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JP5485665B2 - ガラスブランクの製造方法、ガラスプレス用上型、プレス成型装置、情報記録媒体用基板の製造方法および情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

ガラスブランクの製造方法、ガラスプレス用上型、プレス成型装置、情報記録媒体用基板の製造方法および情報記録媒体の製造方法 Download PDF

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JP5485665B2 JP2009269806A JP2009269806A JP5485665B2 JP 5485665 B2 JP5485665 B2 JP 5485665B2 JP 2009269806 A JP2009269806 A JP 2009269806A JP 2009269806 A JP2009269806 A JP 2009269806A JP 5485665 B2 JP5485665 B2 JP 5485665B2
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Description

本発明は、ガラスブランクの製造方法、ガラスプレス用上型、プレス成型装置、情報記録媒体用基板の製造方法および情報記録媒体の製造方法に関するものである。
情報記録媒体用基板や光学レンズ等の作製に用いられる板状のガラス半製品(いわゆる「ガラスブランク」)の作製方法として、ダイレクトプレス法が知られている。このダイレクトプレス法では、フィーダーパイプから連続的に流出する溶融ガラスを所定容量毎に下型上に供給した後、下型上の軟化状態のガラス塊(以下、「ガラスゴブ」と称す場合がある)を下型と上型とによりプレスする工程を経てガラスブランクを作製する。
ダイレクトプレス法により作製されたガラスブランクを研削・研磨して光学レンズを作製する場合、研削・研磨時の削り代を小さくするためには、ガラスブランク表面に発生するヒケを抑制することが重要である。このヒケは、プレス成型する際に高温状態のガラス塊の内部と外周部とに温度差が発生し、この温度差により生じたガラス塊内外の熱収縮率に差に起因して発生する。
このような光学ガラス用ガラスブランクのヒケの発生を抑制するために、本出願人は、下型上に供給したガラスゴブの上表面を冷却する工程と、この工程を経た後にガラス塊内外の温度を近づける工程とを実施後にプレスする方法を提案した(特許文献1参照)。この方法では、ガラスゴブの上表面を冷却するために、ガラスゴブの上表面に冷却空気を吹き付けたり、平滑な接触面を備える金属材からなる熱吸収部材をガラスゴブの上表面に押し付けて変形させ、熱吸収部材とガラスゴブの上表面とを面接触させる。これによりガラスゴブ上部側の熱を熱吸収部材側に吸収させる。また、本出願人は、下型上に供給したガラスゴブの内部と外周部との温度を近づけるようにガラスゴブの温度を制御する方法(特許文献2参照)も提案した。この方法でもガラスゴブの上表面を冷却するために、平滑な接触面を備える金属材からなるプレス部材をガラスゴブの上表面に押し付けて変形させ、熱吸収部材とガラスゴブの上表面とを面接触させる。これによりガラスゴブ上部側の熱を熱吸収部材側に吸収させる。
また、一方、ガラスブランクの量産安定性を確保する観点では、下型のプレス面にガラスが焼きつくのを防止したり(たとえば、特許文献3、特許文献4等参照)、製造されるガラスブランクの品質ばらつきを抑制できることなども重要である。このため、上型や下型の内部に流路を設けて、この流路に空気と水粒子とを混合した気体を流してプレス面を所定の温度に制御できるように冷却する方法も提案されている(たとえば、特許文献5、特許文献6等参照)。
特開2002−68757号公報(請求項1、段落番号0012、0025、図3、図7等) 特開2000−233934号公報(請求項1,5,6,7、段落番号0034等) 特開2004−206828号公報(段落番号0014) 特開2004−203698号公報(段落番号0011) 特開平10−236831号公報(段落番号0032〜0034、図6) 特開平10−212127号公報(段落番号0013〜0015、図1)
ダイレクトプレス法により作製されるガラスブランクを、情報記録媒体用基板(以下、単に「基板」と略す場合がある)の作製に用いる場合、ガラスブランクの厚み(最終的に基板となり得る領域の厚み)は、基板の厚みに近いほど良い。これにより、ガラスブランクを後加工して基板とする際の研磨代を小さくでき、コストダウンが図れるためである。このためには、ガラスブランクの変形を抑制して平面性を向上させる方法として、たとえば、プレス直後の変形が発生したガラスブランクを、適温に加熱したプレートによりプレス(いわゆる反り修正プレス)して、プレス時に発生した変形を矯正する方法(反り修正プレス法)を利用することが挙げられる。
この反り修正プレス法を用いて、実際は、ガラスブランク全面の厚みを外径に対してより薄くした場合、全体の反り量はある程度抑制できる。しかし、この場合、ガラスブランクの中央部が局部的にプレス時に上型に接触していた側に盛り上がるように変形して、ガラスブランク全体をほぼ平面、または、ほぼ均一で大きな曲率の反りにすることはできなかった。そして、このような部分的な隆起部の残存は、結果的にガラスブランクを基板に加工する際の研磨代の増大や、加工後の基板の平面性の悪化を招いていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、より薄肉のガラスブランクを作製する場合でもより高い平面性を有するガラスブランクを得ることができるガラスブランクの製造方法、これに用いるガラスプレス用上型およびプレス成型装置、並びに、当該ガラスブランクの製造方法を利用した情報記録媒体用基板の製造方法および情報記録媒体の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明のガラスブランクの製造方法は、下型のプレス面の中央部に、軟化状態のガラスを供給した後、上型と下型との間で軟化状態のガラスをプレス成型するプレス工程を少なくとも経て、情報記録媒体基板用のガラスブランクが作製され、プレス工程の実施直前において、上型プレス面の中央部近傍の温度が、上型プレス面の他の領域の温度よりも低いことを特徴とする。ここで、上型としては、後述する本発明のガラスプレス用上型が用いられる。
本発明のガラスブランクの製造方法の一実施態様は、下式(1)および(2)を満たすことが好ましい。
・式(1) Tg−200≦Tc<Te≦Tg+50
・式(2) 0.5≦ΔT≦6
〔式(1)および式(2)中、Tcは、プレス成型により下型プレス面上に軟化状態のガラスが略等方的に広がり終えて円板状を成したと仮定した状態において、円板状に広がり終えたガラスの中心点に対応する位置の上型プレス面におけるプレス成型直前の温度(℃)を表し、Teは、円板状に広がり終えたガラスの最外周に対応する位置の上型プレス面におけるプレス成型直前の温度(℃)を表し、Tgはガラスのガラス転移温度(℃)を表し、ΔTは、円板状に広がり終えたガラスの中心点と最外周との中間点に対応する位置のプレス面におけるプレス成型直前の温度勾配(℃/mm)を表す。〕
本発明のガラスプレス用上型は、軟化状態のガラスを上型との間で挟んでプレス成型するためのプレス面を有する柱状の胴体部と、胴体部の内部であって、プレス面と近接する位置に設けられた空洞部と、空洞部の上方側の空間に、外周側流路および中央流路を形成するように、当該空間内に配置された仕切り部材と、を備え、空洞部のプレス面と平行な方向における内径が、プレス成形するガラスブランクの外径の80%以上であり、胴体部の軸方向における、空洞部のプレス面側の内壁面と、プレス面との間の距離が、プレス面の中央部において極小を成し、プレス面が平坦面からなり、連続プレスの実施に際しては、冷却用媒体を、(1)中央流路の上方側から下方側を経て、空洞部の底面側を、内壁面の中央部近傍側から外周側へと移動させ、さらに外周側流路を下方側から上方側へと移動させ、または、(2)上記(1)に示す移動方向とは逆方向に移動させることを特徴とする。
本発明のガラスプレス用上型の一実施態様は、プレス面の中央部近傍に対応する位置の空洞部のプレス面側の内壁面に、凹部が設けられていることが好ましい。
本発明のガラスプレス用上型の他の実施態様は、空洞部のプレス面側の内壁面が、プレス面側に窪むように湾曲した曲面であることが好ましい。
本発明のプレス成型装置は、下型と、下型に対して、対向配置されると共に、下型に接近する方向および離間する方向に相対的に移動可能な上型と、を少なくとも備え、上型が、本発明のガラスプレス用上型であることを特徴とする。
本発明の情報記録媒体用基板の製造方法は、本発明のガラスブランクの製造方法により作製されたガラスブランクの少なくとも片面を研削・研磨する研削・研磨工程を少なくとも経て、情報記録媒体用基板を作製することを特徴とする。
本発明の情報記録媒体用基板の製造方法の一実施態様は、ガラスブランクを加熱することにより結晶化させる結晶化工程を有することが好ましい。
本発明の情報記録媒体の製造方法は、本発明の情報記録媒体用基板の製造方法により作製された情報記録媒体用基板の少なくとも片面に情報記録層を形成する情報記録層形成工程を少なくとも経て、情報記録媒体を製造することを特徴とする。
