以下に、本発明を詳細に説明する。本発明のゴム組成物は、活性重合体を変性剤で変性して得た、シス-1,4結合量が80.0%以上で、数平均分子量(Mn)が20万以上で且つ100万以下で、少なくとも一つの官能基を有する変性共役ジエン系重合体(A)を含むゴム成分に対し、重量平均分子量(Mw)が5,000〜150,000の低分子量共役ジエン化合物重合体(B)を配合してなることを特徴とする。ここで、本発明においては、ゴム組成物の貯蔵弾性率(G')を高めるため、一種又は複数種の共役ジエン化合物からなる重合体(共役ジエン化合物重合体)が使用されるが、これにより、該共役ジエン化合物重合体と変性共役ジエン系重合体(A)との相溶性を向上させることができる。従って、特開2007−326942号公報に記載のゴム組成物に観察されるように、低ロス性能の発現が抑えられることもなく、変性共役ジエン系重合体(A)が本来有する低ロス性能の向上効果を十分に発揮することができる。以上のことから、本発明のゴム組成物は、変性共役ジエン系重合体(A)により得られる低ロス性能及び耐亀裂成長性の向上効果を損なうことなく、貯蔵弾性率(G')を向上させることができる。
本発明のゴム組成物に用いる変性共役ジエン系重合体(A)は、シス-1,4結合量が80.0%以上であることを要し、85%以上であるのが好ましい。該シス-1,4結合量が80.0%未満では、低ロス性能及び耐亀裂成長性を十分に得ることができない。また、上記変性共役ジエン系重合体(A)は、変性率が10%以上であるのが好ましく、15%以上であるのが更に好ましい。該変性率が10%未満では、同様に低ロス性能及び耐亀裂成長性を十分に得ることができない。
上記変性共役ジエン系重合体(A)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)が1.6〜3.5であるのが好ましく、1.6〜2.7であるのが更に好ましい。該分子量分布(Mw/Mn)が上記範囲内にあれば、ゴム組成物の作業性を低下させることがない。
上記変性共役ジエン系重合体(A)は、数平均分子量(Mn)が20万以上で且つ100万以下であることを要し、200,000〜500,000であるのが好ましく、200,000〜400,000であるのが特に好ましい。該数平均分子量(Mn)が上記範囲内にあれば、加硫時の弾性率の低下及びヒステリシスロスの上昇を抑えつつ、耐摩耗性を向上させると共に、ゴム組成物の作業性をも向上させる。なお、該数平均分子量(Mn)が100万を超えると、共役ジエン系重合体の変性率を高くすることが困難になる場合がある。
上記変性共役ジエン系重合体(A)は、共役ジエン化合物の結合量が60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であるのが更に好ましい。該共役ジエン化合物の結合量が60質量%以上であれば、低分子量共役ジエン化合物重合体(B)との相溶性を大幅に向上させることができる。
本発明のゴム組成物のゴム成分は、上記変性共役ジエン系重合体(A)を10質量%以上含むことが好ましい。ゴム成分中に占める変性共役ジエン系重合体(A)の割合が10質量%未満では、低ロス性能及び耐亀裂成長性の向上効果が低くなる。また、上記ゴム成分は、上記変性共役ジエン系重合体(A)の他に、ゴム工業界で使用される一般的なゴム成分をブレンドすることができ、具体的には、天然ゴム(NR)や、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、エチレン−プロピレン共重合体、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル−ブタジエンゴム(NBR)等の合成ジエン系ゴムをブレンドすることができる。なお、これら一般的なゴム成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上をブレンドして用いてもよい。更に、ゴム成分が変性共役ジエン系重合体(A)と上記一般的なゴム成分とのブレンドであるとき、該変性共役ジエン系重合体(A)は、ゴム成分中に含まれる天然ゴム(NR)及び合成ジエン系ゴムの少なくとも一種と相溶性を有することが好ましい。
上記変性共役ジエン系重合体(A)は、活性重合体を変性剤で変性して得られ、少なくとも一つの官能基を有する。該官能基は、窒素原子、スズ原子、ケイ素原子、硫黄原子及び酸素原子よりなる群から選択される少なくとも一種の原子を含有する官能基であることが好ましい。また、上記変性剤として、例えば、下記に示す(a)〜(h)成分が挙げられる。なお、(a)〜(h)成分は、いずれも活性末端を有する重合体と反応させることが可能な化合物である。また、(a)〜(h)成分は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
まず、(a)成分は、一般式(I):
[式中、X
1〜X
5は水素原子、ハロゲン原子、カルボニル基、チオカルボニル基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、エポキシ基、チオエポキシ基、ハロゲン化シリル基、ヒドロカルビルオキシシリル基及びスルホニルオキシ基よりなる郡から選択される少なくとも一種を含む官能基を示し、X
1〜X
5は互いに同一でも異なっていてもよいが、それらの中の少なくとも一つは水素原子ではない。R
1〜R
5は、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜18の二価の炭化水素基を示す。また、X
1〜X
5及びR
1〜R
5のいずれかを介して複数のアジリジン環が結合されていてもよい。]で表される化合物である。なお、上記式(I)において、二価の炭化水素基として、具体的には、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基等が挙げられる。また、上記(a)成分は、上記式(I)において、X
1=水素原子及びR
1=単結合を同時に満たさないことが好ましい。
上記(a)成分として、具体的には、1-アセチルアジリジン、1-プロピオニルアジリジン、1-ブチルアジリジン、1-イソブチルアジリジン、1-バレリルアジリジン、1-イソバレリルアジリジン、1-ピバロイルアジリジン、1-アセチル-2-メチルアジリジン、2-メチル-1-プロピオニルアジリジン、1-ブチル-2-メチルアジリジン、2-メチル-1-イソブチルアジリジン、2-メチル-1-バレリルアジリジン、1-イソバレリル-2-メチルアジリジン、2-メチル-1-ピバロイルアジリジン、エチル 3-(1-アジリジニル)プロピオネート、プロピル 3-(1-アジリジニル)プロピオネート、ブチル 3-(1-アジリジニル)プロピオネート、エチレングリコール ビス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパン トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、エチル 3-(2-メチル-1-アジリジニル)プロピオネート、プロピル 3-(2-メチル-1-アジリジニル)プロピオネート、ブチル 3-(2-メチル-1-アジリジニル)プロピオネート、エチレングリコール ビス[3-(2-メチル-1-アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパン トリス[3-(2-メチル-1-アジリジニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコール ビス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコール ビス[3-(2-メチル-1-アジリジニル)プロピオネート]、ジ(1-アジリジニルカルボニル)メタン、1,2-ジ(1-アジリジニルカルボニル)エタン、1,3-ジ(1-アジリジニルカルボニル)プロパン、1,4-ジ(1-アジリジニルカルボニル)ブタン、1,5-ジ(1-アジリジニルカルボニル)ペンタン、ジ(2-メチル-1-アジリジニルカルボニル)メタン、1,2-ジ(2-メチル-1-アジリジニルカルボニル)エタン、1,3-ジ(2-メチル-1-アジリジニルカルボニル)プロパン、1,4-ジ(2-メチル-1-アジリジニルカルボニル)ブタン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
次に、(b)成分は、R6 nM'Z4-n、M'Z4、M'Z3、R7 nM'(−R8−COOR9)4-n又はR7 nM'(−R8−COR9)4-n[式中、R6〜R8は、同一でも異なってもよいが、炭素数1〜20の炭素原子を含む炭化水素基であって、R9は炭素数1〜20の炭素原子を含む炭化水素基であり、更にR6〜R9は側鎖にカルボニル基又はエステル基を含んでいてもよく、M'はスズ原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子又はリン原子で、Zはハロゲン原子で、nは0〜3の整数である]に対応するハロゲン化有機金属化合物、ハロゲン化金属化合物又は有機金属化合物である。
