以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態(参考形態))
以下に、本発明の第1の実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備及び乾燥方法について説明する。本実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備及び乾燥方法は、焼結原料ペレット製造工程で造粒された焼結原料ペレットを乾燥する際に、流動層乾燥機による恒率乾燥と、充填層乾燥機による減率乾燥とを適切に組み合わせて、減率乾燥領域にある目標水分まで焼結原料ペレットを乾燥することで、乾燥工程に要するエネルギー量を低減できるとともに、乾燥機の設備容量を低減できるものである。
まず、図1を参照して、本実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備が適用された焼結設備の全体構成について説明する。図1は、本実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備が適用された焼結設備の全体構成を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態にかかる焼結設備は、擬似造粒ライン1と、ペレット造粒ライン2と、焼結機3と、焼結クーラ4とを主に備える。擬似造粒ライン1は、比較的大粒径の鉄鉱石(鉄鉱石の粗粒)を含む焼結原料を造粒した造粒物(以下「擬似造粒物」という。)を製造するための製造ラインである。一方、ペレット造粒ライン2は、鉄鉱石の微粉を主体として含む焼結原料を造粒した造粒物(以下「焼結原料ペレット」という。)を製造するための製造ラインである。
ここでまず、上記焼結原料ペレット及び擬似造粒物を製造するための焼結原料について説明する。焼結原料は、焼結機3で焼結鉱を製造するための原料であり、鉄鉱石を主体とする。この焼結原料は、例えば、主原料である鉄鉱石に、副原料として、製鉄ダスト(高炉集塵ダスト、転炉ダストなど)、ペレットフィード、石灰石、ドロマイト、珪石、カンラン石、コークス粉、無煙炭等の1種又は2種以上を加えた混合原料を使用できる。
鉄鉱石としては、通常の焼結原料として使用するものであれば種類は問わず、例えば、赤鉄鉱、磁鉄鉱の他、結晶水を多く含む鉄鉱石(例えば、針鉄鉱、褐鉄鉱(ピソライト鉱石等)など)でもよく、更には、多孔質のもの(例えば、マラマンバ鉱石、高燐ブロックマン鉱石等)であってもよい。
これらの微粉を多く含む焼結原料は、造粒性が悪く造粒物の強度が低いため、焼結機3までの搬送工程や焼結機3内での焼結工程において造粒物が崩壊する現象が生じる。このため、かかる微粉を多く含む焼結原料をそのまま焼結機3に導入した場合には、大幅な通気性の悪化を招き、焼結鉱の生産性を阻害する。従って、かかる焼結原料に対して、後述する造粒処理及び乾燥処理を施して、造粒物の強度を高める必要がある。
また、鉄鉱石を含む焼結原料に添加するバインダーとしては、造粒性を高めるという点で、例えば、生石灰、分散剤(固体架橋を促進するためのもので、分散剤を添加した水溶液やコロイドを含む。)、リグニンのうち少なくとも1種類以上を用いることができる。
以上のような焼結原料は、その鉱種や粒度に応じて分類され、擬似造粒ライン1及びペレット造粒ライン2という2系統の造粒ラインでそれぞれ造粒され、擬似造粒物と焼結原料ペレットが製造される。以下に各造粒ラインについて詳述する。
まず、擬似造粒ライン1について詳細に説明する。擬似造粒ライン1は、核粒子となる焼結原料の粗粒(例えば粒径3mm以上)に微粉(例えば粒径250μm以下)を付着させた擬似造粒物を製造するラインである。この擬似造粒ライン1において、当該擬似造粒物を造粒する擬似造粒物製造工程が行われる。
この擬似造粒ライン1は、図1に示すように、粗粒及び微粉を含む焼結原料を貯蔵する原料槽11と、焼結原料を水溶性バインダー等と混練する混練機12と、混練された焼結原料を造粒して擬似造粒物を製造する造粒機13を備える。
原料槽11には、例えば、粗粒及び微粉を含む鉄鉱石(例えばピソライト鉱石)や、粉コークス、石灰石等を含む焼結原料が貯蔵されている、この焼結原料の鉄鉱石は、篩選別機(図示せず。)を用いて、所定粒径以上(例えば3mm以上)の粗粒と、それ未満の微粉とに選別されており、そのうち粗粒は、処理することなくそのまま核粒子として利用できる。一方、微粉は、アイリッヒミキサー等からなる混練機12に装入され、バインダーと共に混練される。この混練物や上記粗粒を含む核粒子は、ドラムミキサー等からなる造粒機13に装入され、核粒子の周囲に、粉コークス、その他の鉄鉱石、バインダー中に含まれる微粉(例えば粒径250μm以下)が付着されて、擬似造粒物(例えば、粒径1〜10mm)が製造される。
次に、ペレット造粒ライン2について詳細に説明する。ペレット造粒ライン2は、所定の粒径以下の焼結原料の微粉(例えば、粒径250μm以下)を主体として造粒された造粒物である焼結原料ペレット(例えば、粒径1〜10mm、平均粒径5mmなど)を製造するラインである。このペレット造粒ライン2において、微粉を主体とする焼結原料を造粒して焼結原料ペレットを製造する焼結原料ペレット製造工程が行われる。
このペレット造粒ライン2は、図1に示すように、微粉を主体とする焼結原料を貯蔵する原料槽21と、該焼結原料を粉砕する粉砕機22と、粉砕後の焼結原料をバインダー等と混練する混練機23と、混練された焼結原料を造粒して焼結原料ペレットを製造する造粒機24と、造粒された焼結原料ペレットを一次乾燥する流動層乾燥機30と、一次乾燥後の焼結ペレットを二次乾燥する充填層乾燥機40と、乾燥後の焼結ペレットを貯蔵して一定量を切り出すペレット切出ホッパ50とを備える。このうち、流動層乾燥機30及び充填層乾燥機40は、本実施形態にかかる特徴である焼結原料ペレット乾燥設備を構成している。
