JP5545418B2 - 希土類元素の回収方法 - Google Patents
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Description
この発明は、希土類元素を含む浸出原料から希土類元素、特にNd−Fe−B系の永久磁石の材料として利用価値の高いNd及びDyを含む希土類元素を浸出させ、分離して回収する希土類元素の回収方法に係り、特にCaとTiを含む浸出原料中から希土類元素をCaと共に効率良く浸出させ、分離して回収する希土類元素の回収方法に関する。
希土類元素は、蛍光体、磁性体、研磨剤、及び触媒等の用途に広汎に利用されるようになってきている。就中、磁性体にあっては、遷移元素に対して希土類元素を添加することによって最大エネルギー積及び残留磁束密度の大きな磁石が得られることから、永久磁石の材料としての利用が急速に拡大しつつある。例えば特許文献1には、Nd−Fe−B系の優れた最大エネルギー積及び残留磁束密度を有する永久磁石の材料が開示されている。また、特許文献2には、前記Nd−Fe−B系の永久磁石のNdの一部をDyで置換することにより、同磁石の欠点である磁気特性の熱安定性を改善する技術が開示されている。
そして、このような希土類元素の原料は、例えばモナザイト、バストネサイト、ゼノタイム、イオン吸着粘土鉱物等の鉱石であり、これらの鉱石から、例えば硫酸のような鉱酸等の酸水溶液を用いて希土類元素を浸出させ、得られた浸出液から分離して採取されているが、これらの鉱石資源は地球上において偏在していると共に、鉱石ごとに希土類元素中の各元素の存在比率が大きく変動し、特に原子番号64〜71の重希土類元素は、工業的に採算性の高い鉱石を採取できる鉱山も僅少であって、就中需要の大きなDyは資源の枯渇化が懸念されている。
他方、資源的に豊富に存在し、アルミニウムの鉱石資源であるボーキサイト中にも希土類元素が含まれており、このボーキサイトから希土類元素を溶出させ、分離して回収することが知られており(例えば、特許文献3の段落0003参照)、更に、バイヤー法及びホール・エルー法の工程を経てこのボーキサイトからアルミニウムを製造する際の、バイヤー工程で副生するアルミニウムを採取した残部の固体残渣(以下、「ボーキサイト残渣」という。Fe2O3が主成分である場合は赤色であって一般に「赤泥」と称される。)を原料とし、希土類元素を浸出し、分離して回収することも知られている(特許文献4)。
そして、希土類元素はアルカリ水溶液中では酸化物や水酸化物のような化合物となって安定であり、加熱及び加圧されても水酸化ナトリウム溶液と反応しないことから、前記ボーキサイト残渣中には、前述のバイヤー工程で水酸化ナトリウム溶液によりアルミニウム成分を溶出させた分だけ希土類元素が濃縮されているはずであり、本発明者らの検討によれば、前記ボーキサイト中の希土類元素の含有量に比べて、平均的には概ね約3倍の希土類元素が含まれており、ボーキサイト残渣がボーキサイトからアルミニウムを製造する際の産業廃棄物であり、また、アルミニウムを製造する際に安定的に副生し、入手が容易であることから、希土類元素の原料としての利用が期待される。
しかしながら、上記の特許文献4について詳細に検討してみると、その実施例1及び2に示されているように、乾燥状態で52.0%のFe2O3、6.5%のTiO2、18.0%の灼熱減量、12.9%のAl2O3、2.4%のSiO2、1.6%のNa2O、5.0%のCaO、0.6%のP2O5を含むボーキサイト残渣を原料とし、pH値の高い亜硫酸溶液からpH値の低い亜硫酸溶液を用いて2〜3回に亘って10〜70℃での浸出操作(浸出又は温浸)を繰返し、最終的なpH値を1.35〜2.4とすることにより、ボーキサイト残渣中に含まれるFeとTiの溶出を低く保ったまま希土類元素を浸出させ、溶媒抽出法により分離して回収しているが、この際に、Yについてはボーキサイト残渣中に含まれる含有量の50〜85%を浸出させているものの、Dyの浸出率については記載がないが、Feの浸出量を増加させ続けずに希土類元素の浸出量をほぼ飽和させることができて好ましいとされる20分の浸出時間において、Ndの浸出率はYの値に比べて低い約58%の値に過ぎない(特許文献4の第7欄第32〜36行、Tables 1〜3及びFIG.2の記載参照)。
すなわち、この特許文献4に記載の実施例1及び2の技術では、浸出操作を2〜3回繰返していることから、浸出液の量が増加すると共に、2〜3回の固液分離操作が必要になる等、ボーキサイト残渣から希土類元素を浸出させる際の浸出工程でのコストが高くなり、しかも、この浸出操作の際の固液比について、実施例1では4:1及び10:1として2回の温浸を行なっており(Table 1参照)、また、実施例2では4:1及び8:1として2回の温浸を行なっている(Table 3参照)ことから、浸出液の量が原料であるボーキサイト残渣の14倍又は12倍になり、この浸出液から溶媒抽出法により希土類元素を分離し、回収する分離工程の溶媒抽出装置が大規模なものとなって、コストも高くなるという問題がある。
因みに、本発明者らが、後述する実施例で用いたものと同じ組成のボーキサイト残渣0.102kgを用い、また、酸水溶液として亜硫酸水溶液を用い、固液比(L/S)5.0及び温度30℃、圧力0.1MPa及び時間15分の条件で、同じ浸出操作を3回繰り返すこの特許文献4の実施例1を追試した結果は、表1に示す通りであり、1回目の浸出操作ではYの浸出率が5質量%以下に留まり、更に2回目及び3回目の浸出操作によるYの浸出率の合計は52質量%であったが、Nd及びDyの浸出率は、それぞれ41質量%及び43質量%に留まり、Yの浸出率に比べて更に低い値に過ぎなかった。
そこで、本発明者らは、上記のボーキサイト残渣中に含まれる希土類元素の浸出操作において希土類元素、特にNd及びDyの浸出率が低いことの原因について検討し、以下の結論に到達した。
すなわち、ボーキサイトを原料としてアルミニウムを製造する際に、バイヤー工程では、前記ボーキサイトを水酸化ナトリウム水溶液と混合し、加熱及び加圧して、そのアルミニウム成分をアルミン酸イオンとして溶出させ、得られたアルミニウム成分を含む溶出液を冷却して、前記アルミン酸イオンを水酸化アルミニウムとして沈殿させ、更にか焼して酸化アルミニウムとして採取している。前記バイヤー工程において前記ボーキサイト中の成分と前記水酸化ナトリウム水溶液の反応により生成したナトリウム化合物を水酸化ナトリウムとして回収すると共に、Si、P等の不純物を除去するために、しばしばCaOが添加されており、前記ボーキサイト残渣中には通常4〜15質量%のCaOが含有されている。
そして、バイヤー工程において、CaOが160℃以上の高温のアルミン酸ソーダ溶液中に添加されると、このボーキサイト中に含まれていたTiがCaOとして添加されたCaと反応し、ペロブスカイト(ABX3)型構造の結晶を形成するチタン酸カルシウム(CaTiO3)を生成し、また、生成したこのチタン酸カルシウムが結晶を形成する際にボーキサイト中に含まれていたNd、Dy等の希土類元素の一部をこの結晶中に取り込み、しかも、このチタン酸カルシウム(CaTiO3)からなるペロブスカイト(ABX3)型構造の結晶は鉱酸に対して160℃未満では容易には溶解し難く、その結果として通常の浸出操作ではその浸出率を高くすることが難しいとの結論に到達した。
そこで、本発明者らは、更にこのようなペロブスカイト(ABX3)型構造の結晶を形成するチタン酸カルシウム等の化合物を含む浸出原料から、結晶中に取り込まれたNd、Dy等の希土類元素をも含めて、希土類元素を効率良く浸出させ、得られた浸出液から希土類元素を分離し、回収することについて鋭意検討した結果、意外なことには、特定の酸水溶液を用い、特定の加熱加圧条件下で温浸(digestion or maceration)を行なうことにより、このペロブスカイト(ABX3)型構造の結晶を容易に溶解することができ、結晶中に取り込まれていない希土類元素は勿論のこと、この結晶中に取り込まれている希土類元素についても容易に浸出させることができることを見い出し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、希土類元素を含む浸出原料から希土類元素、特にNd及びDyを含む希土類元素を効率良く浸出させ、分離して回収する希土類元素の回収方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、希土類元素を含む浸出原料に水を添加し混合してスラリーを調製した上で、更に酸水溶液を添加し混合してpHを調整し、得られたスラリーを所定の条件下に保持して浸出原料中の希土類元素を酸水溶液中に移行させる浸出処理を行ない、次いで前記浸出処理後のスラリーを固液分離して希土類元素を含む浸出液を得る浸出工程と、この浸出工程で得られた浸出液から希土類元素を分離して回収する分離工程とを有する希土類元素の回収方法であり、前記浸出原料が、110℃及び2時間の乾燥条件で乾燥して得られた固体成分(S)中に、CaをCaOとして4〜15質量%の割合で含むと共にTiをTiO2として2〜13質量%の割合で含んでおり、前記酸水溶液が塩酸及び/又は硝酸の酸水溶液、前記調整されるpHが0〜2.7であり、かつ、前記浸出工程で行う浸出処理が温度160〜300℃及び圧力0.65〜10MPaの加熱加圧条件下で行なう温浸(digestion or maceration)であって、この浸出工程では浸出原料中の希土類元素をCaと共に浸出させることを特徴とする希土類元素の回収方法である。
本発明においては、前記浸出工程では浸出原料中に含まれるCaの溶出率が90質量%以上に到達するまで温浸を行うのがよく、これによって、Yを含めて利用価値の高いNd及びDyを含む希土類元素を、70質量%を超える高い浸出率で回収することができる。
