この発明の第1の局面による懸架装置は、装置本体の内部に配置され、装置本体の伸縮状態を検出する検出部材と、装置本体に設けられた第1シリンダ部と、装置本体の一方端に設けられた第1ブラケットと、検出部材と別個に設けられ、検出部材を装置本体の内部に固定する固定部材とを備え、固定部材は、第1シリンダ部と第1ブラケットとに挟み込まれることにより、固定部材が装置本体の内部に固定される固定部と、検出部材に当接することにより、検出部材を装置本体の内部に固定する当接部とを含み、固定部材は、検出部材の軸方向に移動または変形可能に構成され、固定部材は、固定部と当接部とを含む弾性変形可能な1つの弾性部材により構成されており、検出部材は、固定部と当接部とを含む弾性変形可能な1つの弾性部材からなる固定部材によって検出部材の軸方向に付勢されている。
第1の局面による懸架装置では、上記のように、固定部材を、検出部材と別個に設けることによって、検出部材に外径が大きいフランジ部を一体的に設ける必要がないので、検出部材の切削加工に時間がかかることがない。これにより、検出部材の加工を容易に行うことができる。
この発明の第2の局面による車両は、前輪と、後輪と、車体フレームと、前輪または後輪と車体フレームとの間に配置される懸架装置とを備え、懸架装置は、懸架装置本体の内部に配置され、懸架装置本体の伸縮状態を検出する検出部材と、懸架装置本体に設けられた第1シリンダ部と、懸架装置本体の一方端に設けられた第1ブラケットと、検出部材と別個に設けられ、検出部材を懸架装置本体の内部に固定する固定部材とを含み、固定部材は、第1シリンダ部と第1ブラケットとに挟み込まれることにより、固定部材が懸架装置本体の内部に固定される固定部と、検出部材に当接することにより、検出部材を懸架装置本体の内部に固定する当接部とを有し、固定部材は、検出部材の軸方向に移動または変形可能に構成され、固定部材は、固定部と当接部とを含む弾性変形可能な1つの弾性部材により構成されており、検出部材は、固定部と当接部とを含む弾性変形可能な1つの弾性部材からなる固定部材によって検出部材の軸方向に付勢されている。
第2の局面による車両では、上記のように、固定部材を、検出部材と別個に設けることによって、検出部材に外径が大きいフランジ部を一体的に設ける必要がないので、検出部材の切削加工に時間がかかることがない。これにより、検出部材の加工を容易に行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による自動二輪車の全体構造を示した側面図である。図2は、図1に示した第1実施形態による自動二輪車の前側の構造を示した側面図である。図3〜図8は、図1に示した第1実施形態による自動二輪車のフロントフォークおよびリヤサスペンションの構造を詳細に説明するための図である。なお、第1実施形態では、本発明の車両の一例として、自動二輪車について説明する。図中、FWDは、自動二輪車の走行方向の前方を示している。以下、図1〜図8を参照して、本発明の第1実施形態による自動二輪車1の構造について詳細に説明する。
本発明の第1実施形態による自動二輪車1では、図1に示すように、ヘッドパイプ2の後方には、メインフレーム3が配置されている。また、メインフレーム3には、シートレール4が接続されている。これらのヘッドパイプ2、メインフレーム3およびシートレール4によって、車体フレームが構成されている。なお、ヘッドパイプ2、メインフレーム3およびシートレール4は、本発明の「車体フレーム」の一例である。
また、ヘッドパイプ2には、図2に示すように、ステアリングシャフト5が取り付けられている。このステアリングシャフト5の上部には、ハンドル6が取り付けられている。また、ヘッドパイプ2の前方には、ヘッドパイプ2の前方を覆うフロントカウル7が設けられている。また、フロントカウル7の下方には、前輪8と、前輪8の上方に配置されるフロントフェンダ9とが配置されている。この前輪8は、走行方向に向かって前輪8の右側に配置される右側フロントフォーク10aの下端部および走行方向に向かって前輪8の左側に配置される左側フロントフォーク10bの下端部に回転可能に取り付けられている。つまり、右側フロントフォーク10aおよび左側フロントフォーク10bは、前輪8と車体フレームとの間に配置されている。なお、前輪8は、本発明の「車輪」の一例である。また、右側フロントフォーク10aは、路面からの振動を吸収するとともに、自動二輪車1およびユーザーの重量を支える機能を有する。また、左側フロントフォーク10bは、前輪8と車体フレームとが相対的に移動するときの伸長方向および圧縮方向の力を減衰させる機能を有する。
また、右側フロントフォーク10aは、アウターチューブ11aおよびインナーチューブ12aが軸方向に摺動して伸縮可能に設けられているとともに、左側フロントフォーク10bは、アウターチューブ11bおよびインナーチューブ12bが軸方向に摺動して伸縮可能に設けられている。また、アウターチューブ11aおよび11bは、ステアリングシャフト5に固定されたアンダーブラケット13およびアッパーブラケット14(図1参照)に固定されている。また、インナーチューブ12aおよび12bには、それぞれ、アクスルブラケット15および16が設けられているとともに、アクスルブラケット15および16には、前輪8の車軸8aが取り付けられている。なお、アクスルブラケット15は、本発明の「第2ブラケット」の一例である。
また、図3に示すように、右側フロントフォーク10aには、右側フロントフォーク10aの伸縮状態を検出するためのストロークセンサ70が設けられている。なお、右側フロントフォーク10aは、本発明の「フロントフォーク」の一例である。一方、左側フロントフォーク10bには、図示しない減衰機構と、減衰調整バルブ17とが設けられている。なお、ストロークセンサ70は、本発明の「検出部材」の一例である。
また、図7に示すように、ストロークセンサ70は、ロッド70aと、本体部70bと、配線部70cとから構成されている。なお、ロッド70aは、本発明の「ロッド部」の一例であり、本体部70bは、本発明の「検出部材本体」の一例である。
ロッド70aは、矢印Z1方向および矢印Z2方向に延びるように設けられている。また、ロッド70aの一方端(矢印Z1方向側の端部)は、本体部70bの後述するロッド部側端面70dと接続されている。また、ロッド70aには、図示しないコイルが巻かれており、ロッド70aは、コイルのインダクタンス変化を測定することにより、非磁性体に挿入された長さを検出する機能を有する。具体的には、右側フロントフォーク10aの後述するロッド部22(図3参照)、ピストン部26(図3参照)に挿入された部分の長さを検出する機能を有する。また、後述するリヤサスペンション35のパイプ61(図5参照)に挿入された部分の長さを検出する機能を有する。
本体部70bは、円柱状の形状を有しており、矢印Z2方向側の端面であるロッド部側端面70dと、矢印Z1方向側の端面である配線部側端面70eとを有する。また、ロッド部側端面70dは、ロッド70aの一方端(矢印Z1方向側の端部)と接続されているとともに、配線部側端面70eは、配線部70cの一方端(矢印Z2方向側の端部)と接続されている。なお、ロッド部側端面70dは、本発明の「端面」の一例である。
また、本体部70bの外周面には、右側フロントフォーク10aの内部から外部へのオイルの漏れおよび後述するリヤサスペンション35の内部から外部へのオイルの漏れを抑制するためのOリング71が嵌め込まれる溝部70fが形成されている。さらに、本体部70bの外周面には、本体部70bの外周面の軸方向(矢印Z1方向および矢印Z2方向)の略中心に設けられ、軸方向と垂直方向に突出している突出部70gが形成されている。また、突出部70gは、本体部70bの外周面に沿うように周状に形成されているとともに、本体部70bと一体的に形成されている。また、本体部70bの外周面には、溝部70fと突出部70gとの間に位置する挿入部70hと、突出部70gよりも矢印Z2方向側に位置し、挿入部70hと略同じ外径を有する側面下部70iとが形成されている。また、本体部70bの外周面には、側面下部70iよりも矢印Z2方向側に位置し、挿入部70hおよび側面下部70iよりも小さい外径を有する段差部70jがさらに形成されている。また、段差部70jは、軸方向に延びるように設けられている。また、段差部70jと側面下部70iとの境界には、段差面70kが形成されている。この段差面70kは、軸方向に対して垂直に延びるように設けられている。なお、段差面70kは、本発明の「段差部」の一例である。
