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JP5411765B2 - 薄膜の作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機電界発光素子、太陽電池等の種々のデバイス、及び反射板、偏光板等の種々の光学部材に利用され可能な薄膜の作製方法、並びに当該方法によって作製された薄膜及び積層膜に関する。
近年のネットワークの拡充や生活スタイルの多様化に伴い、フレキシブル性や大面積といった従来のSi半導体では実現困難な付加価値が電子デバイスに求められており、フィルム上に成膜可能な有機エレクトロニクスが注目されている。
有機電界発光素子、太陽電池等の種々の有機デバイスにおいて、性能向上には機能の異なる有機薄膜を積層成膜することが重要になる。薄膜の作製方法として、一般的に真空蒸着法等のドライプロセス、及びスピンコート法等のウェットプロセスが知られている。
前記ドライプロセスは、厚み一定の均一な有機薄膜を積層して成膜することが可能だが、成膜する材料に高エネルギーを加えるため熱的に不安定な有機材料には適用できず、かつ基材もガラスなどの耐熱性のある材料に限定されてしまうため、材料および基材に制約がある。また、多くか真空プロセスであることから生産性が悪いという問題があった。
一方、ウェットプロセスは、フィルムのようなフレキシブル性のある基材上に簡易に成膜できるため、生産性や大面積化の観点では、ドライプロセスと比べ格段に優れている。例えば、有機溶剤を用いて調製された塗布液を使用する製膜方法として、非特許文献1等に記載のエクストルージョンコーティング法が知られている。当該方法によれば、積層膜の同時塗布も可能である。しかし、上記コーティング法では、塗布液にある程度の粘性が必要である。有機発光層の材料等は、溶剤に溶け難い材料が多く、粘度の高い高濃度の塗布液を調製するのは困難である。また、有機電子デバイスの各層中に、バインダー、増粘剤等を添加することは性能低下につながる場合もあるため、増粘効果のある添加剤の添加も適さない。よって、有機発光層の材料等については、固形分濃度が非常に低い希薄溶液しか調製できない場合が多い。この様な非常に低濃度の溶液を用いて、所望の特性の有機薄膜を形成するためには、当該溶液を厚く塗布する必要が生じるが、低粘度の溶液を厚く塗布するのは困難であり、結果として均一な塗膜が得られない。また、上記コーティング法で単層の薄膜を作製することはできたとしても、同様の方法で積層膜を作製しようとすると、上層の塗膜中の多量の溶媒によって、下層が溶解してしまい、積層膜の作製はさらに困難である。上層の形成時に、下層を溶解しない溶媒を使用することも考えられるが、溶媒の種類が限定されてしまう結果、その溶媒に溶解する材料しか積層成膜できないことになるため、積層成膜が可能な材料が限定されてしまうといった問題がある。
また、スプレー法を利用した有機電界発光素子の作製法(例えば特許文献1)も提案されている。しかし、スプレー法を利用しても、積層膜を作製する際には、上層の溶媒が下層を溶解するという問題を回避するのは困難である。
また、原料液をエアロゾル化し、それを基板上に堆積することで有機薄膜を形成する方法も提案されている(例えば特許文献2)。この方法によれば、ウェットプロセスにもかかわらず下層を溶解しないで積層成膜が可能なため、ドライプロセス及びウェットプロセスの課題を解決できる可能性がある。上層の溶媒によって下層が溶解するのを回避するという観点では、基板到達時の液滴内に残留する溶剤の量は少ないほど好ましい。しかし、溶剤がほとんどない状態の液滴は、粒子形状を維持して堆積するため、形成される膜の表面にも当該粒子形状が反映されてしまい、表面の凹凸のある膜が形成されるという問題がある。成膜後の膜の表面粗さは、例えば素子にした場合の電極との接触に影響を及ぼすため、出来るだけ平滑な方が望ましい。この様に、平滑性改良のため基板到達時の液滴内の溶剤量を上げれば、下層の溶解が進行してしまい、一方、下層の溶解を回避するために、基板到達時の液滴内の溶剤量を下げれば、膜の表面平滑性が失われてしまい、下層の溶解回避と膜の平滑性を両立させるのは困難であった
特開2008−243421号公報 特開2004−160388号公報
Stephen F.Kistler、Petert M.Schwaizer著、"LIQUID FILM COATING"(CHAPMAN&HALL社刊 1997)、401頁〜426頁
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、スプレー製膜において、(1)溶剤を多く含む液滴を堆積させることで下層を溶解してしまうという問題、(2)液滴を乾燥させることによりドライ化(エアロゾル化)し、溶剤をほとんど含まない液滴を堆積させることで膜の平滑性が損なわれるという問題、の2つの問題を同時に解決する方法を提供することを課題とする。
より具体的には、本発明は、下層の溶解を回避しつつ、表面平滑性の高い薄膜を、ウェットプロセスで作製可能な方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者が種々検討した結果、基板到達時の液滴の固形分濃度を時間経過とともに変化させ、堆積初期では固形分濃度が高い(=溶媒が少ない)液滴を堆積させることで下層を溶解させずに成膜することを可能として、且つその後、固形分濃度の低い(=溶媒が多い)液滴を堆積させることで、表面平滑性の高い膜を形成することが可能となるとの知見を得、本発明を完成するに至った。
即ち、上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 溶質を溶媒中に溶解及び/又は分散してなる原料液を噴霧して液滴を形成すること、
液滴中の溶媒を揮発させ濃縮すること、
濃縮された液滴を基板上もしくは基板上に設けられた薄膜の上に堆積させること、
を順次含む薄膜の作製方法であって、
固形分濃度C1の液滴を堆積させた後、C1>C2を満足する固形分濃度C2の液滴を堆積させることを特徴とする薄膜の作製方法。
[2] 基板の材料もしくは基板上に設けられた薄膜の材料を溶解する溶媒の少なくとも一種を含む液滴を堆積させることを特徴とする[1]の方法。
[3] 固形分濃度C1の液滴及び固形分濃度C2の液滴が、互いに同一の固形分組成からなることを特徴とする[1]又は[2]の方法。
[4] 3種以上の互いに固形分濃度が異なる液滴を、固形分濃度が高い液滴から順次堆積させることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかの方法。
[5] 固形分濃度C1で且つ液滴径D1の液滴を堆積させた後、C1>C2及びD1<D2を満足する固形分濃度C2で且つ液滴径D2の液滴を堆積させることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかの方法。
[6] 液滴の固形分濃度C1の液滴を堆積させた後、ノズルに供給される原料液の濃度調整によって堆積させる液滴の固形分濃度をC2まで変化させることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの方法。
[7] 2以上のノズルを使用し、各ノズルから互いに異なる固形分濃度の原料液を時間に応じて制御して噴霧させ、堆積させる液滴の固形分濃度を、C1からC2に変化させることを特徴とする[6]の方法。
[8] 堆積させる液滴の固形分濃度を、液滴の濃縮条件を調整することによって、C1からC2に変化させることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの方法。
[9] 液滴が噴霧され基板もしくは基板上に設けられた薄膜に到達するまでに、液滴が通過する雰囲気の温度を時間に応じて調整することによって、堆積させる液滴の固形分濃度を、C1からC2に変化させることを特徴とする[8]の方法。
[10] 堆積させる液滴の固形分濃度を、噴霧時の液滴径を調整することによって、C1からC2に変化させることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかの方法。
[11] 原料液が、有機半導体、有機発光材料、有機電子輸送材料、及び有機正孔輸送材料から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする[1]〜[10]のいずれかの方法。
[12] 有機半導体層、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔輸送層、及び正孔注入層のいずれかを作製するための方法であることを特徴とする[1]〜[11]のいずれかの方法。
[13] [1]〜[12]のいずれかの方法により同一固形分組成の下層の単層薄膜を作製すること、
該下層の単層薄膜上に、当該下層の単層薄膜と固形分組成の一部もしくは全部が異なる上層の単層薄膜を、[1]〜[12]のいずれかの方法により作製すること、
を少なくとも含む積層薄膜の作製方法。
