JP5343913B2 - 多層光記録媒体 - Google Patents
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Description
当然のことながらこのような多重干渉は、再生性能の低下の防止を図るべくその発生防止が図られることが望ましい。
このことは、3層光記録媒体において、記録膜Lrc0〜Lrc1間のスペーサ(Lrc0は最下層の記録膜であるとする)、記録膜Lrc1〜Lrc2間のスペーサの厚さが同じとされた状態で、上記記録膜Lrc0を再生する場合を想定すれば理解できる。つまりこの場合には、記録膜Lrc0に集光し反射される光(再生光:被干渉光)の光路長と、記録膜Lrc1→記録膜Lrc2(下面側)→記録膜Lrc1の順で反射される光(迷光)の光路長とが等しくなるので、ディテクタ上でこれらの光が干渉して多重干渉を生じさせる。
従って3層光記録媒体の場合には、上記のように各記録膜間に形成されるスペーサの厚さを異ならせることで、被干渉光と迷光との光路長を一致させないようにでき、多重干渉の発生を防止できる。
例えば、図17に示すように記録膜Lrc0〜記録膜Lrc4の計5つの記録膜Lrcが形成された多層光記録媒体を想定し、記録膜Lrc0〜記録膜Lrc1間に形成されるスペーサS1の厚さ=4、記録膜Lrc1〜記録膜Lrc2間に形成されるスペーサS2の厚さ=2、記録膜Lrc2〜記録膜Lrc3間に形成されるスペーサS3の厚さ=3、記録膜Lrc3〜記録膜Lrc4間に形成されるスペーサS4の厚さ=1と、それぞれのスペーサ厚を異なる値に設定した場合を考えてみる。
この場合において、最下層の記録膜Lrc0を対象とした再生を行うとしたときは、図中の太線矢印で示す再生光に対し、細実線矢印で示したLrc2→Lrc4→Lrc1の順で反射される迷光と、細破線矢印で示したLrc1→Lrc4→Lrc2の順で反射される迷光の光路長がそれぞれ一致し、これら2つの迷光が再生光に対して干渉することになる。これは、スペーサS1の厚さと、スペーサS3+スペーサS4による厚さとが一致しているためである。
このようにして記録膜を4以上有する多層光記録媒体においては、単純に各スペーサの厚さを異ならせるのみでは、多重干渉の発生を防止することはできない。
また、多層化を推し進めて例えば数十層程度などの多層光記録媒体を実現するとした場合には、多重干渉の発生を完全に防止することは困難を極める。つまり、多重干渉の発生を完全に防止しようとすると、個々のスペーサの厚さのみでなく、図17のように複数を跨る厚さも考慮に入れて同厚とならないようなスペーサ厚の設定を行う必要があるが、これを実現しようとすると、光記録媒体のトータルの厚さが著しく増大するものとなってしまい、結果、各層で球面収差補正を適正に行うことが非常に困難となるためである。
本発明はこのような観点に鑑み為されたもので、多層光記録媒体の製造効率やその実現性を確保しつつ、多重干渉の抑制が図られるようにすることを目的とする。
すなわち、本発明の多層光記録媒体は、入射光を反射する界面を複数有し、それぞれの上記界面間にスペーサが形成されていると共に、光入射面を上面側としたとき、最も下面側にそれぞれ厚さが異なるスペーサが連続して配列された異厚層ユニットが形成され、且つ、上記異厚層ユニットの上方において、該異厚層ユニット内に配列される何れのスペーサとも異なる厚さによるスペーサが連続して配列されているものである。
最下層部に上記異厚層ユニットを設けることで、重大な多重干渉の発生を効果的に抑制できる。つまり、後述するように多重干渉の程度は干渉光が経由する界面が下層側であるほど大となるので、上記のように最下層部に異厚層ユニットを設ける、すなわち最下層部で厚さが一致するスペーサを設けないようにすることで、重大な多重干渉の発生を効果的に防止できる。
また、異厚層ユニットの上方に敢えて同厚のスペーサを連続配列した同厚層ユニットを設けることによって、後述するように多重干渉を効果的に抑制することができる。
また本発明では、同厚によるスペーサを連続配列した構造としていることで、その部分でスペーサの積層プロセスを共通化でき、例えば各スペーサの厚さを異ならせる場合と比較して製造効率の向上が図られる。また、同厚によるスペーサの配列が許容されるので、多重干渉の発生を完全に防止するようなスペーサ厚の設定を行う場合と比較すれば、記録媒体全体の厚さを抑える上でより有利とできる。
これらの点より、本発明によれば、多層光記録媒体の製造効率やその実現性を確保しつつ、多重干渉の抑制が図られるようにできる。
なお説明は以下の順序で行うものとする。
<1.多層光記録媒体の断面構造及び記録/再生について>
<2.多重干渉抑制のためのスペーサ厚の設定>
[2-1.干渉光についての考察]
[2-2.多重干渉を効果的に抑制するための設計指針]
[2-3.実施の形態としてのスペーサ厚の設定手法]
[2-4.スペーサ厚の設定例]
<3.変形例>
図1は、本発明の一実施形態としての多層光記録媒体(多層光記録媒体1とする)の断面構造を示した図である。
本実施の形態の多層光記録媒体1は、ディスク状の光記録媒体とされ、回転駆動される多層光記録媒体1に対するレーザ光照射が行われてマーク記録(情報記録)が行われる。また、記録情報の再生としても、回転駆動される多層光記録媒体1に対してレーザ光を照射して行われる。
なお光記録媒体とは、光の照射により情報の記録/再生が行われる記録媒体を総称したものである。
