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JP5234921B2 - 歪時効特性に優れた高強度厚肉鋼板およびその製造方法 - Google Patents

歪時効特性に優れた高強度厚肉鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、主として船舶の構造材料の素材として用いられる厚肉鋼板に関するものであり、特に高強度を確保しつつ、歪(ひずみ)を付与した後の靭性低下を極力低減できるような高強度厚肉鋼板、およびこうした鋼板を製造する有用な方法に関するものである。
近年、コンテナ船の超大型化が進められており、それに伴って船舶の構造部材の厚肉化が進められている状況である。例えば、2002年最大積載個数の6000TEUから、現在では10000TEU化する計画が進められており、鋼板の更なる厚肉化・高強度化が必要となっている。特にコンテナ船のハッチコーナ部では、応力が集中することや、コンテナ積載数増加の観点からコーナ曲率rを小さくするために、高強度の厚肉(例えば、板厚が60mm以上)の高張力鋼板が求められている。また安全性を確保するという観点から、歪を受けた後の靭性の確保も必要となる。
鋼板が歪を受けた場合には歪時効が発生するが、この歪時効は歪付与によって発生した転位を鋼中のCやNが固定するために鋼板の降伏強度が上昇し、その結果として母材靭性(鋼板靭性)が低下する現象である。また歪時効による靭性の劣化は、鋼板が高強度であるほど生じやすい。こうしたことから、上記のような用途に用いられる高強度厚肉鋼板には、歪時効による靭性劣化を生じさせない特性(本発明では、この特性を「歪時効特性」と呼んでいる)が良好であることも要求される。
歪時効による靭性の劣化を防止するためには、鋼板中のフリーのCやNの量を減少させることが有用であることが知られている。歪時効特性を改善した鋼板として、例えば特許文献1の技術が提案されている。この技術では、鋼板中のTiやNbの含有量を制御することによって、フリーのC,Nを析出物として固定し、また仕上げ圧延時の未再結晶温度域での圧下を施すことにより、大角粒界の結晶粒を微細化させ、これによってフリーC,Nをトラップし、歪時効による靭性劣化を抑制するものである。そして、この技術では、低温側の未再結晶温度域における圧延を主眼においた製造方法を実施している。しかしながら、大角粒界の結晶粒を微細化しただけでは、歪時効特性が必ずしも良好になるとは限らず、NK船級における造船Eグレードで要求される低温靭性(−40℃での吸収エネルギーvE-40で100J以上)を確保できない場合がある。
特許第3848091号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、各結晶方位関係を適切に規定することによって、高強度を確保しつつ、歪時効特性をも良好な高強度厚肉鋼板、およびこうした鋼板を製造する有用な方法を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明の高強度厚肉鋼板とは、C:0.10〜0.16%(「質量%」の意味、化学成分組成について以下同じ)、Si:0.15〜0.30%、Mn:1.30〜1.60%、Al:0.015〜0.05%、Cu:0.15〜0.35、Ni:0.10〜0.30%、Mo:0.10〜0.25%、V:0.030〜0.05%、Nb:0.005〜0.015%、Ca:0.005%以下(0%を含まない)およびN:0.002〜0.008%を夫々含有し、残部が鉄および不可避不純物である鋼板であって、2つの結晶の方位差が15°以上の大角粒界で囲まれた結晶粒の平均円相当径Dが35μm以下であると共に、結晶方位分布差から測定されるランダム粒界分率Rが50面積%以上である点に要旨を有するものである。
本発明の鋼板においては、必要によって、更に(a)Ti:0.005〜0.020%、(b)Cr:0.10%以下(0%を含まない)等を含有することも有効であり、含有される元素の種類に応じてその特性が更に改善される。
上記のような高強度厚肉鋼板では、降伏点が480MPa以上、引張強度590MPa以上であり、且つ10%の歪を付与した後に250℃、1時間の時効処理を施したときの−40℃での平均衝撃吸収エネルギーvE-40が100J以上であるような特性が発揮されることになる。