[14] [1]〜[12]のいずれかの方法、又は[13]の方法によって作製され、且つ下層と上層とが混合している領域が厚み10nm以下であることを特徴とする積層薄膜。
本発明によれば、スプレー製膜において、(1)溶剤を多く含む液滴を堆積させることで下層を溶解してしまう問題、(2)液滴を乾燥によりドライ化(エアロゾル化)し、溶剤をほとんど含まない液滴を堆積させることで膜の平滑性が損なわれるという問題、の2つの問題を同時に解決する方法を提供することができる。
より具体的には、本発明によれば、下層の溶解を回避しつつ、表面平滑性の高い薄膜を、ウェットプロセスで作製可能な方法を提供することができる。
本発明の薄膜の作製方法を実施可能なスプレー製膜装置の一例の模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、溶質を溶媒中に溶解及び/又は分散してなる原料液を噴霧して液滴を形成すること、
液滴中の溶媒を揮発させ濃縮すること、
濃縮された液滴を基板上もしくは基板上に設けられた薄膜の上に堆積させること、
を順次含む薄膜の作製方法であって、
固形分濃度C1の液滴を堆積させた後、C1>C2を満足する固形分濃度C2の液滴を堆積させることを特徴とする薄膜の作製方法に関する。
本発明の薄膜の作製方法の特徴の一つは、基板等の表面到達時の液滴の固形分濃度を、時間で変化させていることである。より具体的には、本発明では、堆積初期では固形分濃度が高い(=溶媒が少ない)液滴を堆積させることで、下層(下層は基板であっても有機薄膜等の薄層であってもよい)を溶解せずに、液滴堆積による成膜を可能としている。その後、固形分濃度の低い(=溶媒が多い)液滴を堆積させることで、液滴を被堆積面上に広がらせると共にその流動による表面レベリング能を利用して、表面平滑性が高い膜の作製を可能としている。
以下、本発明の製造方法の各工程について、詳細に説明する。
(1)液滴形成工程
まず、有機材料を溶媒中に溶解及び/又は分散してなる原料液を噴霧して液滴を形成する。前記原料液の調製に用いられる材料及び溶媒については特に制限はない。所望の物性の有機薄膜を形成するために、種々の材料から選択される。本発明の方法では、材料は過度に高温に曝されないので、耐熱性等について制限はない。高分子材料であっても低分子材料であってもよい。また、金属錯体等であってもよい。よって、材料との親和性等の観点で適するものを、溶媒から選択することができる。勿論、溶媒として水を利用してもよく、また水と有機溶媒との混合溶媒を利用してもよい。噴霧に適する溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、メチエルエチルケトン、トルエン、メタノール、エタノール、ヘキサン、ベンゼン、アセトン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン、クロロベンゼン、クロロホルム等が挙げられる。
また、原料液の調製に用いられる溶媒として、液滴を堆積させる基板の材料もしくは基板上に設けられた薄膜の材料を溶解する溶媒を少なくとも一種用いることもできる。これは、堆積初期に基板及び下層の薄膜に到達する液滴の固形分濃度が高く、即ち溶媒量が少ないので、基板等が液滴中の溶媒によってわずかしか溶解しないためである。加えて、この微量の溶媒による基板等の溶解は、形成される膜とその下の基板もしくは薄膜との結合を促すため、密着性が改善されるので好ましく、かつ特に有機エレクトロニクスにおいては、界面による電子・正孔の移動の障壁となる界面の影響が緩和されて性能が向上する。一方、初期堆積後に、溶媒をより多く含む液滴を堆積すると、基板到達時に液滴が広がると共に、堆積初期で形成された膜の極表面の一部を溶解し流動性を持たせることでレベリングが生じ、膜の平滑性が向上する。
液滴形成工程では、原料液を噴霧し液滴を形成する。液滴化する方法については特に制限はなく、種々の方法を利用することができる。例えば、原料液を、所定のガス圧力及び流量のキャリアガスと混合することで、原料液をキャリアガス中に浮遊した液滴とすることができる。キャリアガスとしては、特に制限はない。空気を利用してもよい。また原料を変質させないためには、不活性ガスが好ましく、窒素、アルゴン、ヘリウム等を利用するのが好ましい。キャリアガスのガス圧及び流量は、レギュレータを利用して制御することができる。また、液滴化は、超音波振動などを利用して実施することもできる。
液滴の粒径については特に制限はないが、一般的には、0.1〜100μm程度であるのが好ましく、1〜10μm程度であるのがより好ましい。また、発生させる液滴の液滴径分布は狭いほど好ましいが、ある程度の分布は避けられない。一般的には、1〜100μmの液滴径分布を有する。
噴霧する原料液の濃度に関しても特に制限はないが、有機電子デバイスの有機材料は難溶性のものが多く、一般的には、0.00001〜1質量%が望ましく、0.0001〜0.01質量%がより好ましい。
噴霧する原料液の溶質として使用される材料は、例えば有機EL等の有機電子デバイスの各有機薄膜層の作製に利用される有機材料等から選択することができる。一例は、有機ELの発光層用の有機材料であり、発光材料およびホスト材料用の有機化合物である。以下、有機EL素子の各有機薄膜用の材料であって、本発明の製造方法に、原料液の溶質として利用可能な種々の化合物についての詳細は、後述する。
(2)濃縮工程
次に、前記液滴形成工程で形成された液滴を濃縮する。チャンバー等の仕切られた空間に発生させ、所定の形状のチャンバー開口部から基板方向に噴出させるのが好ましい。チャンバー開口部から液滴を基板方向に噴出する前に、液滴を加熱するのが好ましい。加熱することにより、液滴中の溶媒が除去され、固形分濃度の高い小粒径のミストとなる。加熱温度は、原料液の調製に用いた溶媒の沸点以下の温度とするのが好ましい。
(3)堆積工程
次に、液滴を基板上に堆積させて薄膜を形成する。本発明では、時間によって、前記基板上に到達する際の液滴の固形分濃度を変化させる。より具体的には、固形分濃度C1の液滴を堆積させた後、C1>C2を満足する固形分濃度C2の液滴を堆積させる。C1とC2の濃度比については、選択される溶質の種類や、形成される薄膜に要求される表面平滑性の程度、薄膜の厚み等に応じて決定される。C1/C2が2以上であれば、本発明の効果が得られるであろう。また、スプレー法を利用した薄膜の作製方法では、C1/C2の上限値は1000程度である。なお、液滴の「固形分濃度」とは、液滴から溶媒を除いた溶質の濃度を意味する。
一般的に同じ固形分濃度の原料液から形成した液滴径を濃縮した場合、液滴の固形分濃度が高い程、液滴の液滴径が小さくなる。よって、本発明の一態様では、固形分濃度C1で且つ液滴径D1の液滴を堆積させた後、C1>C2及びD1<D2を満足する固形分濃度C2で且つ液滴径D2の液滴を堆積させる。但し、噴霧条件等を調整することで、液滴の固形分濃度と液滴径との関係は、必ずしても上記通りの関係とはならないので、この態様に限定されるものではない。
また、本発明の一態様では、固形分濃度C1の液滴及び固形分濃度C2の液滴が、互いに同一の固形分組成からなる。即ち、本態様では、同一固形分組成の単層の薄膜が形成される。ここで、「固形分組成が同一」とは、薄膜を構成している材料が同一であり、材料が複数の場合には、その組成比も同一であることを意味する。この態様では、固形分濃度C1及び固形分濃度がC2の液滴の固形分組成は同一であり、堆積後、溶媒が除去されると、単層の薄膜となる。
基板等の被堆積面に到達する際の液滴の固形分濃度は、
前記濃縮工程における液滴の濃縮条件、
前記液滴形成工程における噴霧する原料液の固形分濃度、及び
前記液滴形成工程における噴霧時の液滴径、
の少なくとも1つを、時間に応じて調整することによって、C1からC2に変化させることができる。変化は連続的であっても非連続的であってもよい。前者の態様では、固形分濃度C1の液滴を堆積させた後、堆積させる液滴の固形分濃度を、原料液の濃度調整等によって、連続的にC2まで変化させる。
一例は、濃縮工程において、基板等に到達時の液滴の固形分濃度を調整する方法である。具体的には、液滴が噴霧され、基板に到達するまでに液滴が通過する雰囲気の温度を調整する。雰囲気の温度が高いほど、当該雰囲気を通過して基板等に到達する際の液滴の固形分濃度は低くなる。よって、堆積初期には、液滴が通過する雰囲気の温度を高く設定する。その後、液滴が通過する雰囲気の温度を低くすることで、固形分濃度が低い、即ち溶媒を多く含む液滴を、初期堆積によって形成された堆積粒子膜上に堆積させることができる。固形分濃度が低く、溶媒を多く含む液滴は、堆積粒子膜上で伸び広がり、そのレベリング効果により高い平滑性の膜となる。
