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JP5371690B2 - 断片化抗体固定化担体及びその製造方法 - Google Patents

断片化抗体固定化担体及びその製造方法 Download PDF

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JP5371690B2 JP2009244485A JP2009244485A JP5371690B2 JP 5371690 B2 JP5371690 B2 JP 5371690B2 JP 2009244485 A JP2009244485 A JP 2009244485A JP 2009244485 A JP2009244485 A JP 2009244485A JP 5371690 B2 JP5371690 B2 JP 5371690B2
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Description

本発明は、断片化抗体固定化担体及びその製造方法に関する。
現在、臨床検査等で免疫反応など分子間相互作用を利用した測定が数多く行われているが、中でも煩雑な操作や標識物質を必要とせず、測定物質の結合量変化を高感度に検出することのできるいくつかの技術が使用されている。例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)測定技術、水晶発振子マイクロバランス(QCM)測定技術、金のコロイド粒子から超微粒子までの機能化表面を使用した測定技術である。これらの技術においては、いずれの場合も、測定対象である物質を固定化する表面が重要である。以下、表面プラズモン共鳴(SPR)を例にとって説明する。
一般に対象物質を測定するために使用される測定チップは、透明担体(例えば、ガラス)上に、蒸着された金属膜、対象物質を固定化できる官能基を有する薄膜を順に有し、官能基を介して金属表面に対象物質が固定化されている。そして、対象物質と検体物質間の特異的な結合反応を測定することによって、物質間の相互作用を分析する。
しかしながら、対象物質と検体物質の相互作用を補助する物質がある場合にのみ起こる対象物質と検体物質との相互作用は、上記の方法では直接検出することができない。このような対象物質と検体物質との相互作用を検出するには、補助する物質を検体物質もしくは対象物質に接触させるために、検体物質と補助物質とを同時に対象物質へ供給する必要があった。このため、補助物質が大量に要求されるだけでなく、補助物質の入手が困難な場合には、測定のためのコストにも影響を与える。
また、補助物質と検体物質と対象物質の3つの物質が同時に近接しなければならないために反応効率が悪くなるという問題もある。
更に上記の補助物質は、それ自身が対象物質と相互作用しないものだけでなく、対象物質と相互作用するものも含まれる。そのため、補助物質が対象物質間で相互作用する場合、正確な対象物質と検体物質間の相互作用を検出しにくくなるという問題もある。
これらの問題を解決するために例えば、非特許文献1には、IL−2リセプターのサブユニットの細胞外領域をコイルドコイル(ロイシンジッパー)で一体化したIL−2リセプター複合体の作製方法と固定化法が開示されている。また、この文献では、このような複合体は、サブユニットのみよりも高いアフィニティーを示すと記載されている。
しかし、この方法では、組換え技術によってリセプターにコイルドコイルの反応を起こさせるタグを導入しなければならず、目的とする融合物質の発現量が低くなるという問題がある。またコイルドコイルの反応場がリセプターと検体物質との結合活性阻害を起こすなどの問題があり、汎用性が低い。
ところで、1つの検体物質を捕捉するために複数の分子を用いる技術として、特許文献1、2、3にはモレキュラーインプリンティングという技術が開示されている。このモレキュラーインプリンティングでは、有機重合体を用いて標的分子を基板上に固定させた後に、標的分子を除去して、標的分子の分子形状構造を多孔体として残すことにより、人工の分子認識物質を調製する方法である。
しかしながら、モレキュラーインプリンティングは、重合を用いて抗体を担体へ固定しているため、抗原が抗体に辿り着くためには、架橋されたゲルマトリックス構造中に入り込まなければならない。このため、抗原が抗体と反応を起こすのには時間がかかり、物質が確実に認識されるのに非常に高濃度の抗原が必要となる。更に、抗原の洗浄除去性や、除去後に再度抗原を付与させたときの応答性が悪くなる傾向がある。
また、特許文献4には、抗体の認識部位であるFv領域の安定性が抗原との結合の有無によって変化する現象を利用し、VH領域ポリペプチドとVL領域ポリペプチドとのいずれか一方を固相に固定した抗原濃度測定方法が開示されている。
特許第3527239号公報 特許第4036961号公報 特開2006−137805号公報 特開平10−78436号公報
JOURNAL OF MOLECULAR RECOGNITION 1999, Vol.12, pp.316-321
このように、対象物質と検体物質と補助物質とが存在する場合のように、1種の検体物質と2種以上の物質との相互作用を安定した結合特性で精度よく検出することができる固定化担体に対する要請がある。また、バイオリアクター又はバイオセンサーに用いる際に、製造コストの観点から汎用性の高い製造法が望まれるという要請もある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、1種の検体物質と2種以上の物質との相互作用を安定した結合特性で精度よく検出することができ、また汎用性の高い断片化抗体固定化担体を提供することを目的とするものである。
本発明は以下の通りである。
<1> 担体と、少なくとも1セットの断片化抗体とを含み、各セットの断片化抗体が、1種の抗原を認識し、前記同じ抗原に結合可能な位置関係でそれぞれ独立に固定化されている少なくとも2種の独立した断片化抗体であって、前記少なくとも2種の独立した断片化抗体が、抗体分子のVH領域ポリペプチドと、抗体分子のVL領域ポリペプチドである断片化抗体固定化担体。
<2> 前記断片化抗体が、前記担体と結合するための官能基を表面に有する<1>に記載の断片化抗体固定化担体。
<3> 前記担体がポリマー層を有し、前記少なくとも2種の断片化抗体が該ポリマー層に固定化されている<1>又は<2>記載の断片化抗体固定化担体。
<4> 該ポリマー層の膜厚が1nm以上0.5mm以下である<3>に記載の断片化抗体固定化担体。
<5> 該ポリマー層が自己組織化膜を介して担体上に結合している<3>又は<4>に記載の断片化抗体固定化担体。
<6> 該自己組織化膜の膜厚が0.2nm以上10μm以下である<5>に記載の断片化抗体固定化担体。
<7> 前記ポリマー層が、前記断片化抗体を固定するための官能基を表面に有する<1>〜<6>のいずれかに記載の断片化抗体固定化担体。
<8> 前記断片化抗体と前記抗原との結合反応に基づくバイオリアクター又はバイオセンサーに用いられる固定化担体である<1>〜<>のいずれかに記載の断片化抗体固定化担体。
> 表面プラズモン共鳴分析用の固定化担体である<1>〜<>のいずれかに記載の断片化抗体固定化担体。
10> 1種の抗原を認識する独立した断片化抗体である抗体分子のVH領域ポリペプチド及び抗体分子のVL領域ポリペプチドと、当該抗原とを、抗原の個数とVH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドで構成される分子の結合価の比として0.1:1〜10:1となるように接触させて、前記VH領域ポリペプチドとVL領域ポリペプチドと前記抗原とが結合した複合体を形成する形成工程と、前記VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドを固定するための官能基を表面に有する担体に、前記複合体を接触させて前記VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドを介して固定化された前記複合体を表面に有する担体を得る固定化工程と、前記担体に固定化された前記複合体から前記抗原を除去して、前記抗原に結合可能な位置関係で前記担体上に前記VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドがそれぞれ固定化されている固定化担体を得る除去工程と、を含む断片化抗体固定化担体の製造方法。
<11> 前記VH領域ポリペプチド:VL領域ポリペプチド:抗原の混合比が、10:10:1から10:10:9である<10>に記載の断片化抗体固定化担体の製造方法。
<1前記担体が、前記断片化抗体を固定するための官能基を表面に有するポリマー層を有する<10>又は<11>記載の断片化抗体固定化担体の製造方法。
<1> 前記除去工程が、複合体中の各断片化抗体と抗原との結合力を低下させる条件下で行われる<10>〜<12>のいずれかに記載の断片化抗体固定化担体の製造方法。
本発明によれば、1種の検体物質と2種以上の物質との相互作用を安定した結合特性で精度よく検出することができ、また汎用性の高い断片化抗体固定化担体を提供することができる。
本発明の断片化抗体固定化担体の一例を説明する概念図であり、(A)は抗原不存在のときの固定化担体の概念図であり、(B)は抗原存在時の固定化担体の概念図である。 本発明の実施例にかかる発現ベクターの作成スキームである。
本発明の断片化抗体固定化担体は、担体と、少なくとも1セットの断片化抗体とを含み、各セットの断片化抗体が、1種の抗原を認識し、前記同じ抗原に結合可能な位置関係でそれぞれ独立に固定化されている少なくとも2種の独立した断片化抗体である。
すなわち、本発明の断片化抗体固定化担体は、担体と、1つの抗原を認識し、前記抗原に結合可能な位置関係で担体上に固定化されている少なくとも2つの異なった独立した断片化抗体とを含む、断片化抗体固定化担体である。例えば、本発明の断片化抗体固定化担体は、担体上に、1種の抗原を認識する少なくとも2種の独立した断片化抗体が、前記抗原に共に結合可能な位置関係でそれぞれ固定化されている断片化抗体固定化担体である。
より具体的には、例えば、断片化抗体固定化担体は、担体と、1つの抗原を認識し、1つの抗原物質(antigen-bearing entity)を形成する同じ抗原分子などに結合可能な位置関係で担体上に固定化されている2以上の異なった独立した断片化抗体からなる少なくとも1つ(例えば、2以上の)の断片化抗体セットとを含んでいてもよい。したがって、本発明の断片化抗体固定化担体は、同じ抗原物質もしくはそれぞれが異なった抗原物質に結合してもよい2以上の断片化抗体セットを含んでいてもよい。
ここで、独立した断片化抗体とは、お互いが、(例えばジスルフィド結合等により)結合していない断片化抗体を意味する。
本発明の断片化抗体固定化担体(以下、単に固定化担体と称する場合がある。)では、1種の抗原を認識する少なくとも2種の断片化抗体が、それぞれ独立に、抗原に共に結合可能な位置関係で担体上に固定化されているので、断片化抗体同士が互いに独立していると共に近接した位置で担体上に存在する。このような断片化抗体は単独で存在するときよりも協働して抗原を認識するときの方が高いアフィニティーを示すことができる。また、断片化抗体は、抗原に結合可能な位置関係で独立して固定化されており、各断片化抗体の一部で担体と結合しているため、抗原認識部位を備えた部分が抗原に対して結合可能な範囲で動く。このため、各断片化抗体は、抗原が存在するときには抗原に接近し、容易に協働して抗原に結合することができる。これにより、検体物質としての抗原が存在する場合には、2種の断片化抗体が高いアフィニティーで安定性よく抗原と結合することができる。
また、抗原を用いて断片化抗体を固定化するため、断片化抗体それぞれの抗原に対するアフィニティーが弱い場合でも、少なくとも2種の断片化抗体が担体上の近接位置に固定される。更に断片化抗体が独立しているため、個々の断片化抗体同士のアフィニティーが弱い場合には互いに相互作用せず、容易に独立して動くので、フレキシビリティーが重要となる触媒反応や、連続反応に適用することが可能となる。
以下、本発明について更に説明する。
(I)固定化担体
(1)担体
本発明の担体はガラス、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、インジウムスズ酸化物(ITO)等の金属酸化物、窒化ケイ素、窒化ガリウム、窒化アルミニウム、窒化インジウム等の金属窒化物、あるいは合成樹脂、具体的にはセファロース、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリメチル(メタ)クリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマーなどの材料に、官能基が付与されたものが望ましい。官能基は例えば、アミノ基、カルボキシル基、マレイミド基、アルデヒド基、スクシンイミド基、チオール基、ヒドラジン基、イソシアネ−ト基、エポキシ基、ビニルスルホン基、ビニル基、シアン基などを挙げることができる。
これらの官能基を付与する方法は、プラズマ処理、オゾン処理、酸・アルカリによるエッチング処理や自己組織化膜などを用いた公知の表面処理方法を採ることができるが、製造適性の観点から自己組織化膜を使用することが好ましい。
自己組織化膜の形成方法としては、(1−1)シランカップリング剤を使用する方法、(1−2)アルカンチオールを使用する方法、などが挙げられる。以下に、それぞれの方法について説明する。
(1−1)シランカップリング剤を使用する方法
シランカップリング剤を使用する方法では、上述した担体に、以下に記すシランカップリング剤を付与することで、シランカップリング剤による自己組織化膜が形成され、担体上に官能基を付与することができる。
本発明に使用可能なシランカップリング剤としては、一般式A−1(一般式A−1において、Xは官能基を示し、Lは直鎖、分岐鎖、環状鎖の炭素鎖を含むリンカー部位を示し、Rは水素、もしくは炭素数1〜6のアルキル基を示し、Yは加水分解性基を示す。また、m,nはそれぞれ0〜3の整数を示しm+n=3とする。)に示すケイ素含有化合物を利用することにより、担体−酸素−ケイ素−炭素といった共有結合を形成させることにより、担体表面に官能基を付与することができる。

