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JP5208562B2 - 継目無管 - Google Patents

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JP5208562B2
JP5208562B2 JP2008097842A JP2008097842A JP5208562B2 JP 5208562 B2 JP5208562 B2 JP 5208562B2 JP 2008097842 A JP2008097842 A JP 2008097842A JP 2008097842 A JP2008097842 A JP 2008097842A JP 5208562 B2 JP5208562 B2 JP 5208562B2
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Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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SUMIKEI COPPER TUBE CO., LTD.
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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Description

本発明は、空調機、冷凍機等に用いられる熱交換器用の伝熱管、特に、ヘアピン管、内面溝付管の製造に用いられる継目無管用銅合金及び該銅合金製の継目無管に関する。
従来より、ルームエアコン、パッケージエアコン等の空調機、冷凍機等に用いられる熱交換器の伝熱管には、継目無管が多く採用されており、強度や加工性、伝熱性等の諸物性、並びに材料及び加工コストにバランスの取れたりん脱酸銅管(JIS C1220T)が使用されてきた。
近年、これらの熱交換器では、重量の低減又はコストダウンの要求により、継目無管の薄肉化が必要となってきた。
一方、冷媒変更に伴う冷媒圧力の増加や、地球温暖化ガスである冷媒ガスの排出抑制の観点から、配管材料には、高い信頼性が求められるようになってきた。つまり、肉厚が薄くても信頼性が高い配管材料が、要求されている。そして、このような要求を満たすためには、銅合金には、加工性に優れ且つ強度が高いことが求められる。また、該銅合金は、伝熱管や冷却管の原材料となるため、該銅合金には、熱伝導性が高いことも求められる。
しかし、りん脱酸銅では、重量の低減又はコストダウンを目的として薄肉化すると、耐圧強度が低くなり過ぎるため、信頼性が低くなり、薄肉化と高信頼性の要求を両立させることは著しく困難であった。
ところで、熱交換器用の伝熱管には、ロウ付けによる強度低下が小さいことも要求される。すなわち、熱交換器の種類によっては、組み立てられる際に、配管自体が、800℃以上の高温に曝されるため、ロウ付けの前後において、強度変化が小さいことが要求される。
しかし、りん脱酸銅は、高温に曝されると、粒成長が起こり、それを起因とする強度及び延性の低下が起こる。この現象は、信頼性を低くする原因となるため、好ましくない。
そこで、薄肉化ができ且つ信頼性を高くするため、あるいは、ロウ付けによる強度低下の問題を解決するための対策合金として、析出強化型合金及び固溶強化型合金が提案されている。
具体的には、析出強化型合金としては、例えば、特許文献1には、重量%でCo:0.02〜0.2%、P:0.01〜0.05%を含有し、残りがCu及び不可避不純物からなり、前記不可避不純物として含まれる酸素含有量を50ppm以下に規制した組成の銅合金が、また、特許文献2には、ロウ付け熱交換器に用いられ、再結晶温度が高く、優れた伝導率を有する銅合金において、該合金は、0.1重量%以上且つ0.3重量以下のクロムを含むことを特徴とする銅合金が開示されている。