JP5370241B2 - シリカ多孔質体の製造方法 - Google Patents
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Description
多孔質シリカ膜を製造する方法として、特許文献1には、シリカ膜を液化炭酸ガスの超臨界乾燥することで低屈折率体(シリカエアロゲル)を得る方法が開示されている。この方法は極めて低屈折率を提供することが可能である。
また、特許文献2〜6には、アルコキシシランのゾル−ゲル反応に特定の有機物を共存させることで、シリカ/有機物−ハイブリッドを形成し、その後、有機物を除去することで、均一、かつ規則的な空孔を有するシリカ多孔質体を得る方法が開示されている。
また、特許文献2〜6記載の技術で得られるシリカ多孔質体形成用組成物は、ポットライフが短く、安定してシリカ多孔質体を得ることが困難であった。また、特許文献2〜6に記載されているように、従来の方法は低誘電率材料として開発されたものが多く、半導体プロセスにおける銅デュアルダマシン配線構造の形成のための化学的機械的研磨(CMP)に対する機械的な強度不足を課題としていた。このため、シリカ材料特有の水に対する膜の安定性に欠けていた。したがって、従来技術による低屈折率材料は光学用途として低屈折率の維持が困難であるという重要な課題があった。
一方、特許文献3及び特許文献5に記載のシリカ多孔質体形成用組成物では、用いる有機物の分子量が低く、得られるシリカ多孔質体の多孔度を高く維持することが困難であり、低屈折率なシリカ多孔質体を安定して製造することができないと予想される。
すなわち、本発明は、シリカ系組成物からシリカ多孔質体を製造する製造方法であって、該組成物が、下記(A)〜(E)を含み、該組成物中の全アルコキシシラン類由来の珪素原子に対する水の割合(mol/mol)が12以上20以下であって、該組成物を膜厚が0.05〜0.5μmになるように膜化し、大気雰囲気下100℃〜200℃で加熱した後、更に大気雰囲気下300℃〜700℃で加熱することを特徴とするシリカ多孔質体の製造方法に存する。
(A):下記(a)及び/又は(b)
(a)少なくともテトラアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるテトラアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種、並びにテトラアルコキシシラン類以外のアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなる他のアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種
(b)該テトラアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種及び他のアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種の部分縮合物
(B):水
(C):2種類以上の有機溶媒
(D):触媒
(E):有機ポリマー
[1.組成物]
本発明の製造方法は、シリカ系前駆体組成物(本明細書ではシリカ系組成物や本発明の組成物ともいう)を使用したシリカ多孔質体膜の製造方法である。
(A):下記(a)及び/又は(b)
(a)少なくともテトラアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるテトラアルコキシシラン類群(以下適宜、「テトラアルコキシシラン類群」という)より選ばれる少なくとも一種、並びにテトラアルコキシシラン類以外のアルコキシシラン類(以下適宜、「他のアルコキシシラン類」という)、その加水分解物及び部分縮合物からなる他のアルコキシシラン類群(以下適宜、「他のアルコキシシラン類群」という)より選ばれる少なくとも一種
(b)該テトラアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種及び他のアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種の部分縮合物(以下適宜、「特定部分縮合物」という)
(B):水
(C):2種類以上の有機溶媒
(D):触媒
(E):有機ポリマー
より好ましくは、該組成物は下記(1)、(2)を満たすものである。
(1)全アルコキシシラン類由来のケイ素原子に対するテトラアルコキシシラン類由来のケイ素原子の割合が0.3(mol/mol)〜0.7(mol/mol)である。
(2)該有機溶媒中の80重量%以上が、沸点55℃〜140℃の溶媒である。
本発明の組成物は、アルコキシシラン類として、少なくとも、以下の第1及び第2化合物(群)のうちいずれか一方又は両方を含有する。
〔第1の化合物(群)〕
テトラアルコキシシラン類群(即ち、テトラアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなる群)より選ばれる少なくとも一種と、他のアルコキシシラン類群(即ち、他のアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなる群)より選ばれる少なくとも一種との組み合わせ。
