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JP5358524B2 - 可変容量形ベーンポンプ - Google Patents

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JP5358524B2 JP2010158496A JP2010158496A JP5358524B2 JP 5358524 B2 JP5358524 B2 JP 5358524B2 JP 2010158496 A JP2010158496 A JP 2010158496A JP 2010158496 A JP2010158496 A JP 2010158496A JP 5358524 B2 JP5358524 B2 JP 5358524B2
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Description

本発明は、ベーンポンプに関する。
従来、可変容量形(型)のベーンポンプが知られている。例えば特許文献1に記載の可変容量形ベーンポンプでは、ロータの外周側にベーンを保持する複数のスリットが形成され、ロータの内周側に駆動軸と噛合うセレーションが形成されている。
特開2008−111364号公報
しかし、 上記従来の可変容量形ベーンポンプでは、ロータの強度を十分に確保できないおそれがある、という問題があった。本発明の目的とするところは、ロータの強度を向上することができる可変容量形ベーンポンプを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明では、好ましくは、複数のスリットの夫々をロータ側セレーションの径方向内側に向かって凸形状となる凸部のいずれかと位相が略一致するように配置した。

よって、ロータの強度を向上することができる。
ポンプ1の回転軸Oを通る断面を示す(図2のII−II断面)。 ポンプ1の回転軸Oに対して垂直方向に切った断面を示す(図1のI−I視断面)。 駆動軸2に嵌合したロータ3の正面図である。 図2のポンプ部の拡大図である。 図2のセレーション部の拡大図である。
以下、本発明の可変容量形ベーンポンプを実現する形態を、図面に基づき説明する。
[実施例1の構成]
実施例1の可変容量形ベーンポンプ(以下、ポンプ1という)は、車両の油圧式アクチュエータへの油圧供給源として用いられる。具体的には自動車の油圧パワーステアリング装置の油圧発生源となる。なお、例えば自動変速機への油圧供給源として本発明のベーンポンプを用いてもよい。ポンプ1は内燃機関(エンジン)のクランクシャフトにより駆動され、作動流体としての作動油を吸入・吐出する。図1は、ポンプ1の回転軸(軸心)Oを通る断面(図2のII−II断面に略相当)を示す。以下、説明のため、直交座標系を設ける。回転軸O(駆動軸2)が伸びる方向をx軸とし、フロントハウジング11に対してリアハウジング12の側をx軸正方向とする。図1の法線方向(紙面に対して垂直方向)をy軸とし、回転軸Oに対してプラグ部材70(コイルばね71)の側をy軸正方向とする。x軸及びy軸に直交する方向をz軸とし、回転軸Oに対して制御バルブ7の側をz軸正方向とする。
ポンプ1は、吐出容量(1回転あたりに吐出する流体量。ポンプ容量。)を可変にできる可変容量形であり、作動油を吸入・吐出するポンプ部(ポンプユニット100)と、吐出容量を制御する制御部(制御バルブ7)とを、一体のユニットとして有している。ポンプユニット100は、ポンプハウジング(ポンプボディ)10に収容されており、駆動軸2、ロータ3、ベーンV、及びカムリング4を有している。ポンプハウジング10は、フロントハウジング11及びリアハウジング12を有している。これらが複数のボルトB等により一体に締結されることでポンプハウジング10が形成されている。フロントハウジング11は、x軸正方向側に開口する凹部110を有する有底カップ形状のハウジング部材である。凹部110は、ポンプユニット100等を収容する空間であり、x軸負方向側に底部111を有し、内周側に筒状部112を有している。リアハウジング12は、フロントハウジング11(凹部110)の開口部を閉塞する板形状のハウジング部材(ポンプカバー)である。
駆動軸2は、x軸方向に延び、ポンプハウジング10に軸支(回転自在に支持)されたポンプ軸である。駆動軸2のx軸負方向側は、フロントハウジング11をx軸方向に貫通する孔113に設置され、孔113に設けられた軸受(ブッシュ)114に支持される。駆動軸2のx軸正方向側は、リアハウジング12のx軸負方向側の面120からx軸方向所定深さまで設けられた孔123に設置され、孔123に設けられた軸受(ブッシュ)124に支持される。駆動軸2のx軸負方向側は、プーリを介してエンジン出力軸と接続している。なお、フロントハウジング11の孔113のx軸負方向端であって駆動軸2の外周にはオイルシールOSが設置され、ポンプハウジング10の内外を液密に保っている。ポンプハウジング10は、内部にポンプ要素収容部を有している。すなわち、フロントハウジング11(凹部110)の底部111には円盤状のプレッシャプレート(サイドプレート)6が嵌装される。プレッシャプレート6には駆動軸2が貫通する孔64が設けられている。フロントハウジング11(凹部110)の筒状部112には、プレッシャプレート6のx軸正方向側に、ロータ3、ベーンV、カムリング4、及びアダプタリング5が、x軸方向略同位置に収装される。リアハウジング12は、x軸正方向側から、これらロータ3等と極僅かな隙間を介して対向しており、これらロータ3等は、プレッシャプレート6及びリアハウジング12によりx軸方向両側から挟まれている。プレッシャプレート6のx軸正方向側の面61、アダプタリング5の内周面、及びリアハウジング12のx軸負方向側の面120により、駆動軸2、ロータ3、ベーンV、及びカムリング4からなるポンプ要素(ポンプユニット100)を収容する空間(ポンプ要素収容部)が形成されている。駆動軸2は、ポンプ要素収容部内のx軸方向所定範囲において、その外周側に、セレーションの軸部としての軸側セレーション部20を有している。
