JP5526049B2 - 電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物、その製造方法及び成形体 - Google Patents
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Description
一方、例えば自動車分野においては、電気自動車やハイブリッド自動車の発達に伴い、より一層の電気効率や燃費の向上を目的として、金属部品を樹脂代替化することによる自動車軽量化が盛んに行なわれており、良好な電磁波シールド性を要するバッテリーケースなどの各種ハウジングや筐体においてもその必要性は益々強まっている。
これらの分野では、鉄などの金属材料が用いられている場合が多いが、重量が大きくなり易いことなどから、軽量化の可能性を有するプロピレン系樹脂組成物などによる樹脂化が試みられている。
又、特許文献2では、十分な電磁波シールド性を有し、しかも成形加工性に優れたポリプロピレン樹脂組成物の提供が課題とされ、100本未満の金属繊維を一束とする金属繊維束を熱可塑性樹脂で被覆した金属繊維マスターペレットと低融点金属とポリプロピレン樹脂とを含有するポリプロピレン樹脂組成物が開示されている。
これらのポリプロピレン樹脂組成物は、良好な成形加工性、外観と一定の電磁波シールド性を有するが、自動車や家電機器でのノイズ防止や誤作動防止など実用面からとりわけ重要な例えばラジオ波の様な広範囲な周波数帯においての電磁波シールド性の水準、及びその成形品の具体的な強度数値については記載が無く、又金属繊維や金属を用いるため成形品の重量が過大になり易い課題が有る。
例えば特許文献3では、車両に搭載される電子部品用として、充分なシールド効果を有し、しかも成形性に優れた電磁波シールドケースの提供が目的とされ、電磁波シールドケースが、3〜10重量%のステンレス繊維と、カーボンブラック及びタルクの少なくとも一方とを含む配合材がポリプロピレン樹脂中に13〜65重量%で配合されて成る樹脂組成物により形成される車載電磁波シールドケースが開示されている。
該車載電磁波シールドケースは、良好な成形性及び一定の電磁波シールド性を有するが、ラジオ波の様な広範囲な周波数帯においての電磁波シールド性の水準、及び具体的な強度数値については記載が無く、また比較的少ないがステンレス繊維を用い、さらにカーボンブラック及びタルクを用いるため、該ケースの軽量性が未だ不十分との課題を有する。
又、特許文献4では、電磁波シールド性の良い成形体が得られる導電性樹脂組成物の提供が課題とされ、(A)熱可塑性樹脂100質量部、(B)炭素繊維1〜20質量部、及び(C)金属繊維1〜20質量部を含有する、成形体の体積固有抵抗値が103Ω・cm以下のものである導電性樹脂組成物が開示されている。
該導電性樹脂組成物は、体積固有抵抗値が小さく一定の電磁波シールド性及び強度を有するが、金属繊維を必須とするため軽量性が不十分である外、次の様な課題を有する。すなわち、実施例記載によれば、用いられている熱可塑性樹脂は比較的高価な樹脂(PC、PA等)が多く経済性が懸念され、反面比較的廉価なプロピレン系樹脂の使用比率が低く、又、その電磁波シールド性は、実用的に重要なラジオ波帯の低周波数域の1Mz未満域について記載が無い。
例えば特許文献5では、炭素繊維強化ポリオレフィン系樹脂の強度等の物性向上が課題とされ、酸量が、無水マレイン酸換算で、平均で0.05〜0.5重量%である酸基含有ポリオレフィン系樹脂(A)を、酸基と反応し得る官能基を有するサイジング剤(s)で表面処理された炭素長繊維(B)に、酸基含有ポリオレフィン系樹脂(A)と炭素長繊維(B)の合計中の炭素長繊維(B)の重量比率が5重量%以上、50重量%未満となる様に含浸してなる炭素長繊維強化樹脂ペレットであり、該ペレットの長さ方向に該炭素繊維が同一長さで平行配列しており、該炭素繊維の長さが4〜50mmである炭素長繊維強化樹脂ペレットが開示されている。
該炭素長繊維強化樹脂ペレットは、良好な引張強度及び曲げ強度を有しているが、その電磁波シールド性については記載が無い。
成分A:メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1g/10分以上、かつ、少なくともその一部に、酸変性ポリオレフィン系樹脂及び/又はヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂を含有するプロピレン系樹脂
成分B:炭素繊維及び/又は導電性フィラー
本発明の第2の発明によれば、下記の成分Aを60〜97重量%、成分Bを3〜40重量%の割合で含有し、且つ、KEC法におけるラジオ波帯(300KHz〜100MHz)において、20dB以上の減衰効果を有することを特徴とする電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
成分A:メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1g/10分以上のプロピレン系樹脂
成分B:炭素繊維を含み、その少なくとも一部は、該炭素繊維と成分Aとを溶融押出加工して、多数本の繊維を集合一体化した炭素繊維含有ペレットの形態とし、前記炭素繊維含有ペレット中の炭素繊維の長さは、実質的に該ペレットの一辺(押出方向)の長さと同じである炭素繊維及び/又は導電性フィラー
成分C:成分B以外のフィラー
又、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、前記樹脂組成物における、成分Bと成分Cとの実質配合重量比が、3/1〜1/5であることを特徴とする電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
成分D:エラストマー
又、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、成分Aは、少なくともその一部がメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が30g/10分以上であり、且つ、プロピレン重合体部分の13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が92%以上である、プロピレン単独重合体又はプロピレン・エチレンブロック共重合体であることを特徴とする電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
又、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が、0.5g/10分以上であることを特徴とする電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
又、本発明の第10の発明によれば、第1〜9のいずれかの発明において、曲げ弾性率が、3000MPa以上であることを特徴とする電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物が提供される。
又、本発明の第13の発明によれば、第12の発明において、射出成形法又は射出圧縮成形法にて成形されたことを特徴とする成形体が提供される。
又、本発明の第15の発明によれば、第12〜14のいずれかの発明において、曲げ弾性率測定試験(JIS K7171)における同一条件下測定撓み量を概ね同一とした場合の鉄製体に対する軽量化率が30%以上であることを特徴とする成形体が提供される。
そのため、電気自動車やハイブリッド式自動車などの各種自動車用バッテリーケース、オーディオ、電子制御基板ユニット、電装モーターハウジング、通信用機器などの自動車用各種電装部品、ノート型やデスクトップ型などのパーソナルコンピュータ、電子手帳、携帯電話、携帯情報端末、電子書籍機器、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゲーム機器、医療用機器、計測機器などに代表される電子機器の筐体、電子機器部材の包装容器、磁気ヘッド搬送トレイ、シリコンウェハー工程内キャリーケース、半導体工程内キャリーケース、ハードディスクドライブ工程内キャリーケース、各種電子機器部材運搬トレイ、ディスク洗浄トレイなどの成形体用途に、好適に用いることができる。
