<前提技術>
本発明に係る液晶表示装置の説明に先立って、フィードフォワード制御を用いた駆動方法(FFD)について図1〜図7を用いて説明する。図1は立体画像表示の可能な携帯電話機にFFDによる立体画像表示装置を適用する場合の装置構成を示すブロック図である。
図1に示す立体画像表示装置100は、通信機モジュール1および表示モジュール2を備えている。
通信機モジュール1は、通信機ユニット11、CPUユニット12および電池などの電源15を備えている。CPUユニット12は、デコーダ131、エンコーダ13およびビデオメモリであるVRAM(Video Random Access Memory)14を有している。
表示モジュール2は、バックライト点滅ドライバ20、制御回路21、ゲートドライバ26、ソースドライバ27および液晶表示パネル28を備え、制御回路21は、タイミングコントローラ22、フレームメモリ23、デコーダ24、DAC(デジタル/アナログ変換器)25および演算器29を有している。
液晶表示パネル28は、左右の視差画像を交互に表示する液晶表示部281と、左右の視差画像に同期して、左眼用画像を表示するときには左眼に集光する光源(図示せず)と、右眼用画像を表示する時には右眼に集光する光源(図示せず)の2種類の光源を備えている。
<基本動作>
次に、立体画像表示装置100の基本動作について説明する。
通信機モジュール1の通信機ユニット11は、送信者からの右眼用画像と左眼用画像からなる立体画像データを受信し、それをCPUユニット12のデコーダ131に与えて復号化し、一旦、完全な右眼用画像データと左眼用画像データを得る。ここで、入力される画像データのフレーム入力レートは、CPUの処理能力や通信速度で制限されており、ここでは左右それぞれ毎秒24回とする。
CPUユニット12では、デコーダ131で復号化された右眼画像データおよび左眼画像データをエンコーダ13に与え、エンコーダ13において、再度ランレングス符号化、ハフマン符号化やディスクリートコサイン変換などの処理を施し、それぞれデータ圧縮符号化した後、データ復号用のパラメータとともにVRAM14に記録する。
ここでは、同じ表示位置、すなわち液晶表示パネル28上の同じゲートライン上に表示される右眼用画像データと左眼用画像データとを1つのグループにして圧縮し、圧縮画像データとしてVRAM14に記録する。この際、左右の画像データの圧縮・復号化パラメータとして共通のパラメータを使用すればデータ量を削減することができる。
次に、VRAM14に記録した圧縮画像データをデータ復号用パラメータとともに表示モジュール2のフレームメモリ23に転送し、記録する。
表示モジュール2では、フリッカを抑制するために左右の画像をそれぞれ少なくとも毎秒40回以上のレートで表示することが望ましく、タイミングコントローラ22のクロックに同期して、毎秒24回(フレーム)与えられる左右の入力視差像画像データを、1フレーム期間内にそれぞれのフィールドで交互に2回繰り返して表示することにより、左右の画像のそれぞれを48フィールド/秒のレートで表示し、合計96フィールド/秒のフリッカのない画像を表示する。
ここで、フリッカの抑制のためには少なくとも左右画像それぞれが40フィールド/秒あれば良く、左右画像をそれぞれ48フィールド/秒で表示することはこの条件を満たすことになる。
フレームメモリ23からの記録データの読み出しは、右眼用画像を表示する場合には、右眼用画像データを1ゲートラインずつ読み出し、フレームメモリ23に記録されている復号用パラメータを用いてデコーダ24で復号し、右眼用画像データを得る。
復号された右眼用画像データは図示しないラインメモリに蓄積される。ラインメモリに蓄積されたデータはDAC25において順次にD/A変換され、ソースドライバ27のラッチ回路(図示せず)に蓄積され、タイミングコントローラ22からのクロックと、ゲートドライバ26によるゲートラインの選択と同期してゲートライン上の画素に階調電圧として印加される。以上の動作をゲートラインごとに順次繰り返し、右眼用画像フィールドを表示する。
次に、左眼用画像データについて同様の処理を行って左眼用画像フィールドを表示し、さらに、同じ右眼用および左眼用画像フィールドを繰り返して表示することで、左右一対の入力画像データを交互に2フィールドずつ表示して1フレームの画像表示とする。
なお、上記においては、左右の画像データを圧縮する際に、それぞれ完全な視差画像データとして圧縮しVRAM14に記録する例を説明したが、例えば右眼用画像データは完全な視差画像データとして扱い、左眼用画像データは右眼用画像データとの差の分についてのみ圧縮し、記録するようにしても良い。
この場合、同じ表示位置、すなわち液晶表示パネル28上の同じゲートライン上に表示される右眼用画像データと左眼用画像データとを1つのグループにして同一のパラメータで圧縮し、右眼用の画像データはそのまま、左眼用の画像データは右眼用画像データとの差の分のデータをVRAM14に記録することになる。
また、フレームメモリ23からのメモリの読み出しは、同じゲートライン上に表示される右眼用圧縮画像データと左眼用圧縮画像データとをまとめて読み出し、フレームメモリ23に記録されている復号用パラメータを用いてデコーダ24で復号し、右眼用画像データおよび、右眼用画像と左眼用画像との差のデータを得る。
そして、右眼用画像を表示する場合には、右眼用画像データをそのままラインメモリに蓄積し、左眼用画像を表示する場合には、右眼用画像データに差のデータを加えて左眼用画像データとし、ラインメモリに蓄積する。
なお、以上の説明は、デコーダ131で復号化された右眼画像データおよび左眼画像データをエンコーダ13で再度圧縮することを前提として説明したが、このようにデータを再度圧縮するのは、VRAM14やフレームメモリ23などの画像データ蓄積メモリの記憶容量が小さくて済むようにするためであり、換言すれば、受信したデータを再度圧縮することで、画像データ蓄積メモリの記憶容量が小さくて済み、コスト的に安価な立体画像表示装置を得ることができる。しかし、画像データ蓄積メモリに充分な記憶容量がある場合、あるいは、膨大な記憶容量があるメモリを準備してもコスト的に問題がない場合には受信したデータを再度圧縮する必要がないので、受信したデータの圧縮符号化や復号化の処理は不要となる。
<ゴーストおよび輪郭ボケの防止>
左右の視差画像を交互に表示して立体画像表示を行う方式においては、右眼用画像と左眼用画像とは、同一の表示対象であっても、左右方向に互いに少しずれた位置に表示される。これが視差画像であるが、このように位置のずれた表示対象を交互に表示する場合には、静止画像であっても動画像の場合と同様に、右眼用画像と左眼用画像の切り替えのたびに、各画素において毎回輝度の変更が要求されることになり、液晶の応答速度が不足する場合にはゴーストや輪郭のボケが生じる可能性がある。
立体画像表示装置100では、上述したように1フレーム中の表示回数を倍増して、フリッカを防止しているので、フレーム表示が高速化され、液晶の応答速度が不足する可能性が高まる。
そこで、最新フィールドの入力画像データと直前に表示されていたフィールドの画像データの階調値とを比較し、最新フィールドの画像表示用の階調電圧として、前フィールドから次に表示すべき最新フィールドへの階調変化を強調した階調電圧を作成して液晶表示パネル28に与えることで、階調変化に対する液晶の応答速度を加速し、応答の遅れを補償する。