この例では、液滴は、内部の温度が制御可能に構成されたチャンバー等の内部を通過して、基板等の被堆積面に到達するのが好ましい。例えば、チャンバーの外側周囲に、ヒータや熱水・熱風の流路等の加熱手段を配置して、チャンバーの内部の温度を制御するのが好ましい。例えば、液滴の噴霧開始から所定の時間は、チャンバー内部の温度をT1℃に維持し、所定の時間経過後に、温度T2℃(T1>T2)まで低下させることにより、チャンバー内部の温度がT1℃に制御されている間は、固形分濃度C1の液滴を堆積させ、チャンバー内部の温度がT2℃に制御されている間は、固形分濃度C2の液滴を堆積させることができる。チャンバー内部の温度がT1℃からT2℃まで低下する間も噴霧を続ければ、堆積する液滴の固形分濃度C1は連続的にC2まで変化するであろうし、チャンバー内部の温度がT1℃からT2℃まで低下する間は噴霧を中止し、T2℃になってから噴霧を再び開始すれば、堆積する液滴の固形分濃度C1はC2に不連続に変化するであろう。
また、濃縮工程における濃縮条件には、噴霧された液滴が基板に到達するまでの距離も含まれる。距離が長いほど、即ち液滴が加熱雰囲気を通過する時間が長いほど、基板等に到達する際の液滴の固形分濃度が高くなり、距離が短いほど、即ち液滴が加熱雰囲気を通過する時間が短いほど、基板等に到達する際の液滴の固形分濃度は低くなるであろう。よって、例えば、液滴を噴霧するノズルの位置、及び/又は基板等の被堆積面の位置を、変化させることで、基板等の被堆積面に到達する際の液滴の固形分濃度を調整することができる。
この例では、基板及び/又はノズルの支持部材として、可動性の支持部材を用いるのが好ましい。
また、液滴が通過する雰囲気の圧力も、液滴の濃縮の程度に影響を与えるので、チャンバー内部の圧力を時間に応じて制御することでも、同様の効果がある。
また、基板等に到達時の液滴の固形分濃度を調整可能な他の例は、液滴形成工程に用いられる原料液の固形分濃度を調整する方法である。具体的には、複数の固形分濃度の原料液を準備し、堆積初期においては、最も高い固形分濃度の原料液を液滴として噴霧させ、固形分濃度の高い液滴を基板等の被堆積面に堆積させて、粒子膜を形成した後、固形分濃度の低い原料液を液滴として噴霧させ、固形分濃度が低い液滴を、初期堆積によって形成された堆積粒子膜上に堆積させることができる。固形分濃度が低く、溶媒を多く含む液滴は、粒子膜上で伸び広がり、そのレベリング効果により高い平滑性の膜となる。
この例では、異なる固形分濃度の原料液が複数用いられるので、液滴を噴霧するノズルも複数用いてもよい。複数のノズルを用いることで、各ノズルからの液滴の噴霧のON・OFFを、時間に応じて制御すれば、液滴の固形分濃度を時間経過とともに調整することができる。勿論、一つのノズルから、時間に応じて、互いに異なる濃度の原料液を液滴として噴霧してもよい。この例では、一つのノズルに、複数の供給口から濃度の異なる原料液が供給される。各供給口からの原料液の供給のON・OFFを、時間に応じて制御することで、一つのノズルから、互いに異なる濃度の原料液を液滴として噴霧することができる。
この例では、互いに異なる固形分濃度の複数の原料液を準備する。各原料液の濃度比は、溶質の種類、形成される薄膜に要求される表面平滑性、膜厚等に応じて決定されるであろう。一例では、堆積初期では、0.0001〜1質量%の濃度の原料液が液滴として噴霧され、その後、0.00001〜0.1質量%の濃度の原料液が液滴として噴霧される。
また、液滴の固形分濃度調整の他の例は、液滴形成工程における噴霧条件を調整する方法である。通常、原料液が加圧ガスと混合されることで、原料液を液滴として噴霧することが可能となるが、例えば、この混合の際の、単位時間当たりの原料液の流量、及び/又は単位時間当たりのガスの流量を、時間に応じて制御すれば、噴霧される液滴径を時間経過で変化させることができる。液滴径が小さければ、それだけ溶媒量が少なく、固形分濃度が高い液滴であるので、堆積初期は、小さい径の液滴が噴霧されるように噴霧条件を調整し、所定の時間経過後に、大きな径の液滴が噴霧されるように噴霧条件を変化させる。この例によれば、一種類の固形分濃度の原料液を用いることにより、異なる固形分濃度の原料液を複数用いる上記方法と、同様の効果が得られる。
本発明の方法では、3種以上の互いに固形分濃度が異なる液滴を、固形分濃度が高い液滴から順次堆積させてもよい。即ち、固形分濃度がC2の液滴を堆積させた後、さらにその上に、固形分濃度C2>C3を満足する固形分濃度C3の液滴を堆積させてもよく、またさらに固形分濃度がC3より低い液滴をその上に1以上堆積させてもよい。
(4)積層工程
また、本発明は、積層膜の作製方法にも有用である。上記(1)〜(3)工程をn(nは2以上の整数)回繰り返すことで、n層の積層薄膜を作製することができる。具体的には、上記(1)〜(3)工程により、表面平滑性の高い同一固形分組成からなる単層薄膜(下層薄膜)を形成した後、この下層薄膜上で、固形分組成の異なる原料液を用いて、上記(1)〜(3)工程を繰り返すことで、上層の薄膜を形成し、積層膜を作製することができる。上層の薄膜も上記(1)〜(3)工程により作製しているので、上層の液滴中の溶媒による下層の溶解を回避することができ、及び高い表面平滑性の積層薄膜を作製することができる。上層の形成に用いる原料液は、下層の形成に用いる原料液と、固形分組成の少なくとも一部が異なっている。例えば、1種以上の材料が異なっていてもよいし、及び/又は材料の割合が異なっていてもよい。
また、上記(1)〜(3)工程により、材料Aの単層薄膜(下層薄膜)を形成した後、この下層薄膜上で、上記(1)〜(3)工程を繰り返すことで、材料Bの単層薄膜(上層薄膜)を形成する際に、初期堆積時に微量溶剤を残留させれば、下層薄膜の表面近傍をわずかに溶解しつつ、上層薄膜が成膜される。このようにすることで下層と上層との密着性が向上するだけではなく、上層と下層との界面が弱くなり、厚み方向に材料A/Bの濃度勾配が形成される。これによって、例えば、電子・正孔移動時の障害が緩和され性能が向上する場合がある。本発明の方法では、下層と上層とが混合した領域の厚みを10nm以下とすることができる。即ち、下層と上層とが混合した領域の厚みを、数nm程度にできる。
本発明の方法により形成される薄膜の厚みについては特に制限はないが、本発明の方法は、特に薄膜の形成に有利であり、特に、0.01〜10μm程度の薄膜の形成に適し、薄膜の厚みは、より好ましくは、0.01〜1μm、さらに好ましくは0.01〜0.1μmである。
また、堆積初期の固形分濃度C1の液滴を、1〜50nm程度堆積させた後に、固形分濃度がC1より低いC2の液滴を、さらに所望により固形分濃度がC2より低い液滴を、所望の膜厚になるまで堆積させることが望ましい。
本発明では、ミスト発生方向と同一方向に、即ち基板方向にガスを流してもよい。ガスとして不活性ガスが好ましく、窒素、アルゴン、ヘリウムなどを利用するのが好ましい。ガスを流すことにより、製膜レートを改善することができる
また、本発明では、基板等の被堆積面に部分的にまたは全体に電位をかけてもよい。基板に電位をかけることで、液滴との間に電位差をもたせると、基板の液滴に対する吸引力が高まり、液滴が他の部分に付着するのを軽減でき、製膜レートを改善できる。また、基板に、電位を与えることで有機薄膜密度を調整することもできる。液滴が帯電している態様では、基板には、液滴と逆の電位を与えるのが好ましく、電位差を生じるように、具体的には、液滴が電位している電荷とは逆の電位を与えるのが好ましい。
なお、上記した通り、基板等の被堆積面に、部分的に電位をかけて、所望のパターン状・画像状の有機薄膜を形成することもできる。
必要であれば、形成された薄膜をさらに乾燥してもよい。乾燥は、基板を支持する部材等から基板に対して熱を供給し、基板面をあらかじめ高温にしておくことによって実施することができる。また、温風を供給することによって乾燥してもよい。乾燥により、形成された膜内に残留する溶媒が除去されるので、好ましい。
本発明の薄膜の作製方法を実施可能なスプレー製膜装置の一例の模式図を図1に示す。
図1のスプレー製膜装置10は、シリンジポンプ16から供給される原料液が、ガスボンベ20からレギュレータ18によって流量を制御されて供給されるガス(例えば、N2ガス)と、二流体ノズル12の内部で混合され、液滴として、チャンバー14内部に噴霧される。チャンバー14の内部は、例えば、その外側周囲に設けられたヒータや、その外側周囲の流路を熱水・熱風が通ることにより温度を制御可能に構成されている。ノズル12から噴霧された液滴は、チャンバー14の内部で濃縮され、濃縮液滴が、基板ホルダ24によって支持された基板22の表面に堆積し、膜が形成される。
本発明の方法を実施する一態様では、チャンバー14内部を加熱するヒータ等の加熱手段を時間で制御し、堆積初期は高い温度で加熱し、所定の時間経過後に、チャンバー14内部の温度が低下するように制御する。
また、他の態様では、基板ホルダ24が上下に可動であり、その位置は時間で制御され、堆積初期は、二流体ノズル12と基板の被堆積面の距離を長く設定し、所定の時間経過後に、二流体ノズル12と基板の被堆積面の距離が短くなるように制御する。
また、他の態様では、シリンジポンプ16は、固形分濃度が異なる複数の原料液を流体ノズルに供給可能に構成されていて、時間によって各供給口からの原料液の供給のON・OFFを制御し、堆積初期は、固形分濃度の高い原料液を供給し、所定の時間経過後に、固形分濃度の低い原料液の供給に切り替わるように制御する。
