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JP5367931B2 - ビニル系架橋樹脂粒子、その製造方法およびその用途 - Google Patents

ビニル系架橋樹脂粒子、その製造方法およびその用途 Download PDF

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JP5367931B2 JP2001275675A JP2001275675A JP5367931B2 JP 5367931 B2 JP5367931 B2 JP 5367931B2 JP 2001275675 A JP2001275675 A JP 2001275675A JP 2001275675 A JP2001275675 A JP 2001275675A JP 5367931 B2 JP5367931 B2 JP 5367931B2
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Description

本発明はビニル系架橋樹脂粒子に関する。さらに詳しくは、例えば、プラスチックフィルム・シートの滑り性向上剤、ブロッキング防止剤、つや消し仕上げ剤、光拡散剤、表面硬度向上剤などの各種改良剤や、塗料や化粧品用の充填剤、吸着処理やイオン交換処理等の処理用充填剤、および、プラスチック成形品等に光沢を付与する充填剤等の各種充填剤や、液晶表示板用スペーサー、電子複写用トナー、測定・分析用標準粒子などの各種用途に有用であり、また、酸性染料、塩基性染料、蛍光染料および蛍光増白剤などの各種染料により着色すれば、塗料、インキおよびプラスチック着色用の顔料などとしても利用できる、ビニル系架橋樹脂粒子に関する。
従来より、架橋性ビニル単量体の重合により得られるビニル系架橋樹脂粒子は、上記各種用途に用いられることが知られているが、近年、それら用途分野においてはますます高性能化が進んでおり、それに伴い上記ビニル系架橋樹脂粒子に関してもその要求特性は非常に高くなってきている。なかでも特に、粒度分布においてはその要求特性の高さは顕著であり、例えば、液晶表示板用のスペーサーとして用いた場合では、粒度分布のシャープさは個々の液晶表示板におけるセルギャップの均一性に直接影響を与え、液晶表示板のコントラストや色むらといった表示品位に大きく関係する。そこで、最近では、高速応答性を達成するための狭セルギャップに対応できる微小粒子径であるとともに、変動係数が2〜4%程度の粒度分布の非常にシャープなビニル系架橋樹脂粒子が開発されている。
しかしながら、そのような粒度分布特性に優れたビニル系架橋樹脂粒子であるにも関わらず、例えば、液晶表示板用のスペーサーとして用いた場合、散布性などには優れているものの、個々の液晶表示板におけるセルギャップの均一性が不十分となるため、ざらつきや色むらが生じて、コントラストが低下することがあり、結果として液晶表示板の歩留まりが低下する、などの問題があった。
この問題について本発明者が推測、検討したところ、粗大粒子や粒子凝集体などの存在が原因となっていることが分かった。つまり、たとえ全体として所望の粒度分布のシャープさが達成されていたとしても、粗大粒子や粒子凝集体などが上記変動係数には影響しない程度の数で存在するだけで、例えば、個々の液晶表示板におけるセルギャップ均一性などが不十分となり、上述のような問題が生じていることが分かった。
発明が解決しようとする課題
そこで、本発明の解決しようとする課題は、粒度分布がシャープであるとともに、変動係数には影響しない程度であっても粗大粒子や粒子凝集体などの樹脂異物を実質的に含まない、ビニル系架橋樹脂粒子その製造方法およびその用途を提供することにある。
課題を解決するための手段
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行い、上記樹脂異物がどのような経緯で生じることとなるのかについて、種々の推測および確認を繰り返した。
従来からも、通常、ビニル系架橋樹脂粒子は、架橋樹脂粒子として合成または加工した後、溶媒を用いた湿式分級などの精製工程を経てから単離して得ており、粗大粒子等の樹脂異物はこの分級の際に取り除かれるはずであると考えられていたため、どのようにして最終的に生じることとなるのかが明確でなかったからである。つまり、上記樹脂異物が生じることとなる原因を明確にした上で、その原因を解消し得るビニル系架橋樹脂粒子、およびそのような架橋樹脂粒子を得る方法を見出せばよいのではないか、と考えたのである。
かかる知見に基づき検討および試行錯誤を繰り返したところ、合成されたビニル系架橋樹脂粒子については、湿式による分級時、分散媒となる有機溶媒が架橋樹脂粒子中に浸透し、その後、単離してからでも有機溶媒を含有し保持することが分かった。そして、上記有機溶媒の含有量が多すぎると、単離後において、この含有有機溶媒の影響により、得られた架橋樹脂粒子自体が、特に、得られた架橋樹脂粒子中に架橋の不完全な部分がある場合やガラス転移温度が低い場合はその部分が、次第に軟化され、または、粘着性を有するようにされ、単離後の貯蔵段階や使用段階において架橋樹脂粒子どうしの融着、凝集が生じやすくなり、凝集粒子や粗大粒子などといった樹脂異物の発生要因となることに気づいた。
そこで、ビニル系架橋樹脂粒子中の含有有機溶媒量が特定量以下であれば、上記課題を一挙に解決できるのではないかと考え、それを確認して本発明を完成するに至った。
また、上記分級時の分散媒となる溶媒として、脂肪族および/または芳香族炭化水素を必須成分とする溶媒を用いたビニル系架橋樹脂粒子の製造方法であれば、上記課題を一挙に解決することを確認し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかるビニル系架橋樹脂粒子は、架橋樹脂粒子中の有機溶媒含有量が100ppm以下である。
また、本発明にかかるビニル系架橋樹脂粒子の製造方法は、架橋性ビニル単量体を含むラジカル重合性単量体をラジカル重合させてなる粒子を溶媒に分散させた状態で分級し単離する工程を含む樹脂粒子の製造方法において、前記溶媒として脂肪族および/または芳香族炭化水素を必須成分として含む溶媒を用いる、
ことを特徴とする。
また、本発明にかかる液晶表示板用スペーサーは、上記本発明にかかるビニル系架橋樹脂粒子が用いられてなる。
発明の実施形態
以下、本発明にかかるビニル系架橋樹脂粒子、その製造方法、および、その用途について、順にその詳細を説明する。
本発明にかかるビニル系架橋樹脂粒子(以下、本発明のビニル系架橋樹脂粒子ということがある。)は、特に限定はされないが、具体的には、架橋性ビニル単量体由来の構造単位を含む架橋樹脂よりなる粒子であることが好ましい。
本発明のビニル系架橋樹脂粒子においては、この架橋樹脂粒子中の含有有機溶媒量(有機溶媒含有量)が100ppm以下であり、好ましくは0ppmを超えかつ100ppm以下、さらにより好ましくは0.01〜50ppm、最も好ましくは0.1〜10ppmである。上記含有有機溶媒量が100ppmを超える場合は、本発明のビニル系架橋樹脂粒子の貯蔵段階や使用段階などにおいて、架橋樹脂粒子自体が軟化したり、粘着性を有するようになったりして、架橋樹脂粒子どうしで融着や融合が生じ、凝集粒子や粗大粒子などの異物粒子が生成されることとなる。このように、凝集粒子や粗大粒子などが生成すると、その生成量が粒度分布の変動係数に影響を及ぼさない範囲の量であったとしても、例えば、液晶表示板用のスペーサーとして用いた場合に、個々の液晶表示板におけるセルギャップの均一性が低下させ、表示品位に悪影響を及ぼすこととなる。同様に、例えば、フィルムの充填剤(光拡散剤、アンチブロッキング剤、滑剤など)などとして用いた場合には、フィルムから脱落しやすくなったりして、その特性を十分に発揮できないおそれがある。また、架橋樹脂粒子中に上記範囲内で微量の有機溶媒が存在した方が、例えば液晶表示板用スペーサーに使用する場合などでは、湿式散布において散布溶媒への分散性が向上するため好ましい。