上記(b)成分のR6 nM'Z4-nとして、具体的には、トリフェニルスズクロリド、トリブチルスズクロリド、トリイソプロピルスズクロリド、トリヘキシルスズクロリド、トリオクチルスズクロリド、ジフェニルスズジクロリド、ジブチルスズジクロリド、ジヘキシルスズジクロリド、ジオクチルスズジクロリド、フェニルスズトリクロリド、ブチルスズトリクロリド、オクチルスズトリクロリド、トリフェニルクロロシラン、トリヘキシルクロロシラン、トリオクチルクロロシラン、トリブチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジヘキシルジクロロシラン、ジオクチルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、フェニルクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリフェニルゲルマニウムクロリド、ジブチルゲルマニウムジクロリド、ジフェニルゲルマニウムジクロリド、ブチルゲルマニウムトリクロリド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、M'Z4としては、例えば、四塩化スズ、四塩化ケイ素、四塩化ゲルマニウム等が挙げられ、M'Z3としては、例えば、三塩化リン等が挙げられる。
(c)成分は、上記のとおり、分子中に、Y=C=Y'結合[式中、Yは炭素原子、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子であり、Y'は酸素原子、窒素原子又は硫黄原子である]を含有するヘテロクムレン化合物である。上記(c)成分として、具体的には、エチルケテン、ブチルケテン、フェニルケテン、トルイルケテン等のケテン化合物;エチレンチオケテン、ブチルチオケテン、フェニルチオケテン、トルイルチオケテン等のチオケテン化合物;フェニルイソシアナート、2,4-トリレンジイソシアナート、2,6-トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメリックタイプのジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等のイソシアナート化合物;フェニルチオイソシアナート、2,4-トリレンジチオイソシアナート、ヘキサメチレンジチオイソシアナート等のチオイソシアナート化合物;N,N'-ジフェニルカルボジイミド、N,N'-エチルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(d)成分は、一般式(II):
[式中、Y'は、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子である]で表される結合を分子中に含有するヘテロ3員環化合物である。上記(d)成分として、具体的には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エポキシ化大豆油、エポキシ化天然ゴム等のエポキシ化合物;エチレンイミンの他、プロピレンイミン、N-フェニルエチレンイミン、N-(β-シアノエチル)エチレンイミン等のエチレンイミン誘導体;チイラン、メチルチイラン、フェニルチイラン等のチイラン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(e)成分は、上記のとおり、ハロゲン化イソシアノ化合物であって、例えば、2-アミノ-6-クロロピリジン、2,5-ジブロモピリジン、4-クロロ-2-フェニルキナゾリン、2,4,5-トリブロモイミダゾール、3,6-ジクロロ-4-メチルピリダジン、3,4,5-トリクロロピリダジン、4-アミノ-6-クロロ-2-メルカプトピリミジン、2-アミノ-4-クロロ-6-メチルピリミジン、2-アミノ-4,6-ジクロロピリミジン、6-クロロ-2,4-ジメトキシピリミジン、2-クロロピリミジン、2,4-ジクロロ-6-メチルピリミジン、4,6-ジクロロ-2-(メチルチオ)ピリミジン、2,4,5,6-テトラクロロピリミジン、2,4,6-トリクロロピリミジン、2-アミノ-6-クロロピラジン、2,6-ジクロロピラジン、2,4-ビス(メチルチオ)-6-クロロ-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン、2-ブロモ-5-ニトロチアゾール、2-クロロベンゾチアゾール、2-クロロベンゾオキサゾール等が挙げられる。
(f)成分は、R
10−(COOH)
m、R
11(COZ)
m、R
12−(COO−R
13)、R
14−OCOO−R
15、R
16−(COOCO−R
17)
m、又は一般式(III):
[式中、R
10〜R
18は、同一でも異なってもよいが、炭素数1〜50の炭素原子を含む炭化水素基で、Zはハロゲン原子で、mは1〜5の整数である]に対応するカルボン酸、酸ハロゲン化物、エステル化合物、炭酸エステル化合物又は酸無水物である。上記(f)成分として、具体的には、酢酸、ステアリン酸、アジピン酸、マレイン酸、安息香酸、アクリル酸、メタアクリル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、メリット酸の他、ポリメタクリル酸エステル化合物又はポリアクリル酸エステル化合物のエステルを全部又は部分的に加水分解した化合物等のカルボン酸;酢酸クロリド、プロピオン酸クロリド、ブタン酸クロリド、イソブタン酸クロリド、オクタン酸クロリド、アクリル酸クロリド、安息香酸クロリド、ステアリン酸クロリド、フタル酸クロリド、マレイン酸クロリド、オキサリン酸クロリド、ヨウ化アセチル、ヨウ化ベンゾイル、フッ化アセチル、フッ化ベンゾイル等の酸ハロゲン化物;酢酸エチル、ステアリン酸エチル、アジピン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、安息香酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸エチル、フタル酸ジエチル、テレフタル酸ジメチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラオクチル、メリット酸ヘキサエチル、酢酸フェニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリイソブチルアクリレート等のエステル化合物;炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジヘキシル、炭酸ジフェニル等の炭酸エステル化合物;無水酢酸、無水プロピオン酸、無水イソ酪酸、無水イソ吉草酸、無水ヘプタン酸、無水安息香酸、無水ケイ皮酸、無水コハク酸、無水メチルコハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水シトラコン酸、無水フタル酸、スチレン−無水マレイン酸共重合体等の酸無水物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(g)成分は、R
19 kM''(OCOR
20)
4-k、R
21 kM''(OCO−R
22−COOR
23)
4-k又は一般式(IV):
[式中、R
19〜R
25は、同一でも異なってもよいが、炭素数1〜20の炭素原子を含む炭化水素基で、M''はスズ原子、ケイ素原子又はゲルマニウム原子で、kは0〜3の整数で、pは0又は1である]に対応するカルボン酸の金属塩である。上記(g)成分として、具体的には、トリフェニルスズラウレート、トリフェニルスズ-2-エチルヘキサテート、トリフェニルスズナフテート、トリフェニルスズアセテート、トリフェニルスズアクリレート、トリ-n-ブチルスズラウレート、トリ-n-ブチルスズ-2-エチルヘキサテート、トリ-n-ブチルスズナフテート、トリ-n-ブチルスズアセテート、トリ-n-ブチルスズアクリレート、トリ-t-ブチルスズラウレート、トリ-t-ブチルスズ-2-エチルヘキサテート、トリ-t-ブチルスズナフテート、トリ-t-ブチルスズアセテート、トリ-t-ブチルスズアクリレート、トリイソブチルスズラウレート、トリイソブチルスズ-2-エチルヘキサテート、トリイソブチルスズナフテート、トリイソブチルスズアセテート、トリイソブチルスズアクリレート、トリイソプロピルスズラウレート、トリイソプロピルスズ-2-エチルヘキサテート、トリイソプロピルスズナフテート、トリイソプロピルスズアセテート、トリイソプロピルスズアクリレート、トリヘキシルスズラウレート、トリヘキシルスズ-2-エチルヘキサテート、トリヘキシルスズアセテート、トリヘキシルスズアクリレート、トリオクチルスズラウレート、トリオクチルスズ-2-エチルヘキサテート、トリオクチルスズナフテート、トリオクチルスズアセテート、トリオクチルスズアクリレート、トリ-2-エチルヘキシルスズラウレート、トリ-2-エチルヘキシルスズ-2-エチルヘキサテート、トリ-2-エチルヘキシルスズナフテート、トリ-2-エチルヘキシルスズアセテート、トリ-2-エチルヘキシルスズアクリレート、トリステアリルスズラウレート、トリステアリルスズ-2-エチルヘキサテート、トリステアリルスズナフテート、トリステアリルスズアセテート、トリステアリルスズアクリレート、トリベンジルスズラウレート、トリベンジルスズ-2-エチルヘキサテート、トリベンジルスズナフテート、トリベンジルスズアセテート、トリベンジルスズアクリレート、ジフェニルスズジラウレート、ジフェニルスズ-2-エチルヘキサテート、ジフェニルスズジステアレート、ジフェニルスズジナフテート、ジフェニルスズジアセテート、ジフェニルスズジアクリレート、ジ-n-ブチルスズジラウレート、ジ-n-ブチルスズジ-2-エチルヘキサテート、ジ-n-ブチルスズジステアレート、ジ-n-ブチルスズジナフテート、ジ-n-ブチルスズジアセテート、ジ-n-ブチルスズジアクリレート、ジ-t-ブチルスズジラウレート、ジ-t-ブチルスズジ-2-エチルヘキサテート、ジ-t-ブチルスズジステアレート、ジ-t-ブチルスズジナフテート、ジ-t-ブチルスズジアセテート、ジ-t-ブチルスズジアクリレート、ジイソブチルスズジラウレート、ジイソブチルスズジ-2-エチルヘキサテート、ジイソブチルスズジステアレート、ジイソブチルスズジナフテート、ジイソブチルスズジアセテート、ジイソブチルスズジアクリレート、ジイソプロピルスズジラウレート、ジイソプロピルスズ-2-エチルヘキサテート、ジイソプロピルスズジステアレート、ジイソプロピルスズジナフテート、ジイソプロピルスズジアセテート、ジイソプロピルスズジアクリレート、ジヘキシルスズジラウレート、ジヘキシルスズジ-2-エチルヘキサテート、ジヘキシルスズジステアレート、ジヘキシルスズジナフテート、ジヘキシルスズジアセテート、ジヘキシルスズジアクリレート、ジ-2-エチルヘキシルスズジラウレート、ジ-2-エチルヘキシルスズ-2-エチルヘキサテート、ジ-2-エチルヘキシルスズジステアレート、ジ-2-エチルヘキシルスズジナフテート、ジ-2-エチルヘキシルスズジアセテート、ジ-2-エチルヘキシルスズジアクリレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジ-2-エチルヘキサテート、ジオクチルスズジステアレート、ジオクチルスズジナフテート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジアクリレート、ジステアリルスズジラウレート、ジステアリルスズジ-2-エチルヘキサテート、ジステアリルスズジステアレート、ジステアリルスズジナフテート、ジステアリルスズジアセテート、ジステアリルスズジアクリレート、ジベンジルスズジラウレート、ジベンジルスズジ-2-エチルヘキサテート、ジベンジルスズジステアレート、ジベンジルスズジナフテート、ジベンジルスズジアセテート、ジベンジルスズジアクリレート、フェニルスズトリラウレート、フェニルスズトリ-2-エチルヘキサテート、フェニルスズトリナフテート、フェニルスズトリアセテート、フェニルスズトリアクリレート、n-ブチルスズトリラウレート、n-ブチルスズトリ-2-エチルヘキサテート、n-ブチルスズトリナフテート、n-ブチルスズトリアセテート、n-ブチルスズトリアクリレート、t-ブチルスズトリラウレート、t-ブチルスズトリ-2-エチルヘキサテート、t-ブチルスズトリナフテート、t-ブチルスズトリアセテート、t-ブチルスズトリアクリレート、イソブチルスズトリラウレート、イソブチルスズトリ-2-エチルヘキサテート、イソブチルスズトリナフテート、イソブチルスズトリアセテート、イソブチルスズトリアクリレート、イソプロピルスズトリラウレート、イソプロピルスズトリ-2-エチルヘキサテート、イソプロピルスズトリナフテート、イソプロピルスズトリアセテート、イソプロピルスズトリアクリレート、ヘキシルスズトリラウレート、ヘキシルスズトリ-2-エチルヘキサテート、ヘキシルスズトリナフテート、ヘキシルスズトリアセテート、ヘキシルスズトリアクリレート、オクチルスズトリラウレート、オクチルスズトリ-2-エチルヘキサテート、オクチルスズトリナフテート、オクチルスズトリアセテート、オクチルスズトリアクリレート、2-エチルヘキシルスズトリラウレート、2-エチルヘキシルスズトリ-2-エチルヘキサテート、2-エチルヘキシルスズトリナフテート、2-エチルヘキシルスズトリアセテート、2-エチルヘキシルスズトリアクリレート、ステアリルスズトリラウレート、ステアリルスズトリ-2-エチルヘキサテート、ステアリルスズトリナフテート、ステアリルスズトリアセテート、ステアリルスズトリアクリレート、ベンジルスズトリラウレート、ベンジルスズトリ-2-エチルヘキサテート、ベンジルスズトリナフテート、ベンジルスズトリアセテート、ベンジルスズトリアクリレート、ジフェニルスズビスメチルマレート、ジフェニルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジフェニルスズビスオクチルマレート、ジフェニルスズビスオクチルマレート、ジフェニルスズビスベンジルマレート、ジ-n-ブチルスズビスメチルマレート、ジ-n-ブチルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジ-n-ブチルスズビスオクチルマレート、ジ-n-ブチルスズビスベンジルマレート、ジ-t-ブチルスズビスメチルマレート、ジ-t-ブチルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジ-t-ブチルスズビスオクチルマレート、ジ-t-ブチルスズビスベンジルマレート、ジイソブチルスズビスメチルマレート、ジイソブチルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジイソブチルスズビスオクチルマレート、ジイソブチルスズビスベンジルマレート、ジイソプロピルスズビスメチルマレート、ジイソプロピルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジイソプロピルスズビスオクチルマレート、ジイソプロピルスズビスベンジルマレート、ジヘキシルスズビスメチルマレート、ジヘキシルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジヘキシルスズビスオクチルマレート、ジヘキシルスズビスベンジルマレート、ジ-2-エチルヘキシルスズビスメチルマレート、ジ-2-エチルヘキシルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジ-2-エチルヘキシルスズビスオクチルマレート、ジ-2-エチルヘキシルスズビスベンジルマレート、ジオクチルスズビスメチルマレート、ジオクチルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジオクチルスズビスオクチルマレート、ジオクチルスズビスベンジルマレート、ジステアリルスズビスメチルマレート、ジステアリルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジステアリルスズビスオクチルマレート、ジステアリルスズビスベンジルマレート、ジベンジルスズビスメチルマレート、ジベンジルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジベンジルスズビスオクチルマレート、ジベンジルスズビスベンジルマレート、ジフェニルスズビスメチルアジテート、ジフェニルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジフェニルスズビスオクチルアジテート、ジフェニルスズビスベンジルアジテート、ジ-n-ブチルスズビスメチルアジテート、ジ-n-ブチルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジ-n-ブチルスズビスオクチルアジテート、ジ-n-ブチルスズビスベンジルアジテート、ジ-t-ブチルスズビスメチルアジテート、ジ-t-ブチルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジ-t-ブチルスズビスオクチルアジテート、ジ-t-ブチルスズビスベンジルアジテート、ジイソブチルスズビスメチルアジテート、ジイソブチルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジイソブチルスズビスオクチルアジテート、ジイソブチルスズビスベンジルアジテート、ジイソプロピルスズビスメチルアジテート、ジイソプロピルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジイソプロピルスズビスオクチルアジテート、ジイソプロピルスズビスベンジルアジテート、ジヘキシルスズビスメチルアジテート、ジヘキシルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジヘキシルスズビスメチルアジテート、ジヘキシルスズビスベンジルアジテート、ジ-2-エチルヘキシルスズビスメチルアジテート、ジ-2-エチルヘキシルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジ-2-エチルヘキシルスズビスオクチルアジテート、ジ-2-エチルヘキシルスズビスベンジルアジテート、ジオクチルスズビスメチルアジテート、ジオクチルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジオクチルスズビスオクチルアジテート、ジオクチルスズビスベンジルアジテート、ジステアリルスズビスメチルアジテート、ジステアリルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジステアリルスズビスオクチルアジテート、ジステアリルスズビスベンジルアジテート、ジベンジルスズビスメチルアジテート、ジベンジルスズビス-2-エチルヘキサテート、ジベンジルスズビスオクチルアジテート、ジベンジルスズビスベンジルアジテート、ジフェニルスズマレート、ジ-n-ブチルスズマレート、ジ-t-ブチルスズマレート、ジイソブチルスズマレート、ジイソプロピルスズマレート、ジヘキシルスズマレート、ジ-2-エチルヘキシルスズマレート、ジオクチルスズマレート、ジステアリルスズマレート、ジベンジルスズマレート、ジフェニルスズアジテート、ジ-n-ブチルスズアジテート、ジ-t-ブチルスズアジテート、ジイソブチルスズアジテート、ジイソプロピルスズアジテート、ジヘキシルスズジアセテート、ジ-2-エチルヘキシルスズアジテート、ジオクチルスズアジテート、ジステアリルスズアジテート、ジベンジルスズアジテート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(h)成分は、N−置換アミノケトン、N−置換アミノチオケトン、N−置換アミノアルデヒド、N−置換アミノチオアルデヒド、又は分子中に−C(=Y'')−N<結合[Y''は酸素原子又は硫黄原子である]を有する化合物である。