ここで、本発明において、「希土類元素」という用語は、原子番号39のY及び原子番号57〜71のLa〜Luを総称するものとして用いられる。本発明の方法によれば、原子番号21のScや原子番号89〜103のAc〜Lrも浸出するが、本発明は、これらの元素が浸出し、分離されて回収されることを否定するものではない。
本発明において、希土類元素を含む浸出原料としては、それがYやNd及びDy等の希土類元素を含有すると共に、CaをCaOとして4〜15質量%の割合で、また、TiをTiO2として2〜13質量%の割合で含むものであれば特に制限されるものではないが、好ましくは、水酸化ナトリウム水溶液を用いてボーキサイトからアルミニウム分を浸出させるバイヤー工程において副生するボーキサイト残渣であり、より好ましくは、110℃及び2時間の乾燥条件で乾燥して得られた固体成分(S)中に、希土類元素をその酸化物として500〜10000ppmの割合で含むボーキサイト残渣である。このようなボーキサイト残渣は、ボーキサイトからアルミニウム分を採取するバイヤー工程、特にナトリウム成分を水酸化ナトリウムとして回収すると共にSi、P等の不純物を除去するためにCaOが添加されるバイヤー工程で副生するので、大量にかつ容易に入手することができる。
ここで、ボーキサイト残渣中のCaとTiは、ペロブスカイト(ABX3)型構造の結晶を形成していると考えられ、このペロブスカイト(ABX3)型構造の結晶ではAサイトの陽イオンとXサイトの陰イオンが同程度の大きさを有し、このAサイトとXサイトから構成される立方晶格子の中にAサイトの陽イオンよりも小さなサイズの陽イオンがBサイトに位置する。ペロブスカイト(ABX3)型構造の結晶では、元素は稠密配位であり高圧状態で安定となる。AサイトとBサイトのイオンの大きさはトレランスファクターt=0.75〜1.1の範囲で許容される。また、Xが酸素の場合AとBの価数がA+B=6となるような元素が選択される。従って、価数とトレランスファクターが合う元素であればAとBはいろいろな元素を固溶することが出来る。希土類元素の場合、イオン半径が大きく3価であるので、イオン半径が小さく3価であるFeイオンと対になって固溶していると考えられる。なお、トレランスファクターtは次式により示される。
本発明によれば、ボーキサイトからアルミニウムを製造する際の産業廃棄物であるボーキサイト残渣等であって、CaをCaOとして4〜15質量%の割合で、また、TiをTiO2として2〜13質量%の割合で含む浸出原料から、Yのみならず利用価値の高いNd及びDyを含めて、希土類元素を効率良く容易に浸出させ、分離して回収することができるので、ボーキサイト原料中の資源を有効に利用できるほか、希土類元素の原料鉱石の偏在、鉱石ごとの希土類元素中の各元素の存在比率の変動、資源の枯渇等の懸念を解消することができる。
以下に、希土類元素を含む浸出原料がボーキサイト残渣である場合を例にして、本発明を実施するための形態を具体的に説明する。
先ず、浸出工程では、ボーキサイト残渣に酸水溶液を添加し混合してスラリーを調製する。ここで用いられる酸水溶液については、160℃以上に加熱されてもボーキサイト残渣中のCaと不溶性の化合物を作らないような塩酸及び/又は硝酸を含む酸水溶液であるのがよい。
また、調製されるスラリーについては、その固体成分(S)と液体成分(L)との固液比(L/S)が好ましくは2以上10以下、より好ましくは2以上10以下であって、pH値が好ましくは0以上2.7以下、より好ましくは0以上2.5以下であるのがよい。調製されたスラリーの固液比(L/S)が2より低いと希土類元素の浸出率が低下して不十分になるほか、スラリーの粘性が上昇して後の分離工程での取扱いが困難になり、反対に、10より高くしても希土類元素の浸出率が飽和して向上しないだけでなく、浸出液の液量が増加して後の分離工程での負荷が高くなり過ぎる。また、調製されたスラリーのpH値が2.7より高くなると希土類元素の浸出率が低下して不十分になり、反対に、このpH値を0未満にするとAlとFeの溶出量の増加によって希土類元素の分離が困難になると共に、酸および後述のpH調整剤の消費が増大することになり、コストが増加して好ましくない。
更に、ボーキサイト残渣に酸水溶液を添加して調製されたスラリー中には、ボーキサイト残渣に由来するスラリー中のFe2+イオンをFe3+イオンに変換し、後の分離工程でのFe及びAlを沈殿させて分離する操作を容易にする目的で、ボーキサイト残渣中のFe成分に対して酸化剤を0.1〜1当量の割合で、好ましくは0.15〜0.4当量の割合で添加するのがよい。この目的で添加される酸化剤としては、好ましいものとして過酸化水素水や過塩素酸水溶液等を例示することができ、より好ましくは30質量%-過酸化水素水や70質量%-過塩素酸水溶液である。その添加量が0.1当量より少ないとFe2+イオンがpHの高い状態まで浸出液に残るという問題があり、反対に、1当量より多くなっても効果は変わらず、無駄になるという問題が生じる。
次に、本発明においては、このようにして得られたスラリーを所定の条件下に保持して希土類元素の浸出処理を行うが、この浸出処理として温度160℃以上300℃以下、好ましくは180℃以上250℃以下、及び圧力0.65MPa以上10MPa以下、好ましくは1MPa以上5MPa以下の加熱加圧条件下に保持時間30分以上160分以下、好ましくは40分以上120分以下の温浸を行なう。この希土類元素の浸出処理としてこのような加熱加圧条件下に温浸を行うのは、ボーキサイト残渣中に所定の割合で存在するCaとTiがペロブスカイト型構造の結晶を形成する化合物として存在し、そのようなペロブスカイト型構造の結晶中にNd及びDy等の利用価値の高い希土類元素が取り込まれているので、このペロブスカイト型構造の結晶を溶解して希土類元素を浸出させるためである。
ここで、温浸操作の際の温度については、160℃未満であると、圧力及び保持時間を必要かつ適切な条件に設定しても、希土類元素を十分に浸出させることが難しく、ボーキサイト残渣中に含まれる希土類元素の70質量%以上を浸出させることが困難になり、反対に、250℃を超えると希土類元素の浸出率がほぼ飽和に達し、さらに300℃を超えての加熱は必要な熱量の増加、圧力容器の劣化、コスト増大等の要因となる。また、温浸操作の際の圧力については、0.65MPa未満であると、温度及び保持時間を必要かつ適切な条件に設定しても、希土類元素を十分に浸出させることが難しく、ボーキサイト残渣中に含まれる希土類元素の70質量%以上を浸出させることが困難であり、反対に、10MPaを超えて加圧することは、必要以上に加圧することになり、圧力容器の劣化、コスト増大等の要因となる。更に、温浸操作の際の保持時間については、30分未満であると、温度及び圧力を必要かつ適切な条件に設定しても、時間が短いことによって安定的な操業が困難となって、浸出率の安定化することができないため、ボーキサイト残渣中に含まれる希土類元素の70質量%以上を浸出させることが困難になり、反対に、160分を超えると希土類元素の浸出率がほぼ飽和する。
本発明において、このような加熱加圧条件下で行う浸出処理(温浸)においては、ボーキサイト残渣中に含まれている希土類元素、特にNd及びDyを含む希土類元素がCaと共に浸出するので、この希土類元素よりも多量に含まれているCaの浸出率を指標にして温浸を行うのがよく、このCaの浸出率が90質量%を超えるまで温浸を行うのが望ましい。Caの浸出率が90質量%を超えるまで温浸を行うことにより、ボーキサイト残渣中の希土類元素をその70質量%を超えて確実に浸出させることができる。
浸出処理後のスラリーは、次に濾過、遠心分離、デカンテーション等の手段で固液分離され、Caと共に希土類元素を含む浸出液が回収される。この固液分離により生じた固体残渣については、好ましくは洗浄水を用いて洗浄し、固体残渣に付着した浸出液を洗浄水中に移行させて回収し、先に浸出処理後のスラリーを固液分離して得られた浸出液と併せて次の分離工程で処理する浸出液とされる。この固体残渣の洗浄に用いる洗浄水の使用量は、少なすぎると固体残渣に付着した浸出液を十分に回収することができず、反対に、多すぎると次の分離工程での負荷が大きくなるので、固体残渣(S)と洗浄水(L)の固液比(L/S)で通常2〜10の範囲であるのがよい。
以上の浸出工程については、浸出原料がボーキサイトからバイヤー法により水酸化アルミニウムを溶出させた後の固体残渣であるボーキサイト残渣の場合を例にして説明したが、この浸出工程で使用される浸出原料については、希土類元素を含むと共に4〜15質量%のCaと2〜13質量%のTiとを含有するものであればよく、特にボーキサイト残渣でなければならないというものではない。
上記の浸出工程で得られた浸出液は、次に希土類元素を分離して回収する分離工程に移送される。
この浸出液から希土類元素を分離する分離工程では、分離方法として、蓚酸塩析出法、水酸化物析出法、溶媒抽出法が用いられる。
Fe及びTiの溶出量の少ない本発明においては、浸出液を蓚酸塩析出法又は溶媒抽出法により直接処理することも可能であるが、Al又はFeの溶出量が多い場合には、溶媒抽出法又は蓚酸塩析出法で使用する薬剤の使用量が増加するので、浸出液の量を前処理により減少させることがコスト低減のために好ましい。
この浸出液から希土類元素を分離する分離工程では、分離方法として、蓚酸塩析出法、水酸化物析出法、溶媒抽出法が用いられる。
Fe及びTiの溶出量の少ない本発明においては、浸出液を蓚酸塩析出法又は溶媒抽出法により直接処理することも可能であるが、Al又はFeの溶出量が多い場合には、溶媒抽出法又は蓚酸塩析出法で使用する薬剤の使用量が増加するので、浸出液の量を前処理により減少させることがコスト低減のために好ましい。
前記前処理の方法としては、例えば、浸出工程で得られた浸出液のpH値が通常1〜3の範囲であるので、先ず、浸出液にpH調整剤を添加してpH値を4〜6に調整し、このpH調整で析出したFe及びAlの水酸化物を固液分離して除去する。この目的で使用されるpH調整剤としては、特に限定されるものではないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等が好適に使用される。
