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JP5377117B2 - 粒子分散液中の非球状粒子を検出する方法 - Google Patents

粒子分散液中の非球状粒子を検出する方法 Download PDF

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Description

本発明は、粒子分散液に混在する非球状粒子を検出する方法、及び該方法を用いた粒子分散液の検査方法等に関する。
従来から、コロイダルシリカや重合体粒子のような球状粒子が、磁気ディスク基板や半導体基板の研磨に使用されている。近年、磁気ディスクドライブを高記録密度化するために、磁気ディスク基板には、磁気ヘッドの低浮上化と記録面積の確保に対応するため、平滑性・平坦性の向上(表面粗さ、うねり、端面ダレの低減)と欠陥低減(スクラッチ、突起、ピット等の低減)が強く求められている。
基板表面上の平滑性・平坦性や欠陥は、使用される研磨粒子の形状により影響を受けることが知られている。研磨粒子の形状は、研磨剤の分野においては、これまで電子顕微鏡写真観察、動的光散乱法、レーザー回折法などにより評価されてきた(特許文献1〜4)。
特開2003−133267号公報 特開2006−80406号公報 特開2007−137972号公報 特開2002−141314号公報
しかしながら、前記従来の粒子形状の評価方法では、粒子全体の平均的な形状を把握することはできるが、球状粒子に混じって存在する微量な非球状粒子を検出することはできない。また、粒子の粒径が小さい場合には、必ずしも正確な測定ができておらず、粒子の形状を厳密に制御することが困難な状況にある。
さらに、磁気ディスク基板のさらなる大容量化を実現するためには、従来よりも厳密な研磨粒子の形状制御が求められており、球状粒子に混じって存在する非球状粒子の割合をより正確に評価できる測定方法が求められている。
そこで、本発明は、粒子分散液中に存在する非球状粒子をより正確に検出できる非球状粒子の検出方法及び該方法を用いた粒子分散液の検査方法等を提供する。
本発明は、動的光散乱法により粒子分散液の散乱強度分布の角度依存性を測定することを含む、粒子分散液中の非球状粒子を検出する方法に関する。
本発明は、その他の態様として、本発明の非球状粒子を検出する方法を用いて粒子分散液を検査する工程を有する粒子分散液の検査方法及び又は製造方法に関する。本発明は、さらにその他の態様として、本発明の検査方法による粒子分散液の検査工程、又は本発明の製造方法による粒子分散液の製造工程を有し、前記粒子分散液が研磨液組成物であり、前記研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む基板の製造方法に関する。
本発明の非球状粒子を検出する方法によれば、好ましくは、従来検出が難しかった球状粒子分散液中に微量に存在する非球状粒子をより正確に検出することができる。
図1は、コロイダルシリカ分散液である研磨液組成物にシリカ粒子I(非球状:ひし形)又はシリカ粒子II(球状:四角形)を添加した場合における、動的光散乱法により測定される散乱強度分布の角度依存性(ΔCV値)の変化を示すグラフである。 図2は、シリカA及びシリカBのそれぞれについて、ΔCV値と研磨後の基板表面のスクラッチ数とについて使用したロットをプロットしたグラフである。
[非球状粒子]
本明細書において「非球状粒子」とは、「球状粒子」よりも異形度が大きな粒子をいい、凝集粒子や、一次粒子である「球状粒子」の凝集粒子を含みうる。また、本明細書において「非球状粒子」は、好ましくは異形度が1.55よりも大きい粒子をいう。ここで、異形度とは、動的光散乱法により測定される平均粒子径をBET法により測定される平均粒子径で除した値であり、一般に、粒子が真球状の場合、異形度の値は1に収束し、粒子が真球から乖離するに従い、その値は大きくなる(例えば、特開2007−137972号公報参照)。
また、分散液中の粒子の全体の平均的な形状が球状(真球状)であるか或いは非球状であるかを測定する方法の1つとして、動的散乱法により測定される拡散係数(D=Γ/q2)の角度依存性を指標とする方法がある(例えば、特開平10−195152号公報参照)。具体的には散乱ベクトルq2に対するΓ/q2をプロットしたグラフにおいて示される角度依存性が小さいほどその分散液中の粒子の平均的な形状は真球状であると判断し、角度依存性が大きいほどその分散液中の粒子の平均的な形状は非球状であると判断する方法である。
本発明者らは、同じ粒径及び粒度分布を示す粒子分散液として製造される研磨液組成物であっても、研磨後の基板表面の品質(スクラッチ数など)が大きく異なることに着目し、その原因が従来の粗大粒子除去(精密フィルターろ過)工程では除去できない200nm以下の非球状粒子が粒子分散液中に微量存在するためであることを見出した。
本発明は、動的光散乱法で測定される拡散係数の角度依存性に基づけば真球状粒子分散液と認められるような試料であっても、動的光散乱法で測定される散乱強度分布の角度依存性に着目すれば、該試料中に存在する非球状粒子の検出が可能になる、すなわち、粒子分散液中の非球状粒子の含有量と動的光散乱法で測定される散乱強度分布の角度依存性とが相関する、という知見に基づく。
