本発明の硬貨処理機に係る一実施形態である貨幣処理機を図面を参照して以下に説明する。なお、以下の説明において、「前」は機体前後方向の前側つまり操作者から見て手前側であり、「後」は機体前後方向の後側つまり操作者から見て奥側であり、「左」は操作者から見て左側であり、「右」は操作者から見て右側である。
この貨幣処理機は、金融機関等において、机の天板上や、天板下に位置するように台上あるいは棚上に設置されたり、POSレジに組み合わされて売上金の入金および釣銭の出金等を行う卓上型の貨幣処理機である。
図1は、本実施形態の貨幣処理機10の全体構成を示すもので、貨幣処理機10は、略直方体形状の処理機本体11と、図1(a)および図1(b)に示すように処理機本体11の外部に着脱可能に装着され、装着状態において処理機本体11から前方且つ下方に突出する収納庫12とで構成されている。
処理機本体11には、右側に、硬貨の入出金動作を行う硬貨処理機構部15が、左側に紙幣の入出金動作を行う紙幣入出金機構部16が設けられている。
硬貨処理機構部15には、処理機本体11の操作者と対向する機体前面11A側の上面11Bの右側に、入金処理時に機外からバラ硬貨が投入される上方開口の硬貨入金口21が設けられており、機体前面11Aの下部の右側に、出金処理時に出金動作により機内から硬貨が繰り出される硬貨出金口22が設けられている。この硬貨出金口22は、機体前面11Aから前方にやや突出しており、略水平な底部23と、上側ほど水平方向の径が大きくなるように略球面状をなして前面および両側面を形成する壁部24とを有する受け皿状をなしている。
また、硬貨処理機構部15には、上面11Bの硬貨入金口21に対し左側に、操作者による操作入力が入力される操作部26と操作者に対して表示を行う表示部27とが前後に設けられており、機体前面11Aの硬貨出金口22に対し左側に、入金処理時に受け入れ不可な硬貨が繰り出される硬貨リジェクト口28が設けられている。
紙幣入出金機構部16には、機体前面11A側の上面11Bに、入金処理時に機外からバラ紙幣が投入される上方開口の紙幣入金口31が設けられており、この紙幣入金口31の後側に、入金処理時に受け入れ不可な紙幣が繰り出される紙幣リジェクト口32が設けられている。また、機体前面11Aの下部に、出金処理時に機内から紙幣が繰り出される紙幣出金口33が設けられている。
次に、本実施形態の要部である硬貨処理機構部15をさらに詳細に説明する。
硬貨処理機構部15の上部には、硬貨入金口21に投入された硬貨を一枚ずつ繰り出す図2に示す繰出部34と、繰出部34により繰り出された硬貨を図3に示す硬貨通路35上で搬送方向に一列に並べて搬送する搬送部36とが設けられている。ここで、硬貨通路35は、図示は略すが後側ほど右側に位置するように斜めに配置されており、搬送部36による搬送方向に沿って、上流側から、硬貨を識別する入金識別部37、この入金識別部37の識別結果に基づいて受け入れ不可と識別された硬貨を硬貨通路35から排除するリジェクト部38、硬貨を選別する金種別の選別孔40a〜40fが設けられている。ここで、最も上流側の選別孔40aが1円硬貨を、次の選別孔40bが50円硬貨を、次の選別孔40cが5円硬貨を、次の選別孔40dが100円硬貨を、次の選別孔40eが10円硬貨を、次の選別孔40fが500円硬貨を、それぞれ選別して落下させる。なお、硬貨通路35が斜めに配置されていることから、選別孔40a〜40fは、左右方向にずれて配置されており、左右方向一側である左側から、選別孔40a、選別孔40b、選別孔40c、選別孔40d、選別孔40e、選別孔40fの順に並べられている。各選別孔40a〜40fの上流側には選別孔40a〜40fで落下する硬貨の枚数を計数する図2に示す入金側の計数センサ41a〜41fが設けられている。
図3に示すリジェクト部38によって硬貨通路35から落下させられた受け入れ不可の硬貨は、リジェクトシュート44を介して図1に示す硬貨リジェクト口28に案内されることになる。また、図3に示す最も上流側の選別孔40aから落下する1円硬貨は、シュート45aを介して1円硬貨用の還流庫46aに収納されることになる。また、選別孔40bから落下する50円硬貨はシュート45bを介して50円硬貨用の還流庫46bに、選別孔40cから落下する5円硬貨はシュート45cを介して5円硬貨用の還流庫46cに、選別孔40dから落下する100円硬貨はシュートを45d介して100円硬貨用の還流庫46dに、選別孔40eから落下する10円硬貨はシュート45eを介して10円硬貨用の還流庫46eに、選別孔40fから落下する500円硬貨はシュート45fを介して500円硬貨用の還流庫46fに収納されることになる。これらの金種別の還流庫46a〜46fは、同様の構成をなして左右方向に並設されており、選別孔40a〜40fに合わせて、左右方向一側である左側から、還流庫46a、還流庫46b、還流庫46c、還流庫46d、還流庫46e、還流庫46fの順に並べられている。
金種別の還流庫46a〜46fを、1円硬貨用の還流庫46aの構成を例にとってさらに説明する。
還流庫46aは、選別孔40aで選別された硬貨を機体前面11A側に繰出可能に収納するもので、隣り合う還流庫と側壁部50によって仕切られるとともに機体前面11A側が前壁部51でその前側と仕切られ、機体後面11C側が前下がりの後壁部52でその後側と仕切られた収納空間53を有している。還流庫46aは、その底部が前上がりで延在するベルトコンベア54によって構成されている。このベルトコンベア54は、図2に示すコンベアモータ55で駆動される。
また、還流庫46aには、図3に示すように、前壁部51よりも機体前面11A側に、ベルトコンベア54で機体前面11A側に移動させられる硬貨を一枚ずつに分離する分離ローラ56が設けられ、この分離ローラ56よりも機体前面11A側に、分離ローラ56で分離され、ベルトコンベア54でさらに機体前面11A側に移動させられる硬貨を開状態では一枚ずつ通過を許容する一方、閉状態では通過を規制するソレノイド式の繰出開閉部57aが設けられている。また、繰出開閉部57aの近傍には繰出開閉部57aを通過する硬貨を計数する図2に示す出金側の計数センサ58aが設けられている。
なお、各還流庫46a〜46fに一対一で対応して、繰出開閉部57a〜57fと、出金側の計数センサ58a〜58fとが設けられている。
