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JP5485117B2 - 接合体 - Google Patents

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JP5485117B2
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Description

本発明は、接合体に関するものであり、特に、切削工具に好適な接合体に関する。
従来より、cBN(立方晶窒化硼素)切削工具に代表されるように、先端に高硬度材料をロウ付けにより接合した切削工具が製造されており、特殊鋼材その他各種の切削加工に利用されている。
具体的には、例えば、超硬合金とcBNをロウ付けにより接合した工具が製造・販売されている(例えば、非特許文献1)。あるいは、PCD(焼結ダイヤモンド)またはcBNと、セラミックスまたはサーメットとをロウ付けにより接合した接合体が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。また、超硬合金またはサーメットと、高速度鋼等とを、Cuロウ材を用いたロウ付けにより接合した切削工具も提案されている(例えば、特許文献3)。
そして、近年、これらの内でも、特に、超硬合金とcBNが接合された切削工具が注目されている。
特開2002−36008号公報 特許第3549424号公報 特開平11−294058号公報
住友電工ハードメタル株式会社発行、イゲタロイ 切削工具(’07−’08総合カタログ)、2006年10月、p.L4、コーティドスミボロンシリーズ
しかしながら、上記した従来の方法により得られた接合体においては、接合強度が未だ充分大きいとは言えず、接合強度がより大きな接合体、特に、超硬合金とcBNが強固に接合された接合体が望まれていた。
本発明者は、上記課題を解決するにあたって、種々の実験を行い、鋭意検討した結果、一般的に超硬合金焼結体やcBN焼結体の結合相成分に用いられるTiを接合材に含有させた場合、接合に際して、Tiが超硬合金焼結体やcBN焼結体に元素拡散して、両者が強固に接合された、即ち、大きな接合強度の接合体を得ることができることが分かった。
そして、この接合においては、接合材とcBN焼結体との界面に、TiとcBN焼結体の窒素成分との反応生成物であるTiN化合物層が形成されており、その厚みが接合強度に関係していることが分かった。
具体的には、加熱時間やTi量の増加によってTiN化合物層が厚くなり、これに伴って、TiN化合物層のcBN焼結体に対する優れた濡れ性とも相俟って、接合強度が大きくなる。しかし、TiN化合物層が一定の厚みを超えると、TiN化合物層の脆さが接合強度に大きな影響を与え、あまりに厚く形成された場合、具体的には、300nm(ナノメートル)を超える厚みのTiN化合物層が形成された場合、この形成されたTiN化合物層が容易に破断されて、却って大きな接合強度を得られない。100nm以下であれば大きな接合強度を得やすくより好ましい。また、前記TiN化合物は粒状晶、柱状晶、アモルファスなどどのような結晶状態でも良い。
一方、加熱時間が短い、あるいはTi量が少なく、TiN化合物層が薄すぎる場合、具体的には、10nm未満のTiN化合物層が形成されるに留まった場合は、Tiの被接合材への元素拡散が充分に行われないことや、TiN化合物層が接合面全面に生成されずTiN化合物が生成する面積が小さくなりやすいため、大きな接合強度を得られないことが分かった。なお、上記TiN化合物層には、Ti、N以外の成分が少量含まれていてもよい。そのような成分としては、cBNや超硬合金を構成する元素、接合材を構成する元素を挙げることができる。
そして、このような接合体は、通常、cBN焼結体の底面と背面の2面で、接合材を介して超硬合金焼結体と接合されるが、切削時、ワークと接する際、刃先に衝撃がかかるため、比較的軟質層である接合材が衝撃を緩和する効果がある。その一方、接合材の熱伝導率は、被接合材である超硬合金焼結体やcBN焼結体に比べて低いため、接合層の厚みを厚くした場合、cBN焼結体から超硬合金焼結体への伝熱が阻害されて、耐摩耗性の向上効果を得にくい。
本発明者は、切削時、特に刃先の温度が上がりやすい高速切削時、衝撃を受けやすい底面側の接合層の厚みを比較的厚くする一方で、負荷がかかりにくい背面側の接合層の厚みを薄くして熱伝導性を向上させることにより、刃先の温度上昇を抑制できると共に、耐摩耗性を向上できることを見出した。
請求項1に記載の発明は、上記の知見に基づく発明であり、
