JP5446639B2 - トナーの製造方法 - Google Patents
トナーの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5446639B2 JP5446639B2 JP2009211639A JP2009211639A JP5446639B2 JP 5446639 B2 JP5446639 B2 JP 5446639B2 JP 2009211639 A JP2009211639 A JP 2009211639A JP 2009211639 A JP2009211639 A JP 2009211639A JP 5446639 B2 JP5446639 B2 JP 5446639B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- toner
- nozzle
- vibration
- droplet
- liquid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Developing Agents For Electrophotography (AREA)
- Glanulating (AREA)
Description
トナー組成液を気相中で液滴化し粒度分布を狭くする試みとして、圧電パルスを利用して微小液滴を形成し、さらにこれを乾燥固化してトナー化する製造法が提案されている(特許文献2参照)。また、ノズル内の熱膨張を利用して微小液滴を形成し、さらにこれを乾燥固化してトナー化する製造法が提案されている(特許文献3参照)。さらには、音響レンズを利用し、特許文献3と同様の処理をする製造法が提案されている(特許文献4参照)。また、ノズルプレートに設けたノズルから液滴を吐出する液滴吐出装置において、前記ノズルの出口形状を非軸対称とした液滴吐出装置(特許文献5参照)、液体材料を吐出する吐出口を有する第1の貫通孔と、前記液体材料を注入する注入口を有する第2の貫通孔とを含み、前記第2の貫通孔の表面に突起部を有する液滴吐出ヘッド(特許文献6参照)が提案されている。
しかしながら、これらの方法では、一つのノズルから単位時間あたりに吐出できる液滴数が少なく、生産性が悪いという問題があると同時に、液滴同士の合一による粒度分布の広がりが避けられず、単一分散性という点においても満足のいくものではなかった。
一方、高周波数の振動を利用して微小液滴を形成することで生産性を向上させることができる。また、複数ノズルで吐出させることで更に生産性を向上させることができる。しかし、高周波数の振動を利用すると、ノズルからの液の滲み出しが起きやすく、それが吐出安定性と微小液滴の分散性を悪化させる。複数ノズルの場合、その液の滲み出しがさらに起きやすく、さらに吐出を悪化させる傾向にあることが実質的に分かっている。また、複数ノズルの場合、吐出された微小液滴の方向性が悪く、液滴同士の合一が起こり、乾燥した粒子中の粗粉が多くなり、単一分散性が悪いという問題点がある。
1.本発明のトナー製造法は、少なくとも樹脂液及び着色剤を含むトナー材料を溶媒に溶解又は分散させたトナー組成液を複数のノズルから振動手段により気相中に周期的に液滴として吐出し、次いで該液滴を固化乾燥させる工程を有するトナー製造法において、前記ノズルが、液滴吐出側に凸形状を有し、前記凸形状がノズル孔の内壁周囲に形成された円筒であり、前記ノズル孔の径をa、前記円筒の外径をb、該円筒の高さをhとしたときに、(1/2)a≦h≦2a かつa<b≦3aの関係を満たしていることを特徴とする。
2.本発明のトナー製造法は、少なくとも樹脂液及び着色剤を含むトナー材料を溶媒に溶解又は分散させたトナー組成液を複数のノズルから振動手段により気相中に周期的に液滴として吐出し、次いで該液滴を固化乾燥させる工程を有するトナー製造法において、前記ノズルが、液滴吐出側に凸形状を有し、前記凸形状の液吐出方向に平行な断面が、ノズル孔の内壁を接線とする曲線と該内壁とで形成された形状を有し、前記ノズル孔の径をa、前記曲線の曲率半径をrとしたときに、(1/2)a≦r≦2a の関係を満たしていることを特徴とする。
3.本発明のトナー製造法は、さらに、前記振動手段が、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)で構成されることを特徴とする。
4.本発明のトナー製造法は、さらに、前記ノズルが、金属板で構成されることを特徴とする。
5.本発明のトナー製造法は、さらに、前記ノズルが、シリコンで構成されることを特徴とする。
6.本発明のトナー製造法は、さらに、前記ノズルが、ニッケルで構成されることを特徴とする。
7.本発明のトナー製造法は、さらに、前記ノズルが、ステンレス鋼で構成されることを特徴とする。
従来のトナー製造方法である粉砕法と、本発明のトナー製造方法である噴霧法及び振動噴射法について説明する。
<粉砕法>
従来から行われている一般的なトナーの製造方法であり、トナー組成物を二本ロールや二軸押し出し機などにより溶融混練し、冷却後、粗粉砕、微粉砕、分級を行い、必要に応じてヘンシェルミキサーなどで流動化剤などの外添剤の混合を行う方法である。粗粉砕ではロートプレックスやパルペライザー、微粉砕ではジェットミルやターボミル、分級ではエルボジェットや各種の風力分級装置等の公知の製造装置を用いることができる。
液体を加圧してノズルから噴霧する一流体ノズル(加圧ノズル)噴霧機や液体と圧縮気体を混合して噴霧する多流体スプレーノズル噴霧機、回転する円盤を用いて液体を遠心力により液滴化する回転円盤型噴霧機等を用いて、トナー組成液を気相中で液滴化する方法である。噴霧と乾燥を同時に行うスプレードライシステムとして市販の装置を用いることができるが、十分な乾燥ができない場合は流動床乾燥等の二次乾燥を行い、必要に応じてヘンシェルミキサーなどで流動化剤などの外添剤の混合を行う方法である。
同じ開口径の複数のノズルを有する薄膜を機械的に振動させることによって、該ノズルからトナー組成液を周期的に放出することにより均一粒径の液滴を生成し、乾燥してトナー粒子を得る方法である。機械的振動手段は、ノズルを有する膜に対して垂直方向に振動すればどのような配置でもよいが、本発明においては次の二通りの方式が好ましく用いられる。
一つは、複数のノズルを有する薄膜に対して平行な振動面を有し、垂直方向に縦振動する機械的手段(機械的縦振動手段)を用いる方式であり、他の一つは、複数のノズルを有する薄膜のノズルを設けた領域の周囲に円環状に形成された機械的振動手段(円環状機械的振動手段)を設ける方式である。
以下、各方式について説明する。
まず、機械的縦振動手段を設けたトナー製造装置の一例について、図1に示す模式的構成図を参照して説明する。
トナーの製造装置1はトナー組成液を同じ開口径の複数のノズルから周期的に放出し、気相中で液滴化する周期的液滴化工程における液滴化手段としての液滴噴射ユニット2と、この液滴噴射ユニット2が上方に配置され、液滴噴射ユニット2から放出される液滴化されたトナー組成液の液滴を固化してトナー粒子Tを形成する粒子形成工程における粒子化手段としての粒子形成部(溶媒除去部)3と、粒子形成部3で形成されたトナー粒子Tを捕集するトナー捕集部4と、トナー捕集部4で捕集されたトナー粒子Tがチューブ5を介して移送され、移送されたトナー粒子Tを貯留するトナー貯留手段としてのトナー貯留部6と、トナー組成液10を収容する原料収容部7と、この原料収容部7内から液滴噴射ユニット2に対してトナー組成液10を送液する配管(送液管)8と、稼動時などにトナー組成液10を圧送供給するためのポンプ9とを備えている。
また、原料収容部7から送出されるトナー組成液10は、液滴噴射ユニット2による液滴化現象により自給的に液滴噴射ユニット2に供給されるが、装置稼働時等には上述したように補助的にポンプ9を用いて液供給を行う構成としている。図1において、31は液滴、35は乾燥気体、41はトナー捕集部4のテーパ面、42は気流(渦流)、43はトナー粒子の電荷を中和する除電手段である。
この液滴噴射ユニット2は、複数のノズル(吐出口)11が形成された薄膜12と、この薄膜12を振動させる機械的振動手段(以下「振動手段」という)13と、薄膜12と振動手段13との間にトナー組成液10を供給する貯留部(液流路)14を形成する流路部材15とを備えている。
前記複数のノズル11を有する薄膜12は、振動手段13の振動面13aに対して平行に設置されており、薄膜12の一部がハンダまたはトナー組成液に溶解しない樹脂結着材料によって流路部材15に接合固定されており、振動手段13の振動方向とは実質的に垂直な位置関係となる。本発明の要諦はノズルの形状にあるが、それについては後述する。前記振動手段13の振動発生手段21の上下面に電圧信号が付与されるように、通信手段24が設けられており、駆動信号発生源23からの信号を機械的振動に変換することができる。電気信号を与える通信手段としては、表面を絶縁被覆されたリード線が適している。また、振動手段13は後述する各種ホーン型振動子、ボルト締めランジュバン型振動子など、振動振幅の大きな素子を用いることが、効率的かつ安定なトナー生産には好適である。