ここで、加水分解性基(Y)とは、アルコキシ基、ハロゲン原子、アシロキシ基などが挙げられ、より具体的にはメトキシ基、エトキシ基、塩素などが挙げられる。シランカップリング剤として具体的には、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。シランカップリング剤の反応方法としては一般的な方法に従えばよく、例えば書籍、シランカップリング剤の効果と使用法(サイエンス&テクノロジー社)に記載の方法を利用することができる。
シランカップリング剤などが有する官能基(Xa)としては、後述のポリマーや錯体と結合すれば特に限定はされず、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、チオール基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、シアノ基、ヒドラジノ基、ヒドラジド基、ビニルスルホン基、ビニル基、マレイミド基など任意の官能基とその組み合わせやその誘導体を利用することができるが、中でも好ましい官能基(Xa)はアミノ基とエポキシ基である。
(1−2)アルカンチオールを使用する方法
アルカンチオールを使用する方法では、上述した担体表面上に、金属膜が配置され、その後、アルカンチオールが付与される。ここで、「担体表面上に配置される」とは、金属膜が担体表面上に直接接触するように配置されている場合のほか、金属膜が担体表面に直接接触することなく、他の層を介して配置されている場合をも含む意味である。金属膜を構成する金属としては、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用として考えた場合、表面プラズモン共鳴が生じ得るようなものであれば特に限定されない。好ましくは金、銀、銅、アルミニウム、白金等の自由電子金属が挙げられ、特に金が好ましい。それらの金属は単独又は組み合わせて使用することができる。また、上記担体への付着性を考慮して、担体と金属からなる層との間にはクロム等からなる介在層を設けてもよい。
金属膜の膜厚は任意であるが、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、0.1nm以上500nm以下であることが好ましく、特に1nm以上300nm以下であることが好ましい。500nmを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出することができない。クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚さは、0.1nm以上10nm以下であることが好ましい。
アルカンチオールを用いた金属膜の被覆法は、ハーバード大のWhitesides教授らにより精力的に展開されており、その詳細は例えばChemical Review,105,1103−1169(2005)に報告されている。金属として金を用いた場合、有機層形成化合物として一般式A−2(一般式A−2において、nは3から20の整数を示し、Xは官能基を示す)に示すアルカンチオールを用いることにより、Au−S結合とアルキル基同士のvan der Waals力に基づき、配向性を持つ単分子膜が自己組織的に形成される。自己組織化膜は、アルカンチオール誘導体の溶液中に金担体を浸漬するという極めて簡便な手法で作製される。具体的には、例えば、一般式A−2においてXがアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、チオール基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、エポキシ基、シアノ基、ヒドラジノ基、ヒドラジド基、ビニルスルホン基、ビニル基、マレイミド基である化合物を用いて自己組織化膜を形成させることで、担体表面に官能基を付与することが可能となる。

なお、上記一般式A−2において、アルキレン基の繰り返し数nは3〜16の整数がさらに好ましく、4〜8の整数が特に好ましい。また、アルキレン基部分は多重結合や窒素や酸素などのヘテロ元素で置換されていてもよい。アルカンチオール誘導体のアルキル基が短いと自己組織化膜を形成しにくく、アルキル基が長いと水溶性が低下し、ハンドリングが困難になる。
また、上記一般式A−2のアルカンチオールは、単独で、即ち1種類の官能基Xで自己組織化膜を形成することも可能であり、また、複数種のアルカンチオールと混合して自己組織化膜を形成することも可能である。
このような自己組織化膜の膜厚は任意であるが、例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサー用を考えた場合、0.2nm以上10μm以下であることが好ましく、1nm以上500nm以下であることがより好ましく、1nm以上300nm以下であることがさらに好ましい。10μm以下とすれば、非検体物質が膜内を拡散しやすくでき、0.2nm以上とすれば、固定目的物質の固定量を多くすることができる。
また、本発明では、上述した自己組織化膜に断片化抗体を直接固定することも可能であるが、断片化抗体の抗原結合率向上の観点から、自己組織化膜を形成した上にポリマー層を形成して、担体表面に断片化抗体を固定するための官能基を付与することが好ましい。本発明で用いることができるポリマーとしては、親水性ポリマーを好ましく使用することができ、具体的にはゼラチン、アガロース、キトサン、デキストラン、カラゲナン、アルギン酸、澱粉、セルロース、又はこれらの誘導体、例えばカルボキシメチル誘導体、又は水膨潤性有機ポリマー、例えばポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール又はこれらの誘導体などを挙げることができる。
本発明で用いる親水性ポリマーとしてはさらに、カルボキシル基含有合成ポリマーおよびカルボキシル基含有多糖類を用いることが好ましい。カルボキシル基含有合成ポリマーとしては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、およびこれらの共重合体、例えば特開昭59−53836号明細書第3頁右上欄第2行目〜第6頁左下欄第9行目、特開昭59−71048号明細書第3頁左下欄第1行目〜第5頁左上欄第3行目に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたものなどが挙げられる。カルボキシル基含有多糖類は、天然植物からの抽出物、微生物発酵の生産物、酵素による合成物、または化学合成物の何れであってもよく、具体的には、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、デルマタン酸硫酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、セロウロン酸、カルボキシメチルキチン、カルボキシメチルデキストラン、カルボキシメチルデンプン等が挙げられる。カルボキシル基含有多糖類は、市販の化合物を用いることが可能であり、具体的には、カルボキシメチルデキストランであるCMD、CMD−L、CMD−D40(名糖産業社製)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬社製)、アルギン酸ナトリウム(和光純薬社製)等を挙げることができる。
本発明で用いる親水性ポリマーの分子量は特に限定されないが、一般的には重量平均分子量が2×10以上5×10以下であることが好ましい。さらに好ましい親水性ポリマーの分子量は1×10以上2×10以下である。この範囲より重量平均分子量が小さい場合には断片化抗体の固定量が小さくなることがあり、この範囲より重量平均分子量が大きい場合には高い溶液粘度のため取り扱いが困難となることがある。
このようなポリマー層の膜厚は、水溶液中の膜厚として1nm以上0.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは1nm以上1μm以下であり、さらに好ましくは100nm以上500nm以下である。膜厚が薄いと生理活性物質固定量が減少し、被検体物質との相互作用が起こりにくくなる。一方、膜厚が厚いと親水性ポリマーの均一性が保てなくなる可能性があり、また被検体物質が膜内に拡散する障害となり、また特にセンサー基板の親水性ポリマー固定面の反対側から相互作用を検出する場合は検出表面から相互作用形成部までの距離が長くなり、検出感度が低くなる可能性がある。水溶液中の親水性ポリマー膜厚はAFM、エリプソメトリーなどで評価することができる。
カルボキシル基を含有するポリマーを使用する場合、カルボキシル基を活性化することによって、担体表面に付与された官能基を介して複合体を固定することができる。カルボキシル基を含有するポリマーを活性化する方法としては、公知の手法、例えば、水溶性カルボジイミドである1-(3-Dimethylaminopropyl)-3 ethylcarbodiimide(EDC)とN-Hydroxysuccinimide(NHS)により活性化する方法、又はEDC単独により活性化する方法を好ましく用いることができる。この手法で活性化されたカルボキシル基を含有するポリマーを、アミノ基を有する担体と反応させることで、担体上に親水性ポリマーを結合させることが可能となる。
また、カルボキシル基を含有するポリマーを活性化する方法として含窒素化合物を用いる方法があり、具体的には、下記一般式(Ia)又は(Ib)(式中、R及びRは、互いに独立して置換基を有してもよいカルボニル基、炭素原子、窒素原子を表し、R及びRは結合により5〜6員環を形成してもよく、Aは置換基を有する炭素原子またはリン原子を表し、Mは、Xと共に全体として(n−1)価の対イオンを形成する元素を表し、Xはハロゲン原子を表す)に示される含窒素化合物を用いることもできる。

