JP5607520B2 - 光学用ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
ガラス転移温度が25℃以上80℃以下であるポリエステルBとを含有し、ポリエステルBがポリエステルBの全ジカルボン酸成分に対して90モル%以上のテレフタル酸に由来する成分を含む光学用ポリエステルフィルムによって達成される。
<ポリエステルフィルム>
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、ポリエステルフィルム(以下、基材層と称することがある)の少なくとも片面に塗布層が設けられた層構成からなる。
(ポリエステル)
本発明のポリエステルフィルムの主たる構成成分は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とを重縮合して得られるポリエステルである。該ポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートが例示される。ここで主たるとは、ポリエステルフィルムの重量を基準として90重量%以上、好ましくは95重量%以上、特に好ましくは99重量%以上であることを意味する。
本発明のポリエステルフィルムには、ポリエステル成分以外に、本発明の課題を損なわない範囲内で少量の樹脂成分を含んでもよく、その含有量は基材層の重量を基準として10重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂組成物をフィルム状に溶融押出し、キャスティングドラムで冷却固化させて未延伸フィルムとし、この未延伸フィルムをTg〜(Tg+60)℃の温度で長手方向(以下、連続製膜方向、縦方向、MD方向と称することがある)、幅方向(以下、横方向、TD方向と称することがある)に倍率3.1倍〜4.5倍で二軸延伸することが好ましい。また長手方向の延伸倍率と幅方向の延伸倍率との差は0.5以下であることが好ましい。ここで、フィルム延伸温度の指標となるTgとは、基材層を構成するポリエステルのガラス転移温度を表わしている。
延伸は一般に用いられる方法、例えばロールによる方法やステンターを用いる方法で行うことができ、長手方向、幅方向に同時に延伸してもよく、また長手方向、幅方向に逐次延伸してもよい。
このようにして得られたポリエステルフィルム基材層の屈折率は、例えばポリエチレンナフタレンジカルボキシレートフィルムである場合、フィルム面内方向において長手方向および幅方向とも1.70を超えるものである。
本発明では、上記ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層(以下、塗膜、易接着層と称することがある)が設けられ、該塗布層は、特定のフルオレン構造を有するジオール成分を一定量含有するガラス転移温度90℃以上135℃以下のポリエステルAと、ガラス転移温度が25℃以上80℃以下であるポリエステルBとを高分子バインダーとして含有するものである。
塗布層を構成するポリエステルAは、ジオール成分として下記式(I)で表わされるフルオレン構造を有する成分をポリエステルAの全ジオール成分に対して20モル%以上80モル%以下含み、ガラス転移温度が90℃以上135℃以下のポリエステルである。
かかるフルオレン構造を有する成分の含有量の下限値は25モル%であることが好ましく、30モル%であることがより好ましい。一方、フルオレン構造を有する成分の含有量の上限値は、好ましくは75モル%であり、さらには70モル%である。
該フルオレン構造を有する成分の含有量が下限値に満たないと、屈折率の向上効果が小さいのに加え、非晶性が不十分なため水分散化が難しくなる。該フルオレン構造を有する成分の含有量が多いほどこの効果が大きくなるが、上限値を超えるとハードコート層との接着性が低下したり表面が粗くなる。また上限値を超えると非晶性が大きくなりすぎ、フィルムの耐ブロッキング性が低下するだけでなく、ポリエステルAの製造における重合速度が低下する。
ナフタレンジカルボン酸に由来する成分の含有量が下限値に満たない場合、ポリエステルフィルムの種類によっては塗布層との屈折率差がまだ十分でないことがあり、光学干渉が生じることがある。一方、ナフタレンジカルボン酸に由来する成分の含有量が上限値を超えると、親水性有機溶媒へのポリエステルAの溶解が困難となり、水分散化が難しくなることがある。
ポリエステルAの固有粘度は0.2〜0.8dl/gであることが好ましい。かかる固有粘度はオルトクロロフェノールを用いて35℃において測定した値である。
本発明の塗膜層は、ポリエステルAに加えて一定のガラス転移温度を有するポリエステルBが含まれている点に特徴がある。塗布層を構成するポリエステルBは、25℃以上80℃以下のガラス転移温度を有するポリエステルである。
