以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づき詳述する。なお、各図面において、同じ符号を付した部材等は、同じ構成のものであり、これらについての重複説明は適宜省略するものとする。また、各図面においては、説明に不要な部材等は適宜、図示を省略している。
<第1実施形態>
図1および図2を参照して、本発明の一実施態に係る給紙装置を備えた画像形成装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る給紙装置を備えた画像形成装置の外観を示す斜視図である。図2は、上記画像形成装置の内部構造を示す断面図である。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのカラープリンタ1は、図1に示すように、パーソナルコンピュータ(PC)(図示せず)等に直接またはLAN経由で接続されるプリンタ本体200と、プリンタ本体200の下方に設けられ、各種サイズのシートPを当該サイズに合わせてそれぞれ収納可能に構成されたシート供給部100とを備えている。なお、カラープリンタ1は、該カラープリンタXの動作を制御する制御回路など、一般的なカラープリンタに設けられた他の構成要素も有している。
図2に示すように、プリンタ本体200は、トナーコンテナ900Y、900M、900C、900K、中間転写ユニット92、画像形成ユニット93、露光ユニット94、シート供給部100、定着ユニット97、排紙ユニット96、装置本体の筐体90、トップカバー911及びフロントカバー912を備えている。
画像形成ユニット93は、イエロー用トナーコンテナ900Y、マゼンタ用トナーコンテナ900M、シアン用トナーコンテナ900C、ブラック用トナーコンテナ900Kと、その下方に配置され、YMCK各色に対応する現像装置10Y、10M、10C、10Kを有している。
画像形成ユニット93には、さらにそれぞれの色のトナー像を担持する感光体ドラム17(電子写真方式で潜像が形成される感光体)が各々備えられている。かかる感光体ドラム17としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。各感光体ドラム17には、対応したトナーコンテナ900Y、900M、900C、900Kからそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーが供給される。
なお、本実施形態の画像形成ユニット93は、上記のようにフルカラー画像を形成することができる構成であるが、これに限定されることはなく、白黒画像やフルカラーではないカラー画像を形成する構成のものであってもよい。
感光体ドラム17の周囲には、帯電器16、現像装置10(10Y、10M、10C、10K)、転写器(転写ローラ)19及びクリーニング装置18等が配置されている。帯電器16は、感光体ドラム17の表面を均一に帯電する。帯電後の感光体ドラム17の表面は、露光ユニット94によって露光され、静電潜像が形成される。現像装置10Y、10M、10C、10Kは、それぞれトナーコンテナ900Y、900M、900C、900Kから供給される各色のトナーを用いて、各々の感光体ドラム17上に形成された静電潜像を現像(可視像化)する。転写ローラ19は、中間転写ベルト921を挟んで感光体ドラム17とニップ部を形成し、感光体ドラム17上のトナー像を中間転写ベルト921上に一次転写する。クリーニング装置18は、トナー像転写後の感光体ドラム17の周面を清掃する。
各現像装置10Y、10M、10C、10Kは、筐体20を備え、この筐体20の内部には、磁性キャリアとトナーとを有する2成分現像剤が収納されている。また、筐体20内には、筐体底部近傍に長手方向を軸方向として並列に2本の攪拌ローラ11、12(現像剤攪拌部材)が回転可能に配置されている。
筐体20の内部底面には、現像剤の循環経路が設定されており、攪拌ローラ11、12は前記循環経路内に配設されている。攪拌ローラ11、12の間の軸方向には、筐体底部から立設された仕切り壁201が設けられている。この仕切り壁201は、前記循環経路を区画するもので、仕切り壁201の周囲を周回するように前記循環経路が形成されている。2成分現像剤は、この循環経路を攪拌ローラ11及び12によって攪拌、搬送されながら帯電される。
2成分現像剤は、攪拌ローラ11及び12によって攪拌されつつ筐体20内を循環し、トナーが帯電されると共に、攪拌ローラ11上の2成分現像剤が上側に位置する磁気ローラ14に吸引されて搬送される。吸引された2成分現像剤は磁気ローラ14上に磁気ブラシ(図示せず)を形成し、その磁気ブラシがドクターブレード13によって層厚規制され、磁気ローラ14と現像ローラ15との間の電位差で現像ローラ15上にトナー層を形成する。そして、現像ローラ15上のトナー層によって感光体ドラム17上の静電潜像が現像される。
露光ユニット94は、光源やポリゴンミラー、反射ミラー、偏向ミラーなどの各種の光学系機器を有し、前記画像形成ユニット93の各々に設けられた感光体ドラム17の周面に、画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
中間転写ユニット92は、中間転写ベルト921、駆動ローラ922、及び従動ローラ923を備えている。中間転写ベルト921は、複数の感光体ドラム17からトナー像が重ね塗り状態で一次転写され、このトナー像を、給紙ユニット130から供給されるシートPに二次転写部98において二次転写する。駆動ローラ922及び従動ローラ923は、中間転写ベルト921を周回駆動させる。駆動ローラ922及び従動ローラ923は、図略の筐体で回転自在に支持される。
給紙ユニット130は、画像形成される複数のシートPからなるシート束Sを収納するものであって、筐体90に対して着脱可能に装着されている。
定着ユニット97は、中間転写ユニット92から二次転写されたシートP上のトナー像に対し、定着処理を施すものであり、定着処理の完了したカラー画像付のシートPは、装置本体200の上部に形成された排出ユニット96へ向けて排出されることになる。
排紙ユニット96は、定着ユニット97から搬送されたシートPを、排紙トレイとしてのトップカバー911上に排出する。