ここで、本明細書において「上層側」とは、情報の記録/再生のための光が入射する側の面を上面としたときの上層側を指す。
例えば案内溝がピット列で形成される場合、ピットとランドの長さの組み合わせにより位置情報(絶対位置情報:ディスク上での回転角度位置を表す情報としての回転角度情報や、半径位置情報など)が記録される。或いは、案内溝がグルーブとされる場合、当該グルーブを周期的に蛇行(ウォブル)させて形成することで、該蛇行の周期情報により位置情報の記録が行われる。
カバー層2は、例えばこのような案内溝(凹凸形状)が形成されたスタンパを用いた射出成形、或いはフィルムへの上記スタンパの形状を熱転写することなどにより生成される。
なお、この選択反射膜3については後述する。
この記録層において、スペーサ4は、例えば紫外線硬化樹脂などの接着材料で構成される。
また記録膜Lrcは、レーザ光が集光されることでマークが形成され且つ入射光を反射可能に構成された膜となる。例えばこの場合の記録膜Lrcは、反射膜上に相変化膜などの書換型記録膜や、様々な熱による非可逆反応を呈する無機系追記記録膜或いは有機色素追記記録膜などの記録材料が積層されて形成されている。
なお、反射膜を焼き切るなどして反射率を低下させた部分をマーク部分とする記録手法を採られる場合、記録膜Lrcとしては反射材料のみで構成することができるが、その場合も記録膜Lrcとしては入射光を反射し得るものであることに変わりはない。
先ず、基板5上に、記録膜Lrc0としての全反射記録膜を成膜する。その上で、該記録膜Lrc0上に、スペーサ4→半透明記録膜の繰り返し積層を行って、記録膜Lrc22までを形成する。
一方で、上述したスタンパを用いた射出成形などにより位置案内子の形成に伴う凹凸断面形状の与えられたカバー層2を生成し、該カバー層2の上記凹凸断面形状の与えられた面側に選択反射膜3を成膜する。
このように選択反射膜3が形成されたカバー層2を、上記記録膜Lrc22の上面側に対し、上記選択反射膜3の形成面が対向するように、スペーサ4としての紫外線硬化樹脂を用いて接着する。具体的には、例えば上記記録膜Lrc22上に紫外線硬化樹脂を例えばスピンコート法などにより塗布し、そこにカバー層2の選択反射膜3の形成された面を押し当てた状態で紫外線照射による硬化処理を施すことで、図中に示すように選択反射膜3と記録膜Lrc22とがスペーサ4を隔てて形成された状態を得る。
すなわち、現状において普及している2層ディスクなどでは、記録膜ごとに位置案内子を形成するものとされているが、本例の多層光記録媒体1では、位置案内子は記録層とは別の層位置に1つのみ形成するものとしている。
このような構造とすることで、記録膜Lrcごとに位置案内子を形成する構造とする場合のように記録膜Lrcの増加に伴い位置案内子の形成プロセスも増加してしまうという点を解消でき、従って多層化を進めるほど製造プロセスの簡素化、製造コストの削減の面で有利とできる。
なお本実施の形態において、対物レンズ16の開口数としては、録再用レーザ光についての実効的な開口数が0.85程度、サーボ用レーザ光についての実効的な開口数が0.6程度であるとする。
本実施の形態において、録再用レーザ光の波長は405nm程度、サーボ用レーザ光の波長は650nm程度であるとする。
先ず、トラッキングサーボ制御については、記録時と再生時とで異なる手法を採ることになる。
具体的に、マークが未だ形成されていない記録時においては、録再用レーザ光の記録膜Lrcからの反射光に基づいてトラッキングサーボをかけることができないので、記録時における対物レンズ16のトラッキングサーボ制御は、サーボ用レーザ光の選択反射膜3からの反射光に基づき、当該サーボ用レーザ光のスポット位置が位置案内子に追従するようにして行うことになる。
このことで、各記録膜Lrcに位置案内子が形成されていなくとも、記録膜Lrc上の所定の位置(位置案内子としてのトラックの直下となる位置)にマークを記録することができる。
ここで、記録時には、上記のように基準面Refに形成された位置案内子に基づく対物レンズ16のトラッキングサーボ制御を行うために、サーボ用レーザ光としては基準面Refに合焦している必要がある。また、当然のことながら記録時には、録再用レーザ光は記録対象とする記録膜Lrcに合焦させる必要がある。
このようにして記録時には、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とに関し、それぞれ異なる層位置を対象として別々にフォーカスサーボをかける必要がある。この点より、多層光記録媒体1についての記録再生を行う装置では、対物レンズ16の位置制御を行う2軸アクチュエータとは別途に、録再用レーザ光の合焦位置を独立して制御するための録再光用フォーカス機構を設けることになる。
図3において、図2にも示した対物レンズ16は、図中の2軸アクチュエータ17によって多層光記録媒体1の半径方向(トラッキング方向)、及び多層光記録媒体1に接離する方向(フォーカス方向)に変位可能に保持されている。
また、往路光で考えた場合、上記ダイクロイックプリズム15は、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とを同一軸上に合成して対物レンズ16に入射させる機能を有する。具体的にこの場合、録再用レーザ光は、図示するように録再光用フォーカス機構10(固定レンズ11→可動レンズ12)を介しミラー14で反射された後、上記ダイクロイックプリズム15の選択反射面で反射されて対物レンズ16に対して入射する。一方、サーボ用レーザ光は、上記ダイクロイックプリズム15の選択反射面を透過して対物レンズ16に入射する。