本発明によれば、より薄肉のガラスブランクを作製する場合でもより高い平面性を有するガラスブランクを得ることできるガラスブランクの製造方法、これに用いるガラスプレス用上型およびプレス成型装置、並びに、当該ガラスブランクの製造方法を利用した情報記録媒体用基板の製造方法および情報記録媒体の製造方法を提供することができる。
温度Tc、Teおよび温度勾配ΔTを説明するための説明図である。 本実施形態のガラスブランクの製造方法を用いて作製されるガラスブランクの一例におけるアスペクト比の定義を説明するための説明図である。 本実施形態のガラスブランクの製造方法を用いて作製されるガラスブランクの他の例におけるアスペクト比の定義を説明するための説明図である。 本実施形態のガラスブランクの製造方法を用いて作製されるガラスブランクの他の例におけるアスペクト比の定義を説明するための説明図である。 胴型を用いた従来の非サイドフリープレス方式のダイレクトプレス法の一例を示す説明図である。 本実施形態の上型の一例を示す模式断面図である。 本実施形態の上型の他の例を示す模式断面図である。 本実施形態の上型を用いてガラスブランクを製造する際のプレス成型直前の上型プレス面の直径方向に対する温度分布の例を示すグラフである。 従来のダイレクプレス法によりガラスブランクを製造する際の下型プレス面の温度分布の変化を示すグラフである。 従来の上型の一例を示す模式断面図である。
(ガラスブランクの製造方法)
本実施形態のガラスブランクの製造方法は、下型のプレス面の中央部に、軟化状態のガラスを供給した後、上型と下型との間で軟化状態のガラスをプレス成型するプレス工程を少なくとも経て、情報記録媒体基板用のガラスブランクが作製され、プレス工程の実施直前において、上型プレス面の中央部近傍の温度が、上型プレス面の他の領域(以下、当該領域を「周縁部」と称す場合がある)の温度よりも低いことを特徴とする。
このように本実施形態のガラスブランクの製造方法では、プレス工程の実施直前において、上型プレス面の中央部近傍の温度が、上型プレス面の他の領域の温度よりも低くなるように制御される。このため、ガラスブランク中央部の温度が周辺部の温度以上となる範囲内であっても、プレス成形された直後のガラスブランクの半径方向の温度差を小さくでき、プレス直後で上型のプレス面と接触した状態にあるガラスブランクと、上型プレス面の中央部近傍との間に作用する粘着力を低下させることができる。その結果、プレス直後のまだ高温で融着し易い状態にあるガラスブランクと上型とが離間する際に、ガラスブランクの中央部近傍が、上型のプレス面との間に生じる粘着力によって、上型側に引っ張られにくくなる。この結果、プレス直後におけるガラスブランクの半径方向の温度差が十分小さくなる。そして、この状態のガラスブランクに対して反り修正プレス法を適用すれば、より平面性の高いガラスブランクを得ることができる。
なお、プレス工程の実施直前において、上型プレス面の中央部近傍の温度が、上型プレス面の他の領域の温度よりも低くなるように制御することで、上述したような効果が得られる理由は、以下の通りである。まず、ダイレクトプレス法を利用してガラスブランクを量産する場合、一方向に循環移動可能に配置された複数個の下型と、1個の上型とを用いて、個々の下型のプレス面上に順次供給された軟化状態のガラスを連続的にプレス成形する。このため、上型のプレス面では、プレス毎に、軟化状態のガラスとの間で熱交換が行われる。そして、プレスが連続的に行われることに加えて、プレス面の中央部近傍はその周辺領域と比べてプレスの初期から終期までの間、軟化状態のガラスと常に接触し続ける。それゆえ、プレス工程の実施直前において、上型のプレス面の中央部近傍は、プレス面のその他の部分と比べて相対的に高温となり易い。
そして、連続プレス時には、このような状態が長期にわたって維持されることになる。したがって、上型のプレス面中央部近傍は、プレス面のその他の部分と比べて、経時的に酸化が進行することにより軟化状態のガラスに対する濡れ性が増加する。この結果、(1)時間の経過と共に、プレス面の中央部近傍は、プレス面のその他の部分よりも軟化状態のガラスに対する粘着性が高くなる。一方、下型のプレス面上に供給された軟化状態のガラスは、プレスによりプレス面と平行な方向に延伸される過程で、上型のプレス面の中央部近傍とプレスの初期から終期までの間、常に接触し続けることになる。したがって、(2)軟化状態のガラスが延伸し終えて、円板状となったガラスブランクと上型とが離間する際には、当該ガラスブランクは、その中央部近傍がその他の部分と比べて相対的に高温(すなわち、低粘性)となる。
プレス後のガラスブランクに対して反り修正プレス法を適用する場合、ガラスブランク中央部近傍がその他の部分と比べて過剰に高温であると、ほぼ均一な温度の反り修正具をガラスブランク上面全面に接触させた際に、中央部近傍は他の部分に比べて冷却が遅れる。これに加えて、ガラスブランクの上型面側より相対的に高温の下型面側の収縮量が大きくなる。それゆえ、この場合、ガラスブランクの中央部のみ上型面側に隆起する現象が起こりやすい。
しかしながら、プレス工程の実施直前において、上型プレス面の中央部近傍の温度が、上型プレス面の他の領域の温度よりも低くなるように制御することで、プレス中にガラスとプレス面との間で熱交換が生じても、上型のプレス面の中央部近傍の温度が、プレス面のその他の部分と比べて相対的に高温化するのを抑制できる。このため、上記(1)に示す現象の発生を抑制できる。また、本来であれば、プレス直後におけるガラスブランクの中央部近傍は、その他の部分よりも温度が高くなる。しかし、本実施形態のガラスブランクの製造方法では、上型プレス面によりこのガラスブランク中央部近傍の熱が、ガラスブランクのその他の領域よりも選択的・集中的に奪われる。このためガラスブランクと上型とが離間する際に、当該ガラスブランクは、その中央部近傍がその他の部分と比べて相対的に過剰に高温化(すなわち、低粘性化)しない。よって、この状態のガラスブランクに対して反り修正プレス法を適用すれば、平面度をより改善しやすくなる。
なお、同様の効果は、(A)プレス工程の実施直前において、下型プレス面の中央部近傍の温度を、下型プレス面の他の領域の温度よりも低くなるように制御方法や、(B)プレス直前の下型プレス面上に存在する塊状となった軟化状態のガラスの上面中央部に、たとえば、棒状の金属からなる冷却用部材を接触させる方法でも実現することができる。これにより、プレス直後のガラスブランク中央部の高温化を抑制できるからである。
ここで、(A)に示す方法は、図9に示す従来のダイレクプレス法によりガラスブランクを製造する際の下型プレス面の温度分布の変化に着目して見出されたものである。従来のダイレクプレス法によりガラスブランクを製造する場合、まず最初に下型のプレス面の中央部に所定量の溶融ガラスが、流出ノズルから滴下される。ここで、溶融ガラスが滴下される直前の下型プレス面の直径方向の温度分布は、略平坦である(図9中の符号Aで示すライン。なお、符号Aで表される温度分布は、厳密には、下型側面からの放熱があるため、完全に平坦ではなく、僅かに中央部近傍は外周部より高温になっている)。次に、流出ノズルから滴下されて下型プレス面の中央部近傍上で塊状となったガラスは、下型プレス面と熱交換を行う。このため、下型プレス面の直径方向の温度分布は、時間の経過と共に塊状となった高温のガラスと接触する中央部近傍側で急速に増大するが、周縁部側では徐々にしか増大しない(図9中の符号Bで示すライン)。そして、塊状のガラスが、上型と下型とによりプレスされる直前においては、下型プレス面の温度分布は完全な凸型プロファイルを形成している(図9中の符号Cで示すライン)。この状態で、塊状のガラスが、上型と下型とによりプレスされ、プレス面の中央部近傍側から周縁部側へと延伸する。その結果、塊状のガラスが延伸し切って円板状となったガラス(ガラスブランク)において、ガラスブランクの中央部近傍と下型プレス面の中央部近傍との温度差は、ガラスブランクの周縁部と下型プレス面の周縁部との温度差よりも小さくなる。
このため、プレス直後のガラスブランクの中央部近傍の熱は下型側に十分に吸熱されず、プレス直後のガラスブランクの中央部近傍は、周縁部よりも高温(低粘性)となる。このようなメカニズムに着目すれば、プレス工程の実施直前において、下型プレス面の中央部近傍の温度を、下型プレス面の周縁部の温度よりも低くなるように制御すればよいことは明らかである。これにより、プレス時におけるガラスと下型との熱交換によって、円板状に延伸されたガラスの中央部近傍が周縁部に対して高温化するのを抑制できる、言い換えれば、プレス成形終了時にガラスブランク中央部近傍が相対的に高温であることによって生じる場所による収縮量の差を小さく抑制できるからである。
しかしながら、本実施形態のガラスブランクの製造方法は、上記(A)および(B)に示す方法と比べて、さらに以下に説明するメリットを有する。まず、上記(A)に示す方法では、溶融ガラスを下型に滴下し始めた直後からプレスが開始前の期間においても、下型プレス面上で、塊状となった軟化状態のガラスの中央部近傍が冷却され続けることになる。このため、プレス前の塊状となった軟化状態のガラス全体の熱が必要以上に下型によって奪われ、ガラスの粘性が必要以上に低下しやすい。これに対して、本実施形態のガラスブランクの製造方法では、軟化状態のガラスと上型のプレス面とがプレス時のみ接触する。このため、プレス開始前の塊状となった軟化状態のガラス全体の熱が、必要以上に上型によって奪われることが無く、結果としてガラスの粘性が必要以上に低下することも無い。よって、プレスに際しては、ガラスはプレスの初期から終期まで高い延伸性を維持できるので、ガラスブランクの薄肉化が容易である。
