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JP5452135B2 - 燃料電池発電システム - Google Patents

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JP5452135B2
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Description

本発明は、燃料電池発電システムの起動方法に関する。
水素あるいは有機化合物の改質燃料を用いる固体高分子形燃料電池は、騒音が小さく、運転温度が低いこと(約70〜80℃)などの特徴を有する。そのため、可搬式電源,電気自動車の電源、あるいは電動バイクやアシスト式自転車、さらには医療介護用の車椅子やシニアカーなどの軽車両用電源として、幅広い用途が期待されている。
また、将来においては、太陽光や風力を電気エネルギーに変換し、そのエネルギーを水電解に供し、運搬可能な水素を製造することが予想される。水素製造が普及すれば、水素を利用したエネルギーシステムが、究極のクリーンエネルギーシステムとして脚光を浴びることになると思われる。太陽エネルギー等は再生可能であり、クリーンで無尽蔵に存在するため、現在の化石エネルギー社会を脱却するための最有力のエネルギー源である。水素吸蔵合金などを利用して高密度で水素を貯蔵すれば、二次電池に蓄積したエネルギーよりも高効率にエネルギーの輸送も可能となる。太陽光などの再生可能エネルギーを活用できるようになれば、二酸化炭素を大幅に削減できる持続可能なエネルギー社会を構築されるものと予想される。このような未来社会において、水素を高効率で電気に再変換できる固体高分子形燃料電池の期待は高い。
さて、固体高分子形燃料電池とは、プロトンを移動させる電解質膜を用い、水素と酸素の再結合反応を直接に電気エネルギーに変換させる電気化学素子である。プロトンを移動させる電解質膜は、その両面に電極が形成されている。これを、膜−電極接合体(以下、MEAと略記する。)と呼ぶ。この電極のそれぞれに対面するように設置したセパレータからなる単位セルを有している。このセパレータには、燃料または酸化剤を流通させるための流路(チャンネル)が形成されている。
電解質膜には水が含まれていないと、電解質膜中のプロトン(水素イオン)移動速度が極めて遅くなることがよく知られている。そのため、燃料あるいは酸化剤に予め水分を添加し、それを燃料電池に供給している。この水を添加する操作を加湿と呼ばれている。これにより、電解質膜の乾燥を抑制することができ、水素の酸化によって生成した水がさらに加わり、電解質膜の湿潤状態が保たれている。よって、従来技術では、加湿をしないと固体高分子形燃料電池を動作させることができないという問題があった。
特許文献1〜8は、純水素を利用した固体高分子形燃料電池のシステムにおいて低温下で起動を容易にするための手段を開示している。
特許文献1,2では、運転終了後に、気象条件や外気温の変化に応じて、燃料電池装置内の水を外部へ排出し、凍結を防止する方法が開示されている。
特許文献3の発明は、システム停止・保管時における燃料電池装置の自動保温機能を持たせることにより、凍結によるシステムの劣化・破損を防止し、起動時間を短縮でき、且つ確実に起動可能とする方法に関するものである。
特許文献4は、燃料電池スタックのセパレータ等に面状発熱体を形成し、自ら昇温ないし保温機能を備えた発明を開示している。
特許文献5では、セパレータの表面または内部にヒータを装備させて、自ら昇温ないし保温機能を備えた構成が開示されている。
特許文献6は、セルスタックの外部に発熱体を設置し、セルスタックを加熱する発明に関するものである。
特許文献7は、ガス拡散層近傍にヒータを設けて、通電してセルを直接、加熱する発明を開示している。
特許文献8に記載されている発明は、冷却水流路に設置したヒータに通電して、加熱しながら電池を昇温する発明である。
特開平11−273704号公報 特開2004−103395号公報 特開2001−143736号公報 特開2004−220947号公報 特開2004−220946号公報 特開2007−35410号公報 特開2003−163020号公報 特開2002−313391号公報