よって、本発明は、一態様において、粒子分散液中の非球状粒子を検出する方法(以下、「本発明の非球状粒子の検出方法」ともいう。)であって、動的光散乱法により前記粒子分散液の散乱強度分布の角度依存性を測定することを含む非球状粒子の検出方法に関する。本発明の非球状粒子の検出方法によれば、好ましくは、従来検出が難しかった粒子分散液中に微量に存在する非球状粒子をより正確に検出できる。
すなわち、本発明の非球状粒子の検出方法は、系全体で均一の粒子が分散していると仮定して粒子の形状や粒径等を検出・測定する従来の方法とは異なり、粒子分散液の一部に存在する非球状粒子を見出すことができる。本発明の非球状粒子の検出方法により従来検出が難しかった粒子分散液中に微量に存在する非球状粒子をより正確に検出できるメカニズムは、以下のように推定される。すなわち、動的光散乱法では、原理的に200nm以下の真球状粒子分散溶液を測定した場合、散乱強度分布は検出角に関係なくほぼ一定の結果が得られるため測定結果は検出角に依存しない。しかし、非球状粒子を含む真球状粒子分散溶液の動的光散乱の散乱強度分布は非球状粒子の存在により検出角によって大きく変化し、低角の検出角ほど散乱強度分布は分布がブロードになる。そのため、動的光散乱の散乱強度分布の測定結果は検出角に依存することとなり、動的光散乱の散乱強度分布の角度依存性を測定することで粒子分散溶液中に存在する非球状粒子を検出できると考えられる。但し、本発明はこのメカニズムに限定されない。
「散乱強度分布」
本明細書において「散乱強度分布」とは、動的光散乱法(DLS:Dynamic Light Scattering)又は準弾性光散乱(QLS:Quasielastic Light Scattering)により求められるサブミクロン以下の粒子の3つの粒径分布(散乱強度、体積換算、個数換算)のうち散乱強度の粒径分布のことをいう。通常、サブミクロン以下の粒子は溶媒中でブラウン運動をしており、レーザー光を照射すると散乱光強度が時間的に変化する(ゆらぐ)。この散乱光強度のゆらぎを、例えば、光子相関法(JIS Z 8826)を用いて自己相関関数を求め、キュムラント(Cumulant)法解析により、ブラウン運動速度を示す拡散係数(D)を算出して、さらにアインシュタイン・ストークスの式を用い、平均粒径(d:流体力学的径)を求めることができる。また、粒径分布解析は、キュムラント法による多分散性指数(Polydispersity Index, PI)のほかに、ヒストグラム法(Marquardt法)、ラプラス逆変換法(CONTIN法)、非負最小2乗法(NNLS法)等がある。
動的光散乱法の粒径分布解析では、通常、キュムラント法による多分散性指数(Polydispersity Index, PI)が広く用いられている。しかしながら、粒子分散液中にわずかに存在する非球状粒子の検出を可能とする本発明の非球状粒子の検出方法では、ヒストグラム法(Marquardt法)やラプラス逆変換法(CONTIN法)による粒径分布解析から平均粒径(d50)と標準偏差を求め、CV値(Coefficient of variation:標準偏差を平均粒径で割って100をかけた数値)を算出し、その角度依存性(ΔCV)を用いることが好ましい。
(参考資料)
第12回散乱研究会(2000年11月22日開催)テキスト、1.散乱基礎講座「動的光散乱法」(東京大学 柴山充弘教授)
第20回散乱研究会(2008年12月4日開催)テキスト、5.動的光散乱によるナノ粒子の粒径分布測定(同志社大学 森康維先生)
「散乱強度分布の角度依存性」
本明細書において「粒子分散液の散乱強度分布の角度依存性」とは、動的光散乱法により異なる検出角で前記粒子分散液の散乱強度分布を測定した場合の、散乱角度に応じた散乱強度分布の変動の大きさをいう。例えば、検出角30°と検出角90°とでの散乱強度分布の差が大きければ、その粒子分散液の散乱強度分布の角度依存性は大きいといえる。よって、本発明において、散乱強度分布の角度依存性の測定は、異なる2つの検出角で測定した散乱強度分布に基づく測定値の差を求めることを含む。前記測定値としては、1つの検出角における測定で得られた散乱強度分布に基づく標準偏差及びCV値などが挙げられる。なお、本明細書において、CV値とは、上述のとおり、1つの検出角における測定で得られた散乱強度分布に基づく標準偏差を、該検出角における散乱強度分布に基づく平均粒径で除して100を掛けた値をいう。非球状粒子の検出の確度向上の点からは、前記測定値はCV値であることが好ましい。したがって、散乱強度分布の角度依存性を示す指標としては、非球状粒子の検出の確度向上の点から、好ましくは、異なる2つの検出角で測定した散乱強度分布に基づく標準偏差の差、及び、異なる2つの検出角で測定した散乱強度分布に基づくCV値の差(ΔCV値)であって、より好ましくは、ΔCV値である。
散乱強度分布の角度依存性の測定で用いる2つの検出角の組合せとしては、非球状粒子の検出の確度向上の点からは、前方散乱と側方若しくは後方散乱との組合せが好ましい。前記前方散乱の検出角としては、同様の観点から、0〜80°が好ましく、0〜60°がより好ましく、10〜50°がさらに好ましく、20〜40°がさらにより好ましい。前記側方若しくは後方散乱の検出角としては、同様の観点から、80〜180°が好ましく、85〜175°がより好ましい。
「粒子分散液」