特定部分縮合物(即ち、テトラアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種と他のアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種との部分縮合物)。
[1−1−1.テトラアルコキシシラン類群]
テトラアルコキシシラン類の種類に制限は無い。好適なものの例を挙げると、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ(n−ブトキシ)シランなどが挙げられる。また、テトラアルコキシシラン類群の例としては、前記のテトラアルコキシシラン類の加水分解物及び部分縮合物(オリゴマー等)なども挙げられる。
ただし、テトラアルコキシシラン類は経時的に加水分解及び部分縮合を生じやすいため、テトラアルコキシシラン類のみを用意した場合でも、通常はそのテトラアルコキシシラン類の加水分解物及び部分縮合物がテトラアルコキシシラン類と共存することが多い。 なお、テトラアルコキシシラン類群に属する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
他のアルコキシシラン類は、上述したテトラアルコキシシラン類に属さないアルコキシシランであれば、任意のものを使用できる。好適なものの例を挙げると、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン類;ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,4−ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、1,3,5−トリス(トリメトキシシリル)ベンゼン等の有機残基が2つ以上のトリアルコキシシリル基を結合したもの;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−カルボキシプロピルトリメトキシシラン等のケイ素原子に置換するアルキル基が反応性官能基を有するもの;などが挙げられる。また、他のアルコキシシラン類群の例としては、前記の他のアルコキシシラン類の加水分解物及び部分縮合物(オリゴマー等)なども挙げられる。
ただし、他のアルコキシシラン類は経時的に加水分解及び部分縮合を生じやすいため、他のアルコキシシラン類のみを用意した場合でも、通常はその他のアルコキシシラン類の加水分解物及び部分縮合物が他のアルコキシシラン類と共存することが多い。
なお、他のアルコキシシラン類に属する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
特定部分縮合物としては、上述したテトラアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種と他のアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種とが部分縮合した部分縮合物であれば、任意のものを用いることができる。好適な例を挙げると、テトラアルコキシシラン類の好適な例として例示したものと、他のアルコキシシラン類の好適な例として例示したものとが部分縮合した部分縮合物が挙げられる。
なお、特定部分縮合物は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。さらに、特定部分縮合物は、特定部分縮合物のみで用いてもよいが、上述したテトラアルコキシシラン類及び他のアルコキシシラン類の一方又は両方と併用してもよい。
上述したテトラアルコキシシラン類及び他のテトラアルコキシシラン類の組み合わせの中でも、特に好ましい組み合わせとしては、テトラアルコキシシラン類としてのテトラエトキシシランと、他のアルコキシシラン類としての芳香族炭化水素基又は脂肪族炭化水素基を有するモノアルキルアルコキシシラン又はジアルキルアルコキシシランとの組み合わせが挙げられる。この組み合わせによれば、均質且つ耐久性を有するシリカ多孔質体が得られる。
本発明の組成物において、上述したアルコキシシラン類は、以下の条件を満たすものとする。即ち、全アルコキシシラン類由来のケイ素原子に対するテトラアルコキシシラン類由来のケイ素原子の割合が、通常0.3(mol/mol)以上、好ましくは0.35(mol/mol)以上、より好ましくは0.4(mol/mol)以上であり、また、通常0.7(mol/mol)以下、好ましくは0.65(mol/mol)以下、より好ましくは0.6(mol/mol)以下である。前記の割合が小さすぎる場合、得られるシリカ多孔質体の疎水性は高くなるが、−O−Si−O−の結合が少なくなることで、シリカ多孔質体の機械的強度が極めて弱く、同様に耐水性も低下する可能性がある。一方、前記の割合が大きすぎる場合、シリカ多孔質体中の残存シラノール基が多くなり、やはり耐水性が低下する可能性がある。
ことが好ましく、また通常70重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下含有されていることが好ましい。0.05重量%を下回ると膜厚むらといった造膜性が低下する可能性があり、70重量%を越えると組成物の安定性が低下する可能性がある。なお、ケイ素原子含有化合物とは、ケイ素原子を含有する化合物であるが、具体的には前述の、テトラアルコキシシラン類、テトラアルコキシシラン類群、他のアルコキシシラン類、他のアルコキシシラン類群、特定部分縮合物が挙げられる。