ここで、R及びRは、互いに独立して置換基を有しても良いカルボニル基、炭素原子、窒素原子を表すが、好ましくはR及びRは結合により5〜6員環を形成する。含窒素化合物の好ましい例には、ヒドロキシコハク酸イミド、ヒドロキシフタル酸イミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、3,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン、及びその誘導体が含まれる。
また、好ましくは下記に示される含窒素化合物(Ic)(Id)(Ie)を用いることもできる。

また、好ましくは含窒素化合物としては、下記一般式(II)(式中、Y及びZは、互いに独立してCH、または窒素原子を表す)で表される化合物を用いることもできる。

一般式(II)の具体的化合物としては、下記の化合物(II−1)〜(II−3)等が好ましく挙げられる。

また、含窒素化合物としては、下記の化合物(II−4)等も好ましく挙げられる。

また好ましくは、含窒素化合物としては、下記一般式(III)(式中、Aは置換基を有する炭素原子またはリン原子を表し、Y及びZは、互いに独立してCH、または窒素原子を表し、Mは、Xと共に全体として(n−1)価の対イオンを形成する元素を表し、Xはハロゲン原子を表す)を用いることもできる。

ここで、Aで表される炭素原子またはリン原子が有する置換基としては、置換基を有するアミノ基が好ましく、ジメチルアミノ基やピロリジノ基の様なジアルキルアミノ基が好ましい。Mで表される元素は、リン原子、ホウ素原子、ヒ素原子などが挙げられるが、好ましくはリン原子が挙げられる。Xで表されるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、好ましくはフッ素原子が挙げられる。
一般式(III)の具体的化合物としては、下記の化合物(III−1)〜(III−6)等が好ましく挙げられる。

また、含窒素化合物としては、下記一般式(IV)(式中、Aは置換基を有する炭素原子またはリン原子を表し、Mは、Xと共に全体として(n−1)価の対イオンを形成する元素を表し、Xはハロゲン原子を表す)を用いることもできる。

一般式(IV)の具体的化合物としては、下記の化合物(IV−1)等が好ましく挙げられる。

また、カルボキシル基を含有するポリマーを活性化する方法として、電子吸引性基を有するフェノール誘導体を使用することも好ましく、更に電子吸引性基のσ値が0.3以上であることが好ましい。具体的には、下記化合物(V−1)〜(V−4)などを用いることができる。

上述のカルボジイミド誘導体及び、含窒素化合物、またはフェノール誘導体は併用して使用するだけではなく、所望により、夫々、単独で用いることもできる。好ましくはカルボジイミド誘導体と含窒素化合物との併用である。
また、カルボキシル基を含有するポリマーを活性化する方法として、下記化合物(V−6)を用いることもできる。該化合物(V−6)は単独で用いることもできるが、カルボジイミド誘導体、含窒素化合物、フェノール誘導体と併用してもよい。