かかるペレット造粒ライン2の原料槽21には、微粉を多く含む各種の鉄鉱石(例えば、マラマンバ鉱石、高燐ブロックマン鉱石等)、上記の製鉄ダスト、ペレットフィードなどの微粉原料や、石灰石等のバインダーなどを含む焼結原料が貯蔵されている。この鉄鉱石としては、事前に篩選別機(図示せず。)等により所定粒径以上の粗粒を選別・除去して、ある程度微粉(例えば3mm以下)としておくことが、造粒の容易化及び造粒物の強度発現の観点から好ましい。
かかる原料槽21から供給される鉄鉱石は、まず、粉砕機22により、所定の粒径以下に粉砕される。このように粉砕機22にて鉄鉱石を粉砕して微粉化・整粒することで、後段の造粒処理をより容易化できる。この粉砕機22は、例えば、ローラープレス、ボールミル等で構成できる。この粉砕機22によって、焼結原料である鉄鉱石が微粉化・整粒され、例えば、500μmアンダーが40質量%以上、かつ22μmアンダーが5質量%以上、70質量%以下となるように、焼結原料が整粒される。
次いで、混練機23において、バインダーおよび水分が添加(例えば含有水分5〜15質量%)されて水分調整がなされた上で、微粉状の焼結原料が混練される。この混練機23としては、例えば、アイリッヒミキサー、レディゲミキサー、ヘンシェルミキサー等の一般的な混練機を使用できる。
さらに、混練機23による混練後の焼結原料は、造粒機24に装入されて造粒され、粒径が例えば1〜10mm、主として例えば3〜6mm(平均粒径:例えば5mm)の略球形の造粒物である焼結原料ペレットが製造される。造粒機24としては、例えば、ドラムミキサーやパンペレタイザー等を使用できる。なお、本実施形態では、混練機23による混練機能と造粒機24による造粒機能とを分離して、混練能力を高めた構造としているが、かかる例に限定されず、例えば、混練機と造粒機を1つのミキサー装置で兼用してもよい。
上記のようにしてペレット造粒ライン2で造粒された焼結原料ペレットは、上記の混練・造粒工程においてバインダーや水が添加されて水分調整されているため、含有水分が比較的多い含水ペレットとなっている(例えば、含有水分5〜15質量%、平均水分約9.5質量%)。しかも、この焼結原料ペレットは、微粉を主体とする焼結原料の造粒物であるため、擬似造粒ライン1で製造される擬似造粒物と比べて強度が低い。
そこで、ペレット造粒ライン2には、造粒機24の後段に、焼結原料ペレットを乾燥して強度を高めるための乾燥設備が設けられている。この焼結原料ペレット乾燥設備は、流動層乾燥機30と、この流動層乾燥機30の後段に設けられた充填層乾燥機40とから構成されている。上記造粒後の焼結原料ペレット(含水ペレット)は、まず、流動層乾燥機30に供給されて一次乾燥(恒率乾燥)された後に、充填層乾燥機40に供給されて二次乾燥(減率乾燥)される。
このような乾燥処理を施すことで、微粉を主体とする焼結原料からなる焼結原料ペレットを、恒率乾燥領域のみならず減率乾燥領域まで十分に乾燥させて、強度を高めることができる。従って、焼結機3までの搬送工程や焼結機3内での焼結工程において、焼結原料ペレットが崩壊しないようにできる。このように、本実施形態にかかる焼結設備では、ペレット造粒ライン2に、焼結原料ペレットを2段階乾燥するための2台の乾燥機が配設されている点が特徴であり、その詳細は後述する。
さらに、ペレット造粒ライン2では、上記乾燥設備による乾燥後の焼結原料ペレットは、ペレット切出ホッパ50に貯蔵される。このペレット切出ホッパ50の下部から一定量の焼結原料ペレットが切り出されて、上記擬似造粒ライン1で製造された擬似造粒物と所定の配合比で配合されて、焼結機3に供給される。このように、ペレット造粒ライン2の最後段にペレット切出ホッパ50を設けることで、焼結機3への焼結原料ペレットの供給量を調整できる。これによって、ペレット造粒ライン2から供給される焼結原料ペレットと、擬似造粒ライン1から供給される擬似造粒物との重量比率を一定に保ち、焼結原料ペレットと擬似造粒物との配合比を一定(例えば、焼結原料ペレット配合比20〜30%)にできるので、焼結機3にて連続的に製造される焼結鉱の品質を均一化することができる。
つまり、ペレット造粒ライン2では、粉砕機22、混練機23、造粒機24、流動層乾燥機30、充填層乾燥機40などといった複数の設備が設けられており製造工程が多いため、ペレット造粒ライン2による焼結原料ペレットの製造量は、擬似造粒ライン1による擬似造粒物の製造量に比べてばらつく傾向にある。そこで、両者の配合比を一定に保つため、ペレット造粒ライン2の出側にペレット切出ホッパ50を設けて、焼結原料ペレットの製造量のバラツキを吸収するバッファー機能を持たせ、一定量の焼結原料ペレットを切り出して供給するようにしている。また、このペレット切出ホッパ50によるバッファー機能により、焼結設備の立ち上げ時の擬似造粒ライン1とペレット造粒ライン2のタクトタイムの差を吸収することもできる。
このようにして、擬似造粒ライン1で造粒された擬似造粒物と、ペレット造粒ライン2で造粒された焼結原料ペレットは、所定の配合比で配合されて、焼結機3に供給される。焼結機3では、上記2種の焼結原料造粒物が焼結されて、焼結鉱が製造される。さらに、この焼結鉱は、例えば、破砕機(図示せず。)で所定の大きさに破砕された上で、焼結機3の後段に設けられた焼結クーラ4に搬送されて、冷却される。なお、本実施形態では、焼結鉱を冷却する焼結クーラ4の排ガスは、ファン5、6を介して上記流動層乾燥機30及び充填層乾燥機40に供給されて、乾燥用の熱風として利用されるが、その詳細については後述する。
次に、図2を参照して、ペレット造粒ライン2における焼結原料ペレット製造工程における乾燥工程を実行する焼結原料ペレット乾燥設備について詳述する。図2は、本実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備を示す模式図である。
