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JP5408001B2 - ポリイミドフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、プリント配線板、フレキシブルプリント基板等の電子部品の素材として用いられるポリイミドフィルムに関する。
ポリイミドフィルムは、耐熱性、耐薬品性、機械的強度、電気特性、寸法安定性などに優れていることから、電気・電子デバイス分野、半導体分野などの分野で広く使用されており、例えば、回路基板用ベースフィルム、フレキシブル配線板用ベースフィルム等として使用されている。
これらの分野においては、従来、ポリイミドフィルムは接着剤によって銅箔などの金属箔と積層されていたが、近年、メタライジング法によりポリイミドフィルムに直接、金属層を設けることも行われるようになってきている。例えば、特許文献1には、ポリイミド層(b)の片面又は両面にポリイミド層(a)を設けたメタライジング用ポリイミドフィルムであり、ポリイミド層(a)は表面処理剤を含むことを特徴とするメタライジング用ポリイミドフィルムが開示されている。特許文献1の実施例では、ポリイミド層(b)は、例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と等モル量のp−フェニレンジアミンとから製造されており、ポリイミド層(a)は、例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と等モル量の4,4−ジアミノジフェニルエーテルとから製造されている。
回路基板の製造においては、ポリイミドフィルムに銅層などの金属層を積層して金属積層ポリイミドフィルムを製造し、この金属積層ポリイミドフィルムの金属層の一部を除去して金属配線を形成する。この金属層の除去は、一般に、エッチング液を用いるウエットエッチングにより行われている。しかし、このエッチング時に、場合によっては、ベースフィルムであるポリイミドフィルムが劣化することがあり、さらに優れた耐薬品性を有するポリイミドフィルムが求められている。
国際公開第2007/123161号パンフレット
本発明は、優れた耐薬品性を有しており、回路基板用ベースフィルム、フレキシブル配線板用ベースフィルム等として好適に用いられるポリイミドフィルムを提供することを目的とする。
本発明は以下の事項に関する。
1. ポリイミド層(b)の片面又は両面にポリイミド層(a)を設けたポリイミドフィルムであって、
ポリイミド層(a)が、ジアミン成分と、ジアミン成分に対して1.01〜1.05モル倍のテトラカルボン酸成分とを反応させて得られるポリイミドであることを特徴とするポリイミドフィルム。
2. ポリイミド層(a)が、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを50モル%以上含むジアミン成分と、ジアミン成分に対して1.01〜1.05モル倍の、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を50モル%以上含むテトラカルボン酸成分とを反応させて得られるポリイミドであることを特徴とする上記1記載のポリイミドフィルム。
3. ポリイミド層(b)を得ることができるポリイミド前駆体溶液(b)の自己支持性フィルム上に、ポリイミド層(a)を得ることができるポリイミド前駆体溶液(a)を塗工し、その後、このポリイミド前駆体溶液(a)を塗工したポリイミド前駆体溶液(b)の自己支持性フィルムを熱処理して得られることを特徴とする上記1または2記載のポリイミドフィルム。
4. ポリイミド層(a)の厚さが0.05〜1μmであることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
5. ポリイミド層(b)が、
1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物及び1,4−ヒドロキノンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分と、
2)p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、o−トリジン、m−トリジン及び4,4’−ジアミノベンズアニリドより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミンとから得られるポリイミドであることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
本発明のポリイミドフィルムは、優れた耐薬品性、耐アルカリ性を有しており、このポリイミドフィルムを回路基板のベースフィルムとして使用することによって、金属配線形成時(エッチング時)のポリイミドフィルムの劣化を抑制することができ、高品質の回路基板を製造することができる。
本発明のポリイミドフィルムは、ポリイミド層(b)の片面又は両面に、ポリイミド層(a)を設けたものである。ポリイミド層(b)とポリイミド層(a)とは直接積層されていることが好ましい。
そして、ポリイミド層(a)は、ジアミン成分と、ジアミン成分に対して1.01〜1.05モル倍、好ましくは1.01〜1.02モル倍のテトラカルボン酸成分とを反応させて得られるポリイミドである。ポリイミド層(a)のテトラカルボン酸成分とジアミン成分の比率をテトラカルボン酸成分過剰、特に1.01〜1.05モル倍とすることによって、ポリイミドフィルム表面の耐薬品性を向上させることができる。
