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JP5272756B2 - リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池、並びに、その製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池、並びに、その製造方法 Download PDF

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JP5272756B2 JP2009020832A JP2009020832A JP5272756B2 JP 5272756 B2 JP5272756 B2 JP 5272756B2 JP 2009020832 A JP2009020832 A JP 2009020832A JP 2009020832 A JP2009020832 A JP 2009020832A JP 5272756 B2 JP5272756 B2 JP 5272756B2
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Description

本発明は、リン酸マンガン系のリチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池、並びに、その製造方法に関するものである。
近年、携帯電話、ノートパソコン等の携帯機器類用、電気自動車用などの電源としてエネルギー密度が高く、かつ自己放電が少なくてサイクル特性の良いリチウム二次電池に代表される非水電解質二次電池が注目されている。現在のリチウム二次電池の主流は、2Ah以下の携帯電話用を中心とした小型民生用である。リチウム二次電池用の正極活物質としては数多くのものが提案されているが、最も一般的に知られているのは、作動電圧が4V付近のリチウムコバルト酸化物(LiCoO)やリチウムニッケル酸化物(LiNiOあるいはスピネル構造を持つリチウムマンガン酸化物(LiMn)等を基本構成とするリチウム含有遷移金属酸化物である。なかでも、リチウムコバルト酸化物は、充放電特性とエネルギー密度に優れることから、電池容量2Ahまでの小容量リチウム二次電池の正極活物質として広く採用されている。
しかしながら、今後の中型・大型、特に大きな需要が見込まれる産業用途への非水電解質電池の展開を考えた場合、安全性が非常に重要視されるため、現在の小型電池向けの仕様では必ずしも充分であるとはいえない。この要因の一つに、正極活物質の熱的不安定性が挙げられ、様々な対策がなされてきたが、未だ十分とはいえない。また、産業用途では小型民生用では使用されないような高温環境において電池が使用されることを想定する必要がある。このような高温環境では、従来の非水電解質二次電池はもとより、ニッケル−カドミウム電池や鉛電池も非常に短寿命であり、ユーザーの要求を満足する従来電池は存在しないのが現状である。また、キャパシターは、唯一この温度領域で使用できるものの、エネルギー密度が小さく、この点においてユーザーの要求を満足するものではなく、高温長寿命でエネルギー密度の高い電池が求められている。
そこで最近、熱安定性が優れるオリビン構造を有するリン酸鉄リチウム(LiFePO)が注目を集めている。このオリビン構造を有するLiFePOはリンと酸素が共有結合しているため、高温においても酸素を放出することが無く、電池用活物質として使用することで電池の安全性を飛躍的に高めることができると推察される。さらに、Liイオンの吸蔵・放出が3.4V付近で行われることから、電池の正極に用いた場合に生じる副反応量を抑えることができるため電池の長寿命化が期待できる。
しかし、このリン酸鉄リチウム(LiFePO)は、Liイオンの吸蔵・放出が3.4V付近で行われることから、4V系正極活物質に比べるとエネルギー密度が低いものとなってしまう。
一方、リン酸マンガン(LiMnPO)はLiイオンの吸蔵・放出が4.0V付近で行われ、LiFePOに比べて理論容量も大きいものである。しかし、実際に従来のLiMnPOを正極活物質として用いても、十分な放電容量を持った電池とすることができなかった。
特許文献1には、「実施例1:スプレードライ法によるLiMnPO4の合成」、「リ
チウム源、マンガン源およびリン酸源を等モルずつそれぞれ別の容器に量り取り、蒸留水に溶解させた。これら3種類の溶液を混合後、スプレードライ装置に導入し噴霧乾燥させ、原料粉体を調製した。こうして得られた原料粉体を、不活性雰囲気下350℃で1時間熱分解させ、次いで不活性雰囲気下550℃で8時間焼成した。」(段落0027)との記載がある。また、「実施例3:LiMnPO4/C複合体の合成]、「リチウム源、マンガン源、リン酸源およびリンゴ酸(炭素源)を等モルずつそれぞれ別の容器に量り取り、蒸留水に溶解させた。リンゴ酸溶液にはアンモニア水を加え、pHを5〜6に調整した。これら4種類の溶液を混合後、スプレードライ装置に導入し噴霧乾燥させ、原料粉体を調製した。こうして得られた原料粉体を、不活性雰囲気下350℃で2時間熱分解させ、次いで不活性雰囲気下500℃で6時間焼成した。」(段落0033)との記載がある。