また、他の態様では、基板ホルダ24は、水平方向に可動であり、図1のスプレー製膜ユニットが複数配置された流路を、基板22を固定して移動する。堆積初期では、チャンバー14内部が高い温度に設定された、及び/又は固形分濃度が高い原料液の液滴が噴霧される第1のスプレー製膜ユニットにより、基板22の表面に、高い固形分濃度の液滴の堆積粒子膜が形成される。所定の時間経過後、基板ホルダ24が水平に移動し、チャンバー14内部が、第1のユニットより低い温度に設定された、及び/又は固形分濃度が第1のユニットより低い原料液の液滴が噴霧される第2のスプレー製膜ユニットにより、第1のユニットで形成された堆積粒子膜上に、固形分濃度が低い、即ち溶媒量が多い液滴が堆積され、表面平滑性の高い薄膜が形成される。
なお、スプレー製膜ユニットを3以上配置してもよい。
また、他の態様では、シリンジポンプ16を、ノズル12に供給する原料液の単位時間当たりの流量が時間に応じて変化するように制御し、及び/又はレギュレータ18を、ノズル12に供給する加圧ガスの単位時間当たりの流量が時間に応じて変化するように制御し、堆積初期は、小さな液滴径、即ち固形分濃度の高い液滴を、ノズル12から噴霧させ、所定の時間経過後に、大きな液滴、即ち固形分濃度の低い液滴を、噴霧させるように制御する。
但し、図1に示すスプレー製膜装置は一例であって、図1の構成に限定されるものではない。また、図1に示すスプレー製膜装置は、基板に電位を与える電圧印加手段、チャンバー内部に噴霧方向に沿って不活性ガス等を送風する送風手段、チャンバー内部のガスを排出する排出口等を有していてもよい。
本発明の方法において、液滴を堆積させる基板の材質についても特に制限はない。例えば、金属、金属酸化物、ガラス、シリコン等の無機材料からなる基板であっても、高分子材料等の有機材料からなる基板であってもよい。また、いずれも、無機材料及び/又は有機材料を含む層を有していてもよく、当該層上に液滴を堆積させて有機薄膜を形成してもよい。例えば、ITO薄膜等の無機薄膜上に堆積させてもよいし、PTPDES−2、PEDOT−PSS、TPD、及びNPD等からなる有機薄膜上に堆積させてもよい。
本発明の作製方法は、蒸着のようなドライプロセスには適さない有機材料(有機分子を配位子として有する錯体も含む)の薄膜を形成するのに有用である。特に、有機半導体、有機発光材料、有機電子輸送材料、及び有機正孔輸送材料等の有機電子デバイス用の材料は、難溶性の有機化合物が多いので、それらの材料の薄膜を形成するのに有用である。また、本発明の方法は、高い表面平滑性が求められる、有機電子デバイスの有機半導体層、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔輸送層、及び正孔注入層の作製において、特に有用である。
例えば、本発明の方法を、有機ELの発光層の形成に利用する態様では、原料の溶質には、発光材料およびホスト材料用の有機化合物が用いられる。以下、有機EL素子の発光層用の材料を例に挙げて、原料液の溶質として利用可能な種々の化合物について説明する。
(i) 発光材料
有機EL用の発光材料としては、蛍光発光材料及び燐光発光材料が知られている。本発明の作製方法では、いずれの発光材料も溶質として用いることができる。
(a) 燐光発光材料
燐光発光材料としては、一般に、遷移金属原子又はランタノイド原子を含む金属錯体を挙げることができる。
遷移金属原子としては、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、及び白金が挙げられ、より好ましくは、レニウム、イリジウム、及び白金であり、更に好ましくはイリジウム、白金である。
ランタノイド原子としては、例えばランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、およびルテシウムが挙げられる。これらのランタノイド原子の中でも、ネオジム、ユーロピウム、及びガドリニウムが好ましい。
錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry,Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」Springer−Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子などが挙げられる。
具体的な配位子としては、好ましくは、ハロゲン配位子(好ましくは塩素配位子)、芳香族炭素環配位子(例えば、シクロペンタジエニルアニオン、ベンゼンアニオン、またはナフチルアニオンなど)、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、またはフェナントロリンなど)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトンなど)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子など)、アルコラト配位子(例えば、フェノラト配位子など)、一酸化炭素配位子、イソニトリル配位子、シアノ配位子であり、より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。
上記金属錯体は、化合物中に遷移金属原子を一つ有してもよいし、また、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。
異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
これらの中でも、発光材料の具体例としては、例えば、US6303238B1、US6097147、WO00/57676、WO00/70655、WO01/08230、WO01/39234A2、WO01/41512A1、WO02/02714A2、WO02/15645A1、WO02/44189A1、特開2001−247859、特開2002−302671、特開2002−117978、特開2002−225352、特開2002−235076、特開2003−123982、特開2002−170684、EP 1211257、特開2002−226495、特開2002−234894、特開2001−247859、特開2001−298470、特開2002−173674、特開2002−203678、特開2002−203679、特開2004−357791、特開2006−256999等の特許文献に記載の燐光発光化合物などが挙げられる。
(b)蛍光発光材料
蛍光性の発光性ドーパントとしては、一般には、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ピラン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、縮合多環芳香族化合物(アントラセン、フェナントロリン、ピレン、ペリレン、ルブレン、又はペンタセンなど)、8−キノリノールの金属錯体、ピロメテン錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン、およびこれらの誘導体などを挙げることができる。
(ii) ホスト材料
有機EL素子の発光層のホスト材料としては、正孔輸送性ホスト材料及び電子輸送性ホスト材料が知られている。本発明の作製方法では、いずれのホスト材料も溶質として用いることができる。
(a)電子輸送性ホスト材料
電子輸送性ホスト材料としては、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、電子親和力Eaが2.5eV以上3.5eV以下であることが好ましく、2.6eV以上3.4eV以下であることがより好ましく、2.8eV以上3.3eV以下であることが更に好ましい。
また、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、イオン化ポテンシャルIpが5.7eV以上7.5eV以下であることが好ましく、5.8eV以上7.0eV以下であることがより好ましく、5.9eV以上6.5eV以下であることが更に好ましい。
このような電子輸送性ホストとしては、具体的には、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、およびそれらの誘導体(他の環と縮合環を形成してもよい)、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等を挙げることができる。
電子輸送性ホストとして好ましくは、金属錯体、アゾール誘導体(ベンズイミダゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体等)、アジン誘導体(ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体等)であり、中でも、本発明においては耐久性の点から金属錯体化合物が好ましい。