この振動手段13としては、薄膜12に対して確実な縦振動を一定の周波数で与えることができるものであれば特に制限はなく、適宜選択して使用することができるが、薄膜12を振動させることから、振動発生手段21にはバイモルフ型のたわみ振動の励起される圧電体が好ましい。圧電体は、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する機能を有する。振動発生手段として圧電体を用いると、この圧電体に電圧を印加することにより、たわみ振動が励起され、薄膜12を振動させることが可能となる。
振動手段13は、ノズル11を有する薄膜12に対して垂直方向の振動を与えるものであれば、どのような配置でもよいが、振動面13aと薄膜12とは平行に配置される。
図2に示す例では振動発生手段21と振動増幅手段22で構成される振動手段13としてホーン型振動子を用いており、振動増幅手段22としてホーンを用いている。ホーン型振動子は、圧電素子などの振動発生手段21の振幅を、ホーンなどの振動増幅手段22で増幅することができるため、機械的振動を発生する振動発生手段21自体は小さな振動でよく、機械的負荷が軽減するために生産装置としての長寿命化につながる。
これらのホーン型振動子は、図2に示すように、ホーン(振動増幅手段22)の面積の大きい面に圧電体(振動発生手段21)が配置され、圧電体(振動発生手段21)は縦振動を利用し、ホーン(振動増幅手段22)の効率的な振動を誘起し、ホーン(振動増幅手段22)に面積の小さい面を振動面13aとして、この振動面13aが最大振動面となるように設計されている。圧電体(振動発生手段21)の上方と下方には通信手段(リード線)24が配置され、駆動回路23より交流電圧信号を与える。これらホーン振動子の最大振動面は、振動面13aとなるように形状を設計されるものである。
また、振動手段13としては、特に高強度なボルト締めランジュバン型振動子を用いることもできる。このボルト締めランジュバン型振動子は圧電セラミックスが機械的に結合されており、高振幅励振時に破損することがない。
この場合、振動面とは、前記複数のノズルを有する薄膜が貼り合わされた面と定義される。
このような構成の液滴噴射ユニットの異なる例について図7及び図8を参照して説明する。
図7に示す液滴噴射ユニット204は、振動手段として、振動発生部としての圧電体81及び振動増幅部としてのホーン82で構成されるホーン型振動子134を用いて、ホーン82の一部に貯留部(流路)144を形成したものである。この液滴噴射ユニット204は、ホーン型振動子134のホーン82に一体形成した固定部(フランジ部)83によって、図1に示す粒子形成部3(乾燥手段)の壁面に固定されていることが好ましい、振動の損失を防ぐ観点から、図示しない弾性体を用いて固定してもよい。図7において、134aは振動面、114はノズル、124は薄膜、184は液供給チューブ、194は気泡排出チューブである。
なお、図1では、液滴噴射ユニット2が1個だけ粒子形成部3に取付けられている例を示しているが、複数個の液滴噴射ユニット2を粒子形成部3(乾燥塔)上部に並列にすることが、生産性向上の観点から好ましい。液滴噴射ユニットの個数は100〜1000個の範囲であることが、制御性の観点から好ましい。この場合、液滴噴射ユニット2の各貯留部14には配管8を介して原料収容部(共通液溜め)7に通じ、トナー組成液10が供給される構成とする。トナー組成液10は、液滴化に伴って自給的に供給される構成とすることもできるし、また、装置稼働時等に、補助的にポンプ9を用いて液供給を行う構成とすることもできる。
図9に示す液滴噴射ユニット206は、振動手段としてホーン型振動子136を用いている。このホーン型振動子136の周囲を囲んでトナー組成液10を供給する流路部材156を配置し、ホーン型振動子136のホーン226に、薄膜126と対向する部分に貯留部146を形成している。さらに、流路部材156の周囲に所要の間隔を置いて気流35を流す気流路37を形成する気流路形成部材36を配置している。なお、図示を簡略化するため、薄膜126のノズル116は1個で示しているが、上述したように複数個設けられている。図9において、186は液供給チューブ、216は圧電体である。
また、図10に示すように、複数、例えば制御性の観点からは100〜1000個の液滴噴射ユニット206を、図1に示す粒子形成部3を構成する乾燥塔の上部に並べて配置する。これにより、より生産性の向上を図ることができる。
図11は図1に示すトナー製造装置において液滴噴射ユニットをリング式のものに替えた例を示す。
リング式の液滴噴射ユニット207について図12ないし図14を参照して説明する。なお、図12は同液滴噴射ユニット2の断面説明図、図13は図12を下側から見た要部底面説明図、図14は液滴噴射ユニットにおける液滴化手段の概略断面説明図である。
この液滴噴射ユニット207は、図12に示すように、少なくともトナー組成液10を液滴化して放出させる液滴化手段16と、この液滴化手段16にトナー組成液10を供給する貯留部(液流路)147を形成した流路部材157とを備えている。
次に、この液滴化手段としての液滴噴射ユニット2による液滴形成のメカニズムについて説明する。
上述したように液滴噴射ユニット2は、貯留部14に臨む複数のノズル11を有する薄膜12に、機械的振動手段である振動手段13によって発生した振動を伝播させて、薄膜12を周期的に振動させ、比較的大面積(φ1mm以上)の領域に複数のノズル11を配置し、それら複数のノズル11より液滴を周期的に、安定に形成して放出することができるようになる。
また、図19及び図20に示すような、より高次のモードが存在することが知られている。これらの振動モードは、円形膜内に、同心円状に1ないし複数の節を持ち、実質的に軸対称な変形形状である。また、図21に示すように、薄膜の中心部を凸形状12Cとすることで液滴の進行方向を制御し、かつ振動振幅量を調整することが可能である。
Pac(r,t)=Zr・Vm(r,t) (1)
膜の振動速度Vmは時間とともに周期的に変動しているため時間(t)の関数であり、例えばサイン波形、矩形波形など、様々な周期変動を形成することが可能である。また、前述のとおり、膜の各所で振動方向の振動変位は異なっており、Vmは、膜上の位置座標の関数でもある。本発明で用いられる膜の振動形態は、上述のとおり軸対象である。したがって、実質的には半径(r)座標の関数となる。
以上のように、分布を持った膜の振動変位速度に対して、それに比例する音圧が発生し、音圧の周期的変化に対応してトナー組成液が、気相へ吐出される。
気相へ周期的に排出されたトナー組成液は、液相と気相との表面張力差によって球体を形成するため、液滴化が周期的に発生する。
更には、前記音圧の変位量が、10kPa以上となることによって、上述の微粒子分散促進作用がより好適に発生する。
ここで、形成される液滴の直径は、前記膜のノズル近傍における振動変位が大きいほど大きくなる傾向にあり、振動変位が小さい場合、小滴が形成されるか、または液滴化しない。このような、各ノズル部位における液滴サイズのばらつきを低減するためには、ノズル配置を、膜振動変位の最適な位置に規定することが必要である。
トナー組成液の条件を変更し、粘度20mPa・s以下、表面張力20〜75mN/mの領域においてサテライトの発生開始領域が同様であったことから、前記音圧の変位量が、500kPa以下であることが必要となる。更に好適には100kPa以下である。
ノズルを有する薄膜は、先にも述べたように、トナー組成物の溶解ないし分散液を、吐出させて液滴とする部材である。この薄膜12の材質、ノズル11の形状は、本発明の要諦であり、後述する。
液共振方式のトナーの製造装置の一例を図22に、液滴噴射ユニット例を図23に示す。液共振方式の基本的な構成は機械的縦振動方式とほぼ同一であるが、機械的縦振動方式が振動発生手段によりノズルを有する薄膜を振動させて液滴化しているのに対して、液共振方式ではノズルを有する薄膜の振動によるのではなく、液の共振により液滴化している点が異なる。
したがって、薄膜は振動しない程度に強度を高めている。薄膜の材質としては、シリコンやシリコン酸化物などが用いられ、シリコン基板、特にSOI(Silicon on Insulator)基板を用いることがノズルの形成の面でも望ましい。なお、ノズル形状は本発明の要諦であり、後述する。