以下に、階調変化に対する液晶の応答速度を加速し、応答の遅れを補償する補償処理について説明する。
具体的には、階調変化を強調した階調電圧を作成するための手段として、図2に示すような階調値の変換テーブルを所定のメモリ(図示せず)内に予め準備し、図1に示した演算器29で、現在の液晶の表示状態から次に表示すべき階調に変化させるために最適な階調電圧を作成する。
図2に示すように階調値変換テーブルには、現フレーム(最新フィールド)の画像データの階調値(0〜255)と前フレーム(前フィールド)の画像データの階調値(0〜255)との組み合わせに対して、液晶表示パネル28に与えるべき階調値が設定されており、当該階調値に相当する階調電圧が出力データとして記録されている。
例えば、前フィールドのある画素の階調値が“1”であり、最新フィールドで同じ画素に表示すべき階調値が画像データ上では“2”となっている場合、変換テーブルに基づいて、液晶表示パネル28には階調値“3”に相当する階調電圧を出力する。このように、実際に液晶表示パネル28に与える階調電圧を画像データ上の階調値より高く設定することで、液晶の応答の遅れを補償することができるが、この仕組みについては、後にさらに説明する。
<階調値補償の手順>
上述した階調値の補償は、復号された左右の画像データをラインメモリに蓄積する前に階調値変換テーブルを使用して行う。
具体的には、以下の手順で処理が進む。
先に説明したように、エンコーダ13において、同一のゲートラインに表示する右眼用画像データと左眼用画像データをそれぞれ1ゲートラインずつのグループとし、それぞれ同一のパラメータで圧縮し、VRAM14に記録する。
左右の圧縮画像データは復号パラメータとともに表示モジュールのフレームメモリ23に転送される。フレームメモリ23からは、同一ゲートラインに表示する右眼用圧縮画像データと左眼用圧縮画像データを対にして読み出し、デコーダ24によって復号して完全な右眼用画像データと左眼用画像データを得る。
そして、右眼用画像データおよび左眼用画像データをラインメモリ(図示せず)に蓄積する前に、演算器29において階調値変換テーブルを使用して階調値を補償する。このとき、右眼用画像データの階調値を補償するためには左眼用画像データを前フィールドの画像データとして使用し、左眼用画像データの階調値を補償するためには右眼用画像データを前フィールドの画像データとして使用することができる。
すなわち、入力画像データが動画像である場合、VRAM14に記録された圧縮画像データをフレームメモリ23に転送する際に、まず右眼用の1フィールド分の圧縮画像データをフレームメモリ23に書き込み、その後、所定の時間差をおいて左眼用の1フィールド分の圧縮画像データを書き込む。この時間差は、画像データの復号時に右眼用画像データと対にして読み出す同一表示位置の左眼用画像データとして使用するために、直前に表示されていた左眼用画像データをフレームメモリ23内に残しておくためである。
これによって、直前に表示されていた左眼用画像データと、最新の右眼用画像データとを対にして読み出し、直前に表示されていた左眼用画像データを前フィールドの画像データとして使用して右眼用画像データの階調値を補償することができるので、液晶の応答速度の加速のための階調補償を遅滞なく実行できる。
なお、フレームメモリ23から、右眼用圧縮画像データの1フィールド分の読み出しが完了した後に、左眼用圧縮画像データをフレームメモリ23に書き込み、データを更新する。この場合、先に入力した1フィールド分の右眼用圧縮画像データを前フィールドの画像データとして使用する。
ここで、入力画像データが動画像である場合の、フレームメモリ23への圧縮画像データの書き込みと、フレームメモリ23からの読み出しのタイミングを図3に示す。
図3においては、1フレーム期間の間に1フィールドのnライン分の右眼用圧縮画像データと、nライン分の左眼用圧縮画像データとがフレームメモリ23に書き込まれ、同一ゲートラインに表示する右眼用圧縮画像データと左眼用圧縮データとが対になって読み出される状態が模式的に示されている。
なお、図3においては左眼用圧縮画像データが先に入力され、右眼用圧縮画像データが後で入力されているが、入力順序が逆であっても良い。
<輝度ムラおよびゴーストの防止>
<液晶表示パネルの全面同時点滅方式の動作>
ここで、図4を用いて液晶表示パネル28の照明装置の構成について説明する。
図4に示すように、液晶表示パネル28は、バックライト50と呼称される照明装置を有している。バックライト50は、LEDなどの光源52aおよび52bと、当該光源からの光を液晶表示部281に導く導光板51とを有している。導光板51は液晶表示部281全面の大きさに相当する大きさを有し、プラスチックやアクリルなどの樹脂で構成され、透光性を有している。
また、光源52aおよび52bは、液晶表示パネル28の対向する2辺に、それぞれ同数で複数個配設されている。なお、ここでは、液晶表示パネル28に向かって右側の端縁部に配置された光源52aを左眼用の光源とし、左側の端縁部に配置された光源52bを右眼用の光源と呼称する。
液晶表示パネル28のバックライト50は、フレームに同期して、液晶表示部281の全面で同時に点滅するように制御される。
ここで、バックライト50の点滅制御は、バックライト点滅ドライバ20によって制御される。
すなわち、タイミングコントローラ22からゲートドライバ26に対してゲートラインのスキャンのタイミング信号が与えられるが、このタイミング信号がバックライト点滅ドライバ20にも与えられ、ゲートラインのスキャンに併せて、光源52aおよび52bを点滅させる。
より具体的には、右眼用画像データに基づいてゲートラインをスキャンする場合には右眼用の光源52bのみを全て点灯し、左眼用画像データに基づいてゲートラインをスキャンする場合には左眼用の光源52aのみを全て点灯するように制御する。
立体画像の表示において、上述したような液晶表示パネルの全面同時点滅方式を採用する場合には、ゲートラインの選択時間、ゲートラインの本数および液晶の応答特性を考慮しなくてはならない。そこで、図5を用いて液晶の応答特性について説明する。
図5は、立体画像表示のためのバックライトの点灯期間と、液晶の応答特性との関係を示す概念図であり、横軸には時間を、縦軸には液晶の透過率を表している。
N本のゲートラインを有する液晶表示パネル28において、左眼画像として液晶表示部281が全面均一に透過率L1となり、右眼画像として全面均一に透過率L2(L1<L2)となる場合を例に説明する。
図5に示すように、左眼画像表示期間の左眼用光源の点灯期間が終了する時刻t0までは、液晶表示パネル28は液晶表示部281全体において、左眼画像を表示するための透過率L1となっており、液晶は当該透過率L1に対応する輝度を示している。なお、液晶の輝度は、液晶の透過率とバックライトの明るさとの掛け算で表される。
時刻t0から、右眼画像を表示するために、液晶の透過率L2に対応した画像信号を1ライン目のゲートラインからゲートスキャンにより順次印加する。そして、ゲートスキャンが完了後、時刻t1からt2までの期間、右眼用光源を点灯する。
<液晶の応答の遅れの補償について>
フレーム表示の切り替え速度に比べて液晶の応答が遅い場合は、先に説明した応答の遅れを補償する補償処理を施す。