超硬合金焼結体を第1の被接合材とし、cBN焼結体を第2の被接合材とする接合体であって、前記第1の被接合材および第2の被接合材は、両者の間に設置されたチタン(Ti)を含有する接合材を介して、少なくとも、前記第2の被接合材の背面と底面からなる2面で接合されており、前記第2の被接合材と前記接合材との界面に、厚み10〜300nmの窒化チタン(TiN)化合物層が形成されていると共に、前記背面の接合層の厚みが、底面の接合層の厚みよりも薄いことを特徴とする接合体である。
請求項1の発明によれば、前記したように、超硬合金焼結体とcBN焼結体との間に、大きな接合強度を有する接合体を得ることができるため、高強度に接合された切削工具等を提供することができる。また、刃先の温度上昇を抑制することができ、耐摩耗性を向上させることができる
前記の通り、請求項1における窒化チタン(TiN)化合物層には、本請求項の発明の趣旨を逸脱しない範囲の少量のTi、N以外の元素を含有する化合物も含まれる。
接合は加熱により行われるが、cBN焼結体は、熱に弱く、高温で分解されやすいため、短時間で熱劣化しやすい。このため、加熱は短時間に行われることが好ましい。
具体的な加熱手段としては、通電時間1分以内の通電加熱が好ましく、30秒以内が特に好ましく、その際の第1の被接合材である超硬合金焼結体の温度としては、1000〜1300℃程度が好ましい。
接合材の融点が1000℃以下であると、cBN焼結体の品質劣化を防ぎ、かつTiN化合物層厚みを所定の範囲に制御しやすく好ましい。
接合材の融点が1000℃以上である場合、所定のTiN化合物層厚みを得るために加熱時間を長くするか、あるいは加熱温度を高くする必要があるが、加熱時間を長くするとcBNの品質劣化が生じやすく、加熱温度を高くするとTiN化合物層が厚くなりすぎ、また超硬合金焼結体が変形するなどの問題が生じる恐れがある。
加熱に際しては、縦方向、横方向の両方向から加圧しながら加熱することが好ましい。
縦方向、横方向の両方向から加圧することにより、cBN焼結体の接合位置を超硬基材に対して一定とし、正確に位置決めすることができるため、片方向から加圧する場合よりも接合後の研削加工量をより小さくできるほか、cBN焼結体の移動量、研削量を必要最小限の大きさに設計することができ、cBN焼結体をより小さくでき、高価なcBN焼結体の使用量を抑制することができる。
また、縦方向と横方向の加圧力を制御することにより、底面および背面の接合層の厚みを所定の厚み比に制御しやすく好ましい。さらに、濡れ性のみに頼ることなく被接合材と接合材との接触面積を広げられるため、短時間でも接合面積を広くでき、好ましい。横方向から加圧しない、あるいは横方向の加圧力が適切でない場合、主に背面側に隙間が生じやすく、特に幅0.5mm以上の隙間が生じた場合に接合強度が低下しやすい。また、隙間が無い場合でも、加圧していない場合には、接合層内の気泡が残留しやすく、加圧による元素拡散の活性化が期待できない。さらに、短時間で加熱した場合には、濡れ性不足により被接合材間に接合材が広がりきらないため、接合面積が小さくなりやすく、接合強度が低下しやすい。
また、通電加熱を行う場合、超硬基材への加圧力が小さすぎると、超硬合金焼結体と電極との間の接触抵抗が多くなり、電流が流れない、あるいは放電する等の問題が発生する恐れがある。通電加熱を行う場合の好ましい圧力は、0.1〜200MPaである。
なお、コバルト(Co)などのメタルバインダーを含むcBN焼結体やcBN含有率が70%を超えるcBN含有率が大きい焼結体を被接合体として超硬合金に接合した工具では、1000℃以上の温度で長時間加熱による接合を行うと、cBN焼結体に亀裂が生成し良好な接合を行うことが難しい問題点があった。
これはcBNとメタルバインダーの熱膨張係数差が非常に大きいため、1000℃以上の加熱でメタルバインダーの体積膨張が大きくなってcBN焼結体に亀裂が生成したり、cBN含有率が70%を超えるcBN焼結体では基材となる超硬合金との熱膨張係数差が大きく、接合後の冷却過程でcBN焼結体に亀裂が生じてしまうことが原因と考えられる。また、1000℃以上の温度でcBN焼結体のメタルバインダーが液相を生成し、cBN焼結体に亀裂が生成することが原因とも考えられる。
このようなcBN焼結体の品質劣化の発生を防ぐためには、通電加熱時、cBN焼結体よりも超硬合金焼結体が優先的に発熱するように、cBN焼結体と接合材の配置、通電方法を工夫することが好ましい。
具体的には、例えば、cBN焼結体に接する電極と超硬合金焼結体に接する電極の材質を変えることが挙げられる。電極の材質を変えることにより、超硬合金焼結体とcBN焼結体の各々に流れる電流の量が異なるため、それぞれの発熱を制御することができる。また、cBN焼結体よりも超硬合金焼結体を集中的に通電加熱して、間接的にcBN焼結体を加熱してもよい。
