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JP5335174B2 - 多孔質体、その製造方法、及び多孔質体を利用した複合材料 - Google Patents

多孔質体、その製造方法、及び多孔質体を利用した複合材料 Download PDF

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Description

本発明は、気相法炭素繊維を含む多孔質体に関する。さらに詳しく言えば、有機または無機ゲル化物質の溶液中に気相法炭素繊維を分散させ、ゲル化物質(ゲルとなる原料)をゲル化させた後、溶媒を除去・乾燥することにより得られる気相法炭素繊維とゲル化物質を含む多孔質複合体、その製造方法及びその用途に関する。
石油ピッチやポリアクリロニトリルを溶融紡糸して作られる炭素繊維や金属を触媒として不活性雰囲気下で炭化水素化合物を熱分解させて製造される気相法炭素繊維は、熱伝導性、電気伝導性、機械的強度等に優れていることから、樹脂等に導電性や熱伝導性を付与する目的等で気相法炭素繊維を用いた各種複合材料が開発されてきた。
炭素繊維を含む樹脂等との複合材を作製する際には、従来、炭素繊維にバインダーを用いてプリプレグを作製し、または炭素繊維織物等を作製し、それらに樹脂等を含浸させる方法がとられてきた。
特開2002−327113号公報(特許文献1)には、炭素繊維のプリプレグを作るためのバインダーに用いる樹脂組成物が、また、特開2002−180356公報(特許文献2)には、金属材料を含浸するために使用する炭素繊維からなる三次元繊維構造体が開示されている。
一方、気相法炭素繊維は、繊維径が前記先行技術文献に記載の炭素繊維に比べて微細であることなどから、それら炭素繊維と同様なプリプレグ等の作製は極めて困難であり、作製できたとしてもプリプレグ等に空隙が少ないため、複合材料を十分に含浸させた複合材を作ることができなかった。
そこで、樹脂複合材を作製する場合には、一般的には、例えば気相法炭素繊維と樹脂を混練機により混練して複合化する方法がとられてきた。しかし、混練中に繊維が切断され繊維長が短くなるために繊維同士の三次元的ネットワークの繋がりが不足し、そのため繊維が切断された分を補うために多量の気相法炭素繊維の添加が必要であった。また、気相法炭素繊維を多く添加すると、樹脂成形時の流れ特性が低下すること、コストが高くなること等の問題があった。
この問題を解決するために、多くの研究がなされている。
特開2002−348741号公報(特許文献3)には、活性な結晶の端部が繊維の外側へ向いている、いわゆるヘリンボン型結晶構造と呼ばれる気相法炭素繊維が開示されている。ヘリンボン型結晶構造を持つ気相法炭素繊維は樹脂等と親和性が高いこと、また樹脂との混練時においては繊維がS字状、Z字状、スパイラル状に変形しやすく、樹脂とのフィッティング性が高いことから少量の添加で効果が発現することが示されている。
特表2001−521984公報(特許文献4)には、繊維径が3.5〜70nmで実質的に一定の繊維径を持ち、実質的に円筒形である気相法炭素繊維に関して、前述した炭素繊維のプリプレグ等に相当する気相法炭素繊維を含んだ多孔質体を作製し、それに樹脂を含浸または多孔質体の中で有機モノマーを重合させてなる複合材料が開示されている。
これに使用する多孔質体の製法については、特表平8−509788(特許文献5)に、気相法炭素繊維を水または有機溶媒中に分散させた後、溶媒を除去する方法が開示されている。また、特表2000−511864(特許文献6)には、気相法炭素繊維の繊維同士を接着剤により、及び/または熱分解により相互接触点を融着または結合を起こさせることにより、堅い多孔質体が得られることが開示されている。また、この堅い多孔質体は、接着剤が溶解した溶液あるいはゲル流体中に気相法炭素繊維を分散させ、その後溶媒を除去あるいは超臨界抽出する方法により得られることが開示されている。
しかし、これら先行技術文献に開示されている製造方法では、多孔質体中に気相法炭素繊維が凝集体の状態で含まれること、また凝集体を一本ずつの繊維に分散させるために高剪断力をかける操作を行っていること、多孔質体を製造する過程で混練機により過度の混練が行われていることに起因する問題があった。すなわち、炭素繊維が凝集体の状態で多孔質体ひいては複合材料中に含まれていると、導電性等は凝集体同士の繋がりにより決定されることとなるため、一本ずつの繊維にほぐれた状態で存在する場合にくらべ繋がりが少なくなり、導電性等が低くなる。そのため、気相法炭素繊維の添加量を増やすことが必要となり、更には成形性等の低下にも繋がる。また、混練機による混練や、高剪断力をかけることによる繊維の分散では繊維が切断されるため繊維同士の三次元的ネットワークの繋がりが不足し、結果的にこの場合も気相法炭素繊維の添加量を増加させる先述と同様の問題があった。