本明細書において「粒子分散液」とは、本発明の非球状粒子の検出方法により非球状粒子の存在の有無を検出される被検試料をいう。また、本明細書において「粒子分散液」は、好ましくは、動的光散乱測定による拡散係数の角度依存性、すなわち、散乱ベクトルq2に対するΓ/q2をプロットしたグラフにおいて示される角度依存性が小さい又は無い試料を含む。このような動的散乱測定による拡散係数の角度依存性が小さい又は無い試料は、従来、球状粒子が分散した粒子分散液であると見なされている。本発明の一態様は、このような動的散乱測定による拡散係数の角度依存性が小さい又は無い試料に存在し得る微量の非球状粒子の検出を、「散乱強度分布の角度依存性」に着目することで可能とする、非球状粒子の検出方法である。
[非球状粒子の検出方法]
本発明の非球状粒子の検出方法は、粒子分散液の散乱強度分布の角度依存性を動的光散乱法により測定することを含む。前述したとおり、散乱強度分布の角度依存性を示す値としては、散乱強度分布に基づく標準偏差の差、及び前記標準偏差を前記平均粒径で除して100を掛けた値であるCV値の差(ΔCV値)などが挙げられる。
本発明の非球状粒子の検出方法の一実施形態として、非球状粒子を含まないコントロール又は研磨結果等から非球状粒子を実質的に含まないと考えられるコントロールであらかじめ散乱強度分布の角度依存性を測定しておき、試験する粒子分散液の散乱強度分布の角度依存性と比較して、前記粒子分散液が非球状粒子を含むか否かを判断することを含む検出方法が挙げられる。
本発明の非球状粒子の検出方法のその他の実施形態として、非球状粒子を含まないコントロール若しくは研磨結果等から非球状粒子を実質的に含まないと考えられるコントロール及び既知の非球状粒子を含むコントロールを用いて散乱強度分布の角度依存性と非球状粒子の含有量との相関関係を示す検量線を作成して、試験する粒子分散液の散乱強度分布の角度依存性から前記粒子分散液中の非球状粒子の含有量を求めることを含む検出方法が挙げられる。前記検量線を作成する場合、散乱強度分布の角度依存性を示す測定値として、ΔCV値(CV値の差)を使用することが好ましい。粒子分散液中の非球状粒子の存在量とΔCV値とはより強い相関を示し、より正確な非球状粒子の検出が可能となるからである。但し、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されない。
本発明の非球状粒子の検出方法は、好ましくは、粒子分散液中に存在する非球状粒子をより正確に検出できるため、粒子分散液及び又は粒子分散液を含む製品の分析、検査、品質管理、製造に有用である。したがって、本発明は、その態様において、粒子分散液及び若しくは粒子分散液を含む製品の、分析方法、検査方法、品質管理方法、及び又は製造方法に関する。粒子分散液を含む製品の例としては、半導体基板や磁気ディスク基板用の研磨液組成物、化粧品、塗料などが挙げられる。さらに、本発明は、さらにその他の態様において、本発明の検査方法による研磨液組成物の検査工程、又は本発明の製造方法による研磨液組成物の製造工程を有し前記研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む基板の製造方法に関する。
粒子分散液及び若しくは粒子分散液を含む製品の分析方法としては、本発明の非球状粒子の検出方法により粒子分散液及び若しくは粒子分散液を含む製品における非球状粒子の有無及び又は含有量を分析する実施形態が挙げられる。粒子分散液及び若しくは粒子分散液を含む製品の検査方法としては、本発明の非球状粒子の検出方法により、粒子分散液及び若しくは粒子分散液を含む製品における非球状粒子の有無及び又は含有量を検査する実施形態が挙げられる。粒子分散液及び若しくは粒子分散液を含む製品の品質管理方法としては、本発明の非球状粒子の検出方法により、粒子分散液及び若しくは粒子分散液を含む製品における非球状粒子の有無及び又は含有量を検出して品質を管理する実施形態が挙げられる。粒子分散液及び若しくは粒子分散液を含む製品の製造方法としては、本発明の非球状粒子の検出方法により粒子分散液及び若しくは粒子分散液を含む製品における非球状粒子の有無及び又は含有量の検出工程を含む実施形態が挙げられる。
[粒子]
本発明の非球状粒子の検出方法に用いる粒子分散液中に存在する粒子としては、特に制限されないが、例えば、平均粒径が1〜200nmの範囲の粒子であってもよい。従来の電子顕微鏡写真観察、動的光散乱法、レーザー回折法などの方法では、上記範囲の平均粒径において球状粒子に混在する非球状粒子を検出することは困難であった。なぜなら、顕微鏡観察では溶液の一部のみの観察であり、また従来の動的光散乱法では溶液系全体を均一であると仮定して粒子を測定・算出しているからである。また、本発明の非球状粒子の検出方法では、前述のとおり、散乱強度分布の角度依存性を動的光散乱法により測定することで粒子分散溶液中に存在する非球状粒子を検出することを可能としている。なお、本明細書において、粒子の「平均粒径」とは、特に記載がない場合、動的光散乱法により検出角90度で測定した散乱強度分布に基づく平均粒径をいう。