この浸出液のpH調整に際しては、必要に応じて酸化剤を添加し、浸出液中のFe2+イオンをFe3+イオンに酸化させるのがよく、これによって不溶性のFe(OH)3が安定となり、Feの分離除去が容易になる。酸化剤としては、例えば、過酸化水素、過塩素酸、過マンガン酸、次亜塩素酸等が好適に利用できる。酸化剤として過酸化水素を利用する場合には酸化剤の濃度は固液比に影響するのみであるので、取り扱いとコストから適当な濃度を選ぶことができる。酸化剤の添加量については、浸出原料がボーキサイト残渣である場合、30質量%-過酸化水素水を用いる場合も、また、70質量%-過塩素酸水溶液を用いる場合も、共にボーキサイト残渣中のFe成分に対して0.1〜0.5当量とすることが好ましい。
水酸化物析出法では、希土類元素を水酸化物として分離するために、上記の浸出工程で得られた浸出液、又は、該浸出液をpH調整してFe及びAlを水酸化物として沈殿させ、固液分離して得られた液に対し、更にpH調整剤を添加してpH値を7以上に調整し、Ca及び希土類元素をその水酸化物として析出させ、これらCa及び希土類元素の水酸化物を固液分離し、粗回収物として回収する。pH調整剤は好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等であって、Ca及び希土類元素は水酸化物として析出する。これを固液分離して希土類元素の水酸化物として回収するか、更に、不純物であるAlの濃度を低下させることを目的として、析出した希土類元素の水酸化物に前記Alの5倍当量以上の水酸化ナトリウム液を加えて、前記Al分をアルミン酸イオンとして溶解し除去することも好適である。
蓚酸塩析出法では、上記の浸出工程で得られた浸出液、または、該浸出液をpH調整してFe及びAlを水酸化物として沈殿させ、固液分離して得られた液に対し、その液中に存在する全希土類元素のモル量の1.3〜6等量の蓚酸を加えて不溶性の希土蓚酸塩を生成させ、固液分離することによって希土類蓚酸塩化合物として粗希土類元素化合物(粗回収物)を回収する。
上記の浸出工程で得られた浸出液、又は、該浸出液をpH調整してFe及びAlを水酸化物として沈殿させ、固液分離して得られた液から溶媒抽出法により粗希土類元素化合物(粗回収物)を回収する場合、溶媒抽出法については公知の方法によればよいが、抽出剤として、リン酸エステル(DEHPA、EHPA)、ホスホン酸エステル(PC88A)、ホスフィン酸エステル(Cyanex 272、Cyanex 30)等のエステル類を、無極性の有機溶媒であるヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、オクタノールなどのアルコール、及び石油分留物であるケロシン等の溶媒で希釈したものが好適に利用できる。
溶媒抽出法による粗回収物の回収を2段階以上に亘って実施することも好ましい。2段階以上に亘る溶媒抽出法による粗回収物の回収によれば、希土類元素の各元素への分離も可能となる。
溶媒抽出法による粗回収物の回収を2段階以上に亘って実施することも好ましい。2段階以上に亘る溶媒抽出法による粗回収物の回収によれば、希土類元素の各元素への分離も可能となる。
浸出原料がボーキサイトからバイヤー法により水酸化アルミニウムを溶出させた後の固体残渣(ボーキサイト残渣)であって、上記の浸出工程で得られた浸出液から溶媒抽出法により粗希土類元素化合物(粗回収物)を回収する場合には、浸出液を一旦pH2.5〜3.5に調整し、析出した析出物を除去してから、そのまま、またはpH1.2〜2.5に再調整した後に、溶媒抽出することが好ましい。このようにpHを調整して析出物を除去することにより、溶媒抽出時の有機相と水相との間等に生成する乳濁物若しくは懸濁物(以下、「乳濁」という。)の発生を防止することができる。前記乳濁が発生した場合は、濾過により除去することができる。溶媒抽出時の水相のpHが1.2未満となると希土類元素の回収率が低下するため、好ましくない。
このようなpHの調整については、ボーキサイト残渣を添加して行うことも好適である。ボーキサイト残渣の添加によりpHを調整すれば、アルカリ性薬品の使用量を抑制することができ、また、ボーキサイト残渣がボーキサイトからアルミニウムを製造する際のバイヤー工程で副生するものであるから、結果的にコストダウンを図ることができる。また、ボーキサイト残渣の添加によるpH調整を行った場合には、添加されたボーキサイト残渣中に含有される希土類元素が浸出液中に溶出するので、前記浸出処理に使用する酸水溶液の有効利用を図ることができると共に、添加されたボーキサイト残渣から浸出した希土類元素を回収することができ、しかも、この際にCa及びTiがFeと共に析出し、浸出液中のこれらの元素の濃度が低下し、結果的に効率的な希土類元素の回収を行うことができる。
更にこのような場合に、DEHPA〔化学名:りん酸水素ビス(2-エチルヘキシル)〕を抽出剤として利用すると共に、溶媒でその濃度を0.1〜1.5Mとなるように希釈すると、Alの抽出率を低く保つことができ、結果的に分離回収する希土類元素の濃度を高くすることができて好ましい。抽出時間は、5分間以下とすることが好ましく、0.5〜3分間とすることが更に好ましい。抽出時間を0.5〜3分間とすると、Alの抽出率を低く保つことができ、結果的に分離回収する希土類元素の濃度を高くすることができる。抽出時間が5分間を超えるとAlの抽出率が高くなり、結果的に分離回収する希土類元素の濃度が低下する。
DEHPAを抽出剤として利用する場合、PC88A(化学名:2-エチルヘキシルホスホン酸モノ-2-エチルヘキシル)、リン酸トリブチル又はナフテン酸を前抽出剤として予備的に前抽出することも好適である。このような前抽出を行うことにより、浸出液中に含有されるFe、Sc、Ti等の元素の濃度を低減することができ、結果的に希土類元素の分離回収を効率化することができる。このとき、Scは前抽出有機相に分離されるが、pH7.5以上のアルカリ水溶液を逆抽出剤として逆抽出することにより、前抽出有機相からScを固体水酸化物として回収することができる。この場合には既に、Fe、Tiが除去されているため、DEHPAを抽出剤として希土類元素を抽出する際にpH調整を行う必要がない。ただしこの場合には、溶媒抽出時の有機相と水相の中間に乳濁が発生する場合がある。前記乳濁が発生した場合は、濾過により析出物を除去することができる。
前記逆抽出に際しては、逆抽出剤として2N〜8Nの塩酸水溶液又は濃度30〜70質量%の硫酸水溶液を用いることが好ましい。
逆抽出剤として2N〜8Nの塩酸水溶液を用いる場合、逆抽出時間は、5分間以下とすることが好ましく、0.5〜3分間とすることがさらに好ましい。逆抽出時間を0.5〜3分間とすると、Alの抽出率を低く保つことができ、結果的に分離回収する希土類元素の濃度を高くすることができる。逆抽出時間が5分間を超えるとAlの抽出率が高くなり、結果的に分離回収する希土類元素の濃度が低下する。
逆抽出剤として2N〜8Nの塩酸水溶液を用いる場合、逆抽出時間は、5分間以下とすることが好ましく、0.5〜3分間とすることがさらに好ましい。逆抽出時間を0.5〜3分間とすると、Alの抽出率を低く保つことができ、結果的に分離回収する希土類元素の濃度を高くすることができる。逆抽出時間が5分間を超えるとAlの抽出率が高くなり、結果的に分離回収する希土類元素の濃度が低下する。
他方、逆抽出剤として濃度30〜70質量%の硫酸水溶液を用いる場合、希土類元素は固体硫酸塩として析出するので、体積を非常に小さくすることができる。逆抽出時間は、5分間以下とすることが好ましく、0.5〜3分間とすることがさらに好ましい。逆抽出時間を0.5〜3分間とすると、Alの抽出率を低く保つことができ、結果的に分離回収する希土類元素の濃度を高くすることができる。逆抽出時間が5分間を超えるとAlの抽出率が高くなり、結果的に分離回収する希土類元素の濃度が低下する。固体硫酸塩として析出した希土類元素は、固液分離により回収することができる。なお、希土類元素を回収した後の有機相について、濃度30〜70質量%の硫酸水溶液を逆抽出剤として120分間以上の逆抽出を行うことにより、有機相中のAlを硫酸アルミニウムとして回収することができる。
使用済みの抽出剤については、2N〜8Nの塩酸水溶液又はアルカリ水溶液を逆抽出剤とする逆抽出を行うことにより、前記使用済みの抽出剤中に蓄積したSc、Ti、Thを低減させ、再生抽出剤として再利用することができる。
使用済みの抽出剤については、2N〜8Nの塩酸水溶液又はアルカリ水溶液を逆抽出剤とする逆抽出を行うことにより、前記使用済みの抽出剤中に蓄積したSc、Ti、Thを低減させ、再生抽出剤として再利用することができる。
この希土類元素の分離工程において、粗回収物から各元素への分離は、リン酸エステル類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸エステル類、チオホスフィン酸エステル類、及びこれらのエステル類とリン酸トリブチル(tributyl phosphate)及び/又はトリオクチルホスフィンオキサイド(trioctylphosphine oxide)との混合物から選ばれたエステル類を、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素、及び石油分留物であるケロシンから選ばれた溶媒で希釈して得られた抽出剤を用いた溶媒抽出法で行なうのが望ましい。
このような溶媒抽出法による分離は、向流多段溶媒抽出法によることが好適である。
このような溶媒抽出法による分離は、向流多段溶媒抽出法によることが好適である。
