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JP5343755B2 - インクジェット記録装置のメンテナンス方法 - Google Patents

インクジェット記録装置のメンテナンス方法 Download PDF

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JP5343755B2
JP5343755B2 JP2009185600A JP2009185600A JP5343755B2 JP 5343755 B2 JP5343755 B2 JP 5343755B2 JP 2009185600 A JP2009185600 A JP 2009185600A JP 2009185600 A JP2009185600 A JP 2009185600A JP 5343755 B2 JP5343755 B2 JP 5343755B2
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Description

本発明は、インクジェット記録装置のメンテナンス方法に関する。
従来、用紙やプラスチック薄板等の記録媒体にインクを吐出して所定の画像を記録するインクジェット記録装置が提案され、実用化されている。インクジェット記録装置は、ノズルを有するインクジェットヘッド(以下、ヘッドと記す場合がある。)を備えており、かかるインクジェットヘッドを所定の方向に移動させながらノズルから記録媒体に向けてインクを吐出することにより、記録媒体に所定の画像を記録している。
このようなインクジェット記録装置においては、ヘッドが搭載されたキャリッジを走査するため、加減速や振動によりヘッドに供給されるインク圧力が変動する。その場合、ヘッドのノズルのインクメニスカス位置がずれることにより濃度むらを起こしたり、最悪の場合、メニスカスが破れて吐出不能になってしまうという問題がある。
また、従来の、このような現象の解決策として提案されているものに、特許文献1に示されるようなヘッドの上流にダンパーを配置する構成として、インク供給時の圧力変動を吸収するものがある。
特許文献1には、ヘッドへのインク流入管路及びインク流出管路経路内に空気室を設けてダンパー機能を持たせたインクジェット記録装置が開示されている。
また、ヘッド内部に空気室を配置してダンパー機能を持たせたものがある(例えば、特許文献2〜4参照)。
特許文献2には、ヘッドの共通インク室に隣接し気体を内部に保持する複数の空気室を設けてダンパー機能を持たせたインクジェットヘッドが開示されている。また、特許文献3には、ヘッドの共通インク室に隣接し共通インク室内のインクを伝わる圧力変動を吸収する気体を保持した空気室を有するインクジェットヘッドが開示されている。特許文献4には、ヘッドの共通インク室に隣接し空気口を介して連通する空気室と空気口を開閉する開閉弁を有するインクジェットヘッドが開示されている。
特開平11−10911号公報 特開平9−136415号公報 特開平6−344558号公報 特開2006−315360号公報
しかしながら、特許文献1〜3に開示されているような空気とインクを接触させて気液界面を形成させる構造では、このような場所に空気を安定して留めておくことは簡単ではなく、流出して圧力変動の吸収効果を失うことにより安定吐出に支障をきたすという問題がある。
また、空気とインクが接触する気液界面において、空気がインクに溶解してしまうため、一定の時間が経過すると空気が消失し、圧力変動の吸収効果を失うという問題がある。
いずれの特許文献にも、空気がインクに溶解することに関する記載はなく、このことが圧力変動の吸収効果に与える影響についても何ら開示がない。
このように、空気室に対して安定的に所定量の空気を保持することを困難にするという課題を抱えており、空気室の空気が減少あるいはなくなってしまうことで、吐出安定性を低下させ得るという技術的な課題も抱えている。
特許文献4に開示されているように空気とインクとの界面に開閉弁等の部材を介在させることにより空気室からの空気の流出や溶解を確実に防止することができる。しかしながら、このような構成とするには、新たな部品や製造プロセスが必要となり、また構造が複雑になるため特別な設計が必要となり、コストアップや信頼性低下を招く恐れがある。
本発明の目的は、以上の問題点の解決を図り、空気室からの空気の流出や溶解が生じた場合でも、簡便な方法で空気室内へ空気を補充することができ、空気室内に保持された空気によりインクの供給圧力の変動を緩和し、安定したインク吐出を可能とするためのインクジェット記録装置のメンテナンス方法を提供することにある。
本発明の課題は、以下のような構成により解決される。
1.圧力室内のインクを吐出するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドの圧力室にインク供給源からのインクを供給するインク供給路と、
前記インク供給路に連通する連通口を有し該連通口から流入するインクと空気の気液界面が形成されるとともに、外壁の少なくとも一部が可撓性部材で構成される空気室と、
を有するインクジェット記録装置のメンテナンス方法であって、
前記連通口近傍のインク供給路に空気を充填した後、前記可撓性部材を変形させることにより前記空気室の体積を縮小させて前記空気室のインクを前記インク供給路に排出し、前記可撓性部材の変形を元に戻すことにより前記充填されている空気を前記空気室に送り込むことを特徴とするインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
2.前記インク供給源と前記連通口との間のインク供給路を大気に連通させた状態で前記インクジェットヘッドのノズルからインクを吸引することにより、前記連通口近傍のインク供給路に空気を充填することを特徴とする1に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
3.前記インク供給源と前記連通口との間のインク供給路に空気を圧送することにより、前記連通口近傍のインク供給路に空気を充填することを特徴とする1に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
4.前記インク供給源を移動させて該インク供給源内のインク液面を前記インクジェットヘッドのノズル面よりも相対的に低い位置に移動させることによって、前記インクジェットヘッドに対して水頭による負圧を与え前記インクジェットヘッドのノズルから空気を導入することにより前記連通口近傍のインク供給路に空気を充填することを特徴とする1に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
5.前記連通口近傍のインク供給路は、前記空気室よりも下方に位置することを特徴とする1〜4の何れか1項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
6.前記可撓性部材は可撓性のインク供給チューブであり、
前記インク供給路の少なくとも一部が前記インク供給チューブにより構成され、
前記空気室は、前記インク供給チューブの内部にインクが連通可能な状態で挿入された空気保持部材と前記インク供給チューブの内面との間に形成されることを特徴とする1〜5の何れか1項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
7.前記空気保持部材は、前記インク供給チューブの内面に当接する当接部を有することを特徴とする6に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
8.前記空気室のインク供給源側の面は閉鎖され、圧力室側の面に前記連通口が形成されていることを特徴とする6または7に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
9.前記インク供給源側の面は前記圧力室側の面よりも上方に位置することを特徴とする8に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
10.前記空気室は、第1の領域と、前記第1の領域よりも前記圧力室側に位置し流路断面積が小さい第2の領域を有することを特徴とする6〜9の何れか1項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