本発明らは、従来技術を鑑み、外気温が低温になった状態から短時間で固体高分子形燃料電池システムを起動する構成を検討し、本発明に至った。特に、固体高分子形燃料電池が凍結した状態から短時間でシステムを起動しうる電池構造とシステム構成を提案することを、重要な課題とした。以下では、高効率な発電システムを実現する上で、問題となる技術項目について、詳細に説明していく。
本発明が対象とする固体高分子形燃料電池の典型例として、水素または化石燃料の改質ガス(水素含有ガス)を燃料とし、空気を酸化剤として利用した燃料電池がある。これらの燃料電池のアノード(燃料極)では式1の反応、カソード(酸化剤極)では式2の反応がそれぞれ進行し、全体では水素の酸化反応が起こっている。式3の化学反応エネルギーは電気エネルギーに変換され、燃料電池から外部に電力を取り出すことができる。
2→2H++2e- …(式1)
2H++1/2 O2+2e-→H2O …(式2)
2+1/2 O2→H2O …(式3)
この反応を起こす固体高分子形燃料電池は、水素イオンを透過する固体高分子電解質膜の一方の面にアノードを形成し、他方の面にカソードを形成している。アノードとカソードは、式1と式2の反応を進める触媒層とガス拡散層の積層構造であることが、一般的である。このように、固体高分子電解質膜とアノードとカソードからなる一体構造物が、いわゆる膜−電極接合体と呼ばれている。ここで、電解質膜を透過する水素イオンは、電解質膜に水分が吸収され、電解質膜が湿潤された状態でないと、移動しにくいことが知られている。水は生成水により補充される。そのため、燃料電池の運転時にはMEAの近傍に水が存在している。
しかし、停止時には通常、水が存在したままで燃料電池が保管され、この水が次の起動の際に凍結しているとガスの流通の阻害をもたらす。また、電解質膜の水も移動しにくく、水素イオンの移動も阻害される。
したがって、低温、特に水が凍結する程度の厳寒時に、固体高分子形燃料電池を起動する方法が問題となっている。
本発明では、低温起動方法を検討した結果、起動時間の短縮と起動後の出力安定化を図るために、以下で述べる2項目の技術課題を解決する必要があることに気が付いた。
第一の課題は、起動時から十分な水が存在しうるセル構造およびシステム構成と、運転条件を提供することである。電池を短時間で昇温するために、MEAの表面や内部、あるいはセパレータの流路に水が存在しない方が有利であるが、水を排出することによるセル発電性能の低下を回避する必要がある。ある程度、セル内部に水を残し、仮に凍結していても容易に昇温できることが望ましい。
また、自然災害,系統電力の遮断,衝突などの外力などにより、システムを緊急停止しなければならない場合がある。そのようなケースでは、セルスタック内部に水が残留してしまい、予定していたように排水できずにシステムが停止してしまう。そのような場合に、セルスタック内部の氷を融解し、燃料電池システムを速やかに再起動させることが必要である。
従来技術によると、電池外部で加熱した冷却水やガスをセルスタックに供給する方法が考案されているが、冷却水またはガス自身の昇温と、それらが通過する配管からの放熱があるために、起動時間を短縮できない問題がある。さらに、セルスタック内部の流路やマニホールドが氷で閉塞されている場合に、高温の冷却水等を流通させることができない問題もある。よって、起動時にセルスタック自身を昇温する方法が望ましい。
第二の課題は、セルへ不純物等の汚染物質が混入しないようにする加熱構造と加熱方法を提供することである。これは、セル近傍にて加熱することが、昇温による起動時間を短縮するのに有利である。しかしながら、セル内部に発熱体を設けることによって、金属物質などの溶出成分が電解質膜の水素イオンと置換され、水素イオンの透過を阻害する場合がある。本技術課題は、発熱体からの汚染物質によるセル性能の低下を防止することである。
以上で述べた2つの技術課題を同時に解決すべく、発明者らは鋭意検討した結果、本発明に至った。
本発明が対象とする燃料電池は、燃料を流通させるアノード流路を有するセパレータと、酸化剤を供給するカソード流路を有するセパレータと、2つの電極と電解質膜からなる膜−電極接合体からなり、かつ、前記膜−電極接合体は前記セパレータの間に挟持された発電セルを有する燃料電池である。このような電池において、以下のような手段により低温起動を実現することができる。
第一の解決手段は、隣接する2つのセパレータの間に、少なくとも水の凝固温度以下の低温状態において前記セパレータの間の抵抗を小さくして通電可能な状態にする抵抗体を具備させ、少なくとも室温以上の温度において前記抵抗体は実質的に電気を流さないようにすることである。