金属錯体化合物は金属に配位する少なくとも1つの窒素原子または酸素原子または硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体がより好ましい。
金属錯体中の金属イオンは特に限定されないが、好ましくはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、インジウムイオン、錫イオン、白金イオン、またはパラジウムイオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、白金イオン、またはパラジウムイオンであり、更に好ましくはアルミニウムイオン、亜鉛イオン、白金イオン、またはパラジウムイオンである。
前記金属錯体中に含まれる配位子としては種々の公知の配位子が有るが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」、Springer−Verlag社、H.Yersin著、1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」、裳華房社、山本明夫著、1982年発行等に記載の配位子が挙げられる。
前記配位子として、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数3〜15であり、単座配位子であっても2座以上の配位子であっても良い。
好ましくは2座以上6座以下の配位子である。
また、2座以上6座以下の配位子と単座の混合配位子も好ましい。
配位子としては、例えばアジン配位子(例えば、ピリジン配位子、ビピリジル配位子、ターピリジン配位子などが挙げられる)、ヒドロキシフェニルアゾール配位子(例えば、ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール配位子、ヒドロキシフェニルベンズオキサゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾピリジン配位子などが挙げられる。)、アルコキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ、4−ビフェニルオキシなどが挙げられる。)、
ヘテロアリールオキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、およびキノリルオキシなどが挙げられる。)、アルキルチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロアリールチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、および2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、シロキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、トリフェニルシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、およびトリイソプロピルシロキシ基などが挙げられる。)、芳香族炭化水素アニオン配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニルアニオン、ナフチルアニオン、およびアントラニルアニオンなどが挙げられる。)、芳香族ヘテロ環アニオン配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜25、特に好ましくは炭素数2〜20であり、例えばピロールアニオン、ピラゾールアニオン、ピラゾールアニオン、トリアゾールアニオン、オキサゾールアニオン、ベンゾオキサゾールアニオン、チアゾールアニオン、ベンゾチアゾールアニオン、チオフェンアニオン、およびベンゾチオフェンアニオンなどが挙げられる。)、インドレニンアニオン配位子などが挙げられ、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ基、またはシロキシ配位子であり、更に好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、シロキシ配位子、芳香族炭化水素アニオン配位子、または芳香族ヘテロ環アニオン配位子である。
金属錯体電子輸送性ホスト材料の例としては、例えば特開2002−235076、特開2004−214179、特開2004−221062、特開2004−221065、特開2004−221068、特開2004−327313等に記載の化合物が挙げられる。
前記電子輸送性ホスト材料としては、具体的には、例えば、以下の材料を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005411765
Figure 0005411765
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電子輸送層ホスト材料としては、E−1〜E−6、E−8、E−9、E−10、E−21、またはE−22が好ましく、E−3、E−4、E−6、E−8、E−9、E−10、E−21、またはE−22がより好ましく、E−3、E−4、E−8、E−9、E−21、またはE−22が更に好ましい。
(b) 正孔輸送性ホスト材料
正孔輸送性ホスト材料としては、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、イオン化ポテンシャルIpが5.1eV以上6.4eV以下であることが好ましく、5.4eV以上6.2eV以下であることがより好ましく、5.6eV以上6.0eV以下であることが更に好ましい。
また、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、電子親和力Eaが1.2eV以上3.1eV以下であることが好ましく、1.4eV以上3.0eV以下であることがより好ましく、1.8eV以上2.8eV以下であることが更に好ましい。
このような正孔輸送性ホスト材料としては、具体的には、例えば、以下の材料を挙げることができる。
ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、アザカルバゾール、ピラゾール、イミダゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマチオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、及びそれらの誘導体等が挙げられる。
中でも、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、アザインドール誘導体、アザカルバゾール誘導体、芳香族第三級アミン化合物、チオフェン誘導体が好ましく、特に分子内にインドール骨格、カルバゾール骨格、アザインドール骨格、アザカルバゾール骨格および/または芳香族第三級アミン骨格を複数個有するものが好ましい。
前記正孔輸送性ホスト材料としての具体的化合物としては、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0005411765
Figure 0005411765
Figure 0005411765
Figure 0005411765
本発明の薄膜の作製方法及び積層膜の作製方法は、有機EL素子等の有機電子デバイスの作製に利用可能である。以下、本発明の方法により作製可能な有機EL素子の一例の構成について、詳細に説明する(以下、本発明の有機EL素子と表現する)。
本発明の有機EL素子は基板上に陰極と陽極を有し、両電極の間に発光層を含む複数の有機化合物層を有する。更に発光層の両側には有機化合物層が隣接して構成される。
発光層に隣接している有機化合物層と電極の間には、更に有機化合物層を有していてもよい。
発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明であることが好ましい。
通常の場合、陽極が透明である。
本発明における有機化合物層の積層の態様としては、陽極側から、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。
更に、正孔輸送層と発光層との間、又は、発光層と電子輸送層との間には、電荷ブロック層等を有していてもよい。
本発明の有機電界発光素子における有機化合物層の好適な態様は、陽極側から順に、少なくとも、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層、及び電子注入層、を有する態様である。
尚、発光層と電子輸送層との間に正孔ブロック層を有した場合には、発光層と隣接する有機化合物層は、陽極側が正孔輸送層になり、陰極側が正孔ブロック層となる。
また、陽極と正孔輸送層との間に、正孔注入層を有してもよく、陰極と電子輸送層との間には、電子注入層を有してもよい。
尚、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
<基板>