かかる温度範囲のガラス転移温度を有するポリエステルBをポリエステルAと共に用いることにより、塗布層をポリエステルフィルム上に塗布し、その後フィルムに延伸処理を施す工程温度下で塗布層が十分に軟化し、ポリエステルAのもろさを改良して塗布層の造膜性を高めることができる。そして、塗布層の造膜性を高めることで塗布層表面が平滑になり、表面散乱が小さくなるため塗布層に起因する表面ヘイズを小さくすることができる。
またポリエステルBに用いられるジオール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などが挙げられ、その他、グリセリンやトリメチロールプロパンなどのポリヒドロキシ化合物を少量の範囲で用いてもよい。その他、ポリエステルBの全ジカルボン酸成分のうち、少量、例えば20モル%以下の範囲内であればナフタレンジカルボン酸成分などを用いてもよい。
ポリエステルBもポリエステルAと同様、公知のポリエステルの製造技術によって製造することができる。
ポリエステルAとポリエステルBを合計した含有量は、塗布層の重量を基準として50重量%以上100重量%以下であることが好ましく、より好ましくは60重量%以上97重量%以下、さらに好ましくは60重量%以上95重量%以下である。塗布層中に占めるポリエステルAとポリエステルBの含有量がかかる範囲にあることにより塗布層の屈折率特性と造膜性の両方を良好なものとすることができる。
またポリエステルBの含有量は、ポリエステルAとポリエステルBの合計量を基準として20重量%以上50重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは25重量%以上40重量%以下である。
塗布層を構成するその他の高分子バインダーとして、必要に応じてさらにアクリル樹脂、ウレタン樹脂およびこれらの変性体などを添加することもできる。ポリエステルAおよびBに加えて、これらの樹脂を少量併用することにより、屈折率特性に加えてハードコート層との接着性を高めることができる。ポリエステルAおよびB以外の高分子バインダー成分を用いる場合、その含有量は塗布層の重量を基準として40重量%以下であることが好ましく、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは1〜20重量%である。
本発明の塗布層は、さらに界面活性剤を含有することが好ましく、界面活性剤を用いる場合は、塗布層の重量を基準として0.1重量%以上10重量%以下の範囲で界面活性剤を含有することが好ましい。また界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は0.5重量%以上7重量%以下であることがさらに好ましい。かかる範囲で界面活性剤を含有することにより、ポリエステルAの水分散性を高めることができ、塗液中のポリエステルAの粒径が小さくなり、塗布層表面の平坦性がさらに高まるため、表面ヘイズ特性をさらに良好なものとすることができる。
かかる界面活性剤として、脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物が好ましく、それらの界面活性剤の中でも、特に炭素数16〜20の直鎖状不飽和脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物が特に好ましく例示される。
本発明の塗布層は、有機ELディスプレイや電子ペーパーなどのディスプレイといった光学用途の基板フィルムとして用いた場合の視認性を高めるために、塗布層中の粒子含有量は、塗布層の重量を基準として1重量%以下であることが好ましい。また粒子含有量は、より好ましくは0.001〜0.8重量%、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%である。塗布層における粒子は滑り性付与の目的でごく少量添加するものであり、粒子含有量をかかる範囲にとどめることにより、塗布層に起因する表面ヘイズ値を低減させることができ、さらにはフィルム全体のヘイズ値を低減させることができる。
かかる粒子は、平均一次粒子径が5〜200nmであることが好ましい。粒子の平均一次粒子径が200nmを超えると光学散乱が発生し、塗布層の透明性が低下することがある。一方、粒子の平均一次粒子径が5nm未満であると粒子同士の凝集が多くなり、二次粒子径が大きくなるため光学散乱が発生し、塗布層の透明性が低下することがある。
本発明の塗布層は、ポリエステルAおよびBを水分散体の状態で他の塗布層成分と混合し、塗布液の状態でポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布することにより形成される。
ポリエステルAおよびBは、20℃で1リットルの水に対する溶解度が20g以上でかつ沸点が100℃以下、または100℃以下で水と共沸する親水性の有機溶媒に溶解することが好ましい。かかる溶解度を有するポリエステルと溶媒とを用いることにより、かかるポリエステルを水分散体にすることが可能となる。有機溶媒としてはジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトンを例示することができる。かかる溶液にさらに小量の界面活性剤を添加することもできる。
