本発明は、例えば、空港などの標識灯に用いられるLED式灯器を点灯するためのLED点灯装置に関する。
空港などに用いられる標識灯は、その複数が交流定電流電源の出力端に直列接続されることにより付勢される。また、標識灯は、周囲の明るさが変化しても標識の見え方を良好に維持するために、周囲の明るさに応じて交流定電流電源の出力電流を切り換えることによって標識灯が所定の光度比率で作動するように制御される。例えば、交流定電流電源に出力電流の切換タップを配設して、光度比率を100%、25%、5%、1%および0.2%の5段階の中から所望により選択できるように構成されている。
また、現行の空港などに用いられる多くの標識灯は、光源にハロゲン電球などの白熱電球を用いている。一方、ハロゲン電球などの光源に代えてLED(発光ダイオード)を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。ハロゲン電球とLEDとでは、同一光度であっても所要の電流が異なるので、ハロゲン電球を単にLEDに置き換えることはできない。
そこで、LED式灯器を標識灯として使用する場合、交流定電流電源の出力電流を検出する電流検出手段を配設するとともに、その検出出力に応じてLEDの発光が所定の光度比率になるように標識灯を制御する点灯制御手段を配設した標識灯システムが本出願人により提案されている(例えば、特許文献2参照)。すなわち、特許文献2においては、点灯制御手段を配設していることにより、LEDの光度比−相対電流値特性と異なる光度比−相対電流値特性に対応した電流切り換えが行われる交流定電流電源であっても、所定の光度比率で標識灯の光度切り換えを行うことができる。
図7は、LED式灯器を用いた標識灯システムの一例を示す構成図である。標識灯システムは、交流定電流電源(CCR)11によりLED式灯器12を直列点灯するように構成されている。すなわち、交流定電流電源(CCR)11から延在する高圧幹線線路13にはゴム被覆絶縁変圧器14が接続され、ゴム被覆絶縁変圧器14の二次側の分岐ケーブル15には端末制御器16が接続され、この端末制御器16に複数のLED式灯器12が直列接続されている。図7では3個のLED式灯器12が直列接続された場合を示している。
LED式灯器12は、絶縁カレントトランス17と点灯回路18とLED19とからなり、点灯回路18により光源であるLED19を点灯する。端末制御器16は信号伝送装置20を介して上位の監視装置21に接続され、端末制御器16は、上位の監視装置21に基づきLED式灯器12のLED19のオンオフ指令を出力するとともに、LED19の断芯(開放破壊または短絡破壊)検出の診断信号を出力するものである。
図8は、図7に示した点灯回路18の一例を示す回路図である。交流定電流電源(CCR)11は図示省略の複数の切換タップを有し、定電流化された複数段階の出力電流を切換タップで切り換えられて出力するものであり、光度比率に応じて切換タップで出力電流の切り換えが可能に構成されている。この切換タップの段階に応じて出力電流が変わり所定の光度比率が変わり、その光度比率は、ハロゲン電球を用いる標識灯に対応した交流定電流電源(CCR)の場合には、当然ながらハロゲン電球(白熱電球)の光度比−相対電流値特性に合わせられている。従って、所定の光度比率は切換タップの切り換えによる交流定電流電源11の出力電流で表される。
交流定電流電源11から供給される所定の光度比率に従った出力電流は、高圧幹線路13のゴム被覆絶縁変圧器14を介して6.6Aの定電流が出力される分岐ケーブル15に供給される。この定電流出力は、絶縁カレントトランス17aを介してLED点灯用の0.66Aの交流定電流出力に変換されて点灯回路18の整流回路22に入力される。それとともに、絶縁カレントトランス17bを介して入力電流検出回路23に入力される。
