JP5392223B2 - 歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
鋼板を素材とする自動車の車体用部品の多くがプレス加工により成形されるため、使用される熱延鋼板には、優れたプレス成形性を有することが要求される。優れたプレス成形性を有する鋼板となるためには、まず低い降伏強さと高い延性を確保することが肝要となる。また、伸びフランジ成形が多用される場合もあり、高い穴拡げ率を有することも必要となる。しかし、一般に、鋼板を高強度化すると、降伏強さが上昇し形状凍結性が劣化するとともに、延性が低下し、穴拡げ率が低下して、プレス成形性が低下する傾向となる。このため、従来から、高い延性を有し、プレス成形性に優れた高強度熱延鋼板が要望されていた。
プレス成形後に熱処理を施し、降伏応力のみならず引張強さをも上昇させようとする熱延鋼板が、いくつか提案されている。
質量%で、C:0.04%、Si:0.82%、Mn:1.6 %、P:0.01%、S:0.005 %、Al:0.04%、N:0.002 %を含有し、Cuを0.3 %、1.3 %と変化した組成を有するシートバーについて、1150℃に加熱−均熱後、仕上圧延終了温度が850 ℃となるように3パス圧延を行って板厚2.0mm としたのち、冷却条件と巻取り温度を変化して、組織をフェライト単相からフェライト+マルテンサイトの複合組織を有する熱延板とした。
歪時効硬化特性は、熱処理前後の引張強さ増加量ΔTSで評価した。ΔTSは、熱処理を施した後の引張強さTSHTと、熱処理を施さない場合の引張強さTSとの差(=(熱処理後の引張強さTSHT)−(予変形処理前の引張強さTS))とした。なお、引張試験は、JIS 5号引張試験片を用いて実施した。
図2に、ΔTSと予変形処理後の熱処理温度の関係におよぼすCu含有量の影響を示す。なお、用いた熱延板は、熱間圧延終了後、20℃/sの冷却速度で 700℃まで冷却し、ついで5s間空冷した後、30℃/sの冷却速度で 450℃まで冷却し、その後、 450℃×1hのコイル巻取り相当処理を施したものである。このようにして得られた熱延板のミクロ組織は、主相としてのフェライトと、面積率で8%のマルテンサイトとの複合組織であった。ΔTSは、これら熱延板に、予変形処理を施した後、熱処理を行い求めた。
図3から、Cu:0.3 質量%の鋼板では、フェライト(α)+マルテンサイトの複合組織となりYRが70%未満となると、YRの低下とともにλが低下しているが、Cu:1.3 質量%の鋼板では、フェライト(α)+マルテンサイトの複合組織となりYRが低くなっても高いλ値を維持していることがわかる。一方、Cu含有量が0.3 質量%の鋼板では、低いYRと高いλを同時には得ることができない。
本発明の熱延鋼板では、通常の熱処理前後の変形応力増加量測定時の予歪量である2%よりも多い歪量での予変形と、150 ℃以上350 ℃以下といった比較的低温域での熱処理により、鋼板中に極微細Cuが析出する。本発明者らの検討によれば、この極微細Cuの析出により、降伏応力の増加に加え、引張強さが顕著に増加する高い歪時効硬化特性が得られたと考えられる。このような比較的低温域での熱処理による極微細Cuの析出は、これまで報告されている極低炭素鋼あるいは低炭素鋼では全く認められなかった。比較的低温域での熱処理によって極微細Cuが析出することについては、現在まで、その理由は明確となっていないが、フェライト(α)+オーステナイト(γ)の2相域での保持中に、γ相にCuが多量に分配され、それが冷却後も引き継がれてマルテンサイト中にCuが過飽和に固溶した状態になり、5%以上の予歪の付加と低温熱処理により、極微細に析出したものと考えられる。
上記した新規な知見に基づき、本発明者らは、さらに鋭意研究を重ねた結果、上記した現象はCuを含まない鋼板においても起こることを知見した。Cuに代えて、Mo、Cr、Wのうちの1種または2種以上を含有し、組織をフェライト+マルテンサイトの複合組織とすることにより、予歪を付加し低温での熱処理を施すと、マルテンサイト中に極微細な炭化物が歪誘起析出し引張強さが上昇することを見いだした。この低温加熱時の歪誘起微細析出は、Mo、Cr、Wのうちの1種または2種以上に加えてNb、V、Tiのうちの1種または2種以上を含有することによりさらに顕著となることも見いだした。
(1)質量%で、C:0.15%以下、Si:2.0%以下、Mn:3.0%以下、P:0.1%以下、S:0.02%以下、Al:0.1%以下、N:0.02%以下、Cu:0.5〜3.0%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、組織が、面積率で80%以上のフェライト相を主相とし、面積率で2%以上のマルテンサイト相単独の第2相との複合組織を有することを特徴とする、プレス成形性に優れ、かつΔTS:80MPa以上になる歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板。
A群:Ni:2.0 %以下、
B群:Cr、Moのうちの1種または2種を合計で2.0 %以下、
C群:Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で0.2 %以下
のうちから選ばれた1群または2群以上を含有することを特徴とする、プレス成形性に優れ、かつΔTS:80MPa 以上になる歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板。
本発明の熱延鋼板は、組織が、面積率で80%以上のフェライト相と、面積率で全組織に対し2%以上のマルテンサイト相単独の第2相との複合組織を有する。
低い降伏強さYSと高い延性(El)を有し、優れたプレス成形性を有する鋼板とするために、本発明では鋼板の組織を、主相であるフェライト相と、マルテンサイトを含む第2相との複合組織とする必要がある。主相であるフェライトは、面積率で50%以上とするのが好ましい。フェライトが、50%未満では、高い延性を確保することが困難となりプレス成形性が低下する。また、さらに良好な延性が要求される場合にはフェライト相の面積率は80%以上とするのが好ましい。なお、複合組織の利点を利用するために、フェライト相は98%以下とするのが好ましい。
つぎに、本発明熱延鋼板の組成限定理由について説明する。なお、質量%は単に%と記す。
C:0.15%以下
Cは、鋼板の強度を増加し、さらにフェライトとマルテンサイトの複合組織の形成を促進する元素であり、本発明では複合組織を形成するために0.01%以上含有するのが好ましい。一方、0.15%を超える含有は、鋼中の炭化物の分率が増加し、延性、さらにはプレス成形性を低下させる。さらに、より重要な問題として、C含有量が0.15%を超えると、スポット溶接性、アーク溶接性等が顕著に低下する。このため、本発明では、Cは0.15%以下に限定した。なお、成形性の観点からは0.10%以下とするのが好ましい。
Siは、鋼板の延性を顕著に低下させることなく、鋼板を高強度化させることができる有用な強化元素であるとともに、フェライト変態の促進および未変態オーステナイト中へのCの濃縮によるマルテンサイト形成の促進等に有効な元素である。しかし、Si含有量が2.0 %を超えると、プレス成形性の劣化を招くとともに、表面性状が悪化する。このため、Siは2.0 %以下に限定した。なお、マルテンサイト形成の観点から0.1 %以上含有するのが好ましい。
Mnは、鋼を強化する作用があり、さらにフェライト+マルテンサイトの複合組織の形成を促進する作用を有している。また、Sによる熱間割れを防止する有効な元素であり、含有するS量に応じて含有するのが好ましい。このような効果は、0.5 %以上の含有で顕著となる。一方、3.0 %を超える含有は、プレス成形性および溶接性が劣化する。このため、本発明ではMnは3.0 %以下に限定した。なお、より好ましくは1.0 %以上である。
Pは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必要量含有することができるが、過剰に含有するとプレス成形性が劣化する。このため、Pは0.10%以下に限定した。なお、より優れたプレス成形性が要求される場合には、0.08%以下とするのが好ましい。
Sは、鋼板中では介在物として存在し、鋼板の延性、成形性、とくに伸びフランジ成形性の劣化をもたらす元素であり、できるだけ低減するのが好ましいが、0.02%以下に低減すると、さほど悪影響をおよぼさなくなるため、本発明ではSは0.02%を上限とした。なお、優れた伸びフランジ成形性を要求される場合には、Sは0.010 %以下とするのが好ましい。