得られた分散体から有機溶媒を分離、除去することにより、目的のポリエステル水分散体が得られる。例えば得られた分散体から、常圧または減圧下で親水性の有機溶媒を蒸去する方法により、目的のポリエステル水分散体が得られる。またポリエステルAおよびBを水と共沸する親水性の有機溶媒に溶解した場合には、該有機溶媒を蒸去する時に水が共沸するので水の減量分を考慮し、前もって多めの水に分散しておくことが望ましい。
ここで、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムとは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配向フィルム、更には縦方向および横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向また横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等を含むものである。なかでも、未延伸フィルムまたは一方向に配向せしめた一軸延伸フィルムに、上記組成物の水性塗液を塗布し、そのまま縦延伸および/または横延伸と熱固定とを施すのが好ましい。
塗液の塗布量は、塗膜の厚さが後述の範囲となるよう調整して用いられる。塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法等を単独または組合せて用いることができ、中でもロールコート法が好ましく、ロールコート法の中でもグラビアコート法がさらに好ましい。
なお、本発明の塗布層はハードコート層を設ける側に設けることが好ましく、フィルムの片面のみに形成しても両面に形成してもよい。
本発明の塗布層の厚みは50nm以上200nm以下であることが好ましい。塗布層厚みはさらに好ましくは80nm以上150μm以下、特に好ましくは80nm以上100nm以下である。塗布層厚みがかかる範囲にあることにより、ハードコート積層時の干渉斑を低減することができ、塗布層厚みがかかる範囲からはずれる場合はポリエステルAおよびポリエステルBを含む塗布層組成を用いていても干渉斑の低減効果が十分に発現しないことがある。また、塗布層厚みが上限値を超えると表面ヘイズが大きくなることがある。
(塗布層の屈折率)
干渉斑抑制の観点から、塗布層の屈折率は1.60以上1.65以下の範囲であることが好ましく、さらに1.62以上1.65以下であることが好ましく、特に1.63以上1.64以下であることが好ましい。
塗布層の屈折率をかかる範囲にする具体的方法として、高屈折率のポリエステルAのジオール成分としてフルオレン構造を有するグリコール成分を用い、さらにポリエステルAのジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いること、またポリエステルAをポリエステルBとともに使用する際のポリエステルAの割合が50重量%以上であることが挙げられる。
本発明のフィルムの表面ヘイズ値は、0.1%以上3.7%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以上2.5%以下、さらに好ましくは0.1%以上1.5%以下、特に好ましくは0.1%以上1.0%以下である。本発明のフィルムの表面ヘイズは塗布層の透明性を表わす指標であり、塗布層に起因する表面ヘイズ値がかかる範囲にあることにより、例えばフレキシブルディスプレイ基板といった光学用フィルムとして用いたときに視認性が良好なものとなる。塗布層を構成する成分の特性上、塗布層に起因する表面ヘイズ値を下限値よりも小さくすることは技術的に難しく、一方、かかるヘイズ値が上限値を超える場合は光線透過率が低下し、視認性が低減する。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、200℃の温度で10分間加熱処理したときの熱収縮率がフィルム長手方向および幅方向のそれぞれ0.1%以下であることが好ましい。また、それぞれの方向の熱収縮率の下限は−0.1%であることが好ましい。
該熱収縮率の下限は、好ましくはフィルムの長手方向及び幅方向のいずれも−0.05%、より好ましくは−0.03%、特に好ましくは0.00%である。また該熱収縮率の上限は、好ましくはフィルムの長手方向及び幅方向のいずれも0.08%、より好ましくは0.05%、特に好ましくは0.03%である。
熱収縮率をかかる範囲にするための具体的方法として、二軸配向ポリエステルフィルムの製膜方法に記載した延伸倍率、熱固定処理および熱弛緩処理を用いる方法が挙げられる。
本発明の光学用ポリエステルフィルムの厚みは、薄型フレキシブルディスプレイに適した厚みであることが好ましく、50〜300μmの範囲であることが好ましい。フィルム厚みは、さらに好ましくは100〜200μm、特に好ましくは100〜150μmである。フィルム厚みは、携帯性や曲げやすさの点でより薄い方が好ましい。ただし、下限に満たない場合は、フレキシブルディスプレイの基板フィルムとして十分に強度を保持することが難しいことがある。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、塗布層の上にさらにハードコート層が設けられることが好ましい。