この液滴噴射ユニット208は、複数のノズル(吐出口)118が形成された薄膜128と、振動手段138と、薄膜128と振動手段138との間に、少なくとも樹脂、着色剤、及び特定のフェノール系樹脂を含有するトナー組成液10を供給する貯留部(液流路)148を形成する貯留部構成部材158とを備えている。振動手段138と貯留部148の壁との間には、振動を伝達させないための、振動分離部材26により位置を固定されている構成が望ましいが、振動手段138の、振動振幅の小さい節の部分27を介して壁に直接固定する形態でも構わない。液貯留部148には、液供給及び液循環に用いる配管808を通じてトナー組成液10が供給される。
振動手段138、振動発生手段218、振動増幅手段228としては、前述の機械的縦振動手段を用いる膜振動方式の説明において例示したものを同様に使用することができる。
次に、液滴化手段としての液滴噴射ユニット208による液滴形成のメカニズムについて図23(c)を参照して説明する。
振動手段138により振動面138aに発生した振動は貯留部148内の液に伝達し、貯留部148内の液は液共振現象を起こす。薄膜128に設けられた複数のノズルにおいて、液は均質に加圧された状態において気体側に放出される。貯留部148内の液全体の共振の作用によって、全てのノズルから均等に液が噴出され、更には、トナー組成液に多く含有される、分散微粒子が前記薄膜の貯留部面に沈着することなく貯留部を浮遊するため、安定的に液を噴射し続けることができる構成となっている。
複数のノズルを設けた薄膜を機械的に振動させる場合はノズル詰りが発生しづらいという利点があるが、薄膜面積が広いと均一振動が得られずに液滴の粒度分布なる場合がある。これに対し、液共振方式は各ノズルにほぼ等しい振動圧力が与えられるため、広い薄膜でも狭粒度分布の液滴が得られやすい。
特徴的な噴射によるトナー製造方法について上記で説明してきたが、説明を簡便にするために捕集に関する機構を省略している。捕集に関してはどの噴射方法においても同様の対処となるため、代表として円環状機械的振動手段での説明を行う。
図24は本発明のトナー製造装置の実施形態を示す説明図である。本実施形態では、吐出部にはシュラウドを有し、トナー流の周囲に搬送気流を有して、この搬送気流により、吐出されたトナー群の群速度を増加させるように、また、吐出初速度が高い場合には逆に減少させるようにする。これにより、吐出されたトナーが固化するまでの乾燥工程中に互いに衝突することによる合着を効率よく防止し、得られるトナー群は合一物が極めて少なく、歩留などを含む生産性を向上させることができる。
液滴噴射ユニット209は、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成物を有機溶媒中に分散ないし溶解させたトナー組成液10を液滴化して放出させる液滴化手段161と、この液滴化手段161にトナー組成液10を供給する貯留部149を形成した容器130とを備えている。
そして、容器130の外側には、ノズル119に対向する部分を開口した開口部30aを有し、ノズル119からのトナー組成液10の放出方向に沿って流れる液滴31を搬送する気体の気流路を形成するシュラウド部30が取り付けられている。シュラウド部30は、ノズル部が開口した2重の釜状の壁30b、30cからなり、互いが蓋部310で結合されている。シュラウド部30の側面には気体の吹き出し用のパイプ91が嵌入されている。2重の壁の内、内側の壁30cは、容器130の下端近傍で終わっている。2重の壁の内、外側の壁30bはノズル119の下部まで回り込んでおり、ノズル119に対向する下部の円状の開口部30aで終わっている。開口部30aの口径は「D」であり、外側の壁30bの底部30dの内壁とノズル119の下端とはクリアランスGを保っている。Dに比してGのサイズが小さいため、Gが搬送気流の流速を決める主な要因である。
一方、シュラウド部30中には、吹き出しパイプ91により気体が吹き出され、シュラウド部30中を通って搬送気流95を形成し、開口部30aからチャンバー部180に放出される。形成される搬送気流95は円周方向に均一で下向きであり、シュラウド部30の壁30bの下端部が丸味を帯びているため気流はスムースに横向きに方向を変え、ノズル15下で合流し、さらに開口部30aから放出される。この時の気流は乱流であると液滴31同士の合着が起こり易いので、層流であることが好ましい。
この例では、液滴31の初速度V0より搬送気流95の流速V1が大きく、液滴31は加速されてから搬送気流95に乗って送られる場合を示している。V1は自由落下速度より高ければよく、初速度V0より低くてよい。チャンバー内にはV1より速い流速V2の気流96が形成されている。気流96の流速V2は大きいほど、合着を防止する点で好ましい。チャンバー部180中の気流96は、吹き出し用のパイプ93より気体を吹き出すことによりシュラウド部30中と同様に周方向に均一な一様の気流が形成される。チャンバー部180内では層流が好ましい。チャンバー部180中に放出された直後の液滴31を含む液滴の流れ31a(流速はV1)が乱流を起こさず、スムースに流下されるために、チャンバー部180内の気流96の流速V2に対し、V2≧V1であることが好ましい。
前述したように、シュラウド部30の搬送気流95の流速を決める律速となるのは、D>Gであるため、G、即ち壁30bとヘッド2aとのクリアランスである。
以上はシュラウド部30の搬送気流95及びチャンバー部180内の気流96とも、チャンバー部18の上部にある吹き出しパイプ91及びチャンバー部噴出し口93から気体を吹き出すことにより形成されたが、チャンバー部180の下部に設けたパイプ92から吸引することによって気流を形成してもよい。
本実施形態では、吹き出される気体として、シュラウド部30、チャンバー部180とも窒素ガスを用いたが、気体であればよく、空気あるいはその他の気体であってもよい。また、図24ではシュラウド部30を2重のお釜状の壁30b、30cで構成したが、内側30cの壁を、容器130を構成する外周壁で兼用してもよい。また、1つのチャンバー部180中に複数の液滴噴射ユニット209とシュラウド部30を並設した構成にすることによってさらにトナーの製造効率を上げることができる。
放出された液滴31は粒子形成部301を通過しながら溶媒除去され、固形形態となってトナー貯蔵部601で捕集される。図24において、25はヘッド、32はバルブ、70は送液管、71は排液管、100はポンプ、701は原料収容部である。
必要に応じて、さらに流動床乾燥や真空乾燥といった二次乾燥が行われる。有機溶剤がトナー中に残留すると耐熱保存性や定着性、帯電特性等のトナー特性が経時で変動するだけでなく。加熱による定着時において有機溶剤が揮発するため、使用者及び周辺機器へ悪影響を及ぼす可能性が高まるため、充分な乾燥を実施する。
以上説明したように本発明で適用される、液滴吐出手段には様々なものがある。上述したような液滴吐出手段ではノズル及び薄膜においてトナー組成液の滲み出しに対する対処を行わないと、噴射中にトナー組成液が予期しない状態で染み出し、結果としてノズル全体をトナー組成液が覆ってしまい、噴射を妨げる事態に陥ることが明らかとなってきた。また、トナー組成液自体が噴射を妨げなかった場合であっても、やがてトナー組成液が乾燥し、乾燥物によってノズルの詰まりや形状の変化によって、やはり噴射低下あるいは噴射の停止を引き起こす。このため、ノズルには滲み出しを防止する措置を講ずる必要がある。
本発明ではノズル形状を従来実施してきたような吐出面が平板であることより、吐出面に凸加工を施した形状に変更することによってトナー組成液の染み出しが顕著に低減できることを見出し、本発明に至った。
本発明においては、液滴吐出側にタコ口形状を有するノズルを用いる。ここで、タコ口形状とは、液滴吐出側に凸形状を有し、該凸形状がノズル孔の内壁周囲に形成された筒状物である形状をいう。筒状物の断面としては、円、楕円、三角形、四角形、六角形、八角形等の多角形などが挙げられる。
本発明のノズルの形状は、図25及び図26に示すように噴射出口側に凸加工を施してある。図25に示すノズルは、ノズルAの口径をa、凸部Bの径をb、凸部高さをhとしたときに下記式(1)及び(2)の関係を満たす。
a<b≦3a (1)
1/2a≦h≦2a (2)
図25に示すノズルの形状において、式(2)に示すように、凸Bの高さhは、ノズルA口径の1/2以上が必要である。1/2未満であった場合、メニスカスの振動や気流の乱れなどから実質的に凸Bが無い状態と変わりなく、メニスカスが広がりかつ液滴吐出方向性が安定にならず液滴粒度分布が広くなる。凸Bの高さhは、ノズルAの口径の2倍以下であることを要し、好ましくは1.5倍である。2倍を超えた場合、ノズルプレートの厚さがあるため実質的にノズルAの孔内高さLと口径aとの比(L/a)が大きくなって、ノズルの加工がしにくいばかりか吐出時の圧力損失が大きくなり、吐出電圧が高くなり。このため、トナーの製造において省エネルギー化を図ることができなくなる。