11.前記空気保持部材は、前記インク供給チューブの軸方向に沿って延び、且つ、インクが連通可能な貫通穴を有することを特徴とする6〜10の何れか1項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
本発明によれば、空気室からの空気の流出や溶解が生じた場合でも、簡便な方法で空気室内へ空気を補充することができ、空気室内に保持された空気によりインクの供給圧力の変動を緩和し、安定したインク吐出を可能とするためのインクジェット記録装置のメンテナンス方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の概略を示す正面図である。 本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの分解斜視図である。 本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドの斜視図である。 本発明の実施形態に係る空気保持部材の一例の模式図で、(a)は拡大斜視図、(b)は空気保持部材が挿入された可撓性のインク供給チューブがインクジェットヘッドに取り付けられた状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る空気保持部材の他の例の模式図で、(a)は拡大斜視図、(b)は空気保持部材が挿入された可撓性のインク供給チューブがインクジェットヘッドに取り付けられた状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る空気保持部材の他の例の模式図で、(a)は拡大斜視図、(b)は空気保持部材が挿入された可撓性のインク供給チューブがインクジェットヘッドに取り付けられた状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る空気保持部材の他の例の模式図で、(a)は拡大斜視図、(b)は空気保持部材が挿入された可撓性のインク供給チューブがインクジェットヘッドに取り付けられた状態を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る空気室に空気を補充する動作を示す空気保持部材周辺の模式図である。 本発明の実施形態に係る空気室の連通口近傍のインク供給路に空気を充填する様子を示すインクジェット記録装置の要部の模式図である。 本発明の他の実施形態に係る空気室の連通口近傍のインク供給路に空気を充填する様子を示すインクジェット記録装置の要部の模式図である。 本発明の他の実施形態に係る空気室の連通口近傍のインク供給路に空気を充填する様子を示すインクジェット記録装置の要部の模式図である。
以下に本発明の実施形態につき図面を参照して説明する。ただし、以下は本発明の実施形態であって本発明を限定するものではない。
まず図1を参照して、本発明に係るインクジェット記録装置のメンテナンス方法が適用されるインクジェット記録装置の全体構成について説明する。図1は本発明の実施形態のインクジェット記録装置の全体構成図である。
インクジェット記録装置1は、記録媒体Pに対してインクを吐出し、記録媒体P上に画像を記録するものである。インクジェット記録装置1には、図示しない搬送手段が備わっており、この搬送手段が記録媒体Pを、図1における記録領域Cを通過させながら主走査方向Aと直交した副走査方向に搬送するようになっている。
記録領域Cの上方には、主走査方向A(水平方向)に沿って延在するキャリッジレール2が配置されていて、このキャリッジレール2には、キャリッジレール2によって案内されるキャリッジ3が移動自在に設けられている。
キャリッジ3は、記録媒体Pに対してインクを吐出するインクジェットヘッド4を搭載し、キャリッジレール2に沿ってホームポジション領域Bからメンテナンス領域Dにかけて矢印A方向に移動するようになっている。
この主走査中にインクジェットヘッド4が、記録媒体Pに向けてインクdを吐出することで記録媒体Pに画像を形成する。本実施形態では、水平方向に主走査を行い、ノズルからのインク吐出方向が鉛直方向下向きとなるようにインクジェットヘッド4が設置される。
本実施形態に係るインクジェット記録装置1では、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色のインクを吐出できるよう、合計で4個のインクジェットヘッド4がキャリッジ3に設置されている。図1においては、3個のインクジェットヘッド4、4、4が矢印A方向に1列に配置されていて、この矢印A方向に並んだインクジェットヘッド4、4、4の中央のインクジェットヘッド4の奥側(紙面垂直方向の奥側)にその他の1個のインクジェットヘッド4(不図示)が配置されている。
これら各インクジェットヘッド4には、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクを貯蔵するインクタンク5が、それぞれ可撓性のインク供給チューブ6を介して連結されている。つまり、インクタンク5内のインクは、内部にインク供給路が形成される可撓性のインク供給チューブ6によって各インクジェットヘッド4に供給されるようになっている。すなわち本実施形態においてインクタンク5は、インク供給源に相当する。
インクタンク5内に貯蔵されるインクは、特に限定されないが、脱気処理されたインクが好ましい。インクタンク内のインクの溶存気体量を規定内に保つことができ、インク吐出時のキャビテーションによる吐出不良を防止して、より安定してインクをヘッドから吐出させることができる。
脱気処理されたインクを用いると、空気室内の空気が気液界面を介してインク中に溶解し易くなり、そのために、空気室内の空気量が減少しやすくなる傾向にあるが、本発明では、後述するように簡便に空気を補充することができるためこのような問題を解決できる。
なお、図1では図示しないが、これら各インクジェットヘッド4と各インクタンク5の間には、切替弁100、切替弁100から大気に連通する大気連通路101(図9参照)が介在している。切替弁100をインクタンク5側に切り替えるとインクジェットヘッド4にはインクタンク5からインク供給管6の内部のインク供給路を通じてインクが供給されるようになっており、切替弁100を大気連通路101側に切り替えるとインク供給管6の内部のインク供給路を大気連通させることができるようになっている。
本実施形態における可撓性のインク供給チューブ6は、インクタンク5に接続され主走査方向A(水平方向)とは異なる鉛直方向に延びる第1の直線部分と、主走査方向Aに延びる第2の直線部分と、インクジェットヘッド4に接続され主走査方向Aとは異なる鉛直方向に延びる第3の直線部分(図4参照)とを有し、図示していないが、第1の直線部分と第2の直線部分の接続部は、キャリッジ3の移動に追従できるように円弧状に形成されている。
メンテナンス領域Dには、インクジェットヘッド4に対してメンテナンスを行うメンテナンスユニット7が設けられている。このメンテナンスユニット7には、インクジェットヘッド4の吐出面41Sを覆って、ノズル内のインクを吸引するための複数の吸引キャップ8と、吐出面41Sに付着したインクを拭き取る清掃ブレード9と、インクジェットヘッド4から空吐出されたインクを受けるインク受器10と、吸引ポンプ11と、廃インクタンク12とが設けられている。
吸引キャップ8は吸引ポンプ11を介して廃インクタンク12と連通しており、メンテナンス動作時には上昇してインクジェットヘッド4の吐出面41Sを覆うようになっている。吸引キャップ8,8,…は、上述のように上昇した時に全てのインクジェットヘッド4の吐出面41Sを覆うことができるよう、各インクジェットヘッド4に対応するように4個配列されている。
吸引ポンプ11はシリンダーポンプやチューブポンプを有して構成されていて、吸引キャップ8が吐出面41Sを覆った状態で作動することにより、ノズルからインクジェットヘッド4内部のインクや異物を吸引するための吸引力を発生するようになっている。
切替弁100をインクタンク5側に切り替えた状態で、吸引ポンプ11を所定時間作動させることでノズルからインクジェットヘッド4内部のインクや異物を吸引する。この吸引動作は、通常のヘッド回復動作であり、その後の画像形成動作開始時に目詰まり等による吐出不良が生じる虞をなくすことができる点で好ましい。
