[go: up one dir, main page]

JP5478253B2 - プロピレンの製造方法 - Google Patents

プロピレンの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5478253B2
JP5478253B2 JP2009533110A JP2009533110A JP5478253B2 JP 5478253 B2 JP5478253 B2 JP 5478253B2 JP 2009533110 A JP2009533110 A JP 2009533110A JP 2009533110 A JP2009533110 A JP 2009533110A JP 5478253 B2 JP5478253 B2 JP 5478253B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
zeolite
silica
catalyst
mass
containing catalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009533110A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2009037992A1 (ja
Inventor
英雄 緑川
隆 角田
賢治 赤岸
浩之 矢野
隆介 宮崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Chemicals Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Chemicals Corp filed Critical Asahi Kasei Chemicals Corp
Priority to JP2009533110A priority Critical patent/JP5478253B2/ja
Priority claimed from PCT/JP2008/066236 external-priority patent/WO2009037992A1/ja
Publication of JPWO2009037992A1 publication Critical patent/JPWO2009037992A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5478253B2 publication Critical patent/JP5478253B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

本発明は、エチレン及びエタノ−ルから選ばれる少なくとも1種の原料からプロピレンを製造する方法に関する。また、本発明は、中間細孔径ゼオライト含有触媒及び中間細孔径ゼオライト含有触媒の製造方法に関する。
プロピレンを製造する方法として、特許文献1には、オレフィンを高い濃度で含む炭化水素原料を結晶性シリケート触媒と接触させてプロピレンを製造する方法が開示されている。該方法において、エチレンは、原料の炭化水素原料に添加される。
特許文献2には、炭素数2〜4のパラフィン、オレフィンまたはそれらの混合物を結晶性アルミノシリケ−トゼオライトと接触させて芳香族化合物を製造する方法が開示されている。
エタノ−ルを原料としてプロピレンを製造する方法として、特許文献3には、リン酸塩系ゼオライトを用いる方法が開示され、特許文献4には、0.5nm未満の細孔径を有する8員環または9員環からなるアルミノシリケ−トを触媒活性成分として用いる方法が開示されている。
また、特許文献5には、ゼオライトとリン酸アルミニウム含有結合剤とマトリックスからなるゼオライト含有触媒が開示され、特許文献6には、リン酸塩含有水溶液で処理した変性ゼオライトとマトリックスからなるゼオライト含有触媒が開示されている。
米国特許第6388161号明細書 特開昭50−49233号公報 特開2007−191444号公報 特開2007−291076号公報 特開平4−354541号公報 特開平5−64743号公報
しかしながら、これらの文献に開示された方法は実質的に固定床反応器を用いたものであり、流動床反応を用いた具体的な例は記載されていない。
また、原料としてエチレン又はエタノ−ルから流動床反応によりプロピレンを製造する場合、触媒の流動性や強度、炭素質化合物の付着などの影響により経時的な転化率の低下が著しいために安定運転が困難である。
本発明が解決しようとする課題は、流動床反応器を用いてエチレン及びエタノ−ルから選ばれた少なくとも1種の原料からプロピレンを効率よく安定に製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために検討を重ねた結果、エチレン及びエタノ−ルから選ばれた少なくとも1種の原料と特定の中間細孔径ゼオライト含有触媒とを流動床反応器内で接触させることにより、効率良く安定にプロピレンを製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のプロピレンの製造方法並びに中間細孔径ゼオライト含有触媒及び中間細孔径ゼオライト含有触媒の製造方法を提供する。
[1]
エチレン及びエタノ−ルから選ばれる少なくとも1種の原料、及び
中間細孔径ゼオライト含有触媒を流動床反応器内で接触させてプロピレンを製造する方法であって、
前記中間細孔径ゼオライト含有触媒が、下記(a)〜(e)を満たす:
(a)90質量%以上の触媒粒子の粒子径が10〜197μmの範囲であり、
(b)触媒粒子の嵩密度が0.7〜1.1g/cmの範囲であり、
(c)粒子径が30〜70μmの範囲にある触媒粒子の平均圧壊強度が15MPa以上であり、且つ、90質量%以上の触媒粒子の圧壊強度が10MPa以上であり、
(d)安息角が20〜30°であり、かつ
(e)細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積が0.050cc/g以下である、
プロピレンの製造方法。
[2]
前記流動床反応器の流出ガスからプロピレンを分離する工程、
前記流出ガス中のエチレンを含む低沸成分の一部若しくは全量、及び/又は、ブテンを含む高沸成分の一部若しくは全量を前記流動床反応器にリサイクルする工程、をさらに含む、前項[1]に記載のプロピレンの製造方法。
[3]
前記流動床反応器から中間細孔径ゼオライト含有触媒の一部を、連続的又は断続的に抜出し、酸素を含むガスに接触させ、該中間細孔径ゼオライト含有触媒に付着した炭素質化合物を燃焼させ、燃焼後の中間細孔径ゼオライトを前記流動床反応器に供給する工程、をさらに含む、前項[1]または[2]に記載のプロピレンの製造方法。
[4]
前記中間細孔径ゼオライト含有触媒が、ゼオライト及びシリカを含有し、
下記式(1):
ゼオライト/シリカ=1/A (1)
(式中、Aはゼオライト質量に対するシリカの質量比を示し、0<A≦10である。)で表される組成を有し、SiO/Alモル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmである非凝集型のゼオライトを用い、一次粒子の平均粒子径が3〜50nmであるシリカゾルを用いて製造される、前項[1]から[3]のいずれか一項に記載のプロピレンの製造方法。
[5]
前記中間細孔径ゼオライト含有触媒が、ゼオライト、シリカ及びリンを含有し、
下記式(2):
ゼオライト/シリカ/リン=1/A/B (2)
(式中、Aはゼオライト質量に対するシリカの質量比、Bはゼオライトとシリカの合計質量に対するリン元素の質量比を示し、0<A≦10、0<B≦0.05である。)で表される組成を有し、SiO/Alモル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmである非凝集型のゼオライトを用い、一次粒子の平均粒子径が3〜50nmであるシリカゾルを用いて製造される、前項[1]から[4]のいずれか一項に記載のプロピレンの製造方法。
[6]
前記中間細孔径ゼオライト含有触媒が周期律表第IB族に属する元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、前項[1]から[5]のいずれかに記載のプロピレンの製造方法。
[7]
下記(a)〜(e)を満たす:
(a)90質量%以上の触媒粒子の粒子径が10〜197μmの範囲であり、
(b)触媒粒子の嵩密度が0.7〜1.1g/cmの範囲であり、
(c)粒子径が30〜70μmの範囲にある触媒粒子の平均圧壊強度が15MPa以上であり、且つ、90質量%以上の触媒粒子の圧壊強度が10MPa以上であり、
(d)安息角が20〜30°であり、かつ
(e)細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積が0.050cc/g以下である、中間細孔径ゼオライト含有触媒。
[8]
ゼオライト及びシリカを含有し、
下記式(1):
ゼオライト/シリカ=1/A (1)
(式中、Aはゼオライト質量に対するシリカの質量比を示し、0<A≦10である。)で表される組成を有し、
前記ゼオライトは、SiO/Alモル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmである非凝集型のゼオライトである、前項[7]に記載の中間細孔径ゼオライト含有触媒。
[9]
ゼオライト、シリカ及びリンを含有し、
下記式(2):
ゼオライト/シリカ/リン=1/A/B (2)
(式中、Aはゼオライト質量に対するシリカの質量比、Bはゼオライトとシリカの合計質量に対するリン元素の質量比を示し、0<A≦10、0<B≦0.05である。)で表される組成を有し、
前記ゼオライトは、SiO/Alモル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmである非凝集型のゼオライトである、前項[7]又は[8]に記載の中間細孔径ゼオライト含有触媒。
[10]
周期律表第IB族に属する元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、前項[7]から[9]のいずれか一項に記載の中間細孔径ゼオライト含有触媒。
[11]
(i)SiO/Alモル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmである非凝集型のゼオライト、及び
一次粒子の平均粒子径が3〜50nmであるシリカゾルを混合して、原料混合物を調製する工程、
(ii)前記原料混合物を噴霧乾燥して乾燥粉体を得る工程、
を含む中間細孔径ゼオライト含有触媒の製造方法。
[12]
(i)SiO/Alモル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmである非凝集型のゼオライト、
一次粒子の平均粒子径が3〜50nmであるシリカゾル、及び
リン化合物を混合して、原料混合物を調製する工程、
(ii)前記原料混合物を噴霧乾燥して乾燥粉体を得る工程、
を含む中間細孔径ゼオライト含有触媒の製造方法。
[13]
前記リンが水溶性リン化合物である、前項[9]または[10]に記載の中間細孔径ゼオライト含有触媒。
[14]
前記リンがリン酸である、前項[9]または[10]に記載の中間細孔径ゼオライト含有触媒。
本発明のプロピレンの製造方法によれば、流動床反応器を用いてエチレン及びエタノ−ルから選ばれる少なくとも1種の原料から効率良く安定にプロピレンを製造できるために、工業的に実施する上で極めて有利である。
実施例1の触媒粒子を、電子顕微鏡(倍率150倍)で観察した画像を示す。 比較例1の触媒粒子を、電子顕微鏡(倍率200倍)で観察した画像を示す。 実施例2の触媒粒子を、電子顕微鏡(倍率200倍)で観察した画像を示す。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、「本実施の形態」と略記する。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で変形して実施することができる。
[1]プロピレンの製造方法
本実施の形態のプロピレンの製造方法は、エチレン及びエタノ−ルから選ばれる少なくとも1種の原料と、中間細孔径ゼオライト含有触媒と、を流動床反応器内で接触させてプロピレンを製造する方法であって、
前記中間細孔径ゼオライト含有触媒が、下記(a)〜(e)を満たす:
(a)90質量%以上の触媒粒子の粒子径が10〜197μmの範囲であり、
(b)触媒粒子の嵩密度が0.7〜1.1g/cmの範囲であり、
(c)粒子径が30〜70μmの範囲にある触媒粒子の平均圧壊強度が15MPa以上であり、且つ、90質量%以上の触媒粒子の圧壊強度が10MPa以上であり、
(d)安息角が20〜30°であり、かつ
