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JP5419364B2 - 射出成形システム、射出成形方法 - Google Patents

射出成形システム、射出成形方法 Download PDF

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Description

本発明は、加熱媒体として水や蒸気を用いて金型を加熱して射出成形を行う射出成形システム、射出成形方法に関する。
射出成形機の射出充填工程において、金型の温度が低い状態にあると金型のキャビティ内に充填された溶融樹脂の表面が急速に固化する。この場合、成形品に対する金型のキャビティ面の転写が不十分となり、また、成形品表面に、ウエルドライン、シルバーと呼ばれる欠陥が生じることがある。
この欠陥を防止するために、射出充填、保圧、冷却、型開閉といった一連の工程において、金型の媒体通路に、型開き後から樹脂の充填完了までの間に加熱媒体を供給して金型を加熱し、樹脂の充填完了後から型開きまでの間に冷却媒体を供給して金型を冷却する成形方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。これにより、予め樹脂の熱変形温度以上の温度まで加熱した金型に溶融樹脂を充填して樹脂表面の固化を遅らせ、樹脂の充填後、金型を樹脂のガラス転移温度、又は、熱変形温度以下まで冷却してから型開きを行うことができ、上記のような欠陥の発生を抑えることができる。
一般に射出成形において熱媒体を用いて積極的に温度コントロールを行う場合、成形サイクルの短縮化のため、その温度上昇・低下は速く行うことが求められている。ところが、金型材に用いられる金属は通常炭素鋼のため比熱が大きく、かつ金型の内部の成形面は、金型に加熱媒体が接触する部分から離れているため、金型に加熱媒体が接触する部分と成形面とでは、熱伝搬に時間が掛かり、温度変化に時間的な遅れが生じる。例えば、成形面近傍の温度が設定温度に到達したことをセンサで検出し、加熱媒体による加熱を直ちに停止したとしても、金型に加熱媒体が接触する部分に既に伝搬した加熱媒体の熱と射出時の溶融樹脂からの熱供給により、成形面近傍の温度はさらに上昇してしまう(これをオーバーシュートと称する)。そして、加熱媒体と溶融樹脂から与えられた熱に見合った温度まで上昇した後、温度が下降し始める。これは、加熱媒体が水蒸気である場合により顕著である。
また水蒸気は微妙な温度制御が容易でないことから一般には目標温度に対し過剰な高温の過熱蒸気が用いられている。このため、金型温度が目標温度に到達した時点においては、既に余剰な熱量を水蒸気から金型に供給してしまっている。更に射出時の溶融樹脂からの熱供給によって金型の温度は上昇することからも、温度コントロールを正確に行うことが困難となっている。
そこで、特許文献1の技術においては、金型の温度が、樹脂充填開始温度値からオーバーシュートを見込んだ温度補正値分だけ低い温度に上昇した時点で、加熱媒体の供給を停止することを行っており、これによってオーバーシュートを抑制している。
特開2005−329577号公報
しかしながら、上記のオーバーシュートの度合いは、金型によって異なる。また、加熱媒体の温度は、様々な条件に応じて変動する。例えば、装置の起動時(立ち上がり時)においては、金型の温度が冷えており、その後、成形サイクルを繰り返すことで金型の温度が上昇して安定する。加熱媒体は循環して用いられるため、ヒータで同じように加熱していても、この金型の温度変動によって、加熱媒体の温度は変動する。
また、金型によって、言い換えれば成形する製品によって、成形サイクルタイムも異なることがある。成形サイクルタイムが短くなればなるほど、加熱媒体を十分に加熱するのは困難になる。加熱媒体が十分な熱量を持っていなければ、金型の加熱により、加熱媒体の温度は大きく低下し、変動は大きくなる。
この他、トラブル等により装置の動作が停止した場合、停止中にも加熱媒体は加熱されるため、停止後に装置を作動させると、加熱媒体は十分に加熱されている。しかし、装置が安定動作している間は、加熱媒体の加熱時間が短くなるため、装置が停止して加熱媒体が加熱された後に装置を作動させた場合に比較すると加熱媒体温度は低くなる。
また、加熱媒体が蒸気である場合、蒸気は装置専用に供給されるのではなく、工場内の他の装置、設備等との共用として供給される場合がある。この場合、他の装置での蒸気の使用状況などによって、成形装置に供給される蒸気の温度も変動する。
このように、供給される加熱媒体の温度はさまざまに変動するため、これに伴ってサイクル毎にオーバーシュートの度合いも変わり得る。
また、加熱媒体に蒸気を用いた場合、金型を冷却するときには、冷水等の冷却媒体を送りこんで金型から蒸気を追い出して、金型を冷却する。このとき、金型の加熱から冷却に切り替える際に、金型よりも上流側に残存している蒸気が冷却媒体によって金型内に押し込まれるため、金型の温度が一時的に上昇してしまう。これもオーバーシュートにつながる。
したがって、特許文献1に示される技術のように、金型の温度が樹脂充填開始温度値から、オーバーシュートを見込んだ温度補正値分だけ低い温度に上昇した時点で、加熱媒体の供給を一律に停止したのでは、オーバーシュートを確実に抑止することができない。