有機EL素子の基板としては、発光層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。その具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、およびポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。
例えば、基板としてガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。
また、ソーダライムガラスを用いる場合には、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。
有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。
一般的には、基板の形状としては、板状であることが好ましい。
基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
基板は、無色透明であっても、有色透明であってもよいが、有機発光層から発せられる光を散乱又は減衰等させることがない点で、無色透明であることが好ましい。
基板には、その表面又は裏面に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。
透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
<陽極>
陽極は、通常、有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物が好適に挙げられる。
陽極材料の具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。
この中で好ましいのは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが好ましい。
陽極は、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、陽極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って、前記基板上に形成することができる。
例えば、陽極の材料として、ITOを選択する場合には、陽極の形成は、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。
本発明の有機電界発光素子において、陽極の形成位置としては特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができる。
この場合、陽極は、基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
なお、陽極を形成する際のパターニングとしては、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
陽極の厚みとしては、陽極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常、10nm〜50μm程度であり、50nm〜20μmが好ましい。
陽極の抵抗値としては、103Ω/□以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。
陽極が透明である場合は、無色透明であっても、有色透明であってもよい。
透明陽極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
なお、透明陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、ここに記載される事項を本発明に適用することができる。
耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITO又はIZOを使用し、150℃以下の低温で成膜した透明陽極が好ましい。
<陰極>
陰極は、通常、有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
陰極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられる。
具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、およびイッテルビウム等の希土類金属などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
これらの中でも、陰極を構成する材料としては、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されており、これらの公報に記載の材料は、本発明においても適用することができる。
陰極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。
例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、前記した陰極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って形成することができる。
例えば、陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
陰極を形成するに際してのパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
本発明において、陰極形成位置は特に制限はなく、有機化合物層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と前記有機化合物層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1nm〜5nmの厚みで挿入してもよい。
この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。
誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
陰極の厚みは、陰極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μm程度であり、50nm〜1μmが好ましい。
また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。
なお、透明な陰極は、陰極の材料を1nm〜10nmの厚さに薄く成膜し、更にITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
<有機化合物層>
本発明における有機化合物層について説明する。
本発明の有機EL素子は、発光層を含む少なくとも一層の有機化合物層を有しており、発光層以外の他の有機化合物層としては、正孔輸送層、電子輸送層、電荷ブロック層、正孔注入層、電子注入層等の各層が挙げられる。これらの有機化合物層のうち、一以上の層が、本発明の作製方法より作製される。
−有機化合物層の形成−
本発明の有機電界発光素子において、有機化合物層を構成する各層は、本発明に示す装置以外にも、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、湿式塗布方式、転写法、印刷法、インクジェット方式等いずれによっても好適に形成することができる。本発明の作製方法により形成することが好ましい。
−正孔注入層、正孔輸送層−
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。本発明の作製方法により形成することが好ましい。
本発明の正孔注入層、正孔輸送層に使用できる材料としては、特に限定はなく、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
具体的には、ピロール誘導体、カルバゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、チオフェン誘導体、有機シラン誘導体、カーボン、フェニルアゾール、フェニルアジンを配位子に有する金属錯体、等を含有する層であることが好ましい。
本発明の有機EL素子の正孔注入層あるいは正孔輸送層には、電子受容性ドーパントを含有させることができる。
正孔注入層、あるいは正孔輸送層に導入する電子受容性ドーパントとしては、電子受容性で有機化合物を酸化する性質を有すれば、無機化合物でも有機化合物でも使用できる。
具体的には、無機化合物は塩化第二鉄や塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、五塩化アンチモンなどのハロゲン化金属、五酸化バナジウム、および三酸化モリブデンなどの金属酸化物などが挙げられる。
有機化合物の場合は、置換基としてニトロ基、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基などを有する化合物、キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレンなどを好適に用いることができる。