1/2a≦r≦2a (3)
図26に示すノズルの形状において、液滴吐出側に曲率半径rである凸形状の場合、凸部の曲率半径rについては上記式(2)に示す高さhと同様のことが言え、曲率半径rは、上記式(2)における高さhと見なすことができる。したがって、式(3)に示すように、曲率半径rは、ノズルAの口径aの1/2以上が必要である。曲率半径rが、ノズルAの口径aの1/2未満であった場合、メニスカスの振動や気流の乱れなどから実質的に凸Bが無い状態と変わりなく、メニスカスが広がりかつ液滴吐出方向性が安定にならず液滴粒度分布が広くなる。また、曲率半径rは、ノズルAの口径aの2倍以下であることを要し、好ましくは1.5倍である。2倍を超えた場合、ノズルプレートの厚さがあるため実質的にノズルAの孔内高さLと口径aとの比(L/a)が大きくなって、ノズルの加工がしにくいばかりか吐出時の圧力損失が大きくなり、吐出電圧が高くなり。このため、トナーの製造において省エネルギー化を図ることができなくなる。
図26の形状を選択した場合においてもノズルの材質及びノズル口径の大きさは図25で最適のものが適用される。
次に、ノズルの断面形状を2段型とする方法を、図27を用いて説明する。シリコン基板両面にレジスト1110をコートし(11a)、ノズルパターンが形成されたフォトマスクで覆い、紫外線を露光し、レジスト1110をノズルパターンとして形成する(11b)。支持層1120面側からICP放電(誘導結合プラズマ放電)を用いた異方性ドライエッチングを行い、第1のノズル孔1150を形成し、活性層1140面側を同様の異方性ドライエッチングを行なって第2のノズル1160を形成し(11c)、最後に誘電体層1130をフッ酸系エッチング液により取り除き、2段の貫通孔を得る(11d)。この方法は、深堀りノズル形状を均等に形成する上で最も好ましい方法である。また、図示しないが、シリコン基板として、単層のシリコン基板を用いた場合でもSOI基板の場合と同様の方法でノズルを形成することができる。その際には、エッチング時間を調整することにより、第1のノズル孔の深さ及び第2のノズル孔の深さを調整することが可能である。
次に、本発明に係るトナーについて説明する。本発明に係るトナーは上述したトナー製造装置を用いたトナー製造法により製造されたトナーであり、この製造法により、粒度分布が単分散なものが得られる。
具体的には、前記トナーの粒度分布(体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn))としては、1.00〜1.15の範囲内にあるのが好ましい。より好ましくは1.00〜1.05である。また、体積平均粒径としては、1〜20μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは3〜10μmである。
次に、本発明で使用するトナー材料(トナー組成液)について説明する。先ず、前述したようにトナー組成物を溶媒に分散、溶解させたトナー組成液について説明する。
トナー材料としては、従来の電子写真用トナーと全く同じ物が使用できる。すなわち、スチレンアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂、エポキシ系樹脂、等のトナーバインダーを各種有機溶媒に溶解し、着色剤を分散、かつ、離型剤を分散又は溶解し、これを前記トナー製造方法により微小液滴とし乾燥固化させることで、目的とするトナー粒子を作製することが可能である。また、上記材料を熱溶融混練し得られた混練物を各種溶媒に一度溶解乃至分散した液を、前記トナー製造方法により微小液滴とし乾燥固化させることで、目的のトナーを得ることも可能である。
前記トナー用材料としては、少なくとも樹脂と着色剤とを含有し、必要に応じて、キャリア、ワックス等のその他の成分を含有する。
前記樹脂としては、少なくとも結着樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができるが、例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等のビニル重合体、これらの単量体又は2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂、などが挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン、又はその誘導体などが挙げられる。
アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸、又はそのエステル類などが挙げられる。
メタクリル系単量体としては、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸又はそのエステル類などが挙げられる。
(1)エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類;(2)ブタジエン、イソプレン等のポリエン類;(3)塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;(4)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;(5)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;(6)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;(7)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;(8)ビニルナフタリン類;(9)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等;(10)マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;(11)マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;(12)マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステルの如き不飽和二塩基酸のモノエステル;(13)ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;(14)クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;(15)クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物;(16)該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマー;(17)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(18)4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマー。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに替えたもの、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートなどが挙げられる。変える
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部用いることが好ましく、0.03〜5質量部用いることがより好ましい。これらの架橋性モノマーのうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性を付与する点から、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が好適に挙げられる。これらの中でも、スチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂等のビニル重合体のときの酸価としては、0.1〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1〜50mgKOH/gであることがさらに好ましい。
2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオールなどが挙げられる。
ポリエステル樹脂を架橋させるためには、3価以上のアルコールを併用することが好ましい。3価以上の多価アルコールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、例えば、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。