すなわち、サーボ用レーザ光の反射光に基づく対物レンズ16のフォーカスサーボ制御により、サーボ用レーザ光の合焦位置を基準面Refに追従させるようにすると共に、録再用レーザ光の反射光に基づく録再光用フォーカス機構10(レンズ駆動部13)のフォーカスサーボ制御を行うことで、録再用レーザ光の合焦位置を、記録対象とする記録膜Lrc上に追従させるようにする。
この図1に示される多層光記録媒体1において、入射光を反射する界面Liとしては、図中の括弧内に示すようにL0〜L23の計24個を有しているものとする。
しかしながら実際において、選択反射膜3の波長選択性は100%とすることは困難であり、基準面Refにおける録再用レーザ光の反射をゼロに抑えることは実質的に不可能に近い。この意味で、基準面Refは「入射光を反射する界面」に包含されるものとなる。
但し、本実施の形態においては、カバー層2の表面はAR(Anti Reflection)コーティングなど無反射コーティング処理が施されているものとし、該表面は界面Liからは除外されている。
[2-1.干渉光についての考察]
ここで、以下では先ず、図4を参照して、多重干渉における干渉光について考察する。
なお、以下の説明を行うにあたり、次のような定義を行う。
先ず、入射光を反射する各界面をLi(i=0,1,...,N)とおく。このとき、iの数値が小であるほど下層側に形成される界面であるとする。
また、界面Li-1と界面Liとの間に形成される層の厚さ(スペーサ厚さとする)をSi(i=0,1,...,N)とおく。
先ず図4においては、説明の簡単のため、界面Liの数を基準面Refも含めて9つ(i=0〜8)とした多層光記録媒体を例示している。
この図4において、図4(a)は、多層光記録媒体における界面L6(記録膜Lrc6)と界面L7(記録膜Lrc7)との間のスペーサ厚さS7と界面L7と界面L8(基準面Ref)との間のスペーサ厚さS8との和(S7+S8)が、界面L0(記録膜Lrc0)と界面L1(記録膜Lrc1)との間のスペーサ厚さS1と界面L1と界面L2(記録膜Lrc2)との間のスペーサ厚さS2との和(S1+S2)と等しい場合において、界面L0(記録膜Lrc0)を対象とした再生を行う場合に生じることとなる多重干渉を生じさせる迷光(干渉光)を例示している。
また図4(b)は、界面L2(記録膜Lrc2)と界面L3(記録膜Lrc3)との間のスペーサ厚さS3と、界面L3と界面L4(記録膜Lrc4)との間のスペーサ厚さS4とが等しい場合において、界面L2を対象とした再生時に生じる干渉光を例示している。
確認のため述べておくと、図4においては、太実線による矢印が再生対象とする界面Liに集光し反射される光(再生光:被干渉光とも称する)を表し、細線(図4(a)においては細実線及び細破線)による矢印が多重干渉を発生させる干渉光を表している。
先ず、多重干渉を生じさせる可能性の有る迷光としては、必ず奇数回反射の光となる。このとき、奇数回反射の迷光として、5回以上反射の迷光に関しては、界面Lでの反射ごとにその光強度が減衰するため、再生信号を得るためのディテクタ上において実用上問題となるような光強度変動を生じさせる可能性はないものと見なすことができる。従ってこの点より、多重干渉の抑制にあたっては、3回反射の迷光のみを考慮に入れる。
先ず、図4(a)のケースでは、該当する迷光は、図のように界面L6→界面L8→界面L2を反射する迷光(細実線矢印)と、界面L2→界面L8→界面L6を反射する迷光(細破線矢印)となる。
この図4(a)のケースでは、再生対象の界面Ljが界面L0とされ、スペーサ厚さS1+S2=S7+S8となっているので、上記2つの3回反射の迷光の光路長が、被干渉光の光路長と等しくなり、実用上問題となり得る多重干渉を生じさせることになる。
つまり、実用上問題となり得る多重干渉の発生防止を図る上では、このようなLi→Li+1→Li経由の3回反射の迷光も生じることを考慮に入れて、各スペーサ厚を設定すべきことになる。
この点に基づき、本明細書においては、実用上問題となり得る多重干渉の防止を図る上で考慮に入れるべき迷光としての、図4(a)のような3界面を経由する3回反射の迷光と、図4(b)のような2界面のみを経由する3回反射の迷光との双方を包括する表現として、以下のような表現を用いる。
すなわち、
「k≦l<m」とおいた上で、「Lk(又はLl)→Lm→Ll(又はLk)を経由する3回反射の迷光」とする表現である。
上記のように「k≦l<m」とおくことで、上記「Lk(又はLl)→Lm→Ll(又はLk)を経由する3回反射の迷光」としては、Lk→Lm→Lkを経由する3回反射の迷光も包含するものとなり、従って図4(b)のケースのような2つの界面間で3回反射する迷光も包含することになる。
「j<k≦l<m」
とおくことになる。
ここで、実用上問題となり得る多重干渉の発生防止にあたり考慮に入れるべき3回反射の迷光、すなわち再生対象の界面Ljよりも上層側の界面を経由する3回反射の迷光を、上記のように「j<k≦l<m」とおいた上で「Lk(又はLl)→Lm→Ll(又はLk)を経由する3回反射の迷光」と表現としたときに、界面Ljと界面Lkとの間に形成される各界面の間のスペーサ厚さの総和を「Sj〜k」と表記する。また、界面Llと界面Lmとの間に形成される各界面の間のスペーサ厚さの総和を「Sl〜m」と表記する。
