[go: up one dir, main page]

JP5397064B2 - 反射防止層の製造方法及び反射防止層を用いた有機エレクトロニクス素子 - Google Patents

反射防止層の製造方法及び反射防止層を用いた有機エレクトロニクス素子 Download PDF

Info

Publication number
JP5397064B2
JP5397064B2 JP2009172039A JP2009172039A JP5397064B2 JP 5397064 B2 JP5397064 B2 JP 5397064B2 JP 2009172039 A JP2009172039 A JP 2009172039A JP 2009172039 A JP2009172039 A JP 2009172039A JP 5397064 B2 JP5397064 B2 JP 5397064B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antireflection layer
substrate
treatment
layer
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009172039A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011029316A (ja
Inventor
宏明 伊東
隆彦 野島
康 大久保
晃矢子 和地
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2009172039A priority Critical patent/JP5397064B2/ja
Publication of JP2011029316A publication Critical patent/JP2011029316A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5397064B2 publication Critical patent/JP5397064B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/549Organic PV cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)

Description

本発明は、微粒子から成る反射防止層の製造方法に関し、さらに詳しくは微粒子分散液を樹脂基材に塗布した後、外部刺激によって微粒子の配列及び固着を促すことで、反射防止機能だけでなく、防汚性の向上や曲げによるクラック発生を抑制することができる微粒子から成る反射防止層の製造方法に関する。
主な応用分野としては、フレキシブルで透明な樹脂基板を用いることを特徴とした、各種有機エレクトロニクス素子、例えば、有機EL素子、有機太陽電池素子、有機光電変換素子、ディスプレイ素子等に対して有用に用いることができ、特に本発明は、太陽光下に暴露される有機太陽電池素子に有効である。
反射防止膜は光学分野において最も基本的で、かつ、様々な用途において用いられる構造である。未だに技術進捗が続くディスプレイ分野や、昨今注目される有機エレクトロニクス分野において、特にフレキシブルな透明樹脂基板上に、反射防止機能やその他の付加機能を有する高機能基板が一層必要とされている。
有機エレクトロニクス分野は、例えば、有機EL素子、有機太陽電池素子、有機光電変換素子等、有機物を中心とした素子構成のため、塗布や印刷による高生産性の可能性があり、次世代のエレクトロニクス分野として特に注目されている。
中でも有機太陽電池は、フレキシブルな樹脂基板上に、塗布法で形成できることから、多くの研究機関で盛んに研究がなされている。塗布法の利点としては、ロールツーロール等の連続的なプロセスによって製造できることから、大量に作れることにより得られるコストメリットは大きい。また、ロール状に巻き取って保管できるため、工程での管理が容易なこともコスト低減に対して大きなメリットである。
薄膜型太陽電池の多くは発電層が薄膜である故に、入射する太陽光の光を有効に活用する技術が直接、高効率化に寄与することが分かっている。このような光入射のロスとして、基材(一般的にはガラス)の表面で屈折率の差によるフレネル損失によって、入射光の10%程度は反射し、発電層まで到達できないことがある。
光入射のロスを低減するために、最表面に反射防止層を形成することが一般に行われているが、その多くは費用対効果の観点から低屈折率のコート剤を塗布して乾燥させただけの層で、反射防止機能が低い上に、防汚性が持続せず、また、樹脂基板上にコートした場合は、曲げによりクラックが発生し易く、フレキシブルな太陽電池の反射防止層としては好ましくなかった。
屈折率を制御する有用な方法として、例えば特許文献1にあるような、半導体基板上に連続的な屈折率変化を有する反射防止層が提案されている。また、特許文献2では、樹脂基材の上に高屈折率層と、中空シリカを用いた低屈折率層を積層して連続的な屈折率の変化を形成させる方法が開示されている。同様に特許文献3においても、微粒子を基材表面に固着させることで、反射防止機能を得る技術が紹介されている。
これらいずれの方法も、連続的な屈折率を形成する方法であり、例えば微粒子からなる反射防止層を基材表面にコートすることで、屈折率に変化を持たせ、反射防止機能を得ている。しかしながら、微粒子からなる反射防止層は、微粒子自体に防汚性の効果がないため、高い透過率と防汚性を両立する技術ではなかった。
一方で、特許文献4では、導電体と、誘電体または半導体との超微粒子複合体からなる防汚層について開示している。これは光触媒性を示さないアモルファス酸化チタンと導電体とを混合することで、防汚効果を示す技術であるが、特に上述したような樹脂基板上に付与した場合、防汚性は得られるものの、微粒子を製膜したことによる反射防止機能が低く、また、曲げによるクラックが発生し、フレキシブルな太陽電池に用いた場合、実用的に課題があった。
特開2005−277181号公報 特開2005−183546号公報 特開2006−208726号公報 国際公開第05/108056号パンフレット
上述したような従来の技術は、特にフレキシブルな樹脂基板上に微粒子からなる反射防止膜を形成した場合、高温プロセスを通せないため、微粒子の配列及び固着が不十分であるため、反射防止機能が低いだけでなく、防汚性の低下や曲げによるクラックの発生が課題であった。
本発明は上記課題を解決するものであり、詳しくは、低温プロセスによって、反射防止機能及び防汚性が高く、曲げによるクラックの発生が少ない、微粒子から成る反射防止層を得る製造方法及びこの反射防止層を用いた有機エレクトロニクス素子を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.樹脂基材の少なくとも片面に、表面が過酸化された微粒子を含む分散液を塗布する工程と、外部刺激処理によって前記微粒子を固着させる工程とを少なくとも含むことを特徴とする反射防止層の製造方法。
2.前記分散液が、少なくとも導電体と、誘電体または半導体からなる微粒子を含有することを特徴とする前記1に記載の反射防止層の製造方法。
3.前記分散液が、少なくともマイクロ波を吸収する金属または金属酸化物からなる微粒子を含有し、かつ、前記外部刺激処理がマイクロ波照射処理であることを特徴とする前記1または2に記載の反射防止層の製造方法。
4.前記外部刺激処理が、プラズマ放電処理、マイクロ波照射処理、紫外線照射処理から選ばれる処理であることを特徴とする前記1または2に記載の反射防止層の製造方法。
5.前記外部刺激処理が、大気圧または大気圧に近い気圧で、酸素の存在下に行うプラズマ放電処理であることを特徴とする前記4に記載の反射防止層の製造方法。
6.前記外部刺激処理が、雰囲気中の酸素濃度が18体積%以上、50体積%の条件下で行う紫外線照射処理であることを特徴とする前記4に記載の反射防止層の製造方法。
7.前記樹脂基材が、フレキシブルな基材であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載の反射防止層の製造方法。
8.前記1〜7のいずれか1項に記載の反射防止層の製造方法で作製した反射防止層を有することを特徴とする有機エレクトロニクス素子。
9.前記樹脂基材の両面に前記反射防止層が形成されていることを特徴とする前記8に記載の有機エレクトロニクス素子。
本発明により、低温プロセスによって、反射防止機能及び防汚性が高く、曲げによるクラックの発生が少ない微粒子から成る反射防止層を得る製造方法及びこの反射防止層を用いた有機エレクトロニクス素子を提供することができた。
本発明に用いることのできる大気圧プラズマ処理装置の概略構成断面図である。 大気圧プラズマ処理装置の角筒型電極の概略図である。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、樹脂基材の少なくとも片面に、表面が過酸化された微粒子を含む分散液を塗布する工程と、外部刺激処理によって前記微粒子を固着させる工程とを少なくとも含む反射防止層の製造方法により、低温プロセスによって、反射防止機能及び防汚性が高く、曲げによるクラックの発生が少ない微粒子から成る反射防止層を得る製造方法が得られることを見出し、本発明に至った。
以下、本発明について詳述する。
本発明は、微粒子から成る反射防止層の製造方法であって、フレキシブルな基材の少なくとも片面に、表面が過酸化された微粒子を含む分散液を塗布する工程と、外部刺激処理によって前記過酸化された微粒子を固着する工程とを少なくとも含むことを特徴とする。
このような微粒子からなる反射防止層を形成する場合、塗布条件や乾燥条件、外部刺激処理条件によって、最適な多孔質構造が形成され、見かけ上、連続的な屈折率変化を有した反射防止構造が形成される。
さらに、本発明のもう一つの効果として防汚性の付与が挙げられる。本発明に係る反射防止層は、少なくとも導電体と、誘電体または半導体からなる微粒子を含む複合体であることが好ましい。このように、導電体と、誘電体または半導体を複合化することで、層表面に正の電荷が発生するため、後述するような静電的な反発作用によって、汚染物質の付着を抑制し、また同時に雨水等がかかる場合は汚染物質が容易に洗い流される効果を得る。
また、この反射防止層を用いた有機エレクトロニクス素子の一つである有機太陽電池は、入射光の反射防止性が向上し光電変換効率が向上する。
基体表面の退色または変色の原因の一つである汚染物質は、大気中に浮遊しているカーボン等の無機物質及び/または油等の有機物質が基体表面に徐々に堆積することによって基体表面に付着していく。
主に屋外の大気中に浮遊している汚染物質、特に油分は、太陽光をはじめとして各種の電磁波により、いわゆる光酸化反応を受け、「酸化」された状態にあるといわれている。
光酸化反応とは、太陽光をはじめとした電磁波の作用により、有機物または無機物表面の水分(HO)、酸素(O)からヒドロキシルラジカル(・OH)や一重項酸素()が生成される際に、有機物または無機物から電子(e)が引き抜かれて酸化される現象をいう。この酸化により、有機物では分子構造が変化し、劣化と称される変色または脆化現象が見られ、無機物、特に金属では錆が発生する。これら「酸化」された有機物または無機物の表面は、電子(e)の引き抜きにより、正に帯電する。
〔微粒子〕
本発明の微粒子から成る反射防止層に用いられる微粒子は、金属、金属塩、金属酸化物、炭素材料、シラン材料、化合物半導体、有機導電性材料等から成る、粒子径が100nm以下の微粒子であり、好ましくは1〜50nmの粒子径であれば、光散乱することなく高い透過率が得られ好ましい。粒子の形状は、光散乱による反射光が小さければ如何なる形状も好ましく用いることができ、球形、楕円形、多角形、棒状、ワイヤー状、円盤状等の形を用いることができる。また、屈折率は1.1〜2.5程度が好ましく、1.1〜2.0程度がさらに好ましい。
また、本発明に使用される微粒子は、表面が過酸化された、外部刺激処理に対し活性な微粒子を少なくとも有することを特徴とし、後述する外部刺激処理と組み合わせることで、低温プロセスで基材へダメージを与えることなく、微粒子を固着させることができる。
微粒子表面の過酸化方法については、酸化チタン微粒子を例に後述する。酸化チタン以外の微粒子についても同様な方法で表面を過酸化処理できる。
また、本発明では、基体表面に正電荷を付与することにより、前記有機物または無機物を、静電反発力を利用して基体表面から自然に離脱させる。基体表面に正電荷を付与する方法として、本発明では、導電体と、誘電体または半導体との複合体を使用することが好ましい。複合体を構成する導電体は耐久性の点から金属が望ましく、アルミニウム、錫、セシウム、インジウム、セリウム、セレンクロム、ニッケル、アンチモン、鉄、銀、銅、マンガン、白金、タングステン、ジルコニウム、亜鉛等の金属が挙げられる。
(導電体)
