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JP5220050B2 - 耐結露白化性と耐食性に優れた表面処理鋼板 - Google Patents

耐結露白化性と耐食性に優れた表面処理鋼板 Download PDF

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JP5220050B2 JP2010051612A JP2010051612A JP5220050B2 JP 5220050 B2 JP5220050 B2 JP 5220050B2 JP 2010051612 A JP2010051612 A JP 2010051612A JP 2010051612 A JP2010051612 A JP 2010051612A JP 5220050 B2 JP5220050 B2 JP 5220050B2
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Description

本発明は、亜鉛系めっき鋼板を基材とするクロムフリーの表面処理鋼板に関する。本発明に係る表面処理鋼板は、耐結露白化性と耐食性と上塗り塗装性に優れ、好ましくはさらに無塗油潤滑性と耐コイル変形性および耐切板パイル荷崩れ性といった取扱い性とが両立している。この表面処理鋼板は、家電、建材、自動車といった用途に適しており、無塗装と塗装のいずれの形態でも使用可能であって、溶接も可能である。
亜鉛系めっき鋼板などの鋼板の表面に、樹脂を主成分とし、必要により他の有機もしくは無機成分を添加したクロムフリー防錆皮膜を形成した表面処理鋼板について、これまでに多くの提案が特許文献に公開されている。
例えば、特許第3477174号明細書(特許文献1)には、水性樹脂とシランカップリング剤とリン酸成分を含有する皮膜層を下地処理層として有し、その上層に、固形分として100重量部の有機樹脂と1〜50重量部の微粒シリカとから構成される上層皮膜を0.1〜5.0g/m2の付着量で形成した表面処理鋼板が、耐結露白化性、耐かじり性等、鋼板の表面外観品位に優れることが公開されている。
特許第3883831号明細書(特許文献2)には、フェノール系樹脂化合物と、特定のカチオン性官能基を有するカチオン性ウレタン樹脂と、特定の官能基を有するシランカップリング剤と、Ti化合物と、特定の酸化合物とを含有し、且つカチオン性ウレタン樹脂及びシランカップリング剤の含有量が、フェノール系樹脂化合物とカチオン性ウレタン樹脂とシランカップリング剤の合計量の全固形分に対してそれぞれ1〜20質量%及び45〜85質量%である表面処理剤を塗布し、乾燥することにより形成された皮膜厚が0.01〜5.0μmの表面処理皮膜を有する表面処理鋼板が、耐食性、耐指紋性、耐黒変性および塗装密着性に優れることが公開されている。
特開2007−46143号公報(特許文献3)および特開2008−194839号公報(特許文献4)には、亜鉛系めっき鋼板の表面に、カチオン性ポリウレタン樹脂、カチオン性フェノール樹脂、シランカップリング剤、マンガン化合物、ジルコニウム化合物、バナジウム化合物、平均粒経0.1〜0.5μm、数平均分子量500〜2000、密度が0.85〜0.95、かつ融点が70〜90℃であるフィッシャートロプッシュワックスを固形分質量比(A/B=7〜120、C/(A+B)=0.2〜0.75、D/(A+B)=0.005〜0.025、E/(A+B)=0.01〜0.075、F/(A+B)=0.001〜0.025、G/(A+B)=0.03〜0.4、ただし、D〜Fは金属換算量)で含有する水系表面処理液を用いて、付着量0.1〜3g/m2の表面処理皮膜を形成した表面処理鋼板が、平面部、アルカリ脱脂後および加工部の耐食性に加えて、耐指紋性、導電性、塗装密着性、摺動性(加工性)、耐熱性、耐酸性、耐水性等の性能バランスに優れることが公開されている。
特許第2953654号明細書(特許文献5)には、SiO2/Li2Oモル比が18〜33であるケイ酸リチウム水溶液に、有機樹脂、シランカップリング剤、及び固体潤滑剤を含有させた処理液を、金属板表面に塗布し、乾燥して形成した皮膜を有する表面処理鋼板が、耐水性(耐結露白化性)、耐食性、塗装性、耐疵付き性及び深絞り性に優れることが公開されている。
ワックスなどの固体潤滑剤を含有する皮膜を形成した表面処理鋼板は、優れた潤滑性を呈し、無塗油でもロール成形や深絞り等の成形加工が可能となる。しかし、鋼板表面が滑りやすいため、クレーン吊り降ろしといった取扱い時に、コイルに巻かれた表面処理鋼板(以下、コイルという)の場合はコイルの巻きゆるみを起因とするコイル変形を生じやすく、切板をパイルに積み重ねた表面処理鋼板(以下、切板パイルという)の場合には荷崩れを生じやすいという、取扱い上の問題がある。
この問題に対し、例えば、特許第3464652号明細書(特許文献6)には、水性樹脂とシランカップリング剤とリン酸成分を含有する皮膜層を下地処理層として有し、その上に有機樹脂と微粒シリカとポリオレフィンワックスを含有する上層皮膜を設けた表面処理鋼板が、耐プレスかじり性と耐コイル変形性に優れることが公開されている。
特開2005−139477号公報(特許文献7)には、水性樹脂に有機質潤滑剤とシランカップリング剤とバルブメタル化合物とを配合した有機樹脂皮膜を鋼板表面に有し、この有機樹脂皮膜の最表層における水素以外の元素に対する炭素の原子数比:C/全元素が0.75〜0.9、シランカップリング剤のSi及びバルブメタル化合物のメタル(M)の原子数比:(Si+M)/全元素が0.01〜0.05の範囲にある表面処理鋼板が、加工性と耐コイル変形性に優れることが公開されている。