なお、詳細は後述するが、空気室に空気を補充するメンテナンスを行う際には、切替弁100を大気連通路101側に切り替えた状態で吸引ポンプ11を所定時間作動させることで、空気が、切替弁100を経由して大気連通路101から流れ込み、インク供給路へ送り込むことができる。
ホームポジション領域Bには、インクジェットヘッド4を保湿する保湿ユニット13が設けられている。保湿ユニット13には、インクジェットヘッド4が待機状態にあるとき、吐出面41Sを覆うことでインクジェットヘッド4のインクを保湿する4個の保湿キャップ14が設けられている。これら4個の保湿キャップ14,14,…は、4個のインクジェットヘッド4の吐出面41Sを同時に覆うことができるよう、インクジェットヘッド4の配列に対応して配列される。
制御部は、CPU(中央演算装置)と、メモリとを有して構成され、インクジェット記録装置1の各構成要素を制御するようになっている。メモリには、記録媒体Pに形成する画像のデータや、インクジェット記録装置1の各構成要素を制御するためのプログラムが記憶されており、このメモリ内の画像データやプログラムに基づいて各構成要素に制御信号を送信するようになっている。
次に、図2、図3を参照して本発明に係るインクジェットヘッド4について説明する。
図2は本実施形態のブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色のインクジェットヘッド4のうち、ブラック(K)のインクジェットヘッド4の分解斜視図であり、図3は組み立てた状態の斜視図である。なお、他の色のインクジェットヘッド4についてもそれぞれ同じ構成となっているので、これらの説明については省略する。
本実施形態のインクジェットヘッド4には、インクを吐出する2枚のインクジェットヘッドチップ(以下「ヘッドチップ」と称す。)41が重ねて設けられている。ヘッドチップ41は長尺な外形をしていて、その吐出面41Sには多数のノズル(図示せず)が配列されている。(以下ノズルの配列を「ノズル列」と称す。)
本実施の形態のインクジェットヘッド4は、ノズル列が2列設けられている。インクジェットヘッド4は矢印X方向(ノズル列方向)と図1に図示された主走査方向Aとが直交するようにキャリッジ3に搭載される。
このように、ヘッドチップ41には、複数のノズルと、複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力室が矢印X方向に配列されて設けられている。ヘッドチップ41において、この圧力室の配列方向に沿って延びる面を側面と称する。
また、重ねられた2枚のヘッドチップ41のそれぞれの外側面には略方形状のインク供給口43が設けられていて、インク供給口43とノズルとがヘッドチップ41の内部に形成されたインク吐出流路(図示せず)を介して連通するようになっている。インク吐出流路の一部は圧力室を形成しており、図示しない圧電素子の作用により圧力を変動させて、インク滴をノズルから吐出させる構造になっている。そして、ヘッドチップ41には、各圧電素子に対して制御部からの制御信号を送信する2組のヘッド駆動基板46、コネクタ57のそれぞれが、フレキシブル配線板47を介して各圧電素子に接続されている。
2枚のヘッドチップ41の両側部には、外部からのインクをヘッドチップ41に供給する2組のマニホールド48a、マニホールド48bが取り付けられている。マニホールド48a、マニホールド48bは、耐インク性に優れた材料からなり、共通インク室50a、50bを形成するための凹みが形成されている。マニホールド48a、マニホールド48bの一端部には、共通インク室50a、50bにインクを流入させる注入口481a、481bが設けられている。
60は筐体フレーム54の側部に装着されて可撓性のインク供給チューブ6に接続されるインク導入口である円筒形状のインク供給用接続部であり、注入口481a、481bに連通している連結部56に接続される。
連結部56は、コの字形状の板状部材で側部にはインク供給用接続部60に接続される円筒形状の接続部が設けられていて、筐体フレーム54の側部に係合し、内部にインク供給路が形成されるようになっている。
図2に示すように、ヘッドチップ41の下部には、ノズル面が露出するようにマニホールド48a、マニホールド48b及びヘッドチップ41を保持する保持板53が取り付けられている。
また、インクジェットヘッド4には、上記したヘッドチップ41、マニホールド48a、マニホールド48b、ヘッド駆動基板46、保持板53などのインクジェットヘッド4の構成要素が取り付けられ固定される筐体フレーム54が設けられており、この筐体フレーム54はカバー52によって覆われている。筐体フレーム54の上部にはコネクタ支持部55が取り付けられる。
次に、インク注入時のインクの流路について説明する。
インクタンク5から可撓性のインク供給チューブ6を経由してインクが供給されると、インクジェットヘッド4内では先ずインクは、インク供給用接続部60のインク供給路59を通過して、連結部56に流入し、各マニホールド48a、マニホールド48bの注入口481a、481bに分岐し、共通インク室50a、50bに進入する。共通インク室50a、50bに至ったインクは、インク供給口43からヘッドチップ41内に進入する。
このようなインクジェットヘッド4にかかるインク圧を安定させるために、インク供給路に連通する連通口を有し該連通口から流入するインクと空気の気液界面が形成されるとともに、外壁の少なくとも一部が可撓性部材で構成される空気室が設けられるが、本実施形態では、インクタンク5とインクジェットヘッド4を接続する可撓性のインク供給チューブ6の内部に、空気保持部材が挿入され、可撓性のインク供給チューブ6の内面と空気保持部材との間に空気室が形成される。図4を参照して空気保持部材について説明する。
図4(a)は実施形態の空気保持部材20Aの拡大斜視図であり、図4(b)は、空気保持部材20Aが挿入された可撓性のインク供給チューブ6をインクジェットヘッド4のインク供給用接続部60に取り付けた後、インク26を供給したところを模式的に示した斜視図である。
図4(b)に示すように、可撓性のインク供給チューブ6の内部には、空気保持部材20Aが挿入され、可撓性のインク供給チューブ6の内面と空気保持部材20Aとの間には内部空間の少なくとも一部に空気22を保持することができる空気室21が形成されている。
これにより、空気室に保持される空気により、モータやポンプ等の外部振動やキャリッジ走査等によるインクの供給圧力の変動を緩和し、吐出安定性を向上することができる。
また、可撓性のインク供給チューブに空気保持部材を挿入するだけで空気室が形成でき、インク供給チューブやインクジェットヘッドをそのまま利用できるのでインクジェット記録装置に大きな構成変更を加えることなく空気室を簡便に且つ低コストで設けることができる。
空気保持部材20Aは、インクの非浸透性、可撓性のインク供給チューブ6の内部への挿入のしやすさ及びインクに対する耐腐食性に優れるステンレススチール等の金属で構成されており、インクに直接接触しても変形、変質等を生じないようになっている。なお、空気保持部材を構成する材料はステンレススチール等の金属に限定されず、インクに直接接触しても変形等を生じないものであればセラミック、樹脂等の他の材料で形成しても構わない。
空気保持部材は、図4(b)に示すように、一端がインクジェットヘッドに接続された可撓性のインク供給チューブ6におけるインクジェットヘッド4の近傍に挿入されることが好ましい。挿入された位置から上流側の可撓性のインク供給チューブ6において生じる圧力変動をより効果的に緩和できる。
具体的には、インクジェットヘッドは所定方向に往復移動可能であり、空気保持部材は、一端がインクジェットヘッドに接続された可撓性のインク供給チューブにおける一端から前記所定方向とは異なる方向に延びる部分に挿入されることが好ましい。
本実施形態においては、インクジェットヘッドは主走査方向A(水平方向)に往復移動可能であるので、一端がインクジェットヘッド4に接続された可撓性のインク供給チューブ6における主走査方向A(水平方向)とは異なる鉛直方向に延びる第3の直線部分に空気保持部材20Aが挿入されている。