又、本発明の製造方法によれば、前記電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物及び成形体を容易に製造することができるという効果がある。
以下、電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物(以下、単に電磁波シールド用樹脂組成物ともいう。)の各成分、電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物の製造方法及び成形体などについて、詳細に説明する。
1.成分A:プロピレン系樹脂
本発明において用いられる成分Aは、本発明の電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体において、良好な成形性、成形外観、機械的強度などを付与する機能を有する。
(1)製造
本発明に用いられる成分Aの製造方法は特に限定されず、例えば以下に示す方法で製造することができる。
(i)重合用反応器
重合用の反応器としては、特に形状、構造を問わないが、スラリー重合、バルク重合で一般に用いられる撹拌機付き槽や、チューブ型反応器、気相重合に一般に用いられる流動床反応器、撹拌羽根を有する横型反応器などが挙げられる。
重合触媒は、その必要とする全量を重合開始時に存在させ、重合当初から重合に関与させることが好ましく、重合開始後、新たに触媒を追加しないことが好ましい。この場合、パウダー性状の悪化やゲル発生を抑制ことができる。
重合触媒の種類は、特に限定されるものではなく、公知の触媒が使用可能である。例えば、チタン化合物と有機アルミニウムを組み合わせた、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒、或いはメタロセン触媒(例えば、特開平5−295022号公報に開示。)が使用できる。
ここで、助触媒として例えば有機アルミニウム化合物を使用することができる。
また、前記の触媒には、立体規則性改良や粒子性状制御、可溶性成分の制御、分子量分布の制御などを目的とする各種重合添加剤を使用することができる。例えば、ジフェニルジメトキシシラン、tert−ブチルメチルジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、酢酸エチル、安息香酸ブチルなどを挙げることができる。
重合形式としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン若しくはトルエンなどの不活性炭化水素を重合溶媒として用いるスラリー重合、プロピレン自体を重合溶媒とするバルク重合、又、原料のプロピレンを気相状態下で重合する気相重合が可能である。又、これらの重合形式を組み合わせて行うことも可能である。
例えば、プロピレン・エチレンブロック共重合体の場合、プロピレン重合体部分の重合をバルク重合で行い、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分の重合を気相重合で行う方法や、プロピレン重合体部分の重合をバルク重合と続いて気相重合で行い、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分の重合は気相重合で行う方法などが挙げられる。
本発明の重合においては、重合圧力は特に限定されず、一定で行うことも随時変化させることも可能である。通常、大気圧に対する相対圧力で0.1〜5MPa、好ましくは0.3〜2MPa程度で実施するのが好ましい。
本発明において、重合温度に関しては、特に限定されないが、通常20〜100℃、好ましくは40〜80℃の範囲から選択される。この重合温度は、重合開始時と重合終了時において同一でも異なっていても良い。
本発明において、重合時間も、特に限定されないが、通常30分〜10時間で実施される。例えば、プロピレン・エチレンブロック共重合体の場合、プロピレン重合体部分の製造は、気相重合で2〜5時間、バルク重合で30分〜2時間、スラリー重合で4〜8時間を標準とし、また、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分は、気相重合で1〜3時間、バルク重合で20分〜1時間、スラリー重合で1〜3時間を標準とする。
この共重合体にあっては、具体的には、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル1−ペンテンなどのプロピレン以外のα−オレフィン、スチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、及びビニルノルボルナンなどのビニル化合物からなる群から選ばれる1以上のコモノマーに相応するコモノマー単位を、好ましくは5重量%以下の含量で含むことができる。これらのコモノマーは、二種以上が共重合されていてもよい。コモノマーは、エチレン及び/又は1−ブテンであるのが好ましく、最も好ましいのはエチレンである。
ここで、コモノマー単位の含量は、赤外分光分析法(IR)にて求めた値である。
通常プロピレン重合体部分の重合に続いて、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分の重合を行う。
本発明に用いられる成分Aの種類は、特に限定されず、公知のプロピレン系樹脂を用いることができる。例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体やプロピレン・エチレンブロック共重合体などのプロピレンとα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとビニル化合物との共重合体、プロピレンとビニルエステルとの共重合体、プロピレンと不飽和有機酸又はその誘導体との共重合体、プロピレンと共役ジエンとの共重合体、プロピレンと非共役ポリエン類との共重合体及びこれらの混合物などが挙げられる。
中でも、本発明の電磁波シールド用樹脂組成物や成形体の剛性、強度などから、プロピレン単独重合体及びプロピレン・エチレンブロック共重合体が好ましい。これらの重合体を用いれば、より軽量性や成形体強度などを高め得るからである。
ここで、酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン化合物共重合体(EPDMなど)、エチレン−芳香族モノビニル化合物−共役ジエン化合物共重合エラストマーなどのポリオレフィンを、マレイン酸又は無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸を用いてグラフト共重合し、化学変性したものが挙げられる。このグラフト共重合は、例えば、上記ポリオレフィンを適当な溶媒中において、ベンゾイルパーオキシドなどのラジカル発生剤を用いて、不飽和カルボン酸と反応させることにより行われる。又、不飽和カルボン酸又はその誘導体の成分は、ポリオレフィン用モノマーとのランダム若しくはブロック共重合によりポリマー鎖中に導入することもできる。
この様な無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂の例としては、アルケマ社製の「OREVAC CA100」を挙げることができる。
酸変性ポリオレフィン系樹脂中の酸量がこの範囲であれば、前記成分Aと成分B、場合にり成分Cとからなる電磁波シールド用樹脂組成物におけるそれらの親和性や含浸性が十分なものとなるため、電磁波シールド性や衝撃強度が向上した前記樹脂組成物が得られ易く、また、酸量が過大になって、成形性を損ねたり、前記樹脂組成物が脆性になり耐衝撃性が失われることもない。又、これらの酸変性ポリオレフィン系樹脂や後記するヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂は、2種以上混合して使用してもよい。
ヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂を構成するオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、4−メチルペンテン−1、ヘキセン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセンなどのα−オレフィンの単独又は共重合体、前記α−オレフィンと共重合性単量体との共重合体などが例示できる。
好ましいヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂には、ヒドロキシ変性ポリエチレン系樹脂(例えば、低密度、中密度又は高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ヒドロキシ変性ポリプロピレン系樹脂(例えば、アイソタクチックポリプロピレンなどのポリプロピレンホモポリマー、プロピレンとα−オレフィン(例えば、エチレン、ブテン、ヘキサンなど)とのランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体など)、ヒドロキシ変性ポリ(4−メチルペンテン−1)などが例示できる。
又、ヒドロキシル基を有する単量体による変性量は、ヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂全体に対して、0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%程度である。ヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂の平均分子量は、特に限定されない。
本発明に用いられる成分Aの全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、1g/10分以上、好ましくは30g/10分以上、より好ましくは50〜500g/10分である。MFRが1g/10分未満であると、電磁波シールド用樹脂組成物の成形体への成形時にショートショットが生じたり、大型の成形体が得られなくなったりする。なお、500g/10分を超えると、電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体の衝撃強度が低下するおそれがある。
又、成分Aのプロピレン重合体部分の13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)は、電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体の剛性、軽量性などから、92%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、97%以上であることがさらに好ましい。前記アイソタクチックトライアッド分率(mm)が、92%未満であると、電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体の電磁波シールド性や剛性、軽量性などが低下するおそれがある。前記アイソタクチックトライアッド分率(mm)が92%以上であり、さらに高くなると、電磁波シールド性や剛性などの物性をより高めることができるが、それは、プロピレン系樹脂分子の配向結晶性が高まり、後記する炭素繊維などの成分A中における成分Bの分散を配向し易く且つ均一に分散し易くするためと推察される。
又、成分Aが、少なくともその一部がメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が30g/10分以上であり、且つ、プロピレン重合体部分の13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が92%以上である、プロピレン単独重合体又はプロピレン・エチレンブロック共重合体である場合、電磁波シールド用樹脂組成物の成形性をより向上(具体的には大型の成形体がより得られ易くなるなど)させたり、電磁波シールド性や剛性などの物性をより高めることができるなどのため特に好ましい。
該含有量が3重量%未満であると、電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体の衝撃強度が低下するおそれがあり、60重量%を超えると、剛性などが低下するおそれがある。
又、該共重合体のプロピレン・エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量は、20〜60重量%のものが好ましく、25〜55重量%のものがより好ましく、30〜50重量%のものがさらに好ましい。該含有量が前記範囲外であると、後記する成分Bの分散を不十分にするなどのため、電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体の電磁波シールド性や衝撃強度が低下するおそれがある。
ここで、前記のプロピレン・エチレンランダム共重合体部分の含有量やエチレン含量は、クロス分別装置やFT−IRなどを用いて測定される値であり、その測定条件などは例えば特許文献:特開2008−189893号公報に記載されている。
本発明において、用いられる成分Aの配合割合は、成分Aと成分Bの合計を100重量%として、60〜97重量%、好ましくは65〜95重量%、より好ましくは70〜92重量%である。成分Aの配合割合が60重量%未満であると、電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体の成形性、軽量性、成形外観や経済性などが低下する。一方、97重量%を超えると、電磁波シールド性や剛性などが低下する。
又、これらの成分Aは、2種以上併用してもよい。
(1)炭素繊維
本発明において用いられる炭素繊維は、本発明の電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体において、良好な電磁波シールド性や機械的強度などを付与する機能を有する。
該炭素繊維は、その寸法や種類は特に限定されず、微細炭素繊維とも称される例えば繊維径が500nm以下の極細のものも含め用いることができるが、その繊維径は、2〜15μmであるものが好ましく、3〜10μmであるものがより好ましい。繊維径が2μm未満の場合、本発明の樹脂組成物や成形体の製造、成形時などにおいて該炭素繊維が折損し易くなるおそれがあり、本発明の電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体の強度向上効果などが低下する傾向がある。
又、繊維径が15μmを超えると繊維のアスペクト比が低下することに伴い、電磁波シールド性や強度向上効果の低下が起き易いなどの傾向がある。
ここで、繊維径の測定方法は公知の方法であり、例えば、JIS R7607(旧JIS R7601)や顕微鏡観察法が挙げられる。
又、該炭素繊維の繊維長は、1〜20mmであるものが好ましく、3〜10mmであるものがより好ましい。
なお、この場合の繊維長とは、炭素繊維をそのまま原料として用いる場合における長さを表す。但し、後記する溶融押出加工して連続した多数本の炭素繊維を集合一体化した、炭素繊維含有ペレットの場合はこの限りではなく、通常ロービング状のものを用いる。
該繊維長が1mm未満の場合、本発明の樹脂組成物の製造後や成形後における最終繊維長がより短くなり、本発明の電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体の電磁波シールド性や強度向上効果が低下し易いなどの傾向がある。又、繊維長が20mmを超えると、本発明の樹脂組成物が製造し難くなったり、成形体の外観が著しく低下してしまうなどの傾向がある。
なお、これらの炭素繊維の製造方法は特に限定されないが、例えばPAN系炭素繊維の場合、PAN繊維を空気中で例えば200〜300℃にて加熱する耐炎化過程で繊維を緊張して長さ方向の熱収縮を抑制あるいは延伸し、次いで不活性雰囲気中の例えば1000〜1500℃、好ましくは1200〜1500℃、より好ましくは1300〜1500℃にて炭化処理して製造する方法が挙げられる。この場合必要に応じ、例えば極めて高い弾性率を有する炭素繊維を要する場合は、さらに2500〜3000℃にて黒鉛化処理を行い所謂黒鉛質繊維を得ることができる。
又、ピッチ系炭素繊維の場合は、例えば先ずピッチを延伸できる連続繊維に約350℃にて溶融紡糸し、例えば200〜300℃にて安定化処理した後、炭化、黒鉛化処理して製造する方法が挙げられる。
炭素繊維の具体例としては、PAN系炭素繊維では、三菱レイヨン社製商品名「パイロフィル」、東レ社製商品名「トレカ」、東邦テナックス社製商品名「ベスファイト」などを挙げることができ、ピッチ系炭素繊維では、三菱樹脂社製商品名「ダイアリード」、大阪ガスケミカル社製商品名「ドナカーボ」、呉羽化学社製商品名「クレカ」などを挙げることができる。
