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JP5374840B2 - カルシウム結合発光蛋白質、それをコードする遺伝子およびその用途 - Google Patents

カルシウム結合発光蛋白質、それをコードする遺伝子およびその用途 Download PDF

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Description

本発明は、新規なカルシウム結合発光蛋白質、それをコードする遺伝子およびその用途に関する。
カルシウム結合発光蛋白質は、アポ蛋白質と、発光基質のペルオキシドとが複合体を形成した状態で存在する発光蛋白質である。カルシウム結合発光蛋白質は、カルシウムイオンと結合すると瞬間的に発光するという性質を有している。
カルシウム結合発光蛋白質としては、イクオリン、オべリン、クライチィン、マイトロコミン、ミネオプシンおよびベルボインなどが知られている。なかでもイクオリンはカルシウム結合発光蛋白質の代表的なものであり、その高次構造および発光メカニズムなどが詳細に報告されている(例えば、非特許文献1、非特許文献2など参照)。イクオリンのカルシウムイオンに対する感受性は非常に高いので、微量カルシウムイオンの検出・定量や細胞内カルシウムイオンの濃度変化の測定などに利用されている。
クライチィンは、発光クラゲClytia gregariumから得られたカルシウム結合発光蛋白質である(非特許文献3など参照)。クライチィンは、アポクライチィンと、発光基質セレンテラジンのペルオキシドとが複合体を形成した状態で存在している。クライチィンにカルシウムイオンが結合すると、瞬間的な発光を示し、セレンテラジンの酸化物であるセレンテラミドと二酸化炭素を生成する。
Inouye et al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82, 3154-3158 Head et al. (2000) Nature 405, 372-376 Inouye, S. and Tsuji, F.I. (1993) FEBS Lett. 315, 343-346
上記状況において、蛋白質量当たりの最大発光強度(Imax)およびS/N比が高く、より感度よく発光を検出することができるカルシウム結合発光蛋白質が望まれている。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、配列番号:1に記載のアミノ酸配列または配列番号:1に記載のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加したアミノ酸配列を含有する蛋白質が、セレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドを結合して、カルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有することを見出した。さらに、得られた前記ホロ蛋白質が、カルシウムイオンと結合することによって発する光は、既知の発光蛋白質より蛋白質量当たりの最大発光強度(Imax)およびS/N比が高いことを見出した。これらの知見に基づいてさらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) 以下の(a)〜(h)のいずれかに記載の蛋白質:
(a)配列番号:1のアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b)配列番号:1のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(c)配列番号:1のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(d)配列番号:2の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(e)配列番号:1に記載のアミノ酸配列を含有し、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合して、カルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(f)配列番号:1に記載のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(g)配列番号:1のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(h)配列番号:2の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含有し、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質、
(2) 以下の(a)〜(h)のいずれかである上記(1)記載の蛋白質:
(a)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列において1〜16個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(c)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(d)配列番号:2、4、6、8、10または12の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(e)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列を含有し、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合して、カルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(f)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列において1〜16個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(g)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(h)配列番号:2、4、6、8、10または12の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含有し、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質、
(3) 以下の(a)〜(h)のいずれかである上記(1)記載の蛋白質:
(a)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列において1〜6個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(c)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列に対して95%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(d)配列番号:2、4、6、8、10または12の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(e)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列を含有し、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合して、カルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(f)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列において1〜6個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(g)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列に対して95%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質;
(h)配列番号:2、4、6、8、10または12の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含有し、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質、
(4) 以下の(a)または(b)である上記(1)記載の蛋白質:
(a)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列からなる蛋白質;
(b)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列を含有し、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合して、カルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質、
(5) さらに精製のためのペプチド配列および/または分泌シグナルペプチド配列を含有する、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の蛋白質、
(6) 上記(1)〜(5)のいずれかに記載の蛋白質とセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドとからなるホロ蛋白質、
(7) 上記(1)〜(5)のいずれかに記載の蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(8) 以下の(a)〜(f)のいずれかである上記(7)記載のポリヌクレオチド:
(a)配列番号:2、4、6、8、10または12の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号:2、4、6、8、10または12の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(f)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(9) 以下の(a)〜(f)のいずれかである上記(7)記載のポリヌクレオチド:
(a)配列番号:2、4、6、8、10または12の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号:2、4、6、8、10または12の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(d)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列において1〜16個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(e)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(f)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列において1〜16個の個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含有し、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(10) 以下の(a)〜(c)のいずれかである上記(7)記載のポリヌクレオチド:
(a)配列番号:2、4、6、8、10または12の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
(c)配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、
(11) 上記(7)〜(10)のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター、
(12) 上記(11)記載の組換えベクターが導入された形質転換体、
(13) 上記(12)記載の形質転換体を培養し、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の蛋白質を生成させる工程を含む、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の蛋白質の製造方法、
(14) 上記(1)〜(5)のいずれかに記載の蛋白質または上記(6)記載のホロ蛋白質を含むキット、
(15) 上記(7)〜(10)のいずれかに記載のポリヌクレオチド、上記(11)記載の組換えベクターまたは上記(12)記載の形質転換体を含むキット、
(16) 上記(1)〜(5)のいずれかに記載の蛋白質または上記(6)記載のホロ蛋白質を使用してカルシウムイオンを検出または定量する方法、