さらに、カルボキシル基を含有するポリマーにおけるカルボキシル基を活性化する手法としては、特開2006−58071号公報「0011」〜「0022」に記載の方法(即ち、担体の表面に存在するカルボキシル基を特定の構造を有するウロニウム塩、ホスホニウム塩、又はトリアジン誘導体のいずれかの化合物を用いて活性化することによりカルボン酸アミド基を形成する方法)、並びに特開2006−90781号公報「0011」〜「0019」に記載の方法(即ち、担体の表面に存在するカルボキシル基を、カルボジイミド誘導体又はその塩で活性化し、水酸基を有する含窒素ヘテロ芳香族化合物、電子吸引性基を有するフェノール誘導体又はチオール基を有する芳香族化合物のいずれかの化合物でエステルとした後、アミンと反応させることによりカルボン酸アミド基を形成する方法)を好ましく用いることもできる。
本発明において活性化されたカルボキシル基を含有するポリマーは、溶液として担体と反応させてもよく、また、スピンコート等の手法を用いて担体上に薄膜を形成させた状態で反応させてもよい。好ましくは、薄膜を形成させた状態での反応である。
上記の通り、本発明において活性化されたカルボキシル基を含有するポリマーは、薄膜状態で担体と反応させることが好ましい。担体上に薄膜を形成させる方法は、公知の方法を用いることが可能であるが、具体的には、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、キャスティング法、スクリーン印刷法、スピンコート法、スプレーコート法、スライドビードコート法、スリットアンドスピン方式、スリットコート方式、ダイコート法、ディップコート法、ナイフコート法、ブレードコート法、フローコート法、ロールコート法、ワイヤバーコート方式、転写印刷法、等を用いることが可能である。これらの薄膜形成法については、「コーティング技術の進歩」原崎勇次著、総合技術センター(1988)、「コーティング技術」技術情報協会(1999)、「水性コーティングの技術」シーエムシー(2001)、「進化する有機薄膜 成膜編」住べテクノリサーチ(2004)、「高分子表面加工学」岩森暁著、技報堂出版(2005)、等に説明されている。膜厚制御された塗布膜を簡便に作製可能であることから、本発明において担体上に薄膜を形成させる方法としては、スプレーコート法またはスピンコート法が好ましく、スピンコート法がさらに好ましい。
(2)断片化抗体
本発明では、上述した担体上に、1種の抗原を認識する少なくとも2種の断片化抗体が固定化されている。
ここで担体には、1種の抗原を認識できる2種以上の断片化抗体が固定化されていればよく、このような断片化抗体のセットが複数固定化されていてもよい。これにより一つの固定化担体で複数の抗原を認識することができる。
なお、抗原の種類には、抗体と相互作用可能なものであれば特に制限はなく、目的とする検出物質に応じて適宜選択することができる。また断片化抗体も、このような抗原と相互作用可能なものとして適宜選択される。
また2種以上の断片化抗体は、それぞれ単独で又は協働して1の抗原を認識し、結合可能であればいかなるものであってよい。このような複数の断片化抗体の例示としては、例えば、1種の抗原上の1のエピトープに対する抗原認識部位を有する2種以上の断片化抗体、1種の抗原上の異なるエピトープに対する抗原認識部位を有する2種以上の断片化抗体、1のエピトープに対する複数の超可変領域のいずれか1つのみを有する断片化抗体等を挙げることができ、1の抗原を認識可能であれば、このような複数の断片化抗体を更に組み合わせ使用することもできる。
本発明における断片化抗体としては、抗原結合能の観点から、VH領域ポリペプチドやVL領域ポリペプチド等を好ましく挙げることができる。
VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドは、それらが対合した状態で対象抗原を結合することのできる長さであれば、抗体のVH領域およびVL領域よりも長くても短くてもよい。これらのポリペプチドは、ハイブリドーマ技術により作成されたモノクローナル抗体から常法により作製することができる。例えば、以下のようにして得ることができる。
すなわち、目的とする検体物質を認識可能なモノクローナル抗体を公知の方法によって作製し、この抗体の可変領域をコードする遺伝子を、cDNAライブラリーとハイブリダイゼーションを用いる方法により特定し、この遺伝子をベクターにクローニングする。そして、この組換え体ベクターからVHおよび/またはVL領域をコードする配列を得、この断片を発現ベクターにサブクローニングし、この遺伝子を宿主細胞内で発現させることにより、必要量のVHおよび/またはVLを得ることができる。
抗体遺伝子からVH/VLコード配列を得るためには、所望の配列領域を制限酵素で切り出し、これをクローニングベクターで増幅させてもよく、あるいは所望の配列をPCR法で増幅してもよい。VHおよび/またはVLを宿主細胞で発現させる場合には、任意のレポーター分子をコードする遺伝子をも発現ベクターにクローニングし、VHおよび/またはVLをレポーター分子との融合蛋白またはキメラ蛋白として発現させることができる。
VHおよび/またはVLは、以上の方法によらず、抗体分子を蛋白質分解酵素によって分解することによっても得ることもできる。この場合には、遺伝子クローニングの手間を省くことができるという利点を有している。
またVH領域ポリペプチドやVL領域ポリペプチドは、生体分子との融合体でもよい。このような融合体にすることによって、安定性が向上するという利点を有する。
VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドと融合可能な生体分子としては、特に制限がなく、アルカリフォスフォターゼ、protein G、eGFP、eYFP、βガラクトシダーゼ、GST、chitin binding protein(CBP)、NusA、Thioredoxin、DsbA、DsbC、マルトース結合蛋白質(MBP)等をあげることができる。中でも安定性を高めたい場合には、MBP等を用いることが好ましい。
これらの融合体は、常法により作製することができ、例えば、上述した遺伝子クローニングの際に同時発現可能に生体分子の遺伝子をベクターに組み込むことにより得てもよく、VH領域ポリペプチド又はVL領域ポリペプチドにリンカーを設けて生体分子と結合してもよい。融合体の作製方法は、融合しようとする生体分子の種類やサイズに応じて、適宜選択することができる。
なお、VL領域ポリペプチド及びVH領域ポリペプチド以外の断片化抗体の作製方法は、VL領域ポリペプチド及びVH領域ポリペプチドについての上記作製方法と同様に行うことができ、当業者であれば容易に適用可能である。
(3)断片化抗体固定化担体の製造方法
本発明における断片化抗体固定化担体の製造方法は、1種の抗原を認識する少なくとも2種の独立した断片化抗体と、当該抗原とを接触させて、前記断片化抗体と前記抗原とが結合した複合体を形成する形成工程と、前記複合体を、当該複合体中の断片化抗体を介して担体に固定化する固定化工程と、前記複合体から前記抗原を除去して、前記抗原に結合可能な位置関係で前記担体上に前記断片化抗体がそれぞれ独立に固定化されている断片化抗体固定化担体を得る除去工程と、を含む。
この製造方法によれば、少なくとも2種の独立した断片化抗体と抗原とで構成された複合体を担体上に固定化した後に抗原を除去するので、抗原が存在する際には抗原に結合可能な位置で断片化抗体がそれぞれ担体上に独立に固定化された本発明の断片化抗体固定化担体を容易に作製することができる。
本発明の製造方法によれば、担体と、少なくとも1セット(例えば、2以上のセット)の断片化抗体を含み、それぞれのセットの断片化抗体は上記のように担体上に固定された少なくとも2種の独立した断片化抗体を含む断片化抗体固定化担体を得ることができる。
複合体を形成する形成工程では、断片化抗体と抗原からなる複合体は、公知の手法により形成することができ、具体的には、上述した断片化抗体と抗原とを混合させることによって容易に得ることができる。
2種以上の断片化抗体と抗原との混合比は、抗原に対する結合形態に応じて適宜設定することができる。効率性と過剰な抗原が固定化されることを防ぐ観点から好ましくは、抗原の個数と、当該断片化抗体の組み合わせで構成される分子の結合価との比は、0.1:1〜10:1である。
また、断片化抗体と抗原との混合比は、断片化抗体の抗原に対するアフィニティーや、抗原そのものの担体へ直接的な固定しやすさ等に応じて適宜調整が可能である。充分なアフィニティーが予想される抗原である場合には、一般に、抗原の個数と、当該断片化抗体の組み合わせで構成される分子の結合価との比は、0.1:1〜1:1とすることがより好ましく、0.1:1〜0.3:1であることが更に好ましい。一方、アフィニティーが一般的に低い又は担体へ直接的に固定化され難いと予想される抗原、例えば低分子化合物等を抗原とする場合には、抗原の量を多くすることがより好ましく、例えば抗原の個数と、当該断片化抗体の組み合わせで構成される分子の結合価との比は0.5:1〜1.5:1とすることが更に好ましい。
ここで、断片化抗体の組み合わせで構成される分子の結合価とは、断片化抗体の組み合わせで構成された分子が有する抗原結合部位の数を意味する。即ち、断片化抗体が組み合わされることにより構成された分子が抗体分子そのものである場合には、抗体分子の結合価と一致し、断片化抗体の組み合わされることにより構成された分子が完全な抗体分子を構成しない場合であっても、抗原結合部位が1存在すれば1価となる。
このとき、抗原は低分子でもタンパク質等の高分子でもよい。また、複合体の形成分子数はいくつでもよいが、量比の制御を容易にする観点から、複合体を形成する分子数は、2種の断片化抗体と1種の抗原のように、3分子数であることが好ましい。
例えば、抗リゾチームVH領域ポリペプチド、抗リゾチームVL領域ポリペプチド及びリゾチームを用いた場合には、VH領域ポリペプチドとVL領域ポリペプチドとは、それぞれ1:1の関係で抗原と相互作用することから、VH領域ポリペプチドとVL領域ポリペプチドとは組み合わせて1の結合価を有する。従って、水溶液中において個数比で等量、すなわちVH領域ポリペプチドとVL領域ポリペプチドと抗原とを1:1:1の割合で混合することにより容易に複合体を得ることができる。リゾチームが直接担体に固定されて、断片化抗体に対する結合率が低下するのを防ぐために、抗原の個数比は、断片化抗体の結合価に対して少ないことが好ましく、VH領域ポリペプチドとVL領域ポリペプチドと抗原との混合比を10:10:1から10:10:9にすることがより好ましく、10:10:1から10:10:3にすることがさらに好ましい。
固定化工程では、上記の手法により形成された複合体を、担体に付与された官能基の種類に応じて適宜反応させ、担体へ結合することにより固定化を行う。このとき断片化抗体の抗原認識部位は、抗原が結合することにより保護されているので、特別な保護処理を別途行う必要がない。複合体の担体への結合方法は当業者に自明である。例えば、上述したEDC等でカルボキシル基を活性化しアミノ基を介して複合体を結合する方法や、マレイミド基−チオール基の反応により複合体を担体に結合させる方法があるが、本発明はこの方法に限定されない。
固定化担体上に結合した複合体の固定量(密度)は、本発明の固定化担体を、表面プラズモン共鳴を利用したバイオセンサーに使用する場合、10pg/mm〜20000pg/mmが好ましい。より好ましくは200pg/mm〜10000pg/mm、さらに好ましくは、500pg/mm〜8000pg/mmである。この密度は以下の方法により求めることができる。実際に測定を行って求める場合は、支持体上に複合体を結合した後、支持体上に固定された生体分子の重量をQCMやSPRで求めることができる。さらにそれぞれの分子の固定量を求める場合は、それぞれの分子に蛍光分子を標識することにより求めることができる。
除去工程では、複合体を担体上に固定化後、抗原が除去される。このとき、断片化抗体はそれぞれ独立に担体上に固定化されているので、抗原を容易に除去することができ、固定化担体として使用したときの抗原との結合再現性を低下させることがない。
抗原の除去は、適当な洗浄液を用いることにより容易に行うことができる。ここで用いられる洗浄液は、複合体中の抗原と各断片化抗体との結合力を低下させるものであればよい。このような結合力の低下の条件としては、pHを酸性側又はアルカリ側へ変更することや、塩濃度を高くすることなどを上げることができる。断片化抗体及び抗原の種類等によって異なるが、例えば、pHを2以下又は10以上にするための酸性グリシンバッファーやアルカリ性のNaOH溶液や、0.5M以上の塩濃度とするためのホウ酸塩バッファーを挙げることができる。
他にもアルギニン含有酸性バッファーや、グアニジン、尿素含有バッファー等を適宜用いることが可能である。
ここで、洗浄液による洗浄処理の条件は、適宜調整することができるが、断片化抗体の活性を損なわない観点から、一般に10分以下、好ましくは、1分以下とすることができる。再現性の観点から5秒以上が好ましい。
これにより、担体上に断片化抗体が、前記抗原に共に結合可能な位置関係で、それぞれ独立に固定化された断片化抗体固定化担体を得ることができる。本断片化抗体固定化担体では、断片化抗体は、抗原と結合可能な状態でかつ自由度を持って独立して担体上に固定化されている。このため、抗原が接近して結合可能な状態になると、断片化抗体は互いに接近して抗原と結合する。このときのアフィニティーは、断片化抗体が単独で結合する場合と比較して高くなる。本方法によれば、このような高いアフィニティーの断片化抗体固定化担体を簡便に得ることができる。
例えば、図1には、本発明の断片化抗体固定化担体の一例となる固定化担体10が示されている。固定化担体10には、自己組織化膜14及びポリマー層16を介して、担体12上に、断片化抗体18A、18Bが固定化されている。断片化抗体18Aと断片化抗体18Bとは、抗原Agが存在するときに協働して抗原Agに結合可能な位置関係で、それぞれ一端が担体12に固定され且つ他端が自由に動くように、担体12上に独立して固定化されている(図1(A)参照)。
このとき、抗原Agが固定化担体10に接近すると、断片化抗体18A、18Bは、抗原Agを認識して結合する。結合時には、断片化抗体18A、18Bは抗原Agを中心にして互いに接近し、結合するため、それぞれ独立して結合するよりも高いアフィニティーで結合することができる(図1(B)参照)。
このように、2つ以上の断片化抗体と1つ以上の抗原からなる複合体を、該2つ以上の断片化抗体を介して担体に固定し、抗原のみ取り外す、という操作を行うと、抗原抗体反応を利用した免疫測定法に使用することができる断片化抗体固定化担体を得ることができる。
本発明を用いることで、抗原に対するアフィニティーの強弱に拘わらず、対象となる断片化抗体をそれぞれ、抗原に結合可能な近接した相対位置で担体上に固定化することができる。
また、抗原が低分子の場合など、抗体に対するエピトープが少ない場合でも、担体上では、断片化抗体が抗原に協働して結合可能な近接位置に固定されているので、本発明における固定化担体は高い抗原結合率の担体となる。ここで「高い抗原結合率」とは、担体上に固定化された2種以上の断片化抗体の量や用いられる抗原の種類によって異なるが、例えば、固定化された断片化抗体の量が0.025pmol/mmの場合、固定量に対して計算される理想的抗原結合量に対して、1%以上の抗原結合率を備えていることが好ましく、6%以上の抗原結合率を備えていることがより好ましく、10%以上の抗原結合率を備えていることがより好ましい。ここでの「理想的抗原結合量」とは、それぞれの断片化抗体が等モル量固定化され、100%の活性を持っていると仮定して計算された結合量をいう。「抗原結合率」とは、抗原の結合量を理論的に結合可能な抗原量で除したものをいう。本発明において、抗原結合率は、具体的には、SPRにより断片化抗体の固定量と、抗原を添加した際の結合量を測定して、上記仮定を基として求めたものとする。
(II)本発明の固定化担体の適用
本発明の断片化抗体固定化担体は、断片化抗体と抗原との結合反応性に基づくバイオセンサーやバイオリアクター(例えば「バイオリアクター技術」、1988年、(株)シーエムシー、「バイオチップとバイオセンサー」、2006年、共立出版(株))に適用することができる。バイオリアクターとは、酵素、菌体、細胞、オルガネラなどの生体触媒による生化学的反応を利用して、有用物質の生産、エネルギーの発生、環境汚染物質の分解などに応用する反応器であり、バイオセンサーとは最も広義に解釈され、生体分子間の相互作用を電気的信号等の信号に変換して、対象となる物質を測定・検出するセンサーを意味する。以下、それぞれについての適用について説明する。
(1)バイオリアクターへの適用
酵素を固定化した不溶性担体を用いて有用物質の生成、反応等を行うことが可能なバイオリアクター(例えば実公平4−18398号、実公平4−18399号等)においては、上記不溶性担体として、本発明の担体、例えば担体(例えばセラミックやポリスルホン等の多孔質体)と、この担体表面上に結合された高分子膜と、この高分子膜に結合された酵素と酵素活性補助物質とを備えた担体に適用することができる。
(2)バイオセンサーへの適用
通常のバイオセンサーは、検出対象とする化学物質を認識するレセプター部位と、そこに発生する物理的変化又は化学的変化を電気信号に変換するトランスデューサー部位とから構成される。生体内には、互いに親和性のある物質の組み合わせとして、酵素/基質、酵素/補酵素、抗原/抗体、ホルモン/レセプターなどがある。バイオセンサーでは、これら互いに親和性のある物質の一方を担体に固定化して分子認識物質として用いることによって、対応させるもう一方の物質を選択的に計測するという原理を利用している。本発明の担体、例えば担体(例えばセラミックやポリスルホン等の多孔質体)と、この担体表面上に結合された高分子膜と、この高分子膜に結合された2種類の断片化抗体を備えた担体に適用することで従来のバイオセンサーよりも特異性をさらに向上させることができる。
例えば、表面プラズモン共鳴バイオセンサーは、センサーより照射された光を透過及び反射する部分、並びに生理活性物質を固定する部分とを含む部材からなる。本発明の固定化担体は、あらかじめ洗浄により取り除いた物質(抗原)を固定可能な部材として用いることができる。
表面プラズモン共鳴の現象は、ガラス等の光学的に透明な物質と金属薄膜層との境界から反射された単色光の強度が、金属の出射側にある試料の屈折率に依存することによるものであり、従って、反射された単色光の強度を測定することにより、試料を分析することができる。
表面プラズモンが光波によって励起される現象を利用して、被測定物質の特性を分析する表面プラズモン測定装置としては、Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げ
られる(例えば特開平6-167443号公報参照)。上記の系を用いる表面プラズモン測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて試料液などの被測定物質に接触させられる金属膜と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと金属膜との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
また、全反射減衰(ATR)を利用する類似の測定装置として、例えば「分光研究」第47巻 第1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27頁に記載がある漏洩モード測定装置も知られている。この漏洩モード測定装置は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、試料液に接触させられる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、つまり全反射減衰状態を検出する光検出手段とを備えてなるものである。
この方式のバイオセンサーの構成については、例えば特公平6−27703号公報4ページ48行目から14ページ15行目および第1図から第8図、米国特許第 6,829,073号のcolumn6の31行目からcolumn7の47行目および第9図A,Bに記載されている。
例えば、一つの実施形態として、薄層の平面状の導波路層が基材(たとえばパイレックス(登録商標)ガラス)上に設けられている構造がある。導波路層と基材とは、一緒にいわゆる導波体を形成する。導波路層は、たとえば酸化物層(SiO,SnO、Ta,TiO,TiO−SiO,HfO,ZrO,Al,Si,HfON,SiON,酸化スカンジウムまたはこれらの混合物)、プラスチック層(例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネートなど)、など多層の積層体が可能である。光線が全反射により導波路層内を伝播するには、導波路層の屈折率が隣接媒体(たとえば基材や後述の付加層)の屈折率より大でなければならない。基材、もしくは測定物質に向いた導波路層表面、もしくは導波路層体積内には、回折格子が配置されている。回折格子は、型押し、ホログラフィまたはその他の方法によって基材内に形成することができる。次いでより高い屈折率を有する薄い導波路膜を回折格子の上表面に被覆する。回折格子は導波路層への入射光線を集束したり、既に導波路層に導かれているモードを放出したり、そのモードの一部を進行方向へ透過させ、一部を反射させたりする機能を持つ。導波路層は、格子域を付加層でカバーしておく。付加層は必要に応じて多層膜とすることができる。この付加層は、測定物質に含まれている物質の選択的検知を可能にする機能を持たせることができる。好ましい態様として付加層の最表面に、検知機能を持つ層を設けることができる。このような検知機能を持つ層として、生理活性物質を固定化し得る層を用いることができる。
別の実施形態として、回折格子導波路のアレイがマイクロプレートのウェル内に組み込まれる形態も可能である(特表2007−501432号)。すなわち回折格子導波路がマイクロプレートのウェル底面にアレイ状に配列されていれば、スループットの高い薬物または化学物質のスクリーニングを可能にすることができる。
回折格子導波路は、回折格子導波路の上層(検知領域)上の生理活性物質検出を可能にするために、入射光線、および反射光を検出して屈折特性の変化を検出する。この目的のため、1つまたはそれより多くの光源(例えば、レーザ、ダイオード)及び1つまたはそれより多くの検出器(例えば、分光計、CCDカメラまたはその他の光検出器)を用いることができる。屈折率変化を測定するための方法として、2つの異なる動作モード−分光法、及び角度法がある。分光法においては、入射光として広帯域ビームが回折格子導波路に送られ、反射光が集められて、例えば分光計で測定される。共鳴波長(ピーク)のスペクトル位置を観測することにより、回折格子導波路の表面またはその近傍での屈折率変化すなわち生理活性物質の結合を測定することができる。また、角度法においては、公称上単一波長の光がある範囲の照射角を生じるように集束されて、回折格子導波路内に向けられる。反射光がCCDカメラまたはその他の光検出器によって測定される。回折格子導波路によって反射された共鳴角の位置を測定することにより、回折格子導波路の表面またはその近傍での屈折率変化すなわち生理活性物質の結合を測定することができる。
以下に本発明の断片化抗体固定化担体についての実施例を示す。なお、特に断わらない限り、「部」、「%」は、それぞれ「質量部」、「質量%」を表す。
[実施例1]
(1)抗リゾチームVH領域ポリペプチド、抗リゾチームVL領域ポリペプチドの作製
以下の実施例で使われる略語は以下の通りである。
LB:1%バクト(登録商標、以下同じ)トリプトン、0.5%イーストエクストラクト、0.5%NaClを含む培地
LBA:100μg/mlアンピシリンを含むLB
LBAG:100μg/mlアンピシリン及び0.1%グルコースを含むLB
LBAGプレート:100μg/mlアンピシリン及び0.1%グルコースを含むLB寒天培地
SOC:2%バクトトリプトン、0.5%イーストエクストラクト、0.05% NaCl、2.5mM KCl、20mMグルコース、10mM MgClを含む培地
TAEバッファー:1mM EDTAを含む40mMTris−acetate(pH8.3)
TALONバッファー:300mM NaClを含む50mMリン酸ナトリウム(pH7.0)
TALON溶出液:500mMイミダゾールを含むTALONバッファー(pH7.0)IPTG:イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド
HBS−Nバッファー(10mM HEPES,150mM NaCl、pH7.4)
すべての実験において、Milli-Q (Millipore Co., Billerica, MA)にて精製した水を用いた。以下、milliQ水と表記する。通常の試薬は特に表記のあるもの以外は、シグマ(St.Louis, MO)、ナカライテスク(京都)、和光純薬(大阪)、関東化学(東京)のものを使用した。オリゴDNAはテキサスジェノミクスジャパン(東京)、またはInvitrogen(東京)にて合成した。
使用した大腸菌XL10−Gold及びOverExpress C41の遺伝子型を表1に、PCRに用いたプライマー配列を表2に示す。


