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JP5322647B2 - ウイルス感染の治療及び予防のためのシクロスポリンaのアリールアルキル及びヘテロアリールアルキル誘導体 - Google Patents

ウイルス感染の治療及び予防のためのシクロスポリンaのアリールアルキル及びヘテロアリールアルキル誘導体 Download PDF

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JP5322647B2 JP2008533791A JP2008533791A JP5322647B2 JP 5322647 B2 JP5322647 B2 JP 5322647B2 JP 2008533791 A JP2008533791 A JP 2008533791A JP 2008533791 A JP2008533791 A JP 2008533791A JP 5322647 B2 JP5322647 B2 JP 5322647B2
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スシネキス インク
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Description

本願は、Houckらが、「ウイルス感染の治療及び予防のためのアリールアルキル及びヘテロアリールアルキル化合物(ARYLALKYL AND HETEROARYLALKYL COMPOUNDS FOR THE TREATMENT AND PREVENTION OF VIRAL INFECTION)」という名称で、2005年9月30日出願した米国特許仮出願第60/722,678号の優先権を主張する。上記参照の出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
(1.発明の分野)
本発明は、ウイルス感染の治療又は予防を必要とする対象において、ウイルス感染の治療又は予防で使用するためのシクロスポリン化合物、及びそれから調製される医薬組成物を提供する。いくつかの態様では、本発明は、3−アリールアルキル及び3−ヘテロアリールアルキル置換シクロスポリン化合物を提供する。該化合物は、例えばHIV及び/又はC型肝炎感染を治療する本発明の方法に有用である。該方法は、感染を治療又は予防するのに有効な量の本発明の化合物を、それを必要とする対象に投与することを含むことができる。
(2.背景)
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)やC型肝炎ウイルス(HCV)などのウイルス性病原体によって引き起こされる感染に冒された世界の人口の割合は、かなり高く、増大しつつある。このような感染の治療のためのレジメンがいくつか開発され、様々に成功している。例えば、インターフェロン単剤又はリバビリンとの組合せでの処置は、HCVの根絶で知られている唯一の有効な方法である。しかし、インターフェロンは、対象集団の約33〜46%においてしか、ウイルスを根絶することができない。残りの対象の場合には、効果がなく、或いは一時的効果しかもたらさない。したがって、インターフェロンの代わりに又はそれと同時に使用する抗HCV薬が大いに期待して待たれる。さらに、今日までより多くのHIV治療法が開発されているが、HIV感染は、世界中で死亡率の主な原因であり続けている。北米だけで最高100万、世界中では最高4千万の人がHIVに感染していると推定される。
このようなウイルス感染が世界の人口に影響する限り、その拡大に対処するための新規で有効な化合物が必要とされている。
(3.発明の要旨)
本発明は、HIVやHCVなどのウイルスによる感染を治療又は予防する上で有用な化合物クラスを提供する。本発明の態様では、化合物は、3−アリールアルキル基又は3−ヘテロアリールアルキル基を含むシクロスポリン誘導体である。3−アリールアルキル基及び3−ヘテロアリールアルキル基の例を下記に詳述する。
一態様では、本発明は、治療上有効量の一般式(I)の3−アリールアルキル又は3−ヘテロアリールアルキルシクロスポリン化合物、又はその医薬として許容し得る塩を投与することを含む方法を提供する:
Figure 0005322647
(式中、
Aは、(E)−CH=CHCHR又は−CHCHCHRであり、Rは、水素、−SH、チオアルキル、カルボキシル、又はアルコキシカルボニルを表し;
Bは、エチル、1−ヒドロキシエチル、イソプロピル、又はn−プロピルであり;
は−Y−Arを表し;
は、イソブチル又は2−ヒドロキシイソブチルを表し;
Xは、−S(O)−又は酸素を表し;
Yは、直鎖又は分枝状のC1〜6アルキレン、C2〜6アルケニレン、又はC2〜6アルキニレンを表し;
Arは、
同じでも異なってもよい1〜5個のR基によって任意に置換されているフェニル;
或いは同じでも異なってもよい1つ以上のR基によって任意に置換されている複素環を表し、前記複素環は環炭素原子を介してY基に結合しており;
は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルキル、C1〜6ハロアルコキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、−NR、及び−NR(CHNRからなる群から選択され;
及びRは、同じでも異なってもよく、それぞれ:
水素;
1つ以上のハロゲンによって任意に置換されている、1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルキル;
2〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルケニル又はアルキニル;
1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルキルによって任意に置換されている、3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキルを表し;
或いはRとRは、それらが結合している窒素と一緒になって、4〜6個の環原子を含む飽和又は不飽和の複素環を形成し、この環は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択された別のヘテロ原子を任意に含んでもよく、アルキル、フェニル、及びベンジルからなる群から選択された同じでも異なってもよい1〜4個の基によって任意に置換されていてもよく;
は、水素、又は1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルキルを表し;
nは0、1、又は2であり;
mは2〜4の整数であり;
ハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを表す。)。
いくつかの場合には、置換基A、B、R、及びRは、光学及び/又は立体異性に寄与することができる。このような形はすべて、本発明によって包含される。
医薬として許容し得る塩の例としては、アルカリ金属、例えばナトリウム、カリウム若しくはリチウム、又はアルカリ土類金属、例えばマグネシウム若しくはカルシウムとの塩、アンモニウム塩、或いは窒素塩基、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、メチルアミン、プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−ベンジルフェネチルアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジフェニレンジアミン、ベンズヒドリルアミン、キニン、コリン、アルギニン、リシン、ロイシン、又はジベンジルアミンとの塩を挙げることができる。
医薬として許容し得る酸との付加塩の例としては、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、若しくはリン酸、又は有機酸、例えばコハク酸、フマル酸、酒石酸、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、イセチオン酸、若しくはエンボン酸或いはこれらの化合物の置換誘導体で形成される塩を挙げることができる。いくつかの実施態様では、塩は、コハク酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、及びプロピオン酸塩である。
したがって、特定の態様では、本発明は、本明細書に記載する化合物の新規塩を提供する。いくつかの実施態様では、本発明は、式Iの化合物の塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、及びエンボン酸塩からなる群から選択された塩を提供する。いくつかの実施態様では、塩は、コハク酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、及びプロピオン酸塩からなる群から選択される。
さらなる態様では、本発明は、安全域が改善された、HCVに対する活性を有する3−アリールアルキル又は3−ヘテロアリールアルキルシクロスポリン化合物を提供する(すなわち、有効なHCV制御をもたらすのに必要とされた化合物の用量レベルと毒性を産生する用量レベルとの差異)。
さらなる態様では、本発明は、安全域が改善された、HIVに対する活性を有する3−アリールアルキル又は3−ヘテロアリールアルキルシクロスポリン化合物を提供する(すなわち、有効なHIV制御をもたらすのに必要とされた化合物の用量レベルと毒性を産生する用量レベルとの差異)。
さらなる態様では、本発明は、それを必要とする対象において、HCV感染を治療又は予防する方法を提供する。またさらなる態様では、本発明は、それを必要とする対象において、HIV感染を治療又は予防する方法を提供する。さらに別の態様では、本発明は、それを必要とする対象において、HCV及びHIVの感染を治療又は予防する方法を提供する。本発明のこれらの方法は、一般に感染を治療又は予防するのに有効な量の本発明の化合物を対象に投与する段階を含む。
別の態様では、本発明は、対象において、C型肝炎ウイルス感染を治療又は予防する方法を提供する。特定の態様では、本発明の方法は、それを必要とする対象に、C型肝炎ウイルスに対する治療係数が高い3−アリールアルキル又は3−ヘテロアリールアルキルシクロスポリン化合物の有効量を投与することを含む。治療係数、すなわち細胞毒性濃度とウイルス抑制濃度との比を下記に詳述する。
別の態様では、本発明は、対象において、HIV感染を治療又は予防する方法を提供する。特定の態様では、本発明の方法は、それを必要とする対象に、HIVに対する治療係数が高い3−アリールアルキル又は3−ヘテロアリールアルキルシクロスポリン化合物の有効量を投与することを含む。治療係数、すなわち細胞毒性濃度とウイルス抑制濃度との比を下記に詳述する。
別の態様では、本発明は、対象において、HIVウイルス感染及びC型肝炎ウイルス感染を治療又は予防する方法を提供する。特定の態様では、本発明の方法は、それを必要とする対象に、C型肝炎ウイルス及びHIVに対する治療係数が高い3−アリールアルキル又は3−ヘテロアリールアルキルシクロスポリン化合物の有効量を投与することを含む。治療係数、すなわち細胞毒性濃度とウイルス抑制濃度との比を下記に詳述する。
本明細書で一般式(I)の化合物が言及されている場合、このような言及は、適切な場合、一般式(I)の化合物の医薬として許容し得る酸又は塩基との塩も包含するよう意図されていることを理解されたい。
(4.例示的実施態様の説明)
本発明は、3−アリールアルキル、3−ヘテロアリールアルキル基、又は3−シクロヘテロアルキル−アルキル基を含むシクロスポリン化合物を提供する。本発明は、それを必要とする対象においてHCV及び/又はHIV感染を治療又は予防する方法、並びにこのような方法に有用な医薬組成物及び剤形も提供する。該方法及び組成物を下記のセクションで詳述する。
(4.1 定義)
本発明の化合物及び複合体を述べる場合、下記の用語は、別段の指示のない限り下記の意味を有する。
「シクロスポリン」は、当業者に周知の任意のシクロスポリン化合物、又はその誘導体を指す。例えば、Rueggerらの論文、1976, Helv. Chim. Acta. 59:1075-92; Borelらの論文、1977, Immunology 32:1017-25を参照のこと。それら内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本発明の例示的化合物は、シクロスポリン誘導体である。別段の注記のない限り、本明細書に記載するシクロスポリンはシクロスポリンAであり、本明細書に記載するシクロスポリン誘導体はシクロスポリンAの誘導体である。
「アシル」は、−C(O)R基(式中、Rは、本明細書に定義する水素、アルキル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルである)を指す。代表例としては、ホルミル、アセチル、シクロヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチルカルボニル、ベンゾイル、ベンジルカルボニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
「アルキル」は、具体的には約11個までの炭素原子、より具体的には低級アルキルとして1〜8個の炭素原子、さらにより具体的には1〜6個の炭素原子を有する1価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。炭化水素鎖は、直鎖状でも分枝状でもよい。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、tert−オクチルなどの基によって例示される。用語「低級アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を指す。
「アルキレン」は、具体的には約11個までの炭素原子、より具体的には1〜6個の炭素原子を有する、2価飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指し、これらは直鎖状でも分枝状でもよい。この用語は、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、プロピレン異性体(例えば、−CHCHCH−及び−CH(CH)CH−)などの基によって例示される。
「アルケニル」は、いくつかの実施態様では、約11個までの炭素原子、具体的には2〜8個の炭素原子、さらにより具体的には2〜6個の炭素原子を有する1価オレフィン性不飽和ヒドロカルビル基を指し、これらは直鎖状でも分枝状でもよく、少なくとも1個、具体的には1〜2個のオレフィン性不飽和部位を有する。特定のアルケニル基には、エテニル(−CH=CH)、n−プロペニル(−CHCH=CH)、イソプロペニル(−C(CH)=CH)、ビニル、及び置換ビニルなどが含まれる。
「アルケニレン」は、具体的には約11個までの炭素原子、より具体的には2〜6個の炭素原子を有する2価のオレフィン性不飽和ヒドロカルビル基を指し、これらは直鎖状でも分枝状でもよく、少なくとも1個、具体的には1〜2個のオレフィン性不飽和部位を有する。この用語は、エテニレン(−CH=CH−)、プロペニレン異性体(例えば、−CH=CHCH−、及び−C(CH)=CH−、及び−CH=C(CH)−)などの基によって例示される。
「アルキニル」は、具体的には約11個までの炭素原子、より具体的には2〜6個の炭素原子を有するアセチレン性不飽和ヒドロカルビル基を指し、これらは直鎖状でも分枝状でもよく、少なくとも1個、具体的には1〜2個のアルキニル不飽和部位を有する。アルキニル基の特定の非限定的な例としては、アセチレニック、エチニル(−C≡CH)、プロパルギル(−CHC≡CH)などが挙げられる。
「アルコキシ」は、−OR基(式中、Rは、アルキルである)を指す。特定のアルコキシ基には、例としてメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1,2−ジメチルブトキシなどが含まれる。
「アルキルアミノ」は、アルキル−NR’−基(式中、R’は水素及びアルキルから選択される)を指す。
「アリールアミノ」は、アリール−NR’−基(式中、R’は水素、アリール、及びヘテロアリールから選択される)を指す。
「アルコキシカルボニル」は、−C(O)−アルコキシ基(式中、アルコキシは本明細書に定義する通りである)を指す。
「アミノ」は、−NH基を指す。
「アリール」は、親芳香族環系の単一の炭素原子から水素原子1個を除去することに由来する1価の芳香族炭化水素基を意味する。典型的なアリール基としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as−インダセン、s−インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ−2,4−ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどに由来する基が挙げられるが、これらに限定されない。
「ヘテロ」は化合物又は化合物上に存在する基を記述するために使用される場合、化合物又は基の1個以上の炭素原子が窒素、酸素、又は硫黄のヘテロ原子で置換されていることを意味する。ヘテロは、1〜5個、特に1〜3個のヘテロ原子を有する、アルキル、例えばヘテロアルキル、アリール、例えばヘテロアリールなど、上記に記載するヒドロカルビル基のいずれにも適用することができる。
「ヘテロ環」又は「複素環」は、当業者に周知の任意のヘテロ環を意味する。本発明では、ヘテロ環は、当業者によって認められるようなヘテロアリール基又はシクロヘテロアルキル基とすることができる。
「アリールアルキル」は、別段の指定のない限り、一般に上記に定義する1個以上のアリール基で置換されている上記に定義するアルキル、アルケニル、又はアルキニル基を意味する。別段の指定のない限り、「アリールアルキル」は飽和アルキル基に限定されるべきでない。むしろ、この用語は、好都合に一般的な意味で使用されて、X−Rにおける置換基を意味する。
「カルボキシ」は、−C(O)OH基を指す。
「ジアルキルアミノ」は、−NRR’基(式中、R及びR’は独立に、本明細書に定義するアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、置換シクロヘテロアルキル、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリール基を表す)を意味する。
「ハロゲン」又は「ハロ」は、クロロ、ブロモ、フルオロ、又はヨードを指す。
「ヒドロキシ」は、−OH基を指す。
「ニトロ」は、−NO基を指す。
「チオアルコキシ」は、−SR基(式中、Rはアルキルである)を指す。