また、ガラスブランクの製造に際しては、通常、外縁部に複数の下型を配置した回転テーブルが用いられる。よって、上記(A)に示す方法を採用する場合、下型プレス面の中央部近傍の温度を、下型プレス面の周縁部の温度よりも低くなるように冷却制御するためには、各々の下型全てに冷却水を流すなどして冷却する必要がある。このような冷却を実現するには、回転テーブル上に配置された各々の下型を冷却するための冷却用媒体の配管経路を全ての下型に張り巡らす必要がある。しかし、冷却システムが非常に複雑となるため、各々の下型プレス面の冷却状態には、大なり小なりばらつきが生じることになる。これに対して、本実施形態のガラスブランクの製造方法では、冷却の対象となる成形型は、1個の上型のみである。すなわち、上型を冷却するための冷却システムは、上記(A)に示す方法で採用される冷却システムと比べて、非常にシンプルである。このため、プレス毎に、上型プレス面の冷却状態にばらつきが生じにくい。したがって、本実施形態のガラスブランクの製造方法では、プレス毎のプレス面の冷却状態のばらつきに起因するガラスブランクの品質ばらつきの発生を抑制するのが容易である。
一方、上記(B)に示す方法では、軟化状態のガラスが、プレスされる前の塊状の状態で冷却される。このため、塊状のガラスの上面中央部を選択的に冷却しても、プレスにより軟化状態のガラスが変形して円板状となった際に、選択的に冷却された領域が、横方向に延伸されてしまう。このため、上記(B)に示す方法では、プレスを完全に終えて、上型とガラスブランクとが離間する直前のガラスブランクの中央部近傍の熱のみを選択的・集中的に奪うことは基本的に困難である。
これに対して、本実施形態のガラスブランクの製造方法では、プレス直前においてプレス面の中央部近傍の温度が、その他の領域の温度よりも低くなるように制御された上型が、塊状のガラスを円板状に延伸し終えるまで、軟化状態のガラスと接触し続ける。このため、本実施形態のガラスブランクの製造方法では、プレスを完全に終えて、上型とガラスブランクとが離間する直前のガラスブランクの中央部近傍の熱のみが選択的・集中的に奪われる状態の実現が容易である。
このため、上記(B)に示す方法よりも、本実施形態のガラスブランクの製造方法の方が、ガラスブランクの変形を引き起こす原因、すなわち、ガラスブランクの中央部近傍と上型プレス面の中央部近傍との粘着力をより効果的に低減できる。したがって、本実施形態のガラスブランクの製造方法では、ガラスブランクの平面性をより一層向上させることが容易である。なお、本実施形態のガラスブランクの製造方法を実施する際には、さらにより一層平面性を向上させるために、必要に応じて上記(A)に示す方法や(B)に示す方法と組み合わせて実施してもよい。
本実施形態のガラスブランクの製造方法は、プレス工程の実施直前において、上型プレス面の中央部近傍の温度が、上型プレス面の他の領域の温度よりも低い。ここで、「プレス工程の実施直前において、上型プレス面の中央部近傍の温度が、上型プレス面の他の領域の温度よりも低い」状態とするために、上型として上型プレス面の内側に、プレス面側の内壁面の平面形状が略円形で、かつ、冷却用媒体を流す空洞部が設けられた上型が用いられる。なお、この上型のより具体的な構造については後述する。
また、「上型プレス面の中央部近傍の温度が、上型プレス面の他の領域の温度よりも低い」状態とは、プレス面の直径方向における温度プロファイルが、外縁部側から中央部側へと行くに従い温度が低くなるプロファイル(凹型プロファイル)となっている状態を意味する。これに対して、従来のガラスブランクの製造方法で用いられていた従来の上型では、プレス工程実施直前におけるプレス面の直径方向における温度プロファイルは、上記の凹型プロファイルとは逆の凸型プロファイル、あるいは、実質的にフラットなプロファイル(フラット型プロファイル)である。なお、参考までに述べれば、「従来の上型」とは、たとえば、特許文献5の図6上段や、特許文献6の図1上段に示される上型のように、上型プレス面の内側に、空気等のガスやこのガス中に水粒子を噴霧分散させたような冷却用気体を流すための空洞部が設けられ、この空洞部のプレス面側の内壁面全面がプレス面全面に対して平行であり、かつ、プレス成形するガラスブランクの外径を基準(100%)とした際に、空洞部のプレス面と平行な方向における内径が80%〜110%の範囲内である上型を意味する。
なお、上述した凹型プロファイルは、下式(1)および(2)を満たすことがより好ましい。これによりプレス面の中央部近傍のみをより選択的に効率良く冷却することができる。その結果、ガラスブランクの変形を引き起こす原因、すなわち、ガラスブランクの中央部近傍と上型プレス面の中央部近傍との粘着力もより効果的に低減できる。よって、下式(1)および(2)を満たす条件でガラスブランクを製造した場合、ガラスブランクの平面性をより一層向上させることができる。
・式(1) Tg−200≦Tc<Te≦Tg+50
・式(2) 0.5≦ΔT≦6
式(1)および式(2)中、Tcは、プレス成型により下型プレス面上に軟化状態のガラスが略等方的に広がり終えて円板状を成したと仮定した状態において、円板状に広がり終えたガラスの中心点に対応する位置の上型プレス面におけるプレス成型直前の温度(℃)を表し、Teは、円板状に広がり終えたガラスの最外周に対応する位置の上型プレス面におけるプレス成型直前の温度(℃)を表し、Tgはガラスのガラス転移温度(℃)を表し、ΔTは、円板状に広がり終えたガラスの中心点と最外周との中間点に対応する位置のプレス面におけるプレス成型直前の温度勾配(℃/mm)を表す。
ここで、式(1)および式(2)に示すTc、TeおよびΔTを図面を用いてより具体的に説明する。図1は、Tc、TeおよびΔTを説明するための説明図である。ここで、図1上段は、プレス成型直前において、上型プレス面の直径方向に対するプレス面の表面温度変化のプロファイルの一例について示すグラフである。また、図1下段は、プレスにより円板状に広がり終えたガラスの直径方向における断面形状の一例を示すと共に、図1下段に示す円板状に広がり終えたガラス1の直径方向の位置と、図1上段に示すグラフの横軸との対応関係を説明する説明図である。図1に示す例では、プレス成型直前の上型プレス面の温度プロファイルは、中心点で極小温度Tcを示し、最外周で極大温度Teを示す凹状の曲線で表される。また、温度勾配ΔTは、より正確には温度プロファイルの中間点における接線の傾きを意味する。
ここで、式(1)に示すように、Tcは、Tg−200℃以上Te℃未満の範囲の温度であることが好ましい。TcをTg−200℃以上とすることにより、プレス時のガラスとの接触時間にも依存するが、過冷却によるガラスブランクの割れを抑制することができる。また、TcをTe未満とすることにより、図1に例示したようなプレス面の中央部近傍の温度が低く、外縁部側の温度が高い温度分布(凹型プロファイル)を実現することができる。なお、Tcの下限値はTg−150℃以上であることが好ましくTg−120℃以上であることがより好ましい。また、TcとTeとの差(Te−Tc)℃は、0℃を超えていれば特に限定されないが、少なくとも温度勾配ΔTが式(2)を満たすことができる値であり、かつ、プレス成形後のガラスブランクの中央部近傍の温度がその他の部分より低温にならないことが必要である。この点を考慮すれば、Te−Tcは実用上、5℃以上150℃以下であることが好ましく、10℃以上100℃以下であることがより好ましい。また、式(1)に示すようにTeの上限値は、Tg+50℃以下であることが必要である。Teを上記範囲内とすることにより、プレス時にガラスが融着することを抑制できる。なお、Teの上限値はTg+40℃以下が好ましく、Tg+20℃以下がより好ましい。
さらに、式(2)に示すように、ΔTは、0.5℃/mm以上であることが好ましく、1℃/mm以上であることがより好ましい。ΔTを0.5℃/mm以上とすることにより、図1に例示するように、プレス面の直径方向に対する温度分布を凹型プロファイルとすることができる。これに加えて、上型のプレス面中央部と、外縁部側とで適度な温度差が得られる。このため、これにより上型プレス面の中央部近傍のみをより選択的に効率良く冷却することができる。
一方、ΔTの上限値は、実用上6℃/mm以下であることが好ましく、3℃/mm以下がより好ましい。ΔTを6℃/mm以下とすることにより、上型プレス面の中央部の温度が必要以上に低くなり過ぎることで、プレス時のガラスの延伸性の低下やガラスブランクの割れ・クラックが発生したり、外縁部側の温度が必要以上に高くなり過ぎることでプレス時にガラスブランクと上型とが融着したり、外縁部の粘着力増大により逆に平面性が悪化することを確実に防止できる。
なお、プレス成型直前における上型のプレス面における凹型温度分布は、上型プレス面中央部を起点としてできるだけ等方的であることが好ましい。このような観点からは、Teのプレス面内における温度ばらつきは±2℃以下が好ましく、ΔTのプレス面内における温度ばらつきは±0.2℃/mm以下が好ましい。