図2に示すように、本実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備は、流動層乾燥機30の後段に充填層乾燥機40が設けられた構成であり、この2台の乾燥機30、40で2段階の乾燥を行う構成となっている。即ち、上記ペレット造粒ライン2の造粒機24で造粒された焼結原料ペレットは、まず、流動層乾燥機30に装入されて一次乾燥された後に、その一部または全部が充填層乾燥機40に装入されて二次乾燥される。このとき、流動層乾燥機30は、焼結原料ペレットを主として恒率乾燥する機能を有し、充填層乾燥機40は、上記恒率乾燥後の焼結原料ペレットを主として減率乾燥する機能を有する。
一般的に物質の乾燥過程は、恒率乾燥領域と、減率乾燥領域とからなる。恒率乾燥領域では、定常乾燥条件下では被乾燥物の温度が乾燥中ほぼ一定で、流入熱量が水分蒸発熱量に費やされる。
一方、減率乾燥領域では、被乾燥物の内部における水分の物質移動が支配的になるため、被乾燥物の温度が上昇するようになる。すなわち、減率乾燥領域では被乾燥物に与えられた熱量相当の水分が蒸発できなくなるので(乾燥速度<伝熱速度)、被乾燥物の温度及び乾燥装置の排ガス温度は上昇する。
本実施形態にかかる被乾燥物である焼結原料ペレットの場合、平均粒径が例えば3〜6mm、造粒後の焼結原料ペレットの含有水分(持ち込み水分)が例えば約9.5質量%、恒率乾燥領域と減率乾燥領域との境界となる含有水分(以下「限界含有水分」という。)が例えば約2質量%である。かかる焼結原料ペレットを含有水分2質量%以下にまで低下させて、ペレット強度の向上を図る場合、減率乾燥領域での乾燥を行う必要がある。従って、仮に従来のように1台の流動層乾燥機のみを利用して乾燥する場合には、膨大な設備、熱風量が必要となり、現実的ではない。
そこで、本実施形態にかかる乾燥設備では、乾燥に要する熱風量及び設備容量を考慮して、減率乾燥領域において効率的な乾燥を行うために、流動層乾燥機30により、造粒後の焼結原料ペレット(例えば含有水分9.5質量%)を恒率乾燥して、恒率乾燥領域と減率乾燥領域との境界の限界含有水分(例えば2質量%)若しくはその前後まで一次乾燥させた後に、充填層乾燥機40により、上記一次乾燥後の焼結原料ペレットを減率乾燥して、限界含有水分から目標含有水分(例えば0.5〜1.0質量%)まで二次乾燥する構成を採用している。
なお、本明細書における「含有水分」は、固体(焼結原料ペレット)が含有する水分の割合(内分:wet)であり、固体に含まれる水分の割合を、固体1kgに共存する水分の質量[kg]で表したものである。固体の質量をm「kg」、その中の乾き固体の質量をm0「kg」とすると、この固体の含有水分W[質量%]は、次の式で表される。
W={(m−m0)/(m)}×100
また、「目標含有水分」は、造粒された焼結原料ペレットが、焼結機3までの搬送処理及び焼結機3内での焼結処理において崩壊しない程度の十分な強度を得られる含有水分(内分:wet)である。また、「限界含有水分」は、恒率乾燥領域と減率乾燥領域との境界となる含有水分(内分:wet)である。
次に、さらに図2を参照して、流動層乾燥機30について詳細に説明する。流動層乾燥機30は、乾燥用ガスで粉粒体を流動化させて効率よく乾燥させる乾燥機であり、恒率乾燥領域において比較的高湿分の被乾燥物を低湿分まで均一かつ迅速に乾燥する場合に適している。この流動層乾燥機30は、連続式若しくはバッチ式のいずれであってもよい。また、流動層乾燥機30において、焼結原料ペレットを流動化及び乾燥させるための流動ガス(熱風)としては、例えば、熱風発生炉からの熱風など、流動層乾燥機用のガスとして一般的なものを使用してもよいし、或いは、後述するように焼結クーラ4の排ガスのうち高温側の排ガスを使用してもよい。
かかる流動層乾燥機30は、図2に示すように、被乾燥物である焼結原料ペレットを流動化させるための収容器である乾燥機本体31と、乾燥前の焼結原料ペレットを乾燥機本体31内に供給するための供給口32と、乾燥後の焼結原料ペレットを乾燥機本体31から排出するための排出口33と、乾燥機本体31内の底部に設けられた分散板34と、外部の熱風供給手段(焼結クーラ4、熱風発生炉など)からの熱風が導入される風箱35と、乾燥機本体31内の排ガスを外部に排出するための排気口36と、を備えている。
なお、流動層乾燥機30は、上記以外にも、乾燥前の焼結原料ペレットを蓄積する供給ホッパ(図示せず。)、供給ホッパに蓄積された焼結原料ペレットを供給口32から乾燥機本体31内に供給するための供給装置(図示せず。)、乾燥後の焼結原料ペレットを乾燥機本体31から抜き出すための排出装置(図示せず。)、乾燥動作に必要な各種の駆動装置及び制御装置(図示せず。)などを備えていてもよい。
かかる構成の流動層乾燥機30においては、上記造粒後の焼結原料ペレットが、供給口32から乾燥機本体31内の分散板34上に供給される。この焼結原料ペレットは、分散板34上の流動空間37(乾燥機本体31内の下部空間であって、焼結原料ペレットの流動層が形成される領域)において、分散板34を通じて供給される熱風により、流動化して乾燥される。さらに、この流動空間37から飛び出した焼結原料ペレットの粒子は、乾燥機本体31内の上部空間であるフリーボード空間38に達し、このうち、所定の第1粒径以上(例えば1mm以上)の比較的大径の粗粒は、自重により落下して流動空間37内に戻り、一方、当該所定の第1粒径未満(例えば1mm未満)の微粉は、熱風の気流に乗って上昇して、排気口36から排ガスとともに外部に排出される。このように、流動層乾燥機30は、上昇する乾燥用の熱風を利用して、焼結原料ペレットの粗粒と微粉とを分級する機能を有する。上記排気口36から排出される微粉を伴った排ガスは集塵機60へ導かれて、微粉が分離・回収された上で排出される。この集塵機60で回収された微粉は、上記の混練機23又は造粒機24等(図1参照。)に戻して造粒工程で再利用できる。一方、上記第1粒径以上の粗粒からなる乾燥後の焼結原料ペレットは、乾燥機本体31の下部にある排出口33から排出されて、充填層乾燥機40に供給される。