Alは、鋼の脱酸元素として添加され、鋼の清浄度を向上させるのに有用な元素であるが、0.10%を超えて含有してもより一層の脱酸効果は得られず、逆にプレス成形性が劣化する。このため、Alは0.10%以下に限定した。なお、好ましくは0.01%以上である。また、本発明では、Al脱酸以外の脱酸方法による溶製方法を排除するものではなく、たとえばTi脱酸やSi脱酸を行ってもよく、これらの脱酸法による鋼板も本発明の範囲に含まれる。
Nは、固溶強化や歪時効硬化で鋼板の強度を増加させる元素であるが、0.02%を超えて含有すると、鋼板中に窒化物が増加し、それにより鋼板の延性、さらにはプレス成形性が顕著に劣化する。このため、Nは0.02%以下に限定した。なお、よりプレス成形性の向上が要求される場合には0.01%以下とするのが好適である。
Cuは、鋼板の歪時効硬化(予変形−熱処理後の強度増加)を顕著に増加させる元素であり、本発明において最も重要な元素の一つである。Cu含有量が0.5 %未満では、たとえ予変形−熱処理条件を変化させても、ΔTS:80MPa 以上の引張強さの増加は得られない。このため、本発明では、Cuは0.5 %以上の含有を必要とする。一方、3.0 %を超える含有は、効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できず経済的に不利となるうえ、プレス成形性の劣化を招き、さらに鋼板の表面性状が悪化する。このため、Cuは0.5 〜3.0 %に限定した。なお、より大きいΔTSと優れたプレス成形性とを両立させるためには、Cuは1.0 〜2.5 %の範囲にするのが好ましい。
A群:Ni:2.0 %以下
B群:Cr、Moのうちの1種または2種を合計で2.0 %以下
C群:Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で0.2 %以下
のうちの1群または2群以上を含有することが好ましい。
A群:Niは、Cu添加時に鋼板表面に発生する表面欠陥の防止に有効な元素であり、必要に応じ含有できる。含有する場合には、その含有量は、Cu含有量に依存し、およそCu含有量の半分程度とするのが好ましい。なお、2.0 %を超えて含有しても、効果が飽和し含有量に見合う効果が期待できなく経済的に不利となるうえ、逆にプレス成形性が劣化する。このようなことから、Niは2.0 %以下に限定するのが好ましい。
B群:Cr、Moは、いずれもMnと同様に、フェライト+マルテンサイトの複合組織の形成を促進する作用を有しており、必要に応じ含有できる。Cr、Moのうちの1種または2種が合計で2.0 %超えて含有すると、プレス成形性が低下する。このため、B群:Cr、Moのうちの1種または2種を合計で2.0 %以下に限定するのが好ましい。
C群:Nb、Ti、Vは、いずれも炭化物形成元素であり、炭化物の微細分散により高強度化に有効に作用するため、必要に応じ選択して含有できる。しかし、Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で0.2 %超えて含有すると、プレス成形性が劣化する。このため、Nb、Ti、Vは合計で0.2 %に限定するのが好ましい。
Mo、Cr、Wはいずれも、鋼板の歪時効硬化を顕著に増加させる元素で、本発明において最も重要な元素であり、選択して含有できる。これらMo、Cr、Wのうちの1種または2種以上を含有させ、さらにフェライトとマルテンサイトの複合組織とすることにより、予変形−熱処理時に微細炭化物が歪誘起微細析出し、ΔTS:80MPa 以上の引張強さの増加が得られる。これら元素の含有量がそれぞれ0.05%未満では、予変形−熱処理条件、鋼板組織を変化させても、ΔTS:80MPa 以上の引張強さの増加は得られない。一方、これら元素の含有量がそれぞれ2.0 %を超えて含有しても、上記した効果は飽和し含有量に見合う効果が期待できず経済的に不利となるうえ、プレス成形性の劣化を招く。このため、Mo、Cr、Wは、Mo:0.05〜2.0 %、Cr:0.05〜2.0 %、W:0.05〜2.0 %の範囲に限定する。なお、プレス成形性の観点から、複合して含有する場合にはMo、Cr、Wの含有量の合計は2.0 %以下に限定した。
Nb、Ti、Vは、いずれも炭化物形成元素であり、必要に応じ選択して含有できる。これらNb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を含有させ、さらにフェライトとマルテンサイトの複合組織とすることにより、予変形−熱処理時に微細炭化物が歪誘起微細析出し、ΔTS:80MPa 以上の引張強さの増加が得られる。しかし、Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で2.0 %超えて含有すると、プレス成形性が劣化する。このため、Nb、Ti、Vは、合計で2.0 %以下に限定するのが好ましい。
