以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。図面中の同一又は同種の部分については、同じ番号を付して説明を一部省略する。
(第一実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る薬剤付着用具セットを示す斜視図であり、その構成要素である薬剤押出器具1、器具スタンド3及び薬剤入り容器4を示す。この実施形態に係る薬剤付着用具セットは、水流を受ける水洗便器の内面にゲル状薬剤を付着させるのに好適に使用されるものである。
薬剤付着用具セットの薬剤押出器具1は、一端に開口部11を有し、他端側に薬剤の吐出部12を有したシリンダ10と、該シリンダに沿って移動される押し具20とを備えている。薬剤押出器具は、吐出部を薬剤の被付着面に向けて使用されるので、被付着面の向きに応じて姿勢が変化するが、以下の実施形態では、特に断らない限り、開口部のある側を上、吐出部のある側を下として説明する。
図2はシリンダ10及び薬剤入り容器4を挿入前の状態で示す斜視図、図3はシリンダ10に薬剤入り容器4を挿入した状態を示す斜視図である。図4及び図5は押し具20を示しており、図4は見る方向を異ならせた2つの斜視図、図5は縦断面図である。
シリンダ10は、図2及び図3に示すように、円筒状をなす胴部15と、薬剤入り容器4をシリンダ10内に挿入するために該胴部に設けられた挿入口13と、使用時に薬剤を付着すべき被付着面に当接される当接部14とを備えている。
吐出部12は、胴部15の底部において径方向に延びる仕切壁で形成された保持部121と、該仕切壁に貫通孔として設けられた放出口122とを備えている。
胴部15には、径方向外方へ突出した突起151が設けられており、胴部15には、該突起151の上端部付近から両側部付近を通って下方へ延びるスリット152により、弾力的に変形する短冊状の支持片153が形成されている。
押し具20は、図4及び図5に示すように、棒状に延び先端部がほぼ平らな押圧面210とされた軸部21と、該軸部の基端側において径方向外側に張り出した端壁23と、端壁23から軸部21に沿って該軸部の先端側へ延びる操作部22とを備えている。操作部22は、シリンダ10の外径より大きい内径を有した円筒状をなし、使用時にはシリンダ10を覆う鞘部となり、押し具20を押し込むために手で把持される。操作部22の下端には、径方向外方へ張出したフランジ221が設けられている。
また、操作部22の軸方向中央部には、上下方向に細長く延びる窓25が形成され、操作部22には、径方向に対向する位置で下端から上方へ延びる細長いスリット222,223が形成されている。スリット222,223は、各々後述するシリンダ10の翼片155,165及びタブ18を受け入れるように設けられている。
薬剤押出器具1は、図1に示した組み立て状態においては、シリンダ10の開口部11から押し具20の軸部21が挿入されており、胴部15は軸部21と操作部22との間に収まり、操作部22は胴部15を鞘状に覆った状態となっている。この状態において、胴部15の突起151が操作部22の窓25から突出し、窓25の上下長さにより突起151の移動範囲が決められ、これにより操作部22の押込み範囲が決められる。
薬剤入り容器4は、カップ状の容器本体40にゲル状薬剤を入れ容器本体40の開口端を面部材50で開封可能に密封したものである。容器本体40は、開口端を上にした状態において、下方へ縮径する円錐台形状の側壁42と、該側壁の底部を閉じる端壁43と、側壁42の上縁部から径方向外方へ開口面に沿う方向に延びるフランジ41とを備えている。フランジ41の一部は径方向に延長されてV字状をなす摘み部44となっている。
この錐台形状の容器本体40は、軸部21による押込み方向に径が次第に大きくなっている。したがって、容器を押圧したときに、端壁43側の側壁部分が、より径の大きい部分の内側へと変形して行く。その結果、変形後の側壁内側の隙間が小さくなり、残留する内容物の量を僅かにすることができる。この点から、側壁42の錐台形状は、容器本体の開口部の面の垂線に対して、3〜15度の傾斜角を有するものとすることができる。上記傾斜角が、3度より小さいと、このような変形を得る確実性が低下する。また、上記傾斜角が15度より大きいと、側壁は内側へ変形するが、変形後の側壁内側の隙間が大きくなり、残留する内容物の量が多くなる。この観点から、この実施形態では、上記傾斜角は6度とされている。
この容器本体40は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等で形成することができる。面部材50は、ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム/ナイロン/イージーピールシーラントの積層体等で形成され、剥離可能にフランジ41に接合されている。ここで、イージーピールシーラントとは、ポリエチレン、ポリプロピレン等の混合物であって、容器に対して易剥離性能を示すものであれば良い。この接合は、接着剤による接着、熱融着等により行なうことができる。