また、特許文献3には、継目無管製造用銅合金におけるFe、Zr、P及びOの含有量を、Fe:0.005〜0.8%、P:0.01〜0.026%、Zr:0.005〜0.3%、O:3〜30ppmとし、これ以外の合金成分は実質的に含有しない継目無管用銅合金が開示されている。また、固溶強化型合金としては、特許文献4には、Sn:0.1乃至1.0質量%、P:0.005乃至0.1質量%、O:0.005質量%以下及びH:0.0002質量%以下を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる組成を有し、平均結晶粒径が30μm以下である銅合金が開示されている。また、特許文献5には、Sn:0.1乃至1.0質量%、P:0.005乃至0.1質量%、O:0.005質量%以下及びH:0.0002質量%以下を含有し、残部がCu及び不可避的不純物からなるビレットを、780乃至900℃に加熱して熱間押出加工をした後、750℃以上の温度から冷却することにより、100℃までの平均冷却速度が1.5℃/秒以上となるように冷却し、その後、加工率92%以下の圧延加工及び加工率40%以下の抽伸加工を順次行うことにより得られる熱交換器用銅合金平滑管及び熱交換器用銅合金内面溝付管が開示されている。
特開2000−1728号公報(特許請求の範囲) 特開平10−168531号公報(特許請求の範囲) 特開昭54−92516号公報(特許請求の範囲) 特開2003−268467号公報(特許請求の範囲) 特開2004−292917号公報(特許請求の範囲)
ところが、引用文献1〜5記載の銅合金であっても、加工性及び強度の両方を高くすることは難しく、薄肉化したときの信頼性が不十分であるという問題があった。
すなわち、熱交換器用伝熱管においては、析出強化はロウ付け強度低下を少なくする効果はあるが、ロウ付け温度によっては析出元素の再固溶が起こるため、十分な強度を確保できないという問題があり、このような再固溶のために、粒成長が更に促進されるという問題があった。
また、析出強化は、延性を低下させるため、加工性が悪くなるという問題があった。特に、上述の熱交換器用伝熱管は、熱交換性能を向上させるため、管内面に冷間で転造加工を行って、らせん状の溝を形成させることが一般的である。このようならせん溝の形状は、熱交換器の高性能化の要求に従って、難加工性の形状になってきており、このような溝形状を冷間での転造加工で形成させることが難しくなってきている。従って、冷間での転造加工性は、熱交換器用銅合金材料にとって、非常に重要な要素となっている。
また、熱交換器用伝熱管は、熱交換器に組付けられる際に、ヘアピン曲げと称する強度の曲げ加工が部分的に行われる。このようなヘアピン曲げ加工は、熱交換器のコンパクト化により、その曲げ半径がますます小さくなってきていると共に、銅管の曲げ部の表面しわが発生する等が問題視されてきており、ヘアピン曲げ加工性も、熱交換器用銅合金材料にとって非常に重要な要素となっている(参考文献:特開2004−322141号公報「ヘアピン曲げ銅管および銅管のヘアピン曲げ加工方法」)。
析出強化元素を添加することは、このような転造加工性やヘアピン曲げ加工性に悪影響を及ぼすので、単純に適用することには問題があった。
一方、固溶強化の場合には、十分な強度を維持するためには、析出元素と比較して、多量の添加が必要となり、その結果、熱伝導性が低下するという問題があった。熱伝導性を確保するために更に薄肉化することも考えられるが、十分な強度を確保することが困難であり、実用的ではない。
すなわち、析出強化又は固溶強化のみでは、近年の熱交換器用伝熱管の高性能化の要求を、十分に満足させることはできなかった。
従って、本発明は、加工性に優れ、強度が高く、ロウ付けによる強度低下が少なく、且つ、熱伝導性が高い継目無管用銅合金及び継目無管を提供することにある。また、本発明は、特に、冷間での難加工性の転造加工性及び強度のヘアピン曲げ加工性に優れ、強度が高く、ロウ付けによる強度低下が少なく、且つ、熱伝導性が高い継目無管用銅合金及び継目無管を提供することにある。