特許第3477174号明細書 特許第3883831号明細書 特開2007−46143号公報 特開2008−194839号公報 特許第2953654号明細書 特許第3464652号公報 特開2005−139477号公報 特許第4002517号明細書 特開2004−307923号公報 特開2008−184630号公報 WO2007−100018号公報
高橋克ら、CAMP-ISIJ, 9 (1996)1426
無塗装で使用される表面処理鋼板の表面外観品位に関する重要な要求特性の一つは耐結露白化性である。結露白化とは、高湿度と気温の急激な低下によって、表面処理鋼板のコイルや切板パイルに結露が発生すると、端部から水が侵入し、水と接触した部分が白く変色し、白化部分は白錆とみなされ廃棄されるという問題である。
この結露白化は、皮膜中の強電解質成分、すなわち、フッ素、リチウム、ナトリウム、カリウム、塩素、臭素、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、スルホン酸類等のイオンが結露水中に溶出し、乾燥過程で皮膜上にて濃縮・析出して、表面処理鋼板の色・光沢を変化させるという現象である。このような強電解質イオン性成分は、難水溶性皮膜の構成成分を水溶性化または可溶化するために使用される。
従って、結露白化を抑制するために、皮膜中に含まれる強電解質成分を低減または固定化することが課題となる。上述した特許文献においても、皮膜中に封じ込める方法(特許文献1および2)や絶対量を低減する方法(特許文献5)が提案されているが、特許文献1ではリン酸を、特許文献2ではチタン化合物の可溶化に硝酸、硫酸またはフッ素イオンを、特許文献3および4ではジルコニウム化合物の可溶化に硝酸、硫酸、乳酸、ステアリン酸またはフッ素イオンを、特許文献5ではケイ素化合物の可溶化にリチウムを用いているため、これらの成分の溶出による結露白化を確実に防止できない。
鋼板表面にフッ素フリーの皮膜を形成することが、例えば特許第4002517号明細書(特許文献8)、特開2004−307923号公報(特許文献9)、特開2008−184630号公報(特許文献10)、WO2007−100018号公報(特許文献11)に公開されている。しかし、これらの皮膜はいずれも皮膜密着性や人体安全性の確保が目的であり、結露白化の防止については言及されていない。
一方、無塗油で使用される表面処理鋼板における課題は、無塗油潤滑性と取扱い性(すなわち耐コイル変形性や耐切板パイル荷崩れ性)とを如何にして両立するかである。ワックスなどの固体潤滑剤を添加して造膜させた潤滑性皮膜は、コイル変形や切板パイルの荷崩れを生じやすく、その原因はワックスの表面濃化である。これは、低表面張力のワックスが乾燥造膜下の液対流により皮膜表面に浮上し、一旦空気に触れると、再び表面処理液には濡れずに皮膜表面にとどまってしまうという現象である。この種の潤滑性皮膜表面の写真は、表面濃化したワックス粒子が皮膜表面で数珠つなぎ状に分布することを示している[高橋克ら、CAMP-ISIJ, 9 (1996)1426(非特許文献1)]。このベナールセルと呼ばれる構造は、液対流の上昇・下降が不均一に起こることによって形成され、ワックス表面濃化の駆動力が液対流である証拠である。従って、如何にしてワックスの表面濃化を抑制し、皮膜中に均一分散させるかが課題となる。
本発明者らは、焼付け乾燥過程にて速やかに揮発する強電解質成分を用いて難水溶性成分の水溶性化・可溶化を図ることにより、強電解質成分を実質的に含まない皮膜を形成することができ、表面処理鋼板の結露白化を防止できることを見出した。また、ワックス粒を表面修飾することによって、ワックスを皮膜中に均一に分散化できることも見出した。それにより、耐結露白化性と耐食性が優れるのみならず、さらに無塗油潤滑性、耐コイル変形性および耐切板パイル荷崩れ性にも優れた表面処理鋼板が実現可能となる。
本発明は、亜鉛系めっき鋼板の少なくとも片面のめっき表面に、樹脂(B)、シロキサン化合物(C)、チタン化合物(D)およびバナジウム化合物(E)を含有し、かつ下記強電解質成分(A)の合計含有量が0.3mg・m−2未満である皮膜を備え、該皮膜中における質量比で、シロキサン化合物(C)の量がSiO2換算で0.16〜0.20、チタン化合物(D)の量がTi換算で0.016〜0.025、バナジウム化合物(E)の量がV換算で0.006〜0.010、チタン化合物(D)とバナジウム化合物(E)の金属含有量比(D)/(E)が2.0〜3.0であり、かつ該皮膜の片面当たりの付着量が100〜3000mg・m-2の範囲内であることを特徴とする表面処理鋼板である。
(A):フッ化物イオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン、プロピオン酸イオン、およびスルホン酸イオン。
好適態様において、本発明に係る表面処理鋼板は、前記皮膜がケイ素化合物で表面修飾されたオレフィン系ワックス(F)をさらに含有し、該ケイ素化合物の量はオレフィン系ワックスに対する質量比で0.005〜0.05であり、該オレフィン系ワックスの量は皮膜中質量比で0.030〜0.060であって、その平均粒径は0.05〜0.15μmの範囲内である。皮膜が表面修飾したオレフィン系ワックスを含有することにより、無塗油潤滑性が付与され、同時に取扱い性(耐コイル変形性および耐切板パイル荷崩れ性)の低下も防止される。
好ましくは、前記樹脂(B)は、その50質量%以上が原料として用いたカチオン性ディスパージョン系樹脂から誘導される。より好ましくは、樹脂(B)の原料は、その50質量%以上がカチオン性ポリウレタン樹脂のディスパージョン(水系分散液)であり、さらにカチオン性フェノール樹脂を含んでいてもよい。好ましくは、前記シロキサン化合物(C)は原料として用いたシランカップリング剤から誘導され、前記チタン化合物(D)およびバナジウム化合物(E)はそれぞれ原料として用いたアセチルアセトン錯体から誘導され、前記オレフィン系ワックス(F)はエポキシ基含有シランカップリング剤で表面修飾されているものである。