シート供給部100は、プリンタ本体200に着脱自在に装着された複数段(本実施形態では3段)の給紙ユニット(給紙装置)130を備えている。各段の給紙ユニット130には、上記の各サイズのシート束Sがそれぞれ貯留されており、選択された給紙ユニット130では、当該給紙ユニット130に設けられたれピックアップローラ40の駆動により、シート束Sの最上層のシートPが1枚ずつ取り出されて給紙搬送路133へと繰り出され、画像形成ユニット93へ導入されるようになっている。
各給紙ユニット130は、プリンタ本体200の下部に複数積み重ねて後付装着可能な搬送機構を具備しており、所望の段数の給紙ユニット130を、いつでも後付でプリンタ本体200に装着できる。すなわち、プリンタ本体200の下部に各給紙ユニット130を複数積み重ねることにより、各給紙ユニット130が有する搬送機構が互いに結合されて、プリンタ本体200へと延びる一本の給紙搬送路133が形成される。これにより、給紙ユニット130の複数積み重ね後付装着を可能としている。
なお、本実施形態ではシート供給部100が3段の給紙ユニット130で構成された例を挙げているが、本発明はこれに限らず、給紙ユニット130が1段または2段、または4段以上の給紙ユニットで構成されたプリンタ等の画像形成装置に対しても同様に適用することができる。
次に、図1、図3ないし図5を参照し、本実施形態に係るカラープリンタ1のシート供給部100に装着される各給紙ユニット(給紙装置)130の構成について、詳細に説明する。
図3は、本実施形態に係る給紙装置の構成を示す断面図である。図4は、図3に示す給紙装置における給紙カセットを給紙装置本体から引き出した状態を示す斜視図である。図5は、図3に示す給紙装置に搭載される位置検知センサを示す説明図である。
図3及び図4に示すように、給紙ユニット130は、シート収納部35の内底面に、複数枚のシート(シート状記録媒体)Pからなるシート束Sを積載するリフト板(シート積載板)31を備えている。このリフト板31は、その給紙方向上流端(図3中の左側端部)が、支持部38により回動可能に支持されている。すなわち、リフト板31は、シート収納部35の内部において、下流端を自由端として支持部38により垂直面内で回動可能となっている。支持部38は、シートPの幅方向(給紙方向と直交する方向)に対向配置されてなるシート収納部35の両側壁部に設けられている。
給紙ユニット130の給紙カセット130Aは、シート収納部35に収納されるシートPの幅方向の位置決めを行う幅合わせカーソル対34a・34bと、シートPの後端を揃える後端カーソル33と、を備えている。幅合わせカーソル対34a・34bは、図示しない案内レールに沿ってそれぞれシート幅方向(図4の矢印AA′方向)に往復移動可能に設けられている。ここではシートPが矢印B方向に送り出されるため、後端カーソル33は案内レール33a、33bに沿ってシート搬送方向と平行(図4の矢印BB′方向)に往復移動可能に設けられている。幅合わせカーソル対34a・34bおよび後端カーソル33を、積載されるシートサイズに合わせて移動させることにより、シート束Sを給紙ユニット130内の所定位置に収納する。給紙ユニット130は、カセットカバー43を備え、その表面側(図4の矢印C方向から見た側)が外部に露出してカラープリンタ1の外装面の一部を構成する。
リフト板31の給紙方向下流部下方には、リフト板31を昇降させる昇降機構30(図13及び図15)として、駆動シャフト36、押し上げ部材32、駆動連結部材(不図示)が設けられている。また、給紙ユニット本体130B側には、上記駆動連結部材に対応する受け部材(不図示)と、当該受け部材に連結する正逆転可能なモータ(不図示)が設けられている。給紙カセット130Aを給紙ユニット本体130Bに収納した状態では、給紙カセット130A側のシート収納部35の駆動連結部材が、給紙ユニット本体130B側の受け部材と係合して連結する。これにより、モータの動力を、駆動シャフト36に伝達することができる。駆動シャフト36、押し上げ部材32、駆動連結部材、受け部材およびモータにより、リフト板31を給紙位置と退避位置との間で変位させる昇降機構が構成されている。上記給紙位置とは、リフト板31が上昇し、リフト板31に載置されたシート束Sの上面がピックアップローラ40に当接して給紙可能な状態となる位置である。上記退避位置とは、リフト板31が一番下まで下降した位置である。
なお、リフト板31を昇降させる昇降機構30を構成するモータとしては、例えば、図13及び図15に示すステッピングモータM2や、DCモータ等を用いることができる。
また、給紙ユニット130は、図3に示すように、ピックアップローラ40の搬送方向下流側に設けられた給紙ローラ41と、給紙ローラ41の下方に設けられた捌きローラ42とを備えている。さらに、ピックアップローラ40および給紙ローラ41の搬送方向下流側には、搬送ローラ37が設けられている。給紙ローラ41はピックアップローラ40と共に給紙ユニット本体130B側に設けられている一方、捌きローラ42および搬送ローラ37は給紙カセット130A側に設けられている。そして、給紙カセット130Aが給紙ユニット本体130Bに装着された状態では、給紙ローラ41と捌きローラ42とが当接するようになっている。
給紙ローラ41はピックアップローラ40により取り出されたシートPを搬送ローラ37へと給紙するものである。給紙ローラ41はシートPを下流へ搬送できる方向に回転するのに対して、捌きローラ42は、それとは逆に、シートPを上流へと送り返す方向に回転する。この捌きローラ42により、たとえ搬送ピックアップローラ40により取り出されたシートPが重なっていた場合でも、最上層のシートP以外が搬送ローラ37方向に給紙されるのを防止でき、最上層のシートPのみが給紙ローラ41により搬送ローラ37へと搬送される。そして、搬送ローラ37は、シートPを給紙搬送路133(図2参照)へと搬送するようになっている。