以上に説明したように、本実施形態のガラスブランクの製造方法を利用し、かつ、プレス後に反り修正プレス法を併用すれば、高い平面性を有するガラスブランクを得ることできる。しかしながら、本実施形態のガラスブランクの製造方法は、直径dに対する厚みtの比(アスペクト比t/d)がより小さい薄肉のガラスブランクを作製する場合に適用することがより好ましい。この理由は以下の通りである。すなわち、低アスペクト比のガラスブランクでは、プレス直後の変形しやすい状態にあるガラスブランクの剛性が低くなる。このため、従来のガラスブランクの製造方法では、アスペクト比t/dが小さくなるに従い平面性が悪化するのは避け難かった。これに対して、本実施形態のガラスブランクの製造方法では、アスペクト比t/dが低下することで、ガラスブランクの変形を促進する剛性低下が起こっても、ガラスブランクの変形を引き起こす根本的原因、すなわち、プレス直後で上型のプレス面と接触した状態にあるガラスブランクと、上型プレス面の中央部近傍における粘着力を低下させるだけでなく、プレス直後のガラスブランクの半径方向の温度差を小さくすることができる。このため、本実施形態のガラスブランクの製造方法では、アスペクト比t/dが小さくなっても平面性が悪化し難い。
この点を考慮すれば、本実施形態のガラスブランクの製造方法により製造されるガラスブランクのアスペクト比は、0.015以下であることが好ましく、0.014以下であることがより好ましい。一方、アスペクト比の下限は特に限定されないが、実用上は、0.01以上であることが好ましい。よって、たとえば、2.5インチ基板の作製に用いられるガラスブランク(直径が概ね69.0mm±3.0mm程度の範囲)であれば、アスペクト比0.015に対応する厚みは約1.04mm程度であり、アスペクト比0.01に対応する厚みは約0.69mm程度である。
なお、ガラスブランクのアスペクト比は、ガラスブランクの直径d(mm)に対する厚みtの比(t/d)として表される。ここで、ガラスブランクは、全面が平坦な円板状基板のみならず、部分的に厚肉部を設けたものも存在する。このような厚肉部を部分的に有するガラスブランクでは、アスペクト比を定義する上でのガラスブランクの厚みtは、薄肉部の厚みを基準とする。以下にアスペクト比の定義を図面を用いてより具体的に説明する。図2〜図4は、本実施形態のガラスブランクの製造方法を用いて製造されるガラスブランクの例におけるアスペクト比の定義を説明するための説明図である。ここで、図2は、円板状の薄肉部10のみからなるガラスブランク2の直径方向の断面図であり、図3は、円板状の薄肉部10と、この薄肉部10の直径方向中央部に薄肉部10の片面に凸を成すように設けられた円板状の厚肉部12とからなるガラスブランク3の直径方向の断面図であり、図4は、円板状の薄肉部10と、この薄肉部10の直径方向周縁部に薄肉部10の片面に凸を成すように設けられたリング状の厚肉部14とからなるガラスブラン4の直径方向の断面図である。図2〜図4に例示するように、本願明細書における「アスペクト比」とは、厚肉部12、14の有無に関係無く、ガラスブランク2、3、4の最大径(直径d)と薄肉部10の厚みtとを基準として求められる値を意味する。
なお、本実施形態のガラスブランクの製造方法を用いて作製されるガラスブランクは、図2に示されるように厚肉部を有さない完全な平板状のものであってもよく、図3や図4に一例を示すように、部分的に厚肉部を有するものであってもよい。また、図4に示す例では、厚肉部14は、薄肉部10の片面側のみに凸を成すように設けられている。しかし、本実施形態のガラスブランクの製造方法を用いて作製されるガラスブランクは、厚肉部14が、薄肉部10の両面に凸を成すように設けられたものでもよい。
なお、ダイレクトプレス法では、プレス工程に用いられる成形型として、図5に例示するように、ガラスブランクの両面を形成するために用いる上型20および下型22の他に、プレス時に軟化状態のガラス塊26のプレス面方向への延伸を規制するために胴型24を組み合わせて用いる場合がある。本実施形態のガラスブランクの作製においても、軟化状態のガラス塊のプレス面方向への自由な延伸を規制する胴型24等の規制部材を用いたプレス方式(非サイドフリープレス方式)を採用することも可能であるが、胴型24等の規制部材を用いないプレス方式(サイドフリープレス方式)を採用することがより好ましい。この理由は、サイドフリープレス方式では、プレス時に軟化状態のガラス塊のプレス面方向への自由な延伸が規制されないためである。それゆえ、下型22のプレス面上に供給される軟化状態のガラス塊26の容量が多少変動したとしても、プレス時に上型20および下型22のプレス面間の距離を一定に保ちつつ、ガラス塊20の容量変動を、図4に示す例ではガラスブランク4の外周側に設けた厚肉部14の厚み変動により吸収させることができ、図2および図3に示す例ではガラスブランク2、3の外径の変動により吸収させることができる。したがって、サイドフリープレス方式を採用した場合、非サイドフリープレス方式を採用した場合よりもガラスブランク間の厚みばらつきを小さくすることができ、結果として後工程である研磨工程の負荷をより小さくすることができる。なお、図5中に示す上型20は、非サイドフリープレス方式の説明のために示したものであり、後述する本実施形態の上型を説明するものでは無い。
次に、プレス工程も含めた第一の本実施形態のガラスブランクの製造方法の典型例について以下に説明する。まず、溶解、清澄、攪拌均一化されたこれらガラス材料からなる溶融ガラスを、流出ノズルから一定の流出速度で連続して排出させ、この溶融ガラス流をシアと呼ばれる切断機によって、常に一定質量の軟化状態のガラス塊が得られるように周期的に切断する。切断された軟化状態のガラス塊は流出ノズル直下で待機している下型のプレス面上に供給(キャスト)される。流出ノズルから排出される溶融ガラスは、軟化した状態であり、その粘度は0.3〜100Pa・s程度である。なお、下型の温度は、ガラス塊が過冷却されることにより、得られるガラスブランクが割れないように、上記式(1)を満たす範囲で調整される。なお、下型のプレス面には、キャストされる溶融ガラスのプレス面に対する潤滑性を向上させるために、必要であれば、予め窒化ホウ素(BN)粉末などの耐熱性の固体潤滑剤粉末を付着させておいてもよい。
上記キャストが終わって軟化状態のガラスをそのプレス面上に載置した下型は、上型が待機しているプレス位置に移送されて、上型及び下型によりプレス成形される。この際の上型および下型の温度、プレス圧力、プレス時間は、ガラス転移温度等のガラスの熱物性や、作製するガラスブランクの直径・厚み等を考慮して適宜設定する。たとえば、上型の温度を式(1)および式(2)を満たすように調整し、下型プレス面の温度を350〜650℃の範囲内で調整する。そして、上型温度を式(1)および式(2)を満たす範囲内で下型温度〜[下型温度−150℃]の範囲に設定することができる。プレス時の加圧力については数GPa程度を目安にできるが、特にこの範囲に限定されるものではなく、適宜調整することができる。
プレス成形を終えると、成形品上面が上型から離型され、成形品を載置した下型はテイクアウト(取出し)を行う位置に移送される。なお、プレス位置とテイクアウト位置との間で下型を停留させて、下型上の成形品の上面を押し型で押圧し、成形品の反りを修正してからテイクアウト位置に下型ごとを移送してもよい。成形品はテイクアウト位置に移送されるまでの間にガラス転移温度付近あるいはガラス転移温度より低い温度にまで冷却される。これはテイクアウトの際に加わる力によって、成形品が変形してしまうのを防ぐためである。テイクアウトは成形品の上面を吸着手段で吸着保持して行われる。テイクアウトされた成形品は、大気中で急冷されたのち、除歪するためにアニール炉に入れられてアニールされる。そして、このような一連の工程を経ることでガラスブランクを得ることができる。
−ガラス組成−
本実施形態のガラスブランクの製造方法により作製されるガラスブランクのガラス組成としては、これを用いて作製される基板や情報記録媒体に応じて適宜選択できるが、たとえば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラスなどを挙げることができる。また、これらのガラスは加熱処理により結晶化する結晶化ガラスであってもよい。
なお、アルミノシリケートガラスとしては、SiOが58質量%以上75質量%以下、Alが5質量%以上23質量%以下、LiOが3質量%以上10質量%以下、NaOが4質量%以上13質量%以下を主成分として含有するアルミノシリケートガラス(ただし、リン酸化物を含まないアルミノシリケートガラス)を用いてよい。たとえば、SiOが62質量%以上75質量%以下、Alが5質量%以上15質量%以下、LiOが4質量%以上10質量%以下、NaOが4質量%以上12質量%以下、ZrOが5.5質量%以上15質量%以下を主成分として含有するとともに、NaO/ZrOの質量比が0.5以上2.0以下、Al/ZrOの質量比が0.4以上2.5以下であるリン酸化物を含まないアモルファスのアルミノシリケートガラスとしてよい。なお、CaOやMgOといったアルカリ土類金属酸化物を含まないガラスであることが望ましい。このようなガラスとしては、HOYA株式会社製のN5ガラス(商品名)を挙げることができる。
(ガラスプレス用上型)