このような、流動層乾燥機30における一次乾燥の技術的特徴について説明する。本実施形態にかかる流動層乾燥機30では、微粉を主体とする焼結原料の造粒物である焼結原料ペレットを流動化させて恒率乾燥し、減率乾燥領域に至るまで急速に乾燥させる(例えば9.5質量%→2質量%)。これによって、(1)乾燥により造粒物の強度を発現させると共に、造粒物の温度を均一的に上昇させて、造粒物温度の偏差が大きいときに生じる、部分的な高温化によるバインダーの変質等を防止し、造粒物強度の低下を抑制すること、(2)ガス温度を上げても造粒物の温度を上昇させることなく水分が制御でき、乾燥時間を短縮可能であること、(3)ガス流速を高くとれることで、微粉を排ガスに同伴させて分級・除去することができること、(4)分級された微粉を造粒前の焼結原料と混合して再利用できること、が同時に実現可能であるという効果がある。
次に、さらに図2を参照して、充填層乾燥機40について詳細に説明する。充填層乾燥機40は、上部から被乾燥物を充填し、下部から乾燥用ガスを吹き込んで乾燥させる乾燥機であり、乾燥用ガスによる被乾燥物の動きがなく、被乾燥物が上部から下部へと自然に流れてゆくピストンフロー性に優れている。このため、充填層乾燥機40は、熱量を有効に利用し、滞在時間を長く必要とする乾燥に適しており、特に、減率乾燥領域でペレット類を乾燥するのに好適である。また、充填層乾燥機40内での被乾燥物の動きが緩やかであるため、粒子を破壊することもない。
かかる充填層乾燥機40は、図2に示すように、被乾燥物である焼結原料ペレットを貯留するための竪型サイロ状の乾燥機本体41と、流動層乾燥機30で乾燥後の焼結原料ペレットを乾燥機本体41内に供給するための投入口42と、乾燥後の焼結原料ペレットを乾燥機本体41から排出するために乾燥機本体41の下端に設けられた排出口43と、乾燥機本体41の下部側面に設けられた熱風吹込部44と、乾燥機本体41内の排ガスを外部に排出するための排気口45と、を備えている。
なお、充填層乾燥機40は、上記以外にも、流動層乾燥機30による乾燥後の焼結原料ペレットを搬送して投入口42から乾燥機本体41内に供給するための供給装置(図示せず。)、乾燥動作に必要な各種の駆動装置及び制御装置(図示せず。)などを備えていてもよい。
かかる充填層乾燥機40では、乾燥機本体41の下部の側面に設けられた熱風吹込部44に、外部から供給された乾燥用ガス(熱風)を乾燥機本体41内に分散して噴出するための複数の吹出孔が形成されている。この乾燥用ガス(熱風)としては、例えば、熱風発生炉からの熱風など、充填層乾燥機用のガスとして一般的なものを使用してもよいし、後述するように焼結クーラ4の排ガスのうち低温側の排ガスを使用してもよい。なお、熱風吹込部44の形状、配置、設置数は、図2に示す例に限定されず、充填層乾燥機40のタイプに応じて任意に変更可能である。
かかる構成の充填層乾燥機40においては、上記流動層乾燥機30で一次乾燥された後の焼結原料ペレットが、投入口42から乾燥機本体41内に投入される。この焼結原料ペレットは、竪型サイロ状の乾燥機本体41内で蓄積されて所定時間滞留する。このとき、下部の熱風吹込部44から熱風を吹き込むことにより、当該熱風が乾燥機本体41内に滞留する焼結原料ペレット内を下方から上方に通過して、上部の排気口45から排出される。これにより、乾燥機本体41内の焼結原料ペレットは、熱風吹込部44から吹き出す熱風により熱せられて、ペレット温度が上昇して乾燥されて減率乾燥領域の乾燥が行われる。この乾燥処理中には、乾燥機本体41下部の排出口43から、減率乾燥後の焼結原料ペレットが継続的に排出されている。このため、焼結原料ペレットは、上部の投入口42から乾燥機本体41内に投入された後、乾燥機本体41内を徐々に下方に移動しながら、熱風の作用により乾燥されて含有水分が低減し、最終的に目標含有水分にまで乾燥され、かつ温度が上昇した後に、下部の排出口43から排出される。その後、かかる充填層乾燥機40で十分に乾燥された焼結原料ペレットは、図示しないベルトコンベヤ等の搬送手段により、上記の焼結機3に供給される。
一方、充填層乾燥機40に吹き込まれる排ガス(熱風)は、下層から上層へ一方向に抜けていくため、排ガスに含有されている顕熱は被乾燥物を加熱することに使われるので、排気ガスは被乾燥物の充填層の入口温度付近まで低下することになる。このため、充填層乾燥機40において排ガス顕熱が充分に利用される。
以上、図2を参照して、本実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備における流動層乾燥機30と充填層乾燥機40の構成及び動作について説明した。本実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備では、造粒後の多量の水分を含有する焼結原料ペレット(例えば9.5質量%)を乾燥するに際し、まず、流動層乾燥機30により、焼結原料ペレットを恒率乾燥領域において恒率乾燥して(一次乾燥工程)、焼結原料ペレットの含有水分を限界含有水分(例えば約2質量%)まで低下させ、次いで、充填層乾燥機40により、上記一次乾燥後の焼結原料ペレットを減率乾燥領域において減率乾燥して(二次乾燥工程)、焼結原料ペレットの含有水分を目標含有水分(例えば0.5〜1.0質量%)まで低下させるようになっている。このときの乾燥時間は、流動層乾燥機30による一次乾燥時間が、例えば、1〜3分程度(下記実施例では約1.5分)と比較的短く、充填層乾燥機40による二次乾燥時間が、例えば、15〜60分程度(下記実施例では約30分)と比較的長い。なお、被乾燥物の限界含有水分は、上記の約2質量%の例に限定されず、被乾燥物の種類、粒度等に応じて任意の値となることは勿論である。