導電体としては、一部の金属の金属塩も使用可能である。具体的には、塩化アルミニウム、塩化第1及び第2錫、塩化クロム、塩化ニッケル、塩化第1及び第2アンチモン、塩化第1及び第2鉄、硝酸銀、塩化セシウム、三塩化インジウム、塩化第1セリウム、四塩化セレン、塩化第2銅、塩化マンガン、塩化第2白金、四塩化タングステン、オキシ二塩化タングステン、タングステン酸カリウム、塩化第2金、オキシ塩化ジルコニウム、塩化亜鉛等の各種の金属塩が例示できる。また、水酸化インジウム、ケイタングステン酸等の水酸化物または酸化物等も使用可能である。
導電体としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリチオフェンビニロン、ポリイソチアナフテン、ポリアセチレン、ポリアルキルピロール、ポリアルキルチオフェン、ポリ−p−フェニレン、ポリフェニレンビニロン、ポリメトキシフェニレン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキシド、ポリアントラセン、ポリナフタレン、ポリピレン、ポリアズレン等の導電性高分子も使用可能である。
(半導体)
半導体としては、例えば、C、Si、Ge、Sn、GaAs、InP、GeN、ZnSe、PbSnTe等があり、半導体酸化金属や光半導体金属、光半導体酸化金属も使用可能である。好ましくは、酸化チタン(TiO)の他に、ZnO、SrTiOP、CdS、CdO、CaP、InP、In、CaAs、BaTiO、KNbO、Fe、Ta、WO、NiO、CuO、SiC、SiO、MoS、InSb、RuO、CeO等が使用されるが、Na等で光触媒能を不活性化したものが望ましい。
(誘電体)
誘電体としては、強誘電体であるチタン酸バリウム(PZT)いわゆるSBT、BLTや、次に挙げるPLZT−(Pb、La)(Zr、Ti)O、SBT、SBTN−SrBi(Ta、Nb)、BST−(Ba、Sr)TiO、LSCO−(La、Sr)CoO、BLT、BIT−(Bi、La)Ti12、BSO−BiSiO等の複合金属が使用可能である。また、有機ケイ素化合物であるシラン化合物、シリコーン化合物、いわゆる有機変性シリカ化合物、また、有機ポリマー絶縁膜アリレンエーテル系ポリマー、ベンゾシクロブテン、フッ素系ポリマーパリレンN、またはF、フッ素化アモルファス炭素等の各種低誘電材料も使用可能である。
導電体と誘電体または半導体との複合体としては、基体表面に正電荷を付与可能なものであれば、任意の導電体と誘電体または半導体との組み合わせを使用可能であるが、基体表面の親水化・セルフクリーニング化の点では、金属ドープ酸化チタンを使用することが好ましい。前記金属としては、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄及び亜鉛からなる群から選択された金属元素の少なくとも1つが好ましく、酸化チタンとしてはTiO、TiO、TiO、TiO/nHO等の各種の酸化物、過酸化物が使用可能である。特に、ペルオキソ基を有する過酸化チタンが好ましい。酸化チタンはアモルファス型、アナターゼ型、ブルッカイト型、ルチル型のいずれでもよく、これらが混在していてもよいが、アモルファス型酸化チタンが好ましい。
アモルファス型酸化チタンは光触媒機能を有しない。一方、アナターゼ型、ブルッカイト型及びルチル型の酸化チタンは光触媒機能を有するが、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄または亜鉛を一定濃度以上に複合させると光触媒機能を喪失する。したがって、前記金属ドープチタン酸化物は光触媒機能を有しないものである。なお、アモルファス型酸化チタンは太陽光による加熱等により経時的にアナターゼ型酸化チタンに変換されるが、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄または亜鉛と複合させるとアナターゼ型酸化チタンは光触媒機能を失うので、結局のところ、前記金属ドープチタン酸化物は経時的に光触媒機能を示さないものである。
前記金属ドープチタン酸化物の製造方法としては、一般的な二酸化チタン粉末の製造方法を用いることができる。また、上述した金属ドープは、製造段階のいずれの工程でも酸化物と複合化できる。
(表面が過酸化された酸化チタン微粒子の製造方法)
表面が過酸化された酸化チタン微粒子の好ましい製造方法例を以下に示すが、本発明においては上述した機能が得られれば、微粒子の組成及び製造方法はこれに限らない。
まず、四塩化チタン等の四価チタンの化合物とアンモニア等の塩基とを反応させて、水酸化チタンを形成する。次に、この水酸化チタンを酸化剤でペルオキソ化し、超微細粒子のアモルファス型過酸化チタンを形成する。この反応は好ましくは水性媒体中で行われる。さらに、任意に加熱処理することによりアナターゼ型過酸化チタンに転移させることも可能である。上記の各工程のいずれかにおいて銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛またはそれらの化合物の少なくともいずれか1つが混合される。
ペルオキソ化用酸化剤は特に限定されるものではなく、チタンのペルオキソ化物、すなわち過酸化チタンが形成できるものであれば各種のものが使用できるが、過酸化水素が好ましい。酸化剤として過酸化水素水を使用する場合は、過酸化水素の濃度は特に制限されることはないが、30〜40%のものが好適である。ペルオキソ化前には水酸化チタンを冷却することが好ましい。その際の冷却温度は1〜5℃が好ましい。
このようにして得られた金属及びチタンの水酸化物は純水で洗浄した後、5℃前後に冷却し、次に、過酸化水素水でペルオキソ化する。これにより、金属がドープされた、アモルファス型のペルオキソ基を有するチタン酸化物微細粒子を含有する水性分散液、すなわち金属ドープチタン酸化物を含有する水性分散液を製造することができる。
上述した四価チタンの化合物としては、塩基と反応させた際に、オルトチタン酸(HTiO)とも呼称される水酸化チタンを形成できるものであれば各種のチタン化合物が使用でき、例えば四塩化チタン、硫酸チタン、硝酸チタン、燐酸チタン等のチタンの水溶性無機酸塩がある。それ以外にも蓚酸チタン等のチタンの水溶性有機酸塩も使用できる。なお、これらの各種チタン化合物の中では、水溶性に特に優れ、かつ金属ドープチタン酸化物の分散液中にチタン以外の成分が残留しない点で、四塩化チタンが好ましい。
また、四価チタンの化合物の溶液を使用する場合は、溶液濃度は、水酸化チタンのゲルが形成できる範囲であれば特に制限されるものではないが、比較的希薄な溶液が好ましい。具体的には、四価チタンの化合物の溶液濃度は、10〜0.01質量%が好ましく、7〜0.3質量%より好ましい。
上記四価チタンの化合物と反応させる塩基は、四価チタンの化合物と反応して水酸化チタンを形成できるものであれば、各種のものが使用可能であり、それにはアンモニア、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、苛性カリ等が例示できるが、アンモニアが最も好ましい。
また、上記の塩基の溶液を使用する場合は、当該溶液の濃度は、水酸化チタンのゲルが形成できる範囲であれば特に制限されるものではないが、比較的希薄な溶液が好ましい。具体的には、塩基溶液の濃度は、10〜0.01質量%が好ましく、7〜0.1質量%がより好ましい。
さらに異なる製造方法として、ゾル−ゲル法を用いる方法を挙げることができる。これは、チタンアルコキシドに、水、アルコール等の溶媒、酸または塩基触媒を混合撹拌し、チタンアルコキシドを加水分解させ、超微粒子のチタン酸化物のゾル溶液を生成する。この加水分解の前後のいずれかに、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛またはそれらの化合物の少なくともいずれか1つが混合される。なお、このようにして得られるチタン酸化物は、ペルオキソ基を有するアモルファス型である。
上記チタンアルコキシドとしては、一般式:Ti(OR′)(ただし、R′はアルキル基)で表示される化合物、または上記一般式中の一つあるいは二つのアルコキシド基(OR′)がカルボキシル基あるいはβ−ジカルボニル基で置換された化合物、あるいは、それらの混合物が好ましい。
上記チタンアルコキシドの具体例としては、Ti(O−iso−C、Ti(O−n−C、Ti(O−CHCH(C)C、Ti(O−C1735、Ti(O−iso−C[CO(CH)CHCOCH、Ti(O−n−C[OCN(COH)、Ti(OH)[OCH(CH)COOH]、Ti(OCHCH(C)CH(OH)C、Ti(O−n−C(OCOC1735)等が挙げられる。
上述した銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄または亜鉛の化合物例としては、Ni化合物:Ni(OH)、NiCl、Co化合物:Co(OH)NO、Co(OH)、CoSO、CoCl、Cu化合物:Cu(OH)、Cu(NO、CuSO、CuCl、Cu(CHCOO)、Mn化合物:MnNO、MnSO、MnCl、Fe化合物:Fe(OH)、Fe(OH)、FeCl、Zn化合物:Zn(NO、ZnSO、ZnCl等を挙げることができる。
また、金属ドープする場合の含有量は、例示した過酸化チタン濃度に対し、0.05〜15質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。また、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛の配合量については、チタンと金属成分とのモル比で、本発明からは1:1が望ましいが、水性分散液の安定性から1:0.01〜1:0.5が好ましく、1:0.03〜1:0.1がより好ましい。
微粒子表面の過酸化処理は、X線光電子分光法(XPS)や、フーリエ変換赤外吸収スペクトル(FT−IR)等の装置を用いて評価することができる。また、塩基剤として既知濃度のテトラブチルアンモニウム溶液を微粒子分散液に加えて処理し、微粒子表面に塩基剤を吸着させた後、溶液中に残存する塩基剤量を過塩素酸等の酸剤を用いた滴定法により同定し、別途求めた微粒子表面積(TEM法による観察や、BET法等により算出)から、過酸化処理の量を評価することができる。
酸化チタンの場合、微粒子の表面積に対する好ましい過酸化表面処理量としては、0.5〜30μmol/mが外部刺激による反応性の観点で好ましい。
(反射防止層の形成)
本発明においては、前記調製した微粒子を界面活性剤または分散剤の存在下、分散した状態の分散液を調製し、塗布工程にて基材上に製膜することが好ましい。
塗布手段としては、例えば、スプレー塗布、ディップコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ダイコーティング等の公知な塗布法や、スクリーン印刷、ロールスクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、インクジェット印刷等の公知な印刷法を用いて塗布することもできる。
塗布製膜後は、基材にダメージを与えないように、基材の軟化点以下で乾燥処理を行うことが本発明の特徴である。
上記塗装膜の厚みは乾燥膜厚で0.01〜100μmが好ましく、0.1〜50μmがより好ましく、特に、0.5〜10μmが好ましい。
界面活性剤または分散剤としては、各種の有機ケイ素化合物を使用することができる。有機ケイ素化合物としては各種のシラン化合物並びに各種のシリコーンオイル、シリコーンゴム及びシリコーンレジンが使用可能であるが、分子中にアルキルシリケート構造やポリエーテル構造を有するもの、またはアルキルシリケート構造とポリエーテル構造の両方を有するものが望ましい。
ここで、アルキルシリケート構造とは、シロキサン骨格のケイ素原子にアルキル基が結合した構造をさす。一方、ポリエーテル構造とは、これらに限定されるものではないが、具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイト、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体、ポリエチレンポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリテトラメチレングリコール−ポリプロピレンオキサイド共重合体等の分子構造が挙げられる。その中でも、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体は、そのブロック度や分子量により、濡れ性を制御できる観点からもさらに好適である。
分子中にアルキルシリケート構造とポリエーテル構造の双方を有する有機物質が特に好ましい。具体的には、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等のポリエーテル変性シリコーンが好適である。これは公知の方法で製造することができ、例えば、特開平4−242499号公報に記載の合成例1、2、3、4や、特開平9−165318号公報の参考例記載の方法等により製造することができる。特に、両末端メタリルポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体とジヒドロポリジメチルシロキサンとを反応させて得られるポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイドブロック共重合体変性ポリジメチルシロキサンが好適である。
