JP5419045B2 - 脊髄損傷治療薬剤 - Google Patents
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Description
現在、脊髄損傷の患者は、日本では約10万人、米国では25万人に及ぶとされており、年間日本では5千人、米国では1万人以上の患者が増加している。
また、脊髄損傷の患者は、受傷後72時間は容体が安定せず、髄腔内投与のためのカテーテル挿入等が非常に困難となる可能性があり、投与時期の決定が重要になる。
更に、通常のHGF遺伝子治療は蛋白質の発現量の調節が困難である、一部の遺伝子発現ベクターでは繰り返し投与の際に免疫反応を惹起する危惧がある、一部の遺伝子発現ベクターではゲノムに遺伝子を導入することになる等の問題点が想定される。
なお、前述の通り、HGF遺伝子を組み込んだウイルスベクター(HGF発現ウイルスベクター)を注入する方法が知られているが、ヘルペスウイルス(HSV)やアデノウイルスなどのウイルスを脳内に注入すると、脳における濃度依存的炎症反応をもたらし、脱髄を招くことが知られている(特許文献2)。したがって、この点からも、HGF遺伝子を繰み込んだウイルスベクターを用いる治療方法は、脱髄性疾患の根本的治療法にならないことは明らかであり、脱髄を招かない治療方法の確立が求められていた。
(1)HGF蛋白質を有効成分とする脊髄損傷治療剤、
(2)HGF蛋白質が、配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列を含む蛋白質、配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含む蛋白質であってHGFとして作用する蛋白質、又はこれらの部分ペプチドであってHGFとして作用するペプチドである前記(1)記載の治療剤、
(3)HGF蛋白質が、配列番号2で表わされるアミノ酸配列を含む蛋白質である前記(1)記載の治療剤、
(4)脊髄損傷部位に局所適用するための前記(1)〜(3)のいずれかに記載の治療剤、
(5)髄腔内投与用注射剤の剤型である前記(4)記載の治療剤、
(6)徐放性ポンプによる髄腔内投与用注射剤の剤型である前記(4)記載の治療剤、
(7)脊髄神経の脱髄抑制剤である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の治療剤、
(8)HGF蛋白質を有効成分として含有し、かつ脊髄損傷直後から2週以内に投与されることを特徴とする脊髄損傷治療剤、
(9)HGF蛋白質を有効成分として含有し、かつ脊髄損傷直後から4日以内に投与されることを特徴とする脊髄損傷治療剤、
(10)脊髄損傷患者に有効量のHGF蛋白質を投与することを特徴とする脊髄損傷治療方法、
(11)脊髄損傷治療剤を製造するためのHGF蛋白質の使用、
(12)脊髄損傷治療用HGF蛋白質、
(13)HGF蛋白質を有効成分とする脱髄性疾患治療剤、
(14)脱髄性疾患が多発性硬化症、デビック(Devic)病、バロー同心性硬化症、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、シルダー(Schilder)病、亜急性硬化性汎脳炎(SSPE)、進行性多巣性白質脳症(PML)、ビンスワンガー病、低酸素脳症、橋中心髄鞘破壊症、ギラン・バレー症候群、フィッシャー症候群、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)から選ばれる前記(13)記載の治療剤、
(15)HGF蛋白質が、配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列を含む蛋白質、配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含む蛋白質であってHGFとして作用する蛋白質、又はこれらの部分ペプチドであってHGFとして作用するペプチドである前記(13)又は(14)記載の治療剤、