本発明のビニル系架橋樹脂粒子は、上述のように、ラジカル重合可能な架橋性ビニル単量体由来の構造単位を含む樹脂からなる粒子であることが好ましく、その架橋形態は、例えば、複数あるラジカル重合性不飽和基のうち重合に関与しなかったラジカル重合性不飽和基による架橋や、その他反応性を有する官能基による架橋であってもよく、特に限定はされない。
上記架橋性ビニル単量体は、特に限定はされないが、なかでも、ラジカル重合性不飽和基を複数有する架橋性ビニル単量体としては、具体的には、例えば、ジビニルベンゼン、1,4−ジビニロキシブタン、ジビニルスルホン等のビニル化合物;
ジアリルフタレートおよびその異性体、トリアリルイソシアヌレートおよびその誘導体、トリアリルトリメテート等のアリル化合物;
(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル化合物;
などが挙げられる。同様に、上記架橋性ビニル単量体のなかでも、ラジカル重合性不飽和基以外の反応性を有する官能基を有する架橋性ビニル単量体としては、例えば、反応性を有する官能基としてエポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオヒドロキシル基(SH基)などを有するラジカル重合性ビニル単量体を挙げることができ、具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド等が好ましく挙げられる。これら架橋性ビニル単量体は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明のビニル系架橋樹脂粒子中、上記架橋性ビニル単量体由来の構造単位としては、特に限定はされないが、1〜100重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜90重量%、さらにより好ましくは5〜80重量%である。1重量%未満であると、粒子中の架橋度が低くなり、所望の硬度、耐熱性、耐溶剤性などが発現しにくくなり、多すぎると、未反応のビニル基が残存しやすくなるため、用途によっては好ましくない場合がある。
本発明のビニル系架橋樹脂粒子においては、上記架橋性ビニル単量体由来の構造単位以外にも、ラジカル重合可能な非架橋性ビニル単量体由来の構造単位や、その他のラジカル重合性単量体由来の構造単位を含んでいてもよい。
上記非架橋性ビニル単量体としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、スチレン、p−(m−)メチルスチレン、p−(m−)エチルスチレン、p−(m−)クロロスチレン、p−(m−)クロロメチルスチレン、スチレンスルホン酸、p−(m−)t−ブトキシスチレン、α−メチル−p−t−アミロキシスチレン、p−t−アミロキシスチレン等のスチレン系モノマー;
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;
(メタ)アクリル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸系モノマー;
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;
酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;
(メタ)アクリロニトリル、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド;
などが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記その他のラジカル重合性単量体としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、本発明のビニル系架橋樹脂粒子に、
親水性を付与したい場合には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する単量体類;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール成分を有する単量体類;などが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
同様に、疎水性を付与したい場合には、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ペンタンフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロアミル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート等のフッ素原子含有(メタ)アクリレート類;などが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明のビニル系架橋樹脂粒子中、上記非架橋性ビニル単量体由来の構造単位およびその他のラジカル重合性単量体由来の構造単位は、上記架橋性ビニル単量体由来の構造単位の含有割合の範囲外で含まれていればよい。
本発明のビニル系架橋樹脂粒子においては、その平均粒子径は、0.5〜50μmであることが好ましく、より好ましくは1.0〜40μm、さらにより好ましくは1.5〜30μmである。特に、本発明のビニル系架橋樹脂粒子が、後述するように液晶表示板用スペーサーとして用いられる場合は、上記平均粒子径は、1.0〜30μmであることが好ましく、より好ましくは1.0〜25μm、さらにより好ましくは1.0〜20μmである。
同様に、本発明のビニル系架橋樹脂粒子の粒度分布は、変動係数が1〜50%であることが好ましく、より好ましくは2〜40%、さらにより好ましくは2〜30%である。特に、本発明のビニル系架橋樹脂粒子が、後述するように液晶表示板用スペーサーとして用いられる場合は、上記変動係数は、1〜10%であることが好ましく、より好ましくは2〜8%、さらにより好ましくは2〜6%である。
本発明のビニル系架橋樹脂粒子おいては、その用途は、特に限定されるわけではないが、具体的には、例えば、プラスチックフィルム・シートの滑り性向上剤、ブロッキング防止剤、つや消し仕上げ剤、光拡散剤、表面硬度向上剤などの各種改良剤や、塗料や化粧品用の充填剤、吸着処理やイオン交換処理等の処理用充填剤およびプラスチック成形品等に光沢を付与する充填剤等の各種充填剤や、液晶表示板用スペーサーおよびその材料や、測定・分析用標準粒子などの各種用途に有用でる。
また、染料および/または顔料を導入して、有機質無機質複合体粒子を着色すれば、塗料、インキおよびプラスチック着色用の顔料、液晶表示板用着色スペーサーなどとして用いることもできる。
有機質無機質複合体粒子を着色する場合の色は、光を透過しないような色が好ましい。光が透過しない色で着色すれば、例えば本発明の有機質無機質複合体粒子を液晶表示板用スペーサーとして用いた場合、光抜けを防止でき、画質のコントラストを向上できる。光が透過しない色としては、黒、濃青、紺、紫、青、濃緑、緑、茶、赤などの色が挙げられるが、特に好ましくは、黒、濃青または紺である。