特許文献2には、「Mn源が溶解したMn源溶液に、沈殿剤を添加することにより、水酸化マンガン(Mn(OH)x )の沈殿物を得る沈殿工程と、前記沈殿物を還元性溶媒
に分散させ、還元分散溶液を得る還元工程と、前記還元分散溶液にLi源溶液およびP源溶液を添加し、添加分散溶液を得る添加工程と、前記添加分散溶液のpHを3〜6の範囲内に調製し、pH調製分散溶液を得るpH調製工程と、前記pH調製分散液を加熱加圧条件で反応させる合成工程と、を有することを特徴とするLiMnPOの製造方法」(請求項1)が記載され、実施例には、原料を含有する水溶液のpHを5.3(実施例1)、5.2(実施例5)、5.0(実施例6)又は5.3(実施例7)に調整してから、反応を行い、得られた沈殿物を乾燥することでLiMnPOを得たことが記載されている。
しかし、特許文献1、2のいずれにも、沈殿物をアルカリ性の溶液から得ることについては記載も示唆もない。
非特許文献1には、「オリビン型LiFePOの水熱合成条件の最適化および電気化学特性評価」と題し、Fe源、Li源及びリン源を含む混合溶液から試料を合成するにあたり、前記混合溶液のpHを変化させて実験を行ったことが記載され、pHが小さいほど(200)面に基づく回折線の相対強度が大きく、pH=5.15の溶液から合成した試料の初期放電容量は163mAh・g−1であったのに対し、pH=8.99の溶液から合成した試料の初期放電容量は120mAh・g−1程度しか得られなかったことが記載されている。また、pH=3.47の溶液から合成した試料は(200)面に基づく回折線の相対強度は最も大きいものの、初期放電容量は逆に120mAh・g−1程度しか得られなかったことが記載されている。非特許文献1には、それぞれの条件で得られたLiFePOのエックス線回折図が示されているので、これを引用して図3として示す。
本発明は、後述するように、マンガンイオン、リン酸イオン及びリチウムイオンを少なくとも含む水溶液から得た沈殿物を前駆体とし、リン酸マンガンリチウム系活物質を製造する場合には、水溶液をアルカリ性とすることにより(200)面の回折線の相対強度が大きくなり、放電容量の大きなものが得られる、という点に特徴があるが、非特許文献1には、リン酸マンガンリチウム系活物質の合成に関しては記載も示唆もないばかりか、LiFePOを合成する場合において、混合溶液がアルカリ性である場合には(200)面の回折線の相対強度が小さくなり、放電容量も小さくなることや、(200)面の回折線の相対強度が大きすぎる場合には放電容量が小さくなることが記載されており、これは、本発明の上記特徴とは正反対の事項であるから、LiFePOに関する非特許文献1には、リン酸マンガンリチウム系活物質に関する本発明に導く上での明らかな阻害要因があるというべきである。
さらに、本発明は、CuKα線を使用した粉末エックス線回折線図における2θ=29.2±0.5°の回折線強度(a)に対する2θ=16.9±0.5°の回折線強度(b)の比(b/a)がb/a≧1.0である点に特徴があるところ、2θ=29.2±0.5°の回折線は(020)面に相当し、2θ=16.9±0.5°の回折線は(200)面に相当する。この点に着目して非特許文献1記載のエックス線回折図(図3参照)を参酌すると、pH=5.15の溶液から合成し大きな放電容量が得られた試料(b)では、(020)面のピーク強度に対して(200)面のピーク強度が明らかに小さく、pH=3.47の溶液から合成し小さな放電容量しか得られなかった試料(a)では、(020)面のピーク強度に対して(200)面のピーク強度が明らかに大きいことがわかり、これは、上記した本発明の特徴とは正反対の事項であるから、この点においても、非特許文献1には、リン酸マンガンリチウム系活物質に関する本発明に導く上での明らかな阻害要因があるというべきである。なお、pH=8.99の溶液から合成し小さな放電容量しか得られなかった試料(c)でも、(020)面のピーク強度に対して(200)面のピーク強度が小さく、本発明の上記特徴は現れていない。
非特許文献2のFig.10には、LiFe0.75Mn0.25PO、LiFe0.5Mn0.5PO、LiFe0.25Mn0.75PO及びLiMnPOを正極活物質として用いた電池の充放電カーブか記載され、Feの比率が高くなるにつれて放電容量が大きくなる様子が示されている。
特開2007−48612号公報 特開2007−119304号公報
第48回電池討論会(平成19年11月開催)要旨集2A09(p.66 A.K.Padhi, K.S.Nanjundaswamy and J.B.Goodenough, J.Electrochem.Soc., 1997, Vol.144, No.4, page.1188-1194.