また上記のような本発明の鋼板を製造するに当たっては、鋼片をAc3変態点以上〜1200℃の温度に加熱し、鋼板の平均温度が900℃以上のオーステナイト再結晶温度域にて累積圧下率が10%以上の圧延を施し、その後、鋼板の平均温度が800℃以上、890℃以下の未再結晶温度域にて、鋼板全体のパス間の平均冷却速度が0.3℃/秒以上となるような冷却を施しながら、累積圧下率が25%以上、50%未満となる圧延を施し、鋼板の平均温度が(Ar3変態点+10℃)以上、(Ar3変態点+90℃)以下の温度域から、鋼板表面温度が500℃以下となる温度域まで平均冷却速度:5℃/秒以上の冷却速度で冷却し、500℃以上、Ac1変態未満の温度範囲で焼戻し処理を行うようにすれば良い。
本発明の鋼板においては、化学成分組成と共に、結晶方位関係および特定の結晶方位差を有する結晶粒の粒径を適切に規定することによって、歪時効特性に優れたものとした鋼板が実現でき、こうした鋼板は、超大型コンテナ船のハッチコーナ部等の素材として有用である。
本発明者は、鋼板の歪時効特性を改善するための手段について様々な角度から検討した。その結果、次のような知見が得られた。即ち、鋼板の組織では何通りかの方位関係を持って生成することになるのであるが、鋼板の化学成分組成、組織の生成温度、その他の条件等によって選択される各結晶格子の方位関係が変化することになり、一定の結晶方位差を有する結晶粒を微細化すると共に、大角粒界のうちのランダム粒界の分率(面積%)を50面積%以上に増大させれば、鋼板の歪時効特性が良好になることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明が完成させた経緯に沿って、本発明の作用効果について説明する。
歪時効は、歪付与によって発生した転位を鋼中のフリーのC,Nが固定するために、降伏強度が上昇し、その結果として母材靭性(鋼板靭性)が低下する現象である。従って、歪時効特性を良好にするため(歪時効による特性劣化を防止するため)には、フリーのC,Nをトラップして転位が固定されないようにすることが重要である。
上記のような効果を達成するためには、2つの結晶の方位差が15°以上の大角粒界で囲まれた結晶粒の平均円相当径Dが35μm以下である要件を満足させる必要がある。結晶の方位差が15°以上の大角粒界は、高度エネルギーの粒界であるため、C,N等の侵入型元素が入り込み、安定化するため、有効なトラップサイトとなる。そして、歪時効特性を良好にするうえでは、大角粒界で囲まれた結晶粒の平均円相当径D(以下、「平均大角粒径D」と呼ぶことがある)が35μm以下であることが必要である。尚、前記「結晶方位差」は、「ずれ角」若しくは「傾角」とも呼ばれているものである。またこうした結晶方位差を測定するには、EBSP法(Electoron Backscattering Pattern法)を採用すれば良い。
平均大角粒径Dの微細化を図ることが、歪時効特性を良好にする上で有効なことは既に知られている(前記特許文献1)。しかしながら、こうした平均大角粒径Dの微細化を図るだけでは、歪時効特性が必ずしも良好にならない場合があることも知見している。
そこで、本発明者は、こうした不都合をなくすために、更に検討を進めた。その結果、大角粒界(2つの結晶の方位差が15°以上)で囲まれた結晶粒のうち、ランダム粒界の分率(面積%)を増大させて50%以上としたとき、良好な歪時効特性が得られたのである。
結晶方位差が15°以上の大角粒界においても、全てのずれ角においてエネルギーが高いわけではなく、ある特定のずれ角で粒界エネルギーが極端に低い対応粒界と呼ばれる粒界が存在する(例えば、「材料組織学」:高木節雄、津崎兼彰 朝倉書店発行 第45頁)。大角粒界は、対応粒界とランダム粒界に分け合うことができ、対応粒界では、フリーのC,N等の侵入型元素が入り込む可能性が低い。こうしたことから、平均大角粒径Dの微細化を図るだけではなく、ランダム粒界の分率を増加させることが、鋼板の歪時効特性を改善する上で重要な要件となる。