一方、金属や非金属固体と寒天のようにゲル化する有機結合材と無機結合材を水中で混合して分散させて、有機結合材に応じてゲル化させ、凍結乾燥して作製する多孔性成形部材、また、これらの成形部材を熱処理し無機結合材を硬化させることを特徴とする多孔性成形部材の作成方法が知られている(特表平9−505266(特許文献7))。しかし、この方法では熱処理時の体積収縮が著しいという課題を残していた。
特開2002−327113号公報 特開2002−180356号公報 特開2002−348741号公報 特表2001−521984号公報 特表平8−509788号公報 特表2000−511864号公報 特表平9−505266号公報
本発明の目的は気相法炭素繊維の凝集体を実質的に含まず、かつ繊維長が温存された繊維同士の三次元的ネットワークが形成されている多孔質体を提供することにある。
更に本発明の目的は、少量の気相法炭素繊維の使用で添加効果が発現する樹脂等との複合材(多孔質体)を容易に製造する方法を提供することにある。
更に本発明の目的は、熱処理時の体積収縮率の小さい多孔質体の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するためには、気相成長炭素繊維の繊維長を温存させたままで、かつ繊維の三次元的ネットワークを持った多孔質体を製造することが重要である。
本発明者らは、分散性の良好な気相法炭素繊維の選定と、容易に多孔質体となる物質、または多孔質体を製造する方法との組合せについて鋭意検討した。その結果、炭素繊維として湾曲部分が少なく直線性が高い気相法炭素繊維を使用すれば、例えば超音波照射を行うことにより簡単に溶液中に分散できること、多孔質体となる材料として寒天等のような有機材料を使用することにより簡単に多孔質体を製造できること、また一般的によく知られているゾル・ゲル法によっても比較的容易にこのような多孔質体を製造することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下に示す多孔質体、その製造方法、及び多孔質体を利用した複合材料を提供するものである。
1.三次元的ネットワークを形成した気相法炭素繊維を含むことを特徴とする多孔質体。
2.気相法炭素繊維を10〜95質量%含む請求項1に記載の多孔質体。
3.気相法炭素繊維が、繊維径1〜1000nm、アスペクト比5〜15000、比表面積2〜2000m2/g、ラマン散乱スペクトルの1580cm-1及び1360cm-1のピーク強度比(I1360/I1580)0.1〜2.0である請求項1または2に記載の多孔質体。
4.気相法炭素繊維の結晶内あるいは結晶表面にホウ素が0.001〜5質量%含有されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多孔質体。
5.全体積(V0)に対する細孔が占める体積(V)の割合として表される多孔度(V/V0)が0.50〜0.99である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の多孔質体。
6.比表面積が5〜1000m2/gである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の多孔質体。
7.多孔質体のセル壁面がさらに多孔質構造となっている請求項1乃至6のいずれか1項に記載の多孔質体。
8.電気抵抗値が103Ω・cm未満である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の多孔質体。
9.ゲル化物質の溶液中に気相法炭素繊維を分散させた後、ゲル化物質をゲル化させ、溶媒を除去することを特徴とする請求項1に記載の気相法炭素繊維を含む多孔質体の製造方法。
10.水溶性ポリマー及び/またはケイ酸アルカリ塩を溶解させ、及び/または固体微粒子を分散させて調製したゲル化物質の溶液中を使用する請求項9に記載の多孔質体の製造方法。
11.溶媒を除去した後、不活性雰囲気下100〜1000℃の温度で熱処理を行う請求項9または10に記載の多孔質体の製造方法。
12.溶媒の除去が、真空乾燥または凍結乾燥法により行われる請求項9または10に記載の多孔質体の製造方法。
13.溶媒の臨界温度及び臨界圧力を超えた温度及び圧力下におき、その後圧力を臨界圧力以下に下げることで溶媒の除去が行われる請求項9または10に記載の多孔質体の製造方法。
14.ゲル化物質が有機化合物である請求項9または10に記載の多孔質体の製造方法。
15.有機化合物が、寒天、アガロース、ゼラチン、アルギン酸塩のうち少なくとも一種類以上からなり、溶媒が水である請求項14に記載の多孔質体の製造方法。
16.溶媒が、界面活性剤を添加した水溶液である請求項15に記載の多孔質体の製造方法。
17.水溶性ポリマーが,フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸塩から選択される少なくとも一種類のものである請求項10に記載の多孔質体の製造方法。
18.ゲル化物質が、極性溶媒中に溶解した金属化合物を酸またはアルカリにより加水分解反応、縮合反応または重合反応により生成したゾル状物質である請求項9または10に記載の多孔質体の製造方法。