(A)発現プラスミドのコンストラクション
(a)実験に使用したベクター
pET-MBPp-His6: ヒスチジン6残基のHis-Tag(His6)が付加されたマルトース結合蛋白質(MBP)の遺伝子が挿入されたpET15bベクター(Merck Chemicals Ltd., Darmstadt, Germany)。(配列番号7)
pIT2-LxE16: 東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻蛋白質工学研究室で単離された抗ニワトリ卵白リゾチーム(HEL)抗体LxE16の一本鎖抗体(scFv)遺伝子(配列番号8、アミノ酸:配列番号9)が挿入されたpIT2ベクター(MRC Cambridge, UK より提供)。
(b)発現ベクター作製の概略
抗リゾチーム抗体LxE16の重鎖及び軽鎖の可変領域ドメインであるVH(HEL)とVL(HEL)のN末端側及びC末端側に、それぞれMBPとヒスチジン10残基のHis-tag(His10)が融合した蛋白質MBP-VH(HEL)-His10及びMBP-VL(HEL)-His10をコードする発現ベクター(pET-MBPp-VH(HEL)-His10、pET-MBPp-VL(HEL)-His10)は、図2のスキームに示す通り、pET-MBPp-His6を元に作成された。まずpET-MBPp-His6のHis6を含むDNA断片(1)を切り出し、そこにHis10をコードするDNA断片(2)を挿入してpET-MBPp-His10を作成した。さらにpET-MBPp-His10に、VH(HEL)遺伝子(配列番号10、表3)もしくはVL(HEL)遺伝子(配列番号11、表4)を挿入することで、pET-MBPp-VH(HEL)-His10及びpET-MBPp-VL(HEL)-His10を完成させた。


