(実施の形態1)
本実施の形態では、薄膜回路として、薄膜トランジスタを有する回路を形成する場合の集積回路装置の作製方法について説明する。
まず、図1(A)に示すように、基板100上に剥離層101を形成する。剥離層101として、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる層を、単層又は積層して形成する。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。
基板100としては、石英基板、半導体基板、ガラス基板、金属基板などを用いればよい。
剥離層101が単層構造の場合、好ましくは、タングステン、モリブデン、タングステンとモリブデンの混合物、タングステンの酸化物、タングステンの酸化窒化物、タングステンの窒化酸化物、モリブデンの酸化物、モリブデンの酸化窒化物、モリブデンの窒化酸化物、タングステンとモリブデンの混合物の酸化物、タングステンとモリブデンの混合物の酸化窒化物、タングステンとモリブデンの混合物の窒化酸化物のいずれかを含む層を形成する。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。
剥離層101が積層構造の場合、好ましくは、1層目として、タングステン、モリブデン、タングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タングステンの酸化物、モリブデンの酸化物、タングステンとモリブデンの混合物の酸化物、タングステンの酸化窒化物、モリブデンの酸化窒化物、タングステンとモリブデンの混合物の酸化窒化物を形成する。
このように、剥離層101を積層構造とする場合、金属膜と金属酸化膜との積層構造とすることが好ましい。金属酸化膜の形成方法の一例としては、スパッタ法により直接金属酸化膜を形成する方法、基板100上に形成した金属膜の表面を熱処理または酸素雰囲気下でのプラズマ処理により当該金属膜の表面を酸化して金属酸化膜を形成する方法などが挙げられるが、好ましくは、金属膜の表面に酸素を含む雰囲気下で高密度プラズマ処理を行うことによって、金属膜の表面に金属酸化膜を形成するとよい。例えば、金属膜としてスパッタ法により形成したタングステン膜を設けた場合、タングステン膜に高密度プラズマ処理を行うことによって、タングステン膜表面にタングステンの酸化物からなる金属酸化膜を形成することができる。
金属膜としては、前述したタングステン(W)、モリブデン(Mo)以外に、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)から選択された元素または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる膜を用いることができる。
本明細書において「高密度プラズマ処理」とは、プラズマの電子密度が1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度が0.5eV以上1.5eV以下であることを特徴としている。プラズマの電子密度が高密度でありながら、基板上に形成された被処理物(ここでは、「金属膜」に相当する。)付近での電子温度が低いため、基板に対するプラズマ損傷を防止することができる。また、プラズマの電子密度が1×1011cm−3以上と高密度であるため、酸化処理によって形成される酸化物の膜厚均一性に優れ、且つ緻密な膜を形成することができる。また、プラズマの電子温度が1.5eV以下と低いため、通常のプラズマ処理や熱酸化法と比較して低温度にて酸化処理を行うことができる。たとえば、ガラス基板の歪点温度よりも100度以上低い温度(代表的には、250〜550℃)でプラズマ処理を行っても十分にプラズマ酸化処理を行うことができる。なお、プラズマを形成するための周波数はマイクロ波(2.45GHz)を用いている。また、プラズマの電位は5V以下と低電位であり、原料分子の過剰解離を抑制することができる。
酸素を含む雰囲気としては、酸素(O2)もしくは一酸化二窒素(N2O)と、希ガスとの混合ガス、または、酸素(O2)もしくは一酸化二窒素(N2O)と、希ガスと、水素(H2)との混合ガスを用いることができる。希ガスとしては、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)が挙げられる。また、混合ガス中の各ガスの圧力比は、適宜決定すればよい。このような条件下で形成される金属酸化膜は、希ガス元素を含む膜となる。また、プラズマの条件が低電子温度(1.5eV以下)でかつ高電子密度(1.0×1011cm−3以上)であるため、プラズマダメージが非常に少ない金属酸化膜を低温で形成することができる。
なお、剥離層101を形成する前に、基板100上に酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜などの絶縁膜を形成し、当該絶縁膜上に剥離層101を形成するようにしてもよい。基板100と剥離層101との間にこのような絶縁膜を設けることにより、基板100が含む不純物が上層に侵入してしまうことを防止することができる。また、後にレーザーを照射する工程があるが、その工程の際、基板100がエッチングされてしまうことを防止することができる。なお、ここで、酸化窒化珪素膜と、窒化酸化珪素膜とでは、前者は窒素よりも酸素を多く含み、後者は酸素よりも窒素を多く含むという意味で使い分けている。
次に、図1(B)に示すように、剥離層101に接するように第1の絶縁膜102を形成する。第1の絶縁膜102は下地膜として機能する膜である。第1の絶縁膜102として、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、珪素の酸化物、珪素の窒化物、窒素を含む珪素の酸化物、酸素を含む珪素の窒化物等を形成する。
図1(C)に示すように、第1の絶縁膜102上に公知の方法で薄膜トランジスタを有する回路103を含む層104を形成する。薄膜トランジスタを有する回路103を含む層104として例えば、複数の薄膜トランジスタと、複数の薄膜トランジスタを覆う第2の絶縁膜110と、第2の絶縁膜110に接し複数の薄膜トランジスタのソース領域又はドレイン領域に接続するソース配線またはドレイン配線111とを形成する。薄膜トランジスタは、島状の半導体膜107、ゲート絶縁膜108、サイドウォールが形成されたゲート電極109などを有する。図1(C)においては、薄膜トランジスタを有する回路103として、Nチャネル型の薄膜トランジスタ105及びPチャネル型の薄膜トランジスタ106とを有する構成の回路を例として示したが、特にこのような回路の構造に限定するものではない。また、図1(C)においては、Nチャネル型の薄膜トランジスタ105として、ゲート電極にサイドウォールが形成され、LDD領域(低濃度不純物領域)を有するトップゲート型の薄膜トランジスタを形成し、Pチャネル型の薄膜トランジスタ106として、ゲート電極にサイドウォールが形成されたトップゲート型の薄膜トランジスタを形成した例を示しているが、薄膜トランジスタの構造はこの構造に限定されるものではない。LDD領域(低濃度不純物領域)を有しない構造の薄膜トランジスタや、ボトムゲート型の薄膜トランジスタ、シリサイド領域を有する薄膜トランジスタなど、公知の薄膜トランジスタの構造を適用することができる。
以下、薄膜トランジスタを有する回路103を含む層104の形成方法についての一例を詳細に説明する。
まず、第1の絶縁膜102上に非晶質半導体膜を形成する。非晶質半導体膜は、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD法により形成する。続いて、非晶質半導体膜を結晶化して、結晶質半導体膜を形成する。結晶化の方法としては、レーザー結晶化法、RTAまたはファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とレーザー結晶化法を組み合わせた方法等を用いることができる。その後、得られた結晶質半導体膜を所望の形状にパターニングして、島状の半導体膜107を形成する。なお、剥離層101、第1の絶縁膜102、及び非晶質半導体膜は、大気に曝さずに連続して形成することもできる。
結晶質半導体膜の作製工程の一例を以下に簡単に説明する。非晶質半導体膜を結晶化する方法としては、レーザー結晶化法、RTAまたはファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とレーザー結晶化法とを組み合わせた方法等が挙げられる。また、他の結晶化の方法として、DCバイアスを印加して熱プラズマを発生させ、当該熱プラズマを半導体膜に作用させることにより結晶化を行ってもよい。
レーザー結晶化法を用いる場合、連続発振型のレーザービーム(CWレーザービーム)やパルス発振型のレーザービーム(パルスレーザービーム)を用いることができる。使用可能なレーザービームとしては、Arレーザー、Krレーザー、エキシマレーザーなどの気体レーザー、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、もしくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種もしくは複数種添加されているものを媒質とするレーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Ti:サファイアレーザー、銅蒸気レーザー、金蒸気レーザーのうち、一種または複数種から発振されるものを用いることができる。このようなレーザービームの基本波、及びこれらの基本波の第2高調波から第4高調波のレーザービームを照射することで、大粒径の結晶を得ることができる。例えば、Nd:YVO4レーザー(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を用いることができる。このときレーザーのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、走査速度を10〜2000cm/sec程度として照射する。