ポンプハウジング10には、吸入口及び吐出口が設けられている。吸入口として、プレッシャプレート6のx軸正方向側の面61には溝(吸入ポート62)が形成され、リアハウジング12のx軸負方向側の面120には、吸入ポート62とx軸方向で対向する位置に、溝(吸入ポート121)が形成されている。また、吐出口として、プレッシャプレート6のx軸正方向側の面61には溝(吐出ポート63)が形成され、リアハウジング12のx軸負方向側の面120には、吐出ポート63とx軸方向で対向する位置に、溝(吐出ポート122)が形成されている。また、ポンプハウジング10には、吸入通路IN及び吐出通路OUTが設けられている。吸入通路INの一端はリザーバRSVに接続するとともに、他端は吸入口(吸入ポート62,121)に連通している。吐出通路OUTの一端はパワーステアリング装置(パワーシリンダ)に接続するとともに、他端は吐出口(吐出ポート63,122)に連通している。このように吸入ポート62,121及び吐出ポート63,122は、それぞれ吸入通路IN及び吐出通路OUTと接続し、ロータ3とカムリング4の間に形成されるポンプ室Rへの作動油の給排を行う。また、ポンプハウジング10には、背圧ポートが設けられている。プレッシャプレート6のx軸正方向側の面61には吸入ポート62の内周側に溝(吸入側背圧ポート65)が形成され、リアハウジング12のx軸負方向側の面120には、吸入側背圧ポート65とx軸方向で対向する位置に、溝(吸入側背圧ポート125)が形成されている。また、プレッシャプレート6のx軸正方向側の面61には吐出ポート63の内周側に溝(吐出側背圧ポート66)が形成され、リアハウジング12のx軸負方向側の面120には、吐出側背圧ポート66とx軸方向で対向する位置に、溝(吐出側背圧ポート126)が形成されている。吸入側背圧ポート65,125には吐出圧が供給され、吐出側背圧ポート66,126にも吐出圧が供給される。
アダプタリング5はy軸方向を長軸、z軸方向を短軸とする略楕円状の円環部材であり、その外周側はフロントハウジング11(筒状部112)に収装されるとともに、内周側はカムリング4を収装する。アダプタリング5のy軸正方向側には、径方向貫通孔52がy軸方向に貫通形成されている。アダプタリング5の内周面53のz軸正方向端部にはシール溝50が形成されており、シール溝50にはシール部材Sが設置されている。アダプタリング内周面53のz軸負方向端部には、回転軸Oよりも若干y軸正方向側にピン溝51が形成されており、ピン溝51にはピン部材40(のz軸負方向側)が嵌合している。ピン部材40はx軸方向両端部がポンプハウジング10(フロントハウジング11及びリアハウジング12)に固定されている。アダプタリング5は、ポンプ駆動時にフロントハウジング11内で回転しないよう、ピン部材40によりフロントハウジング11に対して回転を規制される。カムリング4は、ポンプ要素収容部内で移動(揺動)可能に収装された揺動部材である。カムリング4は略円環状の部材であり、その外径はアダプタリング内周面53の短軸と略同じ寸法に設けられている。カムリング外周面42のz軸負方向側には、回転軸Oよりも若干y軸正方向側にピン溝43が形成されており、ピン溝43にはピン部材40(のz軸正方向側)が嵌合している。ピン部材40はアダプタリング5に対するカムリング4の位置ズレ(相対回転)を抑制する。カムリング4は、アダプタリング5(ポンプハウジング10)に対して、ピン部材40の近傍の平面部54で支持されており、平面部54を支点にyz平面内で揺動自在である。カムリング4の中心Cは、回転軸Oと略一致した位置から、回転軸Oに対してy軸負方向側に所定距離だけオフセットした位置まで移動可能に設けられている。フロントハウジング11のy軸正方向端部には、アダプタリング5の径方向貫通孔52と略同軸に、孔114がy軸方向に貫通形成されている。孔114には有底カップ形状のプラグ部材70が挿入される。プラグ部材70は孔114を封止してポンプハウジング10内外の液密性を保つとともに、そのy軸負方向側の内周部でコイルばね71を保持する。コイルばね71はy軸方向へ伸縮可能であり、径方向貫通孔52を通ってカムリング外周面42に当接し、カムリング4をy軸負方向へ常時付勢する。
ロータ3は、カムリング4の内周側に収装されている。ロータ3の外径(最大径)はカムリング内周面41の直径よりも小径に設けられている。カムリング4が揺動し、ロータ3とカムリング4の相対位置が変化した場合であっても、ロータ3の外周はカムリング内周面41と当接しないように設けられている。ロータ3は、その内周側に、x軸方向に延びる貫通孔30を有している。貫通孔30には、駆動軸2が貫通している。貫通孔30には、セレーションのボス部としてのロータ側セレーション部31が設けられている。ロータ側セレーション部31は駆動軸2の軸側セレーション部20に嵌合している。すなわち、ロータ3はセレーションにより駆動軸2に固定されて回転駆動される。ロータ3は、外周側に複数のスリット(スロット)SL1〜SL11を有している。複数のスリットSLは、x軸方向からみて放射状に、ロータ3を周方向に略等分割する位置に7以上の奇数個(本実施例1では11個)配置されるように形成されている。各スリットSLは、ロータ外周面32から回転軸Oに向かって所定深さまで、ロータ径方向に直線状に延びて設けられた溝であって、ロータ3のx軸方向全範囲に亘って所定幅で形成されている。