また、シリカ多孔質体の製造プロセスの観点では、前記ケイ素原子含有化合物や下記に説明する有機ポリマーなどを含む固形分濃度は通常0.1重量%以上であり、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。また通常50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、35重量%以下がさらに好ましい。
本発明の組成物は、水を含有する。用いる水の純度は高いほうが好ましい。通常は、イオン交換及び蒸留のうち、いずれか一方または両方の処理を施した水を用いればよい。ただし、本発明の光学用途積層体のような微小不純物を特に嫌う用途分野に本発明のシリカ多孔質体を用いる際には、より純度の高いシリカ多孔質体が望ましいため、蒸留水をさらにイオン交換した超純水を用いることが好ましい。詳しくは、例えば0.01μm〜0.5μmの孔径を有するフィルターを通した水を用いればよい。
また、前期の範囲よりも大きいと、ゾル−ゲル反応が進みにくくなるため反応に時間がかかり、より親水的な表面を有するシリカ多孔質体が得られるため耐水性が低下する可能性がある。
従って、上記範囲内に水を制御することは、耐摩耗性および耐水性の向上のためには必須の条件である。
なお、水の量は、カールフィッシャー法(電量滴定法)により算出できる。
本発明の組成物は、有機溶媒を含有する。この有機溶媒の種類は、本発明の効果を損なわない限り制限は無い。中でも、有機溶媒としては、上述したアルコキシシラン類及び水を混和させる能力を有するものを1種以上用いることが好ましい。好適な有機溶媒の例を挙げると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール等の炭素数1〜4の一価アルコール、炭素数1〜4の二価アルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールなどのアルコール類;ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等の、前記アルコール類のエーテルまたはエステル化物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−アセチルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−アセチルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルピロリジン、N,N’−ジホルミルピペラジン、N,N’−ジホルミルピペラジン、N,N’−ジアセチルピペラジン等のアミド類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;テトラメチルウレア、N,N’−ジメチルイミダゾリジン等のウレア類;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの中でも、含有するアルコキシシラン類がより安定な条件下で加水分解を行なうためには、アルコール類が好ましく、1価アルコールがより好ましい。
また、組成物の成膜性の観点で、沸点の高いエーテル化物やエステル化物を少量混合することも可能である。
本発明の組成物は、触媒を含有する。触媒は、上述したアルコキシシラン類の加水分解および脱水縮合反応を促進させる物質を任意に用いることができる。
その例を挙げると、塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸などの酸類;アンモニア、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ピリジンなどの塩基類;アルミニウムのアセチルアセトン錯体などのルイス酸類;などが挙げられる。
また、触媒の例としては、金属キレート化合物も挙げられる。この金属キレート化合物の金属種としては、例えば、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、スズ、アンチモン等が挙げられる。金属キレート化合物の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
なお、触媒は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、造膜性の観点で組成物のpHは通常7未満であるが、5.5以下であることが好ましく、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは3以下、特に好ましくは2以下である。この範囲にすることで成膜時に基材の表面改質を同時に行うことができ、より造膜性が向上する傾向になる。