(17) 上記(7)〜(10)のいずれかに記載のポリヌクレオチドをレポーター遺伝子として、プロモーター制御に関与する配列の活性を測定する方法
(18)上記(7)〜(10)のいずれかに記載のポリヌクレオチドを細胞内で発現させ、発光蛋白質を形成させるステップを含む、細胞内カルシウム濃度の変化を測定する方法などを提供する。
本発明の蛋白質は、蛋白質量当たりの最大発光強度(Imax)およびS/N比が高い。したがって、本発明の蛋白質によれば、より感度よく発光を検出することが可能となる。よって、本発明の蛋白質などは、カルシウムイオンの検出または測定に好適に利用することができる。また、本発明の蛋白質などは、レポーター蛋白質としてプロモーターなどの転写活性の測定に利用することもできる。さらに、本発明の蛋白質などは、検出マーカー、アミューズメント用品の材料などとして利用することもできる。
本発明のポリヌクレオチドは、上述した本発明の蛋白質をコードしているので、レポーター遺伝子として利用することができる。
また、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクター、本発明の形質転換体などは、本発明の蛋白質の製造に利用することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
1.本発明の蛋白質
本発明の蛋白質とは、配列番号:1のアミノ酸配列からなる蛋白質および配列番号:1のアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同質の活性もしくは機能を有する蛋白質を意味する。本明細書中、配列番号:1のアミノ酸配列からなる蛋白質および配列番号:1のアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同質の活性もしくは機能を有する蛋白質を「アポCL−II」と称することがある。
実質的に同質の活性もしくは機能とは、例えば、(i)前記蛋白質がセレンテラジンのペルオキシドまたはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してホロ蛋白質を形成することができる機能、(ii)前記蛋白質がセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能、(iii)前記ホロ蛋白質がカルシウムイオンと結合することによって生じる発光の最大発光強度(Imax)が、配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質の最大発光強度(Imax)の1/4以上、好ましくは1/3以上、より好ましくは1/2以上、さらに好ましくは1/1.5以上であること、(iv)前記ホロ蛋白質がカルシウムイオンと結合することによって生じる発光の半減期(T1/2、秒)が、配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質の半減期(T1/2、秒)の4倍以下、好ましくは3倍以下、より好ましくは2倍以下、さらに好ましくは1.5倍以下であること、などのいずれかを意味する。なお、上記の発光活性や発光パターンの測定は、例えば、Shimomura 0.et al (1988) Biochem. J.251,405-410 およびShimomura 0.et al. Biochem. J. (1989)261, 913-920などに記載の方法によって測定することができる。 具体的には、例えば、前記ホロ蛋白質にカルシウム溶液を加えることにより発光反応を開始させ、発光測定装置を用いて発光活性または発光パターンを測定することができる。発光測定装置としては、市販されている装置、例えばTD−4000(ラボサイエンス社製)、Centro LB 960(ベルトールド社製)などを使用することができる。
本明細書において、「蛋白質がセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してホロ蛋白質を形成する」とは、(1)蛋白質が、セレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してホロ蛋白質を形成すること、だけではなく(2)蛋白質が、酸素存在下に、セレンテラジンもしくはその誘導体と接触することにより、蛋白質とセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドとを含有するホロ蛋白質(複合体)を形成すること、をも意味する。
本明細書において、セレンテラジン誘導体とは、配列番号:1のアミノ酸配列からなる蛋白質と結合し、カルシウムイオンの作用によって発光しうるホロ蛋白質を形成することができる化合物を意味する。
本発明の蛋白質としては、より具体的には、例えば(a)配列番号:1のアミノ酸配列からなる蛋白質;(b)配列番号:1のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加したアミノ酸配列からなり、かつ配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同質の活性もしくは機能を有する蛋白質;(c)配列番号:1のアミノ酸配列を含有し、かつ配列番号:1のアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同質の活性もしくは機能を有する蛋白質;または(d)配列番号:1のアミノ酸配列において1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加したアミノ酸配列を含有し、かつ配列番号:1のアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同質の活性もしくは機能を有する蛋白質などが挙げられる。
本明細書において、「1〜複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列」における「1〜複数個」の範囲は、例えば、1〜16個、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個(1〜数個)、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、1個である。欠失、置換、挿入もしくは付加したアミノ酸の数は、一般的に少ないほど好ましい。上記アミノ酸残基の欠失、置換、挿入および付加のうち2種以上が同時に生じてもよい。このような蛋白質は、「モレキュラークローニング第3版」、「カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー」、“Nuc. Acids. Res., 10, 6487 (1982)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409 (1982)”、“Gene, 34, 315 (1985)”、“Nuc. Acids. Res., 13, 4431 (1985)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)”等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、取得することができる。
配列番号:1のアミノ酸配列における欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列において、配列番号:1に記載のアミノ酸配列の1番目、3番目、5番目、10番目、25番目、46番目、66番目、75番目、78番目、80番目、81番目、84番目、88番目、92番目、99番目、100番目、104番目、107番目、117番目、137番目、176番目および177番目のアミノ酸のうち、例えば5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上、18個以上、19個以上、20個以上または21個全てのアミノ酸が欠失または置換されていないのが好ましい。前記欠失または置換されていないアミノ酸の数は、一般的に多いほど好ましい。
本発明の蛋白質の具体例としては、例えば、配列番号:1のアミノ酸配列を含有する蛋白質、配列番号:3のアミノ酸配列を含有する蛋白質、配列番号:5のアミノ酸配列を含有する蛋白質、配列番号:7のアミノ酸配列を含有する蛋白質、配列番号:9のアミノ酸配列を含有する蛋白質、配列番号:11のアミノ酸配列を含有する蛋白質などがあげられる。
配列番号:1のアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、配列番号:3のアミノ酸配列からなる蛋白質などが、配列番号:11のアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、配列番号:9または配列番号:7のアミノ酸配列からなる蛋白質などが、配列番号:9のアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、配列番号:7のアミノ酸配列からなる蛋白質などが挙げられる。
配列番号:1のアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、配列番号:1のアミノ酸配列からなる蛋白質などが、配列番号:3のアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、配列番号:3のアミノ酸配列からなる蛋白質などが、配列番号:5のアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、配列番号:5のアミノ酸配列からなる蛋白質などが、配列番号:7のアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、配列番号:7のアミノ酸配列からなる蛋白質などが、配列番号:9のアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、配列番号:9のアミノ酸配列からなる蛋白質などが、配列番号:11のアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、配列番号:11のアミノ酸配列からなる蛋白質などが好ましい。
配列番号:1のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加したアミノ酸配列からなる蛋白質としては、配列番号:1のアミノ酸配列の75番目のAlaがProに置換したアミノ酸配列からなる蛋白質、88番目のGluがLysに置換したアミノ酸配列からなる蛋白質、前記のアミノ酸のうち2つもしくは3つが同時に置換したアミノ酸配列からなる蛋白質(例えば、75番目のAlaがProに置換し、かつ88番目のGluがLysに置換したアミノ酸配列からなる蛋白質)なども好ましい。
配列番号:1のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加したアミノ酸配列を含有する蛋白質としては、配列番号:1のアミノ酸配列の75番目のAlaがProに置換したアミノ酸配列を含有する蛋白質、88番目のGluがLysに置換したアミノ酸配列を含有する蛋白質、前記のアミノ酸のうち2つもしくは3つが同時に置換したアミノ酸配列を含有する蛋白質(例えば、75番目のAlaがProに置換し、かつ88番目のGluがLysに置換したアミノ酸配列を含有する蛋白質)なども好ましい。
配列番号:1のアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同質の活性もしくは機能を有する蛋白質としては、例えば、配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列と約90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ配列番号:1のアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同質の活性もしくは機能を有する蛋白質、配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列と約90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつ配列番号:1のアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同質の活性もしくは機能を有する蛋白質も挙げられる。より具体的には、例えば、配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列と約90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質、配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列と約90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含有し、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合してカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質も挙げられる。上記同一性の数値は、一般的に大きいほど好ましい。なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、BLAST(例えば、Altzshul S. F. et al., J. Mol. Biol. 215, 403 (1990)、など参照)やFASTA(Pearson W. R., Methods in Enzymology 183, 63 (1990)、など参照)等の解析プログラムを用いて決定できる。BLASTまたはFASTAを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。