上記(h)成分として、具体的には、4-ジメチルアミノアセトフェノン、4-ジエチルアミノアセトフェノン、1,3-ビス(ジフェニルアミノ)-2-プロパノン、1,7-ビス(メチルエチルアミノ)-4-ヘプタノン、4-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-ジエチルアミノベンゾフェノン、4-ジ-t-ブチルアミノベンゾフェノン、4-ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン等のN−置換アミノケトン及び対応するN−置換アミノチオケトン;4-ジメチルアミノベンズアルデヒド、4-ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4-ジビニルアミノベンズアルデヒド等のN−置換アミノアルデヒド及び対応するN−置換アミノチオアルデヒド;N-メチル-β-プロピオラクタム、N-フェニル-β-プロピオラクタム、N-メチル-2-ピロリドン、N-フェニル-2-ピロリドン、N-t-ブチル-2-ピロリドン、N-フェニル-5-メチル-2-ピロリドン、N-メチル-2-ピペリドン、N-フェニル-2-ピペリドン、N-メチル-ε-カプロラクタム、N-フェニル-ε-カプロラクタム、N-メチル-ω-カプロラクタム、N-フェニル-ω-カプロラクタム、N-メチル-ω-ラウリロラクタム、N-ビニル-ω-ラウリロラクタム等のN−置換ラクタム及び対応するN−置換チオラクタム類;1,3-ジメチルエチレン尿素、1,3-ジビニルエチレン尿素、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-エチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等のN−置換環状尿素類及び対応するN−置換環状チオ尿素類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、上記変性剤として、下記式(V)又は式(VI)で表される複素環式ニトリル化合物が挙げられる。式(V)及び(VI)中、θは複素環基を示す。また、θが窒素原子を含む複素環基、酸素原子を含む複素環基、硫黄原子を含む複素環基、2以上のヘテロ原子を含む複素環基、及び1以上のシアノ基を含む複素環基からなる群より選ばれる少なくとも1種の複素環基であるのが好ましい。更に、チオフェン、ピリジン、フラン、ピペリジン、ジオキサン等の複素芳香環基または複素非芳香環基であってもよいし、さらに単環式、二環式、三環式、または多環式の複素環基であってもよい。
従来、ブタジエン系重合体に導入し得る変性基は−CN、−SiCl、−SiOR、C=Oのような特定の基に限られていたが、本発明では、より優れた低発熱性の実現化という観点から、さらに好適な共役系変性基を導入することができる。このような共役系変性基は、より確実にブタジエン系共重合体等を共役させることができ、カーボンブラックに対する親和性の向上に寄与することとなる。なお、式(V)又は式(VI)で表される複素環式ニトリル化合物成分は、いずれも活性末端を有する重合体と反応させることが可能な化合物である。
このようなθとして具体的には、例えば、窒素原子を含む複素環基として、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、ピラジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、N−メチル−2−ピロリル、N−メチル−3−ピロリル、N−メチル−2−イミダゾリル、N−メチル−4−イミダゾリル、N−メチル−5−イミダゾリル、N−メチル−3−ピラゾリル、N−メチル−4−ピラゾリル、N−メチル−5−ピラゾリル、N−メチル−1,2,3−トリアゾール−4−イル、N−メチル−1,2,3−トリアゾール−5−イル、N−メチル−1,2,4−トリアゾール−3−イル、N−メチル−1,2,4−トリアゾール−5−イル、1,2,4−トリアジン−3−イル、1,2,4−トリアジン−5−イル、1,2,4−トリアジン−6−イル、1,3,5−トリアジニル、N−メチル−2−ピロリン−2−イル、N−メチル−2−ピロリン−3−イル、N−メチル−2−ピロリン−4−イル、N−メチル−2−ピロリン−5−イル、N−メチル−3−ピロリン−2−イル、N−メチル−3−ピロリン−3−イル、N−メチル−2−イミダゾリン−2−イル、N−メチル−2−イミダゾリン−4−イル、N−メチル−2−イミダゾリン−5−イル、N−メチル−2−ピラゾリン−3−イル、N−メチル−2−ピラゾリン−4−イル、N−メチル−2−ピラゾリン−5−イル、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、1−イソキノリル、3−イソキノリル、4−イソキノリル、N−メチルインドール−2−イル、N−メチルインドール−3−イル、N−メチルイソインドール−1−イル、N−メチルイソインドール−3−イル、1−インドリジニル、2−インドリジニル、3−インドリジニル、1−フタラジニル、2−キナゾリニル、4−キナゾリニル、2−キノキサリニル、3−シンノリニル、4−シンノリニル、1−メチルインダゾール−3−イン、1,5−ナフチリジン−2−イル、1,5−ナフチリジン−3−イル、1,5−ナフチリジン−4−イル、1,8−ナフチリジン−2−イル、1,8−ナフチリジン−3−イル、1,8−ナフチリジン−4−イル、2−プテリジニル、4−プテリジニル、6−プテリジニル、7−プテリジニル、1−メチルベンズイミダゾール−2−イル、6−フェナンスリジニル、N−メチル−2−プリニル、N−メチル−6−プリニル、N−メチル−8−プリニル、N−メチル−β−カルボリン−1−イル、N−メチル−β−カルボリン−3−イル、N−メチル−β−カルボリン−4−イル、9−アクリジニル、1,7−フェナントロリン−2−イル、1,7−フェナントロリン−3−イル、1,7−フェナントロリン−4−イル、1,10−フェナントロリン−2−イル、1,10−フェナントロリン−3−イル、1,10−フェナントロリン−4−イル、4,7−フェナントロリン−1−イル、4,7−フェナントロリン−2−イル、4,7−フェナントロリン−3−イル、1−フェナジニル、2−フェナジニル、ピロリジノ、ピペリジノが挙げられる。
酸素原子を含む複素環基として、2−フリル、3−フリル、2−ベンゾ[b]フリル、3−ベンゾ[b]フリル、1−イソベンゾ[b]フリル、3−イソベンゾ[b]フリル、2−ナフト[2,3−b]フリル、3−ナフト[2,3−b]フリルが挙げられる。
硫黄原子を含む複素環基として、2−チエニル、3−チエニル、2−ベンゾ[b]チエニル、3−ベンゾ[b]チエニル、1−イソベンゾ[b]チエニル、3−イソベンゾ[b]チエニル、2−ナフト[2,3−b]チエニル、3−ナフト[2,3−b]チエニルが挙げられる。
2以上のヘテロ原子を含む複素環基として、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−イル、1,2,3−オキサジアゾール−5−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−イル、1,2,3−チアジアゾール−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−イル、2−オキサゾリン−2−イル、2−オキサゾリン−4−イル、2−オキサゾリン−5−イル、3−イソオキサゾリニル、4−イソオキサゾリニル、5−イソオキサゾリニル、2−チアゾリン−2−イル、2−チアゾリン−4−イル、2−チアゾリン−5−イル、3−イソチアゾリニル、4−イソチアゾリニル、5−イソチアゾリニル、2−ベンゾチアゾリル、モルホリノが挙げられる。
これらの中でも、θは窒素原子を含む複素環基であるのが好ましく、特に2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジルであるのが好ましい。
上記式(V)及び(VI)中、R29は2価の炭化水素基を示し、後述する複素環式ニトリル化合物に対応したアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基などに相当する。