「スルファニル」は、HS−基を指す。「置換スルファニル」は、RS−などの基(式中、Rは本明細書に記載する任意の置換基である)を指す。いくつかの実施態様では、「置換スルファニル」は、−SR基(式中、Rは、本明細書に定義するように任意に置換されていてもよい本明細書に定義するアルキル又はシクロアルキル基である)を指す。代表例としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオなどが挙げられるが、これらに限定されない。
「スルフィニル」は−S(O)H基を指す。「置換スルフィニル」はS(O)−Rなどの基(式中、Rは本明細書に記載する任意の置換基である)を指す。
「スルホニル」は、2価の−S(O)−基を指す。「置換スルホニル」は、−S(O)−Rなどの基(式中、Rは本明細書に記載する任意の置換基である)を指す。特定の実施態様では、Rは、H、低級アルキル、アルキル、アリール、及びヘテロアリールから選択される。
「医薬として許容し得る塩」は、その生物学的特性を保持し、毒性ではない、又はその逆に薬剤用途に望ましくない本発明の化合物の任意の塩を指す。このような塩は、当技術分野で周知の様々な有機及び無機の対イオンから誘導することができ、これらを含む。このような塩には、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンチルプロピオン酸、グリコール酸、グルタル酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ピクリン酸、ケイ皮酸、マンデル酸、フタル酸、ラウリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウ酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、安息香酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、キナ酸、ムコン酸、及び同様な酸など、有機酸又は無機酸で形成された酸付加塩;或いは(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、(a)金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、若しくはアルミニウムイオン、又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化亜鉛、及び水酸化バリウムなどアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニアで置換され、又は(b)アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレン−ジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、N−メチルグルカミンピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、水酸化テトラメチルアンモニウムなど、脂肪族、脂環式、若しくは芳香族の有機アミンなどの有機塩基と配位結合する場合に形成された塩が含まれる。
塩には、例にすぎないが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどがさらに含まれ、化合物が塩基性官能基を含む場合は、ヒドロハライド塩、例えば塩酸塩及び臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン酸塩、シクロペンチルプロピオン酸塩、グリコール酸塩、グルタール酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、ソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸塩、ピクリン酸塩、ケイ皮酸塩、マンデル酸塩、フタル酸塩、ラウリン酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、エタンスルホン酸塩、1,2−エタン−ジスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、4−クロロベンゼンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、4−トルエンスルホン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸塩、グルコヘプトン酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、トリメチル酢酸塩、tert−ブチル酢酸塩、ラウリル硫酸塩、グルコン酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、キナ酸塩、ムコン酸塩など、非毒性の有機酸又は無機酸の塩が含まれる。
用語「生理的に許容し得るカチオン」は、酸性官能基の非毒性の生理的に許容し得るカチオン性対イオンを指す。このようなカチオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、モノ、ジ、トリ及びテトラアルキルアンモニウムカチオンなどによって例示される。
「溶媒和物」は、非共有結合性分子間力で結合した化学量論量又は非化学量論量の溶媒をさらに含む本発明の化合物又はその塩を指す。溶媒が水である場合、溶媒和物は水和物である。
同じ分子式を有するが、その原子の結合の性質若しくは配列、又はその原子の空間的な配置が異なる化合物は、「異性体」と名付けられていることを理解されたい。その原子の空間的な配置が異なる異性体は、「立体異性体」と名付けられている。
互いの鏡像でない立体異性体は、「ジアステレオマー」と名付けられ、互いの重ねることができない鏡像であるものは、「エナンチオマー」と名付けられている。化合物が不斉中心を有する場合、例えば4個の異なる基に結合している場合、一対のエナンチオマーがあり得る。エナンチオマーは、その不斉中心の絶対配置を特徴とすることができ、Cahn及びPrelogの規則に従って(R)又は(S)が指定され(Cahnら、1966, Angew. Chem. 78:413-447, Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 5:385- 414(訂正: Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 5:511); Prelog及びHelmchen, 1982, Angew. Chem. 94:614-631, Angew. Chem. Internat. Ed. Eng. 21:567-583; Mata及びLobo, 1993, Tetrahedron: Asymmetry 4:657-668)、或いは分子が偏光面を回転させる方式を特徴とすることができ、右旋性又は左旋性(すなわち、それぞれ(+)−又は(−)−異性体)が指定される。キラル化合物は、個々のエナンチオマー又はその混合物として存在することができる。等しい比率のエナンチオマーを含む混合物は、「ラセミ混合物」と呼ばれる。
いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を有することができる。このような化合物は、したがって個々の(R)−若しくは(S)−エナンチオマー、又はその混合物として生成され得る。例えば式の任意の位置における立体化学の表示によって別段の指示のない限り、明細書及び特許請求の範囲の特定の化合物の説明又は呼称は、個々のエナンチオマーと、そのラセミ又はその他の混合物とを包含するものである。立体化学の決定方法及び立体異性体の分離方法は、当技術分野で周知である。特定の実施態様では、本発明は、塩基での処置時に本明細書に示す化合物の立体異性体を提供する。
いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、「立体化学的に純粋」である。立体化学的に純粋な化合物は、当業者によって「純粋」と認識されるはずの立体化学的純度レベルを有する。言うまでもなく、この純度レベルは、100%未満である。いくつかの実施態様では、「立体化学的に純粋」は、代替となる異性体を実質的に含まない化合物を表す。特定の実施態様では、化合物は、他の異性体を85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、又は99.9%含まない。
「サルコシン」又は「Sar」は、−N(Me)CHC(O)−の構造を有する当業者に周知のアミノ酸残基を指す。当業者は、サルコシンをN−メチルグリシンと認識する。
本明細書に使用される用語「対象」及び「患者」を本明細書では同義に使用する。用語「対象」及び「複数の対象」は、動物、例えば非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット、及びマウス)及び霊長類(例えば、カニクイザル、チンパンジーなどのサル、及びヒト)を含めた、ヒトなどの哺乳類を指す。一実施態様では、対象は、C型肝炎感染の現治療方法に対して不応性又は非応答性である。別の実施態様では、対象は、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ブタなど)又はペット(例えば、イヌ又はネコ)である。一実施態様では、対象はヒトである。
本明細書では、用語「治療剤」及び「複数の治療剤」は、障害又は1つ以上のその症状の治療又は予防で使用することができる任意の作用剤を指す。特定の実施態様では、用語「治療剤」は本発明の化合物を指す。特定の他の実施態様では、用語「治療剤」は本発明の化合物を意味しない。一実施態様では、治療剤は、障害又は1つ以上のその症状の治療、管理又は予防に有用であることが知られており、或いはそのために使用されたことがあり、又は現在使用されている作用剤である。
「治療上有効量」は、対象に疾患を治療するために投与する場合、疾患に対してこのような治療をもたらすのに十分な量の化合物又は複合物又は組成物を意味する。「治療上有効量」は、とりわけ化合物、疾患及びその重症度、並びに治療される対象の年齢、体重などに応じて異なり得る。
任意の疾患又は障害の「治療する」又は「治療」は、一実施態様では、対象に存在する疾患又は障害を改善することを指す。別の実施態様では、「治療する」又は「治療」は、対象によっては識別不可能である可能性がある少なくとも1つの物理的パラメータを改善することを指す。さらに別の実施態様では、「治療する」又は「治療」は、疾患又は障害を身体的に(例えば、識別可能な症状の安定化)又は生理的に(例えば、物理的パラメータの安定化)又は両方で調節することを指す。さらに別の実施態様では、「治療する」又は「治療」は、疾患又は障害の発症を遅延させることを指す。
本明細書で使用される用語「予防剤」及び「複数の予防剤」は、障害又は1つ以上のその症状の予防で使用することができる任意の作用剤を指す。特定の実施態様では、用語「予防剤」は本発明の化合物を指す。いくつかの他の実施態様では、用語「予防剤」は本発明の化合物を意味しない。一実施態様では、予防剤は、障害の発症、発現、進行、及び/又は重症度の予防若しくは妨害に有用であることが知られており、或いはその予防若しくは妨害のために使用されたことがあり、又は現在使用されている作用剤である。
本明細書では、用語「予防する」、「予防している」、及び「予防」は、治療剤(例えば、予防剤又は治療剤)の投与、又は治療剤の組合せ(例えば、予防剤又は治療剤の組合せ)の投与に起因する、対象における障害の1つ以上の症状の再発、発症、又は発現の予防を指す。
本明細書では、語句「予防上有効量」は、障害を伴う1つ以上の症状の発現、再発、又は発症の予防をもたらす(或いは、別の治療剤(例えば、別の予防剤)の予防効果を向上又は改善する))のに十分である治療剤(例えば、予防剤)の量を指す。
本明細書では、「組み合わせて」という用語は、2以上の治療薬(例えば、1つ以上の予防剤及び/又は治療剤)の使用を意味する。「組み合わせて」という用語の使用は、障害の対象に療法剤(例えば、予防剤及び/又は治療剤)が投与される順序を限定しない。第1の療法剤(例えば、本発明の化合物などの予防剤又は治療剤)を、障害の対象に第2の療法剤(例えば、予防剤又は治療剤)の投与の前(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間前)、同時、又は後(例えば、5分、15分、30分、45分、1時間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、96時間、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、又は12週間後)に投与することができる。
本明細書では、「相乗的な」という用語は、治療薬の相加効果より有効である、本発明の化合物と、障害を予防、管理、若しくは治療するために使用されてきたか又は現在使用されている別の治療薬(例えば、予防剤又は治療剤)との組合せを意味する。治療薬の組合せ(例えば、予防剤又は治療剤の組合せ)の相乗効果によって、1つ以上の治療薬の用量を削減しかつ/又は前記治療薬の障害の対象への投与頻度を低減して使用することが可能になる。治療薬(例えば、予防剤又は治療剤)の削減された用量を利用しかつ/又は前記治療薬を低減された投与頻度で投与する能力によって、障害の予防若しくは治療における前記治療薬の有効性を低減することなく前記治療薬の対象への投与に伴う毒性が低減される。さらに、相乗効果は、障害の予防又は治療における作用剤の有効性の改善をもたらすことができる。最後に、治療薬の組合せ(例えば、予防剤又は治療剤の組合せ)の相乗効果によって、どちらかの治療薬の単独使用に付随する有害な副作用又は望ましくない副作用を回避又は低減することができる。
用語「ラベル」は、物品の直接容器上の記載物、印刷物、又は図示物の表示物、例えば医薬として活性な薬剤を含有するバイアルに表示された記載物を指す。
用語「ラベリング」は、任意の物品、又は任意のその容器若しくは包装物上の、或いはこのような物品に添付されたすべてのラベル及び他の記載物、印刷物、若しくは図示物、例えば医薬として活性な薬剤の容器に添付された又は付随した添付文書又は指示ビデオテープ若しくはDVDを指す。
(4.2 本発明の実施態様)
本発明は、HIV及び/又はHCV感染の治療及び予防を必要とする対象における、HIV及び/又はHCV感染の治療及び予防に有効である本発明の化合物の発見に幾分基づいている。したがって、本発明は、てHIV及び/又はHCV感染の治療を必要とする対象において、HIV及び/又はHCV感染を治療するための化合物及びその使用方法を提供する。本発明は、HIV及び/又はHCV感染の予防を必要とする対象において、HIV及び/又はHCV感染を予防するためのその使用方法をさらに提供する。一般に、本発明の方法は、それを必要とする対象にHIV及び/又はHCV感染の治療又は予防に有効な量の本発明の化合物を投与する段階を含む。治療方法を下記のセクションで詳述する。化合物は、下記のセクションで詳述するような本発明の任意の化合物とすることができる。いくつかの実施態様では、化合物は、下記のセクションで詳述するような医薬組成物又は剤形の形態である。
任意の特定の作動理論に拘泥するものではないが、本発明の化合物は、現在のHCV療法の機構とは異なる機構によってC型肝炎ウイルス(HCV)複製を阻害すると考えられる。HCVの現療法は、前述のように、インターフェロンとリバビリンの同時投与である。現療法は、対象の免疫系を調節して、HCVによる感染を治療又は予防することによって作用すると考えられる。本発明の化合物は、宿主におけるHCV複製で重要な細胞過程を調節又は阻害することによって作用すると考えられる。このような機構を下記の実施例で述べる。本発明の化合物、組成物、及び方法は、新規機構で作用して、HCV感染の治療又は予防のための新規療法をもたらす。したがって、これらは、HCVに感染しているか、又はHCV感染のリスクがある任意の対象、具体的には、現療法に応答したことのない対象に有利である。
(4.2.1 本発明の化合物)
いくつかの実施態様では、本発明は、例えば、HIV及び/又はHCV感染の治療又は予防を必要とする対象における、HIV及び/又はHCV感染の治療又は予防に有用な化合物を提供する。別段の注記のない限り、本明細書では、用語「シクロスポリン」は、当業者に周知の化合物シクロスポリンAを指す。例えば、Rueggerらの論文、1976, Helv. Chim. Acta. 59:1075-92; Borelらの論文、1977, Immunology 32:1017-25を参照のこと。その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。用語「シクロスポリン化合物」は、天然、合成、又は半合成であろうと、HIV及び/又はHCV感染に対抗する活性を有する任意のシクロスポリン化合物を指す。
特定の実施態様では、シクロスポリン化合物は、当業者に周知の通り、シクロスポリンAと3位、すなわち、N−メチルグリシン位において異なる。特定の実施態様では、シクロスポリン化合物は3−アリールアルキル又は3−ヘテロアリールアルキルシクロスポリンである。シクロスポリン化合物は、当業者に公知の他のシクロスポリン修飾体をさらに含むことができる。特定の実施態様では、シクロスポリンは、さらに4−γ−ヒドロキシメチルロイシン残基を含む。したがって、特定の実施態様では、シクロスポリン化合物は、3−アリールアルキル、4−γ−ヒドロキシメチルロイシンである。特定の実施態様では、シクロスポリン化合物は、3−ヘテロアリールアルキル、4−γ−ヒドロキシメチルロイシンである。
特定の実施態様では、本発明は、対象においてC型肝炎感染を治療又は予防する方法であって、対象に治療上又は予防上有効量の一般式(I)のシクロスポリン化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を投与することを含む方法を提供する。
Figure 0005322647
式(I)において、A、B、X、R、及びRは、上記に定義する通りである。
特定の実施態様では、Aは(E)−CH=CHCHRである。さらなる実施態様では、Aは−CHCHCHRである。一実施態様では、Aは(E)−CH=CHCHRである。特定の実施態様では、Rは水素である。特定の実施態様では、Rは−SH、チオアルキル、カルボキシル、又はアルコキシカルボニルを表す。
特定の実施態様では、Bはエチルである。
一実施態様では、Xは酸素又は硫黄である。特定の実施態様では、Xは酸素である。さらなる実施態様では、Xは硫黄である。
特定の実施態様では、Yは、1〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルキレンである。特定の実施態様では、Yはメチレン又はエチレンである。さらなる特定の実施態様では、Yはメチレンである。