本実施形態のインク供給系において、キャリッジ3の主走査方向Aの往復運動(往復走査)及びこれに伴う可撓性のインク供給チューブ6の運動によりこの供給チューブ内のインクに圧力変動が生じるわけだが、この圧力変動は、主として主走査方向Aに延びる第2の直線部分で生じるため、キャリッジ3と共に移動し主走査方向Aとは異なる鉛直方向に延びる第3の直線部分に空気保持部材を挿入することにより、その圧力変動がインクジェットヘッド4の内部に伝達されることによりインクの安定した吐出を妨げる現象の発生をより効果的に緩和できる。
また、一端がインクジェットヘッドに接続された可撓性のインク供給チューブをインクジェットヘッドあるいはインクジェットヘッドが搭載される搭載部に固定する固定部を有し、空気保持部材が、可撓性のインク供給チューブにおける一端から固定部により固定される部分までの間に挿入されることが好ましい。インクジェットヘッドに接続された一端と固定部との間の可撓性のインク供給チューブは、キャリッジ3の移動に伴う動きが規制され、振動等が抑えられるため、より効果的に圧力変動を緩和できる。
本実施形態においては、図4(b)における27が、一端がインクジェットヘッド4のインク供給用接続部60に接続された可撓性のインク供給チューブ6をインクジェットヘッド4に取り外し可能な状態で固定する固定部であり、固定部27とインク供給用接続部60の間の可撓性のインク供給チューブ6は、キャリッジ3の移動に伴う動きが規制される。尚、可撓性のインク供給チューブ6をインクジェットヘッド4が搭載される搭載部であるキャリッジ3に固定する様にしてもよい。
キャリッジ3と共に移動し走査方向Aとは異なる鉛直方向に延びる第3の直線部分が固定部27により固定されており、この固定部27と一端との間に空気保持部材20Aが挿入されている。
また、空気保持部材は、可撓性のインク供給チューブの内面に当接する当接部を有することが好ましく、チューブの弾性変形を利用して容易にチューブの内部に空気保持部材を挿入して保持できる。
本実施形態においては、可撓性のインク供給チューブの内面に当接する当接部としての大径部23を有し、空気保持部材20Aは、ステンレススチール等の金属で構成され、可撓性のインク供給チューブ6は樹脂あるいはゴム等の伸縮可能な弾性体で構成されている。空気保持部材20Aは、大径部23側から可撓性のインク供給チューブ6におけるインク供給用接続部60に接続される側の開口に挿入されることによって可撓性のインク供給チューブ6の内部に保持される。可撓性のインク供給チューブ6は弾性を有しているため、大径部23を可撓性のインク供給チューブ6の開口に挿入するとき、開口がスムーズに膨張して弾性変形するので容易に挿入することができる。そして、可撓性のインク供給チューブ6が弾性復元して大径部23の外周面に密着し可撓性のインク供給チューブ6の弾性により空気保持部材20Aのチューブ軸方向に沿った変位を規制することができるため、可撓性のインク供給チューブ6に固定用の溝等を設けなくても空気保持部材20Aを可撓性のインク供給チューブの内部に簡便且つ確実に保持することができる。
このように、両端部が開口され内部にインク供給路が形成された可撓性のインク供給チューブ6の一方の開口、好ましくは、インク供給用接続部60に接続される側の開口に大径部23の先端を押圧し、その押圧力により、可撓性のインク供給チューブ6の内部に空気保持部材20Aを挿入する。次いで、可撓性のインク供給チューブ6をインクタンク5とインク供給用接続部60に接続する。
また、空気保持部材は、可撓性のインク供給チューブの内面に当接する大径部と、大径部よりも径の小さい小径部とを有し、可撓性のインク供給チューブの内面と小径部との間に空気室が形成されることが好ましい。大径部により空気保持部材を保持することができるとともに、より簡単に空気室を形成することができる。
また、空気室が環状に形成されている部分を有することが好ましい、環状の空気室により可撓性のインク供給チューブの内部のスペースを有効に活用できる。
本実施形態においては、空気保持部材20Aは、外周面が可撓性のインク供給チューブ6の内周面に当接する大径部23と、大径部23と一体かつ略同軸に形成され可撓性のインク供給チューブ6の内周面との間に形成される環状の空気室21の少なくとも一部に空気22を保持することができる小径部24を有し、可撓性のインク供給チューブ6の軸方向の回りに形成された環状の空気室21の少なくとも一部に空気22が保持される。
ここで、内径、外径とは、その形状が円の場合は、その直径を意味し、形状が円でない場合は、面積を円に換算したときの直径に相当するものであり、可撓性のインク供給チューブあるいは小径部、大径部の形状は円形に限定されない。
また、空気保持部材は、可撓性のインク供給チューブの軸方向に沿って延び、且つ、インクが連通可能な貫通穴を有することが好ましい。貫通穴により、インクジェットヘッドへの十分なインク供給が可能となる。
本実施形態においては、空気保持部材20Aは、大径部23の端面と小径部24の端面とを貫通して可撓性のインク供給チューブ6の軸方向に沿って延び、且つインクが連通可能な貫通穴25が形成されている断面形状が略円形の中空筒状体を用いている。
なお、貫通穴25の径d3は、大径部23と小径部24とで異ならせてもよいし、同じにしても良い、大径部23の貫通穴25の径を小径部24の貫通穴25の径よりも大きくするとインクジェットヘッド4へのより一層十分なインク供給を達成でき、好ましい形態である。
また、空気室のインク供給源側の面は閉鎖され、圧力室側の面は開口していることが好ましい。空気室の圧力室側の開口している面がインク供給路との連通口となり、ここからインクが進入するが、空気室のインク供給源側の面は閉鎖されて袋小路になっているため空気室のインク供給源側に空気が封じ込められて保持される。空気室への上流からの直接的なインクの進入は遮蔽されるので、空気が保持される部分はインクの流れの少ない部分であり、インクの流れによる空気の流出を抑制することができる。
本実施形態においては、大径部23は、小径部24よりもインクタンク5側に位置し、空気室のインクタンク5側の面を閉鎖しているので、より簡単に空気室のインク供給源側の面は閉鎖することができる。また、空気室21の圧力室側の面には、小径部24の端部124とインク供給チューブ6の内面との間に、インク供給路に連通する連通口125が環状に形成されている。
さらに、インクジェット記録装置の使用時の姿勢においてインク供給源側の面は圧力室側の面よりも上方に位置することが好ましい。空気室の上部に保持された空気を移動しにくくすることができ、空気室からの空気の流出を、簡便な構造で抑制することができる。
本実施形態のインクジェット記録装置1では、略水平状態に設置されて使用される。空気保持部材20Aにより形成される空気室21のインク供給源側の面は閉鎖され、圧力室側の面はインク供給路に連通する連通口125により開口しているとともに、空気保持部材20Aが挿入されている部分の可撓性のインク供給チューブ6をその軸方向がインクジェットヘッド4のインク供給用接続部60から上方に向かって略鉛直方向になるように設けている。このようにインクジェット記録装置の使用時の姿勢において空気室21の閉鎖されている側の面が開口している側の面よりも上方に位置するようにするようにしている。
具体的には、実使用状態において、インクタンク5からインクが供給されると、可撓性のインク供給チューブ6の上流からのインクは貫通穴25を通過し、インク供給用接続部60のインク供給路59に進入する。また、空気室21の下側の連通口125からインクが進入するが大径部23により袋小路になっているため空気室21の上部に空気22が封じ込められ、保持される。
また、可撓性のインク供給チューブ6の内周面に当接する大径部23により、小径部24の外周面とこの外周面に対向する可撓性のインク供給チューブ6の内周面との空気室21への上流からの直接的なインクの進入は遮蔽され、インク供給時におけるインクの流れは、貫通穴25を通過し、上から下へ向く方向である。そのため、空気室21の空気22が保持される部分はインクの流れの少ない部分であり、インクの流れによる空気の流出を抑制することができる。
このように初期のインク導入時の動作により、空気室21の少なくとも一部(上部)に空気22が封じ込められた状態で、インクタンク5からインクジェットヘッド4の圧力室までのインク供給路にインクが満たされることになる。
