JP5359925B2 - 部材内で強度差を有するエネルギ吸収部材の製造方法 - Google Patents
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Description
その要旨は以下の通りである。
Ac3点以上の温度域に加熱後冷却するに際し、Ar3〜300℃の温度域を200℃/s以上の冷却速度で冷却する急冷部分と、150℃/s未満の冷却速度で冷却する緩冷部分を有し、相対的に高強度の急冷部分と相対的に低強度の緩冷部分との強度差(ΔTS)が490MPa以上となることを特徴とする、部材内で強度差を有するエネルギ吸収部材の製造方法。
本発明者らは、表1に示す成分を有する板厚:1.6mmの冷延・焼鈍板を使用し、冷却速度とビッカース硬度(荷重:1kgf)との関係を調査した。得られた結果を図1に示す。
こうした実験事実をもとに本発明を完成させるに至った。
以下に本発明の限定理由について説明する。
まず、成分元素の含有量を限定する理由を説明する。
以下において、含有量に下限値がある成分元素は必須成分であり、下限値がない成分元素は不純物である。
Cは、本発明において重要な役割を果たす元素であり、とくに焼入れ後の強度に与える影響が大きい。したがって、1470MPa以上の強度を得るには0.19%以上の添加が必要である。一方、0.35%を超えると、衝撃変形時に破断が生じやすくなるとともに、溶接性の劣化と溶接部の強度が低下するため、これを上限とする。
Siは、固溶強化元素であると同時に、セメンタイトの析出を抑制する元素でもあることから、0.1%以上添加する。一方、過度に添加すると後述するように、メッキを施す場合にはそのメッキ性が劣化するため、0.5%を上限とする。
Mnは、焼入れ性の確保にとって重要な元素の一つであり、本発明における冷却速度においても0.1%以上の添加が必要である。一方、1%を超えて添加されると焼入れ性が高くなり、強度を低く抑えることができなくなることからこれを上限とする。
Pは、固溶強化元素であり、比較的安価に鋼板の強度を上げることができるが、粒界に偏析し、強度が高い場合には低温脆化が問題になることから、0.015%を上限とする。一方、0.001%よりも低くすることは脱Pコストを極端に高めるため好ましくないことから、好ましくはこれを下限とする。
Sは鋼の熱間脆性に影響を与える元素であるとともに、とくに熱間での加工性を劣化させる元素でもあるばかりでなく、冷間での加工性を劣化させるため、少ない方が好ましい。そのため、0.01%を上限とする。しかし、0.001%未満とする場合には、脱硫コストの極端な上昇を招くため、好ましくはこれを下限とする。
なお、P、Sは共に本発明においては不可避的不純物の一部である。
Alは、脱酸のために添加されるものである。0.005%未満では脱酸が不十分となり、鋼中に酸化物が多量に残存し、とくに局部変形能が劣化するとともに、特性バラツキも大きくなる。一方、0.05%を超えて含有されると、鋼中にアルミナを主体とする酸化物が多く残存し、やはり局部変形能の劣化を招くため、好ましくない。
Nも、極端に下げることはコストアップとなり好ましくないため、0.001%を下限とする。一方、0.003%を超えて含有されると、介在物を形成し、焼入れ後の靭性が劣化するため、これを上限とする。
Ti、Nb、V、Moは、靭性確保の視点から、組織微細化のために添加される元素である。つまり、合計で0.005%未満ではその効果が得られない。一方、0.15%を超えて添加してもその効果が飽和し、コストアップになるため、これを上限とする。
Tiは、鋼板をAc3点以上に加熱した場合、微細な炭化物の形成により、再結晶及び粒成長を抑制してオーステナイト粒を細粒にするため、靭性を改善する効果がある。そのため、0.005%を下限とする。一方、0.1%を超えて添加してもその効果が飽和するばかりでなく、コストアップを招くことからこれを上限とする。
NbもTiと同様に、鋼板をAc3点以上に加熱した場合、微細な炭化物の形成により、再結晶及び粒成長を抑制してオーステナイト粒を細粒にするため、靭性を改善する効果がある。そのため、0.005%を下限とする。一方、0.02%を超えて添加してもその効果が飽和するばかりでなく、コストアップを招くことからこれを上限とする。
Vは、TiやNbと同様に、鋼板をAc3点以上に加熱した場合、微細な炭化物の形成により、再結晶及び粒成長を抑制してオーステナイト粒を細粒にするため、靭性を改善する効果がある。そのため、0.01%を下限とする。一方、0.1%を超えて添加してもその効果が飽和するばかりでなく、コストアップを招くことからこれを上限とする。
Moも、V、Ti及びNbと同様に、鋼板をAc3点以上に加熱した場合、微細な炭化物の形成により、再結晶及び粒成長を抑制してオーステナイト粒を細粒にするため、靭性を改善する効果がある。そのため、0.01%を下限とする。一方、0.1%を超えて添加してもその効果が飽和するばかりでなく、コストアップを招くことからこれを上限とする。
Bは、焼入れ性を上げる元素のため、基本的には添加しないが、スクラップ等から混入する場合でも0.0002%未満とする必要がある。
本発明における熱間圧延条件は通常実施される範囲でかまわない。すなわち、加熱温度は、その後に続く熱間圧延工程での圧延を可能とする変形抵抗が得られる条件であれば良い。また、仕上温度もAr3点以上の温度域で実施すれば良く、その後に続く冷却条件もとくに規定する必要はなく、750℃以下の温度域で巻取を実施する。しかし、400℃未満の温度で巻取ると熱延板強度が高くなり過ぎることから、これを下限とする。
冷却速度は、放射温度計を使用し、プレス成形前後の鋼板表面温度を測定し、成形時間(5s)から求めた。
Claims (2)
- 質量%で、C:0.19〜0.35%、Si:0.1〜0.5%、Mn:0.1〜1%、P:0.015%以下、S:0.01%以下、Al:0.005〜0.05%、N:0.001〜0.003%を含みかつ、Ti、Nb、V及びMoのうち1種以上をそれぞれTi:0.005〜0.1%、Nb:0.005〜0.02%、V:0.01〜0.1%、Mo:0.01〜0.1%の範囲で合計:0.005〜0.15%を含み、残部Fe及び不可避的不純物からなるスラブを加熱後に順次に熱間圧延、冷間圧延および連続焼鈍の3工程のいずれかの製造工程までを行って得られた鋼板を、
Ac3点以上の温度域に加熱後冷却するに際し、Ar3〜300℃の温度域を200℃/s以上の冷却速度で冷却する急冷部分と、150℃/s未満の冷却速度で冷却する緩冷部分を有し、相対的に高強度の急冷部分と相対的に低強度の緩冷部分との強度差(ΔTS)が490MPa以上となることを特徴とする、部材内で強度差を有するエネルギ吸収部材の製造方法。 - 請求項1において、上記3工程のいずれかの製造工程までを終了後、更にメッキを施してから、Ac3点以上の温度域に加熱後冷却する上記の処理を行なうことを特徴とする、部材内で強度差を有するエネルギ吸収部材の製造方法。
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