すなわち、最新のフィールドの入力画像データ(例えば右眼用画像データ)と直前に表示されていたフィールドの画像データ(例えば左眼用画像データ)との階調値とに基づいて、図2を用いて説明した階調値変換テーブル(補償済み階調データ)を使用して、最新フィールドの画像表示用の階調電圧(この場合は右眼用画像表示のための階調電圧)を強調し(高め)、補償済み階調電圧として液晶表示パネル28に与えて、階調変化に対する液晶の応答速度を加速し、応答の遅れを補償する。
ここで、階調電圧を強調することで、液晶の応答の遅れを補償することができる仕組みについて、以下に図6を用いて説明する。
図6は、ゲートラインに印加する電圧(階調電圧の電圧)がV2、V3、V4およびV5(V2<V3<V4<V5)のそれぞれの場合の液晶の応答特性の変化を示す概念図であり、横軸に時間を、縦軸には液晶の透過率を表している。また、これと平行して、電圧V1の状態から電圧V2に昇圧するタイミングも表している。
図6から、電圧をV2、V3、V4,V5と高めることにより液晶の透過率が増加する方向の応答速度が速くなり、より短い時間で透過率が向上することが判る。
従って、最新フィールドの画像表示用の階調電圧を、実際の画像データ値よりも高めることで、階調変化に対する液晶の応答速度を加速することができ、応答の遅れを補償できることになる。
<輝度ムラの防止動作について>
上述したように、ゲートラインに印加する電圧(階調電圧)を変更することによって、液晶の応答特性を早めたり遅くしたりできる特性を利用すれば、液晶表示パネル28のゲートスキャン方向に発生する輝度ムラを防止することも可能となる。
図5は、ゲートスキャン方向に発生する輝度ムラを説明するために、フレーム表示の切り替え速度に比べて液晶の応答が遅い場合を表している。
例えば、1つのゲートラインが選択され、当該ゲートラインに対して新たなデータ(階調電圧)が書き込まれるまでに費やす時間をゲート選択時間とし、ゲート選択時間をtgとする。
この場合、1番目のゲートライン上にある画素とN番目のゲートライン上にある画素とでは、画像データが更新されるまでに、N・tgの時間差が発生する。そのため、図5における時刻t1のとき、1番目のゲートライン上の画素は、液晶の応答開始から、すなわち液晶の透過率が変わり始めてから(t1−t0)時間経っているが、N番目のゲートライン上の画素では(t1−t0−N・tg)しか経っていない。そのため、時刻t1では、1番目のゲートライン上の画素の液晶の透過率が変わり始めてからの経過時間と、N番目のゲートライン上の画素の液晶の透過率が変わり始めてからの経過時間とで差が生じることになる。
従って、液晶の応答時間が(t1−t0−N・tg)より長い場合、すなわち、図5に示す応答特性AおよびBのような場合、時刻t1において1番目のゲートライン上の画素の液晶の応答が完了し、透過率がL2になっていたとしても、N番目のゲートライン上の画素では、液晶の応答が完了せず、透過率はL1とL2との間の値L3である。
このような状態で、時刻t1からt2の期間に光源が点灯すると、1番目のゲートライン上の画素と、N番目のゲートライン上の画素とでは、輝度が異なってしまう。この現象は、液晶表示部281の全面に渡って連続的に発生し、ゲートスキャン方向に対して、輝度ムラが発生することになる。
これを防止するには、各ゲートラインに対する新たなデータの書き込み時刻から光源点灯時刻までの時間で、液晶表示部281の全領域に渡って所定の透過率L2になっていることが望ましい。
ここで、図6に再び着目すると、実効的な点灯期間の平均透過率である透過率L2に達するには、ゲートラインに印加する電圧がV3の場合よりもV4の方が早い。このことは、電圧V4を用いる方が光源の点灯期間を早めることができることを意味している。なお、図6では電圧V2を印加したパターンを併せて示している。
すなわち、図6においては、電圧V3の場合の光源の点灯期間を符号bで示し、電圧V4の場合の光源の点灯期間を符号aで示しており、ゲートラインに印加する電圧を高めることで、光源の点灯期間を早めることが可能であることが判る。
これは見方を変えれば、ゲートラインに印加する電圧を高めれば、ゲートラインの選択後、点灯期間を電圧の印加後の早い時間に設定できることを意味しており、各ゲートラインにおいて、データの書き込み時刻から光源の点灯時刻までの時間が異なっていても、各時間に対応させて、それぞれのゲートラインで印加電圧を変えれば、同じ透過率、すなわち同じ画面輝度を実現できることを意味している。
図7には、1番目のゲートラインとN番目のゲートラインとで、印加する電圧を変えた場合の応答特性AおよびB’を表しており、横軸には時間を、縦軸には液晶の透過率を示している。
図7では先に説明した図5と同様に、1番目のゲートライン上にある画素とN番目のゲートライン上にある画素とでは、画像データが更新されるまでに、N・tgの時間差が発生することを前提としており、時刻t1のとき、1番目のゲートライン上の画素(特性A)は、液晶の透過率が変わり始めてから(t1−t0)時間経っているが、N番目のゲートライン上の画素(特性B’)では(t1−t0−N・tg)しか経っていない。
しかし、N番目のゲートラインには、光源の点灯時刻までの時間が短い分だけ、応答が早くなるように、1番目のゲートラインよりも高い電圧を印加することで、応答特性B’の立ち上がりは応答特性Aよりも急峻になっており、時刻t1(右眼用光源点灯開始時刻)では、透過率L2に近い値となっており、時刻t2(右眼用光源点灯終了時刻)では、透過率L2よりも高い透過率L4に達していることが判る。
このため、1番目のゲートライン上にある画素の右眼用光源点灯期間中における平均透過率(図中において点灯期間を示す領域と特性Aの曲線とで囲まれる面積で定義)と、N番目のゲートライン上にある画素の右眼用光源点灯期間中における平均透過率(図中において点灯期間を示す領域と特性B’の曲線とで囲まれる面積で定義)とはほぼ同じとなり、液晶表示パネル28のゲートスキャン方向に発生する輝度ムラを防止することができる。
なお、液晶表示パネル28のそれぞれのゲートラインで、データの書き込み時刻から光源の点灯時刻までの時間に合わせて印加電圧を変えるように階調値を補償するには、図2に示す階調値変換テーブルが各ゲートラインごとに必要となる。
ただし、この方法では、階調値変換テーブルとして、各画素の階調数がKビットであり、ゲートライン数がN本である場合、N・K・22Kビットのデータ量となり、当該テーブルを記憶するメモリに大きなデータ容量が必要となる。
ここで、液晶表示パネル28の面内状態は、1番目のゲートラインからN番目のゲートラインまで連続的に変化しているので、階調値変換テーブル(補償済み階調データ)としては、1番目のゲートラインとN番目のゲートラインの分の2つを準備し、両者の間のゲートラインに関しては、例えば演算器29において補間処理により求めることが可能である。
補間の方法としては、例えばゲートラインナンバーに比例した重みを付けて、1番目のゲートラインの階調値変換テーブルD1と、N番目のゲートラインの階調値変換テーブルDNとから比例補間によって、m番目のゲートラインの階調値変換テーブルDmを決定する(1<m<N)。具体的には、Dm=D1・(m/N)+ DN・(m/N)で表される補間式採用して補間を行う。これにより階調値変換テーブル用のメモリのデータ容量を削減することが可能となる。
なお、基準データを1番目のゲートラインとN番目のゲートラインの2ライン分だけでなく、3ライン分以上において基準データを準備し、各基準データ間で補間処理を行っても良いことは言うまでもない。この場合、補間処理で作成したデータの精度が高まることが期待される。
<輝度ムラの防止動作の変形例について>