点灯回路18の整流回路22で整流された電圧は負荷調整回路24を介してダイオードD1と平滑素子である平滑コンデンサC1との直列回路に印加される。負荷調整回路24のスイッチ素子Q1は入力電流をバイパスするバイパス回路を形成するものであり、パルス幅制御回路25により駆動制御される。バイパス回路はスイッチ素子Q1と整流回路22との閉回路で形成される。負荷調整回路24のパルス幅制御回路25は、抵抗R3に流れる電流をLED19に供給される電流(例えば、直流350mA)としてフィードバック回路26aでフィードバックして検出する。そして、LED19に供給される電流が所定値以上となると、パルス幅制御回路25はスイッチ素子Q1をパルス幅制御して入力電流をバイパスする回路を形成する。すなわち、そのバイパス回路に流れる電流を調整して、LED19に供給される電流を一定に調整する。
また、パルス幅制御回路25は、平滑コンデンサC1の電圧を、抵抗R1と抵抗R2とで分圧された抵抗R2の電圧をフィードバック回路26bを介してフィードバックして検出し、平滑コンデンサC1の電圧が所定値以上となると、スイッチ素子Q1をパルス幅制御し、平滑コンデンサC1ひいてはLED19に印加される電圧を一定に調整する。
なお、スイッチ素子Q1、ダイオードD1、平滑コンデンサC1からなる回路は、昇圧チョッパ回路に類似した回路構成であるが、整流回路22とダイオードD1との間にインダクタンスがない点で相違する。インダクタンスがないとスイッチ素子Q1がオンしたときに整流回路22が短絡してしまうことになるが、交流定電流電源11は光度比率に応じた電流を出力する定電流源であるため、絶縁カレントトランス17aを介して整流回路22で整流された電源も定電流源である。従って、スイッチ素子Q1がオンしたときに大電流が流れることはない。
一方、入力電流検出回路23は、交流定電流電源11から供給される電流を絶縁カレントトランス17bを介して入力した電流に基づいて、交流定電流電源11からの出力電流を実効値で検出し、入力した電流の実効値に基づいて交流定電流電源11からの出力電流を検出する。入力電流検出回路23で検出した出力電流の値から光度比率が算出される。光度比率は適切に識別する必要がある。
交流定電流電源11に接続されている負荷や電源の出力自体が変動したとき、1次側の電流の平均値で出力電流値を検出する場合には、交流定電流電源11の変動に伴う出力電流値の変化量を適切に算出できないが、2次側の電流の実効値で出力電流を検出する場合には、出力電流値の変化量を適切に算出できるので、光度比率に所望の制御することができる。
交流定電流電源11からの出力電流が電球の光度比−相対電流値特性で変化すると、この場合には、LED19の光度比率に基づく電流では光度比が合わないのでLED19の光度比率に変換する必要がある。そこで、特性変換回路27でその変換を行う。すなわち、特性変換回路27は、入力電流検出器23で検出された出力電流を電球の光度比−相対電流値特性に基づいてLED19が所定の光度となるように電流に変換する。デューティ制御回路28は、LED19を流れる電流が特性変換回路27で変換された電流になるようにスイッチ素子Q2をデューティ制御(PWM制御)する。
図9は図7に示した端末制御器16の一例を示す回路図である。端末制御器16は、双方向導通形のスイッチ素子(例えば、トライアック)29を有し、LED式灯器12のオンオフ制御と断芯検出とを行う。
端末制御器16によるLED式灯器12のオンオフ制御は、LED式灯器12を消灯するときはスイッチ素子29をオン状態にする。これにより、交流定電流電源11からゴム被覆絶縁変圧器14を介して入力された電流は、図9の矢印Aに示すようにスイッチ素子29を通り交流定電流電源11に戻るので、LED式灯器12のLED19には供給されない。従って、LED式灯器12は消灯状態となる。一方、LED式灯器12を点灯するときはスイッチ素子29をオフ状態にする。これにより、交流定電流電源11からゴム被覆絶縁変圧器14を介して入力された電流は、図9の矢印Bに示すようにLED式灯器12に供給されるので、LED式灯器12は点灯状態となる。