このとき、これらSj〜kとSl〜mとの差Sj〜k−Sl〜m(絶対値とする)がゼロであるとすると(つまり図4(a)や図4(b)に示す状態であるとすると)、上記「Lk(又はLl)→Lm→Ll(又はLk)を経由する3回反射の迷光」の光路長と、界面Ljを経由する被干渉光との光路長差が等しくなり、ディテクタ上でこれらの光が干渉するものとなる。
つまりこのことから、実用上問題となり得る3回反射の迷光の発生を防止するにあたっては、少なくとも、
|Sj〜k−Sl〜m|>1μm
の条件が満たされるようにして、各スペーサの厚さを設定すればよいこととなる。
つまり、上記による「|Sj〜k−Sl〜m|>1μm」の条件を満たすということは、実質的には、各界面Liの間のスペーサのうちから取り出した任意の2つのスペーサの厚さに1μmより大となる差が与えられるようにすることを意味するものとなるが、これによると、多層化を進めるにあたって多層光記録媒体の全体の厚さを抑制することが非常に困難となる。具体的に、上記「|Sj〜k−Sl〜m|>1μm」の条件を満たすとしたとき、全スペーサのトータルの厚さStotは、界面Lの総数をNとし、これらN個の各界面L間に形成される各スペーサの厚さのうち最も小さい値をSminとすると、
Stot>Smin×(N−1)+1μm×(N−2)2/2
となる。これは、N−1個のスペーサのそれぞれを、その厚さを長辺にもち且つその短辺を1とした長方形として捉えて、それらを長辺の値が小さい順に配列させたときに形成される図形の面積に由来するものである。該図形は、面積がSmin×(N−1)による長方形上に、1μm×(N−2)2/2による面積の三角形を配置した形状となり、よって上式が導かれるものである。
なお、「Smin」は、隣接層間のクロストークの防止の観点から設定されるスペーサの最小値であり、例えば10μm程度となる。
厚さStotが大となることは、マークの記録/再生を行う深さ方向の範囲が大となることを意味する。そして、このようにマークの記録/再生を行う深さ方向の範囲が大となることによっては、各記録膜Lrcにて球面収差補正を適正に行うことが困難となるなど、実用化にあたっての重大な問題が生じることになる。特に、図1に示した本例の多層光記録媒体1のように数十もの記録膜Lrcを有する程度に多層化を進めた場合には、トータルの厚さStotは非常に大となり、その実用化が極めて困難となる。
この点に鑑み本実施の形態では、上記により説明したような実用上問題となり得る「Lk(又はLl)→Lm→Ll(又はLk)を経由する3回反射の迷光」の発生を完全に防止するという手法は採らず、可能な限り抑制するという手法を採るものとする。
先ず、多重干渉の抑制にあたって考慮すべきファクタとしては、上記のようなLk(又はLl)→Lm→Ll(又はLk)の3回反射光の発生数はもちろんのこと、ディテクタに到達する干渉光の光強度も重要となる。
ここで、多層光記録媒体においては、各記録膜Lrcの反射率と透過率を調整して、各々の記録膜Lrcを対象とした再生を行ったときの実効的な反射率が同等となるように設計するのが通例である。但し、実際設計で取り扱う実効的反射率は、他の記録膜Lrc(界面L)からの層間迷光をすべて含んだ値であるため、それら迷光を除いた真の実効的反射率は、下層側の記録膜Lrcほど小さく、逆に上層側の記録膜Lrcほど大きくなっていると考えるのが妥当である。
なお、以降の説明では簡単のため、実効的反射率は、このような層間迷光による影響を除いて計算されるものとして話を進める。
このようにして、干渉光の強度を見積もる上では、光の進行方向に応じた反射率差も考慮に入れるべきとなる。
さらに、多層光記録媒体における界面Liの実効的なエネルギー反射率をRiとおく。
すると、
Ri=ri×ti+12×ti+22…×tN-12×tN2
であり、任意の界面Lj、界面Lkでの実効的なエネルギー反射率(迷光成分を含む実際上の実効的反射率)が同じであることから、
Rj≒Rk(j<k<N−1)
が成り立つことになる。光の入射側に近い方の界面Li、すなわちLiのiの値が大きいほど界面エネルギー反射率riが小であり、且つエネルギー透過率tiが大となる設計となる。
先ず、このうような3回反射光R(klm)は、
R(klm)=rk×tk+12×tk+22…×tN-12×tN2×rl×r~m×tl+12×tl+22…×tm-12
=Rk×r~m×rl×tl+12×tl+22…×tm-12≒Rk×r~m×rm-1
=Rj×r~m×(rm/tm2)=Rj×(r~m×rm)/tm2
となる。この3回反射光が、界面Ljにて1回反射した再生光に対して干渉条件を満たす場合(すなわち光路差<2μmとなる場合)、該3回反射光の干渉による光強度変動(Max)は、
これは、上述のように各界面Liにおける実効的なエネルギー反射率を等しくする通常設計を行うことを前提とすると、界面Lmが上層側にあるほど干渉による影響が小になるということを意味するものとなる。
1)最も下層側に連続配置される少なくとも2つのスペーサの厚さは異なるようにする
となる。