第二の解決手段は、前記電池の正の集電端子と負の集電端子のそれぞれに接続した直流電源または二次電池を具備し、少なくとも氷点下以下の低温状態においてセパレータに通電可能とした請求項1記載の固体高分子形燃料電池を搭載した燃料電池発電システムを提供することである。
第三の解決手段は、第一の解決手段に記載した燃料電池において、前記抵抗体が正温度特性係数を有する抵抗材料とすることである。
第四の解決手段は、前記抵抗体を2つのセパレータの間に挿入されたガスケットよりも外界側に配置することである。
第五の解決手段は、前記冷却セルの内部に、少なくとも水の凝固温度以下の低温状態において通電によって発熱する特性を有する抵抗体を具備させることである。
第六の解決手段は、前記電池の正の集電端子と負の集電端子のそれぞれに接続した直流電源または二次電池を具備し、少なくとも氷点下以下の低温状態においてセパレータに通電可能とした請求項5記載の固体高分子形燃料電池を搭載した燃料電池発電システムを提供することである。
第七の解決手段は、第五の解決手段に記載した燃料電池において、前記抵抗体が負温度特性係数を有する抵抗材料とすることである。
本発明によって、固体高分子形燃料電池のセルで氷結が起こっても、迅速な起動運転を実現することができる。
本発明の発電セルの断面構造を示す。 本発明の2つの発電セルを連結したときの断面構造を示す。 本発明のセルスタックと周辺回路の構成を示す。 本発明の冷却セルの構造を示す。
以下では、本発明の代表的な実施態様について説明する。本発明の要旨を変更しない範囲で、発明の一部を公知の技術で置換することは可能である。
まず、本発明の発電セル(発電セル)の構成を説明する。図1は、固体高分子形燃料電池の発電セルの断面構造を示す。この発電セルの断面中央には、MEAがある。このMEAは、電解質膜103の上面にアノード101を、下面にカソード102を積層した三層構造となっている。燃料側セパレータ104は燃料流路105を有し、その流路面をアノード101に接するように配置されている。酸化剤側セパレータ106は酸化剤流路107を有し、その流路面はカソード102に接している。セパレータの外周部には、燃料と酸化剤が外部に漏れ出さないように、かつ、一方の反応物質が他方の反応物質の流路に浸入しないように、ガスケット108を設けている。
図1のアノード101とカソード102の触媒には、炭素質粉末の導電材に白金微粒子を担持した粉末を用いた。その例として、田中貴金属株式会社製のTEC10E50Eを選択した。ただし、燃料電池の反応を進行させることができれば良いので、これに限定されない。この触媒粉末に含まれる白金の組成は46.5%(重量百分率)である。
電解質バインダには、DuPont社製Nafion溶液を用いた。電解質バインダの添加量は、上述の触媒重量に対し、40%とした。
これらの混合物から水を溶媒としたペーストを調整した。このペーストは混錬機で十分に均一になるように、混ぜ合わせた。手法については特に制約がなく、材料を破壊しないで均質なペーストを調整できる方法であれば、いかなる手段も選択可能である。
これらのペーストは、ブレードコータを用いてPTFEシート表面に塗布し、所定厚さの電極層(湿潤状態)を作成した。電極は10cm角の正方形(面積100cm2)とした。これを風乾し、溶媒を蒸発させた。
次に、電解質膜(DuPont社製,Nafion112,厚さ50μm)を上記の電極層の上に被せ、この積層物を二枚の金属板の間に挿入して、熱プレスを行った。これによって、PTFEシート上の電極層が電解質膜に転写される。
転写後に電解質膜の重量増加分を測定した。その値より、電極単位面積当たりのPt使用量を算出した。本実施例のPt使用量は、アノードにて0.5〜0.9mg/cm2、カソードにて0.1〜0.8mg/cm2であった。
アノードとカソードの触媒層の上には、炭素質多孔質シートをガス拡散層に用いた。炭素質多孔質シートには、PTFEのディスパージョンを添加し、撥水性を付与した。炭素質多孔質シートの厚さは、0.2mmとした。
図1のガスケット108の外側(外界側)に、本発明の正温度特性を有する抵抗体109を設けている。抵抗体109はセパレータ104と106の間に挿入できる程度の厚さに作成すれば良い。発熱体として用いる部品はセパレータとし、平面方向に通電することで、必要な抵抗発熱量を確保した。セパレータ自身は、優れた耐食性を有しているので、少なくとも製品寿命に影響を与えることがない。