本発明の浸出液の分離工程において、上記のように、水酸化物析出法では、先ず、浸出液のpH値を4〜6に調整し、このpH調整で析出したFe及びAlの水酸化物を固液分離して除去し、次いで更にpH調整剤を添加してpH値を7以上に調整し、析出したCa及び希土類元素の水酸化物を固液分離して粗回収物を回収する。また、蓚酸法では、浸出液を直接、あるいは、水酸化物析出法と同じくpH調整によりFeとAlを水酸化物として析出させ、固液分離したのちに蓚酸を添加して希土類元素を蓚酸塩として析出させ、希土類元素の蓚酸化合物として回収したのち、これを苛性ソーダで処理して希土類元素の水酸化物として粗回収物を、又は、希土類元素の蓚酸化合物をか焼して希土類元素の酸化物として粗回収物を回収する。この粗回収物を塩酸又は硝酸に溶解した後、抽出剤を用いて溶媒抽出を行うので、この溶媒抽出で使用する高価な抽出剤の使用量を可及的に低減することができるという利点がある。
以下、本発明の希土類元素の回収方法を、浸出原料としてボーキサイト残渣を用いた実施例及び比較例に基づいて、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
〔実施例1〜8及び比較例1〜5〕
浸出原料として、110℃及び2時間の乾燥条件で乾燥して得られた固体成分(S)中に、Feを29.8質量%、Alを7.9質量%、Caを5.8質量%、Naを2.1質量%、Tiを3.5質量%、Siを2.5質量%、原子番号39のY及び原子番号57〜71のLa〜Luの合計としての希土類元素を0.24質量%の割合で含有するボーキサイト残渣を使用した。このようなボーキサイト残渣の約0.1kgを圧力容器に装入し、水を添加してスラリーとした後に、表2に示す固液比(L/S)及び初期pH値となるように、塩酸又は硝酸の水溶液を添加し、混合してボーキサイト残渣のスラリーを調製した。
浸出原料として、110℃及び2時間の乾燥条件で乾燥して得られた固体成分(S)中に、Feを29.8質量%、Alを7.9質量%、Caを5.8質量%、Naを2.1質量%、Tiを3.5質量%、Siを2.5質量%、原子番号39のY及び原子番号57〜71のLa〜Luの合計としての希土類元素を0.24質量%の割合で含有するボーキサイト残渣を使用した。このようなボーキサイト残渣の約0.1kgを圧力容器に装入し、水を添加してスラリーとした後に、表2に示す固液比(L/S)及び初期pH値となるように、塩酸又は硝酸の水溶液を添加し、混合してボーキサイト残渣のスラリーを調製した。
次いで、圧力容器内の温度及び圧力が表2に示す値となるように加熱し、加圧して、表2に示す時間保持した。その後、常温、常圧に戻して濾過により固液分離し、浸出液を回収した。更に固液分離後の固体残渣をその0.1kgに対して400cm3の洗浄水で洗浄し、洗浄後の洗浄水を前記浸出液と併せて次の分離工程で処理する浸出液とし、この浸出液のpH値を測定して、浸出工程で得られた浸出液のpHとした。
このようにして各実施例1〜8及び比較例1〜5の浸出工程で得られた浸出液について、それぞれICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光)分析法により浸出液中のY、Nd、Dy、Ca、Al、Si、Ti、及びFeの元素含有量を測定し、各元素についての浸出率を求めた。これらの浸出条件及び結果を表2にまとめて示す。
この表2に示す結果から明らかなように、実施例1〜8の浸出工程で得られた浸出液は、そのいずれの場合も浸出原料であるボーキサイト残渣中に含まれる希土類元素の70質量%以上を浸出させることができているのに対して、浸出温度が150℃の比較例1の場合、酸水溶液として硫酸水溶液を用い、固液比(L/S)が8.6であって浸出温度が50℃である比較例2の場合、酸水溶液としてリン酸水溶液を用いた比較例3の場合、初期pH値が3.0の比較例4の場合、及び酸水溶液として次亜塩素酸水溶液を用いた比較例5の場合、浸出温度が100℃の比較例6の場合には、いずれもボーキサイト残渣中に含まれる希土類元素の70質量%以上を浸出させることができなかった。
〔実施例9〜13及び比較例6〜8〕
浸出工程で使用した酸水溶液中に表3に示した酸化剤をボーキサイト残渣中のFe量に対して表3に示した当量だけ添加した以外は、上記の実施例1〜8の場合と同様にして、希土類元素の浸出を行い、得られた浸出液中のY、Nd、Dy、Ca、Al、Si、Ti、及びFeの元素含有量を測定し、各元素についての浸出率を求めた。これらの浸出条件及び結果を表3にまとめて示す。
浸出工程で使用した酸水溶液中に表3に示した酸化剤をボーキサイト残渣中のFe量に対して表3に示した当量だけ添加した以外は、上記の実施例1〜8の場合と同様にして、希土類元素の浸出を行い、得られた浸出液中のY、Nd、Dy、Ca、Al、Si、Ti、及びFeの元素含有量を測定し、各元素についての浸出率を求めた。これらの浸出条件及び結果を表3にまとめて示す。
表3に示す結果から明らかなように、実施例9〜13の浸出工程で得られた浸出液は、そのいずれの場合も浸出原料であるボーキサイト残渣中に含まれる希土類元素の70質量%以上を浸出させることができているのに対して、浸出温度が150℃の比較例6及び8の場合、酸水溶液として硫酸水溶液を用いた比較例7の場合には、いずれもボーキサイト残渣中に含まれる希土類元素の70質量%以上を浸出させることができなかった。
〔実施例14〕
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、溶媒抽出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。この溶媒抽出法では、先ず、浸出液のpHを一旦3.0とし、析出した析出物を除去してから、1.5に調整し、その後に、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤を用い、浸出液と抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて抽出有機相と抽出終了後の水相(抽出後水相)とに分離した。
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、溶媒抽出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。この溶媒抽出法では、先ず、浸出液のpHを一旦3.0とし、析出した析出物を除去してから、1.5に調整し、その後に、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤を用い、浸出液と抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて抽出有機相と抽出終了後の水相(抽出後水相)とに分離した。
抽出有機相については、6N-塩酸水溶液を逆抽出剤として用い、抽出有機相と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、再び液液分離させて逆抽出終了後の有機相(逆抽出後有機相)と逆抽出水相とに分離し、抽出有機相中の希土類元素を逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。
逆抽出後有機相は、0.02N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、逆抽出後有機相と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて精製すれば、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用することができる。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表5に示す。
逆抽出後有機相は、0.02N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、逆抽出後有機相と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて精製すれば、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用することができる。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表5に示す。
〔実施例15〜18〕
実施例14と同一の方法において、浸出液と抽出剤との接触時間を0.5分、1分、5分及び10分とし、他の条件は実施例14と同一として、希土類元素を逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。
この溶媒抽出法で回収された希希土類元素と不純物の回収率を表5に示す。
実施例14と同一の方法において、浸出液と抽出剤との接触時間を0.5分、1分、5分及び10分とし、他の条件は実施例14と同一として、希土類元素を逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。
この溶媒抽出法で回収された希希土類元素と不純物の回収率を表5に示す。
〔実施例19〜23〕
実施例14と同一の方法において、抽出有機相と逆抽出剤との接触時間を0.5分、1分、5分、10分及び15分とし、他の条件は実施例14と同一として、希土類元素を逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表5に示す。
実施例14と同一の方法において、抽出有機相と逆抽出剤との接触時間を0.5分、1分、5分、10分及び15分とし、他の条件は実施例14と同一として、希土類元素を逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表5に示す。
〔実施例24〕