また、本発明の蛋白質には、(a)配列番号:2、4、6、8、10または12の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列からなり、かつ配列番号:1のアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同質の活性もしくは機能を有する蛋白質、(b)配列番号:2、4、6、8、10または12の塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸配列を含有し、かつ配列番号:1のアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同質の活性もしくは機能を有する蛋白質も含まれる。ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドについては、後記する。
本発明の蛋白質はさらに精製のためのペプチド配列および/または分泌シグナルペプチドを含んでいてもよい。精製のためのペプチド配列としては、当技術分野において用いられているペプチド配列を使用することができる。精製のためのペプチド配列としては、例えば、ヒスチジン残基が4残基以上、好ましくは6残基以上連続したアミノ酸配列を有するヒスチジンタグ配列、グルタチオン S−トランスフェラーゼのグルタチオンへの結合ドメインのアミノ酸配列またはプロテインAのアミノ酸配列などが挙げられる。分泌シグナルペプチドとは、当該分泌シグナルペプチドに結合された蛋白質またはポリペプチドを、細胞膜透過させる役割を担うペプチド領域を意味する。このような分泌シグナルペプチドのアミノ酸配列およびそれをコードする核酸配列は、当技術分野において周知であり、報告されている(例えばvon Heijine G (1988) Biochim. Biohys. Acra 947: 307-333、von Heijine G (1990) J. Membr. Biol. 115: 195-201など参照)。分泌シグナルペプチドとしては、より具体的には、例えば、大腸菌の外膜蛋白質A由来の分泌シグナルペプチド(OmpA)(Ghrayeb, J. et al. (1984) EMBO J. 3:2437-2442)、コレラ菌由来コレラトキシン由来の分泌シグナルペプチドなどが挙げられる。
本発明の蛋白質の取得方法については特に制限はない。本発明の蛋白質としては、化学合成により合成した蛋白質でもよいし、遺伝子組換え技術により作製した組換え蛋白質であってもよい。本発明の蛋白質を化学合成する場合には、例えば、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t-ブチルオキシカルボニル法)等により合成することができる。また、アドバンスドケムテック社製、パーキンエルマー社製、ファルマシア社製、プロテインテクノロジーインストゥルメント社製、シンセセルーベガ社製、パーセプティブ社製、島津製作所社製等のペプチド合成機を利用して化学合成することもできる。本発明の蛋白質を遺伝子組換え技術により作製する場合には、通常の遺伝子組換え手法により作製することができる。より具体的には、本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチド(例えば、DNA)を適当な発現系に導入することにより、本発明の蛋白質を作製することができる。本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチド、本発明の蛋白質の発現系での発現などについては、後記する。
本発明の蛋白質を、発光基質であるセレンテラジンまたはその誘導体(例えば、h-セレンテラジン、e-セレンテラジン、cl-セレンテラジンch-セレンテラジン、hcp-セレンテラジンなど)と、酸素存在下に接触させることにより、本発明の蛋白質とセレンテラジンのペルオキシドまたはセレンテラジン誘導体のペルオキシドとからなるホロ蛋白質を得ることができる。以下、「セレンテラジンまたはその誘導体」を、単に「セレンテラジン」と称することがある。本明細書中、本発明の蛋白質と、セレンテラジンのペルオキシドまたはセレンテラジン誘導体のペルオキシドとからなるホロ蛋白質を、「本発明のホロ蛋白質」または「CL−II」と称することがある。ここで、本発明のホロ蛋白質(発光蛋白質)とは、本発明の蛋白質(アポ蛋白質)とセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドとを含有する複合体(ホロ蛋白質)を意味する。本発明のホロ蛋白質としては、本発明の蛋白質とセレンテラジンのペルオキシドとからなるホロ蛋白質、本発明の蛋白質とセレンテラジン誘導体のペルオキシドとからなるホロ蛋白質などが挙げられる。本発明の蛋白質とセレンテラジン誘導体のペルオキシドとからなるホロ蛋白質としては、例えば、本発明の蛋白質とh-セレンテラジンのペルオキシドとからなるホロ蛋白質、、本発明の蛋白質とe-セレンテラジンのペルオキシドとからなるホロ蛋白質、本発明の蛋白質とcl-セレンテラジンのペルオキシドとからなるホロ蛋白質、本発明の蛋白質とch-セレンテラジンのペルオキシドとからなるホロ蛋白質、本発明の蛋白質とhcp-セレンテラジンのペルオキシドとからなるホロ蛋白質などが挙げられる。本発明のホロ蛋白質は、本発明の蛋白質とセレンテラジンとから、公知のカルシウム結合発光蛋白質(例えば、イクオリンなど)と同様にして製造することができる。より具体的には、本発明のホロ蛋白質は、例えば、J. Biol. Chem. 254, 769-780 (1979)などに記載の製造方法に準じる方法によって製造することができる。本発明のホロ蛋白質は、酸素存在下において、本発明の蛋白質と、セレンテラジンと分子状酸素から生成するセレンテラジンのペルオキシドとが複合体を形成した状態で存在する。前記複合体にカルシウムイオンが結合すると、瞬間的な発光を示し、セレンテラジンの酸化物であるセレンテラミドと二酸化炭素を生成する。前記複合体(本発明のホロ蛋白質)を「本発明の発光蛋白質」と称することがある。
2.本発明のポリヌクレオチド
本発明は、前述した本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチドも提供する。本発明のポリヌクレオチドとしては、本発明の蛋白質をコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよいが、好ましくはDNAである。DNAとしては、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、細胞・組織由来のcDNA、細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAなどが挙げられる。ライブラリーに使用するベクターは、特に制限はなく、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織からtotalRNAまたはmRNA画分を調製したものを用いて直接 Reverse Transcription Polymerase Chain Reaction(以下、RT-PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
本発明のポリヌクレオチドには、(a)配列番号:1のアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするポリヌクレオチド;(b)配列番号:1のアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加したアミノ酸配列からなり、かつ配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同質の活性もしくは機能を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチド;(c)配列番号:1のアミノ酸配列を含有し、かつ配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同質の活性もしくは機能を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチド;または(d)配列番号:1のアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入もしくは付加したアミノ酸配列を含有し、かつ配列番号:1に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同質の活性もしくは機能を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドなどが含まれる。
また、本発明のポリヌクレオチドには、(e)配列番号:2の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ配列番号:1のアミノ酸配列からなる蛋白質と実質的に同質の活性を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドも含まれる。
ここで、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド(DNA)」とは、配列番号:2、4、6、8、10または12の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAまたは配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列をコードするDNAの全部または一部をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法またはサザンハイブリダイゼーション法などを用いることにより得られるDNAをいう。具体的には、コロニーあるいはプラーク由来のDNAを固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0mol/LのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍濃度のSSC(Saline-sodium citrate)溶液(1倍濃度のSSC溶液の組成は、150mmol/L塩化ナトリウム、15mmol/Lクエン酸ナトリウムよりなる)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるポリヌクレオチドをあげることができる。
ハイブリダイゼーションは、Sambrook J. et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press (2001)(以下、モレキュラー・クローニング第3版と略す)、Ausbel F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1〜38, John Wiley and Sons (1987-1997)、Glover D. M. and Hames B. D., DNA Cloning 1: Core Techniques, A practical Approach, Second Edition, Oxford University Press (1995)等の実験書に記載されている方法に準じて行うことができる。
本明細書でいう「ストリンジェントな条件」は、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件及び高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%(w/v)SDS、50%(v/v)ホルムアミド、32℃の条件である。また、「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%(w/v)SDS、50%(v/v)ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5(w/v)%SDS、50%(v/v)ホルムアミド、50℃の条件である。条件を厳しくするほど、二本鎖形成に必要とする相補性が高くなる。具体的には、例えば、これらの条件において、温度を上げるほど高い相同性を有するDNAが効率的に得られることが期待できる。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度、プローブ濃度、プローブの長さ、イオン強度、時間、塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