(b)pET-MBPpP-His6からのDNA断片(1)の切り出し
約10μgのpET-MBPp-His6を含む74μlの水溶液に、3μl Sca I (Roche Applied Science, Basel, Switzerland, 10 U)、3μl Not I (Roche Applied Science 10 U)、10μl 10x BSA溶液、10μl 10x Hバッファー(Roche Applied Science)を添加し、37℃で約3時間静置した。その後、1%アガロースゲル(TAEバッファー)で電気泳動した後、4100bp付近のバンドを切り出して、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega Co., Madison, WI)を用いて抽出し、50μlのmilliQ水に溶解した。
(c)DNA断片(2)の作製
pET-MBPp-His6を鋳型として、プライマー(1)(配列番号1)とプライマー(2)(配列番号2)を用いてPCRを行った。プライマー(1)は、His6をコードする領域の下流側にアニールサイトを持ち、ヒスチジン10残基に対応する塩基配列と、NotIサイトを有するリバースプライマーである。またプライマー(2)は、pETベクター上に存在するScaIサイトの約500塩基下流にアニールサイトを持つフォワードプライマーである。
PCRの条件は、以下の通りである。
反応液組成
pET-MBPp-His6 (約100μg/ml) 0.5μl
プライマー(1)(50μM) 0.5μl
プライマー(2)(50μM) 0.5μl
10x Pfu buffer (Mg2+20 mM) (Agilent Technologies, Inc. Santa Clara, CA)
5μl
dNTP Mixture (2.5mM each) 4μl
2.5 U/μl Pfu DNA polymerase (Agilent Technologies, Inc.)
0.5μl
milliQ 水 39μl
反応サイクル
1. 94℃ 1 min
2. 94℃ 30 sec
3. 58℃ 30 sec
4. 72℃ 30 sec
(2から4を25回)
5. 72℃ 10 min
6. 16℃ ∞
PCR産物は、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて精製し、50μlのmilliQ水に溶解し、1μl Sca I (Roche Applied Science 10 U)、1 μl Not I (Roche Applied Science 10 U)、7μl 10x BSA溶液、7μl 10x Hバッファー(Roche Applied Science)、4μl milliQ水を添加し、37℃で約3時間静置した。その後、1%アガロースゲル(TAEバッファー)で電気泳動した後、約1080bp付近のバンドを切り出して、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて抽出し、50μlのmilliQ水に溶解して、DNA断片(2)を含む溶液を得た。
(d)pET-MBPp-His10の作製
DNA断片(1)を切除したpET-MBPp-His6を含む溶液とDNA断片(2)溶液は、それぞれ0.5μlと5μlずつ混合し、さらに5.5μlのDNA Ligation high ver2溶液(TOYOBO CO., LTD, 大阪)を加えて、16℃30分間ライゲーション反応を行った。約1μlのライゲーション反応液を、約50μlの大腸菌XL10-Goldケミカルコンピテントセルに加えて形質転換した。形質転換株をLBAG寒天培地にて37℃一晩培養し、シングルコロニーをLBAG 50mlにてさらに一晩培養した菌体よりWizard PlusMinipreps DNA Purification kit (Promega Co.)にてプラスミドDNAを抽出し、pET-MBPp-His10を得た。His10をコードするDNA配列は、Beckman Coulter社のプロトコールに従って確認した。
(e)pET-MBPp-His10の制限酵素処理
約7μgのpET-MBPp-His10を含む46μlの水溶液に、2μl Sfi I (Roche Applied Science 10 U/μl)、6μl 10x BSA溶液、6μl 10x Mバッファー(Roche Applied Science)を添加し、50℃で約3時間静置した。Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて精製後、50μlの水溶液に溶解し、2μl Not I (Roche Applied Science 10 U)、7μl 10x BSA溶液、7μl 10x Hバッファー(Roche Applied Science)、4μl milliQ水を添加し、37℃で約3時間静置した。その後、1%アガロースゲル(TAEバッファー)で電気泳動した後、4800bp付近のバンドを切り出して、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて抽出し、50μlのmilliQ水に溶解した。
(f)VH(HEL)遺伝子断片の作製
pIT2-LxE16を鋳型として、プライマー(3)及び(4)を用いてPCRを行い、VH(HEL)遺伝子断片を増幅した。プライマー(3)は、VH(HEL)遺伝子断片の5’側にアニールサイトを持ち、SfiIサイトを有するリバースプライマーである。またプライマー(4)は、VH(HEL)遺伝子断片の3’側にアニールサイトを持ち、NotIサイトを有するフォワードプライマーである。
PCRの条件は、以下の通りである。
反応液組成
pIT2-LxE16 (約100 μg/ml) 0.5μl
プライマー(3)(50 μM) 0.5μl
プライマー(4)(50 μM) 0.5μl
10x Pfu buffer (Mg2+20 mM) (Agilent Technologies, Inc.) 5μl
dNTP Mixture (2.5 mM each) 4μl
2.5 U/μl Pfu DNA polymerase (Agilent Technologies, Inc.) 0.5μl
milliQ 水 39μl
反応サイクル
1. 94℃ 1 min
2. 94℃ 30 sec
3. 58℃ 30 sec
4. 72℃ 30 sec
(2から4を25回)
5. 72℃ 10 min
6. 16℃ ∞
PCR産物は、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて精製し、50μlのmilliQ水に溶解し、2μl Sfi I (Roche Applied Science 10 U/μl)、7μl 10x BSA溶液、7μl 10x Mバッファー(Roche Applied Science)、4μl milliQ水を添加
し、50℃で約3時間静置した。Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて精製後、50μlの水溶液に溶解し、2μl Not I (Roche Applied Science 10 U)、7μl 10x BSA溶液、7μl 10x Hバッファー(Roche Applied Science)、4μl milliQ水を添加し、37℃で約3時間静置した。その後、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up Systemを用いて精製し、50μlのmilliQ水に溶解して、VH(LxE16)遺伝子断片を含む溶液(VH(LxE16)溶液)を得た。
(g)VL(HEL)遺伝子断片の作製
pIT2-LxE16を鋳型として、プライマー(5)及び(6)を用いてPCRを行い、VL(HEL)遺伝子断片を増幅した。プライマー(5)は、VL(HEL)遺伝子断片の5’側にアニールサイトを持ち、SfiIサイトを有するリバースプライマーである。またプライマー(6)は、VL(HEL)遺伝子断片の3’側にアニールサイトを持ち、NotIサイトを有するフォワードプライマーである。PCRや制限酵素処理、精製を、VH(LxE16)遺伝子断片の場合と同様に行い、VL(LxE16)遺伝子断片を含む溶液(VL(LxE16)溶液)を得た。
(h)pET-MBPp-VH(HEL)-His10及びpET-MBPp-VL(HEL)-His10の作製
制限酵素処理pET-MBPp-His10を含む溶液とVH(LxE16)溶液もしくはVL(LxE16)溶液は、それぞれ0.5μlと5μlずつ混合し、さらに5.5μlのDNA Ligation high ver2(TOYOBO CO.)を加えて、16℃30分間ライゲーション反応を行った。約1μlのライゲーション反応液を、約50μlの大腸菌XL10-Goldケミカルコンピテントセルに加えて形質転換し、形質転換株をLBAG寒天培地にて37℃一晩培養し、さらにシングルコロニーをLBAG 50mlにてさらに一晩培養した菌体よりWizard Plus Midipreps DNA Purification kit (Promega Co.)にてプラスミドDNAを抽出した。pET-MBPp-VH(HEL)-His10及びpET-MBPp-VL(HEL)-His10のDNA配列は、Beckman Coulter社のプロトコールに従って確認した。
(B)MBP-VH(HEL)-His10及びMBP-VL(HEL)-His10蛋白質の調製
プラスミドpET-MBPp-VH(HEL)-His10及びpET-MBPp-VL(HEL)-His10を大腸菌OverExpress C41(DE3)にヒートショック法で形質転換し、発現させた。プラスミド1μl(約100ng)とOverExpress C41(DE3)コンピテントセル100μlを混合し氷上30min静置した後、42℃45秒ヒートショックしすぐに2分氷上静置した。その後、SOC培地200μlを加え30分キュアリングし、LBAプレートに塗布して37℃で一晩培養した。
生じたコロニーを4mlのLBAGに植菌し、30℃で一晩振とう培養を行った。少量培養した培養液4mlを800mlのLBAに加え、30℃で振とうし大量培養を行った。O.D.600が0.5〜0.6になったところで1000mMのIPTG 400μlを加え、さらに30℃で一晩時間振とう培養した。菌体培養液を遠心分離機でそれぞれ上清と大腸菌のペレットに分離した後、上清からは硫安沈殿法で、ペレットからは超音波菌体破砕で、それぞれ下記のMBP-VH(HEL)-His10(配列番号12、表5)及びMBP-VL(HEL)-His10(配列番号13、表6)を以下のように回収した。