図6に示すように、容器本体40の端壁43は、容器本体40の開口端の面に平行に位置する中央部431と、該中央部431より下方(開口端の面から遠ざかる側)へ隆起して端壁43の外周縁に沿って延びる環状リブ432とを備えている。環状リブ432には、隆起高さを減じた凹部433が底部周方向に等間隔で8箇所に形成されている。
押し具20の軸部21の先端部は、容器本体40の中央部431及び環状リブ432の段部に嵌合するように、中央の凸部211とその周囲の凹部212とを備え、凸部211の平らな面が押圧面210を形成している。
シリンダ10の吐出部12における保持部121は、容器本体40のフランジ41を支持するように平らな受け面121aを備えている。この実施形態においては、放出口122は、薬剤入り容器から押し出される薬剤の断面形状を決める吐出口122aとして形成されており、容器本体40の開口部より小さい径で保持部121に開口している。吐出口122aの形状は、吐出されるゲル状薬剤の断面形状を決めるので、薬効、美観、洗浄水から受ける力等を考慮して、形状や寸法を決めるのが望ましい。
さらに保持部121は、図7に示すように、胴部15の下端付近で径方向外側に水平に突出した後、曲折して下方へ延びる張出し部125を備えている。この張出し部125の内面は、受け面121aから上方へ間隙をおいて該受け面121aに沿って延びる近接面121bを形成している。また、該受け面121a及び近接面121bは、薬剤入り容器4のフランジ41を受け入れる保持溝121cを形成している。
シリンダ10の挿入口13は、胴部15をほぼ180度で周方向に切り欠いたものであり、下端が保持部121の受け面121aの高さとされ、上端が薬剤入り容器4より僅かに高い位置にある。シリンダ10には、挿入口13を開閉し得る扉部16が設けられている。扉部16は、閉じたときに胴部15と共に一つの円筒形状をなすように挿入口13を覆う形状を有し、次に説明するようにして、ヒンジ17により胴部15に結合されている。胴部15における挿入口13の側縁部には、径方向外方へ延びる翼片155が形成されており、扉部16の固定側の側縁部にも同様の形状の翼片165が形成されている。ヒンジ17は、2つの翼片155,165を結合する薄肉部で形成され、シリンダ10の軸線に平行に延び、扉部16を回動可能に結合している。
扉部16の先端側(ヒンジ17から遠い側)にある側縁には、扉部16を閉じたときに、径方向外方へ向くようにしてタブ18が設けられている。タブ18は、扉部16の開閉時に指でつまむことができる大きさとされている。
当接部14は、保持部121を形成する仕切壁の外周縁から下方(吐出側)へ延びるようにして相互に間隔をおいて設けられた4本の脚部141を備えている。脚部141の各々は、上部から下部にかけて先細状になっており、幅の細い部分がより撓みやすくなっている。
図2に示すように、器具スタンド3は、短い円筒形の側壁31と、その底部を閉じる底壁32と、側壁31の外周面から径方向外方へ突出したつまみ部33とを備えており、底壁32は、中央部が隆起しその周縁部と側壁31との間に溝34を形成している。溝34は、シリンダ10の4本の脚部141に対応した寸法で設けられている。したがって、薬剤押出器具1は、使用しないときに、図1に示すように、シリンダ10の脚部141を溝34に嵌合して、器具スタンド3上に安定的に載置することができる。
薬剤入り容器に使用されるゲル状薬剤としては、ゲル状物質に薬効成分を担持させた薬効徐放性を有する種々の薬剤を用いることができる。例えば、基本的処方として、水溶解遅延作用を有する粘稠性の水溶性ポリマー(ヒドロキシプロピルセルロース等)、水及び溶剤を混合したものをベースとし、これに用途に応じて、消臭成分、除菌成分、漂白成分、殺菌成分、洗浄成分、忌避剤等を加え、必要に応じて、香料、色素、界面活性剤を加えたものとすることができる。
この薬剤付着用具セットは、以下のようにして使用される。シリンダ10と押し具20とが分離している場合は、先ず図1に示すように、両者を組み合わせ、突起151が窓25から突出した状態とし、薬剤押出器具1とする。使用前には、この薬剤押出器具1を器具スタンド3に立設させておく。使用時には、器具スタンド3のつまみ部33を指で押さえるか挟み持つようにし、薬剤押出器具1を把持して器具スタンド3から取り外す。そして、薬剤押出器具1の押し具20をシリンダ10に対して上昇させる。このとき、突起151が窓25の下端縁に当接して上昇が規制される。
次に、図2に示すように、タブ18をつまんで扉部16を開く。薬剤入り容器4は、容器本体40から面部材50を剥がした状態とする。そして、薬剤入り容器4を挿入口13に挿入する。挿入は、薬剤入り容器4の摘み部44をつまみ、フランジ41を下、端壁43を上にして、保持溝121cに進入させるようにして行なう。
