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JP5191393B2 - インターロイキン11の心疾患治療薬としての利用 - Google Patents

インターロイキン11の心疾患治療薬としての利用 Download PDF

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Description

本発明は、インターロイキン11の心疾患治療薬としての利用に関し、より詳細には、インターロイキン11の新たな効能としてin vitro並びにin vivoでの心筋保護効果を見出し、これを心疾患の予防又は治療用薬剤として利用するものである。
心筋の恒常性の維持には様々なサイトカインが重要な役割を果たしていることが知られている。中でもインターロイキン6(IL-6)関連サイトカインであるleukemia inhibitory factor(LIF)は、gp130(glycoprotein 130)/JAK経路を介して細胞内へとシグナルを伝達し、心臓の保護や血管新生、心筋細胞の肥大など様々な作用を持つことが報告されている(非特許文献1・2)。しかし一方で、LIFは強力に炎症を誘発することから(非特許文献3)、LIFを用いた心血管病に対するサイトカイン療法は一般に困難であると考えられている。即ち、LIFは発熱性などの副作用があるため、薬として実用化できないとされている。
IL-6関連サイトカインにはLIFの他に、IL-6、Cardiotrophin-1、Oncostatin M、インターロイキン11(以下、「IL-11」と略して表記する場合がある。)等がある。これらのサイトカインは、いずれもそれぞれのサイトカインに対して特異的なαレセプターに結合し、共通のβ鎖であるgp130と結合する過程を経て、下流のシグナル伝達系を活性化することが明らかとなっている(非特許文献4)。同一の伝達経路を介し、機能的な重複を持つ一方で、これらのサイトカインが全く異なった作用を示すことも報告されている(非特許文献5)。心筋において、LIFとシグナル伝達系を共有しながら炎症誘発性の低いサイトカインを探索することにより、心血管病に対する新たなサイトカイン療法の確立が期待できる。
IL-11には抗炎症性サイトカインとしての働きが報告されている(非特許文献6)。また、血小板増殖因子でもあり、米国では癌化学療法による血小板減少症に対する治療薬として承認され、有効性と安全性に関する報告もなされている(非特許文献7)。わが国においても癌化学療法時の血小板減少症を対象とした臨床試験が行われ、安全性に関する一定の知見が得られている(非特許文献8・9)。しかし、これまで、IL-11の心臓に対する作用の検討は十分には行われておらず、心血管病への応用という観点からの取り組みはなされていなかった。
下記の特許文献1には、IL-11が抗炎症作用を有することから、「心筋梗塞後の再灌流障害」を含む各種疾患に有効である旨開示されている。しかし、「心筋梗塞後の再灌流障害」に対するIL-11の有効性を実際に確認した実施例は何ら開示されておらず、IL-11が本当に心疾患に対する治療効果を有するのかどうかについては、同文献からは不明である。
Circulation. 2003;108:748-753. J Biol Chem. 1996;271:9535-45. Stem Cells. 1999;17:127-37. Annu Rev Immunol. 1997;15:797-819. Ann. N. Y. Acad. Sci. 1998;856:12-21. J. Immunol. 1997;157:3627-3634. Blood. 1996;87:3615-3624. Gan To Kagaku Ryoho. 2005;32:489-96. Gan To Kagaku Ryoho. 2005;32:479-87. 特表平11−508556号公報
現在、新規薬剤を用いた、心疾患に対する効果的な治療法の確立が求められている。たとえば心不全は、治療においてACE阻害剤(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)、β遮断薬、利尿薬およびARB(アンジオテンシンII受容体拮抗剤)などが用いられているが、その効果は決して十分とは言えず、依然予後不良な病態である。これらの薬剤は、心筋傷害に関連する神経体液因子のシグナルをブロックするものである。わが国を含め、全世界において心不全治療に要する年間の医療費が巨額にのぼることを考慮すると、心不全の発症予防あるいはその治療法の確立に向けられた新規薬剤の開発は、医療上多大な貢献をするものといえる。
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであって、その目的は、インターロイキン11の心疾患治療薬としての利用可能性について検討し、その知見に基づき、インターロイキン11を有効成分とする心疾患の予防又は治療用薬剤等を提供することにある。