又、該炭素繊維は、通常1.7〜5g/cm3程度の密度を有するが、軽量性や経済性などから1.7〜2.5g/cm3の密度を有するものを用いるのが好ましい。
さらに、該炭素繊維は、通常10×10−3Ω・cm以下程度の体積抵抗率を有し、いずれも用いることができるが、電磁波シールド性や経済性などから5×10−3Ω・cm〜0.5×10−3Ω・cmの体積抵抗率を有するものを用いるのが好ましい。
ここで、引張弾性率、密度及び体積抵抗率の測定方法は夫々公知の方法であり、例えば引張弾性率は、JIS R7606(旧JIS R7601)が挙げられ、同様に密度は、例えばJIS R7603(旧JIS R7601)が挙げられ、同様に体積抵抗率は、例えばJIS R7609(旧JIS R7601)が挙げられる。
イバー(以下、単にCCFともいう。)として用いる事もでき、又必要に応じて、各種サイジング剤を用いて集束処理されたものであってもよい。本発明においては、本発明の電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体における、電磁波シールド性や強度の向上効果をより高めるため、このCCFを用いることが好ましい。
この繊維集束に用いるサイジング剤は、プロピレン系樹脂との溶融混練において融解する必要があるため、200℃以下で溶融するものであることが好ましい。
また、このCCFの形状は、直線状のものだけでなく、繊維が湾曲したカール状のカーボンファイバーであっても良い。
この様なCCFの具体例としては、PAN系炭素繊維では、三菱レイヨン社製商品名「パイロフィルチョップ」、東レ社製商品名「トレカチョップ」、東邦テナックス社製商品名「ベスファイトチョップ」などを挙げることができ、ピッチ系炭素繊維では、三菱樹脂社製商品名「ダイアリードチョップドファイバー」、大阪ガスケミカル社製商品名「ドナカーボチョップ」、呉羽化学社製商品名「クレカチョップ」などを挙げることができる。
又、これらの炭素繊維は、予め任意の量の成分Aと溶融押出加工して連続した多数本の繊維を集合一体化したペレットとし、且つ、該ペレット中における炭素繊維長さが実質的に、該ペレットの一辺(押出方向)の長さと同じである、炭素繊維含有ペレットとして用いることが、本発明の電磁波シールド用樹脂組成物およびその成形体の電磁波シールド性や剛性などの物性をより高める点などからより好ましい。この場合、「実質的に」とは、具体的には、炭素繊維含有ペレット中の炭素繊維の個数全体を基準として、50%以上、好ましくは90%以上において、その長さが炭素繊維含有ペレットの長さと同じであって、該ペレット調製の際に、繊維の折損を受けないことを意味する。こういった炭素繊維含有ペレットの製造方法は特に制限されないが、成分Bが炭素繊維を含み、該炭素繊維を繊維ラックからクロスヘッドダイを通して引きながら成分Aを溶融状態で含浸させる引抜成形法を用いて、炭素繊維含有ペレットを調製する工程を含む方法で製造するのが、繊維の折損を殆ど受けず、電磁波シールド性や物性がより高まるなどのため、好ましい。
炭素繊維含有ペレットの長さは、使用する炭素繊維にもよるが、2〜20mmとすることが好ましい。2mm以下であると本発明の電磁波シールド用樹脂組成物及びその成形体の電磁波シールド性や剛性などの物性を低下させるおそれがあり、一方、20mm以上であると成形体の外観や成形性を低下させるおそれがある。
又、炭素繊維含有ペレットにおいて、成分Aの含有割合は、該ペレット全体を基準として30〜80重量%、炭素繊維の含有割合は、20〜70重量%であることが好ましい。
炭素繊維の割合が70重量%以上であると成形体の成形性などを低下させる等のおそれがあるため、好ましくない。
本発明において用いられる導電性フィラーは、炭素繊維以外の導電性を有するフィラーであり、本発明の電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体において、良好な電磁波シールド性や機械的強度などを付与する機能を有する。
該導電性フィラーは、形状として粒粉状、フレーク状、繊維状などのものがある。例えば粒粉状のものとして、ケッチェンブラック、グラファイト、ファーネスカーボン、ニッケル、銅、ステンレス、アルミ、酸化スズ、亜鉛、銀、金属コートガラス粉又は金属コートガラスビーズ、酸化亜鉛ウィスカー、金属コート酸化亜鉛ウィスカーなどがある。又、フレーク状のものとして、グラファイト、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、金属コートガラスフレーク、金属コートマイカなどがある。さらに繊維状のものとして、ステンレス、鉄、銅、アルミ、黄銅、金属コートガラス繊維などがある。これらの中で特に好ましいものとしては、電磁波シールド性、軽量性、経済性などから導電性カーボンブラックであり、具体的にはケッチェンブラック、ファーネスカーボン及びグラファイトが挙げられる。
この内、ケッチェンブラックは、BET比表面積が500〜2000m2/g、一次粒子径が20〜50nmのものが好ましく、BET比表面積が700〜1500m2/g、一次粒子径が30〜40nmのものがより好ましい。前記範囲以外のものは、本発明の電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体において、電磁波シールド性が不十分であったり、樹脂組成物の製造が困難であったり、成形外観が不十分となるおそれがある。
ここで、BET比表面積及び一次粒子径の測定方法は、公知の方法によるもので、例えば前者はBET吸着法が挙げられ、後者は透過型電子顕微鏡による観察法が挙げられる。
本発明において、用いられる成分Bの配合割合は、成分Aと成分Bの合計を100重量%として、3〜40重量%、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは8〜30重量%である。成分Bの配合割合が3重量%未満であると、電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体の電磁波シールド性や剛性、衝撃などの強度が低下する。一方、40重量%を超えると、成形性、軽量性、成形外観や経済性などが低下する。又、これらの成分Bは、2種以上併用してもよい。
本発明において用いられる成分Cである成分B以外のフィラーは、成分Bを除く無機又は有機のフィラーであり、本発明の電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体において、良好な剛性、衝撃などの機械的強度、電磁波シールド性(の向上)、寸法安定性、成形外観や環境適応性などを付与する機能を有する。
成分Cの具体例としては、例えば、無機フィラーとして、シリカ、ケイ藻土、バリウムフェライト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルンなどの酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウムなどの水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩または亜硫酸塩、タルク、クレー、マイカ、ガラス繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、モンモリロナイト、ベントナイトなどのケイ酸塩、硫化モリブデン、ボロン繊維、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム、塩基性硫酸マグネシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ケイ酸カルシウム繊維、炭酸カルシウム繊維などを挙げることができる。
一方、有機フィラーとしては、例えば、モミ殻などの殻繊維、木粉、木綿、ジュート、紙細片、セロハン片、芳香族ポリアミド繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、各種有機繊維、熱硬化性樹脂粉末などを挙げることができる。
中でも、本発明の電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体において、剛性、衝撃などの強度、軽量性、電磁波シールド性、成形外観、環境適応性や経済性などの向上効果などから、ガラス繊維(含有樹脂ペレット、マスター樹脂ペレット含む)、タルク及びポリエステル繊維などの各種有機繊維(含有樹脂ペレット、マスター樹脂ペレット含む)が好ましい。ここで、繊維類の場合、例えばポリエステル繊維と木綿と混紡したものなど、異なる複数の繊維同士を混紡したものでもよい。