次に、図3に示すように、扉部16を閉じる。そして、図8に示すように、手Hで操作部22を把持し、当接部14を便器のボウルの内面Fにあてがい、操作部22を内面Fに向けて強く押す。これにより、シリンダ10に対して押し具20がスライドし、突起151が窓25の上端に接してスライドが停止する。このスライドに伴って、軸部21先端の押圧面210が薬剤入り容器4の中央部431を押圧する。その結果容器本体40が押しつぶされていき、薬剤が容器本体40から放出され、吐出口122aを経て吐出される。吐出された薬剤Pは、図8に示すようにボウル内面Fに付着する。
次に、薬剤押出器具1をボウルから引き離すと、薬剤Pがボウル内面Fに付着した状態で残る。この後は、シリンダ10に対して操作部22を引き上げ、扉部16を開き、容器本体40の摘み部44をつまんで、挿入口13から取り出して容器本体40を廃棄すればよい。
この薬剤押出器具1は、操作部22が、シリンダ10の胴部15を収める鞘部として形成されているので、全体がコンパクトであり且つ円滑なスライド操作が可能となっている。保持部121は受け面121aと近接面121bとの間に保持溝121cを形成して、薬剤入り容器4のフランジ41を受け入れるようにしているので、押し具20による押圧操作中も薬剤入り容器4は保持部121に安定的に保持され、薬剤の放出が残存量を少なくして効果的に行なわれる。
薬剤入り容器4が押し潰される際には、フランジ41が受け面121aで保持され、主として側壁42が折れ曲がることにより、端壁43がフランジ41側へ移動するようにして圧壊が進行する。このように、圧壊が単純な変形で行なわれるので、残存する空間が小さく、薬剤は容器本体40内にわずかに残留するだけで、その大部分が放出される。
図17は、薬剤入り容器4が押し潰される状況を段階を追って示しており、(a) は押出器具による押圧前、(b) は押圧途中、(c) は押圧完了後の状態である。図示のように、薬剤入り容器4は、押し潰しが完了した後は、変形した側壁42の内側に空洞状部分がほとんど形成されず、極めて僅かな隙間が残るに過ぎない。したがって、容器内に残留する内容物はごく僅かとなり、効率的な排出が行なわれている。これは、環状リブ432の強度が高くなっているので、側壁42における環状リブ432より下側が主に変形して行き、ほぼ環状に押し潰され、中央部431に接触する軸部21が、押し潰された側壁42の高さよりも下方へ、端壁43の中央部431を押し下げるからである。
特に、容器本体40の側壁42の錐台形状は、容器本体40の開口部の面の垂線に対して、6度の傾斜となっているので、側壁42は、端壁43側の部分が、より径の大きい部分の内側へと変形してほぼ環状に押し潰される。この効果を得るためには、側壁42の傾斜は、前述のように、3〜15度とするのが望ましい。
また、この実施形態においては、環状リブ432に凹部433が設けられているので、凹凸構造に基づいて環状リブ432の強度と保形性が高くなっている。しかも、凹部433は環状リブ432の8箇所に等間隔で設けられているので、側壁42の変形は、大きな偏りを生じることなく確実に行なわれる。これにより、容器本体40内の薬剤の効果的な排出が確実に行なわれる。環状リブ432における凹部433の配置密度は、この環状リブ432の強度と保形性を高めるように決められる。その密度は、前述のように、端壁43周縁部の周方向に10mmあたり1〜2個とするのが望ましい。したがって、この実施形態の薬剤入り容器4の寸法の場合は、6〜12箇所に設けるのが望ましい。
また、軸部21の先端部は、容器本体40の端壁43の中央部431及び環状リブ432の段部に嵌合する中央の凸部211とその周囲の凹部212とを備えているので、押圧時に軸部21と容器本体40との間にずれが生じるのが防止され、薬剤の効果的な放出を確実にする。さらに、軸部21先端の凸部211の平らな面が押圧面210を形成しているので、容器本体40の中央部431に対して安定した接触状態で押圧が行なわれ、薬剤の放出をより効果的にする。
なお、薬剤入り容器の形状によっては、異なった態様で押し潰しが行なわれる。図18に縦断面を示す薬剤入り容器4’は、端壁43の環状リブ432が、周方向に等高状に延びている。図18は、前述と同様の使用状況で押圧した場合の変形状態を段階的に示しており、(a) は押出器具による押圧前、(b) は押圧途中、(c) は押圧完了後の状態を示す。