本実施形態のガラスブランクの製造方法に用いるガラスプレス用上型(上型)は、プレス工程の実施直前において、上型プレス面の中央部近傍の温度が、上型プレス面の他の領域の温度よりも低く制御できるものであればその構造は特に限定されない。しかしながら、本実施形態のガラスブランクの製造方法に用いる上型としては、式(1)および式(2)を満たす温度プロファイルの実現がより容易なことから、具体的には、以下に説明する本実施形態の上型が特に好適である。
すなわち、本実施形態の上型は、軟化状態のガラスを上型との間で挟んでプレス成型するためのプレス面を有する柱状の胴体部と、胴体部の内部であって、プレス面と近接する位置に設けられた空洞部と、を備え、空洞部のプレス面と平行な方向における内径が、プレス成形するガラスブランクの外径の80%以上であり、胴体部の軸方向における、空洞部のプレス面側の内壁面と、プレス面との間の距離(以下、「底部肉厚」と称す場合がある)が、プレス面の中央部において極小となる構造を有するものである。ここで、当該「プレス成形するガラスブランクの外径」とは、2.5インチ基板の作製に用いられるガラスブランクは、65〜71mm、1.0インチ基板の作製に用いられるガラスブランクは、27.4〜30mmである。なお、これらの値は、典型的な値(代表値)を示したものであり、本実施形態のガラスブランクの製造方法により実際に製造されるガラスブランクの外径は、上記値のみに限定されるものでは無い。
本実施形態の上型では、空洞部の内径D(in)は、上述したようにプレス成形するガラスブランクの外径よりもやや小さめの値、すなわち、プレス成形するガラスブランクの外径の80%以上に設定されることが必要であり、85%以上に設定されることが好ましい。
空洞部の内径D(in)をプレス成形するガラスブランクの外径の80%以上とすることにより、プレス時に際しては、実質的に上型のプレス面のうち、ガラスブランクと接触する領域のほぼ全面が強制的に冷却されることになる。このため、本実施形態の上型は、上型プレス面周縁部側の冷却力不足により、ガラスブランクの周縁部と上型プレス面周縁部との粘着力の増大に起因するガラスブランクの変形や、上型とガラスブランクとの貼り付きの発生を防ぐことが容易である。これに加えて、底部肉厚が、上型プレス面の中央部において極小となっている。それゆえ、プレスした際に、ガラスブランクとの熱交換によって、上型プレス面が加熱されても、上型プレス面の中央部近傍は周縁部よりもより効率的・集中的に冷却される。したがって、上型とガラスブランクとが離間した直後、すなわち、ガラスブランクとの熱交換によって、上型プレス面が最も加熱された状態における温度プロファイルが一時的にフラット型プロファイルや凸型プロファイルになったとしても、次のプレス工程の実施直前までには、上型プレス面の温度プロファイルを凹型プロファイルとすることができる。一方、空洞部の内径D(in)をプレス成形するガラスブランクの外径の上限は特に限定されないが、実用上の観点からは110%以下とすることが好ましい。
なお、上型プレス面の中央部における底部肉厚(すなわち、極小となる底部肉厚)は、プレス工程実施直前において、上型プレス面の温度プロファイルを凹型プロファイルとすることができ、かつ、連続プレスによる上型プレス面の変形や破損が回避できる強度を確保する観点からは、10mm〜20mmが好ましく、12mm〜18mmがより好ましい。また、空洞部の内径D(in)を胴体部の外径D(out)の60%以下とすることが好ましい。この場合、胴体部を構成する外周壁の肉厚が確保できるため、上型の強度を確保できる。
なお、本願明細書において「内径D(in)」とは、空洞部のプレス面と平行な方向の断面形状が円形の場合は空洞部の直径を意味し、空洞部のプレス面と平行な方向の断面形状が略円形や円形に近い多角形の場合は、空洞部断面と同じ面積を有する円の直径(円面積相当直径)を意味する。また、「外径D(out)」とは、胴体部のプレス面と平行な方向の断面形状が円形の場合は胴体部の直径を意味し、胴体部のプレス面と平行な方向の断面形状が略円形や円形に近い多角形の場合は、胴体部断面と同じ面積を有する円の直径(円面積相当直径)を意味する。
ここで、胴体部の軸方向における、空洞部の上型プレス面側の内壁面と、上型プレス面との間の距離が、プレス面の中央部において極小とするための具体的な構成としては、(1)プレス面の中央部近傍に対応する位置の空洞部のプレス面側の内壁面に、凹部が設けられた構成や、(2)空洞部のプレス面側の内壁面を、プレス面側に窪むように湾曲した曲面とした構成が挙げられる。
図6は、本実施形態の上型の一例を示す模式断面図であり、具体的には、プレス面の中央部近傍に対応する位置の空洞部のプレス面側の内壁面に、凹部が設けられた構成を有する上型について示したものである。図6に示す上型30は、プレス面40を有する円柱状または角柱状の胴体部42と、胴体部42の内部であって、プレス面40と近接する位置に設けられた空洞部44と、を備えている。そして、空洞部44のプレス面40側の内壁面46のうち、プレス面40の中央部近傍に対応する位置の円板状の内壁面46Aは、プレス面40の中央部近傍以外の領域に対応する位置のリング状の内壁面46Bよりも、プレス面40側に窪んでおり、円板状の凹部48となっている。すなわち、胴体部42の軸方向(図中、1点鎖線で示される直線)における空洞部44のプレス面側の内壁面46と、プレス面40との間の距離(底面肉厚)は、プレス面40の中央部において極小となっている。ここで、内壁面46Aとプレス面40との間の距離に相当する底部肉厚Ta(すなわち、極小となる底部肉厚)は、上述した範囲内とすることが好ましい。また、内壁面46Bとプレス面40との間の距離に相当する底部肉厚Tbと、底部肉厚Taとの比(Ta/Tb)は、12mm〜22mmの範囲内が好ましく、14mm〜20mmの範囲内がより好ましい。Ta/Tbを上記範囲内とすることにより凹型プロファイルを容易に形成できる。また、空洞部44のプレス面40と平行な方向における内径D(in)は、上述したようにプレス成形するガラスブランクの外径の80%以上に設定される。また、空洞部44の上方側は、一対の仕切り部材50R、50Lにより仕切られている。なお、図中、仕切り部材50Rと仕切り部材50Lとは分離した部材として描かれているが、たとえば、一本のパイプの断面を示すものであってもよい。すなわち、仕切り部材50R、50Lによって、円筒部材が形成され、その中央を貫通する孔が形成された構成とすることができる。
そして、空洞部44の上方に、仕切り部材50R、50Lを配置することにより、空洞部44の上方側の空間は、空洞部44の右側内壁面と仕切り部材50Rとの間に形成された空間(右外周側流路)、空洞部44の左側内壁面と仕切り部材50Lとの間に形成された空間(左外周側流路)、および、一対の仕切り部材50R、50L間に形成された空間(中央流路)の3つに分割される。そして、連続プレス時には、たとえば、図中、矢印Fとして示すように、冷却用媒体を、中央流路の上方側から下方側を経て、空洞部44の底面側を、内壁面46の中央部近傍側から外周側へと移動させ、さらに、右外周側流路および左外周側流路を下方側から上方側へと移動させるように流すことができる。なお、冷却用媒体の流れは、この逆方向でもよい。また、右外周側流路と左外周側流路とは、各々独立した流路であってもよいが、両者が繋がって一体的なリング状の流路を形成してもよい。
図7は、本実施形態の上型の他の例を示す模式断面図であり、具体的には、プレス面の中央部近傍に対応する位置の空洞部のプレス面側の内壁面に、空洞部のプレス面側の内壁面を、プレス面側に窪むように湾曲した曲面とした構成を有する上型について示したものである。ここで、図7中、図6に示すものと実質的に同様の機能・構成を有する部分については同じ符号が付してある。図7に示す上型32は、基本的には図6に示す上型30と同様の構造を有するものであるが、図6に示す上型30に対して内壁面46がプレス面40側に窪むように湾曲した曲面となっている点で異なっている。また、この湾曲した内壁面46は、ドーム状となっており底面肉厚が、プレス面40の中央部において極小となるように設定されている。ここでプレス面40の中央部における底部肉厚Tminと、内壁面46の最も外周側に対応する位置の底部肉厚Tmaxとの比率(Tmin/Tmax)は、0.4〜0.95の範囲内が好ましく、0.5〜0.9の範囲内がより好ましい。Tmin/Tmaxを上記範囲内とすることにより凹型プロファイルを容易に形成できる。
図6および図7に一例を示した本実施形態の上型30、32では、いずれも、プレス工程実施直前において、プレス面の温度プロファイルを凹型プロファイルとすることができる。しかしながら、上型30、32の各部の寸法や形状、特に、胴体部42の外径D(out)に対する空洞部の内径D(in)の相対的割合や、内壁面46の断面形状、底部肉厚等を調整することにより凹型プロファイルの形状を、所望の形状に制御することができる。
図8は、本実施形態の上型を用いてガラスブランクを製造する際のプレス成型直前の上型プレス面の直径方向に対する温度分布の例を示すグラフである。なお、図中、縦軸および横軸は図1に示すものと同様であり、横軸に対応するガラスブランク1の記載は省略してある。図8のグラフには、温度プロファイルとして符号Aおよび符号Bで示される2種類の凹型プロファイルが示されている。温度プロファイルAは、グラフ中の中心点近傍に対応するプレス面中央部近傍に近づくに従い温度がなだらかに低下する凹型プロファイルであるのに対して、温度プロファイルBは、プレス面中央部近傍に近づくに従い温度が急激に低下する凹型プロファイルである。プレス工程実施直前における温度プロファイルの形状として、温度プロファイルAを選択するか、温度プロファイルBを選択するかは、作製するガラスブランクの直径や断面形状、プレス時の軟化状態のガラスの温度などに応じて適宜選択できる。しかしながら、プレス時に上型プレス面の中央部近傍がより加熱され易い場合、たとえば、作製するガラスブランクの直径がより大きい場合や、図3に示すように中央部に厚肉部12を有するガラスブランク3を作製する場合には、温度プロファイルBを選択することが好ましい。また、これ以外の場合の多くにおいては、温度プロファイルAを選択することが好ましい。