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、放電容量の大きなリン酸マンガン系のリチウム二次電池用正極活物質とそれを用いたリチウム二次電池を提供することを目的としている。
本発明の構成及び作用効果は以下の通りである。但し、本明細書中に記載する作用機構には推定が含まれており、その正否は本発明を何ら制限するものではない。
本発明は、一般式LiMn(1−x−y)FePO(0≦x≦0.5、0≦y≦0.1、M=Mg、Co、Cr、Ti、Y、Mo又はNb)で表され、CuKα線を使用した粉末エックス線回折線図において、2θ=29.2±0.5°の回折線強度よりも2θ=16.9±0.5°の回折線強度の方が大きいことを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質である。
また、本発明は、一般式LiMn(1−x−y)FePO(0≦x≦0.5、0≦y≦0.1、M=Mg、Co、Cr、Ti、Y、Mo又はNb)で表される正極活物質を含み、CuKα線を使用した粉末エックス線回折線図において、2θ=29.2±0.5°の回折線強度よりも2θ=16.9±0.5°の回折線強度の方が大きいことを特徴とするリチウム二次電池用正極である。
また、本発明は、前記正極活物質を含む正極又は前記正極と、負極と、非水電解質を備えたリチウム二次電池である。
このような構成により、リン酸マンガン系正極活物質の放電容量を大きなものとすることができる作用機構については、必ずしも明らかではないが、斜方晶(空間群Pnma)のリン酸マンガンリチウム(LiMnPO)は、CuKα線を使用した粉末エックス線回折線において、2θ=16.9±0.5°のピークは(200)面を、2θ=29.2±0.5°は(020)面をそれぞれ表している。ここで、(200)面に対応する2θ=16.9±0.5°の回折強度の方が(020)面に対応する2θ=29.2±0.5°の回折強度よりも大きいということは、LiMnPOの結晶子が(020)面よりも(200)面方向に配向性を持つということ、即ち、(020)面方向に比べて(200)面方向に結晶がより成長していることを示していると考えられることから、本発明の特徴が、リン酸マンガンリチウム系活物質におけるリチウムイオン拡散パスの方向やリチウムイオン拡散距離との関係において作用を及ぼしたのではないかと本発明者らは推察している。
また、本発明は、マンガンイオン、リン酸イオン及びリチウムイオンを少なくとも含むアルカリ性水溶液から得た沈殿物を前駆体とし、該前駆体を焼成して一般式LiMn(1−x−y)FePO(0≦x≦0.5、0≦y≦0.1、M=Mg、Co、Cr、Ti、Y、Mo又はNb)で表される正極活物質を得るリチウム二次電池用正極活物質の製造方法である。
本発明に係るリン酸マンガンリチウムはアルカリ水溶液中で前駆体を調製することにより得られる。アルカリ源としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化物やアンモニア水が挙げられるが、このうち、アンモニア水が好ましい。アンモニア水を用いると、焼成時の加熱分解後にリチウム以外のアルカリ金属成分が残らない。前駆体調製時のアルカリ水溶液のpHは、7〜14が好ましい。なかでも、pHが8.5〜12の範囲であれば、本発明の効果が最も効果的に現れるため特に好ましい。
本発明によれば、放電容量の大きなリチウム二次電池用正極活物質とそれを用いたリチウム二次電池を提供することができる。
本発明に用いるリン酸マンガンリチウムの合成過程は、焼成工程に供する前駆体を水溶液中で反応させて得る前駆体調製工程と、該前駆体を焼成する焼成工程とを含む。前駆体調製工程の水溶液に用いる原料については、限定されるものではないが、金属源として水溶性金属有機酸塩(2価及び3価)、リン酸源としてはリン酸又は水溶性リン酸塩、リチウム源としては、水溶性リチウム塩が、置換元素を含む場合には、その元素の水溶性有機酸塩を用いることが好ましい。前駆体調製工程では、各原料の混合水溶液又はそれらの反応沈殿物を含む水溶液にアルカリ源を加えて溶液のpHをアルカリ性に保持し、水分を加熱乾燥、真空乾燥等の手法で乾燥することで前駆体粉末を得ることができる。また、原料混合過程に於いて、リン酸源以外の原料を混合した溶液にアルカリ源を加えてpHをアルカリに調整したところに、リン酸源とアルカリ源を同時に滴下してpHを保持したまま沈澱を生成させてもよい。アルカリ源としては前述したような試薬を用いることが可能であるが、アンモニア水を使用すると合成後のリン酸マンガンリチウムの粒径が小さくなる傾向があるため特に好ましい。焼成工程は金属酸化物の生成を防ぐために不活性雰囲気中で行うことが好ましく、焼成温度は400〜900℃が好ましい。