本発明の組成物は、有機ポリマーを含有する。有機ポリマーとしては、ポリエチレングリコール(以下適宜、「PEG」という)、ポリプロピレングリコール、ポリイソブチレングリコールポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリ(2−エチルー2−オキサゾリン)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸塩などが挙げられる。
この際、本発明に係る有機ポリマー中のエチレンオキサイド部位の含有量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常20重量%以上、好ましくは23重量%以上、より好ましくは25重量%以上であり、また、通常100重量%以下、好ましくは90重量%以下、より好ましくは85重量%以下である。エチレンオキサイド部位の含有量が上記の範囲に収まることで、アルコキシシラン類のゾル−ゲル反応中において形成されるアルコキシシラン類の加水分解物や縮合物に対して、有機ポリマーがさらに安定に存在することができる。
重量平均分子量は、好ましくは、4,300以上であり、より好ましくは5,000以上、特に好ましくは6,000以である。高分子の重量平均分子量が小さすぎると、得られるシリカ多孔質体の多孔度を高く維持することが困難となり、低屈折率なシリカ多孔質体を安定して製造することができなくなる可能性がある。なお、前記重量平均分子量の上限は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常100,000以下、好ましくは70,000以下、より好ましくは40,000以下である。重量平均分子量が大きすぎると均質なシリカ多孔質体を製造できなくなり、シリカ多孔質体の耐水性が低下する可能性がある。
本発明のシリカ多孔質体を製造することが可能である限り、本発明の組成物には、上述したアルコキシシラン類、水、有機溶媒、触媒及び本発明に係る有機ポリマー以外の成分を含有していても良い。また、当該成分は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の組成物は、屈折率が低く耐摩耗性、耐水性に優れる本発明のシリカ多孔質体を製造することができる。なお、本発明の組成物から本発明のシリカ多孔質体を製造する具体的な方法については、後述する。
また、本発明の組成物はポットライフが長く安定しているため、従来の技術に比べて安定して均一なシリカ多孔質体膜を製造できる。
さらに、本発明の組成物においては、耐水性に優れたシリカ多孔質体の屈折率を、所望の範囲に収めることができる。
本発明のシリカ多孔質体の製造方法に制限は無いが、通常は、上述した本発明の組成物を膜状等の所望の形状に成形し、加熱により硬化させて本発明のシリカ多孔質体を製造する。以下、この製造方法(以下適宜、「本発明の製造方法」という)について詳細に説明する。
本発明の製造方法では、本発明の組成物を調合し、これを膜化した後、加熱して本発明のシリカ多孔質体を製造する。また、本発明の製造方法では、必要に応じて、その他の操作を行なってもよい。例えば、本発明の組成物の調合中又は調合後に熟成を行なってもよく、硬化後の本発明のシリカ多孔質体の冷却及び後処理などを行なってもよい。
調合工程では、本発明の組成物を構成する各成分を混合して、本発明の組成物を用意する。この際、各成分の混合の順番に制限は無い。また、各成分は、全量を一回で混合しても良く、2回以上に分けて連続又は断続的に混合しても良い。
また、熟成の後、膜化工程の前に本発明の組成物は有機溶媒を更に混合して希釈することが好ましい。これにより、本発明の組成物内でのゾル−ゲル反応速度を低下させることができ、本発明の組成物のポットライフを長く維持することが可能となる。
調合工程の後、用意した本発明の組成物を膜化する膜化工程を行なう。膜化工程では、通常、所定の基材の表面に本発明の組成物を成膜して本発明の組成物の膜を形成する。
成膜の方法に制限は無いが、例えば、本発明の組成物をバーコーター、アプリケーター、ドクターブレード等を使用して基材上に延ばす流延法;本発明の組成物に基材を浸漬し引き上げるディップコート法;スピンコート法、キャピラリーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などの周知を挙げることができる。これらの方法のうち、流延法、ダイコート法、スプレーコート法及びスピンコート法が本発明の組成物を均一に塗布することができるので好ましく採用される。中でも、均質な膜を形成する上ではスピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法が特に好ましい。
流延法で本発明の組成物を膜化する場合、流延速度に制限は無いが、通常0.1m/分以上、好ましくは0.5m/分以上、より好ましくは1m/分以上、また、通常1000m/分以下、好ましくは700m/分以下、より好ましくは500m/分以下である。流延速度が遅すぎると膜厚にムラができる可能性があり、速すぎると基材との濡れ性の制御が困難になる可能性がある。
また、スプレーコート法で本発明の組成物を塗布形成する場合、スプレーノズルの方式には特に限定されないが、各々のスプレーノズルの利点を考慮して選択すればよい。代表的な例として、二流体スプレーノズル(二流体霧化方式)、超音波スプレーノズル(超音波霧化方式)、回転式スプレーノズル(回転霧化方式)などが挙げられる。組成物の霧化と気体流による霧化粒子の基材への搬送を独立に制御できる点では、超音波スプレーノズル、及び回転式スプレーノズルが好ましく、組成物の液性維持の観点では二流体スプレーノズルが好ましい。