ベルトコンベア54の機体前面11A側の直前位置には、図4にも示すように、前下がりで傾斜する出金シュート60が設けられている。この出金シュート60は、すべての金種用の還流庫46a〜46fから繰り出される硬貨を硬貨出金口22に向けて案内する。つまり、出金シュート60の下板部61は、左右方向に水平をなし前下がりに傾斜して硬貨出金口22の底部23に繋がっている。そして、出金シュート60の下板部61の硬貨出金口22側に振分穴62が形成されており、この振分穴62から機体下面11Dまで筒状の振分シュート63が設けられている。振分穴62は、すべての還流庫46a〜46fから繰り出された硬貨を落下可能であり、振分穴62には、これを開閉することにより硬貨出金口22および振分シュート63に選択的に硬貨を振り分けるシャッタ機構65が設けられている。
シャッタ機構65は、出金シュート60の下板部61の振分穴62よりも硬貨出金口22側に左右方向に延設された回動軸66と、この回動軸66に回動可能に支持されて振分穴62を開閉可能なシャッタ67とを有している。シャッタ67は、振分穴62を閉じた状態で出金シュート60の下板部61と同一平面をなす略平板状の本体部68と、本体部68から下方に突出する突出部69とを有しており、突出部69には、左右方向に貫通し本体部68に沿って延在する長穴70が形成されている。
シャッタ機構65は、機体側に前後に離間して配置された複数のガイドピン72と、これらガイドピン72に前後方向に長い各長穴73においてスライド可能に支持されたスライド部材74と、スライド部材74の前端に取り付けられてシャッタ67の長穴70にスライド可能に係合する係合ピン75とを有している。また、シャッタ機構65は、図2に示すカムモータ76Aと、カムモータ76Aで回転駆動される図4に示すカム76Bと、スライド部材74をその当接板部74Aがカム76Bに当接する方向に付勢するスプリング76Cとを有している。
そして、シャッタ機構65は、カムモータ76Aによるカム76Bの駆動で、図5および図6に示すように、スライド部材74が前方にスライドするとシャッタ67が開状態となって、すべての還流庫46a〜46fから繰り出される硬貨をすべて振分穴62および振分シュート63に案内する一方、図2および図4に示すように、スライド部材74が後方にスライドするとシャッタ67が閉状態となって、すべての還流庫46a〜46fから繰り出される硬貨をすべて硬貨出金口22に案内する。
スライド部材74には、検出片部77が上方に向け突設されており、シャッタ機構65には、図6に示すように検出片部77を検出することでシャッタ67が開状態にあることを検出するシャッタ開位置センサ78と、図4に示すように検出片部77を検出することでシャッタ67が閉状態にあることを検出するシャッタ閉位置センサ79とが、機体側に前後に離間して配置されている。
そして、処理機本体11の外部に臨む下部位置の図1に示す装着部81に、箱状の収納庫12が着脱可能に設けられている。装着部81は、処理機本体11の機体下面11Dにおける硬貨出金口22の直下位置に設けられており、機体下面11Dに硬貨出金口22を左右に挟むように配置されて、前後方向に延在する一対の装着ガイド84を有している。これら一対の装着ガイド84の内面には前後方向に沿ってガイドレール85がそれぞれ設けられている。
収納庫12には、前面12Aに、持ち運び用のハンドル部88が左右に延在して設けられており、左右両側面部12Bの上部に、図7に示すように後方に抜けるようにガイド溝89が形成されている。収納庫12は、処理機本体11の一対の装着ガイド84間に前方から装着されることになり、その際に、左右両側面部12Bのガイド溝89に装着ガイド84の対向するガイドレール85がそれぞれ挿入される。
上記した装着部81に装着された状態で収納庫12は、その上面部12Cが、図4および図6に示すように処理機本体11の硬貨出金口22および振分シュート63の範囲の下側で近接延在することになり、上面部12Cの後部には、この状態で振分シュート63に連通する受入口90が形成されている。この受入口90を介して、振分シュート63から落下する硬貨を収納庫12がその内部に収納する。この受入口90には、受入口90を開閉可能な受入口シャッタ92が前後にスライド可能に設けられている、この受入口シャッタ92は、閉状態で自動的にロックされることになり、収納庫12が処理機本体11の装着ガイド84に装着されると、その移動を利用して、装着ガイド84に設けられた図示略の操作片によってロックが解除された後に開状態までスライドさせられる。これにより、収納庫12は、装着部81に装着状態にあるとき還流庫46a〜46fの硬貨を収納可能となる。受入口シャッタ92は、収納庫12が装着ガイド84間から引き抜かれると、図示略のスプリングの付勢力で閉状態となり自動的にロックされる。
収納庫12の底面は前後にスライド開閉可能なスライド板93で形成されており、このスライド板93は、閉状態でロックされ、上面部12Cに設けられたキーシリンダ94への別体のキーによるロック解除操作でロックが解除されて、スライド開放可能となっている。収納庫12は、図示略の他の大型の硬貨処理機に両側面部12Bの下部に設けられた前後方向に延在する図7に示すガイド溝95において装着され、この状態でキーシリンダ94でロックが解除されスライド板93が手前に引かれると、内部の硬貨をこの硬貨処理機に受け渡すことになる。スライド板93は、開放面積を拡大するために、引き出し方向の後端の図4に示す板部96が左右方向に沿う回動軸97を中心として下方に回動可能となっている。
収納庫12の側部には、図7に示すように、回動軸101を中心に上下に回動するセンサ部材102が設けられている。このセンサ部材102は、収納庫12が処理機本体11から取り外された状態では、図示略のスプリングの付勢力で収納庫12内に収納されており、収納庫12が処理機本体11へ装着される際に開作動するシャッタ67の押圧片100で押圧されて上方に回動し処理機本体11内に進入する。処理機本体11には、進入するセンサ部材102を検出する装着検出センサ103が設けられている。つまり、装着検出センサ103およびセンサ部材102は、収納庫12が処理機本体11の装着部81に装着されたか否かを検出する装着検出機構104を構成している。
図8に示すように、硬貨出金口22の壁部24の底部23側の左右両側部には、同一直線上に配置されて貫通するセンサ穴105が形成されており、硬貨出金口22には、これらセンサ穴105を介して硬貨出金口22内を横断する光路を形成するように発光素子106および受光素子107からなる光学式の出金口センサ108が設けられている。ここでは、硬貨出金口22に対して、発光素子106および受光素子107の対が一対のみ設けられている。つまり、光学式の出金口センサ108が一つのみ設けられている。
この出金口センサ108は、操作者が手を硬貨出金口22内の底部23の近傍まで入れると、この手で遮光されることになり、操作者のこの操作を検出する。また、出金口センサ108は、硬貨出金口22内の硬貨で遮光されることになり、硬貨の有無も検出する。