オーバーシュートが生じると、成形に要するサイクルタイムが長くなり、生産効率の低下を招くとともに、過度の加熱によって、得られる成形品にバリやヒケ等の不良が発生し、品質低下にも繋がる。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、加熱時における金型温度のオーバーシュートを確実に防ぐことのできる射出成形システム、射出成形方法を提供することを目的とする。
かかる目的のもとになされた本発明は、金型を開閉する型締装置、および金型のキャビティに成形材料を射出する射出装置を備えた射出成形機と、キャビティを加熱するため金型に形成された熱媒体通路に加熱媒体を供給する加熱媒体供給装置と、キャビティを冷却するため熱媒体通路に冷却媒体を供給する冷却媒体供給装置と、加熱媒体供給装置、冷却媒体供給装置における加熱媒体、冷却媒体の供給タイミングを制御する加熱・冷却タイミング制御装置と、を備え、加熱・冷却タイミング制御装置では、予め加熱媒体により金型を加熱したときの時間に対する、加熱を開始して以降、実際に金型温度が上昇し始めるまでの加熱遅れ時間を含む、金型の昇温度合いを計測して、その計測結果に基づき、金型の昇温度合いを示す係数を算出する第1ステップ、加熱遅れ時間の計測値を補正して補正加熱遅れ時間を算出する第2ステップと、係数と加熱遅れ時間の計測値とに基づいて、加熱媒体により加熱したときの金型の温度変化予想曲線を生成する第3ステップと、温度変化予想曲線に基づいて金型温度が目標温度に到達する時間から補正加熱遅れ時間分だけ差し引いた時間に到達したときに、加熱媒体の供給を停止する第4ステップと、を実行することを特徴とする。
ここで、金型の昇温度合いを示す係数は、微小時間における金型の温度変化量と、加熱媒体の温度または圧力と、金型の温度とに基づいて求めることができる。なお、加熱媒体が熱水の場合は熱水の温度を用い、蒸気の場合は温度もしくは圧力を用いる。蒸気において圧力を用いる際には、蒸気圧線図から温度に換算し制御に用いる。このように、予め実測した金型を加熱したときの昇温度合いに基づき、金型の温度変化予想曲線を生成し、この温度変化予想曲線に基づいて加熱媒体の供給を停止することで、精度良い温度コントロールを行える。
上記のように、温度変化予想曲線に基づいて加熱媒体の供給を停止するステップにて、温度変化予想曲線上で金型温度が目標温度に到達する時間から補正加熱遅れ時間分だけ差し引いた時間に到達したときに、加熱媒体の供給を停止する
また、金型の昇温度合いを示す係数は、予め加熱媒体により金型を加熱したときの時間に対する金型の昇温度合いを示す線図の傾きとすることができる。
本発明の射出成形システムでは、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、および第4ステップは、射出成形のサイクル毎に行われ、第3ステップでは、直前のサイクルで得られた係数および加熱遅れ時間の計測値に基づいて、温度変化予想曲線を生成するのが好ましい。
また、温度変化予想曲線に基づいて加熱媒体の供給を停止して射出成形を行うときに、時間に対する金型の昇温度合いを計測して、係数と加熱遅れ時間の計測値とを更新するステップをさらに備え、2サイクル目以降の成形サイクルにおいては、温度変化予想曲線を生成するステップにて、直前の成形サイクルで更新した係数と加熱遅れ時間の計測値とから、加熱媒体により加熱したときの温度変化予想曲線を生成することもできる。
以上のように、射出成形中にも金型の昇温度合いを計測し、温度変化予想曲線を順次更新していくことで、より精度の良い制御が行える。
また、係数、加熱遅れ時間の計測値、金型の昇温度合いを示す曲線、金型の温度変化予想曲線の少なくとも一つを表示する表示部をさらに備えれば、射出成形システムのオペレータがこれらのパラメータを知ることができ、極端な変化が生じた場合などには異常の発生を認識するきっかけとすることができる。
加熱媒体として蒸気を用いる場合、冷却媒体供給装置で冷却媒体を供給するに先立ち、熱媒体通路内の加熱媒体を押し出してパージするための空気を熱媒体通路に供給する空気供給装置をさらに備えることもできる。これにより、熱媒体通路内に残存していた蒸気を空気で押し出すことができ、残存していた蒸気によって金型が余計に加熱されるのを防ぐ。
本発明は、射出成形機に取り付けた金型に形成された熱媒体通路に加熱媒体を供給することで金型を加熱するとともに、熱媒体通路に冷却媒体を供給して金型を冷却する射出成形方法とすることもでき、予め加熱媒体により金型を加熱したときの時間に対する、加熱を開始して以降、実際に金型温度が上昇し始めるまでの加熱遅れ時間を含む、金型の昇温度合いを計測して、その計測結果に基づき、金型の昇温度合いを示す係数を算出する第1ステップ、加熱遅れ時間の計測値を補正して補正加熱遅れ時間を算出する第2ステップと、係数と加熱遅れ時間の計測値とに基づいて、加熱媒体により加熱したときの金型の温度変化予想曲線を生成する第3ステップと、温度変化予想曲線に基づいて金型温度が目標温度に到達する時間から補正加熱遅れ時間分だけ差し引いた時間に到達したときに、加熱媒体の供給を停止する第4ステップと、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、加熱時における金型温度のオーバーシュートを確実に防ぎ、成形に要するサイクルタイムが長くなるのを防いで生産効率の低下を抑止するとともに、成形品にバリやヒケ等の不良が発生するのを防いで品質安定性を向上することができる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