上記染料としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、分散染料、反応染料、硫化染料、酸性染料、塩基性染料、蛍光染料および蛍光増白剤などの各種染料が挙げられる。これら各種染料の具体例は、「化学便覧応用科学編 日本化学会編」(1986年丸善株式会社発行)の1399頁〜1427頁、「日本化薬染料便覧」(1973年日本化薬株式会社発行)に記載されている。染料および染色の色としては、上述した色が挙げられる。これら各種染料のなかでも、塩基性染料が好ましい。これは、ポリシロキサン骨格中のシラノール基が酸性であるため、塩基性(カチオン性)染料が吸着されやすく、染色されやすいからである。
上記顔料としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、カーボンブラック、鉄黒、クロムバーミリオン、モリブデン赤、べんがら、黄鉛、クロム緑、コバルト緑、群青、紺青などの無機顔料;フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系などの有機顔料がある。しかしながら、顔料は、その平均粒子径が0.4μm以下でないと、本発明の有機質無機質複合体微粒子中に導入されない場合があるので、上記染料を使用する方が好ましい。
本発明にかかる液晶表示板用スペーサーは、上記本発明のビニル系架橋樹脂粒子が用いられてなるスペーサーである。本発明のビニル系架橋樹脂粒子は樹脂異物が実質的に含有されていないため、上記各種用途のなかでも、特に、液晶表示板用スペーサーおよびその材料として用いることが好ましいのである。
本発明にかかる液晶表示板用スペーサーは、本発明のビニル系架橋樹脂粒子そのものがスペーサーとして用いられていても、本発明のビニル系架橋樹脂粒子に何らかの処理を施すことにより特定の物性を有するスペーサーとして用いられていてもよく、特に限定はされず、どのような形態で用いられても有用なスペーサーとすることができる。例えば、本発明のビニル系架橋樹脂粒子を粒子本体として、その表面に樹脂等を付着あるいはグラフト化させて被覆することにより接着層を形成させた液晶表示板用接着性スペーサーや、本発明のビニル系架橋樹脂粒子の合成時の反応系に染料などを含ませておくことによって樹脂粒子そのものを着色した液晶表示板用着色スペーサー、または、これら接着性と着色の機能を組み合わせた液晶表示板用接着性の着色スペーサー、などが好ましく挙げられる。
本発明にかかるビニル系架橋樹脂粒子の製造方法(以下、本発明の製造方法と称すことがある。)は、架橋性ビニル単量体を含むラジカル重合性単量体をラジカル重合させてなる粒子を、脂肪族および/または芳香族炭化水素を必須成分として含む溶媒に分散させた状態で分級し単離する工程を含む製造方法である。
本発明の製造方法において、分級とは、上述のように、合成されたビニル系架橋樹脂粒子を溶媒に分散させた状態で、所望の粒子径のものを選別する操作であり、この操作後つまり分級後は、選別されたビニル系架橋樹脂粒子は溶媒中に分散した状態で得られる。また、単離とは、分級後の状態、すなわち、分級により選別されたビニル系架橋樹脂粒子が溶媒中に分散している状態から、このビニル系架橋樹脂粒子のみを取り出し、かつ、溶媒を除去することをいう。
まず上記粒子を得る過程、すなわち、上記ラジカル重合によりビニル系架橋樹脂粒子(分級前)を合成する過程、について説明する。
上記ビニル系架橋樹脂粒子(分級前)は、架橋性ビニル単量体を含むラジカル重合性単量体をラジカル重合させてなる粒子であり、架橋性ビニル単量体としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、上記本発明のビニル系架橋樹脂粒子の構造単位における由来単量体として列挙した架橋性ビニル単量体を好ましく挙げることができる。これらの架橋性ビニル単量体を用いることによって、架橋した樹脂粒子を得ることができるが、その架橋形態は、特に限定されるわけではなく、用いる架橋性ビニル単量体の種類により所望の架橋形態とすることができるが、具体的には、例えば、複数あるラジカル重合性不飽和基のうち重合に関与しなかったラジカル重合性不飽和基による架橋や、例えば水酸基の脱水縮合による架橋およびエポキシ基とアミノ基との反応による架橋等の他の反応性を有する官能基による架橋、などが挙げられる。
本発明の製造方法においては、上記ラジカル重合性単量体中、架橋性ビニル単量体は、特に限定はされないが、1〜100重量%使用することが好ましく、より好ましくは3〜90重量%、さらにより好ましくは5〜80重量%である。架橋性ビニル単量体の使用量が、1重量%未満であると、得られる樹脂粒子中の架橋度が低くなり、所望の硬度、耐熱性、耐溶剤性などが発現しにくくなり、多すぎると、未反応のビニル基が残存しやすくなるため、用途によっては好ましくない場合がある。
上記ラジカル重合性単量体としては、架橋性ビニル単量体以外にもラジカル重合可能な単量体を含んでいてもよく、特に限定されるわけではないが、具体的には、例えば、上記本発明のビニル系架橋樹脂粒子の構造単位における由来単量体として列挙した、非架橋性ビニル単量体、その他のラジカル重合性単量体などを好ましく挙げることができる。
本発明の製造方法においては、上記ラジカル重合性単量体中、架橋性ビニル単量体以外のラジカル重合性単量体、すなわち、非架橋性ビニル単量体やその他のラジカル重合性単量体は、上記架橋性ビニル単量体の含有割合の範囲外で含まれていればよい。
上記ビニル系架橋樹脂粒子(分級前)の合成方法としては、具体的には、例えば、(a)析出重合、(b)シード重合、(c)懸濁重合などを挙げることができるが、通常一般的に架橋樹脂粒子の製造方法に用いられる合成方法であればよく、特に限定されるわけではない。
上記(a)析出重合においては、上記ラジカル重合性単量体を、該単量体は可溶であり且つ該単量体を合成してなる樹脂は不溶である溶剤中において、ラジカル重合させる。この重合の際、上記溶剤中に後述する分散安定剤を溶解させておく。このような重合法によれば、得られる樹脂は粒径の比較的均一な球状の樹脂粒子として溶媒中に析出する。
上記溶剤としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、あるいは、この低級アルコールと水との混合溶剤、あるいは、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の無機性溶剤などが好ましく挙げられる。これらは、1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
上記分散安定剤としては、上記溶剤に可溶な重合体であることが好ましく、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール、アクリル酸−スチレンブロック共重合体、ポリエチレングリコール−メタクリル酸メチル共重合体、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ酢酸ビニルなどの各種ポリマー等が挙げられる。これらは、1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
上記析出重合においては、この分散安定剤となる重合体とともに、界面活性剤を使用してもよい。上記界面活性剤としては、特に限定されるわけではないが、具体的には、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤、分子中に1個以上の重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有する重合性界面活性剤等が挙げられる。これらは、1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
上記析出重合においては、ラジカル重合開始剤の存在下で重合することが好ましいが、ラジカル重合開始剤を用いずに、熱、紫外線、放射線および電子線等を利用して重合を開始させてもよい。この点については、後述するシード重合や懸濁重合においても同様であることが好ましい。
上記ラジカル重合開始剤としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、過酸化物系開始剤類、および、この過酸化物系開始剤類と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤類;アゾ系化合物類;などを好ましく挙げることができる。これらラジカル重合開始剤は1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
上記ラジカル重合開始剤の添加については、特に限定はなく、最初(反応開始前)に全量仕込んでもよいし、最初に一部を仕込んでおいてから残りを連続フィード添加しても、断続的にパルス添加しても、両者を組み合わせて添加してもよい。
上記析出重合においては、上記溶剤と上記ラジカル重合性単量体とを、上記ラジカル重合性開始剤などの存在下、攪拌機、コンデンサー、温度計等を付した反応器内で、攪拌しながら重合することが好ましい。
上記析出重合においては、重合温度は、特に限定はされないが、通常、40〜100℃で行うことが好ましく、より好ましくは50〜90℃、さらにより好ましくは55〜85℃である。この際、窒素ガスおよび/またはアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが特に好ましい。これらの点については、後述するシード重合や懸濁重合においても同様であることが好ましい。
上記(b)シード重合においては、重合体微粒子を、この重合体微粒子を膨潤させる溶剤(膨潤剤)を水に分散させた分散液に、分散させて、上記重合体微粒子の膨潤体水性分散液を調製した後、この水性分散液中に、上記ラジカル重合性単量体を混合し、このラジカル重合性単量体を上記重合体微粒子の膨潤体に吸収させるとともに、ラジカル重合を行う。このような重合法によれば、上記析出重合と同様に、得られる樹脂は比較的粒径の均一な球状の樹脂粒子となる。
上記膨潤剤としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、メチレンクロライド、1,2−ジクロロエタン、1,2,3−トリクロロエチレン、1−クロロドデカン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等の有機溶剤を好ましく挙げることができる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
上記重合体微粒子は、シード粒子として用いる粒子であり、膨潤剤である有機溶剤に膨潤可能な重合体の微粒子である。この重合体微粒子としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレート、スチレン−(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
重合体微粒子および膨潤剤を水に安定に分散させるため、上記析出重合法において記載した界面活性剤や、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ等の水性高分子を用いることが好ましい。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
上記ラジカル重合開始剤としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、上記析出重合法において列挙したラジカル重合開始剤と同様であることが好ましい。通常、上記ラジカル重合開始剤は、上記膨潤剤および/または上記ラジカル重合性単量体に溶解させて用いる。
上記ラジカル重合開始剤の添加については、特に限定はなく、最初(反応開始前)に全量仕込んでもよいし、最初に一部を仕込んでおいてから残りを連続フィード添加しても、断続的にパルス添加しても、両者を組み合わせて添加してもよい。
上記シード重合においては、上述したように重合体微粒子と膨潤剤とを分散させると、重合体微粒子は膨潤剤によって膨潤し、膨潤体水性分散液が調製される。そして、この膨潤体水性分散体にラジカル重合性単量体を加えて、膨潤体にラジカル重合性単量体を吸収させるとともに、ラジカル重合を行う。
上記(c)懸濁重合においては、上記ラジカル重合性単量体と、このラジカル重合性単量体を、溶解しない、あるいは、わずかしか溶解しない溶媒(特に好ましくは水)と攪拌して分散させながら、ラジカル重合開始剤の存在下、ラジカル重合を行う。
上記ラジカル重合性単量体を溶媒(特に好ましくは水)に安定に分散させるため、分散安定剤として、上記析出重合法において記載した界面活性剤;上記シード重合法において記載した水性高分子;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウムなどの難水溶性無機塩;等を用いることが好ましい。これらは1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。
上記ラジカル重合開始剤としては、特に限定はされないが、具体的には、例えば、上記析出重合法において列挙したラジカル重合開始剤と同様であることが好ましい。通常、上記ラジカル重合開始剤は、上記膨潤剤および/または上記ラジカル重合性単量体に溶解させて用いる。
上記懸濁重合においては、上記溶媒(特に好ましくは水)と上記ラジカル重合性単量体とを、上記ラジカル重合性開始剤などの存在下、攪拌機、コンデンサー、温度計等を付した反応器内で、攪拌しながら重合することが好ましい。
上記(a)〜(c)の各種合成方法などにおいて用いるラジカル重合性単量体中に、ラジカル重合性二重結合基を複数有する架橋性ビニル単量体が含まれる場合は、この架橋性ビニル単量体によって、ラジカル重合性単量体の重合が進行すると共に、複数のラジカル重合性二重結合基による重合体同士の架橋も進行することとなる。
本発明の製造方法においては、得られるビニル系架橋樹脂粒子を着色粒子とすることもでき、その場合、上記合成反応系中に染料を含めた状態で行うことが好ましい。
上記染料としては、特に限定はされないが、具体的には、酸性染料、塩基性染料、蛍光染料、蛍光増白剤などが好ましく、なかでも酸性染料が、染料の耐熱性が高いためより好ましい。
上記(a)〜(c)の各種合成方法等により得られるビニル系架橋樹脂粒子(分級前)を、溶剤や溶媒から分離、乾燥するためには、従来公知の方法を用いれば良く、分離としては、例えば、自然沈降法あるいは遠心沈降法とデカンテーションとによる分離やろ過による分離などの各種分離法があり、必要であれば水洗等を行ってもよい。乾燥としては、例えば、自然乾燥、減圧乾燥および熱風乾燥などの各種乾燥法がある。また、分離に先立って、硫酸アルミニウム等の凝集剤を添加して分離を促進することもできる。上記分離、乾燥により得られたビニル系架橋樹脂粒子(分級前)は、ボールミル等のごく軽い力で容易に乳濁液中の硬化樹脂粒子と同じく実質的に球状で比較的均一な粒子径を有する架橋樹脂粒子とすることができる。
また、ビニル系架橋樹脂粒子(分級前)については、その平均粒子径は、特に限定はされないが、0.5〜50μm程度に調製しておけばよく、より好ましくは1.0〜40μmであり、さらにより好ましくは1.5〜30μmである。また、粒度分布については、特に限定はされないが、液晶表示板用スペーサーに使用する場合は、変動係数が1〜20%程度になるよう調製しておけばよく、より好ましくは2〜15%、さらにより好ましくは2〜10%である。
以下、上述のようにして合成されたビニル系架橋樹脂粒子(分級前)を分級し単離する過程について説明する。
本発明の製造方法により得られるビニル系架橋樹脂粒子は、ビニル系架橋樹脂粒子(分級前)を、脂肪族および/または芳香族炭化水素(以下、単に、炭化水素と称すことがある。)を必須成分として含む溶媒に分散させた状態で分級し単離することにより得られることを特徴とする、ビニル系架橋樹脂粒子である。分級に用いる溶媒として、脂肪族および/または芳香族炭化水素を必須とする溶媒を用いることによって、単離後に得られるビニル系架橋樹脂粒子の有機溶媒含有量を100ppm以下、好ましくは0を超えかつ100ppm以下、より好ましくは0.1〜50ppm以下、さらにより好ましくは0.1〜10ppmとすることができる。上記有機溶媒含有量を100ppm以下にすれば、単離後において、得られた架橋樹脂粒子自体が、特に、得られた架橋樹脂粒子中に架橋の不完全な部分がある場合はその部分が、次第に軟化し、または、粘着性を有するようになることを防ぐことができ、ひいては、単離後の貯蔵段階や使用段階における架橋樹脂粒子どうしの融着、凝集などを抑え、凝集粒子や粗大粒子などといった樹脂異物の発生を防止することができる。また、架橋樹脂粒子中に上記範囲内で微量の有機溶媒が存在させた方が、例えば液晶表示板用スペーサーに使用する場合などでは、湿式散布において散布溶媒への分散性が向上するため好ましい。
上記脂肪族および/または芳香族炭化水素を必須成分として含む溶媒において、脂肪族炭化水素としては、特に限定されるわけではないが、具体的には、炭素数4〜20の脂肪族炭化水素の中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、より好ましくは炭素数5〜15の脂肪族炭化水素から選ばれる少なくとも1種、さらにより好ましくは炭素数6〜10の脂肪族炭化水素から選ばれる少なくとも1種である。上記炭素数が4未満であると、蒸気圧が高いため分級中に蒸発してしまい、分級には不適当となり、20を超える場合は、粒子中に溶媒が残りやすくなるため好ましくない。上記脂肪族炭化水素のなかでも、例えば、n−ヘキサンやシクロヘキサン等のヘキサン類;n−ヘプタン等のヘプタン類;n−オクタン等のオクタン類;n−デカン等のデカン類などがより好ましく、なかでも、ヘキサン類がさらにより好ましい。
同様に、芳香族炭化水素としては、特に限定されるわけではないが、具体的には、炭素数6〜20の芳香族炭化水素の中から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、より好ましくは炭素数6〜15の芳香族炭化水素から選ばれる少なくとも1種、さらにより好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素から選ばれる少なくとも1種である。上記炭素数が20を超える場合は、粒子中に溶媒が残りやすくなるため好ましくない。上記芳香族炭化水素のなかでも、例えば、トルエン、キシレンなどがより好ましい。
特に、上記脂肪族炭化水素は、ビニル系架橋樹脂粒子中に浸透し残留しにくい点で、上記芳香族炭化水素より好ましく、なかでも、ヘキサン類、ヘプタン類およびオクタン類が特に好ましく、ヘキサン類が最も好ましい。
上記溶媒中、必須成分である炭化水素の合計の含有割合は、20〜100容積%であることが好ましく、より好ましくは25〜100容積%、さらにより好ましくは30〜95容積%である。上記含有割合が25容積%未満であると、不完全硬化の樹脂分が溶媒中に溶解しやすくなる。
上記溶媒は、必須成分である上記炭化水素以外に、さらに他の溶媒を含んでいてもよい。
他の溶媒としては、特に限定されるわけではないが、上記溶媒が必須成分である炭化水素のみの場合、溶媒中でのビニル系架橋樹脂粒子の分散性が低下するおそれがあるため、上記溶媒中でのビニル系架橋樹脂粒子の分散性を高めることのできる溶媒が好ましい。そのような溶媒としては、具体的には、例えば、アルコール、ケトン、セロソルブ、エーテルおよびエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の極性溶媒であることが好ましく、より好ましくはアルコール、エーテル、ケトンおよびセロソルブからなる群より選ばれる少なくとも1種の極性溶媒であり、さらにより好ましくはアルコールであり、特に好ましくはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールであり、最も好ましくはエタノールである。
上記他の溶媒を含む場合、特に上記列挙した極性溶媒を含む場合、上記各種溶媒の含有割合については、上記溶媒全量中、上記炭化水素が30〜95容積%かつ上記極性溶媒が5〜70容積%であることが好ましく、より好ましくは上記炭化水素が40〜90容積%かつ上記極性溶媒が10〜60容積%、さらにより好ましくは上記炭化水素が50〜80容積%かつ上記極性溶媒が20〜50容積%である。上記極性溶媒の含有割合が5容積%未満の場合、溶媒へのビニル系架橋樹脂粒子の分散性が低下し凝集などが増え分級の歩留まりが低下するおそれがあり、70容積%を超える場合は、ビニル系架橋樹脂粒子中に浸透し、単離後まで残留する有機溶媒含有量が多くなりすぎるおそれがあり、上記従来の問題と同様の問題が生じることとなる。
上記分散については、上記溶媒にビニル系架橋樹脂粒子(分級前)を分散させた後の分散体において、ビニル系架橋樹脂粒子(分級前)の含有割合が1〜80重量%となるように分散させることが好ましく、より好ましくは5〜75重量%であり、さらにより好ましくは10〜70重量%である。上記含有割合が1重量%未満の場合は、その後の分級に多大な時間をようすることとなり、80重量%を超える場合は、樹脂粒子を溶媒に分散させることが困難となるほか、その後の分級時に目詰まりなどを引き起こし、分級効率や分級精度が低下したり、その結果、分級に要する時間が長くなったり、あるいは短時間で分級を行うためには大きな付加をかける必要が生じ、分級装置などの破損を引き起こすおそれがある。
また、樹脂粒子の分散性を向上させるために上記溶媒に各種分散剤を添加してもかまわない。
上記分級については、その方法は特に限定されないが、本発明においては樹脂粒子を溶媒に分散させた状態で分級するため、湿式で分級することを前提とする。
分級のための装置としては、特に限定はされないが、例えば、サイクロン、沈降塔、あるいは、ふるい等が好ましく用いられる。なお、ふるいは一定の目開きを通過するか否かで分級を行うものであり、例えば、目開き10μm以上のものについては細線を編んだふるいが用いられ、例えば、目開き20μm以下のものについては金属箔などをエッチングにより微細な孔をあけたものや、電成ふるいと呼ばれる、メッキによって矩形の孔を有するスクリーンを作製したものが用いられ、これらは細線を編んだふるいと比較して目開きが非常によくそろっており分級の精度を向上させることができる。特に電成ふるいはエッチングにより孔をあけたものと比較して、厚みより小さな孔加工が可能であり、サイドエッジがなく断面形状がきれいな優れたふるいであるため、本発明においても電成ふるいにより分級を行うことが特に好ましい。以下、電成ふるいについて詳しく説明する。
電成ふるいとは、メッキによって矩形の孔を有するスクリーンを作製したものである。電成ふるいの製造方法としては、高精度にクロスライン状に腐食させたガラス原板上に、真空蒸着、スパッタリング等の物理メッキ、あるいは電解メッキ、無電解メッキ等の化学メッキにより導電性被膜を形成した後、腐食部分の溝以外のメッキ層を除去し、これに電解メッキ等の方法でメッシュを形成し、ガラス原板から剥離する方法が挙げられる。このようにして作製されたメッシュはガラス原板から剥離後、必要に応じてさらに電解メッキを施してもかまわない。また、他の製造方法として、ガラス平板上に真空蒸着、スパッタリング等の物理メッキ、あるいは電解メッキ、無電解メッキ等の化学メッキにより導電性被膜を形成し、その被膜上にレジストを塗布した後、所定の形状のパターンを形成し、その後エッチングによりパターン以外の部分を除去し、ガラス原板から剥離後、電解メッキを施す方法も挙げられる。
電成ふるいの材質としては、金、白金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル及びこれらをベースとする種々の合金が用いられるが、ふるいの耐久性、耐蝕性やメッキ作業の容易さからニッケルを主成分とするものが特に好ましく用いられる。
電成ふるいは、開孔径、単位あたりの開孔数の調整が容易であるばかりでなく、開孔径分布が非常に良好であるため、ふるいとして用いた場合、非常に精度良く分級することが可能となる。
電成ふるいは非常に薄いため簡単に傷ついたり、破れたりし、分級された粒子へ金属系不純物の混入のおそれがある。特に、分級されたビニル系架橋樹脂粒子を液晶表示板用スペーサー等の電子材料の用途に用いる場合、金属系不純物の混入は品質および信頼性の低下の原因となるため重大な問題である。そのため、電成ふるいの片面あるいは両面に格子状あるいはリング状等のサポートを設けて強度を上げることが好ましい。
電成ふるいの分級装置への取り付けに関しては、特に超音波振動を印加する場合など、電成ふるいと分級装置とが擦れて電成ふるいが破損し分級された粒子へ金属系不純物が混入するおそれがあるため、エラストマーからなる部材を介して取り付けることが好ましい。また、超音波振動子は、金属系不純物の混入を避けるため、セラミックスからなるチップが好ましい。
電成ふるいを用いた分級においては、樹脂粒子の分散体(分散液)を、電成ふるいを備えた分級装置に通す湿式分級を行う。媒体として不活性ガスや空気などを用いる乾式法と比較して、湿式法による場合の方が超音波の照射効率、分散の安定性が高く、また電成ふるいへの粒子の付着が少ない。特に、液晶表示板用のスペーサーなどに用いる粒子径の小さいものは凝集力が強いため、乾式法では分散が不十分になる場合がある。湿式法において、粒子を分散させる液状媒体としては、用いる電成ふるいの材質、開孔径、線数および粒子の性状あるいは粒子径分布などによって適切に選択することができる。また、分級に際しては、分級装置内に超音波照射チップを挿入した場合、水等の液状媒体に超音波照射を行うことで、分級の効率を向上させることができる。
電成ふるいにより分級を行う場合、溶媒として粘度が50cP以下のものを用いることが好ましく、より好ましくは20cP以下である。樹脂粒子を分散させる溶媒は、用いる電成ふるいの材質、開孔径、線数、および樹脂粒子の性状あるいは粒子径分布などによって適切に選択することができるが、分級速度を上げるためにはできるだけ低粘度のものが好ましい。
電成ふるいにより分級を行う場合、特に、液晶表示板用スペーサーなどに用いる10μm程度以下の粒子径の小さいものを分級する場合、電成ふるいを目詰まりさせる傾向が強くなる。分級装置内の分散体における樹脂粒子の濃度を上記範囲とするためには、適宜溶媒を追加して調整すればよい。また、分級によって系内の樹脂粒子濃度が変動すると、分級速度が変化したり分級精度が変化するおそれがあるため、適宜溶媒を追加することで樹脂粒子濃度の変動を抑えることが好ましい。
電成ふるいにより分級を行う場合、分級装置内の分散体の少なくとも一部を流動させることが好ましい。これにより、沈降などによる濃度変化、電成ふるい上への粒子の堆積などを防止することができる。分散体の少なくとも一部を流動させる方法としては、分散体を撹拌羽根などによって撹拌する方法や、ポンプによって分散体の少なくとも一部を吸引し吐出することで循環させる方法などを挙げることができる。ポンプによって分散体を循環させる場合、分級装置へ戻る分散体の吐出が電成ふるい面に衝突するようにし、かつ吐出方向と電成ふるい面とのなす角度が好ましくは30〜90度、より好ましくは45〜90度となるようにすると、電成ふるいの表面に粒子が堆積するのをより効果的に防止することができる。循環に際しての流量については特に制限はないが、大きすぎる場合、電成ふるいを損傷し分級した樹脂粒子へ金属系不純物が混入するおそれがあり、小さすぎる場合、分散体の流動効果が小さくなるため、0.1〜10L/min程度が適当である。
電成ふるいにより分級を行う場合、分級中の溶媒および/または分散体の温度が0〜100℃であることが好ましく、より好ましくは5〜70℃、さらにより好ましくは5〜60℃である。この温度範囲にあることで、粒子、溶媒および電成ふるいの機能を損なわずに分級を行うことができる。また、例えば、粒子表面に熱可塑性樹脂成分を有するようにした固着性スペーサー粒子などのように温度変化によって性状が大きく変化するものの場合、一定温度の溶媒を追加供給したり、装置の接液部にジャケットを設けて温度コントロールをしたり、あるいは上記したように分散体を循環する場合には循環ラインに熱交換器を導入して温度コントロールをしたりして、温度変化を小さくすることが好ましい。分級中の温度変化の幅は30℃以内であることが好ましく、20℃以内であることがより好ましい。
電成ふるいにより分級を行う場合、分級中の分級装置内の液量を一定に保つことが好ましい。液量を一定に保つことで、温度、系内の粒子の濃度、超音波振動の大きさ等を一定に保つことができるため、分級速度や分級精度の変化を抑制することができる。なお、ここでは、液量を一定に保つとは、液量の変化が30%以内であることをいい、好ましくは20%以内である。
本発明のビニル系架橋樹脂粒子は、上記分級によって、平均粒子径0.5〜50μmとなるように調製されることが好ましく、より好ましくは1.0〜40μm、さらにより好ましくは1.5〜30μmである。特に、本発明のビニル系架橋樹脂粒子を、液晶表示板用スペーサーとして用いる場合は、上記平均粒子径は、1.0〜30μmとなるように調製されることが好ましく、より好ましくは1.0〜25μm、さらにより好ましくは1.0〜20μmである。
同様に、粒度分布については、変動係数が1〜50%であることが好ましく、より好ましくは2〜40%、さらにより好ましくは2〜30%である。特に、本発明のビニル系架橋樹脂粒子を、液晶表示板用スペーサーとして用いる場合は、上記変動係数は、1〜10%となるように調製されることが好ましく、より好ましくは2〜8%、さらにより好ましくは2〜6%である。
本発明の製造方法においては、上記湿式による分級の後、分級したビニル系架橋樹脂粒子を単離する。単離する方法としては、特に限定されないが、例えば、遠心分離、デカンテーション、溶媒を蒸発させる方法などが挙げられる。
本発明の製造方法においては、ビニル系架橋樹脂粒子の不完全架橋を解消する処理がなされていることが好ましい。詳しくは、上記合成により得られたビニル系架橋樹脂粒子(分級前)が、分級および単離を経て、最終的にビニル系架橋樹脂粒子として得られるまでの間に、個々の架橋樹脂粒子中の不完全な架橋部分を架橋し得るよう、再度架橋する処理がなされていることが好ましく、上記期間内であれば処理回数や処理の種類は特に制限されない。上記不完全架橋を解消する処理をすることによって、個々のビニル系架橋樹脂粒子における架橋度をより高めることができ、これによって、架橋樹脂粒子中に残留した有機溶媒による上述したような問題をさらに低減することができる。
上記不完全架橋を解消する処理としては、具体的には、架橋樹脂粒子内の架橋をさらに進める処理であればよく、特に限定はされないが、例えば、加熱することが好ましく、なかでも、上記単離中または単離後のビニル系架橋樹脂粒子に対して加熱することがより好ましい。この際、加熱処理の温度は、特に限定はされないが、30℃以上であることが好ましく、より好ましくは40〜200℃、さらにより好ましくは50〜180℃である。また、加熱処理の時間は、特に限定はされないが、10分〜24時間であることが好ましく、より好ましくは10分〜10時間、さらにより好ましくは10分〜4時間である。
本発明の製造方法により得られるビニル系架橋樹脂粒子は、その用途としては、特に限定されるわけではなく、例えば、プラスチックフィルム・シートの滑り性向上剤、ブロッキング防止剤、つや消し仕上げ剤、光拡散剤、表面硬度向上剤などの各種改良剤や、塗料や化粧品用の充填剤、吸着処理やイオン交換処理等の処理用充填剤およびプラスチック成形品等に光沢を付与する充填剤等の各種充填剤や、液晶表示板用スペーサーおよびその材料や、測定・分析用標準粒子などの各種用途に有用であり、また、酸性染料、塩基性染料、蛍光染料および蛍光増白剤などの各種染料により着色すれば、塗料、インキおよびプラスチック着色用の顔料、液晶表示板用着色スペーサーなどとして用いることもできる。
本発明の製造方法により得られるビニル系架橋樹脂粒子は樹脂異物が実質的に含まれていないため、上記各種用途のなかでも、特に、液晶表示板用スペーサーとして用いることが好ましい。
本発明の製造方法により得られるビニル系架橋樹脂粒子を、液晶表示板用スペーサーとして用いる場合、このビニル系架橋樹脂粒子そのものをスペーサーとして用いても、このビニル系架橋樹脂粒子に何らかの処理を施すことにより特定の物性を有するスペーサーとして用いても、有用なスペーサーとすることができ、特に限定はされない。例えば、このビニル系架橋樹脂粒子を粒子本体としてその表面に樹脂等を付着させたりグラフト化したりして被覆することにより接着層を形成させた液晶表示板用接着性スペーサーや、このビニル系架橋樹脂粒子の合成時の反応系に染料などを含ませておくことによって樹脂粒子そのものを着色した液晶表示板用着色スペーサー、または、これら接着性と着色の機能を組み合わせた液晶表示板用接着性の着色スペーサー、などが好ましく挙げられる。
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と記すことがある。
−実施例1−
四つ口フラスコに、エタノール200部を仕込んでポリビニルピロリドン2部を溶解させた後、スチレン6部およびアゾビスイソブチロニトリル0.1部を投入して、攪拌しながら70℃で24時間重合させ、平均粒子径1.2μmのポリスチレン樹脂を得た。得られたポリスチレン粒子10部を、3%ポリビニルアルコール水溶液300部に超音波分散機を用いて分散させた。次いで、この分散液に、ジビニルベンゼン6部、メチルメタクリレート3部、2−エチルヘキシルアクリレート1部および過酸化ベンゾイル0.5部の混合液を加えてポリスチレン粒子へ吸収させ、その後、窒素気流下、80℃で15時間重合を行った後、120℃で減圧乾燥して、樹脂粒子Aを得た。
得られた樹脂粒子Aの粒度分布を粒度分布測定機(コールター社製、コールターマルチサイザー)で測定したところ、平均粒子径6.03μm、変動係数3.3%であった。
次に、n−ヘキサン/エタノール=2/1(体積比)の混合溶媒を調製し、上記樹脂粒子A400gをこの混合液1リットルに分散させ分散液を調製した。
そして、ガラス製フィルターホルダーに、開口径7.0μm、線数1500本/インチの電成ふるい(ニッケル系)を取り付け、ジルコニア系セラミクスからなる超音波振動子を有する超音波分散機を用いて、周波数20kHz、振幅10mmで振動させながら、上記分散液をろ過した。
その際、ふるいの穴が詰まらないように、また、分級時の粒子濃度が高くならないように、新しい上記n−ヘキサン/エタノールの混合溶媒を加えながら分級した。なお、電成ふるいと超音波振動子の間隔は10mmに設定した。
分級後の分散液から、樹脂粒子をろ過により単離し、真空乾燥機で70℃、4時間、減圧乾燥した後、解砕することにより、実施例1のビニル系架橋樹脂粒子(以下、ビニル系架橋樹脂粒子(1)と称することがある。)を得た。
得られたビニル系架橋樹脂粒子(1)の粒度分布を粒度分布測定機(コールター社製、コールターマルチサイザー)で測定したところ、平均粒子径5.98μm、変動係数2.6%であった。さらに、得られたビニル系架橋樹脂粒子(1)中のn−ヘキサンおよびエタノールの合計含有量は10ppmであった。
なお、分級に用いた電成ふるい上を、光学顕微鏡で観察すると、8μm以上の粗大な球状粒子や、粒子の凝集体、あるいは10〜30μmの不定形状粒子が観察された。
また、得られたビニル系架橋樹脂粒子(1)を、30℃で3ヶ月間保存後、再び、上述と同様に、上記n−ヘキサン/エタノール(体積比2/1)の混合溶媒を用いて、超音波分散させながら電成ふるいにより分級した。分級後の電成ふるい上には、初めの分級後に見られたような粗大な球状粒子や、粒子の凝集体や、不定形状粒子は観察されなかった。よって、一旦得られたビニル系架橋樹脂粒子(1)は、新たに、凝集や融着などにより、凝集体粒子や粗大粒子などを生成しないことが分かった。
このようにして得られたビニル系架橋樹脂粒子(1)を、液晶表示板用のスペーサーとして用い、従来公知の方法により15インチのカラーSTN透過型液晶表示板を作成したところ、面内のギャップ均一性に優れ、色ムラも無く、コントラストが高い、表示品位に優れた液晶表示板が得られた。また、50℃、1000時間の信頼性試験を行ったが、焼付き等は生じなかった。
−比較例1−
実施例1における樹脂粒子A(平均粒子径6.03μm、変動係数3.3%)を比較例1のビニル系架橋樹脂粒子(以下、比較ビニル系架橋樹脂粒子(1)と称することがある。)とした。
この比較ビニル系架橋樹脂粒子(1)を、液晶表示板用のスペーサーとして用い、従来公知の方法により15インチのカラーSTN透過型液晶表示板を作成したところ、面内のギャップ均一性が悪く、色ムラが発生し、コントラストも低下した、表示品位の悪い液晶表示板となった。
−比較例2−
n−ヘキサン/エタノールの混合溶媒の代わりにエタノール単独溶媒を用いた以外は、実施例1と同様の操作により、比較例2のビニル系架橋樹脂粒子(以下、比較ビニル系架橋樹脂粒子(2)と称することがある。)を得た。
得られた比較ビニル系架橋樹脂粒子(2)の粒度分布を粒度分布測定機(コールター社製、コールターマルチサイザー)で測定したところ、平均粒子径6.01μm、変動係数3.0%であった。さらに、得られた比較ビニル系架橋樹脂粒子(2)中のエタノールの含有量は130ppmであった。
なお、分級に用いた電成ふるい上を、光学顕微鏡で観察すると、8μm以上の粗大な球状粒子や、粒子の凝集体、あるいは10〜20μmの不定形状粒子が観察された。
次に、得られたばかりの比較ビニル系架橋樹脂粒子(2)を、再び、上述と同様に、上記エタノールの単独溶媒を用いて、超音波分散させながら電成ふるいにより分級した。分級後の電成ふるい上には、初めの分級で見られたような粗大な球状粒子や、粒子の凝集体や、不定形状粒子は観察されなかった。
さらに、得られた比較ビニル系架橋樹脂粒子(2)を、30℃で3ヶ月間保存後、再び、上述と同様に、上記エタノールの単独溶媒を用いて、超音波分散させながら電成ふるいにより分級した。分級後の電成ふるい上には、初めの分級後と同様に、粗大な球状粒子や、粒子の凝集体や、不定形状粒子が再び観察された。
以上のことから、エタノール単独溶媒では、一旦得られた比較ビニル系架橋樹脂粒子(2)は、新たに、凝集や融着などにより、凝集体粒子や粗大粒子などを生成し、樹脂異物を含有することとなることが分かった。
このようにして30℃で3ヶ月間保存した比較ビニル系架橋樹脂粒子(2)を、液晶表示板用のスペーサーとして用い、従来公知の方法により15インチのカラーSTN透過型液晶表示板を作成したところ、ビニル系架橋樹脂粒子(1)を用いた場合に比べ、面内のギャップ均一性に劣り、ざらつき感が見られた。また、50℃、1000時間の信頼性試験を行ったが、焼付きが生じた。
−実施例2−
四つ口フラスコに、エタノール200部を仕込んでポリビニルピロリドン5部を溶解させた後、グリシジルメタクリ−レート6部およびスチレン40部を混合したコモノマーにアゾビスイソブチロニトリル0.6部を溶解させた溶液を投入して攪拌しながら70℃で24時間重合反応させた。反応終了後、室温にて冷却し、ジイソプロピレートエチルアセトアルミニウム0.4部を追加して、2時間室温にて攪拌し、エポキシ基どうしの架橋反応をさせた。次いで、遠心分離と洗浄を繰り返して樹脂粒子を単離した後、120℃で減圧乾燥して、樹脂粒子Bを得た。
得られた樹脂粒子Bの粒度分布を粒度分布測定機(コールター社製、コールターマルチサイザー)で測定したところ、平均粒子径4.36μm、変動係数3.2%であった。
次に、n−ヘキサン/エタノール=1/1(体積比)の混合溶媒を調製し、上記樹脂粒子B300gをこの混合液1リットルに分散させ分散液を調製した。
そして、ガラス製フィルターホルダーに、開口径5.5μm、線数1000本/インチの電成ふるい(ニッケル系)を取り付け、ジルコニア系セラミクスからなる超音波振動子を有する超音波分散機を用いて、周波数50kHz、振幅15mmで振動させながら、上記分散液をろ過した。
その際、ふるいの穴が詰まらないように、また、分級時の粒子濃度が高くならないように、新しい上記n−ヘキサン/エタノールの混合溶媒を加えながら分級した。なお、電成ふるいと超音波振動子の間隔は5mmに設定した。
分級後の分散液から、樹脂粒子をろ過により単離し、真空乾燥機で80℃4時間以上減圧乾燥した後、解砕することにより、実施例2のビニル系架橋樹脂粒子(以下、ビニル系架橋樹脂粒子(2)と称することがある。)を得た。
得られたビニル系架橋樹脂粒子(2)の粒度分布を粒度分布測定機(コールター社製、コールターマルチサイザー)で測定したところ、平均粒子径4.30μm、変動係数2.5%であった。さらに、得られたビニル系架橋樹脂粒子(2)中のn−ヘキサンおよびエタノールの合計含有量は8ppmであった。
なお、分級に用いた電成ふるい上を、光学顕微鏡で観察すると、7μm以上の粗大な球状粒子や、粒子の凝集体、あるいは10〜30μmの不定形状粒子が観察された。
また、得られたビニル系架橋樹脂粒子(2)を、30℃で3ヶ月間保存後、再び、上述と同様に、上記n−ヘキサン/エタノール(体積比1/1)の混合溶媒を用いて、超音波分散させながら電成ふるいにより分級した。分級後の電成ふるい上には、初めの分級後に見られたような粗大な球状粒子や、粒子の凝集体や、不定形状粒子は観察されなかった。よって、一旦得られたビニル系架橋樹脂粒子(2)は、新たに、凝集や融着などにより、凝集体粒子や粗大粒子などを生成しないことが分かった。
このようにして得られたビニル系架橋樹脂粒子(2)を、液晶表示板用のスペーサーとして用い、従来公知の方法により15インチのTFT透過型液晶表示板を作成したところ、面内のギャップ均一性に優れ、色ムラも無く、コントラストが高い、表示品位に優れた液晶表示板が得られた。また、50℃、1000時間の信頼性試験を行ったが、焼付き等は生じなかった。
−比較例3−
実施例2における樹脂粒子B(平均粒子径4.36μm、変動係数3.2%)を比較例3のビニル系架橋樹脂粒子(以下、比較ビニル系架橋樹脂粒子(3)と称することがある。)とした。
この比較ビニル系架橋樹脂粒子(3)を、液晶表示板用のスペーサーとして用い、従来公知の方法により15インチのTFT透過型液晶表示板を作成したところ、面内のギャップ均一性が悪く、色ムラが発生し、コントラストも低下した、表示品位の悪い液晶表示板となった。
−比較例4−
n−ヘキサン/エタノールの混合溶媒の代わりにエタノール単独溶媒を用いた以外は、実施例2と同様の操作により、比較例4のビニル系架橋樹脂粒子(以下、比較ビニル系架橋樹脂粒子(4)と称することがある。)を得た。
得られた比較ビニル系架橋樹脂粒子(4)の粒度分布を粒度分布測定機(コールター社製、コールターマルチサイザー)で測定したところ、平均粒子径4.32μm、変動係数3.0%であった。さらに、得られた比較ビニル系架橋樹脂粒子()中のエタノールの含有量は150ppmであった。なお、分級に用いた電成ふるい上を、光学顕微鏡で観察すると、7μm以上の粗大な球状粒子や、粒子の凝集体、あるいは10〜20μmの不定形状粒子が観察された。次に、得られたばかりの比較ビニル系架橋樹脂粒子(4)を、再び、上述と同様に、上記エタノールの単独溶媒を用いて、超音波分散させながら電成ふるいにより分級した。分級後の電成ふるい上には、初めの分級で見られたような粗大な球状粒子や、粒子の凝集体や、不定形状粒子は観察されなかった。
さらに、得られた比較ビニル系架橋樹脂粒子(4)を、30℃で3ヶ月間保存後、再び、上述と同様に、上記エタノールの単独溶媒を用いて、超音波分散させながら電成ふるいにより分級した。分級後の電成ふるい上には、初めの分級後と同様に、粗大な球状粒子や、粒子の凝集体や、不定形状粒子が再び観察された。以上のことから、エタノール単独溶媒では、一旦得られた比較ビニル系架橋樹脂粒子()は、新たに、凝集や融着などにより、凝集体粒子や粗大粒子などを生成し、樹脂異物を含有することとなることが分かった。このようにして30℃で3ヶ月間保存した比較ビニル系架橋樹脂粒子(4)を、液晶表示板用のスペーサーとして用い、従来公知の方法により15インチのTFT透過型液晶表示板を作成したところ、ビニル系架橋樹脂粒子(2)を用いた場合に比べ、面内のギャップ均一性に劣り、ざらつき感が見られた。また、50℃、1000時間の信頼性試験を行ったが、焼付きが生じた。
発明の効果
本発明によれば、粒度分布がシャープであるとともに、変動係数には影響しない程度であっても粗大粒子や粒子凝集体などの樹脂異物を実質的に含まない、ビニル系架橋樹脂粒子その製造方法およびその用途を提供することができる。

Claims (7)

  1. 架橋性ビニル単量体を含むラジカル重合性単量体をラジカル重合させてなる粒子を溶媒に分散させた状態で分級し単離する工程を含む樹脂粒子の製造方法において、前記溶媒として脂肪族炭化水素および/または芳香族炭化水素を必須成分として含む溶媒を用いる、ことを特徴とする、ビニル系架橋樹脂粒子の製造方法。
  2. 前記溶媒中に含まれる脂肪族炭化水素および/または芳香族炭化水素の合計含有量が25容積%以上である、請求項1に記載のビニル系架橋樹脂粒子の製造方法。
  3. 前記溶媒が、アルコール、ケトン、セロソルブ、エーテルおよびエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の極性溶媒を含有する溶媒である、請求項1または2に記載のビニル系架橋樹脂粒子の製造方法。
  4. 前記溶媒中に含まれる脂肪族炭化水素および/または芳香族炭化水素の合計含有量は30〜95容積%であり、前記溶媒中に含まれる極性溶媒の含有量は5〜70容積%である、請求項3に記載のビニル系架橋樹脂粒子の製造方法。
  5. 前記脂肪族炭化水素の炭素数が4〜20である、請求項1〜4のいずれかに記載のビニル系架橋樹脂粒子の製造方法。
  6. 前記粒子に、架橋樹脂粒子内の架橋をさらに進めて不完全架橋を解消する処理を施す、請求項1〜5のいずれかに記載のビニル系架橋樹脂粒子の製造方法。
  7. 前記分級は電成ふるいにより行う、請求項1〜6のいずれかに記載のビニル系架橋樹脂粒子の製造方法。
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