ここで、先の図4(a)(b)を参照して理解されるように、3回反射光R(klm)が生じるパターンとしては、3回反射光R(klm)が2つ生じる図4(a)のパターンよりも、1つで済む図4(b)のパターンの方が望ましいと言える。
このことより、2つ目の指針としては、
2)同じスペーサ厚(複数を組み合わせた場合も含む)が連続することは許容するが、同じ厚さとなる部分が離れて存在するパターンは極力回避する
という点を挙げることができる。
続いて、本実施の形態としてのスペーサ厚の具体的な設定手法について説明する。
以下では先ず、上記で掲げた設計指針の正しさを検証する意味で、比較構造その1〜比較構造その4を挙げた上で、本実施の形態としてのスペーサ厚の具体的設定例について説明する。
ここで、以下で説明する各比較構造について、実施の形態の多層光記録媒体1と共通する事項は、界面Lの数N=24としている点と、最も下層側に位置する界面L0の下層側に基板が形成され、また最も上層側に位置する界面L23の上層側にカバー層が形成されている点である。
先ず、この比較構造その1を始めとして、以下で説明する比較構造その2〜その4、及び実施の形態としての構造例においては、N=24と界面Lの数を比較的多くしている関係から、最も下層側において連続配置される3つのスペーサの厚さS1、S2、S3を、それぞれ異なる厚さに設定するものとしている。
これら3つのスペーサの厚さS1、S2、S3に関しては、順にa,b,c(a≠b、a≠c、b≠c)とおく。
すなわち、
基板/a/b/c/d/e/d/e/d/e/d/e/d/e/d/e/d/e/d/e/d/e/d/e/カバー層
である。
ここで「/」は界面Liに相当し、基板に近い方から順にL0, L1, …, L23 とする。
この場合、界面L3〜L23 の再生時に生じる干渉光の数は、以下のようにカウントできる。
<界面L3>
L3-L4間dと同じスペーサ(L5-L6間、L7-L8間など)の存在による干渉光…18
L3-L5間d+eと同じスペーサ(L5-L7間、L6-L8間など)の存在による干渉光…33
L3-L6間2d+eと同じスペーサの存在による干渉光…14
L3-L7間2d+2eと同じスペーサの存在による干渉光…25
L3-L8間3d+2eと同じスペーサの存在による干渉光…10
L3-L9間3d+3eと同じスペーサの存在による干渉光…17
L3-L10間4d+3eと同じスペーサの存在による干渉光…6
L3-L11間4d+4eと同じスペーサの存在による干渉光…9
L3-L12間5d+4eと同じスペーサの存在による干渉光…2
L3-L13間5d+5eと同じスペーサの存在による干渉光…1
…合計135
<界面L4>
L4-L5間eと同じスペーサ(L5-L7間、L6-L8間、、)の存在による干渉光…18
L4-L6間d+eと同じスペーサの存在による干渉光…31
L4-L7間d+2eと同じスペーサの存在による干渉光…14
L4-L8間2d+2eと同じスペーサの存在による干渉光…23
:
L4-L13間4d+5eと同じスペーサの存在による干渉光…2
…合計126
以下同様に、界面L5への干渉光…合計108、、、界面L18への干渉光…合計7、界面L19への干渉光…合計3、界面L20への干渉光…合計2、界面L21〜L23への干渉光…各0
となる。
このため比較構造その1では、干渉光の数を有効に低減することができないものとなっている。
比較構造その2は、厚さd,e(この場合もa〜eは互いに素であるとする)によるそれぞれのスペーサを、連続して5個ずつ交互に積み上げたものである。つまり、
基板/a/b/c/d/d/d/d/d/e/e/e/e/e/d/d/d/d/d/e/e/e/e/e/カバー層
である。
<界面L3>
L3-L4間dと同じスペーサの存在による干渉光…17
L3-L5間2dと同じスペーサの存在による干渉光…11
L3-L6間3dと同じスペーサの存在による干渉光…6
L3-L7間4dと同じスペーサの存在による干渉光…4
L3-L8間5dと同じスペーサの存在による干渉光…2
L3-L9間5d+eと同じスペーサの存在による干渉光…4
L3-L10間5d+2eと同じスペーサの存在による干渉光…6
L3-L11間5d+3eと同じスペーサの存在による干渉光…5
L3-L12間5d+4eと同じスペーサの存在による干渉光…3
L3-L13間5d+5eと同じスペーサの存在による干渉光…1
…合計59
以下同様に、界面L4への干渉光…合計48、界面L5への干渉光…合計41、、界面L18への干渉光…合計10、界面L19への干渉光…合計6、界面L20への干渉光…合計3、界面L21への干渉光…合計1、界面L22,L23への干渉光…各0、となる。
比較構造その3は、厚さd,e,f,g(a〜gは互いに素とする)のスペーサを周期的に繰り返す構造としたものである。具体的には、
基板/a/b/c/d/e/f/g/d/e/f/g/d/e/f/g/d/e/f/g/d/e/f/g/カバー層
である。
他の比較構造の場合と同様に界面L3〜L23の干渉光の数は以下のようにカウントできる。
<界面L3>
L3-L4間dと同じスペーサの存在による干渉光…8
L3-L5間d+eと同じスペーサの存在による干渉光…8
L3-L6間d+e+fと同じスペーサの存在による干渉光…8
L3-L7間d+e+f+gと同じスペーサの存在による干渉光…25
L3-L8間2d+e+f+gと同じスペーサの存在による干渉光…4
L3-L9間2d+2e+f+gと同じスペーサの存在による干渉光…4
