検査対象基板に形成された複数の導体パターンの絶縁状態を検査する絶縁検査方法として、各導体パターン毎に少なくとも1箇所の検査ポイントを規定して、相互に絶縁されているべき導体パターン上の各検査ポイントの間の絶縁状態を個別的に検査する総当たりスキャン方式の検査方法(以下、「総当たりスキャン検査」ともいう)が知られている。しかしながら、この総当たりスキャン検査では、検査すべき導体パターンの数が多数の検査対象基板については、絶縁状態を検査する検査ポイントの組合わせの数が非常に多くなる。したがって、総当たりスキャン検査では、1枚の検査対象基板を検査するのに要する時間が非常に長くなっている。このため、検査時間の短縮を図り得る各種の絶縁検査方法が提案されている。
例えば、特開2000−193702号公報に従来の検査方法として開示されている絶縁検査方法(以下、「第1の従来検査方法」ともいう)では、図4に示すように、一例として、検査ポイントP−1〜P−10(以下、区別しないときには「検査ポイントP」ともいう)までの10箇所の検査ポイントPを有する検査対象基板について、第1検査から第9検査までの9回の検査処理によって絶縁状態を検査することが可能となっている。なお、同図および後に参照する図5〜7では、検査ポイントP−1〜P−10をその検査ポイント番号で表している。
この場合、第1検査においては、検査ポイントP−1を高電位接続部(同公報における「正極」:以下、「H電位」ともいう)に接続すると共に、検査ポイントP−2〜P−10の9箇所を低電位接続部(同公報における「負極」:以下、「L電位」ともいう)に接続して検査用電圧を印加した状態において、H電位およびL電位の間を流れる電流を測定する。この際に、検査ポイントP−1と、検査ポイントP−2〜P−10のうちのいずれかとの間に絶縁不良箇所が存在するときには、検査用電圧の印加によってH電位およびL電位の間を比較的大きな電流が流れる。したがって、測定された電流値が基準値を超えているときには、検査ポイントP−1と、検査ポイントP−2〜P−10のうちのいずれかとの間に絶縁不良箇所が存在すると検査される。一方、検査ポイントP−1と、検査ポイントP−2〜P−10との間に絶縁不良箇所が存在しないときには、検査用電圧を印加した際にH電位およびL電位の間を流れる電流の値がほぼ0となる。したがって、測定された電流値が基準値以下のときには、検査ポイントP−1と、検査ポイントP−2〜P−10との間が正常に絶縁されていると検査される。
また、第2検査においては、第1検査においてH電位に接続した検査ポイントP−1を除く検査ポイントP−2〜P−10の9箇所を対象として第1検査と同様の検査処理が実行される。具体的には、第2検査においては、検査ポイントP−2をH電位に接続すると共に、検査ポイントP−3〜P−10の8箇所をL電位に接続して検査用電圧を印加し、その状態において測定される電流値に基づいて絶縁状態の良否が検査される。さらに、第3検査においては、第1検査および第2検査においてH電位に接続した検査ポイントP−1,P−2を除く検査ポイントP−3〜P−10の8箇所を対象として第1検査および第2検査と同様の検査処理が実行される。具体的には、第3検査においては、検査ポイントP−3をH電位に接続すると共に、検査ポイントP−4〜P−10の7箇所をL電位に接続して検査用電圧を印加し、その状態において測定される電流値に基づいて絶縁状態の良否が検査される。
このように、第1の従来検査方法では、10箇所の検査ポイントPのうちの1箇所をH電位に接続すると共に、その1箇所の検査ポイントPとは異なる複数の検査ポイントPをL電位に共通接続した状態において検査用電圧を印加して電流値を測定することで、H電位に接続した検査ポイントPと、L電位に接続した複数の検査ポイントPとの間の絶縁状態を一括して検査することが可能となっている。これにより、前述した総当たりスキャン検査と比較して、1枚の検査対象基板を検査するのに要する検査処理回数を少数回とすることができる結果、検査時間が短縮される。
一方、下記の非特許文献1には、検査時間の短縮を図り得る検査方法の一例として、バルクショート方式の絶縁検査方法(以下、「第2の従来検査方法」ともいう)が開示されている。この第2の従来検査方法では、図6に示すように、一例として、検査ポイントP−1〜P−10の10箇所の検査ポイントPを有する検査対象基板について、第1検査から第10検査までの10回の検査処理によって絶縁状態を検査することが可能となっている。
この場合、第2の従来検査方法における第1検査においては、上記の第1の従来検査方法における第1検査と同様にして、検査ポイントP−1をH電位に接続すると共に、検査ポイントP−2〜P−10の9箇所をL電位に接続して検査用電圧を印加し、その状態において測定される電流値に基づいて絶縁状態の良否が検査される。また、第2の従来検査方法における第2検査においては、第1の従来検査方法における第2検査とは異なり、検査ポイントP−1〜P−10のすべてを対象として第1検査と同様の検査処理が実行される。具体的には、第2検査においては、検査ポイントP−2をH電位に接続すると共に、検査ポイントP−1,P−3〜P−10の9箇所をL電位に接続して検査用電圧を印加し、その状態において測定される電流値に基づいて絶縁状態の良否が検査される。さらに、第3検査においては、検査ポイントP−3をH電位に接続すると共に、検査ポイントP−1,P−2,P−4〜P−10の9箇所をL電位に接続して検査用電圧を印加し、その状態において測定される電流値に基づいて絶縁状態の良否が検査される。
このように、この第2の従来検査方法では、10箇所の検査ポイントPのうちの1箇所をH電位に接続すると共に、その1箇所の検査ポイントPを除く他のすべての検査ポイントPをL電位に共通接続した状態において検査用電圧を印加して電流値を測定することで、H電位に接続した検査ポイントPと、L電位に接続した各検査ポイントPとの間の絶縁状態を一括して検査することが可能となっている。これにより、前述した総当たりスキャン検査と比較して、1枚の検査対象基板を検査するのに要する検査処理回数を少数回とすることができる結果、検査時間が短縮される。
ところが、上記の第1の従来検査方法および第2の従来検査方法には、以下の問題点が存在する。まず、第1の従来検査方法では、一例として、検査ポイントP−2,P−6の間、および検査ポイントP−3,P−7の間の2箇所に絶縁不良が生じていたときに、図4に示すように、9回の検査処理のうちの第2検査および第3検査の2回において絶縁状態が不良と検査される。しかしながら、第1の従来検査方法では、第2検査および第3検査の2回において絶縁状態が不良であるとの検査結果から、検査対象基板が不良品であると特定することができるものの、この検査結果に基づいて、いずれの検査ポイントP,Pの間に絶縁不良が生じているかを特定することができない。このため、第1の従来検査方法では、絶縁不良箇所を特定する必要があるときに、絶縁状態が不良であると検査した検査処理の対象の検査ポイントPについて、その絶縁状態を個別的に検査する個別検査を実行する必要がある。
具体的には、図5に示すように、前述した第2検査の検査対象である検査ポイントP−2〜P−10については、検査ポイントP−2をH電位に接続すると共に、検査ポイントP−3〜P−10のうちの1つをL電位に順次切り替えて接続した状態において検査用電圧を印加し、測定される電流値に基づいて絶縁状態をそれぞれ検査する(個別検査における第1検査から第8検査までの8回の検査処理)。これにより、第4検査において検査ポイントP−2,P−6間に絶縁不良が生じていると検査される。また、前述した第3検査の検査対象である検査ポイントP−3〜P−10については、検査ポイントP−3をH電位に接続すると共に、検査ポイントP−4〜P−10のうちの1つをL電位に順次切り替えて接続した状態において検査用電圧を印加し、測定される電流値に基づいて絶縁状態をそれぞれ検査する(個別検査における第9検査から第15検査までの7回の検査処理)。これにより、第12検査において検査ポイントP−3,P−7間に絶縁不良が生じていると検査される。
このように、第1の従来検査方法では、検査対象基板に絶縁不良箇所が存在するか否かを特定する一連の検査処理において絶縁不良箇所が存在すると検査された検査ポイントPを対象として個別検査を実行することによって、絶縁不良箇所を特定することが可能となっている。しかしながら、例えば上記の例では、検査対象基板に絶縁不良箇所が存在するか否かを特定するのに要する検査回数が9回で、いずれの検査ポイントP,P間に絶縁不良が生じているかを特定するのに要する検査回数が15回となっている。このため、第1の従来検査方法には、総当たりスキャン検査よりも検査時間が短縮されているものの、1枚の検査対象基板を検査するのに要する検査処理回数を一層低減して検査時間を短縮すべきとの要望がある。
一方、第2の従来検査方法では、一例として、検査ポイントP−2,P−6の間、および検査ポイントP−3,P−7の間の2箇所に絶縁不良が生じていたときに、図6に示すように、10回の検査処理のうちの第2検査、第3検査、第6検査および第7検査の4回において絶縁状態が不良と検査される。この場合、この第2の従来検査方法では、第2検査、第3検査、第6検査および第7検査の4回において絶縁状態が不良であるとの検査結果に基づいて、上記の2箇所の絶縁不良箇所を特定することができない。しかしながら、10回の検査処理のうちの絶縁状態が良好と検査された6回の検査処理時にH電位に接続していた検査ポイントPについては、その他の9箇所の検査ポイントPに対して絶縁状態が良好であることが確定しているため、これらの検査ポイントPについては、個別検査の対象から除外して、絶縁状態が良好であることが確定していない検査ポイントPだけを対象として個別検査を実行することが可能となっている。
具体的には、図7に示すように、絶縁状態が良好であることが確定している検査ポイントP−1,P−4,P−5,P−8〜P−10を除き、絶縁状態が良好であることが確定していない検査ポイントP−2,P−3,P−6,P−7の4箇所を対象として、個別検査を実行する。この個別検査では、一例として、まず、検査ポイントP−2をH電位に接続すると共に、検査ポイントP−3,P−6,P−7のうちの1つをL電位に順次切り替えて接続した状態において検査用電圧を印加し、測定される電流値に基づいて絶縁状態をそれぞれ検査する処理を3回実行する(個別検査における第1検査から第3検査までの3回の検査処理)。
次いで、検査ポイントP−3をH電位に接続すると共に、検査ポイントP−6,P−7の一方をL電位に順次切り替えて接続した状態において検査用電圧を印加し、測定される電流値に基づいて絶縁状態をそれぞれ検査する処理を2回実行する(個別検査における第4検査および第5検査の2回の検査処理)。最後に、検査ポイントP−6をH電位に接続すると共に、検査ポイントP−7をL電位に接続した状態において検査用電圧を印加し、測定される電流値に基づいて絶縁状態を検査する(個別検査における第6検査)。これにより、第2検査において検査ポイントP−2,P−6間に絶縁不良が生じていると検査され、第5検査において検査ポイントP−3,P−7間に絶縁不良が生じていると検査される。
このように、第2の従来検査方法では、検査対象基板に絶縁不良箇所が存在するか否かを特定する10回の検査処理(バルクショート検査)において検査ポイントP−1〜P−10の10箇所のすべてを検査対象として検査することで、個別検査の検査対象とすべき検査ポイントPの数を少数とすることが可能となっている。これにより、この第2の従来検査方法では、第1の従来検査方法について説明した例と同じ検査対象基板を検査する際に、検査対象基板に絶縁不良箇所が存在するか否かを特定するのに要する検査回数が10回で、いずれの検査ポイントP,P間に絶縁不良が生じているかを特定するのに要する検査回数が6回となっている。このため、第2の従来検査方法では、第1の従来検査方法よりも小数回で検査対象基板の検査を完了することが可能となっている。
しかしながら、第2の検査方法では、バルクショート検査における各検査処理において、H電位に接続した検査ポイントPを次の検査処理時にL電位に接続する必要がある。この場合、バルクショート検査における各検査処理が完了した時点においては、H電位に接続した検査ポイントPとL電位に接続した検査ポイントPとの間に電位差が生じた状態(H電位に接続した検査ポイントPに電荷が貯まった状態)となっている。このような状態のまま各検査ポイントPのH電位およびL電位に対する接続態様を切り替えたときには、H電位に接続していた検査ポイントPをL電位に切り替え接続した瞬間に接続切替え部(スイッチ)や検査対象基板(導体パターン)を大きな電流が流れることとなり、これに起因して、接続切替え部(スイッチ)や検査対象基板(導体パターン)が破損するおそれがある。したがって、第2の従来検査方法では、バルクショート検査における各検査処理の完了時点から次の検査処理を開始するまでの間に、H電位に接続した検査ポイントPとL電位に接続した検査ポイントPとの間に生じた電位差(H電位に接続した検査ポイントPに貯まった電荷)をなくす処理が必須となっており、この処理に要する時間の分だけ、1枚の検査対象基板を検査するのに要する時間が長くなっているという問題点がある。
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、各検査ポイントの間の絶縁状態を短時間で検査し得る絶縁検査装置および絶縁検査方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく、請求項1記載の絶縁検査装置は、N箇所の検査ポイント(Nは、4以上の整数)のうちの1箇所を高電位および低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該1箇所を除く他の当該検査ポイントを他方の電位に接続した状態において当該一方の電位に接続した当該検査ポイントと当該他方の電位に接続した当該検査ポイントとの間の電気的パラメータを測定して当該測定した電気的パラメータに基づいて当該各検査ポイントの絶縁状態を検査する検査処理を、前記一方の電位に接続する前記検査ポイントを順次変更して当該一方の電位に未接続の当該検査ポイントが1箇所となるまで繰り返して実行すると共に既に実行した前記検査処理において前記絶縁状態が良好と検査したときに当該一方の電位に接続していた当該検査ポイントを検査対象から除外して2回目以降の当該検査処理を実行する検査部を備え、前記検査部は、既に実行した前記検査処理において前記絶縁状態が不良と検査したときに前記一方の電位に接続していた前記検査ポイントを前記他方の電位に接続して2回目以降の前記検査処理を実行し、かつ前記既に実行した検査処理において絶縁状態が不良との検査結果が存在したときには前記一方の電位に未接続の前記検査ポイントがなくなるまで当該検査処理を実行する。
また、請求項2記載の絶縁検査装置は、請求項1記載の絶縁検査装置において、前記検査部が、L回の前記検査処理(Lは、3以上の整数)において絶縁状態が不良と検査したときに、当該不良と検査した検査処理時に前記他方の電位に接続したL箇所の検査ポイントのうちの1箇所を前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該1箇所の検査ポイント以外の1箇所を他方の電位に接続した状態において当該一方の電位に接続した当該検査ポイントと当該他方の電位に接続した当該検査ポイントとの間の電気的パラメータを測定すると共に当該測定した電気的パラメータに基づいて当該各検査ポイントの絶縁状態を検査する検査処理を、当該両検査ポイントの組合わせを変更して(L×(L−1)/2)回実行する。
また、請求項3記載の絶縁検査方法は、N箇所の検査ポイント(Nは、4以上の整数)のうちの1箇所を高電位および低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該1箇所を除く他の当該検査ポイントを他方の電位に接続した状態において当該一方の電位に接続した当該検査ポイントと当該他方の電位に接続した当該検査ポイントとの間の電気的パラメータを測定して当該測定した電気的パラメータに基づいて当該各検査ポイントの絶縁状態を検査する検査処理を、前記一方の電位に接続する前記検査ポイントを順次変更して当該一方の電位に未接続の当該検査ポイントが1箇所となるまで繰り返して実行すると共に既に実行した前記検査処理において前記絶縁状態が良好と検査したときに当該一方の電位に接続していた当該検査ポイントを検査対象から除外して2回目以降の当該検査処理を実行し、既に実行した前記検査処理において前記絶縁状態が不良と検査したときに前記一方の電位に接続していた前記検査ポイントを前記他方の電位に接続して2回目以降の前記検査処理を実行し、かつ前記既に実行した検査処理において絶縁状態が不良との検査結果が存在したときには前記一方の電位に未接続の前記検査ポイントがなくなるまで当該検査処理を実行する。
さらに、請求項4記載の絶縁検査方法は、請求項3記載の絶縁検査方法において、L回の前記検査処理(Lは、3以上の整数)において絶縁状態が不良と検査したときに、当該不良と検査した検査処理時に前記他方の電位に接続したL箇所の検査ポイントのうちの1箇所を前記高電位および前記低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に当該1箇所の検査ポイント以外の1箇所を他方の電位に接続した状態において当該一方の電位に接続した当該検査ポイントと当該他方の電位に接続した当該検査ポイントとの間の電気的パラメータを測定すると共に当該測定した電気的パラメータに基づいて当該各検査ポイントの絶縁状態を検査する検査処理を、当該両検査ポイントの組合わせを変更して(L×(L−1)/2)回実行する。
請求項1記載の絶縁検査装置、および請求項3記載の絶縁検査方法では、N箇所の検査ポイントのうちの1箇所を高電位および低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に1箇所を除く他の検査ポイントを他方の電位に接続した状態において測定した電気的パラメータに基づいて各検査ポイントの絶縁状態を検査する検査処理を、一方の電位に接続する検査ポイントを順次変更して一方の電位に未接続の検査ポイントが1箇所となるまで繰り返して実行すると共に既に実行した検査処理において絶縁状態が良好と検査したときに一方の電位に接続していた検査ポイントを検査対象から除外して2回目以降の検査処理を実行し、既に実行した検査処理において絶縁状態が不良と検査したときに一方の電位に接続していた検査ポイントを他方の電位に接続して2回目以降の検査処理を実行し、かつ既に実行した検査処理において絶縁状態が不良との検査結果が存在したときには一方の電位に未接続の検査ポイントがなくなるまで検査処理を実行する。
したがって、請求項1記載の絶縁検査装置、および請求項3記載の絶縁検査方法によれば、検査処理において、複数の検査ポイントと1箇所の検査ポイントとの間の絶縁状態を一括して検査することにより、第2の従来検査方法と同様にして総当たりスキャン検査よりも1枚の検査対象基板を検査するための検査回数を十分に低減して検査時間の短縮を図ることができるだけでなく、一方の電位に接続した検査ポイントと他方の電位に接続した検査ポイントとの間の絶縁状態が良好であると検査した検査処理に続いて実行する検査処理時において検査ポイント間に生じた電位差(電荷)をなくす処理が不要となる分だけ第2の従来検査方法よりも1枚の検査対象基板を検査するのに要する時間を短縮することができる。
請求項2記載の絶縁検査装置、および請求項4記載の絶縁検査方法によれば、L回の検査処理において絶縁状態が不良と検査したときに、不良と検査した検査処理時に他方の電位に接続したL箇所の検査ポイントのうちの1箇所を高電位および低電位のいずれか一方の電位に接続すると共に1箇所の検査ポイント以外の1箇所を他方の電位に接続した状態において測定した電気的パラメータに基づいて各検査ポイントの絶縁状態を検査する検査処理を両検査ポイントの組合わせを変更して(L×(L−1)/2)回実行することにより、総当たりスキャン検査によって絶縁不良箇所を特定する構成および方法よりも、検査対象基板におけるいずれの検査対象ポイントに絶縁不良が生じているかを特定するのに要する検査回数を十分に低減して検査時間を十分に短縮することができる。
以下、絶縁検査装置および絶縁検査方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1に示す絶縁検査装置1は、複数の導体パターン(図示せず)が形成された検査対象基板20を対象として、各導体パターン間の絶縁状態を検査可能に構成された検査装置の一例であって、テストヘッド2、測定部4、接続切替え部5、操作部6、表示部7、制御部8および記憶部9を備えて構成されている。テストヘッド2は、検査対象基板20上に規定された複数の検査ポイントP−1〜P−N(以下、これらを区別しないときには「検査ポイントP」ともいう)に対してそれぞれ接触可能なプローブ3−1〜3−N(以下、これらを区別しないときには「プローブ3」ともいう)がプローブ保持部3aによって保持された検査用治具であって、各プローブ3は、接続切替え部5を介して測定部4の高電位接続部(同図において「H」と記した部位:H電位)および低電位接続部(同図において「L」と記した部位:L電位)のいずれかに接続される。
なお、実際の検査対象基板20の検査時には、数百から数千箇所の検査ポイントPを規定して数百から数千本のプローブ3を用いて絶縁検査が実行される。しかしながら、以下の説明においては、絶縁検査装置の構成および絶縁検査方法についての理解を容易とするために、第1の従来検査方法および第2の従来検査方法について説明したときの例示に合わせて、検査ポイントP−1〜P−10の10箇所(「N=10」の例)を対象として、プローブ3−1〜3−10の10本を用いて検査する例を挙げて説明する。この場合、検査対象基板20には、前述した例示と同様にして、検査ポイントP−2,P−6の間、および検査ポイントP−3,P−7の間の2箇所に絶縁不良が生じているものとする。
測定部4は、図示しない検査電圧生成回路および電流測定回路を備えている。この測定部4は、後述するようにして、操作部6からの制御信号S2に従い、接続切替え部5によって検査電圧生成回路のL電位に接続された検査ポイントP(L電位に接続されたプローブ3が接触している検査ポイントP)と検査電圧生成回路のH電位に接続された検査ポイントP(H電位に接続されたプローブ3が接触している検査ポイントP)との間に検査用電圧(既知の一定電圧値)を印加した状態において、電流測定回路によってH電位およびL電位の間を流れる電流(電気的パラメータの一例)を測定し、その測定結果を測定データD2として制御部8に出力する。接続切替え部5は、複数の切換スイッチおよびスイッチ制御回路(図示せず)を備え、制御部8からの制御信号S1に従って、スイッチ制御回路が各切換スイッチを切替え制御することにより、各プローブ3を測定部4における検査電圧生成回路のH電位およびL電位のいずれかに接続するか、または、いずれにも接続しない(測定部4から切り離した状態の接続態様への切換制御する)。操作部6は、絶縁検査装置1の動作条件を設定するための各種の操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部8に出力する。表示部7は、制御部8の制御に従い、絶縁検査処理の進行状況や、検査対象基板20についての検査結果を表示する。
制御部8は、絶縁検査装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部8は、後述する絶縁検査処理を実行して検査対象基板20の良否を検査すると共に、絶縁不良箇所が存在する検査対象基板20については、いずれの導体パターン間(いずれの検査ポイントP間)に絶縁不良が生じているかを特定する。より具体的には、制御部8は、接続切替え部5に対して制御信号S1を出力して各プローブ3のうちの一部、または、すべてを測定部4のH電位およびL電位のいずれかに接続させると共に、測定部4に対して制御信号S2を出力して検査用電圧の出力、およびH電位とL電位との間を流れる電流の測定処理を実行させる。また、制御部8は、測定部4から出力された測定データD2に基づき、H電位に接続された検査ポイントPとL電位に接続された検査ポイントPとの間の絶縁状態が良好であるか否かを検査すると共に、その検査結果を検査結果データD3として記憶部9に記憶させる。
記憶部9は、検査手順データD1および検査結果データD3などを記憶する。この場合、検査手順データD1は、一例として、検査対象基板20の設計データ等に基づき、絶縁検査装置1以外の情報処理装置(パーソナルコンピュータ等)によって基本データが生成されると共に、一連の検査処理の検査結果(検査結果データD3)に基づいて制御部8によって追加生成される。なお、この絶縁検査装置1では、テストヘッド2、測定部4、接続切替え部5、制御部8および記憶部9が相俟って検査部を構成する。また、この絶縁検査装置1では、テストヘッド2および検査対象基板20の少なくとも一方を他方に向けて移動させて各プローブ3を検査ポイントP(導体パターン)に接触させる移動機構(図示せず)を備えているが、絶縁検査装置の構成および絶縁検査方法についての理解を容易とするために、その図示および詳細な説明を省略する。
この絶縁検査装置1では、操作部6の操作によって処理開始を指示されたときに、制御部8が、絶縁検査処理を開始する。この絶縁検査処理では、制御部8は、検査手順データD1に基づいて、まず、図示しない移動機構を制御してテストヘッド2の各プローブ3を検査対象基板20の各検査ポイントP(各導体パターン)に接触させる。次いで、制御部8は、検査手順データD1に応じて接続切替え部5に制御信号S1を出力することにより、図2に示すように、各プローブ3と測定部4(H電位およびL電位)との接続状態を第1検査(1回目の検査処理)に応じた接続態様に切り替えさせる。この際に、接続切替え部5は、検査ポイントP−1に接触しているプローブ3−1をH電位に接続すると共に、検査ポイントP−2〜P−10に接触しているプローブ3−2〜3−10をL電位にそれぞれ接続する。
続いて、制御部8は、測定部4に制御信号S2を出力することにより、H電位およびL電位間に検査用電圧を印加させると共に、電流値を測定させる。これに応じて、測定部4から測定データD2が出力され、制御部8は、出力された測定データD2と検査用基準値とに基づき、検査対象の検査ポイントPの間に絶縁状態が不良の箇所(絶縁不良箇所)が存在するか否かを検査する。この際には、検査ポイントP−1と、検査ポイントP−2〜P−10の9箇所との間に絶縁不良が生じていないため、検査用電圧を印加した際にH電位およびL電位の間を流れる電流の値がほぼ0となる。したがって、制御部8は、測定部4から出力された測定データD2と検査用基準値とに基づき、検査対象の検査ポイントPの間に絶縁不良箇所が存在しないと検査して検査結果データD3を記憶部9に記憶させる。
次いで、制御部8は、検査手順データD1および第1検査の検査結果データD3に応じて接続切替え部5に対して測定部4に対する各プローブ3の接続態様を切り替えさせる。この際に、この絶縁検査装置1では、絶縁状態が良好と検査した検査処理時にH電位に接続した1箇所の検査ポイントPをその後に実行する検査処理の検査対象から除外して、その検査ポイントPを、その後に実行する検査処理においてL電位に接続することなく絶縁状態を検査する構成が採用されている。具体的には、この例では、絶縁状態が良好と検査された第1検査時にH電位に接続していた検査ポイントP−1については、第2検査以降においてL電位に接続することなく、検査ポイントP−2〜P−10の9箇所だけを検査対象とする検査を実行する。したがって、制御部8は、第2検査(2回目の検査処理)において、検査手順データD1および第1検査の検査結果データD3に応じて接続切替え部5を制御して、検査ポイントP−2に接触しているプローブ3−2をH電位に接続すると共に、検査ポイントP−3〜P−10に接触しているプローブ3−3〜3−10をL電位にそれぞれ接続させる。
この際には、検査結果が良好であった直前の検査処理(この例では、第1検査)においてH電位に接続していた検査ポイントP−1が検査対象から除外されて、その後に実行する検査処理時にL電位に接続することなく絶縁状態が検査される。したがって、直前の検査処理においてH電位に接続した検査ポイントP−1とL電位に接続した検査ポイントP−2〜P−10との間に生じた電位差(H電位に接続した検査ポイントP−1に貯まった電荷)をなくす処理を実行することなく各プローブ3の接続態様を切り替えたとしても、接続切替え部5や検査対象基板20(導体パターン)に大きな電流が流れることがないため、制御部8は、直前の検査処理(第1検査)の完了直後にプローブ3の接続態様を直ちに切り替えさせる。
なお、本例では、絶縁検査方法についての理解を容易とするために、検査ポイントP−1〜P−10を有する検査対象基板20において、検査ポイントP−2,P−6の間、および検査ポイントP−3,P−7の間の2箇所に絶縁不良が生じている状態を例に挙げて説明している。しかしながら、実際の検査対象基板20においては、検査ポイントPの数に対する絶縁不良箇所の数が極めて少なく、検査ポイントPの大半が良好であるため、検査結果が良好であると検査した検査処理の次に実行する検査処理に先立って電位差(電荷)をなくす処理を不要とすることで、1枚の検査対象基板の検査に要する時間が十分に短縮される。
続いて、制御部8は、測定部4に制御信号S2を出力することにより、H電位およびL電位の間に検査用電圧を印加させると共に、電流値を測定させる。これに応じて、測定部4から測定データD2が出力され、制御部8は、出力された測定データD2と検査用基準値とに基づき、検査対象の検査ポイントPの間に絶縁状態が不良の箇所(絶縁不良箇所)が存在するか否かを検査する。この際には、検査ポイントP−2と、検査ポイントP−6との間に絶縁不良が生じているため、検査ポイントP−2と、検査ポイントP−3〜P−10との間に検査用電圧を印加した際に、H電位およびL電位の間を比較的大きな電流が流れる。したがって、制御部8は、測定部4から出力された測定データD2と検査用基準値とに基づき、検査対象の検査ポイントPの間に絶縁不良箇所が存在すると検査して検査結果データD3を記憶部9に記憶させる。
次いで、制御部8は、検査手順データD1および第2検査の検査結果データD3に応じて接続切替え部5に対して測定部4に対する各プローブ3の接続態様を切り替えさせる。この際に、この絶縁検査装置1では、絶縁状態が不良と検査した検査処理時にH電位に接続した1箇所の検査ポイントPについては、その後に実行する検査処理の検査対象から除外することなく、その検査ポイントPをL電位に接続して絶縁状態を検査する構成が採用されている。具体的には、この例では、絶縁状態が不良と検査された第2検査時にH電位に接続していた検査ポイントP−2については、第3検査以降においも検査処理の対象に含めてL電位に接続する。このため、検査結果が不良であった直前の検査処理(この例では、第2検査)においてH電位に接続していた検査ポイントP−2が検査対象に含まれてL電位に接続されることとなる。したがって、制御部8は、直前の検査処理においてH電位に接続した検査ポイントP−2とL電位に接続した検査ポイントP−3〜P−10との間に生じた電位差(H電位に接続した検査ポイントP−2に貯まった電荷)をなくす処理を実行した後に、プローブ3の接続態様を切り替えさせる。
具体的には、制御部8は、電位差(電荷)をなくす処理を実行した後に、第3検査(3回目の検査処理)において、検査手順データD1および第2検査の検査結果データD3に応じて接続切替え部5を制御して、検査ポイントP−3に接触しているプローブ3−3をH電位に接続すると共に、検査ポイントP−2,P−4〜P−10に接触しているプローブ3−2,3−4〜3−10をL電位にそれぞれ接続させる。続いて、制御部8は、H電位およびL電位の間に検査用電圧を印加させると共に、電流値を測定させた後に、測定部4から出力された測定データD2と検査用基準値とに基づき、検査対象の検査ポイントPの間に絶縁状態が不良の箇所(絶縁不良箇所)が存在するか否かを検査する。この際には、検査ポイントP−3と、検査ポイントP−7との間に絶縁不良が生じているため、検査ポイントP−3と、検査ポイントP−2,P−4〜P−10との間に検査用電圧を印加した際に、H電位およびL電位の間を比較的大きな電流が流れる。したがって、制御部8は、測定部4から出力された測定データD2と検査用基準値とに基づき、検査対象の検査ポイントPの間に絶縁不良箇所が存在すると検査して検査結果データD3を記憶部9に記憶させる。
この後、制御部8は、第4検査(4回目の検査処理)から第10検査(10回目の検査処理)の一連の検査において、絶縁不良箇所が存在しないと検査した検査処理時にH電位に接続した検査ポイントPについては、その後の検査処理の検査対象から除外し、絶縁不良箇所が存在すると検査した検査処理時にH電位に接続した検査ポイントPについては、その後の検査処理においても検査対象から除外することなくL電位に接続して絶縁状態を検査する。これにより、前述した総当たりスキャン検査や第1の従来検査方法よりも少なく、第2の従来検査方法と同じ10回の検査処理によって検査対象基板20に絶縁不良箇所が存在するか否かの検査が完了する。この場合、上記の例とは相違するが、1回目から9回目までの9回の検査処理のすべてにおいて絶縁状態が良好と検査したときには、制御部8は、第1の従来検査方法と同様にして、10回目の検査処理(第10検査)を実行することなく、検査対象基板20が良品であると検査して検査結果を表示部7に表示させ、その検査対象基板20についての一連の絶縁検査処理を終了する。
一方、絶縁不良箇所が存在する上記の例では、第2の従来検査方法と同様にして10回の検査処理が実行され、この10回の検査処理のうちの第2検査、第3検査、第6検査および第7検査の4回において、絶縁不良箇所が存在すると検査される(「L=4」の例)。したがって、制御部8は、検査ポイントP−1〜P−10のうちのいずれの間に絶縁不良が生じているかを特定するために、L×(L−1)/2=4×(4−1)/2=6回の個別検査を実行する。この際に、制御部8は、まず、上記の10回の検査処理の各検査結果データD3に基づいて、個別検査用の検査手順データD1を生成する。この場合、この絶縁検査装置1による絶縁検査方法では、上記の10回の検査処理のうちの絶縁状態が良好と検査された6回の検査処理時にH電位に接続していた検査ポイントPについては、その他の検査ポイントPに対して絶縁状態がそれぞれ良好であることが確定している。したがって、この絶縁検査装置1による絶縁検査方法では、前述した第2の従来検査方法と同様にして、絶縁状態が良好であることが確定している検査ポイントPについては、個別検査の対象から除外して、絶縁状態が良好であることが確定していない検査ポイントPだけを対象として個別検査を実行する。
具体的には、制御部8は、記憶部9に記憶させた各検査結果データD3に基づき、絶縁状態が良好であると確定している検査ポイントPを特定する。この際には、上記の第1検査、第4検査、第5検査、第8検査〜第10検査の6回においてH電位に接続した検査ポイントP−1,P−4,P−5,P−8〜P−10の6箇所が良好な検査ポイントPとして特定される。次いで、制御部8は、図3に示すように、絶縁状態が良好であることが確定していない検査ポイントP−2,P−3,P−6,P−7の4箇所を対象として個別検査を実行するように検査手順データD1を生成して記憶部9に記憶させる。
続いて、制御部8は、検査手順データD1に基づいて接続切替え部5に制御信号S1を出力して、検査ポイントP−2(「L箇所の検査ポイントのうちの1箇所」の一例)をH電位に接続すると共に、検査ポイントP−3(「L箇所のうちの1箇所の検査ポイント以外の1箇所」の一例)をL電位に接続させる。次いで、制御部8は、測定部4を制御してH電位およびL電位の間に検査用電圧を印加させると共に、電流値の測定を実行させる。また、制御部8は、測定部4から出力される測定データD2と検査用基準値とに基づき、H電位およびL電位の間(この例では、検査ポイントP−2,P−3間)に絶縁不良が生じていないと検査して、検査結果データD3を記憶部9に記憶させる。これにより、個別検査における第1検査が完了する。次いで、制御部8は、検査ポイントP−2をH電位に接続させた状態を維持しつつ、検査ポイントP−6,P−7(「L箇所のうちの1箇所の検査ポイント以外の1箇所」の他の一例)をL電位に順次切り替えて接続させた状態において検査用電圧を印加させ、測定部4から出力される測定データD2と検査用基準値とに基づいて絶縁状態をそれぞれ検査する処理を実行する(個別検査における第2検査および第3検査の実行)。
続いて、制御部8は、検査ポイントP−3(「L箇所のうちの1箇所の検査ポイント以外の1箇所」の他の一例)をH電位に接続させると共に、検査ポイントP−6,P−7(「L箇所のうちの1箇所の検査ポイント以外の1箇所」の他の一例)をL電位に順次切り替えて接続させた状態において検査用電圧を印加させ、測定部4から出力される測定データD2と検査用基準値とに基づいて絶縁状態をそれぞれ検査する処理を実行する(個別検査における第4検査および第5検査の実行)。最後に、制御部8は、検査ポイントP−6(「L箇所のうちの1箇所の検査ポイント以外の1箇所」のさらに他の一例)をH電位に接続すると共に、検査ポイントP−7(「L箇所のうちの1箇所の検査ポイント以外の1箇所」のさらに他の一例)をL電位に接続させた状態において検査用電圧を印加させ、測定部4から出力される測定データD2と検査用基準値とに基づいて絶縁状態を検査する(個別検査における第6検査)。これにより、第2検査において検査ポイントP−2,P−6間に絶縁不良が生じていると検査され、第5検査において検査ポイントP−3,P−7間に絶縁不良が生じていると検査される。
この場合、この絶縁検査装置1による絶縁検査方法では、第1の従来検査方法や第2の従来検査方法について説明した例と同じ検査対象基板20を検査する際に、第2の従来検査方法と同様にして、検査対象基板20に絶縁不良箇所が存在するか否かを特定するのに要する検査回数が10回で、いずれの検査ポイントP,P間に絶縁不良が生じているかを特定するのに要する検査回数が6回となっている。この後、制御部8は、検査対象基板20についての検査結果(この例では、検査ポイントP−2,P−6の間と、検査ポイントP−3,P−7の間との間に絶縁不良が生じている不良の検査対象基板20であるとの検査結果)を表示部7に表示させ、この検査対象基板20についての一連の絶縁検査処理を終了する。
この絶縁検査装置1、および絶縁検査装置1による絶縁検査方法によれば、検査処理において、複数の検査ポイントPとその他の1箇所の検査ポイントPとの間の絶縁状態を一括して検査することにより、第2の従来検査方法と同様にして総当たりスキャン検査よりも1枚の検査対象基板20を検査するための検査回数を十分に低減して検査時間の短縮を図ることができるだけでなく、H電位に接続した検査ポイントPとL電位に接続した検査ポイントPとの間の絶縁状態が良好であると検査した検査処理に続いて実行する検査処理時において検査ポイントP,P間に生じた電位差(電荷)をなくす処理が不要となる分だけ第2の従来検査方法よりも1枚の検査対象基板20を検査するのに要する時間を短縮することができる。
また、この絶縁検査装置1、および絶縁検査装置1による絶縁検査方法によれば、L回(上記の例では、4回)の検査処理において絶縁状態が不良と検査したときに、不良と検査した検査処理時にH電位に接続した「L=4」箇所の検査ポイントPのうちの1箇所をH電位に接続すると共にその1箇所の検査ポイントP以外の1箇所の検査対象基板PをL電位に接続した状態において測定した電流値に基づいて1箇所の検査ポイントPおよびその1箇所の検査ポイントP以外の1箇所の検査対象基板Pの間の絶縁状態を検査する検査処理を両検査ポイントP,Pの組合わせを変更して(L×(L−1)/2)回(この例では、6回)実行することにより、総当たりスキャン検査によって絶縁不良箇所を特定する構成および方法よりも、検査対象基板20におけるいずれの検査対象ポイントPに絶縁不良が生じているかを特定するのに要する検査回数(この例では、16回)を十分に低減して検査時間を十分に短縮することができる。
なお、絶縁検査装置の構成および絶縁検査方法は、上記の絶縁検査装置1の構成、およびその絶縁検査方法に限定されない。例えば、「N=10」箇所の検査ポイントPのうちの9箇所以下の検査ポイントPを高電位および低電位の他方の電位としてのL電位に接続すると共に、9箇所以外の1箇所の検査ポイントPをいずれか一方の電位としてのH電位に接続した状態において電流値を測定して検査する構成および方法を例に挙げて説明したが、「N=10」箇所の検査ポイントPのうちの9箇所以下の検査ポイントPをH電位に接続すると共に、9箇所以外の1箇所の検査ポイントPをL電位に接続した状態において電流値を測定して検査する構成および方法を採用することもできる。このような構成および方法を採用した場合においても、上記の絶縁検査装置1、および絶縁検査装置1による絶縁検査方法と同様の効果を奏することができる。
また、検査処理が完了した後に、絶縁不良箇所を特定するための6回の個別検査を実行する例について説明したが、例えば、「N=10」箇所の検査ポイントPのうちの3箇所が相互に短絡しているときには、「N=10」回の検査処理のうちの3回において絶縁状態が不良と検査される。この際には、不良と検査した3回の検査処理時にH電位に接続していた3箇所の検査ポイントPを対象として、L×(L−1)/2=3×(3−1)/2=3回の個別検査を実行すればよい。同様にして、N回の検査処理のうちの「L=5」回以上において絶縁状態が不良と検査したときには、L箇所の検査ポイントを対象として、(L×(L−1)/2)回の個別検査を実行すればよい。これにより、十分に少ない検査回数で絶縁不良箇所を特定することができる。
また、絶縁不良箇所の特定が不要の場合(検査対象基板20が良品か不良品かを特定する検査だけでよい場合)には、検査処理が完了した時点において、その検査対象基板20についての一連の絶縁検査処理を終了する構成および方法を採用することもできる。このような構成および方法を採用した場合においても、H電位に接続した検査ポイントPとL電位に接続した検査ポイントPとの間の絶縁状態が良好であると検査した検査処理に続いて実行する検査処理時において検査ポイントP,P間に生じた電位差(電荷)をなくす処理が不要となる分だけ第2の従来検査方法よりも1枚の検査対象基板20を検査するのに要する時間を短縮することができる。