なお、ハイブリダイゼーションに市販のキットを用いる場合は、例えばAlkphos Direct Labelling Reagents(アマシャムファルマシア社製)を用いることができる。この場合は、キットに添付のプロトコルにしたがい、標識したプローブとのインキュベーションを一晩行った後、メンブレンを55℃の条件下で0.1% (w/v) SDSを含む1次洗浄バッファーで洗浄後、ハイブリダイズしたDNAを検出することができる。
これ以外にハイブリダイズ可能なDNAとしては、FASTA、BLAST等の解析プログラムにより、デフォルトのパラメータを用いて計算したときに、配列番号:1、3、5、7、9または11のアミノ酸配列をコードするDNAと約80%以上、85%以上、88%以上、90%以上、92%以上、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.3%以上、99.5%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上の同一性を有するDNAをあげることができる。なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、前述した方法を用いて決定できる。
あるアミノ酸配列に対して、1もしくは複数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドは、部位特異的変異導入法(例えば、Gotoh, T. et al., Gene 152, 271-275 (1995)、Zoller, M.J., and Smith, M., Methods Enzymol. 100, 468-500 (1983)、Kramer, W. et al., Nucleic Acids Res. 12, 9441-9456 (1984)、Kramer W, and Fritz H.J., Methods. Enzymol. 154, 350-367 (1987)、Kunkel,T.A., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 82, 488-492 (1985)、Kunkel, Methods Enzymol. 85, 2763-2766 (1988)、など参照)、アンバー変異を利用する方法(例えば、Gapped duplex法、Nucleic Acids Res. 12, 9441-9456 (1984)、など参照)などを用いることにより得ることができる。
また目的の変異(欠失、付加、置換および/または挿入)を導入した配列をそれぞれの5’端に持つ1組のプライマーを用いたPCR(例えば、Ho S. N. et al., Gene 77, 51 (1989)、など参照)によっても、ポリヌクレオチドに変異を導入することができる。
また欠失変異体の一種である蛋白質の部分断片をコードするポリヌクレオチドは、その蛋白質をコードするポリヌクレオチド中の作製したい部分断片をコードする領域の5’端の塩基配列と一致する配列を有するオリゴヌクレオチドおよび3’端の塩基配列と相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして用いて、その蛋白質をコードするポリヌクレオチドを鋳型にしたPCRを行うことにより取得できる。
本発明のポリヌクレオチドの具体例としては、例えば、配列番号:1のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするポリヌクレオチド、配列番号:3のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするポリヌクレオチド、配列番号:5のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするポリヌクレオチド、配列番号:7のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするポリヌクレオチド、配列番号:9のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするポリヌクレオチド、配列番号:11のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドなどがあげられる。
配列番号:1のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号:2に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドなどが挙げられる。配列番号:3に記載のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号:4に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドなどが挙げられる。配列番号:5に記載のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号:6に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドなどが挙げられる。配列番号:7に記載のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号:8に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドなどが挙げられる。配列番号:9に記載のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号:10に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドなどが挙げられる。配列番号:11に記載のアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドとしては、例えば、配列番号:12に記載の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドなどが挙げられる。
本発明のポリヌクレオチドは、精製のためのペプチド配列をコードするポリヌクレオチドおよび/または分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでいてもよい。精製のためのペプチド配列をコードするポリヌクレオチドとしては、当技術分野において用いられている精製のためのペプチド配列をコードする塩基配列を含有するポリヌクレオチドを使用することができる。精製のためのペプチド配列としては、前記したものなどが挙げられる。分泌シグナルペプチドをコードするポリヌクレオチドとしては、当記述分野において知られている分泌シグナルペプチドをコードする核酸配列を含有するポリヌクレオチドを使用することができる。分泌シグナルペプチドとしては、前記したものなどが挙げられる。
3.本発明の組換えベクターおよび形質転換体
さらに、本発明は、上述した本発明のポリヌクレオチドを含有する組換えベクターおよび形質転換体を提供する。
(1)組換えベクターの作製
本発明の組換えベクターは、適当なベクターに本発明のポリヌクレオチド(DNA)を連結(挿入)することにより得ることができる。より具体的には、精製されたポリヌクレオチド(DNA)を適当な制限酵素で切断し、適当なベクターの制限酵素部位またはマルチクローニングサイトに挿入して、ベクターに連結することにより得ることができる。本発明のポリヌクレオチドを挿入するためのベクターは、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えば、プラスミド、バクテリオファージ、動物ウイルス等が挙げられる。プラスミドとしては、例えば、大腸菌由来のプラスミド(例えばpBR322, pBR325, pUC118, pUC119等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110, pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13, YEp24, YCp50等)などがあげられる。バクテリオファージとしては、例えば、λファージなどがあげられる。動物ウイルスとしては、例えば、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、昆虫ウイルス(例えば、バキュロウイルスなど)などがあげられる。
本発明のポリヌクレオチドは、通常、適当なベクター中のプロモーターの下流に、発現可能なように連結される。用いられるプロモーターとしては、形質転換する際の宿主が動物細胞である場合には、SV40由来のプロモーター、レトロウイルスのプロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒートショックプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、SRαプロモーターなどが好ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、Trpプロモーター、T7プロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーターなどが好ましい。宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなどが好ましい。宿主が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADH1プロモーター、GALプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。
本発明の組換えベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、リボソーム結合配列(SD配列)、選択マーカーなどを含有しているものを用いることができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子などがあげられる。
(2)形質転換体の作成
このようにして得られた、本発明のポリヌクレオチド(すなわち、本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチド)を含有する組換えベクターを、適当な宿主中に導入することによって、形質転換体を作成することができる。宿主としては、本発明のポリヌクレオチド(DNA)を発現できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、シュードモナス属菌、リゾビウム属菌、酵母、動物細胞または昆虫細胞などがあげられる。エシェリヒア属菌としては、例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)などがあげられる。バチルス属菌としては、例えば、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などがあげられる。シュードモナス属菌としては、例えば、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)などがあげられる。リゾビウム属菌としては、例えば、リゾビウム・メリロティ(Rhizobium meliloti)などがあげられる。酵母としては、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などがあげられる。動物細胞としては、例えば、COS細胞、CHO細胞などがあげられる。昆虫細胞としては、例えば、Sf9、Sf21などがあげられる。