又、これらの内、繊維状のものは前記した炭素繊維含有ペレットの様に、夫々の繊維含有ペレットの形として用いられるのが、本発明の電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体において、剛性、衝撃などの強度、軽量性、電磁波シールド性、成形外観、環境適応性や経済性などの向上効果などから、好ましい。
又、タルクの場合その平均粒径は、15μm以下のものが好ましく、0.5〜10μmのものがより好ましく、2〜8μmのものがさらに好ましい。
この平均粒径は、レーザー回折散乱方式粒度分布計等を用いて測定した値であり、測定装置としては、例えば、堀場製作所LA−920型が挙げられる。また、タルクは、平均アスペクト比が4以上、特に5以上のものがより好ましい。タルクのアスペクト比の測定は、顕微鏡などにより測定された値より求められる。
さらに、有機繊維の内、例えばポリエステル繊維の場合、単糸繊度は、特に制限されないが、2〜20dtexが好ましく、3〜15dtexがより好ましい。単糸繊度が、2dtex未満であると、十分な強度を得られない上、経済性が低下するおそれがある。一方、20dtexを超えると、成形外観が得にくくなるおそれがある。
なお、単糸繊度は、例えば、サーチ株式会社製オートバイブロ式 繊度測定器(Denier Computer)を用い、測定試料長を50mm、荷重を測定試料の繊度(デニール換算値)×0.1gの条件下で測定試料に振動を加え、振動数が安定したことを確認した後、測定試料のフィラメント全数測定し評価することができる。
中でも板状、繊維状、ウィスカー状のものは、強度、寸法安定性や電磁波シールド性などのバランスに優れた本発明の電磁波シールド用樹脂組成物及びその成形体が得られやすいなどの点で好ましい。
又、ポリマー用フィラーとして市販されているものは、いずれも使用できる。これらは、一般的な粉末状の外に、取り扱いの利便性などを高めた、圧縮魂状、ペレット(造粒)状、顆粒状、チョップドストランド状などの形態で製造されることが多いが、いずれも使用することができる。このうち、粉末状、圧縮魂状、顆粒状が好ましい。
これらの成分Cの製造方法は、特に限定されたものではなく、公知の各種製造方法などにて製造される。例えば、タルクの場合、天然に産出されたものを機械的に微粉砕化することにより得られたものを、さらに精密に1回または複数回分級することによって得られる。粉砕機としては、例えばジョークラシャ−、ハンマークラシャ−、ロールクラシャー、スクリーンミル、ジェット粉砕機、コロイドミル、ローラーミル、振動ミルなどを用いることができる。
又、ガラス繊維や有機繊維の場合、ガラス繊維含有ペレットや有機繊維含有ペレットとして用いることが好ましいが、このガラス繊維含有ペレットや有機繊維含有ペレットは、例えば、夫々の任意の量の成分Aと、連続した多数本のガラス繊維又は有機繊維とを溶融押出加工して多数本の夫々の繊維を集合一体化する前記した引抜成形法で製造することができる。これにより、前述の炭素繊維含有ペレットと同様に、該ペレット中における繊維長さが実質的に、該ペレットの一辺(押出方向)の長さと同じとすることができる。この場合も、「実質的に」とは、具体的には、繊維含有ペレット中の繊維の個数全体を基準として、50%以上、好ましくは90%以上において、その長さが繊維含有ペレットの長さと同じであって、該ペレット調製の際に、繊維の折損を受けないことを意味する。こういった繊維含有ペレットは、前述の炭素繊維含有ペレットと同様に、例えば、連続したそれぞれの繊維を繊維ラックからクロスヘッドダイを通して引きながら、プロピレン系樹脂を溶融状態で含浸する方法(引抜成形法)にて製造することができる。
又、ガラス繊維含有ペレットや有機繊維含有ペレットの長さは、使用するガラス繊維や有機繊維にもよるが、2〜20mmとすることが好ましい。2mm以下であると本発明の電磁波シールド用樹脂組成物及びその成形体の剛性や衝撃強度などの物性を低下させるおそれがあり、一方、20mm以上であると成形体の外観や成形性を低下させるおそれがある。
又、ガラス繊維含有ペレットや有機繊維含有ペレットにおいて、成分Aの含有割合は、該ペレット全体を基準として30〜80重量%、ガラス繊維や有機繊維の含有割合は、20〜70重量%であることが好ましい。ガラス繊維や有機繊維の割合が70重量%以上であると成形体の外観や成形性などを低下させる等のおそれがあるため、好ましくない。
本発明において、用いられる成分Cの配合割合は、成分Aと成分Bとの合計量100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは5〜40重量部、さらに好ましくは10〜30重量部である。成分Cの配合割合が1重量部未満であると、電磁波シールド用樹脂組成物及びその成形体の剛性、衝撃などの強度や寸法安定性が低下し易いおそれがある。一方、40重量部を超えると、成形性や表面外観が低下するおそれがある。なお、成分Cは、2種以上併用することもできる。
ここで、本発明の電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体において、強度、軽量性や経済性などをより向上させる場合などにおいては、前記した成分Bと該成分Cとを併用することが好ましく、その際、本発明の電磁波シールド用樹脂組成物における、成分Bと成分Cとの実質配合重量比が、3/1〜1/5が好ましく、3/1〜1/4がより好ましく、さらに1〜1/3がより好ましい。
本発明において用いられる成分Dのエラストマーは、エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマーやスチレン系エラストマーなどであり、本発明の電磁波シールド用樹脂組成物やその成形体において、良好な衝撃強度機械的強度、寸法安定性や成形外観などを付与する機能を有する。
成分Dとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(EPR)、エチレン・ブテン共重合体エラストマー(EBR)、エチレン・ヘキセン共重合体エラストマー(EHR)、エチレン・オクテン共重合体エラストマー(EOR)などのエチレン・α−オレフィン共重合体エラストマー;エチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン・プロピレン・ブタジエン共重合体、エチレン・プロピレン・イソプレン共重合体などのエチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマー;スチレン・ブタジエン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体エラストマー(SIS)、スチレン−エチレン・ブチレン共重合体エラストマー(SEB)、スチレン−エチレン・プロピレン共重合体エラストマー(SEP)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SEBS)、スチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(SEBC)、水添スチレン・ブタジエンエラストマー(HSBR)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEPS)、スチレン−エチレン・エチレン・プロピレン−スチレン共重合体エラストマー(SEEPS)、スチレン−ブタジエン・ブチレン−スチレン共重合体エラストマー(SBBS)、部分水添スチレン−イソプレン−スチレン共重合体エラストマー、部分水添スチレン−イソプレン・ブタジエン−スチレン共重合体エラストマーなどのスチレン系エラストマー、さらにエチレン−エチレン・ブチレン−エチレン共重合体エラストマー(CEBC)などの水添ポリマー系エラストマーなどを挙げることができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体エラストマーや、エチレン・α−オレフィン・ジエン三元共重合体エラストマーなどは、各モノマーを触媒の存在下、重合することにより製造される。触媒としては、例えばハロゲン化チタンの様なチタン化合物、アルキルアルミニウム−マグネシウム錯体の様な有機アルミニウム−マグネシウム錯体、アルキルアルミニウム、またはアルキルアルミニウムクロリドなどのいわゆるチーグラー型触媒、WO91/04257号公報などに記載のメタロセン化合物触媒などを使用することができる。