本発明のポリイミドフィルムにおいて、ポリイミド層(b)及びポリイミド層(a)の厚みは使用する目的に応じて適宜選択すればよいが、実用上、ポリイミド層(b)の厚みは、好ましくは5〜100μm、さらに好ましくは8〜80μm、より好ましくは10〜80μm、特に好ましくは20〜40μmの厚さである。
ポリイミド層(a)の厚みは、好ましくは0.05〜1μm、より好ましくは0.06〜0.8μm、さらに好ましくは0.07〜0.5μm、特に好ましくは0.08〜0.2μmの厚さであることが好ましい。ポリイミド層(a)の厚みを上記の範囲にすることにより、得られる金属積層ポリイミドフィルムや金属メッキ積層ポリイミドフィルムの90°ピール強度が低下せずに、うまりこみ性が向上する(うまりこみ深さが小さくなる)。
ポリイミド層(b)及びポリイミド層(a)は、プリント配線板、フレキシブルプリント基板等の電子部品の素材として用いられるポリイミドフィルム、該ポリイミドフィルムを構成する酸成分及びジアミン成分とから得られる、或いは該ポリイミドフィルムを構成する酸成分及びジアミン成分とを含むポリイミドなどを挙げることができる。
ポリイミド層(b)の具体例としては、プリント配線板、フレキシブルプリント基板等の電子部品の素材として用いられるポリイミドフィルム、例えば、商品名「ユーピレックス(S、又はR)」(宇部興産社製)、商品名「カプトン」(東レ・デュポン社製、デュポン社製)、商品名「アピカル」(鐘淵化学社製)などのポリイミドフィルム及び、これらのフィルムを構成する酸成分及びジアミン成分とから得られる、或いは該ポリイミドフィルムを構成する酸成分及びジアミン成分とを含むポリイミドなどを挙げることができる。
ポリイミド層(a)は、プリント配線板、フレキシブルプリント基板等の電子部品の素材として用いられるポリイミドフィルム、例えば、商品名「ユーピレックス(S、又はR)」(宇部興産社製)、商品名「カプトン」(東レ・デュポン社製、デュポン社製)、商品名「アピカル」(鐘淵化学社製)などのポリイミドフィルムを構成する酸成分及びジアミン成分とから得られる、或いは該ポリイミドフィルムを構成する酸成分及びジアミン成分とを含むポリイミドなどを挙げることができる。
ポリイミド層(b)とポリイミド層(a)とは、同じ酸成分とジアミン成分との組合せでもよいし、異なる組合せでもよい。
本発明において、ポリイミド層(a)は、特開2005−272520号公報の特許請求の範囲に記載の「耐熱性で非結晶性のポリイミド」でないポリイミドを用いることができ、また特開2003−251773号公報の特許請求の範囲に記載の「熱可塑性ポリイミド」でないポリイミドを用いることができ、さらに特開2005−272520号公報の特許請求の範囲に記載の「耐熱性で非結晶性のポリイミド」及び特開2003−251773号公報の特許請求の範囲に記載の「熱可塑性ポリイミド」でないポリイミドを用いることができる。
ポリイミド層(b)とポリイミド層(a)とは、ガラス転移温度が好ましくは250℃以上、さらに好ましくは270℃以上、より好ましくは300℃以上、より好ましくは320℃以上、特に好ましくは330℃以上であるか、又はガラス転移温度が好ましくは250℃未満、さらに好ましくは270℃未満、より好ましくは300℃未満、より好ましくは320℃未満、特に好ましくは350℃未満の温度では観測されない耐熱性を有するポリイミドを用いることが好ましい。
ポリイミド層(b)は、
1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物及び1,4−ヒドロキノンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分と、
2)p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、o−トリジン、m−トリジン及び4,4’−ジアミノベンズアニリドなどのベンゼン核が1〜2個のジアミン(2個のベンゼン核間に、エチレン鎖などのC2以上のアルキル鎖を含まない)より選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミン成分とから得られるポリイミドであることが好ましい。さらに、フィルムの線膨張係数(50〜200℃)が5×10−6〜30×10−6cm/cm/℃であることが、プリント配線板、フレキシブルプリント基板等の電子部品の素材として好ましい。
特にポリイミド層(b)は、350℃〜600℃、好ましくは450〜590℃、より好ましくは490〜580℃、さらに好ましくは500〜580℃、特に好ましくは520〜580℃で熱処理して得られるポリイミドが、プリント配線板、フレキシブルプリント基板等の電子部品の素材として用いるために好ましい。
好ましいポリイミド層(b)を構成する酸成分とジアミン成分との具体的な組合せとしては、
1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミン或いはp−フェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
2)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物と、p−フェニレンジアミン或いはp−フェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