このように本実施形態では、恒率乾燥領域から減率乾燥領域に至るまでの焼結原料ペレットの乾燥処理を、1台の乾燥機のみを用いて行うのでははく、恒率乾燥に適した流動層乾燥機30と、減率乾燥に適した充填層乾燥機40とを組み合わせて、2段階で実行することを特徴としている。これにより、1台の乾燥機で恒率乾燥領域から減率乾燥領域に至るまでの全ての乾燥を行う場合と比べて、乾燥に必要な単位時間当たりの熱風量及び熱量を低減して、使用エネルギーを大幅に削減することができる。
つまり、流動層乾燥機30において減率乾燥を行うときに要する熱風量は、充填層乾燥機40において同一の減率乾燥を行うときに要する熱風量よりも多くなる。従って、恒率乾燥領域から減率乾燥領域までの乾燥を1台の流動層乾燥機で行う場合よりも、本実施形態のように流動層乾燥機30により恒率乾燥を行った後に、充填層乾燥機40により減率乾燥を行う場合の方が、乾燥工程全体で必要な熱風量を低減できる。また、恒率乾燥領域から減率乾燥領域までの乾燥を1台の充填層乾燥機で行った場合には、所定の含有水分に至るまで、長時間の滞留が必要となり、その結果、充填層乾燥機が非常に大きなものとなるため現実的ではない。
よって、本実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備では、流動層乾燥機30により恒率乾燥領域での乾燥を、充填層乾燥機40により減率乾燥領域での乾燥を行うことで、乾燥設備全体で必要な熱風量を低減し、省エネルギー化を図ることができる。
次に、図3を参照して、本実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備における乾燥用の熱風の供給源について説明する。図3は、本実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備の乾燥用の熱風として、焼結クーラ4の排ガスを利用する例を示す模式図である。
図3に示すように、本実施形態にかかる乾燥設備では、流動層乾燥機30及び充填層乾燥機40の乾燥用の熱風として、焼結機3の後段に設置されている焼結クーラ4の排ガスを有効利用し、省エネルギー化を図っている。このとき、焼結クーラ4の排ガスを少なくとも高温側の排ガス(例えば、約300〜350℃以上の第1高温排ガス、約200〜250℃以上の第2高温排ガス)と、低温側の排ガス(例えば、約100〜150℃以下の第1低温排ガス、約200〜250℃以下の第2低温排ガス)とに分離して回収し、このうち、高温側の排ガスの一部(約200〜250℃以上の第2高温排ガス)を流動層乾燥機30の乾燥用の熱風として使用し、低温側の排ガス(約100〜150℃以下の第1低温排ガス、約200〜250℃以下の第2低温排ガス)を充填層乾燥機40の乾燥用の熱風として使用している。特に、充填層乾燥機40で用いる乾燥用の熱風として、従来では大気放散していた比較的低温の排ガス(例えば、約100〜150℃以下の第1低温排ガス)を利用できるので、当該低温側排ガスの熱エネルギーを有効利用できる。また、乾燥条件によっては第2低温排ガス(約200〜250℃以下)を流動層乾燥機30の熱風に利用することも可能である。
焼結クーラ4は、円形ドーム状のクーラフード401の側面に周方向に沿って例えば4つのダクト403、404、405、406が接続されており、また、クーラフード401の上面に当該フード401内の熱気を外部に放散するためのファン407、408、409が設けられている。かかる焼結クーラ4は、焼結機3から供給された高温の焼結鉱を、ファン407、408,409により吸引した大気で空冷する。
かかる冷却構造を有する焼結クーラ4では、クーラフード401の各箇所に接続されたダクト403、404、405、406から、クーラフード401内の高温の空気を排ガス(熱風)として吸引することで、上記焼結鉱の冷却で生じた排熱を、排ガス温度に応じて分離して回収し、外部の各種設備の熱源として利用することができる。図3に示す例では、ダクト403から排出される第1高温排ガス(例えば約300〜350℃以上)を、原料予熱、ボイラー用の熱風として使用している。また、ダクト404から排出される第2高温排ガス(例えば約200〜250℃以上)を、送風管5a及びファン5を介して流動層乾燥機30に供給して、流動層乾燥機30の乾燥用の熱風として使用し、減率乾燥よりも高温の熱風を必要とする恒率乾燥に利用している。また、例えば、ダクト405,406からそれぞれ排出される第2低温排ガス(例えば約200〜250℃以下)及び第1低温排ガス(例えば約100〜150℃以下)を、送風管6a及びファン6を介して充填層乾燥機40に供給して、充填層乾燥機40の乾燥用の熱風として使用し、比較的低温の熱風でも使用可能な減率乾燥に利用している。
このように、本実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備では、乾燥用の熱風として、焼結機3の後段に設置されている焼結クーラ4の排ガスを使用することで、既存の設備の廃熱を乾燥用の熱源として有効利用できるので、省エネルギー化を実現でき、別途の熱風発生炉等を新設しなくてよい。特に、減率乾燥領域においては、従来は利用できていなかった比較的低温(約200〜250℃以下)の排ガスを利用できる。特に、焼結クーラ4の第1低温排ガス(約100〜150℃以下)の熱エネルギーを、充填層乾燥機40の乾燥用ガスとして有効利用できるため、設備全体でのエネルギー効率の観点から、非常に有益である。