約800mlの培養上清に硫安344gを加えて、4℃で一晩攪拌した後、遠心分離によってMBP-VH(HEL)-His10もしくはMBP-VL(HEL)-His10を含む不溶物を回収し、30mlのTALONバッファーに懸濁した。一方、大腸菌ペレットは、30mlのTALONバッファーに懸濁後、超音波処理を行い、遠心分離によってMBP-VH(HEL)-His10もしくはMBP-VL(HEL)-His10を含む上清を回収した。上清はTALONバッファーに対して透析した。それぞれのTALONバッファー中に回収した蛋白質を、TALON affinity resin (Clontech Laboratories, Inc., Mountain View, CA) を充填したカラム(直径16mmx高さ約15mm)に添加し、蛋白質の吸着したTALON affinity resinは TALONバッファーで洗浄した。その後、TALON溶出液を加えて、MBP-VH(HEL)-His10もしくはMBP-VL(HEL)-His10を溶出させた。精製蛋白質は、SDS-PAGEより確認を行った後に、HBS-Nにバッファー交換し終濃度16%となるようにグリセロールを加えて−80℃にて保存した。
(C)VL(HEL)-His10の作製
精製した1mlのMBP-VL(HEL)-His10溶液(HBS-N、約1000μg/ml)に対して、20μlのGenenase溶液(New England BioLabs, Inc., Ipswich, MA)を加えて、室温にて約5時間反応を行った。反応後、上記と同様にTALON affinity resinを用いて精製し、HBS−Nにバッファー交換した。
(2)カルボキシル基を付与した担体の作製
センサーチップ上に金膜のみが形成されているGEヘルスケア社センサーチップAuを12分間、UVオゾン処理を行った後、9.5mlのエタノールに9.5μmolのCarboxy−ED−undecanethiol(同仁化学製)を溶解させた溶液と9mlのエタノールに9μmolのHydroxy−ED−undecanethiol(同仁化学製)を溶解させた溶液を1:9で混合し、金膜をその溶液に40℃で12時間反応させて、金膜上にポリマーを形成し、エタノールで2回洗浄し、担体試料を作製した。
(3)複合体の作製
上記で作製したMBP-VH(HEL)-His10、VL(HEL)-His10及びリゾチームを1:1:1の個数比で混合し、3.18μMのHEPESバッファー溶液を作製し、室温に3時間静置して、複合体試料液を作製した。
(4)複合体の固定
作製した担体試料をBiacore社製の表面プラズモン共鳴装置であるBiacore3000にセットし、SPR用HEPES緩衝液(20mM HEPES−HCl,150mM NaCl,pH7.4)を10μl/minの流速で担体表面を安定させ、0.2mMのEDCと0.04mMのNHS混合水溶液を70μl添加した。その後、上記複合体試料液をpH4.5アセテートバッファーで半分に希釈した希釈後の複合体試料液50μlを担体試料に供給し、その後、エタノールアミン溶液によってブロッキング処理を施して、複合体の固定化を行った。
(5)抗原の洗浄
複合体を固定化後、pH1.5 グリシンバッファーと10mM NaOHにより1分間の洗浄を5回交互に繰り返して、抗原を除去し、本実施例の固定化担体Aを得た。洗浄後の試料の屈折率と複合体固定前の試料の屈折率から断片化抗体固定量を算出した。
(6)抗原との結合反応評価
上記で得られた固体化担体Aに、100nMのリゾチームを10分間添加し、結合量を評価した。
[実施例2]
センサーチップAuを使用する代わりに、市販のセンサーチップCM5(カルボキシメチルデキストラン導入タイプ、GEヘルスケア社製)を用いた以外は実施例1と同様にして、固定化担体Bを得た。実施例1と同様にして固定化担体Bにおけるリゾチーム結合量を評価した。
[実施例3]
実施例2の複合体の作製において、MBP-VH(HEL)-His10、VL(HEL)-His10及びリゾチームの混合比を10:10:1にした以外は実施例1と同様にして、固定化担体Cを得た。実施例1と同様にして固定化担体Cにおけるリゾチーム結合量を評価した。
[比較例1]
実施例1の(2)で得られた担体試料に、MBP-VH(HEL)-His10及びVL(HEL)-His10を、実施例1の(4)と同様にしてこの順番に固定し、実施例1の(5)と同様に洗浄を行って、比較例となる固定化担体Dを得た。その後、実施例1の(6)と同様にして固定化担体Dにおけるリゾチーム結合量を評価した。
[比較例2]
市販のセンサーチップCM5(GEヘルスケア社製)に、実施例1の(4)と同様にしてMBP-VH(HEL)-His10及びVL(HEL)-His10を順番に固定し、実施例1の(5)と同様に洗浄を行って、比較例となる固定化担体Eを得た。その後、実施例1の(6)と同様にして固定化担体Eにおけるリゾチーム結合量を評価した。
[比較例3]
比較例2の複合体の固定において、MBP-VH(HEL)-His10、VL(HEL)-His10及びリゾチームを混合して固定し、実施例1の(5)と同様に洗浄を行った以外は同様にして、比較例となる固定化担体Fを得た。その後、実施例1の(6)と同様にして固定化担体Fにおけるリゾチーム結合量を評価した。
<評価>
リゾチーム結合率の測定
実施例1〜3及び比較例1〜3の結果について、リゾチーム結合率を算出して、比較した。リゾチーム結合率は、リゾチーム添加開始後10分間の結合の経時変化をBiacore3000で測定し、この10分間のリゾチームの結合量を断片化抗体固定量で除して得た。比較例2のリゾチーム結合率を1としたときのリゾチーム結合率を算出した。
結果を表7に示す。
理想的抗原結合量に対する抗原結合率
実施例3及び比較例3で得られた固定化担体C及びFについて、MBP-VH(HEL)-His10及びVL(HEL)-His10の固定量を0.025pmol/mmとした場合の理想的抗原結合量を286RUとし、100nMのリゾチームを10分間添加した際の結合量から、抗原結合率を求めた。結果を表7に示す。
表7から明らかなように断片化抗体と抗原との複合体を形成させないで作製され、担体上の断片化抗体の位置が制御されていない固定化担体(比較例1、2、3)ではリゾチーム結合率、つまりリゾチーム固定能が小さいのに対し、実施例1、2、3のものでは、リゾチーム結合率が大きくなっている。これにより、本発明によれば、3者以上での複合体反応が効率よく検出可能であり、検出感度や精度を高くすることができる。
また、実施例3より抗リゾチームVH領域ポリペプチド、抗リゾチームVL領域ポリペプチド、リゾチームの混合比が10:10:1で結合量は高くなっており、混合比が等量でなくとも結合率は高いことが分かる。
[実施例4]
(1)VH(HEL)-His6の作製
プラスミドpIT2-LxE16を大腸菌HB2151にヒートショック法で形質転換し、発現させた。プラスミド1μl(約100ng)とHB2151コンピテントセル100μlを混合し氷上30min静置した後、42℃45秒ヒートショックしすぐに2分氷上静置した。その後、SOC培地200μlを加え30分キュアリングし、LBAプレートに塗布して37℃で一晩培養した。
生じたコロニーを4mlのLBAGに植菌し、30℃で一晩振とう培養を行った。少量培養した培養液4mlを800mlのLBAに加え、30℃で振とうし、大量培養を行った。O.D.600が0.5〜0.6になったところで1000mMのIPTG 400μlを加え、さらに16℃で一晩時間振とう培養した。菌体培養液を遠心分離機でそれぞれ上清と大腸菌のペレットに分離した後、上清からは硫安沈殿法で、ペレットからは超音波菌体破砕で、それぞれ下記のVH(HEL)-His6(配列番号14、表8)を以下のように回収した。
約800mlの培養上清に硫安344gを加えて、4℃で一晩攪拌した後、遠心分離によってVH(HEL)-His6を含む不溶物を回収し、30mlのTALONバッファーに懸濁した。一方、大腸菌ペレットは、30mlのTALONバッファーに懸濁後、超音波処理を行い、遠心分離によってVH(HEL)-His6を含む上清を回収した。上清はTALONバッファーに対して透析した。それぞれのTALONバッファー中に回収した蛋白質を、TALON affinity resin (Clontech Laboratories, Inc., Mountain View, CA) を充填したカラム(直径16mmx高さ約15mm)に添加し、蛋白質の吸着したTALON affinity resinはTALONバッファーで洗浄した。その後、TALON溶出液を加えて、VH(HEL)-His6を溶出させた。精製蛋白質は、SDS−PAGEより確認を行った後に、HBS−Nにバッファー交換し終濃度16%となるようにグリセロールを加えて−80℃にて保存した。

(2)複合体作製及び結合評価
複合体の作製において、上記にて得られたVH(HEL)-His6、VL(HEL)-His10及びリゾチームの混合比を10:10:3にした以外は実施例1と同様にして、固定化担体Gを得た。実施例1と同様にして固定化担体Gにおけるリゾチーム結合量を評価した。
[比較例4]
複合体の固定において、上記にて得られたVH(HEL)-His6、VL(HEL)-His10を順番に固定した以外は実施例4と同様にして、固定化担体Hを得た。実施例1と同様にして固定化担体Hにおけるリゾチーム結合量を評価した。
<評価>
リゾチーム結合率の測定
実施例4及び比較例4の結果について、リゾチーム結合率を算出して、比較した。リゾチーム結合率は、リゾチーム添加開始後10分間の結合の経時変化をBiacore3000で測定し、この10分間のリゾチームの結合量を断片化抗体固定量で除して得た。比較例2のリゾチーム結合率を1としたときのリゾチーム結合率を算出した。
表9から明らかなように、断片化抗体がMBP融合体でなくても、3者以上での複合体反応が効率よく検出可能であり、検出感度や精度を高くすることができる。
また、実施例4と、単鎖ペプチドの一方をMBP融合体とした実施例3とについて、単位時間あたりの結合量に基づいて結合速度を比較したところ、実施例3よりも実施例4の方がリゾチームの結合速度が速いという結果が得られた。従って、より低分子量となる実施例4のVH領域ポリペプチドとVL領域ポリペプチドの方が、協働してリゾチームに結合する際に、リゾチームとの結合最適位置へ、より短い時間で移動していると考えられる。このことから、断片化抗体同士間距離が常に、0(即ち、断片化抗体同士が結合した状態)ではないと考えられる。
これらのことにより、本実施例の固定化担体は、物質のフレキシビリティーが重要となる触媒反応や、連続反応等への適用できると考えられる。このような触媒反応や連続反応等への適用は、VH領域ポリペプチドとVL領域ポリペプチドのアフィニティーが強い場合よりも弱い方が有利であることが多い。
[実施例5]
抗オステオカルシン(BGP)VH領域ポリペプチド(VH(BGP))、およびVH(BGP)とMBPとの融合蛋白質(MBP-VH(BGP))、抗BGP VL領域ポリペプチドとMBPとの融合蛋白質(MBP-VL(BGP))の作製
以下の実施例で使われる略語は以下の通りである。
LB:実施例1で用いたものと同一
LBA:実施例1で用いたものと同一
LBAG:実施例1で用いたものと同一
LBAプレート:実施例1と同一
SOC:実施例1で用いたものと同一
PBS:137mM NaClと2.7mM KClを含む10mM phosphate buffer(pH7.2)
5% IBPBS:5%(v/v)イムノブロック(大日本住友製薬,大阪)を含むPBS
20% IBPBS:20%(v/v)イムノブロックを含むPBS
PBST:0.1% Triton−X100を含むPBS
TAEバッファー:実施例1で用いたものと同一
TALONバッファー:実施例1で用いたものと同一
TALON溶出液:実施例1で用いたものと同一
IPTG:実施例1で用いたものと同一
HBS−Nバッファー:実施例1で用いたものと同一
実施例1と同様に、すべての実験において、Milli-Q (Millipore Co., Billerica, MA)にて精製した水を用いた。以下、milliQ水と表記する。通常の試薬は特に表記のあるもの以外は、シグマ(St. Louis, MO)、ナカライテスク(京都)、和光純薬(大阪)、関東化学(東京)のものを使用した。オリゴDNAはテキサスジェノミクスジャパン(東京)、またはInvitrogen(東京)にて合成した。
使用した大腸菌XL10−Gold及びOverExpress C41、HB2151の遺伝子型を表10に示す。

(A)MBP-VH(BGP)発現プラスミドのコンストラクション
(a)実験に使用したベクター
pET-MBPp-His6: ヒスチジン6残基のHis-Tag(His6)が付加されたマルトース結合蛋白質(MBP)の遺伝子が挿入されたpET15bベクター(Merck Chemicals Ltd., Darmstadt, Germany)。(前述、配列番号7)
pIT2-VH(BGP): 抗BGP抗体のVH領域ポリペプチド(VH(BGP))遺伝子(配列番号15、表11、アミノ酸:配列番号16)が挿入されたpIT2ベクター。
pMAL-VL(BGP): 抗BGP抗体KTM219のVL領域のポリペプチドとMBPとの融合蛋白質(MBP-VL(BGP))の発現用ベクター (文献Lim et al. Anal.Chem. 79, 6193 (2007))