(16)HGF蛋白質が、配列番号2で表わされるアミノ酸配列を含む蛋白質である前記(13)又は(14)記載の治療剤、
(17)疾患部位に局所適用するための前記(13)〜(16)のいずれかに記載の治療剤、
(18)髄腔内投与用注射剤の剤型である前記(17)記載の治療剤、
(19)徐放性ポンプによる髄腔内投与用注射剤の剤型である前記(17)記載の治療剤、
(20)脱髄性疾患の患者に有効量のHGF蛋白質を投与することを特徴とする脱髄性疾患治療方法、
(21)脱髄性疾患治療剤を製造するためのHGF蛋白質の使用、及び
(22)脱髄性疾患治療用HGF蛋白質、
に関する。
配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含む蛋白質としては、配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列と少なくとも約80%以上、好ましくは約90%以上、より好ましくは約95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含む蛋白質、例えば配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列から、1〜数個のアミノ酸残基を挿入又は欠失させたアミノ酸配列、1〜数個のアミノ酸残基を別のアミノ酸残基と置換させたアミノ酸配列又は1〜数個のアミノ酸残基が修飾されたアミノ酸配列等を含む蛋白質であってHGFとして作用する蛋白質であることが好ましい。挿入されるアミノ酸又は置換されるアミノ酸は、遺伝子によりコードされる20種類のアミノ酸以外の非天然アミノ酸であってもよい。非天然アミノ酸は、アミノ基とカルボキシル基を有する限りどのような化合物でもよいが、例えばγ−アミノ酪酸等が挙げられる。これらの蛋白質は、単独であっても、これらの混合蛋白質であってもよい。配列番号1又は2で表されるアミノ酸配列と実質的に同一であるアミノ酸配列を含む蛋白質としては、例えばNCBIのデータベース(NCBI-GenBank Flat File Release 164.0)に登録されているAccession No.BAA14348又はAAC71655等のヒト由来HGFが挙げられるが、これらに限定されない。
また、以下の実施例において使用したHGF蛋白質は5残基欠失型リコンビナントヒトHGF蛋白質(配列番号2)を用いた。
(脊髄損傷動物の作製及びHGF蛋白質の投与)
(1)脊髄損傷動物の作製
まず、無菌的に浸透圧ポンプ(Osmotic Pump)を準備した。Alzetミニオスモティックポンプ(ALZA Corporation製、Model2002)にHGF蛋白質(濃度1mg/mL、PBSに溶解)又はPBS(対照)を注入した。ポンプ吐出部には、HGF蛋白質又はPBSで内腔を満たした内径0.3mm−外径0.7mmのシリコンチューブ(株式会社イマムラ製;カテーテルチューブ)を連結し、連結部には更に内径1.0mm−外径2.0mmのシリコンチューブ(株式会社イマムラ製)をかぶせ、37℃で12時間インキュベートした後、実験に供した。
成体雌性SDラット(週齢約10週から12週:体重約250g)を14w/v%抱水クロラールの腹腔内投与により麻酔し、第10胸椎及び第12胸椎の椎弓を除去した後、浸透圧ポンプ(HGF蛋白質溶液を上記方法で予め充填したもの)を右側脊背側皮下に留置し、カテーテルチューブを皮下から筋層を通し、第12胸椎椎弓まで誘導した。次いで第10胸髄にIHインパクター(Precision Systems製)を用いて200kDyneの圧挫損傷を作製し、その後第12胸髄の硬膜とくも膜を頭尻側方向にスプリットし、カテーテルチューブをくも膜下腔に挿入し、カテーテルの先を損傷脊髄直上まで進めた。カテーテルは外科用接着剤アロンアルファA「三共」(三共株式会社製)を用い筋層の上下で癒着させ、十分乾燥した後に筋層と皮膚を縫合して手術を完了した。