貨幣処理機10の図2に示す制御部110は、操作部26によって指定された入金操作に基づいて、硬貨処理機構部15による硬貨の入金動作および紙幣入出金機構部16による紙幣の入金動作を制御するとともに、操作部26によって指定された出金操作に基づいて、硬貨処理機構部15による硬貨の出金動作および紙幣入出金機構部16による紙幣の出金動作を制御する。
制御部110には、操作部26および表示部27が接続されており、硬貨処理機構部15については、繰出部34、搬送部36、入金識別部37、リジェクト部38、入金側の計数センサ41a〜41f、コンベアモータ55、カムモータ76A、繰出開閉部57a〜57f、出金側の計数センサ58a〜58f、シャッタ開位置センサ78、シャッタ閉位置センサ79、装着検出センサ103および出金口センサ108等が接続されている。
次に、主に図9〜図12を参照して、還流庫46a〜46fからの出金搬送系の構成についてさらに詳細に説明する。
図9に示すように、上記した底部23と壁部24とを有する硬貨出金口(受入手段)22は、合成樹脂の一体成形品であるシュート部材121の前端部分に形成されている。シュート部材121には、この硬貨出金口22の底部23の後側に上記した振分穴(受入手段)62を開閉するシャッタ67が配置されるシャッタ配置部123が形成されており、このシャッタ配置部123の後側に上記した下板部61を形成する下板部形成部124が形成されている。
また、シュート部材121には、シャッタ配置部123の左側に硬貨出金口22の壁部24に繋がる側壁部126が形成されており、シャッタ配置部123の右側にも硬貨出金口22の壁部24に繋がる側壁部127が形成されている。また、シュート部材121には、下板部形成部124の左側に、側壁部126に繋がる側壁部128が形成されており、下板部形成部124の右側にも、側壁部127に繋がる側壁部129が形成されている。側壁部126〜129は出金シュート60を構成する。
ここで、水平横方向、具体的には左右方向に並んで配置されて硬貨を繰り出し可能に貯留する金種別の還流庫(貯留手段)46a〜46fに対して、これらから繰り出された硬貨を共通で受け入れる振分穴62および硬貨出金口22は、還流庫46a〜46fの全体の左右方向の中央位置に対して右側にずれて配置されている。還流庫46a〜46fの前方にはガイド板130が配置され、このガイド板130の前方に上記したシュート部材121が配置されている。ガイド板130は下板部61の後部を構成するもので、左右方向には水平をなして前下がりに傾斜しており、ガイド板130には、左右に離間する複数カ所、具体的には十二カ所に、上方に突出して前後方向に延在するリブ131が形成されている。これらのリブ131は、還流庫46a〜46fのそれぞれの前方に二カ所ずつ配置されている。
還流庫46a〜46fと振分穴62および硬貨出金口22との上記した位置関係に合わせて、シュート部材121の下板部形成部124の右側の側縁部に立設された側壁部129が前後方向に平行に形成され、下板部形成部124の左側の側縁部に立設された側壁部128が前側ほど右側に位置するように傾斜している。また、シャッタ配置部123の左側の側縁部に立設された側壁部126は前側ほど右側に位置するように、下板部形成部124の側壁部128よりも小さい角度で傾斜しており、シャッタ配置部123の右側の側縁部に立設された側壁部127は前側ほど左側に位置するように若干傾斜している。
シャッタ配置部123には、閉状態のシャッタ67が入り込むシャッタ配置凹部133が振分穴62の周囲に形成されており、これにより、シャッタ配置部123は閉状態のシャッタ67と上面が面一となる。なお、シャッタ67およびシャッタ配置凹部133は、左右方向には水平をなして前下がりに傾斜しており、両側の側壁部126,127の傾斜に合わせて前側が若干狭くなる形状をなしている。
下板部形成部124には、左右方向右側に上方に突出する境界リブ135が形成されている。この境界リブ135は後側の端部が前後方向に平行をなしており、これより前側の部分が前側ほど左側に位置するように傾斜している。そして、下板部形成部124には、この境界リブ135の左右に、境界リブ135とともに下板部61を形成する金属製の下板体136,137が取り付けられている。
右側の下板体137は、下板部61における境界リブ135と側壁部129との間部分を形成するもので、下板体137には、左右に離間する複数カ所、具体的には二カ所に、上方に突出して前後方向に平行に延在するリブ140が形成されている。
左側の下板体136は、下板部61における境界リブ135と側壁部128との間部分を形成する底板部144と、この底板部144の左側の端縁部に垂直に立設された図10に示すガイド壁145とを有している。ここで、底板部144の左側の端縁部は下板部形成部124の形状に合わせて前側ほど右側に位置するように傾斜しており、ガイド壁145も、側壁部128の内側で側壁部128に沿うように前側ほど右側に位置するように傾斜して、振分穴62および硬貨出金口22に指向している。
図9に示すように、下板体136の底板部144には、左右に離間する複数カ所、具体的には六カ所に、上方に突出して前後方向に平行に延在するリブ146が形成されており、これらのうち左端のリブ146の左側には、底板部144の後側において前側ほど右側に位置するように傾斜するリブ147が形成されている。
上記した左側の下板体136の底板部144および右側の下板体137は、ガイド板130と同一平面に配置されており、よって、左右方向は水平をなして前下がりに傾斜している。下板体136の底板部144および下板体137は、還流庫46a〜46fから繰り出された硬貨を傾斜により移動させる、これら還流庫46a〜46fに共通の出金シュート60の下板部(傾斜案内手段)61を構成している。また、金種別の還流庫46a〜46fに共通の硬貨出金口22は、この下板部61および閉状態のシャッタ67上を移動する硬貨を受け入れる。
ここで、金種別の還流庫46a〜46fのうち、その並設方向の一端である左端には最軽量であって比重が最も小さい1円硬貨を貯留する還流庫(最軽量硬貨貯留手段)46aが配置されており、下板部61の左右方向のこの還流庫46a側の端縁部には、上記した下板体136のガイド壁145が立設されている。このガイド壁145は、前側ほど右側に位置するように傾斜しており、金種別の還流庫46a〜46fの中央位置に対して右側に形成された振分穴62および硬貨出金口22に指向している。しかも、このガイド壁145は、還流庫46aの延長線上の前方位置(還流庫46aの硬貨の繰出方向前方位置)にて傾斜している。つまり、ガイド壁145は、この還流庫46aから繰り出され下板部61の傾斜で移動する硬貨の基本的な移動方向(還流庫46aのみから硬貨が繰り出される場合の移動方向)に対して傾斜している。