実使用状態においては、図4(b)に示すように、ノズルを下側とした場合、空気室21の所定高さまでインク26が充填され、その上部には空気22が閉じ込められている。
空気室21の流路断面積(可撓性のインク供給チューブの軸方向に直交する断面の断面積)を大きくすることによって、空気室21の体積を大きくし、内部に保持される空気22の量を多くすることができる。そのため、圧力変動を緩和する機能を増大させることができる。また、小径部24の長さL2を長くして空気の量を多くすることもできる。空気室21の体積は、圧力変動を緩和してノズル内のインクメニスカスの位置ずれ(体積変化)を抑えられるように、圧力変動の大きさ等に応じて適宜変更すればよい。
ここで空気保持部材の大きさは、用途や可撓性のインク供給チューブの内径等により適宜に決めれば良い。本実施の形態の一例である空気保持部材20Aでは、可撓性のインク供給チューブの内径をDmmとしたとき、例えば、大径部23は外径d1がD+0.1mm〜D+0.5mm程度、長さL1が1mm〜3mm程度、貫通穴25の径d3がd1−1.0mm〜d1−0.5mm程度、小径部24は外径d2がd1−2.0mm〜d1−0.8mm程度、長さL2が2mm〜20mm程度、貫通穴25の径d3がd2−1.0mm〜d2−0.5mm程度である。
また、空気保持部材は、大径部からインク供給源側に向けて徐々に縮径するテーパ部を有することが好ましい。空気保持部材を可撓性のインク供給チューブに挿入する際、大径部が可撓性のインク供給チューブの内面に接触して引っ掛かることがなく、円滑に挿入することができる。
本実施形態では、空気保持部材20Aは、大径部23から小径部24とは反対方向に向けて徐々に縮径するテーパ部28を有している。
また、可撓性のインク供給チューブは、少なくとも保持された空気に接する部分が空気透過性を有していることが好ましい。空気透過性を有する可撓性のインク供給チューブを透過して空気室に供給される空気により空気が補充されるので、インク26と空気22とが接触する気液界面Mにおいて、空気22がインク26に溶けてしまうことによる空気の減少を抑制できる。
本実施形態では、可撓性のインク供給チューブ6の全体が空気透過性を有している材料で構成され、可撓性のインク供給チューブ6の外側が大気に接している。また、可撓性のインク供給チューブの空気透過性は、100(ml/m・24h・atm)以上1000(ml/m・24h・atm)以下が好ましく、この空気透過性は40℃の恒温槽内に置かれた可撓性のインク供給チューブにHeを流し、He中に透過してくる空気をガスクロマトグラフィーにて酸素と窒素に分離して定量することにより測定する。
可撓性のインク供給チューブ6は、空気透過性や耐インク性、弾性などを考慮して、本実施形態例ではポリエチレン、フッ素樹脂やナイロン等の高分子樹脂材料による単層または多層構造チューブを採用しているが、ゴム材料を用いても良い。
可撓性のインク供給チューブ6の厚さは、空気透過性と弾性、強度を考慮して、概ね0.5mm〜2mmが好ましい。
可撓性のインク供給チューブ6の好ましい内径は、使用するインクの粘度やインクジェットヘッドの吐出能力等によって多少異なってくるが、可撓性のインク供給チューブ6の内径(直径)としては1〜6mmが好ましい。
また、可撓性のインク供給チューブは、少なくとも保持された空気に接する部分が透明であることが好ましい。空気室に空気が残存しているか否かを検知することができるため、所定量以下である場合は、後述するように空気を補充することでメンテナンスを行うことで確実に空気が残存している状態を維持できる。空気が残存しているか否かを検知するのは、目視による方法でも良いが、たとえば空間の光透過率を測定することで空気が残存しているか否かを検知する空気量検知手段を設けることにより、自動的に検知する構成にしてもよい。もし、所定量以下になっている場合は、空気の補充を行えばよい。あるいは、その旨を作業者に報知するようにしてもよい。
空気量検知手段は、空気室内の空気量が所定量以下になると出力を行うセンサで、例えば、空気の増減によりインク供給チューブの軸方向に移動するインク液面を検知するための光学式のセンサであり、インクによってセンサのセンサ領域の遮光又は非遮光が切り換えられることで、センサの受光量が変化して、これによりセンサ信号の出力状態を切り換える。すなわち、空気量検知手段は、そのセンサ領域にインクが存在する場合に空気量が所定量以下であることを検知して制御部に対してセンサ信号を出力し、センサ領域にインクが存在しない場合に空気量が所定量以下であることを検知せずに制御部に対してセンサ信号を出力しない。
本実施形態では、可撓性のインク供給チューブ6の全体が透明性を有している材料で構成されている。なお、透明とは空気とインクが判別できる程度でよく、前述の高分子樹脂材料による単層または多層構造チューブを採用することで達成できる。
空気保持部材の具体的な構造は上記に限られることはなく、種々に設計することができる。以下、他の各実施形態につき具体的に説明する。
図5に示す実施形態の空気保持部材20Bでは、空気室21は、第1の領域と、第1の領域よりもインクジェットヘッド側(圧力室側)に位置し流路断面積が第1の領域よりも小さい第2の領域を有する。
本実施形態の空気保持部材20Bは、図5に示すように、小径部24よりも圧力室側に位置し可撓性のインク供給チューブ6の内面に当接する第2の大径部29を有し、第2の大径部29は、可撓性のインク供給チューブ6の内面に当接する外周面の一部に可撓性のインク供給チューブ6の軸方向に沿って延びる溝部30を有し、可撓性のインク供給チューブ6の内面と小径部24の間に第1の領域が形成され、溝部30との間に第2の領域が形成されている。流路断面積(可撓性のインク供給チューブの軸方向に直交する断面の断面積)は、第1の領域の方が第2の領域よりも大きい。
第2の大径部29の外径d4は、大径部23の外径d1と略同一に形成されている。
上記構成より成る空気保持部材20Bを適用したインクジェット記録装置は、この溝部30の流路抵抗により、可撓性のインク供給チューブの上流から移動してきた溶存ガス濃度の低い新たなインク26と空気室21の空気22との接触が妨げられる。即ち、溝部30の一端に形成される連通口125から空気室21に進入したインク26は、入れ替わることなく溶存ガス濃度が飽和した状態で滞留し、このインク26と空気22とが接触する気液界面Mにおいて、空気22がインク26に溶けてしまうことによる空気の減少を抑制できる。
また、前述のように、可撓性のインク供給チューブ6が膨張した状態で空気保持部材が挿入されるので、大径部23と当接している近傍の可撓性のインク供給チューブ6が小径部24に向けて若干傾斜して対向する。このため、大径部23の外径d1と小径部の外径d2の差が小さすぎる場合や小径部の長さが長い場合、可撓性のインク供給チューブの内周面が小径部d2の外周面に接触してインク26と空気22の気液界面Mの形成が妨げられることが懸念されるが、本実施形態では、大径部23に加えて第2の大径部29により、可撓性のインク供給チューブが支持されるので、より簡単な構成で、このような接触が生じないようにすることができる。
ここで空気保持部材の大きさは、用途や可撓性のインク供給チューブの内径等により適宜に決めれば良い。空気保持部材20Bでは、可撓性のインク供給チューブの内径をDmmとしたとき、例えば、大径部23は外径d1がD+0.1mm〜D+0.5mm程度、長さL1が1mm〜3mm程度、貫通穴25の径d3がd1−1.0mm〜d1−0.5mm程度、小径部24は外径d2がd1−2.0mm〜d1−0.8mm程度、長さL2が2mm〜20mm程度、貫通穴25の径d3がd2−1.0mm〜d2−0.5mm程度、第2の大径部29は外径d4がD+0.1mm〜D+0.5mm、長さL3が1mm〜3mm程度、貫通穴25の径d3がd1−1.0mm〜d1−0.5mm程度、溝部30は幅が0.2mm〜0.5mm程度、深さが0.2mm〜0.5mm程度である。
また、図6に示す実施形態の空気保持部材20Cでは、空気室21は、第1の領域と、第1の領域よりもインクジェットヘッド側(圧力室側)に位置し流路断面積が第1の領域よりも小さい第2の領域を有し、第2の領域が可撓性のインク供給チューブの軸方向の回りに螺旋状に形成されている。