セルスタックの中に、セパレータは複数個、積層されているが、それぞれのセパレータはガスケットとMEAによって電気的に絶縁されている。MEAはイオン伝導体であるが、電子伝導体ではない。よって、最も単純な方法として、全セパレータにそれぞれ端子を設置し、各セパレータを個別に通電し、前述のような抵抗発熱量を得ることが考えられる。
しかし、このような方法は非常に煩雑であり、端子接続状態が劣化し、通電不良になる確率が高くなり、好ましい方法ではない。
本発明は、少なくとも複数のセパレータを電気的に連絡することによって、少ない端子の数でセパレータに電気を流すことができるようにする方法を提供するものである。これには、上述のセパレータ間の絶縁状態を通電状態に切り替える機構が必要である。
それを実現するために、ガスケット等が設置されている部分に、低温時に電子良導体になり、高温時(すなわち、セルスタックの運転温度の時)に高抵抗体になるような部品を装着することにした。このような温度特性を有する抵抗体は、PTC(Positive temperature coefficient)材料と称する。PTC材料からなる部品を、複数のセパレータ間に挿入することにより、低温時にON状態となり、通常発電時にOFF状態になるスイッチとして動作させることができる。
抵抗体109は、電子良導体の表面に極薄の塗布層とし、その塗布層をスイッチとして利用しても良い。電子良導体は、セパレータ104,106の外周を凸状に形成し、その凸部に薄い抵抗体109を設置することもできる。このように薄い抵抗体109を用いることにより、低温時に必要な電子伝導性を確保することができる。
低温起動時における抵抗体109の貫通方向の抵抗値は、セパレータの面内方向における抵抗値の1/10以下、より望ましくは1/100以下にすることが好適である。セパレータでの発熱を優先し、抵抗体109での発熱をできるだけ小さくする必要があるためである。抵抗体109での発熱量が大きくなると、抵抗体109の温度が高くなり、それ自身の抵抗値が温度によって高くなるためである。その結果、抵抗体109はOFF状態となり、実質的に電気を流すことができなくなる。抵抗体109の抵抗値は、抵抗体の材質,厚さで制御することが可能である。
抵抗体の具体例として、チタンとバリウムの複合酸化物(BaTiO3,(SrxPb1-x-0.0020.003)TiO3など),WO3+Yb23,PbTiO3系あるいはポリエチレン樹脂層にカーボンを混合させた材料がある。これらの材料以外に、少なくとも水の凝固点以下で抵抗が小さくなる材料であれば、適用可能である。
図2は、2つの発電セルを積層し、正温度特性を有する抵抗体109の機能を説明する図面である。上下2つの発電セルは、図1に説明したものである。電流は下の発電セルのセパレータ106から流れ始め、左側の抵抗体109を伝導する。その後、電流は、2つの発電セルの間にある2つのセパレータ104,106にそれぞれ分配され、右側の抵抗体109に達する。ここで、電流は一旦、集められて、右側の抵抗体を通過し、最上層のセパレータ104の面内方向に電気が流れる。
図2では、発電セルが2個しか示されていないが、これらのセルが上下に繰り返されて、セルスタックが構成されている。発電セルの下方末端には正の集電端子、上方末端には負の集電端子が設置され、正の集電端子から通電が開始される。電流は正の集電端子から隣接するセパレータから流れはじめ、セパレータ面内方向を進行し、そのセパレータに接続されている抵抗体109に達する。その抵抗体を電流が通過した後は、図2で説明したように、電流はセパレータ面内方向を逆方向に流れ、反対側の抵抗体109に達する。このようにして、交互に配置されている抵抗体109を介して、下から上に電流が流れ、最終的に負の集電端子に電流が集められる。
正の集電端子と負の集電端子に印加する電圧は、以下のようにして設定される。まず、両集電端子に抵抗器を接続し、低温時のセルスタックの端子間抵抗を測定する。燃料電池の比熱を計算し、必要な起動時間を任意に決定する。また、燃料電池の通常発電に必要な温度を測定し、起動開始温度との温度差を求める。