この他にも、特開平6−212153、特開平11−111463、特開平11−251067、特開2000−196140、特開2000−286054、特開2000−315580、特開2001−102175、特開2001−160493、特開2002−252085、特開2002−56985、特開2003−157981、特開2003−217862、特開2003−229278、特開2004−342614、特開2005−72012、特開2005−166637、特開2005−209643等に記載の化合物を好適に用いることが出来る。
これらの電子受容性ドーパントは、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
電子受容性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、正孔輸送層材料に対して0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.05質量%〜20質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
正孔輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜300nmであるのがより好ましく、10nm〜200nmであるのが更に好ましい。
また、正孔注入層の厚さとしては、0.1nm〜500nmであるのが好ましく、0.5nm〜300nmであるのがより好ましく、1nm〜200nmであるのが更に好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
−電子注入層、電子輸送層−
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。本発明の作製方法により形成することが好ましい。
本発明の電子注入層、電子輸送層に使用できる材料として特に限定は無く、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
具体的には、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、フタラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、シロールに代表される有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
本発明の有機EL素子の電子注入層あるいは電子輸送層には、電子供与性ドーパントを含有させることができる。
電子注入層、あるいは電子輸送層に導入される電子供与性ドーパントとしては、電子供与性で有機化合物を還元する性質を有していればよく、Liなどのアルカリ金属、Mgなどのアルカリ土類金属、希土類金属を含む遷移金属や還元性有機化合物などが好適に用いられる。
金属としては、特に仕事関数が4.2eV以下の金属が好適に使用でき、具体的には、Li、Na、K、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、Cs、La、Sm、Gd、およびYbなどが挙げられる。
また、還元性有機化合物としては、例えば、含窒素化合物、含硫黄化合物、含リン化合物などが挙げられる。
この他にも、特開平6−212153、特開2000−196140、特開2003−68468、特開2003−229278、特開2004−342614等に記載の材料を用いることが出来る。
これらの電子供与性ドーパントは、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
電子供与性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、電子輸送層材料に対して0.1質量%〜30質量%であることが好ましく、0.1質量%〜20質量%であることが更に好ましく、0.1質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
電子注入層、電子輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
−ホールブロック層−
ホールブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明の作製方法により形成することが好ましい。
本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機化合物層として、ホールブロック層を設けることができる。
ホールブロック層を構成する化合物の例としては、BAlq等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、BCP等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
ホールブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
ホールブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
−電子ブロック層−
電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が、陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明の作製方法により形成することが好ましい。
本発明において、発光層と陽極側で隣接する有機化合物層として、電子ブロック層を設けることができる。
電子ブロック層を構成する化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが適用できる。
電子ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
ホールブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
<保護層>
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al23、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe23、Y23、TiO2等の金属酸化物、SiNx、SiNxy等の金属窒化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。また、保護層は、本発明の作製方法により形成してもよい。
<封止>
さらに、本発明の有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。
水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、および酸化マグネシウム等を挙げることができる。
不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、およびシリコーンオイル類が挙げられる。
<駆動>
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書、等に記載の駆動方法を適用することができる。
本発明の発光素子は、種々の公知の工夫により、光取り出し効率を向上させることができる。
例えば、基板表面形状を加工する(例えば微細な凹凸パターンを形成する)、基板・ITO層・有機層の屈折率を制御する、基板・ITO層・有機層の膜厚を制御すること等により、光の取り出し効率を向上させ、外部量子効率を向上させることが可能である。
本発明の発光素子は、陽極側から発光を取り出す、いわゆる、トップエミッション方式であってもよい。
上記では、有機電界発光素子の構成について説明したが、本発明の方法は、有機太陽電池、有機電界効果型トランジスタ等の他の有機電子デバイスの薄膜の作製にも、勿論利用することができる。また、反射板、偏光板等の種々の光学部材用の薄膜の作製方法としても利用することができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
図1に示すスプレー成膜装置と同様の装置を用いて、二流体ノズル12で原料液を液滴化し、液滴をチャンバー14内で濃縮させ、濃縮液滴を基板22上に堆積して、成膜を行った。チャンバー14内部の温度は、チャンバー14の外側周囲に形成された流路を流れる水の温度によって制御されている。
基板はITOガラス(Aldrich製、30〜60Ω/□)を使用し、中性洗剤・純水でそれぞれ5分間ほど超音波洗浄を行った後、窒素ブロアーで基板に付着した水分を除去し、さらに加熱して乾燥した。その後、1質量%までシクロヘキサノンで希釈した、下記構造のPTPDES−2の溶解溶液を、回転数2000rpmでスピンコートし、50nmの膜厚としたものを使用した。このPTPDES−2の薄膜は、正孔輸送層として機能し、また、PTPDES−2の薄膜は、THFに溶解する。