好ましくは、前記カチオン性ポリウレタン樹脂の少なくとも一部、好ましくは少なくとも50質量%は下記一般式(1)で示される構造単位を含むポリカーボネート系カチオン性ポリウレタン樹脂ディスパージョンであり、前記カチオン性フェノール樹脂が下記一般式(2)で示される反復単位を有する平均重合度2〜50の重合体分子である。
Figure 0005220050
上記式中、Rは炭素数4〜9の脂肪族アルキレン基であり、nは数平均分子量が500〜5000の範囲となるのに相当する整数である。
Figure 0005220050
式中、Y1、およびY2は、それぞれ独立して水素または下記一般式(3)もしくは(4)で示されるZ基を表し、各ベンゼン環当たりのZ基の平均置換数は0.2〜1.0である。
Figure 0005220050
式(3)および(4)中、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表し、Aは水酸イオンまたは酸イオンを表す。
本発明の表面処理鋼板は、亜鉛系めっき表面に形成された皮膜がクロム化合物、フッ素化合物などの有害物を含んでおらず、環境負荷が小さい。また、この皮膜は、強電解質成分(A)が実質的に残留していない難水溶性皮膜であるため、耐結露白化性と耐食性とがともに優れ、同じ理由で上塗り耐水二次密着性にも優れる。
好適態様において、皮膜がケイ素化合物で表面修飾されたオレフィン系ワックス(F)をさらに含有していると、ワックスが表面に露出せずに皮膜中に均一に分散するため、無塗油潤滑性と耐コイル変形性・耐切板パイル荷崩れ性とがともに優れる。
本発明に係る表面処理鋼板は、形成された皮膜が薄膜でも十分な性能が得られるため、溶接可能であり、かつ無塗油で成形加工することができる。また、無塗装でも使用可能であり、塗装した場合の塗膜密着性にも優れている。従って、本発明に係る表面処理鋼板は家電、建材、自動車といった多様な用途に適しており、汎用性がある。
本発明に係る表面処理鋼板は、亜鉛系めっき鋼板の片面または両面のめっき表面に、樹脂(B)、シロキサン化合物(C)、チタン化合物(D)、バナジウム化合物(E)、および好ましくはさらにケイ素化合物で表面修飾されたオレフィン系ワックス(F)又はその原料を含有する水系処理液から形成された(すなわち、この水系処理液の塗布と乾燥により形成された)難水溶性の皮膜(以下、「本発明の難水溶性皮膜」ともいう)を有する。
この難水溶性皮膜には、耐結露白化性を確保するために、強電解質成分(A)が実質的に残留しないことが必要である。具体的には、皮膜中に残留する強電解質成分(A)の含有量は合計で0.3mg・m−2未満となるようにする。強電解質成分自体は、皮膜形成に使用する水系処理液(以下では「薬液」ともいう)中の皮膜形成成分を水溶性化・可溶化するために通常は必要となるが、本発明では、薬液に用いる強電解質成分として塗布後の焼付けによる乾燥過程で揮発する揮発性化合物を使用することにより、皮膜中には強電解質成分が実質的に残留しないようにする。
ここで皮膜中に実質的に残留させない強電解質成分(A)とは、フッ化物イオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン、プロピオン酸イオン、およびスルホン酸イオンを意味する。
これらの強電解質成分(A)を含んでいる原料化合物を具体的に例示すると、それらに限定されるものではないが、次のとおりである:
フッ化物イオン:フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、チタンフッ化水素酸、ジルコンフッ化水素酸;
リチウムイオン:フッ化リチウム、臭化リチウム、硫酸リチウム;
ナトリウムイオン:塩化ナトリウム、フッ化ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、酢酸ナトリウム;
カリウムイオン:塩化カリウム、臭化カリウム、フッ化カリウム、亜硫酸カリウム、硝酸カリウム、酢酸カリウム;
塩化物イオン:塩化カリウム、塩化ナトリウム;
臭化物イオン:臭化リチウム、臭化カリウム;
硫酸イオン:硫酸ナトリウム、硫酸リチウム;
亜硫酸イオン:亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム;
硝酸イオン:硝酸カリウム;
亜硝酸イオン:亜硝酸カルシウム、亜硝酸ナトリウム;
酢酸イオン:酢酸ナトリウム、酢酸カリウム。
皮膜が前述した強電解質成分(A)を合計で0.3mg・m−2以上の量で含有すると、これらの成分が皮膜から結露水中に溶出し、それがその後の結露水の乾燥過程で濃縮される結果、固体として皮膜上に析出し、結露白化を生ずる。一方、強電解質成分(A)の合計量が0.3mg・m−2未満であれば、結露水中に溶出する量が、結露白化として現れないような微量にとどまるので、結露白化による外観の悪化(白錆発生)を防止できる。
溶出可能な強電解質成分(A)の含有量は、リチウム、ナトリウム、カリウム、硫酸、亜硫酸、臭素の各イオンはICPにより、ICPの感度が低いフッ素、塩素、亜硝酸、硝酸などの各イオンはイオンクロマトグラフにより分析することができる。分析の供試液は、例えば、皮膜付着量1g・m−2、100mm×200mmの表面処理鋼板サンプルを20組用意し、各サンプルをそれぞれ100mLの60℃の水に10分間浸漬し、得られた2000mLの水溶液をエバポレータで濃縮することで得られる。
本発明の難水溶性皮膜は、樹脂(B)、シロキサン化合物(C)、チタン化合物(D)、バナジウム化合物(E)の原料を含んだ水系処理液を基材である亜鉛系めっき鋼板の少なくとも片面のめっき面に塗布し、焼付け乾燥することにより形成される。従って、この処理液から形成された皮膜は、これらの原料に由来する上記化合物(B)〜(E)を含有している。以下、これらの各成分について説明する。