なお、単結晶のYAG、YVO4、フォルステライト(Mg2SiO4)、YAlO3、GdVO4、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y2O3、YVO4、YAlO3、GdVO4に、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザー、Arイオンレーザー、Ti:サファイアレーザーは、それぞれ連続発振をさせることが可能であり、Qスイッチ動作やモード同期などを行うことによって10MHz以上の発振周波数でパルス発振をさせることも可能である。10MHz以上の発振周波数でレーザービームを発振させると、半導体膜がレーザーによって溶融してから固化するまでの間に、次のパルスが半導体膜に照射される。従って、発振周波数が低いパルスレーザーを用いる場合と異なり、半導体膜中において固液界面を連続的に移動させることができるため、走査方向に向かって連続的に成長した結晶粒を得ることができる。
上述した連続発振レーザーまたは10MHz以上の周波数で発振するレーザービームを用いて結晶化する場合、結晶化された半導体膜の表面を平坦なものとすることができる。この結果、後に形成するゲート絶縁膜108を薄膜化することも可能であり、また、ゲート絶縁膜108の耐圧を向上させることに寄与することができる。
また、媒質としてセラミック(多結晶)を用いると、短時間かつ低コストで自由な形状に媒質を形成することが可能である。単結晶を用いる場合、通常、直径数mm、長さ数十mmの円柱状の媒質が用いられているが、セラミックを用いる場合はさらに大きいものを作ることが可能である。
発光に直接寄与する媒質中のNd、Ybなどのドーパントの濃度は、単結晶中でも多結晶中でも大きく変えることは困難なため、ドーパントの濃度を増加させることによるレーザーの出力向上にはある程度限界がある。しかしながら、セラミックの場合、単結晶と比較して媒質の大きさを著しく大きくすることができるため大幅な出力向上が期待できる。
さらに、セラミックの場合では、平行六面体形状や直方体形状の媒質を容易に形成することが可能である。このような形状の媒質を用いて、発振光を媒質の内部でジグザグに進行させると、発振光路を長くとることができる。そのため、増幅が大きくなり、大出力で発振させることが可能になる。また、このような形状の媒質から射出されるレーザービームは射出時の断面形状が四角形状であるため、丸状のビームと比較すると、線状ビームに整形するのに有利である。このように射出されたレーザービームを、光学系を用いて整形することによって、短辺の長さ1mm以下、長辺の長さ数mm〜数mの線状ビームを容易に得ることが可能となる。また、励起光を媒質に均一に照射することにより、線状ビームは長辺方向にエネルギー分布の均一なものとなる。
この線状ビームを半導体膜に照射することによって、半導体膜をより均一にアニールすることが可能になる。線状ビームの両端まで均一なアニールが必要な場合は、その両端にスリットを配置し、エネルギーの減衰部を遮光するなどの工夫をすればよい。
このようにして得られた強度が均一な線状ビームを用いて半導体膜をアニールし、この半導体膜を用いて半導体装置を作製すると、その半導体装置の特性を、良好かつ均一なものとすることができる。
結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法として、具体的な方法の一例を挙げる。結晶化を助長する金属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体膜上に保持させた後、非晶質半導体膜に脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、4時間)を行って結晶質半導体膜を形成する。その後、必要に応じてレーザー光を照射し、フォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理によって島状の半導体膜107を形成すればよい。
結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法は、低温且つ短時間で非晶質半導体膜の結晶化が可能となるうえ、結晶の方向が揃うという利点がある一方、金属元素が結晶質半導体膜に残存するためにオフ電流が上昇し、特性が安定しないという欠点がある。そこで、結晶質半導体膜上に、ゲッタリングサイトとして機能する非晶質半導体膜を形成するとよい。ゲッタリングサイトとなる非晶質半導体膜には、リンやアルゴンの不純物元素を含有させる必要があるため、好適には、アルゴンを高濃度に含有させることが可能なスパッタ法で形成するとよい。その後、加熱処理(RTA法やファーネスアニール炉を用いた熱アニール等)を行って、非晶質半導体膜中に金属元素を拡散させ、続いて、当該金属元素を含む非晶質半導体膜を除去する。このようなゲッタリングプロセスを行うことにより、結晶質半導体膜中の金属元素の含有量を低減または除去することができる。
次に、島状の半導体膜107を覆うゲート絶縁膜108を形成する。ゲート絶縁膜108は、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD法により、珪素の酸化物または珪素の窒化物を含む膜を、単層または積層して形成する。具体的には、酸化珪素を含む膜、酸化窒化珪素を含む膜、窒化酸化珪素を含む膜を、単層構造として形成するか、当該これらの膜を適宜積層して形成する。また、島状の半導体膜107に対して、酸素、窒素、または酸素及び窒素を含む雰囲気中で、上述した高密度プラズマ処理を行うことにより、島状の半導体膜107の表面を酸化または窒化して、ゲート絶縁膜を形成してもよい。高密度プラズマ処理により形成されたゲート絶縁膜は、CVD法やスパッタ法等により形成された膜と比較して膜厚や膜質などの均一性に優れ、且つ緻密な膜を形成することができる。酸素を含む雰囲気としては、酸素(O2)、二酸化窒素(NO2)、もしくは一酸化二窒素(N2O)と、希ガスとの混合ガス、または、酸素(O2)、二酸化窒素(NO2)もしくは一酸化二窒素(N2O)と、希ガスと、水素(H2)との混合ガスを用いることができる。また、窒素を含む雰囲気としては、窒素(N2)もしくはアンモニア(NH3)と、希ガスとの混合ガス、または、窒素(N2)もしくはアンモニア(NH3)と、希ガスと、水素(H2)との混合ガスを用いることができる。高密度プラズマにより生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、島状の半導体膜107の表面を酸化又は窒化することができる。
高密度プラズマ処理を行ってゲート絶縁膜108を形成する場合、1〜20nm、代表的には5〜10nmの絶縁膜が島状の半導体膜107に形成される。この場合の反応は固相反応であるため、当該絶縁膜と島状の半導体膜107との界面準位密度をきわめて低くすることができる。また、島状の半導体膜107を直接酸化または窒化するため、形成されるゲート絶縁膜108の厚さを、理想的にはばらつきをきわめて小さくすることができる。さらに、結晶性シリコンの結晶粒界でも強い酸化がおこらないため、非常に好ましい状態となる。すなわち、ここで示す高密度プラズマ処理で半導体膜の表面を固相酸化することにより、結晶粒界において異常に酸化反応をさせることなく、且つ、均一性が良く、界面準位密度が低い絶縁膜を形成することができる。
なお、ゲート絶縁膜108は、高密度プラズマ処理によって形成される絶縁膜のみを用いてもよいし、それに加えてプラズマや熱反応を利用したCVD法により酸化珪素、酸素を含む窒化珪素、窒素を含む酸化珪素などの絶縁膜を堆積し、積層させても良い。なお、図1(C)においては、高密度プラズマ処理によって形成される絶縁膜に加えて、CVD法により絶縁膜を積層した構成としている。いずれにしても、高密度プラズマで形成した絶縁膜をゲート絶縁膜の一部又は全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを小さくすることができる。
また、非晶質半導体膜に対し、連続発振レーザーまたは10MHz以上の周波数で発振するレーザービームを照射しながら一方向に走査して結晶化した結晶質半導体膜は、そのビームの走査方向に結晶が成長する特性がある。したがって、走査方向をチャネル長方向(チャネル形成領域が形成されたときにキャリアが流れる方向)に合わせてトランジスタを配置し、高密度プラズマ処理によって形成されたゲート絶縁膜108を組み合わせることで、特性ばらつきがより小さく、しかも電界効果移動度が高いトランジスタを得ることができる。
次に、ゲート絶縁膜108上にゲート電極109を形成する。ゲート電極109は、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD法により形成すればよい。また、ゲート電極109は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された元素またはこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料を用いて形成することができる。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素に代表される半導体材料により形成することもできる。