電池に供給する電力(ワット単位)は、電池の比熱×温度差÷起動時間から昇温熱量(ワット単位)に、電池からの放熱量(ワット単位)を加えた値となる。その電力を達成する端子間電圧(ボルト単位)は、電池に供給する電力を電池抵抗で除し、その値の平方根になる。このように計算した電圧を正の集電端子と負の集電端子に印加する。
抵抗体109の抵抗値が温度によって無視できない程度に変動する場合は、各温度ごとに電圧を計算し、その電圧を両端子に印加すれば良い。
昇温が始まり、電池温度が通常発電に必要な温度に到達したときに、必要な流量の燃料と酸化剤を燃料電池に供給し、電流を流し始めればよい。この発電の直前に、前述の電圧印加を終了させると、その後の昇温には、発電による熱を利用することができる。
本発明で用いる燃料は水素を含むガスとする。燃料は濃度100%の水素であることが、高い出力あるいは高い発電効率を得る上で望ましい。ただし、アノード101の触媒を劣化させないのであれば、燃料は窒素等の不活性ガスを含んだ混合ガスであってもよい。
酸化剤は、空気が一般に用いられている。酸素濃度を高めたガスあるいは純酸素を供給しても良い。
燃料または酸化剤は、正の集電端子と負の集電端子に電圧を印加した昇温操作と同時に供給し始めても良い。特に、電圧印加ともに発電が部分的に始まるので、燃料を発電によって消費される量以上の流量で供給することが望ましい。このようにすれば、燃料不足によるアノードの劣化を防止することが可能になる。
なお、酸化剤については、その供給を省略しても良い。酸化剤の供給がなくても、カソード流路に含まれている微量の酸素が発電によって消費され、カソードに生成水が形成され、発電の電流は減衰してしまう。その結果、カソードは還元雰囲気での保管になり、何らダメージを受けることはない。
また、起動初期には低温であるため、MEAに流れる電流は極めて小さいが、発電開始温度を設定し、自動的に両端子への印加電圧をゼロとし、通常の発電モードに移行することも可能である。この判断基準として、温度と発電電流、温度と抵抗体109に流れる電流の相関図を作成し、前者の電流が後者の電流を上回ったとき、あるいはある設定した比率の値を超えたときに、通常の発電モードに移行するように制御すれば良い。
上述の起動運転のシーケンスは、制御回路で制御する。例えば、以下のようなステップからなる起動シーケンスを採用することができる。
まず、電池環境温度を測定する。このとき、電池温度が氷点下以下か否かを判定する。
氷点下以下と判断したときには、低温起動モードを実行する。低温起動モードでは、正の集電端子と負の集電端子に直流電源または二次電池(蓄電池)から電力を供給し、端子間に電圧を印加する。電力の供給源には電力系統を利用しても良いし、太陽光発電,キャパシタなどいかなる電力装置を用いることができる。
電圧を印加して、温度をモニターする。このとき、連続的に電力を供給しても良いし、断続的に供給すること(間欠通電)であっても良い。
設定温度に到達したことを確認した後に、低温起動モードを終了させる。すなわち、両端子間への電力の供給を停止する。通常、0℃を越えると発電が可能になるので、設定温度は0℃〜20℃の範囲に設定することが望ましい。
次に、通常発電モードに移行する。そのときに、燃料と酸化剤を燃料電池に供給し、通常の発電を始める。発電の電流値は、温度に応じた値に設定する。一般に、低温時は電流を小さく、高温時には定格電流値に近づけていく。
このような起動運転を実現するためのシステム構成と燃料電池の断面構造を、図3に示した。これは、1kW級PEFCセルスタックの一例である。
先に述べた方法により製作したMEAは、MEA1枚につき2枚の黒鉛製セパレータ304に挟持させ、発電セル301を組み立てた。
二枚のセパレータ304の間にMEA302を挟持させる際に、ガスケット305,MEAの電解質膜部分,ガスケット305の順に積層し、圧着させることによって、燃料や酸化剤の漏洩を防止した。
アノード,カソードともに、図1,図2に示したように、触媒層とガス拡散層から構成される。本発明の触媒層は、電解質膜に塗布したものであっても良いし、ガス拡散層に塗布した後に電解質膜に熱圧着したものを代用しても良い。
複数の発電セル301を直列に接続し、両末端に集電端子313,314を設置し、さらに絶縁板307を介して外側より端板309で締め付ける。端板が絶縁性の材料であれば、絶縁板307を省略することができる。締め付け部品として、ボルト316,ばね317,ナット318を用いる。また、集電端子313,314は、金属板,黒鉛板などの導電性材料を用いることができる。