具体的には、TSF4445、TSF4446(GE東芝シリコーン株式会社製)、SH200(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)、KPシリーズ(信越化学工業株式会社製)、並びに、DC3PA、ST869A、SH3746、SH3746M(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)等を用いることができる。これらは塗料用添加剤であるが、その他、塗料用以外でも、これらの性能が付与できるものであれば適宜使用することができる。
本来、これらの有機ケイ素化合物は基体表面や複合体の安定化に利用されるものであり、基体の表面処理後は、風雨・流水、及び、加熱によってその親水性部分は失われるのが通常である。しかし、本発明では、基体表面が正電荷を帯びているので、その親水性部分が喪失した後も、再び大気中の水分によって親水性能が復元する現象が見られる。
この機能を利用して「防汚・防曇機能」を生かした製品が可能となる。これは、あらゆる基体に応用できるが、特に、ガラス、金属、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明有機基体や高化粧性を有する研磨金属板、石材基体等に有効に利用することができる。
また、前記金属ドープチタン酸化物にアルキルシリケート構造またはポリエーテル構造、もしくはその両方の構造を有するシリコーンや変性シリコーンを添加して、基体上に複合体層を形成した場合、複合体層の表面では光触媒機能は発現せず、有機化合物の分解による防汚、抗菌、ガス分解、水浄化は認められない。したがって、この金属ドープチタン酸化物を複合体として用いることにより、基体の光酸化劣化を防止することが可能となる。
(中間層の形成)
本発明では、基体表面と複合体との間に中間層が存在してもよい。特に、基体表面に有機ケイ素化合物を含有する複合体層を形成する場合、シラン化合物を含む中間層を予め基体上に形成することが好ましい。この中間層は、Si−O結合を大量に含有するため、複合体層の強度や基体との密着性を向上することが可能になる。また、前記中間層は、基体への水分の浸入を防止する機能をも有している。
前記シラン化合物としては、加水分解性シラン、その加水分解物及びこれらの混合物が挙げられる。加水分解性シランとしては各種のアルコキシシランが使用でき、具体的には、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン、ジアルキルジアルコキシシラン、トリアルキルアルコキシシランが挙げられる。これらの内、1種類の加水分解性シランを単独で使用してもよく、必要に応じて2種類以上の加水分解性シランを混合して使用してもよい。またこれらのシラン化合物に、各種のオルガノポリシロキサンを配合してもよい。このようなシラン化合物を含有する中間層形成剤としては、ドライシールS(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)がある。
また、中間層形成剤として、メチルシリコーン樹脂及びメチルフェニルシリコーン樹脂等の室温硬化型シリコーン樹脂を使用してもよい。このような室温硬化型シリコーン樹脂としては、AY42−170、SR2510、SR2406、SR2410、SR2405、SR2411(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)がある。
中間層がシラン化合物またはシリコーン樹脂からなる場合は、これらのシラン化合物またはシリコーン樹脂と顔料との混合比(質量比)は、1:2〜1:0.05の範囲が好ましく、1:1〜1:0.1の範囲がより好ましい。
なお、中間層にはさらに分散剤、安定剤、レベリング剤等の添加剤が配合されてもよい。これらの添加剤は中間層の形成を容易とする作用を有する。さらに、顔料・染料等の着色剤を配合する場合は、当該着色剤の固着補助用バインダーを添加することも可能である。この場合のバインダーとしては、耐候性に優れたアクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合樹脂を主成分とする各種塗料用バインダーが使用することができ、例えば、ポリゾールAP−3720(昭和高分子株式会社製)、ポリゾールAP−609(昭和高分子株式会社製)等が挙げられる。
中間層は例えば以下のようにして形成することができる。揮発性溶媒中にシラン化合物またはシリコーン樹脂からなる中間層形成剤、並びに、必要に応じて前記着色剤、前記添加剤及び前記バインダーを含む溶液を、前記基体表面に2〜5mm程度の厚みとなるように塗布する。必要に応じて加熱し、揮発性溶媒を蒸発させて中間層を基体上に形成する。着色した中間層は基体と一体化することによって着色化粧性を基体に付与することができる。
上記のようにして形成された中間層の厚みは特に限定されるものではないが、0.01〜1.0μmが好ましく、0.05〜0.3μmがより好ましい。また、着色剤、添加剤、バインダーが添加された場合は、1.0〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。
基体上での中間層の形成方法としては、公知の任意の方法が使用可能であり、例えば、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロールコーティング法、刷毛塗り、スポンジ塗り等が可能である。なお、中間層の硬度、基体との密着性等の物理的性能を向上させるためには、基体上での中間層の形成後に、これらを許容範囲内の温度で加熱することが好ましい。
〔外部刺激処理〕
本発明で好ましく用いることができる外部刺激処理としては、上述した活性な微粒子を固着させる方法であれば如何なる外部刺激処理も好ましく用いることができるが、本発明においては、フレキシブルな基板にダメージを与えないように、基板上に形成された微粒子からなる反射防止層に対し、局所的なエネルギー付与が可能な方法を用いることを特徴とする。つまりは、従来のオーブンやホットプレート等を使った加熱手段では、反射防止層を形成させるために、基材も同様にして加熱されるため、基材にダメージが与えられるため好ましくなかった。
本発明では、例えば、プラズマ放電処理、マイクロ波照射処理、紫外線照射処理、電磁波照射処理、加圧処理等を挙げることができ、好ましくは、プラズマ放電処理、マイクロ波照射処理、紫外線照射処理であり、さらに具体的には、酸素プラズマ処理、マイクロ波照射処理、紫外線照射オゾン処理、またはこれらの処理を複数組み合わせ処理することが好ましい。
以下、本発明で好ましく用いることができる、外部刺激処理について例示する。
(プラズマ放電処理)
本発明において、好ましく用いることができるプラズマ処理について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本発明では、プラズマ処理としてはフレームプラズマ処理、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理、プラズマ処理を対象とするが、以下、大気圧プラズマ処理をプラズマ処理の代表として取り上げ説明する。
本発明に係るプラズマ処理工程は、大気圧またはそれに近い気圧下において行われることが特徴であるが、大気圧で可能な常圧プラズマ処理とすることが、続く塗布工程を速やかに行うことができる等、生産性の観点から好ましい。具体的な圧力としては70〜130kPaが好ましく、全く減圧・加圧を行わない、大気圧であることが最も好ましい。
プラズマを発生させるためには、キャリアガスとして不活性ガスの雰囲気下で放電させる必要があるが、ここで不活性ガスとは、周期表の第18属元素、所謂希ガスと呼ばれる、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等や、さらには窒素ガス雰囲気下で行うことが好ましく、アルゴンまたはヘリウムが特に好ましく用いられる。ただし、製造コスト的な観点からは窒素ガスを用いることが最も好ましい。
本発明の好ましい態様として、不活性ガスと共に0.01〜30体積%の反応性ガスを含有させることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜20体積%、最も好ましくは1〜15体積%の反応性ガスを含有させることが本発明の実施においてより好ましい。
本発明で用いる反応性ガスは複数用いることが可能であるが、少なくとも1種類は、放電空間でプラズマ状態となり、対象物の表面を処理できる成分を含有するものが好ましい。
反応性ガスの好ましい例としては、酸素、二酸化炭素、窒素(窒素雰囲気の場合を除く)、水素等のガスを含ませてもよい。また、表面を積極的に改質するため、メタン、アンモニア、各種有機金属化合物、フッ素化合物等を反応性ガスとして用いることも本発明において好ましい態様である。
本発明においては、上述した反応性ガスの内、酸素ガスを併用することによる酸素プラズマ処理が反応性の観点で最も好ましい。またさらに、本発明の過酸化された微粒子と併用することで、粒子間の固着が促進され、さらに好ましい。
大気圧下でプラズマ処理する場合は、開始電圧が上昇するので、これを抑えるのに、放電極面に誘電体を挟むこと、雰囲気ガスがヘリウム、アルゴンまたは窒素であること、電源として交流や高周波を使用することが好ましい。
周波数として、1kHz〜1GHzが好ましい。印加する電力は、対象とする試料の組成、表面特性等によっても異なり、条件を最適化する必要があるが、0.01〜10W/cmの範囲の電力を用いて0.1〜数十秒の範囲で放電処理を行う。印加電力が高すぎると、表面の平滑性を損ね、放電による飛散物質汚染等の問題が発生することがあり注意が必要である。
本発明に用いることのできる大気圧プラズマ処理装置の一例として、図1を用いて説明する。
図1はフレキシブルなフィルム基材の搬送工程に適用できる、所謂ロールツーロールによるプラズマ処理の装置例である。図1中、大気圧プラズマ処理装置30は、二つの電源を有する電界印加手段40、ガス供給手段50、電極温度調節手段60を有している装置である。
ロール電極(第1電極)35と複数の角筒型電極(第2電極)36との対向電極間(放電空間)32に、ガス供給手段50から供給された有機金属化合物のガス及び/または酸素ガスと、例えば窒素のような放電ガスとの混合物Gが供給され、ここで活性化されて、基材F上に導入される。
ロール回転電極(第1電極)35と角筒型電極(第2電極)36との間の放電空間(対向電極間)32に、ロール回転電極(第1電極)35には第1電源41から周波数ω1、電界強度V1、電流I1の第1の高周波電界を、また角筒型電極(第2電極)36には第2電源42から周波数ω2、電界強度V2、電流I2の第2の高周波電界をかけるようになっている。
ロール回転電極(第1電極)35と第1電源41との間には、第1フィルター43が設置されており、第1フィルター43は第1電源41から第1電極への電流を通過しやすくし、第2電源42からの電流をアースして、第2電源42から第1電源への電流を通過しにくくするように設計されている。また、角筒型電極(第2電極)36と第2電源42との間には、第2フィルター44が設置されており、第2フィルター44は、第2電源42から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源41からの電流をアースして、第1電源41から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
なお、本発明においては、ロール回転電極35を第2電極、また角筒型電極36を第1電極としてもよい。いずれにしても第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。第1電源は第2電源より高い高周波電界強度(V1>V2)を印加することが好ましい。また、周波数はω1<ω2となる能力を有している。
また、電流はI1<I2となることが好ましい。第1の高周波電界の電流I1は、好ましくは0.3〜20mA/cm、さらに好ましくは1.0〜20mA/cmである。また、第2の高周波電界の電流I2は、好ましくは10〜100mA/cm、さらに好ましくは20〜100mA/cmである。
ガス供給手段50において、ガス発生装置51で発生させた反応性ガスGは、流量を制御して給気口52より大気圧プラズマ処理容器31内に導入する。
基材Fを、図示されていない元巻きから巻きほぐして搬送されてくるか、または前工程から搬送されてきて、ガイドロール64を経てニップロール65で基材に同伴されてくる空気等を遮断し、ロール回転電極35に接触したまま巻き回しながら角筒型電極36との間に移送し、ロール回転電極(第1電極)35と角筒型電極(第2電極)36との両方から電界をかけ、対向電極間(放電空間)32で放電プラズマを発生させる。基材Fはロール回転電極35に接触したまま巻き回されながらプラズマ状態のガスにより処理される。基材Fは、ニップロール66、ガイドロール67を経て、次工程に移送する。
放電処理済みの処理排気G′は排気口53より排出する。