次に、島状の半導体膜107に対し、イオンドープ法またはイオン注入法により不純物元素を選択的に添加して、Nチャネル型の薄膜トランジスタ105及びPチャネル型の薄膜トランジスタ106を形成する。なお、図1(C)においては、Nチャネル型の薄膜トランジスタ105は、ゲート電極109の側面に接する絶縁膜(サイドウォール)を用いてLDD領域(低濃度不純物領域)を形成している。また、Nチャネル型の薄膜トランジスタ105を形成する際に用いる、N型を付与する不純物元素は、15族に属する元素を用いればよく、例えばリン(P)、砒素(As)を用いる。また、Pチャネル型の薄膜トランジスタ106を形成する際に用いる、P型を付与する不純物元素は、13族に属する元素を用いればよく、例えばボロン(B)を用いる。
上記工程を経て、Nチャネル型の薄膜トランジスタ105及びPチャネル型の薄膜トランジスタ106を完成させた後、半導体膜の結晶性の回復や半導体膜に添加された不純物元素の活性化を目的とする加熱処理を行ってもよい。また、好ましくは加熱処理を行った後、露出されているゲート絶縁膜108に対して水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことにより、当該ゲート絶縁膜108の表面に水素を含有させるようにしてもよい。これは、後の半導体膜の水素化の工程を行う際に、この水素を利用することができるためである。または、基板に対して350〜450℃の加熱をしながら水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことで、半導体膜の水素化を行うことができる。なお、水素を含む雰囲気としては、水素(H2)またはアンモニア(NH3)と、希ガス(例えば、アルゴン(Ar))とを混合したガスを用いることができる。水素を含む雰囲気として、アンモニア(NH3)と希ガス(例えば、アルゴン(Ar))との混合ガスを用いた場合、ゲート絶縁膜108表面の水素化と同時に表面を窒化することもできる。
次に、複数の薄膜トランジスタを覆うように、第2の絶縁膜110を形成する。第2の絶縁膜110は、SOG法、液滴吐出法等により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ等の有機材料、シロキサン等を用いて、単層または積層で形成する。なお、本明細書においてシロキサンとは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。また、置換基として、フルオロ基を用いてもよいし、少なくとも水素を含む有機基及びフルオロ基を用いてもよい。例えば、第2の絶縁膜110が3層構造の場合、1層目の絶縁膜として酸化珪素を主成分とする膜を形成し、2層目の絶縁膜として樹脂を主成分とする膜を形成し、3層目の絶縁膜として窒化珪素を主成分とする膜を形成するとよい。また、第2の絶縁膜110を単層構造にする場合、窒化珪素膜または酸素を含む窒化珪素膜を形成するとよい。このとき、好ましくは窒化珪素膜または酸素を含む窒化珪素膜に対して水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことにより、当該窒化珪素膜または当該酸素を含む窒化珪素膜の表面に水素を含有させるようにする。これは、島状の半導体膜107の水素化の工程を後に行う際に、この水素を利用することができるためである。または、基板に対して350〜450℃の加熱をしながら水素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行うことで、半導体膜の水素化を行うことができる。なお、水素を含む雰囲気としては、水素(H2)またはアンモニア(NH3)と、希ガス(例えば、アルゴン(Ar))とを混合したガスを用いることができる。水素を含む雰囲気として、アンモニア(NH3)と希ガス(例えば、アルゴン(Ar))との混合ガスを用いた場合、ゲート絶縁膜108表面の水素化と同時に表面を窒化することもできる。
なお、第2の絶縁膜110を形成する前に、半導体膜の結晶性の回復や半導体膜に添加された不純物元素の活性化、半導体膜の水素化を目的とした加熱処理を行うとよい。加熱処理には、熱アニール、レーザーアニール法、またはRTA法などを適用するとよい。例えば、不純物元素の活性化を目的とする場合、500℃以上の熱アニールを行えばよい。また、半導体膜の水素化を目的とする場合、350〜450℃の熱アニールを行えばよい。
次に、フォトリソグラフィ法により第2の絶縁膜110およびゲート絶縁膜108をエッチングして、島状の半導体膜107を露出させるコンタクトホールを形成する。続いて、コンタクトホールを充填するように、導電膜を形成し、当該導電膜をパターン加工して、ソース配線またはドレイン配線111を形成する。
ソース配線またはドレイン配線111は、スパッタ法やプラズマCVD法等の各種CVD法により、アルミニウム(Al)を主成分とする導電膜を用いて形成する。アルミニウムを主成分とする導電膜とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、または、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方または両方を含む合金材料に相当する。アルミニウムを主成分とする導電膜は、一般に耐熱性に難点があるため、アルミニウムを主成分とする導電膜の上下をバリア膜で挟み込む構成とすることが好ましい。バリア膜とは、アルミニウムを主成分とする導電膜のヒロック抑制や、耐熱性を高める機能を有するものを指し、このような機能を有する材料としては、クロム、タンタル、タングステン、モリブデン、チタン、シリコン、ニッケルまたはこれらの窒化物からなるものが挙げられる。ソース配線またはドレイン配線111の構造の一例として、基板側から順にチタン膜、アルミニウム膜、チタン膜を順に積層する構造が挙げられる。チタン膜は、還元性の高い元素であるため、結晶質半導体膜上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体膜と良好なコンタクトをとることができる。また、結晶質半導体膜とアルミニウム膜との間に形成されるチタン膜に対して、窒素を含む雰囲気中で高密度プラズマ処理を行い、表面を窒化することが好ましい。高密度プラズマ処理の条件として、プラズマの電子密度は1×1011cm−3以上1×1013cm−3以下であり、プラズマの電子温度は0.5eV以上1.5eV以下である。また、窒素を含む雰囲気としては、N2もしくはNH3と、希ガスとの混合ガス、または、N2もしくはNH3と、希ガスと、H2との混合ガスを用いればよい。チタン膜の表面を窒化することにより、後の加熱処理の工程などでチタンとアルミニウムが合金化することを防ぎ、チタン膜を突き破って結晶質半導体膜中にアルミニウムが拡散することを防止することができる。なお、ここではアルミニウム膜をチタン膜で挟み込む例について説明したが、チタン膜に変えてクロム膜、タングステン膜などを用いた場合にも同じことが言える。さらに好ましくは、マルチチャンバー装置を用いて、チタン膜の成膜、チタン膜表面の窒化処理、アルミニウム膜の成膜、チタン膜の成膜を大気に曝すことなく連続して行う。
以上の工程により、薄膜トランジスタを有する回路103を含む層104が形成される。
次に、図2(A)に示すように、薄膜トランジスタを有する回路103を含む層104上に第3の絶縁膜112を形成し、第3の絶縁膜112上に薄膜トランジスタを有する回路103の有する配線と電気的に接続された電極113を金属膜などを用いて形成する。ここでは電極113として、TiN膜をスパッタ法で形成する。
第3の絶縁膜112は、公知の手段により、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜などの無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシなどの有機材料、シロキサンなどにより、単層または積層で形成する。
また、図2(A)においては、薄膜トランジスタのソース配線又はドレイン配線と接続するように電極113を形成しているが、この場合に特に限定されるものではない。薄膜回路のなかで、外部回路と電気的に接続したい箇所に電極を形成すればよい。
電極113を形成した後、図2(B)に示すように、電極113上に樹脂膜114を20〜30μmの膜厚で形成する。ここでは、樹脂膜として、熱硬化型樹脂、UV(紫外線)硬化型樹脂、熱可塑性樹脂等の樹脂材料をスクリーン印刷を用いて電極113上に塗布した後、焼成することにより形成する。
次に、図2(C)に示すように波長が紫外領域のレーザー(以下においては、UVレーザーという)を照射して、図3(A)に示すように開口部115、116を形成する。このように、開口部115、116を形成することにより、剥離層101が一部除去されることがきっかけとなり、基板100から、第1の絶縁膜102、薄膜トランジスタを有する回路103を含む層104、第3の絶縁膜112、電極113、樹脂膜114を有する積層体118を簡単に分離することができる。この分離は、剥離層101の内部、又は剥離層101と第1の絶縁膜102の間を境界として行われる。
また、本実施の形態ではUVレーザーを用いたが、本発明に用いるレーザーの種類は、開口部115を形成できるものであれば特に制約はない。レーザーは、レーザー媒質、励起源、共振器により構成されている。レーザーは、媒質により分類すると、気体レーザー、液体レーザー、固体レーザーがあり、発振の特徴により分類すると、自由電子レーザー、半導体レーザー、X線レーザーがあるが、本発明では、いずれのレーザーを用いてもよい。なお、好ましくは、気体レーザー又は固体レーザーを用いるとよく、さらに好ましくは固体レーザーを用いるとよい。