また、給紙ユニット130は、図5(a)および図5(b)に示すように、リフト板31に載置されたシート束Sの最上層のシートPが給紙位置にあることを検出する位置検知センサ39を備えている。この位置検知センサ39は、遮光部材39Aと光センサ39Bとから構成されている。光センサ39Bは、ピックアップローラ40付近に固定して設けられた発光素子と、当該発光素子から発光された光を受光する受光素子とからなる。一方、遮光部材39Aは、ピックアップローラ40の支持部材50に設けられている。また、支持部材50は、給紙ローラ41の回動軸を中心に回動可能に設けられている。これにより、リフト板31に載置されたシート束Sの上面が、リフト板31の上昇により図5(b)に示す給紙位置に移動すると、ピックアップローラ40は、最上層のシートPに押し上げられ給紙ローラ41の回動軸を中心に回転し若干上方へ変位する。このとき、ピックアップローラ40と連動して遮光部材39Aが上方へ持ち上げられ、光センサ39Bの光路を遮光し、シート束Sの上面が給紙位置にあることを検出できる構成となっている。
上記構成の給紙ユニット130において、前記モータの作動により、押し上げ部材32がリフト板31の底面と係合しながらリフト板31の下流端側を押し上げる。これにより、リフト板31上に積載されたシート束Sの上面が、給紙カセット130Aの上方に設けられたピックアップローラ40に当接する給紙位置へと変位する。
この時、図5(b)に示すように、ピックアップローラ40の給紙位置への変位を位置検知センサ39が検知すると、前記モータの駆動が停止する。また、給紙中にシートPの減少により位置検知センサ39が非検知となったときには、前記モータを作動させシート束Sを給紙位置まで持ち上げる。
なお、本実施形態では、ピックアップローラ40の支持部材50に被検知部(遮光部材39A)を設けているが、これに限定されるものではない。例えば、ピックアップローラ40付近のシート束Sの上面を直接検知するようにしても良いし、光センサ以外の検知機構を用いても良い。
本実施形態に係る給紙ユニット130は、図2、図3および図6ないし図9に示すように、温風吹付けによるシート捌き機構として横温風機構(第1温風機構)150を備えている。
図6は、本実施形態に係る給紙装置の構成を説明する説明図である。図7は、本実施形態に係る給紙装置に搭載される横温風機構の要部を示す水平方向の断面図である。図8は、本実施形態に係る横温風機構の温風吹き付け方向を示す説明図である。図9は、本実施形態に係る横温風機構の温風吹き付け状態を説明するための説明図である。
この横温風機構150は、給紙ユニット本体130B側に設けられている。図6に示すように、給紙ユニット本体130Bの上面における横温風機構150及び後述する上温風機構(第2温風機構)140が形成されていない部分には、天板56が形成されており、シート収納空間が当該天板56で塞がれている。
横温風機構150は、図6に示すように、給紙カセット130Aにおける給紙方向の一方の側面に沿って設けられている。また、横温風機構150は、図7に示すように、横温風室153(送風部)内に設けられた、第1ファン(送風部)151及び第1ヒータ(加熱部)152を備えている。
図7に示すように、横温風機構150は、給紙ユニット130内に設けられた第1吸込口(送風部)154から、給紙ユニット130内の空気を吸い込むように構成されている。第1ファン151の回転により、横温風室153内の空気が第1ヒータ152側へ移動すると、第1吸込口154から横温風室153内に給紙ユニット130内の空気が取り込まれる。第1ヒータ152側に移動した空気は、第1ヒータ152によって加熱され、第1温風吹出口155からシート束Sの側面に向けて吹き出される。
ここで、給紙位置にあるシート束Sの側面に温風を吹き付ける横温風機構150の第1温風吹出口155は、図3に示すように、シート搬送方向の垂直断面でピックアップローラ40とシート束Sの上面とが当接する点Nに配向している。これにより、ピックアップローラ40により取り出される正にその位置に存するシート束Sの側面に温風を集中的に当てることができ、当該部分のシート間に効率的に温風を吹き込むことができる。よって、横温風機構150として大型のものでなくても、給紙に先立って効率的にシート束Sを捌くことができる。
さらに、図8に示すように、第1温風吹出口155は、シート束Sの幅方向(シート給紙方向と直交する方向である図8の矢印C方向)に真っ直ぐ(平行に)温風を吹き出すのではなく、図8中矢印Bで示すように、シート束Sの幅方向に対してシート中央方向側に角度をつけて温風を吹き出すように形成している。その理由は以下の通りである。
図8の矢印C方向に温風を吹き出した場合は、図9(b)に示すように、シート束Sの側面から給紙方向下流側へ温風が逃げてしまうため、温風がシート束Sの奥まで届き難く、横温風による捌き効率が低くなる。そこで、本実施形態に係る横温風機構150は、図8の矢印Bに示すように、給紙されるシート束Sの中央側に向けて温風を吹き付ける第1温風吹出口155を形成している。これにより、図9(a)に示すように、第1温風吹出口155から吹き出された温風をシート束Sのシート間に閉じ込めることができる。すなわち、シート束Sの中央側に向けて温風を吹き付けた場合は、シートPの重みで給紙方向上流側および下流側が垂れ下がって蓋がされた状態になり、温風が外へ逃げてしまうことなくシート間の奥まで広範に温風を吹き込める。これにより、同じ温風量であっても給紙に先がけ効率よくシート束Sを捌くことができる。
本実施形態に係る給紙ユニット130は、図2、図3、図6及び図10に示すように、温風吹付けによるシート捌き機構として、横温風機構150に加え、上温風機構140を備えている。
図10は、本実施形態に係る給紙装置に搭載される上温風機構の要部構成を示す垂直方向の断面図である。
この上温風機構140は、前述の横温風機構150と同様に、給紙ユニット本体130B側に設けられている。この上温風機構140は、図10に示すように、第2吸込口(送風部)144から空気を取り込み、シート収納部35に収納されたシート束Sの上面の上方に設けられた第2温風吹出口(送風部)145からシート束Sの上面に向けて温風を吹き出す構成としている。