薄膜形成中、ロール回転電極(第1電極)35及び角筒型電極(第2電極)36を加熱または冷却するために、電極温度調節手段60で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管61を経て両電極に送り、電極内側から温度を調節する。
なお、68及び69は大気圧プラズマ処理容器31と外界とを仕切る仕切板である。
図1に示した各角筒型電極36は、円筒型電極に比べて、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明に好ましく用いられる。さらに、図2に図示したように、金属質母材36Aの表面に誘電体36Bを被覆して、角筒型電極36aとすることが大気圧下で放電させるためには好ましい。
対向する第1電極及び第2の電極の電極間距離は、電極の一方に誘電体を設けた場合、該誘電体表面ともう一方の電極の導電性の金属質母材表面との最短距離のことをいい、双方の電極に誘電体を設けた場合、誘電体表面同士の距離の最短距離のことをいう。
電極間距離は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、印加電界強度の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5〜2mmである。
大気圧プラズマ処理容器31は、パイレックス(登録商標)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたはステンレススティールのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けてもよく、該金属フレームにセラミックス溶射を行い、絶縁性をとってもよい。
以下に、本発明に係る大気圧プラズマ処理装置に適用可能な高周波電源を例示する。
本発明の大気圧プラズマ放電処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、
メーカー 周波数 製品名
神鋼電機 3kHz SPG3−4500
神鋼電機 5kHz SPG5−4500
春日電機 15kHz AGI−023
神鋼電機 50kHz SPG50−4500
ハイデン研究所 100kHz* PHF−6k
パール工業 200kHz CF−2000−200k
パール工業 400kHz CF−2000−400k
等の市販のものを挙げることができ、いずれも使用することができる。
また、第2電源(高周波電源)としては、
メーカー 周波数 製品名
パール工業 800kHz CF−2000−800k
パール工業 2MHz CF−2000−2M
パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
パール工業 27MHz CF−2000−27M
パール工業 150MHz CF−2000−150M
等の市販のものを挙げることができ、いずれも好ましく使用できる。
なお、上記電源のうち、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。
それ以外は連続サイン波のみ印加可能な高周波電源である。
本発明においては、このような電界を印加して、均一で安定な放電状態を保つことができる電極を大気圧プラズマ処理装置に採用することが好ましい。
本発明において、対向する電極間に印加する電力は、第2電極(第2の高周波電界)に1W/cm以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、対象となる試料表面を処理する。
第2電極に供給する電力の上限値としては、好ましくは50W/cm、より好ましくは20W/cmである。下限値は、好ましくは1.2W/cmである。なお、放電面積(cm)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
また、第1電極(第1の高周波電界)にも、1W/cm以上の電力(出力密度)を供給することにより、第2の高周波電界の均一性を維持したまま、出力密度を向上させることができる。さらに好ましくは5W/cm以上である。また、第1電極に供給する電力の上限値は、好ましくは50W/cmである。
これにより、さらなる均一高密度プラズマを生成でき、さらなる処理速度の向上と処理性の向上が両立できる。
ここで高周波電界の波形としては、特に限定されない。連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モード等があり、そのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側(第2の高周波電界)は連続サイン波の方がより好ましい。
図1に示される大気圧プラズマ処理装置は電極温度調節手段60を有している装置である。
プラズマ放電処理は、反応性の観点からはできる限り高温で処理することが好ましいが、本発明においては、基材に対してダメージを与えないように、基材の軟化点以下で処理することが好ましく、ロール回転電極(第1電極)の好ましい温度範囲としては、50℃以上、100℃以下が最も好ましい。
プラズマの照射時間は基材Fの搬送速度で制御することができ、照射時間に合わせて適宜調整される。好ましい照射時間は0.1〜100秒であり、さらに好ましくは0.2〜30秒であり、最も好ましくは0.5〜20秒である。長時間照射するほど本発明の効果を発揮しやすいが、生産性を考慮するとより短時間で処理することが好ましい。
〈マイクロ波照射処理〉
本発明で用いられる好ましいマイクロ波処理としては、0.3GHz〜50GHzの周波数を持つマイクロ波を用いることが好ましく、携帯通信で用いられる0.8GHz及び1.5GHz帯、2GHz帯、アマチュア無線、航空機レーダー等で用いられる1.2GHz帯、電子レンジ、構内無線、VICS等で用いられる2.4GHz帯、船舶レーダー等に用いられる3GHz帯、その他ETCの通信に用いられる5.6GHz等は全て電磁波の範疇に入る電磁波等が好ましいが、さらに好ましくは、マイクロ波(周波数0.3GHz〜50GHz)であることが好ましい。
最も一般的に用いられるマイクロ波としては、上述した内、2.45GHzのマイクロ波であり、例えば四国計測工業社製のマイクロ波反応装置等を用いることができる。
本発明においてはさらに、上述した微粒子に、電磁波吸収能を有する物質を複合化し、該物質が選択的にマイクロ波を吸収することで、局所的な加熱処理をすることができ、本発明において好ましい態様である。
マイクロ波照射処理のパワーとしては、300〜800Wが好ましく、より好ましくは400〜600Wである。照射時間は反応性によって任意に選べるが、好ましくは10分以内、より好ましくは2分以内に処理できることが好ましい。また、基材へのダメージを低減させるために、マイクロ波照射は間欠に行ってもよく、その場合は照射を行っている総照射時間で処理することが好ましい。
前記の電磁波吸収能を持つ物質(電磁波を吸収する物質)は、前述した活性微粒子と同様に、光散乱を起こさない十分小さな粒子径の微粒子であることがさらに好ましい。ミー散乱に代表される光散乱を抑える観点から、平均径は1〜100nmの微粒子が好ましく、1〜50nmの径がさらに好ましい。
上述した電磁波吸収能を持つ物質は、照射された電磁波を吸収し熱変換することで、当該物質自身が発熱して熱源となるため、基材にダメージを与えないように、誘電損失または抵抗損失が大きく効率よく発熱し、局所的な加熱が可能な材料を用いることが好ましい。
電磁波吸収能を持つ材料としては、金属酸化物または金属が好ましい。
金属酸化物としては、銅、ニッケル、亜鉛、錫、インジウムの酸化物が好ましい。また、酸素の存在下で電磁波を照射することにより酸化して金属酸化物となる場合には、金属原子を含む、金属塩、ハロゲン化物、有機金属化合物を用いることもできる。金属塩、金属酸化物、有機金属化合物、ハロゲン金属化合物、金属水素化合物の金属としては、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等を挙げることができる。それらのうち、銅、ニッケル、Zn(亜鉛)、Sn(錫)、In(インジウム)、のいずれかを含むことが好ましく、それらを併用して混合してもよい。
本発明で好ましく用いることができる電磁波吸収能を持つ金属としては、例えば、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等を用いることができる。
〈紫外線照射処理〉
本発明で好ましく用いることができる外部刺激処理として、紫外線照射処理を挙げることができる。紫外線照射の方法は、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、キセノンランプ、重水素ランプ、LEDランプ、エキシマーランプ等如何なる装置を用いても良いが、好ましくは紫外線の光の波長が150〜400nmの紫外線を含む光を照射できる装置を用いることが好ましく、より好ましくは、180〜365nmの紫外線を含む光を照射できる装置が好ましい。より好ましくは上述した紫外線を中心とした光であって、それ以外の光によって照射する対象が熱されることが無いランプが好ましく、高圧水銀ランプ、LEDランプ、エキシマーランプ等がより好ましい。
紫外光照射と同時に、酸素が存在する雰囲気下で処理することで、紫外線により発生するオゾンが、過酸化された活性微粒子間の固着を促す効果があり、さらに好ましい態様である。好ましい酸素濃度は、18〜50体積%であり、より好ましくは20〜30体積%である。
上述する照射処理では、紫外光照射と共にオゾンに暴露させ処理を行う。処理時間は0.5〜30分が好ましく、より好ましくは2〜15分である。
本発明の微粒子から成る反射防止層の用途としては、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイの最表層部材として、また、昨今クリーンエネルギーとして注目される太陽電池の中で特に、有機薄膜太陽電池に用いられる有機太陽電池素子や、有機光電変換素子といった、光エレクトロニクス分野において好ましく用いることができる。
上述した用途の中で、有機太陽電池素子を例に以下に記述する。なお、本願においては、後述する有機太陽電池の基材に予め微粒子からなる反射防止層を形成しておいてもよいし、有機太陽電池素子を形成後に反射防止層を製膜してもよい。
〔有機太陽電池素子の構成〕
本発明に係る有機太陽電池素子(有機PV素子)は、第1の電極と第2の電極との間に、両者に挟まれた光電変換層として、p型半導体材料とn型半導体材料を含む層を有し、光照射によって励起子がp/n界面に移動しキャリアに電荷分離することで起電力を発生する素子である。
上記光電変換層は、p型半導体材料とn型半導体材料のp/n界面を増やすため、両半導体材料を混合した所謂、バルクヘテロジャンクション構造を形成させることが好ましい(以後、バルクヘテロジャンクション層、またはBHJ層、i層とも言う)。
一般的な素子構造は、第1の電極(陽極層)上に、有機物層として、正孔輸送・電子ブロック層/光電変換層/電子輸送・正孔ブロック層を積層し、その上から第2の電極(陰極層)が積層された構成だが、本発明においてはこれに限定されず、光電変換層がp型半導体材料とn型半導体材料からなる層で、上述したバルクヘテロジャンクション層が挟み込まれたような構成、所謂p−i−n構成を適用してもよい。これによって、発生したキャリアとして正孔及び電子の整流性がより高くなり、電荷分離した正孔・電子の再結合等によるロスが低減され、一層高い光電変換効率を得ることができる。
(p型半導体材料)
本発明に係る発電層(バルクヘテロジャンクション層)に用いられるp型半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族低分子化合物や共役系ポリマー・オリゴマーが挙げられる。
縮合多環芳香族低分子化合物としては、例えば、ペンタセンやその誘導体、ポルフィリンやフタロシアニン、銅フタロシアニンやこれらの誘導体等が挙げられる。
共役系ポリマーとしては、例えば、ポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT)等のポリチオフェン及びそのオリゴマー、ポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、ポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、ポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体、Nature Mat.,vol.6(2007),p497に記載のPCPDTBT等のようなポリチオフェン共重合体、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマー、等のポリマー材料が挙げられる。
(n型半導体材料)
本発明に係るバルクヘテロジャンクション層に用いられるn型半導体材料としては、特に限定されないが、例えば、フラーレン、オクタアザポルフィリン等、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物等を挙げることができる。