気体レーザーは、ヘリウムネオンレーザー、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー、アルゴンイオンレーザーがある。エキシマレーザーは、希ガスエキシマレーザー、希ガスハライドエキシマレーザーがある。希ガスエキシマレーザーは、アルゴン、クリプトン、キセノンの3種類の励起分子による発振がある。アルゴンイオンレーザーは、希ガスイオンレーザー、金属蒸気イオンレーザーがある。
液体レーザーは、無機液体レーザー、有機キレートレーザー、色素レーザーがある。無機液体レーザーと有機キレートレーザーは、固体レーザーに利用されているネオジムなどの希土類イオンをレーザー媒質として利用する。
固体レーザーが用いるレーザー媒質は、固体の母体に、レーザー作用をする活性種がドープされたものである。固体の母体とは、結晶又はガラスである。結晶とは、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット結晶)、YLF、YVO4、YAlO3、サファイア、ルビー、アレキサンドライドである。また、レーザー作用をする活性種とは、例えば、3価のイオン(Cr3+、Nd3+、Yb3+、Tm3+、Ho3+、Er3+、Ti3+)である。
なお、媒質としてセラミック(多結晶)を用いると、短時間かつ低コストで自由な形状に媒質を形成することが可能である。媒質として単結晶を用いる場合、通常、直径数mm、長さ数十mmの円柱状のものが用いられているが、媒質としてセラミック(多結晶)を用いる場合はさらに大きいものを作ることが可能である。また、発光に直接寄与する媒質中のNd、Ybなどのドーパントの濃度は、単結晶中でも多結晶中でも大きくは変えられないため、濃度を増加させることによるレーザーの出力向上にはある程度限界がある。しかしながら、媒質としてセラミックを用いると、単結晶と比較して媒質の大きさを著しく大きくすることができるため大幅な出力向上が期待できる。さらに、媒質としてセラミックを用いると、平行六面体形状や直方体形状の媒質を容易に形成することが可能である。このような形状の媒質を用いて、発振光を媒質の内部でジグザグに進行させると、発振光路を長くとることができる。そのため、増幅が大きくなり、大出力で発振させることが可能になる。また、このような形状の媒質から射出されるレーザービームは射出時の断面形状が四角形状であるため、丸状のビームと比較すると、線状ビームに整形するのに有利である。このように射出されたレーザービームを、光学系を用いて整形することによって、短辺の長さ1mm以下、長辺の長さ数mm〜数mの線状ビームを容易に得ることが可能となる。また、励起光を媒質に均一に照射することにより、線状ビームは長辺方向にエネルギー分布の均一なものとなる。この線状ビームを半導体膜に照射することによって、半導体膜の全面をより均一にアニールすることが可能になる。線状ビームの両端まで均一なアニールが必要な場合は、その両端にスリットを配置し、エネルギーの減衰部を遮光するなどの工夫が必要となる。
なお、本発明に用いるレーザーには、連続発振型のレーザービーム(CWレーザービーム)やパルス発振型のレーザービーム(パルスレーザービーム)を用いることができる。なお、レーザーの照射条件、例えば、周波数、パワー密度、エネルギー密度、ビームプロファイル等は、第1の絶縁膜102、薄膜トランジスタを有する回路103を含む層104、第3の絶縁膜112、電極113、樹脂膜114の厚さやその材料等を考慮して適宜制御する。
なお、基板100から、第1の絶縁膜102、薄膜トランジスタを有する回路103を含む層104、第3の絶縁膜112、電極113、樹脂膜114を有する積層体118を分離する際には、図3(B)に示すように、樹脂膜114の表面を、第1のフィルム117に接着させて、白抜き矢印の方向に第1のフィルム117を引っ張ることによって、基板100から、第1の絶縁膜102、薄膜トランジスタを有する回路103を含む層104、第3の絶縁膜112、電極113、樹脂膜114を有する積層体118を分離する。この際、剥離層101の内部又は剥離層101と第1の絶縁膜102の境界において、基板100と積層体118とが分離する。基板100から分離した後の積層体118は、第1の絶縁膜102が最表面となる。樹脂膜114は、第1のフィルム117を引っ張ることによって基板100と積層体118とを分離する際に強度を確保するための膜である。樹脂膜114を有することによって、この工程において、積層体118が破れてしまうのを防ぐことができる。
第1のフィルム117は、樹脂材料でなるベースフィルム上に接着層が設けられている構造を有するフィルムであり、例えば、ホットメルトフィルム、UV(紫外線)剥離フィルム、熱剥離フィルムなどが挙げられる。ベースフィルムとして使用される材料は、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)等があげられる。
ホットメルトフィルムはベースフィルム上にベースフィルムよりも軟化点の低い樹脂からなる接着層が形成された構成となっている。また、接着層として使用される材料は、ポリエチレン樹脂、ポリエステル、EVA(エチレンビニルアセテート)等が挙げられる。また、UV(紫外線)剥離フィルムは、ベースフィルム上にUV(紫外線)を照射することによって粘着力が弱くなる樹脂材料からなる接着層が形成された構成となっている。また、熱剥離フィルムは、ベースフィルム上に加熱することによって粘着力が弱くなる樹脂材料からなる接着層が形成された構成となっている。
そして、図3(C)に示すように、第1の絶縁膜102(薄膜回路の裏面側)の表面、つまり第1の絶縁膜102の薄膜トランジスタを有する回路103を含む層104が形成されていない側の面に、電極113と重なる位置で、導電膜119を1μm〜数十μmの膜厚、好ましくは10〜20μmの膜厚で形成する。導電膜119は、例えばスクリーン印刷により、Auペースト、Agペースト、Cuペースト、Niペースト、Alペーストなどの導電性材料やハンダなどを用いて形成すればよい。この導電膜119の膜厚が0.1μm以下となると膜厚が薄すぎて、後の工程において電極113との電気的接続がうまくとれなくなってしまう。
そして、図4(A)に示すように、導電膜119にレーザーを照射する。この際、導電膜119が電極113の深さまで打ち込まれ、電極113で止まるようにレーザーの出力を調節する。ここでは、Nd:YVO4パルスレーザーを用いて、波長を266nm(第4高調波)、発振周波数を15kHz、平均出力を3Wとしてレーザー照射を行った。この条件は代表的な条件を例示しただけであり、この条件に特に限定されるものではない。このレーザー照射により、導電膜119と電極113が電気的に接続され、図4(B)に示すような状態となる。図4(B)において、120は電極113と電気的に接続された導電膜を示す。
図4(B)に示すように、レーザーが照射された箇所において、薄膜トランジスタを有する回路103を含む層104、第3の絶縁膜112に穴が形成され、その穴の側壁部分に沿って電極113の内部まで導電膜119を構成する材料が移動して電極113と電気的に接続している。
ここで、導電膜119と電極113を電気的に接続するためのレーザー照射前における導電膜119の上面からの光学顕微鏡写真を図32に示し、導電膜119と電極113を電気的に接続するためのレーザー照射後における導電膜119の上面からの光学顕微鏡写真を図33に示す。図32、33は共に50倍の倍率で撮影したものである。図33には、円形の穴が形成されているのがわかる。この穴を通して電極113と電気的に接続されている。なお、図33では、導電膜119と電極113を電気的に接続するための穴の形状が円形であるが、この穴の形状は円形に限定されるものではない。また、図33では、ひびのように見える部分が存在するが、これは抵抗値を測定する際に測定用の電極が接触した部分であり、この測定用の電極が接触した部分において導電膜119の表面が擦れて金属光沢がでているものである。
なお、ここでは、導電膜119が電極113の深さまで打ち込まれ、電極113で止まるようにレーザーの出力を調節した例を示しているが、樹脂膜114及び第1の第1のフィルム117を貫通するような穴が形成されるようにレーザーの出力を調節してもよい。
そして、図4(C)に示すように、隣り合って形成された薄膜トランジスタを有する回路103と薄膜トランジスタを有する回路103との間の部分にレーザーを照射することで、図5に示すように薄膜トランジスタを有する回路103をひとつずつ有する121、122、123の3つの部分にそれぞれ分割する。分割した後の121、122、123がそれぞれ集積回路装置となる。
なお、本実施の形態においては、例として基板上に3つの薄膜トランジスタを有する回路103を形成する場合について説明したが、基板上に形成する薄膜トランジスタを有する回路103の数はこれに限定されるものではない。薄膜トランジスタを有する回路103の数は、ひとつでも、ふたつでも、3つ以上でも良いことはいうまでもない。
以上のようにして、本発明の集積回路装置が形成される。
以下においては、以上のようにして得られた本発明の集積回路装置をアンテナが形成された基板上に実装して半導体装置を形成する工程について説明する。