また、配線部70cは、矢印Z1方向および矢印Z2方向に延びるように設けられている。また、配線部70cの一方端(矢印Z2方向側の端部)は、本体部70bの配線部側端面70eと接続されているとともに、配線部70cの他方端(矢印Z1方向側の端部)からは、配線70l(図3参照)が導出されている。また、配線70lは、減衰力コントロールユニット18(図3参照)に接続されている。
また、図3に示すように、右側フロントフォーク10aのアウターチューブ11aの内周面には、インナーチューブ12aの外周面と摺動するブッシュ19が取り付けられている。また、右側フロントフォーク10aのアウターチューブ11aの上端部には、ロッド固定部材20が設けられている。また、ロッド固定部材20の上方には、栓部材21が設けられており、栓部材21によってアウターチューブ11aの上端開口が塞がれている。
また、ロッド固定部材20には、矢印Z3方向および矢印Z4方向に移動可能なように構成されたロッド部22が取り付けられて固定されている。具体的には、ロッド固定部材20の上部には、ネジ穴20aが形成されている。また、ロッド部22の上端部には、ネジ山が形成された上端外周部22aが形成されている。この上端外周部22aがロッド固定部材20のネジ穴20aに螺合されることにより、ロッド部22は、ロッド固定部材20に固定されている。また、ロッド部22は、アルミニウムまたは真鍮などの非磁性体の材料により構成されているとともに、筒形状に形成されている。また、ロッド固定部材20の外周面には、上部鍔部23が取り付けられている。この上部鍔部23には、圧縮コイルバネ24の上端部が配置されている。
また、ロッド部22のネジ山が形成された下端外周部22bは、シリンダ部25の内部に配置されるピストン部26のネジ穴26aに螺合されることにより固定されている。また、非磁性体の材料により構成されているロッド部22の内周面およびピストン部26の内周面には、挿入穴22cおよび26bがそれぞれ形成されている。また、ピストン部26の挿入穴26bは、ピストン部26の挿入穴26bの中心軸がロッド部22の挿入穴22cの中心軸と略同軸になるように形成されており、挿入穴22cおよび26bは、それぞれ、ストロークセンサ70のロッド70aを挿入可能なように構成されている。
また、図4に示すように、アクスルブラケット15は、インナーチューブ12aのネジ山が形成された下端外周部12cが取り付けられるネジ穴15aと、ストロークセンサ70の突出部70gが挿入される挿入穴部15bとを含んでいる。さらに、アクスルブラケット15は、ストロークセンサ70の挿入部70hが右側フロントフォーク10aの内部側から挿入される位置決め穴15cと、前輪8の車軸8a(図1参照)を支持する貫通穴15dとを含んでいる。
また、アクスルブラケット15の挿入穴部15bは、ネジ穴15aの下方に形成されているとともに、ネジ穴15aの穴径よりも小さな穴径を有している。また、挿入穴部15bは、挿入穴部15bの中心軸がネジ穴15aの中心軸と略重なるように構成されている。また、挿入穴部15bの内周面には、ネジ部15eが形成されている。また、挿入穴部15bの下部には、挿入穴部15bの中心線と垂直な方向に広がる当接部15fが形成されている。また、当接部15fは、ストロークセンサ70の突出部70gの矢印Z4方向側の面が当接するように設けられている。
また、アクスルブラケット15の位置決め穴15cは、挿入穴部15bの下方に形成されているとともに、挿入穴部15bの穴径よりも小さな穴径を有している。また、位置決め穴15cは、位置決め穴15cの中心軸がネジ穴15aの中心軸と略重なるように構成されている。また、位置決め穴15cには、ストロークセンサ70の挿入部70hが挿入されている。挿入部70hの外径は、位置決め穴15cの穴径と略同じ大きさを有する。また、位置決め穴15cと後述する配線穴15hとの間の境界には、底面部15gが形成されている。底面部15gは、位置決め穴15cに挿入されたストロークセンサ70の配線部側端面70eを支持するように形成されている。また、ストロークセンサ70の溝部70fにOリング71が挿入された状態で、ストロークセンサ70の挿入部70hが、位置決め穴15cに挿入されている。これにより、ストロークセンサ70とアクスルブラケット15との間のオイルの流通を十分にシールすることが可能となる。
また、位置決め穴15cの下方には、配線穴15hが設けられている。配線穴15hは、位置決め穴15cの下部と貫通穴15dの内周面とを連結するように形成されている。つまり、位置決め穴15cは、ストロークセンサ70の配線部70cから導出される配線70l(図3参照)を、右側フロントフォーク10a(図3参照)の外部に取り出し可能なように構成されている。
また、アクスルブラケット15の挿入穴部15bには、シリンダ部25が固定されている。具体的には、シリンダ部25の下部の外周面には、ネジ部25aが形成されている。このネジ部25aは、挿入穴部15bの内周面のネジ部15eに対して螺合されている。これによって、シリンダ部25は、アクスルブラケット15に挿入されている。なお、シリンダ部25は、本発明の「第2シリンダ部」の一例である。また、シリンダ部25の側面の下部近傍には、開口部25bが形成されている。また、図3に示すように、オイル室25cが、シリンダ部25の内周面と、ストロークセンサ70の本体部70bと、矢印Z3方向および矢印Z4方向に移動可能なように構成されたピストン部26の下部とに囲まれた領域に形成されている。ここで、開口部25bは、ロッド部22およびピストン部26が下方に移動した際に、オイル室25cのオイルをシリンダ部25の外周面とインナーチューブ12aの内周面との間に逃がす機能を有する。
また、第1実施形態では、図4に示すように、アクスルブラケット15の当接部15fと、シリンダ部25の下端部25dとの間には、ストロークセンサ70の突出部70gが配置されている。そして、シリンダ部25の下端部25dにより突出部70gの矢印Z3方向側の面が押圧されることによって、突出部70gの矢印Z4方向側の面が挿入穴部15bの当接部15fを押圧する。これによって、ストロークセンサ70は、シリンダ部25とアクスルブラケット15とにより挟み込まれることによって、アクスルブラケット15に固定されている。
また、図3に示すように、シリンダ部25の上部には、上部蓋体27が固定されている。また、上部蓋体27の下部とピストン部26との間には、リターンスプリングユニット28が配置されている。このリターンスプリングユニット28は、ピストン部26が上部蓋体27に当接する際の衝撃を緩和する機能を有する。また、上部蓋体27の上方には、下部鍔部29が設けられている。この下部鍔部29の上面と上部鍔部23の下面との間には、圧縮コイルバネ24が配置されている。この圧縮コイルバネ24は、右側フロントフォーク10aのアウターチューブ11aとインナーチューブ12aとが圧縮される際の衝撃を緩和する機能を有する。
また、ロッド部22の挿入穴22cおよびピストン部26の挿入穴26bには、ストロークセンサ70のロッド70aが挿入穴22cおよび挿入穴26bに対して摺動可能に挿入されている。ここで、ストロークセンサ70のロッド70aは、ロッド部22の挿入穴22cおよびピストン部26の挿入穴26bに挿入された部分の長さを検出するように構成されている。
なお、左側フロントフォーク10bには、ストロークセンサ70は取り付けられていない。その一方、左側フロントフォーク10b(図1参照)には、右側フロントフォーク10aに設けられていない図示しないオリフィスなどからなる減衰機構とともに、減衰機構とは別個に減衰調整バルブ17が設けられている。左側フロントフォーク10bの減衰調整バルブ17は、減衰力コントロールユニット18に接続されており、減衰力コントロールユニット18からの信号により、左側フロントフォーク10bの内部のオイルなどの圧力を調整する。これによって、左側フロントフォーク10bの減衰機構の減衰特性を制御する機能を有する。
また、図1に示すように、メインフレーム3の上部には、燃料タンク30が配置されている。また、メインフレーム3の下方には、エンジン31が取り付けられている。また、エンジン31の前方には、エンジン31を冷却するためのラジエータ32が設けられている。また、メインフレーム3の後部には、図示しないピボット軸が設けられている。このピボット軸により、リヤアーム33の前端部が上下に揺動可能に支持されている。このリヤアーム33の後端部には、後輪34が回転可能に取り付けられている。なお、後輪34は、本発明の「車輪」の一例である。