(e)細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積が0.050cc/g以下である、
プロピレンの製造方法である。
(1)原料
本実施の形態において、プロピレンの製造方法に用いる原料はエチレン及びエタノ−ルから選ばれる少なくとも1種である。
原料としてエチレンを使用する場合、原料に含まれる炭化水素化合物を基準としたエチレン含有率に関して特に制限はない。生産性の観点から、エチレン含有率は、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上である、さらに好ましくは50質量%以上である。
原料としてエタノ−ルを使用する場合、原料に含まれる炭化水素化合物を基準としたエタノールのエチレン換算含有率に関して特に制限はない。生産性の観点から、エチレン換算含有率は、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上である。
原料としてエチレン及びエタノ−ルを両方含む原料を使用する場合、エチレンとエタノ−ルの比率には特に制限はなく、任意の比率でエチレン及びエタノールを供給することができる。この場合も、エタノ−ルはエチレン換算した値を使用し、原料に含まれる炭化水素化合物を基準としたエチレンとエタノ−ルのエチレン換算値の合計に対する含有率に関しては特に制限はない。生産性の観点から、該含有率は、好ましくは20質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは50質量%以上である。
エチレンとして、例えば、エタンの熱分解及び/又は酸化的脱水素反応により得られるエチレン、バイオマスエタノールの脱水反応により得られるエチレンを使用することができる。また、エタンを水蒸気の存在下で熱分解して得られるエチレンを使用することもできる。ナフサの熱分解または接触分解により得られるエチレン、工業的に製造されているエタノ−ルを脱水して得られるエチレンを使用することもできる。
エタノールとして、エタノールの供給源に特に制限はないが、例えば、バイオマス由来のエタノールや石油由来のエタノールを使用することができる。
バイオマスエタノールとしては、例えば、植物資源から得られるエタノールが挙げられ、特に制限されるものではないが、具体例として、サトウキビやトウモロコシなどの発酵により得られるエタノールや廃材、間伐材、稲わら、農作物などの木質資源から得られるエタノールなどが挙げられる。また、工業的に製造されているエタノ−ルも使用することができるが、カーボンニュートラルの観点からバイオマスエタノールを使用することが好ましい。
原料中には、エチレン及び/又はエタノ−ルの他に、アルカン類及びオレフィン類等が含まれていてもよい。
アルカン類としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、及びノナンなどを挙げることができる。
オレフィン類としては、例えば、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、及びノネンなどが挙げられる。
原料中には、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、及びシクロヘキサンなどのシクロアルカン類;シクロペンテン、メチルシクロペンテン、及びシクロヘキセンなどのシクロオレフィン類;シクロヘキサジエン、ブタジエン、ペンタジエン、シクロペンタジエンなどのジエン類;及び/又はアセチレン、メチルアセチレンなどのアセチレン類を含まれていてもよい。原料中には、t−ブチルアルコ−ル、メチル−t−ブチルエ−テル、ジエチルエ−テル、メチルエチルエーテル、ジメチルエーテル、メタノールなどの含酸素化合物が含まれていてもよい。原料中には、水、水素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素を含まれていてもよい。
(2)製造プロセス
本実施の形態において、後述する本実施の形態の中間細孔径ゼオライト含有触媒を入れた流動床反応器に、原料を供給し、触媒と原料とを接触させることにより、原料中のエチレン及び/又はエタノールが転化し、プロピレンを製造することができる。
(2−1)水蒸気処理
エチレン及び/又はエタノールの転化反応を開始する前に、中間細孔径ゼオライト含有触媒を300〜900℃の温度で水蒸気分圧0.01気圧以上の条件で前処理することができる。この水蒸気の存在下の加熱処理において、水蒸気以外のガス成分としては酸素、窒素などを含むことができる。
前処理を行った中間細孔径ゼオライト含有触媒をプロピレンの製造方法に用いることにより、コーキングによる劣化を抑制することができ、プロピレン収率を向上させることができる。
(2−2)反応条件
本実施の形態のプロピレンの製造方法おいて、反応温度は、好ましくは400〜650℃の範囲であり、より好ましくは500〜600℃の範囲である。反応圧力は、好ましくは0.01〜3MPaの範囲であり、より好ましくは0.05〜1MPaの範囲である。
エチレン及び/又はエタノ−ルの供給速度は、中間細孔径ゼオライト含有触媒質量基準の空間速度(WHSV)で、好ましくは0.05〜20Hr−1であり、より好ましくは0.1〜10Hr−1である。
本実施の形態において、これらの条件下、流動床反応器における実際のガス速度を、好ましくは0.1〜1.0m/秒、より好ましくは0.2〜0.9m/秒、さらに好ましくは0.3〜0.8m/秒の範囲に制御することにより、プロピレンを効率よく安定に製造することができる。
本実施の形態において、WHSVは下記計算式により求めることができる。
WHSV(1/Hr)=供給ガス中の炭化水素化合物とHの合計量(g/hr)/中間細孔径ゼオライト含有触媒量(g)
ただし、原料がエタノールの場合は、脱水してエチレンに変換するとして炭化水素化合物量を換算した。
(2−3)流動床反応器
本実施の形態において、エチレン及び/又はエタノ−ルを中間細孔径ゼオライト含有触媒と接触させて反応させるための反応器は流動床反応器が用いられる。
流動床反応器としてはフル−ドベッド型反応器とライザ−型反応器を用いることができるが、プロピレンを効率よく安定に製造する観点から、好ましくはフル−ドベッド型反応器を用いることできる。
フル−ドベッド型反応器の構造としては、原料ガス供給のためのガス分散管を反応器底部及び/又は反応器下部に有し、触媒の濃厚層と希薄層に必要に応じて除熱用の冷却コイルを有し、また、反応ガスと触媒を分離するためのサイクロンを反応器内の上部に有する反応器が挙げられる。また、サイクロンは反応器の外部に設置することもできる。
(2−4)エチレン転化率及びプロピレン収率
本実施の形態において、エチレン転化率及びプロピレン収率は、TCD−FIDを直列に連結したガスクロマトグラフィーを用いて生成物を分析し、それぞれ下記式(3)及び(4)によって求めることができる。
[式(3)]
エチレン転化率=〔(流動床反応器入口の供給ガス中のエチレン質量%)−(流動床反応器出口の排出ガス中のエチレン質量%)〕/(流動床反応器入口の供給ガス中のエチレン質量%)×100
[式(4)]
プロピレン収率=〔(流動床反応器出口の排出ガス中のプロピレン質量%)−(流動床反応器入口の供給ガス中のプロピレン質量%)〕/(流動床反応器入口の供給ガス中のエチレン質量%)×100
エタノ−ルを原料とした場合も反応器内において脱水反応によりエチレンが生成するため、供給ガス中のエタノールをエチレン質量%に換算することにより同様にして計算することができる。
(3)原料のリサイクル
本実施の形態のプロピレンの製造方法は、流動床反応器の流出ガスからプロピレンを分離する工程、
流出ガス中のエチレンを含む低沸成分の一部若しくは全量、及び/又は、ブテンを含む高沸成分の一部若しくは全量を流動床反応器にリサイクルする工程、をさらに含む、プロピレンの製造方法であることが好ましい。
流動床反応器の流出ガスからプロピレンを分離する方法としては、蒸留分離などの方法などが挙げられる。
流出ガスからプロピレンを分離後のエチレンを含む低沸成分の一部若しくは全量、及び/又は、ブテンを含む高沸成分の一部若しくは全量を流動床反応器にリサイクルすることはプロピレンを効率良く製造する方法として極めて有効な方法である。
エチレンを含む低沸成分及びブテンを含む高沸成分のリサイクル量については特に制限はなく、プロピレンの生産量に応じて変化させることができるため、プロピレン生産量にフレキシビリティを与えることができる。
(4)中間細孔径ゼオライト含有触媒の再生
本実施の形態のプロピレンの製造方法は、流動床反応器から中間細孔径ゼオライト含有触媒の一部を、連続的又は断続的に抜出し、酸素を含むガスに接触させ、中間細孔径ゼオライト含有触媒に付着した炭素質化合物を燃焼させ、燃焼後の中間細孔径ゼオライトを流動床反応器に供給する工程、をさらに含む、プロピレンの製造方法であることが好ましい。
本実施の形態において、中間細孔径ゼオライト含有触媒は反応の継続と共に、所謂コ−クと呼ばれる炭素質化合物の付着により反応活性が低下してくる。この活性が低下した触媒の一部を流動床反応器から連続的又は断続的に抜出し、酸素を含むガスを用いて中間細孔径ゼオライト含有触媒に付着した炭素質化合物を燃焼させた後に流動床反応器にリサイクルすることはプロピレンを安定に製造する方法として極めて有効な方法である。
中間細孔径ゼオライト含有触媒に付着した炭素質化合物を燃焼させる方法としては流動焼成炉、回転炉、トンネル炉、管状炉、マッフル炉などを用いることができるが、中間細孔径ゼオライト含有触媒の抜き出し、再生、リサイクルの工程を効率良く行うために流動焼成炉を用いることが好ましい。
流動焼成炉としては流動床反応器と類似の構造を有するものを使用することができ、燃焼熱を効率良く除去するために冷却コイルを増強することもできる。中間細孔径ゼオライト含有触媒に付着した炭素質化合物を燃焼させる温度は、好ましくは400〜800℃の範囲であり、より好ましくは500〜700℃の温度範囲である。供給するガスとしては、酸素を0.1〜30体積%含むガスを用いることが好ましく、1〜21体積%含むガスを用いることがより好ましい。
酸素を含むガスとしては、具体的には、空気又は酸素若しくは希釈ガスと混合した空気などが挙げられる。
希釈ガスとしては、窒素、二酸化炭素を用いることが好ましいが、水蒸気、一酸化炭素、炭化水素化合物、水素などを用いることもできる。
供給する酸素を含むガスの圧力は、好ましくは0.05〜1.0MPaの範囲であり、より好ましくは0.1〜0.5MPaの範囲である。
中間細孔径ゼオライト含有触媒を再生するための燃焼処理は付着した炭素質化合物の80質量%以上が、好ましくは90質量%が除去できるように条件を設定して行うことができる。
[2]中間細孔径ゼオライト含有触媒
本実施の形態において用いられる中間細孔径ゼオライト含有触媒は、下記(a)〜(e)を満たす:
(a)90質量%以上の触媒粒子の粒子径が10〜197μmの範囲であり、
(b)触媒粒子の嵩密度が0.7〜1.1g/cmの範囲であり、
(c)粒子径が30〜70μmの範囲にある触媒粒子の平均圧壊強度が15MPa以上であり、且つ、90質量%以上の触媒粒子の圧壊強度が10MPa以上であり、
(d)安息角が20〜30°であり、かつ
(e)細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積が0.050cc/g以下である、中間細孔径ゼオライト含有触媒である。
本実施の形態において、用語「中間細孔径ゼオライト」とは、「細孔径の範囲が、A型ゼオライトに代表される小細孔径ゼオライトの細孔径と、モルデナイトやX型やY型ゼオライトに代表される大細孔径ゼオライトの細孔径の中間にあるゼオライト」を意味する。
本実施の形態において、中間細孔径ゼオライト含有触媒に含まれるゼオライトとは、中間細孔径を有する結晶性アルミノシリケ−トを意味しており、0.5〜0.65nmの細孔径を有するゼオライトが該当する。
中間細孔径ゼオライトは、その結晶構造中にいわゆる酸素10員環を有する。中間細孔径ゼオライトとしては、特に制限されるものではないが、例えば、ZSM−5及びZSM−5に類似の構造を有するいわゆるペンタシル型ゼオライトが挙げられる。すなわち、ZSM−5、ZSM−8、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−18、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−39などのゼオライトが挙げられる。好ましいゼオライトとして、IUPAC勧告に従った骨格構造タイプでMFI構造と表されるゼオライトが挙げられ、具体的には、ZSM−5が挙げられる。これらのゼオライトはプロトン型として使用することができる。
(a)〜(c)触媒粒子の粒子径、嵩密度及び圧壊強度