図24(A)に示すように、基板722上には、アンテナの機能を有する導電膜723が形成されている。この基板722上に導電性粒子725を含む樹脂724を用いて集積回路装置726を接着する。導電性粒子725を含む樹脂724を用いて接着することにより、アンテナの機能を有する導電膜723のなかの接続部と集積回路装置726の有する裏面の接続用導電膜とが導電性粒子725を介して電気的に接続される。
そして、この導電性粒子725を含む樹脂724を硬化させるために加熱処理を施す。第1のフィルム117として熱剥離フィルムを用いた場合には、この加熱処理によって第1のフィルム117を樹脂膜114から剥離することができる。第1のフィルム117を樹脂膜114から剥離した後の状態を図24(B)に示す。
以上のようにして本発明の集積回路装置をアンテナが形成された基板上に実装することができる。なお、ここでは、導電性粒子を含む樹脂を用いて、アンテナの機能を有する導電膜と集積回路装置とを電気的に接続する場合について説明したが、アンテナの機能を有する導電膜と集積回路装置とを電気的に接続する手段としては、導電性粒子を含む樹脂以外にも、はんだなどの公知の方法を用いれば良い。
なお、アンテナの機能を有する導電膜と集積回路装置とを電気的に接続する手段としてはんだを用いる場合にも、はんだを溶かすために加熱を行う。よって、第1のフィルム117として熱剥離フィルムを用いた場合には、この加熱によって第1のフィルム117を樹脂膜114から剥離することができる。
本発明の集積回路装置をアンテナが形成された基板上に実装した後で、封止を行うのが好ましい。封止は、少なくともアンテナが形成された基板722のアンテナの機能を有する導電膜723が形成されている側において行われていればよい。アンテナが形成された基板722のアンテナの機能を有する導電膜723が形成されている側においてのみ封止を行った場合について図25(A)に示す。封止を行う際には、ベースフィルム上に接着層を有する構造の第2のフィルム729によって封止を行う。第2のフィルム729としては例えばホットメルトフィルムが挙げられる。ホットメルトフィルムはベースフィルム上にベースフィルムよりも軟化点の低い樹脂からなる接着層が形成された構成となっている。ベースフィルムとして使用される材料は、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)等があげられる。また、接着層として使用される材料は、ポリエチレン樹脂、ポリエステル、EVA(エチレンビニルアセテート)等が挙げられる。
また、図25(B)に示すようにアンテナが形成された基板722の両側から2枚のフィルム(第2のフィルム727、第3のフィルム728)によって封止を行うようにしても良い。図25(B)の第2のフィルム727、第3のフィルム728としては、ベースフィルム上に接着層を有する構造のフィルムを用いれば良い。
なお、図24、図25においては、第1のフィルム117を加熱処理の際に剥離して封止を行う場合について説明したが、第1のフィルム117を剥離せず、樹脂膜114上に接着したままの状態で封止を行うことも可能である。その場合には、第1のフィルム117として、熱剥離フィルム以外のフィルム(ホットメルトフィルムなど)を用いることができる。
本実施例で形成した集積回路装置は、薄膜トランジスタを有する回路の上方に樹脂膜を有し、薄膜トランジスタを有する回路の裏面側に外部との電気的接続をとるための電極を有する点が特徴である。つまり樹脂膜が形成されていない側の面に薄膜トランジスタを有する回路と電気的に接続する導電膜を有する点が特徴である。第1の絶縁膜の膜厚と薄膜トランジスタを有する回路を含む層との膜厚との合計は10μm程度、もしくはそれ以下であり、樹脂膜の膜厚は20〜30μm程度であるため、樹脂膜が形成されていない側の面に薄膜トランジスタを有する回路と電気的に接続する導電膜を形成することによって、樹脂膜側に形成する場合と比較して容易に薄膜トランジスタを有する回路と電気的に接続する導電膜を形成することができる。
(実施の形態2)
実施の形態1においては、薄膜回路として、薄膜トランジスタを有する回路を形成した場合について説明した。本実施の形態においては、薄膜回路として、抵抗を有する回路を形成する場合について説明する。
なお、実施の形態1においては、薄膜回路として薄膜トランジスタを有する回路を形成しており、本実施の形態においては、薄膜回路として抵抗を形成しているが、薄膜トランジスタ、抵抗、インダクタ、コンデンサのなかの複数種類の素子を有する場合についても実施することができる。
まず図6(A)に示すように、基板200上に剥離層201を形成し、剥離層201上に第1の絶縁膜202を形成する。基板200に用いる材料や、剥離層201の材料や形成方法は実施の形態1と同様にして行えばよい。
次に、図6(B)に示すように、第1の絶縁膜202上に抵抗体204を形成する。抵抗体204は、例えばTa2Nを用いて形成すればよい。
この抵抗体204の上面から見た形状の例を図10(A)、(B)に示す。なお、以下においては、抵抗体204として図10(A)の形状の抵抗体を形成する場合について説明する。
抵抗体204を形成した後に、図6(C)に示すように、抵抗体204上に第2の絶縁膜205を形成する。
そして、図6(D)に示すように、第2の絶縁膜205に開口206を形成する。この開口206は、後に形成する電極と抵抗体204とのコンタクトをとるための穴である。
この開口206は、図10(A)の216、217の領域上に形成するようにする。なお、図10(B)の形状の抵抗体を形成する場合には、図10(B)の219、220の領域上に開口206を形成するようにすればよい。
開口206を形成した後、図7(A)に示すように、抵抗体204と電気的に接続する電極207を第2の絶縁膜205上に形成する。この電極207は、図10(A)の216、217の部分とそれぞれ電気的に接続するように形成される。
電極207を形成した後に、図7(B)に示すように電極207上に樹脂膜208を形成する。そして、その後、図7(C)に示すようにレーザーを照射する。レーザーの照射によって、図7(D)に示すように、剥離層201、第1の絶縁膜202、第2の絶縁膜205、樹脂膜208に開口209が形成される。このように、開口209を形成することにより、剥離層201が一部除去されることがきっかけとなり、基板200から、第1の絶縁膜202、抵抗体204、第2の絶縁膜205、電極207が積層されてなる、抵抗を有する回路を含む層210と、樹脂膜208とを有する積層体211を簡単に分離することができる。この分離は、剥離層201の内部、又は剥離層201と第1の絶縁膜202の間を境界として行われる。
なお、レーザーの種類は、実施の形態1と同様にどのような種類のレーザーを用いてもよい。レーザーの照射条件、例えば、周波数、パワー密度、エネルギー密度、ビームプロファイル等は、抵抗を有する回路を含む層210、樹脂膜208の厚さやその材料等を考慮して適宜制御する。
なお、基板200から、抵抗を有する回路を含む層210と、樹脂膜208とを有する積層体211を分離する際には、図8(A)に示すように、樹脂膜208の表面を、第1のフィルム212に接着させて、図8(B)に示すように、白抜き矢印の方向に第1のフィルム212を引っ張ることによって、基板200から、抵抗を有する回路を含む層210と、樹脂膜208とを有する積層体211を分離する。この際、剥離層201の内部又は剥離層201と第1の絶縁膜202の境界において、基板200と積層体211とが分離する。基板200から分離した後の積層体211は、第1の絶縁膜202が最表面となる。樹脂膜208は、第1のフィルム212を引っ張ることによって基板200と積層体211とを分離する際に強度を確保するための膜である。樹脂膜208を有することによって、この工程において、積層体211が破れてしまうのを防ぐことができる。
第1のフィルム212は、樹脂材料でなるベースフィルム上に接着層が設けられている構造を有するフィルムであり、例えば、ホットメルトフィルム、UV(紫外線)剥離フィルム、熱剥離フィルムなどが挙げられる。ベースフィルムとして使用される材料は、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)等があげられる。
ホットメルトフィルムはベースフィルム上にベースフィルムよりも軟化点の低い樹脂からなる接着層が形成された構成となっている。また、接着層として使用される材料は、ポリエチレン樹脂、ポリエステル、EVA(エチレンビニルアセテート)等が挙げられる。また、UV(紫外線)剥離フィルムは、ベースフィルム上にUV(紫外線)を照射することによって粘着力が弱くなる樹脂材料からなる接着層が形成された構成となっている。また、熱剥離フィルムは、ベースフィルム上に加熱することによって粘着力が弱くなる樹脂材料からなる接着層が形成された構成となっている。
第1のフィルム212としてUV(紫外線)剥離フィルムを用いた場合には、剥離工程の後でUV(紫外線)を照射することによって第1のフィルム212を剥離することもできる。
また、第1のフィルム212として熱剥離フィルムを用いた場合には、剥離工程の後で加熱することによって第1のフィルム212を剥離することもできる。
そして、図8(C)に示すように、第1の絶縁膜202(薄膜回路の裏面側)の表面、つまり第1の絶縁膜202の抵抗を有する回路を含む層210が形成されていない側の面に、電極207と重なる位置で、導電膜213を1μm〜数十μmの膜厚、好ましくは10〜20μmの膜厚で形成する。導電膜213は、例えばスクリーン印刷により、Auペースト、Agペースト、Cuペースト、Niペースト、Alペーストなどの導電性材料やハンダなどを用いて形成すればよい。この導電膜213の膜厚が0.1μm以下となると膜厚が薄すぎて、後の工程において電極207との電気的接続がうまくとれなくなってしまう。