スプレーノズルと基材との距離は基材サイズにより適宜調整することが好ましいが、通常5cm以上、好ましくは10cm以上、より好ましくは15cm以上である。また通常100cm以下、好ましくは80cm以下、より好ましくは50cm以下である。この範囲を超えると膜厚むらが発生する可能性がある。
膜化工程における雰囲気に制限は無い。例えば、空気雰囲気中で膜化を行なっても良く、例えばアルゴン等の不活性雰囲気中で膜化を行な・BR>チてもよい。
なお、本発明の組成物を基材上に成膜するのに先立って、本発明の組成物の濡れ性、形成されるシリカ多孔質体の密着性の観点から、基材に表面処理を施しておいてもよい。そのような表面処理の例を挙げると、シランカップリング処理、コロナ処理、UVオゾン処理などが挙げられる。また、表面処理は、1種のみを行なってもよく、2種以上を任意に組み合わせて行なってもよい。
また、膜化工程は一回で行なってもよいが、二回以上に分けて行なってもよい。例えば、後述する加熱工程を介して膜化工程を二回以上行なうようにすれば、積層構造を有するシリカ多孔質体を形成することが可能である。これは、例えば屈折率が異なる層を積層したい場合などに有用である。
膜化工程の後、本発明の組成物の膜を加熱する加熱工程を行なう。加熱工程は2段階に分けて各工程別に詳細な温度制御を行なうことも本発明の特徴である。加熱工程を二つに分けることにより、より均質な膜の形成が可能になり、耐摩耗性も向上する。さらに、生産途中でラインを停止することも可能になり生産性の向上にも寄与することが可能である。加熱工程により、本発明の組成物中の有機溶媒及び/又は水が乾燥、除去されて、膜が硬化することにより、本発明のシリカ多孔質体が形成される。なお、本発明では2段階に分けて各工程別に詳細な温度制御を行うが、第一加熱工程(プリベーク)では、下記に示す温度範囲において、組成物中の有機溶媒及び/又は水が乾燥、除去されれば特に制限はないが、除去される割合は、第一加熱工程(プリベーク)を行う前の有機溶媒及び水の量それぞれに対して通常50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは100%である。つまり、第一加熱工程(プリベーク)において有機溶媒及び/又は水が乾燥、除去された後に、第二加熱工程(本ベーク、硬化)の工程を行う。
以上のように、加熱処理を行なうことにより、本発明の組成物の膜を硬化させて、本発明のシリカ多孔質体を得ることができる。また、前記の膜は通常は基材表面に形成されるため、本発明の製造方法によれば、本発明の光学用積層体を製造することも可能である。
加熱工程の後、必要に応じて、冷却工程を行なってもよい。冷却工程では、加熱工程で高温となった本発明のシリカ多孔質体を冷却する。この際、冷却速度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.1℃/分以上、好ましくは0.5℃/分以上、より好ましくは0.8℃/分以上、更に好ましくは1℃/分以上、また、通常100℃/分以下、好ましくは50℃/分以下、より好ましくは30℃/分以下、更に好ましくは20℃/分以下である。冷却速度が遅すぎると製造コストが高くなる可能性があり、速すぎると隣接する膜間の線膨張が異なることによる膜質の低下が予想される。
また、冷却工程における雰囲気は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であり、例えば、真空環境、不活性ガス環境であってもよい。さらに、温度及び湿度に制限は無いが、通常は常温・常湿で冷却する。
加熱工程の後、必要に応じて、後処理工程を行なってもよい。後処理工程で行なう具体的な操作に制限は無いが、例えば、得られたシリカ多孔質体をシリル化剤で処理することで、本発明のシリカ多孔質体の表面をより機能性に優れたものにできる。具体例を挙げると、シリル化剤で処理することにより、本発明のシリカ多孔質体に疎水性が付与され、アルカリ水などの不純物により空孔が汚染されるのを防ぐことができる。
[2−6.その他]
本発明の製造方法では、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した各工程の工程前、工程中及び工程後の任意の段階で、任意の工程を行なってもよい。
本発明の製造方法によれば、屈折率が低く、耐摩耗性、耐水性に優れる本発明のシリカ多孔質体を製造できる。また、本発明の製造方法によれば、本発明の組成物及び光学用途積層体を製造することもできる。即ち、本発明の製造方法によれば、低屈折率という光学的性能を安定して維持できるシリカ多孔質体、光学用途積層体及び組成物、並びに、それを用いた光学用途積層体を提供できる。特に、製造できるシリカ多孔質体は、耐摩耗性、耐水性に優れるため、屋外での使用を前提とした用途にも好適に使用できる。
[3−1.多孔質構造]