本実施形態の空気保持部材20Cは、図6に示すように、小径部24よりも圧力室側に位置し可撓性のインク供給チューブ6の内面に当接する第2の大径部29を有し、第2の大径部29には、可撓性のインク供給チューブの軸方向に沿って延びる螺旋状の溝31が形成されている。
可撓性のインク供給チューブ6の内面と小径部24の間に第1の領域が形成され、溝部31との間に第2の領域が形成されている。流路断面積(可撓性のインク供給チューブの軸方向に直交する断面の断面積)は、第1の領域の方が第2の領域よりも大きい。
上記構成より成る空気保持部材20Cを適用したインクジェット記録装置は、この螺旋状の溝31の流路抵抗により、可撓性のインク供給チューブの上流から移動してきた溶存ガス濃度の低い新たなインク26と空気室21の空気22との接触が妨げられる。即ち、螺旋状の溝31の一端に形成される連通口125から空気室21に進入したインク26は、入れ替わることなく溶存ガス濃度が飽和した状態で滞留し、このインク26と空気22とが接触する気液界面Mにおいて、空気22がインク26に溶けてしまうことによる空気の減少を抑制できる。
また、流路を細長くするのと相俟って、簡便な構造で、空気室21内の空気22の自由な移動を規制し、空気22の流出を抑制することができる。流路を細長くすることにより、流路の断面積を小さくできるため空気室21内に所定の空気体積を保持した上で、空気22とインク26が接触する気液界面Mにおける接触面積を小さくすることができ、空気22がインク26に溶けてしまうことによる空気の減少の速度が遅くなることにより、空気の溶解を簡便な構造で抑制することができる。
ここで、気液界面Mのメニスカス保持力は、インクの表面張力に比例し、その気液界面の径(接触面積に相当)に反比例する。本実施形態では接触面積を小さくすることでメニスカス保持力を高めることができるので、振動や傾斜に対して気液界面が動きにくく、強い構造とすることができる。
また、本実施形態では、大径部23に加えて螺旋状の溝31を区画する隔壁により、可撓性のインク供給チューブが支持されるので、より簡単な構成で、前述した可撓性のインク供給チューブと小径部の接触が生じないようにすることができる。
ここで空気保持部材の大きさは、用途や可撓性のインク供給チューブの内径等により適宜に決めれば良い。空気保持部材20Cでは、可撓性のインク供給チューブの内径をDmmとしたとき、例えば、大径部23は外径d1がD+0.1mm〜D+0.5mm程度、長さL1が1mm〜3mm程度、貫通穴25の径d3がd1−1.0mm〜d1−0.5mm程度、小径部24は外径d2がd1−2.0mm〜d1−0.8mm程度、貫通穴25の径d3がd2−1.0mm〜d2−0.5mm程度、螺旋状の溝31は幅L4が0.3mm〜1.0mm程度、ピッチPが0.5mm〜2.0mm程度である。
また、図7に示す実施形態の空気保持部材20Dでは、空気室21が、第1の領域と、前記第1の領域よりもインクジェットヘッド側(圧力室側)に位置し流路断面積が小さい第2の領域を有する。
本実施形態の空気保持部材20Dは、図7に示すように、可撓性のインク供給チューブの内面に当接する大径部23と小径部24を有し、小径部24は可撓性のインク供給チューブの内面に対向する壁面から突出した突出部33を有し、可撓性のインク供給チューブの内面と前記壁面の間に第1の領域が形成され、突出部33との間に第2の領域が形成される。流路断面積(可撓性のインク供給チューブの軸方向に直交する断面の断面積)は、第1の領域の方が第2の領域よりも大きい。
なお、図7の例では、可撓性のインク供給チューブの軸方向に所定間隔離れた2つの突出部33が設けられ、第1の領域と第2の領域が交互に2組形成されているが、第1の領域と第2の領域は少なくとも1組形成されていればよい。
上記構成より成る本実施形態のインクジェット記録装置は、この突出部33による流路抵抗により、可撓性のインク供給チューブの上流から移動してきた溶存ガス濃度の低い新たなインク26と空気室21の空気22との接触が妨げられる。即ち、空気保持部材の一端124と可撓性のインク供給チューブの内面により形成される連通口125から空気室21に進入したインク26は、入れ替わることなく溶存ガス濃度が飽和した状態で滞留し、このインク26と空気22とが接触する気液界面Mにおいて、空気22がインク26に溶けてしまうことによる空気の減少を抑制できる。
ここで空気保持部材の大きさは、用途や可撓性のインク供給チューブの内径等により適宜に決めれば良い。空気保持部材20Dでは、可撓性のインク供給チューブの内径をDmmとしたとき、例えば、大径部23は外径d1がD+0.1mm〜D+0.5mm程度、長さL1が1mm〜3mm程度、貫通穴25の径d3がd1−1.0mm〜d1−0.5mm程度、小径部24は外径d2がd1−2.0mm〜d1−0.8mm程度、長さL2が2mm〜20mm程度、貫通穴25の径d3がd2−1.0mm〜d2−0.5mm程度、突出部33は外径d5がd1−1.0mm〜d1−0.4mm程度である。
次に、インクジェット記録装置1による画像形成時における動作について説明する。
インクジェット記録装置1の電源がONとなると、インクジェット記録装置1の各部に対して給電が行われる。
その後、画像記録の開始指示が入力されると、キャリッジ3の往復走査が開始されると共に、制御部は、画像データを基とした制御信号をヘッド駆動基板46及びその他の駆動部に送信し、画像記録を開始する。搬送手段に搬送される記録媒体P上には、インクジェットヘッド4からインクが吐出されて画像が形成される。
そして、インクジェットヘッド4の吐出状態を回復または維持するためのメンテナンスタイミングになると、制御部は、各部を制御してインクジェットヘッド4のメンテナンスを行わせる。詳細に説明すると、制御部は、メンテナンスタイミングに伴って走査用モータを制御し、インクジェットヘッド4と吸引キャップ8とが対峙する位置までキャリッジ3を移動させる。インクジェットヘッド4と吸引キャップ8とが対峙すると、制御部は、昇降用モータを制御して、インクジェットヘッド4の吐出面41Sと吸引キャップ8とが密着するまでメンテナンスユニット7を上昇させる。
メンテナンスユニット7の上昇完了後、制御部は、所定時間だけ吸引キャップ8内部が吸引されるように吸引ポンプ11を制御する。
吸引ポンプ11の作動により、インクジェットヘッド4内部が負圧になる。インクジェットヘッド4の上流側の可撓性のインク供給チューブ6も負圧になり、可撓性のインク供給チューブ6内のインクは、インクジェットヘッド4に流入し、ノズルから排出されるようになっている。
次に、空気を補充するためのメンテナンス動作について、空気保持部材20Bを適用したインクジェット記録装置を例に挙げて具体的に説明する。
図8は本発明の実施形態に係る空気保持部材20Bを適用したインクジェット記録装置の空気室周辺の模式図(断面図)である。
空気室21からの空気の流出やインク中への溶解により図8(a)に示すように空気室21に空気がなくなり、インク26に置換されてしまう。この状態では圧力変動の吸収効果が得られないため、対応するインクジェットヘッド4のノズルの吐出不良が発生してしまう。
このような状況において、まず、図8(b)に示すように空気室21の連通口125近傍のインク供給路Rに空気を充填した状態にする。この動作について図9を用いて説明する。
図9に示すように、インクタンク5から空気室21の連通口125までのインク供給チューブ6の途中には切替弁100があり、切替弁100から大気に連通する大気連通路101が設けられている。選択的に切替弁100を切り換えることにより、インクタンク5からインク供給チューブ6を通りインクジェットヘッド4に至るインクの流れを切替弁100で遮断し、切替弁100からインクジェットヘッド4に至るインク供給チューブ6内のインク供給路を大気連通させることが出来る。
即ち、図1において、インクジェットヘッド4と吸引キャップ8とが対峙する位置までキャリッジを移動させ、吸引キャップ8をインクジェットヘッド4のノズル面41Sに密着させる。切替弁100を大気連通路101側に切り換え、吸引ポンプ11を所定時間動作させる。
この時、図9に示すように、大気連通路101から導入された空気はインク供給チューブ6内のインク供給路を通り、空気室21の連通口125近傍のインク供給路Rに送り込まれ、充填される。大気連通口101からインク供給路Rまでのインク供給路に空気が充填される空気量を最小として、これ以上の空気量となるようなインクの吸引量で吸引すればよく、例えば、大気連通口101からインクジェットヘッド4までのインク供給路に空気が充填されるように吸引しても良い。