組換えベクターの宿主への導入方法およびこれによる形質転換方法は、一般的な各種方法によって行うことができる。組換えベクターの宿主細胞への導入方法としては、例えば、例えばリン酸カルシウム法(Virology, 52, 456-457 (1973))、リポフェクション法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84, 7413 (1987))、エレクトロポレーション法(EMBO J., 1, 841-845 (1982))などがあげられる。エシェリヒア属菌の形質転換方法としては、例えば、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69, 2110 (1972)、Gene, 17, 107 (1982)などに記載の方法などがあげられる。バチルス属菌の形質転換方法としては、例えば、Molecular & General Genetics,168, 111 (1979)に記載の方法などがあげられる。酵母の形質転換方法としては、例えば、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,75,1929 (1978)に記載の方法などがあげられる。動物細胞の形質転換方法としては、例えば、Virology,52, 456 (1973)に記載の方法などがあげられる。昆虫細胞の形質転換方法としては、例えば、Bio/Technology, 6, 47-55 (1988)に記載の方法などがあげられる。このようにして、本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチド(本発明のポリヌクレオチド)を含有する組換えベクターで形質転換された形質転換体を得ることができる。
4.本発明の蛋白質の製造
また、本発明は、前記形質転換体を培養し、本発明の蛋白質を生成させる工程を含む、本発明の蛋白質の製造方法を提供する。本発明の蛋白質は、前記形質転換体を本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチド(DNA)が発現可能な条件下で培養し、本発明の蛋白質を生成・蓄積させ、分離・精製することによって製造することができる。
(形質転換体の培養)
本発明の形質転換体の培養は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行うことができる。該培養によって、形質転換体によって本発明の蛋白質が生成され、形質転換体内または培養液中などに本発明の蛋白質が蓄積される。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する培地としては、該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、グルコース、フラクトース、スクロース、デンプンなどの炭水化物、酢酸、プロピオン酸などの有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が用いられる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウムなどの無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩またはその他の含窒素化合物のほか、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカーなどが用いられる。無機塩類としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウムなどが用いられる。培養中は必要に応じてアンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物質を培地に添加してもよい。プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養する場合は、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、Lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養するときにはイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)などを、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した形質転換体を培養するときにはインドールアクリル酸(IAA)などを培地に添加してもよい。
宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行い、必要により、通気や撹拌を加える。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加える。
宿主が酵母である形質転換体を培養する培地としては、たとえばバークホールダー(Burkholder)最小培地(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77, 4505 (1980))や0.5%(w/v)カザミノ酸を含有するSD培地(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 5330 (1984))があげられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する培地としては、たとえば約5〜20%(v/v)の胎児牛血清を含むMEM培地(Science, 122, 501 (1952)),DMEM培地(Virology, 8, 396 (1959))などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜60時間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞である形質転換体を培養する培地としては、Grace's Insect Medium(Nature,195,788(1962))に非働化した10%(v/v)ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行い、必要に応じて通気や撹拌を加える。
(本発明の蛋白質の分離・精製)
上記培養物から、本発明の蛋白質を分離・精製することによって、本発明の蛋白質を得ることができる。ここで、培養物とは、培養液、培養菌体もしくは培養細胞、または培養菌体もしくは培養細胞の破砕物のいずれをも意味する。本発明の蛋白質の分離・精製は、通常の方法に従って行うことができる。
具体的には、本発明の蛋白質が培養菌体内もしくは培養細胞内に蓄積される場合には、培養後、通常の方法(例えば、超音波、リゾチーム、凍結融解など)で菌体もしくは細胞を破砕した後、通常の方法(例えば、遠心分離、ろ過など)により本発明の蛋白質の粗抽出液を得ることができる。本発明の蛋白質がペリプラズムスペース中に蓄積される場合には、培養終了後、通常の方法(例えば浸透圧ショック法など)により目的蛋白質を含む抽出液を得ることができる。本発明の蛋白質が培養液中に蓄積される場合には、培養終了後、通常の方法(例えば、遠心分離、ろ過など)により菌体もしくは細胞と培養上清とを分離することにより、本発明の蛋白質を含む培養上清を得ることができる。
このようにして得られた抽出液もしくは培養上清中に含まれる本発明の蛋白質の精製は、通常の分離・精製方法に従って行うことができる。分離・精製方法としては、例えば、硫酸アンモニウム沈殿、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、透析法、限外ろ過法などを単独で、または適宜組み合わせて用いることができる。本発明の蛋白質が上述した精製のためのペプチド配列を含有する場合、これを用いて精製するのが好ましい。具体的には、本発明の蛋白質がヒスチジンタグ配列を含有する場合にはニッケルキレートアフィニティークロマト法、S−トランスフェラーゼのグルタチオンへの結合ドメインを含有する場合にはグルタチオン結合ゲルによるアフィニティークロマト法、プロテインAのアミノ酸の配列を含有する場合には抗体アフィニティークロマト法を用いることができる。
精製した本発明のアポ蛋白質を、還元剤(たとえばメルカプトエタノール、ジチオスレイトールなど)および酸素の存在下、発光基質であるセレンテラジンもしくはその誘導体と低温でインキュベーションすることにより、カルシウムイオン濃度依存的に発光する本発明のホロ蛋白質(発光蛋白質)を調製することができる。
5.本発明の蛋白質などの利用
(カルシウムイオンの検出または定量)
上述したように、本発明の蛋白質(アポ蛋白質)は、セレンテラジンもしくはその誘導体と分子状酸素より生成するセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと非共有的な結合を形成することによって生成可能な蛋白質であって、且つカルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質(発光蛋白質)を形成することができる。よって、本発明の蛋白質および本発明のホロ蛋白質は、カルシウムイオンの検出または定量に使用することができる。
本発明の蛋白質をカルシウムイオンの検出または定量に使用する場合には、本発明の蛋白質(アポ蛋白質)とセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドとからなるホロ蛋白質を使用する。前記ホロ蛋白質は、前述した方法に従って製造することができる。カルシウムイオンの検出または定量は、検体溶液を直接ホロ蛋白質溶液に添加し、発生する発光を測定することにより行うことができる。あるいは、検体溶液にホロ蛋白質溶液を添加し、発生する発光を測定することにより、カルシウムイオンを検出または定量することもできる。また、前記ホロ蛋白質は、カルシウムイオンの検出または定量を行う測定系に添加する前に、予め本発明の蛋白質(アポ蛋白質)水溶液とセレンテラジンまたはその誘導体(例えば、h-セレンテラジン、e-セレンテラジン、cl-セレンテラジン、ch-セレンテラジン、hcp-セレンテラジンなど)とを接触させて生成させたものを用いてもよい。また、測定系中で、本発明の蛋白質(アポ蛋白質)とセレンテラジンまたはその誘導体)とを接触させることにより、本発明の蛋白質とセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドとからなるホロ蛋白質を生成させてもよい。生成したホロ蛋白質は、本発明の蛋白質(アポ蛋白質)とセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドとの複合体(発光蛋白質)であり、前記複合体(すなわち本発明のホロ蛋白質)はカルシウムイオン濃度依存的に発光する。従って、本発明の蛋白質(アポ蛋白質)または本発明のホロ蛋白質は、カルシウムイオンの検出に使用することができる。カルシウムイオンの検出は、具体的には、前述の通り、検体溶液を直接ホロ蛋白質溶液に添加し、発生する発光を測定することにより行うことができる。あるいは、検体溶液にホロ蛋白質溶液を添加し、発生する発光を測定することによりカルシウムイオンを検出することもできる。
カルシウムイオンの検出または定量は、カルシウムイオンによる本発明のホロ蛋白質の発光を、発光測定装置を用いて測定することにより行うことができる。発光測定装置としては、市販されている装置、例えば、Centro LB 960(ベルトールド社製)などを使用することができる。カルシウムイオン濃度の定量は、ホロ蛋白質を用いて、既知のカルシウムイオン濃度に対する発光標準曲線を作成することにより、測定可能である。
本発明の蛋白質は、本発明の蛋白質とセレンテラジンのペルオキシドまたはセレンテラジン誘導体のペルオキシドとからなるホロ蛋白質を作製し、前記ホロ蛋白質をマイクロインジェクション法などの手法により細胞内に直接導入することによって、生理的条件下の細胞内カルシウムイオン濃度変化の検出に利用することもできる。
本発明の蛋白質は、マイクロインジェクション法などの手法により細胞内に導入する以外に、アポ蛋白質遺伝子(本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチド)を細胞内で発現させることによって、細胞内で生成させてもよい。さらに、生成した本発明の蛋白質(アポ蛋白質)に細胞外よりセレンテラジンまたはその誘導体を付与することにより、ホロ蛋白質を生成させてもよい。
このようにして細胞内に導入した、または細胞内で生成した本発明のホロ蛋白質を用いて、外部刺激(たとえば、レセプターに関与する薬剤による刺激等)に対する細胞内のカルシウムイオン濃度の変化を測定することもできる。
(レポーター蛋白質としての利用)
本発明の蛋白質は、レポーター蛋白質としてプロモーターなどの転写活性の測定に利用することもできる。本発明の蛋白質をコードするポリヌクレオチド(すなわち、本発明のポリヌクレオチド)を、目的のプロモーターまたは他の発現制御配列(例えば、エンハンサーなど)に融合したベクターを構築する。前記ベクターを宿主細胞に導入し、本発明の蛋白質に由来する発光(すなわち、本発明のホロ蛋白質の発光)を検出することにより、目的のプロモーターまたは他の発現制御配列の活性を測定することができる。
本発明のポリヌクレオチドは、上述のようにして、レポーター遺伝子として利用することができる。
(発光による検出マーカーとしての利用)