次に、端末制御器16によるLED式灯器12の断芯検出は、LED式灯器12に点灯用電流を印加している状態のときには2次側電圧(LED19の両端電圧の変化に対応して変化する部分の電圧)を監視し、2次側電圧が高電圧になるか否かあるいは所定電圧であるか零近傍であるかで判断することが可能である。LED19が開放破壊していると2次側電圧が高電圧となり、短絡破壊していると零近傍の電圧となるからである。このように、この断芯検出は、LED灯器12の点灯中はLED灯器12に電流を供給している状態であるので、容易に断芯検出を行うことができる。一方、LED灯器12が消灯中であるときは、LED灯器12に電流を供給していないので、そのままでは断芯検出を行うことができない。そこで、LED灯器12が消灯中であるときは、スイッチ素子29を所定の診断周期毎に短時間だけオフにしてLED灯器12に診断電流を流し、2次側電圧が高電圧になるか否かあるいは零近傍にまで低下するか否かでLED灯器12の断芯検出を行うことが考えられる。なお、断芯検出は、LED19の開放や短絡だけでなく、LED19に直列接続されたスイッチ素子等の開放や短絡をも検出するようにしてもよい。
特表平11−514136号公報(特許請求の範囲、Fig.1)
特開2002−49992号公報(第5頁、図2)
ところが、LED式灯器12が消灯中のときのLED灯器12の断芯診断の際には、LED式灯器12に診断電流を流すことになるので、その診断電流による電荷が図8に示した点灯回路18の平滑コンデンサC1に蓄積され、この平滑コンデンサC1に蓄積された電荷が大きくなると、この電荷によりLED19が誤点灯してしまうことがある。
図10は端末制御器16の入出力電流及び整流回路22の出力信号の波形図である。図10では、LED式灯器が消灯中であるときの端末制御器16の入出力電流及び点灯回路18の整流回路22の出力信号の波形を示している。端末制御器16の入力電流は交流定電流電源(CCR)11が位相制御波形の場合、位相制御された波形であるが、図示を簡単化するために正弦波としている。LED19を消灯制御するにはスイッチ素子29をオン状態に維持しておくことになる。そこで、スイッチ素子29には所定のクロック周期でゲート信号を与えてスイッチ素子29をオン状態に維持するようにしている。
この場合、端末制御器16の入力電流が零でないときに、スイッチ素子29にゲート信号が与えられたときはスイッチ素子29は引き続きオン状態を維持する。一方、スイッチ素子29は入力電流が零となったとき(零クロスしたとき)には一旦オフ状態となり、ゲート信号が与えられるとオン状態となる。このことから、入力電流の零クロスしたタイミングとゲート信号が与えられるタイミングとの間に時間的なずれがあると、その間はスイッチ素子29がオフとなり、その間の僅かな電流が端末制御器16の出力電流としてLED式灯器12に入力される。この僅かな電流は、図10に示すように、入力電流が零クロスする度に不定量で表れる。
また、前述したように、LED式灯器12が消灯中のときのLED式灯器12の断芯診断の際には、スイッチ素子29を所定の診断周期毎に短時間だけオフにしてLED式灯器12に診断電流を流すことになる。例えば、1s毎に20msの間だけ診断電流を流す。図10では、時点t1〜時点t2の間にスイッチ素子29をオフにしてLED式灯器12に診断電流を流した場合を示している。この場合、診断電流は、端末制御器16の入力電流を短時間(例えば、20ms)だけ流した場合の波形となる。
この診断電流やゲート信号による僅かな電流は、LED式灯器12の点灯回路18に入力され、整流回路22で整流されて点灯回路18の平滑コンデンサC1に蓄積される。この平滑コンデンサC1に蓄積された電荷が大きくなると、この電荷によりLED19が誤点灯してしまうことがある。ハロゲン電球のような電球の場合は、光出力の立ち上がりが緩慢であるため、このような誤点灯があっても実質的に視認されることはない。しかし、LED式灯器12の場合には光出力の立ち上がりが早いため、点灯と視認され、特に標識灯にあっては重大な事故の原因となる虞れがある。