なお、特許文献6には、Fe、Cr、Mn、Ni、Ag、Zn、Sn、Al、Si、Pb、Mg、Te、Zr、B及びTiから選ばれる1種又は2種以上の元素を合わせて0.01〜0.5重量%含み、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金が開示されている。しかし、特許文献6に記載されている銅合金は、溶接管用の銅合金である。また、固溶強化元素及び析出強化元素を合わせて添加することを含むものではあるが、上述した高性能の熱交換器用伝熱管に要求される導電率及び加工性をバランス良く合わせ持った銅合金材料を実現することはできない。
特開平6−58688号公報(特許請求の範囲)
本発明者らは、上記従来技術における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、銅合金に、特定の元素を特定の含有量で含有させることにより、加工性、特に、冷間での転造加工性及びヘアピン曲げ加工性に優れ、強度が高く、ロウ付けによる強度低下が少なく、且つ、熱伝導性が高い銅合金が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、銅合金を加工して得られる銅合金製の継目無管であり、
該銅合金は、Snと、0〜0.1質量%のZnと、0.01〜0.06質量%のZrと、0.004〜0.04質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなり、
該銅合金中のSn、Zn及びZrの含有量が、下記式(1)(2)及び(3)
(1)A+B≦0.60
(2)0.4≦A+B+2C≦0.7
(3)0.41≦A+B
(式中、AはSnの含有量(質量%)を示し、BはZnの含有量(質量%)を示し、CはZrの含有量(質量%)を示す。)
のいずれも満たすこと、
を特徴とする継目無管を提供するものである。
本発明によれば、加工性に優れ、強度が高く、ロウ付けによる強度低下が少なく、且つ、熱伝導性が高い継目無管用銅合金及び継目無管を提供することができうる。また、本発明によれば、特に、冷間での難加工性の転造加工性及び強度のヘアピン曲げ加工性に優れ、強度が高く、ロウ付けによる強度低下が少なく、且つ、熱伝導性が高い継目無管用銅合金及び継目無管を提供することができる。
本発明の継目無管は、銅合金を加工して得られる銅合金製の継目無管であり、
該銅合金は、Snと、0〜0.1質量%のZnと、0.01〜0.1質量%のZrと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなり、
該銅合金中のSn、Zn及びZrの含有量が、下記式(1)及び(2):
(1)A+B≦0.60
(2)0.4≦A+B+2C≦0.7
(式中、AはSnの含有量(質量%)を示し、BはZnの含有量(質量%)を示し、CはZrの含有量(質量%)を示す。)
のいずれも満たす継目無管である。
本発明の継目無管に係る該銅合金は、Snと、0〜0.1質量%のZnと、0.01〜0.1質量%のZrと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金であり、
該銅合金中のSn、Zn及びZrの含有量が、下記式(1)及び(2):
(1)A+B≦0.60
(2)0.4≦A+B+2C≦0.7
(式中、AはSnの含有量(質量%)を示し、BはZnの含有量(質量%)を示し、CはZrの含有量(質量%)を示す。)
のいずれもを満たす継目無管用の銅合金である。
そして、本発明の継目無管に係る該銅合金は、好ましくは、更に下記式(3):
(3)0.40≦A+B
(式中、A、B及びCは、前記と同義である。)
を満たし、且つ、Zrの含有量が0.06質量%以下である継目無管用の銅合金である。
本発明の継目無管に係る該銅合金は、Sn及びZrを必須元素として含有し、Znを任意元素として含有し、残部Cu及び不可避不純物からなる銅合金である。
本発明の継目無管において、Sn及びZnには、固溶強化により銅合金の強度を向上させる効果及び常温での延性を向上させる効果がある。また、これらの元素の場合、比較的低温で合金化できるので、製造上有利である。