(正孔注入・輸送層、電子ブロック層)
正孔注入・輸送層、電子ブロック層に用いられる材料としては、フタロシアニン誘導体、ヘテロ環アゾール類、芳香族三級アミン類、ポリビニルカルバゾール、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)等に代表される導電性高分子等の高分子材料が、また、発光層に用いられる、例えば、4,4′−ジカルバゾリルビフェニル、1,3−ジカルバゾリルベンゼン等のカルバゾール系発光材料、(ジ)アザカルバゾール類、1,3,5−トリピレニルベンゼン等のピレン系発光材料に代表される低分子発光材料、ポリフェニレンビニレン類、ポリフルオレン類、ポリビニルカルバゾール類等に代表される高分子発光材料等が挙げられる。
本発明においては、目的に応じて、正孔注入層と正孔輸送層を積層形成してもよく、正孔の輸送性と電極との接合において最適な材料を選択すればよい。
また、本発明においては、逆のキャリアである電子をブロックする機能を有し、電荷の選択性を向上させる様な材料を選択してもよい。
各層の好ましい膜厚としては、0.1〜100nmが好ましく、5〜70nmがより好ましく、10〜50nmが最も好ましい。
(電子注入・輸送層、正孔ブロック層)
電子注入・輸送層材料としては、種々のn型材料を用いることができる。本発明の有機エレクトロニクス素子に好ましく用いることができる材料の例としては、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛等の金属錯体化合物もしくは以下に挙げられる含窒素五員環誘導体がある。即ち、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールもしくはトリアゾール誘導体が好ましい。具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4′−tert−ブチルフェニル)−5−(4″−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルトリアゾリル)]ベンゼン等が挙げられる。
さらに上述の化合物以外にも、フラーレン類、カーボンナノチューブ類、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、及び酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物等を用いることも本発明において好ましい。
本発明においては、目的に応じて、電子注入層と電子輸送層を積層形成してもよく、電子の輸送性と電極との接合において最適な材料を選択すればよい。
また、本発明においては、逆のキャリアである電子をブロックする機能を有し、電荷の選択性を向上させるような材料を選択してもよい。
各層の好ましい膜厚範囲としては、0.1〜100nmが好ましく、5〜80nmがより好ましく、10〜60nmが最も好ましい。
電子注入層(バッファ層)においては、リチウム、カリウム、ナトリウム、セシウム等のイオンを含むハロゲン化物、例えば、フッ化リチウムや、フッ化カリウム等を積層させ、電極との接合を向上させる構成が本発明において特に好ましい。
これら無機材料からなる電子注入材料を用いる場合は、主にシャドウマスクを通した蒸着法によりパターニング製膜することが好ましいが、溶液として製膜できる場合は、生産性の点で塗布製膜することがより好ましい。
蒸着法の場合は、前述した拭き取りパターニングを行った後に蒸着製膜する製法が本発明において特に好ましい。
(製膜方法・表面処理方法)
各有機材料層(機能層)の形成方法としては、蒸着等により形成できるが、製膜速度の点から塗布及び印刷等が好ましい。
この際に使用する塗布方法に制限はないが、例えば、スピンコート法、溶液からのキャスト法、ディップコート法、ブレードコート法、ワイヤバーコート法、グラビアコート法、スプレーコート法等が挙げられる。さらには、インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法でパターニングすることもできる。
塗布後は残留溶媒及び水分、ガスの除去、及び半導体材料の移動度向上のために加熱乾燥アニールを行うことが好ましい。
各有機材料には溶解特性(溶解パラメータやイオン化ポテンシャル、極性)がそれぞれにあり、溶解できる溶媒には限定がある。またその際には溶解度もそれぞれ違うため、一概に濃度も決めることができないが、本発明において用いられる溶媒の種類は、製膜しようとする有機材料に応じて、前記の条件に適ったものを、公知の溶媒から選択すればよく、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン系炭化水素系溶媒や、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒、メタノールや、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、2−メトキシエタノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ヘキサン、オクタン、デカン、テトラリン等のパラフィン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶媒、ピリジン、キノリン、アニリン等のアミン系溶媒、アセトニトリル、バレロニトリル等のニトリル系溶媒、チオフェン、二硫化炭素等の硫黄系溶媒が挙げられる。
なお、使用可能な溶媒は、これらに限るものではなく、これらを二種以上混合して溶媒として用いてもよい。
これらのうち好ましい例としては、有機エレクトロニクス素子に用いられる材料の良溶媒としては、例えば芳香族系溶媒、ハロゲン系溶媒、エーテル系溶媒等であり、好ましくは、芳香族系溶媒、エーテル系溶媒である。また、貧溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、パラフィン系溶媒等が挙げられ、中でもアルコール系溶媒、パラフィン系溶媒である。
なお、これらの有機物層を塗布等によって積層する場合、下層を溶解しないよう、材料や溶媒を選択することが必要である。
また、そのため、これら有機物層の材料を積極的に架橋させる等して不溶化させる構成も好ましく用いることができる。例えばビニル基のような重合性基あるいは架橋基を持ち、加熱あるいは光照射等によって、前記の構造単位をそれぞれ有する重合体・または架橋構造を形成するものを用いることができる。これにより重層による膜の溶解、界面の乱れ等を抑えることができる。
(第1の電極(透明電極))
本発明に係る第1の電極は、陰極、陽極は特に限定せず、素子構成により選択することができるが、好ましくは透明電極を陽極として用いることである。例えば、陽極として用いる場合、好ましくは380〜800nmの光を透過する電極である。材料としては、4eVより大きな(深い)仕事関数を持つものが適しており、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の透明導電性金属酸化物、金、銀、白金等の金属薄膜、金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ等を用いることができる。
(第2の電極(対電極))
本発明に係る第2の電極は陰極、陽極は特に限定せず、素子構成により選択することができるが、好ましくは透明電極を陽極として用いることである。例えば、陰極として用いる場合、好ましくは仕事関数が4eV以下(浅い)の金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、有機層との電気的な接合、及び酸化等に対する耐久性の点から、これら金属とこれより仕事関数の値が大きく(深く)安定な金属である第二の金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム単独等が好適である。
第2の電極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
第2の電極として反射率の高い金属材料を用いれば、例えば有機EL素子において、発光した光の一部を反射して外部に取り出すことができ、また、有機太陽電池素子においては、光電変換層を通過した光を反射し、再度、光電変換層に戻すことで光路長を稼ぐ効果が得られ、いずれにおいても外部量子効率の向上が期待できる。
さらに、金属(例えば金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、または炭素からなるナノ粒子、ナノワイヤー、ナノ構造体であってもよく、ナノ粒子やナノワイヤーの高分散性なペーストであれば、透明で導電性の高い対電極を塗布法や印刷法により形成でき好ましい。
また、対電極側を光透過性とする場合は、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、銀及び銀化合物等の対電極に適した導電性材料を薄く1〜20nm程度の膜厚で作製した後、上記透明電極の説明で挙げた導電性光透過性材料の膜を設けることで、光透過性の電極とすることもできる。
(基材)
本発明の有機エレクトロニクス素子に用いられる基材(以下、基板とも呼ぶ)は、起電力を発生させるための光を透過させることが可能な、即ち入射する光の波長に対して透明な部材であることが好ましい。本発明で用いることができる基材の例としては、フレキシブルな基材であることが特徴であり、樹脂基板や金属ホイル等が好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが望ましい。
本発明で透明基板として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限がなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜800nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基板には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。
また、酸素及び水蒸気の透過を抑制する目的で、透明基板にはバリアコート層が予め形成されていてもよいし、透明導電層を製膜する側、または反対側にハードコート層が予め形成されていてもよい。
(封止)
作製した有機光電変換素子が大気中の酸素、水分等で劣化しないように、有機EL素子や有機太陽電池素子では、公知の手法によって封止することが好ましい。例えば、薄膜のアルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等のガスバリア層が形成されたプラスチックフィルムと有機エレクトロニクス素子上を接着剤やUV硬化・熱硬化樹脂等で封止接着し貼合する手法、ガスバリア性の高い有機高分子材料(ポリビニルアルコール等)をスピンコートする方法、ガスバリア性の高い無機薄膜(酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)または有機膜(パリレン等)を真空下や大気下でスパッタ法やCVD法等で堆積する方法、及びこれらを複合的に積層する方法等を挙げることができる。
さらに本発明においては、素子寿命向上の観点から、基板を含む素子全体を2枚のバリア付き基板でラミネート封止した構成でもよく、好ましくは、水分ゲッター等を同封した構成であることが本発明においてより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
実施例1
《反射防止層付き基板S−101の作製》
強く撹拌した純水に四塩化チタン(関東化学社製、特級)をゆっくり滴下して5質量%の水溶液1000mlを準備した。5質量%アンモニア水をゆっくり滴下しながらpHを7.0に調整し、続けて沈殿物を含む液を純水で3回洗浄し500mlの分散液を得た。室温で15時間撹拌した後、続けて信越シリコーン社製活性剤KF−6013を3g加え、微粒子の分散液Em01を得た。
基材として、コロナ放電処理により表面処理した180mm幅のポリエチレンナフタレート(PEN)シート(75μm厚)を準備し、上記の分散液Em01を、ワイヤーバーを用いて乾燥膜厚が2μmになるように塗布し、150℃で15分間乾燥して反射防止層付き基板S−101を得た。
《反射防止層付き基板S−102の作製》
反射防止層付き基板S−101の作製において、分散液Em01をワイヤーバーを用いて同様に塗布した後、基板を150℃に保ったまま100Wの高圧水銀ランプを2分間照射した以外は、同様にして反射防止層付き基板S−102を作製した。
《反射防止層付き基板S−103の作製》
反射防止層付き基板S−101の作製において、分散液Em01をワイヤーバーを用いて同様に塗布した後、基板を予め80℃に保ったまま下記プラズマ照射条件1に従って、プラズマ照射処理を行った以外は、同様にして反射防止層付き基板S−103を作製した。
(プラズマ照射条件1)
プラズマ照射装置:図2に示す装置を使用
第1電源電力:ハイデン研究所PHF−6k(100kHz)
第2電源電力:パール工業CF−5000−13M(13.56MHz)