結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、その酸価としては、0.1〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1〜50mgKOH/gであることがさらに好ましい。
本発明において、結着樹脂の分子量分布は、THFを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
また、ポリエステル系重合体、ビニル重合体とその他の結着樹脂を併用する場合、全体の結着樹脂の酸価が0.1〜50mgKOH/gである樹脂を60質量%以上有するものが好ましい。
本発明において、トナー組成物の結着樹脂成分の酸価は、以下の方法により求めることかでき、基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料は予め結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、結着樹脂及び架橋された結着樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め求めておく。試料の粉砕品0.5〜2.0gを精秤し、重合体成分の重さをW(g)とする。例えば、トナーから結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤又は磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により結着樹脂の酸価を求める。
(2)300mlのビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(体積比4/1)の混合液150mlを加え溶解する。
(3)0.1mol/LのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とし、以下の式で算出する。ただしfはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W
本発明で使用できる磁性体としては、例えば、(1)マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄、(2)鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又は、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金、(3)及びこれらの混合物、などが挙げられる。
磁性体として具体的に例示すると、Fe3O4、γ−Fe2O3、ZnFe2O4、Y3Fe5O12、CdFe2O4、Gd3Fe5O12、CuFe2O4、PbFe12O、NiFe2O4、NdFe2O、BaFe12O19、MgFe2O4、MnFe2O4、LaFeO3、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも特に、Fe3O4(四三酸化鉄)、γ−Fe2O3(γ−三二酸化鉄)の微粉末が好適である。
また、異種元素を含有するマグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、又はその混合物も使用できる。異種元素を例示すると、例えば、リチウム、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ゲルマニウム、ジルコニウム、錫、イオウ、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウムなどが挙げられる。好ましい異種元素としては、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン及びジルコニウムから選択される元素である。異種元素は、酸化鉄結晶格子の中に取り込まれていてもよいし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていてもよいし、又は表面に酸化物あるいは水酸化物として存在していてもよいが、酸化物として含有されているのが好ましい。
前記磁性体の使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、磁性体10〜200質量部が好ましく、20〜150質量部がより好ましい。これらの磁性体の個数平均粒径としては、0.1〜2μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。前記個数平均径は、透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることができる。
また、磁性体の磁気特性としては、10Kエルステッド印加での磁気特性がそれぞれ、抗磁力20〜150エルステッド、飽和磁化50〜200emu/g、残留磁化2〜20emu/gのものが好ましい。
前記磁性体は、着色剤としても使用することができる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができるが、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物などが挙げられる。
前記着色剤の含有量としては、トナー全量中1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。
また、前記マスターバッチ用の樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下、アミン価が1〜100で、着色剤を分散させて使用することが好ましく、酸価が20mgKOH/g以下、アミン価が10〜50で、着色剤を分散させて使用することがより好ましい。酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となることがある。また、アミン価が1未満であるとき、及び、アミン価が100を超えるときにも、顔料分散性が不十分となることがある。なお、酸価はJIS K0070に記載の方法により測定することができ、アミン価はJIS K7237に記載の方法により測定することができる。
前記分散剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるスチレン換算重量での、メインピークの極大値の分子量で、500〜100000が好ましく、顔料分散性の観点から、3000〜100000がより好ましい。特に、5000〜50000が好ましく、5000〜30000が最も好ましい。分子量が500未満であると、極性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがあり、分子量が100000を超えると、溶剤との親和性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。
前記分散剤の添加量は、着色剤100質量部に対して1〜200質量部であることが好ましく、5〜80質量部であることがより好ましい。添加量が1質量部未満であると着色剤の分散能が低くなることがあり、200質量部を超えると帯電性が低下することがある。
また、本発明では、結着樹脂、着色剤とともにワックスをトナーに含有させることもできる。
ワックスとしては、特に制限はなく、通常使用されるものを適宜選択して使用することができ、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス、みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス、モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類。脱酸カルナバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したものなどが挙げられる。