ここで、プレス工程実施直前における温度プロファイルの形状を、温度プロファイルAのように制御したい場合は、図7に例示したタイプの本実施形態の上型32を用いることが好適である。この場合、温度プロファイルAにおける最大温度と最小温度との差を5℃〜40℃程度の範囲とすることができる。これに対して、プレス工程実施直前における温度プロファイルの形状を、温度プロファイルBのように制御したい場合は、図6に例示したタイプの本実施形態の上型30を用いることが好適である。この場合、温度プロファイルBにおける最大温度と最小温度との差を20℃〜60℃程度の範囲とすることができる。
なお、本実施形態の上型30、32は、空洞部44に冷却用媒体を流すことで、プレス時に加熱されたプレス面40の冷却を行う。ここで、冷却用媒体としては、冷却効果が非常に高く、プレス工程の実施直前において上型プレス面の中央部近傍の温度を上型プレス面の他の領域の温度よりも低く制御することが容易である観点からは、水等の液体を用いることが特に好ましい。冷却用媒体として空気等のガスや、空気等のガスに比熱の高い水粒子を分散させたような冷却効果の高いガス状の冷却用媒体を用いたとしても、冷却用媒体の比熱が小さすぎるために、プレス工程の実施直前において上型プレス面の中央部近傍の温度を上型プレス面の他の領域の温度よりも低く制御することが困難だからである。
ここで、冷却用液体としては、20℃における比熱が、0.6cal/g・℃〜1.2cal/g・℃である液体を用いることが好適である。比熱を0.6cal/g・℃以上とすることにより、プレス工程の実施直前において上型プレス面の中央部近傍の温度を上型プレス面の他の領域の温度よりも低く制御する上で、十分な冷却効果を得ることができる。なお、材料入手性などの実用上の観点から、上述したように比熱は1.2cal/g・℃以下とすることが好適である。このような比熱を有する冷却用液体としては、代表的には水(20℃における比熱=1.0cal/g・℃)を挙げることができるが、この他に、水に各種添加剤や水溶性有機溶媒を混合した混合液なども挙げることができる。これら混合液を調整するに際しては、混合液の比熱が上記範囲内となるように材料種や配合割合が適宜選択される。
(プレス成型装置)
以上に説明した点を考慮すれば、本実施形態のプレス成型装置は、上述した本実施形態の上型を備えたものであることが好ましい。より具体的には、本実施形態のプレス成型装置は、下型と、この下型に対して、対向配置されると共に、下型に接近する方向および離間する方向に相対的に移動可能な上型と、を少なくとも備え、上型として、本実施形態の上型を用いたものであることが特に好適である。
なお、本実施形態のプレス成型装置の上型以外の構成は、公知の構成を適宜組合わせて採用したものとすることができる。たとえば、本実施形態のプレス成型装置は、所定容量の溶融ガラスをプレス成形するプレス面を有する1個の本実施形態の上型および複数個の下型と、回転中心となる主軸を備え、複数個の下型が等間隔で周縁部に配置されると共に、360度を下型の数で割った回転角度毎に一方向へ回転と停止とを繰り返す円形状の回転テーブルと、溶融ガラス供給源に接続されたノズルから連続的に流出する溶融ガラスを、所定容量毎に切断して回転テーブルのいずれか1つの停止位置で停止する下型のプレス面上に供給するガラス供給手段と、いずれか1つの停止位置を基準として、回転テーブルの回転方向下流側の停止位置で停止する下型のプレス面に対して、対向配置されると共に垂直方向に移動可能であり、下型プレス面上に位置する溶融ガラスをプレスして略板状に成形するプレス面を備えた上型と、上型が配置された停止位置を基準として、1つ以上の停止位置を挟み、かつ、回転テーブルの回転方向下流側に位置する停止位置の下型プレス面上に位置する略板状のガラス(ガラスブランク)を下型から取り出す取出手段と、を備えた構成とすることができる。
さらに、必要に応じて、下型のプレス面に溶融ガラスを供給する前に、BNなどの耐熱性の固体潤滑剤粉末を下型のプレス面上に付着させる固体潤滑剤粉末散布手段や、プレス後に略板状となったガラスの反りを修正するために用いるプレス用の板状部材などからなる反り修正手段など、その他の機構や手段を設けてもよい。なお、回転テーブルに配置される下型の数は、ガラスブランクを作製する上で最低限実施することが必要な4つの工程;すなわち、(1)溶融ガラスを下型のプレス面上に供給するガラス供給工程、(2)下型のプレス面上に供給された軟化状態のガラスを上型と下型とによりプレスするプレス工程、(3)プレスにより略板状となったガラスを下型上に載置した状態で、プレス用の停止位置から取出用の停止位置まで下型と共に搬送する過程で、自然放冷または強制冷却などを利用して均熱させつつ冷却する均熱・冷却工程、および、(4)下型のプレス面上で均熱・冷却された略板状のガラス(ガラスブランク)を真空吸着などを利用して下型から取り出す取出工程、に対応させる意味で、原理的には最低4つあればよい。しかしながら、プレス成形後から取り出しまでの略板状となったガラスの冷却期間の確保や、プレス成形前の下型プレス面の余熱時間の確保なども考慮すると、実用上、下型の数は、6個以上30個以下程度が好ましい。
下型および上型の材料は、耐熱性がありかつ高い熱伝導率を有する材料が好ましい。このような材料としては、グラファイト、タングステン合金、窒化物、炭化物、耐熱金属等が挙げられ、特に、安価で加工しやすく、十分な強度、耐久性を有する点からは鋳鉄が好ましい。
(情報記録媒体用基板の製造方法)
上述した本実施形態のガラスブランクの製造方法により作製されたガラスブランクについては、このガラスブランクの少なくとも片面を研削・研磨する研削・研磨工程を少なくとも経て、情報記録媒体用基板を作製することができる。また、ガラスブランクを構成するガラスが熱処理により結晶化可能なガラス組成を有する場合は、上記工程の他に、ガラスブランクを加熱することにより結晶化させる結晶化工程を組み合わせることもできる。なお、情報記録媒体用基板の製造の一典型例としては、たとえば、(1)第1ラッピング工程、(2)切り出し工程(コアリング、フォーミング)、(3)端面研削工程、(4)第2ラッピング工程、(5)端面研磨工程、(6)主表面研磨工程、(7)化学強化工程および冷却工程、(8)精密洗浄工程、をこの順に実施することできる。以下、これら8つの工程についてより具体的に説明する。
(1)第1ラッピング工程
第1ラッピング工程では、ガラスブランクの両主表面をラッピング加工することで、ディスク状のガラス素板を得る。このラッピング加工は、遊星歯車機構を利用した両面ラッピング装置により、アルミナ系遊離砥粒を用いて行うことができる。具体的には、ガラス素板の両面に上下からラップ定盤を押圧させ、遊離砥粒を含む研削液をガラス素板の主表面上に供給し、これらを相対的に移動させてラッピング加工を行うことができる。このラッピング加工により、平坦な主表面を有するガラス素板が得られる。
(2)切り出し工程(コアリング、フォーミング)
次に、ダイヤモンドカッタを用いてガラス素板を切断し、このガラス素板から、円盤状のガラス基板を切り出す。次に、円筒状のダイヤモンドドリルを用いて、このガラス基板の中心部に円孔を形成し、ドーナツ状のガラス基板を得る(コアリング)。
(3)端面研削工程
そして内周端面および外周端面をダイヤモンド砥石によって研削し、所定の面取り加工を施す(フォーミング)。
(4)第2ラッピング工程
次に、得られたガラス基板の両主表面について、第1ラッピング工程と同様に、第2ラッピング加工を行う。この第2ラッピング工程を行うことにより、前工程である切り出し工程や端面研磨工程において主表面に形成された微細な凹凸形状を予め除去しておくことができ、後続の主表面に対する研磨工程を短時間で完了させることができる。
(5)端面研磨工程
次に、ガラス基板の端面について、ブラシ研磨方法により、鏡面研磨を行う。このとき、研磨砥粒としては、酸化セリウム砥粒を含むスラリー(遊離砥粒)を用いることができる。この端面研磨工程により、ガラス基板の端面から、パーティクル等の発塵を防止できる。
(6)主表面研磨工程
主表面研磨工程の前半工程として、まず第1研磨工程を実施する。この第1研磨工程は、前述のラッピング工程において主表面に残留したキズや歪みの除去を主たる目的とする。この第1研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、硬質樹脂ポリッシャを用いて、主表面の研磨を行う。研磨液としては、たとえば、酸化セリウム砥粒を用いることができる。そして、この第1研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、IPA(イソプロピルアルコール)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄する。