また、マルテンサイト形成の観点から、B:0.1 %以下、Zr:0.1 %以下のうちの1種または2種以上を含有してもよい。
上記した組成、組織を有する熱延鋼板は、低降伏強さで高延性を有しプレス成形性に優れ、かつ歪時効硬化特性に優れた鋼板である。
本発明の熱延鋼板は、上記した範囲内の組成を有する鋼スラブを素材とし、該素材に熱間圧延を施し所定板厚の熱延板とする。
使用する鋼スラブは、成分のマクロ偏析を防止するために連続鋳造法で製造するのが好ましいが、造塊法、薄スラブ連鋳法で製造してもよい。また、鋼スラブを製造したのち、いったん室温まで冷却し、その後再加熱する従来法に加え、冷却しないで、温片のままで加熱炉に挿入する、あるいはわずかの保熱を行った後に直ちに圧延する直送圧延・直接圧延などの省エネルギープロセスも問題なく適用できる。
スラブ加熱温度:900 ℃以上
スラブ加熱温度は、Cuを含有する組成の場合にはCu起因の表面欠陥を防止するために低いほうが望ましい。しかし、加熱温度が900 ℃未満では、圧延荷重が増大し、熱間圧延時のトラブル発生の危険が増大する。なお、酸化重量の増加にともなうスケールロスの増大などから、スラブ加熱温度は1300℃以下とするのが望ましい。
加熱されたスラブは、ついで熱間圧延を施されるが、熱間圧延は、仕上圧延終了温度FDTがAr3変態点以上である熱間圧延とするのが好ましい。
仕上圧延終了温度FDTをAr3変態点以上とすることにより、均一な熱延母板組織を得ることができ、熱延後の冷却でフェライトとマルテンサイトとの複合組織が得られる。これにより、優れたプレス成形性が確保される。一方、仕上圧延終了温度がAr3変態点未満では、熱延母板組織が不均一となるとともに、加工組織が残存しプレス成形性が劣化する。またさらに、仕上圧延終了温度がAr3変態点未満では、熱間圧延時の圧延負荷が高くなり、熱間圧延時のトラブルが発生する危険性が増大する。このようなことから、熱間圧延のFDTはAr3変態点以上とするのが好ましい。
このような熱間圧延後の冷却を行うことにより、その後の冷却処理でフェライト変態を促進することができる。冷却速度が5℃/s未満では、その後の冷却処理でフェライト変態が促進されず、プレス成形性が劣化する。
5℃/s以上の冷却速度で冷却することにより、未変態のオーステナイトがマルテンサイトに変態する。これにより、組織が、フェライト+マルテンサイトの複合組織となる。しかし、冷却速度が5℃/s未満あるいは巻取温度が 550℃より高いと、未変態のオーステナイトがパーライトまたはベイナイトに変態し、マルテンサイトが形成されないため、プレス成形性が低下する。なお、より好ましくは、冷却速度は10℃/s以上、さらに好ましくは熱延板形状の観点から100 ℃/s以下である。また、巻取温度は 500℃未満、より好ましくは熱延板の形状の観点から350 ℃以上である。巻取温度が350 ℃未満では、鋼板形状が顕著に乱れ、実際の使用にあたり不具合を生じる危険性が増大する。
なお、本発明の熱延鋼板は、加工用としてのみならず、表面処理用原板としても適用できる。表面処理としては、亜鉛めっき(合金系を含む)、すずめっき、ほうろう等がある。
表1に示す組成の溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとした。これら鋼スラブを加熱し、表2に示す条件で熱間圧延して板厚 2.0mmの熱延鋼帯(熱延板)にし、さらに圧下率: 1.0%の調質圧延を施した。
(1)微視組織
得られた鋼帯から試験片を採取し、圧延方向に直交する断面(C断面)について、光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡を用いて微視組織を撮像し、画像解析装置を用いて主相であるフェライトの組織分率および第2相の種類と組織分率を求めた。
(2)引張特性
得られた鋼帯(熱延板)から、JIS 5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を行い、降伏強さYS、引張強さTS、伸びEl、降伏比YRを求めた。