図6および図7を用いて説明した輝度ムラの防止動作においては、液晶表示パネル28のそれぞれのゲートラインで、データの書き込み時刻から光源の点灯時刻までの時間に合わせて印加電圧を変える方法を採ることとしたが、印加電圧を高めると、液晶の応答速度は高めることができるが、透過率が高くなり過ぎる場合も発生する。そこで、以下に説明する方法で、透過率が過度に増大することを防止しても良い。
図8は、ゲートラインに印加する電圧(階調電圧の電圧)がV2、V3、V4およびV5(V2<V3<V4<V5)のそれぞれの場合の液晶の応答特性の変化を示す概念図であり、横軸に時間を、縦軸には液晶の透過率を表している。
図8から、電圧をV2、V3、V4,V5と高めることにより液晶の透過率が増加する方向の応答速度が速くなり、より短い時間で透過率が向上している。しかし、電圧V3、V4およびV5においては、実効的な点灯期間の平均透過率である透過率L2を過ぎて透過率が上がり続けている。
一方、実線で示す応答特性Sは、透過率L2に達するまでは電圧V3印加時の特性を示し、透過率L2に達した後は透過率L2を維持する特性となっている。図8では、このような応答特性Sを得るための電圧印加パターンの例を併せて示している。
図8に示すように、左眼画像表示期間の左眼用光源の点灯期間が終了する時刻t0までは、液晶表示パネル28は液晶表示部281全体において、左眼画像を表示するための透過率L1となっており、液晶は当該透過率L1に対応する輝度を示している。
時刻t0から、右眼画像を表示するための透過率L2に対応した画像信号を1番目のゲートラインから順次ゲートスキャンにより順次印加する。このとき、各ゲートラインに最初に加える印加電圧をV3とし、これを第1書き込み電圧と呼称し、当該第1書き込み電圧を与えることを第1書き込みと呼称する。第1書き込みを所定期間続けた後、印加電圧をV2に下げる。これを第2書き込み電圧と呼称し、当該第2書き込み電圧を与えることを第2書き込みと呼称する。
この電圧印加パターンと、応答特性Sとを比較すると、第1書き込み開始から、第2書き込み開始までの期間(第1書き込みの期間)で透過率がL1からL2に達するように設定されている。なお、第1書き込みの期間はN・tgで規定されている。
このような電圧印加パターンを得るには、まず、最新フィールドの入力画像データと直前に表示されていたフィールドの画像データの階調値とを比較し、最新フィールドの画像表示用の階調電圧として、前フィールドから次に表示すべき最新フィールドへの階調変化を強調した階調電圧を生成して、第1書き込み電圧として液晶表示パネル28に与えることで、階調変化に対する液晶の応答速度を加速し、応答の遅れを補償する。なお、図9に示すように、1番目のゲートラインと、N番目のゲートラインとで第1書き込み電圧は共通であり、ゲートラインごとに階調値変換テーブルを用意する必要がない。これは、全てのゲートラインで、第1書き込み期間内にL2に達する第1書き込み電圧が得られる階調値を階調値変換テーブルに設定しているからである。
これにより、ゲートスキャン方向の輝度ムラおよびゴーストの強度ムラも防止することができる。
ここで、階調変化を強調した階調電圧を作成するための手段としては、図2に示すような階調値変換テーブルを用いて、図1に示す演算器29により、現在の液晶の表示状態から次に表示すべき階調に変化させるために最適な階調電圧を作成する。
次に、第2書き込みを行う際には、最新フィールドの右眼用の入力画像データに強調を加えず、未補償の状態で使用する。
このように、階調値変換テーブルを用いて第1書き込み電圧を設定し、第2書き込み電圧は最新フィールドの画像データを未補償の状態で使用するので、液晶の透過率が不必要に高い状態が続くことを防止できる。さらに、第1書き込み電圧が与えられる期間は、液晶のばらつきや環境の影響を受けやすいが、第1書き込み電圧は階調値変換テーブルを用いて設定されるので、ゴーストの発生を抑制することができる。
上述したような電圧印加パターンを用いた場合の立体画像表示のためのバックライトの点灯期間と、液晶の応答特性との関係を図9に示す。
図9には、1番目のゲートラインとN番目のゲートラインに対して、第1および第2書き込み電圧で構成される電圧印加パターンを与えた場合の応答特性A1およびB1を表しており、横軸には時間を、縦軸には液晶の透過率を示している。
図9において、応答特性A1は1番目のゲートライン上にある画素の応答特性であり、応答特性B1はN番目のゲートライン上にある画素の応答特性であり、1番目のゲートライン上にある画素とN番目のゲートライン上にある画素とでは、画像データが更新されるまでに、N・tgの時間差が発生し、応答特性A1における第1書き込み期間は、N・tgの時間差に相当するように設定されている。そして、この期間に、透過率L2に達するように第1書き込み電圧を設定する。
これにより、第2書き込みを開始する時点で所望の透過率L2に到達し、次に第1書き込み電圧を第2書き込み電圧にまで下げると透過率L2が維持される。
また、N番目のゲートライン上にある画素(応答特性B1)では、1番目のゲートライン上にある画素(応答特性A1)において第2書き込み期間が開始するタイミングで、第1書き込み期間が開始するように設定され、N番目のゲートライン上にある画素での第1書き込み電圧は、時刻t1(右眼用光源点灯開始時刻)の時点で透過率L2に到達する電圧に設定される。
以上のような電圧印加パターンを用いることで、液晶パネル28の全面で、透過率が所望の透過率L2にほぼ達した状態の時間が長く維持されるため、それぞれのゲートラインで、データの書き込み時刻から光源の点灯時刻までの時間が異なっていても、液晶パネル28の全面で同じ輝度を実現することができる。
<A.実施の形態1>
<A−1.装置構成>
本発明に係る実施の形態1の立体画像表示装置100Aについて、図10〜図13を用いて説明する。
図10は立体画像表示の可能な携帯電話機に本発明を適用する場合の装置構成を示すブロック図である。なお、図1に示した立体画像表示装置100と同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図10に示す立体画像表示装置100Aは、通信機モジュール1および表示モジュール2Aを備えている。
表示モジュール2Aは、制御回路21A、ソースドライバ27A、液晶表示パネル28および温度センサ40を備え、制御回路21Aは、タイミングコントローラ22、フレームメモリ23、演算器29、FFD変換テーブル用メモリ30および電圧設定回路31を有している。電圧設定回路31はタイミングコントローラの制御を受けて、所定の電圧をソースドライバ27Aに与え、温度センサ40は、タイミングコントローラ22に温度検知結果を与える構成となっている。なお、図1に示したバックライト点滅ドライバやゲートドライバ等は図示を省略している。
ソースドライバ27Aは、電圧設定回路31から与えられる所定の電圧を抵抗分割して、256段階の階調電圧を生成して電圧決定回路271に与える階調電圧発生回路272と、演算器29から与えられる階調データをデコードして電圧決定回路271に与えるデコーダ273と、電圧決定回路271の出力をバッファリングするバッファ274と、バッファ274の出力を受けて、液晶表示パネル28の各ソースラインに順次与えるシフトレジスタ275とを有している。
<A−2.装置動作>