Figure 0005411765
次に、このガラス基板を図1に示した装置の基板ホルダー24にセットした。チャンバー14内部の温度は、に流れる水を下記温度に設定し、かつ基板ホルダー24に流れる水の温度を50℃に設定した。チャンバー14の開口部は10mmに設定し、開口部から基板22までの距離を10mmに設定した。
原料液としては、下記に示すPoly[2−methoxy−5−(2−ethylhexyloxy)−1,4−phenylenevinylene](MEH−PPV)のTHF溶液を使用した。各実施例及び比較例で用いた原料液の濃度は、表1中に示す。
Figure 0005411765
二流体ノズル12に、シリンジポンプ16から原料液を、及びレギュレータ18によって圧力制御された窒素ガスをそれぞれ流入させ、原料液を液滴として噴霧させた。液滴が目的の液滴径になるように、送液量を0〜10mL/分の範囲、エア流量を0〜10L/分の範囲で変化させた。なお、二流体ノズル12として、Atomax社製AM−6を使用し、送液量を調整するシリンジポンプ16として、Harvard社製シリンジポンプ、エア流量を調整するレギュレータ18として、Atomax社製レギュレータを使用した。チャンバー14内の溶剤ガス濃度は、防爆の観点から20%LEL以下になるよう、吸排気のバランスを設定した。
下記表に示す種々の条件で、有機薄膜を作製した。
実施例1では、開始から2.5分間は、固形分濃度が0.01質量%の原料液を噴霧し、及びその後2.5分間は、固形分濃度が0.001質量%の原料液を同一条件で噴霧した。チャンバー内の加熱条件も同一とした。よって、使用した原料液の固形分濃度の違いが、基板に到達する際の液滴の固形分濃度に反映され、基板に到達した際の液滴の固形分濃度も、前半の2.5分間と後半の2.5分間とでは、約10:1になっていた。
実施例2では、開始から1.5分間は、固形分濃度が0.01質量%の原料液を噴霧し、次に1.5分間は、固形分濃度が0.005質量%の原料液を同一条件で噴霧し、最後の1.5分間は、固形分濃度が0.001質量%の原料液を同一条件で噴霧した。チャンバー内の加熱条件も同一とした。よって、使用した原料液の固形分濃度の違いが、基板に到達する際の液滴の固形分濃度に反映され、基板に到達した際の液滴の固形分濃度は、開始から1.5分間、次の1.5分間、及び最後の1.5分間では、約10:5:1になっていた。
実施例3では、同一の原料液を用い、開始から2.5分間は、チャンバー内の温度を50℃にし、及びその後2.5分間は、25℃に制御した。チャンバー内部の温度が変化したことで、液滴の濃縮の程度が、前半の2.5分間と後半の2.5分間では異なり、それによって、基板到達時の液滴の固形分濃度は前半が高く、後半が低くなっていた。
実施例4では、同一の原料液を用い、但し、噴霧条件を変化させて、開始から2.5分間は、3μmの液滴としてノズルから噴霧させ、その後2.5分間が5μmの液滴としてノズルから噴霧させた。チャンバー内の加熱条件は同一とした。よって、ノズルから噴霧された液滴径の違いがそのまま、基板到達時の液滴の大きさ、即ち固形分濃度に反映され、前半の2.5分間と後半の2.5分間では、基板到達時の液滴の固形分濃度は前半が高く、後半が低くなっていた。
比較例1〜6では、開始から終了まで、なんら条件を変化させなかったので、開始から終了まで、基板に到達した液滴の固形分濃度は、ほぼ一定であった。
作製した各膜の表面平滑性、及び下層であるPTPDES−2薄膜の溶解の有無を評価した。
作製された膜の表面平滑性は、表面粗さRaを接触式表面粗さ計を使用して測定し、その値から評価した。
下層の溶解の有無は、断面のSEM/TEM画像、及び断面TEMによる膜厚方向の元素解析にて特に窒素の存在を確認することから判断した(溶解:界面が確認できず膜全体に混合層を形成、一部溶解:一部に界面確認でき数nm程度の混合層を形成、未溶解:界面を確認でき混合層未形成)。
また、密着性評価はテープによる剥ぎ取り試験から判断した(○:全く剥がれない、△:一部剥がれる、×:全面剥がれる)。外部量子効率は、下記条件で作成した膜にLiF、Alを蒸着製膜し、電界をかけて発光させたときの強度から算出した。
結果を下記表に示す。
Figure 0005411765
上記結果から、比較例では、下層の溶解の回避と、高い表面平滑性の達成とを両立することはできず、従来のウェットプロセスの問題点を解決できてないことが理解できる。一方、本発明の実施例では、下層の溶解がなく、しかも高い表面平滑性の薄膜が作製されていて、従来のウェットプロセスの問題点を解決していることが理解できる。また、一部下層を溶解している場合には、密着性、及び外部量子効率が向上することが確認できる。
10 スプレー製膜装置
12 二流体ノズル
14 チャンバー
16 シリンジポンプ
18 レギュレータ
20 ガスボンベ
22 基板
24 基板ホルダ

Claims (14)

  1. 溶質を溶媒中に溶解及び/又は分散してなる原料液を噴霧して液滴を形成すること、
    液滴中の溶媒を揮発させ濃縮すること、
    濃縮された液滴を基板上もしくは基板上に設けられた薄膜の上に堆積させること、
    を順次含む薄膜の作製方法であって、
    固形分濃度C1の液滴を堆積させた後、C1>C2を満足する固形分濃度C2の液滴を堆積させることを特徴とする薄膜の作製方法であって、
    堆積される液滴が、基板の材料もしくは基板上に設けられた前記薄膜の材料を溶解する溶媒の少なくとも一種を含む方法。
  2. 堆積初期では、0.0001〜1質量%の濃度の原料液が液滴として噴霧され、その後、0.00001〜0.1質量%の濃度の原料液が液滴として噴霧される請求項1に記載の方法。
  3. 固形分濃度C1の液滴及び固形分濃度C2の液滴が、互いに同一の固形分組成からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 3種以上の互いに固形分濃度が異なる液滴を、固形分濃度が高い液滴から順次堆積させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 固形分濃度C1で且つ液滴径D1の液滴を堆積させた後、C1>C2及びD1<D2を満足する固形分濃度C2で且つ液滴径D2の液滴を堆積させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 液滴の固形分濃度C1の液滴を堆積させた後、ノズルに供給される原料液の濃度調整によって堆積させる液滴の固形分濃度をC2まで変化させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 2以上のノズルを使用し、各ノズルから互いに異なる固形分濃度の原料液を時間に応じて制御して噴霧させ、堆積させる液滴の固形分濃度を、C1からC2に変化させることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 堆積させる液滴の固形分濃度を、液滴の濃縮条件を調整することによって、C1からC2に変化させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  9. 液滴が噴霧され基板もしくは基板上に設けられた薄膜に到達するまでに、液滴が通過する雰囲気の温度を時間に応じて調整することによって、堆積させる液滴の固形分濃度を、C1からC2に変化させることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 堆積させる液滴の固形分濃度を、噴霧時の液滴径を調整することによって、C1からC2に変化させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  11. 原料液が、有機半導体、有機発光材料、有機電子輸送材料、及び有機正孔輸送材料から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 有機半導体層、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔輸送層、及び正孔注入層のいずれかを作製するための方法であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法により同一固形分組成の下層の単層薄膜を作製すること、
    該下層の単層薄膜上に、当該下層の単層薄膜と固形分組成の一部もしくは全部が異なる上層の単層薄膜を、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法により作製すること、
    を少なくとも含む積層薄膜の作製方法。
  14. 請求項13に記載の方法によって作製され、且つ下層と上層とが混合している領域が厚み10nm以下であることを特徴とする積層薄膜。
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