また、メインフレーム3の後部の上側には、支持部3aが設けられている。この支持部3aには、リヤサスペンション35の上部ブラケット36が軸部材37により取り付けられている。なお、リヤサスペンション35は、本発明の「懸架装置」の一例であり、上部ブラケット36は、本発明の「第1ブラケット」の一例である。また、リヤサスペンション35の下部ブラケット38は、メインフレーム3の後部の下側に設けられた支持部3bを中心として揺動可能に設けられた揺動部材39に取り付けられている。この揺動部材39の下部は、リヤアーム33の支持部33aに連結部材40によって連結されている。これにより、リヤアーム33が上下に揺動するのに伴って、揺動部材39がメインフレーム3の支持部3bを中心として揺動するとともに、リヤサスペンション35を伸縮させることが可能となる。
また、リヤサスペンション35は、後輪34と車体フレームとの間に1つのみ設けられている。また、リヤサスペンション35は、図5に示すように、上記したメインフレーム3の支持部3a(図1参照)に取り付けられた上部ブラケット36と、メインフレーム3の支持部3b(図1参照)に取り付けられた下部ブラケット38と、上部ブラケット36と下部ブラケット38との間に設けられた外側シリンダ部41と、外側シリンダ部41の内側に配置された内側シリンダ部42と、下部ブラケット38に固定されたロッド部43と、後述する減衰機構と、リヤサスペンション35の伸縮状態を検出するためのストロークセンサ70と、上部ブラケット36に取り付けられたリザーバタンク44とを含んでいる。ここで、リヤサスペンション35に設けられているストロークセンサ70は、右側フロントフォーク10aに設けられたストロークセンサ70と同一のストロークセンサ70である。なお、内側シリンダ部42は、本発明の「第1シリンダ部」の一例である。
また、図6に示すように、上部ブラケット36には、軸部材37(図1参照)に取り付けるための取付穴36aが設けられている。この取付穴36aは、上部ブラケット36が軸部材37に対して回動可能なように取り付けられている。また、上部ブラケット36の下端部には、外側シリンダ部41を取り付けるためのネジ部36bが設けられている。このネジ部36bには、外側シリンダ部41の上端部の外周面に設けられ、ネジが形成された取付部41aが螺合されている。また、ネジ部36bの上端部には、係合溝部36cが形成されている。この係合溝部36cには、Oリング45が配置されている。これにより、上部ブラケット36と外側シリンダ部41との間のオイルの流通を十分にシールすることが可能となる。
また、上部ブラケット36のネジ部36bの上方(矢印Z5方向)には、内側シリンダ部42を取り付けるためのネジ部36dが設けられている。このネジ部36dは、外側シリンダ部41を取り付けるためのネジ部36bの内径よりも小さな内径を有する。また、ネジ部36dは、内側シリンダ部42の上端部の外周面に設けられた取付部42aと螺合可能に形成されている。内側シリンダ部42の取付部42aが、ネジ部36bに螺合されることにより、内側シリンダ部42は上部ブラケット36に取り付けられている。また、ネジ部36dは、ネジ部36dの中心軸がネジ部36bの中心軸と同軸になるように構成されている。
また、上部ブラケット36のネジ部36dの上方(矢印Z5方向)には、ストロークセンサ70の本体部70bがリヤサスペンション35の内部側から挿入される、位置決め穴36eが設けられている。この位置決め穴36eは、位置決め穴36eの中心軸がネジ部36bの中心軸と同軸になるように構成されている。また、ストロークセンサ70の挿入部70hの外径は、位置決め穴36eの穴径と略同じ大きさを有する。これにより、ストロークセンサ70の挿入部70hが位置決め穴36eに挿入されることによって、ストロークセンサ70の軸方向と垂直方向(穴径方向)の位置決めが可能である。
また、位置決め穴36eの上面36fには、取付穴36aの内周面と接続されている配線穴36gが形成されている。この配線穴36gは、ストロークセンサ70の配線部70cを、リヤサスペンション35の外部に取り出し可能に構成されている。また、ストロークセンサ70の挿入部70hが位置決め穴36eに挿入される際に、位置決め穴36eの上面36fと、ストロークセンサ70の配線部側端面70eとが当接するように構成されている。これにより、ストロークセンサ70の軸方向(矢印Z5方向および矢印Z6方向)の位置決めが可能である。また、ストロークセンサ70の溝部70fにOリング71が挿入された状態で、ストロークセンサ70の挿入部70hが位置決め穴36eに挿入されている。これにより、ストロークセンサ70と上部ブラケット36との間のオイルの流通を十分にシールすることが可能となる。
ここで、第1実施形態では、上部ブラケット36と内側シリンダ部42との間には、ストロークセンサ70を上部ブラケット36に固定するための固定部材46が挟み込まれている。この固定部材46は、金属製の弾性変形可能な弾性部材からなり、矢印Z5方向および矢印Z6方向に弾性変形可能なように配置されている。また、図8に示すように、固定部材46は、平面的に見て、円形状を有しており、固定部材46の中心には、ストロークセンサ70の段差部70jが嵌め込まれる穴部46aが形成されている。また、穴部46aは、段差部70jの外径よりも若干大きな内径を有する円形部分46bと、円周上に同間隔に4箇所設けられ、半円状に切り取られた部分46cとから構成されている。
また、第1実施形態では、固定部材46の矢印Z5方向側の面(上面46d)には、ストロークセンサ70の段差面70kが当接するセンサ当接部46eが形成されている。このセンサ当接部46eは、円形部分46bの内周部と、半円状に切り取られた部分46cの内周部の円形部分46b側の一部とによって形成されており、ストロークセンサ70の軸方向(矢印Z5方向および矢印Z6方向)に対して垂直に延びるように設けられている。なお、センサ当接部46eは、本発明の「当接部」の一例である。また、図6に示すように、固定部材46の外周面近傍である固定部46fは、上部ブラケット36の当接面36hと内側シリンダ部42の上端部42bとに挟み込まれている。これにより、ストロークセンサ70は、固定部材46によって、上部ブラケット36に固定されている。ここで、固定部46fの上面46d側と上部ブラケット36の当接面36hとは当接するように構成されている。
また、ストロークセンサ70の挿入部70hが、上部ブラケット36の位置決め穴36eに嵌め込まれた状態において、ストロークセンサ70の段差面70kは、固定部材46の上面46dよりも、若干矢印Z6方向に位置するように設けられている。これにより、固定部材46が弾性変形することによって、矢印Z5方向への付勢力がストロークセンサ70の本体部70bに加えられるので、ストロークセンサ70の配線部側端面70eは、上部ブラケット36の上面36fに接するように配置される。
また、第1実施形態では、上部オイル室47が、ストロークセンサ70の本体部70bと、上部ブラケット36と、固定部材46の上面46dとに囲まれた領域に形成されている。なお、上部オイル室47は、本発明の「第1オイル室」の一例である。また、上部オイル室47の矢印Z5方向側においては、ストロークセンサ70の溝部70fにOリング71が嵌め込まれている。また、上部オイル室47の矢印Z6方向側においては、固定部46fの上面46d側が、上部オイル室47と後述する下部オイル室50との間のオイルの流通を防ぐことが可能なように、上部ブラケット36の当接面36hに面接触している。さらに、固定部材46の固定部46fは、上部ブラケット36の当接面36hと内側シリンダ部42の上端部42bとに挟み込まれて固定されている。これによって、上部オイル室47は、後述する上側オイル室42c、オイル通路部36iおよび36j以外とは、オイルが流通しないように構成されている。
また、図8に示すように、固定部材46の穴部46aの円形部分46bおよび半円状に切り取られた部分46cの一部は、ストロークセンサ70の段差面70kによって塞がれているが、半円状に切り取られた部分46cの他の部分(オイル流通部分46g)は、塞がれていない。これによって、オイル流通部分46gをオイルが流通することによって、固定部材46の矢印Z5方向側に形成されている上部オイル室47のオイルと、固定部材46の矢印Z6方向側に形成されている後述する上側オイル室42cのオイルとを、互いに流通させることが可能なように構成されている。