以上、いわゆる焼成法と呼ばれる合成方法について述べたが、リン酸マンガンリチウムの合成方法としては、これとは別に、いわゆる水熱法と呼ばれる合成方法がある。水熱法は、密閉容器中に原料水溶液を入れて加熱し、高温高圧下で合成反応が進行する手法である。本発明の製造方法を水熱合成法に適用してもよいが、水熱合成法では比較的小さな活物質粒子が合成され易いという別の要因の影響により、本発明の効果の顕著性が見かけ上緩和されて観察される場合がある。
リン酸マンガンリチウムは、平均粒子サイズ100μm以下の粉体としてリチウム二次電池用正極に用いることが好ましい。特に、粒径が小さい方が好ましく、二次粒子の平均粒子径は0.5〜20μmであり、一次粒子の粒径は1〜500nmであることがより好ましい。また、粉体粒子の比表面積は正極のハイレート性能を向上させるために大きい方が良く、1〜100m・g−1が好ましい。より好ましくは5〜100m・g−1である。粉体を所定の形状で得るため、粉砕機や分級機を用いることができる。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや篩等を用いることができる。粉砕時には水、あるいはアルコール、ヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いてもよい。分級方法としては、特に限定はなく、必要に応じて篩や風力分級機などを乾式あるいは湿式にて用いることができる。
また、電子伝導性を補う目的でリン酸マンガンリチウム粒子表面にカーボンを機械的に或いは有機物の熱分解等により付着させたものであっても本発明の効果は有効に発揮されうる。
更に、合成後のリン酸マンガンリチウムにその性能の向上を目的として意図的に不純物を共存させてもよく、そのような場合にも本発明の効果が失われることはない。
導電剤、結着剤については周知のものを周知の処方で用いることができる。
本発明の正極活物質を含有する正極中に含まれる水分量は少ない方が好ましく、具体的には500ppm未満であることが好ましい。
また、電極合材層の厚みは電池のエネルギー密度との兼ね合いから本発明を適用する電極合材層の厚みは20〜500μmが好ましい。
本発明電池の負極は、何ら限定されるものではなく、リチウム金属、リチウム合金(リチウム―アルミニウム、リチウム―鉛、リチウム―錫、リチウム―アルミニウム―錫、リチウム―ガリウム、およびウッド合金等のリチウム金属含有合金)の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えばグラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)、金属酸化物、リチウム金属酸化物(LiTi12等)、ポリリン酸化合物等が挙げられる。これらの中でもグラファイトは、金属リチウムに極めて近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電を実現できるため負極材料として好ましい。例えば、人造黒鉛、天然黒鉛が好ましい。特に,負極活物質粒子表面を不定形炭素等で修飾してあるグラファイトは、充電中のガス発生が少ないことから望ましい。
一般的に、非水電解質電池の形態としては、正極、負極、電解質塩が非水溶媒に含有された非水電解質から構成され、一般的には、正極と負極との間に、セパレータとこれらを包装する外装体が設けられる。
非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネ−ト等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエ−テル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
電解質塩としては、例えば、LiBF、LiPF等のイオン性化合物が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。非水電解質における電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有する非水電解質電池を確実に得るために、0.5mol・dm−3〜5mol・dm−3が好ましく、さらに好ましくは、1mol・dm−3〜2.5mol・dm−3である。
本発明はリチウム二次電池のなかでも特に非水電解質電池に絞った内容になっているが、水溶液系においても本発明効果は有効に発揮される。
以下に、本発明のリチウム二次電池の製造方法について例示するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
(実施例1)
(LiMn0.875Fe0.125POの作製)
酢酸マンガン四水和物(Mn(CHCOO)・4HO)と、酢酸鉄(Fe(CHCOO))とリン酸(HPO)と水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)とをモル比が0.875:0.125:1:1.02になるように計り取った。まず、酢酸マンガン四水和物と酢酸鉄を0.5mol・dm−3となるように精製水に溶解させた。次に、この混合溶液を攪拌しながら2.0mol・dm−3に希釈したリン酸水溶液を滴下した。リン酸滴下後に、水酸化リチウム一水和物の粉末を加えた。これらの混合溶液を60℃のウォーターバス中で撹拌しながら、アルカリ源としてアンモニア水を溶液のpHが9.5になるまで加え続けた。この後、ウォーターバスの温度を80℃に変更して2時間撹拌を続けた。得られた沈殿溶液を真空乾燥した後に乳鉢で解砕することで前駆体粉末を調製した。得られた前駆体粉末をアルミナ製の匣鉢(外形寸法90×90×50mm)に入れ、雰囲気置換式焼成炉(デンケン社製卓上真空ガス置換炉KDF−75)を用いて、窒素ガスの流通下(流速1.0L・min−1)で仮焼成した。仮焼成温度は300℃とし、仮焼成時間(前記焼成温度を維持する時間)は2時間とした。なお、昇温速度は5℃・min−1、降温は自然放冷とした。このようにしてLiMn0.875Fe0.125POを合成した。得られた仮焼成粉にポリビニルアルコール(重合度約1500)を質量比が1:1になるように秤量した後、ボールミルで乾式混合し、この混合物をアルミナ製の匣鉢に入れ、雰囲気置換式焼成炉にて窒素流通下(1.0L・min−1)で700℃、1時間焼成することでカーボンコートされたLiMn0.875Fe0.125POを合成した。これを正極活物質として用いた。合成したLiMn0.875Fe0.125PO粉末のCuKα線を使用した粉末エックス線回折線図を図1に示す。図1からわかるように、2θ=29.2±0.5°の回折線強度(a)と2θ=16.9±0.5°の回折線強度(b)との関係は、a<bであり、2θ=29.2±0.5°の回折線強度よりも2θ=16.9±0.5°の回折線強度の方が大きかった。
(正極の作製)
前記正極活物質、導電剤であるアセチレンブラック、及び、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)を80:8:12の重量比で含有し、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を溶媒とする正極ペーストを調整した。該正極ペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔集電体上の片面に塗布、乾燥した後、プレス加工を行い、正極とした。該正極にはアルミニウム製の正極端子を超音波溶接により接続した。なお、実施例1の正極を表面形状を保ったままCuKα線を使用したエックス線回折測定(XRD)を行った結果を図4に示す。図4からわかるように、正極板の状態でエックス線回折測定を行った場合でも、2θ=29.2±0.5°の回折線強度(a)と2θ=16.9±0.5°の回折線強度(b)との関係は、a<bであり、2θ=29.2±0.5°の回折線強度よりも2θ=16.9±0.5°の回折線強度の方が大きかった。
(負極の作製)
厚さ100μmのリチウム金属箔を厚さ10μmのニッケル箔集電体上に貼り付けたものを負極とした。負極にはニッケル製の負極端子を抵抗溶接により接続した。
(電解液の調製)
エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びメチルエチルカーボネートを体積比6:7:7の割合で混合した混合溶媒に、含フッ素系電解質塩であるLiPFを1mol・dm−3の濃度で溶解させ、非水電解質を作製した。該非水電解質中の水分量は50ppm未満とした。
(電池の組み立て)
露点−40℃以下の乾燥雰囲気下において非水電解質電池を組み立てた。正極と負極とを各1枚、厚さ20μmのポリプロピレン製セパレ−タを介して対向させる。外装体として、ポリエチレンテレフタレ−ト(15μm)/アルミニウム箔(50μm)/金属接着性ポリプロピレンフィルム(50μm)からなる金属樹脂複合フィルムを用い、この極群を前記正極端子及び負極端子の開放端部が外部露出するように注液孔となる部分を除いて気密封止した。前記注液孔から一定量の非水電解質を注液後、減圧状態で前記注液孔部分を熱封口し、実施例1に係る電池を組み立てた。
(比較例1)
(LiMn0.875Fe0.125POの作製)
酢酸マンガン四水和物(Mn(CHCOO)・4HO)と、酢酸鉄(Fe(CHCOO))とリン酸(HPO)と水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)とをモル比が0.875:0.125:1:1.02になるように計り取った。まず、酢酸マンガン四水和物と酢酸鉄を0.5mol・dm−3となるように精製水に溶解させた。次に、この混合溶液を攪拌しながら2.0mol・dm−3に希釈したリン酸水溶液を滴下した。リン酸滴下後に、水酸化リチウム一水和物の粉末を加えた。なお、このときのpHは4.4であった。これらの混合溶液を80℃のウォーターバス中で2時間撹拌を続けた。得られた沈殿溶液を真空乾燥した後に乳鉢で解砕することで前駆体粉末を調製した。得られた前駆体粉末をアルミナ製の匣鉢(外形寸法90×90×50mm)に入れ、雰囲気置換式焼成炉(デンケン社製卓上真空ガス置換炉KDF−75)を用いて、窒素ガスの流通下(流速1.0L・min−1)で仮焼成した。仮焼成温度は300℃とし、仮焼成時間(前記焼成温度を維持する時間)は2時間とした。なお、昇温速度は5℃・min−1、降温は自然放冷とした。このようにしてリン酸鉄リチウム化合物LiMn0.875Fe0.125POを合成した。得られた仮焼成粉にポリビニルアルコール(重合度約1500)を質量比が1:1になるように秤量した後、ボールミルで乾式混合し、この混合物をアルミナ製の匣鉢に入れ、雰囲気置換式焼成炉にて窒素流通下(1.0L・min−1)で700℃、1時間焼成することでカーボンコートされたLiMn0.875Fe0.125POを合成した。合成したLiMn0.875Fe0.125PO粉末のCuKα線を使用した粉末エックス線回折図を図2に示す。図2からわかるように、図1とは逆に、2θ=29.2±0.5°の回折線強度(a)と2θ=16.9±0.5°の回折線強度(b)との関係は、a>bであり、2θ=29.2±0.5°の回折線強度の方が2θ=16.9±0.5°の回折線強度よりも大きかった。
上記の正極活物質を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較例1に係るリチウム二次電池を組み立てた。なお、比較例1の正極を表面形状を保ったままCuKα線を使用したエックス線回折測定(XRD)を行った結果を図5に示す。図5からわかるように、正極板の状態でエックス線回折測定を行った場合でも、2θ=29.2±0.5°の回折線強度(a)と2θ=16.9±0.5°の回折線強度(b)との関係は、a>bであり、2θ=29.2±0.5°の回折線強度の方が2θ=16.9±0.5°の回折線強度よりも大きかった。
(充放電試験)
実施例1及び比較例1に係る電池を温度20℃にて、5サイクルの充放電を行う充放電試験に供した。ここで、充電条件は、電流0.1ItmA(約10時間率)、電圧4.55V、15時間の定電流定電圧充電とし、放電条件は、電流0.1ItmA(約10時間率)、終止電圧2.50Vの定電流放電とした。このようにして非水電解質電池を作製した。5サイクル目に得られた放電容量を表1に示す。
(実施例2)
(LiMn0.875Fe0.125POの作製)
酢酸マンガン四水和物(Mn(CHCOO)・4HO)と、乳酸鉄三水和物(Fe(CH・3HO)とリン酸(HPO)と水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)とアスコルビン酸(C)をモル比が0.875:0.125:1:1.02:0.074になるように計り取った。まず、酢酸マンガン四水和物と乳酸鉄三水和物を0.5mol・dm−3となるように精製水に溶解させた。そこにアスコルビン酸を加えて溶解させた後、この混合溶液を攪拌しながら2.0mol・dm−3に希釈したリン酸水溶液を滴下した。リン酸滴下後に、水酸化リチウム一水和物の粉末を加えることで前駆体溶液を作製した。この溶液を60℃のウォーターバス中で撹拌しながら、アルカリ源としてアンモニア水を前駆体溶液のpHが11.6になるまで加え続けた。この後、ウォーターバスの温度を80℃に変更して2時間撹拌を続けた。得られた沈殿溶液を真空乾燥した後に乳鉢で解砕することで前駆体粉末を調製した。得られた前駆体粉末をアルミナ製の匣鉢(外形寸法90×90×50mm)に入れ、雰囲気置換式焼成炉(デンケン社製卓上真空ガス置換炉KDF−75)を用いて、窒素ガスの流通下(流速1.0L・min−1)で仮焼成した。仮焼成温度は300℃とし、仮焼成時間(前記焼成温度を維持する時間)は2時間とした。なお、昇温速度は5℃・min−1、降温は自然放冷とした。このようにしてリン酸マンガン鉄リチウム化合物LiMn0.875Fe0.125POを合成した。得られた仮焼成粉にポリビニルアルコール(重合度約1500)を質量比が1:1になるように秤量した後、ボールミルで乾式混合し、この混合物をアルミナ製の匣鉢に入れ、雰囲気置換式焼成炉にて窒素流通下(1.0L・min−1)で700℃、1時間焼成することでカーボンコートされたLiMn0.875Fe0.125POを合成した。これを正極活物質として用いた。
(実施例3)
前駆体溶液に、アルカリ源であるアンモニア水を前駆体溶液のpHが9.5になるまで加え続けたことを除いては、実施例2と同様にしてカーボンコートされたLiMn0.875Fe0.125POを得た。
(実施例4)
前駆体溶液に、アルカリ源であるアンモニア水を前駆体溶液のpHが7.0になるまで加え続けたことを除いては、実施例2と同様にしてカーボンコートされたLiMn0.875Fe0.125POを得た。
(比較例2)
前駆体溶液に、アルカリ源を加えなかったことを除いては、実施例2と同様にしてカーボンコートされたLiMn0.875Fe0.125POを得た。
(実施例5)
(LiMn0.825Fe0.125Mg0.05POの作製)
酢酸マンガン四水和物(Mn(CHCOO)・4HO)と、乳酸鉄三水和物(Fe(CH・3HO)と酢酸マグネシウム四水和物(Mg(CHCOO)・4HO)とリン酸(HPO)と酢酸リチウム(LiCHCOO)とアスコルビン酸(C)をモル比が0.825:0.125:0.05:1:1.02:0.074になるように計り取った。まず、酢酸マンガン四水和物と乳酸鉄三水和物を0.5mol・dm−3となるように精製水に溶解させた。そこにアスコルビン酸を加えて溶解させた後、この混合溶液を攪拌しながら2.0mol・dm−3に希釈したリン酸水溶液を滴下した。リン酸滴下後に、酢酸リチウムの粉末を加えることで前駆体溶液を作製した。この溶液を60℃のウォーターバス中で撹拌しながら、アルカリ源としてアンモニア水を前駆体溶液のpHが9.5になるまで加え続けた。この後、ウォーターバスの温度を80℃に変更して2時間撹拌を続けた。得られた沈殿溶液を真空乾燥した後に乳鉢で解砕することで前駆体粉末を調製した。得られた前駆体粉末をアルミナ製の匣鉢(外形寸法90×90×50mm)に入れ、雰囲気置換式焼成炉(デンケン社製卓上真空ガス置換炉KDF−75)を用いて、窒素ガスの流通下(流速1.0L・min−1)で仮焼成した。仮焼成温度は300℃とし、仮焼成時間(前記焼成温度を維持する時間)は2時間とした。なお、昇温速度は5℃・min−1、降温は自然放冷とした。このようにしてリン酸マンガン鉄リチウム化合物LiMn0.875Fe0.125POを合成した。得られた仮焼成粉にポリビニルアルコール(重合度約1500)を質量比が1:1になるように秤量した後、ボールミルで乾式混合し、この混合物をアルミナ製の匣鉢に入れ、雰囲気置換式焼成炉にて窒素流通下(1.0L・min−1)で700℃、1時間焼成することでカーボンコートされたLiMn0.825Fe0.125Mg0.05POを得た。
(比較例3)
前駆体溶液に、アルカリ源を加えなかったことを除いては、実施例5と同様にしてカーボンコートされたLiMn0.825Fe0.125Mg0.05POを得た。
(実施例6)
(LiMn0.825Fe0.175POの作製)
酢酸マンガン四水和物(Mn(CHCOO)・4HO)と、乳酸鉄三水和物(Fe(CH・3HO)とリン酸(HPO)と水酸化リチウム一水和物(LiOH・HO)とアスコルビン酸(C)をモル比が0.825:0.175:1:1.02:0.074になるように計り取った。まず、酢酸マンガン四水和物と乳酸鉄三水和物を0.5mol・dm−3となるように精製水に溶解させた。そこにアスコルビン酸を加えて溶解させた後、この混合溶液を攪拌しながら2.0mol・dm−3に希釈したリン酸水溶液を滴下した。リン酸滴下後に、水酸化リチウム一水和物の粉末を加えることで前駆体溶液を作製した。この溶液を60℃のウォーターバス中で撹拌しながら、アルカリ源としてアンモニア水を前駆体溶液のpHが9.7になるまで加え続けた。この後、ウォーターバスの温度を80℃に変更して2時間撹拌を続けた。得られた沈殿溶液を真空乾燥した後に乳鉢で解砕することで前駆体粉末を調製した。得られた前駆体粉末をアルミナ製の匣鉢(外形寸法90×90×50mm)に入れ、雰囲気置換式焼成炉(デンケン社製卓上真空ガス置換炉KDF−75)を用いて、窒素ガスの流通下(流速1.0L・min−1)で仮焼成した。仮焼成温度は300℃とし、仮焼成時間(前記焼成温度を維持する時間)は2時間とした。なお、昇温速度は5℃・min−1、降温は自然放冷とした。このようにしてリン酸マンガン鉄リチウム化合物LiMn0.825Fe0.175POを合成した。得られた仮焼成粉にポリビニルアルコール(重合度約1500)を質量比が1:1になるように秤量した後、ボールミルで乾式混合し、この混合物をアルミナ製の匣鉢に入れ、雰囲気置換式焼成炉にて窒素流通下(1.0L・min−1)で700℃、1時間焼成することでカーボンコートされたLiMn0.825Fe0.175POを得た。
(比較例4)
前駆体溶液に、アルカリ源を加えなかったことを除いては、実施例6と同様にしてカーボンコートされたLiMn0.825Fe0.175POを得た。
(充放電試験)
実施例3〜6及び比較例2〜4に係る電池を温度20℃にて、5サイクルの充放電を行う充放電試験に供した。ここで、充電条件は、電流0.1ItmA(約10時間率)、電圧4.55V、15時間の定電流定電圧充電とし、放電条件は、電流0.1ItmA(約10時間率)、終止電圧2.0Vの定電流放電とした。このようにして非水電解質電池を作製した。5サイクル目に得られた放電容量を表2〜表4に示す。
また、実施例3〜6及び比較例2〜4に係る正極活物質について、CuKα線を使用した粉末エックス線回折測定を行い、得られたエックス線回折図から、2θ=29.2±0.5°の回折線強度(a)に対する2θ=16.9±0.5°の回折線強度(b)の比(b/a)を求めたので、これについても表2〜表4に併せて示す。代表して実施例3に対応するエックス線回折図を図6に、比較例2に対応するエックス線回折図を図7にそれぞれ示す。