ところで、平均大角粒径Dの微細化を図るためには、低温側未再結晶温度域における圧延により、オーステナイト粒(γ粒)の成長を抑制できると共に、効率的に歪を変態前のγ粒に導入でき、変態後の組織を微細化できることになる。しかしながら、一般に低温で加工歪を多く導入するほど、変態後のバリアント(立方晶に存在する結晶学的に等価な方位関係)の選択が決定されるため、ランダム粒界が減少する方向になると考えられる(例えば、「再結晶と材料組織」:古林英一 内田老鶴圃発行 第45頁)。こうしたことが、従来の技術において(前記特許文献1)、良好な歪時効特性が発揮されなかった理由と考えられる。
一方、圧延温度域が高温側になるほど、初期γ粒に導入される加工歪量が少なくなるため、バリアント選択性がなくなり、ランダム粒界の分率が増加しやすくなる(例えば、「再結晶と材料組織」:古林英一 内田老鶴圃発行 第45頁)。また冷却開始温度が高まるため、焼入れ性効果が高まり、ランダム粒界の導入を促進できる。しかしながら、圧延温度域が高いため、加工発熱による温度上昇の影響を受けやすく、変態前γ粒が成長し、変態後の平均大角粒径Dの増大(即ち、結晶粒の粗大化)が懸念されることになる。
上記のような2つの技術を両立させるためには、その製造条件を厳密に規定する必要がある。本発明の鋼板を製造するために詳細な条件については後述するが、本発明の製造方法におけるポイントは次の通りである。
高温未再結晶域で従来通りに圧延した場合には、ランダム粒界の分率を増大させる方向に作用するのであるが、変態前γ粒の成長が起こり、変態後の大角粒界サイズの粗大化が懸念されることになる。そこで本発明では、高温側の未再結晶温度域で積極冷却を実施しながら、圧延を行うことによって、塑性変形発熱による鋼板の温度上昇を抑制し、ランダム粒界の増加および変態前γ粒の成長抑制を両立するようにしたのである。その詳細な条件については、後述する。
本発明の鋼板においては、その化学成分組成についても適切に制御する必要があるが、これらの成分の範囲限定理由は、次の通りである。
[C:0.10〜0.16%]
Cは、鋼板の強度確保のために必要な元素である。造船用厚肉鋼板としての最低強度、即ち概ね590MPa程度(使用する鋼材の肉厚にもよるが)を得るためには、0.10%以上含有させる必要がある。しかし、0.16%を超えて過剰に含有させると、溶接性や母材靭性に悪影響を及ぼすことになる。こうしたことから、C含有量は0.10〜0.16%とした。尚、C含有量の好ましい下限は0.11%であり、好ましい上限は0.14%である。
[Si:0.15〜0.30%]
Siは、母材の強度向上および溶鋼の脱酸成分として有用な元素である。その効果を有効に発揮させるためには、0.15%以上含有させることが必要である。しかし、0.30%を超えて過剰に含有させると溶接性や母材靭性が劣化する。尚、Si含有量の好ましい下限は0.17%であり、好ましい上限は0.25%である。
[Mn:1.30〜1.60%]
Mnは、鋼板の強度向上元素として有用であり、こうした効果を発揮させるためには1.30%以上含有させる必要である。しかし、過剰に含有させると溶接性や母材靭性の劣化を招くので、1.60%以下とする必要がある。尚、Mn含有量の好ましい下限は1.4%であり、好ましい上限は1.5%である。
[Al:0.015〜0.05%]
Alは脱酸として有用であると共に、窒化物(AlN)を形成して母材組織の細粒化に寄与する元素である。こうした効果を発揮させるためには、Alは0.015%以上含有させる必要がある。しかし、Al含有量が過剰になると、鋼板の靭性を粗大するので0.05%以下とする必要がある。尚、Al含有量の好ましい下限は0.020%であり、好ましい上限は0.04%である。
[Cu:0.15〜0.35%]
Cuは、オーステナイト結晶粒の微細化に有効な元素である。こうした効果を発揮させるためには、Cuは0.15%以上含有させる必要がある。しかし、Cu含有量が過剰になると、母材の溶接性を劣化させるので、0.35%以下とする必要がある。尚、Cuを単独添加すると、熱間割れが発生しやすくなるので、下記のNiも同時に含有させ熱間割れを防止する必要がある。
[Ni:0.10〜0.30%]
Niは、低温靭性の向上に有効な元素である。こうした効果を発揮させるためには、Niは0.10%以上含有させる必要がある。しかし、Ni含有量が過剰になると、コスト上昇を招くので0.30%以下とする必要がある。尚、Ni含有量の好ましい下限は0.15%であり、好ましい上限は0.25%である。