その後、インク供給チューブ6を図8(b)に示す初期位置から押すことにより、図8(c)に示すように内方に変形させ、空気室の体積を縮小させる。これにより、空気室21内のインク26が加圧されて、連通口125を通じて空気室21内からインク供給路へ排出される。その後、図8(d)に示すようにインク供給チューブ6の押圧を開放すると、インク供給チューブ6はその復元力により図8(d)の実線で示す初期位置にもどろうとして負圧が発生する。この負圧により連通口125近傍のインク供給路Rに充填された空気が気泡として空気室に吸い込まれ、空気室21の少なくとも一部は図5(b)に示すように空気22で満たされる。
これにより、空気室21へ空気が補充される。1回の操作で補充量が十分でない場合には、再びインクチューブ6を押圧、押圧解除して、空気を複数回補充させる。この補充操作は、空気室21内の空気量が十分になるまで何度でも可能である。
ここで、連通口125近傍のインク供給路Rは、空気室21よりも下方に位置している。こうすると、インク供給チューブ6がその復元力によりもとの形状にもどろうとして負圧が発生したときにインク供給路R内の空気が上方の空気室に向けて流れやすくなるという効果が得られ、好ましい形態である。
また、連通口近傍のインク供給路とは、インク供給路に充填された空気を空気補充動作により空気室に送り込める範囲のインク供給路の領域を指し、好ましくは、連通口に隣接したインク供給路の領域である。
なお、本例の可能性のインク供給チューブ6は、自身の弾性により、変形後に形状が復元する復元力を生じる可撓性部材であるが、例えば、バネを用いて、このインク供給チューブ6を図8(b)や(d)に示す初期位置に向けて付勢して、手動による押圧操作が終了した後、インク供給チューブ6がバネの付勢により初期位置に復帰するようにしてもよい。この構成によれば、自身の弾性により、変形後に形状が復元する復元力を生じない可撓性部材を用いることも可能である。
空気室への空気補充動作を完了後は、切替弁100をインクタンク5側に切り換えた後、吸引ポンプ11を所定時間動作させることにより、インクタンク5からインクジェットヘッド4のノズルまでのインク供給路へインクを充填をして終了する。
また、前述のようにノズルからインクや異物を吸引するだけの通常のヘッド回復動作によるメンテナンスを行う場合は、切替弁100をインクタンク5側に切り換えた後、吸引ポンプ11を所定時間動作させればよい。
本実施形態では、連通口近傍のインク供給路に空気を充填する動作を、通常のヘッド回復動作用の吸引ポンプ8を利用して行えるので、別途に空気導入用の吸引ポンプ等を設けなくて済むので、インクジェット記録装置の低コスト化に寄与する。また、切替弁100と大気連通路101の代わりに、上流と下流の各インク供給管6を接続するジョイントを設けても良い。各インク供給管6をジョイントにより接続した状態でインクタンク5からのインクが流通可能になり、分離した状態で各インク供給管6からインクが漏れないような構成とし、ヘッド側のインク供給管6を分離させた状態で、インク供給管6の開口部を大気連通させるようにしても良い。
連通口近傍のインク供給路Rに空気を充填する具体的な方法は上記に限られることはなく、種々に設計することができる。以下、他の各実施形態につき具体的に説明する。
図10に示す実施形態では、インクタンク5と連通口125との間のインク供給路から空気を圧送することにより連通口125近傍のインク供給路Rに空気を充填する。なお、図10の符号について、上記実施形態と同一部材については、同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
図10に示すように、切替弁100から空気室21の連通口125までのインク供給チューブ6の途中には、インクあるいは空気をインクジェットヘッド4側に圧送する機能する加圧ポンプ102が設けられている。
なお、通常の、画像形成動作時には、加圧ポンプ102を停止させており、加圧ポンプ102は、ポンプを停止した状態で、インク供給路を連通状態可能なポンプを用いている。
図10に示すように、選択的に切替弁100を切り換えることにより、インクタンク5からインク供給チューブ6を通りインクジェットヘッド4に至るインクの流れを切替弁100で遮断し、切替弁100からインクジェットヘッド4に至るインク供給チューブ6内のインク供給路を大気連通させることが出来る。
即ち、図1において、インクジェットヘッド4と吸引キャップ8とが対峙する位置までキャリッジを移動させ、吸引キャップ8をインクジェットヘッド4のノズル面41Sに密着させる。切替弁100を大気連通路101側に切り換え、加圧ポンプ102を所定時間動作させる。この時、図10に示すように、大気連通路101から圧送された空気はインク供給チューブ6内のインク供給路を通り、空気室21の連通口近傍のインク供給路Rに送り込まれ、充填される。
なお、本実施形態では、インクを吸引する必要がないことから、吸引キャップ8の代わりにインク受器10をインクジェットヘッド4のノズル面41Sに対向させるようにしても良い。
空気室への空気補充動作を完了後は、切替弁100をインクタンク5側に切り換えた後、加圧ポンプ102を所定時間動作させることにより、インクタンク5からインクジェットヘッド4のノズルまでのインク供給路へインクを充填をして終了する。
また、ノズルからインクや異物を排出するだけの通常のヘッド回復動作によるメンテナンスを行う場合は、切替弁100をインクタンク5側に切り換えた後、加圧ポンプ102を所定時間動作させればよい。
以上のように、本実施形態に示すインクジェット記録装置のメンテナンス方法によれば、連通口近傍のインク供給路に空気を充填する動作を、通常のヘッド回復動作用の加圧ポンプ102を利用して行えるので、別途に空気導入用の加圧ポンプ等を設けなくて済むので、インクジェット記録装置の低コスト化に寄与する。また、加圧ポンプ102の代わりにシリンジを大気連通路101に接続して空気を圧送するようにしてもよい。
以上の実施の形態は、インクタンク5内のインクを中間タンクを介さずにインクジェットヘッド4に供給するタイプのインクジェット記録装置についての説明であるが、インクタンク5内のインクを中間タンクを介してインクジェットヘッド4に供給するタイプのインクジェット記録装置にも適用可能である。この場合、中間タンクがインク供給源として機能する。
さらに、図11に示すように、中間タンク104を移動させて該中間タンク104内のインク液面をインクジェットヘッド4のノズル面41Sよりも相対的に低い位置に移動させることによって、インクジェットヘッド4に対して水頭による負圧を与えインクジェットヘッド4のノズルから空気を導入することにより連通口125近傍のインク供給路Rに空気を充填するようにしてもよい。なお、図11の符号について、上記実施形態と同一部材については、同一の符号を付し詳細な説明は省略する。また、図11では図示していないが中間タンク104とインクタンク5がインク供給チューブ6で接続されていて、インクタンク5から中間タンク104にインクが供給される様になっている。
空気補充動作を行うとき以外は、中間タンク104は定常位置にあり、中間タンク104内のインク液面がノズル面41Sよりも若干低くなっているため、インク背圧が適度な負圧となっている。これにより、ノズルからインクが滲み出ることを防止できる。
空気補充動作を行うときは、図11に示すように、図示しない中間タンクモータを駆動して、中間タンク104を定常位置から下方向Sに移動させることで、中間タンク104内に貯留されているインクの液面の高さを下動させる。このとき、中間タンク104内のインク液面の高さをノズル面41Sよりさらに低くすることでインク背圧をノズルから空気が吸い込まれる程度の大きな負圧とする。これにより、インクジェットヘッド4のノズルから空気が導入され、空気室21の連通口125近傍のインク供給路Rへと送り込まれ充填される。
空気室への空気補充動作を完了後は、中間タンクモータを駆動して、中間タンク104を上方向に移動させることで、定常位置あるいはそれよりも高い位置に移動させ、中間タンク104からインクジェットヘッド4のノズルまでのインク供給路へインクを充填し、後者の場合は中間タンク104を下方向に移動させることで、定常位置に戻してから終了する。