19.金属化合物が、金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、酢酸金属塩、カルボン酸金属塩、硝酸金属塩、金属塩化物、及び金属オキシ化合物から選択される少なくとも一種類であり、溶媒が水または水と極性有機溶媒との混合物である請求項18に記載の多孔質体の製造方法。
20.液状ポリマー中に気相法炭素繊維を分散させ、その後に液状ポリマーを発泡させることを特徴とする請求項1に記載の多孔質体の製造方法。
21.液状ポリマーがポリイソシアネート及びポリオールからなる請求項20に記載の多孔質体の製造方法。
22.請求項9乃至21のいずれか1項に記載の製造方法によって得られる多孔質体。
23.請求項1乃至8及び22のいずれか1項に記載の多孔質体にポリマーを含浸させてなることを特徴とする樹脂複合体。
24.ポリマーが、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、及びポリカーボネートから選択される少なくとも一種類からなるポリマーである請求項23に記載の樹脂複合体。
25.請求項1乃至8及び22のいずれか1項に記載の多孔質体にポリマーを含浸させることを特徴とする樹脂複合体の製造方法。
26.請求項1乃至8及び22のいずれか1項に記載の多孔質体に金属を含有させてなることを特徴とする金属複合体。
27.金属が、アルミニウム、マグネシウム、銅、及び銀から選択される少なくとも一種類の金属またはそれらの合金の溶融物である請求項26に記載の金属複合体。
28.請求項1乃至8及び22のいずれか1項に記載の多孔質体に金属を含有させることを特徴とする金属複合体の製造方法。
29.請求項1乃至8及び22のいずれか1項に記載の多孔質体を用いたガス吸収用フィルター。
30.請求項1乃至8及び22のいずれか1項に記載の多孔質体を用いた水ろ過用フィルター。
31.請求項1乃至8及び22のいずれか1項に記載の多孔質体を用いた触媒担体。
発明の実施の形態
[気相法炭素繊維]
本発明で用いる気相法炭素繊維は、不活性ガス、かつ高温雰囲気下に、触媒となる鉄と共にガス化された有機化合物を吹き込むことにより製造することができる(特開平7−150419号公報等)。
気相法炭素繊維は、生成したままでも、例えば生成したものを800〜1500℃で熱処理したものでも、例えば生成したものを2000〜3000℃で黒鉛化処理したもののいずれもが使用可能である。
本発明で用いる気相法炭素繊維は、中空構造を有していることが好ましい。その場合、繊維の円筒部分を構成している炭素層が連続している。中空構造とは炭素層が円筒状に巻いている構造であるが、繊維径は実質的に一定ではない。完全な円筒でない部分、部分的な切断箇所を有する部分、積層した2層の炭素層が1層に結合した部分等を含む。
繊維の断面は完全な円に限らず楕円や多角化のものを含む。さらに繊維表面には、熱分解炭素が析出してできた炭素質物質の存在もある。気相法炭素繊維の製造後、2000℃以上の温度で熱処理を行うことでさらに結晶化度を上げ、導電性を増すことができる。
本発明で用いる気相法炭素繊維は、その結晶内あるいは結晶表面にホウ素が0.001〜5質量%含まれていても良い。ホウ素は炭素繊維の黒鉛化度を促進させる働きがあり、前記熱処理前に気相法炭素繊維にホウ素化合物を添加する。ホウ素化合物としては、例えば、炭化ホウ素(B4C)、酸化ホウ素(B23)、元素状ホウ素、ホウ酸(H3BO3)、ホウ酸塩等が挙げられる。
ホウ素化合物の添加量は、用いるホウ素化合物の化学的特性、物理的特性に依存するために限定されないが、例えば炭化ホウ素(B4C)を使用する場合には、気相法炭素繊維に対して0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の範囲である。ホウ素化合物を添加して熱処理することにより、気相法黒鉛化炭素繊維の炭素の結晶性が向上し、導電性が向上する。
また、ホウ素化合物の代わりにケイ素、アルミニウム、ベリリウム等の化合物を用いることでも、炭素繊維の黒鉛化を促進させることができる。
本発明で使用する気相法炭素繊維は、以下の物性値を有するものが好ましい。
・繊維径:1〜1000nm、好ましくは1〜200nm。
・アスペクト比:5〜15000、好ましくは5〜5000。
・比表面積:2〜2000m2/g、好ましくは10〜1000m2/g。
・ラマン散乱スペクトルの1580cm-1及び1360cm-1のピーク強度比(I1360/I1580):0.1〜2.0、好ましくは0.1〜1.5。
気相法炭素繊維は、好ましくは湾曲部分が少なく直線性が高いものが好ましい。このような炭素繊維は繊維同士の絡み合いが抑えられ、溶媒中、または溶液中に分散させ易い特徴がある。
[多孔質体]
本発明の多孔質体は、ゲルとなる原料(ゲル化物質)の溶液中に気相法炭素繊維を分散させた後、ゲル化させて気相法炭素繊維が分散したゲル状物質(ゲル化物質の溶液をゲル化させて生成したもの)を得、次いで溶媒を除去・乾燥することにより製造することができる。