[Mo:0.10〜0.25%]
Moは、炭窒化物を析出させ、鋼板の強度を上昇させる上で有効な元素である。こうした効果を発揮させるためには、0.10%以上含有させる必要がある。しかし、Moの含有量が過剰になると、溶接性および母材靭性が劣化するので、0.25%以下とする必要がある。
[V:0.030〜0.05%およびNb:0.005〜0.015%]
VおよびNbは、炭窒化物の形成により、圧延中のオーステナイト粒の微細化および再結晶抑制作用を発揮し、変態後の組織(例えばフェライト組織)の微細化に有効な元素である。こうした効果を発揮させるためには、Vで0.030%以上、Nbで0.005%以上含有させる必要がある。しかし、これらの含有量が過剰になると、鋼板の溶接性を阻害するのでVで0.05%以下、Nbで0.015%以下とする必要がある。
[Ca:0.005%以下(0%を含まない)]
Caは、母材靭性の向上に有効な元素である。こうした効果は、その含有量が増加するにつれて増大するが、Caを過剰に含有させてもその効果が飽和するので、Ca含有量は0.005%以下とすることが好ましい。尚、上記の効果を有効に発揮させるためには、Caで0.0005%以上含有させることがより好ましい。
[N:0.002〜0.008%]
Nは、鋼に含まれるAl,Nb,Ti,Nb,V等の元素と窒化物を形成し、母材組織を細粒化させる効果を発揮する元素である。こうした効果を発揮させるためには、Nは0.002%以上含有させる必要がある。しかし、Nの含有量が過剰になると、固溶Nの増大を招き、特に溶接部の靭性が劣化するので、0.008%以下とする必要がある。
本発明の鋼板における基本成分は上記の通りであり、残部は鉄および不可避不純物(例えば、P,S,B,O等)からなるものであるが、必要によって、(a)Ti:0.005〜0.020%、(b)Cr:0.10%以下(0%を含まない)、等を含有することも有効であり、含有される元素の種類に応じてその特性が更に改善される。これらの元素を含有させるときの範囲限定理由は次の通りである。
[Ti:0.005〜0.020%]
Tiは、鋼中にTiNを微細分散させてオーステナイト粒の粗大化を防止するのに有効な元素である。こうした効果を発揮させるためには、Tiは0.005%以上含有させることが好ましい。しかし、Tiの含有量が過剰になると、却って母材靭性が低下するので、0.020%以下とすることが好ましい。
[Cr:0.10%以下(0%を含まない)]
Crは、炭窒化物を析出させ、鋼板の強度を上昇させる上で有効な元素である。こうした効果はその含有量が増加するにつれて増大するが、その含有量が過剰になると、溶接性および母材靭性が劣化するので、0.10%以下とすることが好ましい。尚、Crによる上記効果を発揮させるためのより好ましい下限は0.03%である。
本発明の鋼板を製造するに当たっては、鋼片をAc3変態点以上〜1200℃の温度に加熱し、鋼板の平均温度が900℃以上のオーステナイト再結晶温度域にて累積圧下率が10%以上の圧延を施し、その後、鋼板の平均温度が800℃以上、890℃以下の未再結晶温度域にて、鋼板全体のパス間の平均冷却速度が0.3℃/秒以上となるような冷却を施しながら、累積圧下率が25%以上、50%未満となる圧延を施し、鋼板の平均温度が(Ar3変態点+10℃)以上、(Ar3変態点+90℃)以下の温度域から、鋼板表面温度が500℃以下となる温度域まで平均冷却速度:5℃/秒以上の冷却速度で冷却し、500℃以上、Ac1変態未満の温度範囲で焼戻し処理を行うようにすれば良い。以下、これらの条件について順を追って説明する。
鋼片の加熱温度は、オーステナイトとするためにも、Ac3変態点とする必要がある。しかし、この加熱温度が高過ぎると、初期のオーステナイト組織が粗大化し過ぎるため、変態後の組織を充分に微細化することが困難となる。従って加熱温度は1200℃以下とするのがよい。
対象部位[t/4部(t:板厚)]の平均温度が900℃以上のオーステナイトの再結晶温度域で圧下率は特に限定する必要はないが、生産性および仕上げ圧延圧下率上限の観点から、累積圧下率で10%以上とした方が好ましい。尚、このときの累積圧下率とは、下記(1)式によって求められる値である。