以上のように、本実施形態に示すインクジェット記録装置のメンテナンス方法によれば、連通口125近傍のインク供給路に空気を充填する動作を、インクジェットヘッド4のノズル面41Sに対する中間タンク104の高さを変更するだけで、中間タンク104内のインクとインクジェットヘッド4のノズル面41Sとの水頭差を利用して行うことができ、構造を簡略化できコストを低減できる。また、インクタンク5の配置自由度も向上するようになる。
また、中間タンクを介さずにインクタンク5内のインクをインクジェットヘッド4に供給し、連通口125近傍のインク供給路に空気を充填する動作を、インクジェットヘッド4のノズル面41Sに対するインクタンク5の高さを変更することによって行うようにしてもよい。
以上の各実施形態に示すインクジェット記録装置のメンテナンス方法によれば、空気室からの空気の流出や溶解が生じることにより空気室の空気量が所定量以下になった場合において、空気室の連通口近傍のインク供給路に空気を充填した後、可撓性インク供給チューブを変形させることにより空気室の体積を縮小させて空気室のインクをインク供給路に排出し、変形を元に戻すことにより充填されている空気を空気室に送り込む一連のメンテナンス動作を手動又は自動により行うことにより、簡便な方法で空気室内へ空気を補充することができ、空気室内に保持された空気によりインクの供給圧力の変動を緩和し、安定したインク吐出が可能となる。また、インク供給チューブの可撓性を利用して簡単に空気の補充を達成することができる。
自動の場合は、空気の残存量を検知する手段と、可撓性のインク供給チューブ6を押圧して変形させる押圧機構、例えば、可撓性のインク供給チューブ6を押圧する押圧部材とその駆動機構を設け、切替弁として電磁弁のように電気的に開閉可能に構成された弁を用い、前述の制御部の制御下で、その検知動作に連動して空気補充動作を行うようにすればよい。
以上の実施形態では、インクジェットヘッドに接続される可撓性のインク供給チューブに空気保持部材を挿入して空気室を設置した例を示したが、本発明においては、インクジェットヘッドの圧力室にインク供給源からのインクを供給するインク供給路に連通する連通口を有し、外壁の少なくとも一部が可撓性部材で構成される空気室を設置すればよく、例えば、インクジェットヘッドへのインク供給路を構成する部材に接続させた空気室を別途設けたり、該部材から分岐させた空気室を設けるようにしてもよい。
可撓性部材の材料には、インクと接触する内面がインクに対する不溶性を備えていること、さらに、インクと外気とが接触しないように気密性が確保されるものが好ましい。具体的には、Al膜の両面をポリエチレンフィルムで挟んだ多層フィルム、ポリエチレンフィルムにナイロンを被着したフィルム、塩化ビニルと塩化ビニリデンとの共重合体のような高分子フィルムなどが用いられる。
また、実施形態では1つの可撓性のインク供給チューブ6に1つの空気保持部材が設けられているが、その数は特に問わない。
また、実施形態ではシリアル方式のインクジェット記録装置に適用したが、ライン方式のインクジェット記録装置にも適用可能である。インクジェットヘッドを静止させた状態で記録するライン方式の場合においても、ポンプやモータ等の外部振動の影響によりインク供給圧力が変動することがあり、本発明のインクジェット記録装置のメンテナンス方法によれば、インクの供給圧力の変動を緩和し、吐出安定性を向上させることができる。
また、実施形態ではインクジェットヘッドは、ヘッドチップに圧電素子を備える構成とは限らず、例えばヒータを備える構成としてもよい。
また、空気保持部材の形状や位置関係等も適宜変更して実施可能である。例えば、各実施形態において形成される空気室の環状部分、溝部分、螺旋状部分の各種組み合わせが可能であり、一例として、溝部分と螺旋状部分を併用して第2の領域を設ける構成なども可能である。また、溝部分を複数設けることも好ましい。これにより、空気室の連通口近傍のインク供給路に充填されている空気を効率的に空気室に送り込むことができる。
1 インクジェット記録装置
4 インクジェットヘッド
6 可撓性のインク供給チューブ
21 空気室
41 ヘッドチップ(インクジェットヘッドチップ)
41S 吐出面
48a、48b マニホールド
125 連通口
P 記録媒体
X ノズル列方向

Claims (11)

  1. 圧力室内のインクを吐出するインクジェットヘッドと、
    前記インクジェットヘッドの圧力室にインク供給源からのインクを供給するインク供給路と、
    前記インク供給路に連通する連通口を有し該連通口から流入するインクと空気の気液界面が形成されるとともに、外壁の少なくとも一部が可撓性部材で構成される空気室と、
    を有するインクジェット記録装置のメンテナンス方法であって、
    前記連通口近傍のインク供給路に空気を充填した後、前記可撓性部材を変形させることにより前記空気室の体積を縮小させて前記空気室のインクを前記インク供給路に排出し、前記可撓性部材の変形を元に戻すことにより前記充填されている空気を前記空気室に送り込むことを特徴とするインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  2. 前記インク供給源と前記連通口との間のインク供給路を大気に連通させた状態で前記インクジェットヘッドのノズルからインクを吸引することにより、前記連通口近傍のインク供給路に空気を充填することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  3. 前記インク供給源と前記連通口との間のインク供給路に空気を圧送することにより、前記連通口近傍のインク供給路に空気を充填することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  4. 前記インク供給源を移動させて該インク供給源内のインク液面を前記インクジェットヘッドのノズル面よりも相対的に低い位置に移動させることによって、前記インクジェットヘッドに対して水頭による負圧を与え前記インクジェットヘッドのノズルから空気を導入することにより前記連通口近傍のインク供給路に空気を充填することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  5. 前記連通口近傍のインク供給路は、前記空気室よりも下方に位置することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  6. 前記可撓性部材は可撓性のインク供給チューブであり、
    前記インク供給路の少なくとも一部が前記インク供給チューブにより構成され、
    前記空気室は、前記インク供給チューブの内部にインクが連通可能な状態で挿入された空気保持部材と前記インク供給チューブの内面との間に形成されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  7. 前記空気保持部材は、前記インク供給チューブの内面に当接する当接部を有することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  8. 前記空気室のインク供給源側の面は閉鎖され、圧力室側の面に前記連通口が形成されていることを特徴とする請求項6または7に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  9. 前記インク供給源側の面は前記圧力室側の面よりも上方に位置することを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  10. 前記空気室は、第1の領域と、前記第1の領域よりも前記圧力室側に位置し流路断面積が小さい第2の領域を有することを特徴とする請求項6〜9の何れか1項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
  11. 前記空気保持部材は、前記インク供給チューブの軸方向に沿って延び、且つ、インクが連通可能な貫通穴を有することを特徴とする請求項6〜10の何れか1項に記載のインクジェット記録装置のメンテナンス方法。
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