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JP5494231B2 - 二酸化チタン粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、二酸化チタン粒子及びその製造方法に関する。
酸化チタン(二酸化チタン:TiO)は、白色顔料や紫外線散乱剤などの原料として広く使用されている物質である。酸化チタンは、アナタース(アナターゼ:Anatase)型、ルチル(Rutile)型、ブルカイト(Brookite)型の3種の結晶形態を採り得ることが知られているが、なかでもアナタース型酸化チタンは、触媒、光触媒、電子材料などの原料として工業的に有用な物質である。
アナタース型二酸化チタンとしては、市販のものも含め、一次粒子径が0.3μm以下のものが知られている(例えば特許文献1参照)。一次粒子の凝集体(二次粒子)として、粒径の大きな二酸化チタンも存在する(例えば特許文献2参照)。また、ルチル型としては、粒径の大きなものも知られている。
また、アナタース型二酸化チタンを得るために、水酸化チタンにリン酸塩を添加してルチル型への転移を抑制する方法も知られているが(例えば、特許文献3)、一方、リン酸塩は一次粒子の成長を妨げる働きも有している。従って、得られるアナタース型二酸化チタンは、やはり一次粒子径が0.3μm以下の小粒径のものである。
特開平06−293519号明細書 特開平11−157839号明細書 特開平08−225324号明細書
粒径の大きなアナタース型二酸化チタンを得るのが困難であった一番の理由は、一般的に知られているように、一定温度を超えるとアナタース型からルチル型への転移が進行することにある。二酸化チタンの一次粒子径を成長させるには、通常高温での焼成が必要である。そのため、一次粒子径の大きな二酸化チタンとしては、ルチル型以外のものを得ることは困難であると一般的には考えられてきた。
加えて、粒子を成長させるために高温で焼成すると、焼成物は粒子同士が焼結し、粒子形状や粒度分布が不ぞろいとなるという問題があった。さらに焼成物は非常に硬く粉砕が困難であり、簡便な方法で工業的に有用な粉体を得るのは困難であった。
上記のような事情を踏まえ、本願発明は、ルチル型の存在量が極めて少ないアナタース型二酸化チタン粒子であって、一次粒子径が比較的大きく、粒度分布のバラつきが少ない、工業的にも有用な二酸化チタン粒子を提供することを目的とする。
すなわち本発明の第一の態様は、
結晶構造がアナタース型であり、
電子顕微鏡にて定方向径を計測することによる一次粒子径が0.5μm〜5.0μmであり、
その粒度分布はD90/D10で3.0以下である
二酸化チタン粒子に関する。
好ましい実施形態においては、上記二酸化チタン粒子が含有する全二酸化チタン成分中の、ルチル型結晶の含有率は10.0質量%以下である。
別の好ましい実施形態において、上記二酸化チタン粒子は、結晶構造がアナタース型の二酸化チタン100質量部と、
換算で0.5〜10.0質量部のリンとを含有する粒子状組成物である。
本発明の第二の態様は、(a)TiOとして100質量部の水酸化チタンに、Na、K及びCsからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属化合物を、アルカリ金属酸化物として総量で1.0〜11.0質量部添加して、混合する工程と、
(b)リン酸又はその塩を、Pとして0.5〜10.0質量部添加し、混合する工程と、
(c)得られた混合物を750〜1200℃で焼成して、二酸化チタンを得る工程と
を含む、上記二酸化チタン粒子を製造する方法に関する。
本発明の二酸化チタン粒子の製造方法は、高温での焼成を経てもルチル型への転移がほとんど起こらない、という利点を有する。その結果得られる本発明の二酸化チタン粒子は、一次粒子径が0.5μm〜5.0μmであるという、従来のアナタース型二酸化チタンよりも大きな粒径を有し、かつ粒子形状や粒径の均一性が高いアナタース型二酸化チタン粒子である。このような二酸化チタン粒子は塗料や光触媒材料等への適用が期待でき、工業的に有用である。
以下に本発明を詳述する。
上述の通り、本発明のアナタース型二酸化チタン粒子は、(1)結晶構造がアナタース型であること、(2)電子顕微鏡にて定方向径を計測することによる一次粒子径が0.5μm〜5.0μmであること、(3)粒度分布はD90/D10で3.0以下であること、といった特徴を有している。