前記粒子は、非球状粒子の検出の確度向上の点からは、無機粒子であることが好ましい。前記無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸アルミ、炭化珪素、窒化珪素などの粒子が挙げられ、これら以外の無機酸化物、無機窒化物、難陽性イオン結晶、共有結合性結晶、粘土鉱物などであってもよい。研磨剤組成物への適用の点からは、前記無機粒子としてはシリカ、及びアルミナが好ましく、水ガラス(ケイ酸水溶液)や金属アルコキシドを原料に粒子成長により合成されるコロイダルシリカがより好ましい。
[磁気ディスク基板用研磨液組成物]
本発明の一実施形態として、磁気ディスク基板用研磨液組成物における非球状粒子の検出方法、前記研磨液組成物の検査方法・品質管理方法・製造方法、及び、前記研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む基板の製造方法を以下に説明する。
磁気ディスク基板用研磨液組成物の一例として、コロイダルシリカ、水、酸及び酸化剤を含有し、前記コロイダルシリカの動的光散乱法(検出角90度)で測定した散乱強度分布に基づく平均粒径が1〜40nmである研磨液組成物を用いる。
前記研磨液組成物に本発明の非球状粒子の検出方法を適用した一例として、以下のように、散乱強度分布に基づく測定値としてCV値を用いた検出方法が挙げられる。まず、動的光散乱法を用いて検出角30°(前方散乱)での散乱強度分布に基づく平均粒径及び標準偏差を求め、前記標準偏差を前記平均粒径で除して100を掛けたCV値(CV30)を求める。次に、動的光散乱法を用いて検出角90°(側方散乱)での散乱強度分布に基づく標準偏差を求め、前記標準偏差を前記平均粒径で除して100を掛けたCV値(CV90)を求める。そして、前記研磨液組成物の散乱強度分布の角度依存性を示す値として、CV30とCV90との差であるΔCV値(ΔCV=CV30−CV90)を求める。前記ΔCV値が高いほど、前記研磨液組成物に非球状シリカ粒子がより多く存在することを示す。また、前記ΔCV値が低いほど(ゼロに近いほど)、前記研磨液組成物における非球状シリカ粒子が少ないことを示す。
研磨液組成物においては、被研磨基板を研磨後と基板表面のスクラッチを低減する観点から、ΔCV値(ΔCV=CV30−CV90)は、0〜10%が好ましく、より好ましくは0〜7%、さらに好ましくは0〜5%である。
したがって、本発明の研磨液組成物の検査方法としては、研磨液組成物の前記ΔCV値が上記範囲に入るか否かを検査することを含む検査方法が挙げられる。また、本発明の研磨液組成物の品質管理方法としては、研磨液組成物の前記ΔCV値が上記範囲に入るか否かを検査し、上記範囲から外れる場合には製造条件の見直し、前述したΔCV値の調整、又は該研磨液組成物の使用の停止を行うことを含む品質管理方法が挙げられる。さらに、本発明の研磨液組成物の製造方法としては、研磨液組成物の前記ΔCV値が上記範囲に入ることを確認する工程を含む製造方法が挙げられる。また、前記製造方法は、さらに、前述したΔCV値の調整工程を含んでもよい。
本発明の非球状粒子の検出方法を用いて検査、品質管理、及び又は製造した研磨液組成物を用いることにより、基板のスクラッチが低減された磁気ディスク基板、特に垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板を製造できるという効果が好ましくは奏される。
なお、スクラッチ低減のメカニズムは明らかではないが、コロイダルシリカなどの研磨材の一次粒子が凝集して生じた50〜200nmのシリカ凝集体(非球状シリカ)がスクラッチ発生の原因物質であり、かかる凝集体が少ないためスクラッチが低減されると推定される。但し、本発明はこれらの推定メカニズムに限定されない。
以下、磁気ディスク基板用研磨液組成物の好ましい実施形態についてさらに説明する。
[コロイダルシリカ]
前記研磨液組成物に用いられるコロイダルシリカは、ケイ酸水溶液から生成させる公知の製造方法等により得られたものでもよい。シリカ粒子の使用形態としては、操作性の観点からスラリー状であることが好ましい。
コロイダルシリカの動的光散乱法(検出角90度)により測定される散乱強度分布に基づく平均粒径は、スクラッチを低減する観点から、好ましくは1〜40nmであり、より好ましくは5〜37nm、さらに好ましくは10〜35nmである。
コロイダルシリカのCV値(CV30及びCV90)は、スクラッチを低減する観点から、好ましくは1〜35%であり、より好ましくは5〜34%、さらに好ましくは10〜33%である。
前記研磨液組成物中におけるコロイダルシリカの含有量は、研磨速度を向上させる観点及び基板表面の平坦性をより向上させる観点から、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは3〜13重量%、さらにより好ましくは4〜10重量%である。
[水]
前記研磨液組成物中の水は、媒体として使用されるものであり、蒸留水、イオン交換水、超純水等が挙げられる。被研磨基板の表面清浄性の観点からイオン交換水及び超純水が好ましく、超純水がより好ましい。研磨液組成物中の水の含有量は、60〜99.4重量%が好ましく、70〜98.9重量%がより好ましい。また、本発明の効果を阻害しない範囲内でアルコール等の有機溶剤を配合してもよい。
[酸]