そして、下板体136の底板部144には、このガイド壁145の近傍に、ガイド壁145の延在方向に沿って、複数、具体的には七カ所の配置穴151,152,153,154,155,156,157がこの順に並設されている。これら配置穴151〜157は、すべてガイド壁145に沿って長い矩形状の長穴となっている。
これらのうち三カ所の配置穴152,154,156は、互いにガイド壁145からの距離が略同等であってガイド壁145に近接して、しかもガイド壁145の延在方向に略等距離離間して形成されている。ここで、より具体的には、これら配置穴152,154,156を結んだ線は前側ほどガイド壁145に近接するように若干傾斜している。勿論、配置穴152,154,156を結んだ線をガイド壁145と平行させても良い。
また、残りの四カ所の配置穴151,153,155,157は、互いにガイド壁145からの距離が略同等であってガイド壁145から配置穴152,154,156よりも離間し、しかもガイド壁145の延在方向に略等距離離間して形成されている。ここで、より具体的には、これら配置穴151,153,155,157を結んだ線は前側ほどガイド壁145に近接するように若干傾斜している。勿論、配置穴151,153,155,157を結んだ線をガイド壁145と平行させても良い。
ガイド壁145に近い側の配置穴152,154,156と、ガイド壁145から遠い側の配置穴151,153,155,157とは、等ピッチでガイド壁145の延在方向に位置をずらしている。言い換えるならば、ガイド壁145に近い側の配置穴152は、ガイド壁145から遠い側の配置穴151,153のガイド壁145延在方向における中間位置に、ガイド壁145に近い側の配置穴154は、ガイド壁145から遠い側の配置穴153,155のガイド壁145延在方向における中間位置に、ガイド壁145に近い側の配置穴156は、ガイド壁145から遠い側の配置穴155,157のガイド壁145延在方向における中間位置に配置されている。よって、配置穴151〜157は、隣り合うもの同士がガイド壁145からの距離を交互に遠近異ならせるように千鳥状に形成されている。
シュート部材121の下板部形成部124にも、図示は略すが、配置穴151〜157に位置および形状を合わせて穴部が形成されており、下板部形成部124の下側には、配置穴151〜157のそれぞれを介して下板体136の底板部144すなわち下板部61から上部を突出させるように送出ローラ(ローラ)161〜167が配置されている。つまり、配置穴151に送出ローラ161が、配置穴152に送出ローラ162が、配置穴153に送出ローラ163が、配置穴154に送出ローラ164が、配置穴155に送出ローラ165が、配置穴156に送出ローラ166が、配置穴157に送出ローラ167が、それぞれ配置されている。よって、出金シュート60の下板部61には、下板部61から上部が突出する複数、具体的には七個の同形状の送出ローラ161〜167がガイド壁145に沿い振分穴62および硬貨出金口22に指向して並設されている。
これら送出ローラ161〜167は、配置穴151〜157の長さ方向に直交する方向に平行に回転軸線を配置しており、その結果、上部が、ガイド壁145に沿って移動する方向、つまり振分穴62および硬貨出金口22に向けて移動する方向に回転可能となっている。
三カ所の送出ローラ162,164,166は、配置穴152,154,156と同様、互いにガイド壁145からの距離が略同等であってガイド壁145に近接して、しかもガイド壁145の延在方向に略等距離離間して配置されている。ここで、より具体的には、これら送出ローラ162,164,166を結んだ線は前側ほどガイド壁145に近接するように若干傾斜している。勿論、送出ローラ162,164,166を結んだ線をガイド壁145と平行させても良い。
また、残りの四カ所の送出ローラ161,163,165,167は、配置穴151,153,155,157と同様、互いにガイド壁145からの距離が略同等であってガイド壁145から送出ローラ162,164,166よりも離間し、しかもガイド壁145の延在方向に略等距離離間して配置されている。ここで、より具体的には、これら送出ローラ161,163,165,167を結んだ線は前側ほどガイド壁145に近接するように若干傾斜している。勿論、送出ローラ161,163,165,167を結んだ線をガイド壁145と平行させても良い。
三カ所の送出ローラ162,164,166と、残りの四カ所の送出ローラ161,163,165,167は、等ピッチでガイド壁145の延在方向に位置をずらしている。言い換えるならば、ガイド壁145に近い側の送出ローラ162は、ガイド壁145から遠い側の送出ローラ161,163のガイド壁145延在方向における中間位置に、ガイド壁145に近い側の送出ローラ164は、ガイド壁145から遠い側の送出ローラ163,165のガイド壁145延在方向における中間位置に、ガイド壁145に近い側の送出ローラ166は、ガイド壁145から遠い側の送出ローラ165,167のガイド壁145延在方向における中間位置に配置されている。配置穴151〜157が上記のように千鳥状をなしていることで、送出ローラ161〜167も、ガイド壁145の延在方向にて隣り合うもの同士がガイド壁145からの距離を交互に遠近異ならせるように軸方向の位置をずらして千鳥状に配置されることになる。
ここで、ガイド壁145から遠い側の送出ローラ161,163,165,167の下板部61から突出する上部は、そのガイド壁145とは反対側の端部のガイド壁145からの距離が、例えば最軽量の1円硬貨の外径とほぼ等しくなっている。
送出ローラ161〜167は、摩擦係数の高いゴム製のもので、図11に示すように、送出ローラ161が回転軸171に、送出ローラ162が回転軸172に、送出ローラ163が回転軸173に、送出ローラ164が回転軸174に、送出ローラ165が回転軸に175に、送出ローラ166が回転軸176に、送出ローラ167が回転軸177に、それぞれ固定されている。回転軸171〜177は、互いに平行をなしてそれぞれの軸方向両側が支持フレーム179に回転自在に支持されている。回転軸171の支持フレーム179から突出する一端側には伝動ローラ181が、回転軸172の同一端側には伝動ローラ182が、回転軸173の同一端側には伝動ローラ183が、回転軸174の同一端側には伝動ローラ184が、回転軸175の同一端側には伝動ローラ185が、回転軸176の同一端側には伝動ローラ186が、回転軸177の同一端側には伝動ローラ187が、それぞれ固定されている。これら伝動ローラ181〜186は互いに離間して同一直線上に配置されている。