ゲル化物質としては、有機化合物の他、極性溶媒中に溶解した金属化合物を酸またはアルカリによる加水分解反応、縮合反応または重合反応に付すことにより生成したゾル状物質等を使用することができる。有機化合物としては、例えば、寒天、アガロース、ゼラチン、アルギン酸塩等が挙げられる。金属化合物としては、金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、酢酸金属塩、カルボン酸金属塩、硝酸金属塩、金属塩化物、金属オキシ化合物等が挙げられる。これらは、単独でまたは二種以上組み合わせて用いることができる。
溶媒は特に制限されず、水や各種の有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。ゲル化物質として寒天、アガロース、ゼラチン、アルギン酸塩等の有機化合物を用いる場合には、溶媒は水が好ましい。ゲル化物質として上記ゾル状物質を用いる場合には、溶媒は水または水と極性有機溶媒との混合溶媒が好ましい。ただし、水のように極性の高い溶媒を用いる際には、界面活性剤を併用することが好ましい。用いる界面活性剤の種類は特に制限されるものではないが、例えばドデシルベンゼンスルホン酸塩等を用いることができる。
ゲル物質溶液中への気相法炭素繊維の分散は、マグネティックスターラー等の剪断力をかけない撹拌機、または超音波照射による撹拌により行うことができ、超音波照射による撹拌が好ましい。
また、ゲル化物質の溶液の代わりにゲル流体を用い、それに直接気相法炭素繊維を分散させることもできる。
溶媒の除去は、真空乾燥、凍結乾燥または超臨界抽出による方法が好ましい。
超臨界抽出による溶媒の除去は、溶媒の臨界温度及び臨界圧力を超える温度及び圧力下においた後、圧力を臨界圧力以下に下げることで気液二相とし、溶媒と多孔質体とを分離することで行うことができる。この操作を数回繰り返すことで、完全に溶媒を除去することができる。
多孔質体の強度、化学的特性及び物理的特性は、ゲル状態中に第三成分として水溶性物質を溶解させることにより調整することができる。水溶性物質としては、水溶性であれば物質の種類は制限されないが、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩(ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カルシウムなど)等の水溶性ポリマー(有機化合物)やケイ酸アルカリ塩等の無機化合物を挙げることができる。このような第三成分は、有機化合物の場合は、繊維同士の結着を強める、孔の大きさを制御する、新たな官能基を導入し表面状態を変化させる等の効果がある。無機化合物の場合は、金属元素を導入することにより表面状態を変化させる効果がある。
また、多孔質体の強度、化学的特性及び物理的特性は、ゲル状態中に第三成分として微粒子分散粒子などの結合材を分散させることによっても調整することができる。この微粒子分散粒子は寒天などのゲル化する物質が乾燥する際に形成する特有の多孔質構造を壊さないものであれば良いが、例えばポリテトラフッ化エチレンの微粒子を分散させたフッ素樹脂粒子分散液等が挙げられる。
本発明の多孔質体は、上記の方法以外にも、液状ポリマー中に気相法炭素繊維を分散させ、その後に液状ポリマーを発泡させることによっても、製造することができる。液状ポリマーとしては、ポリイソシアネートとポリオールからなるポリマー等が挙げられる。
多孔質体の用途として、高分子または金属との複合材、各種フィルター、触媒担体が挙げられる。
より緻密で、機械的強度等に優れた複合材を作製するには、なるべく多くの空隙が存在していることが不可欠である。そのため、多孔度は0.50〜0.99の範囲に属していることが望ましい。さらに好ましい多孔度は0.70〜0.99である。多孔度が0.50未満になると空隙の量が少ないことから、マトリックス材料を十分に含浸することができない。
また、各種フィルター及び触媒担体として使用する際にも、単位体積あたりにおける気体または液体との接触頻度を上げることが重要であり、その観点からも多孔度は前述の範囲に属していることが望ましい。
ここで、多孔度とは、全体積(見かけの体積:V0)に対する細孔が占める体積(V)の割合(V/V0)として表される。
また、本発明においては、多孔質体の孔を形成するセル壁面を多孔質構造とすることもできる(図3参照)。セル壁面を多孔質構造とすることにより、特異な物理的効果の発現が期待できる。例えば、触媒担体として使用する際に、触媒の担持量を飛躍的に増やすことができると期待される。
セル壁面を多孔質構造とするには、気相法炭素繊維を分散した液中にフッ素樹脂微粉分散液を添加し、さらに60℃の寒天水溶液を加えて、撹拌、乾燥させることにより実現できる。
多孔質体の比表面積は、5〜1000m2/gの範囲に制御することが望ましい。更に好ましい比表面積は10〜1000m2/gである。比表面積がこれ以上大きくなると、多孔質体そのものの機械的強度を失ってしまったり、マトリックス材料と多孔質体表面との親和が却って十分に起こらず、結果として十分に緻密な複合材を作製できないことの原因となる。