本発明の継目無管において、Zrには、析出強化により銅合金の強度を向上させる効果がある。また、Zrには、ロウ付け温度が過剰に高くならない前提では、Zr析出物が残存し、結晶粒の粗大化を抑制することにより、強度低下を小さくする効果がある。
本発明の継目無管に係る該銅合金中、Zrの含有量は、0.01〜0.1質量%である。銅合金中のZrの含有量が、0.01質量%未満だと、結晶粒粗大化を抑制する効果が小さく、ロウ付けによる強度低下が大きくなり、また、Sn及びZnによる固溶強化とZrによる析出強化を合わせても銅合金の強化が不十分となる。一方、銅合金中のZrの含有量が、0.1質量%を超えると、過剰な析出硬化が起こり、加工性を低下させる原因となる。特に、冷間での転造加工性が悪くなる。その結果、管内面のらせん溝形状の転写が不十分となり、C1220で得られたような伝熱性能が得られ難くなる。
本発明の継目無管に係る該銅合金中のZnは、Snに比べて、延性を向上させる効果が小さく、また、過剰なZnは応力腐食感受性を高めるため、本発明の継目無管に係る該銅合金では、Snを主として、Znの含有量は0.1質量%以下とする。銅合金中のZnの含有量が0.1質量%を超えると、応力腐食感受性が高くなり過ぎるので好ましくない。また、本発明の継目無管に係る該銅合金では、Snは必須元素であるが、Znは任意元素なので、本発明の継目無管に係る該銅合金中のZnの含有量は、0〜0.1質量%である。また、本発明の継目無管に係る該銅合金は、他の不可避的不純物の含有量の一般的な上限である0.01質量%より、多い量のZnを含有してもよいので、溶解原料としてCu−Zn系銅合金のスクラップを使用することができる。
本発明の継目無管に係る該銅合金中のSnの含有量をA(質量%)、Znの含有量をB(質量%)、Zrの含有量をC(質量%)とすると、本発明の継目無管に係る該銅合金では、A+Bは0.60以下であること、すなわち、下記式(1):
(1)A+B≦0.60
を満たし、
好ましくはA+Bは0.55以下であること、すなわち、下記式(1a):
(1a)A+B≦0.55
を満たす。A+Bが上記範囲内にあることより、熱伝導率が高くなる。一方、A+Bが、0.60を超えると、熱伝導性が低くなり、熱交換器用伝熱管として適用できなくなる。
本発明の継目無管に係る該銅合金では、好ましくは更にA+Bが0.40以上であること、すなわち、下記式(3):
(3)0.40≦A+B
を満たし、且つ、Zrの含有量が0.06質量%以下であり、
特に好ましくは更にA+Bが0.43以上であること、すなわち、下記式(3a):
(3a)0.43≦A+B
を満たし、且つ、Zrの含有量が0.06質量%以下である。本発明の継目無管に係る該銅合金のように、Zr等の析出強化元素を含む銅合金の場合、時効析出によって強度が向上する一方、延性低下を引き起こす。本発明の継目無管に係る該銅合金では、延性の低下による加工性の阻害を抑えるべく、Zrの含有量の上限を0.1質量%としてはいるが、厳しい加工性が必要となる場合、例えば、厳しい曲げ条件によるヘアピン曲げ加工や、高性能化の要求により難加工の内面溝形状を転造加工によって作製する場合などにおいては、十分な加工性を維持するために、SnやZnを積極的に添加することが望ましい。Sn及びZnは、前記のように、常温での延性を向上させる効果があり、Zrの含有量が0.01〜0.06質量%の場合、Zrの含有量を0.06質量%以下とし、且つ、Sn及びZnの合計量を0.40質量%以上とすることにより、加工性改善効果を奏する。
本発明の継目無管に係る該銅合金では、A+B+2Cは0.4〜0.7であること、すなわち、下記式(2):
(1)0.4≦A+B+2C≦0.7
を満たす。
銅合金中のZrの含有量が0.1質量%以下であっても、Sn及びZnの含有量が多過ぎると、加工硬化が著しくなり、加工性、特に、冷間での引き抜き加工性が悪くなり、焼き鈍し工程の追加等のコスト増大を招く要因となるので、A+B+2Cを0.7以下とする必要がある。
また、A+B+2Cを0.4以上とし、且つ、Zrの含有量を0.01質量%以上とすることにより、厳しい加工性が必要となる場合でも、継目無管の強度を最低限維持することができる。一方、A+B+2Cが0.4未満だと、継目無管の強度が不足する。