キャリアガス:窒素(大気圧下)
反応性ガス:酸素(窒素に対して5体積%)
印加出力:1.0W/cm
電極部温度調節:80℃
処理時間:20秒
《反射防止層付き基板S−104の作製》
塩化錫(II)2水和物(関東化学社製)を0.6質量%溶解した水溶液を準備し、強く撹拌したまま四塩化チタン(関東化学社製、特級)をゆっくり滴下して5質量%の水溶液1000mlを準備した。5質量%アンモニア水をゆっくり滴下しながらpHを7.0に調整し、続けて沈殿物を含む液を純水で3回洗浄し500mlの分散液を得た。室温で15時間撹拌した後、続けて信越シリコーン社製活性剤KF−6013を3g加え、酸化錫を含む微粒子の分散液Em02を得た。
反射防止層付き基板S−101の作製と同様にして、前記分散液Em02を、ワイヤーバーを用いて同様に塗布した後、基板を150℃以下に保ったまま、2.45GHzのマイクロ波照射装置(四国計測工業社製マイクロ波反応装置)を用い、500Wの出力で積算時間が2分になるように間欠照射した以外は、反射防止層付き基板S−101の作製と同様にして反射防止層付き基板S−104を作製した。
《反射防止層付き基板S−105の作製》
強く撹拌した純水に四塩化チタン(関東化学社製、特級)をゆっくり滴下して5質量%の水溶液1000mlを準備した。5質量%アンモニア水をゆっくり滴下しながらpHを7.0に調整し、続けて沈殿物を含む液を純水で3回洗浄し500mlの分散液を得た。次に前記分散液を5℃前後に冷却し、撹拌しながら35質量%過酸化水素水30mlをゆっくり加え、そのまま15時間反応させ、続けて信越シリコーン社製活性剤KF−6013を3g加え、過酸化された微粒子の分散液Em03を得た。
基材として、コロナ放電処理により表面処理した180mm幅のポリエチレンナフタレート(PEN)シート(75μm厚)を準備し、上記の分散液Em01を、ワイヤーバーを用いて乾燥膜厚が2μmになるように塗布し、150℃で15分間乾燥させて反射防止層付き基板S−105を得た。
《反射防止層付き基板S−106の作製》
反射防止層付き基板S−105の作製において、分散液Em03をワイヤーバーを用いて同様に塗布した後、基板を150℃に保ったまま100Wの高圧水銀ランプを2分間照射した以外は、同様にして反射防止層付き基板S−106を作製した。
《反射防止層付き基板S−107の作製》
反射防止層付き基板S−105の作製において、分散液Em03をワイヤーバーを用いて同様に塗布した後、基板を予め80℃に保ったまま下記プラズマ照射条件2に従って、プラズマ照射処理を行った以外は、同様にして反射防止層付き基板S−107を作製した。
(プラズマ照射条件2)
プラズマ照射装置:図2に示す装置を使用
第1電源電力:ハイデン研究所PHF−6k(100kHz)
第2電源電力:パール工業CF−5000−13M(13.56MHz)
キャリアガス:窒素(大気圧下)
反応性ガス:酸素(窒素に対して5体積%)
印加出力:1.0W/cm
電極部温度調節:80℃
処理時間:20秒
《反射防止層付き基板S−108の作製》
塩化錫(II)2水和物(関東化学社製)を0.6質量%溶解した水溶液を準備し、強く撹拌したまま四塩化チタン(関東化学社製、特級)をゆっくり滴下して5質量%の水溶液1000mlを準備した。5質量%アンモニア水をゆっくり滴下しながらpHを7.0に調整し、続けて沈殿物を含む液を純水で3回洗浄し500mlの分散液を得た。次に前記分散液を5℃前後に冷却し、撹拌しながら35質量%過酸化水素水30mlをゆっくり加え、そのまま15時間反応させ、続けて信越シリコーン社製活性剤KF−6013を3g加え、酸化錫を含む過酸化された微粒子の分散液Em04を得た。
反射防止層付き基板S−105の作製と同様にして、前記分散液Em04をワイヤーバーを用いて同様に塗布した後、基板を150℃以下に保ったまま、2.45GHzのマイクロ波照射装置(四国計測工業社製マイクロ波反応装置)を用い、500Wの出力で積算時間が2分になるように間欠照射した以外は、反射防止層付き基板S−105の作製と同様にして反射防止層付き基板S−108を作製した。
《反射防止層付き基板S−109の作製》
塩化銅(II)2水和物(関東化学社製)を0.5質量%溶解した水溶液を準備し、強く撹拌したまま四塩化チタン(関東化学社製、特級)をゆっくり滴下して5質量%の水溶液1000mlを準備した。5質量%アンモニア水をゆっくり滴下しながらpHを7.0に調整し、続けて沈殿物を含む液を純水で3回洗浄し500mlの分散液を得た。次に前記分散液を5℃前後に冷却し、撹拌しながら35質量%過酸化水素水30mlをゆっくり加え、そのまま15時間反応させ、続けて信越シリコーン社製活性剤KF−6013を3g加え、酸化銅を含む過酸化された微粒子の分散液Em05を得た。
反射防止層付き基板S−105の作製と同様にして、前記分散液Em05をワイヤーバーを用いて同様に塗布した後、150℃で15分間乾燥して反射防止層付き基板S−109を得た。
《反射防止層付き基板S−110の作製》
反射防止層付き基板S−109の作製において、分散液Em05をワイヤーバーを用いて同様に塗布した後、基板を150℃に保ったまま100Wの高圧水銀ランプを2分間照射した以外は、同様にして反射防止層付き基板S−110を作製した。
《反射防止層付き基板S−111の作製》
反射防止層付き基板S−109の作製において、分散液Em05をワイヤーバーを用いて同様に塗布した後、基板を予め80℃に保ったまま下記プラズマ照射条件3に従って、プラズマ照射処理を行った以外は、同様にして反射防止層付き基板S−111を作製した。
(プラズマ照射条件3)
プラズマ照射装置:図1に示す装置を使用
第1電源電力:ハイデン研究所PHF−6k(100kHz)
第2電源電力:パール工業CF−5000−13M(13.56MHz)
キャリアガス:窒素(大気圧下)
反応性ガス:酸素(窒素に対して5体積%)
印加出力:1.0W/cm
電極部温度調節:80℃
処理時間:20秒
《反射防止層付き基板S−112の作製》
塩化銅(II)2水和物(関東化学社製)0.5質量%と、塩化錫(II)2水和物(関東化学製)0.6質量%とを混合溶解した水溶液を準備し、強く撹拌したまま四塩化チタン(関東化学社製、特級)をゆっくり滴下して5質量%の水溶液1000mlを準備した。5質量%アンモニア水をゆっくり滴下しながらpHを7.0に調整し、続けて沈殿物を含む液を純水で3回洗浄し500mlの分散液を得た。次に前記分散液を5℃前後に冷却し、撹拌しながら35質量%過酸化水素水30mlをゆっくり加え、そのまま15時間反応させ、続けて信越シリコーン社製活性剤KF−6013を3g加え、酸化銅と酸化錫を含む過酸化された微粒子の分散液Em06を得た。
反射防止層付き基板S−109の作製と同様にして、前記分散液Em06をワイヤーバーを用いて同様に塗布した後、基板を150℃以下に保ったまま、2.45GHzのマイクロ波照射装置(四国計測工業社製マイクロ波反応装置)を用い、500Wの出力で積算時間が2分になるように間欠照射した以外は、反射防止層付き基板S−109の作製と同様にして反射防止層付き基板S−112を作製した。
《反射防止層付き基板S−113の作製》
反射防止層付き基板S−111の作製において、PENシートの片面に反射防止層を製膜した後、それとは異なる反対側の面に対しても同様にして反射防止層を製膜することで、両面に反射防止層を形成した以外は、同様にして反射防止層付き基板S−113を作製した。
《反射防止層付き基板の評価》
作製した反射防止層付き基板S−101〜S−113について、下記評価を行った。
(透過率)
反射率の評価方法として透過率で代用した。透過率が高いほど、反射防止性が高いことを示す。分光透過率測定装置(UVPC−3000:島津製作所製)を用いて、室温における波長550nmの光に対する厚さ方向の直線透過率を測定した。
(防汚性)
上記作製した反射防止層付き基板を、屋外の地面から下端が1500mmの高さに垂直に取り付け、東京都内で4〜6月の3ヶ月間屋外曝露した後、上記透過率評価と同様にして透過率を測定した。
(屈曲耐久性)
3インチφの紙製芯を用意し、上記作製した反射防止層付き基板について、表裏を1セットとして、50セット巻きつけた後、1mの長さについてクラックの有無を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:クラックなし
△:クラックが1〜5箇所に見られる
×:クラックが6箇所以上見られる
評価の結果を表1に示す。
Figure 0005397064
表1より、本発明の反射防止層の製造方法で作製した反射防止層付き基板は、反射防止機能及び防汚性が高く、曲げによるクラックの発生が少ないことが分かる。
実施例2
《有機太陽電池パネルOPV−1の作製》
〔第1の電極の形成〕
実施例1で作製した反射防止層付き基板S−105の反射防止層の反対面にバリア層を形成した後、真空環境条件で厚さ140nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタリング法により製膜を行い、10mm×100mmの大きさの第1の電極を一定間隔で12列形成した。
〔有機層の形成〕
(正孔輸送層の形成)
ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製 Bytron P AI 4083)を40質量%に対し、純水30質量%、イソプロパノール30質量%で希釈した溶液を正孔輸送層形成用塗布液として、上述した第1の電極を含むPEN基板上に塗布した。塗布はスリットコーターを使用し乾燥後の厚みが30nmになるように製膜し、続けて150℃で30分間乾燥・加熱処理し正孔輸送層を形成した。
(光電変換層の形成)
前記正孔輸送層上に、クロロベンゼンにP3HT(プレクトロニクス社製:レジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェン)とPCBM(フロンティアカーボン社製:6,6−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル)を3.0質量%になるように1:0.8で混合した溶液を調製し、乾燥膜厚が90nmになるようにスリットコーターを使用して塗布を行い、室温で放置して乾燥させた。上記一定間隔で作製した第1の電極間を、拭き取り部材を接触させて拭き取り除去し、続けて、150℃で15分間加熱処理を行い、光電変換層を形成した。
Figure 0005397064
〔陰極バッファ層の形成〕
前記作製した基板を真空蒸着チャンバーに搬送し、5×10−4Paまで減圧した真空条件にて、LiF(シグマアルドリッチ社製)を厚さ0.6nm蒸着製膜し、陰極バッファ層(電子注入層)を積層した。
〔第2の電極の形成〕
引き続き、同真空度のまま、蒸着法にてマスクパターン製膜し、アルミニウムを使用して厚さ100nmのアルミニウムからなる第2の電極(陰極)を形成した。
〔封止部材の貼合〕
次いで、作製した素子において、12列直列で接続した最左端の第1の電極からなる部位(有機層をパターニング除去した領域)、最右端の第2の電極と繋がったリード部を除き、その内部の領域に紫外線硬化型の液状接着剤(エポキシ系樹脂)を複数のノズルから滴下して塗設した。
封止フィルム(凸版印刷社製、GXフィルム:厚み100μm)を、前述の接着剤塗設面にロールラミネータ法により貼合し、大気圧下にて押圧0.1MPaでロール圧着した後、100Wの高圧水銀ランプを、照射強度5〜20mW/cm、距離5〜15mmで1分間照射し固着することで封止した。
上述した一連の作製法により有機太陽電池パネルOPV−1を作製した。
《有機太陽電池パネルOPV−2〜OPV−9の作製》
有機太陽電池パネルOPV−1の作製において、反射防止層付き基板S−105を実施例1で作製した反射防止層付き基板S−106〜S−113に換えた以外は、同様にして有機太陽電池パネルOPV−2〜OPV−9を作製した。
《有機太陽電池パネルの評価》
上記作製した有機太陽電池パネルについて、ソーラーシミュレーターを用い、AM1.5Gフィルター、100mW/cmの強度の光を照射し、I−V特性を評価し、特性値として、短絡電流密度Jsc(mA/cm)及び開放電圧Voc(V)、フィルファクターffから式1を用いてエネルギー変換効率η(%)を得た。エネルギー変換効率は、OPV−1のエネルギー変換効率を100とする相対値で表す。なお、短絡電流密度は、有機太陽電池パネルの有効発電部に相当する面積で規格化して算出した。
式1 η(%)=Jsc(mA/cm)×Voc(V)×ff
評価の結果を表2に示す。
Figure 0005397064
表2より、本発明の有機太陽電池パネルは、反射防止機能が高いためエネルギー変換効率が高いことが分かる。
30 大気圧プラズマ処理装置
31 大気圧プラズマ処理容器
32 放電空間
36 角筒型電極
40 電界印加手段
41 第1電源
42 第2電源
43 第1フィルター
44 第2フィルター
50 ガス供給手段
51 ガス発生装置
52 給気口
53 排気口
60 電極温度調節手段
64 ガイドロール
65 ニップロール
68、69 仕切板
F 基材
G′ 処理排気口
36a 角筒型電極
36A 金属母体
36B 誘電体被覆層