3)ピロメリット酸二無水物と、p−フェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、
4)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンとを主成分(合計100モル%中の50モル%以上)として得られるものが、プリント配線板、フレキシブルプリント基板等の電子部品の素材として好適に用いられ、広い温度範囲にわたって優れた機械的特性を有し、長期耐熱性を有し、耐加水分解性に優れ、熱分解開始温度が高く、加熱収縮率と線膨張係数が小さく、難燃性に優れるために好ましい。
ポリイミド層(a)は、
1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物及び1,4−ヒドロキノンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分と、
2)p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、o−トリジン、m−トリジン及び4,4’−ジアミノベンズアニリドなどのベンゼン核が1〜2個のジアミン(2個のベンゼン核間に、エチレン鎖などのC2以上のアルキル鎖を含まない)より選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミン成分とから得られるポリイミドであることが好ましい。ポリイミド層(a)をこのようなポリイミドとすることにより、うまりこみ性の小さなポリイミドフィルムを得ることができる。さらに、フィルムの線膨張係数(50〜200℃)が5×10−6〜30×10−6cm/cm/℃であることが、プリント配線板、フレキシブルプリント基板等の電子部品の素材として好ましい。
好ましいポリイミド層(a)を構成する酸成分とジアミン成分との具体的な組合せとしては、
1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミン或いはp−フェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、或いは4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
2)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物及びピロメリット酸二無水物と、p−フェニレンジアミン或いはp−フェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、或いは4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
3)ピロメリット酸二無水物と、p−フェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、或いは4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
4)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンおよび/または4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを主成分(合計100モル%中の50モル%以上)として得られるものが、プリント配線板、フレキシブルプリント基板等の電子部品の素材として好適に用いられ、広い温度範囲にわたって優れた機械的特性を有し、長期耐熱性を有し、耐加水分解性に優れ、熱分解開始温度が高く、加熱収縮率と線膨張係数が小さく、難燃性に優れるために好ましい。また、うまりこみ性のさらに小さなポリイミドフィルムを得ることができる。
特にポリイミド層(a)は、350℃〜600℃、好ましくは450〜590℃、より好ましくは490〜580℃、さらに好ましくは500〜580℃、特に好ましくは520〜580℃で熱処理して得られるポリイミドが、プリント配線板、フレキシブルプリント基板等の電子部品の素材として用いるために好ましい。
ポリイミド層(a)は、
1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む酸成分と、
2)p−フェニレンジアミン及び4,4’−ジアミノジフェニルエーテルより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミン成分とから得られるポリイミドであることが特に好ましい。
特に好ましいポリイミド層(a)を構成する酸成分とジアミン成分との具体的な組合せとしては、
1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が酸成分として30モル%以上、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上含む酸成分と、
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがジアミン成分として好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特に85モル%以上含むジアミン成分とから得られるポリイミド、