次に、主表面研磨工程の後半工程として、第2研磨工程を実施する。この第2研磨工程は、主表面を鏡面状に仕上げることを目的とする。この第2研磨工程においては、遊星歯車機構を有する両面研磨装置により、軟質発泡樹脂ポリッシャを用いて、主表面の鏡面研磨を行うことができる。研磨液としては、第1研磨工程で用いた酸化セリウム砥粒よりも微細な酸化セリウム砥粒を用いることができる。この第2研磨工程を終えたガラス基板を、中性洗剤、純水、IPA(イソプロピルアルコール)の各洗浄槽に順次浸漬して、洗浄する。なお、各洗浄槽には、超音波を印加する。
(7)化学強化工程および冷却工程
情報記録媒体用基板の作製に用いるガラスブランクが、リチウムやナトリウムなどのアルカリ金属を含むガラスからなる場合は、前述のラッピング工程及び研磨工程を終えたガラス基板に、化学強化を施すのが好ましい。化学強化工程を行うことにより、情報記録媒体用基板の表層部に高い圧縮応力を生じさせることができる。このため、情報記録媒体用基板の表面の耐衝撃性を向上させることができる。このような化学強化処理は、情報を記録再生するヘッドが、機械的に情報記録媒体表面に接触する可能性のある磁気記録媒体を作製する上で非常に好適である。
化学強化は、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムを混合した化学強化溶液を準備し、この化学強化溶液を加熱しておくとともに、洗浄済みのガラス基板を予熱し、化学強化溶液中に浸漬することによって行う。このように、化学強化溶液に浸漬処理することによって、ガラス基板の表層のリチウムイオン及びナトリウムイオンが、化学強化溶液中のナトリウムイオン及びカリウムイオンにそれぞれ置換され、ガラス基板が強化される。
続いて、化学強化工程を終えたガラス基板を、水槽に浸漬して冷却し、しばらくの間維持する。そして、冷却を終えたガラス基板を、加熱した濃硫酸に浸漬して洗浄を行う。さらに、硫酸洗浄を終えたガラス基板を、純水、IPA(イソプロピルアルコール)の各洗浄槽に順次浸漬して洗浄する。なお、各洗浄槽には超音波を印加する。
(8)精密洗浄工程
次に、研磨剤残渣や外来の鉄系コンタミなどを除去し、ガラス基板の表面をより平滑かつ清浄にするために、精密洗浄工程を実施するのが好ましい。このような精密洗浄工程の実施は、情報を記録再生するヘッドが、機械的に情報記録媒体表面に接触する可能性のある磁気記録媒体を作製する上で非常に好適である。精密洗浄の実施によりヘッドクラッシュやサーマルアスペリティの発生を抑制できるためである。なお、精密洗浄工程としては、アルカリ性水溶液による洗浄の後に、水リンス洗浄、IPA洗浄工程を行うようにしてもよい。
これらの一連の工程を経て作製された情報記録媒体の表面粗さは、Raでサブナノメーターのオーダーとすることができる。なお、表面粗さは、主表面研磨条件や洗浄条件を選択することにより適宜調整することができる。なお、以上、8つの工程を経て得られた情報記録媒体用基板は、公知の磁気記録、光記録、光磁気記録等の公知の各種記録方式を採用した情報記録媒体の作製に用いることができるが、特に磁気記録媒体の作製に用いることが好適である。また、磁気記録媒体用基板ほどに、情報記録媒体用基板表面の清浄性、平滑性、耐衝撃性が要求されない用途の情報記録媒体用基板の場合は、必要に応じて上記8つの工程の一部を実施しなくてもよいし、また、各工程をより簡略化したり、よりラフな条件で実施してもよい。
(情報記録媒体の製造方法)
このようにして得られた情報記録媒体用基板の少なくとも片面に、情報記録層を形成する情報記録層形成工程を少なくとも経ることで、情報記録媒体を製造することができる。なお、磁気記録媒体を作製する場合は、情報記録層として磁気記録層が設けられる。この磁気記録媒体は、水平磁気記録方式および垂直磁気記録方式のいずれであってもよいが、垂直磁気記録方式であることが好ましい。垂直磁気記録方式の磁気記録媒体を作製する場合は、たとえば、情報記録媒体用基板の両面に、Cr合金からなる付着層、FeCoCrB合金からなる軟磁性層、Ruからなる下地層、CoCrPt−TiO合金からなる垂直磁気記録層、水素化炭素からなる保護層、パーフルオロポリエーテルからなる潤滑層を、この順に順次成膜することができる。なお、付着層、軟磁性層、下地層、垂直磁気記録層は、スパッタリング法により成膜することができ、保護層は、スパッタリング法やCVD法(Chemical Vapor Deposition法)により成膜することができ、潤滑層は浸漬塗布法により成膜することができる。また、付着層から保護層までの成膜は、各層の連続成膜が可能なインライン型または枚葉型のスパッタリング装置を用いることができ、潤滑層の成膜は浸漬塗布装置を用いることができる。
以下に本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
(プレス成型装置)
評価には、外周縁に沿って等間隔に下型が16個配置され、プレスに際しては、一方向に22.5度毎に移動と停止とを交互に繰り返しながら回転する回転テーブルを備えたプレス装置を用いた。また、回転テーブルの外周縁上に配置された16個の下型に対応する16個の下型停止位置に対して、回転テーブルの回転方向に沿ってP1〜P16の番号を付した際に、以下の下型停止位置の下型プレス面上または下型の側には、各々下記の部材が配置されている。
・下型停止位置P1:ガラス供給手段
・下型停止位置P2:上型
・下型停止位置P4:反り修正プレス用上型
・下型停止位置P12:取出手段(真空吸着装置)
また、下型が停止位置P2〜P12へと、移動する際に均熱・冷却工程が実施され、停止位置P12〜P16へと移動する際に、ヒーターを利用して下型の予熱が行われる。
(上型)
評価には、以下に示す下型を用いた。
−上型A1−
上型A1として、図6に示す形状を有する鋳鉄製の上型を準備した。なお、各部の主要な寸法は以下の通りである。
・胴体部42の外径D(out)=120mm
・空洞部44の内径D(in)=66mm
・D(in)/成形されるガラスブランクの外径(71mm)=93%
・凹部48の直径D(h)=15mm
・内壁面46Aにおける底部肉厚Ta=13mm
・内壁面46Bにおける底部肉厚Tb=18mm
・Ta/Tb=0.72
また、テストに際しては、冷却用液体として室温(22℃)前後の水を用いて、空洞部44中を矢印F方向に流した。なお、テストに際しては、プレス直前のプレス面の温度プロファイルが表1に示すものとなるように冷却用液体の流量や、プレス前の上型の予熱を制御した。
−上型A2−
上型A2として、上型A1に対して下記の寸法を変更したものを準備した。なお、この変更点以外は上型A2は、上型A1と同様である。
・空洞部44の内径D(in)=58mm
・D(in)/成形されるガラスブランクの外径(71mm)=82%
−上型A3−
上型A3として、上型A1に対して下記の寸法を変更したものを準備した。なお、この変更点以外は上型A3は、上型A1と同様である。
・空洞部44の内径D(in)=76mm
・D(in)/成形されるガラスブランクの外径(71mm)=107%
−上型A4−
上型A4として、上型A1に対して下記の寸法を変更したものを準備した。なお、この変更点以外は上型A4は、上型A1と同様である。
・内壁面46Aにおける底部肉厚Ta=12mm
・内壁面46Bにおける底部肉厚Tb=20mm
・Ta/Tb=0.6
−上型A5−
上型A5として、上型A1に対して下記の寸法を変更したものを準備した。なお、この変更点以外は上型A5は、上型A1と同様である。
・凹部48の直径D(h)=20mm
−上型B1−
上型B1として、図7に示す形状を有する鋳鉄製の上型を準備した。なお、各部の主要な寸法は以下の通りである。
・胴体部42の外径D(out)=120mm
・空洞部44の内径D(in)=66mm
・D(in)/ガラスブランクの外径(71mm)=93%
・内壁面46の曲率半径=140mm
・内壁面46の最小底部肉厚Tmin(内壁面中心部の肉厚)=13mm
・内壁面46の最大底部肉厚Tmax(内壁面最外部の肉厚)=21mm
−上型C1−
上型C1として、上型A1に対して下記の寸法を変更したものを準備した。なお、この変更点以外は上型C1は、上型A1と同様である。
・空洞部44の内径D(in)=53mm
・D(in)/成形されるガラスブランクの外径(71mm)=75%
−上型D1−
上型D1として、図10に示す形状を有する鋳鉄製の上型を準備した。なお、各部の主要な寸法は以下の通りである。また、図10は、従来の上型の一例を示す模式断面図であり、図10に示す上型100は凹部48を有さない点を除けば、図6に示す上型30と同様の構成を有するものである。なお、図中、図6に示すものと同様の機能・構造を有する部材については同じ符号が付してある。
・胴体部42の外径D(out)=120mm
・空洞部44の内径D(in)=66mm
・D(in)/ガラスブランクの外径(71mm)=93%
・内壁面46における底部肉厚T=18mm
また、テストに際しては、冷却用媒体として室温(22℃)前後の水、または、空気に水粒子を噴霧分散させた室温(22℃)のガスを用いて、空洞部44中を矢印F方向に流した。なお、テストに際しては、プレス面中央部の温度(図1中の中心点に相当する位置の温度Tc)が、表1に示す温度となるように冷却用媒体の流量や、プレス前の上型の予熱を制御した。
−下型および反り修正プレス用上型−