本発明のシリカ多孔質体は、多数の空孔を有したシリカを主成分とする多孔質構造を有する多孔質体である。その空孔は、通常、トンネル状や独立空孔がつながった連結孔であるが、詳細な空孔の構造には特に制限はない。ただし、当該空孔の構造としては連続的な空孔が好ましく、こうした連続的な空孔は電子顕微鏡により確認することができる。
シリカ多孔質体を低反射層として使用する場合、シリカ多孔質体は一定サイズ以上の基材に備えることが好ましい。即ち0.1m2以上が好ましく、0.25m2以上がより好ましく、1m2以上がさらに好ましい。かかるサイズより小さいと、低反射効果が十分に現れない可能性がある。
さらに、本発明のシリカ多孔質体は、磨耗性に対して耐性があり、水に対して安定であるため、屋外での使用を前提とした用途にも利用できることから、太陽電池に対しても応用できる。この場合、本発明のシリカ多孔質体は、太陽電池用低反射層として用いて好適である。この太陽電池用低反射層は、通常は太陽電池の最表面に形成され、光取り込み膜として機能するものである。即ち、太陽電池用低反射層は、太陽電池に入射する光を効率よく内部に取り込み、太陽電池の発光効率を高める働きをするものである。
本発明のシリカ多孔質体は、屈折率が1.3以下である。中でも、1.28以下が好ましく、1.27以下がより好ましく、1.25以下が特に好ましい。さらに好ましくは1.23以下である。屈折率が大きすぎると本発明のシリカ多孔質体中の歪みが大きくなり、外力に対して弱くなる可能性がある。一方、屈折率の下限に特に制限は無いが、通常1.05以上、好ましくは1.08以上である。屈折率が小さすぎると本発明のシリカ多孔質体の機械的強度が著しく低下する可能性がある。
また、中心線平均粗さの大きい基材上に備えられたシリカ多孔質体の場合、反射率分光スペクトル測定によっても屈折率を見積もることが可能であり、測定領域を10μm以下にすることが好ましい。
本発明のシリカ多孔質体は、水に浸漬する前と、水に24時間浸漬した後との波長550nmでの屈折率差が、0.15以下である(条件(2))。中でも0.1以下がより好ましく、0.05以下が更に好ましく、0.03以下が特に好ましい。これにより、本発明のシリカ多孔質体は、耐水性に優れ、光学用途でも安定した屈折率性能を得ることができる。また、屈折率差が前記上限値より大きい場合、シリカ多孔質体の多孔質構造内部に水を拘束していると同時に、上記処理によりシリカ多孔質体内部でシラノール基の縮合反応が進んでいる可能性が高い。この場合、処理前の段階で既にシリカ多孔質体が不安定な状態にあった可能性がある。
膜厚の測定は、ケーエルエー・テンコール社製P−15型接触式表面粗さ計を用い、測定条件はスタイラス・フォース(触圧)0.2mg、スキャン速度10μm/秒として行なえばよい。また分光エリプソメーター、反射分光スペクトル法、プリズムカップラによっても評価できる。
本発明の光学用途積層体は、基材と、当該基材上に設けられた本発明のシリカ多孔質体とを備えて構成される。また、本発明の光学用途積層体は、必要に応じて、基材及びシリカ多孔質体以外の部材を備えていても良い。 [4−1.基材]
基材は用途に応じて任意のものを用いることができる。中でも、汎用材料からなる透明基板を用いることが好ましい。
例えば透光基材として太陽電池用カバーガラスを用いる場合、シリカ系多孔質膜は透光基材表面の反射防止膜として機能し、出力の向上を実現する。本発明の製造方法により得られる多孔質シリカ膜は耐久性に優れているため、このような用途に好適である。なお単結晶太陽電池や多結晶太陽電池などの近赤外光でも光電変換可能な太陽電池に用いられる太陽電池用カバーガラスを透光基材として用いる場合には、通常のソーダ石灰ガラスでは含有される2価の鉄イオンによって近赤外領域に吸収を持つため、鉄イオン含有量を低減することで光透過性を高めることが好ましく、さらに耐衝撃強度が優れた白板強化ガラスを上記透光基材として用いることがより好ましい。
また、樹脂カバーフィルムとしてフッ素含有樹脂を用いる場合は、樹脂の表面処理を施した上に製膜することが好ましい。
また、基材の中心線平均粗さも任意である。ただし、積層するシリカ多孔質体の成膜性の観点から、当該中心線平均粗さは10nm以下が好ましく、8nm以下がより好ましく、5nm以下が更に好ましく、3nm以下が特に好ましい。
光学用途積層体において、本発明のシリカ多孔質体としては上述したものを用いる。
また、本発明のシリカ多孔質体は、直接又は他の層を介して基材上に設けられることになるが、通常は、本発明のシリカ多孔質体は膜状に設けられることになる。膜厚は通常0.05μm以上0.5μm以下が好ましく、好ましくは、0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上。上限は、0.25μm以下より好ましくは、0.2μm以下。膜厚が薄すぎると、本発明の シリカ多孔質体と他の部材との界面(例えば、密着した基材とシリカ多孔質体との界面)の影響がシリカ多孔質体中の歪み及び表面性において支配的となり、本発明の光学用途積層体の膜質や耐水性が低下する可能性がある。膜厚が大きすぎると、シリカ多孔質体中の歪みが極度に増大し、成膜性が低下する可能性があり、耐摩耗性が十分に発揮できない可能性がある。本発明のシリカ多孔質体が前記の好適な膜厚となることにより、本発明の光学用途積層体に、光学用途部材を構成する部材として有効な光学性能と性能の安定性とを備えさせることができる。