このような複素環式ニトリル化合物としては、具体的には、例えば、窒素原子を含む複素環基を有する化合物として、2−ピリジンカルボニトリル、3−ピリジンカルボニトリル、4−ピリジンカルボニトリル、ピラジンカルボニトリル、2−ピリミジンカルボニトリル、4−ピリミジンカルボニトリル、5−ピリミジンカルボニトリル、3−ピリダジンカルボニトリル、4−ピリダジンカルボニトリル、N−メチル−2−ピロールカルボニトリル、N−メチル−3−ピロールカルボニトリル、N−メチル−2−イミダゾールカルボニトリル、N−メチル−4−イミダゾールカルボニトリル、N−メチル−5−イミダゾールカルボニトリル、N−メチル−3−ピラゾールカルボニトリル、N−メチル−4−ピラゾールカルボニトリル、N−メチル−5−ピラゾールカルボニトリル、N−メチル−1,2,3−トリアゾール−4−カルボニトリル、N−メチル−1,2,3−トリアゾール−5−カルボニトリル、N−メチル−1,2,4−トリアゾール−3−カルボニトリル、N−メチル−1,2,4−トリアゾール−5−カルボニトリル、1,2,4−トリアジン−3−カルボニトリル、1,2,4−トリアジン−5−カルボニトリル、1,2,4−トリアジン−6−カルボニトリル、1,3,5−トリアジンカルボニトリル、N−メチル−2−ピロリン−2−カルボニトリル、N−メチル−2−ピロリン−3−カルボニトリル、N−メチル−2−ピロリン−4−カルボニトリル、N−メチル−2−ピロリン−5−カルボニトリル、N−メチル−3−ピロリン−2−カルボニトリル、N−メチル−3−ピロリン−3−カルボニトリル、N−メチル−2−イミダゾリン−2−カルボニトリル、N−メチル−2−イミダゾリン−4−カルボニトリル、N−メチル−2−イミダゾリン−5−カルボニトリル、N−メチル−2−ピラゾリン−3−カルボニトリル、N−メチル−2−ピラゾリン−4−カルボニトリル、N−メチル−2−ピラゾリン−5−カルボニトリル、2−キノリンカルボニトリル、3−キノリンカルボニトリル、4−キノリンカルボニトリル、1−イソキノリンカルボニトリル、3−イソキノリンカルボニトリル、4−イソキノリンカルボニトリル、N−メチルインドール−2−カルボニトリル、N−メチルインドール−3−カルボニトリル、N−メチルイソインドール−1−カルボニトリル、N−メチルイソインドール−3−カルボニトリル、1−インドリジンカルボニトリル、2−インドリジンカルボニトリル、3−インドリジンカルボニトリル、1−フタラジンカルボニトリル、2−キナゾリンカルボニトリル、4−キナゾリンカルボニトリル、2−キノキサリンカルボニトリル、3−シンノリンカルボニトリル、4−シンノリンカルボニトリル、1−メチルインダゾール−3−カルボニトリル、1,5−ナフチリジン−2−カルボニトリル、1,5−ナフチリジン−3−カルボニトリル、1,5−ナフチリジン−4−カルボニトリル、1,8−ナフチリジン−2−カルボニトリル、1,8−ナフチリジン−3−カルボニトリル、1,8−ナフチリジン−4−カルボニトリル、2−プテリジンカルボニトリル、4−プテリジンカルボニトリル、6−プテリジンカルボニトリル、7−プテリジンカルボニトリル、1−メチルベンズイミダゾール−2−カルボニトリル、フェナントリジン−6−カルボニトリル、N−メチル−2−プリンカルボニトリル、N−メチル−6−プリンカルボニトリル、N−メチル−8−プリンカルボニトリル、N−メチル−β−カルボリン−1−カルボニトリル、N−メチル−β−カルボリン−3−カルボニトリル、N−メチル−β−カルボリン−4−カルボニトリル、9−アクリジンカルボニトリル、1,7−フェナントロリン−2−カルボニトリル、1,7−フェナントロリン−3−カルボニトリル、1,7−フェナントロリン−4−カルボニトリル、1,10−フェナントロリン−2−カルボニトリル、1,10−フェナントロリン−3−カルボニトリル、1,10−フェナントロリン−4−カルボニトリル、4,7−フェナントロリン−1−カルボニトリル、4,7−フェナントロリン−2−カルボニトリル、4,7−フェナントロリン−3−カルボニトリル、1−フェナジンカルボニトリル、2−フェナジンカルボニトリル、1−ピロリジンカルボニトリル、1−ピペリジンカルボニトリルが挙げられる。
酸素原子を含む複素環基を有する化合物としては、2−フロニトリル、3−フロニトリル、2−ベンゾ[b]フランカルボニトリル、3−ベンゾ[b]フランカルボニトリル、イソベンゾ[b]フラン−1−カルボニトリル、イソベンゾ[b]フラン−3−カルボニトリル、ナフト[2,3−b]フラン−2−カルボニトリル、ナフト[2,3−b]フラン−3−カルボニトリルが挙げられる。
硫黄原子を含む複素環基を有する化合物として、2−チオフェンカルボニトリル、3−チオフェンカルボニトリル、ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボニトリル、ベンゾ[b]チオフェン−3−カルボニトリル、イソベンゾ[b]チオフェン−1−カルボニトリル、イソベンゾ[b]チオフェン−3−カルボニトリル、ナフト[2,3−b]チオフェン−2−カルボニトリル、ナフト[2,3−b]チオフェン−3−カルボニトリルが挙げられる。
2以上のヘテロ原子を含む複素環基を有する化合物として、2−オキサゾールカルボニトリル、4−オキサゾールカルボニトリル、5−オキサゾールカルボニトリル、3−イソオキサゾールカルボニトリル、4−イソオキサゾールカルボニトリル、5−イソオキサゾールカルボニトリル、2−チアゾールカルボニトリル、4−チアゾールカルボニトリル、5−チアゾールカルボニトリル、3−イソチアゾールカルボニトリル、4−イソチアゾールカルボニトリル、5−イソチアゾールカルボニトリル、1,2,3−オキサゾール−4−カルボニトリル、1,2,3−オキサゾール−5−カルボニトリル、1,3,4−オキサゾール−2−カルボニトリル、1,2,3−チアゾール−4−カルボニトリル、1,2,3−チアゾール−5−カルボニトリル、1,3,4−チアゾール−2−カルボニトリル、2−オキサゾリン−2−カルボニトリル、2−オキサゾリン−4−カルボニトリル、2−オキサゾリン−5−カルボニトリル、3−イソオキサゾリンカルボニトリル、4−イソオキサゾリンカルボニトリル、5−イソオキサゾリンカルボニトリル、2−チアゾリン−2−カルボニトリル、2−チアゾリン−4−カルボニトリル、2−チアゾリン−5−カルボニトリル、3−イソチアゾリンカルボニトリル、4−イソチアゾリンカルボニトリル、5−イソチアゾリンカルボニトリル、ベンゾチアゾール−2−カルボニトリル、4−モルホリンカルボニトリルが挙げられる。
2以上のシアノ基を有する化合物として、2,3−ピリジンジカルボニトリル、2,4−ピリジンジカルボニトリル、2,5−ピリジンジカルボニトリル、2,6−ピリジンジカルボニトリル、3,4−ピリジンジカルボニトリル、2,4−ピリミジンジカルボニトリル、2,5−ピリミジンジカルボニトリル、4,5−ピリミジンジカルボニトリル、4,6−ピリミジンジカルボニトリル、2,3−ピラジンジカルボニトリル、2,5−ピラジンジカルボニトリル、2,6−ピラジンジカルボニトリル、2,3−フランジカルボニトリル、2,4−フランジカルボニトリル、2,5−フランジカルボニトリル、2,3−チオフェンジカルボニトリル、2,4−チオフェンジカルボニトリル、2,5−チオフェンジカルボニトリル、N−メチル−2,3−ピロールジカルボニトリル、N−メチル−2,4−ピロールジカルボニトリル、N−メチル−2,5−ピロールジカルボニトリル、1,3,5−トリアジン−2,4−ジカルボニトリル、1,2,4−トリアジン−3,5−ジカルボニトリル、3,2,4−トリアジン−3,6−ジカルボニトリル、2,3,4−ピリジントリカルボニトリル、2,3,5−ピリジントリカルボニトリル、2,3,6−ピリジントリカルボニトリル、2,4,5−ピリジントリカルボニトリル、2,4,6−ピリジントリカルボニトリル、3,4,5−ピリジントリカルボニトリル、2,4,5−ピリミジントリカルボニトリル、2,4,6−ピリミジントリカルボニトリル、4,5,6−ピリミジントリカルボニトリル、ピラジントリカルボニトリル、2,3,4−フラントリカルボニトリル、2,3,5−フラントリカルボニトリル、2,3,4−チオフェントリカルボニトリル、2,3,5−チオフェントリカルボニトリル、N−メチル−2,3,4−ピロールトリカルボニトリル、N−メチル−2,3,5−ピロールトリカルボニトリル、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリカルボニトリル、1,2,4−トリアジン−3,5,6−トリカルボニトリルが挙げられる。
これらの中でも、2−シアノピリジン(2−ピリジンカルボニトリル)、3−シアノピリジン(3−ピリジンカルボニトリル)、4−シアノピリジン(4−ピリジンカルボニトリル)が好適なものとして挙げられる。
更に、上記変性剤として、活性重合体に対して反応性を示す部位P1と、充填剤に対して反応性を示す部位P2とを有する化合物(但し、部位P1と部位P2は、同一でも異なっていてもよく、変性反応における活性プロトンを含まない)又は該化合物の前駆体が挙げられる。ここで、上記部位P1は、活性重合体の鎖末端に対して反応性を示すことができる。具体例としては、ジクロロナフトキノン等が挙げられる。なお、上記化合物又は該化合物の前駆体は、活性末端を有する重合体と直接反応させるか、又は後述する二段変性法を用いて重合体に導入することができる。
活性重合体を変性剤で変性させるには、例えば、二段変性法を用いてもよい。二次変性法とは、(1)活性重合体に一次変性剤を反応させて一次変性重合体を得る工程(一次変性反応)と、(2)該一次変性重合体に二次変性剤を反応させて二次変性重合体を得る工程(二次変性反応)とを含む方法である。この二段変性法を使用すれば、無機充填剤、カーボンブラック等の充填剤に対する親和性が非常に高く、反応効率が低くても効果的に充填剤を分散させることが可能な第一級アミノ基を、変性共役ジエン系重合体(A)に導入することができる。
上記一次変性剤は、活性重合体に対して反応性を示す官能基Aと、少なくとも一つの反応性官能基Bとを有する化合物である。ここで、官能基A及び官能基Bは、同一でも異なっていてもよく、例えば、ケテン基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、カルボジイミド基等が挙げられる。具体例としては、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、キシリレンジイソシアネート、3,3'-ジメチル-4,4'-ビフェニルジイソシアネート、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ビフェニルジイソシアネート、3,3'-ジメチル-4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ビス(2-イソシアネートエチル)フマラート、2,4-トリレンジチオイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジチオイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジチオイソシアネート等が好適に挙げられる。なお、一次変性剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一次変性剤の使用量は、単量体100gに対して、0.02mmol〜20mmolであることが好ましい。この一次変性反応は、溶液反応で行うことが好ましい。この溶液反応は、例えば、共役ジエン系重合体を重合する際に使用した未反応モノマーを含んだ溶液でもよい。また、一次変性反応の形式については特に制限はなく、バッチ式反応器を用いて行ってもよく、多段連続式反応器やインラインミキサ等の装置を用いて連続式で行ってもよい。また、この一次変性反応は、重合反応終了後、脱溶媒処理、水処理、熱処理、重合体単離に必要な諸操作などを行う前に実施することが肝要である。一次変性反応の温度は、共役ジエン系重合体の重合温度をそのまま用いることができる。具体的には、0℃〜120℃が好ましく、10℃〜100℃が更に好ましい。また、一次変性反応に要する時間は、例えば、5分〜5時間が好ましく、15分〜1時間が更に好ましい。
一次変性反応は、活性重合体と一次変性剤の官能基Aを反応させて一次変性共役ジエン系重合体を得るものであるが、後述する二次変性反応(工程(2))において、二次変性剤と更に反応させるため、一次変性剤の官能基Bの少なくとも一つは、未反応の状態で残存させておく必要がある。
上記二次変性剤は、一次変性剤由来の反応性官能基Bに対して反応性を示す官能基Cと、少なくとも一つの第一級アミノ基又は保護された第一級アミノ基とを有する化合物である。ここで、官能基Cとしては、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、水酸基等が挙げられる。なお、官能基Cは、第一級アミノ基でもよいし、保護された第一級アミノ基であってもよい。具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、1,5-ナフタレンジアミン、1,8-ナフタレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチルジシラザン、N-クロロヘキサメチルジシラザン、N-ブロモヘキサメチルジシラザン、1-(3-ブロモプロピル)-2,2,5,5-テトラメチル-1-アザ-2,5-ジシアシクロペンタン、1-(3-クロロプロピル)-2,2,5,5-テトラメチル-1-アザ-2,5-ジシアシクロペンタン等が好適に挙げられる。なお、二次変性剤は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
この二次変性反応は、上記した一次変性反応と連続して行うことができ、一次変性反応と同様に溶液反応で行うことが好ましい。この溶液反応は、例えば、共役ジエン系重合体を重合する際に使用した未反応モノマーを含んだ溶液でもよい。また、二次変性反応の形式についても特に制限はなく、一次変性反応と同様に、バッチ式反応器を用いて行ってもよく、多段連続式反応器やインラインミキサ等の装置を用いて連続式で行ってもよい。また、この二次変性反応は、重合反応終了後、脱溶媒処理、水処理、熱処理、重合体単離に必要な諸操作などを行う前に実施することが肝要である。二次変性剤の使用量は、単量体100gに対して、0.02mmol〜20mmolであることが好ましい。二次変性反応の温度は、一次変性反応の温度をそのまま用いることができる。具体的には、0℃〜120℃が好ましく、10℃〜100℃が更に好ましい。また、二次変性反応に要する時間は、例えば、5分〜5時間が好ましく、15分〜1時間が更に好ましい。
次に、本発明において、活性重合体の重合に用いる触媒系について説明する。具体的には、例えば、(i)成分:周期律表の原子番号57〜71のランタン系列希土類元素含有化合物、又は該ランタン系列希土類元素含有物とルイス塩基との反応物、(ii)成分:AlR26R27R28[式中、R26及びR27は、同一でも異なってもよいが、炭素数1〜10の炭化水素基又は水素原子で、R28は炭素数1〜10の炭化水素基であり、但し、R28はR26又はR27と同一でも異なってもよい]で表される有機アルミニウム化合物、並びに(iii)成分:ルイス酸、金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物及び活性ハロゲンを含む有機化合物、の少なくとも一種からなる触媒系により共役ジエン系化合物を重合することで、活性重合体、好ましくは末端活性重合体が得られる。また、本発明においては、上記触媒系が、少なくとも上記ランタン系列希土類元素含有化合物を含むことが好ましい。更に、上記触媒系には、(i)〜(iii)成分の他に、更に(iv)成分として、有機アルミニウムオキシ化合物、所謂アルミノキサンを添加するのが好ましい。
ここで、単量体としての共役ジエン系化合物としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ヘキサジエン、ミルセン、スチレン、p-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
上記(i)成分においては、周期律表の原子番号57〜71の希土類元素の中でも、ネオジム、プラセオジウム、セリウム、ランタン、ガドリニウム又はこれらの混合物が好ましく、ネオジムが特に好ましい。また、上記ランタン系列希土類元素含有化合物としては、炭化水素溶媒に可溶な塩が好ましく、具体的には、上記希土類元素のカルボン酸塩、アルコキサイド、β−ジケトン錯体、リン酸塩及び亜リン酸塩が挙げられ、これらの中でも、カルボン酸塩及びリン酸塩が好ましく、カルボン酸塩が特に好ましい。従って、上記ランタン系列希土類元素含有化合物の中でも、ネオジムのリン酸塩及びネオジムのカルボン酸塩が好ましく、ネオジムの2−エチルヘキサン酸塩、ネオジムのネオデカン酸塩、ネオジムのバーサチック酸塩等のネオジムの分岐カルボン酸塩が更に好ましい。
また、上記(i)成分は、上記ランタン系列希土類元素含有化合物とルイス塩基との反応物でもよい。ここで、ルイス塩基としては、アセチルアセトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、N,N-ジメチルホルムアミド、チオフェン、ジフェニルエーテル、トリエチルアミン、有機リン化合物、1価又は2価のアルコール等が挙げられる。
上記(ii)成分として、具体的には、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、水素化ジエチルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム等が好適に挙げられる。
上記(iii)成分のルイス酸として、具体的には、塩化ジエチルアルミニウム、セスキ塩化エチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、臭化ジエチルアルミニウム、セスキ臭化エチルアルミニウム、二臭化エチルアルミニウム等が好適に挙げられる。また、上記(iii)成分の金属ハロゲン化物とルイス塩基との錯化合物を構成する金属ハロゲン化物としては、塩化マグネシウム、塩化マンガン、塩化亜鉛、塩化銅等が好ましく、ルイス塩基としては、リン酸トリ-2-エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、アセチルアセトン、2-エチルヘキサン酸、バーサチック酸、2-エチルヘキシルアルコール、1-デカノール、ラウリルアルコールが好ましい。更に、上記(iii)成分の活性ハロゲンを含む有機化合物としては、ベンジルクロライド等が好適に挙げられる