L3-L10間2d+2e+2f+gと同じスペーサの存在による干渉光…4
L3-L11間2d+2e+2f+2gと同じスペーサの存在による干渉光…9
…合計70
以下同様に、界面L4への干渉光…合計66、界面L5への干渉光…合計58、、界面L17への干渉光…合計4、界面L18への干渉光…合計2、界面L19〜L23への干渉光…各0、となる。
比較構造その4は、比較構造その3の規則性を崩し、揺らぎを与えたような構造である。具体的には、
基板/a/b/c/d/e/f/g/g/e/f/d/e/d/f/g/f/e/d/g/d/g/f/e/カバー層
である。
<界面L3>
L3-L4間dと同じスペーサの存在による干渉光…8
L3-L5間d+eと同じスペーサの存在による干渉光…4
L3-L6間d+e+fと同じスペーサの存在による干渉光…8
L3-L7間d+e+f+gと同じスペーサの存在による干渉光…9
L3-L8間d+e+f+2gと同じスペーサの存在による干渉光…6
L3-L9間d+2e+f+2gと同じスペーサの存在による干渉光…0
L3-L10間d+2e+2f+2gと同じスペーサの存在による干渉光…0
L3-L11間2d+2e+2f+2gと同じスペーサの存在による干渉光…3
…合計38
以下同様に、界面L4への干渉光…合計19、界面L5への干渉光…合計18、、界面L17への干渉光…合計3、界面L18への干渉光…合計2、界面L19〜L23への干渉光…各0、となる。
本実施の形態としての構造例は、
基板/a/b/c/d/d/d/d/d/e/e/e/e/e/f/f/f/f/f/g/g/g/g/g/カバー層
である。
[1]最も下層側となる部分に配列される3つのスペーサの厚さを全て変える(a≠b,b≠c)。つまり、先の1)の指針に基づくものである。以下、このように最下層においてそれぞれのスペーサ厚を異ならせた部分については、異厚層ユニットと称する。
[2]異厚層ユニットの上層側には、a, b, cとは異なる厚さによるスペーサを複数連続して配列した同厚層ユニットを設ける。
具体的にこの場合、同厚層ユニットとしては厚さdのスペーサによるもの、さらにその上層側に厚さeのスペーサによるもの、さらにその上層側に厚さfのスペーサによるもの、さらにその上層側に厚さgのスペーサによるものを設ける。このとき、厚さa,b,c,d,e,f,gは互いに異なることが前提となる。
[3]各同厚層ユニット内にて連続配列するスペーサの数を制限する。例えばこの場合は5に制限するものとしている。
[4]各同厚層ユニットでは、ユニット内の一つのスペーサの厚さ及びユニット内の任意位置で連続する任意数のスペーサの合計厚さのそれぞれが、そのユニットの外部における任意の一つのスペーサの厚さ及び任意位置で連続する任意数のスペーサの合計厚さの何れとも異なるようにする。
例えば厚さdについて見れば、d,2d、3d、4d、5dが、a,b,c,e,f,g,a+b,a+b+c,b+c,2e,3e,4e,5e,e+f,2e+f,3e+f,4e+f,5e+f,e+2f,e+3f,e+4f,e+5f,e+5f+g,・・・,5e+5f+5g,2f,3f,4f,5f,f+g,2f+g,3f+g,4f+g,5f+g,・・・,5f+5g,2g、3g、4g、5gの何れとも異なるということである。また、例えばeについて見れば、e,2e、3e、4e、5eが、a,b,c,d,f,g,a+b,a+b+c,b+c,a+b+c+d,a+b+c+2d,a+b+c+3d,a+b+c+4d,a+b+c+5d,2d,3d,4d,5d,2f,3f,4f,5f,f+g,f+2g,f+3g,f+4g,f+5g,2f+1g,2f+2g,・・・,5f+5,2g,3g,4g,5gの何れとも異なるということである。
但し、制限数=5はあくまで一例であり、干渉光による影響が非常に小さい場合(例えば反射率が非常に低い場合)にはより多くすることもできる。
図10においても、a〜gは互いに素の関係であるとする。
<界面L3>
L3-L4間dと同じスペーサの存在による干渉光…7
L3-L5間2dと同じスペーサの存在による干渉光…3
L3-L6間3dと同じスペーサの存在による干渉光…0
…合計10
以下同様に、L4への干渉光…合計6、L5への干渉光…合計3、・・・、、L17への干渉光…合計0、L18への干渉光…合計10、L19への干渉光…合計6、L20への干渉光…合計3、L21への干渉光…合計1、L22〜L23への干渉光…各0、となる。
図11では横軸を対象とする界面Li、縦軸を干渉光の数として界面Liごとの干渉光数を示している。◆プロットが比較構造その1、■プロットが比較構造その2、▲プロットが比較構造その3、●プロットが比較構造その4、*プロットが本実施の形態の構造例について、それぞれ界面Liごとの干渉光数を表している。
図12、及び図13(a)は、24個の界面Lそれぞれのエネルギー反射率、エネルギー透過率の設定例を示している。そして、図13(b)は、図12及び図13(a)に示される反射率・透過率の設定を行った場合における各界面Lの実効的反射率(迷光は含まず)を示している。
なお、計算の簡略化のため、光の進行方向の違いによる反射率差はないものとする。また、干渉は被干渉光(主信号光)と干渉光間の干渉のみを考慮する。
これらの条件に基づき、先の図11における縦軸を干渉による光量変動の最大値(pp値)として、干渉光の数が20以下の分を計算して描画したものが図14である。