Claims (9)

  1. 樹脂基材の少なくとも片面に、表面が過酸化された微粒子を含む分散液を塗布する工程と、外部刺激処理によって前記微粒子を固着させる工程とを少なくとも含むことを特徴とする反射防止層の製造方法。
  2. 前記分散液が、少なくとも導電体と、誘電体または半導体からなる微粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載の反射防止層の製造方法。
  3. 前記分散液が、少なくともマイクロ波を吸収する金属または金属酸化物からなる微粒子を含有し、かつ、前記外部刺激処理がマイクロ波照射処理であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止層の製造方法。
  4. 前記外部刺激処理が、プラズマ放電処理、マイクロ波照射処理、紫外線照射処理から選ばれる処理であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止層の製造方法。
  5. 前記外部刺激処理が、大気圧または大気圧に近い気圧で、酸素の存在下に行うプラズマ放電処理であることを特徴とする請求項4に記載の反射防止層の製造方法。
  6. 前記外部刺激処理が、雰囲気中の酸素濃度が18体積%以上、50体積%の条件下で行う紫外線照射処理であることを特徴とする請求項4に記載の反射防止層の製造方法。
  7. 前記樹脂基材が、フレキシブルな基材であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の反射防止層の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の反射防止層の製造方法で作製した反射防止層を有することを特徴とする有機エレクトロニクス素子。
  9. 前記樹脂基材の両面に前記反射防止層が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の有機エレクトロニクス素子。
JP2009172039A 2009-07-23 2009-07-23 反射防止層の製造方法及び反射防止層を用いた有機エレクトロニクス素子 Expired - Fee Related JP5397064B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009172039A JP5397064B2 (ja) 2009-07-23 2009-07-23 反射防止層の製造方法及び反射防止層を用いた有機エレクトロニクス素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009172039A JP5397064B2 (ja) 2009-07-23 2009-07-23 反射防止層の製造方法及び反射防止層を用いた有機エレクトロニクス素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011029316A JP2011029316A (ja) 2011-02-10
JP5397064B2 true JP5397064B2 (ja) 2014-01-22