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、溶媒抽出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。この溶媒抽出法では、先ず、浸出液のpHを一旦1.75とした後、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤を用い、浸出液と抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて抽出有機相と抽出後水相とに分離した。溶媒抽出時に有機相と水相の中間に乳濁が生成したが、該乳濁は、液液分離時に有機相側に分離し、その後に有機相をフィルターで濾過して除去した。
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、溶媒抽出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。この溶媒抽出法では、先ず、浸出液のpHを一旦1.75とした後、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤を用い、浸出液と抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて抽出有機相と抽出後水相とに分離した。溶媒抽出時に有機相と水相の中間に乳濁が生成したが、該乳濁は、液液分離時に有機相側に分離し、その後に有機相をフィルターで濾過して除去した。
抽出有機相については、6N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、抽出有機相と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、再び液液分離させて逆抽出後有機相と逆抽出水相とに分離し、希土類元素を抽出有機相から逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。
逆抽出後有機相は、0.02N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、逆抽出後有機相と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて精製すれば、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用することができる。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表5に示す。
逆抽出後有機相は、0.02N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、逆抽出後有機相と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて精製すれば、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用することができる。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表5に示す。
〔実施例25〕
水酸化ナトリウム水溶液の添加に代えて、実施例4に用いたものと同じボーキサイト残渣の添加によりpH調整をした以外、他の実施方法及び条件は実施例14と同一として、希土類元素を逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。このとき、添加したボーキサイト残渣の量は、浸出原料であったボーキサイト残渣0.1kgに対し、0.115kgであった。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表5に示す。ただし回収率の計算にあたっては、pH調整に使用したボーキサイト残渣中に含有されていた希土類元素を考慮し、浸出原料であったボーキサイト残渣の2.15倍の量に対する回収率を示している。
水酸化ナトリウム水溶液の添加に代えて、実施例4に用いたものと同じボーキサイト残渣の添加によりpH調整をした以外、他の実施方法及び条件は実施例14と同一として、希土類元素を逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。このとき、添加したボーキサイト残渣の量は、浸出原料であったボーキサイト残渣0.1kgに対し、0.115kgであった。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表5に示す。ただし回収率の計算にあたっては、pH調整に使用したボーキサイト残渣中に含有されていた希土類元素を考慮し、浸出原料であったボーキサイト残渣の2.15倍の量に対する回収率を示している。
表5に示される、実施例14〜23の希土類元素と不純物の回収率によれば、抽出時間が短い方が希土類元素の回収率が高いこと、及び逆抽出時間が長い方が希土類元素の回収率が高いが、最も回収率の低いYであっても1分の逆抽出時間で、75質量%を超える回収率が得られること、および抽出時間、逆抽出時間共に長くなるほどAlのような不純物の回収率が高くなることがわかる。
実施例24によれば、溶媒抽出時に有機相と水相の中間に乳濁が生成した場合には、抽出時間及び逆抽出時間が同一である実施例14と比較して、希土類元素の回収率は、わずかに低いことがわかる。
実施例24によれば、溶媒抽出時に有機相と水相の中間に乳濁が生成した場合には、抽出時間及び逆抽出時間が同一である実施例14と比較して、希土類元素の回収率は、わずかに低いことがわかる。
また、実施例25のボーキサイト残渣の添加によりpH調整したものはpH調整時に添加したボーキサイト残渣から溶出した希土類元素も回収されているが、その回収率は、浸出原料であったボーキサイト残渣からの回収率ほどには高くないため、回収率は実施例14より低下しているものの、Ca及びTiがFeと共に析出、これらの元素の濃度が大幅に低下していることがわかる。さらに、ボーキサイト残渣は、ボーキサイトからアルミニウムを製造する際のバイヤー工程で副生するものであり、結果的にコストダウンとなっている。
〔実施例26〕
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、溶媒抽出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。この溶媒抽出法では、先ず、浸出液のpHを一旦3.0とし、析出した析出物を除去してから、1.0に調整した後、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤を用い、浸出液と抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて抽出有機相と抽出後水相とに分離した。
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、溶媒抽出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。この溶媒抽出法では、先ず、浸出液のpHを一旦3.0とし、析出した析出物を除去してから、1.0に調整した後、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤を用い、浸出液と抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて抽出有機相と抽出後水相とに分離した。
抽出有機相については、6N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、抽出有機相と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、再び液液分離させて逆抽出後有機相と逆抽出水相とに分離し、希土類元素を抽出有機相から逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。
逆抽出後有機相は、0.02N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、逆抽出後有機相と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて精製すれば、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用することができる。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表6に示す。
逆抽出後有機相は、0.02N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、逆抽出後有機相と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて精製すれば、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用することができる。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表6に示す。
〔実施例27・28〕
実施例26と同一の方法において、ケロシンでDEHPAを1.2M濃度に希釈した抽出剤、及びケロシンでDEHPAを1.5M濃度に希釈した抽出剤を用い、他の条件は実施例26と同一として、希土類元素を逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表6に示す。
実施例26と同一の方法において、ケロシンでDEHPAを1.2M濃度に希釈した抽出剤、及びケロシンでDEHPAを1.5M濃度に希釈した抽出剤を用い、他の条件は実施例26と同一として、希土類元素を逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表6に示す。
〔実施例29・30〕