2)酸成分は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とピロメリット酸二無水物とを含み、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が酸成分として30モル%以上、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上含む酸成分と、
ジアミン成分は4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとp−フェニレンジアミンとを含み、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルがジアミン成分として好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、特に85モル%以上含むジアミン成分とから得られるポリイミド、
を用いることが、得られる金属積層ポリイミドフィルム及び金属メッキ積層ポリイミドフィルムの90°ピール強度が優れるために好ましい。
さらに、ポリイミドフィルムの耐薬品性の点から、ポリイミド層(a)は、
1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を50モル%以上含む酸成分と、
2)4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを50モル%以上含むジアミン成分とから得られるポリイミドであることが好ましい。3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を60モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上含む酸成分が好ましく、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを60モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは85モル%以上、特に好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上含むジアミン成分が好ましい。
ポリイミド層(a)又はポリイミド層(b)を構成するジアミン成分としては上記の他に本発明の目的を損なわない範囲で、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、m−トリジン及び4,4’−ジアミノベンズアニリドなどのベンゼン核が1〜2個のジアミンより選ばれる3,4’−ジアミノジフェニルエーテルなどの芳香族ジアミン成分(エチレン鎖などのC2以上のアルキル鎖を含まない)を除く、ベンゼン核を3個以上有する芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンなどを用いることができる。
ポリイミド層(a)又はポリイミド層(b)を構成する酸成分としては上記の他に本発明の目的を損なわない範囲で、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)チオエーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ケトン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(6FDA)、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などの芳香族酸無水物を用いることができる。
本発明のポリイミドフィルムのポリイミド層(a)は、表面処理剤を含むことが好ましい。ポリイミド層(a)が表面処理剤を含むことにより、ポリイミドフィルムの表面に直接、メタライジング法により密着性の優れる金属層を設けることができる。
「ポリイミド層(a)は表面処理剤を含む」とは、表面処理剤がそのままの状態で含まれる場合でもよく、さらにポリイミド又はポリイミド前駆体或いはこれらの有機溶液中で例えば350℃〜600℃、好ましくは450〜590℃、より好ましくは490〜580℃、さらに好ましくは500〜580℃、特に好ましくは520〜580℃の加熱による熱変化を受けて化学変化などの変化を起こした状態で含まれる場合でもよい。
表面処理剤としては、アミノシラン系、エポキシシラン系或いはチタネート系の表面処理剤を挙げることができる。アミノシラン系表面処理剤としてはγ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−(アミノカルボニル)−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−〔β−(フェニルアミノ)−エチル〕−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピル−トリエトキシシラン、γ−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランなどの化合物、エポキシシラン系表面処理剤としてはβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチル−トリメトキシシラン、γ−グリシリドキシプロピル−トリメトキシシランなどの化合物、チタネート系表面処理剤としてはイソプロピル−トリクミルフェニル−チタネート、ジクミルフェニル−オキシアセテート−チタネートなどの化合物が挙げられる。
表面処理剤としては、アミノシラン系、エポキシシラン系などのシラン化合物を好ましく用いることができる。