上記(iv)成分としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、プロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、クロロアルミノキサン等が挙げられる。
なお、上記(i)〜(iv)成分は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、本発明で使用する触媒系の各成分の量又は組成比は、その目的又は必要性に応じて適宜選択される。
本発明のゴム組成物は、低分子量共役ジエン化合物重合体(B)の配合量が、上記ゴム成分100質量部に対して5〜100質量部であるのが好ましく、10〜70質量部であるのが更に好ましい。上記低分子量共役ジエン化合物重合体(B)の配合量がゴム成分100質量部に対して5質量部未満では、貯蔵弾性率(G')を十分に高めることができない場合があり、一方、100質量部を超えると、充填剤の分散性が低下することがある。
上記低分子量共役ジエン化合物重合体(B)は、重量平均分子量(Mw)が5,000〜150,000であることを要し、10,000〜150,000であることが好ましく、30,000〜100,000であることが更に好ましく、50,000〜100,000であることが一層好ましい。該重量平均分子量(Mw)が5,000未満では、貯蔵弾性率(G')を十分に高めることができず、一方、150,000を超えると、ゴム組成物の作業性が低下する。
上記低分子量共役ジエン化合物重合体(B)は、シス-1,4結合量が80.0%以上であるのが好ましく、85%以上であるのが更に好ましい。該シス-1,4結合量が80.0%以上であれば、低ロス性能及び耐亀裂成長性の向上効果を高めることができる。
上記低分子量共役ジエン化合物重合体(B)は、一種又は複数種の共役ジエン化合物を重合して得られる。ここで、上記重合体(B)の重合方法としては、特に限定されるものではないが、重合体(B)のシス-1,4結合量を80%以上にするには、上述した触媒系を用いる配位重合が好適に挙げられる。なお、共役ジエン化合物としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチルブタジエン、2-フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ヘキサジエン、ミルセン等が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、上記ゴム成分100質量部に対し、更に充填剤を10〜100質量部含有するのが好ましい。該充填剤の含有量がゴム成分100質量部に対して10質量部未満では、ゴム組成物の破壊特性が低下することがあり、一方、100質量部を超えると、ゴム組成物の低発熱性が悪化するおそれがある。
上記充填剤としては、カーボンブラック及び無機充填剤が好ましい。上記カーボンブラックは、特に制限されないが、窒素吸着比表面積が20〜180m2/gの範囲であることが好ましく、20〜100m2/gの範囲であることが更に好ましい。窒素吸着比表面積が20〜180m2/gの範囲にあるカーボンブラックは、粒子径が大きく、低発熱性の向上効果が非常に高い。かかるカーボンブラックとして、具体的には、HAF以下のグレードのものが好ましく、例えば、HAF,FF,FEF,GPF,SRF,FTグレードのものが挙げられるが、破壊特性の観点から、HAF,FEF,GPFグレードのものが特に好ましい。一方、上記無機充填剤としては、例えば、シリカ、タルク、水酸化アルミニウム等が挙げられる。なお、これら充填剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
本発明のゴム組成物には、例えば、変性共役ジエン系重合体(A)を含むゴム成分に、低分子量共役ジエン化合物重合体(B)、充填剤の他、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、軟化剤、シランカップリング剤、ステアリン酸、老化防止剤、亜鉛華、加硫促進剤、加硫剤等を目的に応じて適宜配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。なお、上記ゴム組成物は、変性共役ジエン系重合体(A)を含むゴム成分に、低分子量共役ジエン化合物重合体(B)と共に、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
また、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物を、好ましくはトレッド部に用いたことを特徴とし、操縦安定性、低転がり抵抗及び破壊特性(耐亀裂成長性)に優れる。なお、本発明のタイヤは、上述のゴム組成物を用いる以外特に制限は無く、常法に従って製造することができる。また、該タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<未変性BR(重合体A-1)の製造例>
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン2.4kg、1,3-ブタジエン300gを仕込んだ。該オートクレーブに、触媒成分としてのバーサチック酸ネオジム(0.09mmol)のシクロヘキサン溶液、メチルアルモキサン(以下「MAO」ともいう)(3.6mmol)のトルエン溶液、水素化ジイソブチルアルミニウム(以下「DIBAH」ともいう)(5.5mmol)及びジエチルアルミニウムクロリド(0.18mmol)のトルエン溶液と、1,3-ブタジエン(4.5mmol)とを40℃で30分間反応熟成させて、予備調製した触媒組成物を仕込み、60℃で60分間重合を行った。1,3-ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。この重合体溶液200gを、2,4-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール0.2gを含むメタノール溶液に抜き取り、重合停止させた後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、変性前の重合体A-1(共役ジエン系重合体)を得た。このようにして得た重合体A-1について、下記の方法で測定したところ、数平均分子量(Mn)は230×103であり、重量平均分子量(Mw)は440×103であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であり、シス-1,4結合量(Cis)は98.5%であり、ビニル結合量(Vi)は0.75%であった。
(1)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(商品名「HLC−8220GPC」,東ソー社製)を使用し、検知器として、示差屈折計を用いて、以下の条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として算出した。
カラム;商品名「GMHXL」(東ソー社製) 2本
カラム温度;40℃
移動相;テトラヒドロフラン
流速;1.0ml/min
サンプル濃度;10mg/20ml
(2)ミクロ構造[シス-1,4結合量(Cis)(%)及び1,2-ビニル結合量(Vi)(%)]
同一セルの二硫化炭素をブランクとして、5mg/mLの濃度に調製したポリブタジエンの二硫化炭素溶液のFT−IRによる透過率スペクトルを測定し、下記行列式:
[式中、aは、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)による透過率スペクトルの1130cm
-1付近の山ピーク値であり、bは、967cm
-1付近の谷ピーク値であり、cは、911cm
-1付近の谷ピーク値であり、dは、736cm
-1付近の谷ピーク値である]から導かれるe、f、gの値を用い、下記式(I')及び式(II'):
(シス-1,4結合量)=e/(e+f+g)×100 ・・・ (I')
(ビニル結合量)=g/(e+f+g)×100 ・・・ (II')
に従ってシス-1,4結合量及びビニル結合量を求めた。
<未変性BR(重合体A-2)の製造例>
窒素置換された5Lオートクレーブに、窒素雰囲気下、シクロヘキサン1.4kg、1,3-ブタジエン250g及び2,2-ジテトラヒドロフリルプロパン0.0285mmolをシクロヘキサン溶液として注入し、これにn-ブチルリチウム(BuLi)2.85mmolを加えた後、攪拌装置を備えた50℃の温水浴中で4.5時間重合を行った。1,3-ブタジエンの反応転化率は、ほぼ100%であった。その後、重合反応系に、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)1.3gを加えて、重合反応を停止させ、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥させて重合体A-2を得た。このようにして得た重合体A-2について、上記の方法で測定したところ、数平均分子量(Mn)は230×103であり、重量平均分子量(Mw)は250×103であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.1であり、シス-1,4結合量(Cis)は30%であり、ビニル結合量(Vi)は20%であった。
<変性BR(重合体A-3)の製造例>