ベーンV1〜V11は、略矩形状の板部材(羽根)であり、複数(本実施例1では11枚)設けられ、各スリットSLに1枚ずつ出没可能(径方向に進退自在)に収容されている。なお、スリットSLとベーンVの数は11に限らない。ベーンVのロータ外径側(回転軸Oから離れる側)の先端部(ベーン先端部)は、カムリング内周面41に対応した緩やかな曲面状に形成されている。ロータ3における各スリットの内径側(回転軸Oに向かう側)の端部(スリット基端部)は、x軸方向からみてスリット本体の(ロータ周方向)幅よりも大径の略楕円形であり、ロータ3のx軸方向全範囲に形成され、略円筒状である。なお、スリット基端部を略円筒状に形成せず、例えばスリット本体と同様の溝形状としてもよい。スリット基端部と、このスリットSLに収容されたベーンVのロータ内径側の端部(ベーン基端部)との間には、このベーンVの背圧室(受圧部)BRが形成されている。ロータ外周面32には、各スリットSLに対応する周方向位置に、x軸方向からみて略台形状の突出部33が設けられている。突出部33は、ロータ3のx軸方向全範囲に亘って、ロータ外周面32から所定高さまで突出するように形成されている。突出部33の略中央位置には、各スリットSLの開口部が設けられている。(突出部33及びスリット基端部を含めた)スリットSLのロータ径方向長さは、ベーンVのロータ径方向長さと略同じ寸法に設けられている。突出部33を設けることで、スリットSLのロータ径方向長さが所定以上確保され、(例えば後述する第1閉じ込み領域Y1でベーンVがスリットSLから最大限突出したとしても)スリットSLにおけるベーンVの保持性が確保されている。言い換えると、突出部33によりベーンVの保持性を向上しつつ、ロータ外周面32から突出部33以外の肉を除いているため、この除肉分だけポンプ室Rの容積を大きくしてポンプ効率を向上し、かつロータ3全体を軽量化して動力損失を軽減している。
ベーンV1〜V11は、ロータ3及びカムリング4と共に複数のポンプ室R1〜R11を形成している。すなわち、x軸方向からみて、ロータ3の外周面32とカムリング4の内周面41との間の環状領域は、隣り合うベーンV1〜V11により画成され、これによりポンプ室R1〜R11が形成されている。図2の回転軸O周りの矢印に示すように、ロータ3(駆動軸2)は、x軸正方向側からみて反時計回り方向に回転する。カムリング4が揺動によりロータ3に対して偏心した状態(カムリング4の中心Cが回転軸Oに対してy軸負方向側に偏倚した状態)にあれば、ロータ3の回転に伴って各ポンプ室R1〜R11の容積が変化する。ロータ3の回転に伴い複数のポンプ室R1〜R11の容積が増大する領域が吸入領域であり、ロータ3の回転に伴い複数のポンプ室R1〜R11の容積が減少する領域が吐出領域である。このようにベーンV1〜V11は、カムリング4内に吸入領域と吐出領域とを夫々1つずつ形成する。ポンプハウジング10の吸入口(吸入ポート62,121)は、ロータ3の外周に略沿って略円弧状に設けられ、吸入領域に開口する。ポンプハウジング10の吐出口(吐出ポート63,122)は、ロータ3の外周に略沿って略円弧状に設けられ、吐出領域に開口する。ロータ3の回転に伴い各ポンプ室Rの容積が変化することにより、吸入領域では吸入口からポンプ室Rへ作動油が吸入(供給)され、吐出領域ではポンプ室Rから吐出口へ作動油が吐出(排出)される。吐出ポート63の始端にはノッチ630が設けられている。ノッチ630は、ロータ回転方向に流路断面積が徐々に大きくなる絞り部を構成している。吸入領域に存在する背圧室BRは吸入側背圧ポート65,125に連通し、吐出領域に存在する背圧室BRは吐出側背圧ポート66,126に連通するように構成されているため、背圧室BR1〜BR11には作動油が供給されてベーンV1〜V11を径方向外側に付勢する。すなわち、ポンプ作動時、ベーンV1〜V11は、遠心力でカムリング内周面41に押しつけられると共に、カムリング4とロータ3との相対位置によらず、背圧室BR1〜BR11から背圧(吐出圧)を受けることで、スリットSL1〜SL11に挿入されつつカムリング内周面41に液密に当接した状態を維持するよう、付勢される。
ロータ回転方向で、吸入ポート62,121の終端と吐出ポート63(ノッチ630),122の始端との間の区間には、プレッシャプレート6のx軸正方向側の面61やリアハウジング12のx軸負方向側の面120に溝が設けられておらず、この区間に対応する角度範囲に、ポンプ1の第1閉じ込み領域Y1が設けられている。同様に、吐出ポート63,122の終端と吸入ポート62,121の始端との間の区間には、第2閉じ込み領域Y2が設けられている。第1閉じ込み領域Y1及び第2閉じ込み領域Y2は、これらの領域内にあるポンプ室Rの作動油を閉じ込め、吐出ポート63,122と吸入ポート62,121とがポンプ室Rを介して連通することを抑制する区間であり、吸入領域と吐出領域との境界部位であって、回転軸Oを挟んでy軸方向で互いに対向する位置に設けられている。第1,第2閉じ込み領域Y1,Y2の範囲は、夫々、ロータ回転方向で隣接するベーンV同士の間(2つのベーンVの対向する側面間)の距離(1ピッチ)よりも若干大きく設けられている。
カムリング4が略楕円状のアダプタリング5に収装されることにより、ポンプ要素収容部としてのアダプタリング5の内周面53とカムリング4の外周面42との間には2つの空間(第1流体圧室A1及び第2流体圧室A2)が画成されている。カムリング4の(回転軸Oに対する)偏心量が増大する側(y軸負方向側)への移動に伴い、y軸負方向側に設けられた第1流体圧室A1は容積が減少し、y軸正方向側に設けられた第2流体圧室A2は容積が増大する。このとき、シール部材Sがカムリング4の外周面42に摺接することで、第1、第2流体圧室A1,A2の液密性が担保される。フロントハウジング11には、ポンプユニット100のz軸正方向側に、制御バルブ7が設けられている。なお、制御バルブ7はキャップ8により閉塞される。制御バルブ7は、第1流体圧室A1又は第2流体圧室A2の圧力を制御することにより、カムリング4の偏心量を制御する制御手段である。具体的には、吐出ポート63,122は、吐出通路OUT及びオリフィスORを介して制御バルブ7のy軸正方向側の圧力室7bに接続し、オリフィスORの下流圧を供給する。また、吐出ポート63,122は、制御バルブ7のy軸負方向側の圧力室7aと接続し、吐出圧を供給する。制御バルブ7はこのオリフィス下流圧と吐出圧に基づき制御圧を生成し、制御圧は油路7cを介して第1流体圧室A1に導入される。一方、第2流体圧室A2には、吸入ポート121と連通した低圧供給通路121aを介して吸入圧が導入される。したがって第2流体圧室A2には吸入圧、第1流体圧室A1には制御圧が夫々導入されることとなり、この第1、第2流体圧室A1,A2の差圧によってカムリング4がy軸方向に揺動する。一方、コイルばね71は、揺動量が最大となる方向(y軸負方向側)にカムリング4を常時付勢し、圧力の安定しないポンプ始動時において吐出量(カムリング4の揺動位置)を安定させる。なお、第2流体圧室A2に制御圧を導入することとしてもよいし、第1、第2流体圧室A1,A2の両方に制御圧を導入することとしてもよい。要は、両室A1,A2の圧力差を制御することができればよい。
図3は、駆動軸2に嵌合したロータ3をx軸方向から見た正面図である。駆動軸2の軸側セレーション部20は、駆動軸2の外周に設けられ、x軸方向に延びる複数(本実施例1では22個)の溝200を備えている。複数の溝200同士が駆動軸2の周方向に略等間隔に配置されることにより、駆動軸2の外周に凹部201と凸部202とが繰り返されるように形成されている。ロータ3のロータ側セレーション部31は、ロータ3の貫通孔30の内周に設けられ、x軸方向に伸びる複数の溝310を備えている。複数の溝310同士が貫通孔30の周方向に略等間隔に配置されることにより、貫通孔30の内周に凹部311と凸部312とが繰り返されるように形成されている。ロータ側セレーション部31の複数の溝310は、軸側セレーション部20の複数の溝200と同数個、具体的には22個設けられている。ロータ側セレーション部31(複数の溝310)は、軸側セレーション部20(複数の溝200)と噛合うことにより、駆動軸2の回転(力)をロータ3に伝達する。軸側セレーション部20の複数の溝200は、ロータ3の複数のスリットSL1〜SL11の整数(自然数)倍個設けられており、本実施例1では、2倍の個数である22個(=11×2)だけ設けられている。また、複数のスリットSL1〜SL11の夫々は、ロータ側セレーション部31の凸部312のいずれかと位相が略一致するように配置されている。例えば、スリットSL1(スリット本体)は、ある1つの凸部312と回転軸Oとを結ぶ径方向直線上に延びており(スリットSL1のロータ周方向での中心線が上記径方向直線と略一致しており)、回転軸Oの周りでの位相が上記凸部312と略一致している。他のスリットSL2〜SL11についても同様である。軸側セレーション部20の凹部201と凸部202、及びロータ側セレーション部31の凹部311と凸部312の夫々は、スリットSL1〜SL11の偶数倍個設けられており、本実施例1では、最小の偶数倍である2倍の数だけ、すなわち22個(=11×2)設けられている。
[実施例1の作用]
以下、ポンプ1の作用を説明する。
図4は、図2のポンプ部の拡大図であり、吸入領域と吐出領域との切換域でロータ3に加わる荷重の状態を示す。駆動軸2の回転に伴い、軸側セレーション部20と当接し噛合うロータ側セレーション部31(の凸部312)には荷重(力)F1が作用する。この荷重F1は、駆動軸2の回転力(トルク)のほか、ポンプ1の吐出圧により、ロータ側セレーション部31が軸側セレーション部20に押し付けられることによる荷重を含む。この荷重F1により、駆動軸2の回転力がロータ3に伝達されてロータ3が回転すると共に、ロータ3には、軸側セレーション部20と噛合うロータ側セレーション部31の近傍で、内部応力αが発生する。一方、スリットSL1〜SL11には夫々ベーンVが設置され、隣り合うベーンVはポンプ室Rを画成している。あるポンプ室Rが閉じ込み領域から吐出領域又は吸入領域へ移行する際、このポンプ室R内の圧力は、吐出圧と吸入圧との差の分だけ変化する。例えば、閉じ込み領域にあったポンプ室Rが吐出領域にかかると、このポンプ室Rの圧力は吸入圧から吐出圧まで上昇するように増大変化する。言い換えると、閉じ込み領域に存在して吐出側のポンプ室Rと吸入側のポンプ室Rとを画成するベーンVの回転方向両側に、異なる圧力(吐出圧と吸入圧)が作用する場面(回転位相)がある。図4で、このベーンVに作用する差圧(吐出圧−吸入圧)による荷重をF2で示す。この荷重F2はロータ3に伝達され、このベーンVを収容するスリットSLの開口部を開く方向の荷重(抉り力)F3,F4としてロータ3に作用する。この荷重F3,F4により,ロータ3には、スリットSLの近傍、特にスリットSL(背圧室BR)の底部(径方向内端P)の近傍で、内部応力βが発生する。したがって、ロータ3においては、スリットSLの径方向内端Pと貫通孔30の内周面(ロータ側セレーション部31)とをロータ径方向(放射方向)で連結する部位で、内部応力α、βの両方が作用する(応力が集中する)こととなり、この部位の強度が不足するおそれが高い。しかし、従来、セレーション(の溝数)とロータ3のスリットSL(の数)とは別々の設計要素だったため、上記部位の強度不足に対処することが容易でなかった。