ポリイミド層(a)において、ポリイミド前駆体溶液(a)に含有させるシラン化合物などの表面処理剤の配合量は、用いるポリイミド層(b)の種類により適宜選択すればよく、ポリイミド前駆体溶液(a)100質量%に対して、好ましくは1〜10質量%の範囲、さらに好ましくは1.5〜8質量%、特に好ましくは3〜6質量%が好ましい。
本発明においては、ポリイミド層(b)を与えるポリイミド前駆体の溶液から得られる自己支持性フィルムの片面又は両面に、ポリイミド層(a)を得ることができる表面処理剤含有のポリイミド前駆体溶液(a)を塗工して自己支持性フィルムの片面又は両面にポリイミド前駆体溶液(a)を積層させ、得られる多層の自己支持性フィルムを加熱、乾燥してイミド化を行い、さらに最高加熱温度350℃〜600℃、好ましくは450〜590℃、より好ましくは490〜580℃、さらに好ましくは500〜580℃、特に好ましくは520〜580℃で熱処理することが好ましい。これにより、メタライジング法によりポリイミド層(a)の表面に金属層を積層した積層体の剥離強度が実用的なレベル以上で大きく、フィルム全体として充分な機械的性質(引張弾性率)および熱的性質(線膨張係数)を有する接着性の改良されたポリイミドフィルムを得ることができる。
ポリイミド層(b)を与えるポリイミド前駆体溶液(b)から得られる自己支持性フィルムは、酸成分とジアミン成分とを、実質的に等モル或いはどちらかの成分を少し過剰にして、有機極性溶媒中で重合することにより得られる芳香族ポリアミック酸溶液を基板上に流延し、加熱して得ることができる。
ポリイミド層(a)に用いるポリイミド前駆体溶液(a)は、ジアミン成分と、ジアミン成分に対して1.01〜1.05モル倍、好ましくは1.01〜1.02モル倍の酸成分とを、有機極性溶媒中で重合することにより得られる。
ポリイミド層(a)は、このようなポリイミド前駆体溶液(a)に必要に応じてシラン化合物などの表面処理剤を加え、ポリイミド層(b)を与えるポリイミド前駆体溶液(b)の自己支持性フィルム上に塗布し、これをイミド化して、さらに最高加熱温度350℃〜600℃、好ましくは450〜590℃、より好ましくは490〜580℃、さらに好ましくは500〜580℃、特に好ましくは520〜580℃で熱処理することにより、得られる。
ポリイミド前駆体溶液を製造するための有機極性溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、ヘキサメチルスルホルアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ジメチルスルホン、ジエチルスルホンなどのスルホン類を挙げることができる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
ポリイミド前駆体(a)及びポリイミド前駆体(b)の重合反応を実施するに際して、有機極性溶媒中の全モノマーの濃度は、使用する目的や製造する目的に応じて適宜選択すればよく、例えばポリイミド前駆体溶液(b)は、有機極性溶媒中の全モノマーの濃度が、好ましくは5〜40質量%、さらに好ましくは6〜35質量%、特に好ましくは10〜30質量%であることが好まく、ポリイミド前駆体溶液(a)は、有機極性溶媒中の全モノマーの濃度が1〜15質量%、特に2〜8質量%となる割合であることが好ましい。
ポリイミド前駆体(a)及びポリイミド前駆体(b)の製造例の一例として、前記の芳香族テトラカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分との重合反応は、例えば、それぞれを実質的に等モル或いはどちらかの成分(酸成分、或いはジアミン成分)を少し過剰にして、ポリイミド前駆体(a)の場合は酸成分を所定の比率で過剰にして混合し、反応温度100℃以下、好ましくは80℃以下にて約0.2〜60時間反応させることにより実施して、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)溶液を得ることができる。
ポリイミド前駆体(a)及びポリイミド前駆体(b)の重合反応を実施するに際して、溶液粘度は、使用する目的(塗工、流延など)や製造する目的に応じて適宜選択すればよく、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)溶液は、30℃で測定した回転粘度が、約0.1〜5000ポイズ、特に0.5〜2000ポイズ、さらに好ましくは1〜2000ポイズ程度のものであることが、このポリアミック酸溶液を取り扱う作業性の面から好ましい。したがって、前記の重合反応は、生成するポリアミック酸が上記のような粘度を示す程度にまで実施することが望ましい。
ポリイミド層(b)のポリイミド前駆体溶液(b)の自己支持性フィルムを製造する際に、例えば、まずポリイミド前駆体溶液(b)を適当な支持体(例えば、金属、セラミックプラスチック製のロール、または金属ベルト、あるいは金属薄膜テープが供給されつつあるロール、又はベルト)の表面上に流延して、約10〜2000μm、特に20〜1000μm程度の均一な厚さのポリイミド前駆体溶液を膜状態に形成する。次いで熱風、赤外線等の熱源を利用して50〜210℃、特に60〜200℃に加熱して、溶剤を徐々に除去することにより、自己支持性になるまで前乾燥を行い、該支持体より自己支持性フィルムを剥離する。
ポリイミド層(b)のポリイミド前駆体溶液(b)の自己支持性フィルムを製造する際に、ポリイミド前駆体(b)のイミド化は熱イミド化でも、化学イミド化でもどちらでも行なうことが出来る。
