを「小」にする場合について例示したが、これに限らず、支援を抑制する範囲での支援レベルを「無」にしてもよい。また上記第2の実施形態では、支援を抑制する範囲では、支援レベルを「無」にする場合について例示したが、これに限らず、支援を抑制する範囲での支援レベルを「小」にしてもよい。
・上記各実施形態では、運転支援は、音・音声や画像で提供される場合について例示した。このことから運転支援は、音・音声や画像のいずれかのみでも、それらの組み合わせでもよい。またこれに限らず、運転支援には、自動ブレーキやアシストブレーキによる減速制御や停止制御が含まれてもよい。
・上記各実施形態では、対象信号機SAが赤信号Rであるときに減速のための運転支援、すなわち減速支援を行う場合について例示した。しかしこれに限らず、減速支援を赤信号Rと黄信号Yのときに行うようにしてもよい。
また、青信号Bには、矢印信号など含まれる場合もある。さらに黄信号Yを青信号Bと同様に判断するようにする場合もある。
・上記各実施形態では、ドライバが支援対象を誤解しないように、通常の支援レベルL1に対して抑制された(弱められた)支援レベルL2を用いる場合について例示した。しかしこれに限らず、ドライバが支援対象を誤解しないようにすることができるので有れば、支援態様が、同等でも、また通常の支援態様より強く(大きく)てもよい。これにより、支援態様の自由度が高められるとともに、運転支援の自由度も高められる。
・上記各実施形態では、支援が抑制される範囲において、支援態様が弱められることとで支援レベルが可変とされ、通常の支援レベルの開始時期が可変とされる場合について例示した。しかしこれに限らず、支援態様は、それが弱められるのみでも、通常の支援レベルの開始時期が遅延されるのみでもよい。例えば、支援レベルが小さいうちに支援環境「外」となると、支援態様が弱められた支援のみが提供されるようになる。これにより、運転支援装置として、その走行環境への対応可能性が向上するようになる。
・上記各実施形態では、抑制された支援レベルL2は、通常の支援レベルL1の運転支援の内容を小さくしたり、弱くしたものである場合について例示した。しかしこれに限らず、抑制された支援レベルは、通常の支援レベルの支援態様の一部を割愛したものであったり、そもそも通常の支援レベルの支援態様とは異なる内容の運転支援としたりしたものであってもよい。
・上記第1の実施形態では、運転支援の対象物を信号機とした場合について例示した。また第2の実施形態では、運転支援の対象物を信号機を含めての交差点とした場合について例示した。しかしこれに限らず、運転支援の対象物が、他の車両や道路形状などでもよい。例えば、道路形状としては、交差点、信号機、カーブ、踏切などでもよい。これにより、運転支援装置としての適用可能性が高められる。
例えば、図6に示すように、車両10の支援対象が、車載レーダ34aにより認識できるが車車間通信のできない手前の車両50の先の車車間通信30aの行える他車両51である場合、車両10による他車両51に対する運転支援を車車間通信のできない手前の車両50の存在を考慮して行うようにする。例えば、他車両51が停止するとき、他車両51と車両10の車間が距離D1であることを前提として運転支援を行うのではなく、手前の車両50との車間が距離D2であることを考慮しつつ車両10の運転支援を調整するようにする。このときには、他車両51への運転支援であり、車車間通信のできない手前の車両50への運転支援でないことを音声、表示等により示してもよい。これにより、好適な運転支援が提供できるとともに、運転支援の対象をドライバが誤解するおそれも低減されるようになる。
・また例えば、図7に示すように、緩いカーブC1と運転支援の対象となる急なカーブC2とが連続する道路の場合、それらカーブの手前にある光ビーコン装置B2からの道路情報を受信した位置P11にて急なカーブC2に対する運転支援を開始すると、当該運転支援を緩いカーブC1に対するものとドライバが認識(誤解)するおそれがある。この場合、車両10が緩いカーブC1を通過した位置P12に進むまで運転支援を抑制するとともに、車両が位置P12に到達してから急なカーブC2に対する運転支援をするようにする。これにより、急なカーブC2に対する運転支援を緩いカーブC1に対する運転支援であるとドライバが認識(誤解)するおそれが低減されるようになる。なお、緩いカーブC1を過ぎるまで、運転支援の支援レベルを低くしておいてもよい。
・上記各実施形態では、支援の対象物を同一種類の対象物(信号機や交差点)とした場合について例示した。しかしこれに限らず、支援の対象物と、その対象物近傍の他の対象物とが同一種類ではなく異なる種類であってもよい。異なる種類の組み合わせとしては、交差点とカーブ、交差点と信号機、交差点と踏切、カーブと信号機などでもよく、これらの組み合わせには特段の制限はない。また、支援の対象物及び他の対象物の少なくとも一方が車両などの移動体であってもよい。これらのことにより、この運転支援装置の適用される対象物が拡大され、運転支援装置としてその利便性や自由度が向上される。