前述のように、他の医薬用途(血小板減少症治療薬剤)に用いられているインターロイキン11(IL-11)は、炎症作用が少ないIL-6関連サイトカインのひとつであり、このIL-11について、心疾患の発症予防およびその治療への応用の可否を検討した。その結果、心筋細胞および心臓に対して直接有するIL-11の様々な作用を明らかにすると共に、in vivoにおいて、(1)IL-11が虚血再灌流に対する心筋保護に有用であること、(2)IL-11が心筋細胞からの血管内皮増殖因子の発現を増強し、心筋内血管形成を促進すること、および、(3)IL-11が、心筋組織傷害後に投与された場合にも、組織の修復、再生に有効であること、等を見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、インターロイキン11のin vivoでの心筋保護効果を実証し、インターロイキン11を有効成分とする心疾患の予防又は治療用薬剤を提供するものである。本発明によれば、インターロイキン11の心筋保護作用によって、心筋傷害の進展を抑制し、心不全発症を予防し、あるいは、心不全の進展を抑制することができる。
本発明者は、IL-11の心筋細胞および心臓に対する影響をin vitro、in vivoの両面から検討した。その結果、次に示すように、心筋細胞および心臓におけるIL-11の様々な作用を明らかにした。
まず、心筋細胞および心臓において、IL-11受容体が発現していることを明らかにした(図1)。このことは、生体において、心筋組織がIL-11の直接の標的となり、IL-11が心筋組織に直接作用することを示すものである。
次に、IL-11の心臓におけるシグナル伝達系に与える影響を検討するため、培養心筋細胞に対してIL-11処置を行い、シグナル伝達系の下流分子STAT3およびERK1/2の活性化(リン酸化)を解析した。その結果、IL-11による心筋細胞でのSTAT3およびERK1/2の速やかな活性化が確認された(図2、3)。また、このsubmaximalな活性化は20 ng/mlのIL-11濃度で認められ(図4)、この程度の生理的濃度のIL-11が心筋へシグナルを伝達し得ることが示された。
さらに、IL-11によって、培養心筋細胞の面積を顕著に増大させる(図5)と共に、心筋細胞のviability(生存力)を増強する(図6)ことが分かった。面積の増加は、細胞の長軸方向への伸長によるものである。gp130を介したERK familyの活性化経路は心筋細胞の肥大に関与することが報告されているので、IL-11はERKを介してシグナルを伝達していると考えられる。また、MTSアッセイの結果、上記のように、IL-11による心筋細胞のviability(生存力)増強効果が認められ、IL-11が、in vitroにおいて、無血清による培養心筋細胞のダメージから心筋細胞を保護する作用を有することが分かった。
上述のように、培養心筋細胞においてIL-11によるSTAT3の活性化が観察されたことから、生体内でも心臓でIL-11がSTAT3を活性化し、それに伴い毛細血管密度が増加する可能性が考えられた。そこで、マウスに対してIL-11の反復投与を行い、心臓の毛細血管密度を検討した。その結果、IL-11反復投与マウスでは、コントロール群と比較して平均で約1.2倍の毛細血管密度の増加が見られ(図7)、IL-11が、生体内で心血管の形成促進作用を有することが分かった。
STAT3活性化による毛細血管密度の増加には、血管形成の調節因子であるVEGF(血管内皮増殖因子)発現上昇の関与が考えられたので、培養心筋細胞に対するIL-11処置がVEGF mRNA発現量に及ぼす影響を検討した。その結果、IL-11が、VEGF mRNA発現を増強することが分かった(図8)。VEGFのプロモーターにはSTAT3の調節部位が同定されており、IL-11反復投与時に見られた毛細血管密度の増加には、STAT3活性化に伴うVEGFの発現誘導が重要と考えられる。
これらの知見に加えて、IL-11の前投与が、心筋の虚血再灌流傷害を減少させること、即ち、再灌流後の心筋梗塞を抑制し、心保護作用を示すことを、次のマウス虚血再灌流モデルを用いた検討によって明らかにした。
マウスに対し、IL-11を200ng尾静脈から前投与し、その18時間後、開胸し、マウスの左冠動脈を結紮し虚血を誘発した。1時間の虚血後、1時間の再灌流を行い、心筋の梗塞領域をTTC(triphenyltetrazolium chloride)染色にて評価した。その結果、コントロールに比して、IL-11投与群では梗塞領域が約60%縮小した(図9)。
さらに、心筋傷害後にIL-11が投与された場合にも、IL-11の心筋保護効果が認められ、組織の修復、再生に有効であることを明らかにした(図10)。また、IL-11をマウスに静注すると、心臓において速やかに、活性酸素種スカベンジャーであるメタロチオネイン(MT-1, MT-2)および細胞保護因子であるSPRR(small proline rich repeated protein)の発現が誘導され(図11)、これら分子の心臓での活性が促進されることが分かった。
更なる解析の結果、心筋傷害後にマウスにIL-11を投与した場合に生存率が向上し、IL-11は心筋梗塞後の生存を高める効果をもつこと(図12)、および、IL-11は心筋梗塞後の炎症性サイトカインの発現を抑制(阻害)し、梗塞組織において抗炎症作用を有すること(図13)も明らかにした。