自己支持性フィルムにポリイミド前駆体溶液(a)を塗工する場合、支持体より剥離させた自己支持性フィルム上にポリイミド前駆体溶液(a)を塗工してもよく、支持体より剥離する前の支持体上の自己支持性フィルムにポリイミド前駆体溶液(a)を塗工してもよい。
自己支持性フィルムは、ポリイミド(a)を与えるポリイミド前駆体溶液(a)を自己支持性フィルムの表面にほぼ均質に、さらには均質に塗工できる表面(片面或いは両面)を有することが好ましい。
自己支持性フィルムの片面又は両面にポリイミド(a)を与えるポリイミド前駆体溶液(a)を均一に塗工することが好ましい。
自己支持性フィルムの片面又は両面にポリイミド(a)を与えるポリイミド前駆体溶液(a)を塗工する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、グラビアコート法、スピンコート法、シルクスクリーン法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法などの公知の塗工方法を挙げることができる。
剥離された自己支持性フィルムは、その加熱減量が20〜40質量%の範囲にあることが好ましく、イミド化率が8〜40%の範囲にあることが、自己支持性フィルムの力学的性質が十分でない場合、自己支持性フィルムの上面にポリイミド前駆体溶液(a)をきれいに塗工しにくくなる場合、ポリイミド層(a)とポリイミド層(b)との接着強度が弱くなる場合、イミド化後に得られるポリイミドフィルムに、発泡、亀裂、クレーズ、クラック、ひびワレなどの発生が観察される場合などがないために、好ましい。
なお、上記の自己支持性フィルムの加熱減量とは、測定対象のフィルムを420℃で20分間乾燥し、乾燥前の重量W1と乾燥後の重量W2とから次式によって求めた値である。
加熱減量(質量%)={(W1−W2)/W1}×100
また、上記の自己支持性フィルムのイミド化率は、IR(ATR)で測定し、フィルムとフルキュア品との振動帯ピーク面積の比を利用して、イミド化率を算出することができる。振動帯ピークとしては、イミドカルボニル基の対称伸縮振動帯やベンゼン環骨格伸縮振動帯などを利用する。またイミド化率測定に関し、特開平9−316199号公報に記載のカールフィッシャー水分計を用いる手法もある。
なお、前記の自己支持性フィルムには、必要であれば、内部または表面層に微細な無機あるいは有機の添加剤を配合することができる。
無機の添加剤としては、粒子状あるいは偏平状などの無機フィラーを挙げることができ、微粒子状の二酸化チタン粉末、二酸化ケイ素(シリカ)粉末、酸化マグネシウム粉末、酸化アルミニウム(アルミナ)粉末、酸化亜鉛粉末などの無機酸化物粉末、微粒子状の窒化ケイ素粉末、窒化チタン粉末などの無機窒化物粉末、炭化ケイ素粉末などの無機炭化物粉末、および微粒子状の炭酸カルシウム粉末、硫酸カルシウム粉末、硫酸バリウム粉末などの無機の粉末を挙げることができる。これらの無機の微粒子は二種以上を組合せて使用してもよい。これらの無機微粒子を均一に分散させるために、それ自体公知の手段を適用することができる。
有機の添加剤としては、ポリイミド粒子、熱硬化性樹脂の粒子などを挙げることができる。
添加剤の使用量および形状(大きさ、アスペクト比)については、使用目的に応じて選択することが好ましい。
前記のようにして調製した塗工物(積層体)を、ピンテンター、クリップ、金属などで固定して、加熱硬化させることが好ましい。この加熱処理は、まず200℃から300℃未満の温度で1分〜60分間第一次加熱処理した後に、300℃から370℃未満の温度で1分〜60分間第二次加熱処理し、そして最高加熱温度350℃〜600℃、好ましくは450〜590℃、より好ましくは490〜580℃、さらに好ましくは500〜580℃、特に好ましくは520〜580℃で1分〜30分間第三次加熱処理することが望ましい。加熱処理はこのように段階的に行うことが好ましい。また、第一次加熱温度が200℃よりも低い場合は、金属酸化物形成時に生じる水によりポリイミドが加水分解されて、力学的性質が低下したり、フィルムにひび割れが生じることがある。上記加熱処理は、熱風炉、赤外線加熱炉などの公知の種々の装置を使用して行うことができる。
ポリイミド前駆体溶液(a)及び/又はポリイミド前駆体溶液(b)は、ゲル化を制限する目的で、リン系安定剤、例えば亜リン酸トリフェニル、リン酸トリフェニル等をポリアミック酸重合時に固形分(ポリマー)濃度に対して0.01〜1%の範囲で添加することができる。
またポリイミド前駆体溶液(a)及び/又はポリイミド前駆体溶液(b)は、イミド化促進の目的で、ドープ液中に塩基性有機化合物を添加することができる。例えば、イミダゾール、2−イミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、イソキノリン、置換ピリジンなどをポリアミック酸(ポリイミド前駆体)100質量部に対して、0.0005〜0.1質量部、特に0.001〜0.02質量部の割合で使用することができる。これらは、比較的低温でポリイミドフィルムを形成するためにイミド化が不十分となることを避けるために使用することができる。
また、接着強度の安定化の目的で、熱圧着性ポリイミド原料ドープに有機アルミニウム化合物、無機アルミニウム化合物または有機錫化合物を添加してもよい。例えば水酸化アルミニウム、アルミニウムトリアセチルアセトナートなどをポリアミック酸に対してアルミニウム金属として1ppm以上、特に1〜1000ppmの割合で添加することができる。