処理液に含有させるシロキサン化合物(C)の原料は、皮膜形成(焼付け)過程で加水分解と縮合を経てシロキサン結合により三次元架橋したシロキサン型の皮膜を形成できる化合物である。造膜成分として、樹脂(B)だけでなく、シロキサン化合物(C)も併用することで、形成された皮膜の耐食性、密着性、耐溶剤性の性能が著しく向上する。
シロキサン化合物(C)の原料としては、2以上、好ましくは3以上のアルコキシ基を有するアルコキシシランを使用することが好ましい。その部分加水分解物を使用することもできる。テトラアルコキシシラン(例、エチルシリケート)も使用可能であるが、好ましいのはシランカップリング剤である。
シランカップリング剤のアルコキシ基は、水系への添加によって加水分解し、シラノール(−Si−OH)となる。シラノールの分散安定性はpH6.5以下で得られる。処理液のpHが6.5を超えると、ゲル化によりポットライフが得られない。
シランカップリング剤としては、市販品を利用することができる。例えば、N−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトエリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。好ましいシランカップリング剤は、使用する樹脂(B)と反応性の官能基を有するものである。樹脂との反応の種類は、重合反応、縮合反応、付加反応等でよく、特に制限されない。
シロキサン化合物(C)の皮膜中の含有量(質量比)はSiO2換算で0.16〜0.20とする。この含有量が0.20を超えると処理液の安定性が低下し、0.16に満たないと十分な耐食性、密着性、耐溶剤性が得られない。
本発明の難水溶性皮膜の主体をなすのは樹脂(B)である。使用する処理液が水系であることから、処理液に含有させる樹脂(B)としては水系樹脂を用いる。水系樹脂は、水分散性(ディスパージョン系)、エマルジョン、および水溶性に大別されるが、本発明では耐結露白化性、耐水性を備えた皮膜を得るために、ディスパージョン系樹脂を使用することが好ましい。水溶性樹脂は、平衡溶解系であるため、カウンターカチオンまたはカウンターアニオンとして強電解質が必要となり、エマルジョンは、界面活性剤が皮膜中に残留するため、耐水性が劣化するためである。従って、樹脂(B)の少なくとも50質量%はディスパージョン系樹脂とすることが好ましい。
ディスパージョン系樹脂としては、樹脂粒表面をアミン変性してカチオン分散させたタイプ、すなわち、カチオン性ディスパージョン系樹脂が好ましい。カチオン分散させることで、シロキサン化合物(C)の好ましい原料であるシランカップリング剤との共存が可能となる。アニオン分散は、薬液がアルカリ性となり、シランカップリング剤が不安定となる。その場合、カウンターカチオンとして水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどを用いてシランカップリング剤を溶解することで、アルカリ性薬液にシランカップリング剤を添加できるが、リチウムやナトリウムといった強電解質イオンの添加は、耐結露白化性が劣化するため好ましくない。
アミン変性によるカチオン分散は、3級以下のアミンによる変性であることが必要である。4級アミン変性の場合は、造膜後も皮膜中にプラス電荷が残留するため耐水性が劣化する。好ましくは、分散性と耐水性との両立の観点から3級アミン変性である。カウンターアニオンは、乾燥造膜下で揮発する酢酸やギ酸等のアニオンが好ましい。ディスパージョン粒の粒径は20nm以上、200nm以下の範囲であるのが好ましい。ディスパージョン粒が大きいほど、アミン変性による親水化の悪影響を低減できるが、大きすぎると焼付け乾燥過程における皮膜形成を阻害する。
カチオン性ディスパージョン系樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。これらの中で、ポリウレタン樹脂が特に好ましい。主成分がポリウレタン樹脂である皮膜は、抗張力と伸びのバランスに優れるため、加工性と密着性が良好となる。
カチオン性ポリウレタン樹脂は、下記一般式(1)で示される構造単位を含む樹脂、すなわち、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂であることが好ましい。ポリウレタン樹脂が下記一般式(1)で示される構造単位を含むと、より優れたバリア性が付与され、耐結露白化性が向上する。
Figure 0005220050
上記式中、Rは炭素数4〜9の脂肪族アルキレン基であり、nは数平均分子量が500〜5000の範囲となるに相当する整数である。
本発明の難水溶性皮膜は、樹脂(B)の原料として、上記のカチオン性ディスパージョン系樹脂に加えて、さらにカチオン性フェノール樹脂を含有することが好ましい。皮膜がカチオン性フェノール樹脂を含有すると、薬液の安定性と上塗り耐水2次密着性が向上する。カチオン性フェノール樹脂は、下記一般式(2)で示される反復単位から構成されるもの好ましく、この反復単位の平均重合度2〜50の重合体分子からなるものであることがより好ましい。平均重合度がこの範囲内であると、耐水性が向上する。
Figure 0005220050
式中、Y1、およびY2は、それぞれ独立して水素または下記一般式(3)もしくは(4)で示されるZ基を表し、各ベンゼン環当たりのZ基の平均置換数は0.2〜1.0である。
Figure 0005220050
式(3)および(4)中、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表し、Aは水酸イオンまたは酸イオンを表す。