前記研磨液組成物は、酸及び/又はその塩を含むことが好ましい。酸及び/又はその塩としては、硝酸、硫酸、亜硫酸、過硫酸、塩酸、過塩素酸、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、アミド硫酸等の無機酸及びその塩、2−アミノエチルホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エタン−1,1,−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等の有機ホスホン酸及びその塩、グルタミン酸、ピコリン酸、アスパラギン酸等のアミノカルボン酸及びその塩、酢酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、ニトロ酢酸、マレイン酸、オキサロ酢酸等のカルボン酸及びその塩等が挙げられる。中でも、スクラッチ低減の観点から、無機酸や有機ホスホン酸及びそれらの塩が好ましい。また、無機酸及びその塩の中では、硝酸、硫酸、塩酸、過塩素酸及びそれらの塩がより好ましく、硫酸がさらに好ましい。有機ホスホン酸及びその塩の中では、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びそれらの塩がより好ましく、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)がさらに好ましい。これらの酸及びその塩は単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
これらの酸の塩を用いる場合の対イオンとしては、特に限定はなく、具体的には、金属、アンモニウム、アルキルアンモニウム等との塩が挙げられる。上記金属の具体例としては、周期律表(長周期型)1A、1B、2A、2B、3A、3B、4A、6A、7A又は8族に属する金属が挙げられる。これらの中でも、スクラッチ低減の観点から1A族に属する金属又はアンモニウムとの塩が好ましい。
前記研磨液組成物中における前記酸及びその塩の含有量は、研磨速度向上、表面粗さ及びスクラッチ低減の観点から、0.001〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.01〜4重量%であり、さらに好ましくは0.05〜3重量%、さらにより好ましくは0.1〜2.0重量%である。
[酸化剤]
前記研磨液組成物は、酸化剤を含むことが好ましい。好ましい酸化剤としては、過酸化水素、硝酸鉄(III)、過酢酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、硫酸鉄(III)及び硫酸アンモニウム鉄(III)等が挙げられる。より好ましい酸化剤としては、表面に金属イオンが付着せず汎用に使用され安価であるという観点から過酸化水素が挙げられる。これらの酸化剤は、単独で又は2種以上を混合して使用してもよい。
研磨液組成物中における前記酸化剤の含有量は、研磨速度向上の観点並びに表面粗さ、うねり及びスクラッチ低減の観点から、好ましくは0.01〜4重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%である。
[その他の成分]
前記研磨液組成物には、必要に応じて他の成分を配合することができる。他の成分としては、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤等が挙げられる。研磨液組成物中のこれら他の任意成分の含有量は、0〜10重量%が好ましく、0〜5重量%がより好ましい。
[研磨液組成物のpH]
前記研磨液組成物のpHは、研磨速度向上の観点及び表面粗さ低減の観点から、0.5〜4.0が好ましく、より好ましくは0.8〜3.0、さらに好ましくは1.0〜2.5である。
[研磨液組成物の調製方法]
前記研磨液組成物は、例えば、水と、コロイダルシリカと、さらに所望により、酸及び/又はその塩と、酸化剤と、他の成分とを公知の方法で混合することにより調製できる。この際、コロイダルシリカは、濃縮されたスラリーの状態で混合されてもよいし、水等で希釈してから混合されてもよい。前記研磨液組成物中における各成分の含有量や濃度は、前述した範囲であるが、その他の態様として、前記研磨液組成物を濃縮物として調製してもよい。
本発明は、その他の態様として、コロイダルシリカを含む磁気ディスク基板用研磨液組成物の調製方法であって、前記研磨液組成物の散乱強度分布の角度依存性を動的光散乱法により測定することを含む、磁気ディスク基板用研磨液組成物の調製方法である。より詳細には、動的光散乱法において検出角90°で測定される平均粒径が1〜40nmであり、動的光散乱法において検出角90°で測定される標準偏差を平均粒径で除して100を掛けたCV値(CV90)が1〜35%であり、かつ、動的光散乱法において検出角30°で測定される標準偏差を平均粒径で除して100を掛けたCV値(CV30)と前記CV90との差(ΔCV=CV30−CV90)が0〜10%であるコロイダルシリカを選択及び又は確認して使用することを含む磁気ディスク基板用研磨液組成物の調製方法を提供し得る。上記コロイダルシリカを用いた磁気ディスク基板用研磨液組成物であれば、研磨後のスクラッチを低減できる。
[磁気ディスク基板の製造方法]
本発明は、その他の態様として、前記研磨液組成物の散乱強度分布の角度依存性を動的光散乱法により測定することを含む、磁気ディスク基板の製造方法に関する。本発明の磁気ディスク基板の製造方法は、本発明の研磨液組成物の検査方法による検査工程、本発明の研磨液組成物の品質管理方法による品質管理工程、又は、本発明の研磨液組成物の製造方法による製造工程を含み、ΔCV値(ΔCV=CV30−CV90)が上記範囲に入る磁気ディスク基板用研磨液組成物を使用することが好ましい。また、本発明の磁気ディスク基板の製造方法は、前記研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含むことが好ましい。
本発明の磁気ディスク基板の製造方法によれば、研磨後の基板のスクラッチが低減された磁気ディスク基板を好ましくは提供できる。本発明の製造方法は、とりわけ、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法に適している。
研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する方法の具体例としては、不織布状の有機高分子系研磨布等の研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨基板を挟み込み、研磨液組成物を研磨機に供給しながら、定盤や被研磨基板を動かして被研磨基板を研磨する方法が挙げられる。
被研磨基板の研磨工程が多段階で行われる場合は、前記研磨液組成物を用いた研磨工程は2段階目以降に行われるのが好ましく、最終研磨工程で行われるのがより好ましい。その際、前工程の研磨材や研磨液組成物の混入を避けるために、それぞれ別の研磨機を使用してもよく、またそれぞれ別の研磨機を使用した場合では、研磨工程毎に被研磨基板を洗浄することが好ましい。なお、研磨機としては、特に限定されず、磁気ディスク基板研磨用の公知の研磨機が使用できる。
本発明の磁気ディスク基板の製造方法は、一実施形態において、動的光散乱法において検出角90°で測定される平均粒径が1〜40nmであり、動的光散乱法において検出角90°で測定される平均粒径のCV値(CV90)が1〜35%であり、かつ、動的光散乱法において検出角30度で測定される標準偏差を平均粒径で除して100を掛けたCV値(CV30)と前記CV90との差(ΔCV=CV30−CV90)が0〜10%であるコロイダルシリカを含有する研磨液組成物を選択及び又は確認して使用することを含んでもよい。
[研磨パッド]
本発明で使用される研磨パッドとしては、特に制限はなく、スエードタイプ、不織布タイプ、ポリウレタン独立発泡タイプ、又はこれらを積層した二層タイプ等の研磨パッドを使用することができるが、研磨速度の観点から、スエードタイプの研磨パッドが好ましい。
[研磨荷重]
前記研磨液組成物を用いた研磨工程における研磨荷重は、研磨速度の低下を抑制及びスクラッチの発生を抑制の観点から、5.9〜20kPaが好ましく、6.9〜18kPaがより好ましく、7.5〜16kPaがさらに好ましい。なお、本発明において研磨荷重とは、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力をいう。研磨荷重の調整は、定盤及び被研磨基板のうち少なくとも一方に空気圧や重りを負荷することにより行うことができる。
[研磨液組成物の供給]
前記研磨液組成物を用いた研磨工程における前記研磨液組成物の供給速度は、スクラッチ低減の観点から、被研磨基板1cm2当たり、好ましくは0.05〜15mL/分であり、より好ましくは0.06〜10mL/分であり、さらに好ましくは0.07〜1mL/分、さらにより好ましくは0.08〜0.5mL/分、さらにより好ましくは0.12〜0.5mL/分である。
前記研磨液組成物を研磨機へ供給する方法としては、例えばポンプ等を用いて連続的に供給を行う方法が挙げられる。研磨液組成物を研磨機へ供給する際は、全ての成分を含んだ1液で供給する方法の他、研磨液組成物の安定性等を考慮して、複数の配合用成分液に分け、2液以上で供給することもできる。後者の場合、例えば供給配管中又は被研磨基板上で、上記複数の配合用成分液が混合され、本発明の研磨液組成物となる。
[被研磨基板]
磁気ディスク基板の製造方法に好適に使用される被研磨基板の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金や、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質や、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料や、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。中でも、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属や、これらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨基板が好適である。特にNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板や、結晶化ガラス、強化ガラス、アルミノシリケートガラス等のガラス基板に適しており、中でもNi−Pメッキされたアルミニウム合金基板が適している。
[研磨方法]
本発明は、その他の態様として、前述した研磨液組成物を研磨パッドに接触させながら被研磨基板を研磨することを含む被研磨基板の研磨方法に関する。本発明の研磨方法を使用することにより、生産性を損なうことなく、被研磨基板の研磨が可能となり、表面粗さ及びスクラッチがともに低減された磁気ディスク基板、特に垂直磁気記録方式の磁気ディスク基板が好ましくは提供される。本発明の研磨方法における前記被研磨基板としては、前述のとおり、磁気ディスク基板や磁気記録用媒体の基板の製造に使用されるものが挙げられ、なかでも、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造に用いる基板が好ましい。なお、具体的な研磨の方法及び条件は、前述のとおりとすることができる。
[実施例1]
コロイダルシリカを含む研磨液組成物を調製し、前記研磨液組成物にさらに非球状シリカ粒子又は球状シリカ粒子を添加して、ΔCV値を測定し、添加したシリカ粒子が及ぼす散乱強度分布の角度依存性への影響を確認した。測定結果を下記表1及び図1に示す。研磨液組成物の調製方法)及びΔCV値の測定方法は以下のとおりである。
[研磨液組成物の調製方法]
コロイダルシリカと、硫酸(和光純薬工業社製 特級)と、HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、サーモスジャパン製)と、過酸化水素水(旭電化製 濃度:35重量%)とをイオン交換水に添加し、これらを混合することにより研磨液組成物を調製した。得られた研磨液組成物は最後に0.45μmのフィルターで濾過した。研磨液組成物中における硫酸、HEDP、過酸化水素の含有量は、それぞれ、0.4重量%、0.1重量%、0.4重量%であった。
なお、コロイダルシリカは、研磨液組成物において5.0重量%となる量のシリカ粒子(BET吸着法による平均粒径(DBET):27nm、動的光散乱法による平均粒径(DDLS):37nm、異形度(DDLS/DBET)=1.37)に、前記シリカ粒子に対して0.5、1.0、1.5、及び2.0重量%の下記シリカ粒子I、或いは、前記シリカ粒子に対して0.5、及び1.5重量%の下記シリカ粒子IIを添加したものを使用した。
〔混合したシリカ粒子I及びシリカ粒子II〕
シリカ粒子I:
BET=18nm、DDLS=80nm、異形度(DDLS/DBET)=4.44
シリカ粒子II:
BET=50nm、DDLS=65nm、異形度(DDLS/DBET)=1.30
[コロイダルシリカの平均粒径、CV値、ΔCV値の測定方法]
〔平均粒径及びCV値〕
上記のように調製した研磨液組成物を大塚電子社製動的光散乱装置DLS−6500で測定しヒストグラム法(Marquardt法)により粒径分布解析を行った。コロイダルシリカの検出角30°及び90°における平均粒径は、それぞれ検出角30°及び90°における積算200回の平均粒径(d50)を用いた。また、CV値は散乱強度分布の標準偏差を前記平均粒径(d50)で除して100をかけて求め、それぞれ、CV30及びCV90を得た。
〔ΔCV値〕
上記測定法に従って測定した、検出角30°におけるコロイダルシリカ粒子のCV値(CV30)から検出角90°におけるコロイダルシリカ粒子のCV値(CV90)を引いた値を求め、ΔCV値とした。
(DLS−6500の測定条件)
検出角:90°
Sampling time: 4(μm)
Correlation Channel: 256(ch)
Correlation Method: TI
Sampling temperature: 26.0(℃)
検出角:30°
Sampling time: 10(μm)
Correlation Channel: 1024(ch)
Correlation Method: TI
Sampling temperature: 26.0(℃)
Figure 0005377117
上記表1−1はシリカ粒子I(非球状)を添加した場合の検出角30°及び90°における平均粒径、標準偏差、及びCV値、並びにΔCV値の結果を示し、上記表1−2はシリカ粒子II(球状)を添加した場合の結果を示す。また、図1のグラフは、表1−1及び表1−2における粒子の添加量とΔCV値との関係を示す。上記表1−1に示されるとおり、検出角30°と90°の平均粒径の差(すなわち、散乱強度の角度依存性)はシリカ粒子Iの含有量とは相関を示さなかった。しかしながら、図1に示されるとおり、ΔCV値(散乱強度分布の角度依存性)は、シリカ粒子Iの含有量と強い相関関係を示した(白ひし形)。一方、シリカ粒子IIを添加した場合は、ΔCV値に大きな変化は見られなかった(白四角形)。すなわち、ΔCV値を測定することで、コロイダルシリカに含まれる非球状粒子の有無及び含有量が検出できることが示された。
[実施例2]
2種類のコロイダルシリカ(シリカAとシリカB)について、ロットごとに研磨液組成物を調製した。調製した研磨液組成物を用いて被研磨基板の研磨を行い、研磨後の基板のスクラッチを評価した。評価結果を下記表2及び図2に示す。研磨液組成物の調製方法、研磨条件(研磨方法)、及び評価方法は以下のとおりである。なお、ΔCV値の測定方法は、上記実施例1と同様である。
[研磨液組成物の調製方法]
コロイダルシリカと、硫酸(和光純薬工業社製 特級)と、HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、サーモスジャパン製)と、過酸化水素水(旭電化製 濃度:35重量%)とをイオン交換水に添加し、これらを混合することにより研磨液組成物を調製した。研磨液組成物中におけるシリカ粒子、硫酸、HEDP、過酸化水素の含有量は、それぞれ、5.0重量%、0.4重量%、0.1重量%、0.4重量%であった。配合した研磨液組成物を最後に0.45μmのフィルターで濾過して研磨評価を行った。