累積圧下率=[(t0−t1)/t0]×100(%)
但し、t0:鋼板平均温度が狙いの温度領域にある時の圧延開始厚(mm)
1:鋼板平均温度が狙いの温度領域にある時の圧延終了厚(mm)
対象部位の平均温度が800℃以上、890℃以下の比較的高温での圧延により、未再結晶温度域での圧延においてもランダム粒界を導入/増加させることができる。こうした効果を得るためには、累積圧下率で50%未満の圧下を行うことが必要である(後記図4参照)。このときの圧下率が50%以上となると、歪の加わり過ぎによるバリアントの選択が起こり、ランダム粒界が減少することになる。
対象部位の平均温度が800℃以上、890℃以下の高温側未再結晶温度域での圧延において、積極的な冷却を実施することにより、高温側未再結晶温度域においても変態後の平均大角粒径Dを微細化することができる。こうした効果を発揮させるためには、そのときの圧下は累積圧下率で25%以上とし、且つ鋼板全体のパス間の平均冷却速度が0.3℃/秒以上となるような冷却する必要がある(後記図5参照)。
未再結晶温度域での圧延では、変形抵抗が高いため、塑性変形発熱による鋼板温度の上昇が生じ、変態前γ粒の成長が起き、変態後の平均大角粒径Dの増大が懸念される。そのため、累積圧下率が25%以上であったとしても、パス間冷却速度が0.3℃/秒未満の場合は、塑性変形発熱での鋼板温度の上昇が生じ、変態前γ粒の成長粗大化を抑制することができない(後記図6参照)。また、パス間冷却速度(圧延中冷却速度)が0.4℃/秒を超えると、温度低下が速くなることによる加工歪量の増加や、圧延を800℃以上の温度で完了できない場合が生じ、ランダム粒界分率の減少が起こるため、冷却速度は0.3〜0.4℃/秒程度とすることが好ましい(後記試験No.14参照)。
但し、圧延温度が890℃よりも高くなると、上記のような積極冷却を施しても、変態前γ粒の成長粗大化を抑制しきれず、平均大角粒径Dが増大する恐れがあるため(後記図9参照)、890℃以下にて圧延を開示する。圧延終了温度が800℃よりも低い場合には、低温圧延により、バリアントが選択され、ランダム粒界が減少することになる(後記図10参照)。
仕上げ圧延終了後、鋼板の平均温度が(Ar3変態点+10℃)以上、(Ar3変態点+90℃)以下の温度域から、鋼板の平均冷却速度(DQ冷却速度)が5℃/秒以上で500℃以下まで冷却する。冷却開始時の温度が(Ar3変態点+90℃)を超えると、圧延終了から冷却開始までの待ち時間で、圧延によって導入した歪が消失してしまい、平均大角粒界径Dが増大する恐れがあるため(後記図7参照)、(Ar3変態点+90℃)以下の温度から冷却を開始する必要がある。この温度範囲から冷却を開始することにより、ランダム粒界の増加を得るのに必要な焼入れ性の確保が可能となる。しかしながら、冷却開始温度が(Ar3変態点+10℃)よりも低い場合には、焼入れ性不足によって、ランダム粒界分率の増加が難しくなる(後記図8参照)。また、冷却停止温度は、変態を完全に完了させるために、500℃以下とする。
上記のような積極冷却(加速冷却)を行った後は、500℃以上、Ac1変態未満の温度範囲で焼戻し処理を行う。この処理は、組織中に生成した島状マルテンサイト相(M−A相)を消滅させるためである。このような相が残存していた場合には、破壊の起点となる可能性がある。
本発明の鋼板は、上記のような製造方法によって製造し、前述した要件を満足するものとなり、こうした鋼板では降伏点YPが480MPa以上、引張強度TSが590MPa以上であり、且つ10%の歪を付与した後に250℃、1時間の時効処理を施したときの−40℃での平均衝撃吸収エネルギーvE-40が100J以上であるような特性を発揮するものとなる。尚、本発明の高強度鋼板は、鋼板厚さが60mm以上となるような厚肉の場合を想定したものであり、こうした厚肉の鋼板の場合に特にその効果が顕著に発揮される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