このように、通電経路を工夫することにより、超硬合金焼結体をcBN焼結体よりも優先的に加熱することができ好ましい。これにより、cBN焼結体を必要以上に高温加熱することなく、短時間で接合材近傍を高温加熱することができ、強固な接合が可能になると共に、cBN焼結体の品質劣化(熱的劣化、分解、亀裂生成等)を招くことなく、cBN焼結体の高硬度等の特徴を十分に生かすことができる。
請求項2に記載の発明は、
前記背面の接合層の厚みをa、前記底面の接合層の厚みをbとした時、bは1〜50μmであり、かつ、aとbが、0.05<a/b<1の関係にあることを特徴とする請求項1に記載の接合体である。
本発明者は、前記した背面の接合層の厚みと底面の接合層の厚みとの好ましい関係につき、鋭意検討を行った結果、底面の接合層の厚みを1〜50μm、より好ましくは1〜20μmとすることにより、耐欠損性を保つことができることを見出した。さらに、底面の接合層の厚みbに対する背面の接合層の厚みaの比a/bを、所定の範囲に制御することにより、耐欠損性を保ちつつ、刃先の放熱を促進することができ、耐摩耗性の優れた接合体を得ることができることを見出した。
即ち、底面の接合層の厚みが厚すぎる場合には、熱伝導性が低下して、刃先温度が上がりやすくなるため、耐摩耗性が低下しやすい。一方、薄すぎる場合には、耐欠損性が低下しやすい。また、前記のa/bが小さすぎる、即ち、底面の接合層の厚みに対して背面の接合層の厚みが薄すぎる場合には、耐欠損性が低下しやすい。一方、大きすぎる、即ち、底面の接合層の厚みに対して背面の接合層の厚みが厚すぎる場合には、熱伝導性が低下し耐摩耗性が低下しやすくなることを見出した。具体的には、0.05<a/b<1であることが好ましいことが分かった。0.1<a/b<0.8であるとより好ましい。本発明のように背面と底面の接合層厚みを制御することは従来のロウ付け法では難しかった。
請求項3に記載の発明は、
前記接合材が、ジルコニウム(Zr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、銅(Cu)から選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接合体である。
請求項3の発明においては、接合材として、前記したTiに加えて、一般に超硬合金焼結体やcBN焼結体の結合相成分として用いられるCo、Ni、あるいはcBN焼結体と優れた濡れ性を示すAg、Cu、Zrの少なくともいずれかを含む合金からなる接合材を用いているため、接合強度のより高い接合体を得ることができる。
このような接合材としては、例えば、Ag−Ti合金、Cu−Ti合金、Ni−Ti合金、Co−Ti合金、およびこれらの固溶体、例えば、Cu−Ti―Zr合金、Ag−Cu−Ti合金、Cu−Ni−Ti合金、Cu−Ni−Zr−Ti合金等、さらには、これらの金属間化合物等を挙げることができる。なお、超硬合金基材やcBNに含まれる他の成分、例えばW、Cr、Ta、Nbなどが微量含まれていてもよい。例えば、Cu−Cr−Al−Ti合金等を挙げることができる。
金属間化合物は、接合材に最初から含まれていても良い。また、金属間化合物を構成する元素が、接合材には別の状態で含まれており、接合完了後に反応生成されても良い。金属間化合物が反応生成される場合は、接合に反応熱を利用することができるため、接合にとってより有効である。
請求項4に記載の発明は、
前記接合材が、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)から構成されており、
Ti、Zr、Cuの各含有比率の合計をxvol%、
Niの含有比率を(100−x)vol%としたとき、
Tiの含有比率が(0.1〜0.4)xvol%、
Zrの含有比率が(0.1〜0.4)xvol%、
Cuの含有比率が(0.3〜0.7)xvol%
であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の接合体である。
前記した通り、Niは、超硬合金焼結体やcBN焼結体の結合相成分として用いられ、CuやZrは、cBN焼結体と優れた濡れ性を示す材料であるため、これらの材料を含有する接合材を用いた場合、接合強度のより高い接合体を得ることができる。
本発明者が、種々の実験を行ったところ、Ti、Zr、Cuの各含有比率の合計をxvol%、Niの含有比率を(100−x)vol%とし、さらに、Cu、Zr、Tiの各含有比率が上記の比率の場合、接合材の融点、濡れ性が良好となりやすく、より強固な接合を得ることができることが分かった。