(b)pET-MBPp-His6の制限酵素処理
約10μgのpET-MBPp-His6を含む77μlの水溶液に、3μl Not I (Roche Applied Science, Basel, Switzerland, 10 U)、10μl 10x BSA溶液、10μl 10x Hバッファー(Roche Applied Science)を添加し、37℃で約3時間静置した。その後、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega Co., Madison, WI)を用いて抽出し、50μlのmilliQ水に溶解し、3μl Sfi I (Roche Applied Science, 10 U)、7μl 10x BSA溶液、7μl 10x Mバッファー(Roche Applied Science)を添加し、50℃で約3時間静置した。その後、1%アガロースゲル(TAEバッファー)で電気泳動した後、約4100bp付近のバンドを切り出して、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega Co.)を用いて抽出し、50μlのmilliQ水に溶解した。
(c)pIT2-VH(BGP)からのVH(BGP)遺伝子断片の切り出し
約10μgのpIT2-VH(BGP)を含む77μlの水溶液に、3μl Not I (Roche Applied Science, 10 U)、10μl 10x BSA溶液、10μl 10x Hバッファー(Roche Applied Science)を添加し、37℃で約3時間静置した。その後、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega Co.)を用いて抽出し、50μlのmilliQ水に溶解し、3μl Sfi I (Roche Applied Science, 10 U)、7μl 10x BSA溶液、7μl 10x Mバッファー(Roche Applied Science)を添加し、50℃で約3時間静置した。その後、1%アガロースゲル(TAEバッファー)で電気泳動した後、約450bp付近のバンドを切り出して、Wizard SV Gel and PCR Clean-Up System (Promega Co.)を用いて抽出し、50μlのmilliQ水に溶解した。
(d)VH(BGP)のpET-MBPp-His6への組込み
上記で精製した制限酵素処理済pET-MBPp-His6とVH(BGP)遺伝子断片の溶液は、それぞれ0.5μlと5μlずつ混合し、さらに5.5μlのDNA Ligation high ver2溶液(TOYOBO CO., LTD, 大阪)を加えて、16℃30分間ライゲーション反応を行った。約1μlのライゲーション反応液を、約50μlの大腸菌XL10-Goldケミカルコンピテントセルに加えて形質転換した。形質転換株をLBAG寒天培地にて37℃一晩培養し、シングルコロニーをLBAG 50mlにてさらに一晩培養した菌体よりWizard Plus Minipreps DNA Purification kit (Promega Co.)にてプラスミドDNAを抽出し、pET-MBPp-VH(BGP)を得た。DNA配列は、Beckman Coulter社のプロトコールに従って確認した。
(B)MBP-VH(HBGP)及びMBP-VL(BGP)蛋白質の調製
プラスミドpET-MBPp-VH(BGP)及びpMAL-VL(BGP)を大腸菌OverExpress C41(DE3)にヒートショック法で形質転換し、発現させた。プラスミド1μl(約100ng)とOverExpress C41(DE3)コンピテントセル100μlを混合し氷上30min静置した後、42℃45秒ヒートショックしすぐに2分氷上静置した。その後、SOC培地200μlを加え30分キュアリングし、LBAプレートに塗布して37℃で一晩培養した。
生じたコロニーを4mlのLBAGに植菌し、30℃で一晩振とう培養を行った。少量培養した培養液4mlを800mlのLBAに加え、30℃で振とうし、大量培養を行った。O.D.が0.5〜0.6になったところで1000mMのIPTG 400μlを加え、さらに20℃で一晩時間振とう培養した。菌体培養液を遠心分離機でそれぞれ上清と大腸菌のペレットに分離した後、上清からは硫安沈殿法で、ペレットからは超音波菌体破砕で、それぞれ下記のMBP-VH(BGP)(配列番号17、表12)及びMBP-VL(BGP)(配列番号18、表13)を以下のように回収した。


約800mlの培養上清に硫安344gを加えて、4℃で一晩攪拌した後、遠心分離によってMBP-VH(BGP)もしくはMBP-VL(BGP)を含む不溶物を回収し、30mlのTALONバッファーに懸濁した。一方、大腸菌ペレットは、30mlのTALONバッファーに懸濁後、超音波処理を行い、遠心分離によってMBP-VH(BGP)もしくはMBP-VL(BGP)を含む上清を回収した。上清はTALONバッファーに対して透析した。それぞれのTALONバッファー中に回収した蛋白質を、TALON affinity resin (Clontech Laboratories, Inc., Mountain View, CA) を充填したカラム(直径16mmx高さ約15mm)に添加し、蛋白質の吸着したTALON affinity resinは TALONバッファーで洗浄した。その後、TALON溶出液を加えて、MBP-VH(BGP)もしくはMBP-VL(BGP)を溶出させた。精製蛋白質は、SDS−PAGEより確認を行った後に、HBS−Nにバッファー交換し終濃度16%となるようにグリセロールを加えて−80℃にて保存した。
(C)複合体の作製
上記で作製したMBP-VH(BGP)、MBP-VL(BGP)及びBGPのC末端アミノ酸断片(RRFYGPY:配列番号19)を1:1:1の個数比で混合し、1.1μMのHEPESバッファー溶液を作製し、室温に3時間静置して、複合体試料液を作製した。
(D)複合体の固定
市販のセンサーチップCM5(GEヘルスケア)社製)をBiacore社製の表面プラズモン共鳴装置であるBiacore3000にセットし、SPR用HEPES緩衝液(20mM HEPES−HCl,150mM NaCl,pH7.4)を10μl/minの流速で担体表面を安定させ、0.2mMのEDCと0.04mMのNHS混合水溶液を70μl添加した。その後、上記複合体試料液をpH4.5アセテートバッファーで半分に希釈した希釈後の複合体試料液50μlを担体試料に供給し、その後、エタノールアミン溶液によってブロッキング処理を施して、固定化を行った。
(E)抗原の洗浄
複合体の固定化後、pH1.5 グリシンバッファーと10mM NaOHにより1分間の洗浄を5回交互に繰り返して、抗原を除去し、本実施例の固定化担体Iを得た。洗浄後の試料の屈折率と複合体固定前の試料の屈折率から断片化抗体固定量を算出した。
(F)抗原との結合反応評価
上記で得られた固体化担体Iに、1000nMのBGPのC末端アミノ酸断片(RRFYGPY:配列番号19、以下、断片化BGP)を10分間添加し、結合量を評価した。
[比較例5]
複合体の固定において、MBP-VH(BGP)、MBP-VL(BGP)を順番に固定した以外は実施例5と同様にして、固定化担体Jを得た。実施例5と同様にして固定化担体Jにおける断片化BGP結合量を評価した。
<評価>
断片化BGP結合率の測定
実施例5及び比較例5の結果について、断片化BGP結合率を算出して、比較した。断片化BGP結合率は、断片化BGP添加開始後10分間の結合の経時変化をBiacore3000で測定し、この10分間の断片化BGP結合量を断片化抗体固定量で除して得た。比較例5の断片化BGP結合率を1としたときの断片化BGP結合率を算出した。
結果を表14に示す。
表14から明らかなように、抗原が低分子である7残基のペプチドにおいても、三者以上での複合体反応が効率よく検出可能であり、検出感度や精度を高くすることができる。従って、本発明は、抗原の低分子、タンパク質等の種類によらず、固定可能であり、汎用性の高い固定化担体を作製できると考えられる。
従って本発明によれば、1種の抗原と2種以上の断片化抗体との相互作用のような、1種の検体物質と2種以上の物質との相互作用を、安定した結合特性で精度よく検出することができ、汎用性の高い固定化担体を提供することができる。
10 固定化担体
12 担体
14 自己組織化膜
16 ポリマー層
18A 断片化抗体
18B 断片化抗体

Claims (13)

  1. 担体と、少なくとも1セットの断片化抗体とを含み、各セットの断片化抗体が、1種の抗原を認識し、前記同じ抗原に結合可能な位置関係でそれぞれ独立に固定化されている少なくとも2種の独立した断片化抗体であって、前記少なくとも2種の独立した断片化抗体が、抗体分子のVH領域ポリペプチドと、抗体分子のVL領域ポリペプチドである断片化抗体固定化担体。
  2. 前記断片化抗体が、前記担体と結合するための官能基を表面に有する請求項1に記載の断片化抗体固定化担体。
  3. 前記担体がポリマー層を有し、前記少なくとも2種の断片化抗体が該ポリマー層に固定化されている請求項1又は請求項2に記載の断片化抗体固定化担体。
  4. 該ポリマー層の膜厚が1nm以上0.5mm以下である請求項3記載の断片化抗体固定化担体。
  5. 該ポリマー層が自己組織化膜を介して担体上に結合している請求項3又は請求項4記載の断片化抗体固定化担体。
  6. 該自己組織化膜の膜厚が0.2nm以上10μm以下である請求項5記載の断片化抗体固定化担体。
  7. 前記ポリマー層が、前記断片化抗体を固定するための官能基を表面に有する請求項3ないし請求項6のいずれか1項記載の断片化抗体固定化担体。
  8. 前記断片化抗体と前記抗原との結合反応に基づくバイオリアクター又はバイオセンサーに用いられる固定化担体である請求項1ないし請求項のいずれか1項記載の断片化抗体固定化担体。
  9. 表面プラズモン共鳴分析用の固定化担体である請求項1ないし請求項のいずれか1項記載の断片化抗体固定化担体。
  10. 1種の抗原を認識する独立した断片化抗体である抗体分子のVH領域ポリペプチド及び抗体分子のVL領域ポリペプチドと、当該抗原とを、抗原の個数とVH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドで構成される分子の結合価の比として0.1:1〜10:1となるように接触させて、前記VH領域ポリペプチドとVL領域ポリペプチドと前記抗原とが結合した複合体を形成する形成工程と、
    前記VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドを固定するための官能基を表面に有する担体に、前記複合体を接触させて前記VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドを介して固定化された前記複合体を表面に有する担体を得る固定化工程と、
    前記担体に固定化された前記複合体から前記抗原を除去して、前記抗原に結合可能な位置関係で前記担体上に前記VH領域ポリペプチド及びVL領域ポリペプチドがそれぞれ固定化されている固定化担体を得る除去工程と、
    を含む断片化抗体固定化担体の製造方法。
  11. 前記VH領域ポリペプチド:VL領域ポリペプチド:抗原の混合比が、10:10:1から10:10:9である請求項10記載の断片化抗体固定化担体の製造方法。
  12. 前記担体が、前記断片化抗体を固定するための官能基を表面に有するポリマー層を有する請求項10又は請求項11記載の断片化抗体固定化担体の製造方法。
  13. 前記除去工程が、複合体中の各断片化抗体と抗原との結合力を低下させる条件下で行われる請求項10ないし請求項12のいずれか1項記載の断片化抗体固定化担体の製造方法。
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