下記表1に示す化学成分組成の各鋼種(鋼種A〜D)の鋼片を用い、下記表2に示す製造条件で[板厚(製品厚)、鋳片加熱温度、再結晶温度域圧下率(累積圧下率)、鋼板冷却速度、圧延開始温度、未再結晶温度域圧下率(累積圧下率)、パス間冷却速度、圧延終了温度、圧延後冷却開始温度、圧延後冷却速度(DQ冷却速度)、冷却停止温度、焼戻し温度]にて各種鋼板を製造した。このときの温度については、鋳片加熱温度、冷却停止温度および焼戻し温度については、鋼板の表面温度で管理したものであり、その他は平均温度で管理したものであり、詳細な温度管理手順は下記の通りである。また表1に示したAr3変態点およびAc変態点は、夫々後記(2)式、(3)式によって計算したものである。
Figure 0005234921
Figure 0005234921
[圧延中の温度測定方法]
1.プロセスコンピュータを用い、加熱開始から加熱終了までの雰囲気温度や在炉時間に基づいて鋼片の加熱温度を算出する。
2.算出した加熱温度を用い、圧延中の圧延パススケジュールやパス間の冷却方法(水冷あるいは空冷)のデータに基づいて、板厚方向の任意の位置における圧延温度を差分法など計算に適した方法を用いて算出しつつ圧延を実施する。
3.鋼板の表面温度は圧延ライン上に設置された放射型温度計を用いて実測する。但し、プロセスコンピュータでも理論値を計算しておく。
4.粗圧延開始時、粗圧延終了時、仕上げ圧延開始時にそれぞれ実測した鋼板の表面温度を、プロセスコンピュータから算出される計算温度と照合する。
5.計算温度と実測温度の差が±30℃以上の場合は、計算温度が実測温度と一致するように再計算してプロセスコンピュータ上の計算温度とし、±30℃未満の場合は、プロセスコンピュータから算出された計算温度をそのまま用いる。
6.上記算出された計算温度を用い、制御対象としている領域の圧延温度を管理する。
Ar3変態点(℃)=910−310×[C]−80×[Mn]−20×[Cu]−15×[Cr]−55×[Ni]−80×[Mo]+0.35(t2−8) …(2)
但し、[C],[Mn],[Cu],[Cr],[Ni]および[Mo]は、夫々C,Mn,Cu,Cr,NiおよびMoの含有量(質量%)を示し、t2は板厚(製品仕上げ厚さ:mm)を示す。
Ac1変態点(℃)=723−14×[Mn]+22×[Si]−14.4×[Ni]+23.3×[Cr] …(3)
但し、[Mn],[Si],[Ni],および[Cr]は、夫々Mn,Si,NiおよびCrの含有量(質量%)を示す。
得られた各鋼板について、平均大角粒径D(結晶方位差が15°以上の大角粒界で囲まれた結晶粒の平均径D)、結晶方位差分布(ランダム粒界分率R)を下記の方法で測定すると共に、母材引張特性、母材衝撃特性、および歪時効特性を下記の方法によって測定した。これらの結果を一括して、下記表3に示す。
[平均大角粒径Dの測定方法]
(a)鋼板の圧延方向に平行に切断した、板厚の表裏面を含むサンプルを準備した。
(b)#150〜#1000までの湿式エメリー研磨紙或はそれと同等の機能を有する研磨方法を用いて断面を研磨し、ダイヤモンドスラリー等の研磨剤を用いて鏡面仕上げを施す。
(c)上記断面において、Tex SEM Laboratries社のEBSP装置(商品名:「OIM」)を用い、板厚方向t/4(t:板厚)部において、測定領域:200×200(μm)、測定ピッチ:0.5μm間隔で測定し、結晶方位差が15°以上の境界を結晶粒界として大角粒界を測定した。このとき、測定方位の信頼性を示すコンフィデンス・インデックスが0.1よりも小さい測定点は解析対象から除外した。
(d)テキストデータの解析法として、結晶粒径が2.5μm以下のものは、測定ノイズと判断して削除し、観察面における平均粒径を(円相当径)算出し、平均大角粒径Dとした。
[結晶方位差分布(ランダム粒界分率R)の測定方法]
(a)鋼板の圧延方向に平行に切断した、板厚の表裏面を含むサンプルを準備した。
(b)#150〜#1000までの湿式エメリー研磨紙或はそれと同等の機能を有する研磨方法を用いて断面を研磨し、ダイヤモンドスラリー等の研磨剤を用いて鏡面仕上げを施す。
(c)上記断面において、Tex SEM Laboratories社のEBSP装置(商品名:「OIM」)を用い、板厚方向t/4(t:板厚)部において、測定領域:200×200(μm)、測定ピッチ:0.5μm間隔で測定した。このとき、測定方位の信頼性を示すコンフィデンス・インデックスが0.1よりも小さい測定点は解析対象から除外した。
(d)結晶方位差が5.5°未満のものについては、測定ノイズと判断し、結晶方位差62.5°までの各方位差における分布を求めた。
(e)上記(d)の結晶方位差と対応マップを対応させることにより、ランダム粒界分率Rを算出した。具体的には、各対応粒界(Σ1〜49)を、結晶方位分布より得られる方位差15°以上の大角粒界の個数で割ることにより、各対応粒界の分布を求め、100%から差し引くことで[対応粒界以外をランダム粒界(>Σ49)とした]、ランダム粒界分率R(平均値)を測定した。
[母材引張特性の評価]
t/4(t:板厚)部から、NK(日本海事協会)船級が定めるU4号試験片を採取し、JIS Z 2241に従って引張試験を実施した。判定基準は、降伏点YP:480MPa以上、引張強度TS:590MPa以上とした。
[母材の衝撃特性の評価]
t/4(t:板厚)部から、NK(日本海事協会)船級が定めるU4号試験片を採取し、Vノッチシャルピー試験を行なった(JIS Z 2242に準拠した試験方法)。NK(日本海事協会)船級における造船Eグレードでは、母材の衝撃特性を試験温度:−40℃で求められるため、試験温度:−60℃での平均吸収エネルギー(vE-60)を測定した。そしてvE-60の値が100J以上のものを靭性に優れると評価した。
[母材の歪時効特性]
NK(日本海事協会)船級に規定されている方法にて歪時効を付与した。具体的には、引張試験片に、10%歪を付与した後、250℃×1時間の時効処理を施した。このときの試験片(TP)形状を図1に示す。その後、歪付与量が9.6〜10.4%の範囲である箇所からVノッチシャルピー試験片を採取し、JIS Z 2242に従って試験を実施し、試験温度:−40℃での平均吸収エネルギー(vE-40)を測定した。そしてvE-40の平均値が100J以上のものを歪時効特性に優れると評価した。尚、このときの歪付与量は、下記(4)式によって求められるものである。
歪付与量=(L−L0)/L0×100(%) …(4)
但し、L0:歪付与前の標点距離(mm)
L :歪付与後の標点距離(mm)
Figure 0005234921
これらの結果から、次のように考察できる。試験No.1〜5、15,16、18、19、20のものは、本発明で規定する要件を満足するものであり、母材の引張特性および衝撃特性を確保しつつ、歪時効特性をも良好である高強度厚肉鋼板が実現できていることが分かる。
これに対して、試験No.6〜14、17のものでは、本発明で規定する要件のいずれかを欠くものであり、少なくともいずれかの特性が劣化している。具体的には、試験No.6〜9のものは、未再結晶温度域での圧下率が本発明で規定する範囲(25%以上、50%未満)から外れるものであり、平均大角粒径Dの増大若しくはランダム粒界分率R不足が生じており、母材靭性、歪時効特性の少なくともいずれかの特性が劣化している。
試験No.10、11のものは、圧延完了後冷却開始温度が本発明で規定する範囲[(Ar3変態点+10℃)以上、(Ar3変態点+90℃)以下]から外れるものであり、平均大角粒径Dの増大若しくはランダム粒界分率不足が生じており、母材靭性、歪時効特性の少なくともいずれかの特性が劣化している。
試験No.12、13のものは、夫々圧延開始温度および圧延終了温度が本発明で規定する範囲(800℃以上、890℃以下)から外れるものであり、平均大角粒径Dの増大若しくはランダム粒界分率不足が生じており、母材靭性、歪時効特性の少なくともいずれかの特性が劣化している。
試験No.14、17のものは、パス間冷却速度(圧延中冷却速度)が本発明で規定する好ましい範囲(0.3〜0.4℃/秒)から外れるものであり、平均大角粒径Dの増大若しくはランダム粒界分率不足が生じており、母材靭性、歪時効特性の少なくともいずれかの特性が劣化している。
これらの結果に基づき、平均大角粒径Dと歪時効特性(10%歪付与後靭性vE-40)の関係を図2に示すが、歪時効特性を達成するためには、平均大角粒径Dを35μm以下とすることが有用であることが分かる。またランダム粒界分率Rと歪時効特性(10%歪付与後靭性vE-40)の関係を図3に示すが、歪時効特性を達成するためには、ランダム粒界分率Rを50面積%以上とすることが有用であることが分かる。