実施例に係る図6と比較例に係る図7とを対比してわかるように、両者は各ピークのピーク強度が異なっている。特に2θ=16.9±0.5°のピークの差異は顕著であり、実施例に係る図6ではこのピークが最強となり、比較例に係る図7と比べると2θ=29.2±0.5°とのピーク強度比が逆転している。このことはリン酸マンガンリチウムのリチウムイオン拡散パスの方向と直交する方向の(200)面が選択的に成長し、リチウムイオン拡散パス方向の(020)面の成長が抑制されたことに由来しているものと考えられる。
表2からわかるように、マンガンイオン、リン酸イオン及びリチウムイオンを少なくとも含む水溶液から得た沈殿物を前駆体とし、該前駆体を焼成してLiMn0.875Fe0.125POで表される正極活物質を得る場合に、水溶液にアンモニア水を加えてpHを7以上に調整することにより、前記調整を行わず酸性水溶液のままとした場合と比べて、高い放電容量の得られるリチウム二次電池用正極活物質が得られることがわかった。また、pHは、7.0以上が好ましく、7.0を超えることがより好ましいことがわかる。また、pHは、11.6以下とすることが好ましいこともわかる。
そして、実施例2〜4に係る正極活物質は、いずれも、CuKα線を使用した粉末エックス線回折線図において、2θ=29.2±0.5°の回折線強度よりも2θ=16.9±0.5°の回折線強度の方が大きいという特徴を備えていることがわかる。
表3から、LiMn0.825Fe0.125Mg0.05POで表される正極活物質を得る場合においても、同様であることがわかる。
表4から、LiMn0.825Fe0.175POについては、LiMn0.875Fe0.125POと比べてFeの比率が高いことから、比較例4の放電容量は比較例2や比較例3ほどには低くはないが、このような組成の場合でも、水溶液にアンモニア水を加えてアルカリ性とすることにより、CuKα線を使用した粉末エックス線回折線図において、2θ=29.2±0.5°の回折線強度よりも2θ=16.9±0.5°の回折線強度の方が大きいという特徴を備えた正極活物質が得られ、前記調整を行わず酸性水溶液のままとした場合と比べて、高い放電容量の得られるリチウム二次電池用正極活物質が得られることがわかる。
これらの知見からわかるように、一般式LiMn(1−x−y)FePO(0≦x≦0.5、0≦y≦0.1、M=Mg、Co、Cr、Ti、Y、Mo又はNb)で表される材料は、Feの組成比に対してMnの組成比が高いほど、理論的には4V付近の放電容量がより多く得られるリチウム二次電池用正極活物質となる反面、実質的な容量が十分に得られないという課題が存在するが、本発明は、Mnの組成比が比較的高い場合におけるこのような問題点について、より顕著に改善させることができる。
本発明によれば、放電容量の大きなリン酸マンガン系のリチウム二次電池用正極活物質とそれを用いたリチウム二次電池を提供できるので、今後の展開が期待される中型・大型電池、特に産業用電池への応用に適しており、産業上の利用可能性は極めて大である。
実施例に係るリチウム二次電池得用正極活物質のエックス線回折図である。 比較例に係るリチウム二次電池得用正極活物質のエックス線回折図である。 非特許文献1に記載されたLiFePOのエックス線回折図である。 実施例に係るリチウム二次電池得用正極のエックス線回折図である。 比較例に係るリチウム二次電池得用正極のエックス線回折図である。 実施例に係るリチウム二次電池得用正極活物質のエックス線回折図である。 比較例に係るリチウム二次電池得用正極活物質のエックス線回折図である。

Claims (4)

  1. 一般式LiMn(1−x−y)FePO(0≦x≦0.5、0≦y≦0.1、M=Mg、Co、Cr、Ti、Y、Mo又はNb)で表され、CuKα線を使用した粉末エックス線回折線図において、2θ=29.2±0.5°の回折線強度よりも2θ=16.9±0.5°の回折線強度の方が大きいことを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。
  2. 一般式LiMn(1−x−y)FePO(0≦x≦0.5、0≦y≦0.1、M=Mg、Co、Cr、Ti、Y、Mo又はNb)で表される正極活物質を含み、CuKα線を使用した粉末エックス線回折線図において、2θ=29.2±0.5°の回折線強度よりも2θ=16.9±0.5°の回折線強度の方が大きいことを特徴とするリチウム二次電池用正極。
  3. 請求項1記載の正極活物質を含む正極又は請求項2記載の正極と、負極と、非水電解質を備えたリチウム二次電池。
  4. マンガンイオン、リン酸イオン及びリチウムイオンを少なくとも含むアルカリ性水溶液から得た沈殿物を前駆体とし、該前駆体を焼成して一般式LiMn(1−x−y)FePO(0≦x≦0.5、0≦y≦0.1、M=Mg、Co、Cr、Ti、Y、Mo又はNb)で表される正極活物質を得るリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
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