また、図5に示すように、上部ブラケット36には、上部オイル室47と減衰機構の圧縮側制御バルブ48および伸長側制御バルブ49とを接続する2つのオイル通路部36iおよび36jが形成されている。また、オイル通路部36iは、後輪34(図1参照)と車体フレーム(図1参照)とが相対的に圧縮方向に移動された場合に、上部オイル室47に存在するオイルを圧縮側制御バルブ48に流入させるために設けられている。そして、圧縮側制御バルブ48は、上部オイル室47から流入したオイルが流通する際に、流通するオイルに抵抗を付与することにより、圧縮側制御バルブ48に減衰力を発生させる機能を有する。また、伸長側制御バルブ49は、後輪34と車体フレームとが相対的に伸長方向に移動された場合に、リザーバタンク44側から流入したオイルが流通する際に、流通するオイルに抵抗を付与することにより、伸長側制御バルブ49に減衰力を発生させる機能を有する。また、オイル通路部36jは、伸長側制御バルブ49から流出されたオイルを上部オイル室47に戻すために設けられている。なお、圧縮側制御バルブ48および伸長側制御バルブ49は、本発明の「制御バルブ」の一例である。
また、第1実施形態では、図6に示すように、下部オイル室50が、内側シリンダ部42の外周面と外側シリンダ部41の内周面とに囲まれた領域に形成された外側オイル室41bと、上部ブラケット36と、内側シリンダ部42とに囲まれた領域に形成されている。なお、下部オイル室50は、本発明の「第2オイル室」の一例である。また、下部オイル室50の矢印Z5方向側においては、上記したように、固定部46fの上面46d側が、上部オイル室47と下部オイル室50との間のオイルの流通を防ぐことが可能なように、上部ブラケット36の当接面36hに面接触している。さらに、固定部材46の固定部46fは、上部ブラケット36の当接面36hと内側シリンダ部42の上端部42bとに挟み込まれて固定されている。また、下部オイル室50の矢印Z6方向側においては、外側オイル室41bと連通するように構成されている。これによって、下部オイル室50は、外側オイル室41b、後述するオイル通路部36lおよび36m以外とは、オイルが流通しないように構成されている。
また、図5に示すように、上部ブラケット36には、リザーバタンク44を取り付けるための係止部36kが設けられている。この係止部36kは、リザーバタンク44の上端部の外周面に設けられている取付部44aと係合可能に形成されている。また、係止部36kの上部は、圧縮側制御バルブ48および伸長側制御バルブ49に接続されているとともに、オイル通路部36lおよび36mに接続されている。オイル通路部36lおよび36mは、下部オイル室50とリザーバタンク44とを接続するように設けられている。
また、リザーバタンク44の内周面には、フリーピストン部51が配置されている。また、リザーバタンク44のフリーピストン部51よりも上側(係止部36k側)には、オイルが充満されているとともに、リザーバタンク44のフリーピストン部51よりも下側(係止部36kとは反対側)には、窒素ガスが充満されている。
また、下部ブラケット38には、揺動部材39(図1参照)に取り付けるための取付穴38aが設けられている。また、下部ブラケット38の上端部には、ロッド取付穴38bが形成されているとともに、ロッド取付穴38bには、ロッド部43の下部が取り付けられている。また、下部ブラケット38の上部には、下部鍔部52が設けられており、下部鍔部52には、圧縮コイルバネ53の下端部が配置されている。また、下部鍔部52の上部で、圧縮コイルバネ53の内側部分には、ウレタンフォーム製のクッション部材54が配置されている。
また、外側シリンダ部41の外周面には、上部鍔部55が固定されている。この上部鍔部55には、圧縮コイルバネ53の上端部が配置されており、圧縮コイルバネ53は、上部鍔部55を上側に付勢するとともに、下部鍔部52を下側に付勢する機能を有する。これにより、後輪34(図1参照)および車体フレームが圧縮方向に受ける衝撃を緩和することが可能となる。
また、外側シリンダ部41の下端部には、蓋ユニット56が嵌め込まれている。この蓋ユニット56には、ロッド挿入部56aが形成されており、ロッド部43の一方端部は、ロッド挿入部56aから挿入されているとともに、内側シリンダ部42の内部に配置されている。
また、ロッド部43は、矢印Z5方向および矢印Z6方向に移動可能なように構成されているとともに、ロッド部43の一方端部近傍には、矢印Z5方向および矢印Z6方向に移動可能なように構成されたピストン部57が取り付けられている。また、上側オイル室42cが、ピストン部57の上部、内側シリンダ部42の内周面、固定部材46およびストロークセンサ70の本体部70bに囲まれた領域に形成されている。また、下側オイル室42dが、ピストン部57の下部および内側シリンダ部42の内周面に囲まれた領域に形成されている。ここで、ピストン部57は、上側オイル室42cに存在するオイルと下側オイル室42dに存在するオイルとが互いに流通しないように構成されている。
また、ピストン部57の外周面には、スライドメタル58が嵌め込まれている。また、ピストン部57の下方には、リターンスプリングユニット59が配置されている。このリターンスプリングユニット59は、ピストン部57が蓋ユニット56に当接する際の衝撃を緩和する機能を有する。また、内側シリンダ部42のリターンスプリングユニット59近傍には、外側オイル室41bのオイルと、内側シリンダ部42の下側オイル室42dのオイルとが互いに流通可能な隙間42eが形成されている。また、ロッド部43のピストン部57の上方には、ストッパ60が取り付けられている。
また、ロッド部43の軸中心には、一方端部側から下部ブラケット38の方向に向かって形成された挿入穴43aが設けられている。この挿入穴43aには、アルミニウムまたは真鍮などの非磁性体の材料により構成されているパイプ61が挿入されており、パイプ61の挿入穴61aには、ストロークセンサ70のロッド70aが挿入されている。なお、ロッド70aは、非磁性体からなるパイプ61の挿入穴61aに挿入された部分の長さを検出するように設けられている。また、圧縮側制御バルブ48および伸長側制御バルブ49は、減衰力コントロールユニット18(図3参照)に接続されており、減衰力コントロールユニット18からの信号により、リヤサスペンション35の内部のオイルなどの圧力を調整することにより、減衰特性を制御する機能を有する。
また、リヤサスペンション35は、Oリング71よりもリヤサスペンション35の内部側のオイル圧力(約6.0気圧〜約12.0気圧)がOリング71よりもリヤサスペンション35の外部側の大気圧(約1.0気圧)よりも常に大きくなるように構成されている。
次に、第1実施形態による自動二輪車1の右側フロントフォーク10aおよびリヤサスペンション35の動作について説明する。まず、図3を参照して、第1実施形態による自動二輪車1の右側フロントフォーク10aの動作について説明する。
ここでは、まず、右側フロントフォーク10a(図3参照)に圧縮する方向の力が作用した場合について説明する。右側フロントフォーク10aに圧縮する方向の力が作用すると、圧縮コイルバネ24の付勢力に抗して右側フロントフォーク10aが短くなる。
ここで、図3に示すように、シリンダ部25に対してピストン部26およびロッド部22が下降されると、オイル室25cの体積が小さくなるので、オイル室25cのオイルが押圧されるとともに、オイル室25cの圧力が上昇する。このため、オイル室25cのオイルは、開口部25bを介してシリンダ部25の外周面とインナーチューブ12aの内周面との間に逃がされる。
次に、右側フロントフォーク10aに伸長する方向の力が作用する場合について説明する。右側フロントフォーク10aに伸長する方向の力が作用すると、右側フロントフォーク10aが伸長される。
そして、図3に示すように、シリンダ部25に対してピストン部26およびロッド部22が上昇されると、オイル室25cの体積が大きくなるので、オイル室25cの圧力が減少する。このため、オイル室25cのオイルは、シリンダ部25の外周面とインナーチューブ12aの内周面との間から開口部25bを介してオイル室25cに流入する。