式(I)のArに関して、適切な複素環基としては、最高10個の原子を有し、その5個までが酸素、窒素、及び硫黄から選択されている単環式又は二環式環構造が挙げられる。具体的には、複素環は、5又は6個の原子を有し、その3個までが酸素、窒素、及び硫黄から選択されている芳香族複素環基である。このような複素環の例としては、フリル、チエニル、ピリル(Pyrryl)、ピラゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チオジアゾリル、オキサトリアゾリル、ジオキサゾリル、オキサチアゾリル、オキサチオール、ジオキシニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピペラジニル、オキサジニル、イソキサジニル、オキサチアジニル、アゼピニル、オキセピニル、チエピニル、ジアゼピニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、イミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドレニニル、イソベンズアゾリル、イソインダゾリル、インドキサジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾピラニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、ピリドピリジニル、ピラニル、チオピラニル、クロメニル、ベンズオキサジニル、及びベンズイソオキサジニルが挙げられる。
特定の実施態様では、Arは、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1又は2個のR基によって任意に置換されていてもよい。
特定の実施態様では、Arは、1個のR基によって任意に置換されていてもよいフェニル;又は5若しくは6個の環原子と、窒素、硫黄、及び酸素から選択された同じでも異なってもよい1若しくは2個のヘテロ原子とを含む不飽和複素環である。特定の実施態様では、複素環としては、チオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル、フラン−3−イル、及びフラン−2−イルが挙げられる。
特定の実施態様では、Rはイソブチルである。
特定の実施態様では、RはC1〜4ハロアルコキシである。
一実施態様では、ハロゲンは、フルオロ、クロロ、又はブロモである。他の実施態様では、ハロゲンはフルオロ又はクロロである。
一実施態様では、本発明は、上記の式(I)の化合物を提供する。式中、Aは(E)−CH=CHCHRであり;Rは水素であり、Bはエチルであり、Xは酸素又は硫黄であり、Yはメチレンであり、Arは1個のR基によって任意に置換されていてもよいフェニルであり、或いはArはチオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル、フラン−3−イル、又はフラン−2−イルであり、Rはイソブチルであり;Rはトリフロオロメトキシである。
本明細書で提供される方法及び組成物で使用される例示的化合物は、下記に列挙するシクロスポリン化合物である:
A 3−ベンジルチオシクロスポリン
B 3−ベンジルオキシシクロスポリン
C 3−[(チオフェン−2−イル)メトキシ]シクロスポリン
D 3−[(フラン−2−イル)メトキシ]シクロスポリン
E 3−[(フラン−3−イル)メトキシ)シクロスポリン
F 3−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジルオキシ]シクロスポリン
G 3−[(チオフェン−3−イル)メトキシ]シクロスポリン
これ以降、化合物の文字A〜Gを使用する。
特定の実施態様では、本発明は、対象においてHIV及び/又はHCV感染を治療又は予防する方法であって、それを必要とする対象に、有効量の化合物A〜Gからなる群から選択された本発明の化合物、又はその医薬として許容し得る塩を投与することによる方法を提供する。
特定の実施態様では、本発明によるシクロスポリン誘導体(式中、Rは、1個以上のR基で置換されており、Rは、−NR又は−NR(CHNRであり、R、R、及びRは上記に定義する通りである)を、公知の方法で酸を用いて酸付加塩に変換することができる。これらの塩も、本発明の範囲内に入ることが理解される。本発明の例示的な塩及びその調製方法を、下記のセクションに記載する。
本発明の有用な実施態様では、化合物は純粋形態である。純度は、絶対純度、立体化学的純度、又は両方など、当業者に公知の任意の純度とすることができる。特定の実施態様では、本発明の化合物の純度は、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%である。特定の実施態様では、本発明の化合物の純度は、少なくとも90%である。本発明のさらなる実施態様では、化合物の純度は、少なくとも98%である。本発明の化合物の精製方法を下記に記載する。
(4.2.2 本発明の化合物の調製)
本発明の化合物を、当業者に自明の任意の方法で調製、単離、又は得ることができる。例示的な調製方法は、下記の実施例で詳述する。
式に表れている符号が具体的には定義されていない下記の説明では、これらの符号は、本明細書において各符号の最初の定義に従って「上記に定義する通り」であると理解されるべきである。下記のプロセスの説明では、一連の操作を異なる順序で行うことがあり、かつ求められている化合物を実現するためには適切な保護基を必要とすることがあると理解されるべきである。
本発明の特徴によれば、一般式(I)の化合物(式中、Xは硫黄である)は、対応する一般式(I)の化合物(式中、Xは水素である)を強塩基で処理して、ポリアニオンを生成し、続いてポリアニオンを硫黄求電子剤で処理して、−S−Ar基を導入することによって調製することができる。このような硫黄求電子剤の例としては、式Ar−S−S−Arのジスルフィド類又は式Ar−S−Hal(式中、Halはハロゲンである)のスルフェニルハライドが挙げられる。通常は、不活性雰囲気(例えば、窒素又はアルゴン)中、低温(例えば、−80〜−60℃又は−80〜−33℃)で、不活性溶媒、具体的にはテトラヒドロフラン、ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル、及びジエチルエーテルなどの非プロトン性溶媒中で反応を実施する。有効な塩基の例としては、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、LDA/n−ブチルリチウム、ナトリウムアミド/アンモニア、及びリチウムN,N−トリメチルシリルアミン/塩化セシウムが挙げられる。硫黄求電子剤を添加した後、ワークアップの前に、温度を徐々に周囲条件まで上げる。
本発明のさらなる特徴によれば、一般式(I)の化合物(式中、Xは酸素である)は、対応する式(I)の化合物(式中、Xは硫黄である)を、適切な溶媒中、過剰の式Ar−(アルキレン)−OHの適切なアルコールで処理することによって調製することができる。反応は一般にブレンステッド酸によって起こり、テトラヒドロフランやジオキサンなどの不活性溶媒の存在下、高温(50〜60℃)で行われる。プロトン供与酸の例としては、硫酸、塩酸、トルエンスルホン酸、及びカンファースルホン酸が挙げられる。
本発明のさらなる特徴によれば、一般式(I)の化合物(式中、Xは−S(O)であり、nは1又は2である)は、対応する式(I)の化合物(式中、Xは硫黄である)を、不活性溶媒中、0℃〜溶媒の還流温度の温度で、例えばメタ−クロロ過安息香酸を使用して酸化することによって調製することができる。有機スルフィド類は、有機又は無機の酸化剤を使用してスルホキシド類又はスルホン類に酸化することができる。この変換には、重要な酸化剤の中でも、過酸化水素、クロム酸、硝酸、二酸化マンガン、オゾン、過酸類、二酸化セレン、過ヨウ素酸ナトリウム、超原子価ヨウ素試薬類、過ホウ酸ナトリウム、及び四酸化二窒素が使用される。クロロホルムやジクロロメタンなどのハロゲン化溶媒、又はハロゲン化溶媒とアルコールとの混合溶媒が通常使用される。Sc(OTf)やVO(acac)などの金属触媒が、酸化を促進するために使用されている。尿素−過酸化水素を使用して、過酸化水素を置換することができる。スルホキシド類は、不均一条件下、相間移動触媒を使用した、過ヨウ素酸ナトリウムによるスルフィド類の酸化によって調製することもできる。
式(I)の化合物(式中、−XRは水素によって置換されている)、並びに式Ar−S−S−Ar、Ar−S−Hal、及びAr−OHの化合物は文献では公知であり、或いは公知の方法、例えば米国特許第5,977,067号;第5,994,299号;第6,583,265号、又は国際特許公開第WO99/32512号、第WO99/67280号に記載されている方法の適応によって調製することができる。それらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
さらに、米国特許第5,977,067号;第5,994,299号、第5,948,884号、及び第6,583,265号、並びにPCTの国際公開第WO99/32512号、国際公開第WO99/67280号に記載されている方法に従って、3位がチオエーテル又はエーテル基によって置換されているシクロスポリンを調製することができる。これらの参考文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
合成した後、シクロスポリン化合物を精製するための当業者に自明の任意の技法によって、化合物を精製することができる。特定の実施態様では、本発明の化合物をクロマトグラフィーで精製する。例えば、本発明の化合物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して精製することができる。HPLC精製の有用な例は以下の通りである:5−μmの逆相固定相(オクタデシル−シラン又はオクタ−シラン)を含む10mm(d)×50mm(l)の寸法のHPLCカラムを、0.1%のギ酸、50〜90%の水、及び50〜10%のアセトニトリルを含む移動相で平衡化する。重要なことは、カラムを、少なくとも65℃に、又は潜在的に85℃までに加熱する。移動相を10〜16mL/分で流し、60℃に加熱する。約5〜25mgのシクロスポリン化合物を、0.1〜0.8mLの溶媒、例えばジメチルスルホキシドでカラムに装填する。移動相の流れを維持し、その組成物を、20〜60分間かけて最高90%又は100%のアセトニトリルの直線勾配で調整する。蒸発光散乱検出及び/又は可変紫外検出を使用して波長設定205〜215nmにおいて、化合物ピークを検出する。化合物ピークを移動相中に回収し、移動相を真空中で除去する。試料を真空中で十分に乾燥し、NMR、IR、及びHPLC−MSで分析して、同一性及び純度を決定する。
(4.2.3. 本発明の化合物の医薬塩)
上記に述べる通り、本発明のシクロスポリン化合物は、中性の形態又は塩の形態とすることができる。塩の形態は、当業者に公知の任意の塩の形態とすることができる。特に有用な塩の形態は、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、クロリド、メタンスルホン酸塩、又はプロピオン酸塩と配位結合するものである。
本発明の化合物、例えば本発明の化合物が塩基性部分で置換されている場合、酸付加塩を形成することができる。酸付加塩を調製するのに使用することができる酸には、遊離塩基と組み合わせた場合、医薬として許容し得る塩、すなわち塩の医薬用量においてそのアニオンが対象に非毒性である塩を生成するものが含まれる。本発明の範囲内の医薬として許容し得る塩は、下記の酸に由来するものである:塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、及び硝酸などの鉱酸;並びに酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンチルプロピオン酸、グリコール酸、グルタル酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ピクリン酸、ケイ皮酸、マンデル酸、フタル酸、ラウリン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタン−ジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウ酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、tert−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、安息香酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、キナ酸、ムコン酸、及び同様な酸などの有機酸。
対応する酸付加塩には、ヒドロハライド塩、例えば塩酸塩及び臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、プロピオン酸塩、ヘキサン酸塩、シクロペンチルプロピオン酸塩、グリコール酸塩、グルタール酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、ソルビン酸塩、アスコルビン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸塩、ピクリン酸塩、ケイ皮酸塩、マンデル酸塩、フタル酸塩、ラウリン酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、エタンスルホン酸塩、1,2−エタン−ジスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、4−クロロベンゼンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、4−トルエンスルホン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸塩、グルコヘプトン酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、トリメチル酢酸塩、tert−ブチル酢酸塩、ラウリル硫酸塩、グルコン酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、キナ酸塩、ムコン酸塩などが含まれる。
本発明のさらなる特徴によれば、本発明の化合物の酸付加塩は、公知の方法の応用又は適用により遊離塩基と適切な酸との反応によって調製することができる。例えば、本発明の化合物の酸付加塩は、水性若しくは水性アルコール溶液、又は適切な酸を含有する他の適切な溶媒に、遊離塩基を溶解し、溶液を蒸発させることによって塩を単離することによって、或いは遊離の塩基及び酸を有機溶媒中で反応させ、その場合に塩が直接分離し、又は溶液の濃縮によって得られることによって、調製することができる。
本発明の化合物の酸付加塩、例えば本発明の化合物は、公知の方法の応用又は適用により、塩から再生することができる。例えば、本発明の親化合物は、その酸付加塩からアルカリ、例えば重炭酸ナトリウム水溶液又はアンモニア水溶液での処置によって再生することができる。
本発明の化合物が酸部分で置換されている場合、塩基付加塩を形成することができる。例えばアルカリ及びアルカリ土類金属塩を含めて、本発明の範囲内の医薬として許容し得る塩は、下記の塩基に由来するものである:水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、水酸化亜鉛、水酸化バリウム、及びアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレン−ジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、N−メチルグルカミンピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)−アミノメタン、水酸化テトラメチルアンモニウムなど、脂肪族、脂環式、又は芳香族の有機アミンなどの有機アミン。
本発明の化合物の金属塩、例えば本発明の化合物は、選択された金属の水素化物、水酸化物、炭酸塩、又は同様な反応性化合物を、水性又は有機溶媒中で遊離酸の形態の化合物と接触させることによって得ることができる。使用する水性溶媒は、水とすることができ、或いは水と有機溶媒、好ましくはメタノール又はエタノールなどのアルコール、アセトンなどのケトン、テトラヒドロフランなどの脂肪族エーテル、又は酢酸エチルなどのエステルとの混合物とすることができる。通常は、このような反応を周囲温度で実施するが、望むなら加熱して実施することができる。
本発明の化合物のアミン塩、例えば本発明の化合物は、アミンを、水性又は有機溶媒中で遊離酸の形態の化合物と接触させることによって得ることができる。適切な水性溶媒には、水、及び水とメタノールやエタノールなどのアルコール、テトラヒドロフランなどのエーテル、アセトニトリルなどのニトリル、又はアセトンなどのケトンとの混合物が含まれる。アミノ酸塩を同様に調製することができる。
本発明の化合物の塩基付加塩、例えば本発明の化合物は、公知の方法の応用又は適用により塩から再生することができる。例えば、本発明の親化合物は、その塩基付加塩から酸、例えば塩酸での処置により再生することができる。
(4.2.4 医薬組成物及び投与方法)
特定の実施態様では、本発明の方法で使用するシクロスポリン化合物は、少なくとも1つの一般式(I)の化合物を、適切な場合には塩の形態で、単独、或いは希釈剤又はアジュバントなどの1つ以上の相溶性かつ医薬として許容し得る担体との、又は別の抗HCV剤との組合せの形態で含有する医薬組成物を使用して提供される。臨床では、本発明のシクロスポリン化合物を、任意の通常の経路、具体的には経口、非経口、直腸、又は吸入(例えば、エアゾールの形態)で投与することができる。一実施態様では、本発明のシクロスポリン化合物は、経口投与する。
経口投与用の固体組成物として、錠剤、丸剤、硬質ゼラチンカプセル剤、散剤、又は顆粒剤を使用することができる。これらの組成物では、本発明による活性製品をスクロース、ラクトース、又はデンプンなどの1つ以上の不活性希釈剤又はアジュバントと混合する。
これらの組成物は、希釈剤以外の物質、例えばステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、又は制御放出のためのコーティングを含むことができる。
経口投与用の液体組成物として、水や流動パラフィンなどの不活性な希釈剤を含有する医薬として許容し得る液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、及びエリキシル剤を使用することができる。これらの組成物は、希釈剤以外の物質、例えば湿潤、甘味、又は矯味製品も含むことができる。
非経口投与用の組成物は、乳剤又は無菌溶液とすることができる。溶媒又はビヒクルとして、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、具体的にはオリーブ油、又は注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルを使用することができる。これらの組成物は、アジュバント、具体的には湿潤剤、等張化剤、乳化剤、分散剤、及び安定化剤も含有することができる。滅菌は、いくつかの方式、例えば細菌フィルターを使用して、放射線又は加熱によって実施することができる。これらは、無菌の固体組成物の形で調製することもでき、使用時に無菌水又は任意の他の注射可能な無菌の媒体で溶解することができる。
直腸投与用の組成物は、活性成分に加えて、カカオ脂、半合成グリセリド、又はポリエチレングリコールなどの賦形剤を含有する坐剤又は直腸カプセル剤である。
組成物は、エアゾール剤とすることもできる。液体エアゾール剤の形態で使用する場合、組成物は、安定な無菌溶液又は固体組成物とすることができ、使用時に非発熱性の無菌水、生理食塩水又は任意の他の医薬として許容し得るビヒクルで溶解する。直接吸入することを意図したドライエアゾール剤の形態で使用する場合、活性成分を微細化し、水溶性の固体希釈剤又はビヒクル、例えばデキストラン、マンニトール、若しくはラクトースと組み合わせる。
一実施態様では、本発明の組成物は、医薬組成物又は単回投与剤形である。本発明の医薬組成物及び単回投与剤形は、予防上又は治療上有効量の1つ以上の予防剤又は治療剤(例えば、本発明の化合物、又は他の予防剤若しくは治療剤)、及び通常は1つ以上の医薬として許容し得る担体又は賦形剤を含む。特有の実施態様及びこの文脈では、用語「医薬として許容し得る」は、動物、さらに具体的にはヒトにおいて使用するために、連邦又は州政府の規制官庁によって承認され、或いは米国薬局方又は他の一般に認められている薬局方に列挙されていることを意味している。用語「担体」は、治療薬と共に投与する希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全及び不完全))、賦形剤、又はビヒクルを指す。このような医薬担体は、落花生油、大豆油、鉱物油、ゴマ油など、石油、動物、植物、又は合成由来のものを含めて、水及び油などの無菌の液体とすることができる。一実施態様では、医薬組成物を静脈内投与する場合、医薬担体は水である。生理食塩水溶液、並びにデキストロース及びグリセロール水溶液を、液体担体、具体的には注射可能な溶剤として使用することもできる。適切な薬剤担体の例は、E. W. Martinの「レミントンの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」に記載されている。
典型的な医薬組成物及び剤形は、1つ以上の賦形剤を含む。適切な賦形剤は、調剤技術分野の技術者に周知であり、適切な賦形剤の非限定的な例としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、ドライスキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。特定の賦形剤が医薬組成物又は剤形への組込みに適しているかどうかは、当技術分野で周知の様々な要因に依存する。この要因には、剤形が対象に投与される方式、及び剤形の特異的活性材料が含まれるが、これらに限定されない。組成物又は単回投与剤形は、望むなら少量の湿潤剤若しくは乳化剤、又はpH緩衝剤を含有することもできる。
本発明のラクトース不含組成物は、当技術分野で周知であり、例えば米国薬局方(USP)SP(XXI)/NF(XVI)に列挙されている賦形剤を含むことができる。一般に、ラクトース不含組成物は、医薬として相溶でき、かつ医薬として許容し得る量の活性成分、結合剤/充填剤、及び滑沢剤を含む。例示的なラクトース不含剤形は、活性成分、微結晶セルロース、アルファ化デンプン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
本発明は、水が一部の化合物の崩壊を促進する恐れがあるので、活性成分を含む無水医薬組成物及び剤形をさらに包含する。例えば、水の添加(例えば、5%)が、経時的な製剤の貯蔵寿命又は安定性などの諸特性を決定するために長期貯蔵をシミュレートする手段として、医薬技術分野で広く受け入れられている。例えば、Jens T. Carstensen、「薬物安定性:原理&慣例(Drug Stability: Principles & Practice)」、第2版, Marcel Dekker, NY, NY, 1995, pp. 379 80を参照のこと。実際には、水と熱が一部の化合物の分解を促進する。したがって、一般的に製剤の製造、取扱い、包装、貯蔵、輸送、及び使用中に水分及び/又は湿気に遭遇するので、水が製剤に及ぼす影響は、極めて重大となる可能性がある。
本発明の無水医薬組成物及び剤形は、無水成分又は低水分含有成分、及び低水分又は低湿度の条件を用いて調製することができる。ラクトースと、第一級又は第二級アミンを含む少なくとも1つの活性成分とを含む医薬組成物及び剤形は、製造、包蔵、及び/又は貯蔵中に、水分及び/又は湿気との実質的な接触が予想される場合、無水であることが好ましい。
無水医薬組成物を、その無水性が維持されるように調製し貯蔵すべきである。一実施態様では、無水組成物は、適切な処方キットに含むことができるように水への曝露を防止することが知られている材料を使用して包装する。適切な包装の例としては、密封箔、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスター包装、及びストリップ包装が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明は、活性成分の分解速度を下げる1つ以上の化合物を含む医薬組成物及び剤形をさらに含む。本明細書では「安定剤」と呼ばれるこのような化合物には、アスコルビン酸などの酸化防止剤、pH緩衝剤、又は塩緩衝剤が含まれるが、これらに限定されない。
医薬組成物及び単回投与剤形は、溶剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性製剤などの形態をとることができる。経口製剤には、医薬等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的担体が含まれ得る。対象に適切に投与するための形態を提供するために、このような組成物及び剤形は、予防上又は治療上有効量の予防剤又は治療剤を、特定の実施態様では精製した形態で、適切な量の担体と共に含有するであろう。製剤は投与モードに適するべきである。一実施態様では、医薬組成物又は単回投与剤形は、無菌で、対象、一実施態様では動物対象、例えば哺乳類の対象、例えばヒト対象などに投与するための適切な形態である。
本発明の医薬組成物は、その意図された投与経路に適合できるように調剤される。投与経路の例としては、非経口、例えば静脈内、皮内、皮下、筋肉内、皮下、経口、口腔内、舌下、吸入、鼻腔内、経皮、局所、経粘膜、腫瘍内、滑膜内、及び直腸投与が挙げられるが、これらに限定されない。特有の実施態様では、ルーチンの手順に従って、ヒトへの静脈内、皮下、筋肉内、経口、鼻腔内、又は局所投与に適合している医薬組成物として、組成物を調剤する。一実施態様では、ルーチンの手順に従って、ヒトへの皮下投与用に医薬組成物を調剤する。通常は、静脈内投与用の組成物は、無菌の等張緩衝水溶液である。必要な場合には、組成物は、可溶化剤、及びリグノカムネなど注射部位における痛みを軽減するための局所麻酔薬も含むことができる。
剤形の例としては、錠剤;カプレット剤;軟質弾性ゼラチンカプセル剤などのカプセル剤;カシェ剤;トローチ剤;ロゼンジ;分散剤;坐剤;軟膏;パップ剤(湿布剤);ペースト剤;散剤;包帯剤;クリーム;貼付剤;液剤;貼付剤;エアゾール剤(例えば、スプレー式点鼻薬又は吸入剤);ゲル;懸濁剤(例えば、水性若しくは非水性液体懸濁剤、水中油型乳剤、又は油中水型液体乳剤)、液剤、及びエリキシル剤などの、対象への経口又は粘膜投与に適した液体剤形;対象への非経口投与に適した液体剤形;並びに対象への非経口投与に適した液体剤形をもたらすように再構成することができる無菌の固体(例えば、結晶質又は非晶質の固体)が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の剤形の組成物、形状、及びタイプは、通常はその使用に応じて異なる。例えば、ウイルス感染の初期治療で使用する剤形では、含まれている活性成分のうちの1つ以上を、同じ感染の維持治療で使用される剤形より多量に含有することができる。同様に、非経口剤形では、含まれている活性成分の1つ以上を、同じ疾患又は障害を治療するために使用される経口剤形より少量含有することができる。本発明によって包含される特有の剤形が互いに異なる上記及びその他の方式は、当業者に容易に明らかであろう。例えば、「レミントンの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第20版、Mack Publishing, ペンシルバニア州Easton(2000)を参照のこと。
一般に、本発明の組成物の成分を別々に供給し、或いは単位剤形で例えば活性剤の量を指示するアンプル又はサシェットなどの密封容器中の凍結乾燥散剤又は水不含濃縮物として一緒に混合する。組成物を注入投与しなければならない場合、無菌の医薬等級の水又は生理食塩水が入っている注入ボトルを用いて分注することができる。組成物を注射投与する場合、投与する前に成分を混合することができるように、注射用の無菌水又は生理食塩水を含むアンプルを提供することができる。
本発明の典型的な剤形は、本発明の化合物、又はその医薬として許容し得る塩、溶媒和物、若しくは水和物を約0.1mg〜約1000mg/日の範囲内で含み、午前中に1日1回の単回投与又は1日を通して分割投与として与えられ、食物と共に服用される。本発明の特定の剤形は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1.0、2.0、2.5、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、100、200、250、500、又は1000mgの活性シクロスポリンを有する。
(4.2.4.1 経口剤形)
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、錠剤(例えば、咀嚼錠)、カプレット剤、カプセル剤、及び液剤(例えば、香料シロップ剤)などであるがこれらに限定されない個別の剤形として与えることができる。このような剤形は、所定量の活性成分を含有し、当業者に公知の調剤方法で調製することができる。一般には、「レミントンの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第20版、Mack Publishing, ペンシルバニア州Easton(2000)を参照のこと。
特定の実施態様では、経口剤形は固体であり、上記のセクションで詳述するように、無水条件下で無水成分を用いて調製する。しかし、本発明の範囲は、無水の固体経口剤形を超えて拡大する。したがって、さらなる形態を本明細書に記載する。
よく混じった混合物中の活性成分を、通常の医薬配合技法に従って少なくとも1つの賦形剤と組み合わせることによって、本発明の典型的な経口剤形を調製する。賦形剤は、投与に望まれた調製の形に応じて広範囲の形態をとることができる。例えば、経口液体又はエアゾール剤形での使用に適した賦形剤には、水、グリコール、オイル、アルコール、矯味剤、防腐剤、及び着色剤が含まれるが、これらに限定されない。固体経口剤形(例えば、散剤、錠剤、カプセル剤、及びカプレット剤)での使用に適した賦形剤の例としては、デンプン、砂糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、及び崩壊剤が挙げられるが、これらに限定されない。
錠剤及びカプセル剤は、その投与が容易であるので、最も有利な経口投与単位形態を表し、この場合、固体賦形剤を使用する。望むなら、錠剤を標準的な水性又は非水性技法で被覆することができる。このような剤形は、調剤方法のいずれかによって調製することができる。一般に、活性成分を液体担体、微細化固体担体、又は両方と均一にかつ緊密に混和し、次いで必要なら、生成物を所望の提示品に造形することによって、医薬組成物及び剤形を調製する。
例えば、圧縮又は成形によって、錠剤を調製することができる。圧縮錠剤は、粉末又は顆粒など、易流動性の形の活性成分を、賦形剤と任意に混合して適切な機械で圧縮することによって調製することができる。不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化化合物の混合物を適切な機械で成形することによって、成形錠剤を作製することができる。
本発明の経口剤形で使用することができる賦形剤の例としては、結合剤、充填剤、崩壊剤、及び滑沢剤が挙げられるが、これらに限定されない。医薬組成物及び剤形での使用に適した結合剤には、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、又は他のデンプン、ゼラチン;アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギナート、トラガカント粉末、グアーゴムなどの天然及び合成のゴム;セルロース及びその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、No.2208、2906、2910)、微結晶セルロース、並びにそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で開示されている医薬組成物及び剤形での使用に適した充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒又は粉末)、微結晶セルロース、粉末化セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物中の結合剤又は充填剤は、通常は医薬組成物又は剤形の約50〜約99重量パーセントで存在する。
適切な形の微結晶セルロースには、AVICEL PH 101、AVICEL PH 103、AVICEL RC 581、AVICEL PH 105(FMC Corporation, American Viscose Division, Avicel Sales, ペンシルバニア州Marcus Hookから入手可能)、及びそれらの混合物として販売されている材料が含まれるが、これらに限定されない。特有の結合剤は、AVICEL RC 581として販売されている微結晶セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物である。適切な無水又は低水分の賦形剤又は添加剤には、AVICEL PH 103(商標)及びStarch 1500 LMが含まれる。
崩壊剤を本発明の組成物で使用して、水性環境に曝露されたとき崩壊する錠剤を提供する。多すぎる崩壊剤を含有する錠剤は、貯蔵中に崩壊する恐れがあり、少なすぎる場合は、所望の速度で又は所望の条件下で崩壊しない恐れがある。したがって、活性材料の放出を不利益に変更する程多すぎることも少なすぎることもない十分な量の崩壊剤を使用して、本発明の固体経口剤形を形成すべきである。崩壊剤の使用量は、製剤の種類に基づいて変わり、当業者に容易に識別可能である。典型的な医薬組成物は、約0.5〜約15重量パーセントの崩壊剤、具体的には約1〜約5重量パーセントの崩壊剤を含む。
本発明の医薬組成物及び剤形で使用することができる崩壊剤には、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモ又はタピオカのデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ゴム、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
本発明の医薬組成物及び剤形で使用できる滑沢剤には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、軽鉱物油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。追加の滑沢剤には、例えばサイロイドシリカゲル(AEROSIL 200、米国メリーランド州BaltimoreのW.R.Grace Co.によって製造)、合成シリカの凝固エアロゾル(米国テキサス州PlanoのDegussa Co.によって市販)、CAB O SIL(米国マサチューセッツ州ボストンのCabot Co.によって販売されている発熱性二酸化ケイ素製品)、及びそれらの混合物が含まれる。滑沢剤を使用するにしても、通常は滑沢剤が組み込まれる医薬組成物又は剤形の約1重量パーセント未満の量でしか使用しない。
(4.2.5 遅延放出剤形)
本発明の化合物などの活性成分は、当業者に周知の制御放出手段又は送達装置によって投与することができる。例としては、参照によりそれぞれ本明細書に組み込まれる米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;並びに第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、第5,639,480号、第5,733,566号、第5,739,108号、第5,891,474号、第5,922,356号、第5,972,891号、第5,980,945号、第5,993,855号、第6,045,830号、第6,087,324号、第6,113,943号、第6,197,350号、第6,248,363号、第6,264,970号、第6,267,981号、第6,376,461号、第6,419,961号、第6,589,548号、第6,613,358号、及び第6,699,500号に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。このような剤形を使用して、例えばヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透析膜、浸透圧系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、マイクロスフェア、又はそれらの組合せを使用して、1つ以上の活性成分の緩徐放出又は制御放出をもたらし、様々な比率の所望の放出プロファイルをもたらすことができる。本明細書に記載するものをなどの当業者に公知の適切な制御放出製剤を、本発明の活性成分と共に使用するために容易に選択することができる。したがって、本発明は、制御放出に適応する錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ、及びカプレット剤などであるが、これらに限定されない、経口投与に適した単回投与剤形を包含する。
制御放出医薬製品はすべて、その非制御対応物によって実現されるものより薬物療法を改善させるという共通の目的を有している。理想的には、最適に設計された制御放出製剤の医療における使用は、最低限の薬物物質を使用して最少量の時間で病態を治癒又は制御することを特徴とする。制御放出製剤の利点には、薬物活性の拡張、投与頻度の低減、及び対象の服薬遵守の向上が含まれる。さらに、制御放出製剤を使用して、作用の発現時間、又は薬物血中レベルなど他の特性に影響を及ぼすことができ、したがって副(例えば、有害)作用の出現に影響を及ぼすことができる。
制御放出製剤の多くは、最初に所望の治療効果を即座に生じるある一定量の薬物(活性成分)を放出し、別の量の薬物を徐々にかつ連続的に放出して、このレベルの治療又は予防効果を長期にわたって維持するように設計されている。身体における薬物のレベルをこの一定レベルに維持するためには、薬物を、代謝され身体から排出される量の薬物に置換する速度で剤形から放出しなければならない。活性成分の制御放出を、pH、温度、酵素、水、又は他の生理的状態、又は化合物に限定されないがこれらを含めて様々な条件によって刺激することができる。
特定の実施態様では、静脈内注入、植込み型浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソーム、又は他の投与モードを使用して、薬物を投与することができる。一実施態様では、ポンプを使用することができる(Sefton、CRC Crit.Ref. Biomed Eng. 14:201(1987); Buchwaldら、Surgery 88:507(1980); Saudekらの論文、N. Engl. J. Med. 321:574(1989)を参照のこと)。別の実施態様では、ポリマー材料を使用することができる。さらに別の実施態様では、放出制御システムを、当業者によって決定された、対象の適切な部位に配置することができ、すなわち、したがって全身用量の一部分しか必要としない(例えば、Goodson、「放出制御の医薬応用(Medical Applications of Controlled Release)」, vol. 2, pp. 115-138(1984)を参照のこと)。他の放出制御システムは、Langerによる総説に論じられている(Science 249:1527-1533(1990))。活性成分を、固体内部基質、例えばポリメチルメタクリラート、ポリブチルメタクリラート、可塑化又は非可塑化ポリビニルクロリド、可塑化ナイロン、可塑化ポリエチレンテレフタラート、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエチレン、エチレン−ビニルアセタートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、シリコーンカルボナートコポリマー、アクリル及びメタクリル酸エステルのヒドロゲルなどの親水性ポリマー、コラーゲン、架橋ポリビニルアルコール、並びに架橋化部分的加水分解性ポリビニルアセタートに分散することができ、この固体内部基質は、体液に不溶な外部高分子膜、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/エチルアクリラートコポリマー、エチレン/ビニルアセタートコポリマー、シリコーンゴム、ポリジメチルシロキサン、ネオプレンゴム、塩素化ポリエチレン、ポリビニルクロリド、酢酸ビニルとのビニルクロリドコポリマー、ビニリデンクロリド、エチレン及びプロピレン、イオノマーポリエチレンテレフタラート、ブチルゴムエピクロロヒドリンゴム、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、エチレン/ビニルアセタート/ビニルアルコールターポリマー、並びにエチレン/ビニルオキシエタノールコポリマーで取り囲まれている。次いで、活性成分は、放出速度制御段階で外部高分子膜を通過して拡散する。このような親組成物中の活性成分の百分率は、極めてその特異性、及び対象の必要性に依存する。
(4.2.6 非経口剤形)
固体の無水経口剤形が好ましいが、本発明は非経口剤形も提供する。非経口剤形は、皮下、静脈内(ボーラス注射を含めて)、筋肉内、及び動脈内が含まれるが、これらに限定されない様々な経路で対象に投与することができる。これらの投与は、通常は汚染物質に対する対象の自然の防御を迂回するので、非経口剤形は、無菌であるか、又は対象に投与する前に滅菌できることが好ましい。非経口剤形の例としては、注射用に準備された液剤、医薬として許容し得る注射用ビヒクルに溶解又は懸濁するように準備された乾燥製品、注射用に準備された懸濁剤、及び乳濁液が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の非経口剤形を提供するために使用することができる適切なビヒクルは、当業者に周知である。例としては、米国薬局方注射用水;塩化ナトリウム注射剤、リンゲル注射剤、デキストロース注射剤、デキストロースと塩化ナトリウム注射剤、及び乳酸リンゲル注射剤などであるがこれらに限定されない水性ビヒクル;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどであるがこれらに限定されない水混和性ビヒクル;並びにトウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルなどであるがこれらに限定されない非水性ビヒクルが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に開示する活性成分のうちの1つ以上の溶解性を高める化合物を、本発明の非経口剤形に組み込むこともできる。
(4.2.7 経皮、局所、及び経粘膜剤形)
特定の実施態様では、本発明は経皮、局所、及び経粘膜剤形も提供する。本発明の経皮、局所、及び経粘膜剤形としては、眼液剤、スプレー、エアゾール剤、クリーム、ローション剤、軟膏、ゲル、液剤、乳剤、懸濁剤、又は当業者に周知の他の形が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、「レミントンの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第16版、第18版及び第20版, Mack Publishing, ペンシルバニア州Easton(1980、1990 & 2000);及び「薬剤剤形へのイントロダクション(Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms)」、第4版, Lea & Febiger, Philadelphia(1985)を参照のこと。口腔内の粘膜組織の治療に適した剤形は、洗口剤又は口腔ゲルとして調剤することができる。さらに、経皮剤形には、「リザーバータイプ」又は「マトリックスタイプ」の貼付剤が含まれる。これらは、皮膚に貼って、特定の期間着用して、所望量の活性材料の浸透を可能にすることができる。
本発明に包含される経皮、局所、及び経粘膜剤形を提供するために使用することができる適切な賦形剤(例えば、担体及び希釈剤)及び他の材料は、薬剤技術分野の技術者に周知であり、所与の医薬組成物又は剤形を適用する特定の組織に依存する。その点を考慮に入れると、典型的な賦形剤には、ローション剤、チンキ剤、クリーム、乳剤、ゲル、又は軟膏を形成するために水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン 1,3 ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱物油、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。これらは、非毒性であり、医薬として許容し得るものである。望むなら、保湿剤又は保水剤を、医薬組成物及び剤形に添加することもできる。このような追加の成分の例は、当技術分野で周知である。例えば、「レミントンの製薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第16版、第18版及び第20版, Mack Publishing, ペンシルバニア州Easton(1980、1990 & 2000)を参照のこと。
処置対象の特有の組織に応じて、本発明の活性成分での処置の前、それと共に、又はその後に追加の成分を使用することができる。例えば、浸透増強剤を使用して、活性成分を組織に送達するのを助けることができる。適切な浸透増強剤には、アセトン;エタノール、オレイルアルコール、及びテトラヒドロフリルアルコールなどの様々なアルコール;ジメチルスルホキシドなどのアルキルスルホキシド;ジメチルアセトアミド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドンなどのピロリドン;コリドン(Kollidon)グレード(ポビドン、ポリビドン);尿素;並びにTween 80(ポリソルベート80)及びSpan 60(ソルビタンモノステアレート)などの様々な水溶性又は不溶性糖エステルが含まれるが、これらに限定されない。
医薬組成物若しくは剤形、又は医薬組成物若しくは剤形が適用される組織のpHを、1つ以上の活性成分の送達が改善されるように調整することもできる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、又は緊張度を、送達が改善されるように調整することができる。ステアラートなどの化合物を医薬組成物又は剤形に添加して、1つ以上の活性成分の親水性又は親油性を、送達が改善するように有利に変更することもできる。この点に関しては、ステアラートは、製剤用の脂質ビヒクル、乳化剤、又は界面活性剤、及び送達改善剤又は浸透増強剤として働くことができる。活性成分の様々な塩、水和物、又は溶媒和物を使用して、得られた組成物の特性をさらに調整することができる。
(4.2.8 対象においてHIV及び/又はHCV感染を治療又は予防する方法)
本発明は、ウイルス感染の治療又は予防を必要とする対象において、ウイルス感染の治療又は予防のための本発明の化合物又は組成物を使用する方法を提供する。該方法は、一般にウイルス感染を治療又は予防するのに有効な量の化合物又は組成物を対象に投与する段階を含む。特定の実施態様では、ウイルス感染は、HCV感染若しくはHIV感染、又はHCVとHIVとの共感染である。
本発明の特定の実施態様では、対象は、HCVに感染しているか、又はHCV感染のリスクがある任意の対象とすることができる。感染、又は感染のリスクは、当業者によって適切であると思われる任意の技法に従って決定することができる。特定の実施態様では、対象は、HCVに感染しているヒトである。
HCVは、当業者に公知の任意のHCVとすることができる。現在、HCVは、少なくとも6個のゲノタイプ、及び少なくとも50個のサブタイプが当業者に周知である。HCVは、当業者に公知の任意のゲノタイプ又はサブタイプとすることができる。特定の実施態様では、HCVは、まだ特性付けられていないゲノタイプ又はサブタイプを有するものである。特定の実施態様では、対象は単一ゲノタイプのHCVに感染している。特定の実施態様では、対象は、複数のサブタイプ又は複数のゲノタイプのHCVに感染している。
特定の実施態様では、HCVはゲノタイプ1であり、任意のサブタイプを有するものとすることができる。例えば、特定の実施態様では、HCVは、サブタイプ1a、1b、又は1cである。ゲノタイプ1のHCV感染は、現在のインターフェロン療法にほとんど応答しないと考えられる。本発明の方法は、ゲノタイプ1のHCV感染の療法に有利であり得る。
いくつかの実施態様では、HCVはゲノタイプ1以外のものである。特定の実施態様では、HCVはゲノタイプ2であり、任意のサブタイプを有するものとすることができる。例えば、特定の実施態様では、HCVはサブタイプ2a、2b、又は2cである。特定の実施態様では、HCVはゲノタイプ3であり、任意のサブタイプを有するものとすることができる。例えば、特定の実施態様では、HCVは、サブタイプ3a、3b、又は10aである。特定の実施態様では、HCVはゲノタイプ4であり、任意のサブタイプを有するものとすることができる。例えば、特定の実施態様では、HCVはサブタイプ4aである。特定の実施態様では、HCVはゲノタイプ5であり、任意のサブタイプを有するものとすることができる。例えば、特定の実施態様では、HCVは、サブタイプ5aである。特定の実施態様では、HCVはゲノタイプ6であり、任意のサブタイプを有するものとすることができる。例えば、特定の実施態様では、HCVは、サブタイプ6a、6b、7b、8b、9a、又は11aである。例えば、Simmonds、2004, J.Gen Virol. 85:3173-88; Simmonds、2001, J.Gen. Virol, 82, 693-712を参照のこと。その内容は参照によりその全体が組み込まれる。
本発明の特定の実施態様では、対象は、HCV感染の療法又は予防を受けたことがない。本発明のさらなる実施態様では、対象は、HCV感染の療法又は予防を以前に受けたことがある。例えば、特定の実施態様では、対象は、HCV療法に応答していなかった。実際に、現在のインターフェロン療法では、最高50%又はそれ以上のHCV対象は療法に応答しない。特定の実施態様では、対象は、療法を受けたが、ウイルス感染又は1つ以上のその症状を患い続けた対象とすることができる。特定の実施態様では、対象は、療法を受けたが、持続性ウイルス学的著効を実現することができなかった対象とすることができる。特定の実施態様では、対象は、HCV感染の療法を受けたことがあるが、12週間の療法の後、HCV RNAレベルの2 log10の低下を示すことができなかった。12週間の療法の後、血清HCV RNAの2 log10超の低下を示さなかった対象は、応答しない確率が97〜100%であると考えられる。本発明の化合物は、現在のHCV療法以外の機構によって働くので、本発明の化合物は、このような非応答者を治療する上で有効であるはずであると考えられる。
特定の実施態様では、対象は、療法に付随した1つ以上の有害事象のためHCV療法を中断した対象である。特定の実施態様では、対象は、現療法の適応とならない対象である。例えば、いくつかのHCV療法は、神経精神事象を伴う。インターフェロン(IFN)−αにリバビリンを加えたものは、高率のうつ病を伴う。うつ症状は、いくつかの医学的障害におけるより悪い結果に関連している。自殺、自殺及び他殺念慮、うつ病、薬物嗜癖/過量の再発、並びに攻撃行動を含めて、生命にかかわる又は致命的な神経精神事象は、HCV療法中に、精神障害を以前にもつ対象及びもたない対象に起こる。インターフェロン誘導性うつ病は、C型慢性肝炎の治療、特に精神障害をもつ対象の場合に制約となる。精神医学的副作用は、インターフェロン療法には共通であり、HCV感染の現療法の中断の約10%〜20%の原因となる。
したがって、本発明は、うつ病などの神経精神事象のリスクが現在のHCV療法での処置に禁忌を示す対象におけるHCV感染の治療又は予防方法を提供する。本発明は、うつ病などの神経精神事象又はこのようなリスクが、進行中のHCV療法での治療の中断が必要であることを示す対象におけるHCV感染の治療又は予防方法も提供する。本発明は、うつ病などの神経精神事象又はこのようなリスクが、進行中のHCV療法の用量低減が必要であることを示す対象におけるHCV感染の治療又は予防方法をさらに提供する。
現療法は、インターフェロン若しくはリバビリン、又はその両方、或いはインターフェロン若しくはリバビリンの投与用の医薬製品の他の何らかの成分に過敏性である対象にも禁忌である。血色素障害(例えば、重症型サラセミア、鎌状赤血球貧血)の対象、及び現療法の血液学的副作用のリスクにある他の対象の場合には、現療法の適応とならない。一般的な血液学的副作用には、骨髄抑制、好中球減少、及び血小板減少が含まれる。さらに、リバビリンは、赤血球への毒性があり、溶血を伴う。したがって、本発明は、インターフェロン若しくはリバビリン、又は両方に過敏性である対象、血色素障害の対象、例えば重症型サラセミア対象及び鎌状赤血球貧血対象、並びに現療法の血液学的副作用のリスクがある他の対象においてHCV感染を治療又は予防する方法も提供する。
特定の実施態様では、対象は、HCV療法を受け、本発明の方法を投与する前にその療法を中断している。さらなる実施態様では、対象は療法を受け、本発明の方法の投与と共にその療法を受けることを継続している。当業者の判定に従って、本発明の方法を他のHCV療法と同時投与することができる。有利な実施態様では、他のHCV療法の用量を低減させて、本発明の方法又は組成物を同時投与することができる。
特定の実施態様では、本発明は、インターフェロンでの処置に対して不応性である対象の治療方法を提供する。例えば、いくつかの実施態様では、対象は、インターフェロン、インターフェロンα、ペグ化インターフェロンα、インターフェロンにリバビリンを加えたもの、インターフェロンαにリバビリンを加えたもの、及びペグ化インターフェロンαにリバビリンを加えたものからなる群から選択された1つ以上の作用剤での処置に応答しなかった対象とすることができる。いくつかの実施態様では、対象は、インターフェロン、インターフェロンα、ペグ化インターフェロンα、インターフェロンにリバビリンを加えたもの、インターフェロンαにリバビリンを加えたもの、及びペグ化インターフェロンαにリバビリンを加えたものからなる群から選択された1つ以上の作用剤での処置にほとんど応答しない対象とすることができる。
さらなる実施態様では、本発明は、現療法が妊婦にも禁忌であるので、妊娠しているか、又は妊娠するかもしれない対象におけるHCV感染の治療方法を提供する。
特定の実施態様では、肝移植の後に、本発明の方法又は組成物を対象に投与する。C型肝炎は、米国では肝移植の主要原因であり、肝移植を受ける多数の対象は、移植した後もHCV陽性のままである。本発明は、このような再発性HCV対象を本発明の化合物又は組成物で処置する方法を提供する。特定の実施態様では、本発明は、再発性HCV感染を予防するのに肝移植の前、その最中、又はその後に対象を治療する方法を提供する。
一般式(I)のシクロスポリン化合物は、ウイルス疾患、より具体的にはAIDS及びAIDSを伴う症候群の予防及び治療に特に有用であり得る。予防は、特にHIVウイルスに曝露されたことがある対象、特に一次感染して何カ月か又は何年か後に疾患を発症させるリスクを呈する無症候性の血清陽性者の治療を意味するように理解される。この態様では、本発明による一般式(I)のシクロスポリン化合物は、細胞毒性効果又は細胞分裂抑制効果がない濃度で抗ウイルス活性を示すことができる。
本発明の実施態様では、対象は、HIVに感染しているか又はHIV感染のリスクがある任意の対象とすることができる。感染又は感染のリスクは、当業者によって適切とみなされる任意の技法に従って決定することができる。一実施態様では、対象はHIVに感染しているヒトである。HIVは、当業者に周知の任意のHIVとすることができる。
本発明の特定の実施態様では、対象はHIV感染に対する療法又は予防を受けたことがない。本発明のさらなる実施態様では、対象はHIV感染に対する療法又は予防を以前に受けたことがある。例えば、特定の実施態様では、対象はHIV療法に応答したことがない。特定の実施態様では、対象は、療法を受けたがウイルス感染又は1つ以上のその症状を患い続けた対象とすることができる。特定の実施態様では、対象は、療法を受けたが持続性ウイルス学的応答を実現することができなかった対象とすることができる。
特定の実施態様では、対象は、HIV療法に伴う1つ以上の有害事象のため療法を中断した対象である。特定の実施態様では、対象は、現行療法の適応とならない対象である。特定の実施態様では、対象はHIV療法を受け、本発明の方法を受ける前にその療法を中断している。さらなる実施態様では、対象は療法を受け、本発明の方法を受けると共にその療法を受け続けた。当業者の判断に従って、本発明の方法を、HIVに対する他の療法と共に与えることができる。有利な実施態様では、本発明の方法又は組成物を、HIVに対する他の療法の低減された用量と共に投与することができる。
特定の実施態様では、本発明は、HIVに対する治療に対して不応性である対象を治療する方法を提供する。例えば、いくつかの実施態様では、対象は、HIVのための1つ以上の治療剤での治療に応答することができなかった対象とすることができる。いくつかの実施態様では、対象は、HIVのための1つ以上の治療剤での治療への応答が低い対象とすることができる。
特定の実施態様では、対象は、HCVとHIVに同時感染し、又はそのリスクがある。例えば、米国では、HIV対象の30%は、HCVに同時感染しており、証拠が示すところによると、HIVに感染している人は、そのC型肝炎感染がはるかに急速な経過をたどる。Maier及びWu、2002, World J Gastroenterol 8:577-57。本発明の方法を使用して、このような対象においてHCV感染を治療又は予防することができる。これらの対象のHCVをなくすと、末期肝疾患による死亡率を低下させると考えられる。実際には、進行性肝疾患のリスクが、重度エイズ指標免疫不全の対象の場合、そうでない対象の場合より高い。例えば、Lesensらの論文、1999, J Infect Dis 179:1254-1258を参照のこと。有利には、本発明の化合物がHIV対象のHIVを抑制することを示した。例えば、米国特許第5,977,067号;第5,994,299号、第5,948,884号、及び第6,583,265号、並びにPCTの国際公開第WO99/32512号、国際公開第WO99/67280号を参照のこと。その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。したがって、特定の実施態様では、本発明は、HIV感染及びHCV感染の治療又は予防を必要とする対象における、HIV感染及びHCV感染の治療又は予防方法を提供する。
(4.2.9 用量及び単位剤形)
ヒトの治療では、予防的又は治療的処置に従って、かつ治療対象の対象に特有の年齢、体重、感染の段階、及び他の要因に従って、医師が最も適切であると考えられる薬量を決定する。一般に、用量は、成人に対して約1〜約1000mg/日、又は成人に対して約5〜約250mg/日、又は約10〜50mg/日である。特定の実施態様では、投与量は、成人に対して約5〜約400mg/日、又は25〜200mg/日である。一実施態様では、用量は、約50〜約500mg/日である。
さらなる態様では、本発明は、HIV及び/又はHCV感染の治療又は予防を必要とする対象に、HIV及び/又はHCVに対して治療係数が高い本発明の化合物、又はその医薬として許容し得る塩の有効量を投与することによって、対象においてHIV及び/又はHCV感染を治療又は予防する方法を提供する。治療係数は、下記の実施例で記載する方法など、当業者に公知の任意の方法に従って測定することができる。特定の実施態様では、治療係数は、化合物が毒性となる濃度とHIV及び/又はHCVに対して有効である濃度の比である。細胞毒性(例えば、IC50又はIC90)及び致死用量(例えば、LD50又はLD90)を含めて、毒性は当業者に公知の任意の技法で測定することができる。同様に、有効濃度(例えば、EC50又はEC90)及び有効用量(例えば、ED50又はED90)を含めて、有効濃度は、当業者に公知の任意の技法で測定することができる。好ましくは、同様な測定値を比(例えば、IC50/EC50、IC90/EC90、LD50/ED50、又はLD90/ED90)で比較する。特定の実施態様では、治療係数は、2.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、125.0、150.0以上の高いものとすることができる。
障害、又は1つ以上のその症状の予防又は治療に有効となる本発明の化合物又は組成物の量は、疾患又は病態の性質及び重症度、並びに活性成分を投与する経路によって異なる。投与頻度及び投与量も、実施される特定の療法(例えば、治療剤又は予防剤)、障害、疾患、又は病態の重症度、投与経路、並びに対象の年齢、体重、応答、及び既往歴に応じて各対象に特異的な要因に従って異なる。有効用量は、インビトロ又は動物モデル試験系に由来する用量反応曲線から推定することができる。
組成物の例示的な用量には、対象又は検体の重量の1キログラム当たり活性化合物のミリグラム又はマイクログラム量(例えば、約10マイクログラム/キログラム〜約50ミリグラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム〜約25ミリグラム/キログラム、又は約100マイクログラム/キログラム〜約10ミリグラム/キログラム)が含まれる。本発明の組成物の場合、対象に投与される用量は、通常は対象の体重1kg当たり、活性化合物の重量に基づいて0.140mg〜3mgである。一態様では、対象に投与される用量は、対象の体重1kg当たり0.20mg〜2.00mg、又は0.30mg〜1.50mgである。
一般に、本明細書に記載する病態用の本発明の組成物の推奨1日用量範囲は、約0.1mg〜約1000mg/日の範囲内であり、1日1回の単回投与又は1日を通して分割投与で投与される。一実施態様では、1日用量を均等分割した投与量で1日2回投与する。1日用量は、具体的には約10mg〜約200mg/日、より具体的には約10mg〜約150mg/日、さらにより具体的には約25〜約100mg/日であるべきである。当業者に自明であるように、場合によっては、本明細書に開示する範囲外の投与量の活性成分を使用することが必要な場合がある。さらに、臨床医又は治療医は、対象の応答に関連して、療法の中断、調整、又は終結の方法と時期を見分けられることに留意されたい。
当業者に容易に理解されるように、様々な治療上有効量が、様々な疾患及び病態に適用可能であり得る。同様に、このような障害を予防、管理、治療、又は改善するのに十分であるが、本発明の組成物に付随する有害作用を引き起こすには不十分であり、又はそれを低減するには十分な量も、上記の投与量及び投与回数スケジュールに包含される。さらに、対象に反復投与量の本発明の組成物を多回投与する場合、投与量はすべて同じである必要はない。例えば、対象に投与する投与量は、組成物の予防又は治療の効果を改善するために増やすことができ、或いは特定の対象が経験している1つ以上の副作用を低減させるために減らすことができる。
特定の実施態様では、対象において障害、又は1つ以上のその症状を予防、治療、管理、又は改善するために投与される本発明の組成物又は本発明の組成物の、活性化合物の重量に基づく投与量は、対象の体重1kg当たり0.1mg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、10mg、又は15mg以上である。別の実施態様では、対象において障害、又は1つ以上のその症状を予防、治療、管理、又は改善するために投与される本発明の組成物又は本発明の組成物の投与量は、単位用量が0.1mg〜200mg、0.1mg〜100mg、0.1mg〜50mg、0.1mg〜25mg、0.1mg〜20mg、0.1mg〜15mg、0.1mg〜10mg、0.1mg〜7.5mg、0.1mg〜5mg、0.1〜2.5mg、0.25mg〜20mg、0.25〜15mg、0.25〜12mg、0.25〜10mg、0.25mg〜7.5mg、0.25mg〜5mg、0.5mg〜2.5mg、1mg〜20mg、1mg〜15mg、1mg〜12mg、1mg〜10mg、1mg〜7.5mg、1mg〜5mg、又は1mg〜2.5mgである。
特定の実施態様では、本発明の化合物又は組成物の1つ以上の負荷用量、続いて1つ以上の維持用量を用いて、治療又は予防を開始することができる。このような実施態様では、負荷用量は、例えば1日〜5週間、約60〜約400mg/日、又は約100〜約200mg/日とすることができる。負荷用量の後に、1つ以上の維持用量が続き得る。維持用量はそれぞれ独立に、約10mg〜約200mg/日、より具体的には約25mg〜約150mg/日、さらにより具体的には約25〜約80mg/日とすることができる。維持用量を、毎日投与することができ、単回投与、又は分割投与として投与することができる。
特定の実施態様では、本発明の化合物又は組成物の用量を投与して、対象の血液又は血清中で活性成分の定常状態濃度を実現することができる。定常状態濃度を、当業者が利用可能な技法に従った測定により決定することができ、或いは身長、体重、及び年齢など、対象の物理的諸特性に基づくことができる。特定の実施態様では、対象の血液又は血清中で約300〜約4000ng/mL、約400〜約1600ng/mL、又は約600〜約1200ng/mLの定常状態濃度が実現されるのに十分な量の本発明の化合物又は組成物を投与する。血液又は血清中の定常状態濃度の約1200〜約8000ng/mL、又は約2000〜約4000ng/mLが1日〜5日間実現されるように、負荷用量を投与することができる。対象の血液又は血清中で約300〜約4000ng/mL、約400〜約1600ng/mL、又は約600〜約1200ng/mLの定常状態濃度が実現されるように、維持用量を投与することができる。
特定の実施態様では、本発明の同じ組成物の投与を反復することができ、投与間隔は少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は6カ月とすることができる。他の実施態様では、同じ予防剤又は治療剤の投与を反復することができ、投与間隔は少なくとも少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は6カ月とすることができる。
特定の態様では、本発明は、本発明の化合物、又はその医薬として許容し得る塩を投与に適した形で含む単位投与量を提供する。このような形を先に詳述する。特定の実施態様では、単位投与量は、1〜1000mg、5〜250mg、又は10〜50mgの活性成分を含む。特定の実施態様では、単位投与量は、約1、5、10、25、50、100、125、250、500、又は1000mgの活性成分を含む。このような単位投与量は、当業者に知られている技法に従って調製することができる。
(4.2.10 併用療法)
本発明は、HIV及び/又はHCVの感染の治療又は予防を必要とする対象において、HIV及び/又はHCVの感染の治療又は予防に有効な第2の作用剤の投与を含む治療又は予防の方法を提供する。第2の作用剤は、当業者にHIV及び/又はHCVの感染の治療又は予防に有効であることが公知である任意の作用剤とすることができる。第2の作用剤は、当業者に現在知られている第2の作用剤とすることができ、又は第2の作用剤は、HIV及び/又はHCVの治療又は予防のために後に開発される第2の作用剤とすることができる。特定の実施態様では、第2の作用剤は、現在HIV及び/又はHCVの治療又は予防のために認可されている。
特定の実施態様では、本発明の化合物は1つの第2の作用剤と組み合わせて投与される。さらなる実施態様では、第2の作用剤は、2つの第2の作用剤と組み合わせて投与される。またさらなる実施態様では、第2の作用剤は、2つ以上の第2の作用剤と組み合わせて投与される。
適切な第2の作用剤としては、経口で生物が利用可能な低分子のHCV酵素阻害剤、ウイルスRNAを攻撃する核酸ベースの作用剤、宿主免疫応答を調節することができる作用剤が挙げられる。第2の作用剤の例としては、(i)現在認可されている療法剤(ペグインターフェロンにリバビリンを加えたもの)、(ii)HCV酵素標的化合物、(iii)ウイルスゲノム標的療法剤(例えば、RNA干渉又はRNAi)、並びに(iv)リバビリン、インターフェロン(INF)、及びToll受容体アゴニストなどの免疫調節剤が挙げられる。
特定の実施態様では、第2の作用剤は、NS3−4Aプロテアーゼのモジュレーターである。NS3−4Aプロテアーゼは、NS3タンパク質のアミノ末端領域及び低分子NS4A補助因子を含むヘテロ二量体プロテアーゼである。その活性は、ウイルスRNA複製複合体の構成要素の生成に必須である。
1つの有用なNS3−4Aプロテアーゼ阻害剤は、ペプチド生成物阻害剤の大環状擬態物であるBILN 2061(Ciluprevir; Boehringer Ingelheim)である。BILN 2061を用いた治験は停止された(前臨床心毒性)が、ヒトにおいて試験された最初のNS3阻害剤であった。Lamarreらの論文、2003, Nature 426:186-189を参照のこと。この内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
別の有用なNS3−4Aプロテアーゼ阻害剤は、NS3−4Aプロテアーゼのプロテアーゼ切断生成物由来ペプチド模倣阻害剤であるVX−950(Vertex/Mitsubishi)である。ケトアミドを介して酵素の活性部位に安定化されると考えられる。例えば、Linらの論文、2005, J Biol Chem. Manuscript M506462200(電子出版); Summa、2005, Curr Opin Investig Drugs. 6:831-7を参照のこと。これらの内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
さらなる有用なNS3−4Aプロテアーゼ阻害剤ケトアミド誘導体は、US 2004/0254117として公開された米国特許出願第WO09/908,955号に開示されているものである。そこで開示されているのは、化合物の中でも、(1R,2S,5S)−3−アザビシクロ[3,1,0]ヘキサン−2−カルボキサミド、N−[3−アミノ−1−シクロブチルメチル)−2,3−ジオキソプロピル]−3−[(2S)−2−[[[1,1−ジメチルエチル]アミノ]カルボニルアミノ]−3,3−ジメチル−1−オキソブチル]−6,6−ジメチルである。
特定の実施態様では、第2の作用剤は、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)であるHCV NS5Bのモジュレーターである。RdRpは、NS5Bタンパク質内に含まれ、RNAテンプレートを用いてRNAを合成する。この生化学的活性は哺乳類の細胞には存在しない。
RdRpの有用な一モジュレーターは、NM283(バロピシタビン(Valopicitabine);Idenix/Novartis)である。NM283は、HCV感染の治療又は予防のための第二相試験にあるNM107(2’−C−メチル−シチジン)の経口プロドラッグ(バリンエステル)である。例えば、米国特許出願公開第20040077587号を参照のこと。この内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
RdRpの他の有用なモジュレーターとしては、7−デアザヌクレオシド類似体が挙げられる。例えば、7−デアザ−2’−C−メチル−アデノシンは、優れた薬物動態特性を有する強力で選択的なC型肝炎ウイルス複製阻害剤である。その全内容が参照により本明細書に組み込まれるOlsenらの論文、2004, Antimicrob. Agents Chemother. 48:3944-3953。
さらなる実施態様では、第2の作用剤は、NS5Bの非ヌクレオシドモジュレーターである。NS5B阻害剤の少なくとも3つの異なるクラスの非ヌクレオシド阻害剤(NNI)が臨床で評価中である。
NS5Bの有用な非ヌクレオシドモジュレーターとしては、JTK−003及びJTK−009が挙げられる。JTK−003は第二相に進んでいる。NS5Bの有用な非ヌクレオシドモジュレーターとしては、ベンゾイミダゾール又はインドール核に基づく6,5−縮合ヘテロ環式化合物が挙げられる。Hashimotoらの文献、WO00147883を参照のこと。この内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
さらなる有用なポリメラーゼNNIとしては、R803(Rigel)、並びにHCV−371、HCV−086、及びHCV−796(ViroPharma/Wyeth)が挙げられる。追加の有用なNNIとしては、NS5Bポリメラーゼの可逆的アロステリック阻害剤であり、ベンゾイミダゾール系阻害剤によって占有されている部位に近いが、それとは異なる部位に結合するチオフェン誘導体が挙げられる。例えば、Biswalらの論文、2005, J. Biol. Chem. 280, 18202-18210(2005)を参照のこと。
本発明の方法のためのさらなる有用なNNIとしては、ベンゾ−1,2,4−チアジアジン類などのベンゾチアジアジン類が挙げられる。ベンゾ−1,2,4−チアジアジン誘導体は、HCV RNAポリメラーゼの高選択的阻害剤であることがわかっている。Dhanakら、2002, J. Biol. Chem. 277:38322-38327を参照のこと。この内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の方法のためのさらなる有用なNNI、及びそれらの機序は、LaPlanteらの論文、2004 Angew Chem. Int. Ed. Engl. 43:4306-4311;Tomeiらの論文、2003, J. Virol. 77:13225-13231;Di Marcoらの論文、2005, J. Biol. Chem. 280:29765-70;Lu, H., WO 2005/000308;Chanらの論文、2004, Bioorg. Med. Chem. Lett. 14:797-800;Chanらの論文、2004, Bioorg. Med. Chem. Lett. 14:793-796;Wangらの論文、2003, J. Biol. Chem. 278:9489-9495;Loveらの論文、2003, J. Virol. 77:7575-7581;Guらの論文、2003, J. Biol. Chem. 278:16602-16607;Tomeiらの論文、2004, J. Virol. 78:938-946;及びNguyenら、2003, Antimicrob. Agents Chemother. 47:3525-3530に記載されている。それぞれの内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