ワックスとしては、更に、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に直鎖のアルキル基を有する直鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸、プランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸、ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウピルアルコール、セリルアルコール、メシリルアルコール、あるいは長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール、ソルビトール等の多価アルコール、リノール酸アミド、オレフィン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド、メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'−ジオレイルセパシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類、m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス、ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物、植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
また、これらのワックスを、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は溶液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものや、低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
また、2種以上の異なる種類のワックスを併用することにより、ワックスの作用である可塑化作用と離型作用を同時に発現させることができる。
可塑化作用を有するワックスの種類としては、例えば、融点の低いワックス、分子の構造上に分岐のあるものや極性基を有する構造のものなどが挙げられる。
離型作用を有するワックスとしては、融点の高いワックスが挙げられ、その分子の構造としては、直鎖構造のものや、官能基を有さない無極性のものが挙げられる。使用例としては、2種以上の異なるワックスの融点の差が10〜100℃のものの組み合わせや、ポリオレフィンとグラフト変性ポリオレフィンの組み合わせなどが挙げられる。
2種のワックスを選択する際には、同様構造のワックスの場合は、相対的に、融点の低いワックスが可塑化作用を発揮し、融点の高いワックスが離型作用を発揮する。この時、融点の差が10〜100℃の場合に、機能分離が効果的に発現する。10℃未満では機能分離効果が表れにくいことがあり、100℃を超える場合には相互作用による機能の強調が行われにくいことがある。このとき、機能分離効果を発揮しやすくなる傾向があることから、少なくとも一方のワックスの融点が70〜120℃であることが好ましく、70〜100℃であることがより好ましい。
前記ワックスの総含有量としては、結着樹脂100質量部に対し、0.2〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
本発明では、DSCにおいて測定されるワックスの吸熱ピークの最大ピークのピークトップの温度をもってワックスの融点とする。
前記ワックス又はトナーのDSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させて前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるものを用いる。
本発明に係るトナーには、流動性向上剤を添加してもよい。該流動性向上剤は、トナー表面に添加することにより、トナーの流動性を改善(流動しやすくなる)するものである。
流動性向上剤としては、例えば、カーボンブラック、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤若しくはシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ,処理酸化チタン,処理アルミナ、などが挙げられる。これらの中でも、微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナが好ましく、また、これらをシランカップリング剤やシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカが更に好ましい。
前記流動性向上剤の粒径としては、平均一次粒径として、0.001〜2μmであることが好ましく、0.002〜0.2μmであることがより好ましい。
ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば、AEROSIL(日本アエロジル社商品名、以下同じ)−130、−300、−380、−TT600、−MOX170、−MOX80、−COK84:Ca−O−SiL(CABOT社商品名)−M−5、−MS−7、−MS−75、−HS−5、−EH−5、Wacker HDK(WACKER−CHEMIE社商品名)−N20 V15、−N20E、−T30、−T40:D−CFineSi1ica(ダウコーニング社商品名):Franso1(Fransi1社商品名)、などが挙げられる。
さらには、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が好ましくは30〜80%の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。疎水化は、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的あるいは物理的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法がよい。
流動性向上剤のBET法で測定した窒素吸着による比表面積としては、30m2/g以上が好ましく、60〜400m2/gがより好ましい。表面処理された微粉体の比表面面積は、20m2/g以上が好ましく、40〜300m2/gがより好ましい。
これらの微粉体の適用量としては、トナー粒子100質量部に対して0.03〜8質量部が好ましい。
本発明に係るトナーには、他の添加剤として、静電潜像担持体・キャリアの保護、クリーニング性の向上、熱特性・電気特性・物理特性の調整、抵抗調整、軟化点調整、定着率向上等を目的として、各種金属石けん、フッ素系界面活性剤、フタル酸ジオクチルや、導電性付与剤として酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化アンチモン等や、酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミナ等の無機微粉体などを必要に応じて添加することができる。これらの無機微粉体は、必要に応じて疎水化してもよい。また、ポリテトラフルオロエチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデン等の滑剤、酸化セシウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、ケーキング防止剤、更に、トナー粒子と逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子とを、現像性向上剤として少量用いることもできる。
これらの添加剤は、帯電量コントロール等の目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤、又は種々の処理剤で処理することも好ましい。
使用できる混合機の例としては、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。
得られたトナーの形状をさらに調節する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結着樹脂、着色剤からなるトナー材料を溶融混練後、微粉砕したものをハイブリタイザー、メカノフュージョン等を用いて、機械的に形状を調節する方法や、いわゆるスプレードライ法と呼ばれるトナー材料をトナーバインダーが可溶な溶剤に溶解分散後、スプレードライ装置を用いて脱溶剤化して球形トナーを得る方法、水系媒体中で加熱することにより球形化する方法などが挙げられる。
無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmであることが好ましく、5〜500nmであることがより好ましい。
無機微粒子の前記BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。
無機微粒子の使用割合は、トナー全量中0.01〜5質量%であることが好ましく、0.01〜2.0質量%であることがより好ましい。
このような外添剤は、表面処理剤により、疎水性を上げ、高湿度下においても外添剤自体の劣化を防止することができる。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好適に挙げられる。