以上のように、IL-11は、in vitroのみならずin vivoにおいても心筋保護作用を示し、虚血再灌流傷害を抑制する効果が認められた。虚血再灌流傷害は、心筋内に発生する活性酸素による心筋の傷害であり、他の様々な心筋傷害と共通の機序によるものと考えられることから、IL-11を有効成分とする本発明の心疾患の予防又は治療用薬剤は、虚血再灌流傷害に限らず、他の心筋疾患(心筋損傷)、心血管疾患、心不全および虚血性心疾患(狭心症および心筋梗塞を含む)などの心疾患に対して幅広く有効である。
また、前述のように、心筋細胞および心臓におけるIL-11の新たな作用が今回の解析によって明らかにされたので、本発明は、心疾患の予防又は治療用薬剤のみならず、IL-11を有効成分とする心筋保護剤、心筋細胞の生存力増強剤、心血管形成促進剤、活性酸素種スカベンジャーおよび細胞保護因子の心臓での活性促進剤もしくは発現増強剤、をも提供するものである。ここで、「心筋保護剤」とは、換言すれば、「心筋リモデリング抑制剤」もしくは「心筋傷害後の心筋修復・再生促進剤」のことをいう。「心筋リモデリング抑制剤」とは、心筋が、傷害に対し、組織線維化など長期的に心機能維持に不利な反応をすること(心筋リモデリング)を抑制する薬剤であり、従って、心筋が機能を維持できるように、傷害からの回復、再生を促す薬剤である。
次に、本発明の薬剤の使用例について説明する。本発明の薬剤は、有効成分であるインターロイキン11(IL-11)、そのアナログ、誘導体もしくは改変体をそのまま、あるいは、基剤(vehicle)や慣用の医薬製剤担体とともに医薬用組成物となし、ヒト(または動物)に投与することができる。医薬用組成物の剤形としては特に制限されるものではなく必要に応じて適宜選択すればよいが、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口剤、注射剤、坐剤、塗布剤等の非経口剤が挙げられる。もっとも、投与方法としては、非経口投与の方法が好ましく、静注のほか、皮下注射、点鼻投与、心臓への直接投与による方法が例示される。
錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤等の経口剤は、例えば、デンプン、乳糖、白糖、トレハロース、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等を用いて常法に従って製造される。これらの製剤中のIL-11の配合量は特に限定されるものではなく適宜設定できる。この種の製剤には、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を適宜に使用することができる。
非経口剤の場合、患者の年齢、体重、疾患の程度などに応じて用量を調節し、たとえば、静注、点滴静注、皮下注射、点鼻投与、腹腔内注射、筋肉注射、心臓への直接投与などによって全身又は局所に投与する。IL-11の用量は、このように、患者の年齢、体重、疾患の程度などにより異なるが、非経口剤として本発明の所望の効果を発揮せしめるために適当なIL-11の投与量は、通常、成人で1日あたり8μg/kg(体重)程度が目安となる。この非経口剤は常法に従って製造され、希釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水等を用いることができる。さらに必要に応じて、殺菌剤、防腐剤、安定剤を加えてもよい。また、この非経口剤は安定性の点から、バイアル等に充填後冷凍し、通常の凍結乾燥処理により水分を除き、使用直前に凍結乾燥物から液剤を再調製することもできる。さらに必要に応じて、等張化剤、安定剤、防腐剤、無痛化剤を加えてもよい。これら製剤中のIL-11の配合量は特に限定されるものではなく任意に設定できる。その他の非経口剤の例として、外用液剤、軟膏等の塗布剤、直腸内投与のための坐剤等が挙げられ、これらも常法に従って製造される。
その他、公知のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)を利用し、たとえば、IL-11またはIL-11をコードする遺伝子発現ベクターをリポソームなどの運搬体に封入して体内投与してもよい。
また、心疾患の発症予防用として用いる場合などは、IL-11を機能性食品、サプリメントなどの食品(食用組成物)の原材料に使用し、心疾患予防効果のある食品開発に利用することも可能である。すなわち、各種飲料や各種加工食品の原材料としてIL-11を飲食品に添加したり、必要に応じてデキストリン、乳糖、澱粉等の賦形剤や香料、色素等とともにペレット、錠剤、顆粒等に加工したり、またゼラチン等で被覆してカプセルに成形加工して心疾患予防効果のある健康食品や保健食品等として利用できる。
以上のように、本発明は、IL-11を用いて、心筋組織の保護を行う。従来の心筋保護作用を有する薬剤のほとんどは、心筋傷害に関連する神経体液因子のシグナルをブロックするものであるが、本発明は、IL-11を用いて、心筋保護シグナル・血管新生シグナルを活性化することを特徴とする。
その他、本発明の薬剤の特徴として、以下の点が挙げられる。
(1)直接的、間接的に標的とする細胞は、心筋細胞、血管内皮細胞、心筋組織幹細胞、心筋組織繊維芽細胞など心筋組織構成細胞である。
(2)心筋組織損傷後の炎症反応のコントロールではなく、炎症反応の原因となる心筋組織損傷そのものを防ぐ作用を有する。