該ハードコート層としては、放射線硬化系またはシラン系の樹脂を用いることができ、特に放射線硬化系の樹脂を用いたハードコート層が好ましく、そのなかでも紫外線(UV)硬化系の樹脂を用いたハードコート層が好ましい。ハードコート層の形成に用いられるUV硬化系組成物としては、ウレタン−アクリレート系、エポキシ−アクリレート系、ポリエステル−アクリレート系などのUV硬化性組成物が挙げられる。
本発明の光学用ポリエステルフィルムは、例えば有機ELディスプレイや電子ペーパーなどのフレキシブルディスプレイ基板として好適に用いられる。
かかる光学用途に用いる場合、本発明の光学用ポリエステルフィルムの塗布層上にハードコート層を設け、その上にさらにガスバリア層、ITOなどの透明導電層などを積層する構成が例示される。
高分子バインダー組成物またはフィルム上に設けられた塗布層より、1H、13C−NMR測定およびGC/MS測定によって、塗布層の構成成分の同定および定量を行った。
ポリエステルサンプル約10mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(デュポン社製・V4.OB2000型DSC)に装着し、25℃から20℃/分の速度で200℃まで昇温させてガラス転移温度を測定した。
エポキシ包埋樹脂でフィルムを固定して断面をミクロトームで50nm厚みに切断した。これを2%オスミウム酸で60℃、2時間染色して、透過型電子顕微鏡(日本電子製JEM2010)を用いて、塗布層の厚みを測定した。
電子マイクロメータ(アンリツ(株)製の商品名「K−312A型」)を用いて針圧30gにてフィルム厚みを測定した。
JIS K7136に準じ、日本電色工業社製のヘイズ測定器(NDH−2000)を使用し、フィルム1枚のサンプル、フィルムを2枚重ねたサンプル、フィルムを3枚重ねたサンプルについて、それぞれのフィルムヘイズを測定した。フィルムヘイズを測定するにあたり、フィルムを重ねた箇所はセダー油を間に入れて塗布層ヘイズをキャンセルさせ測定した。
フィルム枚数が増えることに伴うヘイズ増分はフィルムの内部ヘイズにあたり、フィルム1枚のフィルムヘイズ値から内部ヘイズを差し引いた値より、塗布層に起因する表面ヘイズを求めた。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムの塗布層未塗工面について、長手方向(MD方向)、幅方向(TD方向)、フィルム厚み方向(Z方向)それぞれの屈折率をアッベ屈折率計にて測定した。なお、本発明の塗布層は厚みが薄いため、塗布層が両面に形成されている場合は、塗布層上からアッベ屈折率計を用いて測定しても塗布層の屈折率の影響を受けず、二軸配向ポリエステルフィルムの屈折率を求めることができる。
日本分光製エリプソメータ(M−200)にて、得られたフィルムの塗布層塗工面について、測定された位相差(デルタ)と振幅(プサイ)より、波長550nmにおける塗布層の屈折率を求めた。なお基板屈折率として(6)の方法で得られた屈折率を用いた。
フィルムサンプル上にメチルエチルケトン(MEK)をスポイトで10滴滴下し、室温下で自然乾燥させる。十分乾いたら表面を光学顕微鏡で観察し、塗布層のテクスチャーにほとんど変化のないものを○、溶剤による膨潤痕、凹凸などが見られた場合は×とした。
ハードコート層を形成したポリエステルフィルムの反対面を黒色マジックで塗りつぶし、反対面の反射光を無くし、分光光度計(島津製作所製UV−3101PC)を用いて分光反射率を測定した。波長500nm〜600nmでの反射率を測定し、その反射率の振幅を下記の基準で評価した。測定された反射率の振幅が大きいほど干渉斑が発生し、ディスプレイとしての視認性が低下する。
◎: 反射率振幅≦0.5% ・・・極めて良好
○:0.5%<反射率振幅≦1.0% ・・・良好
×:1.0%<反射率振幅 ・・・不良
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル100部およびエチレングリコール60部を、エステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03部を使用し、150℃から238℃に徐々に昇温させながら120分間エステル交換反応を行なった。途中反応温度が170℃に達した時点でリン酸トリメチル(エチレングリコール中で135℃、5時間0.11〜0.16MPaの加圧下で加熱処理した溶液:リン酸トリメチル換算量で0.023部)を添加し、エステル交換反応終了後、三酸化アンチモン0.024部を添加した。
その後反応生成物を重合反応器に移し、290℃まで昇温し、27Pa以下の高真空下にて重縮合反応を行って、固有粘度が0.61dl/gの、実質的に粒子を含有しない、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを得た。
このポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのペレットを170℃で6時間乾燥後、押出機ホッパーに供給し、溶融温度305℃で溶融し、平均目開きが17μmのステンレス鋼細線フィルターで濾過し、2mmのスリット状ダイを通して表面温度60℃の回転冷却ドラム上で押出し、急冷して未延伸フィルムを得た。
得られた二軸配向ポリエステルフィルムを、250℃の温度で40秒間熱固定し、厚み125μmのポリエステルフィルムを巻き取った後、IRヒーターによる加熱ゾーンを用いて処理温度200℃、弛緩率1.0%で幅方向に弛緩処理を行い、ポリエステルフィルムを得た。なお、塗膜の厚さは0.1μmであった。得られたポリエステルフィルムの特性を表1に示す。
さらに、以下の組成からなるUV硬化系組成物をロールコーターを用いて、硬化後の膜厚が5μmとなるように、塗布層上に均一に塗布し、その後、80W/cmの強度を有する高圧水銀灯で30秒間紫外線を照射して硬化させ、ハードコート層を形成した。得られた積層フィルムの特性を表1に示す。
(ポリエステルA) 酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸90モル%/イソフタル酸6モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸4モル%、ジオール成分がエチレングリコール25モル%/9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン60モル%/ジエチレングリコール15モル%で構成されている(Tg=115℃)。
かかるポリエステルAは、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100部、イソフタル酸ジメチル5.3部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル5.4部、エチレングリコール45部および9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン78.3部をエステル交換反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.1部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。
次いで、この反応系にイルガノックス1010(チバガイギー社製)0.5部を添加した後、温度を徐々に255℃まで上昇させ、系内を1mmHgまで減圧して過剰なエチレングリコールを除去しつつ重縮合反応を行ない、固有粘度0.48dl/gの共重合ポリエステルAを得た。この共重合ポリエステルA20部をテトラヒドロフラン80部に溶解し、得られた溶液に10000回転/分の高速攪拌下で水180部を滴下して青みがかった乳白色の分散体を得た。次いでこの分散体を20mmHgの減圧下で蒸留し、テトラヒドロフランを留去した。かくして固形分濃度10wt%のポリエステル水分散体を得た。
かかるポリエステルBは、テレフタル酸ジメチル100部、イソフタル酸ジメチル3部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル1部、エチレングリコール26部およびビスフェノールA14部をエステル交換反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.1部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。
次いで、この反応系にイルガノックス1010(チバガイギー社製)0.5部を添加した後、温度を徐々に255℃まで上昇させ、系内を1mmHgまで減圧して重縮合反応を行ない、固有粘度0.48dl/gの共重合ポリエステルBを得た。この共重合ポリエステルB20部をテトラヒドロフラン80部に溶解し、得られた溶液に10000回転/分の高速攪拌下で水180部を滴下して青みがかった乳白色の分散体を得た。次いでこの分散体を20mmHgの減圧下で蒸留し、テトラヒドロフランを留去した。かくして固形分濃度10wt%のポリエステル水分散体を得た。
[UV硬化組成物]
ペンタエリスリトールアクリレート :45重量%
N−メチロールアクリルアミド :40重量%
N−ビニルピロリドン :10重量%
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン: 5重量%
塗布層を構成するポリエステルAのジオール成分の割合を表1に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムおよび積層フィルムを得た。得られた特性を表1に示す。
塗布層を構成するポリエステルAのジオール成分の割合を表1に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムおよび積層フィルムを得た。得られた特性を表1に示す。