本発明の蛋白質は、発光による検出マーカーとして利用することができる。本発明の検出マーカーは、例えば、イムノアッセイまたはハイブリダイゼーションアッセイなどにおける目的物質の検出に利用することができる。本発明のホロ蛋白質を化学修飾法など通常用いられる方法により目的蛋白質あるいは目的核酸と結合させて使用することができる。このような検出マーカーを用いた検出方法は、通常の方法によって行うことができる。また、本発明の検出マーカーは、例えば、目的蛋白質との融合蛋白質として発現させ、マイクロインジェクション法などの手法により細胞内に導入することによって、前記目的蛋白質の分布を測定するために利用することもできる。このような目的タンパク質などの分布の測定は、発光イメージング等の検出法などを利用して行うこともできる。なお、本発明の蛋白質は、マイクロインジェクション法などの手法により細胞内に導入する以外に、細胞内で発現させて用いることもできる。
(アミューズメント用品の材料)
本発明の蛋白質とセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドとからなる複合体(本発明のホロ蛋白質)は、微量のカルシウムイオンと結合するだけで発光する。前記複合体(本発明のホロ蛋白質)の発光は既知の発光蛋白質の5倍以上の発光強度を示す。よって、本発明の蛋白質、本発明のホロ蛋白質などは、アミューズメント用品の材料の発光基材として好適に使用することができる。アミューズメント用品としては、たとえば、発光シャボン玉、発光アイス、発光飴、発光絵の具等があげられる。本発明のアミューズメント用品は、通常の方法によって製造することができる。
6.本発明のキット
本発明は、本発明の蛋白質、本発明のホロ蛋白質、本発明のポリヌクレオチド、本発明の組換えベクターおよび本発明の形質転換体から選択されるいずれかを含むキットも提供する。本発明のキットには、さらにセレンテラジンもしくはその誘導体を含んでいてもよい。本発明のキットは、通常用いられる材料および方法で製造することができる。本発明のキットは、例えば、サンプルチューブ、プレート、キット使用者に対する指示書、溶液、バッファー、試薬、標準化のために好適なサンプルまたは対照サンプルを含んでもよい。
本発明のキットは、上述したカルシウムイオンの検出または定量、レポーター蛋白質もしくはレポーター遺伝子を用いた測定、蛍光マーカーなどに利用することができる。
発明を実施するための最良の形態及び実施例に特に説明がない場合には、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.などの標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いる。また、市販の試薬キットや測定装置を用いる場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコールを用いる。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を実施できる。発明を実施するための最良の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図ならびに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々に修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
本明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
[配列番号:1]実施例5で作製したアポCL-II蛋白質発現ベクターpiP-H-CLIIに挿入された、アポCL-IIをコードするDNAにコードされているアポCL-II蛋白質のアミノ酸配列を示す。このアミノ酸配列は、配列番号:3の4-189番目のアミノ酸配列、または配列番号:5の38-223番目のアミノ酸配列に相当する。
[配列番号:2]実施例5で作製したアポCL-II蛋白質発現ベクターpiP-H-CLIIに挿入された、アポCL-IIをコードするDNAの塩基配列を示す。この塩基配列は、配列番号:4の10-567番目の塩基配列、または配列番号:6の112-669番目の塩基配列に相当する。
[配列番号:3]実施例3で決定したCL-IIのグループのcDNAクローンpCL31の塩基配列から推定されるアミノ酸配列の35-223番目のアミノ酸配列を示す。このアミノ酸配列は、配列番号:5の35-223番目のアミノ酸配列に相当する。
[配列番号:4]配列番号:3で表される蛋白質をコードするDNAの塩基配列を示す。この塩基配列は、配列番号:6の103-669番目の塩基配列に相当する。
[配列番号:5]実施例3で決定したCL-IIのグループのcDNAクローンpCL31の塩基配列から推定されるアミノ酸配列を示す。
[配列番号:6]実施例3で決定したCL-IIのグループのcDNAクローンpCL31の塩基配列を示す。
[配列番号:7]実施例3で決定したCL-IIのグループのcDNAクローンpCL61Rの塩基配列から推定されるアミノ酸配列を示す。
[配列番号:8]実施例3で決定したCL-IIのグループのcDNAクローンpCL61Rの塩基配列を示す。
[配列番号:9]配列番号:7の47-235番目のアミノ酸配列を示す。
[配列番号:10]配列番号:8の139-705番目の塩基配列を示す。
[配列番号:11]配列番号:7の50-235番目のアミノ酸配列を示す。
[配列番号:12]配列番号:8の148-705番目の塩基配列を示す。
[配列番号:13]実施例3で決定したCL-IIのグループのcDNAクローンpCL21の塩基配列から推定されるアミノ酸配列を示す。
[配列番号:14]実施例3で決定したCL-IIのグループのcDNAクローンpCL21の塩基配列を示す。
[配列番号:15]実施例3で決定したCL-IのグループのcDNAクローンpCL11の塩基配列から推定されるアミノ酸配列を示す。
[配列番号:16]実施例3で決定したCL-IのグループのcDNAクローンpCL11の塩基配列を示す。
[配列番号:17]実施例3で決定したCL-IのグループのcDNAクローンpCL41の塩基配列から推定されるアミノ酸配列を示す。
[配列番号:18]実施例3で決定したCL-IのグループのcDNAクローンpCL41の塩基配列を示す。
[配列番号:19]実施例3で決定したCL-IのグループのcDNAクローンpCL51Rの塩基配列から推定されるアミノ酸配列を示す。
[配列番号:20]実施例3で決定したCL-IのグループのcDNAクローンpCL51Rの塩基配列を示す。
[配列番号:21]実施例3で決定したCL-IのグループのcDNAクローンpCL81の塩基配列から推定されるアミノ酸配列を示す。
[配列番号:22]実施例3で決定したCL-IのグループのcDNAクローンpCL81の塩基配列を示す。
[配列番号:23]実施例5で作製したアポCL-II蛋白質発現ベクターpiP-H-CLIIにコードされている蛋白質のアミノ酸配列を示す。この配列は、配列番号:1のアミノ酸配列を有する蛋白質のN末端に、OmpAシグナルペプチド、ヒスチジンタグおよび発現ベクターpiP-H-CLIIのマルチクローニングサイトの塩基配列に由来するペプチドが結合した蛋白質のアミノ酸配列に相当する。
[配列番号:24]実施例5で作製したアポCL-II蛋白質発現ベクターpiP-H-CLIIにおける蛋白質をコードする塩基配列を示す。
[配列番号:25]参考例1で作製したアポCL-I蛋白質発現ベクターpiP-H-CLIに挿入された、アポCL-IをコードするDNAにコードされているアポCL-I蛋白質のアミノ酸配列を示す。このアミノ酸配列は、配列番号:17の26-214番目のアミノ酸配列に相当する。
[配列番号:26]参考例1で作製したアポCL-I蛋白質発現ベクターpiP-H-CLIに挿入された、アポCL-IをコードするDNAの塩基配列を示す。
[配列番号:27]参考例1で作製したアポCL-I蛋白質発現ベクターpiP-H-CLIにコードされている蛋白質のアミノ酸配列を示す。この配列は、配列番号:25のアミノ酸配列を有する蛋白質のN末端に、OmpAシグナルペプチド、ヒスチジンタグおよび発現ベクターpiP-H-CLIのマルチクローニングサイトの塩基配列に由来するペプチドが結合した蛋白質のアミノ酸配列に相当する。
[配列番号:28]参考例1で作製したアポCL-I蛋白質発現ベクターpiP-H-CLIにおける蛋白質をコードする塩基配列を示す。
[配列番号:29]配列番号:5の1-34番目のアミノ酸配列を示す。
[配列番号:30]配列番号:6の1-102番目の塩基配列を示す。
[配列番号:31]配列番号:7の1-46番目のアミノ酸配列を示す。
[配列番号:32]配列番号:8の1-138番目の塩基配列を示す。
[配列番号:33]実施例4で用いた6個のヒスチジン配列をコードするオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
[配列番号:34]実施例4で用いた6個のヒスチジン配列をコードするオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
[配列番号:35]実施例5で用いたプライマーの塩基配列を示す。
[配列番号:36]実施例5で用いたプライマーの塩基配列を示す。
[配列番号:37]参考例1で用いたプライマーの塩基配列を示す。
[配列番号:38]参考例1で用いたプライマーの塩基配列を示す。
以下に実施例により本発明を説明するが、実施例は本発明を制限するものではない。
実施例1 遺伝子クローニング方法
発光クラゲClytia gregariumのcDNAの単離は、発明者らの報告文献(Inouye, S. and Tsuji, F.I. (1993) FEBS Lett. 315, 343-346)に従い行った。すなわち、発光クラゲClytia gregariumよりグアニジンイソチアネート法により全RNAを抽出し、オリゴdTゲルによるポリA+の精製を行い、逆転写酵素によりcDNAを作成した。得られたcDNAをファージベクターに挿入した後、インビトロパッケージング法によりcDNAライブラリーを作成した。cDNAライブラリーからのクライチィンcDNAの単離は、イクオリンのcDNAクローン pAQ440(Inouye et al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3154-3158)のHIndIII-BamHIフラグメントをプローブとして、上記記載の報告文献に従い、プラークハイブリダイゼーション法を用いたスクリーニングによって行った。
実施例2 cDNAクローンの単離
実施例1に従い、cDNAライブラリーより、7個のポジティブクローンを得た。EcoRI(E)、BamHI(B)、HindIII(H)、StyI(S)を用いて制限酵素地図を作成した。その結果、図1に示すように、2つのグループに分類できることが明らかとなった。それぞれのグループについてクライチィン−I (以下、CL-Iと称することもある)とクライチィン−II (以下、CL-IIと称することもある)と名称を付けた。CL-Iは、既にInouye, S. and Tsuji, F.I. (1993) FEBS Lett. 315, 343-346に報告されているグループに相当するものであった。
実施例3 塩基配列の決定および一次構造の決定
実施例1および2に従って得られたCL-I のグループのcDNAクローンpCL11、pCL41、pCL51R、pCL81および CL-II のグループのcDNAクローンpCL21、pCL31、pCL61Rの塩基配列を決定した。塩基配列より推定されるアミノ酸配列の比較の結果、図2に示すように、CL-IおよびCL-IIのアミノ酸配列は高い相同性を示したが、制限酵素地図に示されたように、2つのグループに分けることは妥当であることが明らかとなった。
CL-II(pCL31)のアミノ酸配列と、既に報告されているカルシウム結合発光蛋白質、クライチィン(CL-I, Clytin-I)、イクオリン(Aequorin)、マイトロコミン(Mitrocomin)、オベリン(Obelin)のアミノ酸配列との相同性を調べた。相同性の比較は、以下の表1に示す全てのカルシウム結合発光蛋白質について、NCBIのデーターベースより取得し、詳細に解析されている発光蛋白質イクオリンの活性領域である1−189残基のアミノ酸配列をもとに行った。
表1 相同性を比較した発光蛋白質のリスト
Figure 0005374840
その結果を表2に示した。CL-IIと最も相同性が高いのは、CL-Iであり、次いでオベリン、イクオリン、マイトロコミンの順であった。
表2 発光蛋白質の相同性の比較
Figure 0005374840
実施例4 基本ベクターpiP−H6−M(11)の構築
大腸菌を宿主として目的蛋白質を発現させた場合に、大腸菌のペリプラズムへの分泌が可能であり、かつアミノ末端に6個のヒスチジンを有する蛋白質を発現することのできる基本ベクター、piP-H6-M(11)、は以下の手順で構築した。
(piP−HEの作製)
出発となるベクターは、特許公開平1-132397号記載のアポイクオリン分泌発現ベクターpiP-HEを用いた。piP-HEは、具体的には、以下のようにして作製した。
(1)piQ8-HEの作製
