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JP5218224B2 - 内燃機関の診断装置 - Google Patents

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JP5218224B2
JP5218224B2 JP2009090240A JP2009090240A JP5218224B2 JP 5218224 B2 JP5218224 B2 JP 5218224B2 JP 2009090240 A JP2009090240 A JP 2009090240A JP 2009090240 A JP2009090240 A JP 2009090240A JP 5218224 B2 JP5218224 B2 JP 5218224B2
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Description

本発明は、内燃機関の診断装置に関する。
内燃機関によって駆動される車両の燃費は、車両の使用条件、運転者の運転の仕方、車両の状態などに大きく影響される。例えば特開2006−70704号公報などに開示されている従来の燃費の計算方法は、これら全ての要因が関係した総合的な燃費を計算するための方法である。このため、内燃機関そのものの燃費特性を精度良く診断することができないという問題がある。
特開平11−324782号公報 特開2006−70704号公報 特開2005−9467号公報
内燃機関の燃費診断を精度良く行うための方法としては、機関トルクおよび機関回転数と燃料消費量との関係を学習することによって燃料消費マップを作成し、車両が所定の規準走行モードで走行した場合の燃費を上記燃料消費マップを用いて推計することが考えられる。このような方法によれば、車両の使用条件、運転者の運転の仕方、車両の状態などに左右されることなく、内燃機関の燃費診断を行うことができる。
上記のような手法によって燃費診断を高精度に行うためには、燃料消費マップの学習を精度良く行うことが鍵となる。内燃機関の運転状態が定常状態にある場合には、燃料消費マップを精度良く学習することができる。しかしながら、実際の車両の稼動状況においては、機関運転状態が定常状態にあることは少ない。このため、燃料消費マップを学習する機会を定常状態に限定してしまうと、学習の機会が少なくなってしまう。それゆえ、燃料消費マップを精度良く学習することは困難である。
一方、内燃機関の運転状態が過渡状態にある場合にも燃料消費マップの学習を行うようにすると、次のような問題がある。燃料インジェクタから噴射された燃料は、一部がそのまま気化して筒内に流入し、残りは壁面に付着する。壁面に付着している燃料は、徐々に気化して、筒内に流入する。定常状態においては、壁面付着燃料の量が平衡を保つと考えられる。よって、燃料噴射量は、そのサイクルでの燃料消費量に等しいとみなすことができる。しかしながら、過渡状態においては、壁面付着燃料の量は一定ではないと考えられる。よって、燃料噴射量は、そのサイクルでの燃料消費量とは一致しない。このため、過渡状態においては、燃料消費マップの学習を精度良く行うことができないという問題がある。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、燃料消費マップを精度良く学習することのできる機会を増やすことにより、燃費診断をより高精度に行うことを可能とする内燃機関の診断装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の診断装置であって、
内燃機関のトルクおよび回転数を検出する検出手段と、
前記内燃機関のトルクおよび回転数に燃料消費量を関連付けた燃料消費マップを記憶する燃料消費マップ記憶手段と、
前記内燃機関の燃料噴射量と、前記検出手段により検出された機関トルクおよび機関回転数とに基づく燃料消費データを用いて、前記燃料消費マップの該当する点の燃料消費量の値を更新する燃料消費マップ学習手段と、
を備え、
前記燃料消費マップ学習手段は、
燃料インジェクタから噴射された後の燃料の挙動をモデル化した燃料挙動モデルを用いて、壁面に付着している燃料の量を算出する壁面付着量算出手段と、
前記壁面付着量算出手段により算出された壁面付着燃料量の変化に基づいて、前記内燃機関が過渡状態にあるか否かを判定する過渡判定手段と、
前記過渡判定手段により前記内燃機関が過渡状態にあると判定された場合には、得られた燃料消費データを過渡状態データとして記憶する過渡状態データ記憶手段と、
機関トルクおよび機関回転数を同じくする過渡状態データが所定の必要個数だけ集まった場合に、それらの過渡状態データを平均化処理して得られる値に基づいて、前記燃料消費マップの該当する点の燃料消費量の値を更新する更新手段と、
を含むことを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記燃料消費マップの学習に要求される学習速度または学習精度に応じて、前記過渡判定手段の判定閾値と、前記必要個数との少なくとも一方を可変とする可変手段を備える。
第1の発明によれば、過渡状態においても、燃料消費マップの学習を精度良く行うことができる。このため、燃料消費マップの学習を実行することのできる機会を格段に増やすことができる。よって、燃費診断をより高精度に行うことができる。
第2の発明によれば、燃料消費マップを学習するに際して、状況に応じた適切な学習速度や学習精度を実現することができる。
本発明の実施の形態としての診断装置の構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態にかかる診断用走行パターンの一例を示すグラフである。 本発明の実施の形態にかかる駆動系モデルの概念図である。 本発明の実施の形態において実施される燃費診断の手順を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態において実施される燃費計算の手順の流れを示すフローチャートである。 トルコン式自動変速機を備えた車両に本発明を適用する場合の燃費計算の手順の一部を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態において実施される燃料消費マップの学習手順を示すフローチャートである。 燃料挙動モデルを説明するための図である。 本発明の変形例を説明するための図である。 本発明の変形例を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。本実施形態における車両は、内燃機関(以下、単にエンジンという)によって駆動され、駆動系に手動変速機あるいは電磁クラッチ式の自動変速機を有する車両である。エンジンの種類に限定はない。本実施形態の診断装置は、このような車両に備えられる制御装置(ECU)の一機能として実現される。図1は、車両の制御装置が診断装置として機能した場合の構成を示すブロック図である。図1に示す構成は、制御装置のメモリに格納されたプログラムに従い制御装置のCPUが動作することで仮想的に実現される構成である。
図1に示すように、診断装置は5つの要素2,4,6,8,10から構成されている。診断装置を構成する要素の一つが、診断用の走行モードデータを記憶した走行モードデータ記憶部2である。走行モードデータは診断用の走行パターンを車速で定義したものであって、グラフで表すと図2のようになる。走行パターンの具体例としては、10・15モードや米国LA4モードで規定された走行パターンを挙げることができる。走行モードデータ記憶部2に記憶されている走行モードデータは外部からの書き換えが可能になっている。
診断装置の構成要素には燃費計算部4が含まれる。燃費計算部4は燃費モデルを用いて車両の燃費を計算する。燃費モデルは走行モードデータから燃費を計算するための計算モデルである。以下、燃費モデルで算出される燃費X[km/l]をモード燃費という。燃費モデルは駆動系モデルと燃料消費マップとから構成されている。図3は駆動系モデルの概念図である。この図に示すように、駆動系モデルはエンジンからタイヤまでのトルク及び回転の伝達特性をモデル化したものである。この駆動系モデルを逆方向から計算することで、走行モードデータからエンジン回転数NeおよびエンジントルクTeを逆算することができる。燃料消費マップには、エンジン回転数Ne[rpm]およびエンジントルクTe[Nm]に燃料消費量q[g/s]が関連付けられている。駆動系モデルおよび燃料消費マップを用いたモード燃費Xの計算方法については追って詳細に説明する。
診断装置はその構成要素として燃費OBD(On-Board Diagnostic)部6を備えている。燃費OBD部6は、燃費モデルを用いて計算されたモード燃費によって燃費診断を行う。そして、燃費診断の結果に基づき、図示しない車室内の警告ランプを用いて運転者あるいは使用者への警告を行う。診断装置による燃費診断の詳しい流れについては後述する。
また、診断装置の構成要素には燃料消費マップ学習部8が含まれる。燃料消費マップ学習部8は、内燃機関の実際の制御結果に基づいてエンジン回転数NeおよびエンジントルクTeと燃料消費量qとの関係を学習し、その学習結果に基づいて、燃料消費マップを更新する。燃料消費マップ学習部8による学習が行われるのは、エンジンが通常の制御状態にある場合に限られる。通常の制御状態とは、冷間始動時の触媒暖機運転や触媒再生のためのリッチスパイクといった特別な制御が行われていない状態を意味する。学習に用いられる情報は、エンジン回転数Neに関してはクランク角センサによって計測される実際値であり、燃料消費量qに関しては燃料噴射量に基づいて算出される値である。エンジントルクTeに関しては、トルクセンサを備えるエンジンであれば、トルクセンサによって計測される実際値を用いることができる。トルクセンサを備えていないエンジンでは、筒内圧センサ(CPS)が何れかの気筒に備えられていれば、筒内圧に基づいて計算される推定トルクを用いることができる。また、トルクセンサも筒内圧センサも備えていないエンジンでは、吸入空気量、点火時期および空燃比に基づいて計算した推定トルクを用いるか、あるいは、アクセル操作量等から計算される要求トルクを用いることができる。上述したような燃料消費マップの学習の詳細については、後に説明する。
さらに、診断装置はその構成要素としてモデルデータ入力部10を備えている。駆動系モデルを構成する各種のデータ、具体的には車重やタイヤ径等の車両諸元、転がり摩擦係数等の各種の損失係数、変速機の変速パターン等のデータは、このモデルデータ入力部10から入力することができる。例えば、タイヤ交換によってタイヤ径や転がり摩擦係数が変化した場合には、駆動系モデルのデータも書き換えることで、駆動系モデルを実車に合わせた最新のものに更新することができる。
次に、本実施形態の診断装置による燃費診断の手順について図4のフローチャートを用いて説明する。図4に示すように、燃費診断の最初のステップS2では、燃費計算部4により燃費モデルを用いたモード燃費Xの計算が行われる。このステップの処理は比較的長い所定の周期で、あるいは、エンジン始動時等の所定のタイミングで実行される。燃費モデルによる具体的な燃費計算の手順については後述する。
次のステップS4では、燃費OBD部6による判定が行なわれる。燃費OBD部6は、燃費計算部4で算出されたモード燃費Xに関して、次の関係が成り立つかどうか判定する。Xiniは基準値であって、カタログ値や新車時の計測値が用いられる。aは1よりも小さい値の係数である。aの値は、少なくとも以下の関係が成り立っている間は、車両そのものに燃費上の問題はないと判断できるような値に設定されている。
X>a・Xini
上記の関係が成り立っている間は、ステップS2の処理とステップS4の判定とが繰り返し行われる。
上記の関係が成り立たなくなった場合、すなわち、モード燃費Xが許容値を超えて悪化した場合には、燃費OBD部6によってステップS6の処理が実行される。燃費OBD部6は、車室内、例えば、インパネ上の警告ランプを点灯あるいは点滅させることにより運転者に対して警告を発する。
次に説明するように、燃費モデルを用いて算出されるモード燃費は、車両そのものの状態によって決まる燃費であり、車両の使用状態や運転者の運転状態の影響を受けていない公平な燃費の評価指標である。したがって、モード燃費が悪化したということは、車両に何らかの問題が生じている可能性がある。本実施形態の診断装置によれば、燃費診断の結果、モード燃費が悪化していることが判明したときには警告が発せられるので、運転者に対して車両の点検・整備を促すことができる。
図5は、ステップS2において燃費計算部4により実行される燃費計算の手順を示すフローチャートである。図5に示すように、ステップS2の処理はステップS202からステップS214までの処理によって成り立っている。前述のように燃費モデルは駆動系モデルと燃料消費マップとから構成されているが、ステップS202からステップS210までの処理が駆動系モデルによる演算であり、燃料消費マップはステップS212の処理に用いられる。
燃費計算の最初のステップS202では、走行モードデータ記憶部2から燃費計算部4に走行モードデータが読み込まれる。燃費計算部4は走行モードデータから車速V[m/s]を取得し、車速Vから加速度α[m/s]を算出する。詳しくは、走行モードデータで規定される走行パターンの開始から終了まで所定の時間間隔(例えば1秒間隔)で車速Vを取得する。そして、取得した車速Vから前記の時間間隔で加速度α[m/s]を算出する。
次のステップS204では、燃費計算部4は車速Vおよび加速度αに基づいて走行抵抗Rall[N]を算出する。走行抵抗Rallは以下の式に示すように空気抵抗Rairと転がり抵抗Rrollの和として算出することができる。
all=Rair+Rroll
各抵抗値Rair,Rrollは、予め実験により作成したマップによって、あるいは物理式を用いて、算出される。それらマップや物理式は駆動系モデルの一部を構成している。また、計算に用いられる係数や定数のうち、車重やタイヤの転がり摩擦係数といった車両の状態によって変化しうるものについては、モデルデータ入力部10を介して書き換えることができる。
次のステップS206では、燃費計算部4は以下の式によって車速Vからタイヤ回転数Na[rpm]を算出し、また、走行抵抗RallからタイヤトルクTa[Nm]を算出する。ここでRはタイヤの有効半径であって、これもモデルデータ入力部10を介して書き換えることができる。
Na=V/(2・π・R)
Ta=Rall・R
次のステップS208では、燃費計算部4は以下の式によってタイヤ回転数Naからプロペラシャフト回転数Np[rpm]を算出し、また、タイヤトルクTaからプロペラシャフトトルクTp[Nm]を算出する。ここでiはデファレンシャルギア比であり、ΔTはD/Fにおけるトルク損失である。ΔTの値は物理式、あるいは、予め実験によって作成したマップによって算出される。
Np=Na・i
Tp=Ta/i+ΔT
次のステップS210では、燃費計算部4は以下の式によってプロペラシャフト回転数Npからエンジン回転数Ne[rpm]を算出し、また、プロペラシャフトトルクTpからエンジントルクTe[Nm]を算出する。ここでiはトランスミッション(T/M)のギヤ比であり、Iはエンジン慣性モーメントである。本実施形態ではトランスミッションは手動である。ギヤ比iの値は予め設定された変速パターンに従い決定される。この変速パターンは、トランスミッションが電磁クラッチ式の自動変速機であれば、その制御に使用されている変速パターンであり、トランスミッションが手動変速機であれば、燃費上最適と考えられる仮想の変速パターンである。変速パターンも駆動系モデルの一部を構成している。ΔTはT/Mにおけるトルク損失で、ΔTはエンジンにおけるトルク損失である。ΔT,ΔTの各値は物理式、あるいは、予め実験によって作成したマップによって算出される。
Ne=Np・i
Te=Tp/i+ΔT+ΔT+I・i・i・α/R
ステップS202からステップS210までの処理により、走行モードデータによって規定される走行パターンで車両を走行させた場合のエンジントルクTeおよびエンジン回転数Neがそれぞれ所定の時間間隔で算出される。次のステップS212では、燃費計算部2はステップS210の計算結果を燃料消費マップに当てはめ、走行モードデータで規定される走行パターンの開始から終了までの所定時間間隔毎(ここでは1秒毎)の燃料消費量q[g/s]を算出する。
最後のステップS214では、燃費計算部2は、以下の式に示すように車速Vの時間積分値と燃料消費量qの時間積分値とを用いてモード燃費Xを算出する。各時間積分の積分区間は走行モードデータで規定される走行パターンの開始時点から終了時点までである。下式におけるρは燃料密度である。
X=ρ・∫Vdt/∫qdt×10
上述のように、本実施形態の診断装置は、診断用の走行パターンで車両を走行させた場合のエンジントルクおよびエンジン回転数の変化を駆動系モデルによって計算し、その計算結果と燃料消費マップとを用いて車両のモード燃費を計算する。本実施形態の診断装置によって算出されるモード燃費は、駆動系モデルで定義された所定条件の下で診断用の走行パターンで車両を走行させた場合の燃費であるので、車両の使用条件や運転者の運転状態の影響を受けることはない。しかも、燃料消費マップのデータは燃料消費マップ学習部8によってエンジンの実際の制御結果に基づいて更新されることから、車両そのものの状態、特に、エンジンの状態はモード燃費の計算結果に着実に反映されている。
ところで、本発明は、トルコン式の自動変速機を備えた車両にも適用することができる。その場合、図5のフローチャートにおけるステップS210の処理を図6のフローチャートに示すステップS220,S222,S224およびS226の処理に置き換えればよい。
図6のフローチャートについて説明する。ステップS220では、プロペラシャフト回転数NpおよびプロペラシャフトトルクTpに基づいてトルコン回転数NcおよびトルコントルクTcが算出される。この計算にはトルコンの伝達特性を物理式、実験式あるいはマップなどによってモデル化したトルコンモデルが用いられる。ステップS222では、トルコン回転数NcおよびトルコントルクTcからエンジン回転数NeおよびエンジントルクTeが算出される。
トルコン回転数NcおよびトルコントルクTcの計算にはトランスミッションのギヤ比iが必要となるが、その決定はシフトポジションにしたがって行われる。シフトポジションの選択はステップS226で行われる。ステップS226では、ステップS224で算出されるスロットル開度θにしたがってシフト線図よりシフトポジションが選択される。ステップS224では、ステップS222で算出されたエンジン回転数NeおよびエンジントルクTeに基づき、予め用意されたマップからスロットル開度θが決定される。
次に、燃料消費マップ学習部8によって行われる燃料消費マップの学習について、より詳しく説明する。図7は、燃料消費マップを学習する際に実行されるルーチンのフローチャートである。本ルーチンによれば、まず、学習が要求されているか否かが判別される(ステップ100)。学習が要求されている場合には、次に、現在のエンジン回転数Ne、エンジントルクTeおよび燃料噴射量fiのデータが取得される(ステップ102)。なお、エンジントルクTeの検出方法は、前述した通りである。続いて、燃料挙動モデルを用いて、筒内流入燃料量fcおよび壁面付着燃料変化量Δfwの値が算出される(ステップ104)。このステップ104の処理について、図8を参照して説明する。
図8は、燃料挙動モデルを説明するための図である。1回のエンジンサイクルにおいて燃料インジェクタから噴射された燃料は、その一部が気化してそのまま筒内に流入し、その他は壁面に付着すると考えられる。また、1回のエンジンサイクルにおいて、壁面に付着している燃料のうちの一部は気化して筒内に流入し、その他は次のサイクルまで壁面に付着したまま残ると考えられる。燃料挙動モデルにおいては、図8に示すように、壁面に付着している燃料の量をfwとし、壁面に付着している燃料のうちで次のサイクルまで壁面に付着したまま残る割合を残留率Pとし、燃料インジェクタから噴射された燃料のうち壁面に付着する割合を付着率Rとし、筒内に流入する燃料の量をfcとする。
上記の定義によれば、壁面付着量fwのうちで、気化して筒内に流入する量は、(1−P)*fwで表される。また、燃料噴射量fiのうちで、気化して筒内に流入する量は、(1−R)*fiで表される。これらの和が筒内流入燃料量fcに相当する。この筒内流入燃料量fcが、実際に筒内に流入して燃焼する燃料の量であると言える。サイクルカウンタをkとすると、kサイクル目における筒内流入燃料量fc(k)は、次式で表される。
fc(k)=(1−Pk)*fw(k)+(1−Rk)*fi(k)
一方、壁面付着量fw(k)のうちで、次のサイクルまで壁面に付着したまま残る量は、Pk*fw(k)で表される。また、燃料噴射量fi(k)のうちで、壁面に付着する量は、Rk*fi(k)で表される。従って、次のサイクル、つまり(k+1)サイクル目における壁面付着量fw(k+1)は、次式で表される。
fw(k+1)=Pk*fw(k)+Rk*fi(k)
kサイクル目の壁面付着量fw(k)は、上記式を利用して、次のように表すことができる。
fw(k)=Pk-1*fw(k−1)+Rk-1*fi(k−1)
壁面付着燃料変化量Δfw(k)は、壁面付着量fwの変化を表す値であり、次式で計算することができる。
Δfw(k)=fw(k+1)−fw(k)
このような燃料挙動モデルによれば、上述した式の計算をサイクル毎に行うことにより、筒内流入燃料量fcおよび壁面付着燃料変化量Δfwの値を算出することができる。なお、残留率Pおよび付着率Rは、エンジンの運転状態によって変化する。よって、残留率Pおよび付着率Rとエンジン運転状態との関係を予め調べて作成したマップを用意しておくことにより、サイクル毎の残留率Pkおよび付着率Rkの値をエンジン運転状態に基づいて算出することができる。
実際に筒内に流入して燃焼し、エンジントルクTeを発生させる燃料の量は、燃料噴射量fiではなく、筒内流入燃料量fcである。そこで、本実施形態では、燃料噴射量fiではなく、筒内流入燃料量fcを燃料消費データとして用いて、燃料消費マップの燃料消費量qを算出することとした。これにより、燃料消費マップをより高精度に学習することができる。
エンジンが定常状態にある場合には、壁面付着燃料から気化して筒内に流入する燃料量と、燃料インジェクタから噴射された燃料から壁面付着燃料に加わる量とが平衡する結果、壁面付着量fwは一定に保たれる。従って、燃料噴射量fiと筒内流入燃料量fcとは等しくなる。このような場合に得られる燃料消費データは精度が高く、ばらつきが小さいと考えられる。
これに対し、壁面付着量fwが変化しているときには、燃料噴射量fiと筒内流入燃料量fcとが等しくならない。このような場合に得られる燃料消費データは、ばらつきが比較的大きくなると考えられる。
そこで、本実施形態では、壁面付着量fwの変化に着目して、エンジンが定常状態(準定常状態を含む。以下同じ。)にあるか、過渡状態にあるかを判定することとした。エンジンが定常状態にあると判定された場合に得られた燃料消費データは精度が高く、ばらつきが小さいと判断できるので、その燃料消費データをそのまま用いて燃料消費マップを更新することとした。これに対し、エンジンが過渡状態にあると判定された場合に得られた燃料消費データは、ばらつきが比較的大きいと判断できる。このため、この場合には、ばらつきの影響を排除するため、同一の運転状態(エンジン回転数NeおよびエンジントルクTeが同じ)での複数の燃料消費データを集めて、それらの燃料消費データを平均化処理した値を用いて、燃料消費マップを更新することとした。
具体的には、まず、上記ステップ104の処理で算出された壁面付着燃料変化量Δfwの絶対値が所定の閾値Fwthより小さいか否かが判別される(ステップ106)。壁面付着燃料変化量Δfwの絶対値が閾値Fwthより小さい場合には、壁面付着量fwの変化は小さいので、定常状態であると判定される。定常状態であると判定された場合には、上記ステップ104で算出された筒内流入燃料量fcに基づいて、燃料消費マップが更新される(ステップ108)。すなわち、上記ステップ104で算出された筒内流入燃料量fcが燃料消費量qに換算され、燃料消費マップの、上記ステップ102で取得されたエンジン回転数NeおよびエンジントルクTeに該当する点の燃料消費量qの値が、上記の換算で求められた値に更新される。
これに対し、上記ステップ106で、壁面付着燃料変化量Δfwの絶対値が閾値Fwth以上であった場合には、壁面付着量fwの変化は大きいので、過渡状態であると判定される。この場合には、上記ステップ104で算出された筒内流入燃料量fcの値が、過渡状態での燃料消費データとして燃料消費候補マップに保存される(ステップ110)。次に、燃料消費候補マップに、今回の燃料消費データと同じエンジン回転数NeおよびエンジントルクTeの下で得られた燃料消費データ(以下「同一運転状態の燃料消費データ」と称する)が所定の必要個数(以下、N個とする)だけ蓄積されているか否かが判定される(ステップ112)。
上記ステップ112で、同一運転状態の燃料消費データの個数がN個に満たない場合には、本ルーチンの処理がここで終了される。一方、上記ステップ112で、同一運転状態の燃料消費データがN個蓄積している場合には、それらのデータを平均化処理することによって燃料消費量qが算出される(ステップ114)。そして、燃料消費マップの、該当する点の燃料消費量qの値が、ステップ114の平均化処理によって算出された燃料消費量qの値に更新される(ステップ116)。その後、燃料消費候補マップの該当する点の燃料消費データは、クリアされる(ステップ118)。
以上説明した図7に示すルーチンの処理によれば、エンジン回転数Neの変化やエンジントルクTeの変化に基づいて過渡判定を行うのではなく、壁面付着燃料量の変化に基づいて過渡判定を行うことにより、燃料インジェクタから噴射された燃料の挙動が定常状態にあるか過渡状態にあるかを正確に判定することができる。このため、燃料消費マップの学習を行う上で、適切な過渡判定を行うことができる。また、過渡状態であると判定された場合には、同一運転状態の複数の燃料消費データを平均化処理することによって燃料消費マップの燃料消費量qの値を更新することができる。このため、過渡状態において生ずる燃料消費データのばらつきの影響を排除することができるので、過渡状態においても燃料消費マップの学習を高精度に行うことができる。よって、燃料消費マップを精度良く学習することのできる機会を格段に増やすことができるので、燃費診断精度を向上することができる。
なお、本実施形態では、燃料消費マップの学習に要求される学習速度または学習精度に応じて、上記ステップ106の過渡判定の閾値Fwthの値や、平均化処理の必要個数Nの値を変更するようにしてもよい。この場合の例について、図9および図10を参照して説明する。
図9および図10に示す例では、要求される学習速度や学習精度の違いに応じて、オプションA〜Cが用意されている。オプションAは、デフォルト状態、あるいは学習速度をアップすることが要求されている場合に選択される。オプションAが選択された場合には、図10に示すように、過渡判定閾値Fwthの値が比較的大きい値に設定される。これにより、上記ステップ106で定常状態であると判定される場合が増える。つまり、燃料消費データの平均化処理を経ずに燃料消費マップが更新される場合が増えるので、更新速度が速くなる。このため、学習速度をアップすることができる。
オプションBは、エンジンが経年劣化した場合、あるいはエンジンに異常が認められた場合に選択される。オプションBが選択された場合には、図10に示すように、過渡判定閾値Fwthの値が比較的小さい値に設定される。これにより、上記ステップ106で過渡状態であると判定される場合が増えるので、燃料消費データの平均化処理を経てから燃料消費マップが更新される場合が増える。このため、学習精度を向上することができ、経年劣化やエンジン異常に適切に対応することができる。
オプションCは、学習速度のアップと学習精度の向上とが共に要求される場合に選択される。オプションCが選択された場合には、図10に示すように、過渡状態のレベルが複数段階に分けられ、各段階で燃料消費データ必要個数Nの値が変更される。すなわち、定常状態から遠い場合(壁面付着燃料量の変化が大きい場合)ほど必要個数Nの値が大きくされ、定常状態に近い場合ほど必要個数Nの値が小さくされる。これにより、定常状態から遠く、燃料消費データのばらつきが大きいと考えられる場合には、平均化処理の母数を増やすことができるので、学習精度を確保することができる。また、定常状態に近く、燃料消費データのばらつきが小さいと考えられる場合には、平均化処理の母数を減らすことができるので、学習速度を速くすることができる。このようなことから、学習速度のアップと学習精度の向上とを両立することができる。
上記のようなオプションの数や、オプションCにおける過渡状態レベルの数は、一例であり、如何なる個数であってもよい。また、本実施形態では、過渡状態の場合に得られた燃料消費データは、学習値として燃料消費マップに反映されるまでに、一時的にECUの燃料消費候補マップに蓄積される。このため、メモリ使用量が大きくなる場合がある。メモリ容量の制限から、全運転状態での燃料消費データを記憶することが困難な場合には、次のようなメモリ使用量削減策を行うようにしてもよい。
(1)経年劣化が小さい場合(例えば、走行距離が所定距離以下の場合)には、平均化処理の必要個数Nを小さくする(例えば、N/2とする)。
(2)経年劣化が大きい場合(例えば、走行距離が所定距離以上の場合)には、顕著な過渡状態(壁面付着燃料量の変化が大きい状態)における燃料消費データは、学習の候補データとして扱わない。
また、本発明では、燃料消費マップの学習速度がより速くなるようにするため、壁面付着燃料量ができるだけ早く平衡状態となるように、エンジンのスロットル開度等を操作するようにしてもよい。
上述した実施の形態1においては、上記ステップ102の処理を実行することにより前記第1の発明における「検出手段」が、図8に示すルーチンの処理を実行することにより前記第1の発明における「燃料消費マップ学習手段」が、上記ステップ104の処理を実行することにより前記第1の発明における「壁面付着量算出手段」が、上記ステップ106の処理を実行することにより前記第1の発明における「過渡判定手段」が、上記ステップ110の処理を実行することにより前記第1の発明における「過渡状態データ記憶手段」が、上記ステップ112〜116の処理を実行することにより前記第1の発明における「更新手段」が、それぞれ実現されている。
2 走行モードデータ記憶部
4 燃費計算部
6 燃費OBD部
8 燃料消費マップ学習部
10 モデルデータ入力部

Claims (2)

  1. 内燃機関のトルクおよび回転数を検出する検出手段と、
    前記内燃機関のトルクおよび回転数に燃料消費量を関連付けた燃料消費マップを記憶する燃料消費マップ記憶手段と、
    前記内燃機関の燃料噴射量と、前記検出手段により検出された機関トルクおよび機関回転数とに基づく燃料消費データを用いて、前記燃料消費マップの該当する点の燃料消費量の値を更新する燃料消費マップ学習手段と、
    を備え、
    前記燃料消費マップ学習手段は、
    燃料インジェクタから噴射された後の燃料の挙動をモデル化した燃料挙動モデルを用いて、壁面に付着している燃料の量を算出する壁面付着量算出手段と、
    前記壁面付着量算出手段により算出された壁面付着燃料量の変化に基づいて、前記内燃機関が過渡状態にあるか否かを判定する過渡判定手段と、
    前記過渡判定手段により前記内燃機関が過渡状態にあると判定された場合には、得られた燃料消費データを過渡状態データとして記憶する過渡状態データ記憶手段と、
    機関トルクおよび機関回転数を同じくする過渡状態データが所定の必要個数だけ集まった場合に、それらの過渡状態データを平均化処理して得られる値に基づいて、前記燃料消費マップの該当する点の燃料消費量の値を更新する更新手段と、
    を含むことを特徴とする内燃機関の診断装置。
  2. 前記燃料消費マップの学習に要求される学習速度または学習精度に応じて、前記過渡判定手段の判定閾値と、前記必要個数との少なくとも一方を可変とする可変手段を備えることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の診断装置。
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