後端側の二つの伝動ローラ181,182の下側には、これらに同時に接触可能となるように中間ローラ191が支持軸201を介して支持フレーム179に支持されており、前側に、一つずれた伝動ローラ182,183の下側には、これらに同時に接触可能な中間ローラ192が支持軸202を介して支持フレーム179に支持されている。同様に、伝動ローラ183,184の下側には、これらに同時に接触可能な中間ローラ193が支持軸203を介して、伝動ローラ184,185の下側には、これらに同時に接触可能な中間ローラ194が支持軸204を介して、伝動ローラ185,186の下側には、これらに同時に接触可能な中間ローラ195が支持軸205を介して、伝動ローラ186,187の下側には、これらに同時に接触可能な中間ローラ196が支持軸206を介して、それぞれ支持フレーム179に支持されている。
そして、最も前側の中間ローラ196の下側には、これに接触可能となるように駆動ローラ208が設けられており、この駆動ローラ208も回転軸209を介して支持フレーム179に支持されている。この駆動ローラ208は回転軸209の一端に固定されており、回転軸209の他端側には傘歯車210が固定されている。そして、支持フレーム179には電動の送出モータ212が固定されており、この送出モータ212の図12に示す駆動軸213には、傘歯車210に噛み合う傘歯車214が固定されている。
よって、送出モータ212が駆動軸213を回転させると傘歯車214,210、回転軸209および駆動ローラ208が回転することになり、駆動ローラ208の駆動力が、前端の中間ローラ196から二つの伝動ローラ186,187に伝わり、伝動ローラ186から中間ローラ195に、中間ローラ195から伝動ローラ185に、伝動ローラ185から中間ローラ194に、中間ローラ194から伝動ローラ184に、伝動ローラ184から中間ローラ193に、中間ローラ193から伝動ローラ183に、伝動ローラ183から中間ローラ192に、中間ローラ192から伝動ローラ182に、伝動ローラ182から中間ローラ191に、中間ローラ191から伝動ローラ181に、順次伝わることになる。これにより、伝動ローラ181〜187が同じ方向に等速度で回転することになり、回転軸171〜177つまり送出ローラ161〜167が同じ方向に等速度で回転することになる。なお、送出モータ212は、制御部105に制御されて送出ローラ161〜167を、それぞれの上部が硬貨出金口22に向けて移動する方向に回転駆動する。なお、駆動ローラ208、中間ローラ191〜196および伝動ローラ181〜187を歯車で構成しても良い。
次に、本実施形態の要部である硬貨処理機構部15側の作動について主たる処理を例にとり説明する。
なお、制御部110は、入金識別部37、入金側の計数センサ41a〜41fおよび出金側の計数センサ58a〜58fの計数結果から、金種別の還流庫46a〜46f内に収納している硬貨の枚数をそれぞれ個別に把握しており、金種別の還流庫46a〜46fのそれぞれについて、収納枚数が金種別に設定された所定の上限枚数である場合はフル状態にあると判断し、前記所定の上限枚数から所定の範囲内で少ない場合は、ニアフル状態にあると判断し、前記所定の上限枚数から前記所定の範囲を超えて少ない場合は、通常収納状態にあると判断する。
また、制御部110は、いずれの処理も行わない待機状態で、例えば、シャッタ機構65は、シャッタ閉位置センサ79で検出片部77を検出した位置でモータ76Aを停止させている。つまり、シャッタ67で振分穴62を閉じている。
「入金処理」
硬貨入金口21に硬貨が投入され、操作部26に、入金処理を行う旨の操作入力がなされると、制御部110が、すべての還流庫46a〜46fがフル状態にないことを条件に、入金処理を開始する。このとき、制御部110は、装着検出センサ103によって収納庫12の装着が検出されているか否かにかかわらず、入金処理を開始する。
入金処理の開始にあたって、制御部110は、硬貨入金口21の硬貨を繰出部34および搬送部36によって繰り出し搬送する。すると、硬貨は入金識別部37で識別される。すると、制御部110は、受け入れ不可な硬貨をリジェクト部38で落下させることになりリジェクトシュート44を介して硬貨リジェクト口28に排出する。
他方、制御部110は、硬貨が入金識別部37で受け入れ可能な硬貨と識別された硬貨は、リジェクト部38で落下させることなく搬送部36によってさらに下流側に搬送する。すると、1円硬貨は計数センサ41aで計数後に選別孔40aから落下して還流庫46aに収納され、50円硬貨は計数センサ41bで計数後に選別孔40bから落下して還流庫46bに収納され、5円硬貨は計数センサ41cで計数後に選別孔40cから落下して還流庫46cに収納され、100円硬貨は計数センサ41dで計数後に選別孔40dから落下して還流庫46dに収納され、10円硬貨は計数センサ41eで計数後に選別孔40eから落下して還流庫46eに収納され、500円硬貨は計数センサ41fで計数後に選別孔40fから落下して還流庫46fに収納される。このようにして、硬貨入金口21に入金された硬貨が金種別に計数され金種別に選別分類されて金種別の還流庫46a〜46fに収納される。
なお、入金処理中に、収納庫12が装着部81に装着されたり、装着部81から取り外されたりしても、シャッタ67が開状態にない限り、制御部110は、入金処理をそのまま継続させる。
「収納処理」
ここで、制御部110は、上記した入金処理の最中に、還流庫46a〜46fのうちのいずれか一つに収納される硬貨の枚数が上記した所定の上限枚数に達したか否かを常に判断しており、還流庫46a〜46fのうちのいずれか一つに収納される硬貨の枚数が上記した所定の上限枚数に達したと判断した場合、つまり還流庫46a〜46fのうちのいずれか一つがフル状態にあると判断した場合には、繰出部34および搬送部36を停止させて入金処理を中断するとともに、装着検出センサ103の検出結果によって、収納庫12が装着部81に装着状態にあるか否かを判断する。