これに対し、本実施例1では、ロータ3のスリットSLとロータ側セレーション部31の凸部312との位相、具体的にはスリットSlの径方向内端Pと凸部312の頂点(歯先中心)とのロータ回転方向での角度位置が、略一致するように配置した。よって、スリットSLの径方向内端Pとロータ3の貫通孔30の内周面との間を径方向で結ぶ部位の肉厚(径方向内端Pから貫通孔30の内周面までの径方向距離)Lを十分に確保し、強度を向上することができる。すなわち、ロータ3のいずれかのスリットSLと凸部312との位相が一致していない場合、このスリットSLの内周側における上記径方向肉厚Lが小さくなり、これによりロータ3の強度が不足するおそれがある。例えば、いずれかのスリットSLとロータ側セレーション部31の凹部311との位相が一致するように配置された場合には、このスリットSLの内端Pを通る上記部位における径方向肉厚Lが最小となり、強度上の最弱部位となる(上記部位が危険断面となる)おそれがある。
これに対し、本実施例1では、上記径方向肉厚Lが大きくなるよう、ロータ側セレーション部31の凸部312とスリットSlとの位相を略一致させた。よって、上記径方向肉厚Lを最大値Lmaxに確保することができ、これによりロータ3の強度を向上させることができる。言い換えると、ロータ3の強度を確保しつつ、ポンプ1の更なる小型化を図ることが可能である。すなわち、駆動軸2の曲げ剛性を高めるために駆動軸2の径は一定以上確保する必要がある一方、ロータ3の強度については、これを一定以上確保するためにスリットSLと凸部312との位相を調整するだけでよく、これによりロータ3の径の不要な増大を回避することができる。
ここで、軸側セレーション部20の溝200(ロータ側セレーション部31の溝310)の数は、スリットSL1〜SL11の整数倍(11×2=22)個設けられているため、溝200,310及びスリットSLが周方向に略等間隔に配置される構成にあって、ロータ側セレーション部31のどの凸部312についても、スリットSLと位相を略一致させることができる。よって、強度確保が容易となる。なお、位相が厳密に一致していなくてもよく、例えば、任意のスリットSLの位相が、ロータ3の凹部311よりも凸部312寄りであれば、任意のスリット形成部位における上記径方向肉厚Lを平均よりも大きくすることができる。この場合も、強度上の最弱部位をなくして、ある程度の強度を確保することができる。本実施例1では、スリットSLと凸部312の位相を略一致させたため、強度を最も向上する(ポンプ1の小型化を効果的に図る)ことができる。なお、スリットSLは径方向に直線状に延びていなくてもよく、例えば径方向に傾いていてもよいし、曲線状に延びていてもよい。これらの場合も、スリットSLの径方向内端Pと凸部312との位相が略一致していれば本実施例1と同様の効果を得ることができる。
複数のスリットSL1〜SL11は、奇数個(本実施例1では11個)設けられている。よって、ポンプ1の圧力変動を抑制することができる。すなわち、上記のように、あるポンプ室Rが閉じ込み領域から吐出領域又は吸入領域へ移行する際、このポンプ室R内の圧力は、吐出圧と吸入圧との差の分だけ変化する。ここで、スリットSL(ベーンV)が偶数個設けられている場合には、対向する一対の閉じ込み領域(吸入領域終端から吐出領域始端に至る第1閉じ込み領域Y1と、吐出領域終端から吸入領域始端に至る第2閉じ込み領域Y2)の夫々に存在する2つのポンプ室Rは、ロータ3の回転に応じて、一方は吐出領域へ、他方は吸入領域へと、略同時に移行することとなる。よって、上記2つのポンプ室Rには、略同時に、上記圧力変化が発生する。これにより、ポンプ1の圧力変動や振動が増大するおそれがある。これに対し、本実施例1では、スリットSLを奇数個設けている(ベーンVを奇数枚設けている)ため、対向する一対の閉じ込み領域Y1,Y2(に存在する2つのポンプ室R)に略同時に上記圧力変動が発生することが抑制される。これにより、ポンプ1の圧力変動や振動を抑制できる。
ロータ側セレーション部31が設けられたロータ3の貫通孔30の内径、具体的には、各凹部311の底部を結ぶ面(歯底円)の直径である大径D1と、各凸部312の頂部を結ぶ面(歯先円)の直径である小径D2とを測定する際、通常、ノギス等の測定器やピン等の測定治具を用いて、内径の(中心Oを通る)2点間の距離を計測することになる。すなわち、直径方向で貫通孔30の内径を計測することになる。従来は、ロータ側セレーション部31の形状(溝310の数)が特に限定されていなかったため、内径の上記2点間の距離を計測することが容易でなく、また、計測結果が不正確になるおそれがあった。例えば、ロータ側セレーション部31の溝310の数が奇数個であれば、貫通孔30の内周面においてロータ3の回転軸Oを挟んで対向する(回転軸Oを通る径方向直線上に存在する)のは凸部312と凹部311の組み合わせになるため、直径方向での2点間の計測により小径D2や大径D1を計測することが困難になる。これに対し、本実施例1では、ロータ側セレーション部31(の溝310)の数を、(奇数個である)スリットSLの数の偶数倍(2倍)だけ設けることとしたため、ロータ側セレーション部31(の溝310)の数が偶数個(11×2=22)となる。よって、図3に示すように、回転軸Oに対してロータ側セレーション部31(の溝310)が対称に配置され、ロータ側セレーション部31の凹部311と凸部312は、凹部311同士、又は凸部312同士が夫々回転軸Oに関して対称位置に配置される(回転軸Oを通る径方向直線上に位置する)。したがって、ロータ3の貫通孔30の内径である大径D1と小径D2を測定する際、計測点となる2点が凹部311同士(大径D1の場合)又は凸部312同士(小径D2の場合)となり、貫通孔30の直径方向を測定すれば足りることになるため、ノギス等の測定器やピン等の測定治具を用いた計測が容易かつ正確となる。言い換えると、大径D1や小径D2を測定するために特殊な測定器や測定治具を用いなくてもよい。よって、ロータ3の生産性を向上できる。
図5は、図2のセレーション部の拡大図であり、ポンプ作動時におけるセレーション部の噛合い状態を示す。本実施例1では、ロータ側セレーション部31の溝310(凹部311と凸部312の夫々)の数、言い換えると軸側セレーション部20の溝200(凹部201と凸部202の夫々)の数は、ロータ3のスリットSLの2倍(11×2=22)だけ設けられている。よって、ロータ3の強度を向上させることができる。すなわち、ポンプ1の作動時、ロータ3は、高圧である吐出領域から圧力を受けるため、吐出領域側から吸入領域側へ(すなわちz軸正方向側へ)付勢される。ここで、図5に示すように、軸側セレーション部20の歯面とロータ側セレーション部31の歯面との間には、僅かな隙間δが存在しうる。一方、軸側セレーション部20が設けられた駆動軸2は、ポンプハウジング10に軸支されている。よって、ポンプハウジング10に対する駆動軸2の径方向変位は抑制される(駆動軸2の回転軸はOのままである)。一方、ロータ3は、駆動軸2に対して上記僅かな隙間δの分だけ径方向に変位しうる(ロータ3の回転軸O'はOに対して僅かにオフセットしうる)ため、上記付勢力によって、駆動軸2に対して僅かに変位する。このときロータ側セレーション部31と軸側セレーション部20との噛合いは、上記付勢力によるロータ3の位置変化に伴い、部分的なものとなる。すなわち、軸側セレーション部20の歯(凹部201と凸部202)及びロータ側セレーション部31の歯(凹部311と凸部312)は、駆動軸2の外周全てに亘って互いに噛合い当接するのではなく、駆動軸2の外周におけるz軸負方向側の一部分(例えば図5の点線で囲んだ部分)で当接し噛合い、駆動軸2の駆動力をロータ3に伝達する。ロータ3の凸部312に発生する応力が増大するのはこの噛み合い部分においてである。ポンプ吐出圧が高圧になるほど、ロータ側セレーション部31の歯にかかる荷重は全体として増大するため、許容応力を超えないように、個々の歯(凸部312)の歯厚を厚くするか、個々の歯(凸部312)にかかる荷重を小さくする必要がある。ここで、ロータ3の径方向変位により、軸側セレーション部20と実際に噛合う凸部312の個数は、凸部312の全数(22個)よりも減少するが、上記のように応力が増大する凸部312の個々の強度を向上させるために、例えば凸部312の全数を増減させてみても、実際に軸側セレーション部20と当接し噛合う凸部312(A)(図5の点線で囲んだ部分)の個数はあまり変わらず、全数の増減とは比例しないことを、本出願人は見出した。よって、本実施例1では、ロータ側セレーション部31の凸部312の数を、スリットSLの数の偶数倍のうち最小値である2倍とした。これにより、凸部312の1つずつの大きさ(歯厚)を、他の偶数倍(4倍、6倍・・・)の数としたときよりも、大きくすることができる。したがって、上記のようにロータ側セレーション部31(の溝310)の数をスリットSLの数の偶数倍とすることでロータ貫通孔30の内径の測定を容易かつ正確にすることができるだけでなく、駆動軸2の軸側セレーション部20と噛合うロータ側セレーション部31の凸部312の強度をより向上させることができる。
上記のように、駆動軸2(ロータ3)の回転に伴い、軸側セレーション部20と噛合うロータ側セレーション部31の凸部312には荷重F1が作用し、その近傍で内部応力αが発生する(図4)。また、あるベーンVの両側に異なる圧力が作用するのは、このベーンVが閉じ込み領域に存在するとき(より具体的には閉じ込み領域から吐出領域又は吸入領域への切換域)であり、この閉じ込み領域にあるベーンVを保持するスリットSLはベーンVからの抉り力(スリットSLの開口を広げようとする荷重F3,F4)を大きく受け、径方向内端部に内部応力βが発生する。ここで、この抉り力を受けるスリットSLと、最も高い内部応力αが発生しているロータ側セレーション部31の凸部312(A)との位相が一致した場合、ロータ3にかかる荷重が局所的に増大する(内部応力α、βが集中する)おそれがある。これに対し本実施例1では、図4に示すように、ロータ3の回転に伴い、ロータ側セレーション部31の凸部312のうち軸側セレーション部20との噛合いにより最も高い内部応力αが発生する箇所(図5の点線で囲んだ部分)の凸部312(A)は、吸入領域の終端から吐出領域の始端までの間に形成される第1閉じ込み領域Y1よりも吐出領域側に位置するように構成されている。このように、荷重F3,F4を受けて径方向内端部に内部応力βが派生するスリットSLと、荷重F1を受けて最も高い内部応力αが発生する凸部312 (A)との位相をずらすことにより、ロータ3の局所的な負荷の増大を緩和することができる。したがって、ロータ3の強度をより効果的に向上することができる。なお、上記凸部312(A)は、吐出領域の終端から吸入領域の始端までの間に形成される第2閉じ込み領域Y2よりも吐出領域側に位置してもおり、これによって、第2閉じ込み領域Y2側でも上記と同様の作用を得る。
複数のスリットSL1〜SL11は、奇数個の中でも、7以上の数(本実施例1では11個)設けられている。上記のように、スリットSLには、そのスリットSLが収容するベーンVの回転方向両側にかかる圧力変化が急激であるときに瞬間的な動的応力がかかり、スリットSL(を形成するロータ3)にかかる負荷が最も大きくなる。例えば、あるベーンVが第1閉じ込み領域Y1から吐出領域(吐出ポート63,122)に移行するとき、そのベーンVの回転方向両側に吸入圧が作用した状態から一瞬にして吸入圧と吐出圧の差圧が作用する状態へ移行するため、このベーンVを収容するスリットSLにかかる負荷(荷重F3,F4)が最大となる。このとき、このスリットSLと隣り合うスリットSLのうち回転方向前側のスリットSLに略対応する凸部312が、荷重F1を受けて最も高い内部応力αが発生する凸部312 (A)となる場合、隣接するスリットSL同士の間のロータ内周側の部位に高い内部応力α,βが生じることになり、ロータ3の強度上、不利となる。ここで、スリットSLの数が、7未満の数(5や3)である場合、隣り合うスリットSL同士が十分に離れている可能性が高いため、上記のような問題が少ないが、7以上の数である場合、上記のような強度不足が問題となりやすい。これに対し、本実施例1では、スリットSLが7以上であるため、本願発明を適用することで、ロータ3の強度不足をより効果的に抑制することができる。
[実施例1の効果]
以下、実施例1のポンプ1が奏する効果を列挙する。
(1)ポンプ1は、内部にポンプ要素収容部を有するポンプハウジング10と、ポンプハウジング10に軸支される駆動軸2と、ポンプ要素収容部内に移動可能に設けられ、環状に形成されたカムリング4と、「カムリング4内に設けられ、駆動軸2が貫通する貫通孔30と、周方向に略等間隔に配置されるように形成された複数のスリットSLと、を有するロータ3」と、「駆動軸2の外周に設けられx軸方向に延びる複数の溝200を備え、複数の溝200同士が周方向に略等間隔に配置されることにより駆動軸2の外周に凹部201と凸部202とが繰り返されるように形成された軸側セレーション部20」と、「ロータ3の貫通孔30の内周に設けられx軸方向に延びる複数の溝310を備え、複数の溝310は軸側セレーション部20と同数個設けられると共に複数の溝310同士が周方向に略等間隔に配置されることにより貫通孔30の内周に凹部311と凸部312とが繰り返されるように形成され、複数のスリットSLの夫々がロータ3の凸部312のいずれかと位相が略一致するように配置され、軸側セレーション部20と噛合うことにより駆動軸2の回転をロータ3に伝達するロータ側セレーション部31」と、「複数のスリットSLの夫々全てに進退自在に設けられ、カムリング4及びロータ3と共に複数のポンプ室Rを形成すると共に、ロータ3の回転に伴い複数のポンプ室Rのうち容積が増大する吸入領域と容積が減少する吐出領域とをカムリング4内に1つずつ形成するベーンV」と、ポンプハウジング10に設けられ、吸入領域に開口する吸入口(吸入ポート62,121)と、ポンプハウジング10に設けられ、吐出領域に開口する吐出口(吐出ポート63,122)と、ポンプハウジング10に設けられ、吸入口に連通する吸入通路INと、ポンプハウジング10に設けられ、吐出口に連通する吐出通路OUTと、を有する。
よって、複数のスリットSLの夫々がロータ側セレーション部31の凸部312のいずれかと位相が略一致するため、スリットSLの径方向内端Pとロータ3の貫通孔30の内周面との間の肉厚Lを確保してロータ3の強度を向上することができる。なお、カムリング4が「環状に形成された」とは、その一部分が切れていても(非連続的であっても)全体として環状であればよいという意味である。また、本実施例1では、第1流体圧室A1又は第2流体圧室A2の圧力を制御することによりカムリング4の偏心量を制御する制御手段(制御バルブ7)を設けたが、制御バルブ7以外の制御手段により流体圧室Aの圧力を制御してもよいし、圧力制御以外の制御手段によりカムリング4の偏心量を制御することとしてもよい。
(2)軸側セレーション部20の複数の溝200は、複数のスリットSLの整数倍個設けられることとした。よって、溝200,310及びスリットSLが周方向に略等間隔に配置される構成にあって、ロータ3のどのスリットSLについても、ロータ側セレーション部31の凸部312と位相を略一致させることができるため、強度確保が容易である。
(3)複数のスリットSLは、略径方向に(直線的に)延びることとした。よって、ロータ3の製造が容易である。
(4)複数のスリットSLは、奇数個設けられることとした。よって、ポンプ1の圧力変動や振動を抑制できる。
(5)軸側セレーション部20の凹部201と凸部202及びロータ側セレーション部31の凹部311と凸部312の夫々は、ロータ3のスリットSLの偶数倍の数設けられることとした。よって、ロータ3の貫通孔30の内径である大径D1と小径D2の計測が容易かつ正確となるため、ロータ3の生産性を向上できる。
(6)具体的には、軸側セレーション部20の凹部201と凸部202及びロータ側セレーション部31の凹部311と凸部312の夫々は、ロータ3のスリットSLの2倍の数設けられることとした。よって、凸部312の1つずつの大きさ(歯厚)を大きくすることができるため、ロータ3の強度を向上させることができる。
(7)ロータ3の回転に伴い、ロータ側セレーション部31の凸部312のうち軸側セレーション部20の凹部201との噛合いにより最も高い内部応力αが発生する箇所の凸部312(A)は、吸入領域の終端から吐出領域の始端までの間に形成される第1閉じ込み領域Y1よりも吐出領域側に位置するように構成される。よって、第1閉じ込み領域Y1においてロータ3に内部応力βを発生させるスリットSLと、軸側セレーション部20との噛合いによる内部応力αを最も高く発生する凸部312(A)との位相をずらすことで、ロータ3の強度を向上させることができる。
(8)複数のスリットSLは、7以上設けられることとした。よって、より有効に上記(1)(7)の効果を得ることができる。
[他の実施例]
以上、本発明を実現するための形態を、実施例1に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例1に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
1 可変容量形ベーンポンプ
2 駆動軸
20 軸側セレーション部
200 溝
201 凹部
202 凸部
3 ロータ
30 貫通孔
31 ロータ側セレーション部
310 溝
311 凹部
312 凸部
4 カムリング
62 吸入ポート(吸入口)
63 吐出ポート(吐出口)
10 ポンプハウジング
121 吸入ポート(吸入口)
122 吐出ポート(吐出口)
SL1〜SL11 スリット
R1〜R11 ポンプ室
V1〜V11 ベーン
IN 吸入通路
OUT 吐出通路

Claims (4)

  1. 内部にポンプ要素収容部を有するポンプハウジングと、
    前記ポンプハウジングに軸支される駆動軸と、
    前記ポンプ要素収容部内に移動可能に設けられ、環状に形成されたカムリングと、
    前記カムリング内に設けられ、前記駆動軸が貫通する貫通孔と、略径方向に延びる7以上の奇数個設けられた複数の溝であって前記複数の溝同士が周方向に略等間隔に配置されるように形成された複数のスリットと、を有するロータと、
    前記駆動軸の外周に設けられ軸方向に延びる複数の溝を備え、前記複数の溝は前記複数のスリットの整数倍個設けられると共に前記複数の溝同士が周方向に略等間隔に配置されることにより前記駆動軸の外周において径方向外側に向かって凸形状となる凸部と径方向外側に向かって開口する溝形状を有する凹部とが繰り返されるように形成された軸側セレーション部と、
    前記ロータの貫通孔の内周に設けられ軸方向に延びる複数の溝を備え、前記複数の溝は前記軸側セレーション部と同数個設けられると共に前記複数の溝同士が周方向に略等間隔に配置されることにより前記貫通孔の内周において径方向内側に向かって凸形状となる凸部と径方向内側に向かって開口する溝形状を有する凹部とが繰り返されるように形成され、前記複数のスリットの夫々が前記ロータの凸部のいずれかと位相が略一致するように配置され、前記軸側セレーション部と噛合うことにより前記駆動軸の回転を前記ロータに伝達するロータ側セレーション部と、
    前記複数のスリットの夫々全てに進退自在に設けられ、前記カムリング及び前記ロータと共に複数のポンプ室を形成すると共に、前記ロータの回転に伴い前記複数のポンプ室のうち容積が増大する吸入領域と容積が減少する吐出領域とを前記カムリング内に1つずつ形成するベーンと、
    前記ポンプハウジングに設けられ、前記吸入領域に開口する吸入口と、
    前記ポンプハウジングに設けられ、前記吐出領域に開口する吐出口と、
    前記ポンプハウジングに設けられ、前記吸入口に連通する吸入通路と、
    前記ポンプハウジングに設けられ、前記吐出口に連通する吐出通路と、
    前記ポンプ要素収容部と前記カムリングとの間に形成される空間であって、前記カムリングの偏心量が増大する側への前記カムリングの移動に伴い容積が減少する側に設けられた第1流体圧室及び容積が増大する側に設けられた第2流体圧室と、
    前記第1流体圧室又は前記第2流体圧室の圧力を制御することにより、前記カムリングの偏心量を制御する制御手段と、を有する
    ことを特徴とする可変容量形ベーンポンプ。
  2. 請求項1に記載の可変容量形ベーンポンプにおいて、
    前記軸側セレーション部の凹部と凸部及び前記ロータ側セレーション部の凹部と凸部の夫々は、前記ロータのスリットの偶数倍の数設けられる
    ことを特徴とする可変容量形ベーンポンプ。
  3. 請求項2に記載の可変容量形ベーンポンプにおいて、
    前記軸側セレーション部の凹部と凸部及び前記ロータ側セレーション部の凹部と凸部の夫々は、前記ロータのスリットの2倍の数設けられる
    ことを特徴とする可変容量形ベーンポンプ。
  4. 請求項3に記載の可変容量形ベーンポンプにおいて、
    前記ロータの回転に伴い、前記ロータ側セレーション部の凸部のうち前記軸側セレーション部の凹部との噛合いにより最も高い内部応力が発生する箇所の前記ロータ側セレーション部の凸部は、前記吸入領域の終端から前記吐出領域の始端までの間に形成される閉じ込み領域よりも前記吐出領域側に位置するように構成される
    ことを特徴とする可変容量形ベーンポンプ。
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