この薬剤入り容器4’は、環状リブ432より低い端壁43の中央部431に接触する軸部21の押圧面210で押圧を行なえば、環状リブ432が、押圧力を側壁42に均等状に伝えつつ下降する。環状リブ432は、周方向に等高状に、連続した滑らかな形状で延びているので、環状リブ432に連続する側壁部分を下方へ引き込む。側壁42は、押込み方向に径が漸増しているので、環状リブ432の下降に伴って、小径側が、より大きい径の部分の内側へ折り返されるように変形して行く。これにより、変形後に側壁内側に生じる隙間がより小さくなり、内容物の残留量が少なくなる。こうして、効率的な排出を行なうことができる。
上記説明においては、理解を容易にするために、押し具20の押圧による薬剤入り容器の変形を典型的な態様で示しており、実際には、上に示した変形(図17及び図18に示した変形)が混在した態様となることがある。このことは、容器の変形に関する以下の説明においても同様である。
保持部121の吐出口122aは、容器本体40の開口部より小さい径で保持部121に開口しているので、薬剤入り容器4から薬剤が放出される際に吐出口122aに付着する薬剤の量を少なくすることができる。吐出口122aは、薬剤入り容器4の形状等に応じてその寸法や形状が決められるが、吐出口122aに付着する薬剤の量を少なくするには、少なくともシリンダの内径より小さくするのが望ましい。この実施形態では、保持部121の仕切壁における吐出口122a周辺部が壁厚を薄くされている。このように、吐出口形成部分の厚さを薄くすることによって、吐出口に付着する薬剤の量をより少なくすることができる。この壁厚の薄肉化は、仕切壁における吐出口周辺部で行なってもよいし、仕切壁全体で行なってもよい。また、その薄さの程度は、例えば、シリンダ10の胴部15の側壁より薄いものとすることができる。
さらに、当接部14は、次の作用効果を奏する。図22は、ボウル内面Fに薬剤押出器具1をあてがった状態を示している。この状態で押し具の押込み操作をするときに、シリンダ10を矢印Kの方向に傾斜させる力を加えたとする。その場合に、もし当接部14が剛性の高い構造となっていれば、傾斜方向と反対側の脚部141aが浮き上がり、極めて不安定な状態となる。しかしながら、この実施形態に係る薬剤押出器具1は、当接部14が、放出口122を囲む位置で相互に間隔をおいて設けられた脚部を備えているので、押しつけ力と共に薬剤押出器具を傾斜させる力が作用しても或る程度弾性的に撓むことができる。図示の例では、脚部141cが一点鎖線の状態から実線の状態へとシリンダ10の径方向外方へ撓むことにより、他の脚部がボウル内面Fから浮き上がることなく、薬剤押出器具1の傾斜を許容する。
特にこの実施形態においては、脚部が、保持部121における放出口122を囲む位置からシリンダ径方向外方へ延びると共に薬剤放出側へ先細状となっている。したがって、先細状の脚部先端側部分が適度な弾性をもって撓みやすくなっており、被付着面に対してより安定的に接触させることができる。
このように、薬剤押出器具1によれば、当接部14を被付着面に対して安定的に接触させることができ、薬剤付着のための押圧操作を確実に行なうことができる。この利点は、特に、図示した便器のボウルのように被付着面が曲面である場合に効果的に発揮される。この実施形態では、脚部は保持部121の周方向に等間隔に4本設けられているが、3本または5本以上とすることもできる。但し、押込み操作時の良好な安定性を得るには、3〜6本とするのが望ましい。
(第二実施形態)
図19は、本発明の他の実施形態に係る薬剤付着用具セットについて、その押し具20Gを示す縦断面図であり、図20は、その押し具20Gによる薬剤入り容器の押圧状況を示す縦断面図である。
この押し具20Gの軸部21Gは、先の実施形態における軸部21先端のような凸部211及び凹部212が形成されておらず、軸部21Gは全体的に径がより大きく、先端部付近では、先端面から基端部側へ径を漸増している。その拡径形状は、縦断面において径方向外側へ凸をなす弧状をなしており、先端面213は容器本体40の端壁43周縁部より僅かに小さい径となっている。特に、この実施形態では、容器本体40の端壁43は、中央部431より隆起した環状リブ432を備えているので、軸部21Gの先端面は、環状リブ432の内側に嵌合する径とされている。この実施形態における他の形態は、第一実施形態と同じである。
この実施形態において、図18(a) に示した形態の薬剤入り容器4’を挿入して押圧を行なえば、圧壊は図20に示すように行なわれ、その基本的な形態は図18に示した圧壊状況と近似している。すなわち、図20(a) に示すように、容器本体40の端壁43に軸部21Gの先端部が接近し、さらに下降すると、先端部が端壁43の隆起した環状リブ432に嵌合する。そして、先端面213が押圧面210となって端壁43の中央部431を押圧する。押込みが進行すると、図20(b) に示すように、容器本体40の側壁42は、径方向内側へ折り返されるように変形して行く。そして、圧壊の最終段階では、図20(c) に示すように、変形した側壁42の径方向外側に位置する部分と内側に位置する部分とが接近した状態となる。また、内側へ折り曲げられつつ進行する変形により、側壁42の皺の発生が少ない。
特に、この実施形態では、軸部21Gの先端付近が縦断面において弧状をなして拡径した形状となっているので、容器本体40の圧壊の進行に伴って、折り曲げられる側壁部分の径に近い軸径部分で容器本体40の側壁42に接触または接近することとなる。すなわち、圧壊が進行するにしたがって、容器本体40の折り曲げ箇所は開口端側へ移行してその径を拡大させるが、これと共に、側壁42に接触または接近する軸径部は、図20(a) のd0、同(b) のd1、同(c) のd2と拡大する。その結果、変形した側壁42の径方向外側部分と内側部分とがごく接近した状態となり、圧壊後に容器本体40内に残留する薬剤の量はより僅かとなる。
(第三実施形態)
図21は、本発明のさらに他の実施形態に係る薬剤付着用具セットについて、その押し具20Hの先端部を中心に示すと共に、押し具20Hによる薬剤入り容器の押圧状況を示す縦断面図である。
この押し具20Hの軸部21Hは、第一実施形態の軸部21及び第二実施形態の軸部21Gの特徴を兼ね備えたものである。すなわち、軸部21Hの先端部には、第一実施形態におけるのと同様の凸部211H及び凹部212Hが形成されており、軸部21Hは全体的に径がより大きく、先端部付近は、基端部側へ径を漸増している。この実施形態では、軸部21Hの拡径は、先端部における凹部212Hの基端から開始している。軸部21Hの拡径形状及び先端面の径は、第二実施形態におけるものと同じである。
この実施形態において、図18(a) に示した形態の薬剤入り容器4’を挿入して押圧を行なえば、薬剤入り容器4’の圧壊は図21に示すように行なわれ、その基本的な形態は第一実施形態における図18の例及び第二実施形態のものを合わせた圧壊状況となっている。すなわち、図21(a) に示す軸部21Hと容器本体40との接近状態から、押込みが進行すると、図21(b) の途中段階を経て、図21(c) に示す最終段階に至る。この実施形態では、軸部21Hの先端部は凸部211Hと凹部212Hとで、容器本体40の環状リブ432に嵌合し、容器本体のずれや外れが防止される。また、押込みが開口端側へ移行するにしたがって、容器本体40の折り曲げ箇所はより大きな径の側壁部分へと移行するが、これと共に、側壁42に接触または接近する軸径部は、図21(a) のd0、同(b) のd1、同(c) のd2と拡大する。その結果、変形した側壁42の径方向外側部分と内側部分とがごく接近した状態となり、圧壊後に容器本体40内に残留する薬剤の量は極めて僅かとなる。
(第四実施形態)
図9は、本発明に係る薬剤付着用具セットの他の実施形態を示す斜視図であり、その構成要素である薬剤押出器具のシリンダ10A及び薬剤入り容器4Aを示す。なお、この実施形態及び以下に説明するさらに他の実施形態において、押し具20及び器具スタンド3は第一実施形態と同じものを用いることができるので、説明と図示は省略する。
この実施形態の基本的な構造は、図9(a) に示すように第一実施形態と同様である。異なるのは薬剤入り容器4A及び吐出部12Aの吐出に関する構造である。すなわち、図9(b) に示すように、薬剤入り容器4Aの面部材50Aには、吐出用開口部51が形成され、これをシール部材52が開封可能に封止していている。吐出用開口部51は、第一実施形態における吐出口122aと同様の機能を奏するように寸法及び形状が決められる。
面部材50Aは、軸部21から受ける押圧力に抗して吐出用開口部51からの吐出を可能にする保形性を有するように、ある程度剛性の高いものとされ、フランジ41に接着剤による接着や熱融着で接合し、または、側壁42やフランジ41と一体的に成形し、或いは、軸部21による押圧力に抗するように嵌合若しくは係合させる等により形成することができる。その材質として、ポリエチレン、ポリプロピレン等を用いることができる。具体的には、面部材50Aは、ポリエチレン、ポリプロピレン等で射出成形したものを、嵌合、接着、熱融着等で容器4Aに設けるのが好ましい。シール部材52は、吐出用開口部51を密封し且つ手指で剥離しやすいものとされ、例えば、ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム/ナイロン/イージーピールシーラントの積層体等のフィルムで形成される。
容器本体40と面部材50Aとの接合を、接着または熱融着で行なう場合は、その接合強度よりも、面部材50Aとシール部材52との接合強度を弱くし、シール部材52の剥離時に面部材50Aが剥離しないようにする。
吐出部12Aの放出口123は、薬剤入り容器4Aが開口端側を保持部121に向けて挿入口13から挿入されたときに、容器本体40の吐出用開口部51より外側に該放出口123の周縁が位置する大きさとされている。但し、放出口123は、受け面121aによるフランジ41の保持が損なわれない程度の大きさとされる。
この薬剤付着用具セットを使用する場合は、図9(c) に示すように、薬剤入り容器4Aのシール部材52を面部材50Aから剥がし、フランジ41を下にして保持部121の受け面121a上に置く。その他は、第一実施形態の場合と同じである。
この実施形態においては、押し具20からの押圧力により、容器本体40が押し潰されるのに伴って、ゲル状薬剤は薬剤入り容器4Aの吐出用開口部51から所定断面形状に押し出され、保持部121の放出口123を経て、吐出が行なわれる。放出口123は、保持部121に挿入された薬剤入り容器4の吐出用開口部51より外側に該放出口123の周縁が位置する大きさとされているので、薬剤は吐出される際に放出口123の縁部に付着しないか、付着してもごく少量となり、薬剤押出器具を清浄に保つのに有利である。
吐出用開口部は、薬剤入り容器の容器本体に設けることもできる。図16は、容器本体40Fの端壁43Fに吐出用開口部47Fを設けた薬剤入り容器4Fの例を示している。この容器本体40Fは、カップ形状をなし、開放端46Fを上にした場合、下方へ縮径する円錐台形状の側壁42Fと、該側壁の底部を閉じる端壁43Fとを備えている。開放端46Fは面部材50Fにより覆われており、面部材50Fの周縁部501は、側壁42F上端部付近の内面から外面に掛けて接合されている。端壁43Fは平坦になっており、そこに吐出用開口部47Fが形成され、これをシール部材52Fが開封可能に封止していている。吐出用開口部47Fは、第一実施形態における吐出口122aと同様の機能を奏するように寸法及び形状が決められる。
シール部材52Fは、剥離時に指で把持できるように一端側へ延びた摘み部521を備えている。これらの容器本体40F、面部材50F及びシール部材52Fは、前述のものと同様の材料で形成することができ、面部材50F及びシール部材52Fは、接着剤による接着や熱融着等により、容器本体40Fに接合することができる。シール部材52Fの接合は、手指で剥がせる程度の強度とする。
この薬剤入り容器4Fも、図9の実施形態について説明したのと同様にして使用することができる。したがって、薬剤押出器具の放出口123を、保持部121に挿入された薬剤入り容器4Fの吐出用開口部47Fより外側に該放出口123の周縁が位置する大きさとしておくことにより、薬剤は吐出される際に該放出口123の縁部に付着しないか、付着してもごく少量となり、薬剤押出器具を清浄に保つのに有利であるという効果が得られる。
(第五実施形態)
図10及び図11は、本発明に係る薬剤付着用具セットのさらに他の実施形態を示す斜視図であり、その構成要素である薬剤押出器具1B及び薬剤入り容器4Bを示す。なお、器具スタンド3は第一実施形態と同じものを用いることができる。
この実施形態においても、薬剤付着用具セットの薬剤押出器具1Bがシリンダ10Bと押し具20Bとを備えた基本的な構造は、第一実施形態と同じであるので、以下では異なる点を中心に説明する。
薬剤押出器具1Bのシリンダ10Bは全体的に円筒状をなし、上端の開口部11(図11)が薬剤入り容器4Bを挿入するための挿入口13Bとなっている。この挿入口13Bは、第一実施形態において示した扉部16付きの挿入口13に代わるものである。シリンダ10Bの胴部15Bの軸方向中央部には、上下方向に細長く延びる窓157が形成されている。また、胴部15Bの内面には、軸方向に延びるガイド用の突条158が相互に周方向に間隔をおいて2本設けられている。シリンダ10Bは、胴部15Bに挿入口が設けられていないので、全周に亘って当接部14の仕切壁に一体的に結合されている。吐出部12及び当接部14の構造は、第一実施形態のものと同じである。
押し具20Bは、棒状をなし下端部(吐出部12側の端部)がほぼ平らな押圧面210とされた軸部21Bを備える点は、第一実施形態と同じである。しかし、この実施形態では、押し具20Bの操作部22Bは、軸部21Bの上端部から上方(吐出部12とは反対側)へ軸部21Bと同軸状に延びる延長部の形態となっている。
軸部21Bは、シリンダ10Bに緩く嵌合する外径を有する円筒状をなし、内周面にはシリンダ10Bの突条158に係合するように軸方向に延びた縦溝225が形成されている。軸部21Bの先端部(下端部)は、第一実施形態と同様に、容器本体40Bの底部の段部に嵌合するように、中央の凸部211とその周囲の凹部212とを備え、凸部211の平らな面が押圧面210を形成している。軸部21Bの側壁には、径方向外方へ突出した突起226が設けられており、該突起226の下端部付近から両側部付近を通って上方へ延びるスリット227により、弾力的に変形する短冊状の支持片228が形成されている。
操作部22Bは、軸部21Bとほぼ同じ径の棒状をなし、手で把持するのに適した長さを有している。