収納庫12が装着されている場合に、制御部110は、以下の収納処理を行う。つまり、まず、シャッタ開位置センサ78でスライド板93が検出されるまでシャッタ駆動機能65のモータ76Aを駆動する。これにより、シャッタ67が開状態となる。この状態で、制御部110は、送出モータ212を駆動して送出ローラ161〜167を上部が振分穴62側に移動する方向に回転させるとともに、ベルトコンベア54および繰出開閉部57a〜57fの対応するものを制御して、還流庫46a〜46fのうちのいずれかフル状態にあるものから、硬貨を予め定められた所定のフル状態解消枚数だけ繰り出させて通常収納状態とする収納処理を行う。すると、繰り出された硬貨が出金シュート60から振分穴62および振分シュート63を介して、収納庫12に受入口90から収納される。なお、還流庫46a〜46fのうちのいずれかフル状態にあるものから、硬貨をすべて繰り出させても良い。
このとき、還流庫46aから繰り出す硬貨がある場合、還流庫46aから繰り出された最軽量の1円硬貨は、還流庫46aのベルトコンベア54の繰出力と出金シュート60の下板部61の前下がりの傾斜とによって還流庫46aの前方に移動しようとすることになり、還流庫46aの前方で傾斜するガイド壁145に接触し、このガイド壁145に接触しながら、ガイド壁145に沿って振分穴62の方向に移動することになる。このとき、1円硬貨は送出ローラ161〜167に順次乗り上げて送出ローラ161〜167の回転力で振分穴62の方向に強制的に送られることになり、送出ローラ161〜167の駆動力で付勢されて振分穴62に放出される。
また、還流庫46a〜46fのうちのいずれか一つに収納される硬貨(一の金種の硬貨)の枚数が上記した所定の上限枚数に達したと判断した場合に実行する上記した収納処理時に、制御部110は、還流庫46a〜46fのうちの他のいずれかに収納されている硬貨(他の金種の硬貨)の枚数が上記した所定の上限枚数から所定の範囲内にあるか否かを判断し、所定の上限枚数から所定の範囲内にある場合、つまり還流庫46a〜46fのうちのいずれかがニアフル状態にあると判断した場合には、収納処理の一環として、このニアフル状態にあるものすべてについて、硬貨を予め定められた所定のニアフル状態解消枚数(ニアフル状態解消枚数<フル状態解消枚数)だけ繰り出させて通常収納状態とする。このときも、ニアフル状態解消のために繰り出された硬貨が、上記したフル状態解消のために繰り出された硬貨とともに、出金シュート60から振分穴62および振分シュート63を介して、収納庫12に受入口90から収納される。なお、還流庫46a〜46fのうちのいずれかニアフル状態にあるものから、硬貨をすべて繰り出させても良い。
上記のように、還流庫46a〜46fのうちのいずれか一つがフル状態にあることを検出した場合に、装着検出センサ103によって、収納庫12が装着部81に装着状態にないことが検出されると、制御部110は、入金処理を中断して、収納庫12の装着を促す表示を表示部27に表示させることになる。その後、収納庫12が装着部81に装着されたことが、装着検出センサ103で検出されると、制御部110は、上記した収納処理を行う。
そして、収納処理が完了すると、制御部110は、繰出部34および搬送部36を駆動して、入金処理を再開させることになり、入金処理の完了後に、送出モータ212を停止させるとともに、シャッタ閉位置センサ79でスライド板93が検出されるまでシャッタ駆動機能65のモータ76Aを駆動し、シャッタ67を閉状態に戻す。
なお、フル状態の判断時に、上記のように入金処理を中断して、収納処理を行い、その後、入金処理を再開するのではなく、入金処理と並行して収納処理を行うようにしても良い。つまり、入金処理中に、還流庫46a〜46fのうちのいずれか一つに収納される硬貨の枚数が上記した所定の上限枚数に達したと判断した場合に、収納庫12が装着部81に取り付けられていれることを条件に、入金処理を続行しつつ上記した収納処理を行って、フル状態の解消を図り、必要によりニアフル状態の解消を図るのである。この場合は、入金処理の開始時に、シャッタ67を予め開状態にしておくのが良い。
なお、収納処理の一環として還流庫46a〜46fのうちのニアフル状態にあるものすべてについて硬貨を繰り出させて通常収納状態とする処理は、行わなくても良く、行うか否かをユーザにより選択可能としても良い。また、ニアフル状態解消枚数やフル状態解消枚数をユーザにより設定可能としても良い。さらに、フル状態を判断する所定の上限枚数や、ニアフル状態を判断する上記した所定の範囲の枚数をユーザにより設定可能としても良い。
「出金処理」
一の出金処理の開始にともなって操作者が、操作部26に、今回の出金処理で出金させる硬貨の金種別の硬貨枚数、あるいは今回の出金処理で出金させる硬貨の合計金額を入力して、出金処理を行う旨の操作入力を行うと、制御部110は、金種別の硬貨枚数が入力された場合には、入力された金種別の硬貨枚数の合計枚数である合計硬貨枚数を算出することになり、合計金額が入力された場合に、最小枚数となる各金種別の硬貨枚数を算出するとともに、算出された金種別の硬貨枚数の合計枚数である合計硬貨枚数を算出する。あるいは、操作部26に出金の合計金額が入力され、出金する硬貨のうちの一部の金種およびその枚数が指定されると、制御部110は、指定された金種分を除いた金額分を最小枚数とする各金種別の硬貨枚数を算出し、指定分と算出分の硬貨枚数の合計枚数である合計硬貨枚数を算出する。
そして、制御部110は、今回の出金処理で出金する合計硬貨枚数が、一回の出金動作の上限枚数(所定枚数)を超えるか否かを判断し、上限枚数を超えない場合と超える場合とで制御を以下のように異ならせる。
<上限枚数を超えない場合>
今回の出金処理で出金する合計硬貨枚数が、一回の出金動作の上限枚数を超えない場合には、送出モータ212を駆動して送出ローラ161〜167を上部が硬貨出金口22側に移動する方向に回転させるとともに、一回の出金動作によって、金種別の還流庫46a〜46fの硬貨を必要な枚数ずつ硬貨出金口22に出金させる。つまり、金種別の還流庫46a〜46fのベルトコンベア54を駆動するとともに、繰出制御部57a〜57fの対応するものを制御してそれぞれ対応する金種の硬貨を計数センサ58a〜58fで計数することにより、必要な数だけ繰り出させる。すると、繰り出された硬貨が、シャッタ67が閉状態にあることから、出金シュート60を介して硬貨出金口22に出金される。このとき、制御部110は、装着検出センサ103によって収納庫12の装着が検出されているか否かにかかわらず、出金処理を行う。
このとき、還流庫46aから繰り出す硬貨がある場合、還流庫46aから繰り出された最軽量の1円硬貨は、還流庫46aのベルトコンベア54の繰出力と出金シュート60の下板部61の前下がりの傾斜とによって還流庫46aの前方に移動しようとすることになり、還流庫46aの前方で傾斜するガイド壁145に接触し、このガイド壁145に接触しながら、ガイド壁145に沿って硬貨出金口22の方向に移動することになる。このとき、1円硬貨は送出ローラ161〜167に順次乗り上げて送出ローラ161〜167の回転力で硬貨出金口22の方向に強制的に送られることになり、送出ローラ161〜167の駆動力で付勢されてシャッタ67を越え硬貨出金口22に放出される。