冷却水流路を有するセパレータは、その流路面を対向させて、冷却水が流れるようにした。これを冷却セル308とする。冷却セル308は、2つの発電セル301ごとに1つ設けた。なお、図3では集電端子313,314に接する末端のセパレータに、冷却水流路を形成した。そこで、冷却水流路と集電板が直接接触して、集電板が腐食しないようにするために、黒鉛板からなる平板部材303を挿入した。
燃料は、左側の端板309に設けた燃料供給用コネクタ310から供給し、各発電セル301を通過して、燃料がMEAのアノード上にて酸化される。発電セル301を通過した燃料排ガスは、反対の端板309に設けた燃料排出用コネクタ322から排出される。本実施例にて、燃料には純水素を用いた。ただし、水素は20%よりも高い濃度で、希釈ガスが不活性な窒素等のガスであれば、低濃度の水素ガスを用いることができる。
同様に、酸化剤は、図3に示す左側の端板309に設けた酸化剤供給用コネクタ311から供給され、反対の端板309の酸化剤排出用コネクタ323から排出される。酸化剤は、空気中の酸素濃度(21%)よりも高めたガスを用いる。酸化剤中の酸素を30%以上の高濃度にすれば、燃料の水素濃度が30%以下になることがないので、セル電圧の低下を抑制できるので、より望ましい。
冷却水は、端板309に設けた冷却水供給用コネクタ312から供給され、冷却セル308あるいは集電板に隣接する冷却セルに流れる。冷却セルを通過し熱を奪った後には、反対の端板309の冷却水排出用コネクタ324から冷却水が排出される。ここから排出された冷却水は、熱交換器(図示省略。)にて冷水により除熱され、再び冷却水供給用コネクタ312に供給される。冷却水の循環にはポンプを用いた。
このような部品構成にて、50個の発電セル301からなるセルスタックを製作した。図3では、50セル分の部品を記載すると、それらの部品が細かくなりすぎるので、それを避けるためにセル数を少なく表示している。本実施例のセルスタック(固体高分子形燃料電池)をS1とする。
セルスタックS1は、集電端子313,314から電力線319を引き出し、DC−DCコンバータあるいはDC−ACコンバータからなる変換器320を介して、外部負荷321に電力を供給できるようになっている。これは通常の発電のときに使用される回路構成である。
本発明の正温度特性を有する抵抗体330は、発電セル301を交互に連絡し、全セパレータが直列に接続されるように配置されている。
低温起動モードでは、スイッチ325を切り替えて、直流電源326を動作させる。直流電源326は、正の集電端子314と負の集電端子313の間に電圧を印加し、セルスタック内部に電気を流すことができる。このようにして、低温時にセルスタック内部を直接、加熱することができる。
セルスタック温度は、溝を加工したセパレータに熱電対を挿入するか、セパレータの側面に貼り付けて、計測することができる。熱電対の代りに、サーミスタなどの他の温度センサを用いることができる。
図4は、図3の冷却セル308に負温度特性を有する抵抗体414を装着させ、冷却セルでも発熱ができるようにするための方法である。冷却セルは、セパレータ410と420を互いに対面させて構成される。
冷却水は冷却水供給マニホールド417から供給され、冷却水流通面421を流れる。流路面421には、3つの凸部(リブとも称される。)422を設けている。冷却水は、凸部422を避けて、冷却水供給マニホールド417から冷却水排出マニホールド418に流れる。図4では細かな流路が形成されていないが、流路面423は直線流路,蛇行した流路,ループをなした流路などいかなる流路を形成しても良い。左面の凹部413には、本発明の負温度特性抵抗体414を収納している。冷却セルのセパレータ410と420が密着されるときに、凸部422で圧着され、セパレータ410から抵抗体414,凸部422,セパレータ420まで電気的に接続されるようになっている。
本発明の負温度特性抵抗体414の材料として、スピネル型Mn−Co−Ni−Cu系,Mn−Ni−Cr酸化物系が挙げられる。低温起動モードのときに高抵抗となり、通常発電モードのときに実質的に電圧ロスにならないような温度特性を有していれば、いかなる材料でも選択することができる。