また、光学用途積層体におけるシリカ多孔質体の表面粗さは、基材の表面粗さの影響を受ける事がある。基材表面が凹凸である場合、光学用途積層体におけるシリカ多孔質体の表面粗さは、前述の基板の表面粗さと同程度になる。
本発明の光学用途積層体には、必要に応じてその他の部材を備えさせても良い。例えば基材のシリカ多孔質体が形成された面とは反対側の面に電極を有するものとしてもよい。
基材のシリカ多孔質体が形成された面とは反対側の面に電極を有する光学積層体とすることで、ディスプレイや太陽電池といった光デバイスの部材として好適である。また、電極は直接又は他の層を介して基板に設けることができる。電極としてアルミニウム、錫、マグネシウム、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、白金、又はこれらを含む合金、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム、酸化亜鉛などが挙げられる。中でも透明性の観点で酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、又はこれを主組成としたものが好ましく、これらは1種単独で、または2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いることができる。またその膜厚は通常10nm以上、好ましくは40nm以上、より好ましくは80nm以上、さらに好ましくは100nm以上である。また通常500nm以下、好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下、さらに好ましくは200nm以下である。10nmを下回ると膜に欠陥ができ易くなる傾向があり、500nmを越えると透明性を損なう可能性がある。
更に、太陽電池では、通常は一対の電極1及び3を設け、当該電極1及び3の間に半導体層2が位置するように構成する。
ここで、太陽電池とは、光起電力効果を利用して、光エネルギーを電力に変換することのできる素子または装置であり、例として、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池などのシリコン系太陽電池、CIS系太陽電池、CIGS系太陽電池、GaAs系太陽電池などの化合物太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池、また多接合型太陽電池、HIT太陽電池が挙げられるが、特にこれらに限定するものではない。
この際、半導体層に用いられる半導体の種類に制限は無い。また、半導体は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。さらに、半導体層には、太陽電池としての機能を著しく損なわない限りその他の材料が含有されていても良い。
なお、半導体層の厚さに特に制限はないが、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常10μm以下、好ましくは5μm以下の寸法で形成する。
透明な電極の材料を挙げると、例えば、ITO、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の酸化物;金属薄膜などが挙げられる。なお、電極の材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
ただし、本発明の光学用途積層体を太陽電池として構成する場合には、シリカ多孔質体から半導体層までのC光の全光線透過率を、80%以上とすることが好ましく、83%以上とすることがより好ましく、86%以上とすることがさらに好ましく、90%以上とすることが特に好ましい。光の透過率が高いほど太陽電池が効率よく発電できるからである。また、前記全光線透過率は理想的には100%であるが、光学用途積層体の表面での部分反射を考慮すると通常99%以下である。本発明のシリカ多孔質体は、低屈折率を有するとともに耐摩耗性、耐水性に優れるため、このように太陽電池に非常に適した性能を発揮することが可能である。
また、本発明の光学用途積層体は、耐摩耗性、耐水性に優れ、平滑な表面を有する点において、エレクトロルミネッセンス(EL)素子にも好適である。
陽極は、可視光に対して透明性を有する透明電極層とすることも可能であり、透明電極層として形成される場合、可視光波長領域における光線透過率は大きいほど好ましい。この際、下限としては通常50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。また上限としては通常99%以下である。また陽極の電気抵抗は、面抵抗値として小さいほど好ましく、通常1Ω/□(オームパースクウェア;□=1cm2)以上とされ、通常100Ω/□以下、好ましくは70Ω/□以下、より好ましくは50Ω/□以下とされる。
また、本発明の光学用途積層体には、例えば、他の光学機能層及び保護膜を備えさせても良い。他の光学機能層は、用いる用途により適宜選択することができる。また、これらの層は1層のみを備えさせてもよく、2以上の層を任意に組み合わせて備えさせるようにしても良い。