本発明の多孔質体は、高温下で熱処理する場合に、あるいは高温下で使用する場合に、熱による体積収縮が小さいという特徴と有する。体積収縮が大きいと寸法設計が著しく困難となるうえ、体積減少分だけコストが割高になるため経済的観点からも不利となる。本発明の多孔質体を、不活性雰囲気下で100〜1000℃での温度で加熱した場合、その体積収縮率は20%未満に収まり、またその範囲に収まれば実用に十分足りる。
高温下で熱処理することにより、寒天及び添加物の炭素化を進めることができ、それに伴って表面物性、例えば親水性から疎水性へと変化させることができる。また、高温下で熱処理することにより、複合材とした後の水分の蒸発を原因とする複合材の劣化を抑制することができる。
本発明の多孔質体は、その用途に応じて電気抵抗値(体積固有抵抗値)が103Ω・cm未満となるように調整することが好ましい。更に好ましい電気抵抗値は102Ω・cm未満である。
電気抵抗値を下げることは(導電性を上げることは)、例えば気相法炭素繊維の配合量を増加させたり、溶媒除去後に熱処理を行ったり、気相法炭素繊維自体の導電性を向上させたりすること等により行うことができる。ただし、本発明の多孔質体は、炭素繊維同士の繋がりの度合いが高く、高レベルで三次元ネットワークが形成されているため、気相法炭素繊維の配合量を従来ほど高めなくても、電気抵抗値を所望の値まで下げることが可能である。
[複合材料]
上記方法で得た多孔質体を使用して複合材料を製造するには、一般的なマトリックスとなる材料を含浸させる方法で行うことができる。すなわち、マトリックス材料としての溶融状態の樹脂または金属を多孔質体中に含浸または含有させることにより製造することができる。
マトリックスとなる樹脂としては、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリカーボネート等が挙げられる。マトリックスとなる金属としては、例えばアルミニウム、マグネシウム、銅、銀またはそれらの合金の溶融物が挙げられる。
[その他の用途]
本発明の多孔質体は三次元的にネットワークを形成した気相法炭素繊維を含む複合体を製造する用途に有用であるが、その他にも、ガス吸収用フィルター、水ろ過用フィルター、塩素化合物除去用フィルター等のフィルター材料としても使用することができる。さらに触媒、触媒担体、燃料電池のガス透過性多孔質材料としても使用することができる。
以下に本発明について代表的な例を示し、さらに具体的に説明する。なお、これらは説明のための単なる例示であって、本発明はこれらに何等制限されるものではない。
本発明の多孔質体の多孔度、気相法炭素繊維の含有量、比表面積の測定、抵抗値の測定は以下の方法により行った。
多孔度:
立方体または直方体の形で得られた多孔質体の各辺の長さを測定することにより全容量(V0)を算出し、また真密度測定器ウルトラピクノメータ1000(ユアサアイオニクス製)にて多孔質体の真密度を測定し、この数値を逆数にして質量を乗じた数値を全容積(V0)から差し引くことで細孔容積(V)を得、全容積中の細孔容積の割合(V/V0)を算出し、これを多孔度とした。
気相法炭素繊維の含有量:
多孔質体となったときの質量に対する、使用した気相法炭素繊維の質量の割合を、気相法炭素繊維の含有量(%)とした。
比表面積:
多孔質体サンプルを約1〜2mm大に砕いて専用のガラスセルに充填し、比表面積測定装置NOVA−1200(ユアサアイオニクス製)を用いて、一般的な比表面積の測定方法であるBET法により測定した。
体積固有抵抗値:
多孔質体サンプルを正確に5cm×5cm大に切り出し、マイクロメーター(日本測定工具製)を用いて厚さを正確に計測した。次いで抵抗測定器ロレスタHP(MCP−T410型;ダイヤインスツルメンツ製)を用いて四探針法により、体積固有抵抗値を測定した。
実施例1:
精製水50gに寒天1.5gを95℃の加熱下で溶解させ、これをA液とした。一方、精製水75gに、40質量%の濃度のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(アルドリッチ製)を0.45g添加した。これに気相法炭素繊維VGCF(登録商標、昭和電工製;繊維径:150nm、アスペクト比:60、比表面積:13m2/g、ラマンスペクトル強度比:0.15)4.2gを添加し、30分間超音波照射し、さらにマグネティックスターラーで1時間撹拌して分散させ、これをB液とした。
A液を60℃まで冷却した後にB液を加えて混合した。その後、冷凍庫にて−15℃〜−20℃で冷凍状態に置き、ついで、冷凍庫から取り出して凍結乾燥装置(FD−15LI:サンペック製)に入れて水分の乾燥を行い、多孔質体を得た。凍結乾燥法による乾燥は、まず装置内の圧力を減圧して450Pa以下となるように保持し、次いで氷が昇華するように0〜60℃で24時間加熱することにより行った。
得られた多孔質体の多孔度は0.95、気相法炭素繊維含有量は74質量%、比表面積は12m2/g、体積固有抵抗値は130Ω・cmであった。この多孔質体を走査型電子顕微鏡で観察したところ、孔の多いものであることが確認された(図1)。
実施例2:
実施例1で得られた多孔質体を、管状加熱炉にてアルゴンガス10L/min流通下において800℃で1時間熱処理した。得られた多孔質体の多孔度は0.98、気相法炭素繊維含有量は93質量%、比表面積は520m2/g、熱処理時の体積収縮率は13体積%、体積固有抵抗値は40Ω・cmであった。
実施例3:
精製水50gに寒天1.5gを95℃の加熱下で溶解させ、これをA液とした。一方、精製水75gに、40質量%の濃度のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(アルドリッチ製)を0.45g添加した。これに気相法炭素繊維VGCF(登録商標、昭和電工製;繊維径:150nm、アスペクト比:60、比表面積:13m2/g、ラマンスペクトル強度比:0.15)8.5gを添加し、30分間超音波照射し、さらにマグネティックスターラーで1時間撹拌して分散させ、これをB液とした。
A液を60℃まで冷却した後にB液を加えて混合した。その後、冷凍庫にて−15℃〜−20℃で冷凍状態に置き、ついで、冷凍庫から取り出し、実施例1と同様の方法で凍結乾燥を行い、多孔質体を得た。得られた多孔質体の多孔度は0.98、気相法炭素繊維含有量は85質量%、比表面積は13m2/g、体積固有抵抗値は10Ω・cmであった。
実施例4:
精製水50gに寒天1.5gを95℃の加熱下で溶解させ、これをA液とした。一方、精製水75gに、0.45質量%の濃度のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(アルドリッチ製)を0.45g添加した後、水溶性フェノール樹脂(BRL120Z,昭和高分子製)3.9gを溶解させた。その溶液に気相法炭素繊維VGCF(登録商標、昭和電工製;繊維径:150nm、アスペクト比:60、比表面積:13m2/g、ラマンスペクトル強度比:0.15)4.2gを添加し、30分間超音波照射し、さらにマグネティックスターラーで1時間撹拌して分散させ、これをB液とした。
A液を60℃まで冷却した後にB液を加えて混合した。ついで、冷凍庫にて冷凍させ、実施例1と同様に凍結乾燥法により水を乾燥させた。
その後、管状加熱炉を用い、アルゴンガス10L/min流通下において800℃1時間の熱処理を行い、多孔質体を得た。得られた多孔質体の多孔度は0.98、気相法炭素繊維含有量は93質量%、比表面積は72m2/g、熱処理時の体積収縮率は15体積%、体積固有抵抗値は40Ω・cmであった。
実施例5:
精製水50gに寒天1.5gを95℃の加熱下で溶解させ、これをA液とした。一方、精製水75gに、40質量%の濃度のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(アルドリッチ製)を0.45g加えた後、珪酸ナトリウム(純正化学製)を40質量%の濃度に溶解させた水溶液6.5gを加えた。その溶液に気相法炭素繊維VGCF(登録商標、昭和電工製;繊維径:150nm、アスペクト比:60、比表面積:13m2/g、ラマンスペクトル強度比:0.15)4.2gを添加、30分間超音間照射し、さらにマグネティックスターラーで1時間撹拌して分散させ、これをB液とした。
A液を60℃まで冷却した後にB液を加えて混合した。次いで、冷凍庫にて冷凍させ、実施例1と同様に凍結乾燥法により水を乾燥させた。
その後、管状加熱炉を用い、アルゴンガス10L/min流通下において800℃1時間の熱処理を行い、多孔質体を得た。得られた多孔質体の多孔度は0.98、気相法炭素繊維含有量は38質量%、比表面積は5m2/g、熱処理時の体積収縮率は5体積%、体積固有抵抗値は125Ω・cmであった。この多孔質体を走査型電子顕微鏡で観察したところ、孔の多いものであることが確認された(図2)。また多孔質体の孔壁表面も多孔質構造をなしていた(図3)。
実施例6:
精製水50gに寒天1.5gを加え95℃の加熱下で溶解させ、これをA液とした。一方、精製水45gに気相法炭素繊維VGCF(登録商標、昭和電工製;繊維径:150nm、アスペクト比:60、比表面積:13m2/g、ラマンスペクトル強度比:0.15)3gを添加し、30分間超音間照射した。その溶液にフッ素樹脂粒子分散液(MDF PTFE30−J(60質量%の分散質);三井・デュポンフルオロケミカル製)を5g加え、これをB液とした。
A液を60℃まで冷却させた後に、B液を混合し撹拌した。その後、冷凍庫にて−15℃〜−20℃で冷凍状態におき、実施例1と同様に凍結乾燥法により水を乾燥させた。
その後、管状加熱炉を用い、アルゴンガス10L/min流通下において400℃、1時間の熱処理を行い、多孔質体を得た。得られた多孔質体の多孔度は0.96、気相法炭素繊維含有量は47質量%、比表面積は7m2/g、体積収縮率は2体積%、体積固有抵抗値は50Ω・cmであった
実施例7:
精製水50gに寒天1.5gを加え95℃の加熱下で溶解させ、これをA液とした。一方、精製水45gに気相法炭素繊維VGCF(登録商標、昭和電工製;繊維径:150nm、アスペクト比:60、比表面積:13m2/g、ラマンスペクトル強度比:0.15)3gを添加し、30分間超音間照射した。その溶液にフッ素樹脂粒子分散液(MDF PTFE30−J(60質量%の分散質);三井・デュポンフルオロケミカル製)を10g加え、これをB液とした。