抵抗体414の面積や厚さは、用いる材質によって選定する。最も重要な要件は、通常発電時に電圧ロスにならないようにすることが肝要である。すなわち、発電セル1つ当りの電圧は0.5〜0.8V程度であるので、この電圧に対し、1/10以下の電圧損失、より望ましくは1/100以下の電圧損失に抑えれば、抵抗体414による電圧ロスを燃料電池の出力損失を1/10〜1/100の範囲、あるいは1/100以下に低減することができる。また、セルスタックの長さを大きくしないためにも、抵抗体の厚さは薄いほど望ましい。
図4の冷却セルには、燃料と酸化剤が通過するだけのマニホールドが形成されている。燃料については供給マニホールド411と排出マニホールド419、酸化剤については供給マニホールド415と排出マニホールド416がある。燃料または酸化剤のいずれかについて、供給側と排出側は上下逆転して使っても、本発明の効果に影響を与えない。
図4の構成の冷却セルを、図3の冷却セル308と交換すれば、低温起動時にセパレータを通電することによる発熱に加え、冷却セルでの発熱を昇温に利用することができ、より速やかな昇温が可能となる。
101 アノード
102 カソード
103 電解質膜
104 燃料流路を有するセパレータ
105 燃料流路
106 酸化剤流路を有するセパレータ
107 酸化剤流路
108 ガスケット
109,330 正温度特性を有する抵抗体
301 発電セル
302 膜−電極接合体(MEA)
303 冷却水流路に対面する平板部材
304 本発明のセパレータ(発電セル用)
305 ガスケット(シール)
307 絶縁板
308 冷却セル
309 端板
310 燃料供給用コネクタ
311 酸化剤供給用コネクタ
312 冷却水供給用コネクタ
313,314 集電端子
316 ボルト
317 ばね
318 ナット
319 外部電力線
320 DC−DCコンバータまたはインバータ
321 外部に設置した負荷
322 燃料排出用コネクタ
323 酸化剤排出用コネクタ
324 冷却水排出用コネクタ
410 抵抗体を収納するセパレータ
411 燃料供給マニホールド
413 抵抗体を収納するための凹部
414 負温度特性を有する抵抗体
415 酸化剤供給マニホールド
416 酸化剤排出マニホールド
417 冷却水供給マニホールド
418 冷却水排出マニホールド
419 燃料排出マニホールド
420 冷却水流路を形成したセパレータ
421 冷却水流路面
422 凸部(リブ)

Claims (4)

  1. 燃料を流通させるアノード流路を有するセパレータと、酸化剤を供給するカソード流路を有するセパレータと、2つの電極と電解質膜からなる膜−電極接合体とで構成され、前記膜−電極接合体が前記セパレータの間に挟持された発電セルを有する固体高分子形燃料電池を搭載した燃料電池発電システムにおいて、
    隣接する2つのセパレータの間に、少なくとも水の凝固温度以下の低温状態において前記セパレータの間の抵抗を小さくして通電可能な状態にする抵抗体と、
    前記燃料電池の正の集電端子と負の集電端子のそれぞれに接続され、少なくとも氷点下以下の低温状態においてセパレータに通電可能とした直流電源または二次電池と、
    前記直流電源または二次電池から前記燃料電池の端子間への電圧の印加、および、燃料および酸化剤の供給を制御する制御手段と、を具備し、
    前記抵抗体は、少なくとも室温以上の温度において実質的に電気を流さず、0℃以下の温度における抵抗値が前記セパレータの抵抗値の1/10以下であり、
    前記制御手段は、前記燃料電池の温度が氷点下以下の時に、前記直流電源または二次電池から前記燃料電池の端子間に電圧を印加するとともに、酸化剤の供給を停止した状態で前記燃料電池に燃料を供給することを特徴とする燃料電池発電システム
  2. 前記制御手段は、前記燃料電池の端子間に電圧を印加し、前記燃料電池の温度が0〜20℃の範囲で設定された設定温度に到達した後に、前記燃料電池の端子間への電圧の印加を停止し、前記燃料電池への酸化剤の供給を開始することを特徴とする請求項1記載の燃料電池発電システム。
  3. 前記抵抗体が正温度特性係数を有する抵抗材料であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池発電システム
  4. 前記抵抗体が2つのセパレータの間に挿入されたガスケットよりも外界側に配置されたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池発電システム
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