(第2の実施形態)
次に、図4を参照して、本発明の第2の実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備および乾燥方法について説明する。図4は、第2の実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備を示す模式図である。
第2の実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備は、図4に示すように、流動層乾燥機30と充填層乾燥機40との間に篩装置70を設置することを特徴としており、その他の機能構成は、上記第1の実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備と略同一であるので、その詳細説明は省略する。
図4に示すように、第2の実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備には、上記流動層乾燥機30の後段であって充填層乾燥機40の前段に、篩装置70が設けられている。この篩装置70は、上記第2粒径に対応する所定の粗さの篩を具備しており、流動層乾燥機30により乾燥された焼結原料ペレットを、所定の第2粒径以上の大径ペレットと、該第2粒径未満の小径ペレットとに篩い分けて選別する機能を有する。この篩選別の基準となる第2粒径は、充填層乾燥機40による減率乾燥を必要とするか否かの基準となるペレット粒径に設定され、例えば2〜4mmとすることができる。
かかる篩装置70を備えた乾燥設備の動作について説明する。まず、流動層乾燥機30では、上記造粒後の焼結原料ペレットが恒率乾燥領域で一次乾燥(恒率乾燥)されるが、この乾燥時には、上述した流動層乾燥機30の分級機能により、上記所定の第1粒径未満(例えば1mm未満)の微粉は、上部の排気口36から排ガスと共に排出されて集塵機60により回収される。一方、第1粒径以上(例えば1mm以上)の粗粒である焼結原料ペレットは、流動層乾燥機30により一次乾燥された後に、排出口33から排出されて、篩装置70に搬送される。次いで、篩装置70にて、この第1粒径以上の焼結原料ペレットが、所定の第2粒径以上(例えば3mm以上)の大径ペレットと、第2粒径未満(例えば3mm未満)の小径ペレットとに篩い分けられる。ここで、大径ペレットに選別されるものは、流動層乾燥機30出側では、減率乾燥領域に十分に至っておらず、未だ恒率乾燥領域と減率乾燥領域との境界付近にあり、含有水分が依然として多いものであると考えられる。一方、小径ペレットに選別されるものは、一部減率乾燥領域に入り、含有水分が少ないものと考えられる。そこで、含有水分の多い大径ペレットのみが充填層乾燥機40に搬送されて二次乾燥(減率乾燥)され、一方、含有水分の少ない小径ペレットは、充填層乾燥機40を介さずに直接、焼結機3に搬送される。なお、当該小径ペレットは、上記の混練機23又は造粒機24等(図1参照。)に戻して造粒工程で再利用してもよい。
以上のように、第2の実施形態にかかる乾燥設備では、流動層乾燥機30の分級機能、及び、篩装置70による分級機能により、流動層乾燥機30で乾燥された焼結原料ペレットのうち、含有水分が多い第2粒径以上の大径ペレットのみが、充填層乾燥機40に導入されて減率乾燥される。これによって、減率乾燥が必要な大径ペレットのみを充填層乾燥機40で減率乾燥できるので、充填層乾燥機40による減率乾燥工程を効率的に行うことができ、充填層乾燥機40の容量や必要な熱風量及び熱源を最小化することができる。
(第3の実施形態)
次に、図5を参照して、本発明の第3の実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備および乾燥方法について説明する。図5は、第3の実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備におけるホッパ一体型充填層乾燥機80を示す模式図である。
なお、第3の実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備は、図5に示すように、充填層乾燥機が定量切り出し装置を兼備することを特徴としており、その他の機能構成は、上記第1の実施形態にかかる焼結原料ペレット乾燥設備と略同一であるので、その詳細説明は省略する。
図5に示すように、第3の実施形態では、上記第1の実施形態にかかる充填層乾燥機40とペレット切出ホッパ50(図1参照)とを一体化したホッパ一体型充填層乾燥機80が設けられている。このホッパ一体型充填層乾燥機80は、上述した充填層乾燥機40の乾燥機能に加えて、乾燥後の焼結原料ペレットを貯蔵して一定量を切り出すペレット切出ホッパ50の機能(焼結原料ペレット製造工程に必須の定量払い出し機能)を兼ね備えた装置である。
即ち、上述した充填層乾燥機40及びペレット切出ホッパ50はともに、逆錐形状のサイロ型収容器を有しており、上部から投入された焼結原料ペレットを貯蔵して下部から排出する構造である(図1参照)。従って、上記充填層乾燥機40の下部に、焼結原料ペレットの定量切り出し装置を設置することで、両者を一体化して、図5に示すようなホッパ一体型充填層乾燥機80を構成できる。
以下、このホッパ一体型充填層乾燥機80の構成について詳述する。図5に示すように、ホッパ一体型充填層乾燥機80は、被乾燥物である焼結原料ペレットを貯留するための竪型サイロ状の乾燥機本体81と、流動層乾燥機30で乾燥後の焼結原料ペレットを乾燥機本体81内に供給するための投入口82と、乾燥後の焼結原料ペレットを乾燥機本体81から排出するために乾燥機本体81の下端に設けられた排出口83と、乾燥機本体81の下部の側面に設けられた熱風吹込部84と、乾燥機本体81内の排ガスを外部に排出するための排気口85と、を備えている。なお、これらのホッパ一体型充填層乾燥機80の各部の構成及び動作は、上述した第1の実施形態にかかる充填層乾燥機40の各部と略同一であるので、詳細説明は省略する。
さらに、ホッパ一体型充填層乾燥機80はその上部に、流動層乾燥機30から排出された乾燥後の焼結原料ペレットを搬送して、乾燥機本体81内に投入するための供給コンベヤ90を備えている。また、ホッパ一体型充填層乾燥機80はその下部に、焼結原料ペレットの定量切り出し装置91を備えている。
このホッパ一体型充填層乾燥機80における定量切り出し装置91は、上部の乾燥機本体81(ホッパとして機能する)に貯留された減率乾燥後の焼結原料ペレットを、下部から一定量切り出すための装置であり、例えば、一般的に使用されている速度可変コンベヤ92と秤量機94付きコンベヤ93を組み合わせたもの等を設置すればよい。この定量切り出し装置91により切り出された焼結原料ペレットは、ペレット製品搬送コンベヤ95により焼結機3に搬送される。
以上のように第3の実施形態では、第1の実施形態では別体に構成されていた充填層乾燥機40とペレット切出ホッパ50とを一体化したホッパ一体型充填層乾燥機80を採用している。上述したように、図1に示す2つの造粒ライン1、2を有する焼結設備では、各造粒ライン1、2で製造された擬似造粒物と焼結原料ペレットとの配合比を一定にするためには、焼結原料ペレットを定量切り出しするペレット切出ホッパ50を設ける必要があった。この点、第3の実施形態では、このペレット切出ホッパ50と充填層乾燥機40とを一体化しているので、設備コストおよびランニングコストも低減できる。
以下に、本発明の実施例について説明する。なお、以下の実施例で用いられている数値等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
<試験1>
まず、上記実施形態にかかる焼結原料ペレット(以下「ペレット」という。)の乾燥特性を調べるために行った連続乾燥試験にについて説明する。
本試験では、流動層試験装置にてペレットを乾燥させ、乾燥後のペレットの含有水分と温度、及び、流動層試験装置からの排ガス湿度を測定した。これらのペレット温度や排ガス湿度を、ペレット含有水分ごとに測定することにより、被乾燥物であるペレットの乾燥特性として、恒率乾燥領域及び減率乾燥領域を特定することができる。
つまり、恒率乾燥領域では、被乾燥物に加えられた全ての熱量が水分の蒸発に利用されるため、被乾燥物の温度は一定であるが、減率乾燥領域では、被乾燥物の内部の水分移動速度が遅くなるため、被乾燥物の温度が上昇する。また、その結果、減率乾燥においては、乾燥機からの排ガスの含有水分も、飽和水分に対して低い値となるため、排ガス湿度は低下する。従って、乾燥後のペレットの含有水分と温度との関係や、乾燥後のペレットの含有水分と排ガス湿度との関係を求めることによって、被乾燥物の恒率乾燥領域と減率乾燥領域を特定できる。
本試験の試験条件は以下の通りである。
・流動層試験装置 分散板 800m長×200mm幅
・流動化ガスの温度 200〜300℃
・流動化ガスの流量 2000〜3000Nm3/h
・流動層高(静止層高) 300mm
・ペレット含有水分 8〜12質量%
・ペレット供給量 30〜60kg/min
次に、図6を参照して、本試験の試験結果について説明する。図6(a)は、本試験で得られた乾燥後のペレット水分とペレット温度との関係を示すグラフであり、図6(b)は、本試験で得られた乾燥後のペレット水分と排ガス湿度との関係を示すグラフである。なお、図6中の各用語の定義は以下の通りである。
乾燥ペレット水分:乾燥後のペレットの含有水分[質量%]
乾燥ペレット温度:乾燥後のペレットの平均温度[℃]
排ガス湿度 :{(排ガス水分)/(乾燥ペレット温度での排ガスの飽和水分)}×100[%]
排ガス水分 :流動化ガス(熱風)によりペレットを乾燥した後に、流動層試験装置(乾燥機)から排出される排ガスの含有水分[質量%]
乾燥ペレット温度での排ガスの飽和水分:排ガスが乾燥ペレット温度の時の飽和水分[質量%]
図6(a)に示すように、乾燥ペレット水分が2質量%以上の領域では、乾燥ペレット温度がほぼ一定であり、一方、乾燥ペレット水分が2質量%未満の領域では、乾燥ペレット水分が減少するにつれて乾燥ペレット温度が上昇している。また、図6(b)に示すように、乾燥ペレット水分が2質量%以上の領域では、排ガス湿度がほぼ一定であり、一方、乾燥ペレット水分が2質量%未満の領域では、乾燥ペレット水分が減少するにつれて排ガス湿度が低下している。
従って、かかる実験結果によれば、本試験で使用したペレットの恒率乾燥領域は、含有水分が約2質量%以上の領域であり、当該ペレットの減率乾燥領域は、含有水分が約2質量%未満の領域であるといえる。換言すると、当該ペレットの限界含有水分は、約2質量%であるといえる。よって、かかるペレットを乾燥する場合には、恒率乾燥に適した流動層乾燥機30によって、含有水分約2質量%まで恒率乾燥した後に、減率乾燥に適した充填層乾燥機40、80によって、約2質量%から目標含有水分まで減率乾燥することが、エネルギー効率の観点から好ましいといえる。
<試験2>
次に、本発明の実施例にかかる焼結原料ペレット乾燥設備(実施例1、2)と、従来の焼結原料ペレット乾燥設備(比較例)とに関して、乾燥に要する熱風量、熱量、設備容量などをシミュレーションし、両者を比較した結果について説明する。表1に、実施例1、2及び比較例に関し、本シミュレーションの設定条件、シミュレーション結果、及び比較結果を示す。
表1に示すように、本シミュレーションでは、従来のように1台の流動層乾燥機のみを用いて恒率乾燥及び減率乾燥の全てを行った場合(比較例)と、上述した本発明の第1〜3実施形態のように流動層乾燥機30による恒率乾燥と充填層乾燥機40、80による減率乾燥とを組み合わせた場合(実施例1、2)とについて、同一の設定条件で、焼結原料ペレット乾燥工程に必要な熱風量、熱量、設備容量などをシミュレーションして、両者を比較した。