本実施の形態における中間細孔径ゼオライト含有触媒は、90%質量以上の触媒粒子の粒子径が、流動性の観点から、10〜197μmの範囲にある中間細孔径ゼオライト含有触媒である。
95質量%以上の触媒粒子の粒子径は、15〜150μmの範囲にあることが好ましい。
本実施の形態における中間細孔径ゼオライト含有触媒は、良好な流動状態を維持する観点から、触媒粒子の嵩密度が0.7〜1.1g/cmの範囲である中間細孔径ゼオライト含有触媒である。触媒粒子の嵩密度は、0.8〜1.0g/cmの範囲であることが好ましい。
本実施の形態における中間細孔径ゼオライト含有触媒は、触媒損失の低減の観点から、粒子径が30〜70μmの範囲にある触媒粒子の平均圧壊強度が15MPa以上であり、且つ、90%以上の粒子の圧壊強度が10MPa以上である中間細孔径ゼオライト含有触媒である。
(d)安息角
本実施の形態における中間細孔径ゼオライト含有触媒は、安息角が20〜30°である中間細孔径ゼオライト含有触媒である。安息角が20°未満であると、流動性が過剰となるため、取り扱い性が悪化する傾向にあり、安息角が30°を超えると、流動性が低下し粒子間のブリッジングが発生し易くなる傾向にある。
(e)細孔容積
本実施の形態における中間細孔径ゼオライト含有触媒は、細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積が0.050cc/g以下である中間細孔径ゼオライト含有触媒である。細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積が好ましくは0.040cc/g以下であり、より好ましくは0.030cc/g以下である。細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積が0.050cc/gを超えると触媒の摩耗損失が大きくなる。
本実施の形態における中間細孔径ゼオライト含有触媒が、上記(a)〜(e)の条件を満たしていることにより、下記式(5)で表される中間細孔径ゼオライト含有触媒の摩耗損失が3質量%以下となり、工業的な実施において触媒損失の低減を達成することが可能である。
[式(5)]
摩耗損失(質量%)=D/(E−C)×100 (5)
(式中、Cは0〜5時間に損失した触媒粒子の質量(g)、Dは5〜20時間に損失した触媒粒子の質量(g)、Eは試験に供した触媒粒子の質量(g)を示す。)
触媒粒子の摩耗損失が3質量%以下であると、摩耗や破損の極めて少ない、機械的強度に優れた触媒粒子となり、流動層反応用の触媒として好適に用いることができる。
本実施の形態における中間細孔径ゼオライト含有触媒を調製するために用いられるバインダーとしては、特に制限されるものではないが、例えば、シリカ、アルミナ、カオリンなどを使用することができ、これらのバインダーを単独、又は混合して使用することができる。
本実施の形態において用いられる中間細孔径ゼオライト含有触媒としては、
中間細孔径ゼオライト含有触媒が、ゼオライト及びシリカを含有する場合には、
下記式(1):
ゼオライト/シリカ=1/A (1)
(式中、Aはゼオライト質量に対するシリカの質量比を示し、0<A≦10である。)で表される組成を有し、前記触媒の原料として、SiO/Alモル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmの非凝集型のゼオライトを用い、前記触媒の原料として、一次粒子の平均粒子径が3〜50nmであるシリカゾルを用いて製造される、中間細孔径ゼオライト含有触媒であることが好ましい。
本実施の形態において用いられる中間細孔径ゼオライト含有触媒としては、
中間細孔径ゼオライト含有触媒が、ゼオライト、シリカ及びリンを含有する場合には、
下記式(2):
ゼオライト/シリカ/リン=1/A/B (2)
(式中、Aはゼオライト質量に対するシリカの質量比、Bはゼオライトとシリカの合計質量に対するリン元素の質量比を示し、0<A≦10、0<B≦0.05である。)で表される組成を有し、前記触媒の原料としてSiO/Alモル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmである非凝集型のゼオライトを用い、前記触媒の原料として一次粒子の平均粒子径が3〜50nmであるシリカゾルを用いて製造される、中間細孔径ゼオライト含有触媒であることが好ましい。
本実施の形態における中間細孔径ゼオライト含有触媒に含まれるゼオライトは、その原料としてSiO/Alモル比が、反応活性の観点から、好ましくは15〜1000の範囲であり、より好ましくは20〜500の範囲であり、さらに好ましくは20〜300の範囲であるゼオライトである。
本実施の形態における中間細孔径ゼオライト含有触媒に含まれるゼオライトは、その原料として平均粒子径が0.05〜10μmの非凝集型のゼオライトであることが好ましい。
通常、ゼオライトは、水熱合成時に微細な一次粒子同士が凝集し、数μm〜20μm程度の二次粒子を形成する。
「非凝集型のゼオライト」を得る方法としては、こうした凝集型のゼオライトに粉砕、衝撃、せん断などの機械的分散処理やアルカリ性溶液による溶解などの化学的処理等を施して凝集を解き、平均粒子径0.05〜10μmの範囲に脱凝集する方法や、平均粒子径0.05〜10μmになるように合成する方法が挙げられる。
原料として用いるゼオライトが凝集体を形成している場合には、ジェットミル等を用いて機械的に粉砕して、非凝集型のゼオライトとして用いることができる。粉砕方法は簡便に用いることのできるボールミルよりも、高圧空気や高圧蒸気を超高速ジェット化して粉砕処理を行うジェットミルの方が好ましい。
平均粒子径0.05〜10μmになるようにゼオライトを合成する方法の例として、特開平10−52646号公報等に記載の種スラリーを使った水熱合成法が挙げられる。特開平10−52646号公報によると、種スラリーは、以下の工程により得ることができる:ケイ酸ソーダに、硫酸アルミニウムと硫酸1,3−ジメチル尿素を含む水溶液を加えて均質なゲルとする。それをオートクレーブ内で攪拌しながら加熱する。得られたスラリーを濾過した後、水洗、乾燥及び焼成する。得られるNa型ZSM-5粉末をケイ酸ソーダ、Al2(SO4)3及び硫酸と混合し、得られた混合物を加圧加熱下で撹拌する。この操作によって得られた種スラリーをケイ酸ソーダ、Al2(SO4)3及び硫酸と共に、加熱加圧下、攪拌させながら結晶化させることでゼオライトを合成することができる。非凝集型のゼオライトを得るには、加熱、加圧、攪拌等の条件を適当な値に設定する必要があるが、当業者であれば、特開平10−52646号公報等の記載を参照してそれらの条件を決定できる。
ゼオライトを「非凝集型のゼオライト」の状態で中間細孔径ゼオライト含有触媒の製造に用いることにより、形状、強度などの物性に優れた流動床触媒を得ることができる。また、リン化合物を添加することによりこれらの性能をさらに向上させることができる。
本実施の形態において「非凝集型」とは、ゼオライト一次粒子100個の電子顕微鏡(SEM)像のうち、他の一次粒子と部分的に結合しているゼオライト一次粒子の割合が50%以下であることを意味する。非凝集型のゼオライトの平均粒子径は好ましくは0.05〜10μmであり、より好ましくは0.5〜5μmであり、さらに好ましくは0.5〜4μmである。
本実施の形態において、ゼオライトの平均粒子径とは、レーザー回折・散乱式粒度分析計により測定した値を意味する。また、粒子の形状観察は電子顕微鏡(SEM)により行うことができる。
中間細孔径ゼオライト含有触媒に含まれるゼオライトの平均粒子径は、好ましくは0.05〜10μmであり、より好ましくは0.5〜5μmであり、さらに好ましくは0.5〜4μmである。
ゼオライトの平均粒子径が10μmを超えると、触媒粒子の圧壊強度が小さくなって摩耗損失が大きくなる傾向がある。ゼオライトの平均粒子径が0.05μm未満であるとゼオライトの結晶性が低下し、流動層反応用の触媒として用いた際の反応性が低下する傾向にある。
中間細孔径ゼオライト含有触媒として、結晶性アルミノシリケ−トを構成するアルミニウム原子の一部がGa、Fe、B、及び/又はCrなどの元素で置換されたメタロアルミノシリケートや、結晶性アルミノシリケ−トを構成するアルミニウム原子が全て上記のような元素で置換されたメタロシリケートを用いることもできる。
本実施の形態における中間細孔径ゼオライト含有触媒に用いるシリカとしては、一次粒子の平均粒子径が3〜50nmであるシリカゾルを原料として用いることが好ましい。
本実施の形態において、「シリカ」とは、中間細孔径ゼオライト含有触媒の製造に用いられるシリカゾルに含まれるシリカを指し、特に断りのない場合を除き、結晶性アルミノシリケ−トであるゼオライトを構成するシリカを意味しない。
シリカゾル中のシリカ一次粒子の平均粒子径は、シリカ成形体の耐摩耗性や嵩密度に極めて密接に関連する。平均粒子径が3nmから50nmの範囲であれば、ゼオライト粒子との接触面積が増大し、ゼオライト粒子とシリカの充填状態がより均一かつ密となるため、シリカ成形体の耐摩耗性が向上し、嵩密度も大きくなる傾向にある。シリカ一次粒子の平均粒子径は、好ましくは3〜30nm、より好ましくは3〜20nmである。また、平均粒子径が50nm以下の粒子径の異なる数種類のシリカコロイドを混合して、シリカ一次粒子の粒径分布が広いシリカゾルを用いることもできる。
シリカゾルとしては、アンモニウムイオンやナトリウムイオン等で安定化させたアルカリ性シリカゾル又は酸性のシリカゾル、アミンで安定化させたシリカゾル等を用いることができる。好ましくはアンモニウムイオンで安定化させたシリカゾルである。シリカゾルは、アルミノシリケート、アルミナ、チタニア、ジルコニア、カオリン、及び珪藻土などとともに用いることができ、これらは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本実施の形態における中間細孔径ゼオライト含有触媒に用いるリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、リン酸一水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸三アンモニウム、過リン酸アンモニウム、次亜リン酸アンモニウム、五酸化リン、及びホスフィン類などが挙げられる。
中間細孔径ゼオライト含有触媒の強度の観点で、好ましくは、リン酸、リン酸一水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸、ポリリン酸等の水溶性のリン化合物であり、より好ましくはリン酸である。これらは単独、混合物、又は水溶液等として用いることができる。
本実施の形態において、中間細孔径ゼオライト含有触媒の組成を表す上記式(1)及び(2)において、ゼオライト質量に対するシリカの質量比を示すAは、好ましくは0<A≦10であり、より好ましくは0.1≦A≦10であり、さらに好ましくは0.5≦A≦5である。
Aが10を超えると中間細孔径ゼオライト含有触媒の形状が不良となり、流動性が低下する傾向にある。また、中間細孔径ゼオライト含有触媒を流動層反応用の触媒として用いる場合、Aが10を超えると、充分な量のゼオライトが中間細孔径ゼオライト含有触媒中に含まれないため反応性が低下する傾向にある。
本実施の形態において、中間細孔径ゼオライト含有触媒の組成を表す上記式(2)において、ゼオライトとシリカの合計質量に対するリン元素の質量比を示すBは、好ましくは0<B≦0.05であり、より好ましくは0.001≦B≦0.05、さらに好ましくは0.005≦B≦0.04である。
リンの存在は中間細孔径ゼオライト含有触媒の強度を増加させる傾向を有しているが、0.05を超えると中間細孔径ゼオライト含有触媒の形状、反応性能に不具合が生じる。
中間細孔径ゼオライト含有触媒におけるゼオライト/シリカ質量比が未知の場合は、次のように測定できる。
任意の割合で混合した中間細孔径ゼオライトとシリカの混合標準試料を調製し、その粉末回折X線強度を予め求める。これと同じ条件で、ゼオライト/シリカ質量比が未知のサンプルのX線強度を測定し、ゼオライト含有触媒の回折X線強度との比較(強度比)から、中間細孔径ゼオライト含有触媒中のゼオライト/シリカ質量比を決定できる。混合標準試料に用いる中間細孔径ゼオライトは、粉末回折X線パターンが測定する中間細孔径ゼオライト含有触媒のゼオライトの粉末回折X線パターンと同一又は近似したものを用いるのが好ましい。例えば、測定装置としては、粉末回折X線装置(Rigaku製、RINT)を用い、測定条件は、Cu陰極、管球電圧:40kV、管球電流:30mA、スキャンスピード:1deg/minとして、X線強度を測定することにより、ゼオライト/シリカ質量比を決定することができる
中間細孔径ゼオライト含有触媒におけるゼオライトのSiO/Alモル比が不明の場合、次のように測定できる。
中間細孔径ゼオライト含有触媒をポリエステル樹脂に包埋後、それを研磨し、触媒断面を削り出す。その粒子断面をEDX(エネルギー分散型蛍光X線組成分析装置)の付属する電子顕微鏡で観察し、ゼオライト部分のSiとAlの含有率を測定し、SiO/Alモル比を決定できる。例えば、EDX付属電子顕微鏡としては、EDX付属電子顕微鏡(株式会社日立製作所S−800)を用い、測定条件 試料電流:3×10−10A、加速電圧:20kVとして、SiとAlの含有率を測定することにより、SiO/Alモル比を決定することができる。
後述のように中間細孔径ゼオライト含有触媒を調製する場合、焼成工程の有無を問わず、中間細孔径ゼオライト含有触媒におけるゼイライト/シリカ質量比及びゼオライトのSiO/Alモル比は、いずれも概ね仕込みの組成を維持する。
本実施の形態において用いられる中間細孔径ゼオライト含有触媒としては、
中間細孔径ゼオライト含有触媒が、ゼオライト及びシリカを含有する場合には、
下記式(1):
ゼオライト/シリカ=1/A (1)
(式中、Aはゼオライト質量に対するシリカの質量比を示し、0<A≦10である。)で表される組成を有し、
ゼオライトはSiO/Alモル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmの非凝集型のゼオライトである、中間細孔径ゼオライト含有触媒であることが好ましい。
本実施の形態において用いられる中間細孔径ゼオライト含有触媒としては、
中間細孔径ゼオライト含有触媒が、ゼオライト、シリカ及びリンを含有する場合には、
下記式(2):
ゼオライト/シリカ/リン=1/A/B (2)
(式中、Aはゼオライト質量に対するシリカの質量比、Bはゼオライトとシリカの合計質量に対するリン元素の質量比を示し、0<A≦10、0<B≦0.05である。)で表される組成を有し、
ゼオライトはSiO/Alモル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmである非凝集型のゼオライトである、中間細孔径ゼオライト含有触媒であることが好ましい。
[3]中間細孔径ゼオライト含有触媒の製造方法
本実施の形態の中間細孔径ゼオライト含有触媒の製造方法として、
(I)(i)SiO/Alモル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmである非凝集型のゼオライト、及び
一次粒子の平均粒子径が3〜50nmであるシリカゾルを混合して、原料混合物を調製する工程、
(ii)前記原料混合物を噴霧乾燥して乾燥粉体を得る工程、
を含む方法と、
(II)(i)SiO/Alモル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmである非凝集型のゼオライト、
一次粒子の平均粒子径が3〜50nmであるシリカゾル、及び
リン化合物を混合して、原料混合物を調製する工程、
(ii)前記原料混合物を噴霧乾燥して乾燥粉体を得る工程、
を含む方法が挙げられる。
(I)の方法と、(II)の方法は、原料混合物がリン化合物を含むか否かという点を除いては共通の特徴を有するので、以下に併せて説明する。上述の原料化合物及び原料混合物の組成比を参照すれば、それぞれの製造方法によって中間細孔径ゼオライト含有触媒を製造できる。
原料としてSiO/Alモル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmの非凝集型のゼオライトと、シリカ一次粒子の平均粒子径が3〜50nmのシリカゾルを用いることで、機械的強度に特に優れた中間細孔径ゼオライト含有触媒を得ることができる。これらの原料の組合せにより、原料混合物中のゼオライトとシリカゾルの接触が良好となり、その結果、ゼオライトとシリカの充填状態が均一かつ密になるものと推定される。従って、中間細孔径ゼオライト含有触媒の機械的強度の発現には、原料混合物中のゼオライトとシリカゾルの混合状態が重要であり、ゼオライトが非凝集状態のままで混合されることが特に重要である。
ゼオライトは、ゼオライト粉体、水にゼオライトを分散・懸濁させたスラリー、原料として用いるシリカゾルの一部にゼオライトを分散・懸濁させたスラリー、又は、リン化合物の水溶液にゼオライトを分散・懸濁させたスラリーとして用いることができ、好ましくはゼオライト粉体、水にゼオライトを分散・懸濁させたスラリー、又は、原料として用いるシリカゾルの一部にゼオライトを分散・懸濁させたスラリーとして用いる。
(i)原料混合物を調製する工程
本実施の形態の中間細孔径ゼオライト含有触媒の製造方法における工程(i)は、(I)ゼオライト及びシリカゾル、又は(II)ゼオライト、シリカゾル及びリン化合物を混合して、原料混合物を調製する工程である。
(I)ゼオライトとシリカゾルとを混合する順序、及び(II)ゼオライト、シリカゾル、リン化合物の混合順序としては特に制限されない。
(I)の場合、シリカゾルにゼオライトを添加してもよいし、ゼオライトにシリカゾルを加えてもよい。(II)の場合、シリカゾルにゼオライトを添加し、その混合物にリン化合物を加えてもよく、シリカゾルにリン化合物を添加し、その混合物にゼオライトを加えてもよい。(I)及び(II)のいずれの方法においても、ゼオライトは、ゼオライト粉体、水にゼオライトを分散・懸濁させたスラリー、又は、シリカゾルの一部にゼオライトを分散・懸濁させたスラリーとして用いることが好ましい。リン化合物はそのまま用いてもよく、あらかじめ水などに分散させて用いてもよい。
中間細孔径ゼオライト含有触媒の原料混合物中には、原料混合物のpHを好適に調整するため酸を適宜加えてもよい。この場合、用いることができる酸としては、硫酸、塩酸、及び硝酸などが挙げられ、好ましくは硝酸である。原料混合物のpHは、好ましくは0.5〜10であり、より好ましくは0.5〜4である。
原料混合物中には、固形分としてゼオライトとシリカが含まれる。原料混合物の固形分質量濃度は、好ましくは5〜70質量%であり、より好ましくは10〜50質量%である。原料混合物には、固形分質量濃度を調整するために、適宜、水を加えてもよい。
中間細孔径ゼオライト含有触媒粒子の形状をより真球状にする目的で、原料混合物の表面張力を調製する界面活性剤を加えてもよい。
原料混合物の攪拌時間としては、好ましくは0.5〜50時間、より好ましくは1〜5時間である。攪拌時の混合物の温度としては、好ましくは10〜90°C、より好ましくは15〜70°C、さらに好ましくは15〜40°Cである。必要に応じて加熱することによって、原料混合物の粘度を上げてもよい。
(ii)乾燥粉体を得る工程
工程(ii)は、上記工程(i)で得られた原料混合物を噴霧乾燥して乾燥粉体を得る工程である。原料混合物は調製後、直ちに噴霧乾燥しても、調製後にゼオライトへの吸着量を制御するために長時間の混合撹拌を行った後に噴霧乾燥してもよい。原料混合物の噴霧は、工業的に通常用いられる回転円盤方式、二流体ノズル方式又は高圧ノズル方式等の方法を採用することができるが、特に、回転円盤方式で行うことが好ましい。乾燥熱源は、スチーム、電気ヒーター等によって加熱された空気を用いることが好ましい。乾燥機入口の温度は、好ましくは100〜400°C、より好ましくは150〜300°Cである。乾燥機出口の温度は、好ましくは80〜170°C、より好ましくは90°C〜150°Cである。
本実施の形態の製造方法においては、より耐摩耗性の高い中間細孔径ゼオライト含有触媒を得ることを目的として、必要に応じて、工程(iii)をさらに含んでもよい。工程(iii)は、上記工程(ii)で得られた乾燥粉体を焼成する工程である。
乾燥粉体の焼成は、マッフル炉、回転炉、トンネル炉、管状炉、及び流動焼成炉などを用いて行うことができる。焼成温度としては、好ましくは500〜900℃であり、より好ましくは550〜850℃であり、さらに好ましくは600〜700℃である。焼成時間としては、好ましくは0.5〜8時間であり、より好ましくは1〜5時間である。
焼成工程は大気雰囲気下、イナート雰囲気下、又は、真空下等で実施することができる。また、焼成工程は反復して実施してもよい。焼成後、中間細孔径ゼオライト含有触媒中の余剰のリン成分は水又は熱水で洗浄することができる。
従来法におけるスラリーを噴霧乾燥して造粒する場合、以下のメカニズムにより粉体粒子の破壊や粒子表面の開孔、陥没が生じ、形状が不定で脆弱な粒子となることがある。1)液滴から液体蒸発することで、液滴の収縮が始まり、液滴表面が固化・収縮し、2)次に、液滴内部からの液体蒸発による粉体粒子の内部圧が上昇する結果、粉体粒子の破壊(割れ、欠け)や粒子表面の開孔が生じ、3)その後、常温に温度が下がった時点で、粒子内部圧がなくなる、又は、負圧になることで粉体粒子の表面が陥没する。
本実施の形態の中間細孔径ゼオライト含有触媒は、非凝集型のゼオライトを含むため、ゼオライトがシリカゾルのシリカ粒子と接触する面積が大きく、ゼオライト含有触媒の強度が向上する効果があると推定される。
さらに、リンを含有する中間細孔径ゼオライト含有触媒の場合、詳細は不明であるが、噴霧乾燥する前の原料混合物において、リン化合物がシリカ粒子に対して何らかの触媒作用を及ぼし、1)シラノール基(SiOH)の脱水縮合によるシリカ粒子同士が架橋し、2)噴霧乾燥時にシリカ層が液滴表層に形成され、3)粉体粒子の内部圧上昇に伴う破壊や開孔、内部圧低下、又は、負圧化による陥没が抑制されることで、平滑な表面を有する球状の粉体粒子が得られると推定される。特に、平均粒子径の比較的小さなシリカゾルを用いることで、シリカゾル粒子間の接触面積が大きく、シリカ粒子同士の架橋構造がより強固になると考えられる。また、耐摩耗性の向上に関しては、シリカ粒子同士の架橋構造に加え、上述したように、ゼオライトとシリカがより均一かつ密に乾燥粉体中で充填されていることにも起因する。また焼成によるシリカゾル粒子同士の焼結促進にもリン化合物が作用し、更なる耐摩耗性の向上に寄与していると推定される。
本実施の形態において、中間細孔径ゼオライト含有触媒が周期律表第IB族に属する金属元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有することが好ましく、ゼオライトがIB族金属を対応する陽イオンの状態で含むか、又は、該触媒に該陽イオンが担持されていることを意味する。
中間細孔径ゼオライト含有触媒が周期律表第IB族に属する金属、すなわち、銅、銀、金よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有することは好ましい形態の一つである。より好ましいIB族金属としては、銅、銀が挙げられ、さらに好ましくは銀である。
本実施の形態における「周期律表」とは、CRC Handbook of Chemistry and Physics, 75th edition David R. Lideら著、CRC Press Inc.発行(1994−1995年)、1−15頁に記載の周期律表を意味する。
中間細孔径ゼオライト含有触媒に周期律表第IB族に属する金属元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有させる方法としては、ゼオライト又は中間細孔径ゼオライト含有触媒にIB族金属元素を含有させる方法などが挙げられる。斯かる方法として、特に制限されるものではないが、例えば、IB族金属を含有していないゼオライト又は中間細孔径ゼオライト含有触媒を公知のイオン交換法により処理する方法、液相イオン交換処理法や含浸担持触媒を高温下で処理することで固相イオン交換処理する方法などが挙げられる。該イオン交換法によってゼオライト又はゼオライト含有触媒にIB族金属を含有させる場合、IB族金属の塩を使用する必要がある。IB族金属の塩としては、例えば硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、及び塩化金などが挙げられる。IB族金属の塩としては、好ましくは硝酸銀、硝酸銅などであり、より好ましくは硝酸銀などである。中間細孔径ゼオライト中のIB族金属の含有量は、0.1〜10質量%であることが好ましい。また、その含有量は公知の方法、例えばX線蛍光分光法などにより求めることができる。
中間細孔径ゼオライト含有触媒に含まれるゼオライトのイオン交換サイトの少なくとも一部は、IB族金属カチオン及び/又はプロトンで交換されていることが好ましい。また、IB族金属カチオン及び/又はプロトンで交換された以外のイオン交換サイトは、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン及びその他の金属カチオンで交換されていてもよい。
以下、本実施の形態を実施例によりさらに具体的に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、本実施の形態に用いられるゼオライトの水熱合成方法、機械的粉砕方法、評価方法及び測定方法は以下のとおりである。
(ゼオライトの水熱合成方法)
SiO/Alモル比が150になるようにAl2(SO4)3xH2Oを含む溶液Aと、水ガラスを含む溶液Bとの量を決定した以外、特公昭61−21985号公報(特開昭50−5335号公報)の実施例2と同様にして、実施例1の原料とするゼオライトを水熱合成した(なお溶液A及びB中の各成分の濃度は同文献の実施例2と同じにした)。
SiO/Alモル比が27になるように均一化合物Dの湿ケーキを調製した以外、特公平2−44771号公報(特開昭59−54620号公報)の実施例3と同様にして、ゼオライトを水熱合成し、実施例2、5、比較例1、2の原料とした。
SiO/Alモル比が280になるように、溶液A及びBの量を決定した以外、特公昭61−21985号公報の実施例2と同様にしてゼオライトを水熱合成し、実施例3、4の原料とした。
以上のように水熱合成したゼオライトを、十分に水洗し120℃で乾燥後、粉末回折X線装置(Rigaku製、RINT)を用いてゼオライトの構造タイプを測定したところ、いずれもMFI型ZSM−5であった。またいずれのゼオライトも、凝集割合が80%以上の凝集型ゼオライトであった。
(ゼオライトのSiO/Alモル比)
ゼオライトをアルカリ水溶液に溶解し、得られた溶液を誘導結合プラズマ原子発光分析法によりケイ素、アルミニウムを定量分析する。これらの値からSiO/Alモル比を計算により求めた。
(ゼオライトの粉砕方法)
水熱合成したゼオライト粒子を、超音速ジェット粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製、型式:LJ)を用いて、ゼオライト粒子の機械的粉砕処理をおこなった。粉砕条件は、圧縮空気消費量0.4Nm/min、粉砕処理量0.2〜1.0kg/hrでおこない、ゼオライトの平均粒子径がそれぞれ2.9μm又は8.9μmになるまで粉砕した。
(中間細孔径ゼオライト含有触媒の組成)
中間細孔径ゼオライト含有触媒がゼオライト以外にアルミニウムを含まない場合、中間細孔径ゼオライト含有触媒の組成は、X線蛍光分析を行って算出できる。ケイ素、アルミニウム、リンの各元素の固有X線量から、ケイ素、アルミニウム、リンのモル数を測定し、その組成を求めた。
ゼオライト質量に対するシリカの質量比を示すA
=(60x−30Fy)/(51y+30Fy)
ゼオライトとシリカの合計質量に対するリン元素の質量比を示すB
=31z/((51y+30Fy)+(60x−30Fy))
(式中、xは中間細孔径ゼオライト含有触媒中のケイ素のモル数、yは中間細孔径ゼオライト含有触媒中のアルミニウムのモル数、zは中間細孔径ゼオライト含有触媒のリンのモル数、FはゼオライトのSiO/Alモル比である)
(質量基準粒度分布)
Buckbee Mears Co. St. Paul製マイクロ・メッシュ・ハイ・プレシジョン・シ−ブス(Micro Mesh High Precision Sieves)を用い、目開き10μmのふるいを通過した触媒粒子および197μmのふるいを通過できなかった触媒粒子の質量を測定することで、触媒粒子中における粒子径10μm未満粒子の割合および粒子径197μmを超える粒子の割合を求め、これらの値から10〜197μmの範囲にある触媒粒子の割合を求めた。
(嵩密度)
筒井理化化学器械株式会社製のカサ比重測定器Z−2504を用いて測定した。
(触媒粒子の圧壊強度)
島津製作所製「微小圧縮試験機MCT−W500」を用い、下記の条件で測定した。
圧子 : 上部加圧圧子 ダイヤモンド製 200μm平面圧子
下部加圧板 : SUS板
負荷速度 : 19.4mN/sec
なお、粒子径は縦方向および横方向の直径を測定し、その平均値をその粒子の直径とした。
(安息角)
安息角は、PT−D型パウダテスタ(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて測定した。具体的には、内径5mmのノズルのある漏斗を水平基板から225mmの位置に漏斗上部、135mmの位置にノズル下部が来るように保持器を用いて設置し、ノズル下部から75mmの位置に粉体捕集台を置いた。振動を与えないように注意しながら漏斗に中間細孔径ゼオライト含有触媒を静かに注ぎ、粉体捕集台上に形成された円錐状の粉体層の斜面が水平面となす角を測定した。同様の実験を3回繰り返し、その測定角の平均値を安息角とした。
(触媒粒子の摩耗損失)
触媒粒子の耐摩耗性の指標である摩耗損失は、噴流式流動装置を用いて測定した。噴流式流動装置は、ガス導入口に0.4mm孔三個を有するオリフィスを設置した内径35mm長さ700mmの粉体上昇部、内径110mm長さ600mmの粉体分離部、微粉末捕集部とからなる。室温で水分2.5gを含む中間細孔径ゼオライト含有触媒52.5gを投入後、蒸気圧相当量の水分を含む空気を空塔線速度10cm/秒でガス導入口から流し、測定開始後0〜5時間及び5〜20時間に微粉末捕集部に回収された中間細孔径ゼオライト含有触媒微粉末質量を測定
し、式(5)に従って、摩耗損失を求めた。
[式(5)]
摩耗損失(質量%)=D/(E−C)×100
(式中、Cは0〜5時間に損失した触媒粒子の質量(g)、Dは5〜20時間に損失した触媒粒子の質量(g)、Eは試験に供した触媒粒子の質量(g)を示す。)
(触媒粒子の形状)
触媒粒子の形状は、電子顕微鏡(SEM、株式会社日立製作所製S−800)で観察した。
(ゼオライトの平均粒子径)
レーザー回折・散乱式粒度分析計(Microtrac社製MT3000)を用い、付属のマニュアルに従い、ゼオライトの平均粒子径を測定した。
(ゼオライトの凝集状態)
電子顕微鏡(SEM、株式会社日立製作所製S−800)を用い、得られた視野像からゼオライトの凝集状態を下式により算出し、凝集割合が50%以下のゼオライトを非凝集ゼオライトとした。
凝集割合=他の1次粒子と部分的に結合しているゼオライト粒子の個数/任意のゼオライト粒子100個×100
(中間細孔径ゼオライト含有触媒の細孔容積)
水銀圧入法細孔分布測定装置(ユアサアイオニクス株式会社製PoreMaster 33PGT)を用い、サンプル量を約0.1gとして付属のマニュアルに従い、水銀導入圧3.5kPa〜231MPaの範囲で測定した。
(エチレン/プロピレンの測定方法)
TCD−FIDを直列に連結したガスクロマトグラフィーを用いて分析した。エチレンの転化率は式(3)、プロピレンの収率は式(4)により求めた。
[式(3)]
エチレン転化率=〔(流動床反応器入口の供給ガス中のエチレン質量%)−(流動床反応器出口の排出ガス中のエチレン質量%)〕/(流動床反応器入口の供給ガス中のエチレン質量%)×100
[式(4)]
プロピレン収率=〔(流動床反応器出口の排出ガス中のプロピレン質量%)−(流動床反応器入口の供給ガス中のプロピレン質量%)〕/(流動床反応器入口の供給ガス中のエチレン質量%)×100
(シリカの平均粒子径)
レーザー回折・散乱式粒度分析計(Microtrac社製MT3000)を用い、付属のマニュアルに従い、シリカの平均粒子径を測定した。
[実施例1]
シリカ一次粒子の平均粒子径が5nmであるアンモニウム安定型シリカゾル3333g(シリカ15質量%)に非凝集型ゼオライト(MFI型ZSM−5、SiO/Alモル比=150、平均粒子径8.9μm、ゼオライトの凝集割合10%以下)500gを添加し、室温大気下で2時間撹拌した。回転円盤式噴霧乾燥機の入口ガス温度が約180°C、出口ガス温度が約100°Cに維持されるように乾燥空気を導入しながら、得られた原料混合物を供給速度12Kg/hr、回転円盤回転数12000rpmで噴霧乾燥した。得られた乾燥粉体を大気下700°Cで5時間マッフル炉にて焼成して、ゼオライト/シリカ=1/A(A=1)の組成を有する中間細孔径ゼオライト含有触媒を得た。なお、仕込み組成と分析より得た組成は同じであった。触媒粒子のSEM像を図1に示す。得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒は、粒子径が10〜197μmの範囲にある質量基準における触媒粒子は96.2%、嵩密度は0.79g/cm、粒子径が30〜70μmの範囲にある触媒粒子の平均圧壊強度は26.8MPa、圧壊強度が10MPa以上の触媒粒子は94%、安息角は27゜、細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積は0.001cc/g、摩耗損失は0.9%であった。
[比較例1]
実施例1においてゼオライトを凝集型ゼオライト(MFI型ZSM−5、SiO/Alモル比=27、平均粒子径15μm、ゼオライトの凝集割合80%以上)とし、850°Cで焼成した以外は実施例1と同様にして、ゼオライト/シリカ=1/A(A=1)の組成を有する中間細孔径ゼオライト含有触媒を得た。尚、仕込み組成と分析より得た組成は同じであった。触媒粒子のSEM像を図2に示す。得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒は、粒子径が10〜197μmの範囲にある質量基準における触媒粒子は97.7%、嵩密度は0.53g/cm、粒子径が30〜70μmの範囲にある触媒粒子の平均圧壊強度は8.0MPa、圧壊強度が10MPa以上の触媒粒子は40%、安息角は31゜、細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積は0.236cc/gであった。この触媒粒子の摩耗損失の測定を試みたが、開始から5時間までに31%のロスが起きたので測定はここで中止した。
[実施例2]
実施例1において非凝集型ゼオライト(MFI型ZSM−5、SiO/Alモル比=27、平均粒子径2.9μm、ゼオライトの凝集割合10%以下)とし、リン酸77gを添加し、焼成温度を850℃とした以外は同様にして、ゼオライト/シリカ/リン=1/A/B(A=1、B=0.024)の組成を有する中間細孔径ゼオライト含有触媒を得た。尚、仕込み組成と分析より得た組成は同じであった。触媒粒子のSEM像を図3に示す。得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒は、粒子径が10〜197μmの範囲にある質量基準における触媒粒子は96.8%、嵩密度は0.91g/cm、粒子径が30〜70μmの範囲にある触媒粒子の平均圧壊強度は24.6MPa、圧壊強度が10MPa以上の触媒粒子は100%、安息角は26゜、細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積は0.015cc/g、摩耗損失は0.3%であった。
この中間細孔径ゼオライト含有触媒の水洗浄を以下にように行った。中間細孔径ゼオライト含有触媒の濃度が10質量%となるように水を加え、得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒スラリーを室温大気下で1時間撹拌した。中間細孔径ゼオライト含有触媒を濾取し、大気下120°Cで5時間乾燥させ、ゼオライト/シリカ/リン=1/A/B(A=1、B=0.019)の組成を有する中間細孔径ゼオライト含有触媒を得た。
[実施例3]
実施例1においてゼオライトを非凝集型ゼオライト(MFI型ZSM−5、SiO/Alモル比=280、平均粒子径2.9μm、ゼオライトの凝集割合10%以下)とし、リン酸77gを添加し、焼成温度を850℃とした以外は同様にして、ゼオライト/シリカ/リン=1/A/B(A=1、B=0.024)の組成を有する中間細孔径ゼオライト含有触媒を得た。尚、仕込み組成と分析より得た組成は同じであった。得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒は、粒子径が10〜197μmの範囲にある質量基準における触媒粒子は95.5%、嵩密度は0.83g/cm、粒子径が30〜70μmの範囲にある触媒粒子の平均圧壊強度は24.9MPa、圧壊強度が10MPa以上の触媒粒子は100%、安息角は28゜、細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積は0.002cc/g、摩耗損失は0.4%であった。
この中間細孔径ゼオライト含有触媒の水洗浄を以下にように行った。中間細孔径ゼオライト含有触媒の濃度が10質量%となるように水を加え、得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒スラリーを室温大気下で1時間撹拌した。中間細孔径ゼオライト含有触媒を濾取し、大気下120°Cで5時間乾燥させ、ゼオライト/シリカ/リン=A/B(A=1、B=0.018)の組成を有する中間細孔径ゼオライト含有触媒を得た。
[実施例4]
実施例1においてゼオライトを非凝集型ゼオライト(MFI型ZSM−5、SiO/Alモル比=280、平均粒子径2.9μm、ゼオライトの凝集割合10%以下)とし、焼成温度800℃で3時間焼成した以外は同様にして、ゼオライト/シリカ=1/A(A=1)の組成を有する中間細孔径ゼオライト含有触媒を得た。尚、仕込み組成と分析より得た組成は同じであった。得られた触媒100gを1N硝酸水溶液1000mlを用いて室温で1時間洗浄後、1N硝酸ナトリウム水溶液1000mlを用いて室温で1時間接触させた。この硝酸ナトリウム水溶液処理をさらに2回行った後に、0.001N硝酸銀水溶液1000mlと室温で1時間接触させた後に乾燥させて0.1質量%のAgを含有する触媒粒子100gを得た。最終的に得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒は、粒子径が10〜197μmの範囲にある質量基準における触媒粒子は96.0%、嵩密度は0.75g/cm、粒子径が30〜70μmの範囲にある触媒粒子の平均圧壊強度は18.5MPa、圧壊強度が10MPa以上の触媒粒子は92%、安息角は29゜、細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積は0.020cc/g、摩耗損失は2.3%であった。
[実施例5]
実施例2においてシリカ一次粒子の平均粒子径が20nmであり、粒径分布が10〜40nmの広い粒径分布を持つカリウム安定型シリカゾル1667g(シリカ30質量%)を用いた以外は、実施例2と同様の方法により、ゼオライト/シリカ/リン=1/A/B(A=1、B=0.024)で示される組成を有する中間細孔径ゼオライト含有触媒を得た。尚、仕込み組成と分析より得た組成は同じであった。得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒は、粒子径が10〜197μmの範囲にある質量基準における触媒粒子は96.5%、嵩密度は0.89g/cm、粒子径が30〜70μmの範囲にある触媒粒子の平均圧壊強度は25.2MPa、圧壊強度が10MPa以上の触媒粒子は100%、安息角は24°、細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積は0.003cc/g、摩耗損失は0.2%であった。
[比較例2]
実施例5においてシリカ一次粒子の平均粒子径が80nmのアンモニウム安定型シリカゾル1667g(シリカ30質量%)を用いた以外は、実施例5と同様の方法により、ゼオライト/シリカ/リン=1/A/B(A=1、B=0.024)で示される組成を有する中間細孔径ゼオライト含有触媒を得た。尚、仕込み組成と分析より得た組成は同じであった。得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒は、粒子径が10〜197μmの範囲にある質量基準における触媒粒子は94.5%、嵩密度は0.79g/cm、粒子径が30〜70μmの範囲にある触媒粒子の平均圧壊強度は8.3MPa、圧壊強度が10MPa以上の触媒粒子は42%、安息角は29°、細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積は0.180cc/gであった。この触媒粒子の摩耗損失の測定を試みたが、開始から5時間までに28%のロスが起きたので測定はここで中止した。
[実施例6]
実施例1で得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒21.6gを内径1インチのステンレス製流動層反応器に充填し、エチレン9.9g/hr、水素0.7g/hr、窒素12.9g/Hrの流量で反応器に原料ガスを供給し、反応温度550°C、反応圧力0.14MPaG、WHSV0.49(1/Hr)の条件で反応を行った。反応生成物の分析は反応器と直結したガスクロマトグラフィー(TCD−FID直列連結)で行った。反応開始から11時間後のエチレン転化率は78.1%、プロピレン収率は18.9%、21時間後のエチレン転化率は72.0%、プロピレン収率は20.2%、33時間後のエチレン転化率は66.3%、プロピレン収率は19.8%、48時間後のエチレン転化率は58.7%、プロピレン収率は19.6%であった。
[実施例7]
実施例2で得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒24.0gを内径1インチのステンレス製流動層反応器に充填し、エタノ−ル16.6g/hr、窒素12.6g/Hrの流量で反応器に原料ガスを供給し、反応温度550°C、反応圧力0.14MPaG、WHSV0.69(1/Hr)の条件で反応を行った。この反応では反応ガス中にエタノ−ルが検出されなかったので、転化率の計算はエチレンベ−スで行った。反応開始から12時間後のエチレン転化率は75.5%、プロピレン収率は22.4%、24時間後のエチレン転化率は69.5%、プロピレン収率は22.8%、36時間後のエチレン転化率は61.0%、プロピレン収率は22.2%であった。
[実施例8]
実施例3で得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒21.3gを内径1インチのステンレス製流動層反応器に充填し、エチレン5.2g/hr、1−ブテン1.3g/hr、水素0.5g/hr、水3.3g/hr、窒素3.5g/Hrの流量で反応器に原料ガスを供給し、反応温度550°C、反応圧力0.14MPaG、WHSV0.33(1/Hr)の条件で反応を行った。この反応ではエチレン:1−ブテン=80:20(質量比)の反応原料を供給した。反応開始から3時間後のエチレン転化率は63.3%、プロピレン収率は21.2%、9時間後のエチレン転化率は60.2%、プロピレン収率は21.0%、18.5時間後のエチレン転化率は56.3%、プロピレン収率は20.8%であった。
[実施例9]
実施例2で得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒24.9gを内径1インチのステンレス製流動層反応器に充填し、エチレン9.9g/hr、アセチレン0.2g/hr、水素0.7g/hr、窒素12.6g/Hrの流量で反応器に供給し、反応温度550°C、反応圧力0.14MPaG、WHSV0.43(1/Hr)の条件で反応を行った。この反応ではエチレン:アセチレン=98:2(質量比)でアセチレンを反応器に供給した。反応開始から24時間後のエチレン転化率は80.4%、プロピレン収率は20.5%、33時間後のエチレン転化率は75.3%、プロピレン収率は22.7%、44時間後のエチレン転化率は62.5%、プロピレン収率は22.7%であった。ここで反応を停止し、充填した触媒から7.5gを抜き出し、この触媒をマッフル炉で空気雰囲気下、580℃で2時間焼成した。この触媒の炭素質化合物の除去率はほぼ100%であった。この触媒を再び反応器に戻して、反応を再開した。再開から2時間後のエチレン転化率は77.3%、プロピレン収率は21.0%、12時間後のエチレン転化率は67.3%、プロピレン収率は22.1%、22時間後のエチレン転化率は61.4%、プロピレン収率は21.7%であった。
[実施例10]
実施例4で得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒60gを内径1インチのステンレス製流動層反応器に充填し、エチレン90.0g/hrの流量で反応器に供給し、反応温度550°C、反応圧力0.01MPaG、WHSV1.5(1/Hr)の条件で反応を行った。反応開始から1.5時間後のエチレン転化率は73.3%、プロピレン収率は21.0%、4時間後のエチレン転化率は72.6%、プロピレン収率は22.5%であった。
[実施例11]
実施例1で得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒21.6gを内径1インチのステンレス製流動層反応器に充填し、エチレン6.6g/hr、エタノ−ル5.4g/hr、水素0.7g/hr、窒素12.9g/Hrの流量で反応器に原料ガスを供給し、反応温度550°C、反応圧力0.14MPaG、WHSV0.49(1/Hr)の条件で反応を行った。反応開始から12時間後のエチレン転化率は77.9%、プロピレン収率は18.8%、23時間後のエチレン転化率は71.7%、プロピレン収率は20.1%、37時間後のエチレン転化率は65.9%、プロピレン収率は19.8%であった。
[実施例12]
SiO/Alモル比=39になるように、ケイ酸ソーダとAl2(SO43のモル比を設定した以外、特開平10−52646号公報に記載の実施例4と同様にして、ゼオライトを水熱合成した。合成されたゼオライトは、非凝集型ゼオライト(MFI型ZSM−5、SiO/Alモル比=39、平均粒子径3.3μm、ゼオライトの凝集割合10%以下)であった。
この非凝集型ゼオライトを用いた以外実施例3と同様にして、ゼオライト/シリカ/リン=1/A/B(A=1、B=0.024)の組成を有する中間細孔径ゼオライト含有触媒を得た。尚、仕込み組成と分析より得た組成は同じであった。
得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒は、粒子径が10〜197μmの範囲にある質量基準における触媒粒子は94.5%、嵩密度は0.84g/cm3、粒子径が30〜70μmの範囲にある触媒粒子の平均圧壊強度は23.9MPa、圧壊強度が10MPa以上の触媒粒子は100%、安息角は28゜、細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積は0.002cc/g、摩耗損失は0.8%であった。
この中間細孔径ゼオライト含有触媒の水洗浄を以下にように行った。中間細孔径ゼオライト含有触媒の濃度が10質量%となるように水を加え、得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒スラリーを室温大気下で1時間撹拌した。中間細孔径ゼオライト含有触媒を濾取し、大気下120°Cで5時間乾燥させ、ゼオライト/シリカ/リン=1/A/B(A=1、B=0.019)の組成を有する中間細孔径ゼオライト含有触媒を得た。
[実施例13]
実施例12で得られた中間細孔径ゼオライト含有触媒21.6gを内径1インチのステンレス製流動層反応器に充填し、エチレン9.9g/hr、水素0.7g/hr、窒素12.9g/Hrの流量で反応器に原料ガスを供給し、反応温度550°C、反応圧力0.14MPaG、WHSV0.49(1/Hr)の条件で反応を行った。反応生成物の分析は反応器と直結したガスクロマトグラフィー(TCD−FID直列連結)で行った。反応開始から11時間後のエチレン転化率は79.2%、プロピレン収率は19.1%、21時間後のエチレン転化率は74.0%、プロピレン収率は20.6%、33時間後のエチレン転化率は65.5%、プロピレン収率は19.0%、48時間後のエチレン転化率は56.2%、プロピレン収率は18.0%であった。
(a)〜(e)を満たす中間細孔径ゼオライト含有触媒を用いた実施例6〜11及び13では、いずれも、経時的にプロピレン収率及びエチレン転化率が一定であり、安定してプロピレンの製造を行うことができた。
また、SiO/Alモル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmの非凝集型のゼオライトと、一次粒の平均粒子径が3〜50μmのシリカゾルを用いて製造された、実施例1〜5及び12の中間細孔径ゼオライト含有触媒はいずれも(a)〜(e)を満たす中間細孔径ゼオライト含有触媒であった。
一方、平均粒子径が10μmを超える凝集型のゼオライトを用いて製造された比較例1の中間細孔径ゼオライト含有触媒は、(a)〜(e)を満たすものではなく、摩耗損失が31%と非常に高い値を示した。
また、一次粒子の平均粒子径が50μmを超えるシリカゾルを用いて製造された比較例2の中間細孔径ゼオライト含有触媒は、(a)〜(e)を満たすものではなく、0〜5時間で28%ものロスが起きる触媒であった。
比較例1及び2の中間細孔径ゼオライト含有触媒は、いずれも(a)〜(e)を満たさないので、摩耗損失が3%を超えるものであった。よって、該触媒は、流動床反応器を用いたプロピレンの製造において触媒の損失が大きいと考えられるので、流動床反応器を用いて、効率よく安定してプロピレンを製造することができないと考えられる。
本出願は、2007年9月18日出願の日本特許出願(特願2007−241434号)及び2008年3月13日出願の日本特許出願(特願2008−064843号)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明のプロピレンを製造する方法により、流動床反応器を用いてエチレン及び/又はエタノ−ルからプロピレンを効率よく安定に製造することが可能である。また、プロピレン製造原料の多様性の観点から工業的製造方法として有用である。

Claims (14)

  1. エチレン及びエタノ−ルから選ばれる少なくとも1種の原料、及び
    中間細孔径ゼオライト含有触媒を流動床反応器内で接触させてプロピレンを製造する方法であって、
    前記中間細孔径ゼオライト含有触媒が、下記(a)〜(e)を満たす:
    (a)90質量%以上の触媒粒子の粒子径が10〜197μmの範囲であり、
    (b)触媒粒子の嵩密度が0.7〜1.1g/cm3の範囲であり、
    (c)粒子径が30〜70μmの範囲にある触媒粒子の平均圧壊強度が15MPa以上であり、且つ、90質量%以上の触媒粒子の圧壊強度が10MPa以上であり、
    (d)安息角が20〜30°であり、かつ
    (e)細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積が0.050cc/g以下である、
    プロピレンの製造方法。
  2. 前記流動床反応器の流出ガスからプロピレンを分離する工程、
    前記流出ガス中のエチレンを含む低沸成分の一部若しくは全量、及び/又は、ブテンを含む高沸成分の一部若しくは全量を前記流動床反応器にリサイクルする工程、をさらに含む、請求項1に記載のプロピレンの製造方法。
  3. 前記流動床反応器から中間細孔径ゼオライト含有触媒の一部を、連続的又は断続的に抜出し、酸素を含むガスに接触させ、該中間細孔径ゼオライト含有触媒に付着した炭素質化合物を燃焼させ、燃焼後の中間細孔径ゼオライトを前記流動床反応器に供給する工程、をさらに含む、請求項1又は2に記載のプロピレンの製造方法。
  4. 前記中間細孔径ゼオライト含有触媒が、ゼオライト及びシリカを含有し、
    下記式(1):
    ゼオライト/シリカ=1/A (1)
    (式中、Aはゼオライト質量に対するシリカの質量比を示し、0<A≦10である。)で表される組成を有し、SiO2/Al23モル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmである非凝集型のゼオライトを用い、一次粒子の平均粒子径が3〜50nmであるシリカゾルを用いて製造される、請求項1から3のいずれか一項に記載のプロピレンの製造方法。
  5. 前記中間細孔径ゼオライト含有触媒が、ゼオライト、シリカ及びリンを含有し、
    下記式(2):
    ゼオライト/シリカ/リン=1/A/B (2)
    (式中、Aはゼオライト質量に対するシリカの質量比、Bはゼオライトとシリカの合計質量に対するリン元素の質量比を示し、0<A≦10、0<B≦0.05である。)で表される組成を有し、SiO2/Al23モル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmである非凝集型のゼオライトを用い、一次粒子の平均粒子径が3〜50nmであるシリカゾルを用いて製造される、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロピレンの製造方法。
  6. 前記中間細孔径ゼオライト含有触媒が周期律表第IB族に属する元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のプロピレンの製造方法。
  7. 下記(a)〜(e)を満たす:
    (a)90質量%以上の触媒粒子の粒子径が10〜197μmの範囲であり、
    (b)触媒粒子の嵩密度が0.7〜1.1g/cm3の範囲であり、
    (c)粒子径が30〜70μmの範囲にある触媒粒子の平均圧壊強度が15MPa以上であり、且つ、90質量%以上の触媒粒子の圧壊強度が10MPa以上であり、
    (d)安息角が20〜30°であり、かつ
    (e)細孔半径が2000〜20000nmの範囲の細孔容積が0.050cc/g以下である、エチレン及びエタノール転化用の中間細孔径ゼオライト含有触媒。
  8. ゼオライト及びシリカを含有し、
    下記式(1):
    ゼオライト/シリカ=1/A (1)
    (式中、Aはゼオライト質量に対するシリカの質量比を示し、0<A≦10である。)で表される組成を有し、
    前記ゼオライトは、SiO2/Al23モル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmである非凝集型のゼオライトである、請求項7に記載の中間細孔径ゼオライト含有触媒。
  9. ゼオライト、シリカ及びリンを含有し、
    下記式(2):
    ゼオライト/シリカ/リン=1/A/B (2)
    (式中、Aはゼオライト質量に対するシリカの質量比、Bはゼオライトとシリカの合計質量に対するリン元素の質量比を示し、0<A≦10、0<B≦0.05である。)で表される組成を有し、
    前記ゼオライトは、SiO2/Al23モル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmである非凝集型のゼオライトである、請求項7又は8に記載の中間細孔径ゼオライト含有触媒。
  10. 周期律表第IB族に属する元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項7から9のいずれか一項に記載の中間細孔径ゼオライト含有触媒。
  11. (i)SiO2/Al23モル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmである非凝集型のゼオライト、及び
    一次粒子の平均粒子径が3〜50nmであるシリカゾルを混合して、原料混合物を調製する工程、
    (ii)前記原料混合物を噴霧乾燥して乾燥粉体を得る工程、
    を含む、請求項7、8及び10のいずれか一項に記載の中間細孔径ゼオライト含有触媒の製造方法。
  12. (i)SiO2/Al23モル比が15〜1000、平均粒子径が0.05〜10μmである非凝集型のゼオライト、
    一次粒子の平均粒子径が3〜50nmであるシリカゾル、及び
    リン化合物を混合して、原料混合物を調製する工程、
    (ii)前記原料混合物を噴霧乾燥して乾燥粉体を得る工程、
    を含む、請求項7、9及び10のいずれか一項に記載の中間細孔径ゼオライト含有触媒の製造方法。
  13. リンを含有し、前記リンが水溶性リン化合物である、請求項7、9及び10のいずれか一項に記載の中間細孔径ゼオライト含有触媒。
  14. リンを含有し、前記リンがリン酸である、請求項7、9及び10のいずれか一項に記載の中間細孔径ゼオライト含有触媒。
JP2009533110A 2007-09-18 2008-09-09 プロピレンの製造方法 Active JP5478253B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009533110A JP5478253B2 (ja) 2007-09-18 2008-09-09 プロピレンの製造方法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007241434 2007-09-18
JP2007241434 2007-09-18
JP2009533110A JP5478253B2 (ja) 2007-09-18 2008-09-09 プロピレンの製造方法
PCT/JP2008/066236 WO2009037992A1 (ja) 2007-09-18 2008-09-09 プロピレンの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2009037992A1 JPWO2009037992A1 (ja) 2011-01-06
JP5478253B2 true JP5478253B2 (ja) 2014-04-23

Family

ID=50750001

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009533110A Active JP5478253B2 (ja) 2007-09-18 2008-09-09 プロピレンの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5478253B2 (ja)

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04217928A (ja) * 1990-03-23 1992-08-07 Sued Chemie Ag 低級オレフィンの製造方法
JPH0853678A (ja) * 1994-07-15 1996-02-27 Shell Internatl Res Maatschappij Bv 炭化水素質供給原料の転化方法
JP2002537976A (ja) * 1999-03-02 2002-11-12 ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー−コーン 高ゼオライト含有量で、かつ耐摩損性の触媒、同触媒の製造方法、および同触媒を用いる接触プロセス
JP2005169215A (ja) * 2003-12-09 2005-06-30 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 炭化水素流動接触分解用触媒組成物の製造方法およびその製造装置
JP2005520874A (ja) * 2002-03-15 2005-07-14 アンスティテュ フランセ デュ ペトロール プロピレン生産を目的とする、4、5またはそれ以上の炭素原子を有するオレフィンを含む仕込み原料を多段転化させるための方法
JP2005232121A (ja) * 2004-02-23 2005-09-02 Mitsubishi Chemicals Corp プロピレンの製造方法
WO2005097950A1 (en) * 2004-04-02 2005-10-20 W.R. Grace & Co.-Conn. Catalyst compositions comprising metal phosphate bound zeolite and methods of using same to catalytically crack hydrocarbons
JP2006008655A (ja) * 2003-12-12 2006-01-12 Mitsubishi Chemicals Corp プロピレンの製造方法
JP2006016345A (ja) * 2004-07-02 2006-01-19 Jfe R & D Corp プロピレンの製造方法
WO2006050487A1 (en) * 2004-11-05 2006-05-11 W. R. Grace & Co.- Conn. Catalyst for light olefins and lpg in fluidized catalytic cracking units
WO2007114195A1 (ja) * 2006-03-30 2007-10-11 Mitsubishi Chemical Corporation プロピレンの製造方法

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04217928A (ja) * 1990-03-23 1992-08-07 Sued Chemie Ag 低級オレフィンの製造方法
JPH0853678A (ja) * 1994-07-15 1996-02-27 Shell Internatl Res Maatschappij Bv 炭化水素質供給原料の転化方法
JP2002537976A (ja) * 1999-03-02 2002-11-12 ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー−コーン 高ゼオライト含有量で、かつ耐摩損性の触媒、同触媒の製造方法、および同触媒を用いる接触プロセス
JP2005520874A (ja) * 2002-03-15 2005-07-14 アンスティテュ フランセ デュ ペトロール プロピレン生産を目的とする、4、5またはそれ以上の炭素原子を有するオレフィンを含む仕込み原料を多段転化させるための方法
JP2005169215A (ja) * 2003-12-09 2005-06-30 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 炭化水素流動接触分解用触媒組成物の製造方法およびその製造装置
JP2006008655A (ja) * 2003-12-12 2006-01-12 Mitsubishi Chemicals Corp プロピレンの製造方法
JP2005232121A (ja) * 2004-02-23 2005-09-02 Mitsubishi Chemicals Corp プロピレンの製造方法
WO2005097950A1 (en) * 2004-04-02 2005-10-20 W.R. Grace & Co.-Conn. Catalyst compositions comprising metal phosphate bound zeolite and methods of using same to catalytically crack hydrocarbons
JP2006016345A (ja) * 2004-07-02 2006-01-19 Jfe R & D Corp プロピレンの製造方法
WO2006050487A1 (en) * 2004-11-05 2006-05-11 W. R. Grace & Co.- Conn. Catalyst for light olefins and lpg in fluidized catalytic cracking units
WO2007114195A1 (ja) * 2006-03-30 2007-10-11 Mitsubishi Chemical Corporation プロピレンの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2009037992A1 (ja) 2011-01-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101083844B1 (ko) 프로필렌의 제조 방법
US9643167B2 (en) Zeolite-containing catalyst and method for producing the same, and method for producing propylene
JP5355910B2 (ja) シリカ成形体
US9670110B2 (en) Silica composite, method for producing the same, and method for producing propylene using the silica composite
WO2014025021A1 (ja) オレフィン又はアルコールの転化方法及びプロピレン又は芳香族化合物の製造方法
JP2011073913A (ja) Zsm−5型ゼオライトの製造方法
JP6574059B2 (ja) 芳香族炭化水素含有化合物の製造方法
JP6413823B2 (ja) ゼオライト成形体
JP5478253B2 (ja) プロピレンの製造方法
JP2008173582A (ja) 炭化水素油の接触分解触媒及び該触媒を用いる炭化水素油の接触分解方法
JP7009770B2 (ja) ゼオライト成型体及び低級オレフィンの製造方法
JP2008200579A (ja) 炭化水素油の接触分解触媒及び該触媒を用いる炭化水素油の接触分解方法
WO2017179108A1 (ja) 低級オレフィンの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120802

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121001

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130327

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130523

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140210

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5478253

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350