前述したように、本発明で使用するカチオン性樹脂のカウンターアニオンは、乾燥造膜下で揮発するアニオン、具体的にはギ酸または酢酸イオンが好ましい。カチオン性樹脂のカウンターアニオンが水酸イオンであると、処理液がアルカリ性に傾き、上記したようにシランカップリング剤がゲル化しやすく、液が不安定となる。
カチオン性樹脂のカウンターアニオンがギ酸または酢酸イオンである場合、乾燥造膜中にギ酸または酢酸が揮発する。これによりカチオン性樹脂においては、アミンが電荷を失い、樹脂粒の疎水化により造膜反応としての不可逆な凝集が起こる。同時にカウンターアニオンの揮発はpHを上昇させ、加水分解によりシラノール化したシランカップリング剤は、造膜反応としての不可逆なゲル化・縮合を進行させる。このときさらに、樹脂(B)の側鎖とシランカップリング剤との反応およびシラノールとめっき基材との反応によって、樹脂・シロキサン・メタロキサン結合によるネットワークを形成するため、密着性、耐食性、耐溶剤性に優れた強固な皮膜を形成できる。
本発明の難水溶性皮膜を形成するための処理液は、チタン化合物(D)とバナジウム化合物(E)の両者の原料を含有する。皮膜がこれらの化合物を含有することにより、耐食性が非常に向上する。
造膜時のチタン化合物の析出には二つの作用機構が考えられる。ひとつは、チタンフッ化水素酸の亜鉛エッチング・加水分解のように、チタンイオンが強酸としてめっき基材表面から酸素を奪うことによって析出する機構である。もうひとつは、水酸化チタンの酸解離により生じるチタン酸イオンが強塩基としてめっき基材の亜鉛に電子を供与することによって析出する機構である。
処理液に使用するチタン化合物(D)の原料としては、強電解質が含まれない酸化物、水酸化物、過酸化物、キレート化合物、および揮発性酸との塩である酢酸チタン、炭酸チタン等が挙げられるが、好ましいのはチタンのアセチルアセトン錯体である。処理液がチタンのアセチルアセトン錯体を含有すると、皮膜の耐食性が一段と向上し、乾燥造膜皮膜中に残存するアセチルアセトナトおよびアセチルアセトンはイオン性が弱く、結露白化に悪影響を与えないためである。チタンのアセチルアセトン錯体は、乾燥造膜下でめっき基材と反応して析出し、難水溶性皮膜を形成する。チタンのキレート化合物のうち、カチオン性を有するトリエタノールアミン錯体は、結露白化に悪影響を与えない点では好ましいが、乾燥造膜後も皮膜中に残存するトリエタノールアミンが吸水性を示すため、耐食性向上効果はアセチルアセトン錯体のほうが大きい。チタンフッ化水素酸やチタンフッ化アンモニウムは、フッ素が遊離して耐結露白化性が劣化するので、本発明で規定する強電解質含有量を満たした皮膜を形成できず、不適である。
チタン化合物(D)の皮膜中含有量は、Ti換算で皮膜中質量比0.016〜0.025であり、好ましくは0.016〜0.023である。この含有量が0.016未満であると耐食性向上効果が得られず、一方、0.025超であると、耐食性向上効果が飽和するとともに、処理液の安定性が低下する。
処理液に使用するバナジウム化合物(E)の原料としては、強電解質(A)が含まれない五酸化バナジウム、メタバナジン酸、三酸化バナジウム、二酸化バナジウム、バナジウムオキシアセチルアセトナト、バナジウムアセチルアセトナト等、および揮発性酸との塩である酢酸バナジウムが挙げられる。耐食性向上効果を考慮すると、この中でバナジウムオキシアセチルアセトナトが好ましい。後述するように、バナジウム化合物は皮膜中に酸化物またはアセチルアセトン錯体として固定化される。
バナジウム化合物(E)の皮膜中含有量は、V換算で皮膜中質量比0.006〜0.010であり、好ましくは0.007〜0.009である。この含有量が0.006未満であると十分な耐食性向上効果が得られず、一方、0.010超であると、耐食性向上効果が飽和するとともに、処理液の安定性が低下する。
本発明の難水溶性皮膜に含まれるチタン化合物(D)とバナジウム化合物(E)は、前記チタン化合物(D)とバナジウム化合物(E)の金属成分比(D)/(E)が2.0〜3.0である必要があり、2.2〜2.8であることが好ましく、2.4〜2.7であることが最も好ましい。前記金属成分比(D)/(E)が2.0未満であると、バナジウム化合物(E)の皮膜への固定率が低下し、耐食性が低下する。一方、この金属成分比が3.0を超えると、チタン化合物(D)の皮膜への固定率が低下して水溶性が高くなるため、耐結露白化性が低下する。
本発明の難水溶性皮膜は、ケイ素化合物で表面修飾したオレフィン系ワックス(F)を含有することが好ましい。皮膜がケイ素化合物で表面修飾したオレフィン系ワックス(F)を含有すると、それが表面に露出せずに皮膜中に分散するため、無塗油潤滑性と取扱い性、すなわち耐コイル変形性、耐切板パイル荷崩れ性とを両立させることが可能となる。オレフィン系ワックスが皮膜中に分散するのは、ケイ素化合物による表面修飾によってワックスの表面張力が増加し、表面処理剤への濡れ性が増すためと考えられる。
一般に、ワックスなどの固体潤滑剤を添加した潤滑性皮膜は、乾燥造膜下では液対流によるワックスの皮膜表面への濃化が発生し、ワックスを皮膜中に均一分散させるのは容易ではない。しかし、ワックス粒をケイ素化合物で表面修飾することで皮膜中に均一分散させることができる。
ケイ素化合物としては、加水分解性有機シラン化合物、特にシランカップリング剤、中でも反応性官能基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましい。ケイ素化合物による表面修飾は、オレフィン系ワックスエマルジョンにケイ素化合物を直接混合することにより実施することができる。それにより、カチオン性ポリウレタン樹脂ディスパージョンおよび有機シラン化合物を含有するpH6.5以下の酸性処理液中で安定な表面修飾オレフィン系ワックスが得られる。使用できるオレフィン系ワックスとしては、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス等が挙げられる。酸性処理液中で安定なカルボキシル基を有するポリエチレンワックスエマルジョンとエポキシ基を有するシランカップリング剤であるグリシジルプロピルトリメトキシシランとの組合せが好ましい。
ケイ素化合物は、オレフィン系ワックスエマルジョンに対して固形分質量比0.005〜0.05の範囲で加えるのが好ましい。ケイ素化合物の添加量はワックスディスパージョンの酸価と等モル以上であることが好ましい。ワックスの平均粒径は0.05〜0.10μmの範囲とする。ワックス粒径が小さいほど皮膜表面に存在するワックスの体積が減少し取扱い性が向上し、0.05μm以上であればワックス凝集による薬液の安定性への悪影響も小さい。
オレフィン系ワックス(F)の皮膜中含有量は、皮膜中質量比0.030〜0.060を満たすようにする。この含有量が0.030以上であると十分な無塗油潤滑性が得られ、0.060未満であると耐コイル変形性・耐切板パイル荷崩れ性も良好である。
以上の成分を溶媒に溶解または分散させることにより、本発明で皮膜形成に使用する処理液(薬液)を調製することができる。各成分は皮膜中で所定の割合となるように、従って、溶媒および揮発性成分を除外した不揮発分(固形分)の合計量に対して所定の割合となるように調整する。本発明で使用する処理液は水系であるので、溶媒は水のみでよいが、皮膜の乾燥性の改善などの目的で、前述強電解質(A)が含まれない水溶性有機溶媒(例、アルコール類)を少量(例えば、溶媒全体の30質量%以内)含有させてもよい。また、レベリング剤、消泡剤等の塗布用処理液に慣用されている添加剤を処理液に添加することができる。
前述したように処理液はシランカップリング剤の分散安定化のために6.5以下の酸性pHとすることが好ましい。処理液の好ましいpH範囲は2.0〜6.5である。必要に応じて、酢酸、ギ酸などの揮発性の酸を添加して処理液の酸性度を調整することができる。
本発明の表面処理剤の基材亜鉛系めっき鋼板への塗布は、浸漬、噴霧、ロール塗布等、任意の慣用の塗布方法により実施できる。塗布後に焼付け乾燥を行う。その際の加熱温度は、処理液中の揮発性成分(例、カチオン性樹脂のカウンターアニオンに由来する酢酸もしくはギ酸)が揮発するように選択する。最高到達板温が60〜130℃の範囲内となるように乾燥を行うことが好ましい。焼付け乾燥は、熱風乾燥または炉内乾燥により行うことができる。
焼付け乾燥過程においては、処理液の液膜から酢酸などの揮発性酸成分が揮発し、pHが上昇する。これにより、めっき基材とチタンのアセチルアセトン錯体、シランカップリング剤、カチオン性ポリウレタン樹脂ディスパージョン、カチオン性フェノール樹脂が加水分解と縮合反応を起こし、めっき基材表面、樹脂、有機シラン化合物、チタン化合物、およびバナジウム化合物がアイオノマ結合、メタロキサン結合またはシロキサン結合による強固なネットワークを形成し、そこにバナジウム化合物とオレフィン系ワックスとが固定された構造を持つ、難水溶性の皮膜が形成される。
上記難水溶性皮膜の付着量は、一次防錆(ユーザーへのデリバリー期間中の錆対策)を目的とする場合は100mg・m−2以上であればよいが、裸使用(最終製品の塗装省略)を目的とする場合には、350mg・m−2以上とすることが好ましい。皮膜付着量の上限は3000mg・m−2である。それより付着量が大きくなると、上塗り塗装性が低下し、皮膜がワックスを含有していなくても、取扱い性も悪くなる。スポット溶接を行う場合には、皮膜付着量を600mg・m−2以下とすることが好ましい。
本発明の表面処理鋼板の基材である亜鉛系めっき鋼板は特に限定されない。ここで、亜鉛系めっき鋼板の亜鉛系めっきとは、純亜鉛系めっきと亜鉛含有量が40質量%以上の亜鉛合金めっきとを包含する意味である。基材として特に適した亜鉛系めっき鋼板を例示すると、溶融亜鉛めっき鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、合金化電気亜鉛めっき鋼板、溶融55%Al−Zn合金めっき鋼板、溶融5%Al−Zn合金めっき鋼板、溶融Al−Mg−Znめっき鋼板、電気Ni−Zn合金めっき鋼板等が挙げられる。めっき付着量は特に制限されず、従来の一般的な範囲内でよい。めっきは、片面めっきと両面めっきのいずれでもよい。基材が両面めっき鋼板の場合、本発明に係る皮膜は片面または両面に形成することができる。
本発明の表面処理鋼板は、樹脂(B)、シロキサン化合物(C)、チタン化合物(D)、およびバナジウム化合物(E)から形成され、強電解質(A)を実質的に含んでいない難水溶性皮膜を亜鉛系めっき鋼板の表面に有するため、耐結露白化性と耐食性に優れている。また、好適態様において、皮膜がケイ素化合物で表面修飾されたオレフィン系ワックス(F)を含有していると、皮膜に無塗油潤滑性が付与され、しかもワックスが表面に露出せずに皮膜中に分散するため、耐コイル変形性、耐切板パイル荷崩れ性にも優れる。
[処理液の調製]
各成分(B)〜(E)について下記から選んだ材料を混合することにより、処理液を調製した。樹脂(B)およびシロキサン化合物(C)については、場合により2種類の材料を組み合わせて使用した。他の成分についても、2種以上の材料を使用することは可能である。比較のために、一部の成分を使用しない処理液も調製した。
表1に、処理液の調製に用いた各成分の種類と、各成分の皮膜中(=処理液の合計固形分中)質量比、チタン化合物(D)とバナジウム化合物(E)の金属成分比(D)/(E)を示す。また、比較のために、表1のNo.13の処理液に強電解質(A)を添加して、強電解質を含有する処理液も調製した。さらに、同じくNo.13の処理液に表2に示すケイ素化合物で表面修飾したオレフィン系ワックス(F)を表3に示す割合で添加して、ワックス含有表面処理液を調製した。
[樹脂(B)]
B1:ポリエステル系カチオン性ポリウレタン樹脂
株式会社ADEKA製アデカボンタイターHUX−680
B2:ポリエーテル系カチオン性ポリウレタン樹脂
第一工業製薬株式会社製スーパーフレックス600
B3:ポリカーボネート系カチオン性ポリウレタン樹脂
第一工業製薬株式会社製スーパーフレックス650
B4:B2:B3=50:50で混合
B5:カチオン性フェノール樹脂
n=5、Y1=−CH2N(CH3)2、Y2=H、Z置換度=0.5
B6:カチオン性フェノール樹脂
n=10、Y=−CH2N(CH3)(C24OH)、Y2=H、Z置換度=1.0
B7:ポリエーテル系アニオンポリウレタン樹脂
株式会社ADEKA製アデカボンタイターHUX−350
[シロキサン化合物(C)]
C1:3−アミノプロピルトリエトキシシラン
C2:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
C3:3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
[チタン化合物(D)]
D1:チタンジイソプロポキシビスアセチルアセトネート
D2:チタンジイソプロポキシビストリエタノールアミネート
D3:チタンフッ化水素酸
D4:硝酸チタン
D5:硫酸チタン
[バナジウム化合物(E)]
E1:バナジルアセチルアセトネート
E2:メタバナジン酸アンモン
[強電解質(A)]
A1:硝酸ナトリウム
A2:硫酸カリウム
A3:水酸化リチウム
A4:水酸化ナトリウム
A5:水酸化カリウム
A6:塩化水素酸
A7:臭化水素酸
A8:硫酸
A9:亜硫酸
A10:硝酸
A11:亜硝酸
[基材]
亜鉛系めっき鋼板基材として、両面溶融亜鉛めっき鋼板(以下、GI)、両面合金化溶融亜鉛めっき鋼板(以下、GA)、両面電気亜鉛めっき鋼板(以下、EG)、および両面溶融55%Al−Znめっき鋼板(以下、AZ)を使用した。
[処理工程]
基材めっき鋼板を弱アルカリ性脱脂液(日本パーカライジング株式会社製パルクリーンN364S)で脱脂洗浄し、その片面に、調製した表面処理剤をバーコート塗布し、オーブンにて最高到達温度が100℃となるように焼付けて、表面処理鋼板サンプルを得た。各サンプルから試験片を採取して、下記試験より特性を評価した。試験結果を表4〜表9に示した。
[評価]
[耐食性]
試験片の端面をポリエステルテープで被覆し、塩水噴霧試験(SST)に供し、24時間ごとに試験片表面(表面処理皮膜形成面、以下同じ)の白錆発生面積比を目視判定し、白錆発生面積比−試験時間を累乗式にてフィッティングすることにより、5%白錆発生時間を算出した。
◎:72時間(AZ基材については240時間)で白錆5%未満
○:48時間(AZ基材については120時間)で白錆5%未満
△:24時間(AZ基材については72時間)で白錆5%未満
×:24時間(AZ基材については72時間)で白錆5%以上。
[耐結露白化性]
試験片表面にイオン交換水を1滴滴下し、滴下面側に別の試験片を皮膜同士が対向するように重ね合せて2枚の試験片で水を挟んだ状態とした。次いで、試験片をラッピングし、四隅をクリップで留め、50℃の乾燥機に72時間保管した後の水滴滴下部分の白化有無を目視評価した。
◎:変化なし
○:目視にて白化なし、つやびけ(光沢低下)が判定可能
×:目視にて白化とつやびけが判定可能。
[無塗油成形性]
回転台上に試験片を固定し、回転台を回転速度100mm・s−1で回転させ、試験片にピンオンディスクスライダ(f5工具鋼)を押付け荷重30Nで押し付け、発生する摩擦を測定するピンオンディスク試験に従って、無塗油の試験片の摩擦係数(0.1秒毎に測定した摩擦係数6個の測定平均)の極小値(動摩擦係数)および摩擦係数が0.20をはじめて超える周回数(焼付き発生摺動回数)にて評価した。なお、本評価は表3に示すワックス含有処理液のみで実施した。
○:動摩擦係数が0.16未満、かつ焼付き発生摺動回数が25回以上
×:動摩擦係数が0.16以上、もしくは焼付き発生摺動回数が25回未満。
[取扱い性]
パイル崩れを模擬するために、錘(錘1)を両面テープで固定した小鋼板(鋼板1)と台車上にボルトで固定した鋼板(鋼板2)との慣性系の模型を作成した。ワイヤー・滑車を介して台車と接続した錘(錘2)を落下することにより、慣性系に台車の衝突板衝突による一定の力積を印加し、摺動を発生させた。このときの鋼板1の摺動距離を測定し、以下の式1により摺動摩擦係数を計算し、取扱い性として評価した。
試験条件:表10に示す通り。
摺動摩擦係数μ:μ=m3×h/(m1+m2)×L ・・・ [式1]
式中、m1=(鋼板1+錘1)の重量 (g), m2=(鋼板2+台車)の重量 (g), m3=錘2の重量 (g), h=錘2の落下距離 (cm), L=摺動距離 (cm)
〇:摺動摩擦係数が0.85以上
×:摺動摩擦係数が0.85未満。
[上塗り密着性]
試験片の表面に、メラミンアルキド系塗料(登録商標:グリミン#500、神東塗料社製)を、焼付け乾燥後の膜厚が25±5μmになるように塗布し、120℃で30分間焼付けた。焼付け後の塗装試験片を沸水中に1時間浸漬し、直ちに碁盤目(10×10個、1mm間隔)のカットを入れて、ポリエステルテープにより塗膜を剥離し、塗膜の剥離面積率を測定して、次のように上塗り密着性(より正確には上塗り耐水二次密着性)を評価した。
○:塗膜剥離なし、塗膜残個数99%以上
△:塗膜残個数80%以上
×:塗膜残個数80%未満。
[液安定性]
調製直後の薬液(処理液)200mlを密閉容器に入れて40℃に保持し、固化(ゲル化)状況を一定時間毎に観察し、固化までの期間を評価するとともに、製造直後の薬液および室温で製造30日経過後の薬液を塗布した試験片の塩水噴霧試験(SST)5%白錆発生時間を比較し、耐食性が20%以上低下しているか否かにより、薬液安定性を評価した。