本発明の光学用途積層体は、本発明のシリカ多孔質体を備えるため、屈折率が低く、耐水性に優れる。このため、本発明のシリカ多孔質体を例えば低反射層、反射防止層、エレクトロルミネッセンス素子における光取出し層などとして好適に使用することができる。特に、耐摩耗性、耐水性に優れる点を利用して屋外での使用を前提とした用途にも利用できるため、太陽電池の低反射層として用いて特に好適である。
[実施例1]
〔組成物の調合〕
テトラエトキシシラン 1.70g、メチルトリエトキシシラン 1.73g、エタノール(沸点78.3℃)0.58g、水 1.39g、及び、0.3重量%の塩酸水溶液3.25gを混合し、60℃のウォーターバス中で30分、さらに室温で30分攪拌することで、混合物(A)を調製した。
得られた組成物を、0.45μmのフィルターでろ過し、75mm角のガラス基材(中心線平均粗さ=0.01μm、表面粗さの最大高さRmax=0.13μm)に対して、2ml滴下した。そして、ミカサ製スピンコーターにて1000回転2分間回転させることで薄膜を作製した。この時の相対湿度は45%であった。
分光エリプソメーターにより測定し、Cauthyモデルで解析する。その結果、得られたシリカ多孔質体の波長550nmにおける屈折率は1.17であり、膜厚は0.146μmであった。
〔生産性〕
第一加熱工程の後で、生産ラインを止めて、保管が可能なのかどうかを生産性の指標とする。保管可能かどうかは、ごみの付着等がしやすいかどうかで判断する。
第一加熱工程後にごみの代わりにベンコットM−3(小津産業(株))を塗布面に置き、一日室温で保管した後、ベンコットM−3を取り除き、塗布面の様子を確認した。
ベンコットの跡が残っていたら×。残っていなければ○とした。
〔耐摩耗性1〕
往復磨耗試験機(スガ試験機製)を使用して、研磨紙としてベンコットM−3(小津産業(株))をサンプル表面に押し付けて、荷重200g、50往復試験後の膜の表面状態を顕微鏡で確認した。
試験後に膜全面がはがれた場合は、×、膜が残っていた場合は、○とした。
〔耐磨耗性2〕
研磨紙としてチーズクロスをサンプル表面に押し付けて、荷重500g、3往復試験後の膜の表面状態を確認した。
試験後に膜全面がはがれた場合は、×、膜が残っていた場合は、○とした。
希釈溶剤の1−ブタノールを50.0g加えたこと以外は実施例1と同様の操作を行なってシリカ多孔質体を製造し、各評価を行なった。結果を表1に示す。
希釈溶剤の1−ブタノールを11.0g加えたこと以外は実施例1と同様の操作を行なってシリカ多孔質体を製造し、各評価を行なった。結果を表1に示す。
第一加熱工程での加熱温度を40℃としたこと以外は実施例1と同様の操作を行なってシリカ多孔質体を製造した。 表面はべたつきがあり、ガラス基材との密着性は不十分であった。
[比較例3]
混合物(A)において水を加えず、塩酸水溶液を0.6重量%の塩酸水溶液 1.63gに変更し、混合物(C)作製時の希釈溶剤の1−ブタノールを21.8gに変更した以外は実施例1と同様の操作を行なってシリカ多孔質体を製造し、各評価を行なった。結果を表1に示す。
[比較例4]
混合物(A)において水を20g、混合物(C)作製時の希釈溶剤の1−ブタノールを80.87g加えたこと以外は実施例1と同様の操作を行なってシリカ多孔質体を製造し、各評価を行なった。結果を表1に示す。
上記実施例と比較例の結果を下記に示す。
2 半導体層
4 中間層
5 透明基板
6 多孔質体
Claims (3)
- シリカ系組成物からシリカ多孔質体を製造する製造方法であって、該組成物が、下記(A)〜(E)を含み、該組成物中の全アルコキシシラン類由来の珪素原子に対する水の割合(mol/mol)が12以上20以下であって、該組成物を膜厚が0.05〜0.5μmになるように膜化し、大気雰囲気下100℃〜200℃で加熱した後、更に大気雰囲気下300℃〜700℃で加熱することを特徴とするシリカ多孔質体の製造方法。
(A):下記(a)及び/又は(b)
(a)少なくともテトラアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなるテトラアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種、並びにテトラアルコキシシラン類以外のアルコキシシラン類、その加水分解物及び部分縮合物からなる他のアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種
(b)該テトラアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種及び他のアルコキシシラン類群より選ばれる少なくとも一種の部分縮合物
(B):水
(C):2種類以上の有機溶媒
(D):触媒
(E):有機ポリマー - シリカ多孔質体の屈折率が1.3以下であることを特徴とする請求項1に記載のシリカ多孔質体の製造方法。
- シリカ多孔質体が太陽電池用低反射層であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のシリカ多孔質体の製造方法。
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