本発明の目的は、LEDの点灯用でない電流の入力に対してLEDの誤点灯を防止できるLED点灯装置を提供することである。
請求項1の発明は、LEDに対して点灯電力を供給可能なものであって、LEDを点灯するときは点灯電力を供給するとともに、LEDを消灯するときは点灯電力の供給を停止するが点灯電力に比し微少な断芯診断電力を周期的に供給する端末制御器と;前記LEDの電流をデューティ制御するデューティ制御回路と;前記端末制御器から供給される電力を監視し、断芯診断電力である微少な電力が供給されているときは前記デューティ制御回路のデューティ制御を阻止する監視判定回路と;を具備していることを特徴とする。
本発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
端末制御器は、LEDに対して点灯電力を供給可能なものであって、LEDを点灯するときは点灯電力を供給するとともに、LEDを消灯するときは点灯電力の供給を停止する。また、LEDの断芯検出の際には、LEDの点灯電力に比し微少な断芯診断電力を周期的に供給する。電力供給手段としては、直結形であっても絶縁形トランスを用いるような絶縁形であってもよい。LEDの断芯検出とは、LEDを含む負荷回路の開放や短絡の検出のことをいう。また、微少な断芯診断電力とは、実効値が点灯電力に比して小さい場合、瞬時値が小さい場合のいずれであってもよい。
デューティ制御回路はLEDの電流をデューティ制御し、LEDを所定の明るさに制御する。また、監視判定回路は、端末制御器から供給される電力を監視し、LEDの点灯電力か否かを判定し、LEDの点灯電力でない微少な電力が供給されているときはデューティ制御回路のデューティ制御を阻止するものである。
請求項2の発明は、交流定電流電源から出力される電流を入力し、LEDを点灯するときは点灯用電流を供給する端末制御器と;前記端末制御器からの電流を入力し整流する整流回路と;前記整流回路で整流された電流を平滑する平滑素子と;前記平滑素子で平滑された電流をLEDに印加し、前記LEDに印加する電流または電圧が所定値以上になると回路の入力電流をバイパスするバイパス回路を有し、このバイパス回路に流れる電流を調整して前記LEDに印加される電流または電圧が一定となるように調整する負荷調整回路と;前記端末制御器から供給される電流を入力し、前記交流定電流電源から供給される所定の電流に対し、所定の明るさになるようにLEDの電流をデューティ制御するデューティ制御回路と;前記端末制御器から供給される電流を入力し、前記端末制御器から供給される電流が点灯用電流であるか否かを判定し、点灯用電流であると判定したときは前記デューティ制御回路のデューティ制御を許可し、点灯用電流でないと判定したときは前記デューティ制御回路のデューティ制御を阻止する監視判定回路と;を備えたことを特徴とする。
交流定電流電源は、定電流化された出力電流を直列接続された複数の負荷としてのLED式灯器のLEDに対して出力するものであり、切換タップにより出力電流を切り換えてLEDの光度を所定の割合(光度比率)で点灯することができるものである。すなわち、切換タップは例えば複数の段階で切り換えられ、切換タップの段階に応じて出力電流が変わりLEDの光度が変化する。所定の光度比率は、LED式灯器を設置している周囲の明るさが変化しても、LED式灯器のLEDの見え方を常に良好に維持することを目的として、LEDの光度をそのときの周囲の明るさに応じて制御するために定められる。通常、LEDの光度比−相対電流値特性とは異なる光度比−相対電流値特性、例えばハロゲン電球等の白熱電球の光度比−相対電流値特性に基づいて定められている。
端末制御器は、LED式灯器の点灯制御を行うものであり、交流定電流電源から出力される電流を入力し、LEDを点灯するときは点灯用電流を供給し、LEDを消灯するときは点灯用電流の供給を停止する。
負荷調整回路は、整流回路で整流された電流を入力し、LEDに印加される電流または電圧を一定に調整するものであり、LEDに印加される電流または電圧が所定値以上となると、LEDをバイパスする回路を形成し、そのバイパス回路に流れる電流を調整して、LEDに印加される電流または電圧を一定に調整する。この場合の所定値とは、所定の光度比率に基づく出力電流でLEDが点灯しているときのLEDの電圧である。
デューティ制御回路は、交流定電流電源から端末制御器を介して供給される電流を介して入力し、交流定電流電源から供給される所定の光度比率の電流に対し、その光度比率の明るさになるようにLEDの電流をデューティ制御する。
監視判定回路は、端末制御器から供給される電流を監視し、その電流がLEDの点灯用電流であるか否かを判定するものである。LEDの点灯用電流とは、LEDを正常点灯させるための電流をいう。点灯用電流であるか否かの判定は、例えば、端末制御器からの供給電流の積分値が予め定めた所定値以上であるか否か、あるいは、端末制御器からの供給電流の成形波形の時間間隔が所定値以上でありその個数が所定値以上継続しているか否か、あるいは端末制御器からの供給電流の波形が所定もの(正弦波や位相制御された波形)であり所定周期以上連続しているか否かで判断する。
監視判定回路は、点灯用電流であると判定したときはデューティ制御回路のデューティ制御を許可し、点灯用電流でないと判定したときはデューティ制御回路のデューティ制御を阻止する。
本発明によれば、端末制御器からの供給電流が点灯用電流であるか否かを判定し、点灯用電流であると判定したときはデューティ制御回路のデューティ制御を許可し、点灯用電流でないと判定したときはデューティ制御回路のデューティ制御を阻止するので、点灯用電流でない不定電流が入力されてもLED式灯器のLEDが点灯することはない。従って、LEDの誤点灯を防止できる。
本発明の実施の形態に係る実施例1のLED点灯装置の構成図。
LED式灯器の消灯状態から点灯状態に変化したときの端末制御器の入出力電流及び点灯回路の整流回路の出力信号の波形図。
本発明の実施例1における電圧監視判定回路の波形成形回路及び積分回路の出力波形図。
本発明の実施の形態に係る実施例2のLED点灯装置の構成図。
本発明の実施例2における電圧監視判定回路の波形成形回路及び時間間隔測定回路の出力波形図。
本発明の実施の形態に係る実施例3のLED点灯装置の構成図。
LED式灯器を用いた標識灯システムの一例を示す構成図。
図7に示した標識灯システムの点灯回路の一例を示す回路図。
図7に示した標識灯システムの端末制御器の一例を示す回路図。
図7に示した標識灯システムの端末制御器の入出力電流及び整流回路の出力信号の波形図。
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係る実施例1のLED点灯装置の構成図である。この実施例1のLED点灯装置は、図8に示した点灯回路18に、監視判定回路30を追加して設けものである。図8と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
監視判定回路30は、端末制御器16から絶縁カレントトランス17aを介して入力される供給電流を絶縁カレントトランス17cを介して整流器31に入力する。整流器31は端末制御器16からの供給電流を直流に整流し、整流器31で整流された直流電流は増幅器32に入力される。増幅器32で増幅された直流電流は波形成形回路33で波形成形されて積分回路34で積分される。
そして、電流判定回路35は積分回路34で積分された直流電圧が予め定めた所定値以上であるか否かを判定し、予め定めた所定値以上であるときは、端末制御器16から供給される電流は点灯用電流であると判定する。一方、予め定めた所定値未満であるときは、端末制御器16から供給される電流は点灯用電流ではないと判定する。
電流判定回路35は、端末制御器16からの供給電流が点灯用電流であると判定したときはデューティ制御回路28のデューティ制御を許可する。これにより、LED19は所定の光度比率で点灯制御される。一方、端末制御器16からの供給電流が点灯用電流ではないと判定したときは、デューティ制御回路28のデューティ制御を阻止する。従って、点灯用電流ではない不定電流が点灯回路18に入力されたときは、LED19は点灯制御されないので、前述したような診断電流やゲート信号による僅かな電流により、LED19が誤点灯することを防止できる。
図2は、LED式灯器12の消灯状態から点灯状態に変化したときの端末制御器16の入出力電流及び点灯回路18の整流回路22の出力信号の波形図である。図10と重複する部分の説明は省略する。
時点t3までは、図10に示したものと同じ波形であり、点灯回路18の整流回路22の出力電流は、診断電流やゲート信号による僅かな電流の全波整流波形となる。この診断電流やゲート信号による僅かな電流の全波整流電流が点灯回路18の平滑コンデンサC1に蓄積される。
一方、時点t3でLED式灯器12の点灯指令があったとすると、端末制御器16のスイッチ素子29をオフすべくスイッチ素子29へのゲート信号がなくなる。端末制御器16の入力電流が零クロスするまではスイッチ素子29はオン状態を維持し、時点t4で端末制御器16の入力電流が零クロスするとスイッチ素子29はオフ状態となる。これにより、端末制御器16からは、端末制御器16の入力電流が点灯回路18にそのまま出力されることになり、時点t4以降は、点灯回路18の整流回路22の出力電流は、端末制御器16の入力電流の全波整流波形となる。
一方、監視判定回路30には、端末制御器16からの出力電流が絶縁カレントトランス17a、整流回路22、絶縁カレントトランス17cを介して整流器31に入力される。監視判定回路30に入力される端末制御器16からの出力電流の電流波形は、図2に示した端末制御器16の出力電流の波形と同じであり、監視判定回路30の整流器31で全波整流される。
図3は、電圧監視判定回路30の波形成形回路33及び積分回路34の出力波形図である。図3に示すように、監視判定回路30の整流器31の出力信号は、端末制御器16の出力電流の全波整流波形であり、この全波整流波形は増幅器32で増幅されて波形成形回路33に入力される。波形成形回路33は、この全波整流波形を方形波に成形し積分回路34に出力する。積分回路34は、波形成形回路33で波形成形された方形波を積分し、その積分結果を電流判定回路35に出力する。
積分回路34は、LED式灯器12の断芯検出を行う周期毎に積分値がクリアされる。すなわち、LED式灯器12の断芯検出は、前述したように、端末制御器16のスイッチ素子29を所定の診断周期(例えば1s)毎に短時間(例えば20ms)だけオフにしてLED式灯器12に診断電流を流すことになるが、所定の診断周期毎に積分回路34の積分値をクリアにする。
例えば、所定の診断周期の最後に短時間(例えば、約20ms)の診断電流を流す場合には、ゲート信号による僅かな電流の積分は、診断電流を流し始める時点t1の直後の時点t2(波形成形回路で波形成形された診断電流が立ち上がる時点)まで継続し、時点t2からは診断電流の積分が開始される。そして、時点t3で所定の診断周期の1周期が終了すると、積分回路34の積分値はクリアされる。そして、再度、時点t3から積算していくことになる。図3では、時点t3での積分値がA1である場合を示している。
また、時点t4でLED式灯器12の点灯指令があったとすると、端末制御器16からの出力電流は端末制御器16の入力電流のそのままの電流波形となり、整流回路31の出力電流は、端末制御器16の入力電流の全波整流波形となる。従って、LED式灯器12の点灯指令があった時点t4の直後の時点t5(波形成形回路で波形成形された電流が立ち上がる時点)以降は、積分回路34の積分値は大きくなり、時点t6で予め定めた所定値Ar以上となる。
電流判定回路35は、積分回路34の出力が予め定めた所定値Ar以上となると、端末制御器16からの出力電流は点灯用電流であると判定し、デューティ制御回路28のデューティ制御を許可する。一方、積分回路34の出力が予め定めた所定値Ar未満であるときは、端末制御器16からの出力電流は点灯用電流ではないと判定し、デューティ制御回路28のデューティ制御を阻止する。これにより、端末制御器16からの出力電流が点灯用電流ではない場合には、LED19のデューティ制御が阻止されるので、診断電流やゲート信号による僅かな電流が点灯回路18に入力され、点灯回路18の平滑コンデンサC1に電荷が蓄積されている場合であっても、その電荷によりLED19を誤点灯することがなくなる。
図4は本発明の実施の形態に係る実施例2のLED点灯装置の構成図である。この実施例2のLED点灯装置は、図1に示した実施例1に対し、監視判定回路30の積分回路34に代えて、時間間隔測定回路36を設けたものである。図1と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
時間間隔測定回路36は、端末制御器16からの供給電流を波形成形回路33で成形した成形波形の時間間隔を測定するものであり、電流判定回路35は、成形波形の時間間隔が所定値以上でありその個数が所定値以上継続しているか否かを判定し、成形波形の時間間隔が所定値以上であるときは、端末制御器16からの出力電流が点灯用電流であると判定する。
図5は電圧監視判定回路30の波形成形回路33及び時間間隔測定回路36の出力波形図である。図5に示すように、監視判定回路30の整流器31の出力信号は、端末制御器16の出力電流の全波整流波形であり、増幅器32で増幅されて波形成形回路33に入力される。波形成形回路33は、この全波整流波形を方形波に成形し時間間隔測定回路36に出力する。時間間隔測定回路36は、波形成形回路33で波形成形された方形波の時間間隔を測定し、その時間間隔結果を電流判定回路35に出力する。
ゲート信号による僅かな電流の成形波形の時間間隔は、図5に示すように、診断電流や点灯用電流の正弦波の場合より長くなる。一方、診断電流や点灯用電流の成形波形の時間間隔は、ゲート信号による僅かな電流の成形波形の時間間隔より短くなる。そこで、電流判定回路35は、成形波形の時間間隔が正弦波の場合より長くなる場合は点灯用電流ではないと判断する。そして、診断電流及び点灯用電流の成形波形の時間間隔は、正弦波の場合の時間間隔と同じであるので、診断電流か点灯用電流かの判断は、正弦波の場合の時間間隔が継続しているか否かで判断する。すなわち、正弦波の場合の時間間隔が予め定めた個数以上継続しているときは、点灯用電流であると判定する。これにより、点灯用電流でない不定電流が入力されてもLED式灯器12のLED19の誤点灯を防止できる。
図6は本発明の実施の形態に係る実施例3のLED点灯装置の構成図である。この実施例3のLED点灯装置は、図1に示した実施例1に対し、監視判定回路30の波形成形回路33及び積分回路34に代えて、波形判別回路37を設けたものである。図1と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
波形判別回路37は、端末制御器16からの供給電流の波形を判別するものであり、例えば、正弦波であるか否かを判定する。電流判定回路35は、端末制御器16からの供給電流の波形が正弦波であり、所定周期以上連続しているか否かを判定し、所定周期以上連続しているときは、端末制御器16からの出力電流が点灯用電流であると判定する。正弦波が所定以上継続しているか否かを判定するのは、診断電流と点灯電流とを識別するためである。これにより、点灯用電流でない不定電流が入力されてもLED式灯器12のLED19の誤点灯を防止できる。
11…交流定電流電源、12…LED式灯器、13…高圧幹線線路、14…ゴム被覆絶縁変圧器、15…分岐ケーブル、16…端末制御器、17…絶縁カレントトランス、18…点灯回路、19…LED、20…信号伝送装置、21…監視装置、22…整流回路、23…入力電流検出回路、24…負荷調整回路、25…パルス幅制御回路、26…フィードバック回路、27…特性変換回路、28…デューティ制御回路、29…スイッチ素子、30…監視判定回路、31…整流器、32…増幅器、33…波形成形回路、34…積分回路、35…電流判定回路、36…時間間隔測定回路、37…波形判別回路