重合法としては、気相流動床法、溶液法、スラリー法などの製造プロセスを適用して重合することができる。
又、スチレン系エラストマーや水添ポリマー系エラストマーは、通常のアニオン重合法及びそのポリマー水添技術などにより製造することができる。
成分DのMFR(230℃、2.16kg荷重)は、通常1g/10分以上であり、5g/10分以上が好ましく、10g/10分以上がより好ましい。
本発明の用途を考慮した場合、MFRが上記の範囲であるものが、成形外観及び衝撃強度が良好な電磁波シールド用樹脂組成物及びその成形体を得られる場合が多い。
本発明において、用いられる成分Dの配合割合は、成分Aと成分Bとの合計量100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは5〜30重量部、さらに好ましくは10〜20重量部である。成分Dの配合割合が1重量部未満であると、電磁波シールド用樹脂組成物及びその成形体の衝撃強度や寸法安定性が低下し易いおそれがある。
一方、40重量部を超えると、剛性や表面外観が低下するおそれがある。なお、成分Dは、2種以上併用することもできる。
本発明においては、前記成分A〜成分D以外に、さらに必要に応じ、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、例えば発明効果を一層向上させたり、他の効果を付与するなどのため、任意添加成分(成分E、以下、単に成分Eともいう。)を配合することができる。
これらの成分Eは、2種以上を併用してもよく、組成物に添加してもよいし、成分A〜成分Dの各成分に添加されていてもよく、夫々の成分においても2種以上併用することもできる。
具体例としては、ヒンダードアミン化合物として、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合物;ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕;テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート;ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルセバケートなどが挙げられ、ベンゾトリアゾール系としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられ、ベンゾフェノン系としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどが挙げられ、サリシレート系としては、4−t−ブチルフェニルサリシレート;2,4−ジ−t−ブチルフェニル3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。
又、着色剤として、例えば無機系や有機系の顔料などは、前記同様、着色外観、風合い、商品価値、耐候性や耐久性などの付与、向上などに有効である。
又、酸化防止剤として、例えば、フェノール系、リン系やイオウ系などの酸化防止剤は、前記同様、耐熱安定性、加工安定性、耐熱老化性などの付与、向上などに有効である。
又、帯電防止剤として、例えば、非イオン系やカチオン系などの帯電防止剤は、前記同様、帯電防止性の付与、向上に有効である。
本発明の電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物は、前記成分A〜成分B(必要に応じ成分C〜成分E)を前記配合割合で、従来公知の方法で配合・混合することにより製造でき、さらに該混合物を溶融混練することにより製造することもできる。
混合は、例えばタンブラー、Vブレンダー、リボンブレンダー等の通常の混合機器を用いて本発明の電磁波シールド用樹脂組成物を製造することができる。
溶融混練は、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等の通常の混練機を用いて混練・造粒することによって、本発明の電磁波シールド用樹脂組成物が得られる。
この場合、各成分の分散を良好にすることができる混合・混練・造粒方法を選択することが好ましく、通常はタンブラー、一軸押出機又は二軸押出機を用いて行われる。
混練・造粒して製造する際には、上記各成分の配合物を同時に混練してもよく、また性能向上をはかるべく各成分を分割して混練する、すなわち、例えば、先ず成分Aの一部又は全部と、成分Bの一部とを混練し、その後に残りの成分を混練・造粒するといった方法を採用することもできる。
何故なら、この方法によれば該成分B又は成分Cの繊維が該製造過程にて折損にて短繊維化するのを抑制して、前記本発明樹脂組成物の電磁波シールド性や剛性、耐熱性などの強度を高い水準で発現することができるからである。
さらに、成分B、成分C又は成分Dは、それを高濃度化した所謂マスターバッチペレット(以下、単にMBPともいう。)としたものを、成分Aなどと混合又は混練する方法も好ましい。何故なら、この方法によれば前記本発明樹脂組成物における成分B、成分C又は成分Dの混合・分散を容易するなどして前記同様本発明樹脂組成物の性能向上を図ることができ、又製造効率が向上するなど経済性も改善できるからである。
特に、予め、成分Bの少なくとも一部をマスターバッチとして調製し、該マスターバッチを成分Aに、混合又は混練する方法などで希釈することにより、樹脂組成物を得る方法は前記の性能向上効果がより大きいなどのため、好ましい。
中でも、成分B(必要に応じ成分C)の前記「繊維含有ペレット」と、成分A及び他の必要成分とを、単に混合するのみで本発明の電磁波シールド用樹脂組成物を製造する方法が、本発明樹脂組成物の前記各種性能や経済性の向上を図る点などで好ましく、とりわけ、成分B(必要に応じ成分C)の前記「繊維含有ペレット」、及び、成分B、成分C又は成分Dの「MBP」と、成分A及び他の必要成分とを、単に混合する方法が同じ理由で好ましい。
又、前記樹脂組成物の全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、好ましくは0.5g/10分以上、より好ましくは2〜200g/10分である。MFRが、0.5g/10分未満であると、前記樹脂組成物の成形が困難となるおそれがあり、200g/10分を超えると、成形体の衝撃強度が低下するおそれがある。又、アイゾット衝撃強度(ノッチ付、23℃)は、好ましくは3KJ/m2以上、より好ましくは5KJ/m2以上である。アイゾット衝撃強度が3KJ/m2未満であると、耐衝撃性が不足するおそれがある。
さらに、曲げ弾性率は、好ましくは3000MPa以上、より好ましくは4000MPa以上である。曲げ弾性率が3000MPa未満であると、剛性が不足するおそれがある。
本発明の成形体は、前記方法で製造された電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物を、例えば、射出成形(ガス射出成形、二色射出成形、コアバック射出成形、サンドイッチ射出成形も含む)、射出圧縮成形(プレスインジェクション)、押出成形、シート成形及び中空成形機などの周知の成形方法にて成形することによって得ることができる。この内、射出成形又は射出圧縮成形にて得ることが好ましい。
成形体の成形に際しての成形条件は特に限定されないが、成分Bなどの繊維状物の折損の防止や分散を向上させるなどして、本発明の成形体の電磁波シールド性や強度(衝撃強度、曲げ弾性率など)をより向上させる点などから、成形温度は190〜280℃が好ましく、200〜260℃がより好ましく、220〜250℃がさらに好ましい。この傾向は特に射出成形や射出圧縮成形の場合顕著であり、これらの条件で成形することが好ましい。
又、本発明の成形体の板厚は、1〜4mmが好ましく、1〜3mmがより好ましい。板厚が1mm未満であると、成形体が変形したり、部分破損するおそれがあり、4mmを超えると、成形体の軽量性や経済性が低下するおそれがある。
又、本発明の成形体の単位面積重量(単位面積当たりの重量で、目付けと称される場合もある。)は、4.5kg/m2以下が好ましく、4kg/m2以下がより好ましく、1.5〜3kg/m2がさらに好ましい。単位面積重量が4.5kg/m2を超えると、軽量性や経済性が低下するおそれがあり、1.5kg/m2未満であると、電磁波シールド性や剛性が低下するおそれがある。
さらに、本発明の成形体は、曲げ弾性率試験(JIS K7171)における同一条件下の測定撓み量を概ね同一とした場合の鉄製体に対する軽量化率が30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。軽量化率が30%未満であると、本発明の成形体の軽量性が低下するおそれがある。
なお、実施例で用いた評価方法及び材料は、以下の通りである。
(1)電磁波シールド性
(i)試験片の調製
150×150×3t(mm)(フィルムゲート)寸法の試験片を、東芝社製射出成形機IS170を用い、成形温度250℃、金型温度40℃、射出圧力60MPa、保圧力40MPa、冷却時間20秒の条件で成形した。
(ii)電磁波シールド性の評価
下記要領にて実施した。
準拠測定法;KEC法(社団法人関西電子工業振興センター法)
測定装置;電磁波シールド効果測定システム(電界シールド効果評価用セル使用)
測定手法;疑似ノイズ源として信号発信用のアンテナと受信アンテナの間に試料を挿入し、試料の有無による電界の強度を測定。
発信部と受信部の距離;10mm
測定条件;発信信号はシグナルジェネレーターにて100kHz〜1GHz領域の段階的に発生させて、各周波数毎の減衰効果(試料有無の差)をデシベル(dB)表示として評価した。ラジオ波帯に相当する、500kHz、10MHz、100MHzの減衰効果(dB)を読み取った。
シールド性能判定基準;20dBb以上の減衰効果を有しているものを実用可能と判定した。
(i)MFR;JIS K7210に準拠して、試験温度:230℃、荷重:2.16kgで測定した。但し試験片は、電磁波シールド性評価用試験片よりの切り出しペレットを用いた。該MFRは、主に成形性を表す指標であって、例えば射出成形においては、数値が大きい程、成形性(流動性)が良好である。
(ii)アイゾット衝撃強度(ノッチ付);射出成形試験片を用い、JIS K7110に準拠し、測定雰囲気温度23℃にて測定した。試験片の成形は、東芝社製射出成形機IS80Gを用い、成形温度250℃、金型温度40℃の条件で行った。
(iii)曲げ弾性率;射出成形試験片を用い、JIS K7171に準拠し、測定雰囲気温度23℃にて測定した。試験片の成形は、前記アイゾット衝撃強度と同様に行った。
(iv)密度;電磁波シールド性評価用試験片を用い、JIS K7112に準拠し、測定した。
(i)成形体の肉厚;本発明の電磁波シールド用樹脂組成物の実施例として用いられる成形体の肉厚は、現行製品に多くの場合使用される鉄との等価剛性より算出した。
具体的には、曲げ弾性率210GPa、肉厚0.8mmの鉄板の両持ち曲げ試験による変位量と電磁波シールド用樹脂組成物による成形体の変位量が概ね同等となる様に、前記(2)(iii)にて測定した曲げ弾性率を用いて算出した。算出方法を下記に示す。
・成形体の変位量算出に引用した両持ち曲げモーメントによる計算式
σ=12PL3/48Ebh3・・・・(1)
σ・・・変位量(mm)
P・・・荷重(N)
L・・・スパン(mm)
E・・・材料の曲げ弾性率(MPa)
b・・・成形体の幅(mm)
h・・・成形体の肉厚(mm)
・鉄板と等価剛性となる肉厚の算出式
12PL3/48E1bh1 3=12PL3/48E2bh2 3・・・(2)
σ・・・変位量(mm)
P・・・荷重(N)
L・・・スパン(mm)
E1・・・鉄の曲げ弾性率(MPa)
E2・・・電磁波シールド用樹脂組成物の曲げ弾性率(MPa)
b・・・成形体の幅(mm)
h1・・・鉄を用いた成形体の肉厚(mm)
h2・・・電磁波シールド用樹脂組成物を用いた成形体の肉厚(mm)
∴ E1h1 3=E2h2 3・・・(3)
∴ h2=(E1h1 3/E2)1/3・・・(4)
ここで、式(4)に鉄の弾性率としてE1=210Gpa、鉄製体の肉厚h1=0.8mm、電磁波シールド用樹脂組成物の曲げ弾性率E2として前記(2)(iii)にて測定した値を代入して、電磁波シールド用樹脂組成物を用いた成形体の肉厚を算出した。
A=h2×ρ・・・(5)
A・・・・単位面積重量(kg/m2)
h2・・・電磁波シールド用樹脂組成物を用いた成形体の肉厚(mm)
ρ・・・・電磁波シールド用樹脂組成物の密度(g/cm3)
こで、該単位面積重量が4.5kg/m2以下であるものは、軽量性が優れる傾向にある。
軽量化率=((鉄製体の単位面積重量−A)/鉄製体の単位面積重量)×100(%)・・・(6)
ここで、鉄製体の密度は7.8g/cm3であり、肉厚は0.8mmであるから、鉄製体の単位面積重量は、6.24kg/m2である。この軽量化率が30%以上であるものは、軽量性が優れる傾向にある。
(1)成分A:プロピレン系樹脂
(以下いずれも酸化防止剤、中和剤を添加済のペレットである。)
(i)A−a:日本ポリプロ社製ノバテックPPの下記組成のグレードを用いた。
該材料は、チーグラー・ナッタ触媒で重合されたプロピレン・エチレンブロック共重合体であり、共重合体全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が60g/10分、プロピレン重合体部分の13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が97%、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分の含有量が8重量%、プロピレン・エチレンランダム共重合体部分のエチレン含量が44重量%である。
該材料は、重合体全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が80g/10分、プロピレン重合体部分のアイソタクチックトライアッド分率(mm)が97重量%である。
該材料は、チーグラー・ナッタ触媒で重合されたプロピレン単独重合体であり、重合体全体のMFR(230℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分であり、プロピレン重合体部分の13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が97重量%である。
(i)B−a:電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物全体を基準として、連続した下記炭素繊維「ア」35重量%を、繊維ラックからクロスヘッドダイを通して引きながら前記プロピレン系樹脂「A−a」65重量%を溶融状態で含浸する製造方法(引抜成形法)により得たもの(炭素繊維含有ペレット)。
具体的には、炭素繊維「ア」は繊維ラックから繊維束として押出機に供給し、押出機の先端に取り付けられたクロスヘッド(樹脂含浸ダイス)の中に通しながら、クロスヘッドに「A−a」を供給して含浸する。製造装置としては、クロスヘッドダイを有する二軸押出機(日本製鋼所社製「TEX30」、L/D=42、シリンダー径30mm、シリンダー温度:200〜230℃、クロスダイヘッド温度:230℃)を使用した。なお、ペレット長は7mmとなる様に調節した。このとき、該ペレットに含まれている炭素繊維「ア」の長さは、炭素繊維の個数全体を基準として、93%が、ペレット長と同じ7mmであった。つまり、該ペレットに含まれている炭素繊維「ア」の長さは、実質的に、炭素繊維含有ペレットの長さと同じであった。ここで、前記炭素繊維長さの測定は、前記ペレットを燃焼した後、残存した炭素繊維数を顕微鏡にて観察(視野300本当たり)して、未折損の炭素繊維数を求め、その割合から求めた(該ペレット全体に対する値として算出)。
炭素繊維「ア」:三菱レイヨン社製パイロフィル TR50(繊維径7μm、引張弾性率240GPa、体積抵抗率1.7×10−3Ω・cm、密度1.8g/cm3)
(i)C−a:日本ポリプロ社製ファンクスター「LR25Z」を用いた。
該材料は、ガラス繊維の含有量が50重量%、成分A相当のプロピレン系樹脂50重量%のガラス繊維含有ペレットである。なお、ペレット長は8mmとなる様に調節した。このとき、該ペレットに含まれているガラス繊維の長さは、前記炭素繊維(2)(i)B−aと同様の方法により測定したところ、ガラス繊維の個数全体を基準として、92%が、ペレット長と同じ8mmであった。つまり、該ペレットに含まれているガラス繊維の長さは、実質的に、ガラス繊維含有ペレットの長さと同じであった。因みに製造方法は前記(2)(i)B−aと同様である。
(i)D−a:エンゲージ8137(ダウケミカル日本社製、エチレン・オクテン共重合体エラストマー、MFR(230℃、2.16kg荷重)30g/10分、オクテン含量42重量%、形状=ペレット)。
[実施例1〜15、比較例1〜3]
(1)電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物の製造
成分A〜成分Dを、表1に示す割合で配合し、小型タンブラーにて混合し、製造した。
なお、表1中、「配合量」とは、その左欄のものの配合量を示し、「実質含量」とは、その上欄の成分の含量を示す。例えば、実施例1において、「B−a」の「炭素繊維含有ペレット」の配合量は、電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物全体を基準として、14.3重量%であり、これは、成分Bの炭素繊維としては、同基準で、5重量%含有されるものであることを示す。
前記混合物を用い、前記評価方法に示した要領で、電磁波シールド性及び材料物性用試験片を成形した。なお、比較例2及び3においては、流動性不足で何れもショートショットとなり、成形ができなかった。このため、そのMFRの測定はその未充填試験片からの切り出しペレットを用いた。
前記の成形したもの及び計算(軽量性)にて、性能評価を行った。結果を表2に示す。
そのため、電気自動車やハイブリッド式自動車などの各種自動車用バッテリーケース、オーディオ、電子制御基板ユニット、電装モーターハウジング、通信用機器などの自動車用各種電装部品、ノート型やデスクトップ型などのパーソナルコンピュータ、電子手帳、携帯電話、携帯情報端末、電子書籍機器、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゲーム機器、医療用機器、計測機器などに代表される電子機器の筐体、電子機器部材の包装容器、磁気ヘッド搬送トレイ、シリコンウェハー工程内キャリーケース、半導体工程内キャリーケース、ハードディスクドライブ工程内キャリーケース、各種電子機器部材運搬トレイ、ディスク洗浄トレイなどの成形体用途に、好適に用いることができる。
例えば、(1)成分B含有樹脂のB−aを5.7重量%(成分Bの実質含有量2重量%)配合した比較例1は、電磁波シールド性において、実施例1及び2と著しい差異が生じた。
これは、成分Bの実質含有量が、本発明の要件を満たさないためと考えられる。
又、(2)成分B含有樹脂のB−bを100重量%(成分Bの実質含有量50重量%)配合した比較例2は、MFR(成形性)において、実施例1及び2と著しい差異が生じ、電磁波シールド性などの評価が不可能であった。
これは、成分Bの実質含有量が、本発明の要件を満たさないためと考えられる。
又、(3)MFR(230℃、2.16kg荷重)が0.5g/10分である成分A−dを配合した比較例3は、MFR(成形性)において、実施例1及び2と著しい差異が生じ、前記比較例2同様電磁波シールド性などの評価が不可能であった。これは、成分Aが、本発明の要件を満たさないためと考えられる。
以上における各実施例と各比較例の結果から、本発明の構成と各要件の合理性と有意性が実証され、さらに本発明の従来技術に対する優位性も明らかである。
Claims (16)
- 下記の成分Aを60〜97重量%、成分Bを3〜40重量%の割合で含有し、且つ、KEC法におけるラジオ波帯(300KHz〜100MHz)において、20dB以上の減衰効果を有することを特徴とする電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物。
成分A:メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1g/10分以上、かつ、少なくともその一部に、酸変性ポリオレフィン系樹脂及び/又はヒドロキシ変性ポリオレフィン系樹脂を含有するプロピレン系樹脂
成分B:炭素繊維及び/又は導電性フィラー - 下記の成分Aを60〜97重量%、成分Bを3〜40重量%の割合で含有し、且つ、KEC法におけるラジオ波帯(300KHz〜100MHz)において、20dB以上の減衰効果を有することを特徴とする電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物。
成分A:メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1g/10分以上のプロピレン系樹脂
成分B:炭素繊維を含み、その少なくとも一部は、該炭素繊維と成分Aとを溶融押出加工して、多数本の繊維を集合一体化した炭素繊維含有ペレットの形態とし、前記炭素繊維含有ペレット中の炭素繊維の長さは、実質的に該ペレットの一辺(押出方向)の長さと同じである炭素繊維及び/又は導電性フィラー - さらに、成分Aと成分Bとの合計量100重量部に対して、下記の成分Cを1〜40重量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物。
成分C:成分B以外のフィラー - 樹脂組成物における、成分Bと成分Cとの実質配合重量比が、3/1〜1/5であることを特徴とする請求項3に記載の電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物。
- さらに、成分Aと成分Bとの合計量100重量部に対して、下記の成分Dを1〜40重量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物。
成分D:エラストマー - 成分Aは、少なくともその一部がメルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が30g/10分以上であり、且つ、プロピレン重合体部分の13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が92%以上である、プロピレン単独重合体又はプロピレン・エチレンブロック共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物。
- 成分Bが導電性フィラーを含み、該導電性フィラーが導電性カーボンブラックであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物。
- メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が、0.5g/10分以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物。
- アイゾット衝撃強度(ノッチ付、23℃)が、3KJ/m2以上であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物。
- 曲げ弾性率が、3000MPa以上であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物。
- 予め、成分Bの少なくとも一部をマスターバッチとして調製し、該マスターバッチを成分Aに希釈することにより、樹脂組成物を得ることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれか1項に記載の電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。
- 射出成形法又は射出圧縮成形法にて成形されたことを特徴とする請求項12に記載の成形体。
- 板厚が1〜4mmであり、且つ、単位面積重量が4.5kg/m2以下であることを特徴とする請求項12または13に記載の成形体。
- 曲げ弾性率測定試験(JIS K7171)における同一条件下測定撓み量が概ね同一である鉄製体に対する軽量化率が30%以上であることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の成形体。
- 請求項12〜15のいずれか1項に記載の成形体であることを特徴とする自動車用バッテリーケース。
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