〔第一の実施の形態〕
図1は、本実施の形態における射出成形システム10の概略構成を説明するための図である。本実施の形態においては、加熱媒体として熱水を用いる例を挙げる。
図1に示すように、射出成形システム10の型締装置は、基台11に固定ダイプレート12が固設され、固定ダイプレート12に固定側金型13が取り付けられている。固定側金型13に対向する可動側金型14は、固定ダイプレート12に対向して配置された可動ダイプレート15に取り付けられている。可動ダイプレート15は、基台11に敷設されたガイドレール16にガイドされ、リニアベアリングを介して固定ダイプレート12に対向して移動可能とされている。型開閉のための可動ダイプレート15の移動には電動ボールねじ17が用いられる。
複数のタイバー18が、固定ダイプレート12に内蔵する複数の型締油圧シリンダ12a内で摺動するラム19に直結して設けられている。各タイバー18の先端部は、可動ダイプレート15の貫通孔を貫通している。タイバー18の先端部にはねじ溝18aが形成されており、このねじ溝18aに可動ダイプレート15の反金型側に配置された半割りナット18bが係合することで、タイバー18の引張方向を固定拘束している。
射出装置20は、電動駆動方式である。固定側金型13の樹脂入り口に当接しているノズルを備えた射出シリンダ21には、射出シリンダ21と一体のフレーム21aが設けられている。このフレーム21aに射出シリンダ21の中心線の両側に対称に、一対の射出駆動サーボモータ22、22が取り付けられ、同サーボモータ22、22の出力軸にボールねじ軸23、23が直結されている。ボールねじ軸23、23には、移動フレーム24に取り付けられた一対のボールねじナット25、25が螺合している。一対の射出駆動サーボモータ22、22が同期回転駆動されることにより、射出スクリュ21bは射出シリンダ21の中を軸方向に前後進する。
射出シリンダ21の射出スクリュ21bは、移動フレーム24に取り付けられた射出スクリュ回転駆動モータ26によって回転駆動され、射出シリンダ21内の樹脂の回転送り出しと可塑化を行う。
射出成形制御装置50は、成形工程のプログラムに従って、型締油圧シリンダ12aに作動油を送り、射出装置20の射出駆動サーボモータ22、22に電流を送って射出スクリュ21bを前後進させ、射出スクリュ21bの射出スクリュ回転駆動モータ26に電流を送って樹脂の可塑化を指示する。
射出装置20は、固定側金型13と可動側金型14が型締されることによって形成された金型キャビティの中に溶融樹脂を射出させる。成形品が冷却固化した後は、可動側金型14は固定側金型13との型締結合を解き、移動用の電動ボールねじ17の作動により固定側金型13から離れて成形品を取出すようになっている。
固定側金型13、可動側金型14には、金型表面を加熱、冷却するための熱媒体通路30、31が形成されている。熱を早く伝達して金型キャビティ面を急速に加熱冷却するため、熱媒体通路30、31は金型キャビティにできるだけ近い位置に形成されている。そして、この熱媒体通路30、31には、外部から熱媒体を熱媒体通路30、31に送り込むための熱媒体供給管32Iと、熱媒体通路30、31から熱媒体を外部に排出するための熱媒体排出管32Oとが、それぞれ接続されている。
図2に示すように、熱媒体供給管32Iには、加熱媒体を供給する加熱媒体供給装置33と、冷却媒体を供給する冷却媒体供給装置34とが接続されている。本実施の形態においては、加熱媒体、冷却媒体には、水(液体)が用いられる。
加熱媒体供給装置33は、加熱媒体を図示しないポンプによって熱媒体供給管32Iを通して熱媒体通路30、31に送り込むとともに、熱媒体通路30、31を経た加熱媒体を、熱媒体排出管32Oを通して加熱媒体供給装置33に循環させる。
冷却媒体供給装置34は、冷却媒体を図示しないポンプによって熱媒体供給管32Iを通して熱媒体通路30、31に送り込むとともに、熱媒体通路30、31を経た冷却媒体を、熱媒体排出管32Oを通して加熱媒体供給装置33に循環させる。
これら加熱媒体供給装置33、冷却媒体供給装置34は、媒体切替装置60に接続されている。媒体切替装置60には、熱媒体供給管32Iに供給する熱媒体を切り替えるために、加熱媒体供給装置33、冷却媒体供給装置34からの加熱媒体、冷却媒体の送給管をそれぞれ開閉可能な開閉弁(図示無し)が設けられている。媒体切替装置60の各開閉弁は、金型温度制御装置(加熱・冷却タイミング制御装置)70により、予め定められたプログラムに基づいてその開閉が制御され、加熱媒体、冷却媒体の熱媒体供給管32Iへの供給・遮断を切り替える。すなわち、固定側金型13、可動側金型14を加熱するときには、加熱媒体供給装置33で加熱された加熱媒体を、熱媒体供給管32Iに送り込み、固定側金型13、可動側金型14を冷却するときには、冷却媒体供給装置34から供給される冷却媒体を、熱媒体供給管32Iに送り込む。
図1、図2に示したように、固定側金型13、可動側金型14のキャビティ面に接して、金型温度センサ40が配置されている。金型温度センサ40で検出した金型温度の信号は金型温度制御装置70に送られる。
また、図2に示したように、熱媒体供給管32Iには、管内の熱媒体の温度を検出するための熱電対等の熱媒体温度センサ41と、熱媒体の圧力を検出するための圧力センサ42とが設けられている。これら熱媒体温度センサ41、圧力センサ42で検出した熱媒体の温度、圧力の信号は金型温度制御装置70に送られる。
金型温度制御装置70では、金型温度センサ40で検出された金型温度と、熱媒体温度センサ41、圧力センサ42で検出された熱媒体の温度、圧力に基づき、媒体切替装置60を制御して、加熱媒体供給装置33、冷却媒体供給装置34の開閉弁(図示無し)を開閉させ、熱媒体供給管32Iへの加熱媒体、冷却媒体の供給タイミングを制御する。
一連の射出成形サイクル中、金型温度制御装置70は、予め導入されたコンピュータプログラムに基づいて定められた処理を実行し、熱媒体供給管32Iへの加熱媒体、冷却媒体の供給を制御することで、以下に示すような温度コントロールを行う。
図3は、一連の射出成形サイクル中における温度変化を示した図である。なおここで、射出成形制御装置50においては、固定側金型13、可動側金型14の温度(金型温度)をコントロールするため、図3においては金型温度の変化を示したが、キャビティ温度も実質的に等価である。
型締から昇圧の工程においては、金型温度制御装置70で媒体切替装置60を制御して、加熱媒体供給装置33で加熱された加熱媒体を熱媒体供給管32Iに送り込み、固定側金型13、可動側金型14を加熱する。
そして、固定側金型13、可動側金型14の加熱後、固定側金型13と可動側金型14が型締されることによって形成された金型キャビティへの溶融樹脂の射出を開始する。この後、加熱媒体供給装置33から熱媒体供給管32Iへの加熱媒体の供給を停止する。加熱媒体の供給停止は、金型温度制御装置70で媒体切替装置60を制御して行う。
樹脂の射出が完了した時点で、金型キャビティ内の保圧を行うこともできる。射出〜保圧の間、固定側金型13、可動側金型14の温度は、加熱媒体の供給停止にともない、自然放熱により低下する。
この後、固定側金型13、可動側金型14の冷却に移行する。固定側金型13、可動側金型14の冷却は、金型温度制御装置70で媒体切替装置60を制御して、冷却媒体供給装置34から供給される冷却媒体を、熱媒体供給管32Iに送り込む。冷却媒体の送り込みによって固定側金型13、可動側金型14は急冷される。固定側金型13、可動側金型14の温度が低下したら、金型温度制御装置70で媒体切替装置60を制御して熱媒体供給管32Iへの冷却媒体の供給を停止する。
樹脂が冷却固化し、金型キャビティ内に成形品が形成された後は、可動側金型14は固定側金型13との型締結合を解いて型開きする。続いて、さらに可動側金型14を移動用の電動ボールねじ17の作動により固定側金型13から離し、成形品を取出す。
この後は、上記と同様のサイクルを繰り返すことで、成形品を順次射出成形することができる。
なお、上記のサイクルにおいて、冷却の過程で、アニーリングなどの適宜の熱処理を行うこともできる。
さて、上記のサイクルにおいて、固定側金型13、可動側金型14の加熱・冷却過程においては、金型温度制御装置70において、加熱・冷却の開始・停止タイミングを以下のように制御する。なお、以下に示す制御は、金型温度制御装置70に備えられたCPU等の演算装置と、メモリ等の記憶装置とが協働して、予めインストールされたコンピュータプログラムに基づいた所定の処理を実行することで実現される。
まず、予め、用いる固定側金型13、可動側金型14を射出成形システム10に装着し、実際に射出成形を行うときと同様に、加熱媒体供給装置33で加熱された加熱媒体を熱媒体供給管32Iから熱媒体通路30、31に送り込み、固定側金型13、可動側金型14を加熱する。
このとき、図4に示すように、金型温度制御装置70では、加熱を開始して以降、金型温度センサ40で検出される金型温度Tmと、熱媒体温度センサ41で検出される金型入口における加熱媒体の温度Tinについて、経過時間に対する変化を計測し、その計測結果を記憶する(ステップS101)。
次いで、金型温度制御装置70においては、記憶した計測結果から演算を行うことで、図5(a)に示したような、時間に対する金型の昇温度合いを示す金型昇温曲線L1を得る(ステップS102)。
この金型昇温曲線L1を微小時間ごとに区切ると、それぞれの微小時間における金型温度変化量ΔTmと、そのときの固定側金型13、可動側金型14の入口における加熱媒体の温度Tinと、金型の温度Tmとの間には、次式の関係が成り立つと仮定する。
ΔTm=a(Tin−Tm)dt ・・・(1)
ここで、aは伝熱を簡易に扱うための総括伝熱係数(伝熱面積、熱抵抗、比熱、重量等をすべて一括した係数)に相当するものとする(以下、係数と略称する。)。
そこで、金型温度制御装置70においては、上式(1)から、微小時間(例えば0.1sec)ごとの係数aを算出する(ステップS103)。
これにより、図5(a)に示したような金型昇温曲線L1から、微小時間ごとの係数aが多数得られる。なお、実際の処理においては、図5(a)に示したような金型昇温曲線L1を描く必要はなく、金型温度制御装置70における演算処理によりaを求めてもよい。
続いて、金型温度制御装置70では、微小時間ごとに多数得られた係数aから、平均係数a’を算出する(ステップS104)。
平均係数a’の算出には、様々な方法があるが、例えば、
1)加熱開始から、金型温度上昇を停止するまでの間の全て区間における係数aの平均値、
2)例えば(Tin−Tm)<50℃となる区間内における係数aの平均値、
3)(加熱開始時における金型温度Tm+10)℃〜(加熱停止時における金型温度Tm−10)℃の区間における係数aの平均値、
等を採用することができる。
例えば1)の手法によれば、加熱開始直後及び加熱停止直前においては、係数aが不安定な傾向を示しやすい。また、2)の手法によれば、加熱媒体の温度によって、係数aが安定している場合と不安定な場合とがある。これらに対し、3)の手法によれば、比較的安定した係数aをサンプリングすることができる。もちろん、平均係数a’の算出方法には、適宜これ以外の方法を用いても良い。
また、金型温度制御装置70においては、加熱を開始して以降、実際に金型温度Tmが上昇し始めるまでの時間の遅れ(いわゆるタイムラグ。以下、加熱遅れと称する)τ'を計測する(ステップS105)。
このようにして得られた平均係数a’、加熱遅れτ’は、固定側金型13および可動側金型14からなる金型に固有の設定値として、金型温度制御装置70の記憶装置に、固定側金型13および可動側金型14からなる金型を特定するための情報に関連付けて記憶される(ステップS106)。
上記のようにして、予め固定側金型13および可動側金型14を射出成形システム10に装着して加熱したときの変化を実測し、平均係数a’、加熱遅れτ’を得た後に、実際の射出成形を行う。
射出成形を行う際には、固定側金型13および可動側金型14を装着する。そして、図6に示すように、装着された固定側金型13および可動側金型14に関連付けられた平均係数a’を呼び出す(ステップS201)。
また、この時点における金型温度センサ40の金型温度Tmと、熱媒体温度センサ41の加熱媒体の温度Tinを検出する(ステップS202)。
金型温度制御装置70では、この平均係数a’と、金型温度Tmと、加熱媒体の温度Tinとから、図5(b)に示すような昇温予想曲線(温度変化予想曲線)L2を演算により求める(ステップS203)。
任意の時間τ1における金型温度Tm1は下式により演算される。τ1を微小時間毎に変化させながら演算することにより昇温予想曲線L2を求めることができる。ここでTm0はτ=0の時の金型温度を表す。
Figure 0005419364
ここで、昇温予想曲線L2において、加熱を開始してから実際に金型温度が上がるまでの遅れ時間は、前記の加熱遅れτ’を用いる。
次いで、金型温度制御装置70は、昇温予想曲線L2を元に、加熱を停止すべきタイミングを設定する(ステップS204)。これには、昇温予想曲線L2において、加熱を開始してから最終的に金型を加熱すべき温度(以下、これを目標温度と称する)THに到達する時間t1から、加熱遅れτ”を見込み、加熱を開始してから熱媒体の供給を停止するまでの時間tsを、
ts=t1−τ”
とする。
このとき、加熱遅れτ”は、前記の実測した加熱遅れτ’を元に、以下のように設定される。
τ”=τ’+α
ただしここで、αは任意の補正値であり、例えばα=0とすると、
τ”=τ’
となる。つまり、この例では、加熱を開始してから加熱を停止するまでの時間tsは、
ts=t1−τ’
となる。
次いで、昇温予想曲線L2において、加熱を開始してから時間tsだけ経過した時点での温度TH’を取得し、その温度TH’を、加熱媒体の供給を停止すべき温度として設定する。
そして、金型温度制御装置70は、加熱媒体を熱媒体供給管32Iを通して熱媒体通路30、31に流して実際に加熱を開始し、熱媒体温度センサ41での加熱媒体の温度Tinをモニタリングする(ステップS205)。
金型温度制御装置70は、熱媒体温度センサ41での検出値が温度TH’に到達したら、媒体切替装置60を制御して加熱媒体の供給を停止する(ステップS206、207)。
これにより、金型の温度は、加熱媒体の供給停止後も上昇するが、実測に基づいて算出した昇温予想曲線L2を元に加熱媒体の供給停止タイミングを制御するので、これにより過度なオーバーシュートを防ぐことができる。
さて、上記のように、実際に射出成形の1サイクル目を開始して以降も、ステップS205でモニタリングしている熱媒体温度センサ41での加熱媒体温度Tinと、金型温度センサ40で検出される金型温度Tmとの、経過時間に対する変化を計測し、その計測結果を記憶する(ステップS208)。
これにより、1サイクル目の射出成形が完了する。
この後は、射出成形が所定の全サイクルが終了したか否かを判定し、終了していなければ次サイクルに移行する(ステップS209)。
次サイクルでは、図4のステップS102〜S106と同様、金型温度制御装置70においては、ステップS208で記憶した直前の射出サイクルで得た加熱媒体温度Tin、金型温度Tmの計測結果から演算を行って金型昇温曲線L1を新たに取得し(ステップS210)、微小時間ごとの係数aを算出し(ステップS211)、さらに平均係数a’を算出し(ステップS212)、これを一時的に記憶する。また、1サイクル目に加熱を開始して以降の、実際に金型温度Tmが上昇し始めるまでの加熱遅れτ'を算出し、その算出結果を記憶する(ステップS213)。
つまり、予め実測を行うことで得た平均係数a’、加熱遅れτ’を、1サイクル目の結果によって更新する。
そして、2サイクル目以降の成形サイクルにおいては、同様に直前のサイクルでの計測結果から得た平均係数a’、加熱遅れτ’を用い、ステップS201に戻っての制御を繰り返す。
このようにして、予め金型を加熱したときの金型昇温曲線L1から平均係数a’、加熱遅れτ’を求め、これら平均係数a’、加熱遅れτ’を金型ごとに特有の設定値とし、射出成形を行うときには平均係数a’、加熱遅れτ’から昇温予想曲線L2を生成し、これに基づいて金型の加熱時に加熱媒体の供給を停止するようにした。これにより、個々の金型において、適切なタイミングで加熱を停止することができ、オーバーシュートを抑えることができる。しかも、射出成形中にも金型の昇温状況をモニタリングし、平均係数a’、加熱遅れτ’を求めるようにし、直前のサイクルで記憶した平均係数a’、加熱遅れτ’から、加熱媒体の供給を停止すべき温度TH’を順次更新していくので、そのときそのときの状態に応じてオーバーシュートを少なく抑えることができる。しかも、平均係数a’の算出には、加熱媒体温度Tinを用いるため、加熱媒体温度Tinが変化すれば、これを反映した昇温予想曲線L2を形成することができる。これにより、様々な要因で加熱媒体の温度が変動しても、オーバーシュートを抑えて安定した制御を行うことができる。
ところで、上記のような制御を行っている間、金型温度制御装置70に備えたモニタ等の表示部80に、金型昇温曲線L1、平均係数a’、加熱遅れτ’、昇温予想曲線L2、加熱媒体の供給を停止すべき温度TH’等を表示することもできる。これにより、射出成形システム10のオペレータ等が、表示された情報を見て、いずれかのパラメータが通常と異なっていることを認識すれば、装置の異常等を把握することができる。例えば、オペレータは、平均係数a’が極端に小さくなれば、加熱媒体の流路の一部で詰まり等が生じていると予測し、金型の管理を行うこともできる。
また、金型昇温曲線L1、平均係数a’、加熱遅れτ’、昇温予想曲線L2、加熱媒体の供給を停止すべき温度TH’等は、少なくとも直前の数サイクル分を記録することができる。さらに、必要に応じて、記憶した数サイクル分の金型昇温曲線L1、平均係数a’、加熱遅れτ’、昇温予想曲線L2、加熱媒体の供給を停止すべき温度TH’等をモニタ等に表示させ、工程の管理に用いることもできる。
〔第二の実施の形態〕
次に、本発明にかかる射出成形システム10の第二の実施の形態について説明する。ここで、第二の実施の形態の射出成形システム10は、加熱媒体に蒸気を用いることとする。なお、以下の説明においては、第一の実施の形態と異なる構成を中心と説明し、前記第一の実施の形態と共通する構成については同符号を付してその説明を省略する。
図7に示すように、射出成形システム10の熱媒体供給管32Iには、加熱媒体を供給する加熱媒体供給装置33と、冷却媒体を供給する冷却媒体供給装置34とが接続されている。本実施の形態においては、加熱媒体には蒸気が用いられ、冷却媒体には冷却水が用いられる。
ここで、加熱媒体に蒸気を用いる場合は、前記第一の実施の形態において加熱媒体の温度を検出する熱媒体温度センサ41に代えて圧力センサ42で蒸気の圧力を検出し、検出した圧力から蒸気温度を求める。
また、熱媒体供給管32Iには、空気を供給する空気供給装置35が接続されている。
加熱媒体供給装置33は、加熱媒体である蒸気を図示しないポンプによって熱媒体供給管32Iを通して熱媒体供給管32Iに送り込むとともに、熱媒体通路30、31を経た加熱媒体を、熱媒体排出管32Oを通して加熱媒体供給装置33に循環させる。
冷却媒体供給装置34は、冷却媒体を図示しないポンプによって熱媒体供給管32Iを通して熱媒体通路30、31に送り込むとともに、熱媒体通路30、31を経た冷却媒体を、熱媒体排出管32Oを通して加熱媒体供給装置33に循環させる。
加熱媒体供給装置33、冷却媒体供給装置34、空気供給装置35からの加熱媒体、冷却媒体、空気の熱媒体供給管32Iへの供給は、金型温度制御装置70で媒体切替装置60を制御することで切り替えるようになっている。
空気供給装置35は、熱媒体供給管32Iに供給する熱媒体を蒸気から冷却媒体である冷却水に切り替えるに先立ち、空気を送り込み、熱媒体供給管32I、熱媒体通路30、31内の蒸気を押し出してパージする。パージ後、冷却媒体を送り込む。
空気によるパージを行わない場合、加熱から冷却に切り替える際、冷却を開始しようとして冷却水を送りこんでも、冷却水の送り込みを開始する時点では金型の手前の熱媒体供給管32I内に蒸気が残っているため、この蒸気が熱媒体通路30、31内に流れ込むことで金型が加熱されてしまう。その結果、冷却に時間がかかり、サイクルタイムが長期化する。
そこで、上記のように空気供給装置35から空気を送り込んで残存している蒸気をパージすることで、その後に冷却水を送り込めば速やかに冷却を開始することができ、サイクルタイムの長期化を防ぐことができる。このため、空気を送り込むタイミングは、蒸気によって金型が目標温度THに到達して以降、冷却を開始するまでの保温過程中に行うのが好ましい。
また、冷却過程後、再び加熱過程に移行するときにも、同様に、空気供給装置35で、熱媒体供給管32Iに空気を送り込み、熱媒体供給管32I、熱媒体通路30、31内の冷却水を押し出してパージした後、加熱媒体を送り込むのも有効である。
さて、上記第一の実施の形態に示した射出成形システム10による効果を確認するためのテストを行ったのでその結果をここに示す。
まず、射出成形システムには、三菱重工業株式会社製の450MEII(型締力450ton)を、金型にはテスト用金型、射出する成形材料にはポリカーボネイトとABS樹脂を用いた。
射出成形システムに装着するテスト用金型を加熱する目標温度THは120℃とした。
そして、加熱媒体として用いる熱水の温度を、様々な要因によって変動し得ることを想定して、150℃(実施例1)、170℃(実施例2)の2通りとした。
冷却媒体には20℃の水を用いた。
事前に金型を上記条件で加熱し、図4の手法でこの金型の平均係数a’、加熱遅れτ’を求めたところ、
平均係数a’=0.125、
加熱遅れτ’=2.5sec
であった。
そして、この平均係数a’、加熱遅れτ’を用い、図6の手法で加熱停止タイミングの制御を行いながら、図3に示すような温度プロファイルで射出成形を行った。ただし、加熱遅れτ”=τ’+αにおいて、補正値α=0secとした。
また、比較のため、本発明の手法を適用せず、従来と同様、金型温度が目標温度THに到達する前に加熱媒体の供給を停止する手法で、図3に示したような温度プロファイルで射出成形を行った。このときに用いた熱水の温度は、実施例1、2と同様に150℃(比較例1)、170℃(比較例2)とし、金型温度が105℃に到達したときに加熱媒体の供給を停止した(このときの温度を昇温停止温度とする)。また、170℃の加熱媒体を用い、昇温停止温度を110℃とした場合についてもテストを行った(比較例3)。
そして、実施例1、2、比較例1〜3ともに、同様の射出成形サイクルを20回繰り返し、各サイクルにおいて、加熱媒体の供給を停止した後に、金型温度が目標温度THを超える度合い(オーバーシュート量)を計測するとともに、1サイクルの射出成形に要した時間(成形サイクル)を計測した。
また、20回での射出成形で得られた射出成形品20個を外観検査し、バリやヒケ等の不良の発生数を検査した。
その結果を、表1に示す。
表1に示すように、本発明の手法を適用した実施例1、2ではオーバーシュート量が0〜3℃、0〜6℃であったのに対し、比較例1〜3では、0〜8℃、0〜15℃、3〜20℃となっており、本発明の手法により加熱媒体の供給を停止するタイミングを制御することで、オーバーシュート量を抑えることができることが確認された。
また、成形サイクルも、実施例1、2では60〜65秒、48〜52秒であったのに対し、比較例1〜3では、60〜75秒、48〜70秒、47〜70秒であり、本発明の手法により加熱媒体の供給を停止するタイミングを制御することで、成形サイクルが長くなるのを抑えることができることが確認された。
品質検査においても、実施例1、2では不良品が生じていないのに対し、比較例2、3でオーバーシュート量の大きかったサイクルにおいてヒケ不良が3個、4個と生じており、本発明の手法により加熱媒体の供給を停止するタイミングを制御することで、品質を向上できることが確認された。
Figure 0005419364
さらに、実施例1、2では、加熱遅れτ”の補正値α=0secとしたが、実施例3、4として、補正値α=−0.1sec、τ“=2.4secとした場合について、上記実施例1、2と同様の条件でテストを行った(実施例3は加熱媒体温度150℃、実施例4は加熱媒体温度170℃)。
その結果、表1に示したように、実施例3、4ではオーバーシュート量が0〜1.5℃、0〜3℃成形サイクルが、60〜62秒、48〜50秒であり、オーバーシュート量、成形サイクルともに、実施例1、2より少なくできた。
これにより、必要に応じて加熱遅れτ”の補正値αを適切に設定することで、オーバーシュート量、成形サイクルを抑えて、高精度の金型温度制御を行い、短時間での成形を行うことができる。
なお、上記実施の形態では、射出成形システムの構成を示したが、加熱媒体による加熱を用いるのであれば、本発明の手法はいかなる構成の射出成形システムにも適用できる。
また、本発明の手法として、図4、図6に具体的な制御の流れを示したが、制御の詳細については同様の目的であれば適宜の変更を加えることが可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
本実施の形態における射出成形システムの概略構成を示す図である。 加熱媒体、冷却媒体の供給のための構成を示す図である。 射出成形サイクル中における温度変化を示した図である。 予め金型を加熱して係数aと加熱遅れτ’を算出する処理の流れを示す図である。 (a)は金型を加熱したときの時間に対する温度変化を示す線図、(b)は温度変化予想曲線を示す線図である。 射出成形を行うときに加熱媒体の供給を停止するための処理の流れを示す図である。 第二の実施の形態にかかる加熱媒体、冷却媒体の供給のための構成を示す図である。
符号の説明
10…射出成形システム、13…固定側金型、14…可動側金型、20…射出装置、21…射出シリンダ、30、31…熱媒体通路、32I…熱媒体供給管、32O…熱媒体排出管、33…加熱媒体供給装置、34…冷却媒体供給装置、35…空気供給装置、40…金型温度センサ、41…熱媒体温度センサ、42…圧力センサ、50…射出成形制御装置、60…媒体切替装置、70…金型温度制御装置(加熱・冷却タイミング制御装置)、80…表示部、L1…金型昇温曲線、L2…昇温予想曲線(温度変化予想曲線)

Claims (8)

  1. 金型を開閉する型締装置、および前記金型のキャビティに成形材料を射出する射出装置を備えた射出成形機と、
    前記キャビティを加熱するため前記金型に形成された熱媒体通路に加熱媒体を供給する加熱媒体供給装置と、
    前記キャビティを冷却するため前記熱媒体通路に冷却媒体を供給する冷却媒体供給装置と、
    前記加熱媒体供給装置、前記冷却媒体供給装置における前記加熱媒体、前記冷却媒体の供給タイミングを制御する加熱・冷却タイミング制御装置と、を備え、
    前記加熱・冷却タイミング制御装置では、
    予め前記加熱媒体により前記金型を加熱したときの時間に対する、加熱を開始して以降、実際に金型温度が上昇し始めるまでの加熱遅れ時間を含む、前記金型の昇温度合いを計測して、その計測結果に基づき、前記金型の昇温度合いを示す係数を算出する第1ステップと、
    前記加熱遅れ時間の計測値を補正して補正加熱遅れ時間を算出する第2ステップと、
    前記係数と前記加熱遅れ時間の計測値とに基づいて、前記加熱媒体により加熱したときの前記金型の温度変化予想曲線を生成する第3ステップと、
    前記温度変化予想曲線に基づいて前記金型温度が目標温度に到達する時間から前記補正加熱遅れ時間分だけ差し引いた時間に到達したときに、前記加熱媒体の供給を停止する第4ステップと、
    を実行することを特徴とする射出成形システム。
  2. 前記第1ステップ、前記第2ステップ、前記第3ステップ、および前記第4ステップは、射出成形のサイクル毎に行われ、
    前記第3ステップでは、直前のサイクルで得られた前記係数および前記加熱遅れ時間の計測値に基づいて、前記温度変化予想曲線を生成することを特徴とする請求項1に記載の射出成形システム。
  3. 前記金型の昇温度合いを示す係数は、微小時間における前記金型の温度変化量と、前記加熱媒体の温度または圧力と、前記金型の温度とに基づいて求められることを特徴とする請求項1または2に記載の射出成形システム。
  4. 前記金型の昇温度合いを示す係数は、予め前記加熱媒体により前記金型を加熱したときの時間に対する前記金型の昇温度合いを示す線図の傾きであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の射出成形システム。
  5. 前記温度変化予想曲線に基づいて前記加熱媒体の供給を停止して射出成形を行うときに、前記時間に対する前記金型の昇温度合いを計測して、前記係数と前記加熱遅れ時間の計測値とを更新するステップをさらに備え、
    2サイクル目以降の成形サイクルにおいては、前記温度変化予想曲線を生成するステップにて、直前の成形サイクルで更新した前記係数と前記加熱遅れ時間の計測値とから、前記加熱媒体により加熱したときの前記温度変化予想曲線を生成することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の射出成形システム。
  6. 前記係数、前記加熱遅れ時間の計測値、前記金型の昇温度合いを示す曲線、前記金型の温度変化予想曲線の少なくとも一つを表示する表示部をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の射出成形システム。
  7. 前記加熱媒体として蒸気を用いる場合、前記冷却媒体供給装置で前記冷却媒体を供給するに先立ち、前記熱媒体通路内の前記加熱媒体を押し出してパージするための空気を前記熱媒体通路に供給する空気供給装置をさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の射出成形システム。
  8. 射出成形機に取り付けた金型に形成された熱媒体通路に加熱媒体を供給することで前記金型を加熱するとともに、前記熱媒体通路に冷却媒体を供給して前記金型を冷却して射出成形を行う射出成形方法であって、
    予め前記加熱媒体により前記金型を加熱したときの時間に対する、加熱を開始して以降、実際に金型温度が上昇し始めるまでの加熱遅れ時間を含む、前記金型の昇温度合いを計測して、その計測結果に基づき、前記金型の昇温度合いを示す係数を算出する第1ステップと、
    前記加熱遅れ時間の計測値を補正して補正加熱遅れ時間を算出する第2ステップと、
    前記係数と前記加熱遅れ時間の計測値とに基づいて、前記加熱媒体により加熱したときの前記金型の温度変化予想曲線を生成する第3ステップと、
    前記温度変化予想曲線に基づいて前記金型温度が目標温度に到達する時間から前記補正加熱遅れ時間分だけ差し引いた時間に到達したときに、前記加熱媒体の供給を停止する第4ステップと、を備えることを特徴とする射出成形方法。
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