請求項5に記載の発明は、
前記接合材に含まれるニッケル(Ni)の含有比率が、70vol%以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の接合体である。
前記したように、超硬合金焼結体やcBN焼結体の結合相成分として用いられるNiを含む接合材は、接合強度のより高い接合体を得ることができる。しかし、Niの比率が70vol%を超えると、接合材中に含まれるTi含有量が相対的に減少し、前記した適切な厚みのTiN化合物層を形成することが困難となるため、好ましくない。
以上、本発明においては、高圧安定型の材料であるcBN焼結体の品質劣化(熱的劣化、分解、亀裂生成等)を招くことなく、高接合強度であると共に、耐摩耗性が高く、かつ耐欠損性に優れた接合体を提供することができ、刃先の温度上昇を抑制して、cBN焼結体の高硬度等の特徴を十分に生かすことができる工具を提供することができる。特に、耐摩工具、鉱山・土木工具、切削工具等の工具として好適に提供することができ好ましい。
本発明によれば、従来の方法により得られた接合体に比べて、接合強度がより大きな接合体を提供することができ、高強度に接合された切削工具等を提供することができる。
本発明の実施の形態における接合体を模式的に示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。 通電加圧接合における通電の一形態を説明する概念図である。 温度測定を説明するための側面図である。 強度測定を説明するための側面図である。
以下、本発明を実施の形態に基づき、図を用いて説明する。
1.接合体の構成
図1は、本実施の形態における接合体を模式的に示す図であって、(a)は側面図、(b)は平面図である。図1において、1は超硬合金焼結体により形成される第1の被接合材であり、2はcBN焼結体により形成される第2の被接合材であり、3は第1の被接合材1と第2の被接合材2との間に介在するTiを含有する接合材であり、第2の被接合材2と接合材3との界面には、厚み10〜300nmのTiN化合物層(図示省略)が形成されている。
(通電加圧接合法)
次に、通電加圧接合法について、図2を用いて説明する。図2は、通電加圧接合における通電の一形態を説明する概念図である。図2において、34は電極であり、35は分割電極であり、36はアルミナ等で形成された水平方向加圧材である。
図2において、分割電極35は第2の被接合材2に接しており、電極34は第1の被接合材1に接している。電極34と分割電極35の材質を変えることで、それぞれの電気伝導度と熱伝導度を変えることができ、第1の被接合材1と第2の被接合材2にそれぞれ異なった電流を与えることが可能となり、それぞれの温度を極端に変えることが可能となる。
これにより、第2の被接合材2よりも第1の被接合材1を優先的に発熱させることが可能になるため、熱に弱く、短時間で熱劣化しやすい第2の被接合材2(cBN焼結体)の熱劣化を防ぐことができる。
さらに、それぞれの電極を独立して加圧することにより、第1の被接合材1と第2の被接合材2に与える圧力を高精度に制御することができる。このため、第1の被接合材1が最適な接触抵抗となるように、第2の被接合材2の水平方向加圧材36による横方向加圧力と最適なバランスで加圧して、接合材3(接合層)厚みを最適な厚みにすることができる。
(通電条件)
通電条件は、使用される被接合材1、2および接合材3の材質等により、適宜決定されるが、接合材3近傍以外で、被接合材1、2の材料の変形・溶融や、粒子の粗大化を招かないためには、1分以内、特に30秒以内程度が好ましい。
(接合材の形態)
通電加圧接合を行う接合材3の形態としては、第1の被接合材1や第2の被接合材2の表面に粉末、箔、もしくはペースト状にして塗布する方法の他、めっき法や物理蒸着法で被覆する方法を採用することができる。めっき法や物理蒸着法で被覆する方法は、接合材3を被覆した後に被接合材1、2をハンドリングしやすく、接合工程の自動化に有利である他、被覆膜厚の制御も行いやすいため、接合強度を安定化させる上で特に好ましい。
(加圧)
加圧しながら通電加熱することで、接合材3は変形しやすくなり、接合材3と被接合材1、2の密着性は高まり、元素拡散しやすくなる。この結果、接合強度を飛躍的に高めることができる。特に、本発明の接合体を切削工具、例えば切削チップに適用する場合、基材である第1の被接合材1と第2の被接合材2の接合面は、上下方向と水平方向の2方向となり、両方向で第1の被接合材1と第2の被接合材2がしっかりと接合されることが必要となる。このような場合では、前記した通り2方向からの加圧を行うことが好ましい。
加圧力は小さすぎると電極と被接合材1、2の接触抵抗が多くなり、電流を流せなくなる、あるいは放電してしまうこと等があり、不適当である。また、大きすぎると超硬合金焼結体が変形するため、不適当である。本発明の場合、被接合材1では0.1MPa〜200MPa、被接合材2では0.01〜50MPaが適当である。
(雰囲気)
接合中の雰囲気は、被接合材1、2および接合材3のいずれとも金属を含むため、真空中あるいは不活性ガス中あるいは還元雰囲気中で行うことが望ましい。真空度は特に限定されないが、13.3Pa(0.1Torr)より高真空であることが望ましい。不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素、あるいはこれらの混合ガスを挙げることができる。還元雰囲気としては、前記不活性ガスに水素ガスを若干割合混合したガス雰囲気や、被接合材3近傍に加熱した黒鉛を設置する方法を挙げることができる。
(電流の形態)
通電する電流の形態は、被接合材1、2および接合材3を適切な温度に加熱できるための電流を流すことができるのであれば直流電流、交流電流とも使用できる。特に、直流パルス電流はピーク電流値とパルスのON、OFF比を変えることができるため、接合界面の瞬間的な加熱と被接合体1、2の全体的な温度制御範囲を広げることができ、接合には有効である。
(接合材の厚みの設定)
次に、接合材3の厚みについて、図1を用いて説明する。接合材3の厚みは、背面側の厚みaに比べて底面側の厚みbを厚く、好ましくは0.05<a/b<1と底面側の厚みbを厚く設定することにより、耐摩耗性が高く、かつ耐欠損性にも優れた接合体が得られる。
1.接合材の作製
表1に示す各接合材3を用いて、各接合条件に従って、実施例1〜15および比較例1〜7の接合体を作製した。
(1)TiN化合物層の厚み
表1による。
(2)第1の被接合材1(実施例および比較例に共通)
材質:1箇所にザグリを入れた超硬合金焼結体(台金)
形状:先端角90°、内接円12.7mm、厚み4.76mm、R0.8mm(JIS:SNGN120408)
(3)第2の被接合材2(実施例および比較例に共通)
材質:cBN(チップ)(cBN含有率90%)
形状:2mm×1mm、厚み1.2mm
(4)接合材、加熱方法、接合条件
表1の通りである。表1の接合材組成の欄は、接合された状態における接合材3の組成を示しており、EPMA法により調べた結果であり、この組成は出発材の接合材3の組成と一致していた。第1の被接合材のザグリに対して、第2の被接合材が底面1mm×1mmの範囲で接触し、かつ背面でも接触するようにセットし接合する。
2.測定方法
(1)接合材の厚み
研磨を行った後、顕微鏡観察により底面接合材厚み(第2の被接合材2の底面側の接合材3の露出面での平均厚み)、背面接合材厚み(第2の被接合材2の背面側の接合材3の露出面での平均厚み)を測定した。結果を表1に示す。
(2)TiN化合物層の厚み
接合界面をFIB加工した後、TEMによる観察およびEDX、EELSによる組成分析を行うことによりTiN化合物層の厚みを測定した。観察する倍率は、TiN化合物層の厚みにより適宜調整し、1視野内における厚みの平均値を求めた。結果を表1に示す。
(3)基材温度の測定
図3は、基材温度の測定方法を説明する模式図である。図3において、44は、接合体の第1の被接合材1に照射されるレーザーのレーザースポットである。
第1の被接合材1(超硬合金焼結体)のザグリ付近の温度を、放射温度計を用いて測定した。具体的には、図4に示すように、第1の被接合材1(13mm角×厚み5mm)の上面およびザグリの背面から1mmの位置に、レーザースポット44(直径1mm)の中心を位置させ、レーザースポット44の温度を放射温度計により測定した。測定結果を表1に示す。
(4)接合強度の測定
図4に接合強度の測定方法を示す。接合体を紙面の上下から加圧した状態で、紙面に垂直な力を第2の被接合材2の第1の被接合材から出っ張った部分に加えることにより、接合材3にせん断力を与え、破断時の強度を接合強度とした。測定結果を表1に示す。
3.観察
接合強度測定後の実施例および比較例の破断面をSEM・EDXにより観察した。また、接合面をTEMにより観察した。
実施例4の破断面のSEM像、EDX像および接合面のTEM像観察、EELS分析により、Bリッチ層、即ち脆いとされるTiN化合物層ではなく、cBN内で破断しており、大きな接合強度が得られていることが分かった。これに対して、比較例7は、TiN化合物層の厚みが過大となり、TiN化合物層で破断しており、大きな接合強度が得られないことが分かった。他の実施例および比較例についても、同様にして観察した。
4.評価
表1より、TiN化合物層の厚みにより、接合強度は変動し、10〜300nmの範囲内にある場合には、高い接合強度が得られることが分かった。なお、実施例9については、底面にボイド(隙間)が発生しているため、接合強度が低下している。また、実施例12〜15は請求項4を満足する実施例である。
また、実施例2〜6のように加熱時間が10〜60秒の場合には適切な厚みのTiN化合物層が形成され、cBNの熱劣化が認められず、実施例4のように加熱時間が20秒の場合には特に高い接合強度が得られることが分かった。
Figure 0005485117
なお、表1において接合材組成の欄のCu、Zr、Co、Niに付記されている数値は、各金属のvol%を表す数値である。
6.切削試験
次に、実施例4で得られた接合体の底面、背面接合材厚みを調整した試料(実施例16〜21、および比較例8)を作製し、切削試験を行った。底面、背面接合厚みは横方向加圧力を適宜調整して作製した。切削条件は以下の通りである。
切削速度:1200m/min
切り込み:0.3mm
送り速さ:0.25mm/rev
切削時間:20min
被削材:FC300(湿式)
結果を表2に示す。
Figure 0005485117
表2より、底面厚みが1〜50μmでかつ底背面厚み比(背面厚み/底面厚み)が0.05を超え1未満である実施例18〜21の場合、摩耗量は0.29mm以下であり、耐摩耗性に優れていることが分かった。さらに底背面厚み比(背面厚み/底面厚み)が0.8未満であると摩耗量は0.21mm以下でありより好ましいことが分かった。これに対して、底面厚みが50μmを超えて厚すぎる実施例16の場合、切削中に接合層が塑性変形し、欠損が生じていた。そして、底背面厚み比が1を超えている比較例8の場合、背面厚みが厚すぎるため、刃先温度が上昇して、大きな摩耗を示していた。また、底面厚みに比べて背面厚みが薄すぎ、底背面厚み比が0.05を下回っている実施例17の場合、耐欠損性が低くなりすぎ、欠損が生じていた。
以上、本発明を実施の形態に基づき説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
1 第1の被接合材
2 第2の被接合材
2a 底面
2b 背面
3 接合材
34 電極
35 分割電極
36 水平方向加圧材
44 レーザースポット
a 背面の接合総の厚み
b 底面の接合総の厚み

Claims (5)

  1. 超硬合金焼結体を第1の被接合材とし、cBN焼結体を第2の被接合材とする接合体であって、前記第1の被接合材および第2の被接合材は、両者の間に設置されたチタン(Ti)を含有する接合材を介して、少なくとも、前記第2の被接合材の背面と底面からなる2面で接合されており、前記第2の被接合材と前記接合材との界面に、厚み10〜300nmの窒化チタン(TiN)化合物層が形成されていると共に、前記背面の接合層の厚みが、底面の接合層の厚みよりも薄いことを特徴とする接合体。
  2. 前記背面の接合層の厚みをa、前記底面の接合層の厚みをbとした時、bは1〜50μmであり、かつ、aとbが、0.05<a/b<1の関係にあることを特徴とする請求項1に記載の接合体。
  3. 前記接合材が、ジルコニウム(Zr)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、銅(Cu)から選ばれた1種または2種以上を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の接合体。
  4. 前記接合材が、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)から構成されており、
    Ti、Zr、Cuの各含有比率の合計をxvol%、
    Niの含有比率を(100−x)vol%としたとき、
    Tiの含有比率が(0.1〜0.4)xvol%、
    Zrの含有比率が(0.1〜0.4)xvol%、
    Cuの含有比率が(0.3〜0.7)xvol%
    であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の接合体。
  5. 前記接合材に含まれるニッケル(Ni)の含有比率が、70vol%以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の接合体。
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