塗布層を構成するポリエステルAとポリエステルBの割合を表1に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムおよび積層フィルムを得た。得られた特性を表1に示す。
塗布層を構成するポリエステルAとポリエステルBの割合を表1に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムおよび積層フィルムを得た。得られた特性を表1に示す。
塗布層を構成する界面活性剤の種類を、C16飽和アルコールに酸化エチレン及び酸化プロピレンを各同量付加させて分子量を約1500としたものに変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムおよび積層フィルムを得た。得られた特性を表1に示す。
塗布層の構成成分として界面活性剤を用いなかった以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムおよび積層フィルムを得た。得られた特性を表1に示す。
塗布層を構成する高分子バインダー成分としてポリエステルBを用いなかった以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムおよび積層フィルムを得た。得られた特性を表1に示す。
塗布層を構成するポリエステルBのジカルボン酸成分の種類および割合を表1に示すとおりに変更することにより、ポリエステルBのガラス転移温度を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムおよび積層フィルムを得た。得られた特性を表1に示す。
塗布層を構成するポリエステルBのジカルボン酸成分およびジオール成分の種類および割合を表1に示すとおりに変更することにより、ポリエステルBのガラス転移温度を変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムおよび積層フィルムを得た。得られた特性を表1に示す。
Claims (10)
- ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層が設けられた光学用ポリエステルフィルムであって、該塗布層がジオール成分として全ジオール成分に対して20モル%以上80モル%以下の下記式(I)で表わされるフルオレン構造を有する成分を含むガラス転移温度90℃以上135℃以下のポリエステルAと、
ガラス転移温度が25℃以上80℃以下であるポリエステルBとを含有し、ポリエステルBがポリエステルBの全ジカルボン酸成分に対して90モル%以上のテレフタル酸に由来する成分を含むことを特徴とする光学用ポリエステルフィルム。 - ポリエステルAとポリエステルBを合計した含有量が該塗布層の重量を基準として50重量%以上100重量%以下であり、かつポリエステルAとポリエステルBの合計量を基準としてポリエステルAの含有量が50重量%以上80重量%以下、ポリエステルBの含有量が20重量%以上50重量%以下である請求項1に記載の光学用ポリエステルフィルム。
- ポリエステルAがポリエステルAの全ジカルボン酸成分に対して40モル%以上99モル%以下の2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する成分を含む請求項1または2に記載の光学用ポリエステルフィルム。
- 該塗布層が塗布層の重量を基準としてさらに0.1重量%以上10重量%以下の範囲で界面活性剤を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
- 該界面活性剤が炭素数16〜20の直鎖状不飽和脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物である請求項4に記載の光学用ポリエステルフィルム。
- 該ポリエステルフィルムの構成成分がポリエチレンナフタレンジカルボキシレートである請求項1〜5のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
- 該塗布層の屈折率が1.60以上1.65以下である請求項1〜6のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
- フィルムの表面ヘイズ値が0.1%以上1.5%以下である請求項1〜7のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
- 塗布層の上にさらにハードコート層が設けられている請求項1〜8のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
- フレキシブルディスプレイ基板に用いられる請求項1〜9のいずれかに記載の光学用ポリエステルフィルム。
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