A液を60℃まで冷却させた後に、B液を混合し撹拌した。その後、冷凍庫にて−15℃〜−20℃で冷凍状態におき、実施例1と同様に凍結乾燥法により水を乾燥させた。
その後、管状加熱炉を用い、アルゴンガス10L/min流通下において400℃1時間の熱処理を行い、多孔質体を得た。得られた多孔質体の多孔度は0.95、気相法炭素繊維含有量は32質量%、比表面積は4m2/g、体積収縮率は19体積%、体積固有抵抗値は65Ω・cmであった。
実施例8:
精製水50gに寒天1.5gを加え95℃の加熱下で溶解させ、これをA液とした。一方、精製水45gに気相法炭素繊維VGCF(登録商標、昭和電工製;繊維径:150nm、アスペクト比:60、比表面積:13m2/g、ラマンスペクトル強度比:0.15)3gを添加し、30分間超音間照射した。その溶液にフッ素樹脂粒子分散液(MDF PTFE30−J(60質量%の分散質);三井・デュポンフルオロケミカル製)を30g加え、これをB液とした。
A液を60℃まで冷却させた後に、B液を混合し撹拌した。その後、冷凍庫にて−15℃〜−20℃で冷凍状態におき、実施例1と同様に凍結乾燥法により水を乾燥させた。
その後、管状加熱炉を用い、アルゴンガス10L/min流通下において400℃1時間の熱処理を行い、多孔質体を得た。得られた多孔質体の多孔度は0.91、気相法炭素繊維含有量は14質量%、比表面積は3m2/g、体積収縮率は19体積%、体積固有抵抗値は110Ω・cmであった。
実施例9:
精製水50gに寒天1.5gを加え95℃の加熱下で溶解させ、これをA液とした。一方、精製水45gに気相法炭素繊維VGCF(登録商標、昭和電工製;繊維径:150nm、アスペクト比:60、比表面積:13m2/g、ラマンスペクトル強度比:0.15)3gを添加し、30分間超音間照射した。その溶液にフッ素樹脂粒子分散液(MDF PTFE30−J(60質量%の分散質);三井・デュポンフルオロケミカル製)を50g加え、これをB液とした。
A液を60℃まで冷却させた後に、B液を混合し撹拌した。その後、冷凍庫にて−15℃〜−20℃で冷凍状態におき、実施例1と同様に凍結乾燥法により水を乾燥させた。
その後、管状加熱炉を用い、アルゴンガス10L/min流通下において400℃、1時間の熱処理を行い、多孔質体を得た。得られた多孔質体の多孔度は0.70、気相法炭素繊維含有量は10質量%、比表面積は2m2/g、体積収縮率は8体積%、体積固有抵抗値は400Ω・cmであった。
比較例1:
特表平9−505266号公報に記載の方法に従って、以下の操作を行った。
精製水50gに寒天1.5gを加え95℃の加熱下で溶解させ、これをA液とした。一方、精製水45gにフッ素樹脂粒子分散液(MDF PTFE30−J(60質量%の分散質);三井・デュポンフルオロケミカル製)5gを添加し、これをB液とした。
A液を60℃まで冷却させた後に、B液を混合し撹拌した。その後、冷凍庫にて−15℃〜−20℃で冷凍状態におき、実施例1と同様に凍結乾燥法により水を乾燥させた。
その後、管状加熱炉を用い、アルゴンガス10L/min流通下において400℃1時間の熱処理を行い、多孔質体を得た。得られた多孔質体の多孔度は0.73、比表面積は1m2/g、体積収縮率は90体積%、体積固有抵抗値は1010Ω・cm以上であった。この多孔質体を走査型電子顕微鏡で観察したところ、実施例1乃至9と比較して、孔壁が明らかに厚かった(図4)。
比較例2:
特表平9−505266号公報に記載の方法に従って、以下の操作を行った。
精製水50gに寒天1.5gを加え95℃の加熱下で溶解させ、これをA液とした。一方、精製水40gにフッ素樹脂粒子分散液(MDF PTFE30−J(60質量%の分散質);三井・デュポンフルオロケミカル製)10gを添加し、これをB液とした。
A液を60℃まで冷却させた後に、B液を混合し撹拌した。その後、冷凍庫にて−15℃〜−20℃で冷凍状態におき、実施例1と同様に凍結乾燥法により水を乾燥させた。
その後、管状加熱炉を用い、アルゴンガス10L/min流通下において400℃1時間の熱処理を行い、多孔質体を得た。得られた多孔質体の多孔度は0.75、比表面積は1m2/g、体積収縮率は85体積%、体積固有抵抗値は1010Ω・cm以上であった。
比較例3:
精製水50gに寒天1.5gを95℃の加熱下で溶解させ、これをA液とした。一方、精製水75gに、40質量%の濃度のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(アルドリッチ製)を0.45g溶解させた水溶液を調製し、これをB液とした。
A液を60℃まで冷却した後にB液を加えて混合した。その後、冷凍庫にて−15℃〜−20℃で冷凍状態に置き、実施例1と同様に凍結乾燥法により水を乾燥、多孔質体を得た。得られた多孔質体の多孔度は0.98、体積固有抵抗値は1010Ω・cm以上であった。
実施例1〜9及び比較例1〜3の結果を表1にまとめて示す。