また、本実施の形態の構造例は、周期的に光強度変動のピークを迎える界面Li以外は光強度変動が非常に小さく抑制されており、下層側ほど光強度変動が逓増していく他の比較構造とは異なっている。
このような特性を改善するとしたときには、図10に示したように各同厚層ユニット内のスペーサの連続配列数を一律に5とする構造に代えて、上層側よりも下層側の同厚層ユニットでスペーサ配列数をより小とする構造を採るものとすればよい。
基板/a/b/c/d/d/d/d/e/e/e/e/e/f/f/f/f/f/g/g/g/g/g/g/カバー層
による構造例(本実施の形態の構造例(改)とする)について、界面Liごとの光強度変動(pp)を示している(●プロット)。なお図15では比較として、図10に示した本実施の形態の構造例についての界面Liごとの光強度変動も併せて示している(*プロット)。
一方でこの場合は、最下層の同厚層ユニットのスペーサ配列数を1つ減らしたことで、最上層の同厚層ユニットのスペーサ配列数を6に増やしているが、図14と図15とを比較して分かるように、このことによる光強度変動は微少なもので済む。これは、3回反射に寄与する界面Lmが上層側であるほど干渉光の光強度が小である、ひいては光強度変動が小であることによる。
以上、製造効率の低下の抑制を図りつつ多重干渉を効果的に抑制するスペーサ設計の具体的な手法について説明してきたが、具体的なスペーサ厚の数値を決めるには、反射率・透過率といった各界面Lの光学設計条件やスペーサ作製上のプロセスマージンなども考慮して「スペーサの種類が最少で且つ全スペーサの合計厚さが最少」となるように設計していけばよい。
ここで前提として、BD光学系に従いディスク構造を設計すると、最小スペーサ厚は10μm程度となり、全スペーサの厚さはそれよりも大となる値に設定すべきとなる。
Nが大きい場合は、下層側の異厚層ユニット内のスペーサとして比較的厚いスペーサを用いるものとし、各同厚層ユニットに薄いスペーサを用いた方が全スペーサの厚さ抑制には効果的である。
<16層の設定例>
基板/19/29/25/17/17/13/13/13/13/11/11/11/11/11/11/カバー層
つまり、異厚層ユニット内のスペーサの厚さa,b,cをa=19,b=29,c=25とし、3種の同厚層ユニットのそれぞれのスペーサの厚さd,e,fをd=17,e=13,f=11とすると共に、下層側の同厚層ユニットほどスペーサの配列数を小としたものである。具体的にこの場合、スペーサの配列数は、下層側の同厚層ユニットから順に2→4→6としている。
この場合、スペーサ全厚=225μm、カバー層+スペーサ全厚=256μmとなる。
ちなみに、先の図12で示したような反射率・透過率の設定によると、各界面Lの実効的反射率は1〜1.2%(実際には層間迷光があるのでシステムで検出できる反射率はそれ以上)となる。
<20層の設定例>
基板/21/29/25/19/19/17/17/17/17/13/13/13/13/11/11/11/11/11/11/カバー層
この場合も異厚層ユニット内のスペーサの厚さa,b,cはa=19,b=29,c=25である。この場合、異厚層ユニットの上層側ではそれぞれ厚さd,e,f,gによる4種の同厚層ユニットを設け、d=19,e=17,f=13,g=11とする。さらにこの場合としても、下層側の同厚層ユニットほどスペーサの配列数を小とし、具体的には下層側の同厚層ユニットから順に2→4→4→6としている。
この例の場合、スペーサ全厚=299μm、カバー層+スペーサ全厚=331μmとなる。
各界面Liにおける反射率・透過率の設計を図12に示したものとすると、この場合における各界面Liでの実効的反射率は0.7〜0.9%となる。
<24層の設定例>
基板/21/29/25/19/19/19/19/17/17/17/17/17/13/13/13/13/13/11/11/11/11/11/11/カバー層
つまり、先に説明した本実施の形態の構造例(改)において、a=21,b=29,c=25,d=19,e=17,f=13,g=11としたものである。これは、先の20層の場合との比較では、同厚層ユニットとして用いるスペーサの種類は同数とした上で、最上層の同厚層ユニットを除く同厚層ユニットでのスペーサ配列数を増やしたことに相当する。
この場合、スペーサ全厚=367μm、カバー層+スペーサ全厚=399μmである。
この場合、各界面Liにおける反射率・透過率の設計を図12に示したものとすると、各界面Liでの実効的反射率は0.5〜0.7%となる。
また、Nの数を増やすことによっては、記録膜Lrcの設計として、エネルギー反射率を低下させ且つエネルギー透過率を上昇させる必要性がある。例えば透過率95%の記録膜Lrcを15層重ねた場合、最も下層側の記録膜Lrcでは記録パワーが46%まで減衰し、また20層重ねた場合は36%、25層では28%まで減衰する。このことからも理解されるように、実効的な記録パワーを各記録膜Lrcで揃える設計は多層化が進むに連れて非常に困難となる。また、Nの数が過大であると、下層側において必要な記録パワーを確保することも非常に困難となる。