そして、図8(D)に示すように、導電膜213にレーザーを照射する。この際、導電膜213が電極207の深さまで打ち込まれ、電極207で止まるようにレーザーの出力を調節する。ここでは、Nd:YVO4パルスレーザーを用いて、波長を266nm(第4高調波)、発振周波数を15kHz、平均出力を3Wとしてレーザー照射を行った。この条件は代表的な条件を例示しただけであり、この条件に特に限定されるものではない。このレーザー照射により、導電膜213と電極207が電気的に接続され、図9に示すような状態となる。
図9において、214、215は電極207と電気的に接続された導電膜を示す。
図9に示すように、レーザーが照射された箇所において、第1の絶縁膜202、第2の絶縁膜205に穴が形成され、その穴の側壁部分に沿って電極207の内部まで導電膜213を構成する材料が移動して電極207と電気的に接続している。
なお、ここでは、導電膜213が電極207の深さまで打ち込まれ、電極207で止まるようにレーザーの出力を調節した例を示しているが、樹脂膜208及び第1のフィルム212を貫通するようにレーザーの出力を調節してもよい。
(実施の形態3)
本実施の形態においては、薄膜回路としてインダクタを有する回路を形成する場合について説明する。本実施の形態においては、一種類の素子を有する回路を形成する場合について説明するが、薄膜トランジスタ、抵抗、インダクタ、コンデンサのなかの複数種類の素子を有する場合についても実施することができる。
以下において、インダクタが形成されている部分に注目した断面図を用いてインダクタを有する集積回路装置の作製工程について説明する。
まず図11(A)に示すように、基板300上に剥離層301を形成し、剥離層301上に第1の絶縁膜302を形成する。基板300に用いる材料や、剥離層301の材料、形成方法は実施の形態1と同様にして行えばよい。
次に、図11(B)に示すように、第1の絶縁膜302上にコイル状の第1の導電膜303を形成する。図11(B)の上側の図は断面図であり、図11(B)の下側の図は上面図を示す。
図11(B)の上面図において、304、305は後で形成する電極とコンタクトをとるための領域である。
第1の導電膜303を形成した後に、図11(C)に示すように、第1の導電膜303上に樹脂膜306を形成する。そして、図12(A)に示すように、樹脂膜306にレーザーを照射する。レーザーの照射によって、図12(B)に示すように、剥離層301、第1の絶縁膜302、樹脂膜306に開口307が形成される。このように、開口307を形成することにより、剥離層301が一部除去されることがきっかけとなり、基板300から、第1の絶縁膜302、第1の導電膜303が積層されてなる、インダクタを有する回路を含む層308と、樹脂膜306とを有する積層体309を簡単に分離することができる。この分離は、剥離層301の内部、又は剥離層301と第1の絶縁膜302の間を境界として行われる。
なお、レーザーの種類は、実施の形態1と同様にどのような種類のレーザーを用いてもよい。レーザーの照射条件、例えば、周波数、パワー密度、エネルギー密度、ビームプロファイル等は、インダクタを有する回路を含む層308、樹脂膜306の厚さやその材料等を考慮して適宜制御する。
なお、基板300から、インダクタを有する回路を含む層308と、樹脂膜306とを有する積層体309を分離する際には、図12(C)に示すように、樹脂膜306の表面を、第1のフィルム310に接着させて、図12(D)に示すように、白抜き矢印の方向に第1のフィルム310を引っ張ることによって、基板300から、インダクタを有する回路を含む層308と、樹脂膜306とを有する積層体309を分離する。基板300から分離した後の積層体309及び第1のフィルム310の様子を図13(A)に示す。積層体309を基板から分離する際、剥離層301の内部又は剥離層301と第1の絶縁膜302の境界において、基板300と積層体309とが分離する。基板300から分離した後の積層体309は、第1の絶縁膜302が最表面となる。樹脂膜306は、第1のフィルム310を引っ張ることによって基板300と積層体309とを分離する際に強度を確保するための膜である。樹脂膜306を有することによって、この工程において、積層体309が破れてしまうのを防ぐことができる。
第1のフィルム310は、樹脂材料でなるベースフィルム上に接着層が設けられている構造を有するフィルムであり、例えば、ホットメルトフィルム、UV(紫外線)剥離フィルム、熱剥離フィルムなどが挙げられる。ベースフィルムとして使用される材料は、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)等があげられる。
ホットメルトフィルムはベースフィルム上にベースフィルムよりも軟化点の低い樹脂からなる接着層が形成された構成となっている。また、接着層として使用される材料は、ポリエチレン樹脂、ポリエステル、EVA(エチレンビニルアセテート)等が挙げられる。また、UV(紫外線)剥離フィルムは、ベースフィルム上にUV(紫外線)を照射することによって粘着力が弱くなる樹脂材料からなる接着層が形成された構成となっている。また、熱剥離フィルムは、ベースフィルム上に加熱することによって粘着力が弱くなる樹脂材料からなる接着層が形成された構成となっている。
第1のフィルム310としてUV(紫外線)剥離フィルムを用いた場合には、剥離工程の後でUV(紫外線)を照射することによって第1のフィルム310を剥離することもできる。
また、第1のフィルム310として熱剥離フィルムを用いた場合には、剥離工程の後で加熱することによって第1のフィルム310を剥離することもできる。
そして、図13(B)に示すように、第1の絶縁膜302(薄膜回路の裏面側)の表面、つまり第1の絶縁膜302のインダクタを有する回路を含む層308が形成されていない側の面に、第1の導電膜303の304、305の領域とそれぞれ重なる位置で、第2の導電膜311を1μm〜数十μmの膜厚、好ましくは10〜20μmの膜厚で形成する。第2の導電膜311は、例えばスクリーン印刷により、Auペースト、Agペースト、Cuペースト、Niペースト、Alペーストなどの導電性材料やハンダなどを用いて形成すればよい。この第2の導電膜311の膜厚が0.1μm以下となると膜厚が薄すぎて、後の工程において第1の導電膜303との電気的接続がうまくとれなくなってしまう。
図13(B)は上面図のA―A’における断面図であるため、図13(B)においては、図11(B)の第1の導電膜303の有する領域305に重なる位置で形成された第2の導電膜311しか図示されていないが、第1の導電膜303の有する領域304に重なる位置でも導電膜は形成されている。
そして、図13(C)に示すように、第2の導電膜311にレーザーを照射する。この際、第2の導電膜311が第1の導電膜303の深さまで打ち込まれ、第1の導電膜303で止まるようにレーザーの出力を調節する。ここでは、Nd:YVO4パルスレーザーを用いて、波長を266nm(第4高調波)、発振周波数を15kHz、平均出力を3Wとしてレーザー照射を行った。この条件は代表的な条件を例示しただけであり、この条件に特に限定されるものではない。このレーザー照射により、第2の導電膜311と第1の導電膜303が電気的に接続され、図13(D)に示すような状態となる。図13(D)において、312は第1の導電膜303と電気的に接続された第2の導電膜を示す。
図13(D)に示すように、レーザーが照射された箇所において、第1の絶縁膜302に穴が形成され、その穴の側壁部分に沿って第1の導電膜303の内部まで第2の導電膜311を構成する材料が移動して、第1の導電膜303と電気的に接続している。
なお、ここでは、第2の導電膜311が第1の導電膜303の深さまで打ち込まれ、第1の導電膜303で止まるようにレーザーの出力を調節した例を示しているが、樹脂膜306及び第1のフィルム310を貫通するようにレーザーの出力を調節してもよい。
(実施の形態4)
本実施の形態においては、薄膜回路としてコンデンサを有する場合の集積回路装置の作成方法について説明する。
本実施の形態においては、一種類の素子を有する回路を形成する場合について説明するが、薄膜トランジスタ、抵抗、インダクタ、コンデンサのなかの複数種類の素子を有する場合についても実施することができる。
まず図14(A)に示すように、基板400上に剥離層401を形成し、剥離層401上に第1の絶縁膜402を形成する。基板400に用いる材料や、剥離層401の材料や形成方法は実施の形態1と同様にして行えばよい。
次に、図14(B)に示すように、第1の絶縁膜402上にコンデンサの第1電極403を形成する。コンデンサの第1電極403としては、例えば金属膜などを形成すればよい。
次に図14(C)に示すように第2の絶縁膜404を形成する。第2の絶縁膜404としては、例えばTiO2、Al2O3、BaTiO3、SiO2等の誘電体によって形成すればよい。
そして、図14(D)に示すように、コンデンサの第2電極405を形成する。コンデンサの第2電極405もコンデンサの第1電極と同様に金属膜などを形成すればよい。
ここまでで、第1の電極、絶縁膜、第2の電極から構成されるコンデンサが形成される。