なお、コロイダルシリカとして、シリカA(DBET=17nm、DDLS=26nm、DDLS/DBET=1.52)の6種類のロット(Lot Nos:1〜6)及びシリカB(DBET=27nm、DDLS=37nm、DDLS/DBET=1.37)の7種類のロット(Lot Nos:1〜7)を使用した。シリカAについての結果を下記表2−1及び図2に示す。シリカBの結果を下記表2−2及び図2に示す。
[研磨]
上記のように調製した研磨液組成物を用いて、以下に示す研磨条件にて下記被研磨基板を研磨した。次いで、研磨された基板のスクラッチを以下に示す条件に基づいて測定し、評価を行った。結果を下記表2に示す。下記表2に示すデータは、各研磨液組成物につき4枚の被研磨基板を研磨した後、各被研磨基板の両面について測定し、4枚(表裏合わせて計8面)のデータの平均とした。
[被研磨基板]
被研磨基板としては、Ni−Pメッキされたアルミニウム合金基板を予めアルミナ研磨材を含有する研磨液組成物で粗研磨した基板を用いた。なお、この被研磨基板は、厚さが1.27mm、外径が95mm、内径が25mmであり、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)により測定した中心線平均粗さRaが1nm、長波長うねり(波長0.4〜2mm)の振幅は2nm、短波長うねり(波長50〜400μm)の振幅は2nmであった。
[研磨条件]
研磨試験機:スピードファム社製「両面9B研磨機」
研磨パッド:フジボウ社製スエードタイプ(厚さ0.9mm、平均開孔径30μm)
研磨液組成物供給量:100mL/分(被研磨基板1cm2あたりの供給速度:0.072mL/分)
下定盤回転数:32.5rpm
研磨荷重:7.9kPa
研磨時間:4分間
[スクラッチの測定方法]
測定機器:Candela Instruments社製、OSA6100
評価:研磨試験機に投入した基板の中、無作為に4枚を選択し、各々の基板を10000rpmにてレーザーを照射してスクラッチを測定した。その4枚の基板の各々両面にあるスクラッチ数(本)の合計を8で除して、基板面当たりのスクラッチ数を算出した。その結果を下記表2に示す。
Figure 0005377117
上記表2−1はシリカAの様々なロットを用いた研磨液組成物を調製した場合の検出角30°及び90°における平均粒径、標準偏差、及びCV値、ΔCV値、並びにスクラッチの結果を示し、上記表2−2はシリカBの様々なロットを用いた場合の結果を示す。また、図2のグラフは、それぞれ、表2−1及び表2−2におけるロットをΔCV値及びスクラッチについてプロットしたグラフである。上記表2及び図2に示すとおり、シリカA及びシリカBの両方において、ロット間でΔCV値は一定しておらず、ΔCV値の高いロットでは研磨後の基板表面のスクラッチ数が増加し、ΔCV値の低いロットでは研磨後の基板表面のスクラッチ数が低減していた。したがって、使用するコロイダルシリカのΔCV値の品質を管理することで、スクラッチ低減性能を管理できることが示された。
本発明は、粒子分散液を含む製品の分析、検査、品質管理、又は製造の分野などで有用である。

Claims (8)

  1. 動的光散乱法により粒子分散液の散乱強度分布の角度依存性を測定することを含む、粒子分散液中の非球状粒子を検出する方法であって、
    前記粒子分散液が、動的光散乱法により検出角90°で測定した散乱強度分布に基づく平均粒径が1〜200nmである研磨砥粒用コロイダルシリカの分散液である、非球状粒子を検出する方法
  2. 前記散乱強度分布の角度依存性の測定は、異なる2つの検出角で測定した前記粒子分散液の散乱強度分布に基づく測定値の差を求めることを含む、請求項1記載の非球状粒子を検出する方法。
  3. 前記異なる2つの検出角が、前方散乱における検出角と、側方若しくは後方散乱における検出角とであり、
    前記散乱強度分布に基づく測定値が、散乱強度分布に基づく標準偏差及び散乱強度分布に基づくCV値からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項2記載の非球状粒子を検出する方法。
  4. 前記粒子分散液が更に酸を含有する、請求項1から3のいずれかに記載の非球状粒子を検出する方法。
  5. 前記粒子分散液が更に酸化剤を含有する、請求項1から4のいずれかに記載の非球状粒子を検出する方法。
  6. 請求項1からのいずれかに記載の方法を用いて研磨砥粒用コロイダルシリカの粒子分散液を検査する工程を有する、粒子分散液の検査方法。
  7. 請求項1からのいずれかに記載の方法を用いて粒子分散液を検査する工程を有する、粒子分散液の製造方法。
  8. 請求項記載の検査方法による無機粒子分散液の検査工程、又は、請求項記載の製造方法による無機粒子分散液の製造工程を有し、
    前記無機粒子分散液が、研磨液組成物であり、
    前記研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む、基板の製造方法。
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