また、右側フロントフォーク10aの伸縮時には、ストロークセンサ70のロッド70aがロッド部22内を相対的に移動することにより、インダクタンスが変化する。このインダクタンスの変化により、非磁性体からなるロッド部22の挿入穴22cおよびピストン部26の挿入穴26bに挿入されたストロークセンサ70のロッド70aの長さが検出される。そして、検出された長さに対応する信号が減衰力コントロールユニット18に入力されることにより、右側フロントフォーク10aの伸縮量が検出される。
次に、図3および図5を参照して、第1実施形態による自動二輪車1のリヤサスペンション35の動作について説明する。
まず、リヤサスペンション35に圧縮する方向の力が作用した場合について説明する。リヤサスペンション35に圧縮する方向の力が作用すると、圧縮コイルバネ53の付勢力に抗してリヤサスペンション35が圧縮される。
具体的には、図5に示すように、内側シリンダ部42に対してピストン部57およびロッド部43が上昇されると、ピストン部57により上側オイル室42cのオイルが押圧されるとともに、上側オイル室42cの圧力が上昇する。そして、上側オイル室42cの内部のオイルが、固定部材46の穴部46a、上部オイル室47およびオイル通路部36iを介して圧縮側制御バルブ48に流入する。そして、圧縮側制御バルブ48に流入したオイルは、圧縮側制御バルブ48を流れる抵抗により、リヤサスペンション35に減衰力を発生させる。その後、圧縮側制御バルブ48を通過したオイルは、リザーバタンク44、オイル通路部36l、下部オイル室50および外側オイル室41bを介して下側オイル室42dに流入する。
次に、リヤサスペンション35に伸長する方向の力が作用した場合について説明する。リヤサスペンション35に伸長する方向の力が作用すると、リヤサスペンション35が伸長されることにより、減衰力が発生する。
具体的には、内側シリンダ部42に対してピストン部57およびロッド部43が下降されると、ピストン部57により下側オイル室42dのオイルが押圧されるとともに、下側オイル室42dの圧力が上昇する。そして、下側オイル室42dの内部のオイルが、外側オイル室41b、下部オイル室50、オイル通路部36mおよびリザーバタンク44を介して伸長側制御バルブ49に流入する。そして、伸長側制御バルブ49に流入したオイルは、伸長側制御バルブ49を流れる抵抗により、リヤサスペンション35に減衰力を発生させる。その後、伸長側制御バルブ49を通過したオイルは、オイル通路部36j、上部オイル室47および固定部材46の穴部46aを介して上側オイル室42cに流入する。
また、リヤサスペンション35の伸縮時には、ストロークセンサ70のロッド70aがロッド部43内を相対的に移動することにより、インダクタンスが変化する。このインダクタンスの変化により、非磁性体からなるパイプ61の挿入穴61aに挿入されたロッド70aの長さが検出される。そして、検出された長さに対応する信号が減衰力コントロールユニット18(図3参照)に入力されることにより、リヤサスペンション35の伸縮量が検出される。
図9および図10は、第1実施形態による自動二輪車の右側フロントフォークの組立工程を説明するための図である。次に、図3、図9および図10を参照して、第1実施形態による自動二輪車1の右側フロントフォーク10aの組立工程について説明する。
まず、図9に示すように、溝部70fにOリング71が嵌め込まれたストロークセンサ70の挿入部70hを、アクスルブラケット15の位置決め穴15cに右側フロントフォーク10aの内部側(矢印Z3方向側)から挿入する。その際、ストロークセンサ70の突出部70gの矢印Z4方向側の面が、挿入穴部15bの底面部15gに当接するように配置するとともに、ストロークセンサ70の配線部側端面70eが、挿入穴部15bの当接部15fに当接するように配置する。
次に、ストロークセンサ70のロッド70aを非磁性体からなるロッド部22の挿入穴22c(図3参照)およびピストン部26の挿入穴26b(図3参照)に挿入する。そして、シリンダ部25の内周面にピストン部26(図3参照)を挿入しながら、図10に示すように、シリンダ部25のネジ部25aを挿入穴部15bの内周面のネジ部15eに螺合させることによって固定する。この際、ストロークセンサ70の突出部70gは、シリンダ部25の下端部25dと挿入穴部15bの当接部15fとの間に挟まれるため、ストロークセンサ70は、アクスルブラケット15に対して強固に固定される。
そして、図3に示すように、アクスルブラケット15のネジ穴15aにインナーチューブ12aの下端外周部12cを螺合するとともに、インナーチューブ12aの外側にアウターチューブ11aを配置する。その後、ロッド部22の周囲に圧縮コイルバネ24を配置するとともに、ロッド部22に上部鍔部23を取り付けることにより、上部鍔部23の下面とシリンダ部25の上部蓋体27の上面との間に圧縮コイルバネ24を取り付ける。そして、ロッド部22のネジ山が形成された上端外周部22aをロッド固定部材20のネジ穴20aに固定する。その後、アウターチューブ11aの上端部をロッド固定部材20に固定して、栓部材21で塞ぐ。このようにして右側フロントフォーク10aの組み立てを完了する。
図11〜図13は、第1実施形態による自動二輪車のリヤサスペンションの組立工程を説明するための図である。次に、図5および図11〜図13を参照して、第1実施形態による自動二輪車1のリヤサスペンション35の組立工程について説明する。
まず、図11に示すように、下部ブラケット38のロッド取付穴38bにロッド部43の下部を取り付ける。そして、ロッド部43をクッション部材54および蓋ユニット56のロッド挿入部56aに挿入するとともに、リターンスプリングユニット59、ピストン部57およびストッパ60をロッド部43に取り付ける。その後、ピストン部57を内側シリンダ部42に挿入するとともに、溝部70fにOリング71が嵌め込まれたストロークセンサ70のロッド70aを、パイプ61の挿入穴61aに挿入する。
その際、図12に示すように、固定部材46は、ストロークセンサ70の段差面70kと固定部材46のセンサ当接部46eとが接するとともに、内側シリンダ部42の上端部42bと、固定部材46の固定部46fの上面46dと反対側の面(矢印Z6方向側の面)とが接するように配置される。
次に、図13に示すように、内側シリンダ部42の外側を覆うように外側シリンダ部41を配置するとともに、ストロークセンサ70の挿入部70hを位置決め穴36eに挿入する。そして、図5に示すように、内側シリンダ部42の取付部42aを上部ブラケット36のネジ部36dに螺合する。これにより、固定部材46は、上部ブラケット36と内側シリンダ部42とに挟み込まれることによって固定される。
この際、ストロークセンサ70の配線部側端面70eと上部ブラケット36の上面36fとが当接される。また、この時、ストロークセンサ70の段差面70kは、固定部材46の上面46dよりも、若干矢印Z6方向に位置するように設けられているので、矢印Z5方向への付勢力がストロークセンサ70に加えられる。この結果、ストロークセンサ70は上部ブラケット36に固定される。
そして、蓋ユニット56と外側シリンダ部41の下端部とを固定する。その後、図5に示すように、ストロークセンサ70の配線部70cを配線穴36gから外側に引き出すとともに、リヤサスペンション35の内部にオイルを充填する。
次に、リザーバタンク44に窒素ガスを充填する。これにより、窒素ガスによりフリーピストン部51が押し上げられるので、リヤサスペンション35の内部に充填されているオイルを高圧(約6.0気圧〜約12.0気圧)に保つことが可能となる。その後、上部鍔部55と下部鍔部52との間に圧縮コイルバネ53を配置する。このようにしてリヤサスペンション35の組み立てを完了する。