制御部110は、計数センサ58a〜58fで出金すべき硬貨がすべて計数されると、出金すべきすべての硬貨が硬貨出金口22に至る所定のタイミング、つまり一の出金動作直後のタイミングで、所定の判定時間にわたり出金口センサ108が遮光され硬貨を検出し続けているか否かを判断するとともに、表示部27に硬貨出金口22内の硬貨の確認操作を促す旨を表示させる。所定の判定時間にわたり出金口センサ108が遮光され続けているか否かを判断するのは、一瞬硬貨が横切る等の不安定な状態を排除するためである。
所定の判定時間にわたり出金口センサ108が遮光状態にあり硬貨を検出し続けている場合に、制御部110は、出金口センサ108の状態を引き続き監視することになり、遮光状態の後に、透光状態になり、その後の所定時間内に再び遮光状態になると、硬貨出金口22の硬貨の残留が解消されたと判断して、表示部27に、出金処理が正常に完了した場合のみ表示させる出金処理の内容(金種別の枚数、合計金額等)を表示させることになる。つまり、硬貨の出金動作直後には、出金口センサ108が硬貨出金口22内の出金硬貨で遮光状態となるが、その後、操作者が、硬貨を硬貨出金口22から取り出すことで、出金口センサ108が透光状態になる。しかしながら、この状況では、硬貨出金口22内に出金口センサ108を遮光しない少量の硬貨の取り残しがある可能性がある。よって、この時点では、制御部110は、表示部27に出金処理の内容を表示させずに、硬貨出金口22内の硬貨の確認操作を促す旨を引き続き表示させる。
すると、操作者は、硬貨出金口22に再び手を入れて確認を行う。この確認操作で入れられた手によって出金口センサ108が再び遮光状態になると、制御部110は、取り残しなく硬貨が取り出されたと判断して、表示部27に出金処理の内容を表示させ、ベルトコンベア54および送出ローラ161〜167を停止させて、一連の出金処理を終了する。なお、出金動作後に、出金口センサ108が遮光状態から透光状態になった時点で、硬貨出金口22に取り残しの硬貨がない場合もあるが、一度の確認作業を操作者に行わせることはそれほどの負担にならず、むしろ取り残しを確実になくす方を優先するのである。また、上記した所定時間内に出金口センサ108が再び遮光状態にならない場合、制御部110は、例えば硬貨出金口22内の硬貨の確認操作を促す旨を表示部27に表示させながらアラーム音を発生させる。
上記した一の出金動作直後のタイミングで、所定の判定時間にわたり出金口センサ108が遮光され続けていない場合に、制御部110は、出金口センサ108の状態を引き続き監視することになり、出金動作直後から所定時間内に遮光状態になると硬貨出金口22の硬貨の残留が解消されたと判断して、表示部27に出金処理の内容を表示させることになる。つまり、硬貨の出金動作直後に、例えば出金する枚数が少ない場合には出金口センサ108が硬貨出金口22内の出金硬貨で遮光状態とならず、透光状態が維持されてしまうことがある。この状況で、何も判断しないと、硬貨出金口22内に硬貨の取り残しを生じてしまう可能性がある。しかしながら、操作者が、硬貨を硬貨出金口22から取り出す操作を行えば、硬貨出金口22に入れられた手によって出金口センサ108が遮光状態になる。すると、制御部110は、取り残しなく硬貨が取り出されたと判断して、表示部27に出金処理の内容を表示させ、ベルトコンベア54および送出ローラ161〜167を停止させて、一連の出金処理を終了する。また、上記した所定時間内に出金口センサ108が遮光状態にならない場合、制御部110は、例えば硬貨出金口22内の硬貨の確認操作を促す旨を表示部27に表示させながらアラーム音を発生させる。
なお、制御部110は、上記した一の出金動作直後のタイミングで、所定の判定時間にわたり出金口センサ108が遮光され硬貨を検出し続けている場合に、硬貨の出金枚数が所定の枚数以下の場合に限って、遮光状態の後に、透光状態になると、次に遮光状態にならなくても、硬貨出金口22の硬貨の残留が解消されたと判断して、表示部27に、出金処理が正常に完了した場合のみ表示させる出金処理の内容(金種別の枚数、合計金額等)を表示させるようにしても良い。これは、硬貨出金口22に出金した硬貨が少数であれば、取り出し操作が一度行われれば、取り残しを生じる可能性が低いためである。
<上限枚数を超える場合>
今回の出金処理で出金する合計硬貨枚数が、一回の出金動作の上限枚数を超える場合には、送出モータ212を駆動して送出ローラ161〜167を上部が硬貨出金口22側に移動する方向に回転させるとともに、一回が上限枚数以内となる最少の複数回の出金動作によって、金種別の還流庫46a〜46fの硬貨を硬貨出金口22に出金させる。つまり、上限枚数の出金動作を可能な限り行い、最後に、上限枚数以下の出金動作を行うように各出金動作での出金硬貨の枚数を分割する。
そして、今回の出金処理のうちの一回目の出金動作によって、金種別の還流庫46a〜46fの硬貨を硬貨出金口22に上限枚数だけ出金させる。つまり、金種別の還流庫46a〜46fのベルトコンベア54を駆動するとともに、繰出制御部57a〜57fの対応するものを制御してそれぞれ対応する金種の硬貨を計数センサ58a〜58fで計数することにより、合計枚数が上限枚数となる範囲で要求された数だけ繰り出させる。すると、繰り出された硬貨が、シャッタ67が閉状態にあることから、出金シュート60を介して硬貨出金口22に出金される。このとき、制御部110は、装着検出センサ103によって収納庫12の装着が検出されているか否かにかかわらず、出金処理を行う。
このときも、還流庫46aから繰り出す硬貨がある場合、還流庫46aから繰り出された最軽量の1円硬貨は、還流庫46aの前方で傾斜するガイド壁145に接触しながら、ガイド壁145に沿って送出ローラ161〜167の回転力で硬貨出金口22の方向に強制的に送られることになり、送出ローラ161〜167の駆動力で付勢されてシャッタ67を越え硬貨出金口22に放出される。
制御部110は、計数センサ58a〜58fで出金すべき硬貨がすべて計数されると、出金すべき硬貨がすべて硬貨出金口22に至る所定のタイミング、つまり一回目の出金動作直後のタイミングで、所定の判定時間にわたり出金口センサ108が遮光され硬貨を検出し続けているか否かを判断するとともに、表示部27に硬貨出金口22内の硬貨の確認操作を促す旨を表示させる。