(3)また、心筋組織傷害後の組織の修復過程において、細胞保護機能、血管新生能、血管発生能などの心筋組織修復・再生能のmodulatorとしてIL-11を用いている。
(4)本発明の薬剤によれば、血管形成促進、心筋組織幹細胞の分化誘導など、傷害後数日後から数週間後に及ぶ組織修復・組織再生過程に対する長期間の有効性を期待できる。したがって、たとえば心筋梗塞後の心不全発症予防の有効性についても、長期間の有効性を期待できる。
心筋細胞および心臓からRNAを抽出し、IL-11受容体mRNAの発現の有無をRT-PCR法により検討した結果を示す図である。 培養心筋細胞における、IL-11(20 ng/ml)刺激によるSTAT3、ERK1/2の活性化(リン酸化)をWestern blotにて解析した結果を示す図である。ポジティブコントロールとして、LIF(1×103 U/ml)で刺激した結果も示す。 (a)(b)は、上記Western blot解析によって、IL-11刺激後のSTAT3、ERK1/2の活性化の経時的変化をそれぞれ調べた結果を示すグラフである。値は、4回の独立した実験の平均±S.E.である。ポジティブコントロールとして、LIFの結果も示す。 (a)(b)は、上記Western blot解析によって、培養心筋細胞を様々なIL-11濃度で刺激し、STAT3活性化におけるIL-11濃度依存性を検討した結果を示す図である。(a)は代表的なイムノブロットの結果、(b)は4回の独立した実験の平均±S.E.を示す。 (a)〜(c)は、IL-11が培養心筋細胞に及ぼす形態学的影響を検討した結果を示す図である。(a)は、細胞をIL-11 (20 ng/ml)で24時間処置し、抗sarcomeric α-actinin抗体による免疫染色を行い、観察した結果である。無処置(cont)の結果、および、ポジティブコントロールとしてLIF(1×103 U/ml)で処置した結果も示す。(b)(c)は、細胞の肥大、伸長を定量化するために、抗体陽性細胞(n=151-227)の面積、長軸、短軸方向の長さを測定した結果を示すグラフである。平均±S.D.を示す。 所定濃度のIL-11の存在下(または非存在下)、心筋細胞を無血清培地で72時間培養後、MTS(3-(4,5-ジメチルチゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム)アッセイを用いて細胞のviabilityを評価した結果を示すグラフである。ポジティブコントロールとして、LIFの結果も示される。値は、各条件8回の平均±S.E.である。 (a)(b)は、IL-11投与マウスにおいて、コントロール群と比較して、心臓の毛細血管密度が増加したことを示す図である。(a)は心臓の切片を抗CD31抗体で免疫染色して観察した結果、(b)は複数のマウスの平均±S.D.を示す。 IL-11(20 ng/ml)刺激後の培養心筋細胞のVEGF mRNA発現の経時的変化を、Real-time RT-PCR法によって調べた結果を示すグラフである。VEGF mRNA発現量は、β-actin mRNA発現量によって補正した。値は、4−5回の独立した実験の平均±S.D.である。「*」は、0時間に対して統計上有意であることを示す。 (a)(b)は、IL-11投与が心筋に対し虚血再灌流に対する抵抗性を付与したことを示す図である。(a)は虚血再灌流前にIL-11を投与したマウスの心臓切片をEvans BlueおよびTTCで染色し、コントロールと比較した結果、(b)は複数のマウスの平均±S.D.を示す。 心筋梗塞モデルマウスを用いた実験結果を示す図である。冠動脈を結紮し、心筋梗塞モデルマウスを作製した。(図中「×」は結紮部位を示す。)結紮翌日から5日間IL-11を投与し、結紮28日後に心臓を取り出し、心筋組織の線維化を検討した。グラフは、梗塞領域(infarct area,左室筋面積あたりの線維化領域の面積)の平均±S.D.を示す。 IL-11投与による活性酸素種スカベンジャーおよび細胞保護因子の発現誘導の有無を、半定量RT-PCR解析によって検討した結果を示す図である。IL-11は、活性酸素種スカベンジャーであるメタロチオネイン(MT-1, MT-2)および細胞保護遺伝子SPRR(SPRR1A)の発現を誘導したが、COX2、iNOSの発現誘導は認められなかった。 冠動脈を結紮し、心筋梗塞モデルマウスを作製後にIL-11を投与した場合に、コントロール群(PBS投与群)と比較して生存率が向上するかどうか検討した結果を示すグラフである。コントロール群の数はn=15、IL-11投与群の数はn=12である。 マウスに心筋梗塞を作製後IL-11を投与した場合に、梗塞組織において各サイトカイン(IL-6,IL-1βおよびTNF-α)の発現量がどのように変化するか検討した結果を示すグラフである。偽手術(Sham手術)群の数はn=7、コントロール(PBS投与)群の数はn=6、IL-11投与群の数はn=6、グラフ縦軸は相対値である。「†、*」は、偽手術群に対して統計上有意であることを、「‡、#」は、コントロール群に対して統計上有意であることを示す。
以下図面を参照しつつ、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
[1]方法
ラット新生仔心筋細胞の培養
ラット新生仔心筋細胞の培養は、Kunisadaらの方法(Circulation. 1996;94:2626-2632.)に従った。即ち、生後1日目のWistar系ラットより摘出した心臓を、分解酵素液 (20 mM HEPES, 130 mM NaCl, 3 mM KCl, 1 mM NaH2PO4・2H2O, 4 mM glucose, 3.3μM phenol red, 0.1% collagenase type IV, 0.1% trypsin, 30μg/ml DNase I) 処理によって単一細胞とした後、dish への接着時間差によって心筋細胞を分離した。細胞の培養は5% neonatal calf serum (NCS)、0.1μg/ml Bromodeoxyuridine (BrdU) を含むDalbecco's modified Eagle's medium/Ham F12 (DMEM/HamF12) にて行った。この方法により95%以上の純度の心筋細胞が得られることを、抗sarcomeric α-actinin抗体による免疫染色により確認している。
添加実験に使用したIL-11はPEPROTECHから、LIFはChemicon internationalから購入した。
免疫染色・形態観察
心筋細胞をサイトカインにて刺激した後、培地を吸引除去し、PBS(-) にて2回洗浄後、3.7%ホルムアルデヒドで10分間固定を行い、0.2% Triton X-100 in PBS(-) で2分間処置した。PBS(-) で洗浄後、一次抗体として抗sarcomeric α-actinin抗体 (1:100; SIGMA) を室温にて30分間反応させた。続いて、二次抗体としてAlexa 488-conjugated goat anti-mouse IgG (1:200; Molecular Probe) を室温にて30分間反応させた後、蛍光顕微鏡 (IX70; OLYMPUS) を用いて心筋細胞の形態を観察し、撮影を行った。細胞画像をImageJ (NIH) にて処理し、細胞の面積、幅、長さを計測した。細胞形態定量化におけるパラメータの定義はWollertらの方法(J Biol Chem. 1996;271:9535-45.)に従った。
Western blot法
Western blot法は、Nakaokaらの方法(Circ. Res. 2003;93:221-229.)に従った。心筋細胞をサイトカインで刺激し、PBS(-)で2回洗浄後、SDS-sample buffer (62.5 mM Tris-HCl;pH6.8, 10% glycerol, 2% SDS, 0.001% bromophenol blue, 5% 2-mercaptoethanol) に溶解、回収し、95℃にて5分間熱変性させた後、-80℃で保存した。
サンプルをSDS-ポリアクリルアミドゲルで分離した後、PVDF膜 (Millipore) に転写した。PVDF膜は2%スキムミルクでブロッキングし、一次抗体として、anti-phospho-STAT3 antibody(Cell Signaling Technology)、anti-phospho-ERK1/2 antibody(Cell Signaling Technology)(1:500)を、二次抗体として、horseradish peroxidase (HRP) 標識rabbit IgG抗体 (Santa Cruz Biotechnology) (1:5000) を用いた。反応後、Chemi-Lumi One (nacalai tesque) を用いて、シグナルをX線フィルム上に検出した。画像解析にはScion Image (Scion Corporation) を使用した。リン酸化の程度を定量化するため、anti-STAT3 antibody (Santa Cruz Biotechnology)、anti-ERK1/2 antibody (Cell Signaling Technology) にて、それぞれの総タンパクを検出し、リン酸化体のバンドの補正に用いた。
RT-PCR
Total RNAはacid guanidinium thiocyanate-phenol-chloroform法(Anal. Biochem. 1987;162:156-159.)により調製した。即ち、細胞をQIAzolTM (QIAGEN) で溶解し、添付のプロトコルに従ってtotal RNAの抽出を行った。抽出したtotal RNAはRNase-free水に溶解後、吸光光度計を用いて濃度測定をすると共に、260nmと280nmにおける吸光度の比から純度の確認を行った。RNAサンプルはPCR反応まで-80℃で保存した。
IL-11 receptor mRNA発現のRT-PCR法による検出は、次のプライマーを用いた。
forward: 5’-GTGTCCTGGTTTCGGGATGG-3’(配列番号1)
reverse: 5’-TCCAGGTGCCAGCATCCAGA-3’(配列番号2)
逆転写反応はtotal RNA 1μgを鋳型とし、oligo (dT)12-18 primer (Invitrogen) 0.5μg、dNTP各0.5 mM、RNase Inhibitor (TOYOBO) 40 units及びReverTra Ace (TOYOBO) 100 unitsを含むRT反応液20μl中で42℃ 55分、70℃ 15分の反応によりcDNAを合成した。反応終了後、滅菌蒸留水を加え、40μlとした。IL-11 receptorに対するPCRは、cDNA溶液0.5μlを鋳型とし、上述のプライマーを各0.2μM、dNTPを各0.2 mM、2 U AmpliTaq Gold DNA polymerase (Applied Biosystems)、10×PCR Buffer (100 mM Tris-HCl pH8.3、500 mM KCl、15 mM MgCl2を含む) 2.5μlを用いて全量25μlで行った。反応条件は94℃で10分加熱後、熱変性を94℃で30秒、アニーリングを60℃で30秒、伸長反応を72℃で1分を35サイクル繰り返して、最後に72℃で7分の伸長反応を行った。
PCR産物を2%アガロースゲルで電気泳動し、ethidium bromide 染色後、UVトランスイルミネーターにより泳動後のバンドを検出した。
Real-time RT-PCR法によるVEGF mRNA定量化の方法を以下に示す。VEGFのmRNA定量はTaqManTM Assay on Demand Reagents (Assay ID; Rn00582935_m1, Applied Biosystems) を用いて行った。反応は、500 ngのtotal RNAを鋳型とし、2×THERMOSCRIPT Reaction Mix 12.5μl、THERMOSCRIPT PLUS/PLATINUM Taq MIX 0.5μl、RNase Inhibitor (TOYOBO) 20 units及びROX Reference Dye (Invitrogen) 0.25μl、TaqManTM Assay on Demand Reagents 1μlを、RNase-free 水で全量25μlの反応溶液とした。定量時の内部標準として、β-actinを用いた。β-actinの測定系 (25μl) は、プライマー終濃度を300 nM、プローブ最終濃度を500 nMとし、total RNA、2×THERMOSCRIPT Reaction Mix、THERMOSCRIPT PLUS/PLATINUM Taq MIX、RNase Inhibitor及びROX Reference Dyeの量はVEGF mRNA定量と同量とした。反応はPLATINUMTM Quantitative RT-PCR THERMOSCRIPTTM One-Step System (Invitrogen) を用い、添付のプロトコルに従った。β-actinのプライマー対及びプローブの配列は以下のとおりである。
forward primer: 5’-GACAGGATGCAGAAGGAGATTACTG-3’(配列番号3)
reverse primer: 5’-AGAGCCACCAATCCACACAGA-3’(配列番号4)
probe: 5’-(FAM)-AAGATCATTGCTCCTCCTGAGCGCAAGTA-(TAMRA)-3’(配列番号5)
細胞のviabilityアッセイ
細胞のviabilityアッセイは、Fujioらの方法(Circulation. 2000;101:660-667.)を少し改変して行った。無血清培地において心筋細胞を、IL-11の存在下または非存在下で培養し、MTSの代謝活性を指標にしたMTSアッセイによって、細胞のviability(生存力)を評価した。MTSアッセイは、市販のキット(Promega社)を用いて行った。
心筋内血管密度の検討
10週齢C57Bl/6マウスの尾静脈より、IL-11 (8 μg/kg)、もしくはvehicle (PBS(-)) を4日に1回、5週間反復投与した。マウス心臓を摘出後、PBS(-)で洗浄し、O.C.T Compound (SAKURATM) 中で凍結させ、クライオスタット (CM1850; LEICA) で10 μm厚の切片を作製した。切片は風乾後、アセトンで固定し、免疫組織化学解析に使用した。
作製した切片の免疫組織化学解析はVectastain ABC kit (VECTOR LABORATORIES) を用いて行った。プロトコルは添付文書に従った。一次抗体は抗CD31抗体 (BD Biosciences) を用い、DAB (3,3'-diamino benzidine tetrahydrochloride) 基質溶液で毛細血管を染色し、顕微鏡下で撮影後、毛細血管を計数した。
虚血再灌流傷害の作製
マウス虚血再灌流は、Oshimaらの方法(Cardiovasc. Res. 2005;65:428-435.)に従い作製した。IL-11 (8μg/kg) もしくはPBS(-)を手術18時間前に静脈投与した。C57Bl/6マウス (10週齢) にケタミン (三共エール薬品; 100 mg/kg) とキシラジン (バイエルメディカル; 5 mg/kg) をそれぞれ腹腔内投与し、全身麻酔を施した後、実験動物用人工呼吸器 (シナノ製作所) を用いた人工呼吸下 (96 ml/min) で開胸した。手術用縫合糸 (7-0号) により左冠動脈前下降枝を結紮し、60分間閉塞させ、その後60分間再灌流を行った。虚血再灌流はECGモニタ上のST-Tの変化で確認し、施術の間マウスの体温は37℃に維持した。1時間再灌流を行った後、心筋梗塞の危険領域 (area at risk; AAR) を確認するため、再び結紮して0.5 mlの4% Evans Blue (Sigma) PBS(-) 溶液を直ちに左頚動脈に注射した。その後、速やかに心臓を摘出し、梗塞領域の評価を行った。
摘出した心臓から、短軸面を観察できるように切片を作製し、2% triphenyltetrazolium chloride (TTC; Sigma) PBS(-) 溶液に37℃、20分間浸した。Evans Blueによって染色されなかった部分をAARとして計測し、左心室 (left ventricular area; LVA)に対しての割合を算出することで手術の同等性を評価した。TTCによって染色されず、白く残った部分を心筋梗塞領域 (myocardial infarct area; MIA)として計測し、AARに対する割合を算出した。
心筋傷害後にIL-11を投与した実験においても、同様に冠動脈を結紮し、心筋梗塞モデルを作製した。結紮から24時間後より、IL-11を尾静脈より5日間連日投与した(コントロールには、生理食塩水(PBS)のみ投与した)。そして、約1ヵ月後、マウスより心臓を取り出し、心筋の繊維化、心筋残存性を検討した。
半定量RT-PCR解析
半定量RT-PCR解析は、Fujioらの方法(J. Clin. Invest. 1997;99:2898-2905.)に従って行った。Total RNAは、acid guanidinium thiocyanate-phenol-chloroform法により調製した。逆転写反応により、total RNA 1 μgからcDNAを合成した後、下記の表1に示される各遺伝子に特異的なプライマーを用いてPCRを行った。増幅産物は、2% アガロースゲル電気泳動によって確認した。
動物実験に関する倫理的配慮
実験動物の取り扱いは、大阪大学動物実験指針に基づいて行った。
統計解析
得られた結果の有意差検定には、Studentのt検定を用いた。解析にはStatcel(商品名)を用い、有意水準はp<0.05とした。
[2]結果
IL-11受容体は心臓、心筋に発現する
培養心筋細胞及び心臓におけるIL-11 receptor mRNAの発現の有無をRT-PCR法にて検討した (図1)。RT-PCRの結果、サイズ746bpのバンドが確認され、ラット新生仔培養心筋細胞及びマウス心臓においてIL-11 receptor mRNAの発現が示された。尚、バンドはPCR反応にテンプレートを加えない場合には認められなかった。当該サイズのバンドに関しては切り出し後、シークエンスを確認している。
IL-11は心筋細胞においてSTAT3、ERK1/2を活性化する
培養心筋細胞における、IL-11刺激によるSTAT3、ERK1/2の活性化をWestern blotにて解析した。IL-11処置後、速やかなSTAT3及びERK1/2のリン酸化が確認された (図2)。
経時的変化の検討では、STAT3のリン酸化はIL-11処置後15分でピークに達し、その後徐々に減弱し、60分後には処置前とほぼ同程度となった。ERK1/2においてもほぼ同様の経時変化が見られたが、STAT3より変動幅は小さかった (図3)。濃度依存性の検討からIL-11 20 ng/mlにおいてSTAT3のほぼ最大のリン酸化が見られた (図4)。
また、心筋細胞をIL-11処理すると、リン酸化STAT3の核内移行が観察された。さらに、心筋細胞でのSTAT3の活性化を通じて、IL-11は、過酸化水素(H2O2)誘導性の細胞死を抑制する効果をもつことが分かった。
IL-11は、培養心筋細胞に肥大を惹起する
IL-11が培養心筋細胞に及ぼす形態学的影響を検討するため、細胞をIL-11 (20 ng/ml)で24時間処置し、抗sarcomeric α-actinin抗体による免疫染色を行い、観察した。その結果IL-11を処置した細胞では、ポジティブコントロールであるLIFの場合と同様の形態学的変化、即ち細胞の伸長を伴う肥大が認められた (図5)。細胞の肥大、伸長を定量化するために細胞面積、長軸、短軸方向の長さを測定した。長軸方向の長さは有意に増加したが、短軸方向の変化は見られなかった (図5(b)(c))。
IL-11は、心筋細胞のviabilityを増強する
MTSアッセイを用いた細胞のviabilityアッセイの結果、IL-11の存在下においては、非存在下に比べて、培養心筋細胞は、約2倍のMTS代謝活性を示した(図6)。この結果は、IL-11によって心筋細胞のviabilityが増強したことを示すものである。
IL-11はin vivoにおいて血管形成を促進する
STAT3の活性化は心筋内での血管形成を促進する。そこで、IL-11をマウス尾静脈より反復投与し、心臓における毛細血管密度の変化を検討した。IL-11を3日おきに5週間投与した後、心臓を摘出、心臓の毛細血管を抗CD31抗体で免疫染色して血管密度を解析した。IL-11投与マウスにおいてはコントロール群と比較して、心臓の毛細血管密度が約1.2倍に増加した(図7)。毛細血管密度はIL-11投与3週間頃より増加し始めた。
IL-11はVEGF mRNAを誘導する
IL-11がin vivoにおいて血管密度を上昇させる機序を明らかにするため、IL-11が培養心筋細胞のVEGF mRNA発現に与える影響を、Real-time RT-PCR法にて検討した。その結果、IL-11添加後8時間頃からVEGF mRNA発現が有意に上昇し、その上昇は24時間後にまで及んだ(図8)。
IL-11は心臓に対して虚血再灌流傷害に対する抵抗性を付与する
IL-11の心保護作用を、マウス虚血再灌流モデルを使用して検討した。IL-11もしくはPBS(-) を虚血18時間前に経静脈的に投与し、前記『方法』で述べたように虚血再灌流モデルを作製した。虚血再灌流過程においてECGモニタ上心拍数の著明な変化は認められなかった。また術中の死亡率は15%以下であった。IL-11投与によりrisk areaは影響を受けなかったが、risk areaあたりの梗塞サイズは62%縮小した(図9)。このことは、IL-11投与が心筋に対し虚血再灌流に対する抵抗性を付与することを示している。
心筋梗塞後心不全発症予防へのIL-11の有効性
次に、心筋傷害後にIL-11を投与した場合にも、IL-11の心筋保護効果が認められるか検討した。
実験では、まずマウスに対し、冠動脈を結紮し、心筋梗塞を作り出した(図10)。その結紮から24時間後より、IL-11を尾静脈より5日間連日投与した(コントロールには、生理食塩水(PBS)のみ投与した)。そして、約1ヵ月後、マウスより心臓を取り出し、心筋の繊維化、心筋残存性を検討した。
その結果、図10に示すように、生理食塩水(PBS)を投与したコントロール群の場合と比較して、IL-11投与群ではInfarct area(左室筋面積あたりの繊維化領域の面積)が顕著に低下した。ここで、繊維化とは、心筋組織が梗塞後に収縮力を失った状態を意味する。この結果は、IL-11が、梗塞後の心筋組織修復・再生機能を有することを示すものである。
IL-11は活性酸素種スカベンジャー、メタロチオネインおよび細胞保護因子SPRR(small proline rich repeated protein)を誘導する
IL-11をマウスに静注すると、心臓において速やかに、活性酸素種スカベンジャーであるメタロチオネイン(MT-1, MT-2)および細胞保護遺伝子SPRR(SPRR1A)の発現が誘導された(図11)。この結果は、IL-11が、活性酸素種スカベンジャーおよび細胞保護遺伝子の発現を誘導し、これら分子の心臓での活性を促進することを示すものである。
心筋梗塞モデルマウスへのIL-11の投与と生存率の向上
冠動脈を結紮し、心筋梗塞モデルマウスを作製後にIL-11を投与した場合に、コントロール群(PBS投与群)と比較して生存率が向上するかどうかを検討した。
実験は上記と同様に、まずマウスに対し、冠動脈を結紮し、心筋梗塞を作り出した。その結紮から24時間後より、IL-11を尾静脈より5日間連日投与した(コントロールには、PBSのみ投与した)。そして、結紮後の各群の生存率を比較した。
その結果、図12に示すように、PBSを投与したコントロール群の場合と比較して、IL-11投与群では生存率が向上し、IL-11は、心筋梗塞後の生存を高める効果をもつことが分かった。
心筋梗塞モデルマウスへのIL-11の投与と炎症性サイトカインの発現抑制
次に、マウスに心筋梗塞を作製後IL-11を投与した場合に、梗塞組織において各サイトカインの発現量がどのように変化するかを検討した。
実験は上記と同様に、まずマウスに対し、冠動脈を結紮し、心筋梗塞を作り出した。その結紮から24時間後より、IL-11を尾静脈より5日間連日投与した(コントロールには、PBSのみ投与した)。そして、結紮後7日目に、梗塞組織における各サイトカインの発現量をRT-PCRにて検討した。
その結果、図13に示すように、結紮を施していない偽手術(Sham手術)群と比べて、コントロール群では、IL-6,IL-1βおよびTNF-αの発現量が増強したが、IL-11投与により、IL-6およびTNF-αの発現量が有意に低下した。IL-6およびTNF-αは炎症性サイトカインとして知られており、この結果から、IL-11は、心筋梗塞後の炎症性サイトカインの発現を抑制(阻害)し、梗塞組織での抗炎症作用が認められた。
他方、心筋細胞保護作用を有するIL-1βの発現量は、IL-11投与により、コントロール群と比べて有意な変化は認められなかった。
以上のように、本発明は、インターロイキン11のin vivoでの心筋保護効果を実証し、インターロイキン11を有効成分とする心疾患の予防又は治療用薬剤等を提供するものであり、通常の医薬製剤として、あるいはまた、心疾患予防効果のある健康食品や保健食品等として利用可能である。

Claims (5)

  1. インターロイキン11(IL-11)を有効成分とする心疾患の予防又は治療用薬剤であって、心疾患が、心筋障害後心筋リモデリング、心不全および虚血性心疾患(狭心症および心筋梗塞を含む)からなる群より選択される疾患である、心疾患の予防又は治療用薬剤。
  2. インターロイキン11(IL-11)を有効成分とする心筋リモデリング抑制剤。
  3. インターロイキン11(IL-11)を有効成分とする心血管形成促進剤。
  4. インターロイキン11(IL-11)を有効成分とする心臓での活性酸素種スカベンジャー活性促進剤。
  5. インターロイキン11(IL-11)を有効成分とする心臓での細胞保護因子活性促進剤。
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