第1実施形態では、上記のように、固定部材46を、ストロークセンサ70と別個に設けることによって、ストロークセンサ70に外径が大きいフランジ部を一体的に設ける必要がないので、ストロークセンサ70の切削加工に時間がかかることがない。これにより、ストロークセンサ70の加工を容易に行うことができる。また、固定部46fを、上部ブラケット36の当接面36hと内側シリンダ部42の上端部42bとに挟み込むことによって、固定部材46は、上部ブラケット36と内側シリンダ部42とによって固定されるので、固定された固定部材46によりストロークセンサ70をリヤサスペンション35の内部に固定することができる。これにより、ストロークセンサ70がガタつくのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、固定部材46を、ストロークセンサ70の軸方向に変形可能に構成することによって、ストロークセンサ70および上部ブラケット36の製造誤差が、固定部材46の軸方向への変形によって吸収されるので、リヤサスペンション35の組み立てにおいて、ストロークセンサ70の配線部側端面70eと、上部ブラケット36の上面36fとの間の隙間の発生を抑制することができる。これにより、ストロークセンサ70と上部ブラケット36との間からリヤサスペンション35の外部にオイルがもれ出るのを抑制することができる。また、ストロークセンサ70および上部ブラケット36の製造誤差がある程度許容されるので、リヤサスペンション35の製造が困難になるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、ストロークセンサ70を、弾性変形可能な弾性部材である固定部材46によりストロークセンサ70の軸方向に付勢することによって、ストロークセンサ70の本体部70bを上部ブラケット36が設けられている方向である矢印Z5方向(図5参照)へ付勢することができるので、ストロークセンサ70を上部ブラケット36に確実に固定することができる。
また、第1実施形態では、固定部46fの上面46d側が、上部オイル室47と下部オイル室50との間のオイルの流通をシールするように、内側シリンダ部42の当接面36hに対して面接触することによって、固定部材46のみによって上部オイル室47と下部オイル室50との間のオイルの流通を塞ぐことができるので、別途、上部オイル室47と下部オイル室50とをシールする部材を設ける必要がない。これにより、部品点数の増加を抑制することができる。
また、第1実施形態では、上部オイル室47と下部オイル室50とを、オイルが流通可能なように圧縮側制御バルブ48および伸長側制御バルブ49にそれぞれ接続することによって、減衰力を発生させることが可能な圧縮側制御バルブ48および伸長側制御バルブ49を介してのみ、上部オイル室47と下部オイル室50とが互いにオイルを流通させることができるので、圧縮側制御バルブ48および伸長側制御バルブ49により発生する減衰力を、確実に、リヤサスペンション35において発生させることができる。
また、第1実施形態では、右側フロントフォーク10aを、リヤサスペンション35に含まれるストロークセンサ70と同じストロークセンサ70を含むように構成することによって、ストロークセンサ70を右側フロントフォーク10aとリヤサスペンション35とにおいて共通化することができるので、部品の種類の増加を抑制することができる。
また、第1実施形態では、ストロークセンサ70の突出部70gをシリンダ部25とアクスルブラケット15とに挟み込むことにより、ストロークセンサ70を、固定部材46を用いずに右側フロントフォーク10aに固定することによって、リヤサスペンション35と共通のストロークセンサ70を右側フロントフォーク10aに固定することができる。これにより、右側フロントフォーク10aにおいてストロークセンサ70がガタつくのを抑制することができる。また、固定部材46を用いずにストロークセンサ70を固定することができるので、部品点数の増加を抑制することができる。
(第2実施形態)
図14は、本発明の第2実施形態による自動二輪車のリヤサスペンションの構造を説明するための断面図である。図15および図16は、図14に示した第2実施形態による自動二輪車のリヤサスペンションの構造を詳細に説明するための図である。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、自動二輪車100のリヤサスペンション135の固定部材146がストロークセンサ70の段差部70jに圧入されている例について説明する。
この第2実施形態による自動二輪車100の上部ブラケット136と内側シリンダ部42との間には、図14および図16に示すように、ストロークセンサ70を上部ブラケット136に固定するための固定部材146が挟み込まれている。また、図15に示すように、固定部材146は、平面的に見て、円形状を有しており、固定部材146の中心には、ストロークセンサ70の段差部70jが嵌め込まれる穴部146aが形成されている。また、穴部146aは、段差部70jの外径と略同じ内径を有する円形部分146bと、円周上に同間隔に4箇所設けられ、半円状に切り取られた部分146cとから構成されている。
また、第2実施形態では、図14および図16に示すように、固定部材146は、穴部146aによって、ストロークセンサ70の段差部70jに移動可能に圧入(軽圧入)されている。つまり、固定部材146の穴部146aの円形部分146bの内周面と段差部70jとは当接するように構成されている。なお、段差部70jは、本発明の「外周面」の一例である。ここで、固定部材146の穴部146aの円形部分146bの内周面は、ストロークセンサ70の軸方向(矢印Z5方向および矢印Z6方向)に延びるように設けられている。
また、リヤサスペンション135の上部ブラケット136には、Oリング172を嵌め込むための溝部136nが、上部ブラケット136の当接面136hの下部オイル室50側に設けられている。また、溝部136nの上面(矢印Z5方向側の面)は、上部ブラケット136の当接面136hと同一面となるように設けられている。また、溝部136nは、固定部材146の外周面と対向するように設けられている。第2実施形態においては、固定部材146の固定部146fの上面146d側と上部ブラケット136の当接面136hとが面接触することによって、上部オイル室47と下部オイル室50との間のオイルの流通をシールしているとともに、さらに、固定部材146の外周面と対向する位置にOリング172を設けることによって、上部オイル室47と下部オイル室50との間のオイルの流通をより確実にシールすることが可能である。
なお、第2実施形態のその他の構造および動作は、上記第1実施形態と同様である。
図17〜図19は、第2実施形態による自動二輪車のリヤサスペンションの組立工程を説明するための図である。次に、図14および図17〜図19を参照して、第2実施形態による自動二輪車100のリヤサスペンション135の組立工程について説明する。
まず、図17に示すように、下部ブラケット38のロッド取付穴38bにロッド部43の下部を取り付ける。そして、ロッド部43をクッション部材54および蓋ユニット56のロッド挿入部56aに挿入するとともに、リターンスプリングユニット59、ピストン部57およびストッパ60をロッド部43に取り付ける。
次に、ピストン部57を内側シリンダ部42に挿入するとともに、溝部70fにOリング71が嵌め込まれたストロークセンサ70のロッド70aをパイプ61の挿入穴61aに挿入する。
ここで、第2実施形態では、固定部材146の穴部146aの円形部分146bの内周面がストロークセンサ70の段差部70jに接した状態で、固定部材146を、段差部70jに沿って移動可能なように矢印Z6方向側から軽圧入する。
次に、図18に示すように、固定部材146を、内側シリンダ部42の上端部42bと、固定部材146の固定部146fの上面146dと反対側の面(矢印Z6方向側の面)とが接するように配置する。その後、図19に示すように、上部ブラケット136の溝部136nにOリング172を嵌め込むとともに、内側シリンダ部42の外側を覆うように外側シリンダ部41を配置する。そして、図14に示すように、ストロークセンサ70の挿入部70hを上部ブラケット136の位置決め穴136eに挿入して、内側シリンダ部42の取付部42aを上部ブラケット136のネジ部136dに螺合する。この際、固定部材146が、ストロークセンサ70の段差部70jに接した状態で、突出部70g側方向(矢印Z5方向)に段差部70jに沿って移動することによって、固定部材146の上面146dのセンサ当接部146eは、ストロークセンサ70の段差面70kに当接される。これにより、固定部材146は、上部ブラケット136と内側シリンダ部42とに挟み込まれることによって固定される。
この時、固定部材146の固定部146fの上面146d側と上部ブラケット136の当接面136hとが当接されるとともに、ストロークセンサ70の配線部側端面70eと上部ブラケット136の上面136fとが当接される。この結果、ストロークセンサ70は上部ブラケット136に固定される。