二酸化チタンの結晶型には、ルチル型、アナタース(アナターゼ)型、ブルッカイト型の3種類があり、このうち工業的に利用されているのはルチル型とアナタース型の2種類である。上述のように、二酸化チタンの一次粒子を成長させるためには、高温での焼成が必要であるが、アナタース型二酸化チタンは、一定温度以上の高温下ではより熱的に安定なルチル型に転移するという性質を本質的に有している。またこの転移は不可逆反応であり、一旦ルチル型に転移してしまうと、再度アナタース型に戻ることはない。このように、低温で安定なアナタース型の結晶構造を維持したまま、高温において一次粒子を成長させることは一般的には困難である。
本発明者らは、アナタース型二酸化チタンの原料である水酸化チタンを焼成する際、特定の成分を添加することで、ルチル型への転移の抑制と、粒子の成長が両立することを見出した。具体的に以下に説明する。
(本発明のアナタース型二酸化チタン粒子及びその製造方法)
本発明のアナタース型二酸化チタンは、(a)TiOとして100質量部の水酸化チタンに、Na、K及びCsからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属の化合物を、アルカリ金属酸化物として総量で1.0〜11.0質量部添加して、混合する工程と、(b)リン酸又はその塩を、Pとして0.5〜10.0質量部添加し、混合する工程と、(c)得られた混合物を750〜1200℃で焼成して、二酸化チタンを得る工程とを含む。この方法により、電子顕微鏡にて定方向径を計測することによる一次粒子径が0.5μm〜5.0μmであって、その粒度分布はD90/D10で3.0以下であるアナタース型二酸化チタン粒子を得ることができる。このようにして得られるアナタース型二酸化チタン粒子及び該二酸化チタン粒子を製造する方法は、それぞれ本発明の一態様を構成する。
工程(a)においては、二酸化チタンの原料である水酸化チタンに、Na、K及びCsからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属の化合物を添加し、混合する。
水酸化チタンとは、一般的に、組成式:HTiOで表される化合物である。「メタチタン酸」、または単に「チタン酸」と呼ばれることもあり、化学式では、TiO(OH)等のように表される公知の化合物である。
工程(a)で添加する化合物に含まれる、Na、K、Csというアルカリ金属は、二酸化チタンを焼成するときに、融剤として作用し、一次粒子の成長を促進させる物質であるものと推測される。
上記アルカリ金属の化合物は特に限定されないが、例えば水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム等のナトリウム塩、水酸化カリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、硝酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、シュウ酸カリウム等のカリウム塩、水酸化セシウム、塩化セシウム、硫酸セシウム、硝酸セシウム、炭酸セシウム等のセシウム塩が挙げられる。なかでも、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化セシウム等の塩化物、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸セシウム等の硫酸塩が入手が容易な点で好ましい。
アルカリ金属の化合物の添加量は、アルカリ金属酸化物として、即ちアルカリ金属の酸化物に換算した質量として、TiOとして100質量部の水酸化チタンに対して総量で1.0〜11.0質量部添加する。上記添加量は、好ましくは1.0〜5.0質量部であり、より好ましくは1.0〜3.0質量部である。
混合方法は特に限定されず、例えば回転翼や回転槽、ミキサー、ボールミル等の公知の混合機を用いて、乾式又は湿式で混合すれば良い。
工程(b)は、リン酸又はその塩を、TiOとして100質量部の水酸化チタンに対してPとして0.5〜10.0質量部添加し、混合する工程である。
本発明は、上記アルカリ金属の化合物と、リン酸又はその塩を組み合わせることにより、粒子の成長を促進させる効果と、ルチル化抑制効果を両立し、比較的大きな粒径を有するアナタース型二酸化チタンを提供するものである。その結果、通常の知見からは製造が困難であった、アナタース型で、かつ一次粒子径が0.5μm以上、という二酸化チタン粒子を提供することができるという優れた利点を有している。
本発明でいう、「リン酸又はその塩」には、リン酸、リン酸二水素塩、リン酸水素塩、リン酸塩の他、無水リン酸やヘキサメタリン酸塩、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩などの縮合リン酸塩が含まれる。