また、上温風機構140は、上温風室(送風部)143内に、第2ファン(送風部)141及び第2ヒータ(加熱部)142を備えている。第2吸込口144は、上温風室143の上面における、第2ファン141の上方に設けられている。すなわち、第2ファン141の回転により上温風室143の空気は第2ヒータ142側に移動し、第2吸込口144から上温風室143内に外気が取り込まれる。第2ヒータ142側に移動した空気は、第2ヒータ142によって加熱され、上温風室143の下面に設けられた第2温風吹出口145からシート束Sの上面に向けて吹き出されるようになっている。第2温風吹出口145は、上温風機構140を給紙ユニット130に装着した状態で、当該上温風機構140内における給紙方向下流側に形成されている。
上記の構成において、画像形成のために所定の給紙ユニット130が選択されると、リフト板31が上昇駆動されてシート束Sがピックアップローラ40方向へ上昇すると共に、上温風機構140が駆動されて第2温風吹出口145からシート束Sの上面に向けて温風が吹き付けられる。
ここで、シート束Sの中でも、その上面や外周部分は外気に触れているため湿気を多く含み易い。すなわち、シート束Sの上面および側面は吸湿により膨潤する一方、シート束Sの内側は上面や側面と比べて湿気が少ないため膨潤度は相対的に低い。その結果、シート束Sの内側(シート同士のスペース)が負圧となり、シート同士が密着してしまうという現象が生じる。
しかしながら、本実施形態に係る給紙ユニット130は、上温風機構140を備えることにより、給紙ユニット130内のシート束Sの相対湿度(シート束Sの上面や外周部分とそれ以外の部分の相対湿度)を瞬間的に下げる機能を有している。
すなわち、上温風機構140は、密着性が特に高いシート束Sの上面から外周付近に集中して均一に温風を送り込むことができる。これにより、シート束Sの上面や外周部分の吸湿度をすばやく低下させ、当該部分の膨潤状態を解消することによって、シート束Sの相対湿度(シート束Sの上面や外周部分とそれ以外の部分の相対湿度)を瞬間的に下げ、シート束Sの内側(シート同士のスペース)の負圧も解消できる。これにより、シート同士の密着力の低下を図り、シート束Sを給紙に先駆けて効率よく捌くことができる。
また、本実施形態にかかる上温風機構140は、図3に示すように、ピックアップローラ40の給紙方向上流側であって、給紙ユニット130内における給紙方向後方よりに設けられている。ここで、第2温風吹出口145は、前述の通り、上温風機構140内における給紙方向下流側に設けられているため、シート収容部35に収容されたシート束Sの上面に向けて、第2温風吹出口145から良好に吹き付けることができる。このように、シート捌き効率の高い上温風機構140を給紙ユニット130内の空きスペースを有効利用して設置することにより、小型の給紙装置にも適応可能な温風アシストによるシート捌き機構を実現することができる。
すなわち、本実施形態に係る給紙ユニット(給紙装置)130のように、リフト板31に載置したシート束Sを片持ち昇降機構により昇降させる構成は、比較的小型の給紙装置に用いられることが多いが、当該片持ち昇降機構を用いた場合、ピックアップローラ40が設けられる給紙方向下流側はシート束Sが持ち上げられると共に、ピックアップローラ40や給紙ローラ41などのシート搬送機構が設けられているためにスペース的余裕はそれほどない一方で、給紙方向上流側はシート束Sが持ち上げられないので比較的スペースに余裕がある。この余裕のあるスペースに、本実施形態のように、上温風機構140を組み込めば、上温風機構140を設置するために給紙ユニット130の外形を大きくする必要はないため、小型の給紙装置にも好適である。
次に、図11および図12を参照し、温風アシストによるシート捌き機構として、横温風機構150に加え、上温風機構140も備えた構成におけるシート捌き効果について説明する。
図11は、本実施形態に係る給紙装置における横温風及び上温風の吹き付け方向を説明するための給紙カセットの斜視図である。図12は、本実施形態に係る給紙装置における横温風及び上温風の吹き付け方向を示す説明図である。
上記のように、本実施形態に係る給紙ユニット130は、図11に示すように、上温風機構140によって、シート束Sの上面に向けて、温風を吹き付けると共に、横温風機構150によって、ピックアップローラ40により取り出される正にその位置に存するシート束Sの側面に向けて温風を吹き付けている。これにより、横温風機構150のみを備えた構成に比べ、給紙に先がけてシート束Sをより効率よく捌くことができる。
上記の構成において、画像形成のために所定の給紙ユニット130が選択されると、リフト板31が上昇駆動されてシート束Sがピックアップローラ40方向へ上昇すると共に、上温風機構140が駆動されて第2温風吹出口145からシート束Sの上面に向けて温風が吹き付けられる。さらに、シート束Sの上面がピックアップローラ40に当接してシート束Sが給紙位置まで上昇したことをシート残量検知部211が検知すると、横温風機構150が駆動されて第1温風吹出口155からも、ピックアップローラ40により取り出される正にその位置に存するシート束Sの側面に向けて温風が吹き付けられる。
図12(a)ないし図12(c)は、上温風機構140と横温風機構150とによって、シート束Sをいかに効率的捌くことができるかを模式的に示している。
最初は、シート束Sの上面および側面が吸湿により膨潤して、シート束Sの内側(シート同士のスペース)が負圧となり、シート同士が密着しているが、図12(a)に示すように、上温風機構140及び横温風機構150によるダブルの温風吹き付けにより、すぐさま図12(b)に示す状態へと移行する。
すなわち、上温風機構140は、密着性が特に高いシート束Sの上面から外周付近に集中して均一に温風を送り込むことができる。これにより、シート束Sの上面や外周部分の吸湿度をすばやく低下させ、当該部分の膨潤状態を解消する。特に、上温風機構140から直接温風を受けるシート束Sの上面と、上温風機構140および横温風機構150から同時に温風を受けるシート束Sの横温風機構150側の側面とは、真っ先に膨潤状態が解消されて、図12(b)に示す状態となる。さらにここからは、すぐさま図12(c)に示す状態(シート束Sが捌かれた状態)へと移行する。
すなわち、上温風機構140及び横温風機構150の温風吹き付けにより、シート束Sの横温風機構150とは反対側の側面の膨潤状態も瞬時に解消され、横温風機構150からの温風はシート間を貫通してシート束Sの外部へ出て行き、シート束Sが捌かれる。
なお、本実施形態において、横送風部および加熱部、並びに上送風部および上加熱部が、それぞれ横温風機構150および上温風機構140にそれぞれ一体的に設けられている構成について説明したが、これらの部材は必ずしも一体的に設けられている必要はなく、例えば、送風部および加熱部のうちの一方が給紙カセット130A側に設けられ、他方が給紙ユニット本体130B側に設けられていてもよい。
次に、図13、図14および図17ないし図19を参照し、本実施形態に係る温風吹付けによるシート捌き動作の制御工程について説明する。
図13は、本発明の一実施形態に係る離間動作を伴った温風吹付け動作を制御する制御部の機能ブロック図である。図14は、図13に示す制御部による制御工程を示すフローチャートである。図17ないし図19は、本実施形態に係る給紙ユニットの要部縦断面図である。
図13の機能ブロック図に示すように、本実施形態に係る給紙ユニット130は、リフト板31を給紙位置と離間位置との間で変位させる離間動作を伴った温風吹き付けによるシート捌き動作を制御する制御部300を備えている。
ここで、給紙位置とは、リフト板31に載置されたシート束Sの上面がピックアップローラ40と当接する位置であり、離間位置とは、当該シート束Sの上面がピックアップローラ40と離間した位置であり、シート束Sにおけるシート間の密着性が高い上位層のシートが、第1温風吹出口155の範囲内に位置するように下降させた位置である。
制御部300は、情報入出力部85、温風制御部90、昇降機構制御部80および記憶部84を備えている。
情報入出力部85には、位置検知センサ39から位置検知信号、給紙モータM1からピックアップローラ40の回転駆動開始信号、第1タイマ86から第1タイムアップ信号、第2タイマ87から第2タイムアップ信号、プリンタ本体200側のCPU210からカセット選択信号および温風要求信号等が入力される。
温風制御部90は、カセット選択信号および温風要求信号に基づいて、横温風機構150および上温風機構140の駆動を制御している。すなわち、温風制御部90は、これらの入力信号に基づいて、横温風機構150および上温風機構140を駆動する制御信号を、情報入出力部85を介して、各ユニットの駆動モータ(不図示)に出力する。
昇降機構制御部80は、下降駆動判定部82と上昇駆動判定部83とを含み、第1タイマ86からの第1タイムアップ信号および第2タイマ87からの第2タイムアップ信号に基づいて昇降機構30の昇降駆動を制御し、リフト板31が給紙位置と離間位置との間で変位する離間動作を行うように制御している。
下降駆動判定部82は、第1タイマ86からの第1タイムアップ信号に基づいて、押し上げ部材32を下降駆動する制御信号を、情報入出力部85を介してステッピングモータM2に出力する。同様に、上昇駆動判定部83は、第2タイマ87からの第2タイムアップ信号に基づいて、押し上げ部材32を上昇駆動する制御信号を、情報入出力部85を介してステッピングモータM2に出力する。
記憶部84には、例えば、給紙速度、選択されるシートのサイズ、材質、モード等に応じた複数の第1タイマ86の第1タイプアップ値、第2タイマ87の第2タイムアップ値、押し上げ部材32を昇降駆動させるステッピングモータM2の駆動ステップ数、各制御部の動作プログラム等が格納されている。また、記憶部84には、判定結果やその他の情報を一時的に格納する記憶領域が設けられている。
制御部300は、例えば、CPU、メモリ(ROMおよびRAM等)、入力インタフェースおよび出力インタフェースにより構成することができる。
次に、図13および図14を参照し、本実施形態に係る制御部300による制御工程について説明する。
まず、プリンタ本体200側のCPU210からカセット選択信号および温風要求信号が情報入出力部85を介して入力されると(S1)、温風制御部90は、これらの入力信号に基づいて、横温風機構150の第1ヒータ152及び第1ファン151を駆動する駆動信号を、それぞれ横温風機構150の駆動モータ(不図示)に情報入出力部85を介して出力する。これにより、シート束Sの給紙方向に平行な側面への温風吹き付けが開始される(S2)。
昇降機構制御部80の上昇駆動判定部83は、前記カセット選択信号および温風要求信号に基づき、押し上げ部材32を上昇駆動させる制御信号を、ステッピングモータM2に情報入出力部85を介して出力する。これにより、押し上げ部材32の上昇駆動が開始される(S3)。次に、位置検知センサ39(図5、図17ないし図19)からの位置検出信号に基づき、上昇駆動判定部83は、リフト板31が、これに載置されたシート束Sの上面がピックアップローラ40に当接する給紙位置(図17)まで上昇駆動されたか否かを判断する(S4)。ステッピングモータM2は、リフト板31が給紙位置に上昇するまで、押し上げ部材32の上昇駆動を継続する。一方、前記位置検出信号に基づいて、リフト板31が給紙位置まで上昇したと判断すると(S4でYES)、上昇駆動判定部83は、ステッピングモータM2の作動を停止し、これにより、押し上げ部材32の上昇駆動が停止する(S5)。
この給紙位置で、ピックアップローラ40を回転駆動する給紙モータM1が作動すると、同時に第1タイマ86がスタートする(S6)。次に、下降駆動判定部82は、第1タイマ86からの第1タイムアップ信号に基づいて、予め設定された第1所定時間の経過の有無を判断する(S7)。第1タイマ86は、第1所定時間が経過するまで計時を続け、リフト板31は前記給紙位置で保持される。一方、前記第1タイマップ信号に基づき、第1所定時間が経過したと判断すると(S7でYES)、下降駆動判定部82は、押し上げ部材32を下降駆動させるための制御信号を、ステッピングモータM2に情報入出力部85を介して出力する。これにより、ステッピングモータM2が作動し、押し上げ部材32の下降駆動が開始する(S8)。
ここで、押し上げ部材32を下降駆動し、リフト板31を給紙位置から離間位置に変位させるために必要なステッピングモータM2の駆動ステップ数を予め算出しておき、当該駆動ステップ数を、記憶部84に記憶させておくことが望ましい。また、当該駆動ステップ数として、選択されるシートの種類、サイズ、プリント速度等に応じた複数の値を記憶部84に記憶させておき、下降駆動判定部82が、選択された条件に応じて、適宜記憶部84から読み出すように構成することができる。
次に、下降駆動判定部82は、リフト板31の離間位置(図19)へ、押し上げ部材32の下降駆動が完了したか(予め設定されたステップ数の下降駆動が完了したか)否かを判断する(S9)。ステッピングモータM2は、リフト板31の離間位置まで、押し上げ部材32の下降駆動を継続する。一方、予め設定されたステップ数の下降駆動が完了し、リフト板31が離間位置へ下降すると(S9でYES),ステッピングモータM2は作動を停止する(下降駆動停止)と同時に第2タイマ87がスタートする(S10)。
次に、上昇駆動判定部83は、第2タイマ87からの第2タイムアップ信号に基づいて、予め設定された第2所定時間の経過の有無を判断する(S11)。第2タイマ87は、第2所定時間が経過するまで計時を続け、リフト板31は離間位置で保持される。一方、第2タイムアップ信号に基づいて、第2所定時間が経過したと判断すると(S11でYES)、上昇駆動判定部83は、押し上げ部材32を上昇駆動させるための制御信号を、情報入出力部85を介してステッピングモータM2に出力する。これにより、ステッピングモータM2が作動し、押し上げ部材32の上昇駆動が開始する。すなわち、制御シーケンスは、S3に戻り、上記の工程が繰り返される。
ここで、押し上げ部材32を上昇駆動し、リフト板31を離間位置から給紙位置に変位させるために必要なステッピングモータM2の駆動ステップ数を予め算出しておき、当該駆動ステップ数を、記憶部84に記憶させておくことが望ましい。また、当該駆動ステップ数として、選択されるシートの種類、サイズ、プリント速度等に応じた複数の値を記憶部84に記憶させておき、上昇駆動判定部83が、選択された条件に応じて、適宜記憶部84から読み出すように構成することができる。
なお、本実施形態では、押し上げ部材32により、リフト板31を離間位置から上昇駆動させるタイミングを、下降駆動停止(下降駆動完了)からのタイマ値で制御している。しかしながら、本発明は、これに限らず、下降駆動開始からのタイマ値で制御してもよいし、給紙開始(ピックアップローラ40を駆動する給紙モータM1の回転開始)からのタイマ値で制御してもよい。
本実施形態に係る上記の構成によれば、図17ないし図19に示すように、昇降機構制御部80により、一旦、シート束Sの上面がピックアップローラ40と当接する給紙位置(図17)に上昇させたリフト板31を、図18に示す状態に下降させ、さらに、ピックアップローラ40と離間した離間位置(図19)に降下させた後、再び前記給紙位置に上昇駆動させている。このように、給紙位置と離間位置との間でリフト板31を変位させる離間動作を行いながら、横温風機構150から温風を、シート束Sの給紙方向と平行な側面に吹き付けるように制御している。
すなわち、給紙位置では、図17に示すように、シート束Sの上面がピックアップローラ40に押圧されているため、シート間の隙間が小さい。このため、給紙位置でシート束Sの給紙方向と平行な側面に温風を吹き付けても、温風吹出口155から離れたところまで温風が入りにくい。そこで、本実施形態では、横温風機構150による横温風の吹付け期間中に、上記のような離間動作を行うように制御している。この離間動作により、シート束Sのシート間の隙間を広げることができるため、スポット的に当てた温風であっても、温風吹出口155から離れたところまで吹き込み易くなる。これにより、従来のような大型の横温風アシストよりもシート捌き効率が高い横温風機構を実現することができるため、給紙装置全体の小型化が可能となる。
なお、特に複数のシート状記録媒体の連続給紙を行う場合においては、所望の給紙搬送速度を維持しつつ、本実施形態に係る離間動作を伴った温風吹き付けによるシート捌き効果を実現することが要求される。このため、シートの安定した搬送を確保できる最も早いタイミングでリフト板31が下降するように昇降機構30の下降駆動の開始タイミングを制御することが望ましい。
ここで、ピックアップローラ40から送り出された最上層のシートPが、安定した搬送路へ乗らないうちにリフト板31を下降させてしまうと、シートPのズレ、紙詰まりなどの問題が生じてしまう。一方、リフト板31を下降させるタイミングが遅すぎると、ピックアップローラ40にシート束Sの上面が押圧されている状態が長く続くため、離間動作を伴った温風吹き付けによる十分なシート捌き効果が得られない。
すなわち、例えば、ピックアップローラ40に送り出されたシートPの先端がその搬送方向下流側に設けられた一対の捌きローラ対41・42を通過するまでの時間を第1所定時間とすると、ピックアップローラ40に送り出されたシートPの搬送が遅れてしまった場合、いずれのローラ対にも狭持されていない状態となり、安定した給紙状態を維持できない。
一方、シートPが、捌きローラ対41・42の間を通過してその下流側の搬送ローラ対37(図3参照)まで搬送される時間を第1所定時間とすると、ピックアップローラ40と離間させても、該シートPは、先端側は搬送ローラ対37の間に挟持されており、後端側は捌きローラ対41・42の間に挟持されている。この状態であれば、シートPが、捌きローラ対41・42の間にのみ狭持されている状態に比べ、安定した給紙状態を維持することができる。また、ピックアップローラ40に送り出されたシートPの搬送が遅れてしまった場合であっても、少なくとも捌きローラ対41・42の間に挟持されている。このため、シートズレ等の問題は生じにくい。
このように、第1タイマ86に設定する第1所定時間(リフト板31を給紙位置で保持する時間)を、ピックアップローラ40がシートPの送出を開始してから搬送ローラ対37に到達するまでに要する時間に設定すれば、シートPの安定した搬送を確保できる最も早いタイミングでリフト板31の下降を開始させることとなる。このため、離間動作を伴った温風吹き付けにより、給紙に先がけシート束をより効果的に捌くことができる。
また、本実施形態では、リフト板31を前記給紙位置から離間位置へ下降させる下降駆動開始のタイミング、およびリフト板31を離間位置から給紙位置へと上昇させる上昇駆動開始のタイミングを、第1タイマ86および第2タイマ87を用いて制御している。このため、各給紙ユニット130の給紙速度(画像形成速度)、シートの材質等に合わせて、第1タイマ86の第1タイムアップ値および第2タイマ87の第2タイムアップ値を適宜変更・調整するだけで、最適な下降・上昇開始タイミングに容易に調整することができる。
なお、上述の制御工程では、温風によるシート捌き機構として、横温風機構150のみを用いた場合について説明したが、上温風機構140と併用すれば、給紙に先がけ、より効率的にシートを捌くことができる。
<第2実施形態>
本発明の他の実施形態に係る給紙ユニットについて、図15ないし図19を参照して以下に説明する。
図15は、本実施形態に係る離間動作を伴った温風吹付け動作を制御する制御部の機能ブロック図である。図16は、図15に示す制御部による制御工程を示すフローチャートである。
なお、説明の便宜上、前記の実施形態の図面に示した部材と同一の部材には同一の符号を付記し、その説明を省略する。
本実施形態に係る給紙装置130には、図3に示すように、搬送ローラ対37の給紙方向下流側に、該搬送ローラ対37と隣接して、搬送スイッチ49が設けられている。
前述の第1実施形態では、第1タイマ86の第1タイムアップ信号および第2タイマ87の第2タイムアップ信号に基づいて、押し上げ部材32によりリフト板31を下降・上昇駆動させるタイミングを制御していた。本実施形態では、これらのタイムアップ信号に換えて、搬送スイッチ(先端検知部・後端検知部)49の第1検知信号および第2検知信号に基づいて、リフト板31を給紙位置と離間位置との間で変位させる押し上げ部材32の下降・上昇駆動のタイミングを制御する点において、第1実施形態と異なっている。
次に、図15及び図16を参照し、本実施形態に係る離間動作を伴った温風吹付けによるシート捌き動作の制御工程について説明する。
図15の機能ブロック図に示すように、本実施形態に係る給紙ユニット130は、押し上げ部材32によりリフト板31を給紙位置と離間位置との間で変位させる離間動作を伴った温風吹き付けによるシート捌き動作を制御する制御部400を備えている。制御部400は、情報入出力部285、温風制御部290、昇降機構制御部280、記憶部284を備えている。
情報入出力部285には、位置検知センサ39から位置検知信号、搬送スイッチ49からの第1検知信号および第2検知信号、プリンタ本体200側のCPU210からカセット選択信号および温風要求信号等が入力される。
温風制御部90は、カセット選択信号および温風要求信号に基づいて、横温風機構150および上温風機構140の駆動を制御している。すなわち、温風制御部90は、これらの入力信号に基づいて、横温風機構150および上温風機構140を駆動する制御信号を、情報入出力部85を介して、各ユニットの駆動モータ(不図示)に出力する。
昇降機構制御部280は、下降駆動判定部282と上昇駆動判定部283とを含み、搬送スイッチ49からの第1検知信号および第2検知信号に基づいて、昇降機構30の昇降駆動を制御し、リフト板31が給紙位置と離間位置との間で変位する離間動作を行うように制御している。
下降駆動判定部282は、先端検知部としての搬送スイッチ49からの第1検知信号に基づいて、押し上げ部材32を下降駆動する制御信号を、情報入出力部285を介してステッピングモータM2に出力する。同様に、上昇駆動判定部283は、後端検知部としての搬送スイッチ49からの第2検知信号に基づいて、押し上げ部材32を上昇駆動する制御信号を、情報入出力部285を介してステッピングモータM2に出力する。
記憶部284には、例えば、選択されるシートのサイズ、材質、モード等に応じたリフト板32を昇降駆動させるステッピングモータM2の駆動ステップ数、各制御部の動作プログラム等が格納されている。また、記憶部284には、判定結果やその他の情報を一時的に格納する記憶領域が設けられている。
前記温風制御部400は、例えば、CPU、メモリ(ROMおよびRAM等)、入力インタフェースおよび出力インタフェースにより構成することができる。
次に、図15および図16を参照し、本実施形態に係る制御部400による制御工程について説明する。
まず、プリンタ本体200側のCPU210からカセット選択信号および温風要求信号が情報入出力部285を介して入力されると(S101)、温風制御部290は、これらの入力信号に基づいて、横温風機構150の第1ヒータ152及び第1ファン151を駆動する駆動信号を、それぞれ横温風機構150の駆動モータ(不図示)に情報入出力部285を介して出力する。これにより、シート束Sの給紙方向に平行な側面への温風吹き付けが開始される(S102)。
昇降機構制御部280の上昇駆動判定部283は、前記カセット選択信号および温風要求信号に基づき、押し上げ部材32を上昇駆動させる制御信号を、ステッピングモータM2に情報入出力部285を介して出力する。これにより、押し上げ部材32の上昇駆動が開始される(S103)。次に、位置検知センサ39(図5、及び図17ないし図19)からの位置検出信号に基づき、上昇駆動判定部283は、リフト板31が、これに載置されたシート束Sの上面がピックアップローラ40に当接する給紙位置(図3及び図17)まで上昇駆動されたか否かを判断する(S104)。ステッピングモータM2は、リフト板31が給紙位置に上昇するまで、押し上げ部材32の上昇駆動を継続する。一方、前記位置検出信号に基づいて、リフト板31が給紙位置まで上昇したと判断すると(S140でYES)、上昇駆動判定部283は、ステッピングモータM2の作動を停止し、これにより、押し上げ部材32の上昇駆動が停止する(S105)。
この給紙位置で、ピックアップローラ40を回転駆動する給紙モータM1が作動し、シートPの給紙が開始される(S106)。次に、下降駆動判定部282は、搬送スイッチ49からの第1検知信号に基づいて、シートPの先端部が搬送ローラ対37に到達したか否かを判断する(S107)。下降駆動判定部282が、シートPの先端部が搬送ローラ対37に到達したと判断するまで、リフト板31は、給紙位置で保持される。一方、第1検知信号に基づき、シートPの先端部が搬送ローラ対37に到達したと判断した場合(S107でYES)、下降駆動判定部282は、押し上げ部材32を下降駆動させるための制御信号を、情報入出力部285を介してステッピングモータM2に出力する。これにより、ステッピングモータM2が作動され、押し上げ部材32が下降駆動される(S108)。
ここで、押し上げ部材32を下降駆動し、リフト板31を給紙位置から離間位置に変位させるために必要なステッピングモータM2の駆動ステップ数を予め算出しておき、当該駆動ステップ数を、記憶部284に記憶させておくことが望ましい。また、当該駆動ステップ数として、選択されるシートの種類、サイズ、プリント速度等に応じた複数の値を記憶部284に記憶させておき、下降駆動判定部282が、選択された条件に応じて、適宜記憶部284から読み出すように構成することができる。
次に、下降駆動判定部282は、リフト板31の離間位置(図19)へ、押し上げ部材32の下降駆動が完了したか(予め設定されたステップ数の下降駆動が完了したか)否かを判断する(S109)。ステッピングモータM2は、リフト板31の離間位置まで、押し上げ部材32の下降駆動を継続する。一方、予め設定されたステップ数の下降駆動が完了し、リフト板31が離間位置へ下降すると(S109でYES),ステッピングモータM2は作動を停止し、押し上げ部材32によるリフト板31の下降駆動が停止する(S110)。
次に、上昇駆動判定部283は、後端検知部としての搬送スイッチ49からの第2検知信号に基づいて、シートPの後端部が搬送ローラ対37に到達したか否かを判断する(S111)。上昇駆動判定部283は、シートPの後端部が搬送ローラ対37に到達したと判断するまで、リフト板31は、離間位置で保持される。一方、第2検知信号に基づき、シートPの後端部が搬送ローラ対37に到達したと判断した場合(S111でYES)、上昇駆動判定部283は、押し上げ部材32を上昇駆動させるための制御信号を、情報入出力部285を介してステッピングモータM2に出力する。これにより、ステッピングモータM2が作動され、押し上げ部材32の上昇駆動が開始する。すなわち、制御シーケンスは、S103に戻り、上記の工程が繰り返される。
ここで、押し上げ部材32を上昇駆動し、リフト板31を離間位置から給紙位置に変位させるために必要なステッピングモータM2の駆動ステップ数を予め算出しておき、当該駆動ステップ数を、記憶部284に記憶させておくことが望ましい。また、当該駆動ステップ数として、選択されるシートの種類、サイズ、プリント速度等に応じた複数の値を記憶部284に記憶させておき、上昇駆動判定部283が、選択された条件に応じて、適宜記憶部284から読み出すように構成することができる。
本実施形態に係る上記の構成によれば、図17から図19に示すように、昇降機構制御部280により、一旦、シート束Sの上面がピックアップローラ40と当接する給紙位置(図17)に上昇させたリフト板32を、図18に示す状態に下降させ、さらにピックアップローラ40と離間した離間位置(図19)に降下させた後、再び前記給紙位置に上昇駆動させている。このように、給紙位置と離間位置との間でリフト板31を変位させる離間動作を行いながら、横温風機構150から温風を、シート束Sの給紙方向と平行な側面に吹き付けるように制御している。
すなわち、給紙位置では、図17に示すように、シート束Sの上面がピックアップローラ40に押圧されているため、シート間の隙間が小さい。このため、給紙位置でシート束Sの給紙方向と平行な側面に温風を吹き付けても、温風吹出口155から離れたところまで温風が入りにくい。そこで、本実施形態では、横温風機構150による横温風の吹付け期間中に、上記のような離間動作を行うように制御している。この離間動作により、シート束Sのシート間の隙間を広げることができるため、スポット的に当てた温風であっても、温風吹出口155から離れたところまで吹き込み易くなる。これにより、従来のような大型の横温風アシストよりもシート捌き効率が高い横温風機構を実現することができるため、給紙装置全体の小型化が可能となる。
前述の実施形態1と同様に、温風によるシート捌き機構として、横温風機構150のみを用いた場合の制御行程について説明したが、上温風機構140と併用すれば、給紙に先がけ、より効率的にシートを捌くことができる。
なお、前記各実施形態において、複数の給紙ユニット130に同種のシートPが収納されている場合、前記給紙位置と前記離間位置とを、当該同種のシートPを収納する複数の給紙ユニット130間でずらし、交互に給紙するように制御することが望ましい。
上記の構成によれば、単位時間当たりのプリント枚数を低下させることなく、シート捌き効率が高い温風によるシート捌き機構を実現することができるため、特に、コート紙を用いる場合に、上記構成の利点を特に享受することができる。
1……プリンタ(画像形成装置)、30……昇降機構、31……リフト板(シート積載板)、32……押し上げ部材(昇降機構)、33……後端カーソル、34a・34b……幅合わせカーソル対、35……シート収納部、36……駆動シャフト(昇降機構)、37……搬送ローラ対、38……支持部、39……位置検知センサ、40……ピックアップローラ、41……給紙ローラ、42……捌きローラ、49……搬送スイッチ(先端検知部・後端検知部)、56……天板、80……昇降機構制御部、82……下降駆動判定部、83……上昇駆動判定部、84……記憶部、85……情報入出力部、86……第1タイマ、87……第2タイマ、90……温風制御部、100……シート供給部、130……給紙ユニット(給紙装置)、130A……給紙カセット、130B……給紙ユニット本体、133……給紙搬送路、140……上温風機構(第2温風機構)、141……第2ファン(送風部)、142……第2ヒータ(加熱部)、143……上温風室(送風部)、144……第2吸込口(送風部)、145……第2温風吹出口(送風部)、150……横温風機構(第1温風機構)、151……第1ファン、152……第1ヒータ(加熱部)、153……横温風室(送風部)、154……第1吸込口(送風部)、155……第1温風吹出口(送風部)、200……プリンタ本体、280……昇降機構制御部、282……下降駆動判定部、283……上昇駆動判定部、284……記憶部、285……情報入出力部、290……温風制御部、300……制御部、400……制御部、P……シート、S……シート束、M1……給紙モータ、M2……ステッピングモータ(昇降機構)