実施例26と同一の方法において、浸出液のpHを一旦3.0とし、析出した析出物を除去してから、再びpHを1.5又は2.0とし、他の条件は実施例26と同一として、希土類元素を逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表6に示す。
実施例26と同一の方法において、浸出液のpHを一旦3.0とし、析出した析出物を除去してから、再びpHを1.5又は2.0とし、他の条件は実施例26と同一として、希土類元素を逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表6に示す。
〔実施例31〕
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、溶媒抽出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。この溶媒抽出法では、先ず、浸出液のpHを一旦3.0とし、析出した析出物を除去してから、再びpHを2.0に調整した後、ケロシンでPC88Aを0.8M濃度に希釈した抽出剤を用い、浸出液と抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて抽出有機相と抽出後水相とに分離した。
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、溶媒抽出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。この溶媒抽出法では、先ず、浸出液のpHを一旦3.0とし、析出した析出物を除去してから、再びpHを2.0に調整した後、ケロシンでPC88Aを0.8M濃度に希釈した抽出剤を用い、浸出液と抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて抽出有機相と抽出後水相とに分離した。
抽出有機相については、6N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、抽出有機相と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、再び液液分離させて逆抽出後有機相と逆抽出水相とに分離し、希土類元素を抽出有機相から逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。
逆抽出後有機相は、0.02N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、逆抽出後有機相と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて精製すれば、ケロシンでPC88Aを0.8M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用することができる。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表6に示す。
逆抽出後有機相は、0.02N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、逆抽出後有機相と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて精製すれば、ケロシンでPC88Aを0.8M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用することができる。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表6に示す。
〔実施例32〜34〕
実施例31と同一の方法において、ケロシンでPC88Aを0.5〜1.5M濃度に希釈した抽出剤を用い、他の条件は実施例31と同一として、希土類元素を逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表6に示す。
実施例31と同一の方法において、ケロシンでPC88Aを0.5〜1.5M濃度に希釈した抽出剤を用い、他の条件は実施例31と同一として、希土類元素を逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表6に示す。
〔実施例35〜37〕
実施例31と同一の方法において、浸出液のpHを一旦3.0とし、析出した析出物を除去してから、再びpHの調整を行って1.5〜3.0とし、他の条件は実施例31と同一として、希土類元素を逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表6に示す。
実施例31と同一の方法において、浸出液のpHを一旦3.0とし、析出した析出物を除去してから、再びpHの調整を行って1.5〜3.0とし、他の条件は実施例31と同一として、希土類元素を逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表6に示す。
表6に示される、実施例26〜37の希土類元素と不純物の回収率によれば、DEHPAの方がPC88Aよりも希土類元素の回収率が高く、Alの回収率が低いこと、抽出剤がDEHPA、PC88Aのいずれであっても浸出液のpHが高い方が希土類元素、Al共に回収率が高くなる傾向にあること、及びDEHPAを抽出剤とする場合は、その濃度が高いほど、希土類元素、Al共に回収率が高くなるが、PC88Aを抽出剤とする場合は、その濃度が高いほど希土類元素の回収率は高くなるが、Alの回収率は濃度1.2M付近に極大点があることがあることがわかる。
〔実施例38〜43〕
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、前抽出を含む溶媒抽出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。この方法では、先ず、浸出液のpHを一旦3.0とし、析出した析出物を除去してから、再びpHを1.0又は1.25に調整した後、ケロシンでPC88Aを0.01〜0.02M濃度に希釈した前抽出剤を用い、浸出液と前抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて前抽出有機相と抽出後水相とに分離した。続いて、回収された前抽出有機相について、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤を用い、抽出有機相と抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて抽出有機相と抽出後水相とに分離した。
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、前抽出を含む溶媒抽出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。この方法では、先ず、浸出液のpHを一旦3.0とし、析出した析出物を除去してから、再びpHを1.0又は1.25に調整した後、ケロシンでPC88Aを0.01〜0.02M濃度に希釈した前抽出剤を用い、浸出液と前抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて前抽出有機相と抽出後水相とに分離した。続いて、回収された前抽出有機相について、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤を用い、抽出有機相と抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて抽出有機相と抽出後水相とに分離した。
抽出有機相については、6N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、抽出有機相と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、再び液液分離させて逆抽出後有機相と逆抽出水相とに分離し、希土類元素を抽出有機相から逆抽出水相へと移行させて分離し、回収した。
逆抽出後有機相は、0.02N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、逆抽出後有機相と逆抽出剤とを液比10:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて精製すれば、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用することができる。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表7に示す。
逆抽出後有機相は、0.02N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、逆抽出後有機相と逆抽出剤とを液比10:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて精製すれば、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用することができる。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表7に示す。
表7に示される、実施例38〜43の希土類元素と不純物の回収率によれば、実施例26と比較して、希土類元素の回収率は、ほぼ同等に保たれるが、不純物のうちのCaとTiの回収率が大きく低下していることがわかる。
〔実施例44〜52〕