高コピーのクローニングベクターpUC8のEcoRI-HindIII部分を、それぞれの制限酵素で消化後、その部分に特開昭61−135586号公報に記載の方法に従って得たcDNAクローンpAQ440より得られたイクオリンcDNAのEcoRI-HindIIIフラグメントを、サブクローニングを行うことによりpiQ8-HEを作製した。
(2)piP-HEの作製
piQ8-HEをScaI-HindIIIで消化後、その部分にpIN-III 113 ompA-1から切り出したリポプロテインのプロモーター(lpp)、lacオペレーターおよびompA遺伝子を含むScaI-HindIIIフラグメントを挿入し、piP-HEを作製した。
(piP(His6)HEの作製)
piP-HEより、カルボキシ末端側のEcoRI削除したpiP-HEΔ2Eを使用した。piP-HEΔ2EのHindIII-EcoRI サイトに、6個のヒスチジン配列をコードするオリゴヌクレオチド(Eco-His6-Hind Linker: 5' AAT-TCC-CAC-CAT-CAC-CAT-CAC-CAT-GGT 3'(配列番号:33)、および Eco-His6-Hind Linker: 5'-AG-CTT-ACC-ATG-GTG-ATG-GTG-GG 3'(配列番号:34))を挿入して、piP(His6)HE を作製した。
(piP−H6−M(11)の構築)
さらに、piP(His6)HEベクターのHindIII-BamHI サイトに、化学合成したマルチクローニングサイト(NcoI/ HindIII/ NdeI/ SacI/ KpnI/ XhoI/ BamHI/ EcoRI/ SalI/ PstI/ XbaI)をもつリンカー(オペロン社)を挿入し、piP-H6-M(11) を構築した。基本ベクターpiP-H6-M(11)は、大腸菌のリポプロテインのプロモーター、ラクトースのオペレーターに制御され、分泌のためのOmpA配列、キレートゲルによる精製のための6個のヒスチジン配列、種々のマルチクローニングサイト(EcoRI/ NcoI/ HindIII/ NdeI/ SacI/ KpnI/ XhoI/ BamHI/ EcoRI/SalI/ PstI/ XbaI/ BamHI)を有する(図3(a))。
実施例5 アポCL-II蛋白質発現ベクターの構築
実施例2で得たcDNAクローンpCL31よりCL-IIをコードする遺伝子DNA断片を、PCR法を用いて調製した。このDNA断片を、実施例4で得た発現ベクターpiP-H-M(11)の制限酵素SacI/XhoI部位に挿入することによって、CL-II蛋白質発現ベクターを作製した。具体的には、pCL31を鋳型としてPCRプライマーペア:CLII-N-EL-SacI(5' ggcGAGCTCGATCCTGATTTTGCAAAT 3')(配列番号:35)及びCLI-C-XhoI(5' cggCTCGAGTTAACCAACAAAATTGCCGTA 3')(配列番号:36)を用いて、PCRキット(日本ジーン社製)にてPCR(サイクル条件:25サイクル;1分/94℃、1分/50℃、1分/72℃)を行った。得られた断片をPCR精製キット(キアゲン社製)で精製し、制限酵素SacI/XhoIで消化した後、piP-H-M(11)の制限酵素SacI/XhoI部位に挿入することによって、発現ベクターpiP-H-CLIIを構築した(図3(b))。なお、DNA シークエンサー(ABI社製)により塩基配列を決定することにより、インサートDNAの確認を行った。
実施例6 CL-IIの精製
(1)組換えアポCL-IIの大腸菌での発現
大腸菌において組換えCL-IIを発現させるために、実施例5で得たCL-II遺伝子発現ベクター piP-H-CL-IIを用いた。常法により大腸菌WA802株に導入し、得られた形質転換株を25℃で一晩培養後、アンピシリン(50μg/ml)を含有する10mlのLB液体培地(水1リットルあたり、バクトトリプトン10g、イーストイクストラクト5g、塩化ナトリウム5g、pH7.2)に植菌し、さらに37℃で18時間培養を行った。次いで、その培養物を新たなLB液体培地400ml×5本(総量2リットル)に添加して、37℃で18時間)培養を行った。培養後、菌体を遠心回収(5,000rpm、5分)し、CL-IIの抽出出発材料とした。
(2)培養菌体からのapoCL-IIの抽出および精製
集菌した培養菌体を200mlの50mM Tris-HCl (pH7.6)で懸濁し、氷冷下で超音波破砕処理(ブランソン社製、Sonifier model cycle 250)を2分間、3回行い、その菌体破砕液を10,000rpm(12,300×g)で4 ℃、20分間遠心した。得られた可溶性画分を、ニッケルキレートカラム(アマシャムバイオサイエンス社、カラムサイズ:直径1.5×5cm)に供し、アポCL-IIを吸着させた。50mlの50mM Tris-HCl (pH7.6)で洗浄後、0.3Mイミダゾール(和光純薬工業社製)によりアポCL-IIを溶出した。
(3)アポCL-IIからCL-II発光蛋白質への再生
ニッケルキレートカラムから得られたアポCL-IIを、還元剤であるジチオスレイトール(DTT、和光純薬社製)100mgを含む200mlの50mM Tris-HCl、10mM EDTA、pH7.6の緩衝液中に懸濁し、化学合成したセレンテラジンを少量のメタノールに溶解し、(2)で溶出したアポCL-IIの1.2倍のモル濃度になるように添加した。4℃で5時間以上放置することによりCL-II発光蛋白質を形成させた。
(4)Q-セファロースゲルを用いたイオン交換クロマト法による精製
このCL-IIおよびアポCL-IIを含む溶液を直に、20mM Tris-HCl、10mM EDTA、pH7.6の緩衝液で平衡化したQ-セファロースカラム(アマシャムバイオサイエンス社、カラムサイズ:直径2.5×6cm)に添加してCL-IIを吸着させ、カラムから流出する洗浄液の280nmでの吸光度が0.05以下になるまで20mM Tris-HCl(pH7.6)、10mM EDTAでカラムを洗浄した。そして、カラムに吸着したCL-IIとアポCL-II画分を0.15M NaClで溶出させた。
(5)ブチルセファロース4ファーストフローゲルによるCL-IIの精製
セレンテラジンと複合体を形成したCL-IIと複合体を形成しなかったapo
CL-IIの分離は、疎水性クロマトグラフィーであるブチルセファロース4ファーストフローゲルを用いて行った。すなわち、Q-セファロースカラムからの溶出した活性画分を、硫酸アンモニウムの最終濃度が2Mになるように調整した。次いで、不溶画分を遠心分離によって除去し、上澄み液を回収した。その上澄み液を、2M-硫酸アンモニウムを含有する20mM Tris-HCl、10mM EDTA、pH7.6で平衡したブチルセファロース4ファーストフローカラム(ファルマシア社、カラムサイズ:直径2cm×8cm)に通し、硫酸アンモニウム濃度1Mで溶出し、発光活性を有するオレンジ色のCL-II画分を回収した。一方、アポCL-IIは、20mM Tris-HCl、10mM EDTA、pH7.6でのみ溶出した。蛋白量は、Bradford法にもとづく市販のキット(バイオラッド社製)を用い、ウシ血清アルブミン(ピアス社製)を標準物質として求めた蛋白質濃度を用いて決定した。
それぞれの精製過程画分について、還元状態で12%(w/v)ポリアクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGEによる分析を行った。図4に示すように、12%(w/v) SDS-PAGEの結果から、最終精製画分は分子量25kDa、純度95%以上であることが明らかとなった。表3に示すように、2リットルの培養菌体から、活性回収率21.5%、収量13mgで精製CL-IIを取得した。
なお、CL-IIの精製の過程での発光測定は、以下のようにして行った。測定に用いる反応溶液1ml に、50mM Tris-HCl(pH7.6)、2-メルカプトエタノール(1μl)、エタノールに溶解した発光基質セレンテラジン(1μg/μl)を混合した後、アポCL-IIを添加し、氷上(4℃)で2時間反応を行った。再生したCL-II発光蛋白質溶液1μlへ、50mMカルシウム溶液を100μl加えることにより発光反応を開始させた。発光測定装置TD-4000 (ラボサイエンス社製)を用いて発光活性を測定し、最大値(Imax)により評価した。
表3 CL-IIの精製収率
Figure 0005374840
参考例1 アポCL-I蛋白質発現ベクターの構築
実施例2で得たcDNAクローンpCL41よりCL-Iをコードする遺伝子DNA断片を、PCR法を用いて調製した。このDNA断片を、実施例4で得た発現ベクターpiP-H-M(11)の制限酵素SacI/XhoI部位に挿入することによって、CL-I蛋白質発現ベクターを作製した。具体的には、pCL41(Inouye,S, and Tsuji,F.I.(1993)FEBS Lett.315:343-346)を鋳型としてPCRプライマーペア:CLI-N-EL-SacI(5' ggcGAGCTCAGACCCAACTTCGACAAC 3')(配列番号:37)及びCLI-C-XhoI(5' cggCTCGAGTTAACCAACAAAATTGCCGTA 3')(配列番号:38)を用いて、PCRキット(日本ジーン社製)にてPCR(サイクル条件:25サイクル;1分/94℃、1分/50℃、1分/72℃)を行った。得られた断片をPCR精製キット(キアゲン社製)で精製し、制限酵素SacI/XhoIで消化した後、piP-H-M(11)の制限酵素SacI/XhoI部位に挿入することによって、発現ベクターpiP-H-CLIを構築した(図3(b))。なお、DNA シークエンサー(ABI社製)により塩基配列を決定することにより、インサートDNAの確認を行った。
参考例2 CL-Iの精製
(1)組換えアポCL-Iの大腸菌での発現
大腸菌において組換えCL-Iを発現させるために、参考例1で得たCL-I遺伝子発現ベクター piP-H-CL-Iを用いた。常法により大腸菌WA802株に導入し、得られた形質転換株を25℃で一晩培養後、アンピシリン(50μg/ml)を含有する10mlのLB液体培地(水1リットルあたり、バクトトリプトン10g、イーストイクストラクト5g、塩化ナトリウム5g、pH7.2)に植菌し、さらに37℃で18時間培養を行った。次いで、その培養物を新たなLB液体培地400ml×5本(総量2リットル)に添加して、37℃で18時間)培養を行った。培養後、菌体を遠心回収(5,000rpm、5分)し、CL-Iの抽出出発材料とした。
(2)培養菌体からのアポCL-Iの抽出および精製
集菌した培養菌体を200mlの50mM Tris-HCl (pH7.6)で懸濁し、氷冷下で超音波破砕処理(ブランソン社製、Sonifier model cycle 250)を2分間、3回行い、その菌体破砕液を10,000rpm(12,300×g)で4 ℃、20分間遠心した。得られた可溶性画分を、ニッケルキレートカラム(アマシャムバイオサイエンス社、カラムサイズ:直径1.5×5cm)に供しアポCL-Iを吸着させた。 50mlの50mM Tris-HCl (pH7.6)で洗浄後、0.3Mイミダゾール(和光純薬工業社製)によりアポCL-Iを溶出した。
(3)アポCL-IからCL-I発光蛋白質への再生
ニッケルキレートカラムから得られたアポCL-Iを、還元剤であるジチオスレイトール(DTT、和光純薬社製)100mgを含む200mlの50mM Tris-HCl、10mM EDTA、pH7.6の緩衝液中に懸濁し、化学合成したセレンテラジンを少量のメタノールに溶解し、(2)で溶出したアポCL-Iの1.2倍のモル濃度になるように添加した。4℃で5時間以上放置することによりCL-I発光蛋白質を形成させた。
(4)Q-セファロースゲルを用いたイオン交換クロマト法による精製
このCL-IおよびアポCL-Iを含む溶液を直に、20mM Tris-HCl、10mM EDTA、pH7.6の緩衝液で平衡化したQ-セファロースカラム(アマシャムバイオサイエンス社、カラムサイズ:直径2.5×6cm)に添加してCL-Iを吸着させ、カラムから流出する洗浄液の280nmでの吸光度が0.05以下になるまで20mM Tris-HCl(pH7.6)、10mM EDTAでカラムを洗浄した。そして、カラムに吸着したCL-IとアポCL-I画分を0.15M NaClで溶出させた。
(5)ブチルセファロース4ファーストフローゲルによるCL-Iの精製
セレンテラジンと複合体を形成したCL-Iと複合体を形成しなかったアポCL-Iの分離は、疎水性クロマトグラフィーであるブチルセファロース4ファーストフローゲルを用いて行った。すなわち、Q-セファロースカラムからの溶出した活性画分を、硫酸アンモニウムの最終濃度が2Mになるように調整した。次いで、不溶画分を遠心分離によって除去し、上澄み液を回収した。その上澄み液を、2M-硫酸アンモニウムを含有する20mM Tris-HCl、10mM EDTA、pH7.6で平衡したブチルセファロース4ファーストフローカラム(ファルマシア社、カラムサイズ:直径2cm×8cm)に通し、硫酸アンモニウム濃度1Mで溶出し、発光活性を有するオレンジ色のCL-I画分を回収した。一方、アポCL-Iは、20mM Tris-HCl、10mM EDTA、pH7.6でのみ溶出した。蛋白量は、Bradford法にもとづく市販のキット(バイオラッド社製)を用い、ウシ血清アルブミン(ピアス社製)を標準物質として求めた蛋白質濃度を用いて決定した