上記重合体A-1の製造例と同様に重合を行った後、更に重合体溶液を温度60℃に保ち、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(商品名「PAPI*135」,ダウ・ケミカル日本社製)(以下「cMDI」ともいう)(イソシアネート基(NCO)換算で4.16mmol)のトルエン溶液を添加し、15分間反応(一次変性反応)させた。続いて、ヘキサメチレンジアミン(以下「HMDA」ともいう)(2.08mmol)のトルエン溶液を添加し、15分間反応(二次変性反応)させた。その後、2,4-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール1.3gを含むメタノール溶液に抜き取り、重合停止させた後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、重合体A-3(変性共役ジエン系重合体)を得た。このようにして得た重合体A-3について、上記の方法で測定したところ、数平均分子量(Mn)は230×103であり、重量平均分子量(Mw)は470×103であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であり、シス-1,4結合量(Cis)は98.5%であり、ビニル結合量(Vi)は0.72%であり、変性率は18%であった。
<変性BR(重合体A-4)の製造例>
上記重合体A-1の製造例と同様に重合を行った後に脱溶媒を行う前の溶液と、上記重合体A-3の製造例と同様に重合を行った後に脱溶媒を行う前の溶液とを、重量比が1.0:1.0となるように混合し、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、重合体A-4(即ち、重合体A-1及びA-3のブレンド)を得た。なお、このようにして得た重合体A-4について、上記の方法で測定したところ、変性率は10%であった。
<変性BR(重合体A-5)の製造例>
上記重合体A-1の製造例と同様に重合を行った後、更に重合体溶液を温度60℃に保ち、トリメチロールプロパントリス[(3-(1-アジリジニル))プロピオナート](2.08mmol)のトルエン溶液を添加し、15分間反応させた。その後、2,4-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール1.3gを含むメタノール溶液に抜き取り、重合停止させた後、スチームストリッピングにより脱溶媒し、110℃のロールで乾燥して、重合体A-5を得た。このようにして得た重合体A-5について、上記の方法で測定したところ、数平均分子量(Mn)は230×103であり、重量平均分子量(Mw)は490×103であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.2であり、シス-1,4結合量(Cis)は98.5%であり、ビニル結合量(Vi)は0.73%であり、変性率は18%であった。
<変性BR(重合体A-6)の製造例>
変性剤を1-ブチルアジリジン(Azl)に代えた以外は、上記重合体A-5と同様にして重合体A-6を得た。このようにして得た重合体A-6について、上記の方法で測定したところ、数平均分子量(Mn)は230×103であり、重量平均分子量(Mw)は440×103であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であり、シス-1,4結合量(Cis)は98.5%であり、ビニル結合量(Vi)は0.76%であり、変性率は18%であった。
<変性BR(重合体A-7)の製造例>
変性剤をジクロロナフトキノン(DCNQ)に代えた以外は、上記重合体A-5と同様にして重合体A-7を得た。このようにして得た重合体A-7について、上記の方法で測定したところ、数平均分子量(Mn)は230×103であり、重量平均分子量(Mw)は450×103であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.9であり、シス-1,4結合量(Cis)は98.5%であり、ビニル結合量(Vi)は0.74%であり、変性率は18%であった。
<変性BR(重合体A-8)の製造例>
変性剤をジオクチルスズビスオクチマレート(DOTBOM)に代えた以外は、上記重合体A-5と同様にして重合体A-8を得た。このようにして得た重合体A-8について、上記の方法で測定したところ、数平均分子量(Mn)は230×103であり、重量平均分子量(Mw)は470×103であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であり、シス-1,4結合量(Cis)は98.5%であり、ビニル結合量(Vi)は0.75%であり、変性率は18%であった。
<低分子量BR(重合体B-1)の製造例>
触媒成分としてのバーサチック酸ネオジムの含有量が0.20mmol、MAOの含有量が10.3mmol、DIBAHの含有量が13.3mmol及びジエチルアルミニウムクロリドの含有量が0.35mmolとなるように、触媒組成物の使用量を変えた以外は、上記重合体A-1と同様にして重合体B-1を得た。結果を表1〜2に示す。
<低分子量BR(重合体B-2〜B-7)の製造例>
1,3-ブタジエンや触媒成分等の使用量を適宜調整した以外は、上記重合体B-1と同様にして重合体B-2〜B-7を得た。結果を表1〜2に示す。
<低分子量BR(重合体B-8〜B-9)の製造例>
乾燥し、窒素置換された800mLの耐圧ガラス容器に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(16%)をブタジエン単量体50gとなるように注入し、2,2-ジテトラヒドロフリルプロパン(使用量は重合体B-8が0.40mmolで、重合体B-9が0.66mmolである)を注入し、これにn-ブチルリチウム(BuLi)1.32mmolを加えた後、50℃の温水浴中で1.5時間重合を行った。単量体の反応転化率は、ほぼ100%であった。その後、重合反応系に、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して重合体B-8〜B-9を得た。結果を表1〜2に示す。
<低分子量SBR(重合体B-10)の製造例>
乾燥し、窒素置換された800mLの耐圧ガラス容器に、ブタジエンのシクロヘキサン溶液(16%)及びスチレンのシクロヘキサン溶液(21%)を、ブタジエン単量体40g及びスチレン単量体10gとなるように注入し、2,2-ジテトラヒドロフリルプロパン0.66mmolを注入し、これにn-ブチルリチウム(BuLi)1.32mmolを加えた後、50℃の温水浴中で1.5時間重合を行った。単量体の反応転化率は、ほぼ100%であった。その後、重合反応系に、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5mLを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して重合体B-10を得た。結果を表1〜2に示す。
次に、表3に示す配合処方のゴム組成物を調製し、160℃で15分間加硫して得た加硫ゴムに対し、耐亀裂成長性、貯蔵弾性率及び低ロス性能を下記の方法により測定した。結果を表1〜2に示す。
(3)耐亀裂成長性
JIS 3号試験片中心部に0.5mmの亀裂を入れ、室温で50〜100%の歪みで繰り返し疲労を与え、サンプルが切断するまでの回数を測定した。各歪みでの値を求め、その平均値を用いた。比較例1を100として指数表示した。指数値が大きい程、耐亀裂成長性が良好であることを示す。
(4)貯蔵弾性率(G')
レオメトリックス社製の粘弾性測定装置を用いて、温度50℃、周波数15Hz、歪3%で貯蔵弾性率(G')を測定し、比較例1の貯蔵弾性率(G')を100として指数表示した。指数値が大きい程、貯蔵弾性率が高いことを示す。
(5)低ロス性能
動的スペクトロメーター(米国レオメトリックス社製)を使用し、引張動歪3%、周波数15Hz、50℃の条件で測定した。比較例1を100として指数表示した。指数値が小さい程、低ロス性能に優れることを示す。
*1 重合体A-1〜A-8,使用した重合体Aの種類を表1〜2に示す.
*2 重合体B-1〜B-10,使用した重合体Bの種類を表1〜2に示す.
*3 東海カーボン(株)製,シーストSO(FEF),窒素吸着比表面積=42m2/g.
*4 富士興産(株)製,フッコールAROMA#3.
*5 大内新興化学工業(株)製,「ノクラック224」.
*6 ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド.
*7 N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド.
表1〜2の結果から、実施例及び参考例のゴム組成物は、比較例のゴム組成物と比べて、耐亀裂成長性、貯蔵弾性率及び低ロス性能が高度にバランスされていることが分かる。また、実施例7並びに比較例5及び6の比較から、低分子量共役ジエン化合物重合体(B)の重量平均分子量(Mw)が5,000〜150,000の範囲内にあれば、低ロス性能を改善しながら、耐亀裂成長性及び貯蔵弾性率をも向上できることが分かる。更に、実施例及び比較例7の結果から、重合体Bの調製の際に単量体としてスチレンを用いると、低ロス性能が大幅に低下し、重合体Aと重合体Bの相溶性が著しく悪化していることは明白である。