ポリイミド層(a)とポリイミド層(b)とを積層したポリイミドフィルム全体として、引張弾性率(MD)が6GPa以上、好ましくは12GPa以下であり、線膨張係数(50〜200℃)が10×10−6〜30×10−6cm/cm/℃であることが、プリント配線板、フレキシブルプリント基板等の電子部品の素材として好適に用いることができるために好ましい。
本発明のポリイミドフィルムは、そのまま、或いは必要であればポリイミド層(a)又はポリイミド層(b)を、コロナ放電処理、低温プラズマ放電処理あるいは常圧プラズマ放電処理、化学エッチングなどによる表面処理をして用いることができる。
本発明のポリイミドフィルムは、ポリイミド層(a)の表面に、例えば、メタライジング法により金属層を設けることができる。
上記のように、本発明のポリイミドフィルムのポリイミド層(a)の表面に、必要に応じて表面処理を行った後、メタライジング法により金属層を設けた金属積層ポリイミドフィルムを製造することができる。
さらに、この金属積層ポリイミドフィルムを用いて、金属積層ポリイミドフィルムの金属層上に、金属メッキ法により金属メッキ層を設けた金属メッキ積層ポリイミドフィルムを製造することができる。
メタライジング法により形成される金属層は、ポリイミドフィルムのポリイミド層(a)と実用上問題のない密着性を有するものであればよく、さらに金属層の上面に設ける金属メッキ層と実用上問題のない密着性を有するものであればよい。
メタライジング法は、金属メッキや金属箔の積層とは異なる金属層を設ける方法であり、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム等の公知の方法を用いることができる。
メタライジング法に用いる金属としては、銅、ニッケル、クロム、マンガン、アルミニウム、鉄、モリブデン、コバルト、タングステン、バナジウム、チタン、タンタル等の金属、又はそれらの合金、或いはそれらの金属の酸化物、それらの金属の炭化物等を用いることができるが、特にこれらの材料に限定されない。
メタライジング法により形成される金属層の厚さは、使用する目的に応じて適宜選択でき、好ましくは1〜500nm、さらに好ましくは5nm〜200nmの範囲が、実用に適するために好ましい。
メタライジング法により形成される金属層の層数は、使用する目的に応じて適宜選択でき、1層でも、2層でも、3層以上の多層でもよい。
金属積層ポリイミドフィルムは、電解メッキ又は無電解メッキなどの公知の湿式メッキ法により、金属層の表面に、銅、錫などの金属メッキ層を設けることができる。
金属積層ポリイミドフィルムに設ける、銅メッキなどの金属メッキ層の膜厚は1μm〜40μmの範囲が、実用に適するために好ましい。
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明する。但し、本発明は実施例により制限されるものでない。
(耐薬品性試験)
耐薬品性試験は以下の手順に従って実施した。ポリイミド表面の一部を金属もしくは樹脂テープ等で被覆し、50℃に保った界面活性剤を含む5質量%の水酸化ナトリウム溶液へ2分間浸漬し、その後、50℃に保った過マンガン酸ナトリウム1.5質量%と水酸化ナトリウム5質量%の混合水溶液へ1.5分間浸漬し、さらに、1質量%の硫酸を含む中和液で中和、イオン交換水で洗浄して評価サンプルを作製した。そして、ポリイミドフィルムを被覆している金属もしくは樹脂テープ等を剥がし、被覆していた部分と被覆していなかった部分の段差を菱化システムズ社製、非接触式表面粗さ計マイクロマップを用いて測定し、薬品による表面のエッチング量を定量した。
(参考例1)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と等モル量のp−フェニレンジアミンとをN,N−ジメチルアセトアミド中で、30℃、3時間重合して、18質量%のポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液に、ポリアミック酸100質量部に対して0.1質量部のモノステアリルリン酸エステルトリエタノールアミン塩、次いで、ポリアミック酸100質量部に対して0.5質量部のシリカフィラー(平均粒径:0.08μm)を添加して均一に混合して、ポリイミド(b)の前駆体溶液組成物(B−1)を得た。
(参考例2)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと、これに対して1.04モル倍の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とを、N,N−ジメチルアセトアミド中で、30℃、3時間重合して、3.0質量%濃度のポリアミック酸溶液を得た。このポリアミック酸溶液に、ポリアミック酸100質量部に対して0.5質量部のシリカフィラーを添加した後、均一に混合してポリイミド(a)の前駆体溶液組成物(A−1)を得た。
(参考例3)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと、これに対して1.01モル倍の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とを反応させた以外は参考例2と同様にして、ポリイミド(a)の前駆体溶液組成物(A−2)を得た。