未再結晶温度域での圧下率とランダム粒界分率の関係を図4に、未再結晶温度域での圧下率と平均大角粒径Dの関係を図5に夫々示すが、未再結晶温度域での圧下率を25%以上、50%未満とすることによって、ランダム粒界分率Rの確保や平均大角粒径Dの微細化が達成されていることが分かる。パス間冷却速度(圧延中冷却速度)と平均大角粒径Dの関係を図6に示すが、圧延中冷却速度を0.3℃/秒以上とすることによって、平均大角粒径Dの微細化が達成されていることが分かる。
圧延後冷却開始温度(冷却開始温度:Ar3点からの位置)が平均大角粒径Dやランダム粒界分率Rに与える影響を、図7、8に夫々示すが(但し、未再結晶温度領域での圧下率が25〜30%のもの)、冷却開始温度を(Ar3変態点+10℃)以上、(Ar3変態点+90℃)以下とすることによって、平均大角粒界径Dの微細化やランダム粒界分率Rの確保が達成されていることが分かる。
圧延開始温度と平均大角粒径Dの関係を図9に、圧延終了温度とランダム粒界分率Rの関係を図10に夫々示す(但し、未再結晶温度域圧下率:25〜30%のもの)。これらの結果から明らかな様に、圧延開始温度を890℃以下とすることによって平均大角粒径Dを35μm以下とできること、および圧延終了温度を800℃以上とすることによってランダム粒界分率Rを50面積%以上とできることが分かる。
歪みを付与した引張試験片の形状を示す説明図である。 平均大角粒径Dと歪時効特性(10%歪付与後靭性vE-40)の関係を示すグラフである。 ランダム粒界分率Rと歪時効特性(10%歪付与後靭性vE-40)の関係を示すグラフである。 未再結晶温度域圧下率とランダム粒界分率Rの関係を示すグラフである。 未再結晶温度域圧下率と平均大角粒径Dの関係を示すグラフである。 圧延中冷却速度と平均大角粒径Dの関係を示すグラフである。 圧延後冷却開始温度(冷却開始温度:Ar3点からの位置)が平均大角粒径Dに与える影響を示すグラフである。 圧延後冷却開始温度(冷却開始温度:Ar3点からの位置)がランダム粒界分率Rに与える影響を示すグラフである。 圧延開始温度と平均大角粒径Dの関係を示すグラフである。 圧延終了温度とランダム粒界分率Rの関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. C:0.10〜0.16%(「質量%」の意味、化学成分組成について以下同じ)、Si:0.15〜0.30%、Mn:1.30〜1.60%、Al:0.015〜0.05%、Cu:0.15〜0.35、Ni:0.10〜0.30%、Mo:0.10〜0.25%、V:0.030〜0.05%、Nb:0.005〜0.015%、Ca:0.005%以下(0%を含まない)N:0.002〜0.008%、Ti:0.005〜0.020%および/またはCr:0.10%以下(0%を含まない)を夫々含有し、残部が鉄および不可避不純物である鋼板であって、2つの結晶の方位差が15°以上の大角粒界で囲まれた結晶粒の平均円相当径Dが35μm以下であると共に、結晶方位分布差から測定されるランダム粒界分率Rが50面積%以上であることを特徴とする歪時効特性に優れた高強度厚肉鋼板。
  2. 降伏点が480MPa以上、引張強度590MPa以上であり、且つ10%の歪を付与した後に250℃、1時間の時効処理を施したときの−40℃での平均衝撃吸収エネルギーvE-40が100J以上である請求項1に記載の高強度厚肉鋼板。
  3. 請求項1または2に記載の鋼板を製造するに当り、鋼片をAc変態点以上〜1200℃の温度に加熱し、鋼板の平均温度が900℃以上のオーステナイト再結晶温度域にて累積圧下率が10%以上の圧延を施し、その後、鋼板の平均温度が800℃以上、890℃以下の未再結晶温度域にて、鋼板全体のパス間の平均冷却速度が0.3℃/秒以上となるような冷却を施しながら、累積圧下率が25%以上、50%未満となる圧延を施し、引き続き鋼板の平均温度が(Ar変態点+10℃)以上、(Ar変態点+90℃)以下の温度域から、鋼板表面温度が500℃以下となる温度域まで平均冷却速度:5℃/秒以上の冷却速度で冷却し、500℃以上、Ac変態点未満の温度範囲で焼戻し処理を行うことを特徴とする歪時効特性に優れた高強度厚肉鋼板の製造方法。
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