本発明の継目無管に係る該銅合金中のPの含有量は、0.004〜0.040質量%であることが好ましく、0.015〜0.030質量%であることが特に好ましい。銅合金が、P元素を0.004質量%以上含有することにより、材料中の脱酸が十分であることが示される。そして、銅合金中のPの含有量が、多すぎると、銅合金の熱伝導性が低くなるので、銅合金中のPの含有量は、0.040質量%以下が好ましい。
本発明の継目無管に係る該銅合金は、冷間での加工性に優れ、強度が高く、且つ、熱伝導性が高いので、管内面に溝が形成される熱交換器用伝熱管の製造用に好適に用いられる。そのため、該銅合金を加工して得られる本発明の継目無管は、冷間での転造加工に優れている。
本発明の継目無管は、管内面に溝が形成されている内面溝付管であり、熱交換器用の伝熱管として用いられる。
本発明の継目無管は、常法に従って、溶解、鋳造し、所定の元素が所定の含有量で配合されているビレットを得る鋳造工程を行い、次いで、造塊されたビレットを均質化する均質化処理→熱間押出加工→圧延加工又は引抜加工等の冷間加工の順に行い、次いで、冷間で転造加工を行い、管内面にらせん状の溝を形成させ、次いで、時効処理することにより製造される。また、必要に応じて、上記工程内に、中間焼鈍、溶体化処理又は焼入れ処理を加えることもできる。
該鋳造工程では、例えば、銅の地金及び本発明の継目無管用銅合金の含有元素の地金又は該含有元素と銅の合金を、本発明の継目無管用銅合金中の含有量が、所定の含有量となるように配合して、成分調整を行い、次いで、高周波溶解炉等を用いて、ビレットを鋳造する。
Zrは活性な金属なので、溶解時の酸化ロスが多くなるため、成分調整においては、Zrの溶解時の酸化ロスを考慮した配合が必要である。
また、該鋳造工程では、Pを配合することにより、溶湯の流動性が高くなるので、鋳造性が高くなり、ガス孔等の鋳造欠陥の発生が抑制され、また、脱酸効果が得られるので、上記Zrの溶解時の酸化ロスを少なくすることができる。そして、Pの配合量が多くなりすぎると、銅合金中のP元素の含有量が多くなりすぎるため、熱伝導性が低くなる。そのため、該鋳造工程では、銅合金中のP含有量が、0.004〜0.040質量%となるようにPを配合することが好ましく、0.015〜0.030質量%となるようにPを配合することが特に好ましい。
該鋳造工程で得られたビレットを、所定の温度で均質化処理した後、熱間押出加工を行う。また、該熱間押出加工前に、ビレットを加熱するが、この熱間押出加工前の加熱に、均質化処理を兼ねさせることもできる。該熱間押出加工は、マンドレル押出によって行われる。すなわち、加熱前に、冷間で予め穿孔したビレット、あるいは、押出前に熱間で穿孔したビレットに、マンドレルを挿入した状態で、熱間押出を行なって、継目無熱間押出素管を得る。
該熱間押出加工により得られた該継目無熱間押出素管を、冷却した後、圧延加工や引き抜き加工等の冷間加工を行い、管の外径及び肉厚を減じていく。
該時効処理は、該冷間での転造加工を施した銅管を、400〜700℃で加熱し、冷却することにより行なわれる。
該転造加工は、引抜加工後の内面平滑素管内に、外面にらせん状の溝加工を施した転造プラグを配置して、高速回転する複数の転造ボールによって、管の外側から押圧して、管の内面に転造プラグの溝を転写することにより行われる(特開2003−191006号公報参照)。
近年、管内面のらせん溝の形状については、伝熱管の高性能化の要求のもと、らせん角度を大きくしたり、フィンの高さを高くしたり、フィンの幅を小さくしたり、各種の方策が講じられている(特開2001−33185号公報参照)。このような加工は、転造加工性を低下させることになるので、転造加工性が悪い銅合金だと、転造速度を遅くすることが必要となったり、正常な溝の形成自体が困難となったりする。また、最近では、地球温暖化防止等の見地から、従来のフロン系冷媒から炭酸ガス冷媒に転換が図られてきている。このような炭酸ガス冷媒用の内面溝付管においては、冷媒の運転圧力が高いので、従来より厚肉化することが必要なため、転造加工による内面溝の形成がより難しくなってきている。