Family

ID=43637744

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009172039A Expired - Fee Related JP5397064B2 (ja) 2009-07-23 2009-07-23 反射防止層の製造方法及び反射防止層を用いた有機エレクトロニクス素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5397064B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5898857B2 (ja) * 2011-05-20 2016-04-06 大阪ガスケミカル株式会社 光電変換材料および太陽電池
JP6255746B2 (ja) * 2012-06-29 2018-01-10 三菱ケミカル株式会社 有機薄膜太陽電池製造装置
CN114891439A (zh) * 2022-04-29 2022-08-12 中油新星纳米工程技术有限公司 一种低表面能海洋防污涂料的制备方法
WO2024228369A1 (ja) * 2023-05-01 2024-11-07 ソニーグループ株式会社 光学素子、光学素子の製造方法、材料セット、光学機器およびシステム。

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002289898A (ja) * 2001-03-23 2002-10-04 Canon Inc 集光型太陽電池モジュール及び集光型太陽光発電システム
JP4369675B2 (ja) * 2002-10-22 2009-11-25 関西ペイント株式会社 半導体膜、半導体膜の形成方法、及び光電極
JP4524150B2 (ja) * 2004-08-02 2010-08-11 富士フイルム株式会社 反射防止フィルム、偏光板、画像表示装置、および反射防止フィルムの製造方法
JP2007022844A (ja) * 2005-07-15 2007-02-01 Sustainable Titania Technology Inc 酸化物複合膜、該膜形成用塗布液、該塗布液の製造方法及び該膜の造膜方法。
WO2008126689A1 (ja) * 2007-04-10 2008-10-23 Konica Minolta Holdings, Inc. 色素増感型太陽電池の製造方法
WO2009008419A1 (ja) * 2007-07-09 2009-01-15 Sustainable Titania Technology Inc. 基体の反射率低減剤及びそれを用いた低反射性基体の製造方法
JP5280708B2 (ja) * 2008-03-06 2013-09-04 シャープ株式会社 太陽電池モジュール

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011029316A (ja) 2011-02-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5716752B2 (ja) ガスバリアフィルムの製造方法、ガスバリアフィルムおよび電子デバイス
US8749009B2 (en) Device components with surface-embedded additives and related manufacturing methods
JP5761030B2 (ja) バリアフィルムの製造方法
CN103958182B (zh) 气体阻隔膜及电子设备
WO2011074440A1 (ja) ガスバリアフィルム、ガスバリアフィルムの製造方法及び有機光電変換素子
EP2610013A1 (en) Method for manufacturing gas barrier film, and organic photoelectric conversion element
JP2013069726A (ja) 波長変換部材およびそれを用いた太陽光発電モジュール
KR102636393B1 (ko) 태양 전지 모듈, 전자 기기, 및 전원 모듈
JP5935263B2 (ja) ガスバリア性フィルム、ガスバリア性フィルムの製造方法、及びガスバリア性フィルムを有する有機電子デバイス
JP5397064B2 (ja) 反射防止層の製造方法及び反射防止層を用いた有機エレクトロニクス素子
JP2018085497A (ja) 光電変換素子
JP6520349B2 (ja) 光電変換素子
JP2010161270A (ja) 有機光電変換素子とその製造方法
JP5640976B2 (ja) ガスバリアフィルムとその製造方法、これを用いた光電変換素子
JP2016187021A (ja) 光電変換素子
WO2011004682A1 (ja) バリアフィルム、有機光電変換素子及びバリアフィルムの製造方法
JP5636646B2 (ja) バリアフィルムの製造方法、バリアフィルム及び有機光電変換素子の製造方法
JP2014027269A (ja) 光電変換素子、太陽電池、及び太陽電池モジュール
Pradhan et al. Enhancing the performance of nanostructured zinc oxide/polymer-based hybrid solar cells using ammonia as a structural and interfacial modifier
JP2003123856A (ja) 光電変換素子
JP2003264304A (ja) 光電変換素子
JP2016189390A (ja) 光電変換素子
US20210280809A1 (en) Photoelectric conversion element and photoelectric conversion module
EP3839994B1 (en) Photoelectric conversion element, photoelectric conversion module, electronic device, and power supply module
JP2004228537A (ja) 光電変換素子の製造方法、光電変換素子および電子機器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120321

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20120803

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130807

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130924

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131007

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5397064

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees