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JP5581779B2 - 分離膜支持体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜および逆浸透膜等の分離膜を支持するための不織布からなる分離膜支持体の製造方法に関するものである。また、本発明は、その分離膜支持体を用いた分離膜および流体分離素子に関するものである。
近年の水処理には、多くの場合において膜技術が適用されている。例えば、浄水場での水処理には、精密ろ過膜や限外ろ過膜が用いられており、海水の淡水化には、逆浸透膜が用いられている。また、半導体製造用水、ボイラー用水、医療用水およびラボ用純水等の処理には、逆浸透膜やナノろ過膜が用いられている。さらに、下廃水の処理には、精密ろ過膜や限外ろ過膜を用いた膜分離活性汚泥法も適用されている。
これらの分離膜は、その形状から平膜と中空糸膜に大別される。これらの分離膜のうち、主に合成重合体から形成される平膜は、分離機能を有する膜単体では機械的強度が劣るため、一般に不織布や織布等の支持体と一体化して使用されることが多い。
一般に、分離機能を有する膜と支持体は、不織布や織布等の支持体上に、分離機能を有する膜の原料となる高分子重合体の溶液を流延して固着させる方法により一体化され製造される。また、逆浸透膜等の半透膜においては、不織布や織布等の支持体上に高分子重合体の溶液を流延し支持層を形成させた後に、その支持層上に半透膜を形成させる方法等により一体化され製造される。
したがって、支持体となる不織布や織布等には、高分子重合体の溶液を流延した際にそれが過浸透により裏抜けしたり、膜物質が剥離したり、さらには支持体の毛羽立ち等により膜の不均一化やピンホール等の欠点が生じたりすることがないような優れた製膜性が要求される。
また、分離膜の取り扱いを容易にするための流体分離素子の形態としては、平膜のプレートフレーム型、プリーツ型およびスパイラル型等のものが挙げられる。例えば、プレートフレーム型の流体分離素子であれば、所定の大きさにカットした分離膜をフレームに取り付ける工程が必要であり、またスパイラル型の流体分離素子であれば、所定の大きさにカットした分離膜同士の外周部を貼り合わせて封筒状に加工し集水管の周りに巻き付ける工程が必要である。そのため、分離膜支持体にはこれらの工程で膜が折れ曲がったり、丸まったりすることがないような優れた加工性が要求される。
さらに、高圧下で使用されることが多い逆浸透膜等の半透膜の場合は、特に、支持体には高い機械的強度と高い寸法安定性が要求される。
従来、このような分離膜支持体として、太い繊維を使用した目開きおよび表面粗度の大きな表面層と、細い繊維を使用した目開きが小で緻密な構造を有する裏面層との二重構造を基本とした多層構造体の不織布からなる分離膜支持体が提案されている(特許文献1参照。)。
また、半透膜形成用重合体溶液を流延し膜形成を行うための不織布からなる半透膜支持体において、その不織布が、通気度が5〜50cc/cm/secの低密度層と、通気度が0.1cc/cm/sec以上で5cc/cm/sec未満の高密度層とを積層一体化した二層構造の不織布であり、全体としての通気度が0.1cc/cm/sec〜4.5cc/cm/secの半透膜支持体が提案されている(特許文献2参照。)。
また、5%伸長時の縦方向(MD)と横方向(CD)の裂断長の平均値が4.0km以上であり、且つ通気度が0.2〜10.0cc/cm・秒の不織布からなる半透膜支持体が提案されている(特許文献3参照。)。
また、熱可塑性連続フィラメントから構成される長繊維不織布が2〜5層に積層されてなる分離膜支持体が提案されている(特許文献4参照。)。
また、合成樹脂細繊維からなる主体繊維とバインダー繊維とからなり、抄紙後加熱加圧処理して製造される不織布であって、抄紙流れ方向と幅方向の引張強度比が2:1〜1:1にある半透膜支持体が提案されている(特許文献5参照。)。
しかしながら、これらの特許文献には、分離膜製造時の製膜性や、製膜後の凝固・洗浄槽通過時の加工性については提案や記載があるものの、これらのいずれの特許文献にも、分離膜支持体の収縮性や流体分離素子製造時の加工性に関しては何ら記載および提案がなかった。よって、このような従来の分離膜支持体を用いた場合、流体分離素子製造時に分離膜が丸まったり折れたりするなど、優れた加工性が得られないという問題があった。
また別に、スパンボンド方式からなる熱可塑性合成長繊維不織布であって、その繊維の交絡点において、繊維表面同士が互いに融着接合で接着しており、目付けが1〜25g/mで、繊維径が10〜50μmであり、単位目付け当たりに換算した引張強度が0.1N/50mm以上で、タテおよびヨコ方向のボイル収縮率が10%以下であることを特徴とする低目付不織布が提案されている(特許文献6参照。)。しかしながら、この提案の不織布は、不織布を構成する繊維の交絡点において、繊維表面同士が互いに点状で融着接合し、通常の熱圧着とは異なる比較的弱い接合点を多数有し、繊維が固定化されて不織布の一体化接合をなした低目付不織布であることから、この不織布を分離膜支持体に用いた場合、高分子重合体溶液の流延時の過浸透が多くなる傾向となり、良好な製膜性を得ることができないばかりか、機械的強度と耐久性に優れた分離膜を得ることができないという問題があった。
特公平4−21526号公報 特公平5−35009号公報 特許第3153487号公報 特開2009−61373号公報 特開2002−95937号公報 特開2009−228154号公報
そこで本発明の目的は、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜および逆浸透膜等の分離膜を支持する際に優れた製膜性および機械的強度を有することに加え、流体分離素子製造時に優れた加工性を有する不織布からなる分離膜支持体の製造方法、ならびにその分離膜支持体を用いた分離膜および流体分離素子を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決せんとするものであり、本発明の分離膜支持体の製造方法は、目付が30〜150g/mであり、かつ幅方向(横方向)の沸騰水収縮率が0.1〜5.0%である不織布からなる分離膜支持体の製造方法であって、スパンボンド法、メルトブロー法、乾式法もしくは抄紙法のいずれかの製法により製造された不織布、またはこれらの製法により製造された不織布を積層した複合不織布を、上下1対のフラットロールにより熱圧着した後、60〜200℃の温度に加熱して、幅方向(横方向)に1.01〜1.05倍拡幅する工程を含むことを特徴とする分離膜支持体の製造方法である。
本発明の分離膜は、前記の分離膜支持体の表面上に、分離機能を有する膜を形成してなる分離膜である。
本発明の流体分離素子は、前記の分離膜を構成要素として含む流体分離素子である。
本発明によれば、不織布からなる分離膜支持体であって、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜および逆浸透膜等の分離膜を支持する際に、分離膜の製造時において高分子重合体溶液流延時の過浸透や膜剥離を抑制することができる優れた製膜性と、分離膜の使用時にかかる圧力に対して分離膜が変形したり破損することのない、優れた機械的強度を有し、流体分離素子製造時において分離膜がカールし製造工程中に引っ掛かったりすることのない、優れた加工性を有する分離膜支持体が得られる。
また、本発明により、上記の特徴ある性能を有する分離膜支持体を用いた分離膜および流体分離素子を得ることができる。
本発明の分離膜支持体は、その表面上に分離機能を有する膜を形成させるための分離膜支持体である。本発明において分離膜は、分離膜支持体とその表面上に形成された分離機能を有する膜で構成されている。
分離膜の製造には、分離膜支持体上に、分離膜や支持層の原料となる高分子重合体の溶液を流延して固着させる工程が含まれるが、分離膜や支持層が分離膜支持体上で凝固する過程において脱溶媒が進み、分離膜や支持層が収縮する。そのために、分離膜支持体が溶液を流延した面(すなわち、製膜面)を内側に丸まる現象(カール)が見られる。このようなカール現象は、特に製膜後の流体分離素子製造時の加工性や流体分離素子の品質に影響を及ぼし、分離膜基材の幅方向の端部が製膜面側に丸まり加工中に工程部材に引っ掛かったり、丸まったまま製品化されて、その部分からの漏れに繋がったりするなどのトラブルを引き起こす。このようなカール現象による流体分離素子製造時のトラブルは、前記の特許文献5に提案されているような分離膜支持体の流れ方向と幅方向の引張強度比の調整では防ぐことができないという課題を有している。本発明者らは、そのようなカール現象に対して、分離膜支持体の幅方向(横方向)の沸騰水収縮率を特定の範囲とすることによって上記の課題を抑制できることを見出したものであり、また、特定の条件下で不織布を加熱しながら、幅方向(横方向)に拡幅する工程を含む製造方法により、本発明の特徴ある分離膜支持体を製造できることを見いだしたものである。
本発明の分離膜支持体においては、分離膜支持体を構成する不織布の幅方向(横方向)の沸騰水収縮率が0.1〜5.0%であることが重要である。幅方向(横方向)の沸騰水収縮率を0.1%以上とし、好ましくは0.5%以上とし、より好ましくは1.0%以上とすることにより、分離膜製造時に分離膜の収縮に追従して分離膜支持体も収縮するため、分離膜製膜後に分離膜支持体が製膜面側にカールすることを抑制し流体分離素子製造時のトラブルを防ぐことができる。また、幅方向(横方向)の沸騰水収縮率を5.0%以下とすることにより、分離膜の収縮以上に分離膜支持体が収縮し、波打ち現象やシワが発生しやすくなる問題や、必要となる幅方向の寸法が確保できずに、製品歩留まりが低下する問題を防ぐことができる。
本発明でいう沸騰水収縮率とは、不織布の任意の部分から縦25cm×横25cmのサンプルを4個採取し、幅方向(横方向)3カ所に20cmの長さを表す印を付け、沸騰水中に5分間浸漬してから取り出し、自然乾燥した後、4個のサンプルについて、印を付けた3カ所の長さを0.01cm単位まで測定して、寸法変化を収縮率として求めたものである。
本発明の分離膜支持体の製造方法としては、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、乾式短繊維不織布および抄紙不織布などの不織布や、これらを積層した複合不織布を用い、ピンテンターやクリップテンター設備により拡幅するものであり、60〜200℃の温度に加熱して、幅方向(横方向)に1.01〜1.05倍拡幅する。加熱温度を60℃以上の温度に、より好ましくは70℃以上の温度に、さらに好ましくは80℃以上の温度にすることにより、不織布を構成するフィラメントの相互間の接着が破壊されず、機械的強度を維持したまま安定して拡幅することができる。一方、加熱温度を200℃以下にし、より好ましくは190℃以下にし、さらに好ましくは180℃以下とすることにより、不織布の熱による著しい軟化や劣化を防ぎ、拡幅時の加工安定性に優れるという効果が得られる。
また、幅方向に1.01倍以上拡幅することにより、不織布の幅方向(横方向)の沸騰水収縮率を0.1%以上とすることができ、分離膜製造時に分離膜の収縮に追従して分離膜支持体も収縮するため、分離膜製膜後に分離膜支持体が製膜面側にカールすることを抑制し流体分離素子製造時のトラブルを防ぐことができる。一方、幅方向に1.05倍以下拡幅することにより、不織布の幅方向(横方向)の沸騰水収縮率を5.0%以下とすることができ、分離膜の収縮以上に分離膜支持体が収縮し、波打ち現象やシワが発生しやすくなる問題や、必要となる幅方向の寸法が確保できずに、製品歩留まりが低下する問題を防ぐことができる。
また、本発明の分離膜支持体を構成する不織布は、単層でも良いが、2層以上の不織布を積層一体化されてなる積層不織布であることが好ましい。不織布を積層して使用することにより、微小領域の目付が均一となることや、積層界面を形成することにより、高分子溶液流延時の過浸透を抑制することで裏抜けがより少なくなり、分離膜支持体として好適に使用できるものとなる。不織布の積層数としては、2〜5層であることが好ましい形態であり、2層以上であれば、単層時に比べて微小領域の目付均一性が向上し十分な均一性が得られ、5層以下であれば、積層時にシワが入ること、また、層間の剥離を抑制することができる。
積層不織布の組み合わせの形態としては、例えば、2層のスパンボンド不織布の層間に1層のメルトブロー不織布を配した3層構造の積層不織布等が挙げられるが、機械的強度および寸法安定性の面から、不織布の少なくとも1層はスパンボンド不織布であることが好ましい。また、2層のスパンボンド不織布からなる積層体等、実質的にスパンボンド不織布のみからなることがより好ましい形態である。積層一体化された長繊維不織布の表面は、少なくとも製膜する側は、製膜性の点から平滑であることが好ましい。本発明でいう平滑な面とは、彫刻ロール等による意図的な凹凸がない表面であることを指し、例えば、フラットロール等により処理された表面を意味するものである。
積層不織布を積層一体化する方法としては、複数層の不織布を重ね合わせ熱圧着により積層一体化する方法、複数層の不織布を接着剤で貼り合せ積層一体化する方法、複数層の不織布を機械的交絡により積層一体化する方法およびこれらの組み合せにより積層一体化する方法を用いることができる。なかでも特に、複数層の不織布を重ね合わせ熱圧着により積層一体化する方法を好ましく用いることができる。
本発明で用いられるスパンボンド不織布は、溶融した熱可塑性重合体をノズルから押し出し、これを高速吸引ガスにより吸引延伸して紡糸した後、移動コンベア上に繊維を捕集して繊維ウエブとし、さらに連続的に熱圧着や絡合等を施すことにより一体化してシートとなす、いわゆるスパンボンド法により製造することができる。その際、構成する繊維をより高度に配向結晶化させるため、紡糸速度は2000m/分以上であることが好ましく、より好ましくは3000m/分以上であり、さらに好ましくは4000m/分以上である。熱可塑性フィラメントを芯鞘型等の複合形態とする場合は、通常の複合方法を採用することができる。
また、スパンボンド不織布の熱圧着方法としては、1対のフラットロールのみで不織布を熱圧着するのではなく、より精密に不織布の特性をコントロールするために、2段階接着方式を採用することもできる。すなわち、不織布を1対のフラットロール間で予備熱圧着して、または1本のフラットロールと繊維ウエブの捕集に用いられる捕集コンベア間で予備熱圧着して、仮接着状態の不織布を得た後に、連続工程であるいは仮接着状態の不織布を巻き取った後に、さらにそれをもう1度フラットロール間で熱圧着するような2段階接着方式も好ましく用いることができる。
このような2段階接着方式での1段階目の予備熱圧着においては、2段階目の熱圧着時に不織布をより高密度化できることから、その仮接着の状態の不織布の充填密度を0.1〜0.3とすることが好ましい。その際の1段階目の予備熱圧着に用いられるフラットロールの温度は、不織布を構成する繊維の融点よりも20〜120℃低く、線圧は5〜70kg/cmであることが好ましい。
本発明の分離膜支持体を構成する不織布を構成する繊維は、単一成分からなる繊維でも、複数成分からなる複合型繊維でもかまわない。本発明の分離膜支持体においては、高融点重合体の周りに、その高融点重合体の融点よりも好ましくは10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した、複合型繊維から構成される不織布からなることが好ましい態様である。高融点重合体の周りに、その高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配することにより、熱圧着により不織布を形成し分離膜支持体として使用した際、不織布を構成する繊維同士が強固に接着するため、毛羽立ちによる高分子溶液流延時の不均一化や、膜欠点を抑制することができる。
また、このような複合型繊維を用いることにより、不織布を構成する繊維同士が強固に接着することに加え、高融点重合体のみからなる繊維と低融点重合体のみからなる繊維を混合したいわゆる混繊型繊維に比べその接着点の数も多くなるため、分離膜支持体として用いた際の寸法安定性および耐久性につながる。高融点重合体と低融点重合体の融点差が10℃以上であれば、所望の熱接着性を得ることができ、融点差が140℃以下であれば、熱圧着時に熱圧着ロールに低融点重合体成分が融着し生産性が低下することを抑制することができる。高融点重合体と低融点重合体の融点差のより好ましい範囲は、20〜120℃であり、さらに好ましい範囲は30〜100℃である。
また、本発明の分離膜支持体において、高融点重合体の周りに、高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した、複合型繊維から構成される長繊維不織布からなる場合のその高融点重合体の融点は、本発明の分離膜支持体上に分離膜を形成した際に製膜性が良好であり、耐久性に優れる分離膜を得ることができるものであることから、160〜320℃の範囲であることが好ましい。高融点重合体の融点が160℃以上であれば、不織布を形成し分離膜支持体として使用した際、分離膜または流体分離素子製造時に熱が加わる工程を通過したとしても形態安定性に優れている。また、融点が320℃以下であれば、不織布およびその原料となる繊維の製造時に熱可塑性重合体を溶融するための熱エネルギーを多大に消費し生産性が低下することを抑制することができる。その高融点重合体の融点のより好ましい範囲は170〜300℃であり、さらに好ましい範囲は180〜280℃である。また、低融点重合体の融点は120℃以上であることが好ましく、140℃以上であることがより好ましい態様である。
本発明で用いられる複合型繊維における低融点重合体の占める割合は、分離膜支持体に適した不織布を得ることができるものであることから、10〜70質量%であることが好ましい。低融点重合体の占める割合が10質量%以上であれば、所望の熱接着性を得ることができ、その割合が70質量%以下であれば、熱圧着時に熱圧着ロールに低融点重合体成分が融着し生産性が低下することを抑制することができる。その低融点重合体の占める割合のより好ましい範囲は15〜60質量%であり、さらに好ましい範囲は20〜50質量%である。
複合型繊維の複合形態については、分離膜支持体に適した不織布を得ることができるものであり、例えば、同心芯鞘型、偏心芯鞘型および海島型等の複合形態が挙げられる。さらにその繊維断面形状としては、円形断面、扁平断面、多角形断面、多葉断面および中空断面等が挙げられる。なかでも、熱圧着により、繊維同士を強固に接着させることができ、さらには得られる分離膜支持体の厚さを低減し、流体分離素子としたときの省スペース化が図れることから、複合形態については同心芯鞘型を、繊維形状としては円形断面や扁平断面を用いることが好ましい。
また、融点の異なる重合体からなり、高融点重合体の周りにその高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した複合型繊維から構成される不織布を一体化する方法として、上下1対のフラットロールによる熱圧着を採用する場合は、フラットロールの温度は、その低融点重合体の融点よりも20〜80℃低いことが好ましく、さらには30〜60℃低いことが好ましい態様である。
本発明において、不織布を構成する繊維の原料については、分離膜支持体に適した不織布を得ることができるもので、例えば、ポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、ポリオレフィン系重合体、あるいはこれらの混合物や共重合体等が挙げられるが、より機械的強度、耐熱性、耐水性および耐薬品性等の耐久性に優れた分離膜支持体を得ることができることから、ポリエステル系重合体が好ましく用いられる。
本発明で用いられるポリエステル系重合体とは、酸成分とアルコール成分からなるポリエステルである。酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸およびフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸やセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸およびシクロヘキサンカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸などを用いることができる。また、アルコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよびポリエチレングリコールなどを用いることができる。
ポリエステル系重合体の例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂およびポリブチレンサクシネート樹脂等が挙げられ、またこれらの樹脂の共重合体も挙げられる。
また、高融点重合体の周りに、その高融点重合体の融点よりも10〜140℃低い融点を有する低融点重合体を配した、複合型繊維とする場合の高融点および低融点重合体の組み合わせ(高融点重合体/低融点重合体)についても、分離膜支持体に適した不織布を得ることができる。高融点および低融点重合体の組み合わせとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂/ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂/ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂/ポリ乳酸樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂/共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂等の組み合わせが挙げられる。また、共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂の共重合成分としては、イソフタル酸等が好ましく用いられる。
さらに、用済み後に分離膜支持体を廃棄する際、廃棄が容易であり環境負荷が小さいことから、生分解性樹脂も不織布を構成する繊維の原料として好ましく用いられる。本発明で用いられる生分解性樹脂の例としては、ポリ乳酸樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂、ポリグリコール酸樹脂およびポリヒドロキシブチレート系樹脂等が挙げられる。なかでも、石油資源を枯渇させない植物由来の樹脂であり、力学特性や耐熱性も比較的高く、製造コストの低い生分解性樹脂として近年脚光を浴びている、でんぷんの発酵で得られる乳酸を原料としたポリ乳酸樹脂は、不織布を構成する繊維の原料として好ましく用いられる。
本発明で用いられるポリ乳酸樹脂としては、ポリ(D−乳酸)と、ポリ(L−乳酸)と、D−乳酸とL−乳酸の共重合体、あるいはこれらのブレンド体が好ましいものである。
本発明の分離膜支持体を構成する不織布には、本発明の効果を損なわない範囲で、結晶核剤、艶消し剤、滑剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤および親水剤等の添加剤を添加してもよい。なかでも、不織布の熱圧着成形の際、熱伝導性を増すことにより不織布の接着性を向上させる効果がある酸化チタン等の金属酸化物や、熱圧着ロールとウエブ間の離型性を増すことにより接着安定性を向上させる効果があるエチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪族ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪族モノアミドを添加することが好ましい。また、湿式凝固法により分離膜を製膜する際に、支持体内部での溶媒置換を速やかに進行させる効果がある界面活性剤等の親水剤を添加することも好ましい態様である。
これら各種の添加剤は、本発明で用いられる繊維の原料中にあらかじめ練り込んでおくこと等により繊維中に存在させてもよいし、繊維や不織布を製造した後の付与加工等により繊維の表面に存在させてもよい。
本発明の分離膜支持体において、不織布を構成する繊維(単繊維)の平均繊維径は、3〜30μmであることが好ましく、より好ましくは5〜25μmであり、さらに好ましくは7〜20μmである。
不織布を構成する繊維の平均繊維径が3μm以上であれば、不織布およびその原料となる繊維の製造時に紡糸性が低下することが少なく、また分離膜支持体の通気性を維持できるため高分子重合体溶液の流延時の膜剥離等が少なく、良好な製膜性を得ることができる。一方、不織布を構成する繊維の平均繊維径が30μm以下であれば、均一性に優れた不織布および分離膜支持体を得ることができ、また分離膜支持体を高密度化できるため高分子重合体溶液の流延時の過浸透等が少なく、良好な製膜性を得ることができる。
本発明の分離膜支持体を構成する不織布の目付は、30〜150g/mであることが重要であり、好ましくは40〜120g/mであり、さらに好ましくは50〜90g/mである。不織布の目付が、30g/m以上であれば、高分子重合体溶液の流延時の過浸透等が少なく良好な製膜性を得ることができ、製膜後のカールを抑制することができ、機械的強度と耐久性に優れた分離膜を得ることができる。一方、不織布の目付が150g/m以下であれば、分離膜の厚さを低減し、流体分離素子ユニットあたりの分離膜面積を増大させることができる。不織布の目付は、不織布の単位幅あたりの繊維量と製布速度を調整することにより制御することができる。
本発明の分離膜支持体を構成する不織布の厚さは、0.03〜0.20mmであることが好ましく、より好ましくは0.04〜0.16mmであり、さらに好ましくは0.05〜0.12mmである。不織布の厚さが0.03mm以上であれば、高分子重合体溶液の流延時の過浸透等が少なく良好な製膜性を得ることができ、製膜後のカールを抑制することができ、機械的強度と耐久性に優れた分離膜を得ることができる。一方、不織布の厚さが0.20mm以下であれば、分離膜の厚さを低減し、流体分離素子ユニットあたりの分離膜面積を増大させることができる。
本発明の分離膜とは、上記の分離膜支持体の上に、分離機能を有する膜を形成してなる分離膜である。そのような分離膜の例として、精密ろ過膜、限外ろ過膜や、ナノろ過膜および逆浸透膜等の半透膜が挙げられる。
分離膜の製造方法としては、上記の分離膜支持体の少なくとも片方の表面上に、高分子重合体溶液を流延して分離機能を有する膜を形成させ分離膜とする方法が好ましく用いられる。また、分離膜が半透膜の場合は、分離機能を有する膜を支持層と半透膜層を含む複合膜とし、この複合膜を分離膜支持体の少なくとも片方の表面上に積層することも好ましい形態である。この場合、支持層は分離機能を有していなくてもかまわない。
本発明の分離膜支持体において、流延する高分子重合体溶液は、膜となった際に分離機能を有するものであり、例えば、ポリスルホンやポリエーテルスルホンのようなポリアリールエーテルスルホン、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデンおよび酢酸セルロースなどの溶液が好ましく用いられる。なかでも特に、化学的、機械的および熱的な安定性の点で、ポリスルホンとポリアリールエーテルスルホンの溶液が好ましく用いられる。溶媒は、膜形成物質に応じて、適宜選定することができる。また、分離膜が支持層と半透膜層を含む複合膜の場合の半透膜として、多官能酸ハロゲン化物と多官能アミンとの重縮合などによって得られる架橋ポリアミド膜などが好ましく用いられる。
本発明の流体分離素子とは、取り扱いを容易にするため、上記の分離膜を筐体に納めた流体分離素子である。その形態としては、平膜のプレートフレーム型、プリーツ型およびスパイラル型等の流体分離素子が挙げられ、なかでも特に、分離膜が透過液流路材と供給液流路材と共に集水管の周りにスパイラル状に巻き付けられた、スパイラル型の流体分離素子が好ましく用いられる。そして、複数の流体分離素子を直列あるいは並列に接続して、分離膜ユニットとすることができる。
以下、実施例に基づき本発明について具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。また、前記した分離膜支持体、その分離膜支持体を構成する不織布、その不織布を構成する繊維の各特性値および下記実施例における各特性値は、次の方法で測定したものである。
(1)融点(℃)
パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。また、示差走査型熱量計において融解吸熱曲線が極値を示さない樹脂については、ホットプレート上で加熱し、顕微鏡観察により樹脂が完全に溶融した温度を融点とした。
(2)固有粘度IV
ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度IVは、次の方法で測定した。オルソクロロフェノール100mlに対し試料8gを溶解し、25℃の温度においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηを、下記式により求めた。
η=η/η=(t×d)/(t×d
ここで、符号の意義は次のとおりである。
η:ポリマー溶液の粘度
η:オルソクロロフェノールの粘度
t:溶液の落下時間(秒)
d:溶液の密度(g/cm
:オルソクロロフェノールの落下時間(秒)
:オルソクロロフェノールの密度(g/cm
次いで、上記の相対粘度ηから、下記式
IV=0.0242η+0.2634
により固有粘度IVを算出した。
(3)沸騰水収縮率(%)
不織布の任意の部分から縦25cm×横25cmのサンプルを4個採取し、幅方向(横方向)3カ所に20cmの長さを表す印を付け、沸騰水中に5分間浸漬してから取り出し自然乾燥する。4個のサンプルについて、印を付けた3カ所の長さを0.01cm単位まで測定し、4個のサンプルの合計を次式に当てはめ、小数点以下第一位を四捨五入して熱収縮率を算出する。
沸騰水収縮率(%)=((L1−L2)/L1)×100
ここで、L1とL2は次のとおりである。
L1:浸漬前の3線の長さの合計(サンプル4個の合計)(cm)
L2:浸漬後の3線の長さの合計(サンプル4個の合計)(cm)。
(4)平均繊維径(μm)
不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡で500〜3000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維の直径を測定し、それらの平均値を小数点以下第一位を四捨五入して求めた。
(5)不織布の目付(g/m
30cm×50cmの不織布を3個採取して、各試料の重量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算し、小数点以下第一位を四捨五入した。
(6)不織布の厚さ(mm)
JIS L 1906(2000年版)の5.1に基づいて、直径10mmの加圧子を使用し、荷重10kPaで不織布の幅方向1mあたり等間隔に10点を0.01mm単位で厚さを測定し、その平均値の小数点以下第三位を四捨五入した。
(7)不織布の引張強力(N/5cm)と引張伸度(%)
JIS L 1906(2000年版)の5.3.1に基づいて、5cm×30cmの不織布サンプルについて、つかみ間隔が20cmで、引張速度10cm/minの条件で、縦方向および横方向それぞれ5点について強力と伸度を測定し、破断したときの強力と伸度を読み取り、少数点以下第一位を四捨五入した値を縦方向と横方向の引張強力と引張伸度とし、縦方向と横方向の平均値の小数点以下第一位を四捨五入した値を、それぞれ不織布の引張強力と引張伸度とした。
(8)不織布の5%伸長時応力(N/5cm)
JIS L 1906(2000年版)の5.3.1に基づいて、5cm×30cmの不織布サンプルについて、つかみ間隔20cm、引張速度10cm/minの条件で、縦方向および横方向それぞれ5点の測定を実施し、得られた強伸度曲線から5%伸長時の強力を読み取り、少数点以下第一位を四捨五入した値を縦方向と横方向の5%伸長時応力とし、縦方向と横方向の平均値の小数点以下第一位を四捨五入した値を不織布の5%伸張時応力とした。
(9)製膜時のキャスト液裏抜け性
[ポリスルホン膜]
あらかじめ50cm幅にスリットした各分離膜支持体を、12m/minの速度で巻き出し、その上にポリスルホン(ソルベイアドバンスドポリマーズ社製の“Udel”(登録商標)−P3500)の15重量%ジメチルホルムアミド溶液(キャスト液)をキャスト幅46cm、50μm厚みで、室温(20℃)でキャストし、ただちに純水中に室温(20℃)で10秒間浸漬した後、75℃の温度の純水中に120秒間浸漬し、続いて90℃の温度の純水中に120秒間浸漬し、100N/全幅の張力で巻き取り、ポリスルホン膜を作製した。
次に、作製したポリスルホン膜の裏面を目視で観察し、キャスト液の裏抜け性について以下の5段階で評価した。
5点:キャスト液の裏抜けが全く見られない。
4点:わずかにキャスト液の裏抜けが見られる(面積比率5%未満)。
3点:キャスト液の裏抜けが見られる(面積比率5〜50%)。
2点:大部分でキャスト液の裏抜けが見られる(面積比率51〜80%)。
1点:ほぼ全面でキャスト液の裏抜けが見られる。
(10)カール高さ(mm)とカール長さ(mm)
前記(9)で作製したポリスルホン膜から、約50cmの長さのサンプルを水に濡れた状態で3枚カットし、製膜面を上にして平らな床面に広げ、3枚それぞれについて両端部の床面から離れ持ち上がっている部分の高さを測定し、それら6点の平均値を、小数点以下第一位を四捨五入してカール高さとした。同じく床面から離れ持ち上がっている部分の膜の長さを測定し、それら6点の平均値を、小数点以下第一位を四捨五入してカール長さとした。
(11)分離膜落ち込み量(μm)
メッシュ状織物からなる供給液流路材、上記のポリスルホン膜、耐圧シート、および下記の透過液流路材を用い、有効膜面積40mのスパイラル型の流体分離素子(エレメント)を作製した。
[透過液流路材]
溝幅が200μmで、溝深さが150μmで、溝密度が40本/インチで、そして厚さが200μmのポリエステル製シングルトリコットを用いた。
次に、作製した流体分離素子について、逆浸透圧が7MPaで、海水塩分濃度が3wt%で、運転温度が40℃の各条件で耐久性試験を実施し、1000時間運転後に流体分離素子を解体し、分離膜の透過液流路材への落ち込み量を測定した。落ち込み量は、1つの流体分離素子における任意の3点の分離膜断面について、走査型電子顕微鏡で500〜3000倍の写真を撮影し測定し(単位:μm)、それらの平均値の小数点以下第一位を四捨五入して求めた。分離膜支持体と透過液流路材の重ね合わせる方向は、透過液流路材の溝方向に対し、分離膜支持体の不織布幅方向(横方向)が直交するようにした。
(実施例1)
水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IVが0.65で、融点が260℃であり、酸化チタンを0.3質量%含むポリエチレンテレフタレート樹脂と、水分率50ppm以下に乾燥した固有粘度IVが0.66で、イソフタル酸共重合率が11モル%で融点が230℃であり、酸化チタンを0.2質量%含む共重合ポリエステル樹脂を、それぞれ295℃と270℃の温度で溶融し、ポリエチレンテレフタレート樹脂を芯成分とし、共重合ポリエステル樹脂を鞘成分として、2000ホール/mの口金を用い、吐出量を0.5g/ホールとし、口金温度300℃、鞘成分比率20質量%で細孔から紡出した後、不織布幅方向にスリットを有する矩形エジェクターにより紡糸速度4400m/分で紡糸して、繊維径10μmの同心芯鞘型フィラメント(断面円形)とし、移動するネットコンベアー上に繊維ウエブとして捕集し、目付が35g/mとなるようにネットコンベアーの速度を調整して繊維ウエブを得た。捕集した繊維ウエブを、上下1対の金属製フラットロール間に通し、各フラットロール表面温度が140℃で、線圧が60kg/cmで熱圧着し、厚さが0.15mmのスパンボンド不織布(a)を製造した。
得られたスパンボンド不織布(a)を2枚重ね合わせ、それを、上側が金属製で、下側が硬質ゴム系樹脂製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを180℃の温度に加熱し、樹脂製フラットロールを表面温度120℃に安定させたところで、線圧が170kg/cmでさらに熱圧着し、目付が70g/mで、厚さが0.09mmのスパンボンド不織布を製造した。
次いで、このシート幅110cmのスパンボンド不織布を、ピンテンターを用いて温度130℃に加熱して、幅方向(横方向)に1.01倍拡幅し、分離膜支持体を得た。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1のスパンボンド不織布において、ピンテンターを用いて140℃の温度に加熱して、幅方向(横方向)に1.02倍拡幅したこと以外は、実施例1と同様にして分離膜支持体を得た。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1のスパンボンド不織布において、ピンテンターを用いて180℃の温度に加熱して、幅方向(横方向)に1.05倍拡幅したこと以外は、実施例1と同様にして分離膜支持体を得た。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1のスパンボンド不織布において、ピンテンターを用いて80℃の温度に加熱して、幅方向(横方向)に1.01倍拡幅したこと以外は、実施例1と同様にして分離膜支持体を得た。結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1のスパンボンド不織布において、ネットコンベアーの速度を調整してスパンボンド不織布(a)の目付を25g/mとし、ピンテンターを用いて180℃の温度に加熱して、幅方向(横方向)に1.01倍拡幅したこと以外は、実施例1と同様に実施して分離膜支持体を得た。結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1のスパンボンド不織布において、ネットコンベアーの速度を調整してスパンボンド不織布(a)の目付を17g/mとし、厚さが0.10mmのスパンボンド不織布(b)を製造した。得られたスパンボンド不織布(b)を2枚重ね合わせ、それを、上側が金属製で、下側が硬質ゴム系樹脂製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを180℃の温度に加熱し、樹脂製フラットロールを表面温度120℃に安定させたところで、線圧が170kg/cmでさらに熱圧着し、目付が34g/mで、厚さが0.05mmのスパンボンド不織布を製造した。次いで、このシート幅110cmのスパンボンド不織布を、ピンテンターを用いて80℃の温度に加熱して、幅方向(横方向)に1.01倍拡幅し、分離膜支持体を得た。結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1のスパンボンド不織布において、ネットコンベアーの速度を調整してスパンボンド不織布(a)の目付を73g/mとし、厚さが0.30mmのスパンボンド不織布(c)を製造した。得られたスパンボンド不織布(c)を2枚重ね合わせ、それを、上側が金属製で、下側が硬質ゴム系樹脂製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを180℃の温度に加熱し、樹脂製フラットロールを表面温度120℃に安定させたところで、線圧が170kg/cmでさらに熱圧着し、目付が146g/mで、厚さが0.17mmのスパンボンド不織布を製造した。次いで、このシート幅110cmのスパンボンド不織布を、ピンテンターを用いて180℃の温度に加熱して、幅方向(横方向)に1.05倍拡幅し、分離膜支持体を得た。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1のスパンボンド不織布(a)を2枚重ね合わせ、それを、上側が金属製で、下側が硬質ゴム系樹脂製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを180℃の温度に加熱し、樹脂製フラットロールを表面温度120℃に安定させたところで、線圧が170kg/cmでさらに熱圧着し、目付が70g/mで厚さが0.09mmのスパンボンド不織布を製造した。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1のスパンボンド不織布において、ピンテンターを用いて180℃の温度に加熱して、幅方向(横方向)に1.08倍拡幅したこと以外は、実施例1と同様にして分離膜支持体を得た。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1のスパンボンド不織布において、ネットコンベアーの速度を調整してスパンボンド不織布(a)の目付を14g/mとし、厚さが0.10mmのスパンボンド不織布(d)を製造した。得られたスパンボンド不織布(d)を2枚重ね合わせ、それを、上側が金属製で、下側が硬質ゴム系樹脂製の1対のフラットロール間に通し、上側の金属製フラットロールのみを180℃の温度に加熱し、樹脂製フラットロールを表面温度120℃に安定させたところで、線圧が170kg/cmでさらに熱圧着し、目付が28g/mで、厚さが0.05mmのスパンボンド不織布を製造した。次いで、このシート幅110cmのスパンボンド不織布を、ピンテンターを用いて温度180℃に加熱して、幅方向(横方向)に1.01倍拡幅し、分離膜支持体を得た。結果を表1に示す。
Figure 0005581779
得られた分離膜支持体の特性は、表1に示したとおりであり、実施例1〜7の分離膜支持体を用いてポリスルホン膜を作製したところ、いずれも高分子重合体溶液の過浸透や膜剥離および毛羽立ちによる膜欠点は見られず製膜性は良好であった。また実施例1〜7の分離膜支持体はいずれもカール高さは40mm以下で、カール長さは60mm以下であり、これらのポリスルホン膜を用いて流体分離素子を作製したところ、いずれも分離膜がカールし製造工程中に引っ掛かったりすることはなく加工性は良好であった。さらに実施例1〜7の分離膜支持体は、作製した流体分離素子の耐久性評価を実施した結果、いずれもポリスルホン膜落ち込み量は50μm以下であり、分離膜の使用時にかかる圧力に対して分離膜が変形したり破損したりすることのない、優れた機械的強度を有し耐久性に優れたものであった。
一方、比較例1〜3の分離膜支持体を用いてポリスルホン膜を作製したところ、比較例1の分離膜支持体は、製膜原液の過浸透や毛羽立ちによる膜欠点は見られず製膜性は良好であったが、カール高さ・カール長さは測定不能であった。比較例3の分離膜支持体は、製膜時にキャスト液の裏抜けがほぼ全面で見られ、テストを中止した。さらに、流体分離素子を作製したところ、比較例1の分離膜支持体は、加工中に分離膜の端部が丸まったり折れ曲がったりするなど加工性は不良であった。一方、比較例2の分離膜支持体は製膜時に大きく収縮し、波打現象が見られ、製膜性に劣るものであった。

Claims (3)

  1. 付が30〜150g/mであり、かつ幅方向(横方向)の沸騰水収縮率が0.1〜5.0%である不織布からなる分離膜支持体の製造方法であって、スパンボンド法、メルトブロー法、乾式法もしくは抄紙法のいずれかの製法により製造された不織布、またはこれらの製法により製造された不織布を積層した複合不織布を、上下1対のフラットロールにより熱圧着した後、60〜200℃の温度に加熱して、幅方向(横方向)に1.01〜1.05倍拡幅する工程を含むことを特徴とする分離膜支持体の製造方法
  2. 請求項1記載の製造方法により得られた分離膜支持体の表面上に、分離機能を有する膜を形成してなる分離膜。
  3. 請求項2記載の分離膜を構成要素として含む流体分離素子。
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