この薬剤押出器具1Bに用いる薬剤入り容器4Bは、図11に示すように、カップ状の容器本体40Bにゲル状薬剤を入れ、該容器本体の開口端を面部材50Bで開封可能に密封したものである。容器本体40Bは、フランジ41の幅を小さくし、面部材の摘み部を除去した点以外は、第一実施形態の容器本体40と同じであり、開口端から底部へ向けて(図では上方へ)縮径する円錐台形状の側壁42と、該側壁の底部を閉じる端壁43とを備えている。面部材50Bは、容器本体40Bの開口端を閉じる平面部56と、該平面部56の周縁から容器本体40Bの側壁42に沿うように曲折し容器周方向に帯状に延びる側面部57からなり、側面部57が容器本体40Bの側面に接合されている。この面部材50Bも、第一実施形態の面部材と同様に、ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム/ナイロン/イージーピールシーラントの積層体等で形成され、容器本体40Bへの接合は、接着剤による接着、熱融着等により行なうことができる。
この薬剤付着用具セットの使用方法は、第一実施形態のものと基本的に同様であるので、異なる点を中心に説明する。先ず、図11に示すように、シリンダ10Bと押し具20Bとを分離した状態とし、シリンダ10Bの開口部11から薬剤入り容器4Bを挿入する。薬剤入り容器4Bは、予め容器本体40Bから面部材50Bを剥がした状態とし、容器本体40Bの開口部を下(開口部11)に向けて挿入し、吐出部12の受け面121a上に至らせる。この挿入は、開口部11から薬剤入り容器4Bを落下させ、または、細長い保持部材で薬剤入り容器4Bを保持して行なうことができる。
次に、図10に示すように、両者を組み合わせる。これは、図11の分離状態にある押し具20Bの突起226を指で押し込んだ状態で、縦溝225を突条158に合わせて、開口部11(挿入口13B)からシリンダ10Bの胴部15B内へ押し具20Bを挿入することにより行なう。ある程度挿入すると、突起226が窓157に嵌るので、そこで挿入を停止する。これで、押し具20Bの押圧面210が、薬剤入り容器4Bの僅か上方の位置に達した状態となっている。
そして、手で操作部22Bを把持し、当接部14を便器のボウルの内面にあてがい、操作部22Bを強く押す。これにより、シリンダ10Bに対して押し具20Bがスライドし、突起226が窓157の下端に接してスライドが停止する。このスライドに伴って、軸部21B先端の押圧面210が薬剤入り容器4Bの端壁43を押圧する。この押圧による容器本体40Bの圧壊及びこれに伴う薬剤の吐出は、第一実施形態の場合と同様に行なわれ、吐出された薬剤はボウル内面に付着する。そして、薬剤押出器具1Bをボウルから引き離すと、薬剤がボウル内面に付着した状態で残る。
この後は、シリンダ10Bに対して操作部22Bを引き上げ、突起226を窓157の内側へ押し込んだ状態で、押し具20Bをシリンダ10Bから引き抜く。そして、薬剤を放出した後の容器本体40Bを開口部11から取り出す。この取り出しは、シリンダ10Bの開口部11を下に向け、容器本体40Bを落下させて行なうことができる。或いは、軸部21B先端の凸部211が、変形した容器本体40Bの端壁43(特に環状リブ432)に嵌合した状態となる場合は、押し具20Bの引き抜きと共にシリンダ10Bから取り出すこともできる。
(第六実施形態)
図12及び図13は、本発明に係る薬剤付着用具セットの他の実施形態を示す斜視図であり、図12はシリンダ10C及び薬剤入り容器4を示し、図13はシリンダ10C及び押し具20Cを示している。この実施形態の基本的な構造は、第一実施形態と同様であり、異なるのはシリンダの挿入口を覆う扉部の構造及びこれに関連する部分の構造であるので、以下ではこの点を中心に説明する。
この薬剤付着用具セットの薬剤押出器具1Cは、シリンダ10Cに設けられた扉部16Cが、シリンダ10Cの軸線方向へ摺動することにより、挿入口13を開閉する構造となっている。扉部16Cは、下降位置において挿入口13を覆い得る寸法を有しており、シリンダ10Cの胴部15Cと同じ曲率半径の同径部161を備え、その下部には、胴部15Cの下端付近の張出し部125に周方向に連続するように拡径部162が設けられている。挿入口13より上方の胴部部分は、扉部16Cが挿入口13を開放する高さまで上昇し得るように、径方向内方に陥没した没入部154となっている。挿入口13及び没入部154のシリンダ軸線方向に延びる縁部には、内面側が小さく欠かれて係合溝159が形成されている。
図14は、図13のC−C線に沿う断面(水平断面)の一部を示している。この図に示されているように、扉部16Cの両側端縁は、内面側が周方向に僅かに突出した凸縁163となっており、係合溝159に係合している。シリンダ10Cから分離している扉部16Cをこのように係合させるには、扉部16Cの曲率半径を小さくするように弾性変形させた状態で、両側の凸縁163を係合溝159に挿入すればよい。これにより、扉部16Cは、係合溝159に案内されてシリンダ10Cの軸線方向に摺動可能となる。