本発明の銅合金は、上述した組成を有するので、優れた転造加工性を有している。また、本発明の銅合金は、該冷間での転造加工で、内面溝のらせん角度を大きくしたり、フィンの高さを高くしたり、フィンの幅を小さくしたり、あるいは、厚肉化したりしても、転造加工性が良好であり、本発明の継目無管には正常なフィンが形成されている。
このようにして作製された本発明の継目無管は、熱交換器用の伝熱管としてコイル形状に巻き取られ、熱交換器(クロスフィンチューブ型熱交換器)作製工程に供される。
該クロスフィンチューブ型熱交換器は、空気側のアルミニウムフィンと冷媒側の伝熱管が一体に組付けられて構成されているものである。
該クロスフィンチューブ型熱交換器作製工程では、先ず、プレス加工等により、所定の組付け孔が複数形成されたアルミニウムプレートフィンを作製する。
次いで、得られたアルミニウムプレートフィンを積層した後、前記組付け孔の内部に、伝熱管を挿通する。該伝熱管は、該冷間での転造加工によって内面に溝が形成された本発明の継目無管を、定尺切断及びヘアピン曲げ加工して作製される。
次いで、該伝熱管を、該アルミニウムプレートフィンに拡管固着し、ヘアピン曲げ加工を施した側とは反対側の伝熱管端部に、Uベンド管をロウ付けして、熱交換器を作製する。
このような工程中で、本発明の継目無管は、ヘアピン曲げ加工という強加工が施される。該ヘアピン曲げ加工は、継目無管に中子を挿入した上で、管をU字状に曲げ加工するような加工である。
また、本発明の継目無管は、高強度の内面溝付ヒートパイプ用としても適用可能である。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例)
(銅合金の製造)
Cu、Sn及びZnの地金又はスクラップ、並びにCu−Zr母合金及びCu−P母合金を用いて、表2に示す成分に配合し、高周波溶解炉を用いてφ254mmの鋳塊を製造後、熱間押出を行い、φ81mm×t1.5mm管(押出素管)とした。そして、該押出素管を、熱間押出後直ちに水槽へ投入して冷却した。次いで、φ81mm×t1.5mm管を、冷間で圧延加工し、さらに冷間で引抜加工及び適宜中間焼鈍を行って、転造加工用の原管(引き抜き加工素管)を作製した。
(加工性評価)
1.転造加工性評価
<転造加工試験>
上記で得た引抜加工素管の転造加工を行い、図1及び表1に示す形状の内面溝付継目無管を作製した。なお、図1は、転造加工試験の溝形状を示す図である。
比較的転造加工性の容易な溝形状として、溝形状1を選択した。また、高性能化を目的として、フィン高さを高く、フィン頂角を小さく、らせん角を大きくした難加工性の溝形状として、溝形状2を選択した。
Figure 0005208562
*フィン幅w:フィンの高さ方向の真ん中の位置のフィン幅である。
*フィンピッチPf:フィンの根本の位置でのフィン同士の間隔である。
<評価方法>
正常なフィン形状が得られたものを「○」と、正常なフィン形状が得られなかったものを「×」とした。その結果を表3に示す。
なお、正常なフィン形状が得られたかったものとは、転造加工時に、転造プラグの溝にメタルが十分に充満しない部分が生じたものである。
(機械的性質評価)
上記転造加工試験により得た溝形状の継目無管を、表4に示す時効処理温度にて時効処理を行った後、JIS Z 2241に準じ、0.2%耐力、引張強さを測定した。その結果を表4に示す。
なお、時効処理を、Zrの含有量によって、430℃、520℃又は650℃のいずれかの温度にて行った。表2及び表3中の試験No.7については、520℃と、650℃と、の2種類の温度で時効処理を行った。
(導電率評価)
上記転造加工試験により得た溝形状の継目無管を、表4に示す時効処理温度にて時効処理を行った後、四端子法にて導電率を測定した。その結果を表4に示す。
(加工性評価)
2.ヘアピン曲げ加工性評価
<ヘアピン曲げ加工試験>
上記転造加工試験により得た溝形状1の継目無管を、表4に示す時効処理温度にて時効処理を行った後、管内に心金を挿入し、ベンダーで曲げ加工を行う公知のヘアピン曲げ加工方法により、図2に示す形状のヘアピン曲げ管を作製した。なお、曲げピッチP=16mmとした。