前記無機微粒子の一次粒子径としては、5nm〜2μmであることが好ましく、5〜500nmであることがより好ましい。また、BET法による比表面積としては、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合としては、トナーの0.01〜5質量%であることが好ましく、0.01〜2.0質量%であることがより好ましい。
本発明に係るトナーを用いた現像方法は、従来の電子写真法に使用する静電潜像担持体が全て使用できるが、例えば、有機静電潜像担持体、非晶質シリカ静電潜像担持体、セレン静電潜像担持体、酸化亜鉛静電潜像担持体、などが好適に使用可能である。
(実施例1)
−着色剤分散液の調製−
まず、着色剤としての、カーボンブラックの分散液を調製した。
カーボンブラック(Regal400;Cabot社製)17質量部及び顔料分散剤(アジスパーPB821;味の素ファインテクノ社製)3質量部を、酢酸エチル80質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用して一次分散させた。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、径が5μm以上の凝集体を完全に除去した二次分散液を調製した。
次にワックス分散液を調製した。
カルナバワックス18質量部、ワックス分散剤(ポリエチレンワックスにスチレン−アクリル酸ブチル共重合体をグラフト化したもの)2質量部を、酢酸エチル80質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用して一次分散させた。この一次分散液を攪拌しながら80℃まで昇温してカルナバワックスを溶解した後、室温まで液温を下げ最大径が3μm以下となるようワックス粒子を析出させた。得られた分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、ワックス粒子の最大径が1μm以下になるよう調整した。
次に、結着樹脂としての樹脂、上記着色剤分散液及び上記ワックス分散液を添加した下記組成からなるトナー組成液を調製した。
結着樹脂としてのポリエステル樹脂100質量部、前記着色剤分散液30質量部及び前記ワックス分散液30質量部を、酢酸エチル840質量部に投入し、攪拌羽を有するミキサーを使用して10分間攪拌を行い、均一に分散させた。溶媒希釈によるショックで顔料やワックス粒子が凝集することはなかった。
得られたトナー組成液500mlを、前述したトナー製造装置103(図24)の液滴化手段161のノズル119に供給した。使用した薄膜(以下、「ノズルプレート」と称することがある。)129は、表1のノズル仕様1に示される、外径15.0mm、50μm厚のニッケル板に、真円形状の直径10μmの吐出孔(ノズル)119を、電鋳法による加工で作製した。吐出孔は各吐出孔間の距離が100μmピッチとなるように千鳥格子状に、薄膜129中心の約5mmφの範囲にのみ設けた。この場合の計算上の有効吐出孔数は1000個となる。
分散液調製後、以下のようなトナー作製条件で、液滴を吐出させた後、該液滴を乾燥固化することにより、トナー母体粒子を作製した。
分散液密度 :ρ=1.1888g/cm3
乾燥空気流量 :装置内乾燥窒素 30.0L/分
装置内温度 :27〜28℃
ノズル振動周波数:98kHz
ノズル印加電圧サイン波ピーク値:10.5V
吐出の安定性について試験したところ、1時間の連続稼動させたときの吐出量の変動は、初期の1.02g/分に対して1時間後で変動はなかった。1時間連続化動作させた後に捕集したトナーの粒径分布を測定したところ、0.91g/分であり、これを1時間後の連続吐出性として下記のように評価した。この結果、連続吐出性は89%と算出された。この数値が高いほど連続吐出性が優れることを意味している。
1時間後の連続吐出性=1時間後のトナー組成液吐出量/初期のトナー組成液吐出量×100(%)
Particle Image Analyzer)を使用した測定方法に関して以下に説明する。トナー、トナー粒子及び外添剤のフロー式粒子像分析装置による測定は、例えば、東亜医用電子社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2000を用いて測定することができる。
測定は、フィルターを通して微細なごみを取り除き、その結果として、密度10−3cm3の水中に所定の測定範囲(ここでは、円相当径0.60μm以上159.21μm未満)の粒子数が20個以下の水10ml中に、ノニオン系界面活性剤(和光純薬社製、コンタミノンN)を数滴加え、さらに、測定試料を5mg加え、超音波分散器(STM社製、UH−50)で20kHz、50W/10cm3の条件で1分間分散処理を行い、さらに分散処理を行って合計5分間の分散処理を行い、測定試料の粒子濃度が4000〜8000個/10−3cm3(測定円相当径範囲の粒子を対象として)の試料分散液を用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を、以下の方法で測定した。
この測定方法によれば、約1分間で、1200個以上の粒子の円相当径を測定することができ、円相当径分布に基づく数及び規定された円相当径を有する粒子の割合(個数%)を測定することができる。測定結果(頻度%及び累積%)は、表1に示す通り、0.06〜400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.60μm以上159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行った。
以上の結果より実施例1は1時間程度の一度の定期的なメンテナンスを行うことで長期にわたってトナー生産を安定して実施できると判断した。
表1に示したノズル仕様を用いて、実施例1と同様に評価した実施例2〜12の結果を表2に示す。なお、使用したトナー組成液や周辺機器はノズルの仕様を変更した以外は、実施例1と全く同じものを使用している。
実施例1と同様、表1に示した仕様のノズルを用いて、実施例1と同様に評価した。結果も表2に示す。なお、使用したトナー組成液や周辺機器はノズルの仕様を変更した以外は、実施例1と全く同じものを使用した。
比較例1は凸部が無く、従来のノズル形状での結果を示している。
比較例2、3は実施例7、8に対して凸部の高さをこれ以上増しても効果が無いことを示している。
比較例4〜7は本発明の範囲外のノズル形状では粒径分布と連続吐出性の両立が難しいことを示している。
以上の結果より、本発明のノズル形状をもつ噴射装置を用いることによって、高品質のトナーを安定的に生産できることが示された。
2、201、202、203、204、205、206、207、208、209 液滴噴射ユニット
3、301 粒子形成部
301 天面部
4、401 トナー捕集部
5 チューブ
6、601 トナー貯留部
7、701 原料収容部
8、801、808 配管
9 ポンプ
10 トナー組成液
11、114、115、116、117、118、119 ノズル
12、124、125、126、127、128、129 薄膜
13、131、132、133、138 振動手段
13a、131a、132a、133a、138a 振動面
14、144、145、146、147、148、149 貯留部
15、156、157、158 流路部材
16、161 液滴化手段
17、171 振動発生手段(電気機械変換手段)
18、184、185、186、187 液供給チューブ
19、194、195、197 気泡排出チューブ
20 支持部材
21、218 振動発生手段
211、212、213、911、912 圧電体
21a、21b 電極
22、228 振動増幅手段
221、222、223、921、922 ホーン
23 駆動回路(駆動信号発生源)
24 通信手段
25 ヘッド
26 振動分離部材
27 振動振幅の小さい節の部分
29 液貯留領域
30 シュラウド部
30a 開口部
30b 壁
30c 壁
30d 底部
30e テーパー
31 液滴
31a 液滴の流れ
32 バルブ
35 乾燥気体
36 気流路形成部材
37 気流路
41 テーパ面
42 気流(渦流)
43 除電手段
70 送液管
71 排液管
81 圧電体
82 ホーン
83 固定部
91 噴出し用パイプ
92 誘導管
93 噴出口
95 搬送気流
96 気流
100 ポンプ
130 容器
134 ホーン型振動子
134a 振動面
135 ランジュバン型振動子
135a 振動面
136 ホーン型振動子
170 円環状振動手段
180 チャンバー部
200 液供給孔
210 排出孔
216 圧電体
226 ホーン