押し具20Cは、図13に示すように、全体的な形状が第一実施形態のものと近似しているが、第一実施形態におけるスリット222,223が設けられておらず、連続面となっている。
この薬剤押出器具1Cを使用する際は、図13に示す押し具20Cをシリンダ10Cに被せるようにして組み合わせ、突起151が窓25に係合した状態とする。次に、図12に示すように、扉部16Cを上昇させて、薬剤入り容器4を挿入口13へ挿入し、扉部16Cを下降させる(図13の状態)。扉部16Cの同径部161には、扉部16Cを上下させる際に指の係止部となる凹部164が設けられている。
扉部16Cの拡径部162の下部には、薬剤入り容器4の摘み部44をシリンダ10C内から外へ突出させるための切欠き部162aが設けられている。したがって、図13に示すように、扉部16Cは、摘み部44に妨げられることなく受け面121aに当接するまで下降させることができる。
こうして準備できた後は、第一実施形態において説明したように、当接部14を被付着面にあてがった状態で、押し具20Cの操作部22Cを強く押す等の操作を行なえばよい。
(第七実施形態)
図15は、本発明に係る薬剤付着用具セットのさらに他の実施形態について示すものであり、図示の薬剤入り容器を用いるものである。第一実施形態においては、使用の際に、面部材50を剥離した後に、薬剤入り容器4を保持部121に置くという仕様になっていた。図15に示す実施形態においては、面部材は容器本体40に接合されたまま保持部に置かれ、押し具による押圧力が作用したときに容器内の内圧が高くなることにより開封される仕様となっている。
図15(a) に示す薬剤入り容器4Dは、ゲル状薬剤が面部材50Dにより開封可能に密封されており、使用の際は、面部材50Dが下になるようにして薬剤押出器具の保持部に置かれる。図15(a) の一点鎖線は、押し具によって押圧され、容器内圧の上昇により薬剤入り容器4Dの面部材50Dが破断し、開口部53が形成された状態を示している。この破断を可能とするために、面部材50Dは強度の低いものとされる。このためには、面部材50Dの厚さを薄くする、材質を低強度のものにする等の手段を採用することができる。
また、図15(b) に示す薬剤入り容器4Eのように、面部材50Eに破れやすい低強度部54を形成しておくこともできる。低強度部54は、例えばその部分の肉厚を薄くし、或いは、内容物を密閉し得るようにスリットまたは切り込みを設けることにより形成することができる。
破断しやすい面部材を保護するために、その外面に保護シートを貼着することができる。この場合は、保護シートを剥離してから、薬剤入り容器を保持部121に置くようにする。
保持部121に置かれ、押し具20から押圧力を受けて開封した薬剤容器は、開口部から薬剤を放出し、放出された薬剤は、第一実施形態において説明したのと同様にして、吐出口122aから吐出される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、前述の実施形態においては以下のような変更が可能であり、それらの変更態様は、機能を損ねない限り他の実施形態について適用することもできる。
挿入口13を覆う扉部は、ヒンジによる回動可能な取付け、シリンダの軸線方向に摺動可能な取付けの他、シリンダに対して脱着可能にすることによって挿入口13を開閉するようにしてもよい。また、薬剤入り容器4が挿入口13から脱落する畏れがない場合は、扉部16を省略することも可能である。
当接部14の脚部141は、4本の他、2〜3本または5本以上とすることもできる。また当接部14は、放出口122を囲む連続壁により形成することもでき、囲繞壁の先端形状は被付着面に合わせたものとすることもできる。
シリンダ10及び押し具20の断面形状は、円形の他、三角形、四角形その他の多角形、長円形等、種々の形状とすることができる。
薬剤入り容器4の容器本体40は、開口部のフランジ41を面部材50で覆うものとする他、全体を球状、卵形、立方体状、直方体状、円柱状、多角柱状、円錐台状、多角錐台状等とすることもできる。これらの場合は、保持部121には、フランジ41を受け入れるための近接面121b及び保持溝121cを省略することができる。
図15(a) に示した薬剤入り容器4Dのように、面部材が容器本体に接合されたまま保持部に置かれ、押し具による押圧力が作用したときに容器内の内圧が高くなることにより開封されるという仕様は、図11に示した薬剤入り容器4Bに対しても適用することができる。
本発明に係る薬剤付着用具セットを用いれば、実施形態に示した水洗便器の他、洗面台、浴室(浴槽・洗い場)、シャワー室、自動食器洗い機等のように流水や滞留水に接する箇所に薬剤を付着させることにより、水に薬剤を含ませることができる。また、居室、クローゼット、下駄箱等のように空気雰囲気の箇所に薬剤を付着させることにより、芳香、消臭等の薬効を奏することができる。