「輝度ムラおよびゴーストの防止」の項目で説明したFFDを用いて立体画像表示を行う場合、液晶表示装置を使用する環境温度が低温状態では、液晶の粘性の増大により応答速度が遅くなり、所定のゲートラインへの1回目の書き込み後、同ゲートラインへの2回目の書き込みを行うまでの時間、例えば、60Hzの周期で、右眼2回、左眼2回の書き込みを行う場合は1/(60×2×2)=4.16msで2回目の書き込みを行うことになるが、この時間では液晶の状態が目標の透過率まで達しない場合が生じる。
例えば、ノーマリーホワイトのTN(Twist Nematic)モードの液晶パネルの場合、電圧を0V以上に加速する電圧を設定できない黒から白へ画像が変わる場合に発生し易い。このため、0℃程度の低温環境において、左右の視差画像が混在してゴースト画像が発生し、立体視がしにくくなるという問題を生じる。
この問題を解消するためには、表示に用いる液晶の状態の変化の幅を、4.16ms内で変化できる範囲まで狭めて使用することが有効である。
ここで、狭める範囲を決定するには、以下の3つの方法が考えられる。
まず、第1の方法として、コントラストを重視し、液晶の透過率が0となる状態から応答可能な状態までを選定する方法、第2の方法として、明るさを重視し、0Vの最大透過率の状態から応答可能な状態までを選定する方法、第3の方法として、第1の方法と第2の方法の中間の領域で、液晶の応答が可能な領域を選定する方法がある。これらを模式的に示したものが図11である。
図11においては、ノーマリーホワイトのTNモードの液晶パネルの場合の透過率と階調電圧との関係を示しており、最小透過率となる電圧をVoとし、最大透過率となる電圧をVhとした場合、第1の方法では、0℃の環境では4.16msの間に変化できる透過率は、定常状態(25℃)で4V〜2Vの間に相当する透過率となるので、Vo=4V、Vh=2Vとなり、この電圧間を0〜255階調まで、256段階に区切って階調電圧を設定する。
また、第2の方法では、階調調整用の電圧Vhとして最大透過率となる電圧(0V)を設定し、この状態から4.16msで到達可能な透過率に相当する電圧をVoとし、この電圧間を0〜255階調まで、256段階に区切って階調電圧を設定する。
また、第3の方法では、コントラスト重視の場合と明るさ重視の場合の中間の電圧間、例えば電圧Vhとして1V、電圧Voとして3.5Vを設定し、この電圧間を0〜255階調まで、256段階に区切って階調電圧を設定すれば良い。
いずれの方法を用いた場合も、使用する液晶の状態の幅を狭めるため、画像に表現できる階調数が減少してしまう。このため、グラデーション画像を表示した場合に、なだらかな色や輝度の変化が表示できず、階段的な画像が現れる可能性がある。
これを防止するため、2回書き込み駆動において、1回目の書き込みを行うフィールドを加速電圧印加フィールドとし、2回目の書き込みを行うフィールドを階調調整フィールドとし、両フィールドの間に、電圧設定回路31(図10)から階調電圧発生回路272に与える電圧VoおよびVhを変更し、液晶の表示に使用する電圧領域の階調数を、実質的に常温と同等にすることが有効である。
この、加速電圧印加フィールドでの電圧は、図11においてVo=4.5V、Vh=0Vで表され、この電圧間を0〜255階調まで、256段階に区切って階調電圧を設定する。
以下、第1の方法を用いる場合を例に採って、図10に示す立体画像表示装置100Aを参照しつつ、低温環境下でのゴーストの発生を防止する動作について説明する。
温度センサ40で検出された環境温度に基づいて、温度ごとに予め決められた、加速電圧フィールド用FFDデータ変換テーブル(第1のデータ変換テーブル)、階調調整フィールド用FFDデータ変換テーブル(第2のデータ変換テーブル)を、FFD変換テーブル用メモリ30から読み出し、タイミングコントローラ22内の図示されないSRAM(Static Random Access Memory)に記録する。
加速電圧フィールド用FFDデータ変換テーブル、階調調整フィールド用FFDデータ変換テーブルは、例えば図2を用いて説明した階調値変換テーブルと同様の構成を採り、現フレーム(最新フィールド)の画像データの階調値(0〜255)と前フレーム(前フィールド)の画像データの階調値(0〜255)との組み合わせに対して、液晶表示パネル28に与えるべき階調値が設定されており、当該階調値に相当する階調電圧が出力データとして記録されている。
例えば、前フィールドのある画素の階調値が“1”であり、最新フィールドで同じ画素に表示すべき階調値が画像データ上では“2”となっている場合、変換テーブルに基づいて、液晶表示パネル28には階調値“3”に相当する階調電圧を出力する。このように、現在および過去のデータに基づいて、より適切なデータを設定するのでフィードフォワード制御と呼称する。なお、加速電圧フィールド用FFDデータ変換テーブル、階調調整フィールド用FFDデータ変換テーブルは、液晶表示パネル28の物性値に合わせて、環境温度ごとに実験的に求める。
また、タイミングコントローラ22において、加速電圧フィールド用の電圧幅を決める電圧VoおよびVhならびに階調調整フィールド用の電圧幅を決める電圧VoおよびVhを決定する。タイミングコントローラ22には、CPU(Central Processing Unit)の機能を有したデバイスが含まれており、当該デバイスに、予め、第1の方法を用いることを前提にプログラムしておけば、0℃の環境に適した加速電圧フィールド用の電圧幅および階調調整フィールド用の電圧幅に合わせて、電圧VoおよびVhを決定する。なお、0℃での環境に限定されるものではないことは言うまでもない。
次に、1回目の書き込み動作として、加速電圧フィールドの書き込みを行う。まず、タイミングコントローラ22で決定された加速電圧フィールド用の電圧VoおよびVhに基づいて、電圧設定回路31において電圧VoおよびVhを発生させる。これらの電圧は階調電圧発生回路272の抵抗分割回路に与えられ、256分割されて0〜255の階調ごとの印加電圧を設定する。
次に、液晶表示パネル28の第1ゲートラインに対応して、演算器29がタイミングコントローラ22を介してフレームメモリ23に記憶された前画像の階調データと現画像の階調データを読み出し、環境温度に対応した加速電圧フィールド用FFDデータ変換テーブルに基づいて、実際に電圧決定回路271に送る階調データを決定し、電圧決定回路271に与えて各ソースラインに与えるべき電圧に変換する。そして当該電圧は、バッファ274およびシフトレジスタ275を介してソースラインに送られる。
この一連の動作を、第1ゲートラインから最終ゲートラインに対して行う。この間は、加速電圧フィールド用FFDデータ変換テーブルならびに電圧VoおよびVhは同じ値を用いる。ただし、必要に応じて、ゲートラインごとに調整を加えても良い。
次に、2回目の書き込み動作として、階調調整フィールドの書き込みを行う。まず、タイミングコントローラ22で決定された階調調整フィールド用の電圧VoおよびVhに基づいて、電圧設定回路31において電圧VoおよびVhを発生させる。これらの電圧は階調電圧発生回路272の抵抗分割回路に与えられ、256分割されて0〜255の階調ごとの印加電圧を設定する。
次に、液晶表示パネル28の第1ゲートラインに対応して、演算器29がタイミングコントローラ22を介してフレームメモリ23に記憶された前画像の階調データと現画像の階調データを読み出し、環境温度に対応した階調調整フィールド用FFDデータ変換テーブルに基づいて、実際に電圧決定回路271に送る階調データを決定し、電圧決定回路271に与えて各ソースラインに与えるべき電圧に変換する。そして当該電圧は、バッファ274およびシフトレジスタ275を介してソースラインに送られる。