それぞれの精製過程画分について、還元状態で12%(w/v)ポリアクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGEによる分析を行った。図5に示すように、最終精製画分は分子量25kDa蛋白質に相当する単一バンドが検出され,純度95%以上であると明らかとなった。表4に示すように、2リットルの培養菌体から、活性回収率32.1%、収量20mgで精製CL-Iを取得した。
表4 CL-Iの精製収率
Figure 0005374840
参考例3 組換えイクオリンの調製法
組換えイクオリンは、特開平1−132397号公報に記載される大腸菌にて組換えアポイクオリン遺伝子を発現させ、セレンテラジンと結合させて組換えイクオリンへと再生した後、特開2001−270899号公報に記載されるように精製して取得した。得られた組換えアポイクオリンのN−末端は、Ala-Asn-Ser-より始まる191個のアミノ酸より構成されている。
参考例4 発光蛋白質オベリンの発現
アポオベリン発現ベクターpOPHO(Lux Biotechnology社製)を用いて、仕様書に従いアポオベリン発現後、他の発光蛋白質の再生と同様に、0.1%(v/v)還元剤2−メルカプトエタノー ル存在下、セレンテラジンと4℃でインキュベーションすることにより、オベリンを再生した。
試験例1 質量分析によるシグナルペプチドの切断の確認
実施例6および参考例2で調製したカルシウム結合発光蛋白質CL-II及びCL-Iを、Matrix assisted laser desorption time-of-flight mass spectrometory (MALDI-TOF-MS)法で、AutoFLEX (Buruker Daktonics社)により行った。分子量のスタンダードとして、アンジオテンシンI (m/z 1296.69)、インシュリン(m/z 5734.59)、アポミオグロビン(m/z 16952.60)、アポイクオリン(m/z 2163.20)を用いた。マトリックスはシナピン酸(インビトロジェン社製)を用いた。測定の結果、CL-IIについては23188±5、CL-Iについては23166±4 の測定値を得た。以上より、分泌の為のOmpAのシグナルペプチド配列は正確に切断されていることが明らかとなった。
試験例2 吸収/発光スペクトルの測定による分光学的解析
精製したカルシウム結合発光蛋白質の吸収スペクトルは、光路長10mmの石英セルにて、スペクトロフォトメーター(日本分光社製;V-560型)を用いて測定を行った。測定条件は、バンドパス1.0nm、レスポンス medium、スキャンスピード200nm/min、22〜25℃である。 発光スペクトルは、光路長10mmの石英セルにて、蛍光測定装置(日本分光社製、FP-6500)の励起光源をオフにして測定した。測定条件は、バンドパス:1.5nm、レスポンス:0.5sec、スキャンスピード:60nm/min、22〜25℃である。イクオリン(AQ)を対照とし、その結果を、表5に示した。
表5 イクオリン(AQ)、クライチィン−I (CL-I)およびクライチィン−II (CL-II)のスペクトル分析
Figure 0005374840
460 nmの吸収値は、セレンテラジンのペルオキシドによる吸収であり、発光蛋白質の濃度決定することが可能である。また、3種の発光蛋白質吸収スペクトルにおいて460 nm/280 nmの比が0.031〜0.032であることより、精製蛋白質の純度検定に使用可能であることが示された。
試験例3 イクオリン、CL-I、CL-II発光パターンの測定
発光パターン比較のための発光測定は、発光測定装置Centro LB 960 (ベルトールド社製)を用いて行った。発光蛋白質溶液1μlへ、50mMカルシウム溶液を100μl加えることにより発光反応を開始し、0.1秒間隔で発光を5秒間測定し、発光活性をプロットした。
イクオリン、CL-I、CL-IIの発光パターンを図6に示した。イクオリン、CL-I、CL-IIにおいて、CL-IIはS/N比において、明らかにイクオリン、CL-Iより優れていることが明らかとなった。さらに、460nmで、発光蛋白質量をノーマライズを行い、発光蛋白質量と最大発光強度(Imax)との相関関係を示したのが図7である。明らかに、同一蛋白量において、CL-IIの最大発光強度は、イクオリン、CL-Iより高い値を示した。また、蛋白質濃度依存的な直線性を示すことから、定量のプローブとして使用可能であることも確認した。
試験例4 イクオリン、CL-I、CL-IIの全発光量の比較
試験例3で測定したイクオリン、CL-I、CL-IIの5秒間の全発光量を、0.1秒毎の発光値を積算することにより求めた結果を、図8に示した。同一の蛋白量においては、カルシウム添加による発光蛋白質の全発光量は、ほぼ同一であった。この結果及び試験例3の結果から、CL-IIはイクオリンより、同一蛋白量において明らかに感度良く検出できることが明らかとなった。
試験例5 イクオリン、CL-I、CL-II、オベリンの発光の半減期
CL-I、CL-II、イクオリン、オベリンの発光における発光パターンにおいて、ノーマライズした発光パターン図を作成し(図9)、減衰時間の比較を行った。その半減期(Imaxの半分になる時間)および発光の上昇時間を表6に示した。発光の半減期が短いことは、反応がより瞬間におこり、S/N比が優れていることを示しており、CL-IIが最も優れていることが明らかとなった。
表6 イクオリン、CL-I、CL-II、オベリンの発光の半減期および上昇時間
Figure 0005374840
本発明の蛋白質は、本発明の蛋白質と発光基質であるセレンテラジンのペルオキシドとからなるホロ蛋白質を形成することができる。本発明のホロ蛋白質は、本発明の蛋白質と、セレンテラジンのペルオキシドとが複合体を形成した状態で存在する。前記複合体にカルシウムイオンが結合すると、瞬間的な発光を示す。この発光は、「蛋白質量あたりの最大発光強度(Imax)が強い(高い)」、「発光の減衰が早い」、「S/N比がよい」などの優れた特性を示す。よって、本発明の蛋白質、本発明のホロ蛋白質などは、カルシウムイオンの検出または測定に好適に利用することができる。また、本発明の蛋白質、本発明のホロ蛋白質などは、レポーター蛋白質としてプロモーターなどの転写活性の測定に利用することもできる。さらに、本発明の蛋白質、本発明のホロ蛋白質などは、検出マーカー、アミューズメント用品の材料などとして利用することもできる。
本発明のポリヌクレオチドは、上述した本発明の蛋白質をコードしているので、レポーター遺伝子として利用することができる。
また、本発明のポリヌクレオチド、本発明のベクター、本発明の形質転換体などは、本発明の蛋白質の製造に利用することができる。
図1は、発光クラゲClytia gregarium由来のCL-IおよびCL-IIの制限酵素地図による分類を示す図である。 図2は、CL-IのグループのcDNAクローンpCL11、pCL41、pCL51R、pCL81および CL-II のグループのcDNAクローンpCL21、pCL31、pCL61Rの塩基配列から推定されるアミノ酸配列の比較を示す図である。 図3は、本発明の組換えベクターを示す概略図である。図3(a)は、基本ベクターpiP-H6-M(11)を示す。図3(b)は、アポCL-II発現ベクターpiP-H-CLIIおよびアポCL-I発現ベクターpiP-H-CLIを示す。 図4は、アポCL-IIおよびCL-IIの精製過程におけるSDS−PAGE分析の結果を示す図である。各レーンの試料は次の通りである。レーン1:蛋白質分子量マーカー(テフコ社):β−ガラクトシダーゼ(116,000)、ホスホリパーゼB(97,400)、ウシ血清アルブミン(69,000)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(55,000)、乳酸デヒドロゲナーゼ(36,500)、炭酸脱水素酵素(29,000)、トリプシンインヒビター(20,100)、レーン2:組換えアポCL-IIを発現させた大腸菌の形質転換株の超音波破砕物を12,300gで遠心して得られた上清(蛋白質24μg)、レーン3:ニッケルキレートカラムからの溶出画分(蛋白質5.4μg)、レーン4:Q−セファロースカラムからの0.15M NaClによる溶出画分(蛋白質2.7μg)、レーン5:ブチルセファロース4ファーストフローカラムからの溶出画分(蛋白質1.45μg)。 図5は、アポCL-IおよびCL-Iの精製過程におけるSDS−PAGE分析の結果を示す図である。各レーンの試料は次の通りである。レーン1:蛋白質分子量マーカー(テフコ社)、レーン2:組換えアポCL-Iを発現させた大腸菌の形質転換株の超音波破砕物を12,300gで遠心して得られた上清(蛋白質29μg)、レーン3:ニッケルキレートカラムからの溶出画分(蛋白質6.6μg)、レーン4:Q−セファロースカラムからの0.15M NaClによる溶出画分(蛋白質5.4μg)、レーン5:ブチルセファロース4ファーストフローカラムからの溶出画分(蛋白質2.0μg)。 図6は、CL-I、CL-IIおよびイクオリンのカルシウム添加による発光パターンを示す図である。CLIはCL-I、CLIIはCL-II、AQはイクオリンを表す。 図7は、CL-I、CL-IIおよびイクオリンの蛋白質量と最大発光強度との相関関係を示す図である。CLIはCL-I、CLIIはCL-II、AQはイクオリンを表す。 図8は、CL-I、CL-IIおよびイクオリンの蛋白質量と全発光量との相関関係を示す図である。CLIはCL-I、CLIIはCL-II、AQはイクオリンを表す。 図9は、CL-I、CL-II、イクオリンおよびオベリンの発光における発光パターンにおいて、ノーマライズした発光パターンを示す図である。AQはイクオリン、Obはオベリンを表す。

Claims (14)

  1. 以下の(a)または(b)である蛋白質:
    (a)配列番号:1、3またはアミノ酸配列からなる蛋白質;
    (b)配列番号:1、3またはアミノ酸配列を含有し、かつセレンテラジンのペルオキシドもしくはセレンテラジン誘導体のペルオキシドと結合して、カルシウムイオンの作用によって発光するホロ蛋白質を形成することができる機能を有する蛋白質。
  2. さらに精製のためのペプチド配列および/または分泌シグナルペプチド配列を含有する、請求項1記載の蛋白質。
  3. 精製のためのペプチド配列がヒスチジンタグ配列である、請求項2に記載の蛋白質。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の蛋白質とセレンテラジンのペルオキシドまたはセレンテラジン誘導体のペルオキシドとからなるホロ蛋白質。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  6. 以下の(a)〜(c)のいずれかである請求項5記載のポリヌクレオチド:
    (a)配列番号:2、4または塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
    (b)配列番号:1、3またはアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;
    (c)配列番号:1、3、またはアミノ酸配列を含有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド。
  7. 請求項5または6に記載のポリヌクレオチドを含有する組換えベクター。
  8. 請求項7記載の組換えベクターが導入された形質転換体。
  9. 請求項8記載の形質転換体を培養し、請求項1〜3のいずれかに記載の蛋白質を生成させる工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の蛋白質の製造方法。
  10. 請求項1〜3のいずれかに記載の蛋白質または請求項4記載のホロ蛋白質を含む、カルシウムイオンの検出または定量のためのキット。
  11. 請求項5または6に記載のポリヌクレオチド、請求項7記載の組換えベクターまたは請求項8記載の形質転換体を含む、カルシウムイオンの検出もしくは定量、またはレポーター蛋白質もしくはレポーター遺伝子を用いた測定のためのキット。
  12. 請求項1〜3のいずれかに記載の蛋白質または請求項4記載のホロ蛋白質を使用してカルシウムイオンを検出または定量する方法。
  13. 請求項5または6に記載のポリヌクレオチドをレポーター遺伝子として、プロモーター制御に関与する配列の活性を測定する方法。
  14. 請求項5または6に記載のポリヌクレオチドを細胞内で発現させ、発光蛋白質を形成させるステップを含む、細胞内カルシウム濃度の変化を測定する方法。
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