○:30日以上固化せず、性能劣化無し
△:7日以上固化せず、性能劣化無し
×:7日未満で固化または耐食性劣化。
Figure 0005220050
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[評価結果]
表4からわかるように、本発明に係る表面処理鋼板は樹脂(B)やシロキサン化合物(C)の種類に係わらず、良好な耐結露白化性と耐食性を示した。これに対して、本発明の表面処理鋼板に形成された皮膜に含有させてはいけない強電解質成分(A)を含有する比較例1〜14の表面処理鋼板は耐結露白化性が著しく低下した。
表5より、樹脂(B)、シロキサン化合物(C)、チタン化合物(D)、およびバナジウム化合物(E)のいずれか一つを含有しない比較例15〜18は、耐結露白化性、耐食性、上塗り塗装密着性、液安定性の少なくとも一つが実用範囲外であることがわかる。
表6からわかるように、前記シロキサン化合物(C)の含有量がSiO2換算で皮膜中質量比0.16〜0.20の範囲より少ない比較例19は耐食性が不芳であり、逆に前記範囲より多い比較例20は上塗り密着性と液安定性が不芳であった。チタン化合物(D)の含有量が、Ti換算で皮膜中質量比0.016〜0.025の範囲より少ない比較例21は耐食性が不芳であり、前記範囲より多い比較例22は耐結露白化性が低下し、かつ液安定性が不芳であった。バナジウム化合物(E)の含有量がV換算で皮膜中質量比0.006〜0.010の範囲より少ない比較例23は耐食性が不芳であり、前記範囲より多い比較例24は液安定性が不芳であった。
表7からわかるように、皮膜の付着量が本発明の範囲内であれば実用可能な性能が得られた。
この表面処理はGIだけでなく、GA・EGおよびAZにおいても効果的に性能を発揮することは表8からわかる。
一方、表9からわかるように、本発明の表面処理皮膜に、未修飾のワックスを含有させると、無塗油潤滑性は付与されるものの、取扱い性が不芳であった。しかし、本発明の好適態様に従って表面修飾したワックスを使用することにより、無塗油潤滑性と取扱い性が両立できた。
このように、本発明により、優れた耐結露白化性と耐食性、上塗り密着性を発揮し、課題であった無塗油潤滑性と取扱い性を両立する極めて優れた表面処理鋼板が実現可能となった。

Claims (6)

  1. 亜鉛系めっき鋼板の少なくとも片面のめっき表面に、樹脂(B)、シロキサン化合物(C)、チタン化合物(D)およびバナジウム化合物(E)を含有し、かつ下記強電解質成分(A)の合計含有量が0.3mg・m−2未満である皮膜を備え、該皮膜中における質量比で、シロキサン化合物(C)の量がSiO2換算で0.16〜0.20、チタン化合物(D)の量がTi換算で0.016〜0.025、バナジウム化合物(E)の量がV換算で0.006〜0.010、チタン化合物(D)とバナジウム化合物(E)の金属含有量比(D)/(E)が2.0〜3.0であり、かつ該皮膜の片面当たりの付着量が100〜3000mg・m-2の範囲内であることを特徴とする表面処理鋼板:
    (A):フッ化物イオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化物イオン、臭化物イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン、プロピオン酸イオン、およびスルホン酸イオン。
  2. 前記皮膜がケイ素化合物で表面修飾されたオレフィン系ワックス(F)をさらに含有しており、該ケイ素化合物の量はオレフィン系ワックスに対する質量比で0.005〜0.05であり、該オレフィン系ワックスの量は皮膜中質量比で0.030〜0.060であって、その平均粒径は0.05〜0.15μmの範囲内である、請求項1記載の表面処理鋼板。
  3. 前記樹脂(B)の50質量%以上がカチオン性ディスパージョン系樹脂から誘導されたものである、請求項1または2記載の表面処理鋼板。
  4. 前記樹脂(B)の50質量%以上がカチオン性ポリウレタン樹脂ディスパージョンから誘導され、前記シロキサン化合物(C)がシランカップリング剤から誘導され、前記チタン化合物(D)およびバナジウム化合物(E)がそれぞれアセチルアセトン錯体から誘導され、前記オレフィン系ワックス(F)がエポキシ基含有シランカップリング剤で表面修飾されているものである、請求項2記載の表面処理鋼板。
  5. 前記樹脂(B)がさらにカチオン性フェノール樹脂を含む請求項4記載の表面処理鋼板。
  6. 前記カチオン性ポリウレタン樹脂が下記一般式(1)で示される構造単位を含むポリカーボネート系の水分散性カチオン性ポリウレタン樹脂であり、前記カチオン性フェノール樹脂が下記一般式(2)で示される反復単位を有する平均重合度2〜50の重合体分子である、請求項4または5記載の表面処理鋼板。
    Figure 0005220050

    式中、Rは炭素数4〜9の脂肪族アルキレン基であり、nは数平均分子量が500〜5000の範囲となるのに相当する整数である。
    Figure 0005220050

    式中、Y1、およびY2は、それぞれ独立して水素または下記一般式(3)もしくは(4)で示されるZ基を表し、各ベンゼン環当たりのZ基の平均置換数は0.2〜1.0である。
    Figure 0005220050
    式(3)および(4)中、R1、R2、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表し、Aは水酸イオンまたは酸イオンを表す。
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