そして、蓋ユニット56と外側シリンダ部41の下端部とを固定する。その後、ストロークセンサ70の配線部70cを配線穴136gから外側に引き出すとともに、リヤサスペンション135の内部にオイルを充填する。
次に、リザーバタンク44に窒素ガスを充填する。これにより、窒素ガスによりフリーピストン部51が押し上げられるので、リヤサスペンション135の内部に充填されているオイルを高圧(約6.0気圧〜約12.0気圧)に保つことが可能となる。その後、上部鍔部55と下部鍔部52との間に圧縮コイルバネ53を配置する。このようにしてリヤサスペンション135の組み立てを完了する。
第2実施形態では、上記のように、固定部材146を、ストロークセンサ70の段差部70jに移動可能に圧入(軽圧入)することによって、ストロークセンサ70および上部ブラケット136の製造誤差が、固定部材146のセンサ当接部146eが軸方向に移動することによって吸収される。これによって、リヤサスペンション135の組み立てにおいて、ストロークセンサ70の配線部側端面70eと、上部ブラケット136の上面136fとの間の隙間の発生を抑制することができるので、ストロークセンサ70と上部ブラケット136との間からリヤサスペンション135の外部にオイルがもれ出るのを抑制することができる。また、ストロークセンサ70および上部ブラケット136の製造誤差がある程度許容されるので、リヤサスペンション135の製造が困難になるのを抑制することができる。
また、第2実施形態では、ストロークセンサ70の段差部70jと当接する固定部材146の穴部146aの円形部分146bの内周面を、ストロークセンサ70の段差部70jに圧入(軽圧入)することによって、固定部材146がストロークセンサ70から脱落するのを抑制することができるので、リヤサスペンション135の組立時において、固定部材146をストロークセンサ70に前もって組み付けておくことができる。これにより、リヤサスペンション135を容易に組み立てることができる。
(第2実施形態の第1変形例)
図20は、本発明の第2実施形態の第1変形例による自動二輪車のリヤサスペンションの構造を説明するための断面図である。図21および図22は、図20に示した第2実施形態の第1変形例による自動二輪車のリヤサスペンションの構造を詳細に説明するための図である。この第1変形例では、上記第2実施形態と異なり、自動二輪車200のリヤサスペンション235の固定部材246が段差部246hを有する例について説明する。
この第1変形例による自動二輪車200のリヤサスペンション235では、図20および図22に示すように、上部ブラケット236には、溝部136n(図16参照)が設けられておらず、溝部136nが設けられていた部分には、第2実施形態の下部オイル室50と比べて大きく拡張された下部オイル室250が設けられている。これにより、オイル通路部236lおよび236m(図20参照)を、第2実施形態のオイル通路部136lおよび136m(図14参照)よりも大きくすることが可能である。
また、固定部材246は、図21に示すように、平面的に見て、第2実施形態と同一の形状を有している。一方、固定部材246は、図22に示すように、第2実施形態の固定部材146(図16参照)よりも矢印Z6方向の厚みが大きくなるように構成されている。そして、固定部材246の固定部246fの上面246dと反対側の面(矢印Z6方向側の面)には、段差部246hが形成されている。段差部246hは、固定部材246の外周面に沿うように周状に形成されている。この段差部246hには、内側シリンダ部42の上端部42bが当接するように構成されている。これにより、固定部材246は、上部ブラケット236と内側シリンダ部42とに挟み込まれて固定されることが可能である。
(第2実施形態の第2変形例)
図23および図24は、本発明の第2実施形態の第2変形例による自動二輪車のリヤサスペンションの構造を説明するための図である。この第2変形例では、上記第2実施形態と異なり、自動二輪車300のリヤサスペンション335の固定部材346が段差部346hを有するとともに、複数のオイル流通穴346iを有する例について説明する。
この第2変形例による自動二輪車300のリヤサスペンション335では、図23に示すように、上部ブラケット336には、溝部136n(図16参照)が設けられておらず、溝部136nが設けられていた部分には、第2実施形態の下部オイル室50と比べて大きく拡張された下部オイル室350が設けられている。
また、固定部材346の中心には、図24に示すように、平面的に見て、ストロークセンサ70の段差部70jに沿って移動可能に圧入(軽圧入)されるための穴部346aが形成されている。ここで、穴部346aは、段差部70jの外径と略同じ内径を有する円形状を有している。さらに、穴部346aと固定部材346の外周面との略中間に位置するように、円形状を有するオイル流通穴346iが30度の等角度間隔で12個設けられている。このオイル流通穴346iは、ストロークセンサ70の段差面70kによって塞がれない位置に形成されている。これにより、オイル流通穴346iは、オイル流通部分346gを形成し、このオイル流通穴346i(オイル流通部分346g)によって、上部オイル室47のオイルと上側オイル室42cのオイルとを互いに流通させることが可能である。また、オイル流通穴346iの数または穴径を変化させることによって、上部オイル室47のオイルと上側オイル室42cのオイルとの流量を制御することが可能である。
また、固定部材346は、第2実施形態の固定部材146(図16参照)よりも矢印Z6方向の厚みが大きくなるように構成されている。そして、固定部材346の固定部346fの上面346dと反対側の面(矢印Z6方向側の面)には、段差部346hが形成されている。この段差部346hには、内側シリンダ部42の上端部42bが当接するように構成されている。これにより、固定部材346は、上部ブラケット336と内側シリンダ部42とに挟み込まれて固定されることが可能である。
(第3実施形態)
図25および図26は、本発明の第3実施形態による自動二輪車のリヤサスペンションの構造を説明するための図である。この第3実施形態では、上記第1実施形態と異なり、自動二輪車400のリヤサスペンション435の固定部材446が、ストロークセンサ70の段差部70jおよび段差面70kに接することによりストロークセンサ70を固定するのではなく、ストロークセンサ70のロッド部側端面70dに当接することによりストロークセンサ70を固定する例について説明する。
この第3実施形態による自動二輪車400のリヤサスペンション435の上部ブラケット436のネジ部436dは、図25に示すように、第1実施形態のネジ部36d(図5参照)に比べて、矢印Z6方向側に位置するように設けられている。これにより、上部オイル室447は、第1実施形態の上部オイル室47(図5参照)に比べて大きく形成されている。この結果、オイル通路部436iおよび436jを、第1実施形態のオイル通路部36iおよび36j(図5参照)よりも大きくすることが可能である。
また、固定部材446の中心には、図26に示すように、平面的に見て、第1実施形態における穴部46aの円形部分46bよりも小さい穴径を有する穴部446aが形成されている。この穴部446aには、ストロークセンサ70のロッド70aが挿入されるように構成されている。また、穴部446aと固定部材446の外周面との略中間よりも若干固定部材446の外周面側に位置するように、円形状を有するオイル流通穴446iが30度の等角度間隔で12個設けられている。このオイル流通穴446iは、ストロークセンサ70の段差部70jによってオイルが流通する穴部46aの一部が塞がれている第1実施形態と異なり、ストロークセンサ70の段差面70kによって塞がれることがない。これにより、オイル流通穴446iは、オイル流通部分446gを形成するとともに、オイル流通穴446i(オイル流通部分446g)を、第1実施形態のオイル流通部分46g(図8参照)と比べて大きくとることができるので、リヤサスペンション435の減衰制御範囲を大きくすることが可能である。また、オイル流通部分446gによって、上部オイル室447のオイルと上側オイル室42cのオイルとを互いに流通させることが可能である。
また、第3実施形態では、ストロークセンサ70のロッド部側端面70dに上面446dが接するように配置されている。この際、上面446dとストロークセンサ70との接触面積は、ストロークセンサ70の段差部70jの一部とのみ接触している第1実施形態と比べて大きくなる。