(参考例4)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと、これに対して0.99モル倍の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とを反応させた以外は参考例2と同様にして、ポリイミド(a)の前駆体溶液組成物(A−3)を得た。
(参考例5)
4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと、これに対して0.96モル倍の3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とを反応させた以外は参考例2と同様にして、ポリイミド(a)の前駆体溶液組成物(A−4)を得た。
(実施例1)
ベースフィルム用ドープとして参考例1で得られた前駆体溶液組成物(B−1)を、加熱乾燥後のフィルム厚みが35μmとなるようにステンレス基板(支持体)上に連続的に流延し、140℃の熱風で乾燥を行い、支持体から剥離して自己支持性フィルムを得た。この自己支持性フィルムの支持体に接した面に、参考例2で得た前駆体溶液組成物(A−1)を加熱乾燥後の厚みが0.10μmとなるようにダイコーターを用いて塗工し、塗工後、加熱炉で100℃×1分−150℃×1分−170℃×1分−200℃×1分−260℃×1分−500℃×2分の加熱処理を行いイミド化を行って、ポリイミドフィルム(X−1)を得た。このポリイミドフィルム(X−1)の耐薬品性試験の結果を表1に示す。
(実施例2)
前駆体溶液組成物(A−1)に代えて、参考例3で得た前駆体溶液組成物(A−2)を使用した以外は実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム(X−2)を得た。このポリイミドフィルム(X−2)の耐薬品性試験の結果を表1に示す。
(比較例1)
前駆体溶液組成物(A−1)に代えて、参考例4で得た前駆体溶液組成物(A−3)を使用した以外は実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム(X−3)を得た。このポリイミドフィルム(X−3)の耐薬品性試験の結果を表1に示す。
(比較例2)
前駆体溶液組成物(A−1)に代えて、参考例5で得た前駆体溶液組成物(A−4)を使用した以外は実施例1と同様にして、ポリイミドフィルム(X−4)を得た。このポリイミドフィルム(X−4)の耐薬品性試験の結果を表1に示す。
Figure 0005408001
テトラカルボン酸二無水物/ジアミンのモル比が1.04の実施例1、モル比が1.01の実施例2は、モル比が0.99の比較例1、モル比が0.96の比較例2よりも、耐薬品性に優れていた。
以上のように、表面層であるポリイミド層(a)をジアミン成分と、ジアミン成分に対して1.01〜1.04モル倍のテトラカルボン酸成分とを反応させて得られるポリイミドとすることにより、表面の耐薬品性を向上させることができる。
本発明のポリイミドフィルムは、回路基板用ベースフィルム、フレキシブル配線板用ベースフィルム等として好適に使用することができ、劣化等のない回路基板を製造することができる。

Claims (5)

  1. ポリイミド層(b)の片面又は両面にポリイミド層(a)を設けたポリイミドフィルムであって、
    ポリイミド層(a)が、ジアミン成分と、ジアミン成分に対して1.01〜1.05モル倍のテトラカルボン酸成分とを反応させて得られるポリイミドであることを特徴とするポリイミドフィルム。
  2. ポリイミド層(a)が、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを50モル%以上含むジアミン成分と、ジアミン成分に対して1.01〜1.05モル倍の、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を50モル%以上含むテトラカルボン酸成分とを反応させて得られるポリイミドであることを特徴とする請求項1記載のポリイミドフィルム。
  3. ポリイミド層(b)を得ることができるポリイミド前駆体溶液(b)の自己支持性フィルム上に、ポリイミド層(a)を得ることができるポリイミド前駆体溶液(a)を塗工し、その後、このポリイミド前駆体溶液(a)を塗工したポリイミド前駆体溶液(b)の自己支持性フィルムを熱処理して得られることを特徴とする請求項1または2記載のポリイミドフィルム。
  4. ポリイミド層(a)の厚さが0.05〜1μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
  5. ポリイミド層(b)が、
    1)3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物及び1,4−ヒドロキノンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物より選ばれる成分を少なくとも1種含む酸成分と、
    2)p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、o−トリジン、m−トリジン及び4,4’−ジアミノベンズアニリドより選ばれる成分を少なくとも1種含むジアミンとから得られるポリイミドであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム。
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