得られた鋼帯(熱延板)からJIS 5号試験片を圧延方向に採取し、予変形(引張予歪)として5%の塑性変形を与えて、ついで250 ℃×20min の熱処理を施したのち、引張試験を実施し、熱処理後の引張特性(降伏応力YSHT、引張強さTSHT)を求め、ΔYS=YSHT−YS、ΔTS=TSHT−TSを算出した。なお、YSHT、TSHTは予変形−熱処理後の降伏応力、引張強さであり、YS、TSは鋼帯(熱延板)の降伏応力、引張強さである。
(4)穴拡げ率
得られた鋼帯(熱延板)から採取した試験片に、10mmφのポンチで打ち抜いて穴を形成したのち、頂角60°の円錐ポンチを用い、ばりが外側になるようにして、板厚を貫通する割れが発生するまで穴拡げを行い、穴拡げ率λを求めた。穴拡げ率λは、λ(%)={(d−d0 )/d0 }×100 で求めた。なお、d0 :初期穴径、d:割れ発生時の内穴径である。
これらの結果を表3に示す。
(実施例2)
表4に示す組成の溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法で鋼スラブとした。これら鋼スラブを加熱し、表5に示す条件で熱間圧延して板厚 2.0mmの熱延鋼帯(熱延板)にし、さらに圧下率: 1.0%の調質圧延を施した。
これらの結果を表6に示す。
Claims (5)
- 質量%で、
C:0.15%以下、 Si:2.0%以下、
Mn:3.0%以下、 P:0.1%以下、
S:0.02%以下、 Al:0.1%以下、
N:0.02%以下、 Cu:0.5〜3.0%
を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、組織が、面積率で80%以上のフェライト相を主相とし、面積率で2%以上のマルテンサイト相単独の第2相との複合組織を有することを特徴とするプレス成形性に優れ、かつΔTS:80MPa以上になる歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板。 - 前記組成に加えさらに、質量%で、下記A群〜C群のうちから選ばれた1群または2群以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼板。
記
A群:Ni:2.0%以下、
B群:Cr、Moのうちの1種または2種を合計で2.0%以下、
C群:Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で0.2%以下 - 質量%で、
C:0.15%以下、 Si:2.0%以下、
Mn:3.0%以下、 P:0.1%以下、
S:0.02%以下、 Al:0.1%以下、
N:0.02%以下
を含み、さらに、Mo:0.05〜2.0%、Cr:0.05〜2.0%、W:0.05〜2.0%のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で2.0%以下含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、組織が、面積率で80%以上のフェライト相を主相とし、面積率で2%以上のマルテンサイト相単独の第2相との複合組織を有することを特徴とするプレス成形性に優れ、かつΔTS:80MPa以上になる歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板。 - 前記組成に加えさらに、質量%で、Nb、Ti、Vのうちの1種または2種以上を合計で2.0%以下含有することを特徴とする請求項3に記載の熱延鋼板。
- 質量%で、
C:0.15%以下、 Si:2.0%以下、
Mn:3.0%以下、 P:0.1%以下、
S:0.02%以下、 Al:0.1%以下、
N:0.02%以下
を含み、さらに、Mo:0.05〜2.0%、Cr:0.05〜2.0%、W:0.05〜2.0%のうちから選ばれた1種または2種以上を合計で2.0%以下含有する組成を有する鋼スラブに、熱間圧延を施し所定板厚の熱延板とするにあたり、前記熱間圧延を、仕上圧延終了温度FDTがAr3変態点以上である熱間圧延とし、仕上圧延終了後、5℃/s以上の冷却速度で(Ar3変態点)〜(Ar1変態点)の温度域まで冷却し、該温度域で1〜20s間空冷または徐冷したのち、再び5℃/s以上の冷却速度で冷却して、550℃以下の温度で巻き取ることを特徴とする、プレス成形性に優れ、かつΔTS:80MPa以上になる歪時効硬化特性に優れた熱延鋼板の製造法。
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