この一連の動作を、第1ゲートラインから最終ゲートラインに対して行う。この間は、階調調整フィールド用FFDデータ変換テーブルならびに電圧VoおよびVhは同じ値を用いる。
<A−3.作用および効果>
図12は印加される階調電圧に対する液晶パネルの透過率の変化を示す図であり、横軸に時間(ms)を示し、縦軸に透過率を示している。そして、0℃、10℃および25℃の場合の透過率の時間変化を示し、また、図の上部には液晶の応答速度の加速のための加速電圧および加速後に行う階調調整のための階調調整電圧の印加状態を温度ごとに模式的に示している。
図12に示すように、1回目の書き込み動作である加速電圧フィールドの書き込みにおいては、オーバードライブ技術により、4.16msの間に、温度センサ40で検出された環境温度で到達できる透過率に達するように急速に加速する。なお、温度ごとに適した加速電圧は異なるので、温度ごとに予め定めた加速電圧フィールド用FFDデータ変換テーブルを用いて加速電圧を決定する。
環境温度0℃では、加速電圧フィールドでは、電圧幅を大きくするために電圧VoおよびVhを、それぞれ4.5Vと0Vに設定する。TNモード液晶パネルで最も応答の遅い黒(0階調)から白(255階調)への液晶状態の変化は、図12に示すように、4.16msでは最小電圧0Vを印加しても定常状態(25℃)で到達する透過率の20%にしか達しない。この透過率は定常状態では、2Vの電圧印加の状態に相当する。
従って、環境温度0℃では、白を最大透過率の20%に定義し、階調調整フィールドでの印加電圧は255階調が透過率20%になる2Vとなるように、電圧VoおよびVhをそれぞれ、4Vおよび2Vに設定する。
このように、0℃程度の低温環境において、液晶の反応速度が遅い場合でも、仮想的に目標の透過率に達したものとし、その後は、その透過率を基準として、0〜255階調を表すように階調調整フィールド用FFDデータ変換テーブルを用いて変換を行うので、透過率が目標値に達しないことに起因して、左右の視差画像が混在してゴースト画像が発生し、立体視がしにくくなるという問題を防止できる。
また、階調調整フィールドでは細かい電圧幅での階調表示が可能となり、画像に表現できる階調数が減少することがない。このため、グラデーション画像を表示した場合でも、なだらかな色や輝度の変化を表示できる。
一方、環境温度25℃(定常状態)では、加速電圧フィールドでは、電圧幅を大きくするために電圧VoおよびVhを、それぞれ4.5Vと0Vに設定する。実際の階調表示に用いる電圧幅は図11に示すように4V〜0Vであるが、オーバードライブによる加速を実現するために、電圧Voを大きめに設定している。
この電圧幅で、加速電圧フィールド用FFDデータ変換テーブルにより加速用の階調電圧を決定し、電圧決定回路271(図10)で電圧を作り、液晶表示パネル28の画素に順次印加する。この場合は、TNモード液晶パネルで最も応答の遅い黒(0階調)から白(255階調)への液晶状態の変化は、図12に示すように、加速電圧の印加により目標の透過率に近い値まで4.16msで到達している。
従って、環境温度25℃では、白を最大透過率に定義し、階調調整フィールドでの印加電圧は255階調が最大透過率になる0Vとなるように、電圧VoおよびVhをそれぞれ、4Vおよび0Vに設定する。これは、静止画を表示する際の階調電圧を発生させるために適した値である。すでに、加速電圧フィールドで目標の透過率に近い値が達成されているため、階調調整フィールドで印加すべき電圧は、定常状態で目標の透過率を維持する電圧で良く、0Vに近い値である。
なお、上記説明は、表示する現画像データが最大階調である場合を例に採ったが、中間階調のデータである場合も同様である。
また、以上の説明においては、左右の視差画像の何れかを特定したものではなかったが、左の視差画像に対して加速電圧フィールドおよび階調調整フィールドで2回のデータの書き込みを行い、続いて、右の視差画像に対して加速電圧フィールドおよび階調調整フィールドで2回のデータの書き込みを行うことで立体画像のゴーストを防止することができる。
<A−4.FFDデータ変換テーブルの設定方法>
次に、図13を用いて、加速電圧フィールド用FFDデータ変換テーブルおよび階調調整フィールド用FFDデータ変換テーブルの設定方法について説明する。
図13は、加速電圧フィールドでの電圧設定と階調調整フィールドでの電圧設定を最適に調整するための評価用の視差画像データを示す図であり、図に向かって左側に左眼画像データを、右側に右眼画像データを示している。
図13において、右眼画像データは0〜255階調を段階的に示す複数の横階調バーとして表現されており、左眼画像データは右眼画像データの横階調バーの幅と階調と同じ横階調バーとともに、それに直交するように0〜255階調を段階的に示す複数の縦階調バーを加えた画像として表現されている。
調整作業に際しては、これら左右の画像を、液晶パネルの同じ位置に交互に表示する。なお、画像の大きさは任意である。
これらの左右の画像データを交互に表示した場合、左眼画像データの縦階調バーのない領域は、左右の画像で同じ画像を表示し、縦階調バーのある領域では、場所により異なる階調の画像を交互に表示することになる。従って、FFDデータ変換テーブルが最適化されている場合は、右眼には右眼画像データの横階調バー(グレーバー)が見えるはずであるが、FFDデータ変換テーブルが最適化されていない場合は、右眼が実際に見る画像の評価ポイントRでは、階調223の横階調バーに左眼画像の階調159の縦階調バーの影響で、交差領域に明るさの違いが見えることになる。
そこで、右眼に単調な横階調バーが見えるようにFFDデータ変換テーブルの値を調整することにより、2重像(ゴースト)のない見やすい立体画像表示を実現することができる。
実際には、図13の画像データを、左右入れ替えて再度調整をおこない、これを繰り返して、最もバランスの取れた状態でのFFDデータ変換テーブルの値を最適値とすることで、2重像のない見やすい立体画像表示を実現することができる。
なお、チェックパターンは図13に示すパターンに限るものではなく、左右の画像の一方に同じ階調の隣接した2領域があり、他方の画像の相対する位置に、一方の画像と同じ階調の領域と、異なる階調の領域が隣り合って存在する画像の組であれば、同じ効果が得られる。また、このときの同じ階調の画像が見える方向から、実際の2画像領域の輝度の差を測ることにより、立体画像表示装置のクロストークの値を評価することができる。
<A−5.変形例>
以上の説明は、説明を単純にするために、印加電圧の極性反転には触れなかったが、これを行っても同様の効果が得られることは言うまでもない。
また、以上の説明では、左右のバックライト光源の点滅と同期して、左右の視差画像を交互に液晶パネルに表示する立体画像表示装置について説明したが、通常の60FPS(フィールド/秒)や120FPSで動画を表示する液晶ディスプレイの低温環境下での2重像の発生の抑制にも同様の効果が期待できる。
また、以上の説明では一例として、ノーマリーホワイト(液晶セルに印加される電界強度の絶対値が小さいほど、透過率が高い)のTN液晶モードを例に説明したが、ノーマリーブラック(液晶セルに印加される電界強度の絶対値が小さいほど、透過率が低い)の他の液晶モードにも適用できる。