出金口センサ108が遮光状態にあり硬貨を検出し続けている場合に、制御部110は、出金口センサ108の状態を引き続き監視することになり、遮光状態の後に、透光状態になり、その後の所定時間内に再び遮光状態になると、硬貨出金口22の硬貨の残留が解消されたと判断して、二回目の出金動作を開始する。つまり、硬貨の出金動作直後には、出金口センサ108が硬貨出金口22内の出金硬貨で遮光状態となるが、その後、操作者が、硬貨を硬貨出金口22から取り出すことで、出金口センサ108が透光状態になる。しかしながら、この状況では、硬貨出金口22内に出金口センサ108を遮光しない少量の硬貨の取り残しがある可能性がある。よって、この時点では、制御部110は、硬貨出金口22内の硬貨の確認操作を促す旨を引き続き表示部27に表示させる。
すると、操作者は、硬貨出金口22に再び手を入れて確認を行う。この確認操作で入れられた手によって出金口センサ108が再び遮光状態になると、制御部110は、取り残しなく硬貨が取り出されたと判断して、今回の出金処理のうちの二回目の出金動作を開始する。つまり、硬貨出金口22内の硬貨の確認操作を促す旨の表示部27への表示を停止するとともに、一回目の出金動作と同様に、金種別の還流庫46a〜46fの硬貨を硬貨出金口22に上限枚数以下の範囲で出金させる。
そして、上記を必要により繰り返し、最終回の出金動作が終了すると、制御部110は、合計硬貨枚数が上限枚数を超えない場合と同様に、所定の判定時間にわたり出金口センサ108が遮光され硬貨を検出し続けているか否かを判断し、硬貨を検出し続けている場合には、硬貨出金口22内の硬貨の確認操作を促す旨を表示部27に表示させるとともに、出金口センサ108が遮光状態の後に、透光状態になり、その後の所定時間内に再び遮光状態になると、硬貨出金口22の硬貨の残留が解消されたと判断して、表示部27に出金処理の内容を表示させ、ベルトコンベア54および送出ローラ161〜167を停止させて、一連の出金処理を終了する。一方、最終回の出金動作が終了し、所定の判定時間にわたり出金口センサ108が硬貨を検出し続けていない場合には、硬貨出金口22内の硬貨の確認操作を促す旨を表示部27に表示させるとともに、出金動作直後から所定時間内に出金口センサ108が遮光状態になると硬貨出金口22の硬貨の残留が解消されたと判断して、表示部27に出金処理の内容を表示させ、ベルトコンベア54および送出ローラ161〜167を停止させて、一連の出金処理を終了することになる。
ここで、上記した出金処理中に、収納庫12が装着部81に装着されたり、装着部81から取り外されたりしても、制御部110は、出金処理をそのまま継続させる。
なお、上記した入金処理で金種別の還流庫46a〜46fに収納した硬貨を返却する場合も、入金された硬貨と同様の硬貨を、上記した出金処理と同様にして金種別の還流庫46a〜46fから硬貨出金口22に繰り出す。
以上に述べた本実施形態によれば、下板部61の傾斜で移動しようとする硬貨が、下板部61から突出する送出ローラ161〜167に接触すると、これら送出ローラ161〜167が回転することによって、硬貨を円滑に振分穴62および硬貨出金口22に向けて移動させることになる。よって、硬貨は、下板部61の傾斜によって移動する場合と比べて、途中で停止してしまうことが抑制される。したがって、金種別の還流庫46a〜46fからの繰り出し時に確実に硬貨を振分穴62および硬貨出金口22に向けて移動させることができる。
また、一端側の還流庫46aから最軽量の1円硬貨が繰り出されると、下板部61のこの還流庫46a側の端縁部に設けられたガイド壁145で案内されて最軽量の1円硬貨が移動することになり、よって、このガイド壁145に沿って並設された複数の送出ローラ161〜167に最軽量の1円硬貨を良好に接触させることができる。したがって、還流庫46aから繰り出された停止し易い最軽量の1円硬貨を振分穴62および硬貨出金口22に向けて移動させることができる。
また、一端側の還流庫46aから最軽量の1円硬貨が繰り出されると、最軽量の1円硬貨は、還流庫46aの前方位置にて、硬貨の移動方向に対して傾斜するガイド壁145に当接することになり、確実に、このガイド壁145の案内でガイド壁145に沿って移動することになる。よって、このガイド壁145に沿って並設された複数の送出ローラ161〜167に最軽量の1円硬貨を確実に接触させることができる。したがって、還流庫46aから繰り出された停止し易い最軽量の1円硬貨を確実に振分穴62および硬貨出金口22に向けて移動させることができる。
また、複数の送出ローラ161〜167が、ガイド壁145の延在方向にて隣り合うもの同士が軸方向の位置をずらして千鳥状に配置されているため、複数の送出ローラ161〜167を一直線状に配置させる場合に比べてローラ間隔を狭めることができて、硬貨を一つ以上の送出ローラ161〜167に常に接触させることができたり、さらには、例えば先行する硬貨に邪魔されてガイド壁145に当接できない最軽量の1円硬貨にも送出ローラ161,163,165,167を接触させることができる。したがって、還流庫46aから繰り出された停止し易い最軽量の1円硬貨を確実に振分穴62および硬貨出金口22に向けて移動させることができる。
また、複数の送出ローラ161〜167は、上部が硬貨出金口22に向けて移動する方向に送出モータ212で回転駆動されるため、送出ローラ161〜167に接触した硬貨をより確実に振分穴62および硬貨出金口22に向けて移動させることができる。
なお、上記実施形態において、最軽量の1円硬貨用の還流庫46aを、この還流庫46aから繰り出された硬貨の移動方向に沿う側壁部129側の端部(つまり還流庫46fの位置)に配置しても良く、この場合は、この側壁部129に沿って複数の送出ローラ161〜167を上記と同様に並設すれば良い。
また、上記実施形態では、送出ローラ161〜167を送出モータ212で強制的に駆動する場合を例にとり説明したが、これらを駆動源を持たないフリーローラとして、硬貨の摩擦抵抗を低減する構造としても良い。この場合、送出ローラを金属製あるいは摩擦係数の低い合成樹脂製として硬貨を送出ローラに対しても滑りを生じ易い構成とするのが好ましい。
また、上記実施形態では、シャッタ67には送出ローラを設けていないが、シャッタ67に、送出ローラ161〜167の延長上となる位置に送出ローラを設けても良い。この場合、送出ローラを側壁部126の近傍に側壁部126に沿って並設することができ、シャッタ57の送出ローラを上記と同様にモータで駆動したり、フリーローラとしたりすることが可能である。
さらに、金種別の還流庫46a〜46fと硬貨出金口22との間に開閉可能なシャッタ67が設けられていないもの、つまり還流庫46a〜46fからの硬貨を常に硬貨出金口22に移動させる構造のものにも適用可能である。