上記リン酸二水素塩、リン酸水素塩、リン酸塩としては、特に限定されないが、水溶性の塩が好ましい。水溶性のリン酸二水素塩、リン酸水素塩、リン酸塩としては、特に限定されないが、例えばリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素カリウム、及びリン酸カリウム等のアルカリ金属塩、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、及びリン酸アンモニウム等のアンモニウム塩が挙げられる。
上記リン酸、リン酸二水素塩、リン酸水素塩、リン酸塩の中でもリン酸が特に好ましい。
上記リン酸又はその塩の添加量は、TiOとして100質量部の水酸化チタンに対してPとして0.5〜10.0質量部である。上記添加量は、好ましくは0.7〜5.0質量部であり、より好ましくは0.9〜3.0質量部である。
本発明においては、工程(a)と工程(b)の順序は特に限定されず、先に工程(a)を行ってもよいし、先に工程(b)を行ってもよい。
上記工程(a)と工程(b)においては、必要に応じて各種添加剤を更に添加してもよい。添加剤としては、特に限定されないが、硫酸(HSO)、硫酸チタニル(TiOSO)、硫酸アンモニウム((NHSO)、酸性硫酸アンモニウム((NH)HSO)等が挙げられる。これらの成分を添加することにより、低温での焼結を抑止することが期待できる。
工程(a)、(b)は、無溶媒で行ってもよく、溶媒存在下で行ってもよい。使用できる溶媒としては、特に限定されないが、水、及び水溶性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、N−メチルピロリドン等のピロリドン系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒等が挙げられる。中でも、塩の溶解性が高いことや、安価であることから水が好ましい。
工程(c)は、上記方法によって得られた混合物を、750〜1200℃で焼成して、二酸化チタンを得る工程である。上述したように、水酸化チタンに、特定のアルカリ金属の水溶性塩と、水溶性リン酸塩とを混合して焼成を行うことにより、粒子の成長に必要な750〜1200℃の高温で焼成しても、ルチル型の発生を抑制することができる。その結果、アナタース型の、比較的大きな一次粒子径を有する二酸化チタンを得ることができる。
本発明の製造方法における焼成温度は、750〜1200℃である。焼成温度の下限は、好ましくは800℃、より好ましくは850℃である。また上限は好ましくは1100℃、より好ましくは1000℃である。
焼成した粉末は必要に応じて粉砕を行っても良い。粉砕の方法は特に限定されず、自動乳鉢粉砕、ハンマーミル粉砕、流体エネルギーミル粉砕、媒体にリパルプしてのビーズミル粉砕等が挙げられる。
リパルプは適当な媒体中に懸濁させ、懸濁液を形成する。使用できる媒体としては、特に限定されないが、水、及び水溶性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、N−メチルピロリドン等のピロリドン系溶媒、アセトン等のケトン系溶媒等が挙げられる。中でも、塩の溶解性が高いことや、安価であることから水が好ましい。
更に、湿式分級を行っても良い。湿式分級の方法は限定されず、篩、デカンテーション等が挙げられる。
懸濁液から粒子を分離する方法については特に限定されず、常圧での濾過、減圧濾過、遠心分離、デカンテーションなどの公知の方法によって分離することができる。
(本発明の二酸化チタン粒子)
本発明の二酸化チタン粒子は、アナタース型結晶構造を有し、電子顕微鏡にて定方向径を計測することによる一次粒子径が0.5μm〜5.0μmであって、その粒度分布はD90/D10で3.0以下である二酸化チタン粒子である。
このような二酸化チタン粒子を得るための方法は特に限定されないが、一例としては、上述の方法を採用することができる。
本発明の二酸化チタン粒子は、アナタース型の二酸化チタン粒子である。本発明の二酸化チタン粒子は、好ましくは、二酸化チタン粒子が含有する全二酸化チタン成分中の、ルチル型結晶の割合(以下、RC(ルチルコンテント)とも称する)が10.0質量%以下の、実質的にアナタース型単相からなる二酸化チタン粒子である。
RCは、銅管球をもつX線回折装置により分析したアナタース型酸化チタン粉末の回折ピーク(面指数101)のピーク高さIとルチル型酸化チタン粉末の回折ピーク(面指数110)のピーク高さIを比較することにより、決定することができる。具体的には、RCは、次式(A)により求めることができる。
RC(%)=I×1.32/(I×1.32+I)×100 (A)
アナタース型酸化チタン粉末の回折ピーク(面指数101)のピーク高さIは、ルチル型酸化チタン粉末の回折ピーク(面指数110)のピーク高さIよりも1.32倍大きい値として検出されるため、上記計算式ではIに1.32の係数を乗じる。なお単位は質量%である。
特に限定されないが、上記X線回折装置の例としてはX線回折装置(UltimaIII、リガク社製)が挙げられる。
二酸化チタン粒子が含有する全二酸化チタン成分中の、ルチル型結晶の割合(RC)は、10.0質量%以下であるのが好ましく、5.0質量%以下であるのがより好ましく、3.0質量%以下であるのがさらに好ましく、1.0質量%以下であるのが特に好ましい。RCが低いほど結晶中のアナタース型の割合が高くなるため、より均一な結晶となる点で好ましい。
本発明の二酸化チタン粒子は、電子顕微鏡にて定方向径を計測することによる一次粒子径が0.5μm〜5.0μmである。ここで「一次粒子」とは、粉末を構成する最も小さい粒子のことをいう。また一次粒子が凝集した状態の粒子を「二次粒子」といい、一次粒子とは区別する。
本明細書において、「一次粒子径」とは、走査型電子顕微鏡写真(SEM)写真の1万倍視野での定方向径(粒子を挟む一定方向の二本の平行線の間隔)で定義される粒子径(μm)であって、SEM写真内の一次粒子150〜1000個の定方向径を計測し、その累積分布の平均値を求めたものである。なお、凝集粒子に関しては、その粒子を一次粒子に分割して定方向径を計測する。
本発明の二酸化チタン粒子は、上記一次粒子径が0.5μm〜5.0μmである。好ましくは0.6μm〜3.0μm、より好ましくは0.7μm〜2.0μmである。
上述のように、従来のアナタース型二酸化チタン粒子は、平均一次粒子径が0.3μm以下の微細な粒子しか得られていなかった。また一次粒子の集合体である二次粒子としては比較的大きな粒子径のものも存在していたが、凝集性が高いため、取り扱いにくいという問題があった。また、一次粒子の集合体の場合には、粒子間に界面が存在するため、成型等に用いれば、その界面において物性のギャップが生じ、均一性が損なわれる可能性があった。本発明の二酸化チタン粒子は、一次粒子そのものが従来品よりも大きいため、一次粒子径が小さいが故に生じていた従来品の問題点を解決できるものである。
また本発明の二酸化チタン粒子は、その粒度分布が、D90/D10で3.0以下であるという特徴を有している。いいかえれば、粒子径の均一性が高い二酸化チタン粒子である。
本願明細書における、D90/D10とは一次粒子の粒度分布から求められる粒度分布のシャープさを示す指標であり、以下の様に求められる。
まず一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM、特に限定されないが、例えばJSM−5400、日本電子社製等)により、写真の1万倍視野での定方向径(粒子を挟む一定方向の二本の平行線の間隔)で定義される粒子径(μm)を計測する。定方向径は、SEM写真内の一次粒子150〜1000個程度について計測を行い、その累積分布の平均値を求める。凝集粒子に関しては、その粒子を一次粒子に分割して定方向径を計測する。
その結果から、D10とD90を求める。D10とは、長さ基準での10%積算粒径、D90とは長さ基準での90%積算粒径を意味する。
粒度分布のシャープさの指標として、D90/D10の比を算出する。この値が大きい程粒度分布がブロードであることを意味し、この値が小さい程粒度分布がシャープであることを意味する。
上記二酸化チタン粒子は、好ましくは、結晶構造がアナタース型の二酸化チタン100質量部と、P換算で0.5〜10.0質量部のリンとを含有する粒子状組成物である。
二酸化チタン粒子中のリン含有量は、アナタース型の二酸化チタン100質量部に対してP換算で0.5〜10.0質量部であり、好ましくは、0.7〜5.0質量部、より好ましくは、0.9〜3.0質量部である。このような量のリンを含むことによって、高温焼成を経ても、ルチル型への転移がほぼ抑制された二酸化チタン粒子状組成物を得ることができる。
本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお下記実施例・比較例において、特に断りの無い限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
(用語の説明及び測定方法)
[RC(ルチルコンテント)]
RC(ルチルコンテント)は、銅管球をもつX線回折装置(UltimaIII、リガク社製)により分析したアナタース型酸化チタン粉末の回折ピーク(面指数101)のピーク高さIとルチル型酸化チタン粉末の回折ピーク(面指数110)のピーク高さIを比較することにより、決定した。
RCは、次式により求めた。
RC(%)=I×1.32/(I×1.32+I)×100
アナタース型酸化チタン粉末の回折ピーク(面指数101)のピーク高さIは、ルチル型酸化チタン粉末の回折ピーク(面指数110)のピーク高さIよりも1.32倍大きい値として検出されるため、上記計算式ではIに1.32の係数を乗じた。なお単位は質量%である。
[一次粒子径]
一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−5400、日本電子社製)写真の1万倍視野での定方向径(粒子を挟む一定方向の二本の平行線の間隔)で定義される粒子径(μm)であって、SEM写真内の一次粒子150〜1000個の定方向径を計測し、その累積分布の平均値を求めた。なお凝集粒子に関しては、その粒子を一次粒子に分割して定方向径を計測した。その結果から、D10とD90を求めた。ここでD10とは、長さ基準での10%積算粒径、D90とは長さ基準での90%積算粒径を意味する。
[粒度分布のシャープさ(D90/D10)]
粒度分布のシャープさの指標として、D90/D10の値を示した。この値が大きい程粒度分布がブロードであることを意味し、この値が小さい程粒度分布がシャープであることを意味する。
[凝集粒子径]
凝集粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により求めた。下記実施例及び比較例において、凝集粒子径は体積基準での50%積算粒径(メジアン径)を示した。凝集粒子径を計測する装置としては、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−750、堀場製作所社製)を用いた。
[易粉砕性(凝集粒子径/一次粒子径)]
易粉砕性の指標として、一次粒子径と凝集粒子径の比(凝集粒子径/一次粒子径)を示した。この値が小さいほど易粉砕性であり、この値が大きいほど難粉砕性であることを意味する。
(実施例1)
水酸化チタン(堺化学工業社製)をTiOとして50g(TiOとして100質量部)量り取り、外径150mm、容量400mlの磁製蒸発皿に入れ、101g/lの硫酸チタニル水溶液を24.75ml(TiOとして5.0質量部)、17質量%のリン酸を4.26g(Pとして1.0質量部)、40g/lのKSO水溶液を12.5ml(KOとして1.0質量部)、40g/lのNaSO水溶液を12.5ml(NaOとして1.0質量部)、200g/lの硫酸アンモニウム水溶液を12.5ml((NHSOとして5.0質量部)、30質量%の硫酸を8.33g(HSOとして5.0質量部)を順次添加した。次に、この磁製蒸発皿を蒸気で加熱し、乳棒で良く混ぜながら蒸発乾固させた。続いて、取り出した乾燥粉80gを容量280mlの坩堝に入れ900℃で30分間静置焼成を行った。焼成した粉末45gを自動乳鉢(日陶科学株式会社製)で20分間粉砕し、粉砕粉40gを純水400mlにリパルプし30分間攪拌し、325メッシュ(目開き45μm)の篩に通し、篩下のリパルプ液をブフナー漏斗に移してろ過し、純水2リットルで通水洗浄し、120℃で12時間乾燥することにより酸化チタン粉末を得た。
得られた粉末を走査型電子顕微鏡により観察し、一次粒子径を計測し、D90、D10、(D90/D10)を求めた。またX線回折装置により固体粒子の結晶構造およびRCを評価した。さらにレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により、凝集粒子径、及び易粉砕性(凝集粒子径/一次粒子径)を計測した。その結果を表1に示す。
(実施例2〜7、及び比較例1〜2、5〜9)
下記表1に示す配合及び焼成温度に変更した以外は実施例1と同様にして酸化チタン粉末を得た。得られた各酸化チタン粉末の試料について、実施例1と同様の物性を計測した。結果を表1に示す。
(比較例3)
水酸化チタン(堺化学工業社製)をTiOとして50g(TiOとして100質量部)量り取り、外径150mm、容量:400mlの磁製蒸発皿に入れ、17質量%のリン酸を1.92g(Pとして0.45質量部)、40g/lのKSO水溶液を4ml(KOとして0.32質量部)を順次添加した。次に、この磁製蒸発皿を蒸気で加熱し、乳棒で良く混ぜながら蒸発乾固させた。続いて、取り出した乾燥粉60gを容量280mlの坩堝に入れ、900℃で30分間静置焼成を行った。焼成した粉末45gを自動乳鉢(日陶科学株式会社製)で40分間粉砕し、酸化チタン粉末を得た。
得られた粉末を走査型電子顕微鏡により観察し、一次粒子径を計測し、D90、D10、(D90/D10)を求めた。またX線回折装置により固体粒子の結晶構造およびRCを評価した。さらにレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により、凝集粒子径、及び易粉砕性(凝集粒子径/一次粒子径)を計測した。その結果を表1に示す。
(比較例4)
焼成温度を1000℃にした以外は比較例3と同様にして酸化チタン粉末を得た。得られた酸化チタン粉末を分析した。結果を表1に示す。
Figure 0005494231
表1中の水酸化チタンの添加量はTiOとしての質量を表す。また他の成分の添加量は、水酸化チタンのTiOとしての添加量を100質量部とした場合の添加量(質量部)を表している。この場合、硫酸チタニルの量はTiOとしての量を、リン酸はPとしての量を、KSOはKOとしての量を、NaSOはNaOとしての量をそれぞれ表す。また硫酸アンモニウム水溶液は、(NHSOとしての正味量(質量部)を、硫酸はHSOとしての正味量(質量部)を意味する。
(表1の説明)
表1の実施例1〜7の様に、
・リンをPとして0.5〜10.0質量部、
・アルカリ金属(K、Na、Cs)を酸化物換算で1.0〜11.0質量部を添加し、
・蒸発乾固した粉末を750〜1200℃で焼成する
ことにより、所望の二酸化チタン粒子を得ることができる。得られる酸化チタンは、アナタース型で、一次粒子径が0.5〜5.0μmであり、粒度分布がシャープで、易粉砕性を有する。更に、硫酸チタニル、硫酸アンモニウム、硫酸を任意に加えても、本発明の二酸化チタン粒子を得ることができる。
表1の比較例1の様に、焼成温度が低いと粒子が十分に成長しないことに加え、粒度分布がブロードで、難粉砕性となった。一方、比較例2のように、焼成温度が高いとルチル化が進行した。この場合、リンやカリウム、ナトリウム源を加えてもルチル化は抑制できなかった。また二酸化チタン粒子は難粉砕性であった。
また、表1の比較例3、4の様に、一般的なアナタース型顔料のリン、カリウム添加の場合(水酸化チタン100質量部(TiOとして)に対し、リンはPとして0.5質量部以下、カリウムはKOとして0.5質量部以下)は、焼成温度が900℃では粒子が十分に成長しない。また、焼成温度が1000℃ではルチル化が進行する。
また、表1の比較例5の様に、リンを添加しない場合は、粒子は成長するが、ルチル化が抑制できず、粒度分布はブロードで、難粉砕性となった。
逆に、表1の比較例6の様に、リンがPとして10.0質量部を超える場合は粒子が成長せず、この場合も難粉砕性となった。
また、表1の比較例7の様に、アルカリ金属が酸化物換算で1.0質量部未満の場合は、十分に粒子が成長しなかった。
逆に、表1の比較例8の様に、アルカリ金属が酸化物換算で11.0質量部を超える場合は、粒度分布がブロードで、難粉砕性となった。
また、表1の比較例9の様に、リン及びアルカリ金属を添加しない場合はルチル化が抑制できず、粒度分布がブロードで、難粉砕性となった。

Claims (4)

  1. 結晶構造がアナタース型であり、
    電子顕微鏡にて定方向径を計測することによる一次粒子径が0.5μm〜5.0μmであり、
    その粒度分布はD90/D10で3.0以下である
    二酸化チタン粒子。
  2. 全二酸化チタン成分のうち、ルチル型結晶の含有率が10.0質量%以下である請求項1記載の二酸化チタン粒子。
  3. 前記二酸化チタン粒子は、結晶構造がアナタース型の二酸化チタン100質量部と、
    換算で0.5〜10.0質量部のリンとを含有する粒子状組成物である
    請求項1又は2記載の二酸化チタン粒子。
  4. (a)TiOとして100質量部の水酸化チタンに、Na、K及びCsからなる群から選択される少なくとも1種のアルカリ金属化合物を、アルカリ金属酸化物として総量で1.0〜11.0質量部添加して、混合する工程と、
    (b)リン酸又はその塩を、Pとして0.5〜10.0質量部添加し、混合する工程と、
    (c)得られた混合物を750〜1200℃で焼成して、二酸化チタンを得る工程と
    を含む、請求項1〜3項のいずれか一項に記載の二酸化チタン粒子を製造する方法。
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