(2)HGF蛋白質の投与
術後(圧挫損傷後)、前記浸透圧ポンプによりHGF蛋白質溶液を2週間にわたり髄腔内投与した(HGF蛋白質の投与量:200μg/2週)。なお、対照群にはPBSのみを投与した。
(組織解析及び結果)
術後一定期間後、ラットを14w/v%抱水クロラールの腹腔内投与により深麻酔し、次いでPBS、引き続き4w/v%パラホルムアルデヒド/PBSで左心室より灌流を行った。脊髄断片を取り出し、4%w/vパラホルムアルデヒド/PBSで24時間、4℃で後固定した。組織サンプルを10w/v%シュクロース/PBS溶液、次いで30w/v%シュクロース/PBS溶液にそれぞれ24時間4℃で浸漬し、OCTコンパウンド(サクラファインテクニカル社)中に包埋した。包埋組織を液体窒素中で直ちに凍結し、20μmの凍結切片を作製した。次いで切片をヘマトキシリン及びエオシン(HE)で染色し、組織検査を行った。その結果、図1に示すように、HGF蛋白質投与群は対照群に較べて、運動神経の変性・細胞死に起因する空洞形成が顕著に抑制されていることから、圧挫による脊髄変性が抑制されていることが示された。
(髄鞘染色及び結果)
実施例2記載の方法で作製した切片を95v/v%エタノール処理した後、ルクソール・ファスト・ブルー(LFB)溶液で60℃、2時間インキュベートし、インキュベーターから取り出した後室温となるまで放置し、95v/v%エタノール及び蒸留水で洗浄した。次に、炭酸リチウム溶液、70v/v%エタノールによる分別及び蒸留水による洗浄の操作を適当なコントラストが得られるまで繰り返した後、切片を脱水・封入し、髄鞘の観察を行った。図2に示すように、HGF蛋白質投与群は対照群に較べてLFB陽性の髄鞘面積が大きく、脊髄損傷による脱髄が抑制されていることが示された。
(免疫組織化学解析及び結果)
実施例2記載の方法で作製した切片をポリクローナル抗5HT抗体(1:100希釈)及びポリクローナル抗GAP43抗体(1:1000希釈)で染色した。すなわち、5v/v%ヤギ血清及び0.1w/v%トリトンX−100を含むPBSで室温1時間ブロッキングを行った後、前記抗体溶液で4℃、一晩インキュベートした。この切片をPBSで洗浄後、Alexa488(緑)及びAlexa546(赤)(1:1000希釈)で蛍光標識した2次抗体で室温1時間インキュベートして、PBSで洗浄後、スライドに封入し、傾向顕微鏡にて5HT陽性神経線維及びGAP43陽性神経線維を観察した。その結果、図3に示すように、HGF蛋白質投与群は対照群に比べて、損傷部より4mm尾側において5HT陽性神経線維が有意に多く認められた。また、図4に示すように、5HT陽性シグナルとGAP43陽性シグナルの局在が一致していた。5HT陽性神経線維は脊髄損傷後の運動機能を担っていること、GAP43は成体においては再生神経線維にのみ発現していることから、HGF蛋白質の投与によって運動機能に直結する神経線維の再生が促進されることが示された。
(運動機能評価及び結果)
実施例1に記載の方法で脊髄損傷直後からHGF蛋白質を200μg/2週間投与した動物につき、オープンフィールドでの動物の動きを複数の観察者が目視で観察し、その機能を0[完全麻痺]〜21[正常]の21段階で測定、記録し評価するBBB(Basso−Beattie−Bresnahan)スコアを用いて、後肢運動機能評価を術後6週まで行った。その結果は図5のとおりである。
図5から分かるように、HGF蛋白質群は脊髄損傷4日後から機能回復が観察され、5週から対照群に比べて有意に機能回復効果が認められた(p<0.05)。
実施例1と同様に脊髄損傷動物を作製し、HGF蛋白質(濃度2mg/mL、PBSに溶解)又はPBS(対照)を注入した浸透圧ポンプの留置とカテーテルの挿入を行った。術後(圧挫損傷後)、浸透圧ポンプによりHGF蛋白質溶液を4週間にわたり髄腔内投与した(HGF蛋白質の投与量:400μg/4週)。なお、対照群にはPBSのみを投与した。実施例5に記載の方法で運動機能評価を術後9週まで行った。その結果は図6のとおりである。
図6から分かるように、HGF蛋白質を投与した動物では、対照動物に比較して脊髄損傷4日後から機能回復が観察され、HGF蛋白質投与後もBBBスコアの上昇が認められた。
成体雌性SDラット(週齢約10週から12週:体重約250g)を14w/v%抱水クロラールの腹腔内投与により麻酔し、第10胸髄にIHインパクター(Precision Systems製)を用いて200kDyneの圧挫損傷を作製し脊髄損傷動物とした。圧挫損傷4日後、2週後、8週後に浸透圧ポンプを留置するために脊髄損傷動物に再手術を施した。再手術は、HGF蛋白質(濃度2mg/mL、PBSに溶解)又はPBS(対照)を注入した浸透圧ポンプを、実施例1と同様の方法で留置し、カテーテルの先を損傷脊髄直上に挿入して固定した。圧挫損傷4日後、2週後および8週後から、HGF蛋白質溶液を浸透圧ポンプにより4週間にわたり髄腔内投与した(HGF蛋白質の投与量:400μg/4週)。なお、対照群にはPBSのみを投与した。経時的に実施例5に記載の方法で運動機能評価を行った。その結果は図7、8及び9に示すとおりである。
圧挫損傷4日後からHGF蛋白質を投与した動物では、図7から分かるように、対照動物に比較して早期の機能回復が観察された。
圧挫損傷2週後からHGF蛋白質を投与した動物では、図8から分かるように、HGF蛋白質投与2週後(圧挫損傷4週後)から、対照動物に比較して機能回復が観察された。
圧挫損傷8週後からHGF蛋白質を投与した動物では、図9から分かるように、HGF蛋白質投与動物と、対照動物との間に機能回復に差は認められなかった。
乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=50/50,重量平均分子量=10,000;和光純薬工業株式会社製)1.9gをジクロロメタン3.0mLに溶解する。この有機溶媒液にHGF蛋白質凍結乾燥粉末100mgを添加し、ミキサーミル(株式会社レッチェ)を用いて微粒化し、HGF蛋白質分散液を調製する。この分散液を0.1w/v%ポリビニルアルコール水溶液800mLに添加し、ホモミキサーを用いて撹拌・乳化する。室温で3時間撹拌してジクロロメタンを揮散させた後、遠心分離(約2,000rpm)することによりマイクロカプセルを分取する。次いで蒸留水400mLを用いて2回洗浄後、D−マンニトール0.2gを添加し凍結乾燥する。更に残留溶媒除去のため、40℃で3日間真空乾燥してHGF蛋白質含有徐放性マイクロカプセルを得る(生体高分子に対するHGFの配合比率:5.3w/w%)。
乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=50/50,重量平均分子量=10,000;和光純薬工業株式会社製)1.89gと酸化亜鉛10mgとをジクロロメタン3.0mLに溶解する。この有機溶媒液にHGF蛋白質凍結乾燥粉末100mgを添加し、ミキサーミル(株式会社レッチェ)を用いて微粒化し、HGF蛋白質分散液を調製する。この分散液を0.1w/v%ポリビニルアルコール水溶液800mLに添加し、ホモミキサーを用いて撹拌・乳化した。室温で3時間撹拌してジクロロメタンを揮散させた後、遠心分離(約2,000rpm)することによりマイクロカプセルを分取する。次いで蒸留水400mLを用いて2回洗浄後、D−マンニトール0.2gを添加し凍結乾燥する。更に残留溶媒除去のため、40℃で3日間真空乾燥してHGF蛋白質含有徐放性マイクロカプセルを得る(生体高分子に対するHGFの配合比率:5.3w/w%)。
乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25,重量平均分子量=15,000;和光純薬工業株式会社製)1.7gをジクロロメタン2.7mLに溶解する。この有機溶媒液HGF蛋白質凍結乾燥粉末300mgを添加し、ミキサーミル(株式会社レッチェ)を用いて微粒化し、HGF蛋白質分散液を調製する。この分散液を0.1w/v%ポリビニルアルコール水溶液800mLに添加し、ホモミキサーを用いて撹拌・乳化する。室温で3時間撹拌してジクロロメタンを揮散させた後、遠心分離(約2,000rpm)することによりマイクロカプセルを分取する。次いで蒸留水400mLを用いて2回洗浄後、D−マンニトール0.2gを添加し凍結乾燥する。更に残留溶媒除去のため、40℃で3日間真空乾燥してHGF蛋白質含有徐放性マイクロカプセルを得る(生体高分子に対するHGFの配合比率:17.6w/w%)。
乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25,重量平均分子量=15,000;和光純薬工業株式会社製)1.69gと酸化亜鉛10mgとをジクロロメタン2.7mLに溶解する。この有機溶媒液にHGF蛋白質凍結乾燥粉末300mgを添加し、ミキサーミル(株式会社レッチェ)を用いて微粒化し、HGF蛋白質分散液を調製する。この分散液を0.1w/v%ポリビニルアルコール水溶液800mLに添加し、ホモミキサーを用いて撹拌・乳化する。室温で3時間撹拌してジクロロメタンを揮散させた後、遠心分離(約2,000rpm)することによりマイクロカプセルを分取する。次いで蒸留水400mLを用いて2回洗浄後、D−マンニトール0.2gを添加し凍結乾燥する。更に残留溶媒除去のため、40℃で3日間真空乾燥してHGF蛋白質含有徐放性マイクロカプセルを得る(生体高分子に対するHGFの配合比率:17.8w/w%)。
DL−乳酸重合体(乳酸/グリコール酸=100/0,重量平均分子量=5,000;和光純薬工業株式会社製)5gを塩化メチレン50mLに溶解し、10w/v%の溶液を調製する。次いで、この溶液にHGF蛋白質凍結乾燥粉末2.5mgを添加する。これを別に40℃に加温しておいた0.5w/v%キトサン水溶液に加え、ホモミキサーを用いて1000rpmの撹拌速度で撹拌し乳化する。得られる乳化液を室温で更に3時間撹拌して塩化メチレンを蒸散させ、次いで、遠心分離(約2,000rpm)して生成したマイクロスフィアを集め、予め40℃に加温してある蒸溜水を用いて5回洗浄し、室温で減圧乾燥し、HGF蛋白質含有マイクロスフィアを得る(生体高分子に対するHGFの配合比率:0.05w/w%)。
乳酸−グリコール酸共重合体(乳酸/グリコール酸=75/25,重量平均分子量=5,000;和光純薬工業株式会社製)10gを塩化メチレン:エタノール(4:1)200mLに溶解し、5w/v%の溶液を調製する。次いで、この溶液にHGF蛋白質凍結乾燥粉末2.5mgを添加する。これを別に40℃に加温しておいた1w/v%ゼラチン水溶液に上記混合溶液を500rpmの速度でホモミキサーを用いて攪拌しながら少量ずつ加え乳化する。得られる乳化液を室温で更に3時間撹拌して塩化メチレンとエタノールを蒸散させ、次いで、遠心分離(約2,000rpm)して生成したマイクロスフィアを集め、予め40℃に加温してある蒸溜水を用いて5回洗浄し、室温で減圧乾燥し、HGF蛋白質含有マイクロスフィアを得る(生体高分子に対するHGFの配合比率:0.025w/w%)。
2w/v%HGF蛋白質水溶液0.2mLと2%アテロコラーゲンのリン酸緩衝液溶液2mLを混合した後凍結乾燥を行う。これを、液体窒素を用いて低温で粉砕した後金型にいれて圧縮成型し円柱状のHGF含有徐放性製剤を得る(生体高分子に対するHGFの配合比率:10w/w%)。
0.01w/v%HGF蛋白質水溶液100mLと2w/v%コラーゲン水溶液50gを均一に混合攪拌し、凍結乾燥する。その後液体窒素を用いて低温粉砕する。これを棒状に圧縮成型し、HGF含有た徐放性製剤を得る(生体高分子に対するHGFの配合比率:1w/w%)。
HGF蛋白質1mgを2w/v%アテロコラーゲン溶液2mLに溶解した後、凍結乾燥を行う。得られた複合体を粉砕した後、円柱状に圧縮成型し、HGF含有徐放性製剤を得る(生体高分子に対するHGFの配合比率:2.5質量%)。
ヒアルロナンのナトリウム塩(極限粘度数4500cc/g)0.58gを20mLの水と混合し、膨潤させる。次にこの混合物に、の2N水酸化ナトリウム2mLを加え、撹拌して均一な溶液とする。2.4mLの水中の0.10gのジビニルスルホンを加えて撹拌する。混合物を70分放置し、得られるゲルをバイオトリス緩衝液(リン酸塩緩衝の0.15M NaCl,pH約7.2)の223mL中に入れ、3時間膨潤させる。次に混合物に1mLの2N HClを加える。1時間後に、0.6mLの2N HClを加え、16時間放置した。0.35mLの2N HClを加え、膨潤ゲルを緩衝液中3日間ゆっくり撹拌する。均一な粘弾性の柔らかなゲルが得られ、これを0.15M NaClで5日間透析する。このゲルを、緩衝食塩水中の1w/v%HGF蛋白質と混合して、HGF蛋白質の最終濃度を0.25w/v%とし、HGF含有製剤を得る(生体高分子に対するHGFの配合比率:約25w/v%)。
Claims (16)
- 有効成分がHGF蛋白質からなり、くも膜下腔内に投与される脊髄損傷治療剤。
- HGF蛋白質が、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質、又は配列番号2で表されるアミノ酸配列と95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなる蛋白質であってマイトゲン活性及びモートゲン活性を有する蛋白質である請求項1に記載の治療剤。
- HGF蛋白質が、配列番号1又は2で表わされるアミノ酸配列からなる蛋白質である請求項1に記載の治療剤。
- くも膜下腔内への投与が、1回単回投与または1回30分〜2週間の持続投与として行われ、単回投与またはこの持続投与が間隔をおいて繰り返されるものである請求項1〜3のいずれかに記載の治療剤。
- くも膜下腔内への投与が、1回単回投与、または単回投与が間隔をおいて繰り返されるものである請求項4に記載の治療剤。
- 1回当たり10μg〜50mg投与される請求項1〜5のいずれかに記載の治療剤。
- 脊髄損傷部位に局所適用するための請求項1〜6のいずれかに記載の治療剤。
- くも膜下内投与用注射剤の剤型である請求項1〜7のいずれかに記載の治療剤。
- 徐放性ポンプによるくも膜下内投与用注射剤の剤型である請求項8に記載の治療剤。
- 注射剤中のHGF濃度が0.01〜0.5w/v%である請求項8又は9に記載の治療剤。
- 脊髄神経の脱髄抑制のために用いられる請求項1〜10のいずれかに記載の治療剤。
- 脊髄損傷が外傷による脊髄損傷である請求項1〜11のいずれかに記載の治療剤。
- 有効成分がHGF蛋白質からなり、かつ脊髄損傷直後から2週以内に、くも膜下腔内に投与されることを特徴とする脊髄損傷治療剤。
- 脊髄損傷直後から4日以内に投与されることを特徴とする、請求項13に記載の脊髄損傷治療剤。
- 脊髄損傷後72時間以降に投与されることを特徴とする、請求項13又は14に記載の脊髄損傷治療剤。
- 脊髄損傷が外傷による脊髄損傷である請求項13〜15のいずれかに記載の治療剤。
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