310 蓋部
1110 レジスト
1120 支持層
1130 誘電体層
1140 活性層
1150 第1のノズル孔
1160 第2のノズル孔
PG1 圧力計
PG2 圧力計
T トナー粒子
Claims (7)
- 少なくとも樹脂液及び着色剤を含むトナー材料を溶媒に溶解又は分散させたトナー組成液を複数のノズルから振動手段により気相中に周期的に液滴として吐出し、次いで該液滴を固化乾燥させる工程を有するトナー製造法において、
前記ノズルが、液滴吐出側に凸形状を有し、前記凸形状がノズル孔の内壁周囲に形成された円筒であり、
前記ノズル孔の径をa、前記円筒の外径をb、該円筒の高さをhとしたときに、(1/2)a≦h≦2a かつa<b≦3aの関係を満たしている
ことを特徴とするトナー製造法。 - 少なくとも樹脂液及び着色剤を含むトナー材料を溶媒に溶解又は分散させたトナー組成液を複数のノズルから振動手段により気相中に周期的に液滴として吐出し、次いで該液滴を固化乾燥させる工程を有するトナー製造法において、
前記ノズルが、液滴吐出側に凸形状を有し、前記凸形状の液吐出方向に平行な断面が、ノズル孔の内壁を接線とする曲線と該内壁とで形成された形状を有し、
前記ノズル孔の径をa、前記曲線の曲率半径をrとしたときに、(1/2)a≦r≦2a の関係を満たしている
ことを特徴とするトナー製造法。 - 請求項1又は2に記載のトナー製造法において、
前記振動手段が、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)で構成される
ことを特徴とするトナー製造法。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー製造法において、
前記ノズルが、金属板で構成される
ことを特徴とするトナー製造法。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載のトナー製造法において、
前記ノズルが、シリコンで構成される
ことを特徴とするトナー製造法。 - 請求項4に記載のトナー製造法において、
前記ノズルが、ニッケルで構成される
ことを特徴とするトナー製造法。 - 請求項4に記載のトナー製造法において、
前記ノズルが、ステンレス鋼で構成される
ことを特徴とするトナー製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009211639A JP5446639B2 (ja) | 2009-09-14 | 2009-09-14 | トナーの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009211639A JP5446639B2 (ja) | 2009-09-14 | 2009-09-14 | トナーの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011059567A JP2011059567A (ja) | 2011-03-24 |
JP5446639B2 true JP5446639B2 (ja) | 2014-03-19 |
Family
ID=43947229
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009211639A Expired - Fee Related JP5446639B2 (ja) | 2009-09-14 | 2009-09-14 | トナーの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5446639B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5920646B2 (ja) * | 2011-09-20 | 2016-05-18 | 株式会社リコー | 微粒子製造装置及びトナー |
JP6016078B2 (ja) | 2011-09-20 | 2016-10-26 | 株式会社リコー | 微粒子製造方法 |
JP6195152B2 (ja) | 2012-09-18 | 2017-09-13 | 株式会社リコー | 微粒子製造装置 |
JP7192232B2 (ja) * | 2018-03-30 | 2022-12-20 | 株式会社リコー | 医薬品用粒子の製造装置、及び医薬品用粒子の製造方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5266744B2 (ja) * | 2007-03-15 | 2013-08-21 | 株式会社リコー | 静電荷像現像用トナー、製造方法、及び製造装置、並びに、現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成方法、及び画像形成装置 |
JP5229606B2 (ja) * | 2007-05-16 | 2013-07-03 | 株式会社リコー | トナーの製造方法及びトナーの製造装置 |
-
2009
- 2009-09-14 JP JP2009211639A patent/JP5446639B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011059567A (ja) | 2011-03-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5229606B2 (ja) | トナーの製造方法及びトナーの製造装置 | |
JP5510029B2 (ja) | 静電荷像現像用トナーの製造方法及び樹脂粒子の製造装置 | |
JP5365848B2 (ja) | トナーの製造方法 | |
JP5315920B2 (ja) | トナーの製造方法及び製造装置 | |
JP5888583B2 (ja) | トナーの製造方法及びトナー製造装置 | |
JP5594580B2 (ja) | トナーの製造方法 | |
JP5391612B2 (ja) | トナーの製造方法、トナーの製造装置及びトナー | |
JP5239410B2 (ja) | トナーの製造方法及びその製造装置 | |
JP5090786B2 (ja) | トナーの製造方法、トナーの製造装置 | |
JP2011212668A (ja) | 微粒子の製造方法、微粒子製造装置及びトナー | |
JP2011022181A (ja) | トナー製造用液吐出用ヘッド | |
JP5365863B2 (ja) | トナーの製造装置及びトナーの製造方法 | |
JP2008281902A (ja) | トナーの製造方法、トナーの製造装置及びトナー | |
JP5754225B2 (ja) | トナーの製造方法及びトナーの製造装置 | |
JP5500353B2 (ja) | トナーの製造方法、トナーの製造装置及びトナー | |
JP5446639B2 (ja) | トナーの製造方法 | |
JP5239233B2 (ja) | トナーの製造方法 | |
JP5510706B2 (ja) | トナー製造装置およびトナー | |
JP2012185411A (ja) | トナーの製造方法 | |
JP2011141343A (ja) | トナー製造装置、トナー製造方法及びトナー | |
JP5920653B2 (ja) | 微粒子製造装置及び微粒子の製造方法 | |
JP5343633B2 (ja) | トナー製造用ノズルプレート、トナー製造方法およびトナー製造装置 | |
JP5347464B2 (ja) | トナーの製造方法、トナーの製造装置及びトナー | |
JP2012113137A (ja) | トナー製造方法、トナー製造装置及びトナー | |
JP2012058438A (ja) | トナーの製造方法、トナーの製造装置及びトナー |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120705 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130822 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130910 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20131108 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20131203 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20131216 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |