JP5275689B2 - 繊維強化ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents
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Description
熱可塑性樹脂の弾性率を向上させることを目的に、様々な無機フィラーとの複合化が検討され、多くの熱可塑性樹脂の複合材料が開発され使用されている。しかし、カーボン繊維(以下、「CF」と称することがある。)を用いたものを除く多くの複合材料は、金属材料や無機材料に比較すると未だ弾性率が不足しており、更なる薄肉化は製品剛性の面から困難な状態である。一方、カーボン繊維を用いたものは、他のフィラーと比較すると曲げ弾性率も著しく高く、そのため高い製品剛性を有する成形品が可能であるものの、コストが非常に高く、使用できる製品が大幅に制限されているのが現状である。
この高価なCFの使用量をできるだけ少なくし、成形品の製品剛性を高めることは至難の業であるが、市場においては安価でCF並みの製品剛性が得られる技術が強く望まれている。
さらに、特許文献3には、PC100重量部に対して特定の熱伝導率をもつCF40〜200重量部及びその他の無機充填材(ガラス繊維を含む)0〜100重量部を配合してなる、熱放散性に優れたポリカーボネート樹脂組成物が開示されているが、熱放散性に着目して、CFの配合比率が高く、製品剛性の向上とは全く目的を異にし、かつ、CF量の削減の手段等については全く提案されていない。
また、特許文献4には、PC50〜90重量%と、ゴム質重合体と芳香族ビニル単量体等をグラフト重合してなるグラフト共重合体10〜50重量%とを含む樹脂成分100重量部に対して、リン系難燃剤10〜40重量部、カーボン繊維5〜40重量部及びステンレス繊維5〜40重量部を配合してなる導電性を有する難燃性樹脂組成物が提案されている。しかし、特許文献4には、高度な難燃性を有し、耐衝撃性、高い弾性率を有する組成物が得られることが開示されているが、上記特許文献1〜3と同様に、CFを削減しつつ、製品剛性を高めることは全く困難で、かつ考慮もされていない。
すなわち、本発明は、
(1)(a−1)ポリカーボネート樹脂又は(a−2)ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂のアロイからなる樹脂成分(A)40〜95質量%、繊維断面における長径と短径の比(長径/短径)の平均値が2.5〜6であるガラス繊維(B)4〜40質量%、及びカーボン繊維(C)1〜30質量%よりなる樹脂組成物100質量部に対し、(d−1)フェノキシ樹脂及び(d−2)エポキシ樹脂から選ばれる一種以上の官能基を有する界面改質樹脂(D)0.3〜5質量部を含むことを特徴とする繊維強化ポリカーボネート系樹脂組成物、
(2)ガラス繊維(B)の繊維断面における長径と短径の比(長径/短径)の平均値が2.5〜6であり、且つ平均短径が3〜15μmである前記(1)に記載の繊維強化ポリカーボネート系樹脂組成物、
(3)前記ガラス繊維(B)の含有量Bと、カーボン繊維(C)の含有量Cとの質量比(B/C)が1以上である前記(1)又は(2)に記載の繊維強化ポリカーボネート系樹脂組成物、
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の繊維強化ポリカーボネート系樹脂組成物を射出成形してなり、円筒形状もしくは箱形状を有する、ことを特徴とする成形体、及び
(5)鏡筒用である前記(4)に記載の成形体、
を提供するものである。
樹脂成分(A)は、ガラス繊維(B)およびカーボン繊維(C)を含めた樹脂組成物中において、40〜95質量%であることを要し、50〜85質量%であることが好ましい。
(A)樹脂成分が40質量%未満では、成形性が悪くなると共に、外観が低下し、95質量%を超えると、成形品の製品剛性が不足する。
本発明の繊維強化ポリカーボネート系樹脂組成物は、樹脂成分(A)として、(a−1)ポリカーボネート樹脂、又は(a−2)ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂のアロイからなる樹脂を用い、ポリカーボネート樹脂として、芳香族ポリカーボネート樹脂を含む組成物である。
芳香族ポリカーボネート樹脂としては、特に制限はなく種々のものが挙げられる。通常、二価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法あるいは溶融法により反応させて製造された芳香族ポリカーボネートを用いることができる。具体的には、二価フェノールとホスゲンの反応、二価フェノールとジフェニルカーボネート等とのエステル交換法により反応させて製造されたものを使用することができる。
ポリカーボネート樹脂の製造においては、通常末端停止剤が用いられる。
この末端停止剤としては、一価フェノール化合物を使用すればよく、具体的には、フェノール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、ドコシルフェノール、テトラコシルフェノール、ヘキサコシルフェノール、オクタコシルフェノール、トリアコンチルフェノール、ドトリアコンチルフェノール、テトラトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。これらは1種でもよく、2種以上を混合したものでもよい。
また、これらのアルキルフェノールは、効果を損ねない範囲で他のフェノール化合物等を併用しても差し支えない。
なお、上記の方法によって製造されるポリカーボネート樹脂は、実質的に分子の片末端又は両末端に末端基を有するものである。
この粘度平均分子量が10,000以上であると、得られるポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性や機械的性質が充分であり、又この粘度平均分子量が40,000以下であると、得られるポリカーボネート樹脂組成物の成形加工性が向上するからである。
このポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、より好ましくは14,000〜25,000であり、更に好ましくは15,000〜22,000である。
なお、粘度平均分子量(Mv)は、ウベローデ型粘度計を用いて、20℃における塩化メチレン溶液の粘度を測定し、これより極限粘度[η]を求め、[η]=1.23×10-5Mv0.83の式により算出した値である。
また、本発明の繊維強化ポリカーボネート系樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂のアロイ(混合物)からなる樹脂成分によっても構成される。
アロイ成分のポリカーボネート樹脂は、前記のポリカーボネート樹脂同様のものが用いられる。
アロイ成分のスチレン系樹脂としては、スチレン、α−メチルスチレン等のモノビニル系芳香族単量体20〜100質量%、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体0〜60質量%、及びこれらと共重合可能なマレイミド、(メタ)アクリル酸メチル等の他のビニル系単量体0〜50質量%からなる単量体又は単量体混合物を重合して得られる重合体を挙げることができる。
これらの重合体としては、ポリスチレン(GPPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂)、アクリロニトリル−アクリル酸メチル−スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル−(エチレン/プロピレン/ジエン共重合体)−スチレン共重合体(AES樹脂)等がある。
このゴム変性スチレン系樹脂としては、好ましくは、少なくともスチレン系単量体がゴムにグラフト重合した耐衝撃性スチレン系樹脂である。
ゴム変性スチレン系樹脂としては、例えば、ポリブタジエン等のゴムにスチレンが重合した耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリブタジエンにアクリロニトリルとスチレンとが重合したABS樹脂、ポリブタジエンにメタクリル酸メチルとスチレンが重合したMBS樹脂等があり、ゴム変性スチレン系樹脂は、二種以上を併用することができるとともに、前記のゴム未変性であるスチレン系樹脂との混合物としても用いることができる。
ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂のアロイにおける、ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂の質量比率は、概ね、〔ポリカーボネート樹脂/スチレン系樹脂〕を〔100/5〜50〕とすればよい。
この配合、混練は、通常用いられている方法、例えば、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等を用いる方法により行うことができる。
本発明で使用するガラス繊維は、繊維断面における長径と短径の比(長径/短径)の平均値が2.5〜6であることに特徴がある。
本発明のガラス繊維の繊維断面における長径と短径の比(長径/短径)は、繊維断面の長径Lと短径Dの比、(L/D)の平均値を表すものである。
長径と短径の比(長径/短径)の平均値が2.5未満では、カーボン繊維との併用による製品の剛性向上効果が低減されると共に、成形品の反り変形が生じ、円筒形状の場合、真円度が悪化する。また、長径と短径の比(長径/短径)の平均値が6を超えると、成形品のウェルド強度が低下する。
ガラス繊維の配合量は、4〜40質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。ガラス繊維の配合量が4質量%未満では、成形品の製品剛性が不足し、40質量%を超えると流動性が低下し、成形品の外観が悪くなる。
〔(長径/短径)比の平均値が4、平均長径=32μm、平均短径=8μm、平均繊維長=3mm、日東紡績株式会社製〕、「CSG 3PA−830」〔(長径/短径)比の平均値が4、平均長径=32μm、平均短径=8μm、平均繊維長=3mm、日東紡績株式会社製〕等が挙げられる。
ガラス繊維の表面は、現在公知のエポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの各種化合物により集束処理することができ、またシランカップリング剤等で表面処理されたものが好ましい。
ガラス繊維の繊維長に特に制限はないが、製造上の利便性の観点から、平均繊維長が1〜5mmであることが好ましい。
本発明で使用するカーボン繊維は、特に制限がなく公知の各種カーボン繊維、例えばポリアクリロニトリル、ピッチ、レーヨン、リグニン、炭化水素ガス等を用いて製造される炭素質繊維や黒鉛質繊維であり、特に繊維強度に優れるポリアクリロニトリル(PAN)系のカーボン繊維が好ましい。またカーボン繊維は繊維表面をオゾン、プラズマ、硝酸、電解等に代表される現在公知の方法により酸化処理することも可能であり、樹脂成分との密着性を増加するため好ましく行われる。カーボン繊維は通常チョップドストランド、ロービングストランド、ミルドファイバーなどの形状であるが、本発明には、チョップドストランド又はミルドファイバーが好適に使用できる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、一般式(1)
上記一般式(1)において、水酸基と反応する化合物としては、エステル、カーボネート、エポキシ基などを有する化合物、カルボン酸無水物、酸ハライド、イソシアナート基などを有する化合物等を挙げることができる。
エステルとしては、特に分子内エステルが好ましく、例えばカプロラクトン等が挙げられる。
上記一般式(1)で表わされるフェノキシ樹脂において、Yが水素原子である化合物は、二価のフェノール類とエピクロルヒドリンから容易に製造することができる。
また、Yが水酸基と反応する化合物の残基である化合物は、二価のフェノール類とエピクロルヒドリンから製造したフェノキシ樹脂と上記水酸基と反応する化合物を加熱下で混合することにより、容易に製造することができる。
上記一般式(2)で表わされるエポキシ樹脂は、二価のフェノール類とエピクロルヒドリンから容易に製造することができる。
二価フェノール類としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン又は4,4'−ジヒドロキシビフェニルなどが用いられる。
フェノキシ樹脂及びエポキシ樹脂として、市販品を用いることもできる。フェノキシ樹脂(ビスフェノールA型)の市販品としては、PKHB(InChem社製、Mw=13,700)、PKHH(InChem社製、Mw=29,000)、PKFE(InChem社製、Mw=36,800)、YP−50(東都化成社製、Mw=43,500)等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型)の市販品としては、EPICLON HM−101(大日本インキ化学工業社製、Mw=48,000)、エピコート1256(ジャパンエポキシレジン社製、Mw=26,600)等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が16,000以上であることが、機械的物性性を維持する上で好ましい。
本発明の繊維強化ポリカーボネート系樹脂組成物において、樹脂組成物(A)100質量部に対して、官能基を有する界面改質樹脂(D)は、0.3〜5質量部、好ましくは、0.5〜4質量部、更により好ましくは、0.7〜3.5質量部の割合で含有される。
官能基を有する界面改質樹脂が、0.3〜5質量部であれば、ガラス繊維及びカーボン繊維との界面改質効果により、製品強度や製品剛性の改良効果が得られ、また、添加効果の飽和化や、製品強度や製品剛性の低下などの問題がない。
なお、本発明においては、官能基を有する界面改質樹脂として、フェノキシ樹脂とエポキシ樹脂を適宜の比率で混合して使用することができる。
添加剤成分の配合量は、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物の特性が維持される範囲であれば特に制限はない。
本発明の成形体は、特に円筒形状や、電子機器、情報機器、及び自動車部品等のハウジング及び筐体などの箱形形状であれば、薄肉成形品として、特に製品剛性を有し、軽量化を図ることができる点で特徴を発揮できる。
円筒形状の成形体としては、鏡筒用が好ましく、特に各種光学機器の鏡筒、例えば望遠鏡鏡筒、顕微鏡鏡筒、カメラ鏡筒などにおいて、良好な真円度である特徴を発揮できる。
(A)成分
(a−1)成分:PC;粘度平均分子量22,000のビスフェノールAポリカーボネート(商品名:タフロン FN2200、出光興産株式会社製)
(a−2)アロイ成分:ABS;アクリロニトリル−ブタジエンースチレン共重合樹脂(商品名:SANTAC AT−05、日本エイアンドエル社製)
PC:前記に同じ
(B)ガラス繊維
GFI:平均短径が8μmで(長径/短径)比の平均が4、平均繊維長が3mmのガラス繊維(商品名:CSG 3PA−820S、日東紡績株式会社製)
GFII:平均短径が6μmで(長径/短径)比の平均値が5、平均繊維長が3mmのガラス繊維(日東紡績株式会社製)
GFIII:平均短径が13μmで(長径/短径)比の平均値が1.5、平均繊維長が3mmのガラス繊維(日東紡績株式会社製)
GFIV:平均短径(繊維断面が丸型)が13μmで(長径/短径)比の平均値が1.0、平均繊維長が3mmのガラス繊維(商品名:CS03 MA409C 旭ファイバーグラス社製)
(C)カーボン繊維
CF:平均繊維径8μm、平均繊維長3mmのPAN系カーボン繊維(商品名:パイロフィル TR06U、三菱レーヨン株式会社製)
(D)成分
(d−1)成分:フェノキシ樹脂(商品名:PKHB、In Chem社製)
(d−2)成分:エポキシ樹脂(商品名:EPICLON HM−101、大日本インキ化学工業株式会社製)
得られたペレットを120℃で6時間以上乾燥した後、射出成形機を用いて、3点ゲートの金型を用いて、長さ30mm、内径50mm、肉厚2mmの鏡筒を作製した。射出成形温度は、320℃、金型温度は120℃とし、成形サイクルは20秒とした。
(1)製品剛性:長さ30mm、内径50mmの鏡筒を用い、圧縮速度10mm/分の速度で圧縮試験を行い、その荷重―変位曲線を作成し、その曲線の傾きを製品剛性として求めた。値はN/mmで示した。
(2)真円度:真円度測定装置(テーラーボブソン社製:タリドン300型)を用い、鏡筒の反ゲート側の端部の内接面を測定した。10サンプルの測定値の平均を真円度とした。
(a−1)ポリカーボネート樹脂として、PC 70質量%と、(B)ガラス繊維としてGFI 20質量%とカーボン繊維として、(C)CF 10質量%をブレンドした樹脂組成物100質量部に対して、更に(d−1)フェノキシ樹脂を1質量部(実施例1)および3質量部(実施例2)加え、二軸混練機にて溶融混練しペレットを得た。更にこのペレットを120℃で8時間乾燥後、射出成形により鏡筒成形品ならびに曲げ試験片を得た。得られた成形品および曲げ試験片を用い、製品剛性および真円度を測定した。
参考のために、厚み3.2mm、幅12.7mm、長さ127mmの試験片を用い、スパン間隔60mm、曲げ速度5mm/分で曲げ試験を実施した。曲げ弾性率(MPa)はJIS K 7171に記載の方法に準拠して測定した。
PC 50質量%、GFI 30質量%、及びCF 20質量%をブレンドした樹脂組成物100質量部に対して、更にフェノキシ樹脂を2質量部加えた他は、実施例1と同様にしてペレットを得、更にこのペレットを実施例1と同様に乾燥後、射出成形により鏡筒成形品ならびに曲げ試験片を得た。
PC 70質量%とGFI 20質量%とカーボン繊維10質量%をブレンドした樹脂組成物100質量部に対して、フェノキシ樹脂を加えない他は、実施例1と同様にしてペレットを得、さらに実施例1と同一条件で乾燥後、射出成形により鏡筒成形品ならびに曲げ試験片を得た。
PC 75質量%とCF 25質量%をブレンドし、フェノキシ樹脂を加えない他は実施例1と同様にしてペレットを得、さらに実施例1と同一条件で乾燥後、射出成形により鏡筒成形品ならびに曲げ試験片を得た。
PC60質量%と平均(長径/短径)比の平均が1のGFIV 40質量%をブレンドし、フェノキシ樹脂を加えない他は実施例1と同様にしてペレットを得、さらに実施例1と同一条件で乾燥後、射出成形により鏡筒成形品ならびに曲げ試験片を得た。
PC 70質量%と(長径/短径)比の平均が1のGFIV 20質量%とCF10質量%をブレンドし、フェノキシ樹脂を1質量部とした他は実施例1と同様にしてペレットを得、さらに実施例1と同一条件で乾燥後、射出成形により鏡筒成形品ならびに曲げ試験片を得た。
PC 65質量%、(長径/短径)比の平均が5のGFII 30質量%、及びCF 20質量%をブレンドした樹脂組成物100質量部に対して、エポキシ樹脂を1質量部(実施例4)又は3質量部(実施例5)加えた他は、実施例1と同様にしてペレットを得、更にこのペレットを実施例1と同様に乾燥後、射出成形により鏡筒成形品ならびに曲げ試験片を得た。
PC 80質量%、(長径/短径)比の平均が5のGFII 15質量%、CF 5質量%からなる樹脂組成物100質量部に対して、エポキシ樹脂1質量部を加えた他は、実施例1と同様にしてペレットを得、更にこのペレットを実施例1と同様に乾燥後、射出成形により鏡筒成形品ならびに曲げ試験片を得た。
(A)樹脂成分において、PC 55質量%とABS樹脂15質量%のアロイを用い、(長径/短径)比の平均が4のGFI 20質量%とCF 10質量%をブレンドした樹脂成分100質量部に対して、エポキシ樹脂2質量部を加えた他は、実施例1と同様にしてペレットを得、更にこのペレットを実施例1と同様に乾燥後、射出成形により鏡筒成形品ならびに曲げ試験片を得た。
PC 65質量%、CF 5質量%、ガラス繊維として平均(長径/短径)比の平均が1.5のGFIII 30質量%(比較例5)、(長径/短径)比の平均値が1のGFIV 30質量%(比較例6)を樹脂成分100質量部として、これに(D)官能基を有する界面改質樹脂を加えない他は、実施例1と同様にしてペレットを得、更にこのペレットを実施例1と同様に乾燥後、射出成形により鏡筒成形品ならびに曲げ試験片を得た。
実施例7において、(D)官能基を有する界面改質樹脂としてのエポキシ樹脂を加えない他は、実施例1と同様にしてペレットを得、更にこのペレットを実施例1と同様に乾燥後、射出成形により鏡筒成形品ならびに曲げ試験片を得た。
上記実施例1〜3及び比較例1〜4の結果をまとめて、表1に示す。なお、表1には、参考のために測定した曲げ弾性率も併せて示す。
これに対し、鏡筒の圧縮試験による製品剛性の値を比較して見ると、驚くべきことに、比較例2のカーボン繊維25質量%に対し、実施例1及び実施例2はカーボン繊維を10質量%と大幅に低減させているにも拘らず、比較例2よりも製品剛性が向上していることがわかる。
曲げ弾性率が略等しい実施例1と比較例3の製品剛性と比較すると、実施例1の製品剛性が大幅に高いことも確認される。
また、カーボン繊維とガラス繊維を同量併用した実施例1と比較例4と比べると、曲げ弾性率は、大差ないものの、製品剛性は大きく異なり、カーボン繊維と(長径/短径)比の平均値が4のガラス繊維GFIの併用系が、特異的に製品剛性を高めることができ、(長径/短径)比の平均値が1のGFIVでは、製品剛性を高めることはできないことがわかる。
更に、比較例1と、実施例1及び実施例2の比較から、官能基を有する界面改質樹脂(D)としてフェノキシ樹脂を少量添加することにより、製品剛性を向上できることがわかる。
この効果は、ポリカーボネート樹脂だけでなく、PCとABSのアロイにおいても同様に発現されることが、実施例7と比較例7の対比より確認される。
本発明により得られる鏡筒は、真円度が高いので、寸法精度の高い鏡筒として、各種光学機器の鏡筒、例えば望遠鏡鏡筒、顕微鏡鏡筒、各種カメラ鏡筒等に有効に利用できる。
Claims (4)
- (a−1)ポリカーボネート樹脂又は(a−2)ポリカーボネート樹脂とスチレン系樹脂のアロイからなる樹脂成分(A)40〜95質量%、繊維断面における長径と短径の比(長径/短径)の平均値が2.5〜6であるガラス繊維(B)4〜40質量%、及びカーボン繊維(C)1〜30質量%よりなる樹脂組成物100質量部に対し、(d−1)フェノキシ樹脂及び(d−2)エポキシ樹脂から選ばれる一種以上の官能基を有する界面改質樹脂(D)0.3〜5質量部を含む繊維強化ポリカーボネート系樹脂組成物であって、
前記ガラス繊維(B)の含有量Bと、カーボン繊維(C)の含有量Cとの質量比(B/C)が1.5以上であることを特徴とする繊維強化ポリカーボネート系樹脂組成物。 - 前記ガラス繊維(B)の繊維断面における長径と短径の比(長径/短径)の平均値が2.5〜6であり、且つ平均短径が3〜15μmである請求項1に記載の繊維強化ポリカーボネート系樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の繊維強化ポリカーボネート系樹脂組成物を射出成形してなり、円筒形状もしくは箱形状を有することを特徴とする成形体。
- 鏡筒用である請求項3に記載の成形体。
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