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、溶媒抽出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。この溶媒抽出法では、先ず、浸出液のpHを一旦3.0とし、析出した析出物を除去してから、再びpHを1.0に調整した後、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤を用い、浸出液と抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて抽出有機相と抽出後水相とに分離した。
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、溶媒抽出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。この溶媒抽出法では、先ず、浸出液のpHを一旦3.0とし、析出した析出物を除去してから、再びpHを1.0に調整した後、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤を用い、浸出液と抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて抽出有機相と抽出後水相とに分離した。
抽出有機相については、50質量%-硫酸水溶液を逆抽出剤として、抽出有機相と逆抽出剤とを液比1:1で1〜180分間撹拌して接触させた。希土類元素を含む元素が固体硫酸塩として析出したので、固液分離によりこの希土類元素を含有する固体硫酸塩を回収した。
逆抽出後有機相は、0.02N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、逆抽出後有機相と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて精製すれば、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用することができる。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表8に示す。
逆抽出後有機相は、0.02N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、逆抽出後有機相と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて精製すれば、ケロシンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用することができる。
この溶媒抽出法で回収された希土類元素と不純物の回収率を表8に示す。
表8に示される、実施例44〜52の希土類元素と不純物の回収率によれば、Fe及びTiは、殆ど回収されない一方、希土類元素は、高い回収率で回収できること、並びにAlの回収率は逆抽出時間が長くなるほど高くなるが、逆抽出時間が5分間以下であれば、回収率は0.1%未満の低い値に保持することができることがわかる。
〔実施例53〕
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、図1に示す2段階の溶媒抽出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。以下、図1を参照しながら説明する。
この2段階溶媒抽出法では、先ず、浸出液(1)のpHを2.0に調整した後、ヘキサンでDEHPAを0.02M濃度に希釈した抽出剤を用い、抽出操作A(Ext.A)において浸出液(1)と抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて抽出有機相A(2)と抽出後水相A(3)とに分離した。
このとき、YとDyは抽出有機相A(2)に、La−Ndまでの希土類元素は抽出後水相A(3)に、それぞれ含有される。
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、図1に示す2段階の溶媒抽出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。以下、図1を参照しながら説明する。
この2段階溶媒抽出法では、先ず、浸出液(1)のpHを2.0に調整した後、ヘキサンでDEHPAを0.02M濃度に希釈した抽出剤を用い、抽出操作A(Ext.A)において浸出液(1)と抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて抽出有機相A(2)と抽出後水相A(3)とに分離した。
このとき、YとDyは抽出有機相A(2)に、La−Ndまでの希土類元素は抽出後水相A(3)に、それぞれ含有される。
抽出有機相A(2)については、0.2N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、逆抽出操作A(R-Ext.A)において抽出有機相A(2)と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、再び液液分離させて逆抽出後有機相A(4)と逆抽出水相A(5)とに分離し、YとDyとを抽出有機相A(2)から逆抽出水相A(5)へと分離した。
逆抽出後有機相A(4)については、2N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、精製操作(P)において逆抽出後有機相A(4)と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて精製すれば、ヘキサンでDEHPAを0.02M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用され、また、使用済みの逆抽出剤は廃液(W)として廃棄される。
逆抽出後有機相A(4)については、2N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、精製操作(P)において逆抽出後有機相A(4)と逆抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて精製すれば、ヘキサンでDEHPAを0.02M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用され、また、使用済みの逆抽出剤は廃液(W)として廃棄される。
更に、上記のYとDyとを抽出有機相]A(2)から分離して含有する逆抽出水相A(5)については、ヘキサンでDEHPAを0.02M濃度に希釈した抽出剤を用い、抽出B(Ext.B)において逆抽出水相A(5)と抽出剤とを液比1:1で5分間撹拌して接触させた後、液液分離させて抽出有機相B(6)と抽出後水相B(7)とに分離し、抽出後水相B(7)は廃液(8)とした。
上記の抽出有機相B(6)については、2N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、逆抽出操作B(R-Ext.B)において抽出有機相B(6)と逆抽出剤とを液比1:1で5分間撹拌して接触させた後、液液分離させて逆抽出後有機相B(9)と逆抽出水相B(10)とに分離し、抽出有機相B(6)から、上記逆抽出水相B(10)へとYとDyとを移行させて分離し、回収No.1(11)として回収した。
逆抽出後有機相B(9)は、図示外の上記精製操作(P)と同様にして、ヘキサンでDEHPAを0.02M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用される。
逆抽出後有機相B(9)は、図示外の上記精製操作(P)と同様にして、ヘキサンでDEHPAを0.02M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用される。
他方、上記の抽出後水相A(3)については、pHを2に調整した後、ヘキサンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤を用い、抽出操作C(Ext.C)において抽出後水相A(3)と抽出剤とを液比1:1で3分間撹拌して接触させた後、液液分離させて抽出有機相C(12)と抽出後水相C(13)とに分離し、抽出後水相C(13)は廃液(14)とした。
上記抽出有機相C(12)については、0.1N-塩酸水溶液を逆抽出剤として、逆抽出操作C(R-Ext.C)において抽出有機相C(12)と逆抽出剤とを液比1:1で5分間撹拌して接触させた後、液液分離させて逆抽出後有機相C(15)と逆抽出水相C(16)とし、抽出有機相C(12)からCaを除去すると共に、Caを含む逆抽出水相C(16)は廃液(17)とした。
そして、上記の逆抽出後有機相C(15)については、2N-塩酸水溶液を逆抽出剤とし、逆抽出操作D(R-Ext.D)において逆抽出後有機相C(15)と逆抽出剤とを液比1:1で5分間撹拌して接触させた後、液液分離させて逆抽出後有機相D(18)と逆抽出水相D(19)とに分離し、La−Ndまでの希土類元素を逆抽出後有機相C(15)から逆抽出水相D(19)へと分離し、この逆抽出水相D(19)に蓚酸を加えて希土類蓚酸塩を析出させ、La−Ndまでの希土類元素を回収No.2(20)として回収した。
逆抽出後有機相D(18)は、図示外の上記精製操作(P)と同様にして、ヘキサンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用される。
この2段階溶媒抽出法で回収された希土類元素の回収率と不純物の濃度を表9に示す。
逆抽出後有機相D(18)は、図示外の上記精製操作(P)と同様にして、ヘキサンでDEHPAを0.8M濃度に希釈した抽出剤として循環的に再利用される。
この2段階溶媒抽出法で回収された希土類元素の回収率と不純物の濃度を表9に示す。
〔実施例54〕