さらなる実施態様では、第2の作用剤は、HCVポリヌクレオチドに向けられている低分子干渉RNA(siRNA)又は低分子ヘアピン型RNA(shRNA)など、HCV RNAに干渉することが可能な作用剤である。組織培養で、ウイルスゲノムに対して作られたsiRNA、及びベクターによってコードされた低分子ヘアピン型RNAであるshRNAは、HCVレプリコンの複製を効果的に遮断する。例えば、Randallらの論文、2003, Proc. Natl Acad Sci. USA 100:235-240を参照のこと。この内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
さらなる実施態様では、第2の作用剤は、対象の免疫応答を調節する作用剤である。例えば、特定の実施態様では、第2の作用剤は、インターフェロン(IFN)、ペグ化IFN、IFNにリバビリンを加えたもの、又はペグ化IFNにリバビリンを加えたものなど、HCV感染に対する現在認可されている療法剤とすることができる。特定の実施態様では、インターフェロンとしては、IFNα、IFNα2a、及びIFNα2b、具体的にはペグ化IFNα2a(PEGASYS(登録商標)))又はペグ化IFNα2b(PEG−INTRON(登録商標))が挙げられる。
さらなる実施態様では、第2の作用剤はToll様受容体(TLR)のモジュレーターである。TLRは、自然抗ウイルス応答を刺激するための標的であると考えられる。適切なTLRには、TLR3、TLR7、TLR8、及びTLR9が含まれるが、これらに限定されない。toll様受容体は、細菌、ウイルス、及び寄生虫などの侵入する微生物の存在を感知すると考えられる。これらは、マクロファージ、単球、樹状細胞、及びB細胞を含めて、免疫細胞によって発現される。TLRの刺激又は活性化は、抗菌性遺伝子、並びに炎症促進性サイトカイン及びケモカインの誘導による急性炎症応答を開始することができる。
特定の実施態様では、第2の作用剤は、CpGモチーフを含むポリヌクレオチドである。非メチル化CpGモチーフを含む合成オリゴヌクレオチドは、TLR−9の強力なアゴニストである。これらのオリゴヌクレオチドによる樹状細胞の刺激によって、腫瘍壊死因子α、インターロイキン−12、及びIFN−αの産生が起こる。TLR−9リガンドは、B細胞増殖及び抗体分泌の強力な刺激剤でもある。有用な1つのCpG含有オリゴヌクレオチドは、臨床で評価されたCPG−10101(Actilon; Coley Pharmaceutical Group)である。
TLRの別の有用なモジュレーターはANA975(Anadys)である。ANA975は、TLR−7を介して機能すると考えられ、IFN−αなどの炎症性サイトカインの誘導及び放出により強力な抗ウイルス応答を誘発することが知られている。
別の実施態様では、第2の作用剤はセルゴシビル(Celgosivir)である。セルゴシビルは、アルファグルコシダーゼI阻害剤であり、宿主によって支配されるグリコシル化により機能する。前臨床試験では、セルゴシビルはIFNaにリバビリンを加えたものと、強力な相乗作用を示している。例えば、Whitbyらの論文、2004, Antivir Chem Chemother. 15(3):141-51を参照のこと。セルゴシビルは、現在カナダの慢性HCV患者において、単剤療法の第二相試験で評価中である。
さらなる免疫調節剤及びその機序又は標的は、Schetter & Vollmer、2004, Curr. Opin. Drug Discov. Dev. 7:204-210;Takedaらの論文、2003, Annu.Rev. Immunol. 21:335-376;Leeらの論文、2003, Proc. Natl Acad. Sci. USA 100:6646-6651; Hosmansらの論文、2004, Hepatology 40 (Suppl. 1), 282A;及び米国特許第6,924,271号に記載されている。それぞれの内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
特定の実施態様では、本発明は、本発明のシクロスポリン誘導体をHIV感染の治療又は予防に有効な第2の作用剤と組み合わせて投与する方法を提供する。第2の作用剤は、当業者にHIV感染の治療に有効であることが公知である任意の作用剤とすることができる。第2の作用剤は、現在知られている作用剤、又は後に開発される作用剤とすることができる。
特定の実施態様では、本発明の第2の作用剤は、本発明のシクロスポリン誘導体と共に処方又は包装することができる。当然ながら、第2の作用剤は、当業者の判断に従ってこのような共処方が両方の作用剤の活性又は投与方法に干渉しないはずである場合にのみ、本発明のシクロスポリン誘導体と共に処方される。特定の実施態様では、本発明のシクロスポリン誘導体及び第2の作用剤は、別々に処方される。当業者の都合上、これらは一緒に包装又は別々に包装することができる。
第2の作用剤の様々な用量を本発明の併用療法で使用することができる。特定の実施態様では、HCV感染を予防若しくは治療するために用いられてきたか又は現在用いられている用量より少ない用量が、本発明の併用療法で使用される。第2の作用剤の推奨用量は、当業者の知識から得ることができる。臨床使用に認可されている第2の作用剤に関して、推奨用量は、例えばHardmanら編、1996, Goodman & Gilmanの「療法の基礎の生理学的基礎(The Pharmacological Basis Of Basis Of Therapeutics)」, 第9版, Mc-Ghaw-Hill, New York; 「医師用卓上参考書(Physician's Desk Reference)(PDR)」, 第57版, 2003, Medical Economics Co., Inc., Montvale, NJに記載されている。これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
様々な実施態様では、療法剤(例えば、本発明のシクロスポリン誘導体及び第2の作用剤)を、5分未満間隔、30分未満間隔、1時間間隔、約1時間間隔、約1〜約2時間間隔、約2時間〜約3時間間隔、約3時間〜約4時間間隔、約4時間〜約5時間間隔、約5時間〜約6時間間隔、約6時間〜約7時間間隔、約7時間〜約8時間間隔、約8時間〜約9時間間隔、約9時間〜約10時間間隔、約10時間〜約11時間間隔、約11時間〜約12時間間隔、約12時間〜18時間間隔、18時間〜24時間間隔、24時間〜36時間間隔、36時間〜48時間間隔、48時間〜52時間間隔、52時間〜60時間間隔、60時間〜72時間間隔、72時間〜84時間間隔、84時間〜96時間間隔、又は96時間〜120時間間隔で投与する。一実施態様では、2つ以上の療法剤を同じ患者来院内で投与する。
特定の実施態様では、本発明のシクロスポリン誘導体及び第2の作用剤を周期的に投与する。サイクリング療法は、作用剤の1つに対する耐性の発現を低減し、作用剤の1つの副作用を回避若しくは低減し、かつ/又は治療の有効性を改善するために、第1の療法剤(例えば、第1の予防剤又は治療剤)の一定期間の投与、続いて第2の療法剤(例えば、第2の予防剤又は治療剤)の一定期間の投与、続いて第3の療法剤(例えば、第3の予防剤又は治療剤)の一定期間の投与などを含み、この連続投与、すなわち周期を繰り返すものである。
特定の実施態様では、同じ作用剤の投与を繰り返してもよく、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は6カ月単位で分割投与してもよい。他の実施態様では、同じ作用剤の投与を繰り返してもよく、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は6カ月単位で分割投与してもよい。
いくつかの実施態様では、本発明のシクロスポリン誘導体及び第2の作用剤を哺乳類などの患者、例えばヒトに、シクロスポリン誘導体が他の作用剤と共に機能して、それらがその他の方法で投与された場合より増大した利益をもたらすことができるように順々に時間間隔内で投与する。例えば、第2の活性剤を同時に、又は任意の順序で異なる時点で順次投与することができる。しかし、同時投与でない場合、所望の治療又は予防効果がもたらされるように十分に近い時点で投与すべきである。一実施態様では、シクロスポリン誘導体及び第2の活性剤は重なる時間にそれらの効果を発揮する。第2の活性剤をそれぞれ、任意の適切な形態で任意の適切な経路で別々に投与することができる。他の実施態様では、シクロスポリン誘導体を、第2の活性剤の投与の前、同時、又は後に投与する。
様々な実施態様では、シクロスポリン誘導体及び第2の作用剤を約1時間未満の間隔、約1時間間隔、約1時間〜約2時間間隔、約2時間〜約3時間間隔、約3時間〜約4時間間隔、約4時間〜約5時間間隔、約5時間〜約6時間間隔、約6時間〜約7時間間隔、約7時間〜約8時間間隔、約8時間〜約9時間間隔、約9時間〜約10時間間隔、約10時間〜約11時間間隔、約11時間〜約12時間間隔、24時間以下の間隔、又は48時間以下の間隔で投与する。他の実施態様では、シクロスポリン誘導体及び第2の作用剤を同時投与する。
他の実施態様では、シクロスポリン誘導体及び第2の作用剤を、約2〜4日間隔、約4〜6日間隔、約1週間間隔、約1〜2週間間隔、又は2週間超の間隔で投与する。
特定の実施態様では、シクロスポリン誘導体及び第2の作用剤を周期的に患者に投与する。サイクリング療法は、第1の作用剤の一定期間の投与、続いて第2の作用剤及び/又は第3の作用剤の一定期間の投与を含み、この連続投与を繰り返すものである。サイクリング療法は、1つ以上の療法剤に対する耐性の発現を低減し、療法剤の1つの副作用を回避若しくは低減し、かつ/又は治療の有効性を改善することができる。
特定の実施態様では、シクロスポリン誘導体及び第2の活性剤を約3週間未満、2週間ごとに約1回、10日ごとに約1回、又は1週間ごとに約1回の周期で投与する。1周期は、1周期ごとに約90分間、1周期ごとに約1時間、1周期ごとに約45分間にわたる注入によるシクロスポリン誘導体及び第2の作用剤の投与を含むことができる。各周期は、少なくとも1週間の休止、少なくとも2週間の休止、少なくとも3週間の休止を含むことができる。投与する周期回数は、約1〜約12周期、より一般的には約2〜約10周期、より一般的には約2〜約8周期である。
他の実施態様では、一連の治療が同時に患者に与えられる。すなわち、第2の作用剤の個別の用量を、シクロスポリン誘導体が第2の活性剤と共に機能することができるように時間間隔内で別々に投与する。例えば、一成分を1週間に1回、2週間ごとに1回又は3週間ごとに1回投与することができる他の成分と組み合わせて投与することができる。言い換えれば、療養剤が同時にも同日中にも投与されない場合でさえ、投与計画は同時に実施される。
第2の作用剤は、シクロスポリン誘導体と相加的又は相乗的に機能することができる。一実施態様では、シクロスポリン誘導体を、同じ医薬組成物において1つ以上の第2の作用剤と同時に投与する。別の実施態様では、シクロスポリン誘導体を、別の医薬組成物において1つ以上の第2の作用剤と同時に投与する。さらに別の実施態様では、シクロスポリン誘導体を、第2の作用剤の投与の前又は後に投与する。本発明は、同じ又は異なる投与経路、例えば経口及び非経口投与によるシクロスポリン誘導体及び第2の作用剤の投与を意図する。特定の実施態様では、シクロスポリン誘導体を、有害な副作用(毒性が挙げられるが、これに限定されない)を潜在的に生じる第2の作用剤と同時に投与する場合、第2の活性剤を、有害な副作用が誘発される閾値より低い用量で有利に投与することができる。
(4.3 キット)
本発明は、HIV及び/又はHCV感染の治療又は予防方法に使用するためのキットも提供する。キットは、本発明の薬剤化合物又は組成物、及び細菌感染を治療又は予防するための使用に関する情報を医療提供者に提供する説明書を含むことができる。説明書は、印刷された形、又はフロッピーディスク、CD、若しくはDVDなどの電子媒体の形、又はこのような説明書が得られるウェブサイトアドレスの形で提供され得る。単位用量の本発明の化合物又は組成物は、対象に投与された場合に治療上又は予防上有効な血漿中レベルの化合物又は組成物を対象において少なくとも1日維持することができるような投与量を含むことができる。いくつかの実施態様では、本発明の化合物又は組成物は、無菌の水性医薬組成物又は乾燥粉末(例えば、凍結乾燥)組成物として含まれ得る。一実施態様では、化合物が式(I)によるものである。
いくつかの実施態様では、適切な包装が提供される。本明細書では、「包装」は慣例的に系で使用され、対象への投与に適した本発明の化合物又は組成物を固定された限度内に保持することができる固体マトリックス又は材料を指す。このような材料には、ガラス及びプラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリカーボネート)、ビン、バイアル、紙、プラスチック、並びにプラスチック箔積層エンベロープなどが含まれる。電子線滅菌技法を使用する場合、包装は、内容物の滅菌が可能になるように十分に低密度であるべきである。
本発明のキットは、本発明の化合物又は組成物に加えて、上記の方法で記載されるように化合物又は組成物と共に使用するための、第2の作用剤又は第2の作用剤を含む組成物も含むことができる。
下記の実施例は、本発明で使用される代表的シクロスポリン誘導体の合成を例示し、下記の参考例は、その調製における中間体の合成を例示する。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものでもなく、そのように解釈されるべきものでもない。具体的に本明細書に記載されている以外の別の方法で本発明を実施できることは明白であろう。本発明の多数の修正及び変形が本明細書の教示を考えると可能であり、したがって本発明の範囲内に入る。
(5.1 実施例1: 3−ベンジルオキシシクロスポリン)
乾燥テトラヒドロフラン及び乾燥ベンジルアルコール(0.3mL、2.8mmol)中、3−(メルカプトベンゾチアゾール−2−イルチオ)シクロスポリン(0.38g、0.28mmol)及びカンファースルホン酸(0.1g、0.43mmol)の溶液を50℃で10時間加熱した。混合物を室温まで放冷し、飽和重炭酸ナトリウム、エーテル、及び水と混合した。層を分液し、水相をジエチルエーテルで抽出した。有機抽出液を合わせて、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。ジクロロメタンと酢酸エチルの混合物で溶離するシリカゲルクロマトグラフィーを繰り返して、64mgの3−ベンジルオキシシクロスポリン(化合物B)を得た。重クロロホルム中のこの化合物のNMRシグナルは5.87ppmである(サルコシン H)。
(5.2 参考例1: 3−(メルカプトベンゾチアゾール−2−イルチオ)シクロスポリン)
不活性雰囲気中、−70℃でリチウムジイソプロピルアミド(LDA)(10.0mmol)の乾燥テトラヒドロフラン溶液に、シクロスポリンA(1.2g、1.0mmol)の乾燥テトラヒドロフラン溶液を滴下し、撹拌を−70℃で1時間継続し、この後、固体のビス−ベンゾチアゾールジスルフィド(5g、15mmol)を1回で添加した。得られた懸濁液を室温にまで温め、18時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を水で処理し、蒸発乾固した。残渣を酢酸エチルに溶解し、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。得られた茶色のゴム(3.3g)を、シリカゲルクロマトグラフィーによって酢酸エチル/イソヘキサンで溶離して精製して、ベージュ色固体の3−(メルカプトベンゾチアゾール−2−イルチオ)シクロスポリン(0.33g)を得た。重クロロホルム中でのこの化合物のNMRシグナルは、6.98ppm(サルコシン H)である。
(5.3 実施例3: ベンジルチオシクロスポリン)
不活性雰囲気中、−78℃のリチウムジイソプロピルアミド(LDA)(15.0mmol)の乾燥テトラヒドロフラン溶液に、シクロスポリンA(1.2g、1.0mmol)の乾燥テトラヒドロフラン溶液を滴下し、撹拌を−78℃で1時間続けた。n−ブチルリチウム(6.0mmol)を添加し、反応混合物を−78℃で40分間撹拌し、この後、固体のジベンジルジスルフィド(3.7g、15mmol)を1回で添加した。得られた混合物を18時間撹拌しながら室温にまで温め、次いで水で処理し、蒸発乾固した。残渣を酢酸エチルに溶解し、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。得られた残渣を酢酸エチル/イソヘキサンで溶離するシリカゲルクロマトグラフィーで精製して、0.15gの3−ベンジルチオシクロスポリン(化合物A)を得た。重クロロホルム中のこの化合物のNMRシグナルは5.63ppmである(サルコシン H)。
(5.4 実施例4〜11: 3−アリールアルキルシクロスポリン)
同様に進めることによって、下記の式(I)の化合物(式中、Aは(E)−CH=CHCHであり、Bはエチルであり、Rはイソブチルであり、Rは−Y−Arである)を調製した。
Figure 0005322647
(5.5 実施例12: HCV活性)
この実施例は、本発明の化合物がHCV感染に対して有効であることを実証する。さらに、この実施例は、特定の実施態様で、本発明の化合物が、シクロスポリンAに比べて、有利な有効性若しくは細胞毒性、又は両方を示すことを実証する。
HCVに対する活性について、Krigerらの論文、2001, Journal of Virology, 75:4614-4624、Pietschmannらの論文、2002, Journal of Virology 76:4008-4021によって記述されているものから適応された方法、及び米国特許第6,630,343号に記載されているようなHCV RNA構成物を使用して、本発明の化合物(実施例1〜2に記載の通り調製される)を試験した。
安定なルシフェラーゼ(LUC)レポーターを含むHCV RNAレプリコンであるヒト肝癌細胞株ET(lub ubi neo/ET)で、化合物を試験した。HCV RNAレプリコンETは、ホタルルシフェラーゼ(LUC)、ユビキチン、及びネオマイシンリン酸転移酵素(NeoR)融合タンパク質の産生を駆動するHCVの5’末端(HCV配列内リボソーム進入部位(IRES)、及びHCVコアタンパク質の最初の数個のアミノ酸を含む)を含む。ユビキチンの開裂によって、LUC及びNeoRタンパク質が放出される。EMCV IRESエレメントは、HCV構造タンパク質NS3−NS5の翻訳を制御する。NS3タンパク質によって、HCVポリタンパク質が開裂して、HCV複製に必要とされる成熟したNS3、NS4A、NS4B、NS5A、及びNS5Bタンパク質が放出される。レプリコンの3’末端に、HCVの標準の3’ NTRがある。LUCレポーターの活性は、HCV複製レベルと正比例し、正の対照の抗ウイルス化合物は、LUCの端点を使用して再現性のある抗ウイルス応答をもたらす。
化合物を、0.02〜2μM又は0.2〜20μMにわたってそれぞれ5つの半対数濃度でDMSOに溶解した。ET株のサブコンフルエントな培養物を、細胞数(細胞毒性)又は抗ウイルス活性の分析に供する96ウェルプレートに播き、翌日、化合物を適切なウェルに添加した。細胞が依然としてサブコンフルエントであった72時間後、細胞を処理した。抗ウイルス活性を、EC50及びEC90として表した。EC50及びEC90は、ウイルス複製をそれぞれ50%及び90%低減させた化合物の有効濃度である。化合物のEC50及びEC90値は、HCV RNAレプリコン由来のLUC活性として評価されたHCV RNAレベルから誘導した。細胞毒性を、IC50及びIC90として表した。IC50及びIC90は、細胞生存率をそれぞれ50%及び90%抑制した化合物の濃度である。比色試験を用いて、化合物のIC50及びIC90値を細胞数及び細胞毒性の指標として算出した。LUCレポーターの活性は、ヒト細胞系におけるHCV RNAレベルに正比例する。インターフェロン−α−2bを正の対照として使用した平行実験で、HCV−レプリコンアッセイを確証した。シクロスポリンも比較によって試験した。本発明の化合物は、ヒト肝臓細胞におけるHCV複製をシクロスポリンより大いに強力に阻害する。さらに、細胞毒性のレベルを考慮すると、本発明の化合物の多くは、シクロスポリンより広い安全域(例えば、細胞毒性IC50 対 抗ウイルス剤EC50)を発現する。
結果は以下の通りであった(別段の記述のない限り、値はすべて、nMで表す)。
Figure 0005322647
(5.6 実施例13: シクロフィリン結合及びHCV活性)
この実施例は、HCV感染の治療又は予防を必要とする対象における、HCV感染を治療又は予防するための本発明の化合物の有効性を評価するための方法をさらに提供する。
特定のシクロスポリンは、シクロフィリンB(CyPB)に結合にすることにより、HCV感染を治療又は予防する際に有効であることが実証されている。Watashiらの論文、2005, Molecular Cell 19:111-122; Nakagawaらの論文、2005 Gastroenterology 129(3).1031-41を参照のこと。その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。任意の特定の作動理論に拘泥するものではないが、シクロフィリンBは、HCVゲノムの効率的な複製に重要であると考えられる。標準的アッセイにおいて、シクロフィリンBを阻害するシクロスポリンA及び他のシクロスポリン化合物は、HCVの複製を劇的に低減することができる。
したがって、シクロフィリン、例えばシクロフィリンBとの結合又はその調節を評価することによって、本発明の化合物は、HCV感染の治療又は予防に有効であることがわかる。本発明の化合物によるシクロフィリンの調節は、標準的技法、例えばWatashiらの論文、2005に記載されているもの、Nakagawaらの論文、2005に記載されているもの、又はBillichらの論文、J. Virol. 69:2451-2461に記載されているものに従って測定する。その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
(5.7 実施例14: HIV活性)
ヒト免疫不全ウイルス−1(HIV)に対する抗レトロウイルス活性について、ヒトT−リンパ芽球様細胞株CEM−SSがHIV株HIV−1IIIBに感染することを利用して、本発明の化合物を試験した(Weislowらの論文、1989, J. Natl. Cancer Inst. 81:577- 586)。このMTS細胞保護アッセイでは、各実験は、細胞対照ウェル(細胞のみ)、ウイルス対照ウェル(細胞にウイルスを加えたもの)、薬物毒性ウェル(細胞に薬物のみを加えたもの)、薬物比色対照ウェル(薬物のみ)、及び実験ウェル(薬物に細胞及びウイルスを加えたもの)を含んだ。化合物をまずDMSOに溶解し、20又は2μMの高濃度で始めた6つの半対数希釈率を使用して試験した。50μLの体積のHIV−1RFを各ウェルに添加した。このウイルス量は、感染して6日後、約90%の細胞殺滅が得られるように決定された。アッセイ終了時に、アッセイプレートを可溶性テトラゾリウム系色素MTS(CellTiter 96 Reagent、Promega)で染色して、細胞生存率を決定し、化合物毒性を定量した。MTSを代謝的に活性な細胞のミトコンドリア酵素によって代謝して、可溶性ホルマザン生成物が得られ、細胞生存率及び化合物細胞毒性の定量分析に供した。ジドブジン(3’−アジド−3’−デオキシチミジン、すなわちAZT)を正の対照として使用した平行実験で、アッセイを確証した。アッセイには、化合物のEC50(ウイルス複製を50%抑制する濃度)、IC50(細胞増殖を50%抑制する濃度)、及び選択性指数(IC50/EC50)の決定を含まれた。
結果は以下の通りであった(別段の記述のない限り、値はすべて、nMで表す)。NSは、有意な活性なしである。
Figure 0005322647
(5.8 実施例15: 経口剤形)
本発明の1つ以上の化合物は、カプセル剤として調製することができる。このようなカプセル剤は、化合物10〜200mg、並びに微結晶セルロース、アルファ化デンプン、ラクトース、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポピドン、ポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、及び二酸化ケイ素からなる群から選択された1つ以上の賦形剤を含むことができる。得られた組成物を、ゼラチン又は可塑剤など、1つ以上の標準的カプセル化組成物でカプセル化することができる。
本発明の1つ以上の化合物を、塩としてシロップ剤又はエリキシル剤で調剤することができる。化合物又は複数の化合物は、全濃度が5〜50mg/mLであり得る。シロップ剤又はエリキシル剤は、さらにポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールの混合物、PEG 400、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマー(例えば、ポロキサマー407)、ポリソルベート20、エタノール、砂糖、クエン酸、及び/又は矯味剤を含むことができる。
本明細書に引用された刊行物及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物又は特許出願が具体的かつ個別に参照により組み込まれるように示されたかのように参照により本明細書に組み込まれる。本発明を様々な好ましい実施態様によって記述したが、その趣旨から逸脱することなく、様々な修正、置換、省略、及び変更を実施できることを当業者なら理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、その等価物を含めて、下記の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。

Claims (14)

  1. 一般式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物:
    Figure 0005322647
    (式中、
    Aは、(E)−CH=CHCHR又は−CHCHCHRであり、Rは、水素、−SH、チオアルキル、カルボキシル、又はアルコキシカルボニルを表し;
    Bは、エチル、1−ヒドロキシエチル、イソプロピル、又はn−プロピルであり;
    は、−Y−Arであり;
    は、イソブチル又は2−ヒドロキシイソブチルであり;
    Xは、−S(O)−又は酸素であり;
    Yは、直鎖又は分枝状のC1〜6アルキレン、C2〜6アルケニレン、又はC2〜6アルキニレンであり;
    Arは、
    同じでも異なってもよい1個以上のR基によって任意に置換されている複素環であり、前記複素環は環炭素原子を介してY基に結合し、かつ該複素環は5個又は6個の原子を有し、その最高3個までが酸素、窒素、及び硫黄から選択されている芳香族複素環基であり;
    は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルキル、C1〜6ハロアルコキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、−NR、及び−NR(CHNRからなる群から選択され;
    及びRは、同じでも異なってもよく:
    水素;
    1つ以上のハロゲンによって任意に置換されている、1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルキル;
    2〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルケニル又はアルキニル;
    1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルキルによって任意に置換されている、3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキルであり;
    或いはRとRは、それらが結合している窒素と一緒になって、4〜6個の環原子を含む飽和又は不飽和の複素環を形成し、この環は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択された別のヘテロ原子を任意に含んでもよく、アルキル、フェニル、及びベンジルからなる群から選択された同じでも異なってもよい1〜4個の基によって任意に置換されていてもよく;
    は、水素、又は1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルキルであり;
    nは0、1、又は2であり;
    mは2〜4の整数である。)。
  2. Aが(E)−CH=CHCHRであり、Rが水素であり、Bがエチルであり、Rがイソブチルであり、Xが酸素又は硫黄である、請求項1記載の化合物。
  3. 3−[(チオフェン−2−イル)メトキシ]シクロスポリン、3−[(フラン−2−イル)メトキシ]シクロスポリン、3−[(フラン−3−イル)メトキシ]シクロスポリン、又は3−[(チオフェン−3−イル)メトキシ]シクロスポリンからなる群から選択される、請求項1記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物。
  4. 一般式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物:
    Figure 0005322647
    (式中、
    Aは、(E)−CH=CHCHR又は−CHCHCHRであり、Rは、水素、−SH、チオアルキル、カルボキシル、又はアルコキシカルボニルを表し;
    Bは、エチル、1−ヒドロキシエチル、イソプロピル、又はn−プロピルであり;
    は、−Y−Arであり;
    は、イソブチル又は2−ヒドロキシイソブチルであり;
    Xは、酸素であり;
    Yは、直鎖又は分枝状のC1〜6アルキレン、C2〜6アルケニレン、又はC2〜6アルキニレンであり;
    Arは、
    同じでも異なってもよい、1〜5個のR基によって任意に置換されているフェニルであり;
    は、ハロゲン、ヒドロキシ、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6ハロアルキル、C1〜6ハロアルコキシ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、−NR、及び−NR(CHNRからなる群から選択され;
    及びRは、同じでも異なってもよく:
    水素;
    1つ以上のハロゲンによって任意に置換されている、1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルキル;
    2〜4個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルケニル又はアルキニル;
    1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルキルによって任意に置換されている、3〜6個の炭素原子を含むシクロアルキルであり;
    或いはRとRは、それらが結合している窒素と一緒になって、4〜6個の環原子を含む飽和又は不飽和の複素環を形成し、この環は、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択された別のヘテロ原子を任意に含んでもよく、アルキル、フェニル、及びベンジルからなる群から選択された同じでも異なってもよい1〜4個の基によって任意に置換されていてもよく;
    は、水素、又は1〜6個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖のアルキルであり;
    mは2〜4の整数である。)。
  5. Aが(E)−CH=CHCHRであり、Rが水素であり、Bがエチルであり、Rがイソブチルである、請求項4記載の化合物。
  6. 3−ベンジルオキシシクロスポリン、3−[(4−トリフルオロメトキシ)ベンジルオキシ]シクロスポリン、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物からなる群から選択される、請求項4記載の化合物。
  7. 3−ベンジルチオシクロスポリン、3−ベンジルオキシシクロスポリン、3−[(チオフェン−2−イル)メトキシ]シクロスポリン、3−[(フラン−2−イル)メトキシ]シクロスポリン、3−[(フラン−3−イル)メトキシ]シクロスポリン、3−[(4−トリフルロメトキシ)ベンジルオキシ]シクロスポリン、及び3−[(チオフェン−3−イル)メトキシ]シクロスポリンからなる群から選択される化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物、及び医薬として許容し得る賦形剤、担体、又は希釈剤を含む医薬組成物。
  8. 3−ベンジルチオシクロスポリン、3−ベンジルオキシシクロスポリン、3−[(チオフェン−2−イル)メトキシ]シクロスポリン、3−[(フラン−2−イル)メトキシ]シクロスポリン、3−[(フラン−3−イル)メトキシ]シクロスポリン、3−[(4−トリフルロメトキシ)ベンジルオキシ]シクロスポリン、及び3−[(チオフェン−3−イル)メトキシ]シクロスポリンからなる群から選択される化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む、C型肝炎ウイルス感染を治療又は予防するための医薬組成物。
  9. 前記化合物が、3−ベンジルチオシクロスポリン、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物である、請求項8記載の医薬組成物。
  10. 3−ベンジルチオシクロスポリン、3−ベンジルオキシシクロスポリン、3−[(チオフェン−2−イル)メトキシ]シクロスポリン、3−[(フラン−2−イル)メトキシ]シクロスポリン、3−[(フラン−3−イル)メトキシ]シクロスポリン、3−[(4−トリフルロメトキシ)ベンジルオキシ]シクロスポリン、及び3−[(チオフェン−3−イル)メトキシ]シクロスポリンからなる群から選択される化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の、C型肝炎ウイルス感染の予防及び/又は治療用の医薬品の製造における使用。
  11. 3−ベンジルチオシクロスポリン、3−ベンジルオキシシクロスポリン、3−[(チオフェン−2−イル)メトキシ]シクロスポリン、3−[(フラン−2−イル)メトキシ]シクロスポリン、3−[(フラン−3−イル)メトキシ]シクロスポリン、及び3−[(チオフェン−3−イル)メトキシ]シクロスポリンからなる群から選択される化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物を含む、ヒト免疫不全ウイルス感染を治療又は予防するための医薬組成物。
  12. 前記化合物が、3−ベンジルチオシクロスポリン、又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物である、請求項11記載の医薬組成物。
  13. 3−ベンジルチオシクロスポリン、3−ベンジルオキシシクロスポリン、3−[(チオフェン−2−イル)メトキシ]シクロスポリン、3−[(フラン−2−イル)メトキシ]シクロスポリン、3−[(フラン−3−イル)メトキシ]シクロスポリン、及び3−[(チオフェン−3−イル)メトキシ]シクロスポリンからなる群から選択される化合物又はその医薬として許容し得る塩若しくは溶媒和物の、ヒト免疫不全ウイルス感染の予防及び/又は治療用の医薬品の製造における使用。
  14. 式(I)の化合物の調製方法であって、A、B、R、及びRは請求項1又は4に記載の通りであり、
    (a)Xが硫黄である場合、式(I)の反応物質(式中、Xは水素である)を塩基と接触させて、ポリアニオンを得、前記ポリアニオンを、請求項1記載の化合物(式中、Xは硫黄である)を得るのに適した条件下で硫黄求電子剤と接触させること、
    (b)Xが酸素である場合、式(I)の反応物質(式中、Xは硫黄である)を、請求項1記載の化合物(式中、Xは酸素であり、Arは、
    同じでも異なってもよい1〜5個のR基によって任意に置換されているフェニル、
    或いは同じでも異なってもよく、請求項1に定義される通りである1個以上のR基によって任意に置換されている複素環である)を得るのに適した条件下でAr−OHと接触させること、或いは
    (c)Xが−S(O)であり、nが1又は2である場合、式(I)の反応物質(式中、Xは硫黄である)を、請求項1記載の対応する化合物(式中、Xは−S(O)−であり、nは1又は2である)を得るのに適した条件下で酸化すること、
    場合によっては、続いてこのようにして得られた式(I)の化合物を、その医薬として許容し得る塩に変換することを含む、前記方法。
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