Figure 0005335174
実施例10:
実施例1に記載の多孔質体100gを金属容器に入れて280℃で溶融させたポリカーボネートパンライト(帝人化成製)96gを流し込んだ。これを真空ガス置換炉KDF−V50R(デンケン製)で加熱しながら3時間真空引き(10-1Pa)を行うことで、多孔質体へポリカーボネートを含浸させた樹脂複合材を得た。得られた樹脂複合材について抵抗測定器ロレスタHP(MCP−T410型;ダイヤインスツルメンツ製)を用い、四探針法により体積固有抵抗値を測定し、560Ω・cmの値を得た。
実施例11:
実施例2に記載の多孔質体100gを用いた以外は実施例10と同様にして、樹脂複合材を得た。実施例10と同様の方法で体積固有抵抗値を測定し、620Ω・cmの値を得た。
実施例12:
実施例4に記載の多孔質体100gを用いた以外は実施例10と同様にして、樹脂複合材を得た。実施例10と同様の方法で体積固有抵抗値を測定し、500Ω・cmの値を得た。
比較例4:
混練・押出装置ラボプラストミル(東洋精機製)の装置内を280℃に加熱しながら、ポリカーボネートパンライト(帝人化成製)960gと気相法炭素繊維VGCF(登録商標、昭和電工製;繊維径:150nm、アスペクト比:60、比表面積:13m2/g、ラマンスペクトル強度比:0.15)40gを混練、押出すことで樹脂複合材を得た。実施例10と同様の方法で体積固有抵抗値を測定し、2.3×1014Ω・cmの値を得た。
比較例5:
混練・押出装置ラボプラストミル(東洋精機製)の装置内を280℃に加熱しながら、ポリカーボネートパンライト(帝人化成製)900gと気相法炭素繊維VGCF(登録商標、昭和電工製;繊維径:150nm、アスペクト比:60、比表面積:13m2/g、ラマンスペクトル強度比:0.15)100gを混練、押出すことで樹脂複合材を得た。実施例10と同様の方法で体積固有抵抗値を測定し、1.6×108Ω・cmの値を得た。
比較例6:
混練・押出装置ラボプラストミル(東洋精機製)の装置内を280℃に加熱しながら、ポリカーボネートパンライト(帝人化成製)700gと気相法炭素繊維VGCF(登録商標、昭和電工製;繊維径:150nm、アスペクト比:60、比表面積:13m2/g、ラマンスペクトル強度比:0.15)300gを混練、押出すことで樹脂複合材を得た。実施例10と同様の方法で体積固有抵抗値を測定し、7.3×104Ω・cmの値を得た。
実施例10〜12及び比較例4〜6の結果を表2にまとめて示す。
Figure 0005335174
本発明の多孔質体及びその製造方法によれば、多孔質体中に含まれる気相法炭素繊維の繊維長が温存され、かつ三次元的なネットワークが形成されるので、それを使用して得られる複合材は、従来の複合材の製造方法で製造したものよりも少量の気相法炭素繊維で導電性付与等の添加効果を発現できる。また、気相法炭素繊維を含む多孔質体とすることにより、熱処理時における体積収縮を抑制できる。
実施例1で生成した多孔質体の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例5で生成した多孔質体の走査型電子顕微鏡写真である。 図2の孔壁面を拡大した走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1で生成した多孔質体の走査型電子顕微鏡写真である。

Claims (8)

  1. 気相法炭素繊維を含むゲル状物質から生成される多孔質体であって、セル壁面がさらに多孔質構造となっている多孔質体。
  2. 気相法炭素繊維を10〜95質量%含む請求項1に記載の多孔質体。
  3. 気相法炭素繊維が、繊維径1〜1000nm、アスペクト比5〜15000、比表面積2〜2000m2/g、ラマン散乱スペクトルの1580cm-1及び1360cm-1のピーク強度比(I1360/I1580)0.1〜2.0である請求項1または2に記載の多孔質体。
  4. 気相法炭素繊維の結晶内あるいは結晶表面にホウ素が0.001〜5質量%含有されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多孔質体。
  5. 全体積(V0)に対する細孔が占める体積(V)の割合として表される多孔度(V/V0)が0.50〜0.99である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の多孔質体。
  6. 比表面積が5〜1000m2/gである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の多孔質体。
  7. 電気抵抗値が103Ω・cm未満である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の多孔質体。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の多孔質体を用いた触媒担体。
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