図14は、ノーマリーブラックの液晶パネルの場合の透過率と電圧との関係を示しており、最小透過率となる電圧をVoとし、最大透過率となる電圧をVhとした場合、第1の方法では、0℃の環境では4.16msの間に変化できる透過率は、定常状態(25℃)で0.5V〜2.5Vの間に相当する透過率となるので、Vo=0.5V、Vh=2.5Vとなり、この電圧間を0〜255階調まで、256段階に区切って階調電圧を設定する。これにより、0℃の温度下でも滑らかな階調を実現できることになる。
なお、上記の説明では、表示画像のコントラストを高めるために、階調調整用の電圧Voには最低透過率を実現する電圧を設定し、この液晶状態からオーバードライブ用加速電圧4.5Vを用いて、4.16msで到達可能な透過率に相当する電圧をVhとした。これにより、コントラストの高い動画画像の表示が可能になるという利点がある。
<B.実施の形態2>
以上説明した実施の形態1においては、特に低温環境での液晶の応答遅れを補うために、表示される白または黒、あるいはその両方の階調範囲を狭め、階調表示が飛び飛びになること(つぶれ)を防ぐために、ソースドライバに入力する階調電圧を操作する方法を示した。
実施の形態2では、階調電圧は操作せず、信号処理により同様の効果を得られる方法について説明する。
<B−1.装置構成>
図15は立体画像表示の可能な携帯電話機に本発明を適用する場合の装置構成を示すブロック図である。なお、図10に示した立体画像表示装置100Aと同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図15に示す立体画像表示装置100Bは、通信機モジュール1および表示モジュール2Bを備えている。
表示モジュール2Bは、制御回路21B、ソースドライバ27A、液晶表示パネル28および温度センサ40を備え、制御回路21Bは、タイミングコントローラ22、フレームメモリ23、演算器29Aおよび電圧設定回路31を有している。
図10に示した立体画像表示装置100Aとの大きな違いは、電圧設定回路31が独立しており、タイミングコントローラ22からの制御を受けないことである。また、立体画像表示装置100Aでは、図2に示した階調値変換テーブルと同様の加速電圧フィールド用FFDデータ変換テーブル、階調調整フィールド用FFDデータ変換テーブルをLUT(look-up table)として有し、それらを用いて変換した結果をソースドライバ27Aに出力していたが、本実施の形態では演算器29Aに以下の機能を有している。
図16に演算器29Aの内部構成をブロック図で示す。
ソースドライバは、高分解能(入力デジタルビット数が多い)であればあるほど階調範囲を狭めた際の階調つぶれが起きにくいが、以下では、便宜的に6Bitのものを使用し、入力階調が8Bit(RGB各)である場合について説明する。また、このブロック図は、RGBのいずれか1つのみについて記載しており、実際には同様のブロックが3つあるものとする。
図16に示すように、演算器29Aは、LUT291、補間ブロック292およびFRC(フレームレートコントロール)ブロック293を有している。まず、タイミングコントローラ22(図15)から送られて来る前画像映像信号および現画像映像信号のデータ8Bitは、図示しない分離ブロックで上位ビットと下位ビットとに分離される。ここでは上位3Bit(8通り)と下位5Bit(32通り)に分離することとする。
上位3Bitの現画像データおよび前画像データは、LUT291のアドレスとして使用される。
LUT291の構成を図17および図18に示す。なお、LUT291はメモリに記憶された8Bitのデータであり、図17に示す加速電圧フィールド用の変換テーブルと、図18に示す階調調整フィールド用の変換テーブルを有している。
3Bitのデータでとり得る範囲は0〜7であるが、テーブルには0〜8を記載している。このLUT291は、現画像,前画像の値の交点以外に、それぞれを+1を足した値の合計4つの値を取得することを特徴としている。
ここで、加速電圧フィールドで前画像が4、現画像が3の場合を例にとると、LUTからの出力として、次の4つを出力することになる。すなわち、(3,4)=65、(4,4)=110、(3,5)=45、(4,5)=85である。このLUTの値は、温度センサの値に応じて、画像を出力する必要のないブランキング期間中に書き換えが行われる。
LUT291で取得した4つの値と、前画像、現画像の各下位の5Bitは、補間ブロック292に送られる。補間ブロック292では、これらの値から2次元線形補間により9Bitのデータを出力する。具体的な計算方法は、以下の通りである。
便宜上、LUT291から出力されたデータをa、b、c、d(前記例ではa=65,b=110、c=45、d=85)とし、現画像データおよび前画像データの下位5BitをX[4:0]、Y[4:0]とする。
まず、数式(1)および(2)に基づいてQabおよびQcdを計算する。データa、b、c、d(各8Bit)の減算値とX(5Bit)より、掛け算で13Bitの値を得る。その後、算出した値の上位9Bitと、データaおよびcを2倍したものをそれぞれ加算して9Bitの値を得る。次に、数式(3)で示すように、数式(1)および(2)でそれぞれ得られた9Bitの値の減算値と、Y(5Bit)との掛け算で14Bitの値を取得し、その上位9BitとQabを加算して9BitのQabcdを得る。この値は次のFRCブロック293に送られる。
ここでは、4点の値を使用した単純な2次元線形補間を行ったので、比較的容易に補間が可能となる。なお、本発明の補間方法は線形補間に限られず、他の補間手法を用いることもできる。
FRCブロック293では、9Bitのデータ(Qabcd)からソースドライバ27A(図15)に与えるべき6Bit出力信号を生成するが、その内部ブロックを図19に示す。
FRCブロック293でのフレームレートコントロールは、いわゆる擬似階調を生成するためのディザパターンを時間的に変化させる手法であり、単一画素を時間的に平均しても所望の出力階調となるように構成されている。
図19に示すように、補間ブロック292から入力される9Bitのデータは、図示しない分離ブロックで上位6Bitのデータと下位3Bitのデータとに分離される。
上位6Bitのデータは、出力信号を選択するMUX(マルチプレクサ)62の一方入力に入力され、また、加算器61で+1を加算したデータが他方入力に入力される。
ここで、加算器61での加算処理は、6Bitのデータが最大(63)の場合は加算せず、それ以外は+1を加算するものとする。
MUX62は、セレクタ63から与えられる選択信号が0の場合は、上位6Bitをそのまま出力し、選択信号が1の場合は、+1を加算したデータを出力する動作をする。
一方、下位3Bitのデータは、MUX62に対するセレクタ63の選択信号の生成に使用される。
セレクタ63には、1/5LUT65、1/4LUT67、1/3LUT69、1/2LU71が接続され、それぞれのLUTから出力される非反転信号および反転信号が、下位3Bitのデータ信号に対応して、選択信号として出力される。
すなわち、MUX62からは、3Bitのデータ信号が0の場合は0が、データ信号が1の場合は、1/5LUT65の出力が、データ信号が2の場合は1/4LUT67の出力が、データ信号が3の場合は1/3LUT69の出力が、データ信号が4の場合は1/2LUT71の出力が、データ信号が5の場合は1/3LUT69の反転出力が、データ信号が6の場合は1/4LUT67の反転出力が、データ信号が7の場合は1/5LUT65の反転出力が出力される。これらの信号は1Bitである。
それぞれのLUTには、それぞれの進数のカウンタF、VおよびHを備え、カウンタの値に応じて0または1が選択されるように構成されている。すなわち、1/5LUT65には、カウンタF、VおよびHを含む5進数カウンタ64が接続され、1/4LUT67には、カウンタF、VおよびHを含む4進数カウンタ67が接続され、1/3LUT69には、カウンタF、VおよびHを含む3進数カウンタ69が接続され、1/2LUT70には、カウンタF、VおよびHを含む2進数カウンタ20が接続されている。
5進数カウンタ64の場合は、0〜4までカウントし、次に0に戻る動作をし、4進数カウンタ66の場合は、0〜3までカウントし、次に0に戻る動作をする。その他も同様である。ここで、カウンタHは水平方向1画素ごとにカウントし、1行が終わるとリセットされる。カウンタVは1行ごとにカウントし、最終行が終わるとリセットされる。カウンタFはフレームごとにカウントされ続けるものであるが、本発明の場合、右眼用フレームおよび左眼用フレームさらにはそれぞれ加速電圧フィールド、調整電圧フィールドと、合計4サブフレームにより1メインフレームが構成されるので、4サブフレームおき(1メインフレーム)ごとにカウンタFが動作するものとする。
なお、これらのカウンタのインクリメントやリセットを行う信号は別途必要であるが、これらはタイミングコントローラ22(図15)より供給されるものとして図示していない。
1/n(n=2,3,4,5)LUTは、水平方向における1の比率が1/nかつ、垂直方向における1の比率が1/nかつnフレームにおける同一画素が1となる回数が1回となるようにデータがセットされている。具体的なテーブルを図20〜図23に示す。
図20〜図23は、それぞれ1/5LUT65、1/4LUT67、1/3LUT69、1/2LU71を示しており、それぞれのカウンタからの出力によってテーブルが構成されている。なお、図中では、カウンタF、VおよびHは、それぞれn進Fカウンタ、n進Vカウンタおよびn進Hカウンタとして表記している。
このように、同じフレームでは面積的に1になる比率が1/nになり、1/nの階調輝度が表示されることになる。また、フレームごとの時間的に1になる画素の位置が切り替わるため、同一画素でも時間平均で1/nの階調が表現できるようになる。この例ではFRCブロック293に入力されるデータの下位3Bitにより、上位6Bit間の階調が0、1/5、1/4、1/3、1/2、2/3、3/4および4/5に分割されることになる。本来ならば、0、1/8、1/4、3/8、1/2、5/8、3/4および7/8の階調が出力されることが理想であるが、階調1/8を上記方法で作成すると、静止画において同じ画素が+1になる周期が8フレームとなり、全体的にざわついた表示となってしまう。そのため、本例では可能な限り分母の数を少なくするようにして、表示性能の向上を図っている。もちろん、分母および分子のとり方はこれに限られないし、ソースドライバの分解能(Bit数)や、補間ブロック292で演算出力されるBit数も任意の値に設計できることは言うまでもない。
<B−2.作用および効果>
次に、作用および効果について説明する。加速フィールドでは、現画像データと前画像データに基づいて図17に示した加速フィールド用LUTにより出力すべき値が取得される。
すなわち、LUTの対角要素(ハッチング部)は、前画像と現画像が同じ場合のテーブル値であるが、最大階調(8,8)セルでは、最大値の255階調ではなく210階調となっており、少し低い値が設定されている。一方、最小階調(0,0)セルでは、最小値の0階調ではなく10階調となっており、少し高い値が設定されている。ただし、例えば(8,0)セルでは255階調となっており、(8,8)セルより大きな値に設定されている。また、(0,8)セルでは0階調となっており、(0,0)セルよりも小さな値となっている。目標である出力すべき階調を決定しているのは対角要素部であり、それ以外の要素が過電圧用となる。
すなわち、対角成分は前画像階調=現画像階調の場合に使用される値であり、これが出力される階調の基準となる。なぜなら、前画像=現画像の静止状態映像では、理論上この値のみが使用され、この値が表示される階調の範囲となるからである。液晶が理想的に応答時間が0(無限に速い応答速度)の場合は、前画像と現画像が異なる場合でも特に加速電圧を設定する必要がないため、図17および図18のテーブルの各列には該当列の対角成分と同じ値が入ることになる。
しかし、実際の液晶では、その応答遅延のため、対角成分以外のセルで、前画像と現画像が異なるセルは、対角成分とは異なることになる(過電圧をかけることになる)。その値の決定方法としては、例えば、図13を用いて説明した画像を用いた目視による調整方法が最も容易である。なお、調整前に対角成分を決めておくが、もし調整後に所望の特性(図13に近い画像)が得られない場合、対角成分の範囲(階調10〜210)を狭めて再度調整を行う。
また、図18に示す調整フィールド用LUTでは、列方向にほぼ同じ値をとり、対角要素には加速フィールド用の対角要素と同じ値が設定されている。ただし、各対角要素の右上および左下は若干加速する方向に値が設定されている。このように若干異なっている個所は、加速フィールドでも液晶が応答しきれない場合に更なる加速をさせるためのものであり、加速フィールドで応答がほぼ完了していれば、列方向に同じ値を設定している。
これにより、本来0〜255の階調を表示したかったものを、加速電圧用に対角成分の階調範囲(10〜210)の上下の階調範囲(0〜9、211〜255)を使用し、かつ逆を返せばそれらの過電圧で応答できるように対角成分を調整した、すなわち、対角成分の階調範囲を10〜210に狭めたことにより、対角成分の使用可能な階調数が減少してしまった。これを、補間ブロック292においてビット拡張(本例では1Bit=2倍)し、さらにFRCブロック293により表示上の階調制御を行うことで解消し、低温環境下のような液晶の応答の遅い状態でも本来の階調数に近い良好な表示を得ることができる。
<B−3.変形例>
図15に示した立体画像表示装置100Bではフレームメモリ23を備える構成であったが、図1に示した通信機モジュール1のVRAMを利用し、前画像と現画像を同時または短い時間間隔で交互に送信するようにすればフレームメモリは不要となる。
また、図10の立体画像表示装置100Aのように、階調電圧発生回路31をタイミングコントローラ22で制御する構成とし、加速フィールド、調整フィールドに異なった電圧を設定し、かつ本実施の形態のようにFRCにより階調制御を行うと、より細かい設定が可能となり表示品位が向上する。
すなわち、階調電圧発生回路31により階調電圧をも制御する場合は、図17および図18の、対角成分の値の範囲縮小量を抑制するように階調電圧を調整することができるので、表示品位が向上する。
また、以上の説明においては、液晶表示パネルを用いて左右視差像を交互に表示する液晶立体画像表示装置への適用を前提としたが、本発明は動画対応のLCDやフィールドシーケンシャルカラーLCDに適用しても、液晶の低温での応答遅れに起因する2重像の発生の抑制に有効である。
また、搭載電子機器としては携帯電話機に限らず、パーソナルコンピュータ、携帯ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)などにも適用できる。