これらの点を加味すると、多層光記録媒体としては、N=30を超えると現時点では非常に大きな技術的な課題を抱えることとなり、その実現が非常に困難になるとの予想が立つ。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明としてはこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、多層光記録媒体の表面が無反射コーティングされ、該表面を界面Liに包含せずに各スペーサ厚の設定を行うものとしたが、例えば上記表面が無反射コーティングされず、上記表面を界面Liとして包含すべき場合は、カバー層2としてのスペーサの厚さについても考慮に入れるべきものとなる。
このとき、カバー層2の厚さは、他の全てのスペーサ厚(重ねた場合も含む)と異なる値とする。例えば先に示した16層の設定例の場合、当該条件を満たすカバー層2の厚さとしては例えば31μmを挙げることができる。このように表面も界面Liに含む場合は、カバー層2としてのスペーサの厚さも含めて、各種スペーサの厚さを互いに素の関係となるように選定することで、カバー層2の厚さが他の全てのスペーサ厚(重ねた場合も含む)と異なるようにすることができる。
先の説明からも理解されるように、最下層部分に異厚層ユニットを設ける主旨は、光強度が最も大となる最下層部分での干渉光の発生を防止することにある。例えば多層光記録媒体の層数が少ない場合には、界面L2における干渉光の光強度としても小となり、その発生を許容できることが考えられ、その場合の異厚層ユニットとしては厚さa,bによる2種のスペーサのみを配列したものとすることもできる。このように異厚層ユニットにおけるスペーサ配列数を幾つにするかは、多層光記録媒体の層数(界面Liの数)を幾つに設定するかに応じて定めればよい。
図16(a)は、各界面Liにおけるエネルギー反射率を示し、図16(b)は、先の24層ディスクについて例示した反射率・透過率(図12)の設定の下で、任意の対象とする界面Li(Lj)より上にn個(n=2〜6)のスペーサを配列したときの界面Liにおける多重干渉による光強度変動(最大値pp)を見積もった結果を示している。
この図16(a)(b)によると、多重干渉による光強度変動を最大値ppで50%(±25%)許容するとした場合においては、反射率1.2%となる界面L15より上層の領域ではスペーサの配列数は6個まで許容されることが分かる。また、反射率1.2%となる界面L10より上層の領域でみるとスペーサの配列数は5個まで許容でき、さらに反射率2.5%以下(界面L5より上層)では4個、反射率4%以下では3個まで許容される。
また、一方で、同厚層ユニットに関して、そのスペーサ配列数をnとおくと、該同厚層ユニット内で最も多くの干渉光が発生することとなる最も下層側の界面Liにおける干渉光の発生数は、「n(n−1)/2」となる。
具体的に、同厚層ユニットにおけるスペーサの配列数を定めるための1つの指針としては、例えば以下のものを挙げることができる。
ri×n(n−1)/2<20
例えば、各記録膜Lrcにグルーブ等の位置案内子を形成する構造とすることもできる。その場合、基準面Ref(選択反射膜3)は省略することができる。
本発明の多層光記録媒体としては、少なくとも、入射光を反射する界面を複数有するように構成されたものであればよい。
Claims (11)
- 入射光を反射する界面を複数有し、それぞれの上記界面間にスペーサが形成されていると共に、
光入射面を上面側としたとき、最も下面側にそれぞれ厚さが異なるスペーサが連続して配列された異厚層ユニットが形成され、且つ、上記異厚層ユニットの上方において、該異厚層ユニット内に配列される何れのスペーサとも異なる厚さによるスペーサが連続して配列されている
多層光記録媒体。 - 上記異厚層ユニットは、それぞれ異なる厚さによる3種のスペーサが配列されて成る
請求項1に記載の多層光記録媒体。 - 上記異厚層ユニットの上方においては、同厚によるスペーサが連続して配列された同厚層ユニットが複数形成されていると共に、それら同厚層ユニット間では、配列されるスペーサの厚さがそれぞれ異なる
請求項2に記載の多層光記録媒体。 - 複数の上記同厚層ユニットのうちの個々の同厚層ユニットに関して、ユニット内の一のスペーサの厚さ及びユニット内の任意位置で連続する任意数のスペーサの合計厚さのそれぞれが、そのユニット外における任意の一のスペーサの厚さ及び任意位置で連続する任意数のスペーサの合計厚さの何れとも異なる
請求項3に記載の多層光記録媒体。 - 上記異厚層ユニットの各スペーサの厚さとそれぞれの上記同厚層ユニットのスペーサの厚さとが互いに素の関係にある請求項3に記載の多層光記録媒体。
- 最上面としての表面に無反射コーティングが施されている請求項5に記載の多層光記録媒体。
- 最上面としての表面が、上記入射光を反射し得る界面の1つとして含まれ、上記表面と、上記表面と隣り合う界面との間に形成されるカバー層としてのスペーサの厚さが、他の何れのスペーサの厚さとも異なる
請求項5に記載の多層光記録媒体。 - 上記カバー層としてのスペーサの厚さと他のスペーサの厚さとが互いに素の関係にある請求項7に記載の多層光記録媒体。
- それぞれの上記同厚層ユニット内に配列されるスペーサの数が同じである請求項5に記載の多層光記録媒体。
- 下方側に形成される上記同厚層ユニットほどスペーサの数が少ない傾向にある請求項5に記載の多層光記録媒体。
- 最も下方側と最も上方側の同厚層ユニットを除く同厚層ユニットにおけるスペーサの数が5とされている
請求項5に記載の多層光記録媒体。
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