そして、このように形成されたコンデンサ上に図15(A)に示すように樹脂膜406を形成する。この樹脂膜406は、薄膜回路の強度を確保するために設ける。樹脂膜406を形成したら、図15(B)に示すようにレーザーを照射する。レーザーの照射によって、図15(C)に示すように、剥離層401、第1の絶縁膜402、第2の絶縁膜404、樹脂膜406に開口407が形成される。このように、開口407を形成することにより、剥離層401が一部除去されることがきっかけとなり、第1の絶縁膜402、第1電極403、第2の絶縁膜404、第2電極405が積層されてなる、コンデンサを有する回路を含む層408と、樹脂膜406とを有する積層体409を基板400から簡単に分離することができる。この分離は、剥離層401の内部、又は剥離層401と第1の絶縁膜402の間を境界として行われる。
なお、レーザーの種類は、実施の形態1と同様にどのような種類のレーザーを用いてもよい。レーザーの照射条件、例えば、周波数、パワー密度、エネルギー密度、ビームプロファイル等は、コンデンサを有する回路を含む層408、樹脂膜406の厚さやその材料等を考慮して適宜制御する。
なお、基板400から、コンデンサを有する回路を含む層408と、樹脂膜406とを有する積層体409を分離する際には、図15(D)に示すように、樹脂膜406の表面を、第1のフィルム410に接着させて、図16(A)に示すように、白抜き矢印の方向に第1のフィルム410を引っ張ることによって、基板400から、コンデンサを有する回路を含む層408と、樹脂膜406とを有する積層体409を分離する。基板400から分離した後の積層体409及び第1のフィルム410の様子を図16(B)に示す。積層体409を基板から分離する際、剥離層401の内部又は剥離層401と第1の絶縁膜402の境界において、基板400と積層体409とが分離する。基板400から分離した後の積層体409は、第1の絶縁膜402が最表面となる。樹脂膜406は、第1のフィルム410を引っ張ることによって基板400と積層体409とを分離する際に強度を確保するための膜である。樹脂膜406を有することによって、この工程において、積層体409が破れてしまうのを防ぐことができる。
第1のフィルム410は、樹脂材料でなるベースフィルム上に接着層が設けられている構造を有するフィルムであり、例えば、ホットメルトフィルム、UV(紫外線)剥離フィルム、熱剥離フィルムなどが挙げられる。ベースフィルムとして使用される材料は、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)等があげられる。
ホットメルトフィルムはベースフィルム上にベースフィルムよりも軟化点の低い樹脂からなる接着層が形成された構成となっている。また、接着層として使用される材料は、ポリエチレン樹脂、ポリエステル、EVA(エチレンビニルアセテート)等が挙げられる。また、UV(紫外線)剥離フィルムは、ベースフィルム上にUV(紫外線)を照射することによって粘着力が弱くなる樹脂材料からなる接着層が形成された構成となっている。また、熱剥離フィルムは、ベースフィルム上に加熱することによって粘着力が弱くなる樹脂材料からなる接着層が形成された構成となっている。
第1のフィルム410としてUV(紫外線)剥離フィルムを用いた場合には、剥離工程の後でUV(紫外線)を照射することによって第1のフィルム410を剥離することもできる。
また、第1のフィルム410として熱剥離フィルムを用いた場合には、剥離工程の後で加熱することによって第1のフィルム410を剥離することもできる。
そして、図16(C)に示すように、第1の絶縁膜402(薄膜回路の裏面側)の表面、つまり第1の絶縁膜402のコンデンサを有する回路を含む層408が形成されていない側の面において、第1電極403の一部と重なる位置と、第2電極405の一部と重なる位置に、それぞれ導電膜411、412を1μm〜数十μmの膜厚、好ましくは10〜20μmの膜厚で形成する。導電膜411、412は、例えばスクリーン印刷により、Auペースト、Agペースト、Cuペースト、Niペースト、Alペーストなどの導電性材料やハンダなどを用いて形成すればよい。この導電膜411、412の膜厚が0.1μm以下となると膜厚が薄すぎて、後の工程において第1電極403や第2電極405との電気的接続がうまくとれなくなってしまう。
そして、図16(D)に示すように、導電膜411、412にレーザーを照射する。導電膜411に照射するレーザーは、導電膜411が第1電極403の深さまで打ち込まれ、第1電極403で止まるようにレーザーの出力を調節する。また、導電膜412に照射するレーザーは、導電膜412が第2電極405の深さまで打ち込まれ、第2電極405で止まるようにレーザーの出力を調節する。ここでは、Nd:YVO4パルスレーザーを用いて、波長を266nm(第4高調波)、発振周波数を15kHz、平均出力を3W等としてレーザー照射を行った。この条件は代表的な条件を例示しただけであり、この条件に特に限定されるものではない。このレーザー照射により、導電膜411と第1電極403が電気的に接続され、導電膜412と第2電極405が電気的に接続され、図17に示すような状態となる。図17において、413は第1電極403と電気的に接続された導電膜を示し、414は第2電極405と電気的に接続された導電膜を示す。
図17に示すように、第1電極403と電気的に接続された導電膜413を形成するためにレーザーが照射された箇所において、第1の絶縁膜402に穴が形成され、その穴の側壁部分に沿って第1電極403の内部まで導電膜413を構成する材料が移動して、第1電極403と電気的に接続している。また、第2電極と電気的に接続された導電膜414を形成するためにレーザーが照射された箇所において、第1の絶縁膜402、第2の絶縁膜404に穴が形成され、その穴の側壁部分に沿って第2電極405の内部まで導電膜414を構成する材料が移動して、第2電極405と電気的に接続している。
なお、ここでは、第1電極403と電気的に接続された導電膜413を形成する際に、導電膜411が第1電極403の深さまで打ち込まれ、第1電極403で止まるようにレーザーの出力を調節し、第2電極と電気的に接続された導電膜414を形成する際に、導電膜412が第2電極405の深さまで打ち込まれ、第2電極405で止まるようにレーザーの出力を調節した例を示しているが、第1電極と電気的に接続された導電膜413を形成する際のレーザーの照射も、第2電極と電気的に接続された導電膜414を形成する際のレーザーの照射も樹脂膜406及び第1のフィルム410まで貫通するようにレーザーの出力を調節してもよい。
(実施の形態5)
実施の形態1においては、基板から薄膜トランジスタを有する回路を含む層などを有する積層体を剥離して、可撓性を有する集積回路装置を形成する場合について説明したが、本実施の形態においては、基板を研削研磨などして薄膜化することによって、可撓性を有する集積回路装置を形成する場合について説明する。
なお、本実施の形態においては、薄膜回路として薄膜トランジスタを形成した場合について説明しているが、薄膜トランジスタ、抵抗、インダクタ、コンデンサのなかから選ばれた1種類または複数種類の素子を有する場合についても実施することができる。
まず、図18(A)に示すように、第1の基板500上に第1の絶縁膜501を形成する。この第1の絶縁膜は下地膜として機能する膜である。第1の絶縁膜501として、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、珪素の酸化物、珪素の窒化物、窒素を含む珪素の酸化物、酸素を含む珪素の窒化物等を形成する。
なお、第1の基板500としては、石英基板、半導体基板、ガラス基板、金属基板などを用いればよい。
図18(B)に示すように、第1の絶縁膜501上に公知の方法で薄膜トランジスタを有する回路503を含む層504を形成する。薄膜トランジスタを有する回路503を含む層504として例えば、複数の薄膜トランジスタと、複数の薄膜トランジスタを覆う第2の絶縁膜510と、第2の絶縁膜510に接し複数の薄膜トランジスタのソース領域又はドレイン領域に接続するソース配線またはドレイン配線511とを形成する。薄膜トランジスタは、島状の半導体膜507、ゲート絶縁膜508、サイドウォールが形成されたゲート電極509などを有する。図18(B)においては、薄膜トランジスタを有する回路503として、Nチャネル型の薄膜トランジスタ505及びPチャネル型の薄膜トランジスタ506とを有する構成の回路を例として示したが、特にこのような回路の構造に限定するものではない。また、図18(B)においては、Nチャネル型の薄膜トランジスタ505として、ゲート電極にサイドウォールが形成され、LDD領域(低濃度不純物領域)を有するトップゲート型の薄膜トランジスタを形成し、Pチャネル型の薄膜トランジスタ506として、ゲート電極にサイドウォールが形成されたトップゲート型の薄膜トランジスタを形成した例を示しているが、薄膜トランジスタの構造はこの構造に限定されるものではない。LDD領域(低濃度不純物領域)を有しない構造の薄膜トランジスタや、ボトムゲート型の薄膜トランジスタなど、公知の薄膜トランジスタの構造を適用することができる。
なお、薄膜トランジスタを有する回路503までの作製方法については、実施の形態1において説明した作製方法を用いて使用することができる。
そして、図18(C)に示すように、薄膜トランジスタを有する回路503を含む層504上に第3の絶縁膜512を形成し、第3の絶縁膜512上に薄膜トランジスタを有する回路503の有する配線と電気的に接続された電極513を形成する。
第3の絶縁膜512は、公知の手段により、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜などの無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシなどの有機材料、シロキサンなどにより、単層または積層で形成する。
また、図18(C)においては、薄膜トランジスタのソース配線又はドレイン配線と接続するように電極513を形成しているが、この場合に特に限定されるものではない。薄膜回路のなかで、外部回路と電気的に接続したい箇所に電極を形成すればよい。
次に、図19(A)に示すように、電極513上に第4の絶縁膜514を形成する。第4の絶縁膜514は、公知の手段により、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜などの無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシなどの有機材料、シロキサンなどにより、単層または積層で形成する。
そして、図19(B)に示すように、第4の絶縁膜514上に第2の基板515を接着材を用いて接着する。第2の基板515としては、石英基板、半導体基板、ガラス基板、金属基板、樹脂基板などを用いることができる。接着材として熱をかけることにより粘着力が弱くなる接着材を用いることが好ましい。また、第2の基板としては他にホットメルトフィルム、UV(紫外線)剥離フィルム、熱剥離フィルムなど、ベースフィルム上に接着層が設けられている構造を有するフィルムを用いても良い。
ここで、第2の基板515を接着しない場合、後ほど行う第1の基板500の厚さを薄くする工程において、第1の基板500の厚さが薄くなるにつれて、薄膜トランジスタを有する回路を含む層504と第3の絶縁膜512と電極513と第4の絶縁膜514とからなる積層体がカールしてしまう。しかし、第2の基板515を接着することによって、後ほど行う第1の基板500の厚さを薄くする工程において、薄膜トランジスタを有する回路を含む層504と第3の絶縁膜512と電極513と第4の絶縁膜514とからなる積層体がカールしてしまうのを防ぐことができる。
第4の絶縁膜514上に第2の基板を接着したら、第1の基板500の厚さを薄くする処理を行う。この処理によって第1の基板500の厚さを100μm以下、好ましくは20〜50μmとする。ここでは、図19(C)に示すように、研削手段または研磨手段516を用いて第1の基板500の厚さを薄くする。この際、研削手段のみによって基板の研削を行って第1の基板500の厚さを薄くしても良いし、研磨手段のみによって基板の研磨を行って第1の基板500の厚さを薄くしても良いが、研削手段によって基板の研削を行った後、研磨手段によって基板の研磨を行うのが好ましい。
また、ここでは第1の基板500の厚さを薄くする手段として研削手段または研磨手段を用いたが、これに限定されるものではない。
第1の基板500の厚さを薄くする手段としてウエットエッチングを用いても良い。
この場合、第1の基板500と第1の絶縁膜501との間に、第1の基板500のエッチングを行うエッチング液に対して耐性を有する膜を形成すれば、第1の絶縁膜501までエッチングされてしまうことがない。
第1の基板500の厚さを薄くする処理を行って、第1の基板500の厚さが薄くなった状態を図20(A)に示す。図20(A)においては、第1の基板500が残っている状態を示しているが、第1の基板500が完全に除去された状態であっても良いし、第1の基板500の一部のみが第1の絶縁膜501の表面に残っている状態であってもよい。
そして、図20(B)に示すように、第1の基板500の第1の絶縁膜501が形成されていない側の面、つまり薄膜回路の裏面側に、電極513と重なる位置で、導電膜517を1μm〜数十μmの膜厚、好ましくは10〜20μmの膜厚で形成する。導電膜517は、例えばスクリーン印刷により、Auペースト、Agペースト、Cuペースト、Niペースト、Alペーストなどの導電性材料やハンダなどを用いて形成すればよい。この導電膜517の膜厚が0.1μm以下となると膜厚が薄すぎて、後の工程において電極513との電気的接続がうまくとれなくなってしまう。
そして、図20(C)に示すように、導電膜517にレーザーを照射する。この際、導電膜517が電極513の深さまで打ち込まれ、電極513で止まるようにレーザーの出力を調節する。ここでは、Nd:YVO4パルスレーザーを用いて、波長を266nm(第4高調波)、発振周波数を15kHz、平均出力を3Wとしてレーザー照射を行った。この条件は代表的な条件を例示しただけであり、この条件に特に限定されるものではない。このレーザー照射により、導電膜517と電極513が電気的に接続され、図21(A)に示すような状態となる。図21(A)において、518は電極513と電気的に接続された導電膜を示す。
図21(A)に示すように、レーザーが照射された箇所において、第1の基板500、薄膜トランジスタを有する回路503を含む層504、第3の絶縁膜512に穴が形成され、その穴の側壁部分に沿って電極513の内部まで導電膜517を構成する材料が移動して、電極513と電気的に接続している。
なお、ここでは、導電膜517が電極513の深さまで打ち込まれ、電極513で止まるようにレーザーの出力を調節した例を示しているが、第4の絶縁膜514及び第2の基板515を貫通するような穴が形成されるようにレーザーの出力を調節してもよい。
そして、図21(B)に示すように、隣り合って形成された薄膜トランジスタを有する回路503と薄膜トランジスタを有する回路503との間の部分にレーザーを照射することで、図21(C)に示すように薄膜トランジスタを有する回路503をひとつずつ有する519、520、521の3つの部分にそれぞれ分割する。分割した後の519、520、521がそれぞれ集積回路装置となる。
なお、本実施の形態においては、例として基板上に3つの薄膜トランジスタを有する回路503を形成する場合について説明したが、基板上に形成する薄膜トランジスタを有する回路503の数はこれに限定されるものではない。薄膜トランジスタを有する回路503の数は、ひとつでも、ふたつでも、3つ以上でも良いことはいうまでもない。
以上のようにして、本発明の集積回路装置が形成される。
以下においては、以上のようにして得られた本発明の集積回路装置をアンテナが形成された基板上に実装して半導体装置を形成する工程について説明する。
図22(A)に示すように、基板522上には、アンテナの機能を有する導電膜523が形成されている。この基板522上に導電性粒子525を含む樹脂524を用いて集積回路装置526を接着する。導電性粒子525を含む樹脂524を用いて接着することにより、アンテナの機能を有する導電膜523のなかの接続部と集積回路装置526の有する裏面の接続用導電膜とが導電性粒子525を介して電気的に接続される。
そして、この導電性粒子525を含む樹脂524を硬化させるために加熱処理を施す。第2の基板515を第4の絶縁膜514に接着する際に、熱をかけることによって粘着力が弱まる接着材で第2の基板515を接着した場合、または第2の基板515として熱剥離フィルムを用いた場合には、この加熱処理によって第2の基板515を第4の絶縁膜514から剥離することができる。第2の基板515を第4の絶縁膜514から剥離した後の状態を図22(B)に示す。
以上のようにして本発明の集積回路装置をアンテナが形成された基板上に実装することができる。なお、ここでは、導電性粒子を含む樹脂を用いて、アンテナの機能を有する導電膜と集積回路装置とを電気的に接続する場合について説明したが、アンテナの機能を有する導電膜と集積回路装置とを電気的に接続する手段としては、導電性粒子を含む樹脂以外にも、はんだなどの公知の方法を用いれば良い。
なお、アンテナの機能を有する導電膜と集積回路装置とを電気的に接続する手段としてはんだを用いる場合にも、はんだを溶かすために加熱を行う。よって、第2の基板515を第4の絶縁膜514に接着する際に、熱をかけることによって粘着力が弱まる接着材で第2の基板515を接着した場合、または第2の基板515として熱剥離フィルムを用いた場合には、この加熱によって第2の基板515を第4の絶縁膜514から剥離することができる。
本発明の集積回路装置をアンテナが形成された基板上に実装した後で、封止を行うのが好ましい。封止は、少なくともアンテナが形成された基板522のアンテナの機能を有する導電膜523が形成されている側において行われていればよい。アンテナが形成された基板522のアンテナの機能を有する導電膜523が形成されている側においてのみ封止を行った場合について図23(A)に示す。封止を行う際には、ベースフィルム上に接着層を有する構造のフィルム529によって封止を行う。フィルム529としては例えばホットメルトフィルムが挙げられる。ホットメルトフィルムはベースフィルム上にベースフィルムよりも軟化点の低い樹脂からなる接着層が形成された構成となっている。ベースフィルムとして使用される材料は、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)等があげられる。また、接着層として使用される材料は、ポリエチレン樹脂、ポリエステル、EVA(エチレンビニルアセテート)等が挙げられる。
また、図23(B)に示すようにアンテナが形成された基板522の両側から2枚のフィルム527、528によって封止を行うようにしても良い。図23(B)のフィルム527、528としては、べースフィルム上に接着層を有する構造のフィルムを用いれば良い。
なお、図22、図23においては、第2の基板515を加熱処理の際に剥離して封止を行う場合について説明したが、第2の基板515を剥離せず、第4の絶縁膜514上に接着したままの状態で封止を行うことも可能である。その場合には、第2の基板515を第4の絶縁膜514に接着する際に用いる接着材は特に限定されず、加熱することによって粘着力が弱まる粘着材を用いる必要はない。もしくは、第2の基板として、熱剥離フィルム以外のフィルム(ホットメルトフィルムなど)を用いることができる。