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、蓚酸塩析出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。この蓚酸塩析出法においては、実施例4の浸出液について、この液中に含まれる希土類元素イオンの約1.5倍の化学等量の蓚酸を加えて希土類元素のみを蓚酸塩として沈殿させ、固液分離して希土類元素蓚酸塩を回収した。
この蓚酸塩析出法で回収された希土類元素の回収率と不純物の濃度を表9に示す。
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、蓚酸塩析出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。この蓚酸塩析出法においては、実施例4の浸出液について、この液中に含まれる希土類元素イオンの約1.5倍の化学等量の蓚酸を加えて希土類元素のみを蓚酸塩として沈殿させ、固液分離して希土類元素蓚酸塩を回収した。
この蓚酸塩析出法で回収された希土類元素の回収率と不純物の濃度を表9に示す。
〔実施例55〕
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、水酸化物析出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。この水酸化物析出法においては、先ず、実施例4の浸出液について、AlイオンとFeイオンの溶解度が小さく、希土類元素イオンの溶解度が大きなpH4.5に調整して、AlとFeを水酸化物として沈殿させ、固液分離して沈殿したAl及びFeの水酸化物を除去した後、更に苛性ソーダ液を加えてpHを11まで上昇させ、希土類元素イオンを水酸化物として沈殿させ、固液分離して希土類元素水酸化物を回収した。
この水酸化物析出法による希土類元素の回収率と不純物の濃度を表9に示す。
実施例4で得られた表4に示す組成の浸出液を用い、水酸化物析出法により不純物元素の除去と希土類元素の濃縮を実施した。この水酸化物析出法においては、先ず、実施例4の浸出液について、AlイオンとFeイオンの溶解度が小さく、希土類元素イオンの溶解度が大きなpH4.5に調整して、AlとFeを水酸化物として沈殿させ、固液分離して沈殿したAl及びFeの水酸化物を除去した後、更に苛性ソーダ液を加えてpHを11まで上昇させ、希土類元素イオンを水酸化物として沈殿させ、固液分離して希土類元素水酸化物を回収した。
この水酸化物析出法による希土類元素の回収率と不純物の濃度を表9に示す。
Claims (27)
- 希土類元素を含む浸出原料に水を添加し混合してスラリーを調製した上で、更に酸水溶液を添加し混合してpHを調整し、得られたスラリーを所定の条件下に保持して浸出原料中の希土類元素を酸水溶液中に移行させる浸出処理を行ない、次いで前記浸出処理後のスラリーを固液分離して希土類元素を含む浸出液を得る浸出工程と、この浸出工程で得られた浸出液から希土類元素を分離して回収する分離工程とを有する希土類元素の回収方法であり、
前記浸出原料が、110℃及び2時間の乾燥条件で乾燥して得られた固体成分(S)中に、CaをCaOとして4〜15質量%の割合で含むと共にTiをTiO2として2〜13質量%の割合で含んでおり、
前記酸水溶液が塩酸及び/又は硝酸を含む酸水溶液であって調整されるpHが0〜2.7であり、かつ、
前記浸出工程で行う浸出処理が温度160〜300℃及び圧力0.65〜10MPaの加熱加圧条件下で行なう温浸であって、この浸出工程では浸出原料中の希土類元素をCaと共に浸出させることを特徴とする希土類元素の回収方法。 - 前記浸出工程では、浸出原料中に含まれるCaの溶出率が90質量%以上に到達するまで温浸を行う請求項1に記載の希土類元素の回収方法。
- 前記浸出原料が、水酸化ナトリウム水溶液を用いてボーキサイトからアルミニウム分を採取するバイヤー工程で副生したボーキサイト残渣である請求項1又は2に記載の希土類元素の回収方法。
- 前記ボーキサイト残渣は、110℃及び2時間の乾燥条件で乾燥して得られた固体成分(S)中に、希土類元素をその酸化物として500〜10000ppmの割合で含む請求項3に記載の希土類元素の回収方法。
- 前記ボーキサイト残渣に酸水溶液を添加して得られたスラリーは、固体成分(S)と液体成分(L)との固液比(L/S)が2〜10であって、pH値が0〜2.7である請求項3又は4に記載の希土類元素の回収方法。
- 前記ボーキサイト残渣に酸水溶液を添加して調製されたスラリー中に、ボーキサイト残渣中のFe成分に対して酸化剤を0.1〜1当量の割合で添加する請求項3〜5のいずれかに記載の希土類元素の回収方法。
- 前記スラリー中に添加される酸化剤が過酸化水素水又は過塩素酸水溶液である請求項6に記載の希土類元素の回収方法。
- 前記浸出工程で得られた浸出液にpH調整剤を添加してpH4〜6に調整し、このpH調整で析出したFe及びAlの水酸化物を固液分離して除去した後、前記分離工程に供する請求項1〜7のいずれかに記載の希土類元素の回収方法。
- 浸出液にpH調整剤を添加してpH4〜6に調整するpH調整の際に、過酸化水素、過塩素酸、過マンガン酸、及び次亜塩素酸から選ばれた酸化剤を添加し、浸出液中のFe2+イオンを酸化してFe3+イオンにする請求項8に記載の希土類元素の回収方法。
- 前記希土類元素の分離工程では、前記浸出工程で得られた浸出液、又は、該浸出液をpH調整してFe及びAlを水酸化物として沈殿させ、固液分離して得られた液に、pH調整剤を添加してpH7以上に調整し、このpH調整で析出したCa及び希土類元素の水酸化物を固液分離して粗回収物として回収する請求項1〜9のいずれかに記載の希土類元素の回収方法。
- 前記希土類元素の分離工程では、前記浸出工程で得られた浸出液、又は、該浸出液をpH調整してFe及びAlを水酸化物として沈殿させ、固液分離して得られた液に存在する希土類元素の化学当量以上の蓚酸を加えて希土類元素を蓚酸塩として析出させ、更に該蓚酸塩を固液分離して前記希土類元素を粗回収物として回収する、請求項1〜9のいずれかに記載の希土類元素の回収方法。
- 前記希土類元素の分離工程では、前記浸出工程で得られた浸出液、又は、該浸出液をpH調整してFe及びAlを水酸化物として沈殿させ、固液分離して得られた液に、リン酸エステル類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸エステル類、チオホスフィン酸エステル類、及びこれらのエステル類とリン酸トリブチル及び/又はトリオクチルホスフィンオキサイドとの混合物から選ばれたエステル類を、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、オクタノール、及び石油分留物であるケロシンから選ばれた溶媒で希釈して得られた抽出剤を加えて溶媒抽出法により希土類元素を分離して回収する、請求項1〜9のいずれかに記載の希土類元素の回収方法。
- 前記溶媒抽出法による分離工程に先駆けて、浸出液のpH調整時に発生した乳濁を予め濾過により除去する、請求項12に記載の希土類元素の回収方法。
- 前記溶媒抽出法による分離工程に先駆けて、浸出液をpH2.5〜3.5に調整し、析出した析出物を除去する、請求項12に記載の希土類元素の回収方法。
- 前記溶媒抽出法による分離工程に先駆けて行うpH調整は、ボーキサイト残渣の添加により行われる、請求項14に記載の希土類元素の回収方法。
- 前記溶媒抽出法の抽出剤がDEHPAである、請求項12〜15のいずれかに記載の希土類元素の回収方法。
- 前記溶媒抽出法の抽出剤としてのDEHPAの濃度が0.1〜1.5Mである、請求項16に記載の希土類元素の回収方法。
- 前記溶媒抽出法の抽出時間が5分間以下である、請求項12〜17のいずれかに記載の希土類元素の回収方法。
- 前記溶媒抽出法の抽出時間が0.5〜3分間である、請求項18に記載の希土類元素の回収方法。
- 前記DEHPAを抽出剤として用いる溶媒抽出法に先駆けて、PC88A、リン酸トリブチル又はナフテン酸を前抽出剤として用いる浸出液の前抽出を行い、この浸出液からFe、Sc及びTiを分離除去する、請求項16〜19のいずれかに記載の希土類元素の回収方法。
- 前記溶媒抽出法は、逆抽出剤が2N〜8Nの塩酸水溶液であると共に、逆抽出時間が5分間以下である、請求項12〜20のいずれかに記載の希土類元素の回収方法。
- 前記溶媒抽出法の逆抽出時間が0.5〜3分間である、請求項21に記載の希土類元素の回収方法。
- 前記溶媒抽出法で用いる逆抽出剤が濃度30〜70質量%の硫酸水溶液であり、希土類元素を固体硫酸塩として回収する、請求項12〜20のいずれかに記載の希土類元素の回収方法。
- 前記溶媒抽出法の逆抽出時間が5分間以下である、請求項23に記載の希土類元素の回収方法。
- 前記溶媒抽出法において、使用済みの抽出剤に対して、2N〜8Nの塩酸水溶液又はアルカリ水溶液を逆抽出剤とする逆抽出を行い、前記使用済みの抽出剤中に蓄積したSc、Ti、Thを低減させ、再生抽出剤として再利用する、請求項12〜24のいずれかに記載の希土類元素の回収方法。
- 前記粗回収物から各元素への分離は、粗回収物を酸水溶液に溶解し、次いでリン酸エステル類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸エステル類、チオホスフィン酸エステル類、及びこれらのエステル類とリン酸トリブチル及び/又はトリオクチルホスフィンオキサイドとの混合物から選ばれたエステル類を、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、及び石油分留物であるケロシンから選ばれた溶媒で希釈して得られた抽出剤を用いる溶媒抽出法で行なう請求項10〜25のいずれかに記載の希土類元素の回収方法。
- 前記粗回収物から各元素への溶媒抽出法による分離が向流多段溶媒抽出法である請求項26に記載の希土類元素の回収方法。
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