後述する全ての実験例において用いた下型および反り修正プレス用上型は、図10に示す鋳鉄製の上型とほぼ同様の構造を有するものを用いた。また、テストに際しては、冷却用媒体として空気に水粒子を噴霧分散させた室温(22℃)のガスを用いて、空洞部44中を矢印F方向に流した。なお、この際のガスの流量はいずれの実験例においても同じ値とした。
(実験例1)
アルミノシリケートガラスを溶融した溶融ガラスを、下型のプレス面上に供給した後、上型と下型とによりサイドフリー方式でプレスすることにより断面形状が図2に示す形状を有するガラスブランク2(厚みt0.9mm、直径d71mm、t/d=0.013)を1000枚作製した。なお、このガラスブランクの作製に際しては、下型として下型A1を用いた。ガラスブランクを作製する際の主要な製造条件は以下の通りである。
・ガラス転移温度Tg:485℃
・ガラスの平均線膨張係数:95×10−7/K(100〜300℃)、98×10−7/K(300〜Tg℃)、37×10−6/K(Tg〜530℃)
・プレス前の下型プレス面への固体潤滑剤粉末の散布:無し(固体潤滑剤粉末不使用)
・プレス時の上型プレス面の温度:450℃(面内平均温度)
・下型上に投入される溶融ガラスの粘度:40Pa・s
・プレス時間(ガラスに圧力を加える時間):0.6秒
・上型のプレス面を構成する材料:鋳鉄
・下型からガラスブランクをテイクアウトする際のガラスブランクの温度:520℃
・テイクアウト後のガラスブランクの放置環境:常温大気中環境
なお、プレス成型直前の上型(プレスのために下型停止位置P2の上方にて待機している際の上型)のプレス面の温度特性を赤外線放射温度計を利用して測定したところ、その温度プロファイルは表1に示す通りであった。また、プレス時のプレス圧力は、表1に示す目標アスペクト比が得られるように調整した。
(実験例2〜10)
使用する下型の種類や、プレス成型直前の上型のプレス面の温度特性を表1に示した状態に制御した上で、プレス時のプレス圧力を表1に示す目標アスペクト比が得られるように調整した以外は実験例1と同様にしてガラスブランクを製造した。
(評価結果)
各実験例のプレステストの結果を表1に示す。なお、表1中、実験例1〜8は本発明のガラスブランクの製造方法の実施例に該当するものであり、実験例9および10は本発明のガラスブランクの製造方法の比較例に該当するものである。また、実験例1〜7は本発明の上型の実施例に該当するものであり、実験例8〜10は本発明の上型の比較例に該当するものである。
Figure 0005485665
−平面性−
なお、表1中に示す平面性は、反り修正プレス法を併用した上で、連続10000枚のプレステストを行った際に、9001枚目〜10000枚目の合計1000枚のサンプルについて、ガラスブランク2の中央φ30mm内につき、それより外側が形成する基準面に対する盛り上がり高さをサーフコム(株式会社東京精密製)により直径方向に測定することにより評価した。なお、基準面からの盛り上がり高さが20μmを超えたものを不良品としてカウントした。評価基準は以下の通りである。
A:不良品は発生せず。
B:1000枚当たり1枚以上5枚未満の不良品が発生
C:1000枚当たり6枚以上10枚未満の不良品が発生
D:1000枚当たり10枚以上100枚未満の不良品が発生
E:1000枚当たり100枚以上の不良品が発生
1 円板状に広がり終えたガラス
2、3、4 ガラスブランク
10 薄肉部
12、14 厚肉部
20 上型
22 下型
24 胴型
26 ガラス塊
30、32 上型
40 プレス面
42 胴体部
44 空洞部
46、46A、46B 内壁面
48 凹部
50、50R、50L 仕切り部材
100 上型

Claims (10)

  1. 下型のプレス面の中央部に、軟化状態のガラスを供給した後、上型と上記下型との間で上記軟化状態のガラスをプレス成型するプレス工程を少なくとも経て、情報記録媒体基板用のガラスブランクが作製され、
    上記プレス工程の実施直前において、上記上型プレス面の中央部近傍の温度が、上記上型プレス面の他の領域の温度よりも低く、
    上記上型が、
    軟化状態のガラスを上型との間で挟んでプレス成型するためのプレス面を有する柱状の胴体部と、
    該胴体部の内部であって、上記プレス面と近接する位置に設けられた空洞部と、
    上記空洞部の上方側の空間に、外周側流路および中央流路を形成するように、上記空間内に配置された仕切り部材と、
    を備え、
    上記空洞部の上記プレス面と平行な方向における内径が、プレス成形するガラスブランクの外径の80%以上であり、
    上記胴体部の軸方向における、上記空洞部の上記プレス面側の内壁面と、上記プレス面との間の距離が、上記プレス面の中央部において極小を成し、
    上記プレス面が平坦面からなり、
    連続プレスの実施に際しては、冷却用媒体を、(1)上記中央流路の上方側から下方側を経て、上記空洞部の底面側を、上記内壁面の中央部近傍側から外周側へと移動させ、さらに上記外周側流路を下方側から上方側へと移動させ、または、(2)上記(1)に示す移動方向とは逆方向に移動させることを特徴とするガラスブランクの製造方法。
  2. 請求項1に記載のガラスブランクの製造方法において、
    前記プレス面の中央部近傍に対応する位置の前記空洞部の前記プレス面側の内壁面に、凹部が設けられていることを特徴とするガラスブランクの製造方法
  3. 請求項1に記載のガラスブランクの製造方法において、
    前記空洞部の前記プレス面側の内壁面が、前記プレス面側に窪むように湾曲した曲面であることを特徴とするガラスブランクの製造方法
  4. 軟化状態のガラスを上型との間で挟んでプレス成型するためのプレス面を有する柱状の胴体部と、
    該胴体部の内部であって、上記プレス面と近接する位置に設けられた空洞部と、
    上記空洞部の上方側の空間に、外周側流路および中央流路を形成するように、上記空間内に配置された仕切り部材と、
    を備え、
    上記空洞部の上記プレス面と平行な方向における内径が、プレス成形するガラスブランクの外径の80%以上であり、
    上記胴体部の軸方向における、上記空洞部の上記プレス面側の内壁面と、上記プレス面との間の距離が、上記プレス面の中央部において極小を成し、
    上記プレス面が平坦面からなり、
    連続プレスの実施に際しては、冷却用媒体を、(1)上記中央流路の上方側から下方側を経て、上記空洞部の底面側を、上記内壁面の中央部近傍側から外周側へと移動させ、さらに上記外周側流路を下方側から上方側へと移動させ、または、(2)上記(1)に示す移動方向とは逆方向に移動させることを特徴とするガラスプレス用上型。
  5. 請求項に記載のガラスプレス用上型において、
    前記プレス面の中央部近傍に対応する位置の前記空洞部の前記プレス面側の内壁面に、凹部が設けられていることを特徴とするガラスプレス用上型。
  6. 請求項に記載のガラスプレス用上型において、
    前記空洞部の前記プレス面側の内壁面が、前記プレス面側に窪むように湾曲した曲面であることを特徴とするガラスプレス用上型。
  7. 下型と、
    該下型に対して、対向配置されると共に、上記下型に接近する方向および離間する方向に相対的に移動可能な上型と、
    を少なくとも備え、
    上記上型が、
    軟化状態のガラスを上型との間で挟んでプレス成型するためのプレス面を有する柱状の胴体部と、
    該胴体部の内部であって、上記プレス面と近接する位置に設けられた空洞部と、
    上記空洞部の上方側の空間に、外周側流路および中央流路を形成するように、上記空間内に配置された仕切り部材と、
    を備え、
    上記空洞部の上記プレス面と平行な方向における内径が、プレス成形するガラスブランクの外径の80%以上であり、
    上記胴体部の軸方向における、上記空洞部の上記プレス面側の内壁面と、上記プレス面との間の距離が、上記プレス面の中央部において極小を成し、
    上記プレス面が平坦面からなり、
    連続プレスの実施に際しては、冷却用媒体を、(1)上記中央流路の上方側から下方側を経て、上記空洞部の底面側を、上記内壁面の中央部近傍側から外周側へと移動させ、さらに上記外周側流路を下方側から上方側へと移動させ、または、(2)上記(1)に示す移動方向とは逆方向に移動させることを特徴とするプレス成型装置。
  8. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のガラスブランクの製造方法により作製されたガラスブランクの少なくとも片面を研削・研磨する研削・研磨工程を少なくとも経て、情報記録媒体用基板を作製することを特徴とする情報記録媒体用基板の製造方法。
  9. 請求項に記載の情報記録媒体用基板の製造方法において、
    前記ガラスブランクを加熱することにより結晶化させる結晶化工程を有することを特徴とする情報記録媒体用基板の製造方法。
  10. 請求項または請求項に記載の情報記録媒体用基板の製造方法により作製された情報記録媒体用基板の少なくとも片面に情報記録層を形成する情報記録層形成工程を少なくとも経て、情報記録媒体を製造することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
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