<評価方法>
曲げ部(図2中、矢印10で示す部分)にしわの発生がなかったものを合格とした。その結果を表4に示す。
なお、表中には、性能評価の指標とするために、りん脱酸銅C1220についても測定した結果を記載した。
Figure 0005208562
*表2中の数値は、「質量%」である。
Figure 0005208562
1)C1220:りん脱酸銅C1220
Figure 0005208562
1)C1220:りん脱酸銅C1220
<試験No.1〜24>
No.1〜24のいずれも、耐力、引張強さ、導電率のいずれについても良好であり、また、溝形状1の転造加工試験に合格し、加工性は良好であった。このことから、No.1〜24は、いずれも、加工性に優れ、強度が高く、且つ、熱伝導性が高く、総合的に性能のバランスが良い継目無管であった。
特に、No.1〜10、21及び22は、難加工性の溝形状2の転造加工試験及びヘアピン曲げ加工試験も合格し、冷間での加工性に関し顕著な加工性を示した。
No.21は、P含有量が高いため、No.9と比較して、導電率が若干低くなり、熱伝導率が若干劣る。
No.22は、P含有量が低いため、No.9と比較して、脱酸が十分ではなく、熱交換器組み立て工程中の、炉中ろう付けをする際に、雰囲気(水素ガス)の影響によって、水素脆化を生じるものが見られた。
<No.31及び33>
Zr含有量が低いため、耐力、引張強さが不十分であった。
<No.39、40及び41>
A+B+2Cの値が低過ぎるため、耐力、引張強さが不十分であった。
<No.34、35及び36>
A+B+2Cの値が高過ぎるため、加工性が悪く、溝形状1の転造加工試験が不合格であった。そのため、溝形状2の転造加工試験及びヘアピン曲げ加工試験を行わなかった。
<No.37及び38>
Zr含有量が多過ぎるため、加工性が悪く、溝形状1の転造加工試験が不合格であった。そのため、溝形状2の転造加工試験及びヘアピン曲げ加工試験を行わなかった。
<No.32>
A+Bの値が高過ぎるため、導電率が低過ぎる結果となった。そのため、熱伝導率が低過ぎて、熱交換器用としての使用に適さない。
<No.42>
強度、導電率、加工性とも良好な結果であったが、Zn含有量が多過ぎるため、応力腐食割れ感受性が高くなり、熱交換器用としての使用に適さない。
本発明によれば、加工性、特に、冷間での転造加工性及びヘアピン曲げ加工性に優れ、強度が高く、ロウ付けによる強度低下が少なく、且つ、熱伝導性が高い継目無管を提供することができるので、高性能な熱交換器又は冷媒として二酸化炭素を用いる熱交換器を製造できる。また、該継目無管は、この他、高強度の内面溝付ヒートパイプとして適用することも可能である。
転造加工試験の溝形状を示す図である。 ヘアピン曲げ加工試験で作製する継目無管の形状を示す図である。
符号の説明
10 曲げ部
D 外径
t 肉厚
h フィン高さ
α フィン頂角
w フィン幅
Pf フィンピッチ
P 曲げピッチ

Claims (2)

  1. 銅合金を加工して得られる銅合金製の継目無管であり、
    該銅合金は、Snと、0〜0.1質量%のZnと、0.01〜0.06質量%のZrと、0.004〜0.04質量%のPと、を含有し、残部Cu及び不可避不純物からなり、
    該銅合金中のSn、Zn及びZrの含有量が、下記式(1)(2)及び(3)
    (1)A+B≦0.60
    (2)0.4≦A+B+2C≦0.7
    (3)0.41≦A+B
    (式中、AはSnの含有量(質量%)を示し、BはZnの含有量(質量%)を示し、CはZrの含有量(質量%)を示す。)
    のいずれも満たすこと、
    を特徴とする継目無管。
  2. 前記銅合金中のSn、Zn及びZrの含有量が、更に、下記式(3a):
    (3)0.4≦A+B
    (式中、A、B及びCは、前記と同義である。)
    を満たすことを特徴とする請求項1記載の継目無管。
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