まず、設定条件について説明する。比較例及び実施例1、2のいずれも場合も、乾燥対象の焼結原料ペレットとして、平均粒径が3mm〜6mm、乾燥前の持ち込み水分が9.5質量%のペレットを、供給量200dry−t/hで供給し、乾燥後のペレット水分が0.5質量%となるまで乾燥することとした。この際、比較例では、1台の流動層乾燥機のみで、恒率乾燥及び減率乾燥の双方(9.5質量%→0.5質量%)行うこととした。一方、実施例1、2では、流動層乾燥機30で恒率乾燥(9.5質量%→2質量%)を行い、充填層乾燥機40で減率乾燥(2質量%→0.5質量%)を行うこととした。また、比較例及び実施例1、2のいずれも場合も、乾燥設備全体の入側、出側でのペレット温度は、それぞれ20℃、95℃とした。
かかる設定条件に従い、比較例、実施例1、2について、焼結原料ペレット乾燥工程において必要な熱風量、排ガス量、乾燥設備の床面積等についてシミュレーションを行った。なお、実施例1では、充填層乾燥機40の乾燥用の熱風(流動ガス)として、流動層乾燥機30と同様に高温の熱風(260℃)を使用しているのに対し、実施例2では、充填層乾燥機40の乾燥用の熱風として、低温の熱風(150℃)を使用している点で相違する。
次に、上記シミュレーション結果におけるペレット乾燥に必要な熱風量及び熱量に基づいて、実施例1、2と比較例のエネルギー効率について比較する。なお、表1中の熱量の値は、各乾燥機に導入される熱風量と温度から熱量に換算したものである。
まず、比較例のように、1台の流動層乾燥機を用いて恒率乾燥及び減率乾燥を行って、ペレット水分0.5質量%まで乾燥させる場合には、必要な熱風量は約290,000Nm3/h(温度260℃)となり、膨大な熱風量および熱源が必要となることが分かる。
これに対して、実施例1、2のように、流動層乾燥機30を用いて、含有水分9.5質量%のペレットを2質量%まで恒率乾燥させる場合には、必要な熱風量は約197,000Nm3/h(温度260℃)である。さらに、充填層乾燥機40を用いて、0.5質量%まで減率乾燥させる場合には、必要な熱風量は、実施例1で約50,000Nm3/h(温度260℃)、実施例2で約105,000Nm3/h(温度150℃)である。この結果、流動層乾燥機30と充填層乾燥機40で必要な合計の熱風量は、実施例1で約247,000Nm3/h、実施例2で約302,000Nm3/hである。
従って、実施例1では、流動層乾燥機30と充填層乾燥機40で必要な合計の熱風量及び熱量は、比較例の85%にまで低減されており、大幅な省エネルギー化を実現できることが分かる。また、実施例2では、動層乾燥機30と充填層乾燥機40で必要な合計の熱量は、比較例の89%であり、熱量換算の省エネルギー率は11%を達成していることが分かる。
一方、実施例2で必要な合計の熱風量は、比較例の104%であり、増加している。しかし、実施例2は、充填層乾燥機40の熱風として低温の熱風(150℃)を使用した例であり、この点、上記図3で説明したような焼結クーラ4の第1低温排ガス(100〜150℃以下)を使用できる。従って、充填層乾燥機40において、従来では大気放散されて無駄になっていた焼結クーラ4の第1低温排ガスを有効利用することによって、実施例2で、実質的に必要な熱風量は、流動層乾燥機30での熱風量である約197,000Nm3/h(温度260℃)のみとなる。かかる観点からすれば、実施例2で実質的に必要な熱風量は、比較例の68%にまで低減されており、実施例1よりも大幅に低減されており、省エネルギー効果が高いといえる。
次に、上記シミュレーション結果の乾燥設備の床面積に基づいて、実施例1、2と比較例の設備容量に関して比較する。
流動層乾燥機30の分散板の床面積(即ち、流動層面積)は、比較例では15.3m2であるのに対し、実施例1、2では10.4m2である。このように、実施例1、2の流動層乾燥機30の床面積は、比較例の68%と大幅に低減されている。勿論、実施例1、2の場合には、充填層乾燥機40の床面積が必要となるが、この充填層乾燥機40は、ペレット造粒ライン2に通常設けられるペレット切出ホッパ50と一体化して、ホッパ一体型充填層乾燥機80を採用できる(上記第3の実施形態、図5参照)。従って、このようにホッパ一体型充填層乾燥機80を採用した場合には、実施例1、2において、ペレット乾燥設備として新たに必要な設備面積は、流動層乾燥機30の床面積のみとなり、その面積は上記のように比較例の68%である。よって、実施例1、2の乾燥設備では、比較例の乾燥設備と比べて、設備規模及び設置スペースを縮小し、設備コスト及びランニングコストを抑制できるといえる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、焼結原料ペレットを恒率乾燥領域から減率乾燥領域まで乾燥させる際に、流動層乾燥機30により恒率乾燥を行い、充填層乾燥機40により減率乾燥を行うと記載したが、実際の物質の乾燥工程では、恒率乾燥領域と減率乾燥領域の境界は必ずしも明確ではない。従って、流動層乾燥機30により恒率乾燥領域のみならず減率乾燥領域の一部の乾燥を行う場合や、充填層乾燥機40により減率乾燥領域のみならず恒率乾燥領域の一部の乾燥を行う場合も、本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記実施形態では、流動層乾燥機30及び充填層乾燥機40の乾燥用の熱風として、焼結クーラ4の排ガスを有効利用したが、本発明はかかる例に限定されない。当該乾燥用の熱風として、例えば、製鉄所におけるその他の各種設備から排出される排ガスや、熱風発生炉などの各種の熱源から供給される熱風などを使用してもよい。