なお、第3実施形態のその他の構造、動作および組立工程は、上記第1実施形態と略同様である。
第3実施形態では、上記のように、固定部材446が、ストロークセンサ70のロッド部側端面70dを固定することによって、固定部材446の上面446dとストロークセンサ70との接触面積を大きくすることができるので、より安定的に、ストロークセンサ70を上部ブラケット436に固定することができる。
(第4実施形態)
図27は、本発明の第4実施形態による自動二輪車のフロントフォークの構造を説明するための断面図である。図28は、本発明の第4実施形態による自動二輪車のリヤサスペンションの構造を説明するための断面図である。この第4実施形態では、上記第1実施形態と異なり、自動二輪車500のストロークセンサ570の突出部が形成されていない例について説明する。
この第4実施形態による自動二輪車500のストロークセンサ570の外周面には、図27および図28に示すように、第1実施形態の突出部70g(図7参照)が設けられておらず、第1実施形態の突出部70g、挿入部70hおよび側面下部70i(図7参照)が形成されていた位置に、同一の外径からなる外周部570mが形成されている。
また、図27に示すように、右側フロントフォーク510aのアクスルブラケット515では、第1実施形態の当接部15f(図4参照)が設けられておらず、第1実施形態の挿入穴部15bと位置決め穴15cとが同一の内径を有し、穴部515iを形成している。穴部515iは、ストロークセンサ570の外周部570mが嵌め込まれるように構成されている。また、ストロークセンサ570の外周部570mが嵌め込まれた際には、ストロークセンサ570の配線部接続面570eが、アクスルブラケット515の底面部515gに当接するように構成されている。
また、第4実施形態では、ストロークセンサ570の段差部570jとアクスルブラケット515の穴部515iとに囲まれた領域に、シリンダ部25の下端部25dが挿入されるように構成されている。つまり、ストロークセンサ570の段差部570jとシリンダ部25の内周面とが当接している状態で、シリンダ部25のネジ部25aが、アクスルブラケット515の内周面のネジ部515eに対して螺合されるように構成されている。その際、ストロークセンサ570の段差面570kに、シリンダ部25の下端部25dが当接するように構成されている。さらに、シリンダ部25のネジ部25aが、アクスルブラケット515の内周面のネジ部515eに対して螺合されることにより、ストロークセンサ570の段差面570kは、アクスルブラケット515側(矢印Z4方向側)に押圧される。これにより、ストロークセンサ570は、アクスルブラケット515に固定される。
また、図28に示すように、リヤサスペンション535では、ストロークセンサ570に第1実施形態の突出部70g(図7参照)が形成されていないので、第1実施形態に比べて、上部オイル室547の体積が第1実施形態の上部オイル室47の体積よりも大きく形成されている。
なお、第4実施形態のその他の構造、動作および組立工程は、上記第1実施形態と略同様である。
第4実施形態では、上記のように、ストロークセンサ570の段差面570kを、シリンダ部25によりアクスルブラケット515側に押圧することにより、ストロークセンサ570を固定部材46を用いずに右側フロントフォーク510aに固定することによって、リヤサスペンション535と共通のストロークセンサ570を右側フロントフォーク510aに固定することができる。これにより、右側フロントフォーク510aにおいてストロークセンサ570がガタつくのを抑制することができる。また、第1実施形態における固定部材46(図6参照)を用いずにストロークセンサ570を固定することができるので、部品点数の増加を抑制することができる。また、第1実施形態と比べて、ストロークセンサ570の本体部570bに突出部を一体的に設ける必要がないので、ストロークセンサ570の形状が複雑化するのをより抑制することができる。これにより、ストロークセンサ570の加工をより容易に行うことができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1〜第4実施形態では、検出部材を備えた懸架装置を車両に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、検出部材を備えた懸架装置を車両以外に適用してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、検出部材を含む懸架装置を備えた車両の一例として自動二輪車を示したが、本発明はこれに限らず、検出部材を含む懸架装置を備えた車両であれば、自転車、三輪車、ATV(All Terrain Vehicle;不整地走行車両)などの他の車両にも適用可能である。
また、上記第1〜第4実施形態では、上部ブラケットおよびアクスルブラケットにストロークセンサを固定した例を示したが、本発明はこれに限らず、内側シリンダ部およびシリンダ部にストロークセンサを固定してもよいし、その他の部材にストロークセンサを固定してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、固定部材は、金属製の弾性部材からなる例を示したが、本発明はこれに限らず、固定部材は、弾性部材であれば樹脂などからなるように構成してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、ストロークセンサのロッド部を非磁性体からなるパイプ部材の内部に配置することにより、非磁性体からなるパイプ部材の挿入穴に挿入された部分の長さを検出し、その検出した長さから懸架装置の伸縮量を検出するとともに、その伸縮量を時間で微分することによって伸縮速度を算出した例について示したが、本発明はこれに限らず、速度検出用のロッド部を用いてパイプ部材に対する相対速度を検出することにより、懸架装置の伸縮速度を検出するようにしてもよいし、懸架装置の内部の圧力の変化を測定することにより、懸架装置の伸縮速度を検出するようにしてもよい。さらに、懸架装置の内部の温度変化を検出することによって、懸架装置の伸縮状態を検出するような温度センサを懸架装置の内部に設けてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、減衰機構を有する懸架装置の一例としてのリヤサスペンションに本発明の固定部材により検出部材を固定する構成を適用した例について示したが、本発明はこれに限らず、減衰機構を有するフロントフォークに本発明の固定部材により検出部材を固定する構成を適用してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、右側フロントフォークにストロークセンサを設け、左側フロントフォークに減衰機構を設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、どちらか一方に、ストロークセンサおよび減衰機構の両方を設けてもよいし、フロントフォークを一つのみ設け、そのフロントフォークにストロークセンサおよび減衰機構の両方を設けてもよい。
また、第1〜第3実施形態では、上部ブラケットの上面とストロークセンサの配線部側端面とが当接することにより、リヤサスペンションにおけるストロークセンサの軸方向の位置決めが行われる例を示したが、本発明はこれに限らず、ストロークセンサの突出部と上部オイル室の上面とが当接することにより、リヤサスペンションにおけるストロークセンサの軸方向の位置決めを行ってもよい。
また、第4実施形態では、第1実施形態における固定部材を用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、固定部材は、第2および第3実施形態において示した固定部材を用いてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、ストロークセンサと右側フロントフォークおよびリヤサスペンションとの間にOリング(シール部材)を設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、ストロークセンサと右側フロントフォークおよびリヤサスペンションとの間にOリング(シール部材)を設けなくてもよい。